JP5055780B2 - 正極活物質の製造方法およびそれを用いた電池 - Google Patents

正極活物質の製造方法およびそれを用いた電池 Download PDF

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Description

本発明は、リン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法と、それを用いた電池に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器類用、電気自動車用などの電源としてエネルギー密度が高く、かつ自己放電が少なくサイクル特性の良いリチウム二次電池に代表される非水電解質電池が注目されている。現在のリチウム二次電池の主流は、電池容量2Ah以下の携帯電話用を中心とした小型民生用である。現在、リチウム二次電池用の正極活物質として用いることのできる材料としては数多くのものが提案されているが、最も一般的に知られているのは、4V付近に作動電圧を有するリチウムコバルト酸化物(LiCoO)やリチウムニッケル酸化物(LiNiO)、あるいはスピネル構造を持つリチウムマンガン酸化物(LiMn)等を基本構成とするリチウム含有遷移金属酸化物群である。なかでも、リチウムコバルト酸化物は、電池容量2Ah以下の小容量リチウム二次電池においては、充放電特性とエネルギー密度に優れることから正極活物質として広く採用されている。
しかしながら、今後、リチウム二次電池技術を中型乃至大型の電池に展開すること、特に、大きな需要が見込まれる産業用途に展開することを考えた場合、電池の安全設計が非常に重要視される。このとき、現在の小型電池の仕様をそのまま展開することでは、要求される安全性を満足することについては必ずしも十分であるとはいえないと考えられている。その理由の一つとして、従来の4V級正極活物質が有する熱的不安定性が挙げられ、この課題を解決するために種々の対策が検討されているが、まだ十分とはいえない現状である。
そこで最近、熱安定性が優れるオリビン構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO)を正極活物質に用いることが検討されている。このオリビン構造を有するリン酸鉄リチウムは、リンと酸素が共有結合した構造を有しているため、高温においても酸素を放出することがなく、リチウム二次電池の正極活物質として使用することで電池の安全性を飛躍的に向上できると期待されている。
さらに、このリン酸鉄リチウムは、理論容量が170mAh/gと大きく、リチウムの挿入脱離反応が約3.4V(vs.Li/Li)という比較的高い電位で進行するため、エネルギー密度はLiCoOに匹敵する程度に高く、次世代の正極活物質としての期待も大きい。
リン酸鉄リチウムの合成方法としては、固相法(例えば、特許文献1参照)、ゾル−ゲル法(例えば非特許文献1参照)、水熱法(例えば、非特許文献2参照)が一般的に知られている。
しかしながら、このリン酸鉄リチウム固有の物性として、電子電導性が低いため、電池の正極活物質に用いた場合に充分な電流を取り出すことができず、従ってハイレート性能が低いという問題があった。
この欠点を改善するためにチタン酸リチウムの粒子に対して、その粒子表面にカーボンコートを施す手法が特許文献2〜4をはじめとして多数公開されているが、それでもまだ不十分である。
特開2000−294238号公報 特開2001−15111号公報 特開2003−157843号公報 特開2004−63386号公報 F.Croce, A.D'Epifanio, J.Hassoun, A.Deptula, T.Olczac, and B.Scrosati. "A Novel Concept for the Synthesis of an Improved LiFePO4Lithium Battery Cathode". Electochem. Solid-State Lett., vol.5, no.3, 2002, page A47-A50. S. Franger, F. Le Cras, C. Bourbon, and H. Rouault. "LiFePO4 Synthesis Routes for Enhanced Electrochemical Performance"Electochem. Solid-State Lett.vol.5, no.10,2002, page A231-A233.
