JP5058974B2 - 無線伝送システム及び無線伝送方法、並びにそれらに用いられる無線局及び送信局 - Google Patents

無線伝送システム及び無線伝送方法、並びにそれらに用いられる無線局及び送信局 Download PDF

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Description

本発明は、耐マルチパス性を有する伝送方式を用いて、複数の無線伝送装置が信号を送受信する無線伝送システム、及び無線伝送方法、並びにそれらに用いられる無線局及び送信局に関する。
無線通信の分野において、マルチパスへの耐性のある変復調方式を用いて、複数の送信局から同時に送信することによって複数の信号経路を人為的に形成し、受信側で複数の受信到来波を合成することでパスダイバーシチ(又は送信ダイバーシチとも呼ばれる)による効果を得て、伝送特性の改善を図る手法がある。
マルチパスへの耐性のある変復調方式には、例えば、スペクトル拡散方式や、広い周波数に渡って配置された多数のサブキャリアに情報を分散させて伝送する直交周波数分割多重方式(OFDM; Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、伝送シンボル内に位相や振幅の冗長を加えることで耐マルチパス性を発揮させる耐マルチパス変調方式、凸状の位相冗長を加えたPSK−VP(Phase Shift Keying with Varied Phase)方式(非特許文献1)、振幅冗長を加えたPSK−RZ(Return to Zero Phase Shift Keying )方式(非特許文献2)等の変調方式に工夫が施されたものや、変調方式は通常であるが受信側で等化器を用いることで耐マルチパス性を発揮させる方式、等がある。
スペクトル拡散方式には、例えば、元の信号より広い帯域の拡散信号を掛け合わせる直接拡散方式(DSSS; Direct Sequence Spread Spectrum )、周波数を広い帯域に渡ってホップさせる周波数ホッピング方式(FHSS; Frequency Hopping Spread Spectrum )、帯域の広いインパルスで拡散するタイムホッピング方式(THSS; Time Hopping Spread Spectrum)がある。
このような、耐マルチパス性を有する変復調方式を用いてパスダイバーシチによる積極的な効果を発揮するためには、信号の到来時間差の上限と下限について、以下のような条件がある。ここでは、パスダイバーシチによる効果を発揮することができる到来時間差の下限を遅延分解能と、上限を遅延上限とする。遅延分解能及び遅延上限は、用いられる変復調方式の原理から定まる場合もあり、また変復調方式のパラメータや実装上の制約から定まる場合もある。
例えば、DSSS方式では、遅延分解能は拡散符号の1チップ長に相当し、遅延上限は拡散符号長未満に相当する。従って、DSSS方式を用いて通信する場合、到来時間差が1チップ長以上であり、拡散符号長未満であれば、受信側で受信信号を遅延波成分に分離して合成(RAKE受信)し、パスダイバーシチ効果を得ることができる。
また、OFDM方式の場合、信号に設定したガード区間で遅延波成分を吸収するために、遅延上限はガード区間の時間長に相当する。遅延波の到来時間差がガード区間以内であればシンボル間干渉が生じない。また、通常、複数のサブキャリアにまたがって誤り訂正処理を施すので、一部のサブキャリアがマルチパス歪みで誤りを生じても情報を再現することができる。一方、遅延分解能は、周波数帯域幅の逆数程度に相当する。このように、OFDM方式を用いる場合、ガード区間による効果と、広い周波数帯に渡って情報を散在させて回収することによる周波数ダイバーシチ効果とによってパスダイバーシチによる効果を得ることができる。
また、耐マルチパス変調方式のPSK−VP方式やPSK−RZ方式を用いる場合、遅延分解能は、シンボル長の数分の1程度の時間に相当し、遅延上限は、1シンボル長未満程度の時間に相当する。PSK方式、QAM方式等の通常のシングルキャリア方式で送信し、受信側でタップ付遅延線を用いて復調する場合、遅延分解能はシンボル長に相当し、遅延上限はタップ数で決まる時間長に相当する。
そして、このような耐マルチパス性能を有する変復調方式を用い、パスダイバーシチによる効果を人為的に生じさせて伝送特性を改善させる無線伝送システムの例を、以下に示す。
特許文献1は、耐マルチパス性を有する変復調方式を用いて通信する従来の無線伝送システムについて記載している。図51は、特許文献1に記載された無線伝送システムのブロック図である。図51では、信号が基地局310から移動局330に送信される下り系のみが示されている。図51において、基地局310は、通信エリア(無線ゾーン)300を形成し、エリア内の移動局330とCDMA(Code Division Multiple Access )方式を用いて通信する。
基地局310において、無線機311から出力される信号は、送信アンテナ312を介して、中継装置320及び移動局330に送信される。中継装置320において、受信アンテナ322によって受信された信号S1は、遅延器324によって遅延されて合成器323に入力される。また、アンテナ321によって受信された信号S2は、合成器323に直接入力される。合成器323は、信号S1及びS2を合成する。合成器323によって合成された信号は、増幅器325によって増幅され、送信アンテナ326を介して移動局330に送信される。
移動局330は、RAKE受信機であって、中継装置が遅延を与えた信号、与えなかった信号、及び送信局が送信した信号の3つの信号を受信する。中継装置320において、遅延器324は、拡散符号系列の符号時間(チップ長)以上の遅延を信号S1に与えるため、複数信号の間にはチップ長以上の遅延が生じる。そして、受信側ではRAKE受信を行ってパスダイバーシチ効果を得て伝送特性の改善を図る仕組みとなっている。この従来の無線伝送システムでは、以上のようにして、別の伝送パス・遅延波を人為的に加えることで、パスダイバーシチによる効果を高めて伝送特性の改善を行うことを狙っている。
また、シンボル波形(シンボル内の位相波形)に着目した特許文献2に記載された伝送方法の変調方式は、シンボル波形の位相についてシンボル周期Tに同期させた凸型の位相遷移を有し、遅延検波によって検波出力を得る方法で、マルチパスによって検波出力が消失してしまう状況を回避し、逆にパスの合成効果を得て伝送特性を改善することができる。この改善効果は、原理的に遅延波の遅延量τが所定の範囲(0<τ<T)において効果を発揮する。
図52は、特許文献2に記載されたシンボル波形の位相遷移を示す概略図である。図52において、この位相遷移は、1シンボルの時間長(シンボル長)Tでの遷移幅を最大位相遷移量φMAXで規定し、下記式(1)に示す関数に基づいて放物線状に位相を変化させる。
Figure 0005058974
図53は、特許文献2に記載された伝送信号生成回路700の構成を示す図である。図53に示すように、伝送信号生成回路700は、差動符号化回路701と、波形発生回路702と、直交変調器704と、発振器703とを備える。そして、伝送信号生成回路700は、送信データを差動符号化回路701で差動符号化し、波形発生回路702で凸型の位相冗長性を有するシンボル波形を用いて変調し、直交変調器704で搬送波周波数帯の信号に変換する。
次に、このような凸型の位相冗長性を持たせたシンボル波形を用いる場合の到来信号間の位相関係について示す。
図54は、凸型の位相冗長性を持たせたシンボル波形を用いる場合における2つの到来信号A及びBの位相関係を示す概略図である。図54において、位相差αを180度とすると、到来信号間に遅延が生じる場合でも位相が凸状に遷移するので、有効区間内で打ち消し合って受信波が消失する区間(図54のb点)があっても、打ち消し合わずに受信波が残存する区間(図54のa点及びc点)がある。この到来信号A及びBを遅延検波と低域通過フィルタとの組み合わせによって処理することで、有効な検波出力を得ることができる、よって、結果的にパスダイバーシチ効果を得て伝送特性が改善される。
図55は、特許文献2に記載される変調方式による送信ダイバーシチを用いた従来の無線伝送システムの構成を示す模式図である。図55に示すように、伝送信号生成回路700と第1及び第2空中線904及び905との間に遅延器901を設け、第1及び第2空中線904及び905から送信する信号間に、遅延を挿入する。このとき、パスダイバーシチ効果が良好に発揮される遅延量に設定して送信することで、伝送特性の改善が図られる。
特許第2764150号明細書 特許第2506748号明細書 エッチ.タカイ、「ビーイーアール・パフォーマンス・オブ・アンチマルチパス・モジュレーション・スキーム・ピーエスケー−ブイピー・アンド・イッツ・オプティマム・フェーズ−ウェーブフォーム」、アイトリプルイー・トランス・ブイイーエイチ.テクノロジー(H. Takai, "BER Performance of Anti-Multipath Modulation Scheme PSK-VP and its Optimum Phase-Waveform",IEEE, Trans. Veh. Technol.), Vol. VT-42、1993年11月、p625−640 エス.アリヤビスタクル、エス.ヨシダ、エフ.イケガミ、ケイ.タナカ、ティー.タケウチ、「ア・パワーエフィシェント・リニア・ディジタル・モジュレータ・アンド・イッツ・アプリケーション・トゥー・アン・アンチマルチパス・モジュレーション・ピーエスケー−アールゼット・スキーム」、プロシーディングズ・オブ・アイトリプルイー・ビークラー・テクノロジー・カンファレンス(S. Ariyavisitakul, S. Yoshida, F. Ikegami, K. Tanaka, T. Takeuchi, "A Power-efficient linear digital modulator and its application to an anti-multipath modulation PSK-RZ scheme)」, Proceedings of IEEE Vehicular Technology Conference)、1987年6月、p66−71
上述したマルチパスへの耐性のある変復調方式では、パスダイバーシチ効果に寄与する独立なブランチについて、有効となる最大のブランチ数(以下、最大有効ブランチ数)が少数に限られる場合がある。パスダイバーシチ効果に寄与する最大有効ブランチ数は、遅延上限を遅延分解能で除算した値以下になるが、遅延上限が遅延分解能に近接すると、これがごく小さな値になるためである。
例えば、最大有効ブランチ数が2つの場合、遅延分解能だけ離れた到来遅延を有する2波に、さらに3波目が間の到来遅延に加わると、3波目は元の2波の両方に重畳され、受信機でのパス分解後も共通して残留することとなって、パスダイバーシチにおけるブランチ(枝)間の相関を増し、劣化が生じてしまう。このように、遅延上限が遅延分解能に近接し、パスダイバーシチによる効果に寄与する最大有効ブランチ数が少数に限られるような場合においては、遅延を有するパスを付け加えさえすれば良いというわけにはいかないが、特許文献1及び2を含め、この問題を解決する方法は未だに提案されていない。
遅延上限が遅延分解能に近接し、パスダイバーシチによる効果に寄与する最大有効ブランチ数が少数に限られるような場合について、各々の変復調方式に対して、さらに詳述すると以下のようになる。
DSSS方式を用いる場合、遅延上限は拡散符号長未満に相当するため、拡散符号長が短くなり、遅延分解能に相当する拡散チップ長に近づくと、最大有効ブランチ数が少数になる。例えば、拡散符号長が4チップ長であって、拡散率が4倍、すなわち、1シンボルが4チップの拡散符号で拡散されている場合、遅延分解能は1チップ長、遅延上限は3チップ長となるため、ブランチ数は高々4つ程度になる。FHSS方式を用いる場合、遅延分解能は拡散帯域幅に相当し、遅延上限は、ホップシーケンス長によって定まる。従って、拡散帯域幅が狭く、ホップシーケンス長が短い場合、最大有効ブランチ数が少数に限られる。
また、THSS方式を用いる場合、遅延分解能はパルス幅に相当し、遅延上限はパルスシーケンス長によって定まる。従って、パルス幅が広く、パルスシーケンス長が短い場合、ブランチ数が少数に限られる。同様に、OFDM方式では、遅延分解能はサブキャリアが分散配置された周波数帯域幅に相当し、遅延上限はガード区間長によって定まる。従って、周波数帯域幅が狭く、ガード区間が短い場合、最大有効ブランチ数が少数に限られる。PSK−VP方式やPSK−RZ方式を用いる場合、原理的に、遅延上限がシンボル長を越えられないため、元々、遅延分解能と遅延上限が近接している。
また、等化器を用いる場合、遅延分解能はシンボル長、遅延上限は等化フィルタのタップ長で決まる。従って、シンボル長に比べ、フィルタタップの時間長が短い場合、同様のケースとなる。なお、等化器においては、タップ数は回路規模を大きく左右するため、回路規模の制約から遅延上限が制限される場合が多い。
一方、特許文献2に記載されたシンボルに同期した位相遷移を有する変調方式を遅延の挿入なしで送信ダイバーシチに適用した伝送方法では、遅延分散性が無視できる伝搬路の場合、たとえ複数の送信アンテナからの到来波のレベルが確保されても、2つの到来信号間の位相関係が逆相になると打ち消し合ってパスダイバーシチ効果が発揮されない。
図56は、特許文献2に記載された変調方式において到来信号の位相関係が逆相の場合を示した模式図である。図56に示すように、たとえ位相遷移が凸状であっても2つの到来信号間に遅延がない場合、逆相になってしまうと検波出力が無くなってしまい、改善効果を失ってしまう。
図57は、2波到来モデルにおいて、特許文献2に記載された伝送方式のビット誤り率と遅延量τとの関係を模式的に示したものである。図57において、横軸は2波到来モデルの到来信号間の遅延量、縦軸はビット誤り率を示す。到来波間の遅延量τが少ないと、図56で述べたように、2波の位相が逆相で到来した場合に改善効果が失われて、誤り率が劣化する。遅延量τが相対的に大きくなるにつれて改善され、シンボル長Tに近づくにつれて有効区間が短くなり、最終的には消滅して再度誤り率は劣化する。
次に、PSK−VP方式を例に、特性評価結果を基に具体的に説明する。
図58は、4相PSK−VP方式(以下、QPSK−VP方式)の2波ライスモデルにおける、2波の到来時間差に対する実際のビット誤り率特性を示す図である。横軸は到来時間差をシンボル長Tで規格化した値を示し、縦軸はビット誤り率を示している。なお、伝送路はEb/No=25dBの2波ライスフェージング環境である。図58より、到来時間差が0.3シンボル長から0.7シンボル長の範囲でパスダイバーシチ効果による積極的な改善が行われて、1E−5以下の良好なビット誤り率になる。つまり、パスダイバーシチによる積極的な改善効果が得られる遅延分解能は0.3シンボル長程度、遅延上限は0.7シンボル長程度である。
特許文献2には、送信信号に意図的な所定遅延を挿入することで、送信ダイバーシチを構成する方法が記載されている(図55)。遅延器901で挿入する遅延量は、給電線を含め伝搬路での行路差、加えて各々行路内での遅延分散が相加することを想定して、例えば、図57のτSで示すように、誤り率特性曲線の底(良好な誤り率の区間)の中央に設定することになる。しかし、この従来の送信ダイバーシチだと、伝搬路で生じる遅延分散に対する耐性(遅延耐性)の観点で見るならば、「良好な誤り率の区間」で示された本来の方式の能力に対して、送信側で比較的大きな遅延τSを予め挿入しなければならないために、耐遅延量は大幅に目減りしてしまう問題があった。
