JP5055478B2 - Icタグ - Google Patents
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Description
このようなリネン物品の取り扱いの際に、個々のリネン物品を識別して、例えば、使用材料や製造条件、製造時期、製造ロット、使用開始後の経過期間や洗濯回数などの使用履歴、その他の情報を管理することで、リネン物品の取り扱いを適切かつ能率的に行なうことが考えられた。
ところが、リネン物品にICタグを取り付けておくと、リネン物品に混入した金属異物を金属探知装置で検査する際に、誤作動が起こり易いという問題がある。金属探知装置が、金属材料を含むICタグを金属異物として検知してしまうのである。人体に触れることのあるリネン物品は、安全上の観点からも金属探知検査は、かかせない作業である。
金属探知装置で針片などの微小な金属異物までを検知しようとして探知感度を上げると、非磁性材料とされている銅やパラジウムを使用するICタグであっても磁性的に反応してしまうことがある。
その理由の一つは、ICタグに含まれるアンテナが、金属探知装置の磁界や磁力線の影響を受けて電磁気的に反応するのであると考えられる。非磁性材料であっても、導電材料である限り、アンテナによる電磁気的な反応をなくすことは困難である。また、金属探知装置が、鉄などの磁性金属だけでなく、非磁性金属からなる異物についても検知できる機能を備えている場合には、非磁性材料を用いたICタグでも、検知され易くなる。
リネン物品に限らず、ICタグを取り付ける物品には、同様の問題が発生する。
各構成について具体的に説明する。
電子情報を記憶して外部の情報通信器と非接触で情報通信する。
データキャリア、電子タグ、RFIDタグなどと呼ばれている微小な電子部品である。基本的な構造は、通常のICタグなどと共通している。
情報通信は、通常、電磁誘導方式で行われる。通信周波数は、ICタグの規格によって決められている。例えば、13.56MHzを採用するものが知られている。
ICタグには、電子回路部、アンテナ部および保護外殻部を備えている。
〔電子回路部〕
電子情報の記憶および入出力を行なう。ICタグの動作および情報機能を果たす基本的な構造である。
電子回路部は、ICタグとしての情報機能が果たせる限り、金属探知装置に対する反応性をできるだけ抑えておくことが望ましい。基本的には、出来るだけ小型であることが望ましい。回路などの導体部分の量や配置面積ができるだけ小さいものが望ましい。電磁的に反応し難い材料や構造が望ましい。
具体的には、電子回路部となるベアICチップの投影面積を0.1〜2.0mm2に設定する。好ましくは、投影面積0.5〜1.5mm2である。ここで規定する投影面積は、ベアICチップの姿勢を変えて投影面積を測定したときに、最も大きくなる投影面積で規定する。通常、ベアICチップは平板状をなすので、この場合は、平面積が投影面積になる。
〔アンテナ部〕
電子回路部と電気的に接続され情報通信器との情報通信を行なう。
基本的には、通常のICタグにおけるアンテナ構造と同様の材料や構造の範囲の中で、金属探知装置への反応性が弱くなる条件を採用する。
アンテナ構造として、基本的には通常のループアンテナが採用される。ループアンテナは、アンテナ線がループ状をなし、その両端が電子回路部に電気的に接続されている。ループアンテナのループは、1重である場合、複数のループが渦巻状に配置されていたり、折り畳み形態で配置されていたりする場合がある。ループアンテナのループ長は、情報通信に利用する周波数によって適切な感度特性を示す範囲に設定される。
巻線アンテナは、非磁性の導電線材を用いる。具体的には、Cu、Al、Ag、Pd、Au、Ptなどの導電金属およびその合金など、通常の電子部品に利用されている導電材料を延伸加工したりして得られる細線材からなる。コスト的および性能的にCuあるいはCu合金が好ましい。導電材料であっても、強い磁性を示すFeやNiは、金属探知装置への反応性が高いので使用しない。
巻線アンテナの線径、すなわち、導電線材の線径を10〜100μmの範囲に設定できる。線径が細過ぎると、アンテナ形状への加工が難しかったり強度が低下したり、電気抵抗が大きくなってアンテナ性能が低下したりする。線径が太過ぎると、金属探知装置に反応し易くなる。ここで、線径は、断面円形であれば直径で規定され、円以外の断面形状の場合は最大の差渡し径で規定することができる。
