JP5049422B2 - ポリオレフィンゴム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリオレフィンゴムに関する。詳しくは、圧縮永久歪み性と引張永久伸び性が共に優れ、成形品表面が滑らかで、且つリサイクル性をも併せ有するポリオレフィンゴムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品、家電部品及び電線材料等において、嵌合部を有する成形品や、シ−ル性を要する成形品、製品端面突合せ部を有する部品などに使用されるポリオレフィンゴムは、嵌合時、シ−ル時或いは突き合わせ時などに、成形体のゴム特性が要求される。このゴム特性は、一般に圧縮永久歪み性と引張永久伸び性とを共に良く発現できる材料ほど優れる。
【0003】
従来、ゴム特性が良好なポリオレフィンゴムとしては、オレフィンの重合時に有機過酸化物、硫黄系化合物やアジド系化合物によるラジカル反応によって、架橋を行って得られるポリオレフィンゴムが挙げられ、幅広い用途に使用されている。ところが、これらのポリオレフィンゴムでは、重合時に架橋反応を行うために、製造工程における制御が複雑になるという欠点がある。
【0004】
また、充分なゴム特性を得るためには、ゲル分率を非常に高くしなければならず、得られたポリオレフィンゴムは、リサイクル性が困難となるという問題がある。即ち、上記ポリオレフィンゴムを一旦成形体とした後、これを再成形した場合、曲げ弾性率、引張応力等の機械物性が大きく低下する。
【0005】
また、他のポリオレフィンゴムとしては、マレイン酸または無水マレイン酸等をグラフト共重合して変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体に、酸化亜鉛などの多価金属酸化物を加える事により、後架橋させたポリオレフィンゴムを簡易に得る方法が知られている。
【0006】
しかしながら、酸化亜鉛等で架橋されたポリオレフィンゴムは、圧縮永久歪み性と引張永久伸び性を共に改良することは困難であり、これらの特性の一方を改良すれば他方が低下してしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、圧縮永久歪み性と引張永久伸び性が共に優れ、リサイクル性をも併せ有するポリオレフィンゴムを提供する事を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するために研究を重ねた結果、樹脂のマトリックスとして存在する軟質ポリオレフィンに、特定の濃度で高級脂肪酸塩を配合して架橋せしめた架橋体であるポリオレフィンゴムにより、上記目的を全て達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、高級脂肪酸塩で架橋された軟質ポリオレフィンよりなることを特徴とするポリオレフィンゴムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオレフィンゴムは、軟質ポリオレフィンが高級脂肪酸塩によって架橋されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明における軟質ポリオレフィンは、如何なるポリオレフィンによって構成されてもよいが、好適な態様を示せば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体の他、エチレンを主成分とするエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0012】
ここで、このエチレン以外の他のα−オレフィンとは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体は、エチレンとα−オレフィンの一種以上との如何なる組み合わせであっても良い。また、エチレンを主成分とするエチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エステル、不飽和シラン化合物、不飽和カルボン酸などの他のモノマ−との共重合体も挙げられる。
【0013】
プロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体の他、プロピレンを主成分とするプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0014】
ここで、このプロピレン以外のα−オレフィンとは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体は、プロピレンとα−オレフィンの一種以上との如何なる組み合わせであっても良い。また、プロピレンを主成分とするプロピレンと酢酸ビニル、アクリル酸エステル、不飽和シラン化合物、不飽和カルボン酸などの共重合体も挙げられる。
【0015】
本発明において高級脂肪酸塩は、公知のものが特に制限なく使用されるが、炭素数8〜28のカルボン酸金属塩が好適である。例えば、エチルヘキシルカルボン酸塩、ラウリン酸金属塩、ミリスチン酸金属塩、パルミチン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、ベヘン酸金属塩、1,2−ヒドロキシステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩等が挙げられる。中でも望ましくは、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛である。特に、ステアリン酸マグネシウムは、少量でゴム特性の発現効果が得られるため好ましい。
【0016】
上記の高級脂肪酸塩による架橋は、ポリオレフィンゴムについて、赤外線スペクトルを調べる事によって確認することができる。即ち、架橋により1560cm-1にイオン性結合に基づく吸収帯が生じ、これにより上記架橋の反応が行なわれた事を確認することができる。
