JP5062997B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
ここで、かかる帯電手段としては、電子写真感光体表面に対して帯電ローラ等の帯電部材を直接接触させる接触帯電方式と、コロナ帯電器を用いて感光体表面をコロナ帯電させる非接触帯電方式と、があるが、全体構成が簡易であり、オゾン等の有害物質の発生もないことから、接触帯電方式がより多く実用化されてきている。
しかしながら、この接触帯電方式においては、電子写真感光体表面と、帯電部材と、が直接接触するため、印字後の感光体表面に残留した現像剤成分である粒子が、帯電部材表面に付着して帯電ムラが発生する場合が見られた。このような帯電ムラは、転写後の表面に帯電極性と逆極性の電位が残留する、いわゆる転写メモリの存在によってより顕著になっていた。
すなわち、本発明の目的は、帯電手段として接触帯電方式を採用した場合であっても、導電性ブラシを所定の振幅で往復動させることにより、感光体表面に不均一に付着している粒子を均一にならして帯電ムラを抑制し、優れた画像特性を長期に渡り維持することができる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
すなわち、本発明の画像形成装置によれば、導電性ブラシが所定の振幅で往復動して、電子写真感光体表面に付着した粒子を均一化させることができるため、後の帯電手段において、帯電部材の表面には、均一化された粒子が付着することから、帯電ムラの発生が少なく、優れた帯電特性を維持することができる。
また、均一化手段を用いて、感光体表面に所定の電圧を印加させることができ、電子写真感光体表面に存在する転写メモリを消去することができる。
すなわち、均一化手段に、転写メモリを消去するための前帯電手段としての機能を持たせることができ、より高品位の画像特性を維持することができる。
このように構成することにより、導電性ブラシの往復動が、ギアを介して感光体ドラムの回転動作と連動することとなり、往復動手段として独立した動力源を配置した場合に比べて、部品点数の少ない簡易な構成とすることができる。
このように構成することにより、電子写真感光体の表面と接触する際に発生する静電気を効果的に除去することができるとともに、均一化手段に電圧を印加した際に、この導電性ブラシ繊維が導線として機能し、転写メモリをより効果的に除去することができる。
このように構成することにより、導電性及び機械的強度に優れた導電性ブラシとすることができる。したがって、往復動の振動数を変化させた場合であっても、導電性ブラシが塑性変形することなく優れた均一化効果を発揮することができる。
このように構成することにより、電子写真感光体を簡易な構成とすることができ、その製造工程を簡素化することができる。
このように構成することにより、所望の画像特性を維持したまま、前帯電手段としての均一化手段が転写メモリを消去して、優れた除電効果を発揮することができる。
以下、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置として、電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、電子写真感光体の表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置において、帯電手段は、接触式の帯電手段であるとともに、均一化手段は、電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含み、導電性ブラシは導電性基材及び導電性ブラシ繊維から構成され、導電性基材には、電子写真感光体との間に転写メモリを消去するための所定電圧を印加する電圧印加手段が接続してあり、かつ往復動の振幅を1(mm)以上の値とすることを特徴とする画像形成装置を例に採って、図1〜8を適宜参照しながら具体的に説明する。
図1に、本発明における画像形成装置の基本構成を示す。かかる画像形成装置10は、ドラム型の電子写真感光体(以下、感光体と称する場合がある。)11を備えており、この感光体11の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、帯電手段12と、感光体表面に潜像を形成するための露光手段13と、この感光体表面に対してトナーを付着させて潜像現像する現像手段14と、このトナーを記録紙20上に転写するための転写手段15と、感光体表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置17と、このクリーニング装置17において除去しきれず、感光体表面に不均一に残留した粒子をならすための均一化手段2と、感光体表面の残留電位を除去するための除電手段18と、が順次配置されている。
また、帯電手段12には、帯電印加電圧を印加するための電源19が接続されている。
この電源19は、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、この直流成分に交流成分(AC)を重畳させた重畳電圧とすることもできる。このとき、電源19の極性を帯電手段12側が正極になるように接続することで、かかる画像形成装置を正帯電型とすることができる。
また、転写手段15には、電源22が接続されている。この電源22は、直流成分(DC)を印加することができる電源であって、その極性は転写手段側が負極になるように接続されている。このように接続することで、かかる画像形成装置を反転現像式の画像形成装置とすることができる。
