JP5053898B2 - 医療用複室容器 - Google Patents

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Description

本発明は、多層フィルムを用いて形成した液剤区画室、および液剤区画室に流体密、特に液密に結合された薬剤区画室を有する医療用複室容器に関する。
従来から、栄養輸液などの薬液を収容する容器として、バイアル、バッグ、注射器などが使用され、これらの容器の大部分がプラスチック製である。このようなプラスチック製容器の中でも、少なくとも2つの成分を別々に収容する複室容器がよく知られている。このような複室容器では、柔軟性や透明性が要求されることから、プラスチックフィルムを使用して、シート状プラスチックフィルムを袋状に形成し、2つの袋を互いに結合して少なくとも2室とするか、あるいは管状フィルムを区画して少なくとも2室を形成している。このような複数の区画室間には弱溶着部と称する、接着されたフィルムの剥離強度の弱い部分を形成して、一方の区画室を外側から押圧して、弱溶着部における接着したフィルムを相互に剥離して溶着部の両側の区画室を連通し、それぞれの室に収容された成分を混合して薬液を調合することが行われている。
例えば、特開平8−280775公報には、内層をポリエチレンまたはポリエチレンとポリプロピレンのブレンドから形成したシートからなる液剤区画室と、ポリエチレンフィルムにシリカコートポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミ箔、吸水層を、ラミネートしたシートからなる薬剤区画室(通常、固形薬剤用の区画室)が液密に結合された複室容器が開示されている。
しかしながら、特に液剤区画室において、内層を構成するポリエチレンまたはポリエチレンとポリプロピレンのブレンドから形成されたシートの耐熱性が十分でなく、欧米等の諸外国で標準的に設定されている121℃以上の高圧蒸気滅菌処理(以下、単に「滅菌」とも呼ぶ)に耐えられず、容器の変形、白化等の透明性の低下が生じ、実用に耐えられる容器が得られていない。
特開2001−172441号公報には、メタロセン触媒系直鎖状ポリエチレン(以下、M−LLDPEという)を含むエチレン系重合体組成物からなる耐熱性シート及びこれを用いた輸液バッグが開示されているが、このような容器は、115℃の滅菌には耐えられるものの、121℃以上の滅菌には耐えられない。
一方、特定の組成を有するプロピレン系共重合体の組成物を内層とする121℃の滅菌に耐えられる複室容器が、例えば、特開2001−226499号公報や特開2003−52791号公報に開示されている。しかしながら、本発明者等の検討によれば、これらのプロピレン系共重合体の組成物から成るシートを容器の内層に使用すると、滅菌後に容器内層同士が剥離し難いほどブロッキングする一方、弱溶着部の剥離強度が比較的強く、容量が最大で200ml程度の比較的小容量の液剤区画室と薬剤区画室からなる複室容器に使用すると、連通が困難であり、実用性に乏しいという問題があることが分かった。また、これらの組成物からなるシートは、水蒸気透過性が比較的高く、滅菌後及び保存後に液剤量が低下し、充填時に設定した適切な液剤量を薬剤に混合できない問題が内在する。
本発明の目的は、121℃以上で滅菌した後も変形、白化等の透明性悪化、内層同士のブロッキング、良好な弱溶着特性のより容易な連通、水蒸気バリア性に関連する問題点の少なくとも1つ、好ましくは複数、より好ましくは全てに関して向上させ、望ましくは、より優れた耐衝撃性をも更に有する、少なくとも1つの液剤区画室および該区画室に流体密、特に液密に結合された少なくとも1つの薬剤区画室を有する医療用複室容器を提供することにある。
上記の課題を解決するための本発明は、液剤を収容する液剤区画室、および薬剤、通常、固形薬剤、好ましくは粉末薬剤を収容する薬剤区画室を有して成る医療用複室容器であって、液剤区画室が、エチレン系重合体から形成された外層、下記の特定のプロピレン系共重合体から形成された内層、およびこれらの層の間に位置する中間層を有して成る、少なくとも3層からなる多層フィルムから形成された医療用複室容器であることを特徴とする。
上記プロピレン系共重合体は、プロピレンとエチレンを主単量体成分とする単量体混合物を重合することによって得られる重合体組成物であって、
1)エチレン含有量が7重量%以上、8重量%以下
2)融解ピーク温度が150℃以上、160℃未満
3)結晶化熱が55J/g以上、65J/g以下
である。
本発明は、エチレン系重合体から形成されたフィルムを外層とし、上述の特定のプロピレン系共重合体から形成されたフィルムを内層とし、更にこれらの間に中間層を有する、少なくとも3層からなる多層フィルムを用いて液剤区画室を構成することで、上記課題を解決するに至ったものである。中間層は、1層で形成されていても、あるいは2層以上の層で構成されたフィルムであってもよい。例えば、中間層は、2層または3層が積層されたフィルムであってもよい。尚、必要に応じて、外層と内層との間に上記中間層に加えて、更に別の層が存在してよい。また、要すれば、外層の外側に追加の層が存在してよく、内層の内側に追加の層が存在してよい
発明の実施の態様
本発明における医療用複室容器において、区画室は、平らなプラスチック枚葉状フィルムを、例えば折り曲げて、または重ねて接着することによって袋状物に形成することにより、あるいは管状フィルムを切断して接着することにより形成することができる。このように形成される区画室を複数(即ち、2つまたはそれ以上)直列に相互に結合することによって、本発明の医療用複室容器を形成できる。隣接する区画室同士の間には弱溶着部と称する剥離強度の弱い部分を形成して、一方の区画室を外側から押圧して、弱溶着部を剥離して隣接する2つ区画室を連通し、それぞれの室に収容された成分、具体的には薬剤および液剤(または液剤および別の液剤)を混合して薬液を調製することができる。このような医療用複室容器自体の構造自体は既知であり、本発明においても、そのような構造を採用することができる。
