本発明の1以上の実施形態の詳細について以下に述べる。本発明の実施および試験において、本明細書に記載する方法および材料と類似のまたは同等のものを使用することができ、該方法および材料を以下に記載する。本発明の他の特徴、目的および利点は、該記載により明らかになるであろう。本明細書において、文脈が明らかに反対のことを示していない限り、単数形はその複数形を含むものである。異なる記載がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する業界の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を持つものである。コンフリクトの場合、本明細書が規制する。
(定義)
便宜のため、本明細書、実施例および添付の請求の範囲で使用されている単語をここに集める。
「治療すること」は、状況、疾患、障害などの改善の結果となる任意の効果、たとえば、軽減すること、減少すること、調整すること、または除去することなどを含む。「治療すること」は、状況、疾患、障害などの改善の結果となる任意の効果、たとえば、軽減すること、減少すること、調整すること、または除去することなどを含む。疾患状態を「治療すること」または「治療」は、(1)疾患状態を予防すること、すなわち、疾患状態に曝されているまたは疾患状態を来たすかもしれないが、まだその疾患状態の症状は経験していないまたは現われていない患者において、疾患状態の臨床症状を発現しないようにすること;(2)疾患状態を阻止すること、すなわち、疾患状態またはその臨床症状の発現を止めること;(3)疾患状態を開放すること、すなわち、疾患状態または臨床症状の一時的なまたは永久後退を起こすことが含まれる。「疾患状態」は、疾患、状況、症状または暗示のいかなるものも言う。
「アルキル」は、飽和脂肪族基を含み、直鎖アルキル基(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分岐鎖状アルキル基、(たとえば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル)、シクロアルキル(たとえば、脂環式)基、(たとえば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換されたシクロアルキル基およびシクロアルキル置換されたアルキル基が挙げられる。「アルキル」は、さらに、炭化水素骨格の炭素原子の1個以上と置き換わった酸素、窒素、イオウまたはリン原子を有するアルキル基も含み、たとえば、ヘテロ原子で置換されたCH2OCH3またはCH2OCH2CH3が挙げられる。ある実施形態では、直鎖または分岐鎖状アルキルは、骨格中に6個以下の炭素原子を有し(たとえば、直鎖としてはC1−C6、分岐鎖状としてはC3−C6)、別の実施形態では、4個以下の炭素原子を有する。同様に、シクロアルキルは、環構造内に3個から8個の炭素原子を有し、別の実施形態では、環構造内に5個または6個の炭素を有する。「C1−C6」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有するアルキル基を含む。「C2−C6」は、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有するアルキル基を含む。
また、用語「アルキル」は、「置換されていないアルキル」および「置換されたアルキル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素原子上の水素原子と置き換わった置換基を有するアルキル部分を言う。該置換基として、たとえば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、アルキルアリール、または芳香族あるいはヘテロ芳香族部分を例示することができる。シクロアルキルはさらに、たとえば、上記の置換基で置換される可能性がある。「アルキルアリール」または「アラルキル」部分は、アリールで置換されたアルキル(たとえば、フェニルメチル(ベンジル))である。また、「アルキル」は、天然および非天然のアミノ酸側鎖も含む。
「アリール」は、芳香族性を持つ基であり、0、1、2、3または4個のヘテロ原子を含んでもよい、5−および6−員環「非共役」または単環の芳香族基、および少なくとも1個の芳香族環を含む「共役」または多環系を含む。アリール基の例として、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンなどが挙げられる。さらに、用語「アリール」は、三環式、二環式のような多環式アリール基、たとえば、ナフタレン、ベンゾキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリンまたはインドリジンも含む。環構造内にヘテロ原子を有するアリール基も、「アリールヘテロ環類」、「ヘテロ環類」、「ヘテロアリール類」または「ヘテロ芳香族類」と言う。芳香族環は、1個以上の環ポジションにおいて、上記の置換基で置換されうる。該置換基として、たとえば、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、アルキルアリール、または芳香族あるいはヘテロ芳香族部分が挙げられる。アリール基は、また、多環系を形成するように芳香族ではない、脂環式環またはヘテロ環式環(たとえば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)で縮合または架橋されうる。
