JP5061599B2 - 並列多重型交直変換装置及び制御方法 - Google Patents

並列多重型交直変換装置及び制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数台の電力変換器が三相各相にそれぞれ並列に接続された並列多重変換器を備えた並列多重型交直変換装置及び制御方法に関する。
例えば、直流を交流に変換する電力変換器として、三相各相に対して複数台の変換器を並列に接続して並列多重変換器を構成したものがある。通常、三相各相に並列接続される変換器は定格容量が同じものであり、通常運転時においては各相の変換器の出力電流は同じである。
このような並列多重変換器のいずれかの変換器に故障等が発生すると、並列多重変換器を停止させ、故障した変換器を健全な変換器と交換するようにしている。この交換作業には、健全な変換器への現地取替作業や確認試験等が必要であり、通常、半日以上の時間が掛かるので、その間は電力変換器は停止となっている。
電力用途の大容量の並列多重変換器では、並列多重変換器を構成する変換器の点検を各アーム単位または各相単位で行うので数日間に亘ってシステム停止することもある。特に、電力分野では、故障時の復旧時間をできるだけ短縮したいという要望があるので、そのような長期間に亘って連続で並列多重変換器を停止できない場合は、各アーム単位または各相単位ごとに時間をおいて順次点検を実施しているのが現状である。
また、産業用の並列多重変換器や分散型電源用の並列多重変換器では、点検時は並列多重変換器を停止したり、あるいは並列多重変換器を停止した際にバイパス回路で給電するなどしているが、バイパス回路で給電する場合には商用電源から給電することとなり、並列多重変換器本来のメリットを維持することができない。
ここで、複数台の電力変換器の直流側を接続して電力の融通を行うシステムにおいて、1台の電力変換器が系統事故や変換器の故障等で停止しても、残りの健全な電力変換器で運転を継続できるようにしたものがある(特許文献1参照)。
特開平9−74769号公報
しかし、特許文献1のものでは予備の電力変換器を設ける必要がある。複数台の変換器を並列に接続して構成された並列多重変換器の故障や点検時の対策として、予備の変換器(例えば1相分)を用意することも考えられる。例えば、並列多重変換器を構成する変換器の故障や点検時に予備の変換器に切り替え、運転を継続するようにすることも考えられるが、そうすると、1台あたりの稼働率が低下するとともに変換器1台分のシステム容量が増えることになり、設置スペース等の制約を受けることになる。
さらに、通常、三相各相に並列接続される変換器は定格容量が同一のものであるので、所望の容量の並列多重変換器を構成することができない場合がある。例えば、変換器の単体の定格容量が50kVAである場合、3相分の定格容量として、各相1台の変換器を用いる場合は150kVAとなり、各相2台の変換器を用いる場合は300kVAとなる。同様に、変換器の単体の定格容量が200kVAである場合、3相分の定格容量として、各相1台の変換器を用いる場合は600kVAとなり、各相2台の変換器を用いる場合は1200kVAとなる。すなわち、設計の標準化、合理化から変換器の単体の定格容量の3の倍数の定格容量の製造が望まれており、変換器の単体の定格容量の3の倍数でない出力を得るには、部分負荷運転をすることになる。
変換器を部分負荷で運転すると、変換器の効率が低下するという課題があり、部分負荷でも効率が低下しない変換器が求められていた。例えば、風力発電、太陽光発電などに適用する変換器においては、部分負荷運転の頻度が高い。このため、出力が変動しても効率のよい発電が継続できれば、再生可能エネルギーを有効利用することになり、CO排出削減につながる。その結果、地球温暖化を防ぐことも期待できる。
本発明の目的は、並列多重変換器のいずれかの変換器が故障停止した場合であっても運転を継続でき、また出力が変動しても効率を下げることなく運転できる並列多重型交直変換装置及び制御方法を提供することである。
請求項1の発明に係わる並列多重型交直変換装置は、定格容量が同一のもの及び異なるものを含んだ複数個の電力変換器を組み合わせて三相各相にそれぞれ並列に接続して形成された並列多重変換器と、前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が平衡三相電流を保持するように前記並列多重変換器の三相各相に接続された変換器の運転台数または変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御する変換器制御装置とを備え、前記変換器制御装置は、三相各相の変換器の運転台数または変換器の出力電圧の位相または大きさを調整制御するにあたり前記変換器の効率変動を極力抑制することを特徴とする。
請求項2の発明に係わる並列多重型交直変換装置は、請求項1の発明において、前記並列多重変換器のいずれかの変換器が故障停止したことを検出する故障検出器を設け、前記変換器制御装置は、前記故障検出器が故障停止した変換器を検出したときは、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値を超えるか否かを判定し、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値以下であるときは、前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が故障前の電流を保持するように前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して故障停止した変換器を除いた健全な変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御することを特徴とする。
請求項3の発明に係わる並列多重型交直変換装置は、請求項2の発明において、前記変換器制御装置は、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値を超えるときは、故障停止した変換器を除いた健全な変換器の各々の出力電流の大きさが所定の制限値を超えない範囲内で前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して出力電流の位相または大きさを調整制御することを特徴とする。
請求項4の発明に係わる並列多重型交直変換装置は、請求項2または3の発明において、前記変換器制御装置は、故障停止した変換器が接続された相の健全な変換器の出力電流の大きさを大きくするとともに、故障停止した変換器が接続された相の位相を健全時と同一位相とすることを特徴とする。