また、均一化手段2は、電子写真感光体11の表面と接触する導電性ブラシ50と、導電性ブラシ50を電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段70と、から構成されている。この均一化手段2によってクリーニング装置17で除去し切れなかった粒子、例えば、酸化チタン等の外添剤としての無機微粒子などを電子写真感光体11の表面上において均一にならすことができる。
(1)往復動手段
次いで、図2及び図3(a)〜(c)を用いて、往復動手段70の構成及びその動作原理について説明する。
図2は、往復動手段70及び導電性ブラシ50を斜め方向から眺めた斜視概略図であり、図3(a)〜(c)は、図2における矢印Y方向からみた場合の概略平面図である。
図2に示すように、往復動手段70は、電子写真感光体11の端部に同心で結合されたドラムギア71と、このドラムギア71と噛み合うように配置されたスラストギア72と、このスラストギア72と同心に結合され、外側側面に傾斜面73aを有するカム円盤73と、一端が傾斜面73aと当接され他端が導電性ブラシ50に固定された当接片74と、この導電性ブラシ50の一端に固定され、導電性部材50をカム円盤73方向に向けて付勢するスプリングコイル(付勢手段)75と、から構成されている。
また、この当接片74が固定してある導電性ブラシ50は、板状形状を有する導電性基材51と、この導電性基材51に植え付けられるように設けられた導電性ブラシ繊維52と、から構成されている。
このように構成された導電性ブラシ50は、スプリングコイル75によって図中矢印X方向に常時押し付けられるように配置され、傾斜面73aの回転中心とずれた位置で当接している当接片74を介して、X方向及び−X方向に往復動(スラスト)することにより、電子写真感光体11表面に残留した粒子をならすことができる。
図3(a)〜(c)は、図2を図中矢印Y方向から眺めたときの概略平面図であり、(a)〜(c)は、それぞれ導電性ブラシの位置変化を順次時系列に沿って示した図である。
まず図3(a)は、傾斜面73aを有するカム円盤73の長軸位置(A)が最上部にきたときの状態を図示してある。
このとき、カム円盤73の長軸位置(A)と当接している当接片74は、可動範囲内において最も右側に位置することとなる。
すなわち、図3(a)における導電性ブラシ50は、スプリングコイル75によって図中左方向に付勢されつつ、電子写真感光体11から見て、最も右側に位置した状態を示していると言える。
次いで、図3(b)は、図3(a)の状態から、カム円盤73が90°回転したときの状態を図示している。つまり、当接片74は、カム円盤73の長軸位置と短軸位置の中間位置(B)で当接していることとなる。したがって、当接片74は、可動範囲内の中心に位置することとなる。
すなわち、図3(b)における導電性ブラシ50は、スプリングコイル75によって図中左方向に付勢されつつ、電子写真感光体11から見て振動中心に位置した状態を示していると言える。
次いで、図3(c)は、図3(b)の状態から、更にカム円盤73が90°回転したときの状態を図示している。つまり、当接片74は、カム円盤73の短軸位置(C)で当接していることとなる。したがって、当接片74は、可動範囲内において最も左側に位置することとなる。
すなわち、図3(c)における導電性ブラシ50は、スプリングコイル75によって図中左方向に付勢されつつ、電子写真感光体11から見て最も左に位置した状態を示していると言える。
つまり、この図3(a)〜(c)の一連の作業を連続的に実施することで、導電性ブラシ50は、電子写真感光体11の軸方向に、所定の振幅で往復動することとなる。
ここで、導電性ブラシを往復動させたときの振幅の大きさと、帯電手段に付着した粒子の均一性と、の関係について説明する。
図4は、振幅の大きさを変えたときの帯電手段に付着した粒子の付着状態を示した特性図である。
この特性図において、横軸には、導電性ブラシの振幅S(mm)を採り、縦軸には、帯電手段の表面上に付着した粒子の均一性を採って示してある。
かかる特性図から理解できるように、往復動の振幅Sを大きくするほど、帯電手段の表面上に付着した粒子は均一化されていることが理解できる。つまり、振幅Sを大きくするほど、初期帯電電位が安定し、得られる画像特性は向上すると言える。
しかしながら、振幅Sを過度に大きくした場合には、電子写真感光体表面と導電性ブラシとの接触回数が過度に増加して感光体表面を摩耗させてしまう場合がある。更に、導電性ブラシの可動域が広がりすぎて、装置の小型化を阻害する場合がある。
また逆に、振幅を小さくした場合には、粒子の付着状態によっては、十分除去することができずに帯電ローラ上に粒子の付着ムラが生じる場合がある。
したがって、往復動の振幅Sの範囲としては、1.3〜5.0(mm)の範囲内の値とすることが好ましく、1.5〜3.0(mm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明に用いられる導電性ブラシは、図2に示すように、板状形状を有する導電性基材51と、この導電性基材51に植え付けられるように設けられた導電性ブラシ繊維52と、から構成され、その両端部にはそれぞれ当接片74及び付勢手段75を備えている。このように構成される導電性ブラシ50は、当接片74を介して往復動手段70と連結して往復動することにより、導電性ブラシ繊維52が、電子写真感光体表面に付着した粒子を均一に散して均一化させることができる。
このような導電性ブラシ50において、電子写真感光体11表面と直接接触する部材である導電性ブラシ繊維52の材料としては、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とすることが好ましい。
この理由は、このような導電性繊維を用いることで、摩擦による静電気を効率的に除去することができるとともに、均一化手段に電圧を印加した際に、この導電性ブラシ繊維が導線として機能し、転写メモリをより効果的に除去することができるためである。