本発明は、リン酸鉄リチウムを正極活物質として含有した正極を用いた電池のハイレート性能を向上させることのできるリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法及びそれを用いた電池を提供することを目的とする。
本発明の構成は次の通りである。但し、作用機構は推定を含むものであり、その正否は本発明を何ら制限するものではない。
(1)鉄元素を含む金属元素化合物と、有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物と、リチウム化合物と、を含む混合物を焼成してなるリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法。
(2)前記有機リン酸化合物は、フェニル構造を有する有機リン酸化合物を含む上記(1)項記載のリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法。
(3)前記有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物は、前記有機リン酸化合物を、全てのリン酸化合物に対してリン酸構造(PO )のモル比において5%以上含む請求項1記載のリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法により製造された正極活物質を含有する正極を備えた電池。
本発明にいうリン酸鉄リチウムは、オリビン構造を有し、組成式LiFePOで表される物質に代表されるものである。
本発明の製造方法において、「鉄元素を含む金属元素化合物」は、1種又は2種以上の鉄元素化合物の他に鉄以外の金属元素化合物を含んでいてもよい。鉄以外の金属元素としては特に限定されるものではないが、例えば、Mn元素化合物、Al元素化合物、Mg元素化合物及びNb元素化合物からなる群より選ばれる金属元素化合物を1種以上選択して混合することにより、LiFe1−xMPO(Mは、Mn,Al,Mg,Nbからなる群から選択される1種又は2種以上の元素)を生成させることができる。
「鉄元素を含む金属元素化合物」としては、鉄(II)化合物を好適に用いることができる。なかでも、鉄の有機錯体を用いることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、「有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物」を用いることにより、焼成工程において、有機リン酸化合物の熱分解により、リン酸部はリチウムリン酸化合物の生成に供され、残りの有機残渣部はさらなる熱分解により導電性炭素を生成し、この導電性炭素がリン酸鉄化合物の粒子表面に配される。このようにして、本発明の製造方法により製造された正極活物質を含有する正極を備えた電池は、充放電時の分極抵抗が小さいものとなり、ハイレート性能が向上されたものとすることができる。
リン酸鉄化合物をカーボンコートする従来技術としては、焼成工程に供する混合物として、金属源、リン酸源、リチウム源となる化合物の他に熱分解して導電性炭素を形成する有機物を加える方法があるが、本発明の製造方法によれば、これらの従来技術に比べて、電池のハイレート性能を顕著に向上させることのできるリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法を提供できる。この理由については必ずしも明らかではないが、本発明の製造方法においては、同一化合物がリン酸源と炭素源を兼ねているので、生成するリン酸鉄化合物の核に極めて近接した場所で導電性炭素が生成することから、リン酸鉄リチウムの粒子表面に極めて均一に炭素が配されるためではないかと本発明者らは推察している。
「有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物」としては、1種又は2種以上の有機リン酸化合物と1種又は2種以上の無機リン酸化合物を混合して用いてもよい。無機リン酸化合物を併用することにより、有機リン酸化合物のみを用いた場合に比べ、得られるリン酸鉄化合物の単位質量あたりの放電容量を向上できる点で好ましい。無機リン酸化合物を併用する場合、有機リン酸化合物の割合は、全てのリン酸化合物に対してリン酸構造(PO)のモル比で5%以上含んでいるものとすることにより、これを活物質として用いた電池のハイレート性能を十分に高いものとすることができるため、好ましい。有機リン酸化合物と無機リン酸化合物の混合比については、電池設計に応じ、得られるリン酸鉄化合物の単位質量あたりの放電容量を勘案しながら適宜増減することが好ましい。
併用する無機リン酸化合物としては、特に限定されるものではないが、なかでも、熱分解時に酸性ガスを放出しないリン酸化合物を選択することが好ましい。
前記有機リン酸化合物として1種又は2種以上の有機リン酸化合物を用いることができ、その種類については特に限定されるものではない。但し、(CHO)POを用いると、リン酸鉄リチウムの結晶成長を阻害するので好ましくない。