本発明において、液剤とは、薬液を調製するために薬剤区画室に含まれる薬剤と混合する液体状態にある物質であり、例えば注射用水、生理食塩水、透析液、医療処置用の置換液、アミノ酸製剤、微量元素製剤、脂肪含有製剤、ビタミン製剤、血液製剤などを例示できる。また、薬剤とは、薬液を調製するために液剤区画室に含まれる液剤と混合する、通常は固体状態にある物質であり、例えば、抗生物質、抗菌剤、抗ガン剤、ホルモン剤、漢方薬、粉末形態の濃縮物などの固形製剤を例示できる。固形製剤は、固体状態であれば特に限定されるものではないが、粉末状のものが好ましいが、別の態様では、顆粒状であってもよく、あるいはタブレット状の形態であってもよい。医療用複室容器においてこのような液剤および薬剤を使用することは既知であり、本発明の医療用複室容器においても同様に使用できる。
本発明において、医療用複室容器は、上記液剤区画室および上記薬剤区画室をそれぞれ少なくとも1つ有する、少なくとも2つの区画室からなる複室容器であって、少なくとも1つの区画室、特に端に位置する区画室は、好ましくは各区画室は、その内部と外部とを連通状態にできるポートを有する。このポートは、区画室の内部に薬剤または液剤を供給するために、あるいは、複室容器の内部から薬剤と液剤とから調製した薬液を外部に取り出すために使用できる。このようなポートとしては、一般にプラスチック製チューブのポートがある。このような複室容器自体は、既知であり、本発明の医療用複室容器も、そのような既知のものと同様であってよい。
本発明の液剤区画室の外層
本発明の医療用複室容器において、液剤区画室の外層を構成するエチレン系重合体とは、エチレンのみまたはエチレンを主成分とする単量体を重合することによって得られる重合体であれば特に限定されるものではない。具体的にはエチレンを50モル%以上含有する単量体から形成される重合体であるのが好ましい。エチレン系重合体としては、例えば次のようなものを使用できる:
密度0.91〜0.94g/cmの高圧法低密度ポリエチレン
密度0.94〜0.97g/cmの高密度ポリエチレン
密度0.91〜0.95g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン
密度0.88〜0.91g/cmのメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体
密度0.85〜0.88g/cmのエチレンと1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンとの共重合体
密度0.85〜0.88g/cmのエチレン−α−オレフィン共重合ゴム
中でも、密度0.93g/cm以上の直鎖状低密度ポリエチレンと密度0.91〜0.95g/cmの高圧法低密度ポリエチレンとのブレンドが耐熱性と柔軟性、成形性の点で好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.93g/cm未満では耐熱性に減少し、滅菌後に変形が生じ得る傾向となり、また、密度が0.95g/cm以上では、透明性、柔軟性が不十分に成り得る傾向となる。
高圧法低密度ポリエチレンは、多層フィルムとしての成形性を改良できる点で優れており、これをブレンドしない場合は、多層フィルムとしての成形が困難となる場合があり、良好な外観が得られないことがある。高圧法低密度ポリエチレンをブレンドする場合、その量は、5重量%以上、15重量%以下が好ましく、5重量%未満では、成形性の改良効果に乏しく、一方、15重量%超過では、耐熱性の悪化を招く場合がある。
本発明の液剤区画室の内層
本発明の医療用複室容器において、液剤区画室の内層を構成するプロピレン系重合体組成物は、プロピレンとエチレンを主成分とする単量体混合物を重合することによって得られる組成物であり、上述のように下記項目を満足する:
1)エチレン含有量が7重量%以上、8重量%以下
2)融解ピーク温度が150℃以上、160℃未満
3)結晶化熱が55J/g以上、65J/g以下。
上記「エチレン含有量」は、赤外分光法または13C−NMRスペクトルによりKang−Bong Lee et.al,Polymer J.28,696−702ページ(1996年)に記載の方法で求めることができる。「融解ピーク温度」及び「結晶化熱」は、示差走査熱量測定(DSC)により、それぞれJIS K7121及びJIS K7122に記載の方法で求めることができる。
エチレン含有量が7重量%未満では、特定の温度において急激に溶着強度が高くなる傾向となり、安定した弱溶着強度が得られない。一方、エチレン含有量が8重量%超過では、弱溶着強度が強すぎる傾向となり、さらに滅菌後の容器内層のブロッキングが強くなる傾向となり、剥離し難いことから実用上問題となる。
融解ピーク温度が150℃未満では、特定の温度において急激に溶着強度が高くなる傾向となり、安定した弱溶着強度が得られず、さらに、滅菌後の容器内層のブロッキングが強くなる傾向となる。一方、融解ピーク温度が160℃以上では、弱溶着強度が強すぎる傾向となる。
結晶化熱が55J/g未満では、弱溶着強度が強すぎる傾向となり、さらに滅菌後の容器内層のブロッキングが強くなる傾向となり、一方、65J/g超過では、弱溶着強度自体が得られにくく、特定の温度において急激に溶着強度が高くなる傾向となり、安定した弱溶着強度が得られない。
本発明のプロピレン系重合体組成物は、プロピレンとエチレンとを必須成分とするが、上記項目1)〜3)を満足すれば、炭素数4〜8の他のα−オレフィンと一緒に共重合して得られるものであってもよい。ここで、α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
本発明において、プロピレン系共重合体組成物は、上記項目1)〜3)、すなわち、エチレン含有量が7重量%以上、8重量%以下であり、融解ピーク温度が150℃以上、160℃未満であって、結晶化熱が55J/g以上、65J/g以下であることを満たすならば、どのような製造方法で得られるものであってもよい。例えば、連続重合により、プロピレンと1.0重量%以上、1.5重量%未満程度の少量のエチレンとのプロピレン−エチレン共重合体を製造後、プロピレンと10〜20重量%程度のエチレンとの共重合体を製造する方法、またはプロピレンと1.0重量%以上、1.5重量%未満程度の少量のエチレンとのプロピレン−エチレン共重合体とプロピレンと10〜20重量%程度のエチレンとの共重合体をそれぞれ別に重合したものをブレンドすることにより、全体として、エチレン含有量が7重量%以上、8重量%以下であり、融解ピーク温度が150℃以上、160℃未満であって、結晶化熱が55J/g以上、65J/g以下である共重合体組成物を製造する方法が挙げられる。