また、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を調整するにあたり、カーボン等の導電性粒子の添加量を調整することにより、容易にその導電性を制御することができるためである。
この理由は、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗の値を過度に高くした場合には、転写メモリを消去するために高い電圧を印加する必要が生じ、導電性ブラシ繊維と感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、画像特性を低下させる場合があるためである。また、逆に、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を過度に低くした場合には、放電現象が生じにくくなり、転写メモリを十分消去しきれない場合が生じるためである。
したがって、かかる原糸抵抗の範囲としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましく、1×105〜1×109(Ω・cm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、このような範囲内の値とすることによって、感光体表面と接触した際の導電性ブラシ繊維の湾曲状態を所定範囲内に規定することができ、導電性ブラシと感光体との間の異常放電を効果的に防止することができるためである。
また、かかる毛足長さが2(mm)未満となった場合には、感光体のドラム径によっては、導電性ブラシの端部において、非接触領域が形成され、異常放電の発生原因となり得る。また逆に、7(mm)を超えたような場合には、導電性ブラシ繊維の湾曲部分が過度に長くなり、やはり異常放電の発生原因となり得る。
したがって、導電性ブラシ繊維における毛足長さとしては、3〜6(mm)の範囲内の値とすることがより好ましく、4〜5(mm)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、このような範囲内の値とすることにより、導電性ブラシ繊維相互の接触状態を規定することができ、導電性ブラシ繊維間における不均一な接触から生じる異常放電を防止できるためである。
この理由は、このような範囲内の値とすることにより、導電性ブラシ繊維と感光体との接触面積を所定値以上とすることができ、異常放電の発生を効果的に防止することができるためである。また、ブラシ繊維の原糸抵抗の値を、かかる単糸繊度の値を用いて制御することができ、より精度良くブラシ繊維の抵抗値を制御することができるためである。
また、本発明に係る導電性基材としては、導電性、及び十分な機械的強度を有するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ステンレス、銅、及びアルミニウム等の金属板を用いることが好ましく、特にステンレス板が好ましい。
この理由は、ステンレス板であれば、導電性、及び機械的強度において特に優れるため、導電性ブラシの変形を防止して、長期に渡り安定的な均一化効果が得られるためである。
次いで、この均一化手段2における付加的な機能として、上述したように、均一化手段2を導電性材料から構成することで、この均一化手段に転写メモリを消去する前帯電手段としての機能を付加する。
このような均一化手段2には、図1に示すように、電子写真感光体との間に所定電圧を印加するための電圧印加手段61が接続してある。
より具体的には、電圧印加手段61は、導電性ブラシ50を構成している導電性基体51に対して、導電性ブラシ50側が正極となるように電気的に接続してあり、転写手段15と逆極性が印加される構成となっている。
また、電圧印加手段61は、その均一化手段2の態様に合わせて、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、帯電飽和領域を広げて安定的な帯電特性を得るために、この直流成分に交流成分(AC)を重畳させた重畳電圧とすることもできる。
このとき、均一化手段2に適用される印加条件としては、導電性ブラシ50から感光体11に流れる電流の電流密度(Ib)を700(μA/m2)以上の値とすることができる。
ここで、図5に、感光体として正帯電の電子写真感光体を用いた場合の、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を表す特性図を示す。
この図5において、横軸は、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)を表し、縦軸は、転写メモリ電位(Vt)を表している。
すなわち、縦軸においては、上側にいく程、均一化手段により転写メモリが消去されていることを意味し、下側にいく程、均一化手段による転写メモリの消去が不十分であることを意味している。
また、図5中の曲線(A)〜(D)は、それぞれ原糸抵抗の異なる導電性ブラシ繊維を用いたときの特性曲線である。より具体的には、順に1×1012.5(Ω・cm)、1×1010.5(Ω・cm)、1×108.5(Ω・cm)、1×106.5(Ω・cm)の時の曲線を表している。
また、本発明において、転写メモリ電位(Vt)とは、連続印刷を実施した場合の、現像位置における感光体表面の表面電位の変化量として定義される。
より具体的には、感光体を連続的に回転させて白紙画像を印刷した場合に、第1周目のときの現像位置における感光体表面の表面電位を(V1)とし、第3周目のときの現像位置における感光体表面の表面電位を(V3)とした場合に、(V1)−(V3)で表される値として定義される。
