JP5052122B2 - 使い捨てカイロ等に使用される包装材 - Google Patents
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発熱材を封入する扁平袋体は、通常、略同一形状の通気性シートと非通気性シート、又は通気性シート同士における、互いの周縁部同士を熱圧着して扁平袋状に形成される。
この二つ折り型使い捨てカイロによれば、包装袋(外装袋)を不要として、製造の簡素化、低コスト化を図れ、且つ簡単に使用ができると共に、カイロ本体以外のゴミを大幅に低減し得るなど、多くの効果を奏する。
すなわち、本出願人による先提案の二つ折り型カイロでは、通気性シートとして、ポリエチレンフィルムなどの難剥離性接合層の上に、ナイロンフィルムなどの強度維持層を積層し、その上にイージーピールフィルムを積層し、且つ、周縁部以外の部分に微細孔が多数形成された多孔シートが開示されている。
しかし、既存の設備を用いてこのような積層構造の通気性シートを押し出し成形などで一体成形することは容易ではなく、新規な成形装置が必要となり、コスト高になるという問題があった。
すなわち、靴の中で使用する足用タイプや肌着に貼って使用する貼るタイプでは通気性の悪い環境で使用するので高い通気性(例えば3000sec/100cc程度)が必要とされ、貼らないタイプでは通気性が良すぎると発熱材が発熱し過ぎるので、通気性を抑制(例えば35000sec/100cc程度に)する必要がある。
このように通気性を制御するには、前記した積層構造の通気性シートに形成する微細孔の孔径や数などを調整しなければならず、製造に手間がかかると共に、コスト高になるという問題がある。
よって、前記接着層は、前記針孔を塞がないように形成する必要がある。具体的には、接着層として、多孔質合成樹脂フィルム(又はイージーピールフィルム)に接着剤を格子状、網目状、散在状、ドット状などに塗布するなどの手段をあげることができる。
イージーピールフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムの表面にスチロール樹脂などを積層してなり、手で引き剥がすことができる剥離強度をもって熱圧着されるイージーピール性を有する厚さ20〜40μm程度のフィルム(例えば、東レフィルム加工(株)社製の「CFフィルム7601Eシリーズ」など)を用いることができる。
多孔質合成樹脂フィルムとイージーピールフィルムを接合するための接着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂系などの接着剤を用いることができる。
または、ホットメルト型の粘着剤ないし接着剤の如く、加熱溶融できて常温又は加熱溶融時に粘着性を示すものを用いることができる。例えば、SISやSBS、SEBSやSIPSの如きスチレン系エラストマ、ポリエチレン、特に超低密度ポリエチレンやポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体の如きオレフィン系ポリマー、アクリル酸やメタクリル酸等のアルキルエステルを成分とするアクリル系ポリマー、ポリエステル系やポリアミド系やウレタン系等の熱可塑性樹脂等を成分とするものがあげられる。
ここで、補強層を形成するための合成樹脂補強フィルムとして、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂フィルムを用いることができる。袋体の柔軟性などを確保することを考慮すると、ナイロンフィルムを用いることが好ましい。
このように構成した場合、通気性シートを通気遮断手段で覆うだけで袋体の密封性が確保されるので、別途包装袋(外装袋)などに充填、密封する手間を省くことができ、外装レスタイプの包装材としての提供が可能になる。
通気遮断手段の具体的態様として、例えば、以下の二つの構成をあげることができる。
本発明においては、前記バリア層の表面側に半透明状等の透過性を有する不織布を積層し、且つ、前記バリア層の表面又は前記不織布の裏面に印刷を施したことを特徴とする。このような構成によれば、非通気性シートが和紙に印刷を施した和風の装丁を醸し出すものとなり、従来にない新規な意匠の包装材として供することができる。
例えば、機能性充填物が、通気性シートを介して袋体内に流入する空気と接触して発熱する発熱材である場合、外装レス式の使い捨てカイロを形成することができる。