また、本発明の製造方法によれば、前記有機リン酸化合物は、フェニル構造を有する有機リン酸化合物を含むものとすることにより、特に上記作用が確実に奏されるため、好ましい。フェニル基を有する有機リン酸化合物は1種又は2種以上を選択して用いることができる。
また、前記有機リン酸化合物が、フェニル構造を有する有機リン酸化合物を含むものとすることにより、リン酸鉄リチウムの粒子表面に配される導電性炭素が単に導電助剤として働くだけでなく、イオンの吸着/脱着に伴う可逆性の電気容量を示す活物質材料を得ることができる。これを正極活物質として用いることにより、充放電の初期や末期における電圧変化をなだらかなものとすることができるので、応用機器における放電末検出等の電池制御を容易にできる。また、応用機器による瞬間的な電圧変化やピーク負荷があっても、それに伴う電池電圧の急激な変化を起こしにくい電池を提供できる。
焼成工程に供する混合物が含有する「リチウム化合物」としては、特に限定されるものではないが、なかでも、熱分解時に酸性ガスを放出しないリチウム化合物を選択することが好ましく、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、リン酸リチウム、酢酸リチウム等を例示することができる。
焼成工程に用いる焼成雰囲気は、不活性ガスが好ましく、不活性ガスの種類については限定されるものではないが、コスト等の点から窒素ガスが好ましい。
焼成温度は400℃以上900℃以下が好ましい。なかでも、550℃以上800℃以下が特に好ましい。
本発明によれば、リン酸鉄リチウムを正極活物質として含有した正極を用いた電池のハイレート性能を向上させることのできるリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法及びそれを用いた電池を提供することができる。
以下、本発明のリン酸鉄リチウム含有正極活物質を非水電解質二次電池に適用する場合を例示して説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
非水電解質は、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエ−テル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
電解質塩としては、例えば、LiClO,LiBF,LiAsF,LiPF,LiCFSO,LiN(SOCF,LiN(SO,LiN(SOCF)(SO),LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO,KSCN等のイオン性化合物が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.5mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、1mol/l〜2.5mol/lである。
負極材料としては、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(LiTi12等)、ポリリン酸化合物等が挙げられる。これらの中でもグラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電を実現できる点で好ましい。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。特に,負極活物質粒子表面を不定形炭素等で修飾してあるグラファイトは、充電中のガス発生が少ないことから望ましい。また、LiTi12は電解質塩としてリチウム塩を採用した場合に自己放電を少なくでき、かつ高温での保存特性が優れた電池系となる点で負極材料として好ましい。
正極活物質の粉体は、平均粒子径5μm以下であることが望ましい。特に、電子伝導性の観点から2μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
前記正極及び負極には、活物質の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が含有されたものとすることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の記載により限定されるものではない。
(実施例1)
「鉄元素を含む金属元素化合物」としてシュウ酸鉄二水和物(FeC・2HO)を用い、「有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物」としてリン酸二水素アンモニウム(NHPO)とリン酸トリフェニル((CO)PO)を1:1のモル比で混合したものを用い、「リチウム化合物」として炭酸リチウム(LiCO)を用いた。前記「鉄元素を含む金属元素化合物」と前記「有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物」と前記「リチウム化合物」とをモル比が2:2:1になるように計り取り、混合した後、さらに、エタノールを加えてペースト状とし、窒素雰囲気下にて、ボールミル(FRITSCH社製プラネタリーミル、ボール径1cm)を用いて2時間湿式粉砕混合を行った。このようにして混合物を準備した。