以上のような耐遅延量への制約下において、図59は、QPSK−VP方式における受信波が2波(受信タイミングが2つ)と3波(受信タイミングが3つ)の場合のビット誤り率特性を示す図であり、図60は、図59における2波と3波の時間関係を示している。なお、各受信波はライスフェージング波で、3波は、2波の場合にさらに中間の時間位置に3波目を挿入した伝送路モデルである。図59に示すように、受信波が2波である場合に比べ、2波の間に3波目が挿入された場合のビット誤り率が劣化していることがわかる。これは、3波の場合、3波目は、両側の2波に対して分離されず、同じ干渉を与える、あるいは、相関を高めることとなって、劣化を招くことが確認できる。つまり、図55のように2つまでの遅延を持たせた送信波では良いが、さらに3つ目の送信波を加えると逆に特性が劣化してしまう問題があった。
このように、遅延波成分を分離できる遅延分解能と遅延上限とが有意に接近するような場合、パスダイバーシチによる効果に寄与する最大有効ブランチ数が少数に限られるため、不用意に遅延を有するパスを付け加えると、伝送特性の劣化を招いてしまうことが課題となる。
それ故に、本発明の目的は、パスダイバーシチによる効果に寄与する最大有効ブランチ数を増加させ、また、それが少数に限られる場合であっても、パスダイバーシチによる効果を最大限に発揮することができる無線伝送システム及び無線伝送方法、並びにそれらに用いられる無線局及び送信局を提供することである。
本発明は、複数の無線局、受信局、及びこれらの局間に形成されるマルチパス伝送路によってパスダイバーシチを構成し、複数の無線局が信号を受信局へ送信する無線伝送システム、このシステムに用いられる無線局及び送信局また方法に向けられている。そして、本発明では、上記目的を達成するために次の構成を用いている。
複数の無線局は、それぞれ、相互に異なる複数のシンボル波形の候補から1つを選択する波形選択制御部と、波形選択制御部で選択されたシンボル波形に基づいて送信データから送信信号を生成する変調部と、送信信号を送信する基準となる基準タイミングから所定の遅延量だけ遅延させたタイミングを、送信信号の送信を開始する送信開始タイミングとして決定する送信タイミング制御部と、送信タイミング制御部によって決定された送信開始タイミングで、送信信号を送信する送信部とを備える。受信局は、送信部から送信される送信信号を受信する受信部を備える。受信部によって送信信号が受信される受信タイミングの数が、異なるシンボル波形毎に複数かつ所定数以下に設定され、受信タイミングの差が、所定の遅延分解能以上であり、受信タイミングの最大値及び最小値の差が、所定の遅延上限以下となる大きさとなるように、所定の遅延量が設定される。なお、受信局は、遅延検波によって検波信号を得ることが望ましい。
好ましくは、所定の遅延分解能及び所定の遅延上限は、それぞれ、複数の遅延波をパスダイバーシチ受信することができる値に設定されている。また、複数の無線局が持ち合わせる基準タイミングは、予め定められた同一のタイミングである。
この無線伝送システムは、受信局へ送信すべき信号を複数の無線局に送信する送信局をさらに構成に含んでもよい。この場合、複数の無線局は、それぞれ、送信局から送信された信号を受信し、受信タイミングを検出するタイミング検出部をさらに備え、送信タイミング制御部は、タイミング検出部によって検出されたタイミングを基準タイミングとして決定し、送信部は、受信された信号を受信局へ中継送信すればよい。タイミング検出部は、信号に含まれるユニークワードを検出することが好ましい。
又は、無線伝送システムは、受信局へ送信すべき信号を複数の無線局に送信する送信局をさらに構成に含み、送信局が、複数の無線局へ信号を送信する送信開始タイミングを決定し、かつ基準タイミングから所定の遅延量だけ遅延させたタイミングを、受信局へ信号を送信する再送信開始タイミングとして決定する送信タイミング制御部と、送信開始タイミングで複数の無線局へ信号を送信し、再送信開始タイミングで受信局へ信号を送信する送信部とを備えてもよい。この場合、複数の無線局は、それぞれ、送信局から送信された信号を受信し、受信タイミングを検出するタイミング検出部をさらに備え、送信タイミング制御部は、タイミング検出部によって検出されたタイミングを基準タイミングとして、送信部は、タイミング検出部によって受信された信号を受信局へ中継送信すればよい。
あるいは、無線伝送システムは、受信局へ送信すべき信号を複数の無線局に送信する送信局をさらに構成に含み、送信局が、複数の無線局が送信する信号にそれぞれ与えるべき遅延量、及び複数の無線局が送信信号の生成に用いるシンボル波形を、複数の候補値からそれぞれ1つずつ選択する遅延量・シンボル波形決定部と、遅延量・シンボル波形決定部によって選択された遅延量及びシンボル波形の情報を、信号に付加する遅延量・シンボル波形付加部と、遅延量・シンボル波形付加部によって遅延量及びシンボル波形の情報が付加された信号を、複数の無線局に送信する送信部とを備えてもよい。この場合、複数の無線局は、それぞれ、送信局から送信された信号を受信し、当該信号に付加されている遅延量及びシンボル波形情報を抽出する遅延量・シンボル波形抽出部をさらに備え、送信タイミング制御部は、基準タイミングから遅延量・シンボル波形抽出部で抽出された遅延量だけ遅延させたタイミングを、送信開始タイミングとして決定し、変調部は、遅延量・シンボル波形抽出部 で抽出されたシンボル波形情報に基づいて送信データから送信信号を生成すればよい。
ここで、複数の無線局は、所定の距離内で互いに隣接する無線局の通信範囲が一部重複するように配置され、遅延量・シンボル波形決定部は、隣接する無線局から送信される信号が異なるタイミングで受信局で受信され、かつ、同一の遅延量が設定された無線局から送信される信号が同じタイミングで受信局で受信されるように、遅延量を調整することが好ましい。また、複数の無線局が、線状に配置されることが望ましい。さらに、線状に配置された2以上の無線局の組が複数あり、この複数の組が互いに平行に配置されていることが望ましい。
また、複数の無線局毎に、複数の候補値から予め定められた遅延量を選択するか、複数の候補値からランダムに遅延量を選択する遅延量設定部をさらに備えてもよい。また、波形選択制御部は、複数の無線局毎に、複数の候補からランダムにシンボル波形を選択してもよい。
好ましくは、複数の無線局は、所定のシンボル数だけ離れた任意の2つのシンボルのシンボル波形が、送信データにかかわらず同一であり、かつ、当該任意の2つのシンボルの位相差が、送信データに基づいて決定される送信信号を生成する。所定のシンボル数を1とし、位相差に2πを2の累乗の数で均等に分割した角度のいずれかを用いる。
また、複数の無線局は、1シンボル期間において、位相が時間方向に増加し、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第1シンボル波形と、位相が時間方向に減少し、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第2シンボル波形とを、又は1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が減少し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が増加する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、又は1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が増加し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が減少する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、又は1シンボル期間の全てで位相の時間変化量が減少する位相遷移を有する第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、又は1シンボル期間において、位相が時間方向に増加した後減少に転じ、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第1シンボル波形と、位相が時間方向に減少した後増加に転じ、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第2シンボル波形とを、又は1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が減少し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が増加する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、あるいは所定点を1シンボル期間の中心点とし、中心点以前の位相と中心点以後の位相とが対称的に変化する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくともシンボル波形の所定の数の候補に含むことが好ましい。
本発明によれば、パスダイバーシチによる効果を得ることができるブランチの数が少数に限られる場合であっても、複数の送信タイミングと複数のシンボル波形との組み合わせで最大限のパスダイバーシチ効果を発揮することができる。従って、無線伝送システムの伝送特性を改善することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図である。図1に示す無線伝送システムは、複数の無線局11と受信局12とを備える。複数の無線局11と受信局12とは、無線で接続されている。図1では、無線局11の数が4つである例を示しているが、無線局の数は任意に設定可能である。以後、この4つの無線局11については、区別する必要がある場合はそれぞれ無線局A〜Dと表記し、区別する必要がない場合は無線局11と表記する。
各無線局11は、受信局12に送信するための送信データと、送信データを送信するための基準となるタイミング(以下、基準タイミングと記す)を示す基準タイミング信号とを保持している。各無線局11が保持する送信データ及び基準タイミング信号は、全ての無線局11に共通のものである。
また、無線局A〜Dは、それぞれ遅延量tA〜tDを保持している。この遅延量tA〜tDは、遅延量候補値(例えば、T1又はT2)のいずれかの値をとる。加えて、無線局A〜Dは、シンボル波形候補波形(例えば、W1又はW2)のいずれかの波形に基づいて送信信号を生成し、基準タイミング信号が示す基準タイミングに遅延量tA〜tDを与えてデータを送信する。
受信局12は、無線局A〜Dから送信されてきた4つの信号を受信する。
図2は、図1に示す無線局11の詳細な構成例を示すブロック図である。図3は、図2に示す変調部21の詳細な構成例を示すブロック図である。無線局11は、変調部21と、データ保持部22と、送信タイミング制御部23と、RF部24と、アンテナ25と、波形選択制御部26とを備える。変調部21は、読み出し制御部41と、波形記憶部42と、D/A変換部43とを備える。RF部24及びアンテナ25は、送信部を形成する。
送信タイミング制御部23は、基準タイミング信号と予め定められた遅延量とに基づいて、受信局12に送信する信号の送信タイミングを制御する。具体的には、送信タイミング制御部23は、基準タイミング信号が示す基準タイミングから遅延量だけ遅延させたタイミングを、送信開始タイミングとする。そして、送信タイミング制御部23は、送信開始タイミングになると、送信開始を指示するための送信開始信号を生成して変調部21に渡す。変調部21は、送信開始信号を受け取ると、データ保持部22に送信データを要求し、要求に応じて取得した送信データに所定の変調を施す。データ保持部22は、変調部21の要求に応じて、予め保持している送信データを読み出して変調部21に渡す。RF部24は、変調部21で変調された信号をRF帯の信号に周波数変換し、アンテナ25から送信する。波形選択制御部26は、対応するシンボル波形が波形テーブルから読み出されるための波形バンク選択信号を、波形選択信号に基づいて生成し変調部21に渡す。
読み出し制御部41は、ベースクロックで動作するカウンタで構成されており、送信開始信号の受信時にカウンタ値に基づいて、送信データを読み出すためのデータ読み出しクロックと、シンボル波形のデータを波形メモリから読み出すためのアドレス信号とを生成する。データ読み出しクロックは、データ保持部22に出力され、アドレス信号は、波形記憶部42に出力される。データ保持部22は、データ読み出しクロックに同期して、差動符号化形式の送信データを読み出し制御部41に渡す。波形記憶部42は、アドレス信号に基づいて、送信データに応じたシンボル波形のデータを波形メモリから読み出す。D/A変換部43は、波形記憶部42が読み出したディジタルデータをアナログ信号に変換し、変調ベースバンド信号として出力する。
これにより、変調ベースバンド信号を出力するタイミングは、送信開始信号を受け取ったタイミングに応じてベースクロック単位で変化する。また、ベースクロックは、通常、シンボル周波数(シンボル長の逆数)の数倍から十数倍の周波数が用いられることが多い。従って、シンボル長の数分の1から十数分の1の単位で、変調ベースバンド信号を出力するタイミングを調整することができる。
図4及び図5を用いて、本発明の無線伝送システムが用いる送信信号、及びその生成方法、並びに具体的な構成例についてさらに詳しく説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る無線伝送システムの差動符号化規則の一例及び信号空間ダイアグラムを示す図である。図5は、図3に示す変調部21の各ブロックの内部構成例を示した図である。この変調部21では、所定のシンボル波形を記憶しており、差動符号化信号121に応じたベースバンド変調信号122及び123を出力する。
データ保持部22では、入力される送信データについて、シリアルパラレル変換によって入力ビット系列がシンボル形式に変換され、かつ、差動符号化が施されて、各シンボルの同相軸信号I及び直交軸信号Q(差動符号化信号121)が求められる。一般には、2のべき乗の位相数によって差動符号化を行うことが可能である。さらには、隣接シンボル毎に一定量右回りか左回りにさらにシフト(いわゆる対称配置)する方式であってもよく、送信データに応じて振幅方向にも情報を載せる差動振幅位相変調(DAPSK)を用いてもよい。以下、4相(非対称配置)で差動符号化を行う場合を一例に挙げて、本発明を説明する。この場合、具体的には、第kシンボル(kは0以上の整数)の同相軸信号Ik及び直交軸信号Qkを、Mシンボル前(Mは1以上の整数)である第k−Mシンボルの同相軸信号Ik-Mと直交軸信号Qk-Mとを用いて、下記式(2)に従って求める。なお、Δθkは位相回転量である。
Figure 0005058974
まず、図4の(a)に従って、送信データの連続する2ビットの組(シンボル形式)X1(k)及びX2(k)の位相回転量Δθkが決まる。次に、第kシンボルの信号点Sk(Ik、Qk)の信号ダイアグラムは、初期値S0(I0、Q0)が決まれば式(2)によって決まるが、図示すると図4の(b)のように表せる。そして、図4の(b)の信号点Sk(1、0)、Sk(0、1)、Sk(−1、0)及びSk(0、−1)から、図4の(c)に従って差動符号化信号(D1(k)、D2(k))を求める。