請求項5の発明に係わる並列多重型交直変換装置の制御方法は、複数台の電力変換器が三相各相にそれぞれ並列に接続され三相交流電力を供給する並列多重型交直変換装置の制御方法において、前記並列多重型変換器の現在の出力電力を検出し、前記並列多重変換器のいずれかの変換器が故障停止したか否かを判定し、前記変換器のいずれも故障停止していないときは前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が所定電流となるように前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して三相各相の運転台数または変換器の出力電圧の位相または大きさを調整制御し、前記変換器のいずれかが故障停止したときは前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値を超えるか否かを判定し、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値以下であるときは前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が故障前の電流を保持するように前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して故障停止した変換器を除いた健全な変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御し、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値を超えるときは故障停止した変換器を除いた健全な変換器の各々の出力電流の大きさが所定の制限値を超えない範囲内で前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して出力電流の位相または大きさを調整制御することを特徴とする
請求項6の発明に係わる並列多重型交直変換装置の制御方法は、請求項5の発明において、前記健全な変換器が過負荷運転を許容するときは、所定の制限値を超えない範囲内で前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して出力電流の位相または大きさを調整制御することに代えて、前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が故障前の電流を保持するように前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して前記健全な変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御することを特徴とする。
請求項7の発明に係わる並列多重型交直変換装置の制御方法は、請求項5または6の発明において、前記変換器のいずれかが故障停止したとき、前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が故障前の所定電流を保持するように故障停止した変換器を除いた健全な変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御するにあたり、故障停止した変換器が接続された相の健全な変換器の出力電流の大きさを大きくするとともに、故障停止した変換器が接続された相の位相を健全時と同一位相とすることを特徴とする。
本発明によれば、定格容量が同一または異なる変換器を三相各相に接続して並列多重変換器を形成し、並列多重変換器の三相各相の出力線電流が平衡三相電流を保持するように、三相各相に接続された変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御するので、出力が変動しても効率を下げることなく運転できる並列多重変換器を構成することができる。
また、並列多重変換器の1台の変換器が故障停止になってもその他の健全な変換器で分担して運転するので、予備の変換器を設けることなく、並列多重変換器の出力電流を健全時の電流にほぼ維持できる。また、予備の変換器を設置する必要がなくなり設置スペースを縮小できる。さらに、並列多重変換器を停止することなく点検ができるので信頼性が向上し、設備の予防保全やシステム故障率を低下できる。
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる並列多重型交直変換装置の構成図である。並列多重変換器11は、三相各相に対してそれぞれ複数台の変換器12が設けられる。三相各相に対して並列接続される変換器12の台数は、同じ台数もしくは三相各相の少なくともいずれか1相は異なる台数が並列接続される。図1では三相各相のU相、V相、W相に対して、それぞれ2台の変換器12が設けられた場合を示している。すなわち、U相には変換器12U1、12U2が設けられ、V相には変換器12V1、12V2が設けられ、W相には変換器12W1、12W2が設けられている。また、変換器12U1〜12W2は、定格容量が同一のものまたは異なるものが組み合わせて接続される。
図2は、変換器12の一例を示す回路構成図である。変換器12は、例えば絶縁ゲート形半導体素子である4個のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュール13を直並列に接続して構成され、直流電源14からの直流電力を交流電力に変換して巻線15に出力するようになっている。
そして、図1に示すように、変換器12の巻線15を変圧器16の一次巻線に磁気結合させ、三相各相に2個ずつ並列に配置する。これにより、変圧器16の各々の一次巻線からは、各相につき並列接続された2個の変換器12の出力電流が出力される。図1では、変圧器16の一次巻線はΔ結線である場合を示している。
変換器制御装置18は、各々の変換器12U1〜12W2を制御するものであり、三相各相の変換器12U1〜12W2の運転台数を一定または変更して、並列多重変換器の三相各相の出力線電流が平衡三相電流となるように、変換器12U1〜12W2の電流指令値及び位相指令値を演算する。
変換器制御装置18には、出力電力検出器23で時々刻々検出される並列多重型変換器11の現在の出力電力が更新記憶され、並列多重型変換器11の現在の出力電力と予め定められた所定値とを比較し、並列多重型変換器11の現在の出力電力が所定値を超えるか否かを判定する。ここで、所定値は変換器12が過負荷運転とならないときの並列多重型変換器11の出力電力である。
一方、設定器24には、過負荷運転を許容する旨、過負荷運転する際の変換器12の出力電流の上限値、過負荷運転を許容しない場合の変換器12の出力電流の上限値等が設定される。変換器制御装置18は、過負荷運転を許容する場合には、変換器の各々の出力電流の大きさがその上限値を超えないように、また、過負荷運転を許容しない場合には、変換器の各々の出力電流の大きさがその過負荷運転時の上限値を超えないように、並列多重変換器11の電流指令値及び位相指令値を演算する。