以下、連続重合による製造方法について詳述する。
この重合に用いられる触媒は、特に限定されるものではないが、有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とからなるものが好ましい。
ここで、有機アルミニウム化合物としては、この種の重合において公知の一般式:R AlX(3−m)(式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、mは1〜3の数である。)で表される化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。
チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、及び電子供与性化合物を必須とする固体成分としては、やはりこの種の重合において公知であって、チタン原子の供給源となるチタン化合物としては、一般式Ti(OR(4−n)(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、nは0〜4の数である。)で表される化合物が挙げられ、中で、四塩化チタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン等が好ましく、マグネシウム原子の供給源となるマグネシウム化合物としては、例えば、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド等が挙げられ、中でマグネシウムジハライド等が好ましい。尚、ハロゲン原子としては、弗素、塩素、臭素、沃素等が挙げられ、中でも、塩素が好ましく、これらは、通常、前記チタン化合物或いはマグネシウム化合物から供給されるが、アルミニウムのハロゲン化物、珪素のハロゲン化物、タングステンのハロゲン化物等の他のハロゲン供給源から供給されてもよい。
電子供与性化合物としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸又は無機酸及びその誘導体等の含酸素化合物、アンモニア、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類等の含窒素化合物等が挙げられ、中でも、無機酸エステル、有機酸エステル、有機酸ハライド等が好ましく、珪酸エステル、フタル酸エステル、酢酸セロソルブエステル、フタル酸ハライド等が更に好ましく、一般式R (3−p)Si(OR(式中、Rは炭素数3〜20、好ましくは4〜10の分岐状脂肪族炭化水素残基、又は、炭素数5〜20、好ましくは6〜10の環状脂肪族炭化水素残基を示し、Rは炭素数1〜20、好ましくは1〜10の分岐又は直鎖状脂肪族炭化水素残基を示し、Rは炭素数1〜10、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素残基を示し、pは1〜3の数である。)で表される有機珪素化合物、例えば、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン、t−ブチル−メチル−ジエトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジメトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジエトキシシラン等が特に好ましい。
本発明のプロピレン共重合体組成物の製造は、まず、最初に、プロピレンとエチレンとを、更に、必要に応じて、プロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとを供給して、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.5MPaの条件で、プロピレン共重合体またはプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体を得る重合を実施し、引き続いて、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜8のα−オレフィンとを供給して、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.3〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条件で、プロピレン−エチレン共重合体またはプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体を得る重合を実施することによりなされる。
尚、その際の重合は、回分式、連続式、半回分式のいずれによって実施してもよく、最初の重合は気相又は液相中、又、引き続き実施する重合も気相又は液相中で実施するのが好ましく、各段階の滞留時間は例えば各々0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間とする。
また、前記方法により製造される組成物の粉体粒子にベタツキ等の問題が生じる際は、粉体粒子の流動性を付与する目的で、重合開始前又は重合途中に、活性水素含有化合物を、触媒の固体成分中のチタン原子に対して100〜1000倍モルで、且つ、触媒の有機アルミニウム化合物に対して2〜5倍モルの範囲で添加することが好ましい。
ここで、活性水素含有化合物としては、例えば、水、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、酸アミド類、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
尚、本発明のプロピレン共重合体には、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、中和剤等の各種添加剤が、必要に応じて配合されてもよい。
本発明の液剤区画室の中間層