図5において、変調部21は、ベースクロック発振器1801と、L分周器1802、Lカウンタ1803、Mカウンタ1804、シフトレジスタ1805及び1806で構成される読み出し制御部41と、波形記憶部42と、D/A変換器1808及び1809、及び低域通過フィルタ1810及び1811で構成されるD/A変換部43とを備える。
図6は、変調部21が生成するベースバンド変調信号122及び123の基本となる、シンボル波形の位相遷移の様々な例を示したものである。シンボル波形の条件としては、その変化の2次微係数がシンボル内において常時ゼロ「0」でないことである。そして、異なる無線局の変復調部が用いるシンボル波形が、例えば、図6の(a)において、第1シンボル波形が実線で示される位相遷移を有し、第2シンボル波形が点線で示される位相遷移を有する場合のように異なる変化の組み合わせであれば、後述する特有のダイバーシチ効果が現れる。なお、図6の(a)〜(e)は、位相遷移の一例に過ぎず、上記条件を満足すれば他の位相遷移であっても構わない。また、第1シンボル波形の位相遷移と第2シンボルの位相遷移とが対称的である必要は必ずしもなく、図6の(a)〜(e)において実線と点線との全ての組み合わせや、実線同士や点線同士の組み合わせであってもよい。
また、シンボル波形は、1つの無線局の送信信号について最大M種類のシンボル波形を周期的に用いることができる。このM種類のシンボル波形の中には、同じものが繰り返し含まれても良く、また、M=1の場合は1種類のシンボル波形の繰り返しとなる。ただし、後述する特有のダイバーシチ効果を得るには、異なる無線局の同じ送信データに対応するシンボルで用いるシンボル波形は、互いに異ならせる必要がある。複数の無線局でシンボル波形を使い分ける場合、シンボル波形W1、W2、…と記述することがあるが、M=1の場合はシンボル波形は1つなのでそのものを表し、M>1の場合はM個のシンボル波形系列がW1、W2、…として読み替えれば同様の動作効果となる。よって、以降では、シンボル波形系列も含む意味でシンボル波形W1、W2、…と記述説明することとする。
第1の無線局の変調部21が生成するベースバンド変調信号のm番目(1≦m≦M)のシンボル波形の位相遷移ΦA m(t)、及び第1の無線局とは異なる第2の無線局の変調部21が生成するベースバンド変調信号のm番目のシンボル波形の位相遷移ΦB m(t)は、シンボル長Tにおけるシンボル内(0<t<T)では、図6の(a)のような波形の組み合わせを選んだ場合、例えば下記式(3)及び式(4)のように表される。
Figure 0005058974
Figure 0005058974
ここで、差動符号化を介した送信データを表す位相θ(t)は、第qシンボル(qは整数)について図4の(b)における信号点の位相をθqとすると、ステップ関数U(t)を用いて下記式(5)のように表される。
Figure 0005058974
位相遷移ΦA m(t)が0<t<Tでのみ定義され、これ以外の区間では0とすると、ベースバンド変調信号の位相遷移ΨA(t)は、下記式(6)で表される。
Figure 0005058974
従って、ベースバンド変調信号の位相遷移ΨA(t)から、同相変調信号YA I(t)及び直交変調信号YA Q(t)は、下記式(7)で表される。
Figure 0005058974
基本的には、これらの信号で搬送波を直交変調することでRF帯域の変調信号が得られる。なお、このままでは信号が広帯域になるので、帯域制限フィルタで帯域制限を行ってもよい。この場合、帯域制限フィルタのインパルス応答をh(t)として、帯域制限後の同相変調信号YA I(t)と直交変調信号YA Q(t)は、上記式(7)ではなく下記式(8)を用いて表される。
Figure 0005058974
また、同様に、第2の無線局の変調部21についても、図6の(a)に示すシンボル波形の位相遷移ΦB m(t)に基づいて、ベースバンド変調信号の位相遷移ΨB(t)は、下記式(9)で表される。
Figure 0005058974
そして、同相変調信号YA I(t)及び直交変調信号YA Q(t)は、下記式(10)で表される。
Figure 0005058974
なお、上記式(8)及び式(10)の積分範囲−t0〜t0は、インパルス応答h(t)の広がりの範囲である。また、帯域制限フィルタは、低域通過型であればよく、様々な特性(コサインロールオフ、ルートナイキスト、ガウス等)及びパラメータ(カットオフ、ロールオフ率等)を用いることができる。ここでは、一例として、カットオフ角周波数ω0、ロールオフ係数γのコサインロールオフフィルタのインパルス応答h(t)を、下記式(11)に示す。
Figure 0005058974
さて、波形記憶部42には、上記式(8)に従って、同相変調信号YA I(t)及び直交変調信号YA Q(t)が記憶される。図5に示す変調部21では、一例として、帯域制限フィルタのインパルス応答h(t)の広がりの範囲−t0〜t0を前後1シンボルとした場合で説明している。この場合、波形記憶部42には、現在及び前後1シンボルの全ての送信データパタン分について計算して、各々変調信号の素片が記憶されている。入力された差動符号化信号121は、シフトレジスタ1805又は1806で遅延され、第kシンボルを中心に前後の第k−1シンボル及び第k+1シンボルを含めて、変調信号の素片の選択信号として波形記憶部42に入力される。
ベースクロック発振器1801は、シンボル周波数Fsのクロック信号を発振し、各シフトレジスタ1805又は1806に動作クロックとして入力される。Mカウンタ1804は、シンボル周波数Fsで動作して、M通りの波形選択信号1823を波形記憶部42に入力する。これにより、波形記憶部42は、Mシンボルを1周期として複数のシンボル波形の選択が可能となる。波形記憶部42は、シンボル毎の変調信号素片の波形テーブルを記憶したメモリであるが、その各変調信号素片は1シンボル当たりLサンプルで記憶されている。L分周器1802が出力する周波数L・Fsのクロックを読み出しクロックとし、カウンタ信号1822を読み出しアドレスとして、シンボル内の信号点を順次読み出し動作する。両軸の変調信号は、それぞれD/A変換器1808及び1809でアナログ値に変換され、低域通過フィルタ1810及び1811で折り返し成分が除去されて、ベースバンド変調信号122及び123として出力される。第2の無線局の変調部21も、記憶されている波形は異なるものの、構成動作は全く同じである。
なお、上記式(7)で示したように、帯域制限を行わない場合は、シフトレジスタ1805及び1806は不要であり、差動符号化信号121は、波形記憶部42に直接入力される。また、1シンボル遅延の差動符号化が行われる場合(M=1)又はシンボル波形が1種類の場合は、Mカウンタ1804は不要である。
図7は、図1に示す受信局12の詳細な構成例を示すブロック図である。図7において、受信局12は、アンテナ31と、RF部32と、復調部33とを有する。RF部32及びアンテナ31は、受信部を形成する。RF部32は、アンテナ31が受信したRF帯の受信信号を受信ベースバンド信号に変換する。復調部33は、RF部32によって変換された受信ベースバンド信号を復調し、受信データを得る。
図8は、図7に示す復調部33の詳細な構成例を示すブロック図である。復調部33は、Mシンボル遅延器1601と、乗算器1602及び1603と、−45度移相器1604と、+45度移相器1605と、低域通過フィルタ1606及び1607とを備える。Mシンボル遅延器1601は、受信信号をMシンボル長だけ遅延させる。低域通過フィルタ1606及び1607は、乗算器1602及び1603で生じる搬送波の2倍の周波数成分を除去するだけでなく、後述する複数の検波出力を合成する役割も果たす。なお、図8において、復調部33は、前段のRF部32でベースバンド帯域に変換された受信信号131を処理するが、RF帯受信信号が直接入力されて処理するものであってもよい。
次に、上記構成による本第1の実施形態に係る無線伝送システムで行われる伝送方法が、特有のダイバーシチ効果を発揮する原理を説明する。ここでは、図1に示した2つの無線局A及びBが、各々第1シンボル波形(又はM長のシンボル波形系列)W1及び第2シンボル波形(又はM長のシンボル波形系列)W2に基づいて送信信号を生成かつ送信し、受信局12がこれらの送信信号を受信する場合を例に挙げて説明する。
はじめに、伝搬路の遅延分散が無視できる場合を説明する。具体的には、無線局A及びBからそれぞれ送信される信号が、伝搬路でそれぞれのマルチパス(多重経路伝搬)が発生するものの、それらのマルチパス波間の相対的な遅延がシンボル長に対して無視できる場合である。無線局Aからの到来信号Aと無線局Bからの到来信号Bとがそれぞれ独立なレイリー変動をする場合等がこれに相当し、これは伝送帯域内での伝搬路周波数特性が一様なフラットフェージングと呼ばれる。そして、位相差αは、無線局A及びBと受信局12との距離関係にも依存するパラメータである。
図9は、受信局12での到来信号A及びBの位相を、シンボル毎に示した模式図である。図9は、第k−Mシンボル、第k−M+1シンボル、第kシンボル、及び第k+1シンボルの位相を示す。なお、送信データに応じた信号点の位相をθkと、無線局Aの送信信号A(到来信号A)の第mシンボル波形の位相遷移をΦA m(t)と、無線局Bの送信信号B(到来信号B)の第mシンボル波形の位相遷移をΦB m(t)とする。
到来信号Aは、第kシンボルにおいて、シンボル内で一定の位相θkを起点に、シンボル波形の位相遷移ΦA m(t)が加わる。同様に、到来信号Bは、第kシンボルにおける信号点の位相θkと到来信号間の位相関係αとの合成位相を起点に、シンボル波形の位相遷移ΦB m(t)が加わる。第kシンボルよりMシンボル前の第k−Mシンボルには、信号点の位相θk-Mを起点に、第kシンボルと同じシンボル波形の位相遷移ΦA m(t)あるいはΦB m(t)が加わる。そして、復調部33では、第kシンボルと第k−Mシンボルとで遅延検波が行われる。
図10は、到来信号Aと到来信号Bとの位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図である。なお、この例では、送信信号A(到来信号A)及び送信信号B(到来信号B)のシンボル波形が、図6の(a)に示した位相遷移する場合を示す。
図10において、第k−Mシンボルにおける到来信号Aの位相は、位相遷移a1のように変化し、到来信号Bの位相は、位相遷移a1の起点に対して位相差αだけシフトした位相値を起点に位相遷移b1のように変化する。そして、第kシンボルにおいて、到来信号Aの位相は第k−Mシンボルの位相遷移a1の起点より差動符号化による位相Δθkだけシフトした位相値を起点に位相遷移a2のように変化し、到来信号Bの位相は位相遷移a2の起点に対して位相差αだけシフトした位相値を起点に位相遷移b2のように変化する。よって、第k−Mシンボルの位相遷移a1及びb1と第kシンボルの位相遷移a2及びb2との関係は、差動符号化による位相Δθkだけシフトしたものとなる。従って、第kシンボルを第k−Mシンボルで遅延検波すれば、差動符号化による位相Δθkが得られるので、データを復調できる。
さらに、到来信号Aと到来信号Bとの間の位相関係をベクトル図で説明する。
今、図11に示すように、到来信号Aの信号レベルを1、到来信号Bの信号レベルをρとし、到来信号間の位相差がαであるとする。
この場合、図12に示すように、第k−Mシンボルでは、到来信号BのベクトルS1Bは、到来信号AのベクトルS1Aに対してαだけ位相が異なる。到来信号Aは、ベクトルS1Aを起点に時間と共にΦA m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS1A'であるとする。到来信号Bは、ベクトルS1Bを起点に時間と共にΦB m(t)に応じて位相が変化し、時刻tにおいてベクトルS1B'であるとする。このとき、時刻tにおける受信波のベクトルはVk-Mとなる。
同様に、第kシンボルでは、到来信号AのベクトルS2Aは、ベクトルS1Aに対してΔθkだけ位相が異なり(ここでは、検波対象とするシンボル間の位相差Δθkがπとなる場合を示している)、到来信号BのベクトルS2Bは、ベクトルS2Aに対してαだけ位相が異なる。到来信号Aは、ベクトルS2Aを起点に時間と共にΦA m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS2A'であるとする。到来信号Bは、ベクトルS2Bを起点に時間と共にΦB m(t)に応じて位相が変化し、ある時刻tにおいてベクトルS2B'であるとする。このとき、時刻tにおける受信波ベクトルはVkとなる。
このように、到来信号A及び到来信号Bについて、第k−Mシンボルと第kシンボルとは、それぞれシンボル内で同じように位相が遷移するので、2つの受信波ベクトルVkとVk-Mとの位相関係も任意の時刻tにおいて常にΔθkとなる。
次に、検波出力が有効に得られるシンボル波形の位相遷移について説明する。
図12から、任意の時刻tにおける受信波ベクトルVk-M(t)とVk(t)とは、第k−M及び第kシンボルにおける信号点をそれぞれSk-M及びSkとすると、下記式(12)で表される。
Figure 0005058974
従って、遅延検波による検波出力Dk(t)は、下記式(13)で表される。なお、*は複素共役を示す。
Figure 0005058974
ここで、ΦA m(t)=u及びΦB m(t)+α=vとおくと、上記式(12)は、下記式(14)のように表される。
Figure 0005058974
従って、Dk(t)は、下記式(15)のように表現される。
Figure 0005058974
この式(15)において、[1+ρ2+2ρ・COS(ΦA m(t)−ΦB m(t)−α)]及び|Sk|2の項は常に非負であり、exp(j・Δθk)項は送信データを担う位相Δθkに対応する検波信号を示しており、常に正しい検波出力が得られることを示している。式(15)がゼロになるのは、第3項がゼロになる時であるが、それは、ρ=1、かつ、cosの項が−1になる時の瞬間に限られる。2つのシンボル波形の位相差ΦA m(t)−ΦB m(t)が、時間間隔0<t<Tにおいて変化する限りにおいて、任意のρ、αについて、決して常にゼロにならず、到来信号Aと到来信号Bとが合成された検波出力が完全に消失することはなく、ダイバーシチ効果が得られることを意味する。なお、変化量が大きくなるほど、シンボル内の0<t<Tにおいて有効な検波出力が複数得られ、より高いパスダイバーシチ効果が得られるが、好ましくは2π以上に変化すれば、cos(ΦA m(t)−ΦB m(t)−α)}が必ず1になり、検波出力が最大になるtが必ず存在することになる。
従って、本実施形態に係る無線伝送システムにおける、無線局Aの変調部21と無線局Bの変調部21とが記憶する各々のシンボル波形(又はM長のシンボル波形系列の各々対応するシンボル波形)としては、例えば図6の(a)に示した位相遷移ΦA及びΦBのような、同じ時間領域で位相遷移の増減方向が互いに異なるようなものにすれば、受信側で高いパスダイバーシチ効果が得られる。
次に、受信局12における到来信号Aと到来信号Bとの位相関係によって、検波信号が変化する様子を説明する。
図13は、伝搬路の遅延分散性が無視できる場合に受信局12で受信された到来信号A及びBの位相関係を示した模式図である。図13の(a)〜(d)は、それぞれα=0度、90度、180度及び270度の場合における到来信号A及びBのシンボル波形の位相関係を示す。図13の縦軸は、図10における第kシンボルの位相を、到来信号Aの位相遷移a2の起点を0度として0〜360度の範囲で示したもので、上記式(3)及び式(4)においてφMAX=720度とした場合である。また、到来信号Aと到来信号Bとの位相が逆相になる逆相点を×印で示し、同相になる同相点を○印で示している。
