JP5049935B2 - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストには、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が低下するネガ型と、露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するポジ型とがある。
しかし、このようなパターン形成材料を用いてパターンを形成した場合、パターンの上面や側壁の表面に荒れ(ラフネス)が生じる問題がある。たとえばレジストパターン側壁表面のラフネス、すなわちラインエッジラフネス(LER)は、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。
かかる問題は、パターン寸法が小さいほど重大となってくる。そのため、例えば電子線やEUVによるリソグラフィーでは、数10nmの微細なパターン形成を目標としていることから、現状のパターンラフネスを越える極低ラフネスが求められている。
しかし、一般的に基材成分として用いられているポリマーは、分子サイズ(一分子当たりの平均自乗半径)が数nm前後と大きい。パターン形成の現像工程において、現像液に対するレジストの溶解挙動は通常、基材成分1分子単位で行われるため、基材成分としてポリマーを使う限り、さらなるラフネスの低減は極めて困難である。
このような問題に対し、極低ラフネスを目指した材料として、基材成分として低分子材料を用いるレジストが提案されている。たとえば非特許文献1,2には、水酸基、カルボキシ基等のアルカリ可溶性基を有し、その一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護された低分子材料が提案されている。
T.Hirayama,D.Shiono,H.Hada and J.Onodera:J.Photopolym.Sci.Technol.17(2004)、p435 Jim−Baek Kim,Hyo−Jin Yun,Young−Gil Kwon:Chemistry Letters(2002)、p1064〜1065
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、基材成分として低分子材料を含有する新規なポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A)が、下記フェノール化合物(I)における−OHの水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
フェノール化合物(I):4つのトリフェニルメタン構造と、該4つのトリフェニルメタン構造を連結する4価の連結部とを有し、前記4つのトリフェニルメタン構造のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有する。ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物である。
該ポジ型レジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により、(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、該ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を選択的に露光すると、または露光に加えて露光後加熱すると、露光部はアルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で未露光部はアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないため、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成される。
化合物(A1)は、下記フェノール化合物(I)における−OHの水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基含有基で置換されたものである。
フェノール化合物(I):4つのトリフェニルメタン構造と、該4つのトリフェニルメタン構造を連結する連結部とを有し、前記4つのトリフェニルメタン構造のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「トリフェニルメタン構造」は、置換基を有していてもよい3個のベンゼン環が1つの炭素原子を介して結合した構造を意味する。
「フェノール性水酸基」とは、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族環に直接結合した水酸基である。
「酸解離性溶解抑制基含有基」における酸解離性溶解抑制基は、解離前は化合物(A1)のアルカリ現像液に対する溶解性を抑制し、該化合物(A1)をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、露光により(B)成分から発生した酸の作用により解離してこの化合物(A1)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる基である。そのため、化合物(A1)を(B)成分とともに配合したポジ型レジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により酸解離性溶解抑制基が解離して、化合物(A1)がアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性へと変化し、当該ポジ型レジスト組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
酸解離性溶解抑制基含有基は、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む基であり、酸解離性溶解抑制基のみからなるものであってもよく、酸解離性溶解抑制基と、酸解離性溶解抑制基以外の基または原子とからなるものであってもよい。
化合物(A1)において、酸解離性溶解抑制基含有基でその水素原子が置換される「フェノール化合物(I)における−OH」には、フェノール化合物(I)が有するフェノール性水酸基の−OH、カルボキシ基(−CO−OH)中の−OH(以下、カルボン酸性水酸基ということがある。)が含まれる。
フェノール化合物(I)は、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するトリフェニルメタン構造(以下、含OHトリフェニルメタン構造ということがある。)を少なくとも1つ有する。
1つの含OHトリフェニルメタン構造中のフェノール性水酸基の数は、1〜5個が好ましく、2〜3個がより好ましい。
含OHトリフェニルメタン構造は、さらに、少なくとも1つのカルボキシ基を有するトリフェニルメタン構造であることが好ましい。
1つの含OHトリフェニルメタン構造中のカルボキシ基の数は、1〜4個が好ましく、1または2個がより好ましく、1個が最も好ましい。
また、1つの含OHトリフェニルメタン構造を構成する3つのベンゼン環のうち、1つのベンゼン環がカルボキシ基を有し、他の2つのベンゼン環がカルボキシ基を有さないことが好ましい。
また、フェノール化合物(I)が有する4つのトリフェニルメタン構造のうち、含OHトリフェニルメタン構造であるのは、2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましく、4つ全てが含OHトリフェニルメタン構造であることが最も好ましい。
フェノール化合物(I)中の全フェノール性水酸基の合計数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、4〜10がさらに好ましい。
また、フェノール化合物(I)中の全カルボキシ基の合計数は、1〜16であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、2〜6であることがさらに好ましく、4が最も好ましい。すなわち、フェノール化合物(I)は、カルボキシ基を4つ有するテトラカルボン酸であることが最も好ましい。
これらのうち、フェノール性水酸基は、含OHトリフェニルメタン構造を構成するベンゼン環に直接結合していることが好ましい。
また、カルボキシ基は、含OHトリフェニルメタン構造を構成するベンゼン環に、連結基を介して結合していることが好ましい。
ヘテロ原子含有連結基における「ヘテロ原子」は炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子含有連結基としては、たとえば酸素原子(エーテル結合;−O−)、硫黄原子(チオエ−テル結合;−S−)、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、カルボニルオキシ基(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)等の非炭化水素系の基;該非炭化水素系の基と、後述する2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。
