JP5050408B2 - 樹脂改質剤、およびそれを含む熱可塑性樹脂混合物。 - Google Patents

樹脂改質剤、およびそれを含む熱可塑性樹脂混合物。 Download PDF

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本発明は、耐熱性に優れる樹脂改質剤、とりわけ成形加工に比較的高温を要するエンジニアリングプラスチックの成形時の可塑化効果に優れる樹脂改質剤に関する。
耐熱性や機械強度に優れるエンジニアリングプラスチックは、電子部品をはじめ、OA部品、AV部品、耐熱食器等の用途の成形体に用いられている。
当該成形体を得る成形方法としては、射出成形法、押し出し成形法、インフレーション成形法等、エンジニアリングプラスチックを加熱溶融させて所望の形状へと成形する方法が通常用いられている。ところで、プラスチック(熱可塑性樹脂)を加熱溶融する際に、熱劣化を抑制する観点から、可塑剤を該プラスチックに混合し、成形温度を低下させて成形する方法が広範に使用されている。しかしながら、元来耐熱性に優れるエンジニアリングプラスチックでは、成形温度が比較的高温であることから、可塑剤自体も耐熱性に優れることが要求される。例えば、ポリアミドの耐熱性可塑剤として、スルホンアミド化合物(例えば、非特許文献1参照)が汎用的に使用されているが、これらの可塑剤は耐熱性として十分でないため、成形時間が長時間にわたると、可塑化効果が損なわれる場合があった。
さらにエンジニアリングプラスチックの中でも、液晶ポリマー、特に液晶ポリエステルでは、射出成形を行う場合、射出ユニットにおける計量工程にかかる時間(可塑化時間)が不安定になるといった問題があり、該可塑化時間を安定化させる目的で樹脂改質剤が使用されている。液晶ポリエステルの可塑化時間を安定化させる手段として、当該液晶ポリエステルに対し、高級脂肪酸アミドを配合してなる樹脂混合物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。当該混合物を用いることにより、可塑化時間を極めて安定化できることから、一定サイクルで成形を行なうことができ、成形体を得る上で生産性に優れた製造が可能となる。
特開2003-12908号公報 阿部嘉長、須藤 真編、「新版プラスチック配合剤−基礎と応用−」、56〜57頁、大成社、昭和62年11月30日第2版発行
上記特許文献1に開示されている樹脂混合物は、その調製過程での加熱条件や、長期間の保管によっては、混合物自体が凝集して粗大な粒子を形成する場合があった。このように凝集粒子を含む混合物を用いた射出成形は、可塑化時間の安定化効果が損なわれ、結果として生産性の悪化、成形体の品質低下に繋がることがあった。
本発明は、かかる問題点を解決することができる樹脂改質剤、および該樹脂改質剤を混合してなる熱可塑性樹脂混合物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記[1]を提供する。
[1]3価リン原子を有するリン化合物と、下記一般式(1)で表されるアミド化合物と、フルオロカーボン重合体とを混合してなり、該3価リン原子を有するリン化合物の配合量をWp(重量部)、該アミド化合物の配合量をWa(重量部)、および該フルオロカーボン重合体の配合量をWfとしたとき、0.8×Wf≦(Wp+Wa)≦2.0×Wfで示される式を満足する、樹脂改質剤
R-CONH2 (1)
(式中、Rは炭素数10〜30の飽和炭化水素基または炭素数10〜30の不飽和炭化水素基を表す。)
さらに、上記[1]の樹脂改質剤の構成成分として、好適な[2]〜[5]を提供する。
[2]上記3価リン原子を有するリン化合物がリン系酸化防止剤である、上記[1]に記載の樹脂改質剤
[3]上記アミド化合物の融点が30℃以上である、上記[1]または[2]に記載の樹脂改質剤
[4]上記フルオロカーボン重合体が、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体およびテトラフルオロエチレン−ジフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂改質剤
[5]上記フルオロカーボン重合体が、ポリテトラフルオロエチレンを含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂改質剤
上記いずれかに記載の樹脂改質剤は、熱可塑性樹脂に係る樹脂改質剤として好適であり、下記[6]、[7]を提供する。
[6]熱可塑性樹脂と、上記のいずれかに記載の樹脂改質剤とを混合してなる、熱可塑性樹脂樹脂混合物
[7]液晶ポリエステルと、上記のいずれかに記載の樹脂改質剤とを混合してなる、熱可塑性樹脂樹脂混合物
本発明の樹脂改質剤は、成形温度が比較的高温を要する熱可塑性樹脂に係る成形加工、とりわけ射出成形に係る可塑化時間を安定化する効果を奏する。さらに本発明の樹脂改質剤は、熱可塑性樹脂との樹脂混合物において、その経時的な劣化や加熱処理による劣化が抑制されることから、成形体の工業的生産に関して有利である。
〈樹脂改質剤〉
本発明の樹脂改質剤に係る構成成分として、まず3価のリン原子を有するリン化合物について説明する。
本発明で用いられるリン化合物は、その分子内に3価のリン原子を有するものである。3価のリン原子を有するとは、分子内にホスフィン基またはホスホン酸エステル基を有する化合物であり、当該3価のリン原子が5価に自己酸化することで、過酸化物分解効果(過酸化物から発生するラジカルを消失)により、酸化防止性を有する化合物であると好ましい。