本発明の液剤区画室を形成する多層フィルムは、上述の外層と内層との間に、好ましくは内層に隣接する層として、より好ましくは内層および外層に隣接する層として、中間層を有して成る。この中間層は、外層および内層の存在下、多層フィルムの性能を補う層であり、強度、耐熱性、透明性、バリヤー性等に優れることが好ましい。特に好ましい態様では、本発明の液剤区画室を形成する多層フィルムは、プロピレン系重合体またはスチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体組成物から形成された中間層を有し、従って、多層フィルムは、少なくとも3層の層により構成される多層フィルムである。この中間層は、形成される容器の耐衝撃性に寄与し、1層のみから形成されていても、あるいは2層以上の層から形成されていてもよい。
上述の中間層を形成するプロピレン系重合体とは、エチレン含有量が6重量%以上、12重量%以下、融解ピーク温度が130℃以上、170℃未満、結晶化熱が10J/g以上、50J/g以下のプロピレンとエチレンおよび/または炭素数が4〜8のα−オレフィンとの共重合体であり、内層に用いるプロピレン系共重合体とは、結晶化熱の点で相違する。より具体的には、プロピレン系重合体としては、例えば、市販の「三菱化学製ゼラス7023」が好適である。
上記のスチレン系エラストマーとは、ビニル芳香族炭化水素・共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体を示し、一般式:a(b−a)n、(a−b)n又はa−b−cで表されるブロック共重合体の水素添加誘導体の1種または2種以上である(ただし、式中、(a)はモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、(b)はモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダム共重合体ブロック又は共役ジエンのエラストマー性重合体ブロック、(c)はモノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロックであって且つモノビニル置換芳香族炭化水素が漸増するテーパーブロックであり、nは1〜5の整数である)。
上記の重合体ブロック(a)、(b)又は(c)を構成する単量体のビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、(o−、m−、p−)メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、これらの中では、スチレン又はα−メチルスチレンが好ましい。上記の重合体ブロック(b)又は(c)における共役ジエン単量体としては、ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましい。
重合体ブロック(b)又は(c)を形成するためにブタジエンが単一の共役ジエン単量体として使用される場合は、ブロック共重合体が水素添加されて二重結合が飽和された後、プロピレン系重合体への相容性を増大する目的で、ポリブタジエンにおけるミクロ構造中の1,2−ミクロ構造が50重量%以上となる重合条件を採用するのが好ましい。1,2−ミクロ構造の好ましい割合は50重量%〜90重量%である。
重合体ブロック(a)の水素添加ブロック共重合体中に占める割合または重合体ブロック(a)と重合体ブロック(c)のビニル芳香族化合物の含量の和は、通常3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。重合体ブロック(a)の割合または重合体ブロック(a)と重合体ブロック(c)のビニル芳香族化合物の含量の和が3重量%未満の場合には、得られる組成異物の機械的強度が劣る傾向となる。また、重合体ブロック(a)の割合または重合体ブロック(a)と重合体ブロック(c)のビニル芳香族化合物の含量の和が30重量%を超える場合は、組成物の柔軟性および透明性が劣る傾向がある。
スチレン系エラストマー(ビニル芳香族炭化水素・共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の値として、通常10〜55万、好ましくは15〜50万、更に好ましくは20〜45万である。重量平均分子量が10万未満の場合は、ゴム弾性および機械的強度が劣る傾向があり、55万を超える場合は、粘度が高くなり成形加工性が劣る傾向がある。
上記のスチレン系エラストマー(ビニル芳香族炭化水素・共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体)としては、例えば、クレイトンポリマーズ社の「KRATON−G」、クラレ社の「セプトン」、「ハイブラー」、旭化成社の「タフテック」、JSR社の「ダイナロン」等の市販品が、また、カネカ社からカチオン重合により得られたスチレンブロックとイソブチレンブロックから構成される「SIBSTAR」という市販品がある。
尚、スチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体組成物としては、「三菱化学製ゼラスMC717」が好適である。特にスチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体組成物が柔軟性、透明性、耐衝撃性には優れているが、水蒸気バリア性が低くなる傾向となる。
また、本発明の本発明の液剤区画室を形成する多層フィルムは、上述の中間層に加えて、またはその代わりに、好ましくは環状ポリオレフィンから形成された中間層を有する、少なくとも3層以上より構成される多層フィルムであってよい。
環状ポリオレフィンは、水蒸気バリア性が高く、中間層に配置することで、多層フィルムの水蒸気バリア性を向上させることができる。環状ポリオレフィンとは、エチレンと環状オレフィンモノマーとの共重合体、または環状オレフィンモノマーの開環メタセシス重合体の水素添加物を指す。環状オレフィンモノマーとしては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれらの誘導体や、ノルボルネン環を有する置換および未置換の二環もしくは三環以上の多環環状オレフィンモノマー(以下、ノルボルネン系モノマーと記載することがある)が挙げられる。製造適性及び内容物適性の観点から、中でもノルボルネン系モノマーが好適に用いられる。