巻線アンテナの全体形状は、基本的には中空円形状すなわちドーナツ形である。中空楕円形状、中空多角形状なども採用できる。外周形状と内周形状とを違えることもできる。巻線アンテナを構成する中空渦巻は、通常、同じ平面上で内周から外周へと渦巻を構成するが、内周から外周へと厚み方向に傾斜させて、厚みのあるテーパー状の渦巻を構成させることもできる。
また、巻線アンテナの外周径を5〜50mmに設定することができる。好ましくは、8〜40mmである。より好ましくは9〜20mmである。ループアンテナのループ長は同じでも、導電線材の巻数を変えれば、巻線アンテナの外周径が変わる。巻線アンテナの全体形状が、中空円形状の場合は、巻線アンテナの外周径は円の直径である。それ以外の形状の場合は、最大の差渡し径と最小の差渡し径との平均値で外周径を規定することができる。
巻線アンテナにおいて、中空渦巻形状を構成する導電線材は、絶縁性が確保される限り内外周の間隔を少なくしておくほうが、全体の小型化を図れる。導電線材が絶縁被複層で覆われている場合は、内外周で互いに接触させておくことができる。
一つの電子回路部に、電気的特性の異なる複数のアンテナ部を組み合わせることもできる。例えば、ループ長を違えて周波数特性の異ならせた2つのアンテナ部を組み合わせることができる。この場合、個々のアンテナ部が前記した各条件を備えていることが望ましい。また、複数のアンテナ部を合わせたアンテナ部全体で、前記各条件を満足させることが望ましい。
電子回路部およびアンテナ部を収容して、物理的あるいは化学的に保護しておく機能を果たす。
基本的には、通常の封入構造のICタグと同様の材料、構造が採用できる。ICタグの使用環境に合わせて、その使用環境に耐える材料および構造を適切に設定することが望ましい。
例えば、リネン物品の管理に用いる場合は、リネン物品に、洗濯、乾燥、プレスなどの作業を行なうとき、あるいは、リネン物品の使用時に晒される環境における温度、圧力、摩擦、化学薬品との接触、光線の照射などに耐えることが要求される。
リネン物品用のICタグのような過酷な使用環境で使用されるICタグの保護外殻部を構成する樹脂材料として、ポリエステル系樹脂などが使用できる。
保護外殻部の形状は、電子回路部およびアンテナ部の形状に合わせて設定される。通常、面状に配置された中空渦巻状のアンテナ部に対して、中空部分に電子回路部が配置されるので、アンテナ部の外形状に合わせて保護外殻部の外形を設定すればよい。
保護外殻部の外面は凹凸の少ない滑らかな形状が、機械的な損傷を防止するために有効である。
保護外殻部は、予め製造された容器状の保護外殻部に、電子回路部およびアンテナ部を収容し蓋を閉じて一体接合することもできる。保護外殻部を成形製造する際に成形型に電子回路部およびアンテナ部を配置しておいて、成形と同時に封入一体化させることもできる。保護外殻部となる樹脂液に、電子回路部およびアンテナ部を浸漬し引き上げ、電子回路部およびアンテナ部の外周を覆う樹脂液を硬化させる方法も採用できる。一対のシート状をなす保護外殻部の間に、電子回路部およびアンテナ部を挟んで、両側のシート状保護外殻部を接着したり、プレス圧着したりする方法も採用できる。袋状をなす保護外殻部に電子回路部およびアンテナ部を収容したあと、加熱収縮させたり、真空吸引したあと開口を封止したりすることもできる。組立状態で保護外殻部と電子回路部およびアンテナ部の間にできる隙間を樹脂などで埋めてしまうことができる。
〔その他の構造〕
ICタグには、電子回路部、アンテナ部および保護外殻部に加えて、必要に応じて、別の構造部分や機能部分を備えておくこともできる。
〔インレット〕
ICタグは、前記した電子回路部およびアンテナ部が組み込まれたインレットを、予め製造しておき、このインレットを保護外殻部に収容することで製造できる。
インレットは、ICタグを構成せず、単独で対象物品に内蔵したり付設したりして使用することもできる。保護部材や固定部材を有しないインレットを、そのまま、対象物品に内蔵したり付設したりできる。インレットが露出した状態で使用される場合は、電子回路部やアンテナ部を保護する部材を設けておくことが望ましい。
基本的には、通常のICタグと同様に、各種の材料や構造からなる対象物品に取り付けておいて、対象物品の情報管理に利用することができる。
特に、対象物品が、金属探知装置による検査を受ける用途に有用である。
対象物品として、前記したシーツなどのリネン物品のほか、肌着やインナーウェアその他の衣料品あるいはアパレル製品、布団や枕、マットレスなどの寝装品、その他の各種布製品、さらには、加工食品、農海産物などの生鮮食品、薬品やガーゼなどの医療用品、化粧品、美理容用品、ぬいぐるみ等の趣味用品、これらの物品を収容した包装体、などが挙げられる。なお、複数の物品を収容した包装体の場合、個別の物品それぞれにICタグを取り付ける場合と、包装体の全体を個別の物品とみなして、包装体にICタグを取り付ける場合とがある。