【0017】
本発明のポリオレフィンゴムは、上述した高級脂肪酸塩による架橋により、圧縮永久歪み性と引張永久伸び性が共に良好な成形体を得ることができる。因に、ゲル分率が5〜70%において、圧縮永久歪みが10〜55%及び引張永久伸びが5〜45%という優れた特性を達成することができる。
【0018】
特に、本発明のポリオレフィンゴムのうち、ゲル分率15〜65%のものが好適であり、かかるゲル分率において、圧縮永久歪みが15〜50%、引張永久伸びが10〜40%という優れた特性を発揮する。
【0019】
また、本発明のポリオレフィンゴムは、曲げ弾性率が700MPa以下、好ましくは、5〜200MPaのものが好適である。
【0020】
本発明のポリオレフィンゴムは、高級脂肪酸塩による架橋構造により、リサイクル性にも優れるという特徴をも有する。即ち、一旦成形したものを粉砕し、成形機により再度成形して成形体としたときの諸物性の低下が極めて少ない。
【0021】
また、高級脂肪酸塩の使用により、その成形体表面が極めて滑らかとなるという特徴も併せ有する。
【0022】
本発明のポリオレフィンゴムの製造方法は、特に制限されるものではないが、軟質ポリオレフィンに高級脂肪酸塩を加えて、溶融混練する方法が挙げられる。
【0023】
本発明における軟質ポリオレフィンは、架橋により得られるポリオレフィンゴムが曲弾性率700MPa以下となるものであれば、特に制限されず、前記モノマーより得られる如何なる軟質ポリオレフィンであってもよい。
【0024】
しかし、より好適なゴム特性を発揮するために、好ましくは、昇温溶離分別法による、−40℃から30℃の間で溶出する溶出成分(以下、低温溶出成分という。)が10wt%〜90wt%、好ましくは30〜80wt%、更に好ましくは40〜70wt%となる結晶性分布を有する軟質ポリオレフィンが使用される。
【0025】
ここで、昇温溶離分別法とは、ポリオレフィン等の結晶性高分子の組成又は立体規則性や非晶性の分布を解析する手段であり、次の操作により行われる。先ず、高温の高分子溶液を、珪藻土を充填したカラムに導入し、カラム温度を徐々に低下させることにより充填材表面に融点の高い成分から順に結晶化させる。次にカラム温度を徐々に上昇させることにより、融点の低い成分から順に溶出させて分取する。
【0026】
本発明においては、カラム温度の降温速度は、2℃/時間、カラム温度の上昇速度は、4℃/時間とし、また、溶媒としては、o−ジブロムベンゼンを使用して測定した。
【0027】
尚、具体的な操作方法については、Journal of Applid Polymer Science;Applied Polywer Symposium 45,1−24(1990)に詳細に記載されている。
【0028】
本分別法による共重合組成物の分別では、常温以下の比較的低温の温度区分で非晶性又は極めて結晶性の低い樹脂組成物が分別され、溶出温度の上昇に伴い結晶性の高い成分が分別されてくる。各分別成分量は、横軸に溶出温度、縦軸に積算重量割合をとった溶出曲線より算出することができる。
【0029】
本発明において上記低温溶出成分が10重量%未満である場合、樹脂中に結晶成分を多く含むために柔軟性が低下する傾向にある。また、低温溶出成分が、90重量%を超える場合、ブロッキングが発生し易くなるという傾向がある。
【0030】
上記結晶性分布を持つ軟質ポリオレフィンは、各種の共重合体によって実現することができる。例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体及びプロピレン−エチレン−ブテン共重合体ポロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。
【0031】
上記プロピレン−エチレンランダム共重合体において、エチレン含量は10〜80モル%が好ましい。即ち、エチレン含有量が10モル%未満の時は低温溶出成分が少なく、十分な軟質性が発揮され難く、80モル%を越えるときは低温溶出成分が多く成り過ぎ、得られる共重合体の粒子性状において粘着性が悪く、生産工程上良好な流動性が得られない。
【0032】
また、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体において、プロピレン含量は20〜80モル%が好ましい。即ち、プロピレンが80モル%を越える時は低温溶出成分の量が低下し、十分な軟質性が発揮され難い、20モル%未満の時には、耐熱性が低下する。またエチレン含量は、5〜75モル%が好ましい。即ち、エチレンが5モル%未満の時には低温溶出成分が減少し、十分な軟質性が発揮され難く、75モル%を越えるときは低温溶出成分の増大により得られる共重合体の粒子性状において粘着性が高く、生産工程上良好な流動性が得られる事が困難となる。
【0033】
更に、1−ブテン含量は5〜75モル%が好ましい。即ち、1−ブテンが5モル%未満の時にはエチレンとのバランスにおいて十分な軟質性が発揮され難く、75モル%を越えるときは低温溶出成分の増大により得られる共重合体の粒子性状において粘着性が高く、良好な流動性が得られ難い。
【0034】
本発明において使用される軟質ポリオレフィンとして、更に、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体である、プロピレン系ブロック共重合体も挙げられる。
【0035】
ここで、プロピレン以外のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体において、α−オレフィンは一種以上の如何なる組み合わせでも良い。
【0036】
本発明において、好適に用いられるプロピレン系ブロック共重合体としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体が好適に挙げられる。