前記2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜5が特に好ましく、1または2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。ここで、炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
該置換基としては、水酸基、カルボキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、たとえば、ベンゼン環、ビフェニル環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基は、当該基を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されていてもよい。
芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から選択される1種以上が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。
環状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、4〜14であることがより好ましく、5〜12であることが特に好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよい。また、該基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、後記するように炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。
これらの基本環は、その環上に炭化水素基からなる置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
前記置換基としてのアリール基としては特に限定されないが、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、フェネチル基、ナフチル基などが挙げられる。中でもフェニル基がより好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、酸素原子(−O−)に前記アルキル基が結合した基が挙げられる。
前記置換基としてのアリールオキシ基としては、酸素原子(−O−)に前記アリール基が結合した基が挙げられる。
例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基中の水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基(ヘテロ原子そのものの場合も含む)で置換されていてもよく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基中の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基(ヘテロ原子そのものの場合も含む)で置換されていてもよい。
水素原子を置換する「ヘテロ原子を含む基」におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等が挙げられる。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたものとしては、例えば、水酸基、アルコキシ基、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基などの、ヘテロ原子と炭素原子および/または水素原子とからなる基で置換されたものが挙げられる。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子自体で置換されたものとしては、例えば、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの酸素原子で置換されたもの(すなわちカルボニル基(C=O)を有するもの)、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの硫黄原子で置換されたもの(すなわちチオカルボニル基(C=S)を有するもの)が挙げられる。
炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されたものとしては、例えば、その構造中に−CH2−を含むものにおいて、該−CH2−が前記ヘテロ原子含有連結基(−NH−、−O−等)で置換されたものなどが挙げられる。
炭化水素基以外の置換基は、上記のヘテロ原子を含む基以外のものでもよい。
R113としては、直鎖状のアルキレン基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。前記芳香族炭化水素基は、芳香族環として、ベンゼン環またはナフタレン環を含むことが好ましく、特に、ベンゼン環を含むことが好ましい。
R113としては、特に、下記一般式(z1−1)または(z1−2)で表される基が好ましい。
式(z1−2)中、fは0〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
式(z1−2)中のベンゼン環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記で芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該ベンゼン環における置換基の数は、0〜4が好ましく、0または1がより好ましく、0であることが最も好ましい。該置換基の数が2以上の場合、これら複数の置換基は互いに同一でも異なってもよい。置換基のベンゼン環への結合位置は特に限定されない。
式(z1)において、R113が式(z1−2)で表される基である場合、式(z1−2)中のベンゼン環に対する−(CH2)f−および−COOHの結合位置は、特に限定されないが、−(CH2)f−および−COOHが互いにパラ位となるように結合していることが好ましい。
4価の炭化水素基としては、特に、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基が好ましい。これらの基の具体例としては、それぞれ、前記含OHトリフェニルメタン構造にてカルボキシ基とベンゼン環とを連結する連結基として挙げた「直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基」、「環を含む脂肪族炭化水素基」、「芳香族炭化水素基」から水素原子を2個除いた基が挙げられる。
これらの中でも、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が好ましく、環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基がより好ましい。かかる基において、環状の脂肪族炭化水素基が結合しているのは、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端のいずれか一方のみであってもよく、両方であってもよいが、両方の末端に環状の脂肪族炭化水素基が結合していることが好ましい。
4価の炭化水素基としては、特に、下記一般式(a−1)で表される基が好ましく、中でも、下記一般式(a−11)で表される基が好ましい。
該環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、水酸基、カルボキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
R110の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基としては、前記2価の炭化水素基における直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該アルキル基は、炭素数が1〜3であることが好ましく、メチル基が最も好ましい。
式(I−1)中、R101〜R105におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐状の低級アルキル基、または炭素数5〜6の環状アルキル基が好ましい。前記低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。前記環状アルキル基としてはシクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜15であることが好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、フェネチル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらのアルキル基または芳香族炭化水素基は、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
Z1において、式(z1)中のR113は前記と同じである。