「アルケニル」は、長さおよび可能性のある置換において、上記のアルキルと類似するが、少なくとも1個の二重結合を含有する不飽和脂肪族基を含む。たとえば、用語「アルケニル」は、直鎖アルケニル基(たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニルおよびデセニル)、分岐鎖状アルケニル基、シクロアルケニル(たとえば脂環式)基、(たとえば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニルで置換されたシクロアルケニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニルで置換されたアルケニル基を含む。用語「アルケニル」は、さらに、1個以上の炭化水素骨格の炭素を置き換えた酸素、窒素、イオウまたはリンを含むアルケニル基も含む。ある実施形態では、直鎖または分岐鎖状アルケニル基は、その骨格内に1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含む(たとえば、直鎖としてC2−C6、分岐鎖状としてC3−C6)。同様に、シクロアルケニル基は、その環構造内に3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含んでもよく、他の実施形態では、環構造内に5個または6個の炭素を含む。用語「C2−C6」は、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有するアルケニル基を含む。
用語「アルケニル」は、また、「置換されていないアルケニル」および「置換されたアルケニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素原子上の水素原子と置き換わった置換基を有するアルケニル部分を言う。そのような置換基として、たとえば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、アルキルアリール、または芳香族あるいはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。
「アルキニル」は、長さおよび可能性のある置換において、上記のアルキルと類似するが、少なくとも1個の三重結合を含有する不飽和脂肪族基を含む。たとえば、「アルキニル」は、直鎖アルキニル基(たとえば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル)、分岐鎖状アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニルで置換されたアルキニル基を含む。用語「アルキニル」は、さらに、炭化水素骨格の1個以上の炭素と置き換わった酸素、窒素、イオウまたはリン原子を有するアルキニル基も含む。ある実施形態では、直鎖または分岐鎖状アルキニル基は、その骨格内に2、3、4、5または6個の炭素原子を有する(たとえば、直鎖としてC2−C6、分岐鎖状としてC3−C6)。用語「C2−C6」は、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有するアルキニル基を含む。
また、用語「アルキニル」は、「置換されていないアルキニル」および「置換されたアルキニル」の両方を含む、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素原子上の水素原子と置き換わった置換基を有するアルキニル部分を言う。そのような置換基として、たとえば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、アルキルアリール、または芳香族あるいはヘテロ芳香族部分を含む。
炭素の数字に関して、特に示さない場合は、「低級アルキル」は、先に規定したようなアルキル基を含むが、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子も含み、他の実施形態では、アルキル基は、骨格構造内に1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含む。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、たとえば、2、3、4、5または6個の炭素原子の鎖長を持つ。
「アシル」は、アシルラジカル(CH3CO−)またはカルボニル基を含有する化合物および部分を含む。「置換されたアシル」は、1個以上の水素原子が、たとえば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、アルキルアリール、または芳香族あるいはヘテロ芳香族部分によって置き換えられたアシル基を含む。
「アシルアミノ」は、アシル部分がアミノ基(−C(O)N−または−NC(O)−)に結合した部分を含む。たとえば、該用語は、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイド基も含む。
「アロイル」は、カルボニル基に結合するアリールまたはヘテロ芳香族部分を有する化合物および部分を含む。アロイル基の例として、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシなどが挙げられる。
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」は、前記アルキル基であって、さらに、炭化水素骨格の1個以上の炭素原子と置き換わった酸素、窒素またはイオウ原子、たとえば、CH3OCH2−、CH3NHCH2−またはCH3SCH2−を含む前記アルキル基を含む。
