JP5065569B2 - 工業的に生産されたプラバスタチンナトリウム含有組成物 - Google Patents

工業的に生産されたプラバスタチンナトリウム含有組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)を有する溶媒を使用し、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩を単離・精製する工程に関する。
【0002】
また、本発明は、不純物を無機酸を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法に関する。
【0003】
更に、本発明は、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法に関する。
【0004】
また、本発明は、上記3工程から選択される2以上の工程を含有することを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法に関する。
【0005】
更に、本発明は、式(I)
【0006】
【化2】
Figure 0005065569
【0007】
を有する化合物を、工業的に生産されたプラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下の量まで除去することに関連する発明に関する。
【0008】
【従来の技術】
プラバスタチンは、特開昭57−2240号公報(USP4346227)にHMG−CoAリダクターゼ阻害剤として開示されている化合物であり、下記式(II)
【0009】
【化3】
Figure 0005065569
【0010】
を有し、現在、プラバスタチンナトリウムが高脂血症治療剤として発売されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
HMG−CoAリダクターゼ阻害剤として、プラバスタチンの他に多くの化合物が知られているが、例えば、アトロバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチン等は、全て合成により製造される化合物である。
【0012】
一方、ロバスタチン及びシンバスタチンは、プラバスタチンと同様に発酵により製造されるものの、一段階の発酵により生成され、この点、プラバスタチンの二段階発酵と相違する。すなわち、プラバスタチンナトリウムは、下記式に示すとおり、二段階にわたって菌により変換培養することにより生成されるものである。
【0013】
【化4】
Figure 0005065569
【0014】
そもそも、菌を発酵させた場合、化学反応で合成を行うよりも、予想し得ない多くの不純物が生成してしまうものである。各工程毎に精製を行ったとしても不純物を除去しきれるものではなく、特に工業的生産を目的とした大量培養における、各工程の生成物についてはなおさらである。
【0015】
一方、「安全で有効な医薬を製造するための重要な因子の一つが、高純度の生成物を得ることである。化学物質は、原料物質から化学合成、生物により生産された当該物質を単離・精製する又は遺伝子組換え細胞等を利用した生産で生成された当該物質を単離・精製する等の製法により取得される。一般的に、遺伝子組換法を含めいかなる製法を採用しようが、原料の純度、反応の不完全性、単離・精製過程での分解等により、製造される化学物質は100%の純度のものを得ることは困難なことが多い。また、医薬の分野において、診断薬、治療薬は、不純物を含むと診断や治療に好ましくない影響を及ぼす可能性を否定することができないのは、本願発明の属する技術分野における技術常識に属することは明らかであり、できる限り高純度の生成物を得る事が重要とされている。」(東京高裁平成9年(行ケ)第302号事件(12年2月17日判決))のである。
【0016】
そして、HMG−CoAリダクターゼ阻害剤は、血中コレステロールを有効に低下させるために、投与期間が長期にわたるような薬剤であるため、特に高純度であることが必要とされる。
【0017】
従って、上記のとおり、二段階発酵により生成されるプラバスタチン類は、一段階発酵により生成されるシンバスタチン及びロバスタチンに比べて、不純物もより多く含有するため、精製工程が特に重要であり、不純物を除去し高純度のプラバスタチンを単離・精製する方法を見出すための研究が続けられていた。
【0018】
本発明者等は、特に、プラバスタチンを二段階発酵して生成する際に、下記一般式(I)
【0019】
【化5】
Figure 0005065569
【0020】
を有する化合物が必ず生成され、しかも上記化合物(I)の生産量が、プラバスタチンに変換培養する際に生成される不純物の中で最も多いことを見出した。しかしながら、このように、高純度のプラバスタチンを得るためには、医薬を製造するにあたり不純物とされる化合物の中でも、上記化合物(I)を確実に除去することが重要な課題であることがわかったものの、上記化合物(I)は、プラバスタチンの一つの不斉炭素上の水酸基にかかる光学異性体であるため、他の不純物に比べて除去することが非常に困難であった。
【0021】
従って、クロマトグラフィーのような煩雑なものではなく、工程生産性を損なわず、しかもクロマトグラフィーで精製される程度の高純度で、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩を単離・精製する方法、更に上記化合物(I)を除去し高純度のプラバスタチンを得ることができるような、簡便な単離・精製方法が望まれていた。
【0022】