変換器制御装置18で演算された変換器12U1〜12W2の電流指令値及び位相指令値はゲート制御回路26に入力され、ゲート制御回路26は、変換器制御装置18からの電流指令値及び位相指令値を満たすように変換器12U1〜12W2にゲート信号を出力する。
このように、変換器制御装置18は三相各相の変換器12U1〜12W2の運転台数を一定または変更した場合の電流指令値及び位相指令値を出力するので、三相各相の変換器12U1〜12W2の出力電流や位相は不平衡となることがあるが、変換器制御装置18は並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wが平衡三相電流となるように調整制御するので、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wは平衡三相電流となる。
図3は本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器11の三相各相の変換器12の台数が同一で定格容量も同一である場合の並列多重変換器11の出力電流の一例を示す出力電流ベクトル図である。図3(a)に示すように、変圧器16の一次巻線はΔ結線されるので、並列多重変換器11の各相の変換器出力電流はΔ電流であり、通常運転時においては、並列多重変換器11のU相の変換器12U1、12U2の出力電流U1、U2、V相の変換器12V1、12V2の出力電流V1、V2、W相の変換器12W1、12W2の出力電流W1、W2は、それぞれ大きさが同じであり、並列多重変換器11のU相、V相、W相の変換器出力電流は、それぞれ120°の位相差を持つ三相平衡電流を維持している。
また、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流であるU相、V相、W相の出力電流U、V、Wも、図3(b)に示すように、それぞれ120°の位相差を持つ三相平衡電流を維持している。すなわち、U相の出力線電流は並列多重変換器11のU相の変換器出力電流とW相の変換器出力電流とのベクトル差、V相の出力線電流はV相の変換器出力電流とU相の変換器出力電流とのベクトル差、W相の出力線電流はW相の変換器出力電流とV相の変換器出力電流とのベクトル差で示される。
この状態で、並列多重変換器11の変換器12U1〜W2の運転台数を一定としたままで並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを小さく変更する場合を考える。
図4は、変換器12の運転台数を一定としたままで並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が小さな平衡三相電流となるように並列多重変換器11の相電流を調整した場合の一例を示す出力電流ベクトル図であり、図4(a)は変換器12の運転台数を一定としたままで並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が小さな平衡三相電流となるように変換器12の出力電流の大きさを調整制御した場合の出力電流ベクトル図、図4(b)は変換器12の運転台数を一定としたままで並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が小さな平衡三相電流となるように変換器12の出力電流及び位相を調整制御した場合の出力電流ベクトル図である。
図4(a)では、図3(b)に示す並列多重変換器11の三相各相の各々の変換器12のいずれか一つの変換器12の出力電流の大きさを調整して、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを変更した場合を示している。すなわち、並列多重変換器11のU相については変換器12U2の出力電流をU2からu2とし、V相については変換器12V2の出力電流をV2からv2とし、W相については変換器12W2の出力電流をW2からw2として、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを変更する。
一方、図4(b)は、図3(b)に示す並列多重変換器11の三相各相のいずれか一相の変換器12の出力電流の大きさを調整するとともに、二相の変換器12の出力電流の大きさは一定のままで位相を調整して、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを変更した場合を示している。すなわち、並列多重変換器11のW相については変換器12W1、12W2の出力電流を小さく変更し、U相及びV相については変換器12U1(12V1)、12U2(12V2)の出力電流は一定とし、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wが三相平衡電流を維持するように、U相及びV相の位相を変更する。
この場合、図4(b)に示すように、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流や位相は不平衡となっているが、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wは平衡三相電流となる。このように、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wが平衡三相電流となる限りは、並列多重変換器11の三相各相の変換器出力電流や位相が不平衡となる運転を許容し、並列多重変換器11の三相の出力電流U、V、Wの変更を可能としている。これにより、所望の容量の並列多重変換器を構成することができる。
図5は本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器11の三相各相の変換器の台数が同じで定格容量が異なる場合の並列多重変換器11の出力電流の一例を示す出力電流ベクトル図である。図5(a)は通常運転時の出力電流ベクトル図、図5(b)は変換器12の運転台数を変更して並列多重変換器11の三相各相の出力線電流を小さな平衡三相電流となるように変換器の出力電流の大きさを調整制御した場合の出力電流ベクトル図である。
図5(a)に示すように、三相各相の変換器12の台数はそれぞれ2台で同じであるが、W相の2台の変換器の定格容量は、U相及びV相の変換器の定格容量の1/2であるものを用いている。従って、通常運転時においては、並列多重変換器11のU相の変換器12U1、12U2の出力電流U1、U2、V相の変換器12V1、12V2の出力電流V1、V2はそれぞれ同じであるが、W相の変換器12W1、12W2の出力電流W1、W2は、U相及びV相の変換器の出力電流の1/2となっている。このため、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流や位相は不平衡となっている。