用語「アルコキシ」または「アルコキシル」は、酸素原子と共有結合で結合する置換されているおよび置換されていないアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む。アルコキシ基(またはアルコキシルラジカル)の例として、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペントキシ基が挙げられる。置換されたアルコキシ基の例として、ハロゲン化アルコキシ基が含まれる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、アルキルアリール、または芳香族あるいはヘテロ芳香族部分のような基で置換されうる。ハロゲン置換アルコキシ基の例として、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシおよびトリクロロメトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「ヘテロ環式」または「ヘテロ環状」基は、たとえば、3、4、5、6、7、8、9あるいは10−員環、または4、5、6あるいは7−員環の閉環構造であって、1個以上のヘテロ原子を含む構造を言う。一実施形態では、環構造は、5または6−員環である。「ヘテロ原子」は、炭素および水素以外の任意の元素を含む。ヘテロ原子の例として、窒素、酸素、イオウおよびリンが上げられる。
ヘテロ環式基は、飽和でも不飽和でもよく、たとえば、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、ラクトン類、アゼチジノン類およびピロリジノン類のようなラクタム類、スルタム類およびスルトン類が上げられる。ヘテロ環状基、たとえば、ピロールおよびフランは、芳香族特徴を持つ可能性がある。ヘテロ環状基は、キノリンおよびイソキノリンのような縮合環構造を含む。ヘテロ環状基の他の例として、ピリジンおよびプリンが含まれる。ヘテロ環状環は、前記置換基によって1以上の位置で置換されうる。置換基として、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート類、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、または芳香族あるいはヘテロ芳香族部分が挙げられる。また、ヘテロ環状基は、1個以上の構成原子を、たとえば、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF3または−CNなどによって置換しうる。
用語「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」は、イオウ原子に二重結合によって結合する炭素原子を含有する化合物および部分を含む
用語「エーテル」は、2個の異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合する酸素を含有する化合物または部分を含む。たとえば、該用語は、他のアルキル基に共有結合で結合する酸素原子に、供給結合で結合するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を言う、「アルコキシアルキル」も含む。
用語「エステル」は、カルボニル基の炭素に結合する酸素原子に結合する炭素またはヘテロ原子を含有する化合物および部分を含む。用語「エステル」は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのアルコキシカルボキシ基を含む。アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、先に規定した通りである。
用語「チオエーテル」は、2個の異なる炭素またはヘテロ原子原子に結合するイオウ原子を含有する化合物および部分を含む。チオエーテル類の例として、アルクチオアルキル類、アルクチオアルケニル類およびアルクチオアルキニル類が挙げられるが、これらに限定されない。用語「アルクチオアルキル類」は、アルキル基に結合するイオウ原子に結合するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を有する化合物を含む。同様に、用語「アルクチオアルケニル類」および「アルクチオアルキニル類」は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基が、アルキニル基に共有結合で結合するイオウ原子に、共有結合で結合する化合物または部分を言う。
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHまたは−O−を有する基を含む。
用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含む。用語「パーハロゲン化」は、一般的に、全ての水素がハロゲン原子によって置き換えられた部分を言う。
用語「水素以外の置換基」は、水素以外の置換基を言う。限定ではない例示として、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アリール基などが挙げられる。
「多環式」または「多環状ラジカル」は、2個以上の炭素が隣り合う環で共有されている、2個以上の環(たとえば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロ環)を言う。非隣接原子を介して結合する環を、「架橋」環と言う。多環のそれぞれの環は、前記したような置換基で置換されうる。該置換基として、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート類、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環式、アルキル、アルキルアリール、または芳香族あるいはヘテロ芳香族部分が挙げられる。