機能性充填物が、通気性シートを介して袋体内に流入する空気中の水分を吸収する吸湿剤である場合、外装レス式の吸湿シートを形成することができる。
機能性充填物が、通気性シートを介して袋体外に放出される芳香剤又は消臭剤又は防虫剤である場合、外装レス式の芳香シート又は消臭シート又は防虫シートを形成することができる。
より具体的な例として、例えば、使い捨てカイロの場合、扁平状の袋体が形成される際の、通気性シートと非通気性シートの周縁部同士の熱圧着によるシール強度(接合強度)は、例えば15(N/25mm)以上、好ましくは20(N/25mm)以上として、該袋体自体の周縁部を難剥離性接合部とする。
一方、イージーピールフィルム同士の縁部の熱圧着によるシール強度(剥離強度)は、例えば8〜24(N/25mm)、好ましくは10〜17(N/25mm)程度とし、且つ前記シール強度(接合強度)>該シール強度(剥離強度)となるようにして、該縁部を易剥離性接合部とする。
尚、前記した各シール強度(接合強度、剥離強度)は、熱圧着された二枚のシートを中央にしてその端部を180度開き、その状態で、各シートの端部を引張試験機のつかみ具に固定した後、前記熱圧着された二枚のシートが剥離するまで引張応力を加えて、剥離するまでの最大応力を求めたものである。
使い捨てカイロ以外の用途に用いる場合も、大凡、前記した数値に準ずるものとなるが、これに限定されるものではない。
よって、用途に応じた所望の通気性を備えた包装材を、容易且つ低コストで提供することができ、使い捨てタイプのカイロ、吸湿シート、芳香シート、消臭シート、防虫シートなど、各種の用途に好適に用いることができる。
また、前記イージーピールフィルムに易剥離性をもって熱圧着されて前記通気性シートを覆う剥離自在な通気遮断手段を備えることで、別途包装袋(外装袋)などに充填、密封する手間や材料を省くことができ、外装レス式の新規な包装形態としての提供が可能になるなど、多くの効果を奏する。
すなわち、本例の使い捨てカイロaは、発熱材1を扁平状の袋体2内に封入したものであって、発熱材1は、例えば鉄粉、水、バーミキュライト、活性炭、塩類等が混合された混合粉体で、酸素と反応して発熱するものである。尚、発熱材として、前記混合粉体をシート状に成形したり、シート状物に前記混合粉体を保持させたものを用いることもできる。
イージーピールフィルム3dは、ポリエチレンフィルムの表面にスチロール樹脂などを積層してなり、手で引き剥がすことができる剥離強度をもって熱圧着されるイージーピール性を有するフィルムで、例えば、東レフィルム加工(株)社製の「CFフィルム7601Eシリーズ」などを用いることができる。
また、イージーピールフィルム3dは、裏面側に積層した合成樹脂補強フィルム3cにより複層化されており、該複層化されたイージーピールフィルム3d(イージーピールフィルム3dと合成樹脂補強フィルム3cの二層フィルム)に、針孔3eが穿設されている。
例えば、使い捨てカイロaが、靴の中で使用する足用タイプや肌着に貼って使用する貼るタイプである場合、通気性の悪い環境での使用になるので、高い通気機能(例えば3000sec/100cc程度)が必要とされ、通気性シート3としてその程度の通気機能が得られるように、針孔3eの孔径と穿孔割合が適宜設定される。
使い捨てカイロaが、貼らないタイプである場合、通気性が良すぎると発熱材1が発熱し過ぎるので、例えば35000sec/100cc程度に通気性を抑制する必要があり、通気性シート3としてその程度の通気機能が得られるように、針孔3eの孔径と穿孔割合が適宜設定される。
このような包装形態によれば、袋体2の通気面(通気性シート3で形成された面)が空気に触れることのない密封構造となるので、非通気性の包装袋(外装袋)に封入したり外装材で覆うような必要なく、そのままの状態で保管、搬送が可能となる。
この例の使い捨てカイロa’では、前述した袋体2における前記折曲げ部分10に、通気性シート3と非通気性シート4とを、難剥離性接合部5と同様のシール強度をもって部分的に接合せしめた帯状の仕切り部10’が形成されており、この仕切り部10’で仕切られた左右の内部空間11a,11bにそれぞれ発熱材1が封入されると共に、この仕切り部10’で袋体2を折り曲げることで、前述した密封状の二つ折り型外装レス包装形態を形成するようになっている。
剥離シート13で覆われる粘着層12の形成部位は、通気性シート3の表面に部分的に設けたり、操作片7a,7b形成部分に設けるなど、適宜選択することができる。