前記混合物をアルミナ製の匣鉢(外形寸法90×90×50mm)に入れ、さらにアルミナ製の蓋を被せて、雰囲気置換式焼成炉(デンケン社製卓上真空ガス置換炉KDF−75)を用いて、窒素ガスの流通下(流速2.0リットル/分)で焼成した。焼成温度は750℃とし、焼成時間(前記焼成温度を維持する時間)は12時間とした。なお、昇温速度は5℃/分、降温は自然放冷とした。このようにしてリン酸鉄リチウム含有正極活物質を作製した。
参考
「有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物」に代えて、リン酸トリフェニル((CO)PO)のみを用いたことを除いては、実施例1と同様にしてリン酸鉄リチウム含有正極活物質を作製した。
参考
「有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物」に代えて、リン酸トリトリル((CHO)PO)のみを用いたことを除いては、実施例1と同様にしてリン酸鉄リチウム含有正極活物質を作製した。
(比較例1)
「有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物」に代えて、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)のみを用いたこと、及び、焼成温度を700℃としたことを除いては、実施例1と同様にして、リン酸鉄リチウム化合物を作製した。得られたリン酸鉄リチウム化合物にポリビニルアルコールを加えて混合し、この混合物をアルミナ製の匣鉢に入れ、環状焼成炉にて窒素ガスの流通下(流速1.5リットル/分)で700℃、2時間熱処理することでリン酸鉄リチウム化合物粒子表面へのカーボンコートを行った。ここで、ポリビニルアルコールの量は、熱処理によりポリビニルアルコールから生成する炭素質量が混合するリン酸鉄リチウム化合物の5質量%になるように計算して用いた。このようにして正極活物質を作製した。
(比較例2)
シュウ酸鉄二水和物(FeC・2HO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)及び炭酸リチウム(LiCO)をモル比が2:2:1になるように計り取り、さらに、砂糖を加えて乾式混合した。ここで、砂糖の量は、熱処理により砂糖から生成する炭素質量が混合するリン酸鉄リチウム化合物の5質量%になるように計算して用いた。さらに、エタノールを加えてペースト状とし、窒素雰囲気下にて、ボールミル(FRITSCH社製プラネタリーミル、ボール径1cm)を用いて2時間湿式粉砕混合を行った。このようにして、鉄源、リン源、リチウム源及び炭素源を含む混合物を準備した。
前記混合物をアルミナ製の匣鉢(外形寸法90×90×50mm)に入れ、さらにアルミナ製の蓋を被せて、雰囲気置換式焼成炉(デンケン社製卓上真空ガス置換炉KDF−75)を用いて、窒素ガスの流通下(流速2.0リットル/分)で焼成した。焼成温度は700℃とし、焼成時間(前記焼成温度を維持する時間)は2時間とした。なお、昇温速度は5℃/分、降温は自然放冷とした。このようにして正極活物質を作製した。
(比較例3)
砂糖に代えてポリビニルアルコールを用いたことを除いては、比較例2と同様にして正極活物質を作製した。
CuKα線を使用した粉末エックス線回折測定(XRD)の結果、上記全ての実施例及び比較例においてLiFePOの存在が確認された。
(正極の作製)
上記の実施例及び比較例で得られた正極活物質をそれぞれ用い、次の手順で正極を作製した。正極活物質、導電剤であるアセチレンブラック及び結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)が質量比80:8:12の割合で混合されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする正極ペーストを準備した。該正極ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体上の両面に塗布、乾燥した後、プレス加工を行い、正極とした。該正極にはアルミニウム製の正極端子を超音波溶接により接続した。
(負極の作製)
負極活物質としての人造黒鉛(平均粒径6μm、エックス線回折分析による面間隔(d002)0.337nm、c軸方向の結晶の大きさ(Lc)55nm)及び結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)が質量比94:6の割合で混合されたN―メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする負極ペーストを準備した。該負極ペーストを厚さ15μmの銅箔集電体上の両面に塗布、乾燥した後、プレス加工して負極とした。該負極にはニッケル製の負極端子を抵抗溶接により溶接した。