なお、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流や位相は不平衡であるが、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wは平衡三相電流となるように調整されている。従って、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流であるU相、V相、W相の出力電流U、V、Wはそれぞれ120°の位相差を持つ三相平衡電流を維持している。このように、通常運転時においても、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wが平衡三相電流となる限りは、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流や位相が不平衡となる運転を許容している。
この状態で、並列多重変換器11の変換器12U1〜W2の運転台数を変更して、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを小さく変更する場合を考える。図5(b)は、並列多重変換器11のU相及びV相の変換器U2、V2を停止または出力電流を0として、並列多重変換器11のU相及びV相出力電流の大きさを調整し、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを変更した場合を示している。すなわち、並列多重変換器11のW相については変換器12W1、12W2の出力電流をそのままとし、U相及びV相については変換器12U2(12V2)の出力電流が0となるようにし、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wが三相平衡電流を維持するように、U相及びV相の位相を変更する。これにより、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを小さく変更できる。
以上の説明では、三相各相に対して同じ台数の変換器12が並列接続された場合について説明したが、三相各相の少なくともいずれか1相は異なる台数の変換器12が並列接続された場合に同様である。
図6は本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器11の三相各相の変換器の台数が異なり定格容量も異なる場合の並列多重変換器11の出力電流の一例を示す出力電流ベクトル図である。
図6(a)に示すように、三相各相の変換器12の台数が異なり、U相及びV相には3台の変換器12U1、U2、U3(12V1、V2、V3)が接続され、W相には2台の変換器12W1、12W2が接続されている。また、W相の2台の変換器12W1、12W2の定格容量は、U相の変換器12U3及びV相の変換器12V3の定格容量と同じであり、U相の変換器12U1、12U2及びV相の変換器12V1、12V2の定格容量は、W相の変換器12W1、12W2の定格容量の1/2であるものを用いている。通常運転時においては、並列多重変換器11のU相、V相、W相の変換器出力電流は、それぞれ120°の位相差を持つ三相平衡電流を維持している。
また、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流であるU相、V相、W相の電流U、V、Wも、図6(b)に示すように、それぞれ120°の位相差を持つ三相平衡電流を維持している。すなわち、U相の出力電流は並列多重変換器11のU相の変換器出力電流とW相の変換器出力電流とのベクトル差、V相の出力電流はV相の変換器出力電流とU相の変換器出力電流とのベクトル差、W相の出力電流はW相の変換器出力電流とV相の変換器出力電流とのベクトル差で示される。
この状態で、並列多重変換器11の変換器12の運転台数を一定としたままで並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを小さく変更する場合を考える。
図7は、変換器12の運転台数を一定としたままで並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が小さな平衡三相電流となるように並列多重変換器11の変換器出力電流を調整した場合の他の一例の出力電流ベクトル図であり、図7(a)は変換器12の運転台数を一定としたままで並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が小さな平衡三相電流となるように変換器の出力電流の大きさを調整制御した場合の出力電流ベクトル図、図7(b)は変換器12の運転台数を一定としたままで並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が小さな平衡三相電流となるように変換器の出力電流及び位相を調整制御した場合の出力電流ベクトル図である。
図7(a)では、図6(b)に示す並列多重変換器11の三相各相の各々の変換器12のいずれか一つの変換器12の出力電流の大きさを調整して、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを変更した場合を示している。すなわち、並列多重変換器11のU相については変換器12U3の出力電流をU3からu3とし、V相については変換器12V3の出力電流をV3からv3とし、W相については変換器12W2の出力電流をW2からw2として、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを変更する。
一方、図7(b)は、図6(b)に示す並列多重変換器11の三相各相のいずれか一相の変換器12の出力電流の大きさを調整するとともに、二相の変換器12の出力電流の大きさは一定のままで位相を調整して、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを変更した場合を示している。すなわち、並列多重変換器11のW相については変換器12W1、12W2の出力電流を小さく変更し、U相及びV相については変換器12U1(12V1)、12U2(12V2)、12U3(12V3)の出力電流は一定とし、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wが三相平衡電流を維持するように、U相及びV相の位相を変更する。
図8は本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器11の三相各相の変換器の台数が異なり定格容量も異なる場合の並列多重変換器11の出力電流の他の一例を示す出力電流ベクトル図である。図8(a)は通常運転時の出力電流ベクトル図、図8(b)は変換器12の運転台数を変更して並列多重変換器11の三相各相の出力線電流を小さな平衡三相電流となるように変換器の出力電流の大きさを調整制御した場合の出力電流ベクトル図である。