【0037】
上記プロピレン−エチレンブロック共重合体の好適な組成としては、ポリプロピレン成分1〜70重量%、エチレンに基づく単量体単位を10〜60モル%とプロピレンに基づく単量体単位を90〜40モル%とのプロピレン−エチレンランダム共重合体成分99〜30重量%からなる組成である。
【0038】
即ち、ポリプロピレン成分が1重量%未満のときには低温溶出成分の量が多くなるためブロック共重合体の粒子性において粘性が高く、流動性が低下する傾向がある。また、ポリプロピレン成分が70重量%を超えると、低温溶出成分の量が低減し、軟質ポリオレフィンに十分な柔軟性と耐白化性が得られ難い。
【0039】
本発明において軟質ポリオレフィンを架橋して得られるポリオレフィンゴムの特性をを勘案すれば、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を含むブロック共重合体が好適である。
【0040】
本発明において軟質ポリオレフィンは、上記の例示に限定されず、プロピレンと任意のコモノマーとの共重合体も挙げられる。例えば、プロピレンと酢酸ビニル、アクリル酸エステル、不飽和シラン化合物、不飽和カルボン酸などの共重合体が挙げられ、これらの共重合体は、単独で使用しても良いし、混合して用いても良い。
【0041】
本発明において、軟質ポリオレフィンの重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、一般に7〜700万であり、特に、20〜300万の範囲にあるのが好ましく、更に、30〜200万の範囲のものがより好ましい。
【0042】
本発明のポリオレフィンゴムには、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で種々の軟質ポリオレフィン以外の樹脂(以下、他の樹脂という。)を配合することができる。
【0043】
例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンとC4〜C10との共重合によりなる線状ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体(EPDM)、エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ペンテン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリオレフィン樹脂を配合しても良い。
【0044】
また、エチレン−酢酸ビニル共重合、エチレン−メタクリレート、ポリクロロプレン、ハロゲン化ポリエチレン、ハロゲン化ポリプロピレン、フッ素樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリブタジエンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、フッ素ゴム、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、石油樹脂、水添石油樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂等の石油樹脂系炭化水素や、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−プロピレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体や水添スチレン−ブタジエンゴム等の芳香族系ビニル系ゴムを配合する事ができる。
【0045】
上記他の樹脂は、本発明の軟質ポリオレフィン100重量部に対して、1〜40重量部、好ましくは2〜20重量%の範囲で配合することが好適である。
【0046】
上記軟質ポリオレフィンは、如何なる方法により得られたものであっても良く、公知の重合方法が特に制限なく採用される。例えば、以下のような重合方法が用いられる。
【0047】
例えば、触媒は、周期律表第IV族の遷移金属を用いるメタロセン化合物とメチルアルミノキサンまたはアルキルアルミニウムもしくはアルキルアルミニウムハライドとからなるメタロセン系触媒、バナジウム系触媒、三塩化チタンや四塩化チタンを塩化マグネシウムなどのマグネシウム化合物に担持させたチタン系触媒、アニオン重合触媒、ラジカル重合触媒などが挙げられ、これらはそれぞれ単独または組み合わせて使用されてもよい。
【0048】
一般には、チーグラー・ナッター型立体特異性触媒、塩化マグネシウム担持チタン含有触媒または三塩化チタン系立体特異性触媒と、トリエチルアルミニウムまたはジエチルアルミニウム等の助触媒を、プロピレン、或いはこれと他のα−オレフィンとの混合物に加え重合して得られたものが好ましい。
【0049】
重合方法は、気相中及び液相中のいずれで重合したものであってもよい。また、触媒に対する不活性液体あるいは不活性溶媒中において重合したものでもよい。
【0050】
尚、こうした重合は、バッチによる重合の他、多段重合により製造したものでもよい。かかる多段重合においては、気相単独または液相単独で製造したものでも良く、さらに、液相重合段階と気相重合段階を組み合わせて製造したものでもよい。重合中、水素を導入することにより分子量調節したものや、得られた重合体を有機過酸化物等の分子量調節剤により減成したものでもよい。
【0051】
本発明のポリオレフィンゴムの製造方法において上記軟質ポリオレフィンは、高級脂肪酸塩による架橋を効果的に得るため、カルボン酸により変性されたカルボン酸変性軟質ポリオレフィン(以下、単に変性軟質ポリオレフィンという)として使用することが好ましい。
【0052】
具体的には、軟質ポリオレフィンに不飽和有機酸又はその誘導体をグラフト共重合させることによって得られた変性軟質ポリオレフィンが挙げられる。
【0053】