また逆に、この電流密度(Ib)を過度に高くした場合には、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、帯電特性に不具合を生じさせる場合がある。
したがって、かかる電流密度(Ib)の範囲としては、700〜2000(μA/m2)の範囲内の値とすることが好ましく、1000〜1500(μA/m2)の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明において電流密度とは、電流値を1秒間当たりの印加面積で割ったものを意味している。すなわち、電流値I(A)の電流が、軸長L(mm)、外周速度D(mm/sec)で回転している感光体へ流れている場合、電流密度は、I/(L×D)(μA/m2)で表すことができる。
この特性図において、横軸は、導電性ブラシへの印加電圧(Vb)を表し、縦軸は、転写メモリ電位(Vt)を表している。
すなわち、図6は、図5における電流密度(Ib)を、特性曲線(A)〜(D)のそれぞれの原糸抵抗の値を用いて電圧に換算したものに相当する。
この図6から理解できるように、導電性ブラシの原糸抵抗の値が高いほど、転写メモリを消去するために高い電圧を印加する必要があると言える。特に、同じ印加電圧で比較した場合には、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗が1×1011(Ω・cm)を超えると、転写メモリ電位の消去が著しく不十分になることが分かる。
したがって、かかる原糸抵抗の範囲としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましく、1×105〜1×109(Ω・cm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
その一方で、かかる印加電圧(Vb)を過度に上げた場合には、導電性ブラシと感光体との間で異常放電が発生し、帯電特性に悪影響を与える場合がある。
したがって、かかる印加電圧(Vb)を、1100〜3000(V)の範囲内の値とすることが好ましく、1100〜2000(V)の範囲内の値とすることがより好ましい。
ここで、図7に、導電性ブラシとして所定の原糸抵抗を有する導電性ブラシ繊維を用いたときの、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を、転写手段15から注入される電流の電流密度(It)毎に表した特性図を示す。また、図7中の曲線(E)〜(G)は、転写手段から注入される電流の電流密度(It)が、順に、−395(μA/m2)、−316(μA/m2)、−237(μA/m2)のときの特性曲線を表している。
また、図8には、図7における横軸を、|Ib/It|に換算した特性図を示す。
これらの特性図から理解できるように、転写手段から注入される電流の電流密度(It)の絶対値が大きいほど、転写メモリ電位(Vt)は高く、更にいえば、|Ib/It|で表される値を2以上とした場合に、転写メモリ電位(Vt)は十分下がることが分かる。
すなわち、特性曲線(E)においては、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)の絶対値が790以上のときに、転写メモリ電位が下がっている。また、特性曲線(F)においてはIbの絶対値が632以上、特性曲線(G)においてはIbの絶対値が474以上で、それぞれ転写メモリが十分消去されていることが分かる。
また逆に、この電流密度(Ib)を過度に高くした場合には、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、帯電特性に不具合を生じさせる場合がある。
したがって、|Ib/It|で表される値を2.5〜8.0の範囲内の値とすることが好ましく、3.0〜6.0の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明において、感光体表面を所定電位に帯電させるための帯電手段は、接触式の帯電手段であることを特徴とする。
この接触式の帯電手段は、コロナ帯電のような非接触帯電式を採用した場合に比べて、小型であるとともに、コロナ帯電の際に発生するオゾン等の有害物質を発生させることもなく、対環境性に優れた帯電手段である。
しかしながら、電子写真感光体表面と直接接触する構成であることから、印刷後に電子写真感光体表面に不均一に残留している現像剤成分、例えば、酸化チタン等の外添剤などが、帯電部材の表面に不均一に付着して、帯電ムラを生じさせる場合がある。
そこで、本発明においては、所定の振幅で往復動する均一化手段を設けることにより、帯電手段として接触式の帯電手段を用いた場合であっても、帯電手段の前段階で、不均一に残留している粒子を均一にならすことができ、帯電ムラの発生を抑制することができる。
また、本発明に用いられる電子写真感光体は、単層型及び積層型のいずれも用いることができるが、単層型の電子写真感光体とすることが好ましい。
この理由は、積層型に比べて製造工程を簡素化することができるためである。また、帯電方式として、感光体表面をプラス極性に帯電させる正帯電方式を採用した場合であっても、帯電印加電圧として重畳電圧を用いた場合に生じる帯電飽和領域の狭小化という問題を解決し、安定的に電子写真感光体表面を帯電させることができるためである。
この理由は、初期帯電電位を所定値以上することで、画像ムラを抑制したまま、所望の画像濃度を得ることができるためである。