一方、HMG−CoAリダクターゼ阻害剤の精製方法としては、以下のものが知られている。
(1)WO92/16276号公報(特表平6−506210号公報)
本公報は、「高性能液体クロマトグラフィーを使用することを特徴とするHMG−CoAリダクターゼ阻害剤の精製方法、及び、該精製方法により得られたHMG−CoAリダクターゼ阻害剤」に関する。
【0023】
本公報の精製方法は、HMG−CoAリダクターゼ阻害剤の精製工程において、高性能液体クロマトグラフィーを用いることを特徴とする。一方、本発明の単離・精製方法は、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチルのような式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)を有する溶媒を使用することにより、プラバスタチンの不純物を除去するか、及び/又は、無機酸及び/又は無機塩基を用いて分解することにより不純物を除去し、高性能液体クロマトグラフィーを用いずに、高純度のプラバスタチンを得られることを特徴としている点で、本公報の精製方法とは相違する。
【0024】
また、本発明の「上記化合物(I)をプラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下まで除去することを特徴とする」単離・精製方法については記載も示唆もされていない。
【0025】
ところで、高性能液体クロマトグラフィーは、大量の溶媒を要し、それらに少量の不揮発性不純物が含まれ得るが故に、大規模生産の場合にはより深刻になる。溶媒の除去に際し、これらの不純物は試料に混入する。加えて、このように多量の溶媒を用いることにより、深刻な環境汚染や多額の蒸溜費用を招くことになる。
【0026】
従って、高性能液体クロマトグラフィーは、煩雑であり、工業的なプラバスタチンの単離・精製に用いられる操作であるとは考えられない。
【0027】
そして、プラバスタチンの工業生産にあたって、高性能液体クロマトグラフィーを用いたとしても、プラバスタチンの光学異性体である上記化合物(I)を除去し所望の純度のプラバスタチンを得ることは困難である。
(2)WO99/42601号公報
本公報は、「HMG−CoAリダクターゼ阻害剤の濃縮培養液を、酸でpH4.5乃至7.5に調節した後、酢酸エチルでHMG−CoAリダクターゼ阻害剤を抽出し、所望によりラクトン化させた後結晶化することにより、99.6%以上の純度を有するHMG−CoAリダクターゼ阻害剤を得る単離・精製方法」に関する。
【0028】
本公報の精製方法は、菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、酢酸エチルを使用していることに対して、本発明の精製方法は、酢酸n-プルピル、酢酸n-ブチルのような式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)を有する溶媒を使用している点で、本発明の単離・精製方法とは相違する。
【0029】
更に、本発明の単離・精製方法は、プラバスタチンの不純物を、無機酸及び/又は無機塩基を用いて分解する工程を行うことにより高純度のプラバスタチンを得ることも特徴としているが、本公報では、無機酸及び/又は無機塩基を用いてHMG−CoAリダクターゼ阻害剤の不純物を分解する工程については、記載も示唆もされていない。
【0030】
また、本発明の「上記化合物(I)をプラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下まで除去することを特徴とする」単離・精製方法については、記載も示唆もされていない。
【0031】
確かに、本公報の実施例3では、プラバスタチンの単離・精製方法が記載されているが、本実施例では、酢酸エチルで抽出されたプラバスタチンの純度が70.3%足らずに留まっており、その後本発明の単離・精製方法とは相違するクロマトグラフィーを用いて精製する記載はあるものの、最終的に得られたプラバスタチンの純度については全く記載されていない。従って、最終的に高純度のプラバスタチンが得られているのか否かはそもそも不明であるし、加えて上記化合物(I)がプラバスタチンに対して、0.1重量%以下まで精製されているかどうかについても記載も示唆もされていない。
【0032】
また、本公報の実施例において、99.6%以上の高純度で得られるとされているロバスタチンでさえ、最終生成物のHPLCのチャート(Fig.4)を見る限り、純度が99.6%以上のロバスタチンが得られているとは考えにくく、信憑性がない。
(3)WO00/17182号公報
本公報は、「置換クロマトグラフィーを使用することを特徴とするHMG−CoAリダクターゼ阻害剤の精製方法、及び、該精製方法により得られたHMG−CoAリダクターゼ阻害剤」に関する。
【0033】
本公報の精製方法は、HMG−CoAリダクターゼ阻害剤の精製工程において、置換クロマトグラフィーを用いることを特徴とする。一方、本発明の単離・精製方法は、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチルのような式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)を有する溶媒を使用して、プラバスタチンの不純物を除去するか、及び/又は、無機酸及び/又は無機塩基を用いて分解することにより不純物を除去し、置換クロマトグラフィーを含む一切のクロマトグラフィーを用いずに、高純度のプラバスタチンが得られることを特徴としている点で、本公報の精製方法とは相違する。
【0034】