(非水電解質の調製)
エチレンカーボネート及びジメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、含フッ素系電解質塩であるLiPFを1mol/lの濃度で溶解させ、非水電解質を作製した。該非水電解質中の水分量は30ppm未満とした。
(電池の作製)
露点温度が−40℃以下の乾燥雰囲気下において非水電解質電池を作製した。正極と負極とを厚さ20μmのポリプロピレン製セパレータを介して1枚ずつ対向させた。外装体として、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、この極群を前記正極端子及び負極端子の開放端部が外部露出するように注液孔となる部分を除いて気密封止した。
前記注液孔から一定量の非水電解質を注液後、減圧状態で前記注液孔部分を熱封口し、非水電解質電池を組み立てた。
(電池初期活性化)
次に、5サイクルの充放電を行うことで初期活性化を行った。このときの充電条件は、充電電流0.1ItmA(約10時間率)、充電電圧3.8V、充電時間15時間の定電流定電圧充電とし、放電条件は、放電電流0.1ItmA(約10時間率)、放電終止電圧2.0Vの定電流放電とした。5サイクル目の放電容量を「初期放電容量(mAh)」とした。
(ハイレート放電試験)
続いて、温度25℃において、上記と同一の条件で充電を行った後、放電電流10.0ItmA(約0.1時間率)、放電終止電圧2.0Vの定電流放電を行った。このときの放電容量の前記初期放電容量に対する百分率を求め、「ハイレート性能(%)」とした。結果を表1に示す。
(有機リン酸化合物の有無によるハイレート性能への影響)
表1より、有機リン酸化合物を含むリン酸化合物を用いて得た実施例1と参考例1及び2の正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質電池のハイレート性能が、有機リン酸化合物を含まないリン酸化合物を用いて得た比較例1の正極活物質や、リン酸鉄リチウムに対して別途有機化合物を混合して熱を加えてカーボンコートした比較例2,3の正極活物質を含有する正極を備えた非水電解質電池のハイレート性能に比べて顕著に向上していることがわかる。
本発明の製造方法によれば、リン酸鉄リチウム粒子に配される炭素源となる有機物はもともと有機リン酸化合物として存在していたため、従来法に比べて、生成するリン酸鉄リチウムに対してより近接した場所で導電性炭素に変化するため、より均一に粒子を配することができたものと推察される。さらに、フェニル構造を有する有機リン酸化合物を用いることにより、イオンの吸・脱着に伴う電気容量を有する炭素がリン酸鉄リチウム粒子の表面に配されることで、正極活物質粒子に対する充・放電時の分極抵抗が緩和され、短時間での大電流通電が可能になると考えられる。この結果、これを用いた電池のハイレート性能を向上させることができたものと推察される。
(充放電プロファイルの特徴について)
図1及び図2に、実施例及び比較例の充放電プロファイルを比較して示す。図1には、参考の正極活物質を用いた非水電解質電池の充放電プロファイルを、図2には、比較例1の正極活物質を用いた非水電解質電池の充放電プロファイルを代表して示した。このように、フェニル構造を有する有機リン酸化合物を用いた実施例に係る正極活物質を用いた本発明電池においては、充放電の初期や末期における電圧変化をなだらかなものとなっていることがわかる。
なお、本願は固相法に適用したものであるが、ゾル−ゲル法、水熱法といったリン酸鉄リチウムを合成する他の方法に適用しても効果が認められる可能性があると本発明者らは考えているが、現時点では未確認である。
参考2の電池の充放電プロファイルの例である 比較例1の電池の充放電プロファイルの例である

Claims (4)

  1. 鉄元素を含む金属元素化合物と、有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物と、リチウム化合物と、を含む混合物を焼成してなるリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法。
  2. 前記有機リン酸化合物は、フェニル構造を有する有機リン酸化合物を含む請求項1記載のリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法。
  3. 前記有機リン酸化合物及び無機リン酸化合物を含むリン酸化合物は、前記有機リン酸化合物を、全てのリン酸化合物に対してリン酸構造(PO )のモル比において5%以上含む請求項1記載のリン酸鉄リチウム含有正極活物質の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された正極活物質を含有する正極を備えた電池。
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