より具体的には、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)等の半導電性を有する極性ゴム(イオン導電系ゴム)や、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等にイオン導電剤を添加して半導電性を付与したイオン導電系ゴム等を用いる事ができる。このとき、体積固有抵抗としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましい。
また、均一化手段2には、この導電性ブラシ50と、電子写真感光体11表面と、の距離を変更することができる移動手段が設けてあることが好ましい。この理由は、このような移動手段を用いることで、導電性ブラシと感光体表面との押圧力を調整することができ、粒子の付着状態に応じて、導電性ブラシと電子写真感光体との接触状態を適宜調整することができるためである。
このとき、導電性ブラシの感光体表面に対する押圧力としては、0.1〜100(kgf/cm2)の範囲内の値とすることが好ましい。このような範囲内の値であれば、感光体の駆動に過剰な負荷をかけることなく、付着粒子を効果的に均一化させることができる。
また、本発明の別の態様は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、電子写真感光体の表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、帯電手段は接触式の帯電手段であるとともに、均一化手段は、電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含み、導電性ブラシは導電性基材及び導電性ブラシ繊維から構成され、導電性基材には、電子写真感光体との間に転写メモリを消去するための所定電圧を印加する電圧印加手段が接続してあり、かつ往復動の振幅を1(mm)以上の値とすることを特徴とする画像形成方法である。
以下、第1の実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2の実施形態の画像形成方法を実施するにあたり、図1に示すような画像形成装置10を好適に使用することができる。
ここで、図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略図であり、以下、その動作について、順を追って説明する。
まず、画像形成装置10の感光体11を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段12によって所定電位に帯電させる。
次いで、露光手段13により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、感光体11の表面を露光する。この露光により、感光体11の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段14により潜像現像が行われる。この現像手段14の内部にはトナーが収納されており、このトナーが感光体11表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙20は、所定の転写搬送経路に沿って、感光体下部まで搬送される。このとき、感光体11と転写手段15との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材20上にトナー像を転写することができる。
一方、トナー像転写後の感光体11はそのまま回転を続け、転写時に記録紙20に転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体11の表面から、本発明のクリーニング装置17によって除去される。
また、このクリーニング装置17で除去できなかった粒子、例えば酸化チタン等の外添剤としての無機微粒子は、均一化手段2によって均一にならされ、平坦化される。
また、感光体11の表面に残留した電荷は、除電器18からの除電光の照射によって完全に消去され、次の画像形成に供されることになる。
従って、本発明の画像形成装置を用いることで、帯電手段として接触帯電方式を採用した場合であっても、所定振幅で往復動する均一化手段を用いて、感光体表面に不均一に付着している粒子を均一にならすことで、優れた画像特性を長期に渡り維持することができる。
1.電子写真感光体の作成
電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニン2.7重量部と、正孔輸送剤としてスチルベンアミン化合物50重量部と、電子輸送剤としてアゾキノン系化合物35重量部と、結着樹脂として平均分子量30000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂100重量部と、テトラヒドロフラン700重量部と、を攪拌容器内に収容した後、ボールミルで50時間混合分散し、塗布液を作成した。次いで、得られた塗布液をアルマイト素管からなる導電性支持体上にディップコート法にて塗布した後、130℃、45分間の条件で熱風乾燥し、膜厚30μm、直径30mmの単層型電子写真感光体を得た。
また、導電性ブラシ繊維として、導電性ナイロンブラシ(単糸繊度6.2(デニール)、毛足長さ3mm、原糸抵抗1×108.5(Ω・cm))を用い、導電性基材としてステンレス板を用いた。
得られた感光体を、京セラミタ(株)製プリンタKM1500改造機に搭載するとともに、導電性ブラシを感光体表面に対してニップ幅5mm、毛先食い込み量0.5mmとなるように圧接させた。
次いで、電子写真感光体を外周速度110(mm/sec)の周速で回転させた後、この感光体表面と帯電手段との間に1200(V)の直流電圧を印加して、感光体表面を約400(V)に帯電させた。
次いで、転写手段と感光体表面との間に直流電圧を印加させて、転写手段から注入される電流の電流密度(It)を、−316(μA/m2)(電流値換算:−8(μA))、となるように調整した。