aは、1または2であることが好ましく、1が最も好ましい。
n1は、1または2であることが好ましく、1が最も好ましい。
n2は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
n5は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
bは、1〜4の整数であることが好ましく、1または2であることがさらに好ましく、1が最も好ましい。
n3は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
n4は、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
Aとしては、前記4価の連結部として挙げたものと同様のものが挙げられ、特に、前記式(a−1)で表される基、特に式(a−11)で表される基が好ましい。
式(I−1)中、複数のR101はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。R102、R105、a、n1、n2、n5についても同様である。また、n3、n4が2である場合、複数のR103、R104はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
下付文字aを付した水酸基(すなわち−(OH)a)の結合位置は、特に限定されないが、得られる化合物(A1)がレジスト組成物用として好適であること、合成しやすさ等の点で、少なくとも、フェニル基のパラ位(4位)に結合していることが好ましい。
R101、R102およびR105の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、R101が、水酸基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に結合していることが好ましい。
OZ1の結合位置は特に限定されないが、少なくとも、Aの結合位置に対してパラ位に結合していることが好ましい。かかる化合物は、レジスト組成物用として好適であること、合成しやすい等の利点を有する。
フェノール化合物(I−1)としては、特に、下記一般式(I−11)で表される化合物が好ましい。
R102の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、水酸基のオルト位であり且つR101のメタ位である位置、または水酸基のメタ位であり且つR101のパラ位である位置に結合していることが好ましい。
OZ1は、Aの結合位置に対してパラ位に結合していることが好ましい。
R103、R104の結合位置は、特に限定されないが、合成のしやすさ等の点で、水酸基のオルト位またはメタ位が好ましい。
該アルキル基としては、前記R101〜R105の炭素数1〜10のアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
置換フェノール化合物(I’−1)において、Z1が式(z1)で表される基である場合、水素原子が炭素数1〜10のアルキル基で置換される−OHは、フェノール性水酸基のみであることが好ましい。すなわち、置換フェノール化合物(I’−1)としては、前記一般式(I−1)におけるフェノール性水酸基(ベンゼン環に直接結合した水酸基)の水素原子の一部または全部が前記アルキル基で置換され、Z1におけるカルボキシ基末端の水酸基の水素原子が前記アルキル基で置換されていない化合物が好ましい。
上記フェノール化合物(I)は、従来公知の方法を利用して製造できる。たとえば4個のサリチルアルデヒド(置換基を有していてもよい)が前記Aを介して結合してなるテトラサリチルアルデヒド誘導体と、置換基を有していてもよいフェノール化合物とを酸性条件下で脱水縮合させることによりテトラ(ヒドロキシフェニル)メタン誘導体を得る方法が挙げられる。
また、フェノール化合物(I)が、前記式(z1)で表される基のようなカルボキシ基含有基を有する場合は、該テトラ(ヒドロキシフェニル)メタン誘導体の水酸基に、さらに、クロロ酢酸メチル等のハロゲン化酢酸誘導体、クロロメチル安息香酸誘導体、ブロモメチル安息香酸誘導体等のハロゲン化アルキル安息香酸を反応させてカルボキシ基含有基を導入することにより、該フェノール化合物(I)を製造できる。
ただし、フェノール化合物(I)がカルボキシ基含有基を有する場合、上記のような従来公知の方法では、カルボキシ基含有基が導入される水酸基の位置や数を制御しにくく、フェノール化合物(I)の収率が低いという問題がある。
そのため、フェノール化合物(I)がカルボキシ基含有基を有する場合の製造方法としては、まず、前記テトラサリチルアルデヒド誘導体の水酸基に、カルボキシ基含有基を上記と同様にして導入した後、これを、置換基を有していてもよいフェノール化合物と酸性条件下で脱水縮合させる方法が好ましい。
Z1が式(z1)で表される基を含む場合のフェノール化合物(I−1)の好ましい製造方法としては、たとえば、下記一般式(I−01)で表される化合物(I−01)と下記一般式(I−02)で表される化合物(I−02)とを反応させて下記一般式(I−03)で表される化合物(I−03)を得る工程(以下、化合物(I−03)形成工程という)と、
前記化合物(I−03)と下記一般式(I−04)で表される化合物(I−04)とを酸性条件下で反応させる工程を経てフェノール化合物(I−1)を得る工程(以下、化合物(I−1)形成工程という)とを有する製造方法が挙げられる。
Z1が水素原子のみの場合のフェノール化合物(I−1)の好ましい製造方法としては、たとえば、下記一般式(I−01)で表される化合物(I−01)と下記一般式(I−04)で表される化合物(I−04)とを酸性条件下で反応させる工程を経てフェノール化合物(I−1)を得る工程(以下、化合物(I−1’)形成工程という)を有する製造方法が挙げられる。
化合物(I−1’)形成工程の条件は、化合物(I−1)形成工程の場合と同様である。
R201の保護基は、化合物(I−01)と化合物(I−02)とを反応させる際に反応せず、かつ、塩基性条件下で加水分解する基であれば特に限定されない。このような塩基性条件下で加水分解する基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。
化合物(I−02)としては市販のものを利用できる。
化合物(I−01)は、たとえば、下記一般式(I−01−1)で表される化合物(I−01−1)に、ヒドロキシメチル基を導入して下記一般式(I−01−2)で表される化合物(I−01−2)を得て、そのアルコール性水酸基をホルミル化することにより得ることができる。
化合物(I−02)の使用量は、使用する化合物(I−01)に対して約1〜20当量倍が好ましく、5〜15当量倍がより好ましい。
このとき使用する有機溶剤としては、化合物(I−01)および化合物(I−02)、並びに生成する化合物(I−03)を溶解するものであればよく、一般的な有機溶剤から任意のものを選択すればよい。一般的な有機溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン等の環状アミド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルペンチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができ、これらを単独で、または混合して用いることができる。
反応条件は、用いる原料の組み合わせ、有機溶剤の沸点等に応じて適宜選定すれば良いが、反応温度は二段階に切り替えるのが好ましく、例えば、化合物(I−01)と化合物(I−02)との混合時の温度は、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃であり、その後昇温して、好ましくは60〜130℃、より好ましくは60〜120℃で引き続き反応を行うのがよい。
反応時間は、例えば、昇温前は好ましくは0.5〜3.5時間、より好ましくは1.5〜3.0時間とし、昇温後は好ましくは1〜24時間、より好ましくは3〜15時間とするのがよい。
反応終了後、反応液は、そのまま次の工程に用いてもよいが、水と、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤とを添加し、有機相(メチルイソブチルケトン相等)を減圧濃縮して化合物(I−03)を得てもよいし、酸を適量加えて酸析してもよい。
化合物(I−04)としては市販のものを利用できる。
化合物(I−03)と化合物(I−04)とは、例えば、化合物(I−04)をメタノール等の有機溶剤に溶解し、該溶液中に、塩酸等の酸を添加し、この混合溶液中に、化合物(I−03)を添加することにより反応させることができる。
化合物(I−04)の使用量は、化合物(I−03)に対して約8〜20当量倍が好ましく、10〜12当量倍がより好ましい。