図13の(a)に示すように、伝搬路に遅延がない場合、到来信号Aと到来信号Bとがベクトル合成された受信波の振幅が打ち消し合ってゼロになる逆相点は、αの大きさにかかわらず1シンボル内で一瞬である。よって、この到来信号A及びBを遅延検波することで、検波振幅は受信波の2乗に比例し、ほぼ同様の形となる。この様子を図示したものが、図14の実線で示した曲線である。図14の実線に示すように、極性(図14では正極性となる例)が送信データに対して常に正しい有効な検波出力が得られる。また、図14の点線は、低域通過フィルタ1810及び1811通過後の検波出力を示している。低域通過フィルタ1810及び1811を通すことで、一瞬ゼロとなって欠損したとしても、シンボル内で複数の時間位置で得られる有効な出力を合成した検波出力が得られて、ダイバーシチ効果が発揮される。
次に、伝搬路の遅延分散が無視できない場合を説明する。
ここでは、説明を容易にするために、図15に示すような2つの無線局A及びBからの到来信号が各々2波となる2波到来モデルで考える。まず、送信信号Aの直接波と遅延波とが受信される場合、及び送信信号Bの直接波と遅延波とが受信される場合をそれぞれ考察し、その後に全ての4つの到来波が受信される状況を考察する。
図16Aは、送信信号Aの直接波と遅延波との位相の変化をシンボル毎に示した模式図である。ここで、直接波と遅延波との各々の搬送波同士の受信点における位相差をβAとする。遅延波の位相は、第k番目のシンボルでは、送信データに応じた信号点の位相θkと信号間の位相差βAとの合成位相を起点に、直接波に対してτだけ遅延した送信信号Aのシンボル波形の位相遷移ΦA m(t-τ)が加わる。同様に、遅延波の位相は、第k−Mシンボルにおいては、信号点の位相θk-Mを起点に、第kシンボルと同じ送信信号Aの位相遷移ΦA m(t-τ)が加わる。
従って、第kシンボルと第k−Mシンボルとで遅延検波を行う際に、正しい検波極性が得られてかつ正しい復調データが得られる有効区間は、第kシンボルにおける領域(ii)又は第k−Mシンボルにおける領域(ii)'である。その前後の領域(i)、(iii)、(i)'及び(iii)'は、隣接シンボルの異なるデータ信号が混入するためにシンボル間干渉が生じ、必ずしも正しい復調データが得られない領域である。
図16Bは、送信信号Bの直接波と遅延波との位相の変化をシンボル毎に示した模式図である。送信信号Bについては、上記の説明中、直接波と遅延波との各々の搬送波同士の受信点における位相差をβBと、直接波に対してτだけ遅延した送信信号Bのシンボル波形の位相遷移をΦB m(t-τ)と置き換えることで、原理は全く同じである。なお、ここでは、送信信号Aに関する直接波と遅延波との遅延差と、送信信号Bに関する直接波と遅延波との遅延差とを、共に同じτとしているが、これらは異なっていても同様の改善効果が得られる。
図17は、送信信号A及びBの直接波及び遅延波について、各々の搬送波の受信点での位相関係を示した図である。上述のβA及びβBに加えて、送信信号Aの直接波と送信信号Bの直接波との各々搬送波間の位相差をα'としている。また、送信信号A及びBの各直接波に対する遅延波の振幅をρA及びρBとした。直接波同士の振幅については、この後の動作・改善効果の説明には差は無いので、ここでは簡単のために同じとしている。
図18Aは、送信信号Aの直接波と遅延波との位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図である。なお、送信信号Aのシンボル波形として図6の(a)に示すΦAを用いた場合を示す。図18Aにおいて、第k−Mシンボルにおける直接波の位相は、位相遷移a1のように変化し、遅延波の位相は、位相遷移a1の起点に対してβAだけシフトした位相値を起点に位相遷移c1のように遷移する。そして、第kシンボルにおいて、直接波の位相は第k−Mシンボルの位相遷移a1の起点より差動符号化によるΔθkだけシフトした位相値を起点に位相遷移a2のように遷移し、遅延波の位相は、位相遷移a2の起点に対してβAだけシフトした位相値を起点に位相遷移c2のように遷移する。よって、第k−Mシンボルの位相遷移a1及びc1と第kシンボルの位相遷移a2及びc2との関係は、差動符号化によるΔθkだけシフトしたものとなる。従って、第kシンボルを第k−Mシンボルで遅延検波すれば、差動符号化によるΔθkが得られるので、データを復調できる。この関係は、図18Bに示す、送信信号Bの直接波と遅延波との位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図でも同様である。
次に、送信信号Aの直接波と遅延波との間の位相関係をベクトル図で説明する。
図19Aは、送信信号Aの直接波と遅延波との位相遷移をベクトルで表した模式図である。ここでは、図16Aにおける有効区間(ii)又は(ii)'についてのみ考える。図19Aは、送信データを表し、検波対象となるMシンボルだけ離れた2つのシンボル間の位相差Δθkがπとなる場合を一例として示しており、第k−Mシンボルの信号点をS1Aと、第kシンボルの信号点をS2Aとする。
第k−Mシンボルでは、直接波のベクトルS1Aに対し、遅延波のベクトルS1AdはβAだけ位相が異なる。直接波は、ベクトルS1Aを起点に時間と共にΦA m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS1A’で表される。遅延波は、ベクトルS1Adを起点に時間と共にΦA m(t-τ)に応じて位相が変化し、時刻tにおいてベクトルS1Ad’で表される。このとき、時刻tにおける受信波のベクトルはVA k-Mとなる。
同様に、第kシンボルについて、直接波のベクトルS2AはベクトルS1Aに対してΔθkだけ異なり、遅延波のベクトルS2AdはベクトルS2Aに対してβAだけ位相が異なる。そして、直接波はベクトルS2Aを起点に時間と共にΦA m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS2A’で表される。遅延波は、ベクトルS2Adを起点に時間と共に、ΦA m(t-τ)に応じて位相が変化し、ある時刻tにおいてベクトルS2Ad’で表される。このとき、時刻tにおける受信波ベクトルはVA kとなる。
このように、送信信号Aの直接波及び遅延波について、第k−Mシンボルと第kシンボルとは、それぞれシンボル内で同じように位相が遷移するので、2つの受信波ベクトルVA kとVA k-Mとの位相関係も任意の時刻tにおいて常にΔθkとなる。
図19Bは、送信信号Bの直接波と遅延波との位相遷移をベクトルで表した模式図である。ここでも、図16Bにおける有効区間(ii)又は(ii)'についてのみ考える。図19Bも、送信データを表し、検波対象となるMシンボルだけ離れたシンボル間の位相差Δθkがπとなる場合を一例として示している。送信信号Aの第k−Mシンボルの信号点S1Aから位相差α’だけ回った所に、送信信号Bの信号点S1Bがあり、さらに、Δθkだけ回転した所に、第kシンボルの信号点S2Bがある。
第k−Mシンボルでは、直接波のベクトルS1Bに対し、遅延波のベクトルS1BdはβBだけ位相が異なる。直接波は、ベクトルS1Bを起点に時間と共にΦB m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS1B'で表される。遅延波は、ベクトルS1Bdを起点に時間と共にΦB m(t-τ)に応じて位相が変化し、時刻tにおいてベクトルS1Bd'で表される。このとき、時刻tにおける受信波のベクトルはVB k-Mとなる。
同様に第kシンボルについて、直接波のベクトルS2BはベクトルS1Bに対してΔθkだけ異なり、遅延波のベクトルS 2Bd はベクトルS2Bに対してβBだけ位相が異なる。そして、直接波はベクトルS2Bを起点に時間と共にΦB m(t)に応じて位相が変化し、任意の時刻tにおいてベクトルS2B'で表される。遅延波は、ベクトルS2Bdを起点に時間と共に、ΦB m(t-τ)に応じて位相が変化し、ある時刻tにおいてベクトルS2Bd'で表される。このとき、時刻tにおける受信波ベクトルはVB kとなる。このように、送信信号Bの直接波と遅延波について、第k−Mシンボルと第kシンボルとは、それぞれシンボル内で同じように位相が遷移するので、2つの受信波ベクトルVB kとVB k-Mとの位相関係も任意の時刻tにおいて常にΔθkとなる。
結局、図15に示す4つ全ての到来波がある場合、図20に示すように、第k−MシンボルではVA k-MとVB k-Mとのベクトル和VAB k-Mが、第kシンボルではVA kとVB kのベクトル和VAB kが、結局受信されることになるが、両者の位相差は、やはり有効区間内の任意の時刻tにおいて常にΔθkとなる。このことは、この受信信号から遅延検波した検波出力は、両ベクトルVA kとVB k(又はVA k-MとVB k-M)が打ち消し合うか、2つのアンテナからの各々直接波と遅延波が同時に打ち消し合って両ベクトルVA kとVB k(又はVA k-MとVB k-M)とが同時に消失するかしない限り、つまり一瞬消失するようなことがあったとしても、その他では、送信データに対応した、常に正しい極性の出力が得られることを意味する。つまり、図13及び図14で説明した通り、一瞬はゼロになる場合があったとしてもそれ以外ではゼロにはならない検波出力が得られ、さらに低域通過フィルタを通すことで、一部がゼロとなって欠損したとしてもシンボル内の有効区間内で複数の時間位置で得られる有効な出力を合成した検波出力が得られて、パスダイバーシチ効果が発揮される。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る無線伝送システムは、複数の無線局11において、同じ送信データを差動符号化して互いに異なるシンボル波形で各々変調して送信し、受信局12において、遅延検波によって検波する。これにより、より広い遅延範囲(到来タイミングの差異)でも、特有のパスダイバーシチ効果による誤り率の改善効果が得られる。これに伴って、帯域制限等の具体的な変調パラメータ等にも左右されるが、他が同じ条件であれば、シンボル波形を異ならせることで、遅延許容範囲が増大することに従って最大有効ブランチ数も増加する。
図21は、図57と同様に、本発明の伝送方法によるビット誤り率と遅延量τとの関係を模式的に示した図である。遅延量τがシンボル長T(又は−T)に近づくにつれて有効区間が短くなり、最終的には消滅して誤り率が劣化する所は同じだが、遅延量τが0付近でも誤り率が改善される所が異なる。従って、本発明の伝送方法では、特許文献1のように、到来信号間に意図的な所定遅延を挿入することは必ずしも必要でなく、むしろ到来タイミングが同じであっても特有のダイバーシチ効果性が得られる。図21には、この様子を図示しているが、図57と比べると、大きく遅延耐性範囲が改善される。
以上のように、異なるシンボル波形と到来タイミング(遅延差)とを組み合わせることにより、さらなるパスダイバーシチの効果を引き出す(最大有効ブランチ数を増加させる)ことができる。
ここで、無線伝送システムにおいて、異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数を最大限に活用してパスダイバーシチ効果を発揮させるために必要となるシンボル波形と到来タイミングの条件について説明する。以下では、無線伝送システム内で異なるシンボル波形(又はシンボル波形系列)がW1及びW2の2種類で、かつ、シンボル波形毎に最大有効ブランチ数に相当する到来タイミングがT1及びT2である場合を想定して説明する。
タイミングT1及びT2と許容遅延量(良好な誤り率の区間)との関係は、図21内に示した設定が好ましい。つまり、T2>T1とすると、3種類の到来時間差T1−T2、0(T1−T1又はT2−T2)、及びT2−T1を生じるが、これらが許容遅延量内にある必要がある。また、到来時間差がT1−T2及びT2−T1においては、同一シンボル波形同士でもパスダイバーシチ効果を生じるが(図57を参照)、到来時間差0においては、異なるシンボル波形を用いた信号同士である必要がある。
この場合、異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数は4つで、シンボル波形と到来タイミングの組は、W1T1、W1T2、W2T1、及びW2T2の4種類の中から選ばれる必要がある。つまり、同時送信する無線局の数が最大有効ブランチ数(この場合は4つ)以下の場合、各無線局はこれら4つの組の中から互いに異なる組を用いて送信を行う必要がある。また、同時送信する無線局の数が最大有効ブランチ数を超える場合でも、これら4つの組以外の組み合わせを作らず、各無線局のうち4つの無線局は4つの組の中から互いに異なる組を用いて送信を行い、残りの無線局はこれら4つの組のいずれかを選んで送信を行う必要がある。
図22は、上述した特有のパスダイバーシチ効果を活かして構成される無線伝送システムにおける無線局11の動作を示すフローチャートである。
まず、データ保持部22は、送信データを保存する(ステップS501)。送信タイミング制御部23は、基準タイミングから所定の遅延量だけ遅延させたタイミングを、送信開始タイミングとして決定する(ステップS502)。そして、送信タイミング制御部23は、送信開始タイミングになると(ステップS503、Yes)、送信開始信号を生成して変調部21に渡す。変調部21は、送信開始信号に応じて、波形選択信号が示すシンボル波形で送信データを変調して出力する。変調された送信データは、RF部24及びアンテナ25を経由して受信局12に送信される(ステップS504)。
図23は、無線局A〜Dが信号を送信するタイミングを示す図である。無線局A〜Dが保持する遅延量tA〜tDは、T1又はT2の2種類とする。図23に示すように、4つの無線局A〜Dは、基準タイミングT0に遅延量T1又はT2を与えたタイミング、つまり(T1+T0)又は(T2+T0)のいずれかのタイミングで信号を送信する。無線局A〜Dが信号に与える遅延量tA〜tDは、例えばtA=tC=T1及びtB=tD=T2となるように設定される。ここで、無線局A及びDはシンボル波形W1で送信し、無線局BとCはシンボル波形W2で送信する。なお、無線局A〜Dと受信局12との間の伝搬時間aA〜aDは、無視できるほどに小さいか又は全て同じGであるものとする。
受信局12は、タイミング(T1+G+T0)とタイミング(T2+G+T0)との2つのタイミングで、無線局A〜Dから送信されてくる信号を受信する。この2つのタイミングは、(T2−T1)の時間差がある。従って、同じシンボル波形ではあるが、無線局Aと無線局Dとの間、及び無線局Bと無線局Cとの間は、信号の到来に適度な時間差があるので、パスダイバーシチによる効果を発揮して伝送特性を改善することができる。しかも、信号の到来が同じ時間になる、無線局Aと無線局Cとの間、及び無線局Bと無線局Dとの間でも、シンボル波形が異なるので、パスダイバーシチ効果を発生させることができる。結局、無線伝送システム全体では、異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数に等しい4パスのダイバーシチ効果を得ることができる。