また、本発明の「上記化合物(I)をプラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下まで除去することを特徴とする」単離・精製方法については、記載も示唆もされていない。
【0035】
そして、プラバスタチンの工業的生産にあたって、置換クロマトグラフィーを用いたとしても、煩雑であり、また、プラバスタチンの光学異性体である上記化合物(I)を除去することは困難である。
【0036】
なお、上記精製方法の他に、通常、当業者が採用する単離・精製方法としては、例えば、分析用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を挙げることができるが、分析用HPLCは、プラバスタチンの単離・精製方法としては実用的手段ではない。分析用HPLCは、非常に細い直経の充填カラム(直径4.6mm×長さ25cm)を用い、一回の分析毎に高圧にあるカラムに約10μg(1×10-2mg)の試料を添加するものであり、一回の分析は、約30分を要する。試料はいずれはカラムから流出するものの、極端に稀釈された溶液状であり、分析系では成分検出は可能であるが、収集は実用的でない。更に、分析用HPLCには収集系は付属しておらず、それを設置するにしても、固体試料を得たい場合には溶媒除去を要する。プラバスタチンの単離・精製に分析用HPLCを使うとすると、僅か1個の5mg錠を作るに必要なプラバスタチンを単離・精製するのに、500回の分析と250時間を要することとなり、分析用HPLCはプラバスタチンの単離・精製の目的には非現実的な操作であるかが明らかである。
【0037】
また、分取用HPLCも、前述の理由により、商業規模のプラバスタチンの単離・精製に適した手法とはいえない。
【0038】
シリカゲルクロマトグラフィーは、シリカゲル粒子の大きさに基づき、カラムクロマトグラフィーとフラッシュクロマトグラフィーに大別できるが、商業規模の単離・精製に使うに適した手法であるとは期待されなかった。
【0039】
実際に、各種クロマトグラフィーを用いて、上記化合物(I)及びその他の不純物の分離を試みたが、上記化合物(I)はプラバスタチンの立体異性体であるため、該化合物をプラバスタチンから分離できなかった。
【0040】
再結晶は、医薬品分野で広く用いられている単離・精製操作である。しかしながら、再結晶を使用しても、構造的にプラバスタチンと類似する上記化合物(I)をプラバスタチンから選択的に分離し、組成物中のプラバスタチンの純度を所望の水準まで改善するには効果的でなかった。
【0041】
ガスクロマトグラフィーや蒸溜といった、他の単離・精製法も考慮したが、いずれも試料分子の大きさの差異に準拠した分離に基づいており、両者とも試料の加熱を要する。しかしながら、プラバスタチンはその融点では分解する傾向があるため、これらを単離・精製法とすることができない。
【0042】
また、上記化合物(I)を除去するため前記単離・精製方法のいずれかを繰り返し行ったとしても逆にプラバスタチンの収率をも減少させてしまう。
【0043】
更に、上述されているような、従来知られているいかなる単離・精製方法を組み合わせても、上記化合物(I)を0.1%以下の量まで除去し、プラバスタチンの工業的生産に適用することはできなかった。
【0044】
従って、工程生産性を損なうこともなく、高純度のプラバスタチン、特に、プラバスタチンの類縁物質である上記一般式(I)を有する化合物を除去することにより高純度であるプラバスタチンを得る事ができる単離・精製方法は、今まで全く知られていない。
【0045】
本発明者らは、プラバスタチンを含有する医薬組成物について鋭意研究を行った結果、高純度のプラバスタチンを得る単離・精製方法、更にプラバスタチンの類縁物質である上記化合物(I)を含めた不純物を該医薬組成物から除去する単離・精製方法、特に上記化合物(I)をプラバスタチンを含有する医薬組成物全量に対して0.1%以下の量まで除去する単離・精製方法を見出し、本発明を完成した。
【0046】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用することを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(2) プラバスタチン又はその薬理上許容される塩を単離・精製する工程において、不純物を無機酸を用いて、分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(3) プラバスタチン又はその薬理上許容される塩を単離・精製する工程において、不純物を無機塩基を用いて、分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法
に関する。
【0047】
好適には、
(4) Rがn-プロピル基又はn-ブチル基である、(1)記載のプラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(5) 無機酸が、リン酸である、(2)記載のプラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(6) 無機酸を用いて分解する工程のpHが、2乃至5である、(2)又は(5)に記載のプラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法
を挙げることができる。
【0048】
更に本発明は、