上記不飽和有機酸としては、マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,ハロゲンマレイン酸,シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸,エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等や、これらジカルボン酸の酸無水物,エステル,アミド,イミドなど、アクリル酸,メタクリル酸等が挙げられ誘導体としては、これらモノカルボン酸のエステル,アミドなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合しても使用できる。これらの中では不飽和ジカルボン酸またはその酸誘導体が好ましく、とりわけ無水マレイン酸が好ましい。
【0054】
また、軟質ポリオレフィンに不飽和有機酸又はその誘導体をグラフト共重合させる方法は、公知の方法が特に制限なく採用される。例えば、これらを有機過酸化物等の開始剤と共に混合後、加熱する方法や、これら混合物に電子線、X線、α線、β線、γ線等の放射線を照射する方法が代表的である。
【0055】
上記有機過酸化物としては、例えばジクミルパーキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウイルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソブチル)ベンゼン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。
【0056】
尚、上記変性軟質ポリオレフィンは、カルボン酸のカルボキシル基が樹脂マトリックス中に均一に分散していればよく、例えば、軟質ポリオレフィンを均一にカルボン酸で変性する態様、カルボン酸で変性された軟質ポリオレフィンと変性されていない軟質ポリオレフィンとを混合する態様等が特に制限なく実施される。
【0057】
また、変性軟質ポリオレフィン中のカルボキシル基は、軟質ポリオレフィン100重量部に対して不飽和有機酸又はその誘導体を0.5〜10重量部含有する事が好適であり、さらに好ましくは2〜6重量部含有する事が好適である。
【0058】
本発明のポリオレフィンゴムの製造方法において、変性軟質ポリオレフィンに混合する高級脂肪酸塩の量は、目的とするゲル分率に応じて適宜決定すれば良いが、本発明において好ましいゲル分率5〜70%を達成するためには、軟質ポリオレフィン100重量部に対して、0.3〜60重量部とすることが好ましい。
【0059】
また、特に好ましいゲル分率15〜65%を達成するためには、軟質ポリオレフィン100重量部に対して、1〜30重量部とすることが好ましい。
【0060】
本発明のポリオレフィンゴムの製造方法において、変性軟質ポリオレフィンと高級脂肪酸塩との溶融混練は、公知の方法で行うことができる。例えば、タンブラ−やヘンシェルミキサ−、バンバリ−ミキサ−、リボンフィダ−、ス−パ−ミキサ−等にて両者を混合した後、単軸または多軸の押出機(好ましくは脱気が出来る溶融混練装置)、ロ−ル、ニ−ダ−、バンバリ−等にて、混練温度150〜300℃、好ましくは、190〜260℃で溶融混練し、ペレット等に成形する方法が好適である。
【0061】
本発明のポリオレフィンゴムには、必要に応じて公知の添加剤が配合される。具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノ−ル、ステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、ジステアリル(3,5−ジ−t―ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フォスホネ−ト、チオジエチレングリコ−ルビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾ−ル)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5―t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、ビス[3,3’−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾ−ル)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−エチリデンビス(4−t−ブチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t-ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレ−ト、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアネ−ト、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネ−ト、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プリピオニルオキシエチル]イソシアネ−ト、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノ−ル、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドリキシエチル)2,4,8,10−テトラオキサピロ[5,5]ウンデカン−ビス[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネ−ト]、トリエチレングリコ−ルビス[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネ−ト]などが挙げられる。
【0062】