3価のリン原子を有する酸化防止性を有するものとして、リン系酸化防止剤を用いると好ましい。ここで、「リン系酸化防止剤」とは、「高分子大辞典」(三田達監訳,丸善,413頁,1994年9月20日発行)に酸化防止剤として挙げられている、3価リン原子を有するリン系酸化防止剤である。
これらの3価リン原子を有するリン系酸化防止剤を具体的に例示すると、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、(オクチル)ジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、
水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)ビス[4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)]−1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)]ホスファイト、ジ(イソデシル)フェニルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルフォスファイト、2−[{2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]−ジオキサホスフェピン−6−イル}オキシ]−N,N−ビス〔2−[{2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]−ジオキサホスフェピン−6−イル}オキシ]エチル〕エタンアミン、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]−ジオキサホスフェピンなどが挙げられる。
また、ビス(ジアルキルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトエステルとしては、下記一般式(2a)
Figure 0005050408
(式中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基等を表す。)
で示されるスピロ型、又は、下記一般式(2b)
Figure 0005050408
(式中、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜9程度のアルキル基等を表す。)
で示されるケージ形のものなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤として、市販品を使用することもでき、例えばイルガフォス168(登録商標、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス12(登録商標、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス38(登録商標、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、アデカスタブ329K(登録商標、旭電化製)、アデカスタブPEP36(登録商標、旭電化製)、アデカスタブPEP−8(登録商標、旭電化製)、Sandstab P−EPQ(登録商標、クラリアント製)、ウェストン618(登録商標、GE製)、ウェストン619G(登録商標、GE製)、ウルトラノックス626(登録商標、GE製)、スミライザーGP(登録商標、住友化学製)などが挙げられる。
次に、アミド化合物について説明する。
本発明に使用されるアミド化合物は上記一般式(1)で表される。Rは、炭素数10〜30の飽和炭化水素基あるいは炭素数10〜30の不飽和炭化水素基であり、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ヘキサコシル基、オクタコシル基、トリアコンチル基等の飽和炭化水素基や、当該飽和炭化水素基の中に、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合を1つまたは2つ以上有する不飽和炭化水素基が例示される。
具体的に該アミド化合物を例示すると、デカン酸アミド(C10)、ラウリル酸アミド(C12)、ミリスチン酸アミド(C14)、パルミチン酸アミド(C15)、ヘプタデカン酸アミド(C16)、ステアリン酸アミド(C18)、リノール酸アミド(C18)、リノレイン酸アミド(C18)、オレイン酸アミド(C18)、エライジン酸アミド(C18)、エイコサン酸アミド(C20)、ベヘニン酸アミド(C21)、エルカ酸アミド(C22)、リグノセリン酸アミド(C24)、ペンタコサン酸アミド(C25)、セロチン酸アミド(C26)等が挙げられる。
これらの例示の中でも、ラウリル酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミドは、市場から容易に入手できるため好ましい。具体的には、日本精化(株)製ニュートロン(登録商標)、ライオンアクゾ社製アーモスリップ(登録商標)、花王(株)製脂肪族アマイドS等をそのまま、あるいは精製して用いることができる。また、このような市販品の純度を公知のクロマトグラフィー法や酸価測定法にて求めることで、本発明の樹脂改質剤に係る、所望の配合割合を算出して用いることもできる。