なお、最大有効ブランチ数を超える無線局(例えば無線局E)を有する無線伝送システムであっても、到来タイミングが(T1+G+T0)か(T2+G+T0)のどちらかになるように、無線局Eからデータ送信されるように設定すれば(シンボル波形は重なるのでW1又はW2のどちらでもよい)、特性を最大限に発揮させることができる。
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、無線局の数が、受信局が利用可能な最大有効ブランチ数以上であっても、パスダイバーシチによる効果に寄与する最大有効ブランチ数の制限下において、パスダイバーシチによる効果を最大限に得ることができる。
また、第1の実施形態では、4つの無線局A〜Dは、予め遅延量T1又はT2のいずれかを保持していた。ここで、各無線局A〜Dは、遅延量T1及びT2の双方を保持していることにしてもよい。このとき、選択される遅延量は、常に同一であってもランダムであってもよい。また、各無線局A〜Dが共有する基準タイミング信号は、無線局以外の局(例えば、親局や送信局)から受信するビーコン信号に基づくタイミングであってもよいし、GPS(Global Positioning System)信号に含まれる時間情報や、電波時計から得られる時間タイミング等であってもよい。
なお、第1の実施形態では、基準タイミングを所定の遅延量だけ遅延させたタイミングを用いることで、各無線局からの送信タイミングに所望の遅延を付加していたが、遅延を付加する方法はこれに限らない。例えば、変調部が出力する変調ベースバンド信号に遅延を付加してもよい。図24は、変調部が出力する変調ベースバンド信号に遅延を与える場合における無線局20の構成を示すブロック図である。この無線局20は、図2に示す無線局11から送信タイミング制御部23及び波形選択制御部26を除いた構成となる。図25は、図24に示す変調部21cの構成を示すブロック図である。この変調部21cは、遅延付加部44をさらに備える点で、図3に示す変調部21と異なる。
遅延付加部44は、シフトレジスタで構成されており、所定の遅延量だけ入力信号を遅延させ、D/A変換部43へ出力する。これにより、波形記憶部42から得られる信号を所定の遅延量だけ遅延させることができる。
なお、図25では、ディジタル信号上で遅延処理を行う場合を説明したが、D/A変換部43の後段に遅延付加部44を設けてアナログ信号上で遅延処理を行ってもよい。また、遅延付加部44を読み出し制御部41と波形記憶部42との間に設けて、予め定められた遅延量に従ってアドレス信号を遅延させてもよい(図26)。
これにより、変調ベースバンド信号に所定の遅延を付加することができる。また、複数の無線局が基準タイミングから所定の遅延量を付加してデータを送信する方法であれば、以上説明した例に限らない。
以下、本発明に係る無線伝送システムを、様々な伝送形態で示す。
(第2の実施形態)
図27は、本発明の第2の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図である。図27に示す無線伝送システムは、送信局13と、複数の無線局14と、受信局12とを備える。送信局13と複数の無線局14と、及び複数の無線局14と受信局12とは、無線で接続されている。第2の実施形態に係る無線伝送システムは、受信局12へ送信すべき信号を複数の無線局14に送信する送信局13をさらに備える点で、上記第1の実施形態に係る無線伝送システムと相違する。以下、この相違する部分を中心に第2の実施形態を説明する。
この送信局13の構成は、図2に示す無線局11の構成から送信タイミング制御部23及び波形選択制御部26を除いた構成である。受信局12の構成は、図1に示す構成と同様である。図27では、無線局14の数が4つである例を示している。以後、この4つの無線局14については、区別する必要がある場合はそれぞれ無線局A1〜D1と表記し、区別する必要がない場合は無線局14と表記する。
図28は、送信局13及び無線局14の送信信号に用いられるフレームの構成を示す図である。図28において、フレームは、プリアンブル(以下、PRと呼ぶ)と、ユニークワード(以下、UWと呼ぶ)と、情報データとから構成される。PRは、利得制御、シンボル同期、及び周波数同期等のために用いられる。UWは、フレーム種別の判定やフレーム同期に用いられる。情報データは、送信側が送信しようとするデータを含む。
図29は、図27に示す無線局14の詳細な構成例を示すブロック図である。図29に示す無線局14は、図1に示す第1の実施形態に係る無線局11の構成に、復調部29、UW検出部27、遅延量設定部28、及び波形設定部30をさらに含む構成である。
送信局13が送信した信号は、無線局14のアンテナ25で受信され、RF部24で周波数変換された後、復調部29に入力される。復調部29は、入力された信号を復調して送信データを得る。UW検出部27は、復調部29から出力される送信データに含まれるUWを検出すると、UW検出信号を生成して送信タイミング制御部23に渡す。遅延量設定部28は、複数の遅延量の候補値(この例では、T1及びT2)から1つを選択し、送信タイミング制御部23に渡す。なお、選択する遅延量は、無線局毎に予め設定されている。波形設定部30は、複数のシンボル波形(又はM長のシンボル波形系列)の候補(この例では、W1及びW2)から1つを選択し、変調部21へ渡す。なお、選択するシンボル波形は、無線局毎に予め設定されている。送信タイミング制御部23は、UW検出信号を受け取ったタイミングを基準タイミングとする。なお、UW検出信号を受け取ってから所定の時間が経過したタイミングを基準タイミングとしてもよい。送信タイミング制御部23は、基準タイミングと、遅延量設定部28によって設定された遅延量とに基づいて、第1の実施形態と同様の手法で変調信号の送信タイミングを決定する。
図30は、上記構成による無線局14の動作を示すフローチャートである。
まず、送信局13からの送信信号を受信すると(ステップS601、Yes)、復調部29は、RF部24から出力される信号を復調して復調データを生成する。データ保持部22は、この復調データを送信データとして保存する(ステップS602)。また、UW検出部27は、この復調データからUWを検出し、UW検出信号を生成して送信タイミング制御部23に渡す。送信タイミング制御部23は、UW検出信号を受け取ったタイミングを基準タイミングとし(ステップS603)、当該基準タイミングと遅延量とに基づいて、送信開始タイミングを決定する(ステップS604)。そして、送信タイミング制御部23は、送信開始タイミングになると(ステップS605、Yes)、変調部21に送信開始信号を渡す。変調部21は、送信開始信号に応じて、波形バンク選択信号の示すシンボル波形で送信データを変調する。変調された送信データは、RF部24及びアンテナ25を経由して受信局12に送信される(ステップS606)。
図31は、無線局A1〜D1が信号A1〜D1を送信するタイミングを示す図である。まず、送信局13は、所定のタイミングTsに周辺の無線局A1〜D1に信号を送信する。無線局A1〜D1が送信局13からの信号を受信するタイミングは、
無線局A1:Ts+a1A
無線局B1:Ts+a1B
無線局C1:Ts+a1C
無線局D1:Ts+a1D
である。
なお、送信局13と無線局A1〜D1との間の伝搬時間a1A〜a1Dは、無視できるほどに小さいか、又は全て同じであるものとして説明する。また、伝搬時間a1A〜a1Dと、無線局A1〜D1においてUW検出信号が出力されるまでの時間とを合わせて、G1とおく。従って、UW検出信号が発生するタイミングは、無線局A1〜D1において全て等しいタイミング(Ts+G1)となる。
次に、無線局A1〜D1は、UW検出信号が示すUW検出タイミング(Ts+G1)を基準タイミングt0とする。そして、無線局A1〜D1は、基準タイミングt0に対して、遅延量tA〜tDを信号に与えて送信する。例えば、無線局A1は、基準タイミングt0からtA時間後に信号を送信する。ここで、無線局A1〜D1の送信タイミングを2つに分散させるために、第1の実施形態と同様に、遅延量tA〜tDは遅延量の候補値T1又はT2から選択される。
ここでは、一例として、tA=tC=T1及びtB=tD=T2である場合について説明する。無線局A1〜D1は、タイミング(T1+G1+Ts)又はタイミング(T2+G1+Ts)のいずれかのタイミングで信号を送信する。第1の実施形態と同様、無線局A1と無線局D1とは、シンボル波形W1で信号を送信し、無線局B1と無線局C1とはシンボル波形W2で信号を送信する。
受信局12は、無線局A1〜D1から送信されてくる信号A1〜D1を受信する。ここで、無線局A1〜D1と受信局12との間の伝搬時間a2A〜a2Dは、無視できるほどに小さいか、全て同じであるとし、これをG2とおく。従って、受信局12が信号A1〜D1を受信するタイミングは、タイミング(T1+G2+G1+Ts)とタイミング(T2+G2+G1+Ts)となる。また、この2つのタイミングは、(T2−T1)の時間差がある。従って、同じシンボル波形ではあるが、無線局A1と無線局D1との間、及び無線局B1と無線局C1との間は、信号の到来に適度な時間差があるので、パスダイバーシチによる効果を発揮して伝送特性を改善することができる。しかも、信号の到来が同じ時間になる、無線局A1と無線局C1との間、及び無線局B1と無線局D1との間も、シンボル波形が異なるので、パスダイバーシチ効果を発生させることができる。結局、無線伝送システム全体では、異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数に等しい4パスのダイバーシチ効果を得ることができる。なお、無線局がこれ以上増える場合でも、到来タイミングが(T1+G2+G1+Ts)か(T2+G2+G1+Ts)のどちらかになるように無線局が送信すれば(シンボル波形は重なるのでW1又はW2のどちらでもよい)、特性を最大限に発揮させることができる。
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、送信局から送信された信号が、複数の無線局を経由して受信局へ送信される際に、無線局において所定の遅延量が与えられる。これにより、受信局が到来波を受信する受信タイミングとシンボル波形との組の数を、異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数に等しい数とすることができる。また、無線局は、UWを検出したタイミングを基準タイミングとする。これにより、予め基準タイミング信号を保持しておく必要がない。
なお、本第2の実施形態では、基準タイミング信号にUW検出信号を用いたが、送信局から信号を受信したことを示す信号であれば、フレームの受信を完了したタイミング信号等を用いてもよい。例えば、送信データが正しく受信されたかを調べるためのCRC(Cyclic Redundancy Check)符号がフレームの最後尾に付加される場合は、この符号による判定出力信号を用いてもよい。これによれば、送信局からの信号が無線局で受信誤りと判定された場合は、受信局へ信号を送信しないようにすることができるため、結果として、受信局は正しい送信データの信号のみを受信することができる。
(第3の実施形態)
図32は、本発明の第3の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図である。この第3の実施形態に係る無線伝送システムは、無線局14(無線局A1〜D1)及び受信局12の構成、送信局15及び無線局14が送信する信号のフレーム構成、及び無線局14及び受信局12の動作は、第2の実施形態と同様であるが、送信局15が保持している送信データを2回送信する点で、第2の実施形態と相違する。以下、この相違する部分を中心に第3の実施形態を説明する。
送信局15は、無線局14に向けて1回目の信号送信を行い、受信局12に向けて2回目の信号送信を行う。ここで、送信局15は、2回目の送信信号が受信局12に到達するタイミングが、いずれかの無線局14の送信信号が受信局12に到達するタイミングと等しくなるように、信号に所定の遅延量を与えて送信する。
図33は、図32に示す送信局15の詳細な構成例を示すブロック図である。図33において、送信局15は、送信タイミング制御部151と、変調部21と、RF部24と、アンテナ25と、遅延量設定部28と、データ保持部22と、波形設定部30とを含む。送信タイミング制御部151以外の構成は、図24又は図29に示す構成と同様である。
送信タイミング制御部151は、上記第2の実施形態と同様に1回目の信号送信を実施した後、2回目の信号送信(再送信)のタイミングを制御する。送信タイミング制御部151は、基準タイミング信号が示す基準タイミングと、遅延量設定部28から受け取った遅延量とに基づいて、再送信開始タイミングを決定する。このとき、送信局15と無線局14との間の伝搬時間が無視できる程度に小さい場合は、遅延量だけを基準タイミングに加算し、同伝搬時間が大きい場合は、遅延量と伝搬時間とを基準タイミングに加算して、再送信開始タイミングを決定すればよい。そして、送信タイミング制御部151は、再送信開始タイミングになると、再送信開始信号を生成して変調部21に渡す。
図34は、上記構成による送信局15の動作を示すフローチャートである。
まず、送信局15は、データを変調して無線局14に送信する(ステップS701)。次に、送信タイミング制御部151は、基準タイミングと遅延量とに基づいて再送信開始タイミングを決定する(ステップS702)。次に、送信タイミング制御部151は、再送信開始タイミングになると(ステップS703)、再送信開始信号を生成して変調部21に渡す。変調部21は、再送信開始信号に応じて、波形バンク選択信号の示すシンボル波形で送信データを変調する。変調された送信データは、RF部24及びアンテナ25を経由して受信局12に送信される(ステップS704)。
図35は、送信局15及び無線局A1〜D1が信号を送信するタイミングを示す図である。図35は、図32に示す無線局A1〜D1が送信する変調信号のタイミングに加え、送信局15が送信する信号のタイミングが示されている。
1回目の送信によって、無線局A1〜D1が送信局15からの信号を受信するタイミングは、すでに説明したように以下の通りである。
無線局A1:Ts+a1A
無線局B1:Ts+a1B
無線局C1:Ts+a1C
無線局D1:Ts+a1D
次に、送信局15は、基準タイミングTsに基づいて、遅延量の候補値T1又はT2から選択した遅延量t0を与えて、2回目の送信を行う。図35では、送信局15は、遅延量の候補値からT1を選択し、t0=T1の遅延量を与えて信号を受信局12に送信している例を示している。送信局15が用いるシンボル波形は、W1又はW2のどちらでもよい。なお、多くの無線局が存在する場合に特性を最大限に発揮させるための条件は、すでに述べた通りである。
受信局12は、無線局14及び送信局15から送信されてきた信号を受信する。受信局12がこれらの5つの信号を受信するタイミングは、タイミング(T1+G2+G1+Ts)とタイミング(T2+G2+G1+Ts)の2つである。この2つのタイミングは、(T2−T1)の時間差がある。従って、同じシンボル波形ではあるが、無線局A1と無線局D1との間、及び無線局B1と無線局C1との間は、信号の到来に適度な時間差があるので、パスダイバーシチによる効果を発揮して伝送特性を改善することができる。しかも、信号の到来が同じ時間になる、無線局A1と無線局C1との間、及び無線局B1と無線局D1との間も、シンボル波形が異なるので、パスダイバーシチ効果を発生させることができる。結局、無線伝送システム全体では、異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数に等しい4パスのダイバーシチ効果を得ることができる。