これらのフェノ−ル系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィンゴム100重量部に対して0.001〜2重量部、好ましくは、0.01〜1.5重量部である。上記添加量が0.001重量部未満では、樹脂の劣化が著しくなる為、樹脂が黄変し好ましいものではない。一方、2重量部を超える場合、酸化防止剤のブル−ミングが著しく、成形品外観を低下させてしまう為、好ましくない。
【0063】
尚、上記のフェノ−ル系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0064】
また、本発明のポリオレフィンゴムには、必要に応じて公知の有機リン系酸化防止剤が何等制限されることなく使用できる。具体的には、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノ−ルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4−n−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノ−ル)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1’,3−トリス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタントリホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジーt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジーt−ブチルフェニル)オクタデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジーt−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、テトラキス(2,4−ジーt−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスファイトなどが挙げられる。
【0065】
これらの有機リン系酸化防止剤は、ポリオレフィンゴムに対して0.001〜2重量部、好ましくは、0.01〜1.5重量部添加するのが好適である。上記添加量が0.001重量部未満では、樹脂の劣化が著しくなる為、樹脂が黄変し好ましいものではない。一方、該添加量が2重量部を超える場合、酸化防止剤のブル−ミングが著しく、成形品外観を低下させてしまう為、好ましくない。
【0066】
尚、上記の有機リン系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0067】
さらに、本発明のポリオレフィンゴムには、必要に応じて公知のチオエ−テル系酸化防止剤が何等制限されることなく使用できる。具体的には、チオジプラピオン酸のジラウリル,ジミリスチル,ジステアリルエステルなどのジアルキルチオジプロピオネ−ト類、及びペンタエリスリト−ルテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネ−ト)などのポリオ−ルでβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0068】
これらのチオエ−テル系酸化防止剤は、ポリオレフィンゴム100重量部に対して0.001〜2重量部、好ましくは、0.01〜1.5重量部添加するのが好適である。
【0069】
上記の添加量が0.001重量部未満では、樹脂の劣化が著しくなる為、樹脂が黄変し好ましいものではない。一方、該添加量が2重量部を超える場合、酸化防止剤のブル−ミングが著しく、成形品外観を低下させてしまう為、好ましくない。
【0070】
尚、上記のチオエ−テル系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0071】
上述のフェノ−ル系酸化防止剤、有機リン系酸化防止剤、チオエ−テル系酸化防止剤の併用においても、ポリオレフィンゴム100重量部に対して、0.001〜2重量部、好ましくは、0.01〜1.5重量部であれば、それらの中から1種のみを使用しても、2種以上を用いても良い。
【0072】
なお、本発明のポリオレフィンゴムには、上記成分の他に必要に応じてワラストナイト,マイカ,ベントナイト,クレ−,ゼオライト,カオリン,パ−ライト,珪藻,アスベスト,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,シリカ,シリケ−ト,炭素,ガラス,ケイ酸アルミニウム,ケイ酸カルシウム,天然繊維,合成繊維等の無機充填材を配合しても良い。上記充填剤は、2種以上を併用しても良い。
【0073】
この無機充填剤の配合量は、ポリオレフィンゴム100重量部に対して0.1〜80重量部であるのが好ましい。ポリオレフィンゴムには、さらに、発明の効果を損なわない程度で、適宜、各種の添加剤を配合することができる。具体的には、ヒンダ−ドアミン系等の熱安定剤;ヒンダ−ドアミン系等の耐候剤;ベンゾフェノン系,ベンゾトリアゾ−ル系,ベンゾェ−ト系等の紫外線吸収剤;ノニオン系,カチオン系,アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系,ワックス系等の分散剤;オキシド系等の分解剤;メラミン系,ヒドラジン系,アミン系等の金属不活性剤;含臭素有機系,リン酸系,三酸化アンチモン,水酸化マグネシウム,赤燐等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;ソルビト−ル系,芳香族リン酸金属塩系,有機酸金属系等の透明化剤または造核剤;防曇剤;アンチブロッキング剤;有機充填剤;金属イオン系などの無機抗菌剤,有機抗菌剤、発泡剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