上記アミド化合物の融点は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが特に好ましい。該アミド化合物の融点がより高温のものを用いると、本発明の樹脂改質剤を調整する際、該アミド化合物の揮発が抑制されることから好ましい。また、該アミド化合物の融点がより高温のものを用いた樹脂改質剤では、後述する熱可塑性樹脂混合物を成形する際の予備乾燥処理等においても、該アミド化合物の揮発が抑制されることから、目的とする成形加工時の安定化効果が得られるため、好ましい。
具体的には、上記に例示したアミド化合物の中で、その総炭素数が12以上のものであれば融点30℃以上のものを選択することができ、その総炭素数が14以上のものであれば融点50℃以上のものを選択することができる。
該アミド化合物は、後述する熱可塑性樹脂との混合を容易にし、かつ成形時の分散を効果的にするために、平均粒径100μm以下の粉末状であることが好ましく、平均粒径50μm以下の粉末状であることがより好ましい。
次に、フルオロカーボン重合体について説明する。
当該フルオロカーボン重合体を具体的に例示すると、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリトリクロロフルオロエチレンテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、パーフルオロアルキル基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの重合体や共重合体等が挙げられる。なかでもポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」ということがある)が好ましい。
また、上記例示の中で、「共重合体」とはランダム共重合体でも、ブロック共重合体でも、グラフト共重合体でもよい。
上記フッ素樹脂は、樹脂改質剤を調製する際の混合を容易にする観点から、粉末または粒子形状であることが好ましい。
また、PTFEとしては平均粒径20μm未満のPTFE粉末が好ましく、市販されている具体例としては、セフラルルーブI、セフラルルーブIP、セフラルルーブF(登録商標、セントラル硝子(株)製)、フルオンL169J、L170、L171(登録商標、旭硝子(株)製)、ルブロンL−2、L−5、LD−1(登録商標、ダイキン工業社製)、テフロンTLP−10、TLP−10F−1(登録商標、三井デュポンフロロケミカル社製)等がある。
本発明の樹脂改質剤は、上記の3価リン原子を有するリン化合物と、アミド化合物と、フルオロカーボン重合体とを混合して得られ、該リン化合物の配合量をWp(重量部)、該アミド化合物の配合量をWa(重量部)、および該フルオロカーボン重合体の配合量をWf(重量部)としたとき、0.8×Wf≦(Wp+Wa)≦2.0×Wf(以下、「式1」と呼ぶ)に示す関係を満足するものである。好ましくはWp+Wa(リン化合物とアミド化合物の配合量の総和)が0.85×Wf以上であると好ましく、0.9×Wf以上であると、特に好ましい。一方、Wp+Waが1.8×Wf以下であると好ましく、1.5×Wf以下であるとさらに好ましく、1.2×Wf以下であると特に好ましい。Wp+Waが、0.8×Wf以上であると、本発明の凝集体の抑制効果が発現され、長期保管に係る経時劣化が抑制される。一方、Wp+Waが、2.0×Wf以下であると、可塑化時間の安定化効果が著しくなり、また、本発明の樹脂改質剤を低コストで製造できるという利点もある。WpとWaは任意に選択することができるが、好ましくはWp/Waで表して、0.4以上2.0以下であり、好ましくは、0.5以上1.5以下である。Wp/Waが上記の範囲であると、加温処理しても可塑化時間の安定化効果を保持できるため、好ましい。
樹脂改質剤を調製する方法は特に限定されるものではなく、上記式(1)を満足する配合量で、それそれの成分を混合し、必要に応じて、圧砕等を行なうことで得ることができる。このように、それぞれの構成成分の混合順序は特に限定されるものではないが、3価リン原子を有するリン化合物とアミド化合物とを混合および粉砕処理後、フルオロカーボン重合体を混合する順序が好ましい。また、これらの構成成分を混合する際に、構成成分自体が分解、劣化を起こさない範囲であれば、加熱下または冷却下で混合してもよく、加圧下または減圧下で混合してもよいが、常温(20〜25℃程度)、常圧(1気圧程度)下にて混合する方法が、設備が簡便であることから、好ましい。
また、本発明の樹脂改質剤を調整する過程で、上記3価リン原子を有するリン化合物の一部が、環境からの酸素によって酸化され、5価リン原子を有するリン化合物になることもあるが、本発明の樹脂改質剤は、このような調製過程で得られたものも包含する。
かくして、本発明の樹脂改質剤を得ることができるが、該改質剤は本発明の目的を損なわない範囲であれば、染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
〈熱可塑性樹脂〉
本発明の樹脂改質剤は、熱可塑性樹脂、とりわけ耐熱性に優れるエンジニアリングプラスチックのような熱可塑性樹脂に可塑化効果を与える改質剤として好適に用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエステル(液晶ポリエステルを含む)等が挙げられ、これらの中から、単独の熱可塑性樹脂でも、二種以上の熱可塑性樹脂を混合して用いてもよい。