図8(a)に示すように、三相各相の変換器12の台数が異なり、U相及びV相には3台の変換器12U1、U2、U3(12V1、V2、V3)が接続され、W相には2台の変換器12W1、12W2が接続されている。また、W相の2台の変換器12W1、12W2の定格容量は、U相の変換器12U1、12U2及びV相の変換器12V1、12V2の定格容量と同じであり、U相の変換器12U3及びV相の変換器12V3の定格容量の1/2であるものを用いている。
通常運転時においては、並列多重変換器11のU相、V相、W相の変換器出力電流は、三相不平衡電流であるが、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流であるU相、V相、W相の出力電流U、V、Wはそれぞれ120°の位相差を持つ三相平衡電流を維持している。このように、通常運転時においても、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wが平衡三相電流となる限りは、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流や位相が不平衡となる運転を許容している。
この状態で、並列多重変換器11の変換器12の運転台数を変更して、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流U、V、Wの大きさを小さく変更する場合を考える。図8(b)は、並列多重変換器11のU相及びV相の変換器U3、V3を停止または出力電流を0として、並列多重変換器11のU相及びV相出力電流の大きさを調整し、並列多重変換器11の三相の出力電流U、V、Wの大きさを変更した場合を示している。すなわち、並列多重変換器11のW相については変換器12W1、12W2の出力電流をそのままとし、U相及びV相については変換器12U3(12V3)の出力電流が0となるようにし、並列多重変換器11の三相の出力電流U、V、Wが三相平衡電流を維持するように、U相及びV相の位相を変更する。これにより、並列多重変換器11の三相の出力電流U、V、Wの大きさを小さく変更できる。
以上の説明では、平衡三相電流を小さくする場合について説明したが、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流や位相が不平衡となる調整操作を行い、過負荷運転の上限値を超えない範囲で平衡三相電流の値を三相各相の変換器の運転台数の変更前の値と同じ値に保持するようにしてもよい。
また、並列多重型交直変換装置に接続される負荷や系統が不平衡三相電流を必要とする場合には、不平衡三相電流を発生させることも可能である。この場合、不平衡三相電流を発生させるのに必要とする最小限の台数の変換器のみを用いて行うことにより、高効率運転を維持しながら不平衡三相電流を発生できる。
以上の説明では、三相各相の出力電流の大きさを下げた場合について説明したが、三相各相の出力線電流を変えずに各変換器の台数や位相などを変更することにより、定格出力を維持することもできる。
また、出力線電流を平衡三相状態に維持する条件の中で、三相各相の変換器の出力電流ベクトルの位相と大きさを自由自在に変えることもできる。さらに、三相各相の変換器の出力電流ベクトルの位相と大きさを自由自在に変えることで、三相各相の出力線電流の電流ベクトルの位相と大きさを自由自在に変えることもできる。これにより、高効率運転を維持しながら所望の三相平衡あるいは三相不平衡の出力線電流を得ることができる。
次に、各相の変換器12の運転台数を変更した場合の損失について説明する。図9は、各相の各々の変換器12が4台ずつ設けられ、合計12台の変換器12を有した並列多重型交直変換装置11の出力電力(p.u.)と損失(%)との関係を示すグラフである。折れ線L1は従来方式(運転台数を3の倍数のみ選んで出力電流を調整する方式)の場合の特性、折れ線L2は本発明の場合の特性を表している。図9中の折れ点での数値は変換器の運転台数を示している。
表1は従来方式での折れ線L1の各折れ点における変換器の運転台数、出力電力(p.u.)及び損失(%)を示す表である。
Figure 0005061599
また、表2は本発明の方式での折れ線L2の各折れ点における変換器の運転台数、出力電力(p.u.)及び損失(%)を示す表である。
Figure 0005061599
いま、各相の4台の変換器12(12台運転の場合)が4台とも最大出力(出力電力が1.00p.u.)であるとし、変換器12を最大出力で運転した場合の並列多重型交直変換装置11の変換器12の損失は、表1及び表2に示すように約1.08%であるとする。
そうすると、各相の変換器12が同じ台数でしかも最大出力で運転されている場合は、並列多重型交直変換装置11の変換器12の損失は、従来方式のときも本発明のときもいずれの場合も約1.08%で同じある。
すなわち、各相の1台の変換器12(3台運転の場合)が最大出力で運転されている場合、各相の2台の変換器12(6台運転の場合が最大出力で運転されている場合)、各相の3台の変換器12(9台運転の場合)が最大出力で運転されている場合は、並列多重型交直変換装置11の変換器12の損失はいずれの場合も約1.08で同じある。
次に、例えば、出力電力を0.82 p.u.としたい場合、従来方式では各相の4台(12台運転)の出力を最大出力の0.82倍に下げて運転することになり、損失は約1.24%に増加する。一方、本発明方式では合計が3の倍数以外の台数でも運転できるので、U相の4台、V相の3台、W相の3台(10台運転)を最大出力を1 p.u.に保ちながら運転すれば、損失は約1.08%からほとんど変動しない約1.10%となる。このように、三相各相の運転台数または変換器の出力電流の位相もしくは大きさを変更しても変換器の効率変動を極力抑制することができる。
本発明の第1の実施の形態によれば、定格容量が同一または異なる変成器12を三相各相に接続して並列多重変換器11を形成し、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が平衡三相電流を保持するように、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流や位相が不平衡となる運転を許容して、三相各相に接続された変換器12の出力電流の位相または大きさを調整制御するので、並列多重変換器11は、変換器12の定格容量の制約を受けることなく所望の容量とすることができる。また、経年変化等により容量が低下した変換器12に対して、他の健全な変換器12により出力電流の一部を肩代わりすることも可能である。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図10は本発明の第2の実施の形態に係わる並列多重型交直変換装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、故障検出器17を設け、変換器制御装置18は、故障検出器17が故障停止した変換器12を検出したときは並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が故障前の電流を保持するように故障停止した変換器12を除いた健全な変換器12の出力電流の大きさまたは位相を調整制御するようにしたものである。