(7) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、かつ、不純物を無機酸を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(8) プラバスタチン又はその薬理上許容される塩を単離・精製する工程において、不純物を無機酸を用いて分解する工程、及び、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(9) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、並びに、不純物を無機酸を用いて分解する工程、及び、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法に関し、好適には、
(10) Rがn-プロピル基又はn-ブチル基である、(7)又は(9)記載のプラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(11) 無機酸が、リン酸である、(7)乃至(10)から選択されるいずれか一項に記載にのプラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(12) 無機酸を用いて分解する工程のpHが、2乃至5である、(7)乃至(11)から選択されるいずれか一項に記載のプラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法
を挙げることができる。
また、本発明は、
(13) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、かつ、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法に関し、好適には、
(14) Rがn-プロピル基又はn-ブチル基である、(13)記載のプラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法
を挙げることができる。
【0049】
また、本発明は、
(15) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、かつ、不純物を無機酸を用いて分解する工程を行うことにより、一般式(I)
【0050】
【化6】
Figure 0005065569
【0051】
を有する化合物を、プラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下の量まで除去することを特徴とする、プラバスタチンナトリウムの単離・精製方法、
(16) プラバスタチンナトリウムを単離・精製する工程においてに、不純物を無機酸を用いて分解する工程、及び、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことにより、
一般式(I)
【0052】
【化7】
Figure 0005065569
【0053】
を有する化合物を、プラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下の量まで除去することを特徴とする、プラバスタチンナトリウムの単離・精製方法、
(17) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、並びに、不純物を無機酸を用いて分解する工程、及び、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことにより、
一般式(I)
【0054】
【化8】
Figure 0005065569
【0055】
を有する化合物を、プラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下の量まで除去することを特徴とする、プラバスタチンナトリウムの単離・精製方法
に関し、好適には、
(18) Rがn-プロピル基又はn-ブチル基である、(15)又は(17)記載のプラバスタチンナトリウムの単離・精製方法、
(19) 無機酸が、リン酸である、(15)乃至(18)から選択されるいずれか一項に記載のプラバスタチンナトリウムの単離・精製方法、
(20) 無機酸を用いて分解する工程のpHが、2乃至5である、(15)乃至(19)から選択されるいずれか一項に記載のプラバスタチンナトリウムの単離・精製方法
を挙げることができる。
【0056】
更に本発明は、
(21) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、かつ、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことにより、
一般式(I)
【0057】
【化9】
Figure 0005065569
【0058】
を有する化合物を、プラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下の量まで除去することを特徴とする、プラバスタチンナトリウムの単離・精製方法に関し、好適には、
(22)一般式(I)
【0059】
【化10】
Figure 0005065569
【0060】
を有する化合物を、プラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下の量で含有することを特徴とする、工業的に生産されたプラバスタチンナトリウムを含有する組成物、
(23) Rがn-プロピル基又はn-ブチル基である、(21)記載のプラバスタチンナトリウムの単離・精製方法
を挙げることができる。
【0061】
また、本発明は、
(24) (1)乃至(23)のいずれか一項に記載の単離・精製方法により得られ、一般式(I)
【0062】