さらには、成型加工に、比較的高温を要する熱可塑性樹脂に、本発明の樹脂改質剤は好適に用いることができる。中でも、熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエステル(液晶ポリエステルを含む)が好ましい。特に好適な熱可塑性樹脂としては、後述する液晶ポリエステルである。
本発明の樹脂改質剤を、上記の熱可塑性樹脂に混合する方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、該熱可塑性樹脂の粉末または粒子と、該樹脂改質剤の粉末または粒子を、固体状態のまま室温あるいは加温雰囲気中、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて混合して得ることができる。
ここで、該樹脂改質剤を該熱可塑性樹脂に配合する際の配合割合としては、熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記の樹脂改質剤0.005〜10重量部を混合することが好ましい。樹脂改質剤が0.005重量部以上であると、凝集の発生を抑制する効果に加え、射出成形に係る可塑化時間をより安定化することができ、成形体の安定的な製造が可能となることから好ましく、10重量部以下であると、成型加工時に樹脂改質剤から発生するガス量が小さくなることから、より外観に優れる成形体を得ることができるため、好ましい。
また、本発明の樹脂改質剤は、上記熱可塑性樹脂と充填剤とからなる熱可塑性樹脂組成物にも好適に用いることができる。該充填剤を共存させる場合は、熱可塑性樹脂100重量部に、150重量部以下の充填剤を配合してなる熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、上記の樹脂改質剤0.005〜10重量部を混合することが好ましい。該充填剤の上記熱可塑性樹脂組成物に係る配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、100重量部以下であると好ましく、20〜100重量部であると、より好ましい。かかる充填剤の配合割合であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度も、成形に好適な範囲となり、造粒性や成形性に優れるため、好ましい。
本発明に適用される熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂と充填剤とからなる熱可塑性樹脂組成物は、ペレット等の粒子形状、チップあるいは粒子状であることが好ましい。当該樹脂または当該樹脂組成物の好ましい形状は、数平均粒径で表して、1mm以上10mm以下である。平均粒径が1mm以上であると、成形加工時にスクリューで樹脂を可塑化する際にガスを巻き込みにくく、得られた製品の表面状態が良好となるため好ましい。また、平均粒径が10mm以下であると、成形加工時の可塑化が、より容易となり、スクリューの回転トルクも安定となるため、好ましい。
これらの粒子またはチップを得るための手段は特に限定されないが、熱可塑性樹脂および充填剤、必要に応じて離型改良剤、熱安定剤類、着色材等をヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて混合した後、押出機を用いて溶融混練を行ない、ダイスの穴から押し出された溶融樹脂を回転刃により粒子状に切断する方法、あるいはダイスの穴から押し出された樹脂のストランドを冷却固化後に回転刃で粒子状に切断する方法が一般的である。
上記充填剤とは、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、炭素繊維、金属繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、チタン酸繊維、アスベスト等の一般無機繊維、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、石英砂、けい砂、ウォラストナイト、ドロマイト、各種金属粉末、カーボンブラック、グラファイト、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、焼石膏等の粉末物質、炭化ケイ素、アルミナ、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、窒化ボロン、窒化ケイ素等の粉粒状あるいは板状の無機化合物、ウィスカー等、木粉、やし殻粉、くるみ粉、パルプ粉等の木質粉が挙げられ、その一種または二種以上を混合して用いることができる。
なお、本発明の樹脂改質剤と、熱可塑性樹脂と、必要に応じて充填剤を混合してなる、熱可塑性樹脂混合物は、該樹脂改質剤の効果を損なわない範囲で、他の添加剤を添加することができる。また、少量の熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の、一種または二種以上を添加することもできる。
本発明の樹脂改質剤は、上記熱可塑性樹脂の例示の中でも、液晶ポリエステルに用いると、特に好適である。