この例の使い捨てカイロa”は、発熱材1が封入された前述の袋体2を二つ用意し、これら袋体2,2を、通気性シート3,3同士が対面するように重ね合わせ、且つ、各々の通気性シート3,3のイージーピールフィルム3d,3dにおける互いに対向する周縁部同士を剥離可能に熱圧着している。そして、重ね合わせた袋体2,2の周縁部同士に前述した易剥離性接合部6を形成し、二つの袋体2,2が重なりあった密封状の外装レス包装形態(図7参照)としている。
そして、使用の際には、この操作片7a,7bを指で摘むなどして周縁部(易剥離性接合部6)を引き剥がし、重ね合わせ状態の袋体2,2を分離すれば、前述の使い捨てカイロaが二つある状態になる(図8参照)。この状態では、各袋体2の通気性シート3が露出して空気に触れ、空気中の酸素が通気性シート3を通過して発熱材1が発熱し、各々が使用可能となる。
よって、各々の袋体2,2を左右のポケットに入れて使用したり、手袋内の加温用又は靴内の加温用などのように、左右一組として必要とされる場合に好適に用いることができる。
また、袋体2の形状は図示したものに限定されず、正方形状、円形状、楕円形状など、扁平状であれば任意に選択可能である。
1:発熱材
2:袋体
3:通気性シート
3a:多孔質合成樹脂フィルム
3b:接着層
3c:合成樹脂補強フィルム
3d:イージーピールフィルム
3e:針孔
4:非通気性シート
4a:シーラント層
4d:バリアフィルム(バリア層)
4f:印刷
4e:不織布
5:難剥離性接合部
6:易剥離性接合部
Claims (7)
- 内部に機能性充填物が封入される扁平状の袋体を備えた包装材であって、
前記袋体は、一面が通気性シート、他面が非通気性シートからなり、前記通気性シートは、前記袋体の裏面層となる多孔質合成樹脂フィルムの上に、接着層を介して、前記袋体の表面層となるイージーピールフィルムを積層してなり、該イージーピールフィルムが多数の針孔を有すると共に、前記接着層が、前記針孔を塞がないように形成されており、
前記扁平状の袋体を二つ備え、それら袋体を、前記通気性シート同士が対面するように重ね合わせ、且つ、該重なり合った袋体の前記通気性シートにおける前記イージーピールフィルムの対向せる縁部同士を熱圧着により易剥離性をもって接合させて、二つの袋体が重なり合った密封状の包装形態と、前記イージーピールフィルムの縁部同士を引き剥がして二つに分離した使用形態とに変形可能に形成したことを特徴とする包装材。 - 前記イージーピールフィルムは、裏面側に積層した合成樹脂補強フィルムにより複層化されており、前記針孔が、前記イージーピールフィルムと該裏面側の合成樹脂補強フィルムを貫通していることを特徴とする請求項1記載の包装材。
- 前記通気性シートを覆う剥離自在な通気遮断手段を備え、該通気遮断手段は、前記イージーピールフィルムに対し、易剥離性をもって熱圧着されるイージーピールフィルムを備えることを特徴とする請求項1または2記載の包装材。
- 前記非通気性シートは、前記通気性シートにおける前記多孔質合成樹脂フィルムに対し熱圧着可能なシーラント層を備え、該シーラント層の表面側にバリア層を積層すると共に、該バリア層の表面側に透過性を有する不織布を積層し、且つ、前記バリア層の表面又は前記不織布の裏面に印刷を施したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装材。
- 前記機能性充填物が、前記通気性シートを介して前記袋体内に流入する空気と接触して発熱する発熱材であり、外装レス式の使い捨てカイロに使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装材。
- 前記機能性充填物が、前記通気性シートを介して前記袋体内に流入する空気中の水分を吸収する吸湿剤であり、外装レス式の吸湿シートに使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装材。
- 前記機能性充填物が、前記通気性シートを介して前記袋体外に放出される芳香剤又は消臭剤又は防虫剤であり、外装レス式の芳香シート又は消臭シート又は防虫シートに使用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の包装材。
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