このとき使用する酸としては、化合物(I−03)と化合物(I−04)との反応を進行させ得るものであれば特に制限はない。好ましくは塩酸、硫酸、無水硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、リン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等を好ましい具体例として挙げることができる。なかでも塩酸が好ましい。塩酸ガスを用いる場合には、これを有機溶剤中に吹き込めばよく、化合物(I−04)を有機溶剤中に添加する前に吹き込むことが好ましい。これらの酸は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いてもよい。
酸の添加量は、酸の種類により適宜調整すればよい。
反応条件は、用いる原料の組み合わせ等に応じて適宜選定すれば良いが、例えば、反応温度は、10〜80℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。反応時間は、1〜96時間が好ましく、3〜72時間がより好ましい。
反応終了後、反応液に水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等の塩基を添加して、反応液中の酸を中和する。この際に、過剰に塩基を加えることにより、中和と共に保護基R201を解離させても良いし、中和した後、さらに塩基を添加して保護基R201を解離させても良い。該塩基の種類は、中和に用いる塩基と同一であっても良いし、異なっていても良い。
このようにして得られる反応液はさらに、必要に応じて濃縮を行った後、例えば、分液ロートに移して抽出し、濃縮、乾燥を行うことにより目的物を得ることができる。
化合物(A1)は、前記フェノール化合物(I)における−OHの水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された化合物である。
酸解離性溶解抑制基含有基における酸解離性溶解抑制基としては、特に制限はなく、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。一般的には、カルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基として、一般式:−C(R15)(R16)−R10で表される基[式中、R15、R16はアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である)を示し、R10は脂肪族環式基を示す。]のように、脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基も挙げられる。該脂肪族環式基としては、上記と同様のものが挙げられ、特に、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基が好ましい。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
ヘテロ原子を含む基としては、ヘテロ原子自体であってもよく、また、ヘテロ原子と炭素原子および/または水素原子とからなる基、たとえばアルコキシ基等であってもよい。
水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む基で置換されたアルキル基の例としては、たとえば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの酸素原子で置換された基(すなわちカルボニル基(C=O)を有する基)、同一の炭素原子に結合した2つの水素原子が1つの硫黄原子で置換された基(すなわちチオカルボニル基(C=S)を有する基)等が挙げられる。
アルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子を含む基で置換されている基としては、たとえば、炭素原子が窒素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−NH−で置換された基)や、炭素原子が酸素原子で置換されている例(たとえば、その構造中に−CH2−を含む分岐状または環状のアルキル基において該−CH2−が−O−で置換された基)等が挙げられる。
Yとしての分岐状のアルキル基は、炭素数が4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。具体的には、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられ、tert−ブチル基であることが好ましい。
Yとしての環状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、4〜14であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。
該環状のアルキル基における基本環(置換基を除いた基本の環)の構造は、単環でも多環でもよく、特に、本発明の効果に優れることから、多環であることが好ましい。また、基本環は、炭素および水素から構成された炭化水素環であってもよく、炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明においては、特に、基本環が炭化水素環であることが好ましい。炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンが挙げられる。これらのなかでも、アダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが好ましく、特にアダマンタンが好ましい。
これらの基本環は、その環上に置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、低級アルキル基、フッ素原子、フッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。該低級アルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。基本環が置換基を有する場合、置換基の数は、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
ここで、「置換基を有する」とは、基本環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていることを意味する。
Yの環状のアルキル基としては、これらの基本環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
解離性溶解抑制基と、酸解離性溶解抑制基以外の基または原子とからなる基としては、たとえば、X1−O−C(=O)−、X1−O−C(=O)−R9−等が挙げられる。
式中、X1は酸解離性溶解抑制基を示し、R9は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を示す。該アルキレン基は、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましい。
R1の酸解離性溶解抑制基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。なかでも、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましく、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が特に好ましい。
式(p11)で表される基として、好ましいものとしては、たとえば、下記式(p11−1)〜(p11−7)で表される基が挙げられる。これらの中でも、一般式(p11−1)で表される基が好ましい。
R2としては、前記Yと同様のものが挙げられる。
R2としては、直鎖状アルキル基または環状アルキル基が好ましい。
R2が直鎖状アルキル基である場合、式(p12)で表される基の具体例としては、たとえば、1−エトキシエチル基、1−エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、1−n−ブトキシエチル基、1−ペンタフルオロエトキシエチル基、1−トリフルオロメトキシエチル基、1−トリフルオロメトキシメチル基等が挙げられる。
R2が環状アルキル基である場合、式(p12)で表される基の具体例としては、たとえば、下記式で表される基が挙げられる。
アダマンチル基と−CHR3−O−(CH2)n”−との結合位置は特に限定されないが、アダマンチル基の1位又は2位に結合することが好ましい。
このとき、酸解離性溶解抑制基含有基でその水素原子が置換される「フェノール化合物(I)における−OH」は、フェノール化合物(I)が有するフェノール性水酸基およびカルボン酸性水酸基のうちの一部または全部である。
フェノール性水酸基とカルボン酸性水酸基とでは、カルボン酸性水酸基の方が、反応性が高い。そのため、上記のようにして得られる化合物(A1)は、通常、当該分子中の全てのカルボキシ基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換され、フェノール性水酸基の水素原子が全く酸解離性溶解抑制基含有基で置換されていないものである。