液晶ポリエステルとしては、通常サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。該液晶ポリエステルは、耐熱性、機械特性、電気特性に優れ、電子部品に係る部材を成形するために広く使用されている。液晶ポリエステルは通常、射出成形にて成形体を得ることができるが、高耐熱であることから、該成形に当たっては、比較的高温の成形温度を有するものであり、射出ユニットにおける計量工程にかかる時間(可塑化時間)が不安定化であることに加え、冷却時間(金型ユニットにおける冷却工程にかかる時間)内に可塑化が終了しない場合が生じ、一定サイクルでの成形が困難であることから、本発明の樹脂改質剤が提供する可塑化時間の安定化効果の寄与が著しい。
また、上記のとおりに、液晶ポリエステルに対し、充填剤を加えて液晶ポリエステル樹脂組成物としてもよい。
本発明の樹脂混合物は、可塑化時間が安定しているため、射出成形法に係るシリンダー内で一定量の樹脂ペレットを、スクリュウを用いて加熱溶融して計量する構造の装置を用いる成形方法に好適に使用することができる。特に、該射出成形においては、射出ユニットにおける計量工程にかかる時間(可塑化時間)が一定で安定しているので、溶融状態が安定化し、ショートショットやバリなどの不良現象が発生しない成形条件を容易に見出すことができる。
また、本発明の樹脂混合物は、夏季、冬季等の、保管温度に依存せず、経時的に劣化しないため、当該混合物を一旦製造しておき、後に成形に使用することが可能であるため、工業的に有利である。
上記のとおり、本発明の熱可塑性樹脂混合物は、射出成形に係る成形体の製造に好適に用いることができるが、押し出し成形等、他の成形法によって成形体を得ることもできる。
以下に、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜2
表1に示す配合割合で混合した樹脂改質剤(なお、樹脂改質剤に係るリン化合物、アミド化合物およびフルオロカーボン重合体は、いずれも乳鉢ですり潰し、200メッシュ以下にして混合した)とを、タンブラーを用いて室温で混合し、樹脂改質剤を得た。
得られた樹脂改質剤を、条件1に示す熱処理あるいは条件2に示す条件下で保管した後、下記のブロッキング試験により、凝集の有無を確認した。結果を、表1に併せて示す。
条件1 :アルミカップに10gの樹脂改質剤を入れ、
100℃、30分間の熱処理を行った。
条件2 :相対湿度95%、40℃で200時間保管した。
ブロッキング試験
上記条件1あるいは条件2を施した樹脂改質剤を平滑な表面に撒き、その粉体の外観を目視で観察した。その中で最大径5mm以上の塊状物が1個でも認められた場合は、凝集「有」とし、そのような塊状物が認められない場合は、凝集「無」と判定した。
比較例1〜2
液晶ポリエステル樹脂組成物に混合する改質剤を、フルオロカーボン重合体を含まないものに変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った。
結果を表1に示す。
Figure 0005050408
アミド化合物 :ライオンアクゾ社製 アーモスリップE(エルカ酸アミド)
(エルカ酸アミドの融点;79〜81℃)
リン化合物 :住友化学(株)製 スミライザーGP
Figure 0005050408
フルオロカーボン:セントラル硝子(株)製 セフラルルーブI
(PTFE、融点265〜310℃)

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂と混合される樹脂改質剤であって、3価リン原子を有するリン化合物と、下記一般式(1)で表されるアミド化合物と、フルオロカーボン重合体とを混合してなり、該3価リン原子を有するリン化合物の配合量をWp(重量部)、該アミド化合物の配合量をWa(重量部)、および該フルオロカーボン重合体の配合量をWf(重量部)としたとき、0.8×Wf≦(Wp+Wa)≦2.0×Wfで示される式を満足する、樹脂改質剤。
    R-CONH2 (1)
    (式中、Rは炭素数10〜30の飽和炭化水素基または炭素数10〜30の不飽和炭化水素基を表す。)
  2. 上記3価リン原子を有するリン化合物がリン系酸化防止剤である、請求項1に記載の樹脂改質剤。
  3. 上記アミド化合物の融点が30℃以上である、請求項1または2に記載の樹脂改質剤。
  4. 上記フルオロカーボン重合体が、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体およびテトラフルオロエチレン−ジフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂改質剤。
  5. 上記フルオロカーボン重合体が、ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂改質剤。
  6. 熱可塑性樹脂と、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂改質剤とを混合る、熱可塑性樹脂混合物の製造方法
  7. 液晶ポリエステルと、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂改質剤とを混合る、熱可塑性樹脂混合物の製造方法
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