以上のように、本発明の第3の実施形態によれば、送信局が無線局に信号を送信した後、同一の信号に所定の遅延量を与えて受信局へ送信する。これにより、受信局が受信する信号の数が増加するため、信号の受信レベルを安定させることができる。また、送信局が2回目に送信する信号は、複数の無線局14が送信した信号のいずれかと、受信局12に到達するタイミングが等しくなる。従って、受信タイミングとシンボル波形の組の数を最大有効ブランチ数以下にして、パスダイバーシチによる効果を最大限に発揮することができる。
なお、第2及び第3の実施形態において、送信局が、遅延量の候補値T1又はT2のいずれを選択するかは、予め定められていたが、各無線局が選択する遅延量は、複数の候補値からランダムに決定するようにしてもよい。また、各無線局の基準タイミングt0は、各無線局14が送信局から信号を受信したタイミング以外にも、送信局と各無線局とが共有可能なGPS信号に含まれる時間情報や電波時計から得られる時間タイミングにしてもよい。
また、図36に示すように、送信局15と無線局A1〜D1とが有線伝送路を介して接続されている構成でも、上記と同様に、受信局において最大限のパスダイバーシチの効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
図37は、本発明の第4の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図である。図37において、無線伝送システムは、送信局16と、複数の無線局17と、受信局12とを備える。送信局16と無線局17とは、有線伝送路を介して接続され、無線局17と受信局12とは、無線を介して接続される。第4の実施形態に係る無線伝送システムは、送信局16と複数の無線局17とが有線伝送路を介して接続されており、かつ複数の無線局17が用いる遅延量及びシンボル波形を送信局16が制御する点で、第2の実施形態と相違する。以下、この相違する部分を中心に第4の実施形態を説明する。
図37では、無線伝送システムが備える無線局17の数が4つである例を示している。以後、この4つの無線局17については、区別する必要がある場合はそれぞれ無線局A2〜D2と表記し、区別する必要がない場合は無線局17と表記する。受信局12の構成は、第1の実施形態に係る受信局の構成と同様であるため、説明を省略する。
送信局16は、無線局17が用いる遅延量とシンボル波形(又はM長のシンボル波形系列)とを指示する。図38は、送信局16の詳細な構成例を示すブロック図である。図38において、送信局16は、遅延量・シンボル波形決定部161と、4つの遅延量・シンボル波形付加部162A〜162Dとを含む。なお、図38では、これまでに説明してきた変調部やRF部やアンテナ部は省略している。
遅延量・シンボル波形決定部161は、無線局A2〜D2に指示する遅延量tA〜tDとシンボル波形とを、それぞれ複数の候補値(例えば、T1又はT2、W1又はW2)から選択して決定する。候補値の組の数は、無線伝送システムが許容する異なるシンボル波形を用いることで増加させた最大有効ブランチ数に等しい(これまでと同様に、最大有効ブランチ数が4つの場合を例として説明する)。遅延量・シンボル波形決定部161は、決定した遅延量tA〜tD及びシンボル波形wA〜wDを、それぞれ遅延量・シンボル波形付加部162A〜162Dに渡す。なお、遅延量・シンボル波形決定部161が、いずれの遅延量及びシンボル波形を選択するかは、予め定められていてもランダムに定めてもよい。なお、各無線局に割り当てられる遅延量及びシンボル波形の組は、均等に分散されることが望ましい。
遅延量・シンボル波形付加部162A〜162Dは、図28に示すフレーム化された送信データの後部に、決定された遅延量tA〜tDを示す遅延量情報、及び決定されたシンボル波形wA〜wDを示すシンボル波形情報を付加する。このように、送信局16は、遅延量情報とシンボル波形情報とを信号に付加することによって、送信信号の遅延量及び変調に用いるシンボル波形を無線局17へ通知する。
図39は、無線局17の詳細な構成例を示すブロック図である。図39に示す無線局17は、図29に示す無線局14と比べて、遅延量・シンボル波形抽出部129の構成だけが異なる。遅延量・シンボル波形抽出部129は、復調されたデータから遅延量情報を抽出して、送信タイミング制御部23に渡し、また復調されたデータからシンボル波形情報を抽出して変調部21へ渡すと共に、遅延量情報及びシンボル波形情報を除く送信データをデータ保持部22に渡す。送信タイミング制御部23は、第2の実施形態で説明したと同様に、基準タイミングに遅延量を加算して送信タイミングを決定する。
図40は、上記構成による送信局16及び無線局17の動作を示すフローチャートである。
送信局16において、遅延量・シンボル波形決定部161は、無線局A2〜D2に指示する遅延量tA〜tD及びシンボル波形wA〜wDを、複数の候補値の中からそれぞれ決定する(ステップS801)。遅延量・シンボル波形付加部162A〜162Dは、決定された遅延量tA〜tD及びシンボル波形wA〜wDを表す値をフレーム化された送信データの後部に付加し、変調部、RF部、及びアンテナを介して無線局A2〜D2にそれぞれ送信する(ステップS802)。
無線局17において、送信局16から信号を正しく受信したと判断されると(ステップS803、Yes)、復調部29は、RF部24から出力される信号を復調して、復調データを生成する。遅延量・シンボル波形抽出部129は、復調データから遅延量及びシンボル波形の情報を抽出する(ステップS804)。次に、送信タイミング制御部23は、基準タイミングに遅延量を加算して送信タイミングを決定する(ステップS805)。そして、送信タイミング制御部23は、送信開始タイミングになると(ステップS806、Yes)、変調部21に送信開始信号を渡す。変調部21は、抽出した波形バンク選択信号の示すシンボル波形で、送信データを変調する。変調された送信データは、RF部24及びアンテナ25を経由して受信局12に送信される(ステップS807)。
以上のように、本発明の第4の実施形態によれば、無線局が送信する信号のタイミング及び変調に用いるシンボル波形を、送信局が直接制御することができる。
なお、第4の実施形態では、遅延量及びシンボル波形を、送信局が無線局へ信号とは別に通知する例を説明した。しかし、送信局は、各無線局に送信する信号に所定の遅延量を与えて送信してもよい。図41は、この場合に無線局が送信する信号のタイミングを示す図である。
送信局16が、無線局A2及びC2の送信信号に与える遅延量tA及びtCはT1であり、無線局B2及びD2の送信信号に与える遅延量tB及びtDはT2である。送信局16は、所定のタイミングに対して、遅延量T1又はT2を与えて各無線局に信号を送信する。送信局16と各無線局A2〜D2との間の伝搬時間G1を用いると、無線局A2及びC2が送信局16からの信号を受信するタイミングは(T1+G1)である。また、無線局B2及びD2が送信局16からの信号を受信するタイミングは(T2+G1)である。また、無線局A2〜D2と受信局12との間の伝搬時間G2を用いると、受信局12は、タイミング(T1+G1+G2)又はタイミング(T2+G1+G2)のいずれかで信号A2〜D2を受信することとなる。これにより、パスダイバーシチによる効果を発揮して伝送特性を改善することができる。
なお、上記第4の実施形態では、候補値の中から遅延量を選択することで各無線局が用いる遅延量を決定していたが、送信局と各無線局とを接続する有線伝送路の長さを調整することで、遅延量を決定してもよい。
(第5の実施形態)
第1〜第4の実施形態では、複数の無線局と受信局との間の距離は、無視できる程度に小さいか、又は全て同じである場合について説明した。以下の実施形態では、複数の無線局と受信局との距離の差が、無視できないほど大きい場合について説明する。
図42は、本発明の第5の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図である。第5の実施形態において、送信局16、無線局17、及び受信局12の構成は、第4の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
送信局16は、無線局A2〜D2に送信すべき信号A2〜D2に、それぞれ遅延量tA〜tDを与えて送信する。ここで、送信局16と無線局A2〜D2とを接続する有線伝送路の長さはほぼ等しいものと仮定する。従って、送信局16から無線局A2〜D2までの信号A2〜D2の伝搬時間a1A〜a1Dは、全て同じG1としておく。
1つの無線局は1つの通信エリアを形成しており、複数の無線局A2〜D2を、複数の通信エリアが連続するように配列する。例えば、複数の無線局A2〜D2が、直線状に配置される。また、複数の通信エリアが重複する部分を複合エリアと呼び、特に無線局A2、B2、及びC2の通信エリアが重複する部分を複合エリアAと、無線局B2、C2、及びD2の通信エリアが重複する部分を複合エリアBと呼ぶことにする。なお、複合エリアとして重複する通信エリアは3つに限られず、2つでも4つ以上でもよい。また、無線局A2〜D2が送信する信号を区別する必要がある場合、それぞれ信号A〜Dと呼ぶ。
受信局12が複合エリアA内に位置する場合、受信局12は信号A〜Cを受信する。一方、受信局12が複合エリアB内に位置する場合、受信局12は信号B〜Dを受信する。このように、複合エリアA及びBでは、3つの無線局17からの信号が到来する。
図43は、2つの無線局A2及びB2と、受信局12との位置関係を示す概略図である。ここで、受信局12のアンテナの高さをHr、無線局A2及びB2のアンテナの高さをHt、無線局A2と無線局B2との距離をL、受信局12と無線局A2との距離をxとすると、無線局A2と受信局12との行路長(伝搬距離)zA、及び無線局B2と受信局12との行路長zBは、次式(16)及び式(17)で表される。
Figure 0005058974
Figure 0005058974
よって、行路長zBと行路長zAとの差である行路長差Δzは、次式(18)で表される。
Figure 0005058974
ここで、道路上を走行する車両が路側に設置された無線機と無線通信することを想定して、L=60m、Ht=10m、Hr=1mと仮定する。
図44は、行路長差Δzと、受信局12及び無線局の距離xとの関係を示す図である。図44において、縦軸は行路長差Δzを示し、横軸は受信局12及び無線局17の距離xを示す。
図44に示すように、無線局A2と受信局12との距離が数m以上程度離れていれば、行路長差Δzを、無線局A2及びB2のアンテナ間距離に近似することができる。よって、受信局12の位置によらず、行路長差Δzは、アンテナ間隔Lにほぼ等しく、次式(19)で表される。
Δz=zB−zA≒L …(19)
従って、距離Lに相当する伝搬時間をPとすれば、無線局A2からの伝搬時間pAと無線局B2からの伝搬時間pBとの差Δpは、次式(20)となる。
Δp=pB−pA≒P …(20)
そして、無線局A2にはタイミングtAで、無線局B2にはタイミングtBで、無線局C2にはタイミングtCで、及び無線局D2にはタイミングtDで送信する。ここで、tAとtBの時間差をtAB=tB−tAとおく。他の遅延量についても同様に、この表記に従う。
次に、遅延量tA及びtCの設定方法と、受信局12が複合エリアA(無線局A2が最前)に位置する場合の受信タイミングについて説明する。
図45は、受信局12が複合エリアA内に位置する場合における信号のタイミングを示す図である。受信局12は、常に手前から3局目までの無線局A2〜C2からの信号を受信する。ここで、無線局A2〜C2の伝搬時間をそれぞれpAA、pBA、及びpCAとする。これらは、式(20)の近似から、複合エリアA内の受信局12の位置に関わらず、次式(21)とおける。
pBA−pAA=P(>0)、pCA−pAA=2P …(21)
各無線局A2〜C2からの信号が受信局12で受信されるタイミングは、以下になる。
無線局A2からの信号A2:tA+α+pAA
無線局B2からの信号B2:tB+α+pBA
無線局C2からの信号C2:tC+α+pCA
また、信号A2と信号B2との到来時間差τAB、及び信号A2と信号C2との到来時間差τACは、それぞれ次式(22)及び式(23)で表される。
τAB=(tB−tA)+(pBA−pAA)=tAB+P …(22)
τAC=(tC−tA)+(pCA−pAA)=tAC+2P …(23)
ここで、tAC=−2P(=tC−tA<0)となるように遅延量tCを設定すれば、τAC=0となる。従って、受信局12は、信号A2と信号C2とを同じタイミングで受信する。ここで、tACが負であるということは、tCの方がtAより早いタイミングであることを意味している。そして、受信局12は、信号A及び信号Cの受信タイミングから(tAB+P)経過後に信号Bを受信する。つまり、受信局12は、3つの無線局から送信された信号を、2つのタイミングで受信することとなる。
同様に、遅延量tB及びtDの設定方法と、受信局12が複合エリアB(無線局B2が最前)に位置する場合の受信タイミングについて説明する。
図46は、受信局12が複合エリアB内に位置する場合における無線伝送システムの構成を示す図であり、図47は、受信局12が複合エリアB内に位置する場合における信号のタイミングを示す図である。
受信局12は、常に手前から3局目までの無線局B2〜D2からの信号を受信可能で、無線局B2〜D2の伝搬時間をそれぞれpBB、pCB、及びpDBとする。これらは、式(20)の近似から、複合エリアB内の受信局12の位置に関わらず、次式(24)とおける。
pCB−pBB=P(>0)、pDB−pBB=2P …(24)
各無線局B2〜D2からの信号が受信局12で受信されるタイミングは、以下になる。
無線局B2からの信号B2:tB+α+pBB
無線局C2からの信号C2:tC+α+pCB
無線局D2からの信号D2:tD+α+pDB
また、信号B2と信号C2との到来時間差τBC、及び信号B2と信号D2との到来時間差τBDは、それぞれ次式(25)及び式(26)で表される。
τBC=(tC−tB)+(pCB−pBB)
=(tAC+tA)−(tAB+tA)+P
=−2P−tAB+P=−(tAB+P) (<0) …(25)
τBD=(tD−tB)+(pDB−pBB)=tBD+2P …(26)
ここで、例えば、tBD=−2P(=tD−tB<0)となるように、遅延量tB及びtDを設定すれば、τBD=0となる。よって、受信局12は、信号Bと信号Dとを同じタイミングで受信する。従って、受信局12は、はじめに信号Cを受信し、その後(tAB+P)経過後に信号B及び信号Dを同じタイミングで受信する。つまり、受信局12は、3つの無線局から送信された信号を、2つのタイミングで受信することとなる。
このように、複合エリアA及びBにおいては、受信端では常に手前から3つの無線局17からの信号が2つのタイミングで受信されることになる。そして、その2つのタイミングは、次隣接の無線局、本実施形態では無線局A2及びC2の組と、無線局B2及びD2の組になる。このように、受信局12がどの複合エリアに位置する場合であっても、隣接の無線局から送信される信号を異なるタイミングで受信することができる。