前記ノルボルネン系モノマーとしてより具体的には、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミドなどの二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエンなどの五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環シクロオレフィンなどが挙げられる。また、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖またはエステル基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体などのノルボルネン環を含む化合物等を用いることも可能である。
上記エチレンと環状オレフィンモノマーの共重合体としては、例えば三井化学株式会社製の「アペル」、TICONA社製の「TOPAS」等の市販品を好適に用いることができる。また、上記ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体の水素添加物としては、日本ゼオン株式会社製の「ゼオネックス」、「ゼオノア」やJSR製の「アートン」等の市販品を好適に用いることができる。
本発明における環状ポリオレフィン系樹脂としては、その透明性、水蒸気バリア性を損なわない範囲で、複数種の環状ポリオレフィン系樹脂を併用した環状ポリオレフィン系樹脂組成物を用いることもできるし、ポリエチレンやスチレン系エラストマーとの混合物を使用することができる。
中間層としては、上述のスチレン系エラストマーを含んでよいプロピレン系重合体および環状ポリオレフィンからなる群から選択された1種または2種以上の混合物から形成された層であってもよい。このような中間層は、1層または2層以上によって形成されていてよく、特に、環状ポリオレフィン層を挟むスチレン系エラストマーを含むプロピレン系重合体層からなる3層であってもよい。この態様において、内層、中間層および外層を一体として押し出す場合、スチレン系エラストマーを含むプロピレン系重合体層は、中間層としての環状ポリオレフィン層を内層および外層に接着する接着層として機能すると考えることも可能である。尚、積層順序は、目的に応じて種々選択され得る。
本発明の多層フィルムは、上述のように、内層と外層の間に、中間層を有する少なくとも3層の多層フィルムである。
本願発明において、多層フィルム全体の厚さは、通常100〜500μm、好ましくは230〜290μmであり、内層の厚さは、30〜70μm、好ましくは40〜60μmである。外層の厚さは、通常50〜90μm、好ましくは60〜80μmである。また、中間層の厚さは、通常100〜180μm、好ましくは120〜160μmである。
内層、中間層および外層からなる本発明の多層フィルムとしての3層フィルムでは、その厚さの比が、内層:中間層:外層=15〜23:70〜64:15〜24であることが好ましい。
本発明の多層フィルムの製造方法としては、いずれの適当な積層方法を使用してもよい。例えば、ドライラミネーション、押出ラミネーション、共押出ラミネーション(Tダイ法、インフレーション法)、ヒートラミネーションなど、あるいはこれらの方法を組み合わせたラミネーション法を例示できる。
なお、内層、中間層および外層は、直接接触しても、あるいはその層と別の層との間に接着層が存在してもよい。上述の積層方法はいずれも公知であり、積層する層の種類および接着層の有無等に応じて当業者が適宜最適なものを選択できる。
接着層は、上述のように層を積層するに際して、これらの層間に位置してこれらを結合する接着剤または接着性樹脂の層である。接着剤としては、ポリウレタン系接着剤などが挙げられ、接着性樹脂としてはポリオレフィン、それを無水マレイン酸等の酸で変性した酸変性ポリオレフィン、エチレンとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体などが挙げられる。接着剤の厚さは接着されるフィルムの種類、厚さなどにより適宜、選択される。
上記多層フィルムを用いて本発明の液剤区画室を製造する方法としては、真空成形、圧空成形などのシート成形法(熱成形法)、多層共押出ブロー成形などのブロー形成法、あるいは所定の形状に切断した枚葉形態の多層フィルム同士の周縁部を熱融着(強溶着)または接着剤で接着して袋状物を作製する方法など、いずれの適当な方法を用いてもよい。尚、本発明では、液剤区画室を構成する多層フィルムの内層が弱溶着部となり得る。
本発明の医療用複室容器は、液剤を収容する液剤区画室と該区画室に液密に結合された薬剤を収容する薬剤区画室を有して成る。
液剤区画室は、例えば、上記内層を内側とする管状多層フィルムの一端にポート部を介在させて周縁部を強溶着し、他の末端を熱接着して弱溶着部を形成して1つの袋状容器とする。液剤区画室と薬剤区画室との結合は、種々の方法によって実施する。
薬剤区画室は、薬剤を収容するための本体を有し、該本体は、例えば、枚葉状のフロントシートおよび枚葉状のリアシートの周囲を接着することによって構成された袋状容器であり、フロントシートおよびリアシートは多層フィルムから形成されていることが好ましい。別の態様では、管状フィルムから形成された袋状容器であってもよい。薬剤区画室には、液剤区画室と結合するために、弱溶着部を構成する別部材(例えば小片)を接合していてもよい。
薬剤区画室を構成する材料は、特に制限されないが、容器から溶出してくる低分子量成分および接着層成分の量が少なく、薬剤中の不溶性微粒子の増加などの問題を抑制または解消する容器を形成できることが好ましい。
本発明において、剥離可能な溶着部とは、イージーピール機能を有する部分であり、液剤区画室および薬剤区画室を形成する最内層を溶着した部分であるか、または最内層に対して溶着強度が小さい樹脂から形成される別部材(例えばシート状部材、小片など)と前記最内層を弱溶着した部分である。イージーピール機能とは、容器を形成するフィルムが互いに接着されて溶着された後、薬剤と液剤とを混合する薬剤調製時に、例えば手または治具で加えることができる力で(具体的には手で液剤区画室に力で押圧することによって)溶着した部分が容易に剥離可能である機能を意味する。