本発明において、上記各成分の配合方法は、樹脂の混合で行われている通常の方法を何等制限なく採用することができる。
【0075】
例えば、変性軟質ポリオレフィンに、高級脂肪酸金属塩を添加して溶融混合する際、他の樹脂や添加剤、充填剤等を添加する方法が好ましい。
【0076】
また、各成分の添加順序は、特に規定はなく、上記方法と異なる順番で各成分を混合してもよい。さらに、他の添加剤や充填剤成分を高濃度に濃縮配合した、マスタ−バッチをつくり、混合使用する事もできる。
【0077】
また、本発明のポリオレフィンゴムは、公知の成形法、例えば、Tダイ押出成形や異型押出成形、射出成形、カレンダ−成形等において成形品に本効果を要する用途等に、何ら制限なく適応できるものである。
【0078】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィンゴムは、圧縮永久歪み性と引張永久伸び性が共に優れ、且つ成形品表面が滑らかで、更に、リサイクル性や燃焼時の有毒ガス発生防止等の環境保全に優れている。
【0079】
従って、本発明のポリオレフィンゴムは、フィルム、シ−ト、ボトル、ケ−ス、パイプ、チュ−ブ、繊維等の各種成形品や電気・電子・OA機器部品等の工業部品をはじめ、文具、表面保護材、建材シ−ト、化粧シ−ト、内面保護材、コ−ティング材、シ−ライト材、遮水材、装飾表皮材、防水材、電材部品、電線被覆材や介在糸及びシ−ス材等の電線関連部材、自動車のワイヤ−ハ−ネス用一般チュ−ブやコルゲ−トチュ−ブ、環境への影響の少ない事を必要とする各種成形品の素材として、極めて有用に使用できる。
【0080】
本発明によるポリオレフィンゴムによれば、圧縮永久歪み性と引張永久伸び性が共に良好な成形体を得ることができる。特に、ゲル分率が5〜70%、圧縮永久歪みが10〜55%及び引張永久伸びが5〜45%の特性を達成することができ、かかる特性を有するものが、本発明において特に好適である。
【0081】
【実施例】
本発明を更に明確に説明するため、以下実施例及び比較例を添えて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
尚、ポリオレフィンゴムの評価は、下記試験方法(a)〜(f)で行った。
(a)引張強度
JIS K6251に準拠した引張試験により、引張強度を測定した。
(b)ゲル分率
サンプルを60メッシュのステンレス金網の袋に入れ、p−キシレン沸点下で6時間ソックスレ−抽出を行った。抽出サンプルを真空乾燥機で6時間乾燥した後、抽出残量(ゲル分率)を測定した。
(c)圧縮永久歪み
JIS K6301に準拠した試験方法により、圧縮永久歪みを測定した。
(d)引張永久伸び
JIS K6301に準拠した試験方法により、引張永久伸びを測定した。
(e)平滑性
100mm(縦)×60mm(横)×3mm(厚み)の平板を成形し、表面の平滑性を手による感触にて確認し下記の基準で評価した。
【0083】
良:平滑性良好 不良:平滑性不良。
(f)曲げ弾性率
JIS K7203に準じて行った。
【0084】
また、実施例及び比較例において使用したポリオレフィン樹脂、架橋剤は下記の通りである。
1.ポリオレフィン樹脂
A.δ型三塩化チタン及びジエチルアルミニウムクロライドの存在下に重合を行い、表1に示す軟質プロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
【0085】
B.塩化マグネシウム担持型四塩化チタン化合物及びトリエチルアルミニウムの存在下に重合を行い、表3に示すプロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。
【0086】
C.塩化マグネシウム担持型四塩化チタン化合物及びトリエチルアルミニウムの存在下に重合を行い、表2に示す軟質プロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。
【0087】
D.δ型三塩化チタン及びジエチルアルミニウムクロライドの存在下に重合を行い、表2に示す軟質プロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
【0088】
E.塩化マグネシウム担持型四塩化チタン化合物及びトリエチルアルミニウムの存在下に重合を行い、表2に示す軟質プロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
2.架橋剤
F.ステアリン酸マグネシウム
G.ステアリン酸カルシウム
H.ステアリン酸亜鉛
I.酸化亜鉛
J.硫化亜鉛
更に、温度昇温溶離分別法は、下記の方法によって実施した。
【0089】
(株)センシュー科学社製、SSC−7300型を用い、以下の測定条件により行った。
【0090】
溶媒 ;O−ジクロロベンゼン
流速 ;2.5ml/min
昇温速度 ;4.0℃/Hr
サンプル濃度 ;0.7wt%
サンプル注入量;100ml
検出器 ;赤外検出器、波長3.14μm
カラム ;φ30mm×300mm
充填剤 ;Chromosorb P 30〜60mesh
カラム冷却速度;2.0℃/Hr
実施例1〜8
軟質ポリオレフィン樹脂A100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を4.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0091】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性軟質ポリオレフィンを得た。
【0092】
得られた変性軟質ポリオレフィン100重量部に対して、表1に示す架橋剤及び酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0093】