図10において、並列多重変換器11は、三相各相に対してそれぞれ複数台の変換器12が設けられる。図10では三相各相のU相、V相、W相に対して、それぞれ2台の変換器12が設けられた場合を示している。すなわち、U相には変換器12U1、12U2が設けられ、V相には変換器12V1、12V2が設けられ、W相には変換器12W1、12W2が設けられている。なお、変換器12は第1の実施の形態と同様に図2に示したものである。
そして、図10に示すように、変換器12の巻線15を変圧器16の一次巻線に磁気結合させ、三相各相に2個ずつ並列に配置する。これにより、変圧器16の各々の一次巻線からは、各相につき並列接続された2個の変換器12の出力電流が出力される。図10では、変圧器16の一次巻線はΔ結線である場合を示している。
また、並列多重変換器11の各々の変換器12U1〜12W2のいずれかが故障停止したことを検出する故障検出器17が設けられており、この故障検出器17で検出された変換器12U1〜12W2の故障停止信号は変換器制御装置18に入力される。
変換器制御装置18は、各々の変換器12U1〜12W2を制御するものであり、正常時指令値演算手段19及び故障停止時指令値演算手段20を有する。正常時指令値演算手段19は、各々の変換器12U1〜12W2が三相交流の所定電流を出力するように電流指令値及び位相指令値を演算する。
一方、故障停止時指令値演算手段20は故障停止判定手段21により起動され、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が健全時の電流を極力維持するように、故障停止した変換器12を除いた健全な変換器12の電流指令値及び位相指令値を演算する。この場合、故障停止時指令値演算手段20は、健全な変換器12の運転が過負荷運転となるかどうかを判定し、過負荷運転を許容しているときは、三相各相の出力線電流が健全時の電流となるような電流指令値及び位相指令値を出力し、過負荷運転を許容していないときは、健全な変換器12の各々の出力電流の大きさが所定の制限値を超えない範囲内での電流指令値及び位相指令値を出力する。
すなわち、変換器制御装置18の記憶部22には、出力電力検出器23で時々刻々検出される並列多重型変換器11の現在の出力電力が更新記憶され、故障停止時指令値演算手段20は、並列多重型変換器11の現在の出力電力と予め定められた所定値とを比較し、並列多重型変換器11の現在の出力電力が所定値以下であるときは、並列多重変換器11の三相各相の出力線電流が故障前の電流を保持するように健全な変換器12の電流指令値及び位相指令値を出力する。ここで所定値は、健全な変換器12が過負荷運転とならないときの並列多重型変換器11の出力電力である。
設定器24には、過負荷運転を許容する旨、過負荷運転する際の健全な変換器12の出力電流の上限値、過負荷運転を許容しない場合の健全な変換器12の出力電流の上限値等が設定される。
故障停止判定手段21は、故障検出器17により故障停止した変換器12が検出されたときは、故障停止した変換器12を識別し、故障停止時指令値演算手段20を起動するとともに切換手段25を起動する。切換手段25は、正常時においては、正常時指令値演算手段19の出力を選択してゲート制御回路26に出力し、故障検出器17により故障停止した変換器12が検出されたときは、故障停止時指令値演算手段20の出力を選択する。ゲート制御回路26は、切換手段25からの電流指令値及び位相指令値を満たすように変換器12U1〜12W2にゲート信号を出力する。
これにより、並列多重変換器11の各々の変換器12U1〜12W2が正常であるときは、正常時指令値演算手段19からの電流指令値及び位相指令値により各々の変換器12U1〜12W2は制御され、一方、並列多重変換器11の各々の変換器12U1〜12W2のいずれかが故障停止したときは、故障停止時指令値演算手段20からの電流指令値及び位相指令値により各々の変換器12U1〜12W2は制御される。
図11は、並列多重変換器11のいずれか1台の変換器12が故障停止したときの並列多重変換器11の出力電流ベクトル図であり、図11(a)は並列多重変換器11の各々の変換器12U1〜12W2が正常である場合の各相の変換器出力電流の出力電流ベクトル図、図11(b)は並列多重変換器11の変換器12W2が故障停止し、残りの健全な変換器12U1〜12W1で出力を分担した場合の各相の変換器出力電流の出力電流ベクトル図である。
また、図12は、並列多重変換器11のいずれか1台の変換器12が故障停止したときの変圧器16の一次巻線の出力線電流ベクトル図であり、図12(a)は並列多重変換器11の各々の変換器12U1〜12W2が正常である場合の各相の出力電流の出力電流ベクトル図、図12(b)は並列多重変換器11の変換器12W2が故障停止し、残りの健全な変換器12U1〜12W1で出力を分担した場合の各相の出力電流の出力電流ベクトル図である。
図12(a)に示すように、並列多重変換器11の各々の変換器12U1〜12W2が正常である場合には、U相の変換器12U1、12U2の出力電流U1、U2、V相の変換器12V1、12V2の出力電流V1、V2、W相の変換器12W1、12W2の出力電流W1、W2は、それぞれ大きさが同じであり、120°の位相差を持つ三相平衡電流を維持している。また、図12(a)に示すように、変圧器16の一次巻線のU相、V相、W相の出力線電流もそれぞれ120°の位相差を持つ三相平衡電流を維持している。
この状態で、並列多重変換器11の変換器12W2が故障停止したとすると、W相の変換器12W2の出力電流が零となる。そこで、故障停止したW相の変換器12W2を除いた健全な変換器12U1〜12W1の出力電流U1〜W1の位相または大きさを調整制御して、三相各相の出力線電流が健全時の電流を保持するように制御する。
図12(b)に示すように、残りの健全な変換器12U1〜12W1で出力を分担した場合、変換器出力電流は不平衡状態であるが、図12(b)に示すように、変圧器16の一次巻線のU相、V相、W相の出力線電流は三相平衡電流となる。図12(b)では、健全な変換器12U1〜12W1の各々の出力電流u1〜w1の大きさを同一とし、故障停止した変換器12W2が接続されたW相の位相を健全時と同一位相とした場合を示している。