【化11】
Figure 0005065569
【0063】
を有する化合物を、プラバスタチンナトリウムに対して、0.1重量%以下の量で含有することを特徴とする、プラバスタチンナトリウムを含有する組成物に関する。
【0064】
本発明において、「プラバスタチン類」とは、下記式(II)
【0065】
【化12】
Figure 0005065569
【0066】
を有するプラバスタチン又はその薬理上許容される塩、及び、上記式(II)と類似の構造を有する化合物、即ちプラバスタチンの類縁物質(例えば、上記化合物(I)を挙げることができる。)をいう。
【0067】
プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製は、通常、以下に記載する単離・精製方法によって達成される。
【0068】
まず、変換培養を終えたプラバスタチンを含む培養液を、常法に従って、ろ過及び/又は遠心法により、菌体を分離し、その後濃縮して培養濃縮液を得る。
【0069】
得られた培養濃縮液は、所望により、酸を用いてpHを調節した後、酢酸エチルのような水と混和しにくい有機溶媒を用いてプラバスタチン類を抽出する。例えば、WO99/42601号公報では、HMG−CoAリダクターゼ阻害剤を含む培養濃縮液を、酸を用いてpHを4.5〜7.5(好適には5.5〜7.5)に調節した後、酢酸エチルを用いて抽出している。
【0070】
そのようにして得られたプラバスタチン類は常法に従って、上記抽出液から採取される。例えば、上記抽出液を、水、飽和食塩水等で洗浄後、水酸化ナトリウムを加え、抽出分液し、逆抽出水層としてプラバスタチン塩の水溶液を得る事ができる。得られたプラバスタチン塩は、所望により結晶化することもできる。
【0071】
所望により行なわれる結晶化は、一般に有機合成化学の技術において周知の方法、例えば、Ullmann's, Encyclopedia of Industrial Chemistry" Vol. A24, 5th edition (1993) , pp. 437-505に記載の方法により以下のように行うことができる。
【0072】
結晶化の方法としては、例えば、得られたプラバスタチン又はその薬理上許容される塩の組成物に、有機溶媒及び水を加え、加温溶解し、接種することにより、結晶体としてプラバスタチンを得る事ができる。
【0073】
結晶化に使用される有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチルのようなエステル類;酢酸のような有機酸類;メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、t−ブタノ−ル、イソアミルアルコ−ル、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノールのようなアルコ−ル類;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル類;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;水と1種類以上の上記有機溶媒との混合溶媒;であり、好適には、水と1種類以上の上記有機溶媒との混合溶媒であり、更に好適には、水と、アルコ−ル類、エステル類及びケトン類から選択される1種類以上の有機溶媒との混合溶媒であり、最も好適には、水、アルコール類及びエステル類の混合溶媒である。
【0074】
本発明の単離・精製方法は、上述のように常法に従って、培養濃縮液を得た後、酢酸エチルではなく、式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)を有する有機溶媒を用いて抽出することを特徴とする。
【0075】
上記式中、Rの定義における「炭素数3以上のアルキル基」は、例えば、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル基のような基であり、好適には、炭素数3乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、好適にはC3−C4アルキル基であり、最も好適には、n-プロピル又はn-ブチル基である。
【0076】
また、本発明の単離・精製方法は、上述のようなプラバスタチンの単離・精製方法において、プラバスタチンの不純物を無機酸を用いて分解する工程、及び/又は、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことを特徴とする。
【0077】
プラバスタチンの不純物を無機酸を用いて分解する工程及び不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行う場合は、順不同で希望する工程を、単離・精製方法において適宜実施することができる。そのような単離・精製方法の具体例としては、例えば、
(a) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、かつ、不純物を無機酸を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(b) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、かつ、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(c) プラバスタチン又はその薬理上許容される塩を単離・精製する工程において、不純物を無機酸を用いて分解する工程、及び、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を順不同で行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法、