このように、分子中の全てのカルボキシ基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換され、フェノール性水酸基の水素原子が全く酸解離性溶解抑制基含有基で置換されていない化合物は、製造が容易であることに加え、レジスト組成物に用いた場合に、解像性等のリソグラフィー特性が良好であり、また、ラフネスや裾引き(footing)が低減された良好な形状のレジストパターンが形成できる。
該分子量が1000以上であると、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。該分子量は、1500以上が好ましく、1800以上がより好ましい。
また、上記分子量が4000以下であると、解像性が向上し、また、ラフネスが低減し、良好な形状のレジストパターンが形成できる。該分子量は、3500以下が好ましく、3300以下がより好ましい。
化合物(A1)の分子量は、たとえば当該化合物の構造を、1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認し、該構造から算出できる。
当該化合物がスピンコート法によりアモルファスな膜を形成しうる材料であるかどうかは、8インチシリコンウェーハ上にスピンコート法により形成した塗膜が全面透明であるか否かにより判別できる。より具体的には、例えば以下のようにして判別できる。まず、当該化合物に、一般的にレジスト溶剤に用いられている溶剤を用いて、例えば乳酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=40/60(質量比)の混合溶剤(以下、EMと略記する)を、濃度が14質量%となるよう溶解し、超音波洗浄器を用いて超音波処理(溶解処理)を施して溶解させ、該溶液を、ウェーハ上に1500rpmにてスピンコートし、任意に乾燥ベーク(PAB,Post Applied Bake)を110℃、90秒の条件で施し、この状態で、目視にて、透明かどうかによりアモルファスな膜が形成されているかどうかを確認する。なお、透明でない曇った膜はアモルファスな膜ではない。
本発明において、化合物(A1)は、上述のようにして形成されたアモルファスな膜の安定性が良好であることが好ましく、例えば上記PAB後、室温環境下で2週間放置した後でも、アモルファスな状態が維持されていることが好ましい。
R”の酸解離性溶解抑制基含有基としては、上述した酸解離性溶解抑制基含有基と同様のものが挙げられる。
(A)成分中、化合物(A1)の割合は、40質量%超であることが好ましく、50質量%超であることがより好ましく、80質量%超がさらに好ましく、最も好ましくは100質量%である。(A)成分中の化合物(A1)の割合は、逆相クロマトグラフィー等の手段により測定できる。
ポジ型レジスト組成物中の(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
また、R1”〜R3”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R1”〜R3”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
式(b−1)におけるR1”〜R3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
下記式(I−1−9)〜(I−1−10)中、R9、R10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、水酸基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
R4”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R4”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R4”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R4”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R4”において、「置換基を有していても良い」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。
R4”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
Q1は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH2−];−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH2CH2−];−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH2CH2CH2CH2−];−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]等が挙げられる。
Q1としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R93−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
X−Q1−Y1−で表される基において、Y1のアルキレン基としては、前記Q1で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y1として、具体的には、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2−、−CF(CF2CF3)−、−C(CF3)2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CF(CF3)CF2CF2−、−CF2CF(CF3)CF2−、−CF(CF3)CF(CF3)−、−C(CF3)2CF2−、−CF(CF2CF3)CF2−、−CF(CF2CF2CF3)−、−C(CF3)(CF2CF3)−;−CHF−、−CH2CF2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2−、−CH(CF2CF3)−、−C(CH3)(CF3)−、−CH2CH2CH2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH(CF3)CH2CH2−、−CH2CH(CF3)CH2−、−CH(CF3)CH(CF3)−、−C(CF3)2CH2−;−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−等が挙げられる。
これらの中でも、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2−、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2−が特に好ましい。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート等のアルキルスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩も用いることができる。
R7に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
r1〜r2、w1〜w5は、それぞれ、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
t3は、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
q3は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R41〜R46に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明においては、(B)成分として、置換基を有していてもよいフッ素化アルキルスルホン酸イオン、または前記一般式(b−3)で表されるアニオン部を有するオニウム塩系酸発生剤を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上等の向上の目的で、任意の成分として、さらに、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
(D)成分としては、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
また、本発明によれば、高解像性のレジストパターン、たとえばパターン寸法200nm以下、さらには数十nmレベルの超微細なレジストパターンを形成できる。
また、本発明によれば、ラフネスや裾引き(footing)が低減された良好な形状のレジストパターンが形成できる。かかる効果は、形成するレジストパターンが微細になるほど顕著に見られる。「裾引き」は、ポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した場合、基板界面において、露光部のレジスト膜の一部が溶解せずに残ってしまい、形成されるレジストパターンの断面形状が裾引き形状となる現象である。裾引きの問題は、特に、レジスト膜と接する面が無機材料で構成される基板、いわゆる無機基板を用いた場合に生じやすい。