<リネン物品>
前記したICタグは、リネン物品の管理に適している。
リネン物品は、シーツやベッドカバー、まくら、まくらカバー、パジャマ、バスタオルなど、ホテルなどの宿泊施設で使用され、使用、洗濯、再使用を繰り返す繊維製品である。病院や美理容院、スポーツ施設、介護施設などにおいても、同様のリネン物品が使用される。飛行機や鉄道などの乗り物で使用される座席カバーやテーブルクロスなどもある。食品や医薬品の製造工場や処理工場など各種の産業現場において使用される作業着や作業用資材も含まれる。
そこで、リネン物品を、製造型番や製造ロットなどで包括的に管理するだけでなく、個々のリネン物品毎に、個別の情報を管理することが必要になる。そのためには、個々のリネン物品にICタグを取り付けておくことが有効である。
<金属探知>
ICタグが付設された対象物品に対して、金属探知装置を用いて、金属異物の混入を検査することができる。
金属探知装置の探知感度を、検出できる金属球体の直径で表現することがある。例えば、アパレル分野の検針器では、直径1.0mmの鉄球を検出できる程度の探知感度に設定されることがある。食品分野の金属探知機で、直径1.2mmの鉄球、および、直径3.0mmのステンレス(SUS)球を検出できる探知感度に設定されることがある。
金属探知装置による検査は、対象物品を一つずつ検査する場合のほか、複数の対象物品を同時に検査する場合がある。集積状態あるいは集合状態の複数の対象物品が同時に、金属探知装置の検査領域に配置されたり移動通過したりすることがある。
<複数の対象物品の同時検査>
複数の対象物品が同時に検査される場合は、対象物品の数に対応する数のICタグが同時に、金属探知装置の検査領域に存在することになる。ICタグの存在数が増えるほど、反応性が強くなり、金属探知装置が誤作動し易くなる。
具体的には、金属探知装置で同時に検査される対象物品の個数Nと、対象物品に付設されたICタグの巻線アンテナの外周面積A(mm2)とが、下式(1)を満足するように、ICタグを設計しておくことができる。
A<2255/(N+1) …(1)
<情報通信>
ICタグが付設された対象物品に外部の情報通信器を近づけ、ICタグと情報通信器との間において非接触で情報通信する。
情報通信器における通信感度は、通常のICタグと同様に設定しておいてもよいし、より確実な通信を果たすために通信感度を高めに設定しておくこともできる。
なお、情報通信と金属探知とは、別々に行なうこともできるし、同時に行なうこともできる。情報通信と金属探知の何れが先であってもよい。情報通信装置と金属探知装置とが組み込まれた複合装置を用いることもできる。
具体的には、アンテナ部に、導電線材を中空渦巻状に巻回してなる巻線アンテナを用いることで、従来のICタグに採用されている印刷回路やエッチング回路からなるアンテナに比べて、通信感度を低下させることなく、金属探知装置に対する反応性を大幅に減らすことができる。特に、巻線アンテナの線径や外周面積を適切に設定することで、前記した良好な通信感度と金属探知装置に対する低い反応性とを両立させることが可能になる。
その結果、金属探知装置による検査が必要なリネン物品などの対象物品にICタグを取り付けておいても何ら問題なく使用に供することが可能になる。金属探知検査を行なう前に対象物品からICタグを一時的に取り外して再び取り付けたりする手間のかかる作業が不要になる。ICタグを取り付けた対象物品を検査するときだけ金属探知装置の探知感度を低く設定するような面倒な調整も不要になる。
図1に示すICタグ10は、シーツなどのリネン物品に取り付けて使用される。
ICタグ10は、電子回路部32、アンテナ部34および保護外殻部20とで構成されている。全体形状は、ボタンのような小さな円盤状をなし、外周縁を含む全体が滑らかな表面になっている。
電子回路部32は、所定の回路構造が組み込まれたICチップからなり、小さな矩形板状をなす、いわゆるベアICチップである。図示を省略しているが、電子回路として、メモリや入出力回路、演算回路、発振回路などを組み込んでおくことができる。なお、電子回路部32そのものには電池などの電源は備えておらず、外部の情報通信器からの電磁波を受信して、そのエネルギーで作動するようになっている。
〔ICタグの使用〕