更にその後、ベント付き45mmφ2軸押出機にて溶融混練を行い、ストランドカットによってポリオレフィンゴムを得た。
【0094】
得られたそれぞれのポリオレフィンゴムについて、赤外線スペクトルを調べた結果、1560cm-1にイオン性結合に基づく吸収帯が生じていることを確認することができた。
【0095】
また、このようにして得られたポリオレフィンゴムを成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表1に示した。
【0096】
実施例9
軟質ポリオレフィン樹脂A100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を5.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0097】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性軟質ポリオレフィンを得た。
【0098】
得られた変性軟質ポリオレフィン100重量部に対して、表1に示す架橋剤及び酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0099】
更に、その後、ベント付き45mmφ2軸押出機にて溶融混練を行い、ストランドカットによってポリオレフィンゴムを得た。
【0100】
得られたポリオレフィンゴムについて、赤外線スペクトルを調べた結果、1560cm-1にイオン性結合に基づく吸収帯が生じていることを確認することができた。
【0101】
また、このようにして得られたポリオレフィンゴムを成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表1に示した。
【0102】
【表1】
(本発明のポリオレフィンゴムのリサイクル性評価)
実施例1〜9のポリオレフィンゴム成形品を粉砕した後、再度成形したところ、何等問題なく成形ができ、再成形品は上記成形品とほぼ同等の物性を示した。
【0103】
実施例10
軟質ポリオレフィン樹脂C100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を4.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0104】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性軟質ポリオレフィンを得た。
【0105】
得られた変性軟質ポリオレフィン100重量部に対して、表2に示す架橋剤及び酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0106】
更にその後、ベント付き45mmφ2軸押出機にて溶融混練を行い、ストランドカットによってポリオレフィンゴムを得た。
【0107】
得られたポリオレフィンゴムについて、赤外線スペクトルを調べた結果、1560cm-1にイオン性結合に基づく吸収帯が生じていることを確認することができた。
【0108】
また、このようにして得られたポリオレフィンゴムを成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表2に示した。
【0109】
実施例11
軟質ポリオレフィン樹脂D100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を4.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0110】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性軟質ポリオレフィンを得た。
【0111】
得られた変性軟質ポリオレフィン100重量部に対して、表2に示す架橋剤及び酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0112】
更に、その後、ベント付き45mmφ2軸押出機にて溶融混練を行い、ストランドカットによってポリオレフィンゴムを得た。
【0113】
得られたポリオレフィンゴムについて、赤外線スペクトルを調べた結果、1560cm-1にイオン性結合に基づく吸収帯が生じていることを確認することができた。
【0114】
また、このようにして得られたポリオレフィンゴムを成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表2に示した。
【0115】
実施例12
軟質ポリオレフィン樹脂E100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を4.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0116】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性軟質ポリオレフィンを得た。
【0117】
得られた変性軟質ポリオレフィン100重量部に対して、表2に示す架橋剤及び酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0118】
更に、その後、ベント付き45mmφ2軸押出機にて溶融混練を行い、ストランドカットによってポリオレフィンゴムを得た。
【0119】
得られたポリオレフィンゴムについて、赤外線スペクトルを調べた結果、1560cm-1にイオン性結合に基づく吸収帯が生じていることを確認することができた。
【0120】
また、このようにして得られたポリオレフィンゴムを成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表2に示した。
【0121】
【表2】
比較例1