また、本発明によれば、露光余裕度も向上する。露光余裕度とは、露光量を変化させて露光した際に、ターゲット寸法に対するずれが所定の範囲内となる寸法でレジストパターンを形成できる露光量の範囲、すなわちマスクパターンに忠実なレジストパターンが得られる露光量の範囲のことであり、ELマージンは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さく、プロセスの余裕度が向上する。
さらに、本発明によれば、ディフェクトも低減できる。ここで、ディフェクトとは、例えば、KLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンを真上から観察した際に検知される不具合全般のことである。この不具合とは、例えば現像後のスカム、泡、ゴミ、レジストパターン間のブリッジ、色むら、析出物等である。
上記効果が得られる理由は定かではないが、化合物(A1)が、4つのトリフェニルメタン構造と、該4つのトリフェニルメタン構造を連結する4価の連結部を有するため該化合物(A1)の耐熱性が向上していること等が考えられる。
化合物(A1)は、上述のような構造を有することにより、高い耐熱性、たとえばポリマーと同レベルの耐熱性を有する。そのため、レジストパターンを形成する際、PEBを行った際にレジスト膜の熱ダレが生じにくく、これにより、露光域で発生した酸の未露光域への拡散が抑制され、結果、未露光域と露光域とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が向上し、解像性やレジストパターン形状が向上すると推測される。
また、化合物(A1)が、低分子量の非重合体であるため、性質の均一性が高いことも理由として考えられる。すなわち、レジスト材料の基材成分として高分子量の重合体(樹脂)を用いる従来のレジストは、分子量分散やアルカリ溶解性分散を制御することが難しい。そのため、これらの分散や、その分子サイズそのものが原因となるLERなどの低減には限界がある。上記問題の解決策として考えられている従来の低分子化合物(低分子材料)も、上述した非特許文献1,2等に記載されているように、アルカリ可溶性基を酸解離性溶解抑制基で保護することから、分子ごとに、保護されるアルカリ可溶性基の位置やその保護率などにばらつきが発生し、結果、その性質にもばらつきが生じて上記と同様の問題が生じる。
一方、化合物(A1)は、低分子量の非重合体であり、かつ−OHとしてトリフェニルメタン構造に結合したフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(I)に酸解離性溶解抑制基が導入された構造を有する。該フェノール化合物(I)においては、その−OHに酸解離性溶解抑制基を導入して保護する際に、保護される−OHの位置の選択性が比較的高く、その構造や分子量にばらつきが少なく、分子ごとのアルカリ現像液に対する溶解性や親水性・疎水性等の性質のばらつきが少ない。特に、カルボン酸性水酸基を有する場合、フェノール性水酸基よりも反応性の高いカルボン酸性水酸基が選択的に保護される傾向があるため、上記のようなばらつきが特に少ないものとなる。そのため、化合物(A1)を用いることにより、均一な性質のレジスト膜が形成でき、それによって上記効果が得られると推測される。
さらに、フェノール化合物(I)には酸解離性溶解抑制基が位置選択的に導入できるため、酸解離性溶解抑制基の種類を選択することにより、化合物(A1)全体の性質を調節しやすいという利点も有する。たとえば酸解離性溶解抑制基としてアダマンタン等の多環構造を有する基を選択した場合と、シクロヘキサン等の単環構造を有する基を選択した場合と、鎖状構造の基を選択した場合とでは、化合物(A1)のアルカリ現像液に対する溶解性は、多環構造を有する基<単環構造を有する基<鎖状構造の基となる。
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に、前記本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
レジスト膜の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光であってもよい。
上記化合物(A1)は、ポジ型レジスト組成物用の溶解抑制剤としても好適に用いることができる。化合物(A1)からなる溶解抑制剤を用いることにより、該溶解抑制剤を含有するポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜(露光前)のアルカリ溶解性が抑制される。そのため、該レジスト膜を選択的に露光した際に、露光部と未露光部との間のアルカリ溶解性の差(溶解コントラスト)が大きくなり、解像性や形状が良好なレジストパターンが形成できる。
かかる溶解抑制剤は、酸解離性溶解抑制基を有する樹脂成分と酸発生剤成分とを含む2成分系の化学増幅型レジスト組成物に添加して用いることができ、また、酸解離性溶解抑制基を有さない樹脂成分と酸発生剤成分と溶解抑制剤とを用いる、いわゆる3成分系の化学増幅型のレジスト組成物としても用いることができる。
[合成例1]
(2,2−ビス{4,4−ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパンの合成)
16%水酸化ナトリウム水溶液1020.0g(4.08mol)を容量5Lの四つ口フラスコに仕込み、反応容器を窒素置換した後、温度35℃程度において2,2−ビス{4,4−ビス(4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパン538.0g(0.85mol)を添加し、その後1時間攪拌した。次いで、攪拌下に35%ホルムアルデヒド水溶液947.1g(11.05mol)を25〜30℃で2時間かけて添加し反応を行った。その後、30℃で5時間、攪拌下に反応を行った。
反応終了後、10℃まで冷却し、メチルエチルケトン550.8gを20分かけて滴下し、メチルイソブチルケトン1280.0gを加えた。その後、17.5%塩酸水溶液661.8gを加えて中和を行い、30℃まで昇温後、10分間静置し、水層を抜き取った。その後、水640.0gを加えて撹拌後、水層を除去した。得られた油層から45℃、減圧下で溶媒1021.5gを留去し、トルエン1280.0gを加えて冷却して結晶を析出させた。析出した結晶をろ別し、粗結晶870.2gを得た。
その後、得られた粗結晶とメチルエチルケトン960.0g、メチルイソブチルケトン1700.0g、水800gを容量5Lの四つ口フラスコに仕込み、45℃まで昇温して結晶を溶解後、静置して水層を抜き取り、得られた油層から45℃、減圧下で溶媒1470.5gを留去し(途中で結晶が析出)、20℃まで冷却してろ過、乾燥し、目的物の白色粉末224.8g(高速液体クロマトグラフィーによる純度93.3%)を得た。
(2,2−ビス{4,4−ビス(3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパンの合成)
トリフルオロ酢酸461.7g(4.05mol)を容量3Lの四つ口フラスコに仕込み、反応容器を窒素置換した後、ヘキサメチレンテトラミン83.3g(0.594mol)を30℃程度で添加し、合成例1で得られた、2,2−ビス{4,4−ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパン(メチロール体)101.7g(0.135mol)を 60℃で1時間30分かけて、攪拌下に添加し反応を行った。その後、80℃で攪拌下に、さらに16時間反応を行った。
得られた反応終了液に水251.5gを加えて60℃で1時間加水分解反応を行った。加水分解中に粘性のある固体が析出した。この混合液にトルエン201.2g、メチルイソブチルケトン301.8gを加えて70℃まで昇温溶解後、静置して水層を抜き取った。その後、16%水酸化ナトリウム水溶液444.8gで中和を行い、冷却中に結晶が析出した。20℃まで冷却後に析出物をろ別し、粗結晶104.0gを得た。
その後、得られた粗結晶とテトラヒドロフラン1814.0gを容量3Lの四つ口フラスコに仕込み、60℃まで昇温して結晶を溶解後、常圧下で溶媒1449.0gを留去した。途中で結晶が析出した。残留液に水240.0g、アセトン144.0gを加え20℃まで冷却してろ過、乾燥し、目的物である黄色粉末71.2g(高速液体クロマトグラフィーによる純度96.2%)を得た。
得られた黄色粉末はプロトンNMR分析(400MHz、溶媒:DMSO―d6)により目的化合物であることを確認した。得られた黄色粉末の、原料のメチロール体に対する収率は70.8%であった。
(2,2‐ビス{4,4−ビス(3−ホルミル−4−メトキシカルボニルメトキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパンの合成)