上述のような別部材を構成する材料としては、ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンドポリマー、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/α−オレフィン共重合体(a)と該共重合体(a)とα−オレフィン含有率の異なるプロピレン・α−オレフィン共重合体(b)および/またはプロピレン単独重合体(c)のブレンド(特許第3573091号公報)などが挙げられる。なお、上述のような剥離可能な溶着部を有する容器は公知であり、例えば、特許第3016348号公報、特許第3804504号公報等を参照できる。尚、本発明の液剤区画室を構成する多層フィルムの最内層は、それ自体を互いに合わせて熱溶着させると、弱溶着部を形成することが可能である。
本発明の1つの態様において、強溶着部における剥離強度は、通常、15〜30Nであり、弱溶着部における剥離強度は、通常、1.0〜2.0Nである。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明の医療用複室容器を詳細に説明する。なお、実施例および比較例中、各測定項目は下記方法により測定した。
耐熱性:管状の多層フィルム2枚を積層して121℃、20分間の高圧蒸気滅菌する前と後のT字剥離強度(0.49〜2.94N/15m)を測定した。
連通強度:評価基準として、直径80mmの円盤を液剤区画室に押圧し、連通する時の強度を測定した。医療用途ででは、通常、49〜245Nであることを要する。
液剤中の不溶性微粒子:光遮蔽型自動微粒子測定装置(リオン製、KL-04)または液中不溶性微粒子測定装置(Hiac/Royco80000A)を使用し、日本局方液中不溶性微粒子試験に準じた試験法で不溶性微粒子数を測定する。光遮断型微粒子測定の原理は、投射されたレーザー光によって一定流速で吸引している溶解液中に存在する不溶性微粒子がセンサー部で散乱される。この散乱光の頻度を数値に変換し、また散乱光の強度を粒径に変換することで測定値がカウントされる。
評価基準として、粒径2〜5μmの粒子が<30個、または粒径5μm以上の粒子が<10個であれば、良好と判断する。
注射剤における不溶性微粒子測定法については、日本薬局方の製剤総則の注射剤の項に記載されている。原則的には、第1法である「光遮蔽型自動微粒子測定装置による方法」が用いられ、第1法で測定できない場合に、第2法「顕微鏡による方法」を用いて測定することができる。注射剤の基準としては、第1法で測定した場合に、1mL当たり粒径10μm以上の粒子が25個以下、粒径25μm以上の粒子が3個以下である必要がある。また、第2法で測定した場合に、1mL当たり粒径10μm以上の粒子が12個以下、粒径25μm以上の粒子が2個以下である必要がある。
透明度:波長450nmにおける水中光透過率を分光光度計で測定する。
衝撃強度:(株)東洋精機の振り子式衝撃試験(DG−TB)を用いて、JISK7160に従って行った。
低温落下強度:4℃で150cmの高さから落下させ、落下時の破袋の有無を確認する。
実施例1
管状フィルムの製造
エチレン含量7.5重量%、融解ピーク温度157℃、結晶化熱60J/gのプロピレン系重合体組成物(三菱化学製ゼラスMC611)により形成した内層、スチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体(三菱化学製MC717)から形成した中間層、エチレン系重合体(LLDPE(MFR3.5g/10分、密度0.94g/cm)とLD(MFR0.9g/10分、密度0.93g/cm)との混合物(LDはLLDPEに対して10%)から形成した外層からなる三層管状フィルム(全厚さ230μm、厚さ比、内層:中間層:外層=1:3:1、直径100mm)を共押出し法により製造した(表1参照)。
液剤区画室の製造
上記管状多層フィルムから管状物(折径100μm×長さ150mm)を作製し、その一端にポートを挟み込み、該一端の縁部を145℃、3.0秒にて強溶着し、他端の中央縁部を圧力0.3Mpa、溶着温度150℃、時間3.5秒にて弱溶着して、残された縁部を145℃、3.0秒にて強溶着した。得られた容器は、一端にポートを取り付け、他端に弱溶着部を有する液剤区画室である。液剤区画室にポートから液剤として、粉末薬剤溶解用液体(具体的には生理食塩水)105mlを充填してポートの先端をキャップで閉鎖し、121℃、20分間、蒸気滅菌を施した。上記滅菌前と後の液中不溶性微粒子を、液中不溶性微粒子計(リオン製、KL−04)を用いて測定した。また、液剤区画室の連通強度、透明度、衝撃強度および低温落下強度を測定した。その結果を表2に示す。尚、図1に液剤区画室を模式的に示す。
薬剤区画室の製造
環状ポリオレフィン(日本ゼオン製、商品名ゼオノア)を中密度ポリエチレン(密度0.938)とともに、共押出し機を用いて、250℃にて押し出して2層フィルム(前者30μm、後者20μm)を製膜した。この2層フィルムの中密度ポリエチレン層上にポリオレフィン系接着性樹脂(LLDPE)を介して、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学製、厚さ12μm)および中密度ポリエチレンフィルム(密度0.938、
厚さ40μm)を順次積層して多層フィルム(フロントシートA)とした。接着剤層の厚さは、20μmであった。
次いで、環状ポリオレフィン(日本ゼオン製、商品名ゼオノア)を中密度ポリエチレン(密度0.938)とともに、共押出し機を用いて、250℃にて押し出して2層フィルム(前者30μm、後者20μm)を製膜した。別途、アルミニウム箔(サンアルミ製、厚さ20μm)とポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製、厚さ16μm)をポリウレタン系接着剤(武田薬品工業製)を使用して、積層して、2層積層体を得た。前記2層フィルムの中密度ポリエチレン層上にポリオレフィン系接着性樹脂(LLDPE)を介して、2層積層体のアルミニウム箔を積層し、多層フィルム(リアシートB)を製造した。接着剤層の厚さは20μmであった。