図13は、健全な変換器12U1〜12W2の出力電流U1〜W2の位相または大きさの調整制御についての説明図である。いま、図13に示すように、健全な変換器12U1〜12W2の分担前の各々の出力電流をU1〜W2、並列多重変換器11の三相の出力電流の出力端をA、B、C、分担後の健全な変換器12U1〜12W1の各々の出力電流をu1〜w1、並列多重変換器11の三相の出力電流の出力端をA、B’、C’とする。そして、U1=U2=V1=V2=W1=1、∠BAB’=θ、AB=BC=CA=a、u1=u2=v1=v2=w1=bとする。そうすると、△BCC’に対する余弦定理より下記の(1)式が成立する。
(2b)=(2−b)+2−4(2−b)cos(120°) …(1)
(1)式からbを求めると、b>0であるから(2)式が得られる。
b=√5−1=1.24 …(2)
また、△CBC’に対する余弦定理より下記の(3)式が成立する。
(2−b)=2+4b−8bcosθ …(3)
(3)式に(2)式を代入してθを求めると(4)式が得られる。
θ=±15.5° …(4)
以上のことから、健全な変換器12U1〜12W1で故障した変換器W1の出力を分担するには、健全な変換器12U1〜12W1の出力電流の大きさを1.24倍にし、故障相であるW相以外のU相、V相の位相を15.5°ずらせばよいことになる。以上の説明では、各相の変換器12が2台の場合について説明したが、各相の変換器12が3台の場合も同様に適用できる。この場合、各相の変換器12の多重数を増やすことにより、1台の変換器12の故障停止時に残りの健全な変換器12が負担する電流が緩和できる。
ここで、故障停止した変換器12を除いた健全な変換器12の各々の出力電流の大きさを同一とし、故障停止した変換器12が接続された相の位相を健全時と同一位相としたが、健全な変換器12の各々の出力電流が確保でき、三相各相の出力線電流が健全時の電流を確保できる限りは、その範囲内で、健全な変換器12の各々の出力電流の大きさを任意の値とするようにしてもよい。
図14は本発明の第2の実施の形態に係わる並列多重型交直変換装置の制御方法を示すフローチャートである。出力電力検出器23で検出された並列多重変換器11の出力電力を入力し、記憶部22に更新記憶する(S1)。そして、並列多重変換器11のいずれかの変換器12は故障停止したか否かを判定し(S2)、いずれの変換器12も故障停止していないときは、正常時指令値演算手段19で正常時の電流指令値及び位相指令値を演算し(S3)、その正常時の電流指令値及び位相指令値に基づいて並列多重変換器11を制御する(S4)。
一方、ステップS2の判定で、並列多重変換器11のいずれかの変換器12が故障停止していると判定されたときは、更新記憶している現在の並列多重変換器11の出力電力が所定値以上か否かを判定する(S5)。そして、所定値以上であるときは、故障停止した変換器12を除く健全な変換器12の過負荷運転が許容されているか否かを判定し(S6)、過負荷運転が許容されているときは、故障停止時指令値演算手段20は、故障停止前の出力電力を維持する電流指令値及び位相指令値を演算する(S7)。そして、ステップS7で求めた電流指令値及び位相指令値に基づいて並列多重変換器11を制御する(S8)。
ステップS6の判定で、過負荷運転が許容されていないときは、健全な変換器12が過負荷運転とならない範囲で出力電力を下げた故障停止時の電流指令値及び位相指令値を演算し(S9)、ステップS9で求めた電流指令値及び位相指令値に基づいて並列多重変換器11を制御する(S8)。また、ステップS5の判定で、現在の並列多重変換器11の出力電力が所定値以上でないときは、故障停止前の出力電力を維持する電流指令値及び位相指令値を演算し(S7)、その電流指令値及び位相指令値に基づいて並列多重変換器11を制御する(S8)。
本発明の第2の実施の形態によれば、並列多重変換器11の1台の変換器12が故障停止になってもその他の健全な変換器12で出力を分担するので、健全時の電流をほぼ維持した運転の継続ができる。従って、直流送電系統に適用した場合には送電停止に伴う系統への影響を与えることがなく信頼性を確保できる。また、産業用のインバータに適用した場合には、インバータ停止に伴う製造不良の発生を防止でき、原子力発電所等の補機で使用した場合には、インバータ停止に伴う発電機の不要な停止を防止できる。
また、予備の変換器を設置することなく運転継続することができるので、並列多重変換器の設置スペースを縮小できる。なお、事故前と同じ定格出力する場合には、半導体素子に多少の冗長が必要であるが、設置スペースに影響を与えるほどではない。また、変換器を停止することなく点検ができるため信頼性が向上し、設備の予防保全だけでなく、システムの故障率も低下させることができる。
以上のとおり、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態において、任意の台数、任意の容量を組み合わせても、三相各相の出力線電流を平衡三相にすることができるため、変換器設計の標準化や合理化の制約を打破することができる。
本発明の第1の実施の形態に係わる並列多重型交直変換装置の構成図。 本発明の第1の実施の形態における単位変換器の一例を示す回路構成図。 本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器の三相各相の変換器の台数が同一で定格容量も同一である場合の並列多重変換器の出力電流の一例を示す出力電流ベクトル図。 本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器の三相各相の変換器の運転台数を一定としたままで並列多重変換器の三相各相の出力線電流が小さな平衡三相電流となるように並列多重変換器の変換器出力電流を調整した場合の出力電流ベクトル図。 本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器の三相各相の変換器の台数が同じで定格容量が異なる場合の並列多重変換器の出力電流の一例を示す出力電流ベクトル図。 本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器の三相各相の変換器の台数が異なり定格容量も異なる場合の並列多重変換器の出力電流の一例を示す出力電流ベクトル図。 本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器の三相各相の変換器の運転台数を一定としたままで並列多重変換器の三相各相の出力線電流が小さな平衡三相電流となるように並列多重変換器の変換器出力電流を調整した場合の他の一例を示す出力電流ベクトル図。 本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器の三相各相の変換器の台数が異なり定格容量も異なる場合の並列多重変換器の出力電流の他の一例を示す出力電流ベクトル図。 本発明の第1の実施の形態における並列多重変換器の各相の各々の変換器が4台ずつ設けられ、合計12台の変換器を有した並列多重型交直変換装置の出力電力(p.u.)と損失(%)との関係を示すグラフ。 本発明の第2の実施の形態に係わる並列多重型交直変換装置の構成図。 本発明の第2の実施の形態における並列多重変換器のいずれか1台の変換器が故障停止したときの並列多重変換器の出力電流ベクトル図。 本発明の第2の実施の形態における並列多重変換器のいずれか1台の変換器が故障停止したときの変圧器の一次巻線の出力電流ベクトル図。 本発明の第2の実施の形態における健全な変換器の出力電流の位相または大きさの調整制御についての説明図。 本発明の第2の実施の形態に係わる並列多重型交直変換装置の制御方法を示すフローチャート