最後に、導電性ブラシに1000(V)の電圧を印加するとともに、振幅が1(mm)となるように調整して連続的に往復動させながら、記録紙50000枚を通紙して印字した。また、印字後、帯電ローラへの付着ムラを目視確認して、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
○:帯電ローラにおける付着ムラは全く見られない。
△:帯電ローラにおける付着ムラはやや見られるが、実使用上問題ない。
×:帯電ローラにおける付着ムラが顕著に見られる。
また、記録紙50000枚を通紙し印字して得られたグレー画像に対して、濃度ムラの発生を確認し、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
○:グレー画像における濃度ムラは全く見られない。
△:グレー画像における濃度ムラはやや見られるが、実使用上問題ない。
×:グレー画像における濃度ムラが顕著に見られる。
実施例2〜7では、導電性ブラシの振幅を1.5〜5.0(mm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例1では、導電性ブラシの往復動を停止させた以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例2では、導電性ブラシの振幅を0.5(mm)とした以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
また、比較例1においては、導電性ブラシを往復動させていないことから、電子写真感光体表面に不均一に残留している粒子が、不均一なままで帯電手段の表面に付着したことから、その画像評価において不良が見られた。
また、比較例2においては、導電性ブラシの振幅が小さかったため、電子写真感光体表面に不均一に残留している粒子が十分均一化されず、不均一なままで帯電手段の表面に付着したことから、その画像評価において不良が見られた。
したがって、本発明の画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法は、画像形成装置の高画質化、小型化等に寄与することが期待される。
Claims (8)
- 電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、前記電子写真感光体の表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、前記電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置において、
前記帯電手段は、接触式の帯電手段であるとともに、
前記均一化手段は、前記電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを前記電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含み、
前記導電性ブラシは導電性基材及び導電性ブラシ繊維から構成され、前記導電性基材には、前記電子写真感光体との間に転写メモリを消去するための所定電圧を印加する電圧印加手段が接続してあり、かつ前記往復動の振幅を1(mm)以上の値とすることを特徴とする画像形成装置。 - 前記往復動の振幅を2.0〜5.0(mm)の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記往復動手段は、前記電子写真感光体の端部に同心で結合されたドラムギアと、当該ドラムギアと噛合するスラストギアと、当該スラストギアと同心で結合され外側側面に傾斜面を有しているカム円盤と、前記導電性ブラシの一端に設けられ前記導電性ブラシを前記カム円盤の方向に向けて付勢する付勢手段と、一端が前記傾斜面と当接され他端が前記導電性ブラシに固定された当接片と、から構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を1×1011(Ω・cm)以下の値とすることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記導電性基材としてステンレス板を用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
- 前記電子写真感光体が単層型の電子写真感光体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段による前記電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、前記電子写真感光体の表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、前記電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、
前記帯電手段は接触式の帯電手段であるとともに、
前記均一化手段は、前記電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを前記電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含み、
前記導電性ブラシは導電性基材及び導電性ブラシ繊維から構成され、前記導電性基材には、前記電子写真感光体との間に転写メモリを消去するための所定電圧を印加する電圧印加手段が接続してあり、かつ前記往復動の振幅を1(mm)以上の値とすることを特徴とする画像形成方法。
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