上記フロントシートA(縦300mm×横150mm)および上記リアシートB(縦300mm×横150mm)を重ね合わせるとともに、両フィルムの下端部から上方25mmの位置にポリエチレンとポリプロピレンを含むブレンドポリマーからなる小片(縦20mm×横75mm)を挟み込み、フロントシートとリアシートの下端部を除く周縁部を170℃、圧力0.3MPaにて強溶着した。前記小片を挟み込んだフロントシートおよびリアシートの部分を溶着温度160℃、時間1秒にて弱溶着して、弱溶着部を形成した袋状物の容器(140mm×115mm)を作成した。該弱溶着部から最下端部までは2枚のフィルムが接着されていない開放された状態で存在する。
液剤区画室と薬剤区画室の一体化
上記薬剤区画室は、袋状物(140mm×115mm)の状態でγ線滅菌を施し、無菌的に固形製剤(具体的には抗生物質)1.5mgを収容した。次いで、薬剤区画室の最下端部の2枚のフィルム間に、液剤区画室の管状フィルム末端部(弱溶着部を含む)を差し込み、薬剤区画室の外側から、150℃、4.0秒にて強溶着して、薬剤区画室と液剤区画室が結合された複室容器を製造した。
試料の作製および測定
薬液区画室に固形製剤(具体的には抗生物質)を収容し、液剤区画室に注射用溶解液(具体的には生理食塩水)を収容した複室容器を、室温で24時間保存した後、弱溶着部を剥離して、固形製剤および注射用溶解液を混合して、注射用液剤を調製した。
実施例2
実施例1において、管状フィルムの全厚さを260μmとする(内層:70μm、中間層:140μm、内層:50μm)ことを除いて、実施例1と同様にして管状フィルムを製造した。この管状フィルムを用いて、実施例1と同様に液剤区画室を製造した。液剤区画室の各物性を表2に示す。
実施例3
エチレン含量7.5重量%、融解ピーク温度157℃、結晶化熱60J/gのプロピレン系重合体組成物(三菱化学製ゼラスMC611)から形成した内層(50μm)、スチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体組成物(三菱化学製MC717)/環状ポリオレフィン/スチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体組成物(三菱化学製MC717)から形成した3層(130μm、層の比、30:70:30)から構成される中間層、エチレン系重合体(LLDPE/LD(10%))から形成した外層からなる管状5層フィルム(50μm)を共押出法により製造した(全厚さ230μm)。
上記管状多層フィルムから管状物(直径110μm×長さ155mm)を作製し、その一端にポートを取り付け、ポートを囲む縁部を145℃、3.0秒にて強溶着し、他端の中央縁部を外から、圧力0.3Mpa、溶着温度150℃、時間3.5秒にて弱溶着して、残された縁部を145℃、3.0秒にて強溶着した。得られた容器は、一端にポートを取り付け、他端に弱溶着部を有する液剤区画室である。液剤区画室にポートから液剤として、粉末薬剤溶解用液体(具体的には生理食塩水)105mlを充填してポートの先端をキャップで閉鎖し、121℃、20分間、蒸気滅菌を施した。上記滅菌前と後の液中不溶性微粒子を、液中不溶性微粒子計(リオン製、KL−04)を用いて測定した。また、液剤区画室の連通強度、透明度、衝撃強度および低温落下強度を表2に示す。
比較例1
実施例1における中間層のない2層フィルムを製造し、実施例1と同様にして液剤区画室を製造した。液剤区画室の各物性を表2に示す。得られた液剤区画室は、耐衝撃性が劣っていた。
比較例2
実施例1におけるLLDPE/LD(10%)から形成した層のみからなる単層管状フィルムを製造し、実施例1と同様にして液剤区画室を製造した。得られた液剤区画室に水を充填した後、オートクレーブ処理すると、白化や変形がひどく、各物性の測定が困難であった。
比較例3
管状フィルムの製造
密度0.928g/cm3以上のメタロセン触媒系直鎖状ポリエチレン(M−PE−1)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、密度0.91g/cm3以下のメタロセン触媒系直鎖状ポリエチレン(M−PE−2)を、ブレンダーを使用して重量割合7:1:2で混合し、インフレーション機を用いて、リップクリアランス2.5mm、引き出し速度8m/min、ダイス温度190℃の成形条件で、折り形100mm、肉厚250μmの管状フィルムを作成した。
次に、管状フィルムを150mmの長さにカットし、一端を強溶着して液剤区画室としての容器を作成し、該容器に生理食塩水を注入して、実施例1と同様にして、耐熱性、透明性、微粒子の有無、柔軟性(耐衝撃性、落下強度)の評価を行った。その結果を表2に示す。得られた液剤区画室は、耐衝撃性および弱溶着性が劣っていた。
Figure 0005053898
Figure 0005053898
表2から明らかなように、本発明の液剤区画室(実施例1、2、3)では、温度121℃の高圧蒸気滅菌に耐え、衝撃強度が向上した。また、24時間保存後に、微粒子数が2〜5μでは5個〜18個であり、5μ以上が1〜2個であった。
比較例5〜8
本発明の液剤区画室の内層に使用するプロピレン系重合体組成物(三菱化学製ゼラスMC611)(試料A)に代えて、下記表3に示すようにエチレン含有量および融解ピーク温度が相違するプロピレン系重合体(試料B〜E)を使用して実施例1と同様に複室容器を製造したが、これらは、下記表3に示すように満足すべき弱溶着部が得られなかった。また、液剤区画室の口を開き、薬剤区画室を挿入して液剤区画室と薬剤区画室とを接合するに際して、比較例5〜8では内層同士のブロッキングが生じた。
Figure 0005053898
「弱溶着性」の「強すぎる」とは強溶着の状態を意味し、「出ないとは」弱溶着より弱い状態を意味する。
「製袋性」とは、シートを製袋機にかけた場合、スムーズに流動する状態であって、「口開き」とは、シートの両面がポート装入して溶着される際に容易に開くことを意味する。
実施例4
エチレン含量7.5重量%、融解ピーク温度157℃、結晶化熱60J/gのプロピレン系共重合体(三菱化学製ゼラスMC611)から形成された内層(30μm)、それぞれがスチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体(三菱化学製MC717)で形成された3層(これらの層の厚さ比50:70:50)からなる中間層(内層と外層との間に位置する層の意味、170μm)、エチレン系重合体(LLDPE(MFR3.5g/10分、密度0.94g/cm)とLD(MFR0.9g/10分、密度0.93g/cm)との混合物(LDはLLDPEに対して10%)から形成された外層(30μm)を、5層共押出し機を使用して管状フィルムを製造した(全厚さ230μm)。表4参照。