合成例2で得られた2,2−ビス{4,4−ビス(3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパン37.2g(0.05 mol)、N−メチルピロリドン111.6gを容量500mLの四つ口フラスコに仕込み、フラスコ内を窒素置換した。この混合溶液を50℃まで昇温後、よう化カリウム5.6g(0.034 mol)、炭酸カリウム33.1g(0.24mol)を加えて1時間攪拌した。次いで60℃まで昇温し、そこにクロロ酢酸メチル64.8g(0.60mol)を1時間かけて撹拌下に滴下し、反応を行った。さらに60℃で3時間攪拌下に反応を続けた。
反応終了液にメチルイソブチルケトン98.0g、水147.0gを加えて攪拌を行い、静置して水層を抜き取り、油層に水50.0gを加えて撹拌後、水層を除去した。その後、さらに同様の操作で水洗、分液を2回行った。得られた油層をエバポレーターに移し、減圧下、60℃にて溶媒を留去させ、43.7gの淡黄色粉末状固体(高速液体クロマトグラフィーによる純度89.0%)を得た。
得られた生成物のプロトンNMR分析(400MHz、溶媒:DMSO―d6)を行った結果、目的物であることを確認した。
得られた生成物の、原料の2,2−ビス{4,4−ビス(3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパン(テトラアルデヒド体)に対する収率は、84.5%であった。
(2,2−ビス[4,4−ビス{3−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−カルボキシメトキシ−5−メチルフェニル}シクロヘキシル]プロパンの合成)
2,5−キシレノール48.8g(0.4mol)、メタノール73.2gを容量1Lの四つ口フラスコに仕込み、フラスコ内を窒素置換した後、35%塩酸水19.5gを加えた。そこに合成例3で得られた2,2‐ビス{4,4−ビス(3−ホルミル−4−メトキシカルボニルメトキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパン39.1g(0.04mol)を40℃で1.5時間かけて撹拌下に添加し、反応を行った。その後、さらに50℃で17時間攪拌下に反応を行った。
反応終了後、25%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液68.6gで中和を行い、メチルイソブチルケトン150.0g、水75.0gを加えて攪拌を行った後、50℃で静置して水層を抜き取り、さらに水75.0gを加え、同様の操作で水洗、分液を行った。得られた油層に25%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液174.7gを加えて、50℃で1時間攪拌して加水分解反応を行い、静置して上層を抜き取った。50℃で得られた水層とメチルイソブチルケトン226.0gを混合後、35%塩酸水52.6gを加えて中和を行い、静置して水層を抜き取り、さらに水100.0gを加えて同様の操作で70℃にて水洗、分液を行った。得られた油層から減圧下70℃で溶媒を留去し、アセトン75.0gを加えて混合させた。この溶液を室温下でトルエン1400g中に滴下して沈殿を析出させた。析出した固体をろ別し、乾燥して淡黄色粉末状の目的物62.4g(高速液体クロマトグラフィーによる純度87.7%)を得た。
得られた生成物のプロトンNMR分析(400MHz、溶媒:DMSO―d6)を行った結果、目的物であることを確認した。
得られた生成物の、原料2,2‐ビス{4,4−ビス(3−ホルミル−4−メトキシカルボニルメトキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキシル}プロパンに対する収率は87.3%であった。
また、該生成物のガラス転移温度(示差走査熱量測定)は204.9℃であった。
(2,2−ビス{4,4−ビス[3−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(2−メチル−2−アダマンチル)オキシカルボニルメトキシカルボニルメトキシ−5−メチルフェニル]シクロヘキシル}プロパン[下記化学式(1)で表される化合物(1)]の合成)
合成例4で得られた2,2−ビス{4,4−ビス[3−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−カルボキシメトキシ−5−メチルフェニル]シクロヘキシル}プロパン18.1g(1.5×10−2mol)とN−メチルピロリドン45.3gを容量1Lの4つ口フラスコに仕込み、30℃で溶解してフラスコ内を窒素置換した後、トリエチルアミン7.3g(7.2×10−2mol)を35℃で加えて、30分間攪拌を行った。 次いで、攪拌下にブロモ酢酸2−メチル−2−アダマンチル19.4g(6.75×10−2mol)を35℃で1時間40分かけて添加して反応を行った。その後、撹拌下に35℃で6時間反応を続けた。反応終了後、反応液にトルエン61.0g、水30.0gを加えて10分間攪拌した後、静置して下層(水層)を抜き取った。得られた油層に水30.0gを加えて同様の操作で水洗及び分液(水層の除去)を2回繰り返した。得られた油層から減圧下で溶媒を留出させて濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた目的物の含まれるフラクションを減圧下で濃縮し、淡黄白色粉末状の目的物13.3g(高速液体クロマトグラフィーによる純度95.2%)を得た。
得られた生成物のプロトンNMR分析(400MHz、溶媒:DMSO―d6)を行った結果、目的物の化合物(1)であることを確認した。原料のカルボン酸に対する収率は43.6%であった。
下記表5に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
(A)−1:前記化合物(1)。
(A’)−1:WO2007/034719の記載(段落番号[0152]の合成例5)をもとにして合成した、下記式(A’)−1で表される化合物。
(A’)−2:下記化学式(A’)−2で表される質量平均分子量(Mw)10000、分散度(Mw/数平均分子量)1.7の共重合体(式中、m:n=70:30(モル比))。
(B)−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリ−n−オクチルアミン。
(S)−1:PGMEAとPGMEとの混合溶剤(PGMEA:PGME=6:4(質量比)。
<耐熱性>
8インチシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物DUV−42P(商品名、ブリューワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、180℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚65nmの有機系反射防止膜を形成した。
該反射防止膜上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、100℃で60秒間のベーク処理(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。該レジスト膜に対し、KrF露光装置NSR−S203B(ニコン社製;NA(開口数)=0.68,σ=0.75)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。その後、100℃で60秒間のベーク処理(PEB)を行い、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(23℃)を用いて30秒間の現像を行った後、純水にて15秒間リンスすることにより、ホール直径170nmのコンタクトホールのレジストパターン(以下、CHパターンという。)を形成した。
このようにして形成されたCHパターンに対し、さらに、所定の温度(比較例1については[23℃、105℃、110℃、115℃、120℃または125℃]実施例1および参考例1については[23℃、150℃、155℃、160℃、165℃])で60秒間のポストベークを行い、各ポストベーク後のホール直径(nm)をそれぞれ測定した。その結果から、ポストベークによりレジストがフローし、ホール直径が、ポストベーク前のホール直径(170nm)より10%小さくなった時のポストベーク温度をサーマルフロー(TF)温度として求めた。該TF温度が高いほど、当該レジスト組成物の耐熱性が高いことを示す。その結果を表6に示す。
表6に示す結果から、実施例1のポジ型レジスト組成物が、基材成分としてポリマーを用いた参考例1と同等で、基材成分として公知の低分子化合物を用いた比較例1よりも大幅に高い耐熱性を有することが確認された。
実施例1、比較例1および参考例1のポジ型レジスト組成物を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理(90℃、36秒間)を施した8インチシリコン基板上にスピンナーを用いて均一に塗布し、110℃で60秒間のベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚80nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて描画(露光)を行い、100℃にて60秒間のベーク処理(PEB)を行い、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(23℃)を用いて30秒間の現像を行った後、純水にて15秒間リンスして、ラインアンドスペースのレジストパターン(以下、LSパターンという。)を形成した。