ICタグ10は、シーツなどのリネン物品に取り付けて使用される。
対象物品の生産段階でICタグ10を取り付けておけば、その後の対象物品の処理加工や運搬、流通保管、使用、廃棄まで、全ての段階でICタグ10による個別管理が可能になる。
<情報通信>
対象物品の物品管理を、ICタグ10を利用して行なうことができる。
通常、対象物品の生産段階で、ICタグ10を取り付けておき、その後の処理や加工、取り扱いにおける管理を、ICタグ10に記録された識別番号などの情報を元にして行う。
<金属探知検査>
金属探知検査は、対象物品によって必要な段階あるいは時期に行われる。
対象物品にICタグ10が取り付けられたままでも、ICタグ10が金属探知装置で検知されて不良品と誤判定されることはない。また、ICタグ10は検知されないが、有害な金属異物は確実に検知されるように、金属探知装置の感度設定を適切に調整しておくこともできる。
複数の対象物品をまとめて金属探知装置に送り込んだ場合、対象物品の数に対応する複数のICタグ10が、金属探知装置の検査を同時に受けることになる。ICタグ10の数が増えれば、それだけ磁気的あるいは電磁的な反応性が高まり、金属探知装置で検知され易くなる。但し、複数のICタグ10が上下に重なった状態であるか、水平に並んだ状態であるかによって、金属探知装置の探知用の磁界に対する磁気作用が違ってくるので、検知され易さが違ってくる。したがって、金属探知装置に同時に送り込む複数の対象物品は、金属探知装置に検知され難い配置にしておくことが望ましい。
〔ICタグ:実施例1〕
図1に示す構造を有している。ポリエステル系樹脂からなる保護外殻部20の外径21mm、厚さ2.5mmである。
電子回路部32は、「I・CODE SLI」〔製品名、PHILIPS社製、面積約1mm2の矩形板状をなすベアICチップ、シリコン基板使用〕を用いた。通信周波数13.56MHzである。
アンテナ部34は、エナメル被覆銅線(線径70μm)を中空渦巻円状に巻回してなり、外周径18mm、内周径16mm、ループ長640mm、重量0.021gである。銅線の両端を電子回路部32のベアICチップに対して熱圧接により直接に接合している。
市販のICタグ〔テキサス・インスメンタル社製〕を用いた。外観は、実施例1と同様の円盤状(外径21mm)をなしている。外殻の樹脂部分を分解したところ、電子回路部として、モジュール基板にICチップが搭載され、アンテナ部として、線径100μmの銅線が中空渦巻円状に巻回され、モジュール基板のエッチング回路に接続されていた。
〔性能評価:情報通信〕
実施例1のICタグを用いて、情報通信が可能な最大距離を測定した。
情報通信器:
据置き型リーダ/ライタ〔TR3−L002C:タカヤ社製〕に、ロングレンジアンテナユニット〔TR3−LA101:タカヤ社製〕を組み合わせて用いた。
ICタグに対して情報通信器を離れた位置から徐々に近づけていき、情報通信器でICタグのデータを読み取ることができる最大の距離を測定した。複数回の試験を繰り返した。
試験結果:
実施例1のICタグの場合、通信可能な最大距離が17.0〜20.5cmであった。通常の使用形態でICタグに要求される通信距離として十分な性能を有していることが確認できた。
<金属探知装置>
装置A:ハシマ社製、HN−2630C(鉄片探知機、磁気誘導式)。検査面に載せた直径1.0mmの鉄球を検知できる感度(感度目盛8)に設定。
装置B:ニッシン社製、ND800i、形式91G−06018(電磁誘導式)。検査面に載せた直径2.0mmのステンレス(SUS)球を検出できる感度に設定。
<試験結果>
(1) 装置A
市販ICタグである比較例1は、検査面上で0cmの高さに置いた時には検知されなかったが、3cmの高さに置くと検知されてしまった。装置Aは、検査面の上方に検知機能部があるので、検知機能部に近くなるほど検知され易くなる。対象物品にICタグを取り付けた状態では、検査面よりも高い位置にICタグが存在するので、比較例1では、装置Aを誤動作させる可能性が高い。
(2) 装置B
装置Bでも、比較例1は、検査面上0cmで検知されてしまった。実施例1は、検査面上0cmでは検知されなかった。実施例1でも、検査面上の高さを高くしたり、複数個を水平方向にずらして配置したりすると検知されることがあるが、通常の使用形態では、誤って検知されることはないと推定できる。
〔ICタグの寸法と金属探知〕
実施例1と寸法条件を違えたICタグを製造し、その性能を評価した。
<実施例2>