(d) 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、有機溶媒を用いて、プラバスタチン類を抽出する工程において、有機溶媒として、
式 CH3CO2R(上記式中、Rは炭素数3以上のアルキル基を示す。)
を有する溶媒を使用し、並びに、不純物を無機酸を用いて分解する工程、及び、不純物を無機塩基を用いて分解する工程を行うことを特徴とする、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の単離・精製方法
を挙げることができる。
【0078】
プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の不純物を無機酸により分解する工程は、不活性溶媒の存在下又は非存在下(好適には、存在下)、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩を、pH2乃至5を付与する条件(好適にはpH3乃至4)で行われる。
【0079】
不純物の無機酸分解で使用される「無機酸」とは、通常、酸として用いられる無機物質であれば特に限定はないが、例えば、臭化水素酸、塩酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、硝酸のような無機酸を挙げることができ、好適には、リン酸又は硫酸である。
【0080】
反応温度及び反応時間は、pH値にも依存するが、基本的には、反応温度が低ければ反応時間は長くする必要があり、反応温度が高ければ反応時間は短くする必要があるが、例えば、20℃〜80℃(好適には、40℃〜60℃)にて、1分間乃至6時間(好適には、5分間乃至20分間)、処理することにより行なわれる。
【0081】
不純物の無機酸分解で使用される「不活性溶媒」は、通常、溶媒として使用されるものであれば特に限定はないが、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、t−ブタノ−ル、イソアミルアルコ−ル、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコ−ル類;水;水と上記有機溶媒との混合溶媒;であり、好適には、水又は水と上記有機溶媒との混合溶媒であり、最も好適には、水又は水とエタノ−ルとの混合溶媒である。
【0082】
反応終了後、目的化合物であるプラバスタチンは常法に従って、反応液から採取される。例えば、酢酸エチルのような水と混和しない有機溶媒を加え、目的化合物を含む有機層を分離し、水等で洗浄して、溶剤を留去することによって得られる。更に必要ならば、活性炭を加えて脱色し、ろ過して活性炭を除去した後、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのような塩を形成する試薬を加え、ロータリエバポレーター等により減圧下濃縮して、プラバスタチンの塩を得ることができる。
【0083】
プラバスタチン又はその薬理上許容される塩の不純物を無機塩基で分解する工程は、不活性溶媒の存在下又は非存在下(好適には、存在下)に、プラバスタチン又はその薬理上許容される塩を、pH10〜14を付与する条件(好適には、pH11〜13)で行われる。
【0084】
不純物の無機塩基分解で使用される「無機塩基」とは、通常の反応において塩基として使用される無機物質であれば特に限定はないが、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物類;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類を挙げることができ、好適には、アルカリ金属水酸化物類であり、最も好適には、水酸化ナトリウムである。
【0085】
反応温度及び反応時間は、pH値にも依存するが、基本的には、反応温度が低ければ反応時間は長くする必要があり、反応温度が高ければ反応時間は短くする必要があるが、例えば、−10℃〜110℃(好適には、0℃〜100℃)にて、15分乃至60時間(好適には、30分間乃至72時間)、処理することにより行なわれ、より好適には、0℃付近で、30時間前後である。
【0086】
不純物の無機塩基分解で使用される「不活性溶媒」は、本反応に不活性なものであれば特に限定はないが、不純物の無機酸分解で使用される不活性溶媒と同様のものを挙げることができる。
【0087】
反応終了後、目的化合物であるプラバスタチンは常法に従って、上記反応液から採取される。例えば、硫酸水溶液のような酸を加え、酢酸エチルのような水と混和しない有機溶媒を加え、目的化合物を含む有機層を分離し、水等で洗浄して、溶剤を留去することによって得られる。更に必要ならば、活性炭を加えて脱色し、ろ過して活性炭を除去した後、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウムのような塩を形成する試薬を加え、ロータリエバポレーター等により減圧下濃縮して、プラバスタチンの塩を得ることができる。
【0088】
更に、本発明の単離・精製方法は、得られたプラバスタチン塩を結晶化する工程を含んでいてもよく、結晶化する方法は、上述のように常法に従って行うことができる。
【0089】
なお、本発明の精製度の分析は、、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を介して行うことができる。HPLCの測定条件は、