軟質ポリオレフィン樹脂A100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0122】
その後、ベント付き45mmφ2軸押出機にて溶融混練を行い、ストランドカットを行った後成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表3に示した。
【0123】
比較例2
軟質ポリオレフィン樹脂A100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を4.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0124】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性軟質ポリオレフィンを得た。
【0125】
このようにして得られた変性軟質ポリオレフィンを成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表3に示した。
【0126】
比較例3
硬質ポリオレフィン樹脂であるポリオレフィン樹脂B100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を4.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0127】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性ポリオレフィンを得た。
【0128】
このようにして得られた変性ポリオレフィンを成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表3に示した。
【0129】
比較例4
硬質ポリオレフィン樹脂であるポリオレフィン樹脂B100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を4.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0130】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性ポリオレフィンを得た。
【0131】
得られた変性ポリオレフィン100重量部に対して、表3に示す架橋剤及び酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0132】
更に、その後、ベント付き45mmφ2軸押出機にて溶融混練を行い、ストランドカットによって架橋体を得た。
【0133】
このようにして得られた架橋体を成形し、各種の測定及び評価に用いた結果を表3示した。
【0134】
比較例5〜6
軟質ポリオレフィン樹脂A100重量部に対して、酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソブチル)ベンゼンを1.5重量部と無水マレイン酸を4.5重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0135】
その後、50mmφ単軸押出機によって溶融混練を行い、ストランドカットによって変性軟質ポリオレフィンを得た。
【0136】
次いで、得られた変性軟質ポリオレフィン100重量部に対して、表3に示す架橋剤及び酸化防止剤テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサ−にて攪拌混合を十分行った。
【0137】
更に、その後、ベント付き45mmφ2軸押出機にて溶融混練を行い、ストランドカットによってポリオレフィンゴム物を得た。
【0138】
このようにして得られたポリオレフィンゴムを成形し、各種の測定及び評価に供した結果を表3に示した。
【0139】
【表3】
Claims (4)
- 昇温溶離分別法による−40℃から30℃の間で溶出する溶出成分が10wt%〜90wt%である下記I又はIIの共重合体をカルボン酸で変性し、さらに炭素数8〜28のカルボン酸金属塩で架橋して得られる、ゲル分率が5〜70%であり、圧縮永久歪みが10〜55%、引張永久伸びが5〜45%であることを特徴とするポリオレフィンゴム。
I:ポリプロピレン成分1〜70重量%、エチレンに基づく単量体単位を10〜60モル%とプロピレンに基づく単量体単位を90〜40モル%とのプロピレン−エチレンランダム共重合体成分99〜30重量%からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体
II:エチレン含量が10〜80モル%のプロピレン−エチレンランダム共重合体 - 前記カルボン酸金属塩が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛の群から選ばれた1種以上のものであることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィンゴム。
- ゲル分率が15〜65%の請求項1記載のポリオレフィンゴム。
- 昇温溶離分別法による−40℃から30℃の間で溶出する溶出成分が10wt%〜90wt%である下記I又はIIの共重合体をカルボン酸で変性し、さらに炭素数8〜28のカルボン酸金属塩を加えて、溶融混練することを特徴とする請求項1記載のポリオレフィンゴムの製造方法。
I:ポリプロピレン成分1〜70重量%、エチレンに基づく単量体単位を10〜60モル%とプロピレンに基づく単量体単位を90〜40モル%とのプロピレン−エチレンランダム共重合体成分99〜30重量%からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体
II:エチレン含量が10〜80モル%のプロピレン−エチレンランダム共重合体
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