実施例1において、アンテナ部として、矩形の中空渦巻状に巻回したものを用いた。外周形状が15×25mm、内周形状が13×23mmであった。これ以外の製造条件は実施例1と共通している。
実施例1において、アンテナ部の径を変更した。外周径7.5mm、内周径2.5mmであった。
<実施例4>
実施例1において、アンテナ部の径を変更した。外周径33mm、ループ長730mm、重量0.023gであった。
<比較例2>
実施例1において、電子回路部のベアICチップを、モジュール基板にベアICチップが搭載されたモジュール構造のものに変更した。アンテナ部の銅線は、モジュール基板に形成されたエッチング回路に接続した。
金属探知機〔サンコウ社製、SW−752〕を感度目盛10に設定して試験を行った。
<試験結果>
(1) 実施例2〜4の何れも、実施例1と同様に、金属探知装置で誤検知されることはなかった。また、前記した情報通信試験では、実施例2〜4の何れも、実用的に十分な通信機能を発揮できた。但し、金属探知装置に検知部に近づけて、さらに検知感度を上げると、実施例1〜3は誤検知されないが、実施例4は誤検知されることがあった。
(2) 比較例2では、検知されてしまった。このことは、アンテナ部および電子回路部の両方を、適切な条件に設定しなければならないことを裏付けている。
ICタグを複数個、同時に金属探知装置の検査領域に配置した場合の性能を評価した。
<ICタグ>
実施例1のICタグで、アンテナ部の外周径を、33mm、17.6mm、13.5mmおよび9.0mmに設定した以外は、実施例1と同じ構造のICタグを作製し、実施例5−1〜5−4とした。
<金属探知装置>
金属探知装置の検知感度を、鉄球φ1.0mmおよびSUS球φ3.0mmを検知可能に設定した。
金属探知装置を設置したコンベア上に、各実施例のICタグを、同じ平面上で前後左右に等間隔で碁盤目状に配置した状態で、金属探知装置の検知領域を通過させた。検知領域に同時に配置されるICタグの個数を順次増えるように、ICタグ同士の間隔を狭めて、同様の検査を繰り返した。
金属探知装置が誤検知を生じるICタグの最少個数を測定した。その結果は以下のとおりであった。
<試験結果>
実施例5−1:外周径33mm、外周面積830mm2、誤検知最少数2個。
実施例5−3:外周径13.5mm、外周面積116mm2、誤検知最少数21個。
実施例5−4:外周径9.0mm、外周面積38mm2、50個以上になっても誤検知されなかった。
したがって、多数の対象物品を同時に金属探知装置の検知領域に送り込む用途の場合は、同時に検知領域に存在する可能性のあるICタグの個数に合わせて、アンテナ部における外周径あるいは外周面積を制限することが有効である。前記した外周面積A(mm2)の算出式(1)に基づいて、ICタグの設計を行なうことができる。
20 保護外殻部
32 電子回路部
34 アンテナ部
Claims (6)
- 電子情報を記憶して外部の情報通信器と非接触で情報通信するICタグであって、
前記電子情報の記憶および入出力を行なう電子回路部と、
前記電子回路部と電気的に接続されている情報通信用のアンテナ部と、
前記電子回路部と前記アンテナ部が収容された保護外殻部とを備え、
前記電子回路部が、投影面積0.1〜2mm2のベアICチップからなり、
前記アンテナ部が、絶縁被覆層で覆われている非磁性で線径10〜100μmの導電線材を中空渦巻状に巻回してなる外周面積30〜1200mm2の巻線アンテナからなり、その両端が前記電子回路部のベアICチップに直接に接合されてなる、
ICタグ。 - 前記導電線材が、非磁性の導電金属またはその合金からなる群から選ばれる非磁性材料からなる、請求項1に記載のICタグ。
- 再利用可能なリネン物品に付設されてなる、請求項1または2に記載のICタグ。
- 電子情報の記憶および入出力を行なう電子回路部と、
前記電子回路部と電気的に接続されている情報通信用のアンテナ部とを備え、
前記電子回路部が、投影面積0.1〜2mm2のベアICチップからなり、
前記アンテナ部が、絶縁被覆層で覆われている非磁性で線径10〜100μmの導電線材を中空渦巻状に巻回してなる外周面積30〜1200mm2の巻線アンテナからなり、その両端が前記電子回路部のベアICチップに直接に接合されてなる、
インレット。 - 前記導電線材が、非磁性の導電金属またはその合金からなる群から選ばれる非磁性材料からなる、請求項4に記載のインレット。
- 再利用可能なリネン物品に内蔵されてなる、請求項4または5に記載のインレット。
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