A:移動相:20%アセトニトリル、30%メタノール、50%TEAP緩衝液(0.3%Triethylamine-H3PO4(pH3.2));
検出波長:UV238nm;
カラム:Waters社製逆相カラムSymmetry C18 3.5μm,φ4.6mm×15cm;
流量:1ml/min
B:移動相:メタノール:水:酢酸(100):トリエチルアミン混液(600:400:1:1);
検出波長:UV238nm;
カラム:エルマ光学製カラムERC‐ODS‐1262 φ6mm×10cm;
カラム温度:30℃;
流量:1ml/min
C:移動相:メタノール:水:酢酸(100):トリエチルアミン混液(450:550:1:1);
検出波長:UV238nm;
カラム:BECKMAN社製カラムULTRASPHERE ODS φ4.6mm×15cm 5μm;
カラム温度:25℃;
流量:1.3ml/min
である。
【0090】
以下に、実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0091】
【実施例】
実施例1 培養濃縮液より酢酸 n- ブチルを用いた抽出
(1a)培養液の濃縮
変換培養を終えたプラバスタチン培養液10 Lを水酸化ナトリウムでpH12としたのち、50℃に加温し30分間撹拌した。培養液を室温に冷却後、ろ過助剤として500 gのセライト545(商標)(セライト コーポレーション社製)を加えてろ過した。分離した菌体に水を3 L加え、再度懸濁させた後ろ過した。得られた2つの濃縮液を合併し10 Lの培養濃縮液を得た。
(1b)酢酸n-ブチルを用いた抽出
得られた培養濃縮液を25%硫酸でpH5.7とした後、5 Lの酢酸n-ブチルを加え撹拌してプラバスタチンを抽出した。分離した水層を75%硫酸でpH5.7とした後、5 Lの酢酸n-ブチルを加えて撹拌し抽出した。得られた2つの酢酸n-ブチル層を合併し、これに2 Lの飽和食塩水を加えて撹拌して洗浄した。上層を分離して得た8 Lの抽出液に1 Lの水を加え、撹拌しながら25%水酸化ナトリウムを加えてpH9.5とした後、水層を分離してプラバスタチンのナトリウム塩水溶液1 Lを得た。HPLC(条件A)によるプラバスタチンナトリウムの純度は、90%以上であった。本実施例の結果より、酢酸n-ブチルを用いることにより、高純度のプラバスタチンナトリウムが得られていることが明らかである。
【0092】
実施例2 培養濃縮液より酢酸 n- プロピルを用いた抽出
酢酸n-ブチルのかわりに酢酸n-プロピルを用いて、実施例1と同様に処理をし、プラバスタチンのナトリウム塩水溶液を得た。HPLC(条件A)によるプラバスタチンナトリウムの純度は、85%以上であった。本実施例の結果より、酢酸n-プロピルを用いることにより、高純度のプラバスタチンナトリウムが得られていることが明らかである。
【0093】
実施例3 リン酸による不純物の分解
実施例1で得られた水溶液[HPLC(条件A)による化合物(I)/プラバスタチンナトリウムは9.3%]に350 mlのエタノールを加え、リン酸でpH3.0に調整した後50℃で10分間撹拌した。HPLC(条件A)による化合物(I)/プラバスタチンナトリウムは0.9%であった。本実施例の結果より、リン酸を用いることにより、化合物(I)が顕著に除去されていることが明らかである。
【0094】
実施例4 硫酸による不純物の分解
リン酸のかわりに硫酸を用いて、実施例3と同様に処理をした。HPLC(条件A)による化合物(I)/プラバスタチンナトリウムは3%であった。本実施例の結果より、硫酸を用いることにより、化合物(I)が顕著に除去されていることが明らかである。
【0095】
実施例5 水酸化ナトリウムによる不純物の分解、抽出及び結晶化
(5a)水酸化ナトリウムによる不純物の分解
プラバスタチンの培養濃縮液500ml[HPLC(条件B)による化合物(I)/プラバスタチンナトリウムは12.1%]を100℃まで加熱した後、2当量分の水酸化ナトリウムを水溶液として添加した(pH11.3)。100℃で3時間攪拌後冷却し、室温にて20%硫酸水溶液でpH8.5に調整し、水酸化ナトリウムによるアルカリ処理液を得た(プラバスタチンナトリウムの含有量:56.6g)。HPLC(条件B)による化合物(I)/プラバスタチンナトリウムは0.41%であった。本実施例の結果より、水酸化ナトリウムを用いることにより、化合物(I)が顕著に除去されていることが明らかである。
(5b)水酸化ナトリウムによる不純物の分解後の抽出及び結晶化
(5a)で得られた水酸化ナトリウムによるアルカリ処理液260g(プラバスタチンナトリウムの含有量:19g)に酢酸n-ブチルを用いて、実施例(1b)と同様にして水層を分離してプラバスタチンのナトリウム塩水溶液を得た。
【0096】
得られたプラバスタチンのナトリウム塩水溶液を約1/2量まで減圧濃縮した後、水77mlを加え再び減圧濃縮した。濃縮液をプラバスタチンのフリー体に対して6倍量となるように水で液量を調整して0〜5℃まで冷却し、20%硫酸水溶液を滴下しpH4.6でプラバスタチンのフリー体結晶を析出し、1晩攪拌した後にろ過した。結晶を冷希硫酸(pH4)で洗浄し、プラバスタチンのフリー体湿品結晶を得た。
【0097】
プラバスタチンのフリー体湿品に酢酸エチル63mlを加え室温で溶解した後、室温で攪拌しながら20%硫酸水溶液でpH4.5に調整し、攪拌抽出分液後酢酸エチル層に水21mlを加え抽出洗浄後分液した。抽出洗浄した酢酸エチル層にエタノール25mlを加えた後、室温で攪拌しながら6%水酸化ナトリウム・エタノール溶液でpH8.7に調整しナトリウム塩化液を得た。この後、常法に従って結晶化し、プラバスタチンナトリウム塩の結晶8.95gを得た。この方法で得られたプラバスタチンナトリウム塩のHPLC(条件C)による純度は99.67%であり、化合物(I)/プラバスタチンナトリウム=0.1%であった。