以上のように、本発明の第5の実施形態によれば、複数の無線局と受信局との伝搬時間差が無視できないほどに大きい場合であっても、受信局が受信する信号のタイミングの数が、パスダイバーシチによる効果に寄与するタイミング(ここでは2つ)になるように、送信局が各無線局に送信する信号に与える遅延量を調整する。そして、さらに、同じタイミングで届く無線局、ここでは、無線局B2と無線局D2のシンボル波形(又はM長のシンボル波形系列)を異なるものにすれば、これら2つの間でもパスダイバーシチ効果を生じさせることができる。図47では、無線局D2はシンボル波形W2で送信し、無線局B2とC2はシンボル波形W1で送信した例を示している。これにより、受信局において、パスダイバーシチによる効果を最大限に得ることができる。
また、複合エリアAで考えると、無線局A2からの信号が無線局B2からの信号と同じタイミングで到達するように設定することで、タイミング2種類とシンボル波形2種類の組み合わせの4種類の最大有効ブランチ数に相当するパスダイバーシチ効果が得られる。
なお、本第5の実施形態では、4つの無線局を例に説明したが、設置する無線局の数をさらに増やし、エリアを拡張することもできる。この場合の到来タイミング(この例では、T1とT2)とシンボル波形(この例では、W1とW2)の無線局毎の割り当て例を図50に示す。近傍隣接する無線局からの到来波に対し、それより遠方の無線局からの到来波のレベルは一般に低く、近傍隣接する2つの無線局からの到来波が伝送特性への影響が大きい。しかるに、到来タイミングとシンボル波形の4種類の組T1とW1、T1とW2、T2とW1、T2とW2は、隣接する無線局間で違う組が使われることが望ましい。図50は、この条件を満たす代表的な16種類の配置パタンを示しており、各々の配置の考え方を最右欄に記述している。
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、第5の実施形態で示した連続的な線状連続エリアを横方向に配列することで、面状エリアを構成し、各複合エリアで2つのタイミングで信号を受信することを特徴とする。
図48は、本発明の第6の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図である。第6の実施形態において、送信局16、無線局17、及び受信局12の構成は、第5の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第6の実施形態に係る無線伝送システムは、8つの無線局17を備える。一列に並んだ4つの無線局17を一組として、二組が面状の通信エリアを構成するように配置されている。なお、この8つの無線局17を区別する必要がある場合、一方の組に含まれる無線局17を順番に無線局A2〜D2と呼び、他方の組に含まれる無線局17を順番に無線局B3〜E3と呼ぶ。
また、無線局A2〜C2が形成する複合エリアを複合エリアA1と、無線局B2〜D2が形成する複合エリアを複合エリアB1と呼び、無線局B3〜D3が形成する複合エリアを複合エリアB2と、無線局C3〜E3が形成する複合エリアを複合エリアC2と呼ぶ。基本的には、図50に示す配置パタンの中から、2種類の配置パタンを用いることになる。第5の実施形態と同様に、近傍の無線局同士は、到来タイミング又はシンボル波形のいずれかが違う組が使われることが最大限にパスダイバーシチ効果を引き出す上で望ましい。例えば、図50の配置パタン1及び配置パタン2を横に並べると、近傍のどの4つ(例えば点線四角で囲った)の無線局をとっても同じ組が存在せず、全ての組み合わせが隣接しており、最大限のパスダイバーシチ効果を期待することができる。図48の実際的な配置図で言えば、複合エリアA1、B1、B2、C2、及びこれら4つの複合エリアの中央部も含め、最大限に得られたパスダイバーシチ効果により良好な伝送特性が得られる。
このように、本発明の第6の実施形態によれば、一列に配置した無線局の組を面状に配置することによって、パスダイバーシチによる効果を発揮しつつ、より広い通信エリアをカバーすることができる。また、受信局から遠い無線局からの信号が受信局に対して干渉を生じさせず、パスダイバーシチによる効果に寄与させることができる。
また、本実施形態では、4つの複合エリアを構成する8つの無線局を例に説明したが、さらにエリア数を増やすために、縦横連続的に無線局を並べて増やすこともできる。
図49は、複数の無線局によって形成された複合エリアの配置の一例を示す図である。図49に示す例は、図50の配置パタン1及び配置パタン2を横に繰り返し並べたもので、隣接するどの4つの無線局をとっても(例えば点線四角内)、同じ組が存在せず、全ての組み合わせが隣接しており、最大限のパスダイバーシチ効果を期待することができる。
なお、上記第5及び第6の実施形態では、各無線局が等間隔に配列されており、隣接する無線局間での伝搬時間差は全て等しくPとする場合を説明した。しかし、各伝搬時間に差がある場合でも、送信局が送信タイミングを調整することで、受信局12がどのエリアにいても2つのタイミングで信号を受信できる。
また、受信局は、3つの無線局からの信号を受信する場合を説明した。しかし、2つの受信タイミングに集約されるように遅延量を設定しておけば、受信局が受信する無線局からの信号に制限はない。
また、遅延量tA、tB、tC、及びtDを信号に与える代わりに、送信局と各無線局とを接続する有線伝送路の長さを調整することによって、各無線局へ送信する信号に与える遅延量を決定してもよい。
なお、各実施形態で説明した遅延量・シンボル波形決定部や送信タイミング制御部等の無線局が備える各機能ブロックは、典型的には、集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
本発明の無線伝送システムは、無線局が中継送信時に同時送信する複局同時送信システムにおいて、特に、複数の無線局が近接してパスダイバーシチ効果が得られないほどに伝搬距離が短くなることが想定される家庭内で電化製品を無線接続するシステムや、通信エリアが局所的に限られて送受信間の伝搬時間を設計段階で意図的に調整できる狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)システム・路車間通信システム等に利用できる。
本発明の第1の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図 無線局11の詳細な構成例を示すブロック図 変調部21の詳細な構成例を示すブロック図 本発明の第1の実施形態に係る伝送システムの差動符号化規則の一例及び信号空間ダイアグラムを示す図 変調部21の各ブロックの内部構成例を示した図 変調部21が生成するシンボル波形の位相遷移の一例を示す模式図 受信局12の詳細な構成例を示すブロック図 復調部33の詳細な構成例を示すブロック図 受信局12での到来信号A及びBの位相をシンボル毎に示した模式図 到来信号Aと到来信号Bとの位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図 到来信号Aと到来信号Bとの間の位相関係をベクトルで表した図 到来信号Aと到来信号Bとの間の位相遷移をベクトルで表した図 伝搬路の遅延分散性が無視できる場合に受信局12で受信された到来信号A及びBの位相関係を示した模式図 図13に示す到来信号A及びBの低域通過フィルタ1810及び1811通過後の検波出力を示す図 2つの無線局A及びBからの2波到来モデルの概念図 送信信号Aの直接波と遅延波との位相の変化をシンボル毎に示した模式図 送信信号Bの直接波と遅延波との位相の変化をシンボル毎に示した模式図 送信信号A及びBの直接波及び遅延波について、各々の搬送波の受信点での位相関係を示した図 送信信号Aの直接波と遅延波との位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図 送信信号Bの直接波と遅延波との位相関係及びシンボル間の位相関係を模式的に示した位相遷移図 送信信号Aの直接波と遅延波との位相遷移をベクトルで表した模式図 送信信号Bの直接波と遅延波との位相遷移をベクトルで表した模式図 全ての到来波の位相遷移をベクトルで表した模式図 本発明の伝送方法によるビット誤り率と遅延量τとの関係を模式的に示した図 無線局11の動作を示すフローチャート 無線局A〜Dが信号を送信するタイミングを示す図 変調部が変調ベースバンド信号に遅延を与える場合における無線局20の構成を示すブロック図 変調部21cの詳細な構成例を示すブロック図 変調部21cの他の詳細な構成例を示すブロック図 本発明の第2の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図 送信局13及び無線局14が送信する信号に用いられるフレームの構成を示す図 無線局14の詳細な構成例を示すブロック図 無線局14の動作を示すフローチャート 無線局A1〜D1が信号A1〜D1を送信するタイミングを示す図 本発明の第3の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図 送信局15の詳細な構成例成を示すブロック図 送信局15の動作を示すフローチャート 送信局15及び無線局A1〜D1が送信する信号のタイミングを示す図 本発明の第3の実施形態に係る無線伝送システムの他の構成を示す図 本発明の第4の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図 送信局16の詳細な構成例を示すブロック図 無線局17の詳細な構成例を示すブロック図 送信局16及び無線局17の動作を示すフローチャート 無線局17による信号の送信タイミング例を示す図 本発明の第5の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図 2つの無線局A2及びB2と、受信局12との位置関係を示す概略図 行路長差Δzと、受信局12及び無線局の距離xとの関係を示す図 受信局12が複合エリアA内に位置する場合における信号のタイミングを示す図 受信局12が複合エリアB内に位置する場合における無線伝送システムの構成を示す図 受信局12が複合エリアB内に位置する場合における信号のタイミングを示す図 本発明の第6の実施形態に係る無線伝送システムの構成を示す図 複数の無線局によって形成された複合エリアの配置の一例を示す図 到来タイミング及びシンボル波形の無線局毎の割り当て例を示す図 従来の無線通信システムのブロック図 従来のシンボル波形の位相遷移を示す概略図 伝送信号生成回路700の構成を示す図 遅延を伴う場合の到来信号A及びBの位相関係を示す概略図 従来の無線伝送システムの構成を示す模式図 従来の変調方式において到来信号の位相関係が逆相の場合を示した模式図 従来の伝送方法によるビット誤り率と遅延量τとの関係を模式的に示した図 QPSK−VP方式を用いた場合における2波の到来時間差に対するビット誤り率特性を示す図 QPSK−VP方式における受信波が2波と3波の場合のビット誤り率特性を示す図 図59における2波と3波の時間関係を示す図
符号の説明
11、14、17、20 無線局
12 受信局
13、15、16 送信局
21、21c、152 変調部
22 データ保持部
23、151 送信タイミング制御部
24、32、153 RF部
25、31 アンテナ
26 波形選択制御部
27 UW検出部
28 遅延量設定部
29、33 復調部
30 波形設定部
41 読み出し制御部
42 波形記憶部
43、1808、1809 D/A変換器
44 遅延付加部
129 遅延量・シンボル波形抽出部
161 遅延量・シンボル波形決定部
162A〜162D 遅延量・シンボル波形付加部
1601 遅延器
1602、1603 乗算器
1604、1605 移相器
1606、1607、1810、1811 低域通過フィルタ
1801 発振器
1802 L分周器
1803、1804 カウンタ
1805、1806 シフトレジスタ

Claims (28)

  1. 複数の無線局(11,14,17)、受信局(12)、及びこれらの局間に形成されるマルチパス伝送路によってパスダイバーシチを構成し、複数の無線局(11,14,17)が送信データを受信局(12)へ送信する無線伝送システムであって、
    前記複数の無線局(11,14,17)は、それぞれ
    前記複数の無線局(11,14,17)に共通の送信データと、当該送信データを送信するための前記複数の無線局(11,14,17)に共通の基準タイミング(TO)とを保持し、
    相互に異なる複数のシンボル波形(W1,W2)の候補から1つを選択する波形選択制御部(26)と、
    前記波形選択制御部(26)で選択されたシンボル波形に基づいて前記送信データから送信信号を生成する変調部(21)と、
    記基準タイミング(T0)から所定の遅延量(T1,T2)だけ遅延させたタイミングを、前記送信信号の送信を開始する送信開始タイミングとして決定する送信タイミング制御部(23)と、
    前記送信タイミング制御部(23)によって決定された前記送信開始タイミングで、前記送信信号を送信する送信部(24,25)とを備え、
    前記複数の無線局(11,14,17)は、前記シンボル波形及び前記送信開始タイミングの少なくとも一方が相互に異なる送信信号を、前記受信局(12)にそれぞれ送信し、
    前記受信局(12)は、前記送信部(24,25)から送信される前記送信信号を受信する受信部(31,32)を備え、
    前記受信部(31,32)によって送信信号が受信される受信タイミングの数が、前記異なるシンボル波形毎に複数かつ所定数以下に設定され、前記受信タイミングの差が、所定の遅延分解能以上であり、前記受信タイミングの最大値及び最小値の差が、所定の遅延上限以下となる大きさとなるように、前記所定の遅延量が設定されることを特徴とする、無線伝送システム。
  2. 前記所定の遅延分解能及び前記所定の遅延上限は、それぞれ、複数の遅延波をパスダイバーシチ受信することができる値に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  3. 前記複数の無線局(11,14,17)が持ち合わせる前記基準タイミング(T0)は、予め定められた同一のタイミングであることを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  4. 前記無線伝送システムは、前記受信局(12)へ送信すべき信号を前記複数の無線局(14)に送信する送信局(13)をさらに構成に含み、
    前記複数の無線局(14)は、それぞれ、前記送信局(13)から送信された信号を受信し、受信タイミングを検出するタイミング検出部(29,27)をさらに備え、
    前記送信タイミング制御部(23)は、前記タイミング検出部(29,27)によって検出されたタイミングを前記基準タイミングとして決定し、
    前記送信部(24,25)は、前記タイミング検出部(29,27)によって受信された信号を前記受信局へ送信する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  5. 前記タイミング検出部(29,27)は、前記信号に含まれるユニークワードを検出することを特徴とする、請求項4に記載の無線伝送システム。
  6. 前記無線伝送システムは、前記受信局(12)へ送信すべき信号を前記複数の無線局(14)に送信する送信局(15)をさらに構成に含み、
    前記送信局(15)は、
    前記複数の無線局(14)へ信号を送信する送信開始タイミングを決定し、かつ前記基準タイミング(T0)から所定の遅延量(T1,T2)だけ遅延させたタイミングを、前記受信局(12)へ信号を送信する再送信開始タイミングとして決定する送信タイミング制御部(151)と、