尚、上述のように、中間層において、外側に位置する、それぞれスチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体でできた層(厚さがそれぞれ50μmの層)は、内層および外層を中間層の内の中央の層(本発明の中間層に相当、厚さ70μmの層)に接着する接着層としての機能を果たす。
上記管状多層フィルムから管状物(折り径300mm×長さ155mm)を作製し、その一端にポートを取り付け、ポートを囲む周縁部を145℃、3.0秒にて強溶着し、他端の中央周縁部を外から、圧力0.3Mpa、溶着温度150℃、時間3.5秒にて弱溶着して、残された周縁部を145℃、3.0秒にて強溶着した。得られた容器を一端にポートを取り付け、他端に弱溶着部を有する液剤区画室とした。液剤区画室の弱シール性能、透明度、水蒸気透過率、層間剥離と製膜・成形状態を表5に示す。
実施例5
上記実施例4において、スチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体(三菱化学製MC717)の中間層の比を40:60:40として、全厚さ200μmとすることを除いて、実施例4と同様にして液剤区画室を作成した。表4参照。実施例4と同様に液剤区画室の弱シール性能、透明度、水蒸気透過率、層間剥離と製膜・成形状態を表5に示す。
実施例6
エチレン含量7.5重量%、融解ピーク温度157℃、結晶化熱60J/gのプロピレン系共重合体(三菱化学製ゼラスMC611)からなる内層(30μm)、2種のスチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体組成物の混合物(三菱化学製MC717とMC719、混合比(重量基準)1:9)/環状ポリオレフィン/前記2種のスチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体の混合物(三菱化学製MC717とMC719,混合比1:9)3層(層の比、60:50:60)からなる中間層(内層と外層との間に位置する層の意味、170μm)、エチレン系重合体(LLDPE(MFR3.5g/10分、密度0.94g/cm)とLD(MFR0.9g/10分、密度0.93g/cm)との混合物(LDはLLDPEに対して10%)からなる外層(30μm)からなる5層管状フィルム(全厚さ230μm)を共押出し機を用いて製造した。表4参照。
尚、上述のように、中間層において外側に位置する、2種のスチレン系エラストマーを含有するプロピレン系重合体組成物の混合物でできた層(厚さがそれぞれ60μmの層)は、内層および外層を中間層の内の中央の層(本発明の中間層に相当、環状ポリオレフィンでできた厚さ50μmの層)に接着する接着層としての機能を果たす。
上記管状多層フィルムから管状物(折り径300mm×長さ155mm)を作製し、その一端にポートを取り付け、ポートを囲む周縁部を145℃、3.0秒にて強溶着し、他端の中央周縁部を外から、圧力0.3Mpa、溶着温度150℃、時間3.5秒にて弱溶着して、残された周縁部を145℃、3.0秒にて強溶着した。得られた容器は、一端にポートを取り付け、他端に弱溶着部を有する液剤区画室とした。液剤区画室の弱シール性能、透明度、水蒸気透過率、層間剥離と製膜・成形状態を表5に示す。
実施例7
上記実施例6において、中間層の比を45:50:45とし、全厚さを200μmとすることを除いて、実施例4と同様にして液剤区画室を作成した。実施例4と同様に液剤区画室の弱シール性能、透明度、水蒸気透過率、層間剥離と製膜・成形状態を表4および表5に示す。
Figure 0005053898
Figure 0005053898
水蒸気透過率とは、JIS K7129B法(赤外センサー法)によって測定する(単位:g/m・24時間)。
表4および表5から明らかなように、中間層として環状オリオレフィン層が存在することにより、水蒸気透過率が一層低下して、バリアー性が優れることが分かる。

Claims (5)

  1. 液剤を収容する液剤区画室および薬剤を収容する薬剤区画室を有して成り、これらの区画室の間に弱溶着部が形成されている医療用複室容器であって、
    液剤区画室が、エチレン系重合体で形成された外層、プロピレン系共重合体から形成された内層、およびこれらの層の間に位置する中間層の少なくとも3層を有して成る多層フィルムから形成され、
    プロピレン系共重合体が、プロピレンとエチレンを主成分として調製された重合体組成物であり、
    1)エチレン含有量が7重量%以上、8重量%以下
    2)融解ピーク温度が150℃以上、160℃未満
    3)結晶化熱が55J/g以上、65J/g以下
    であることを特徴とする医療用複室容器。
  2. 外層を形成するエチレン系重合体が、密度0.93g/cm以上の直鎖状低密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンとの混合物であることを特徴とする請求項1記載の医療用複室容器。
  3. 中間層は、スチレン系エラストマーを含んでよいプロピレン系重合体および環状ポリオレフィンから成る群から選択される少なくとも1種から形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の医療用複室容器。
  4. 液剤区画室と薬剤区画室とが剥離可能なシール部で流体密に接続されており、薬剤区画室はフロントシートおよびリアシートから構成された袋状物であり、液剤区画室が多層フィルムの管状物から成形されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用複室容器。
  5. 剥離可能なシール部は、液剤区画室を形成する多層フィルムの内層を互いに溶着した部分であることを特徴とする請求項4記載の医療用複室容器。
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