【0098】
本実施例の結果より、水酸化ナトリムによる不純物の分解工程及び酢酸n-ブチルを用いた抽出工程によって、化合物(I)が顕著に除去されていることが明らかである。
【0099】
実施例6 酢酸n - ブチルによる抽出、リン酸による不純物の分解、及び結晶化
実施例3で得られた酸処理液に、25%水酸化ナトリウムを加えてpH12としさらに50℃で30分撹拌を続けた。溶液を減圧下ロータリーエバポレーターで1 Lまで濃縮し、プラバスタチンナトリウム塩を含有する濃縮液を得た。得られた濃縮液を硫酸でpH4.0に調整した後、プラバスタチンを0.5 Lの酢酸エチルで抽出し、抽出液を水0.2 Lで洗浄した。抽出液に5 gの活性炭を加え10分間放置した後、ろ紙でろ過し、ろ液を25%水酸化ナトリウムでpH8.7に調整したのち、減圧下ロータリーエバポレーターで乾固して50 gのプラバスタチンナトリウム塩を得た。常法に従って結晶化し、34 gのプラバスタチンナトリウム塩の粗結晶を得た。粗結晶を同じ組成の溶媒を用いて再結晶してプラバスタチンナトリウム塩の純粋な結晶 32 gを得た。
【0100】
この方法で得られたプラバスタチンナトリウム塩のHPLC(条件A)による純度は99.7%以上であり、化合物(I)/プラバスタチンナトリウム=0.1%であった。
【0101】
本実施例より、酢酸n-ブチルによる抽出及びリン酸による不純物の分解工程によって、化合物(I)が0.1%以下まで除去され、高純度のプラバスタチンナトリウムが得られたことが明らかである。
【0102】
更に、酢酸n-ブチルによる抽出及びリン酸による不純物の分解工程に、水酸化ナトリウムによる不純物の分解工程を加えることにより、化合物(I)が更に除去され、高純度のプラバスタチンナトリウムが得られたことが明らかである。
【0103】
実施例7 水酸化ナトリウムによる不純物の分解、硫酸による分解及び結晶化
実施例(5a)で得られた水酸化ナトリウムによるアルカリ処理液から、酢酸エチルを用いて、実施例(5b)と同様にして抽出し、プラバスタチンのナトリウム塩水溶液を得た。得られた水溶液に350 mlのエタノールを加え、硫酸でpH1.5に調整した後20℃で1時間撹拌した。常法に従って結晶化し、プラバスタチンナトリウム塩の純粋な結晶を得た。HPLC(条件C)による化合物(I)/プラバスタチンナトリウム=0.1%以下であった。
【0104】
本実施例より、硫酸による不純物の分解及び水酸化ナトリウムによる不純物の分解工程によって、化合物(I)が0.1%以下まで除去され、高純度のプラバスタチンナトリウムが得られた。
【0105】
比較例1
酢酸エチルによるプラバスタチンの抽出
酢酸n-ブチルのかわりに酢酸エチルを用いて、実施例(1a)と同様に処理をし、プラバスタチンのナトリウム塩水溶液を得た。HPLC(条件A)によるプラバスタチンナトリウムの純度は、約70%であった。
【0106】
培養濃縮液から、プラバスタチン類を抽出する有機溶媒が、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、及び酢酸n-ブチルである場合の、化合物(I)/プラバスタチンナトリウム(%)は、以下のとおりである。下記結果より、酢酸エチルで抽出するよりも、酢酸n-プロピル及び酢酸n-ブチルにより抽出することによって、高純度のプラバスタチンが得られていることが明らかである。
【0107】
【表1】
Figure 0005065569
【0108】
【発明の効果】
本発明の精製方法は、カラムクロマトグラフィーのような煩雑かつ生産性の低く、工業的生産に向かない方法を使用することなく、従って、工程生産性及びプラバスタチンの純度を損なうことなく、高純度のプラバスタチン又はその薬理上許容される塩を得ることができた。
【0109】
また、本発明の単離・精製方法により上記化合物(I)をプラバスタチンに対して0.1%以下の量まで除去された。

Claims (4)

  1. 菌により生成されたプラバスタチン類を含む培養濃縮液から、式 CHCOR(上記式中、Rは炭素数3又は4のアルキル基を示す。)を有する有機溶媒を用いてプラバスタチン類を抽出する工程、不純物である一般式(I)
    Figure 0005065569
    を有する化合物を無機酸で処理する工程、不純物である一般式(I)を有する化合物を無機塩基で処理する工程、及び、プラバスタチンナトリウム塩の結晶化を行う工程を行うことにより、一般式(I)を有する化合物を、プラバスタチンナトリウムに対して0.1重量%以下の量まで除去することを特徴とする、プラバスタチンナトリウムの単離・精製方法[ただし、プラバスタチンのアンモニウム塩(アミンの塩及びアンモニアの塩を包含する)を生成し、当該アンモニウム塩を精製する工程を含むプラバスタチンナトリウムの単離・精製方法を除く。]
  2. 無機酸が、リン酸である、請求項1に記載のプラバスタチンナトリウムの単離・精製方法。
  3. 無機酸で処理する工程のpHが、2乃至5である、請求項1又は2に記載のプラバスタチンナトリウムの単離・精製方法。
  4. Rがn−プロピル基又はn−ブチル基である、請求項1乃至3のいずれかに記載のプラバスタチンナトリウムの単離・精製方法。
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