    前記送信開始タイミングで前記複数の無線局(14)へ信号を送信し、前記再送信開始タイミングで前記受信局(12)へ信号を送信する送信部(24,25)とを備え、
    前記複数の無線局(14)は、それぞれ、
    前記送信局(15)から送信された信号を受信し、受信タイミングを検出するタイミング検出部(29,27)をさらに備え、
    前記送信タイミング制御部(23)は、前記タイミング検出部(29,27)によって検出されたタイミングを前記基準タイミングとして決定し、
    前記送信部(24,25)は、前記タイミング検出部(29,27)によって受信された信号を前記受信局へ送信する、請求項1に記載の無線伝送システム。
  7. 前記無線伝送システムは、前記受信局(12)へ送信すべき信号を前記複数の無線局(17)に送信する送信局(16)をさらに構成に含み、
    前記送信局(16)は、
    前記複数の無線局(17)が送信する信号にそれぞれ与えるべき遅延量、及び前記複数の無線局(17)が送信信号の生成に用いるシンボル波形を、複数の候補値からそれぞれ1つずつ選択する遅延量・シンボル波形決定部(161)と、
    前記遅延量・シンボル波形決定部(161)によって選択された前記遅延量及び前記シンボル波形を、前記信号に付加する遅延量・シンボル波形付加部(162A-162D)と、
    前記遅延量・シンボル波形付加部(162A-162D)によって前記遅延量及び前記シンボル波形が付加された信号を、前記複数の無線局(17)に送信する送信部(24,25)とを備え、
    前記複数の無線局(17)は、それぞれ
    前記送信局(16)から送信された信号を受信し、当該信号に付加されている前記遅延量及び前記シンボル波形を抽出する遅延量・シンボル波形抽出部(129)をさらに備え、
    前記送信タイミング制御部(23)は、前記基準タイミング(T0)から前記遅延量・シンボル波形抽出部(129) で抽出された遅延量だけ遅延させたタイミングを、前記送信開始タイミングとして決定し、
    前記変調部(21)は、前記遅延量・シンボル波形抽出部(129) で抽出されたシンボル波形に基づいて前記送信データから送信信号を生成することを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  8. 前記複数の無線局(17)は、所定の距離内で互いに隣接する無線局の通信範囲が一部重複するように配置され、
    前記遅延量・シンボル波形決定部(161)は、隣接する無線局から送信される信号が異なるタイミングで前記受信局(12)で受信され、かつ、同一の遅延量が設定された無線局から送信される信号が同じタイミングで前記受信局(12)で受信されるように、前記遅延量を調整することを特徴とする、請求項7に記載の無線伝送システム。
  9. 前記複数の無線局(17)が、線状に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の無線伝送システム。
  10. 前記線状に配置された2以上の無線局(17)の組が複数あり、当該複数の組が互いに平行に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の無線伝送システム。
  11. 前記複数の無線局(11,14,17)毎に、複数の候補値から予め定められた前記遅延量(T1,T2)を選択する遅延量設定部(28)をさらに備える、請求項1に記載の無線伝送システム。
  12. 前記複数の無線局(11,14,17)毎に、複数の候補値からランダムに前記遅延量(T1,T2)を選択する遅延量設定部(28)をさらに備える、請求項1に記載の無線伝送システム。
  13. 前記波形選択制御部(26)は、前記複数の無線局(11,14,17)毎に、複数の候補からランダムに前記シンボル波形(W1,W2)を選択することを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  14. 前記複数の無線局(11,14,17)は、所定のシンボル数だけ離れた任意の2つのシンボルのシンボル波形が、送信データにかかわらず同一であり、かつ、当該任意の2つのシンボルの位相差が、送信データに基づいて決定される前記送信信号を生成することを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  15. 前記複数の無線局(11,14,17)は、前記所定のシンボル数を1として、前記送信信号を生成することを特徴とする、請求項14に記載の無線伝送システム。
  16. 前記複数の無線局(11,14,17)は、前記位相差に、2πを2の累乗の数で均等に分割した角度のいずれかを用いることを特徴とする、請求項14に記載の無線伝送システム。
  17. 前記受信局(12)は、遅延検波によって前記検波信号を得ることを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  18. 前記複数の無線局(11,14,17)は、1シンボル期間において、位相が時間方向に増加し、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第1シンボル波形と、位相が時間方向に減少し、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第2シンボル波形とを、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  19. 前記複数の無線局(11,14,17)は、1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が減少し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が増加する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  20. 前記複数の無線局(11,14,17)は、1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が増加し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が減少する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  21. 前記複数の無線局(11,14,17)は、1シンボル期間の全てで位相の時間変化量が減少する位相遷移を有する第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  22. 前記複数の無線局(11,14,17)は、1シンボル期間において、位相が時間方向に増加した後減少に転じ、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第1シンボル波形と、位相が時間方向に減少した後増加に転じ、かつ位相の時間変化の2次微係数が常時ゼロではない位相遷移を有する第2シンボル波形とを、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  23. 前記複数の無線局(11,14,17)は、1シンボル期間の所定点までは位相の時間変化量が減少し、かつ当該所定点以降は位相の時間変化量が増加する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  24. 前記複数の無線局(11,14,17)は、前記所定点を1シンボル期間の中心点とし、中心点以前の位相と中心点以後の位相とが対称的に変化する位相遷移を有する、第1シンボル波形及び第2シンボル波形を、少なくとも前記シンボル波形の所定の数の候補に含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線伝送システム。
  25. 複数の無線局(11,14,17)、受信局(12)、及びこれらの局間に形成されるマルチパス伝送路によってパスダイバーシチを構成し、複数の無線局(11,14,17)が送信データを受信局(12)へ送信する無線伝送システムに用いられる無線局(11,14,17)であって、
    前記複数の無線局(11,14,17)に共通の送信データと、当該送信データを送信するための前記複数の無線局(11,14,17)に共通の基準タイミング(TO)とを保持し、
    相互に異なる複数のシンボル波形(W1,W2)の候補から1つを選択する波形選択制御部(26)と、
    前記波形選択制御部(26)で選択されたシンボル波形に基づいて前記送信データから送信信号を生成する変調部(21)と、
    記基準タイミング(T0)から所定の遅延量(T1,T2)だけ遅延させたタイミングを、前記送信信号の送信を開始する送信開始タイミングとして決定する送信タイミング制御部(23)と、
    前記送信タイミング制御部(23)によって決定された前記送信開始タイミングで、前記送信信号を送信する送信部(24,25)とを備え、
    前記シンボル波形及び前記送信開始タイミングの少なくとも一方が、前記複数の無線局(11,14,17)が送信する信号と相互に異なる送信信号を、前記受信局(12)に送信し、
    前記受信局(12)によって送信信号が受信される受信タイミングの数が、前記異なるシンボル波形毎に複数かつ所定数以下に設定され、前記受信タイミングの差が、所定の遅延分解能以上であり、前記受信タイミングの最大値及び最小値の差が、所定の遅延上限以下となる大きさとなるように、前記所定の遅延量が設定されることを特徴とする、無線局。
  26. 送信局(13,16)、複数の無線局(11,14,17)、受信局(12)、及び複数の無線局(11,14,17)と受信局(12)との局間に形成されるマルチパス伝送路によってパスダイバーシチを構成し、送信局(13,16)が複数の無線局(11,14,17)を経由して送信データを受信局(12)へ送信する無線伝送システムに用いられる送信局(13,16)であって、
    前記複数の無線局(11,14,17)は、それぞれ前記複数の無線局(11,14,17)に共通の送信データと、当該送信データを送信するための前記複数の無線局(11,14,17)に共通の基準タイミング(TO)とを保持しており、
    前記複数の無線局(11,14,17)の各々について、相互に異なる複数のシンボル波形(W1,W2)の候補から1つを選択する波形選択制御部(26)と、
    前記波形選択制御部(26)で選択されたそれぞれのシンボル波形に基づいて、前記送信データから前記複数の無線局(11,14,17)向けの送信信号をそれぞれ生成する変調部(21)と、
    前記複数の無線局(11,14,17)の各々について、前記基準タイミング(T0)から所定の遅延量(T1,T2)だけ遅延させたタイミングを、前記送信信号の送信を開始する送信開始タイミングとして決定する送信タイミング制御部(23)と、
    前記送信タイミング制御部(23)によって決定された前記送信開始タイミングで、前記送信信号を前記複数の無線局(11,14,17)へそれぞれ送信する送信部(24,25)とを備え、
    前記複数の無線局(11,14,17)によって、前記シンボル波形及び前記送信開始タイミングの少なくとも一方が相互に異なる送信信号が、前記受信局(12)にそれぞれ送信され、
    前記受信局(12)によって送信信号が受信される受信タイミングの数が、前記異なるシンボル波形毎に複数かつ所定数以下に設定され、前記受信タイミングの差が、所定の遅延分解能以上であり、前記受信タイミングの最大値及び最小値の差が、所定の遅延上限以下となる大きさとなるように、前記所定の遅延量が設定されることを特徴とする、送信局。
  27. 複数の無線局(11,14,17)、受信局(12)、及びこれらの局間に形成されるマルチパス伝送路によってパスダイバーシチを構成する無線伝送システムにおいて、複数の無線局(11,14,17)が送信データを受信局(12)へ送信する方法であって、
    前記複数の無線局(11,14,17)は、それぞれ前記複数の無線局(11,14,17)に共通の送信データと、当該送信データを送信するための前記複数の無線局(11,14,17)に共通の基準タイミング(TO)とを保持しており、
    相互に異なる複数のシンボル波形(W1,W2)の候補から1つを選択するステップと、
    前記選択するステップで選択されたシンボル波形に基づいて前記送信データから送信信号を生成するステップと、
    前記受信局(12)によって送信信号が受信される受信タイミングの数が、前記異なるシンボル波形毎に複数かつ所定数以下に設定され、前記受信タイミングの差が、所定の遅延分解能以上であり、前記受信タイミングの最大値及び最小値の差が、所定の遅延上限以下となる大きさとなるように、所定の遅延量(T1,T2)を設定するステップと、
    記基準タイミング(T0)から所定の遅延量(T1,T2)だけ遅延させたタイミングを、前記送信信号の送信を開始する送信開始タイミングとして決定するステップと、
    前記決定するステップによって決定された前記送信開始タイミングで、前記送信信号を送信するステップとを備え
    前記シンボル波形及び前記送信開始タイミングの少なくとも一方が相互に異なる送信信号が、前記複数の無線局(11,14,17)から前記受信局(12)にそれぞれ送信される、方法。
  28. 送信局(13,16)、複数の無線局(11,14,17)、受信局(12)、及び複数の無線局(11,14,17)と受信局(12)との局間に形成されるマルチパス伝送路によってパスダイバーシチを構成する無線伝送システムにおいて、送信局(13,16)が複数の無線局(11,14,17)を経由して送信データを受信局(12)へ送信する方法であって、
    前記複数の無線局(11,14,17)は、それぞれ前記複数の無線局(11,14,17)に共通の送信データと、当該送信データを送信するための前記複数の無線局(11,14,17)に共通の基準タイミング(TO)とを保持しており、
    前記複数の無線局(11,14,17)の各々について、相互に異なる複数のシンボル波形(W1,W2)の候補から1つを選択するステップと、
    前記選択するステップで選択されたそれぞれのシンボル波形に基づいて、前記送信データから前記複数の無線局(11,14,17)向けの送信信号をそれぞれ生成するステップと、
    前記受信局(12)によって送信信号が受信される受信タイミングの数が、前記異なるシンボル波形毎に複数かつ所定数以下に設定され、前記受信タイミングの差が、所定の遅延分解能以上であり、前記受信タイミングの最大値及び最小値の差が、所定の遅延上限以下となる大きさとなるように、所定の遅延量(T1,T2)を設定するステップと、
    前記複数の無線局(11,14,17)の各々について、前記基準タイミング(T0)から所定の遅延量(T1,T2)だけ遅延させたタイミングを、前記送信信号の送信を開始する送信開始タイミングとして決定するステップと、
    前記決定するステップによって決定された前記送信開始タイミングで、前記送信信号を前記複数の無線局(11,14,17)へそれぞれ送信するステップとを備え
    前記シンボル波形及び前記送信開始タイミングの少なくとも一方が相互に異なる送信信号が、前記複数の無線局(11,14,17)から前記受信局(12)にそれぞれ送信される、方法。
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