符号の説明
11…並列多重変換器、12…変換器、13…IGBTモジュール、14…直流電源、15…巻線、16…変圧器、17…故障検出器、18…変換器制御装置、19…正常時指令値演算手段、20…故障停止時指令値演算手段、21…故障停止判定手段、22…記憶部、23…出力電力検出器、24…設定器、25…切換手段、26…ゲート制御回路

Claims (7)

  1. 定格容量が同一のもの及び異なるものを含んだ複数個の電力変換器を組み合わせて三相各相にそれぞれ並列に接続して形成された並列多重変換器と、前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が平衡三相電流を保持するように前記並列多重変換器の三相各相に接続された変換器の運転台数または変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御する変換器制御装置とを備え、前記変換器制御装置は、三相各相の変換器の運転台数または変換器の出力電圧の位相または大きさを調整制御するにあたり前記変換器の効率変動を極力抑制することを特徴とする並列多重型交直変換装置。
  2. 前記並列多重変換器のいずれかの変換器が故障停止したことを検出する故障検出器を設け、前記変換器制御装置は、前記故障検出器が故障停止した変換器を検出したときは、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値を超えるか否かを判定し、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値以下であるときは、前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が故障前の電流を保持するように前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して故障停止した変換器を除いた健全な変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御することを特徴とする請求項1に記載の並列多重型交直変換装置。
  3. 前記変換器制御装置は、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値を超えるときは、故障停止した変換器を除いた健全な変換器の各々の出力電流の大きさが所定の制限値を超えない範囲内で前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して出力電流の位相または大きさを調整制御することを特徴とする請求項2に記載の並列多重型交直変換装置。
  4. 前記変換器制御装置は、故障停止した変換器が接続された相の健全な変換器の出力電流の大きさを大きくするとともに、故障停止した変換器が接続された相の位相を健全時と同一位相とすることを特徴とする請求項2または3に記載の並列多重型交直変換装置。
  5. 複数台の電力変換器が三相各相にそれぞれ並列に接続され三相交流電力を供給する並列多重型交直変換装置の制御方法において、前記並列多重型変換器の現在の出力電力を検出し、前記並列多重変換器のいずれかの変換器が故障停止したか否かを判定し、前記変換器のいずれも故障停止していないときは前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が所定電流となるように前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して三相各相の運転台数または変換器の出力電圧の位相または大きさを調整制御し、前記変換器のいずれかが故障停止したときは前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値を超えるか否かを判定し、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値以下であるときは前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が故障前の電流を保持するように前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して故障停止した変換器を除いた健全な変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御し、前記並列多重型変換器の現在の出力電力が所定値を超えるときは故障停止した変換器を除いた健全な変換器の各々の出力電流の大きさが所定の制限値を超えない範囲内で前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して出力電流の位相または大きさを調整制御することを特徴とする並列多重型交直変換装置の制御方法。
  6. 前記健全な変換器が過負荷運転を許容するときは、所定の制限値を超えない範囲内で前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して出力電流の位相または大きさを調整制御することに代えて、前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が故障前の電流を保持するように前記並列多重型変換器の効率変動を極力抑制して前記健全な変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御することを特徴とする請求項5に記載の並列多重型交直変換装置の制御方法。
  7. 前記変換器のいずれかが故障停止したとき、前記並列多重変換器の三相各相の出力線電流が故障前の所定電流を保持するように故障停止した変換器を除いた健全な変換器の出力電流の位相または大きさを調整制御するにあたり、故障停止した変換器が接続された相の健全な変換器の出力電流の大きさを大きくするとともに、故障停止した変換器が接続された相の位相を健全時と同一位相とすることを特徴とする請求項5または6に記載の並列多重型交直変換装置の制御方法。
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