このとき、100nmのLSパターンが1:1に形成される露光量Eop(μC/cm2)を求めたところ、実施例1のEopは88.0μC/cm2、比較例1のEopは24.0μC/cm2、参考例1のEopは32.0μC/cm2であった。
「解像性」として、上記Eopにおける限界解像度(nm)を、側長SEM(走査型電子顕微鏡)S−9220(Hitachi社製)を用いて求めた。その結果を表7に示す。
上記Eopで形成されたライン幅60nm(比較例1および参考例1においては70nm)のLSパターンの形状を、側長SEMおよび断面SEMにて観察し、下記判定基準で評価した。その結果を表3に示す。
(判定基準)
○:レジストパターンの断面形状の矩形性が高く、良好な形状である。
△:レジストパターンの断面形状のトップ部分がまるみを帯びており、矩形性が低い。
下記表8に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
(B)−2:下記化学式(B)−2で表される酸発生剤。
(B)−3:下記化学式(B)−3で表される酸発生剤。
(B)−4:下記化学式(B)−4で表される酸発生剤。
(B)−5:下記化学式(B)−5で表される酸発生剤。
(B)−6:下記化学式(B)−6で表される酸発生剤。
(B)−7:下記化学式(B)−7で表される酸発生剤。
(E)−1:サリチル酸。
実施例2〜6、比較例2のポジ型レジスト組成物を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理(90℃、36秒間)を施した8インチシリコン基板上にスピンナーを用いて均一に塗布し、120℃で60秒間のベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚60nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて描画(露光)を行い、100℃にて60秒間のベーク処理(PEB)を行い、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(23℃)を用いて30秒間の現像を行った後、純水にて15秒間リンスして、ラインアンドスペースのレジストパターン(以下、LSパターンという。)を形成した。
このとき、100nmのLSパターンが1:1に形成される露光量Eop(μC/cm2)を表9に示す。
また、「解像性」として、上記Eopにおける限界解像度(nm)を、側長SEM(走査型電子顕微鏡)S−9220(Hitachi社製)を用いて求めた。その結果を表9に示す。
また、上記Eopで形成されたライン幅60nm(比較例2おいては70nm)のLSパターンの形状を側長SEMおよび断面SEMにて観察し、上記実施例1と同様の判定基準で評価した。その結果を表9に示す。
[(B)−3の合成]
4−メチルフェニルジフェニルスルホニウムブロマイド35.6gを純水360gに溶解させ、そこへジクロロメタン360g及び2−(1’−アダマンタン)カルボニルオキシ−1,1−ジフルオロエタンスルホン酸ナトリウム38.0gをそれぞれ添加し、室温にて14時間撹拌した。その後、ジクロロメタン層を分液した後、希塩酸洗、水洗を行い、ジクロロメタン層を濃縮乾固することにより白色固体として目的の化合物(B)−3(58g)を得た。
3,5−ジメチル−4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチレンオキシ)フェニルジフェニルスルホニウムブロマイド5.87g、ジクロロメタン41.85g及び純水20.93gをビーカーに添加し、そこへ2−(1’−アダマンタン)カルボニルオキシ−1,1−ジフルオロエタンスルホン酸ナトリウム4.16gを添加し、室温で1時間撹拌した。その後、反応液を分液し、さらに有機相に対して希塩酸洗浄、水洗を行った。得られた有機相を、n−ヘキサン249.0gに滴下することにより白色粉体として目的の化合物(B)−5(6.70g)を得た。
(i)
フルオロスルホニル(ジフルオロ)酢酸メチル150g、純水375gに、氷浴中で10℃以下に保ちつつ、30%水酸化ナトリウム水溶液343.6gを滴下した。滴下後、100℃で3時間還流し、冷却後、濃塩酸で中和した。得られた溶液をアセトン8888gに滴下し、析出物を濾過、乾燥することによって、白色固体として化合物(I)184.5g(純度:88.9%、収率:95.5%)を得た。
化合物(I)56.2g、アセトニトリル562.2gを仕込み、p−トルエンスルホン酸一水和物77.4gを添加し、110℃で3時間還流した。その後、濾過し、濾液を濃縮し、乾燥した。得られた固体にt−ブチルメチルエーテル900gを添加撹拌した。その後、濾過し、濾過物を乾燥することによって、白色固体として化合物(II)22.2g(純度:91.0%、収率:44.9%)を得た。
前記化合物(II)4.34g(純度:94.1%)、2−ベンジルオキシエタノール3.14g、トルエン43.4gを仕込み、p−トルエンスルホン酸一水和物0.47gを添加し、105℃で20時間還流した。反応液を濾過し、濾物にヘキサン20gを添加し、撹拌した。再度濾過し、濾物を乾燥することにより化合物(III)を1.41g(収率:43.1%)得た。
前記化合物(III)1.00gおよびアセトニトリル3.00gに対し、1−アダマンタンカルボニルクロライド0.82gおよびトリエチルアミン0.397gを氷冷下滴下した。滴下終了後、室温で20時間攪拌し、濾過した。ろ液を濃縮乾固し、ジクロロメタン30gに溶解させ水洗を3回行った。有機層を濃縮乾燥することにより化合物(IV)を0.82g(収率:41%)得た。
化合物(V)0.384gをジクロロメタン3.84gと水3.84gに溶解させ、前記化合物(IV)0.40gを添加した。1時間攪拌後、分液処理にて有機層を回収し、水3.84gで水洗浄を3回行った。得られた有機層を濃縮乾固することにより化合物(B)−2(0.44g、収率81.5%)を得た。
(i)
20℃以下で制御したメタンスルホン酸60.75gに対し、酸化リン8.53gと2,5−ジメチルフェノール8.81gとジフェニルスルホキシド12.2gとを少量ずつ添加した。温度を15〜20℃で制御しながら30分熟成した後、40℃まで昇温し2時間熟成した。その後、15℃以下に冷却した純水109.35gに反応液を滴下した。滴下終了後、ジクロロメタン54.68gを加え、攪拌後、ジクロロメタン層を回収した。別容器に20〜25℃のヘキサン386.86gを仕込み、ジクロロメタン層を滴下した。滴下終了後、20〜25℃で30分間熟成した後、ろ過することによって目的化合物(XIII)17.14g(収率70.9%)を得た。
化合物(XIII)4gをジクロロメタン79.8gに溶解させた。溶解確認後、炭酸カリウム6.87gを添加し、ブロモ酢酸メチルアダマンタン3.42gを添加した。還流下、24時間反応後、ろ過、水洗浄を行い、ヘキサンで晶析した。得られた粉体を減圧乾燥することによって目的化合物(XIV)3.98g(収率66%)を得た。
前記化合物(XIV)4.77gをジクロロメタン23.83gと水23.83gに溶解させ、前記化合物(XV)3.22gを添加した。1時間攪拌後、分液処理にて有機層を回収し、水3.84gで水洗浄を3回行った。得られた有機層を濃縮乾固することにより化合物(B)−4(4.98g、収率87%)を得た。
Claims (5)
- 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A)が、下記フェノール化合物(I)における−OHの水素原子の一部または全部が酸解離性溶解抑制基含有基で置換された化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
フェノール化合物(I):4つのトリフェニルメタン構造と、該4つのトリフェニルメタン構造を連結する4価の連結部とを有し、前記4つのトリフェニルメタン構造のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物。 - 前記フェノール化合物(I)が、下記一般式(I−1)で表されるフェノール化合物(I−1)、または該フェノール化合物(I−1)における−OHの水素原子の一部が炭素数1〜10のアルキル基で置換された置換フェノール化合物(I’−1)である請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに、含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 支持体上に、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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