本明細書で使用する「アニオン性基」は、生理的pHで負に帯電している基を言う。アニオン性基として、カルボキシレート、サルフェート、スルホネート、スルフィナート、スルファメート、テトラゾリル、ホスフェート、ホスフォネート、ホスフィネート、ホスホロチオネート、またはこれらの機能性等価物が挙げられる。アニオン性基の「機能性等価物」は、たとえば、カルボキシレート基のバイオイソスターのようなバイオイソスター類も含むものである。バイオイソスターは、古典的なバイオイソスター等価物も非古典的なバイオイソスター等価物も包含する。古典的および非古典的バイオイソスターは、業界で公知である(たとえば、Silverman,R.B.The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,Academic Press,Inc.:San Diego,Calif.,1992,pp.19−23参照)。アニオン性基の一例として、カルボキシレートが挙げられる。
「保護基」は、分子中の反応性基に結合すると、マスクして、その反応性を減少させあるいは保護する原子団を言う。保護基の例としては、Green and Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,(Wiley,第2編、1991);Harrison and Harrisonら,Compendium of Synthetic Organic Methods, Vols.1−8(John Wiley and Sons,1971−1996);およびKocienski,Protecting Groups,(Verlag,第3編、2003)中に見出すことができる。
用語「アミン保護基」は、アミン、アミドまたは他の窒素含有部分を、異なる特定の化学反応の条件に対して、実質的に不活性な化学基に変換する、官能基を意味するものである。アミン保護基は、分子中の他の官能基に影響を与えない条件下に、簡単にかつ選択的に高収率で除去されるのが好ましい。アミン保護基の例として、フォルミル、アセチル、ベンジル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、p−メトキシベンジル、メトキシメチル、トシル、トリフルオロアセチル、トリメチルシリル(TMS)、フルオレニル−メチルオキシカルボニル、2−トリメチルシリル−エトキシカルボニル、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、2−トリメチルシリル−エタンスルフォニル(SES)、トリチルおよび置換トリチル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)などが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切なアミン保護基は、当業者によって簡便に同定される。
代表的なヒドロキシ保護基は、ヒドロキシ基がアシル化またはアルキル化されているものが挙げられ、たとえば、ベンジル、トリチルエーテル、およびアルキルエーテル類、テトラヒドロピラニルエーテル類、トリアルキルシリルエーテル類、およびアリルエーテル類が上げられる。
「安定化合物」および「安定構造」は、反応混合物から有用な程度の純度にするための単離および効果のある治療薬の形成に耐えるのに充分な頑丈さのある化合物を示すことを意味する。
本明細書では、場合によっては、便宜のため、化合物の構造式として、ある異性体で示すが、本発明は、幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体など、構造的に起こる全ての異性体および異性体混合物を含み、便宜のための式の記載に限定されず、異性体の任意の1つまたは混合物であってもよい。したがって、不斉炭素原子は、分子中に存在してもよく、光学活性化合物およびラセミ化合物も、本発明の化合物中に存在してもよい。しかし、本発明は、これらに限定されることはなく、いかなるものも含む。さらに、結晶多形も存在してもよく、ただしこれに限定されず任意の結晶形が単独または結晶形混合物として、あるいは、無水物または水和物として存在する。さらに、インビボで本発明の化合物の分解によって産生する、所謂、代謝産物も本発明の範囲内に含まれる。
当然に、本発明の化合物のあるものの構造は、不斉(キラル)炭素原子を含む。したがって、そのような不斉から起こる異性体も、他に記載がない限り、本発明の範囲内に含まれると理解すべきである。そのような異性体は、古典的な分離技術によりおよび立体的に制御された合成により、実質的に純粋な形で得ることができる。本発明の化合物は、立体異性体で存在してもよく、したがって、個々の立体異性体としてまたはその混合物として製造することができる。
「異性体」は、同一の分子式を持つが、性質またはそれらの原子の結合配列あるいは空間配置が異なる化合物を意味する。それらの原子の空間配置において異なる異性体は、「立体異性体」と言われる。もう1つの鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオマー」と言い、重なることのない鏡像である立体異性体を、「エナンチオマー」、時には、光学異性体と言う。4個の異なる置換基が結合する炭素原子を「キラル中心」と言う。
「キラル異性体」は、少なくとも1個のキラル中心を有する化合物を意味する。これは、2個の反対のキラル対称性のエナンチオマー型を有し、個々のエナンチオマーとして、またはエナンチオマーの混合物として存在してもよい。反対のキラル対称性の個々のエナンチオマー型を同量含有する混合物を「ラセミ混合物」と言う。複数のキラル中心を持つ化合物は、2n−1個のエナンチオマーペア(ここで、nは、キラル中心の数である)を有する。複数のキラル中心を持つ化合物は、個々のジアステレオマーとして存在してもよく、あるいはジアステレオマーの混合物(「ジアステレオマー混合物」と言われる)として存在してもよい。キラル中心が1個存在する場合、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置(RまたはS)によって特徴付けられる。絶対配置は、キラル中心に対して結合する置換基の空間における配置を言う。考慮中のキラル中心に結合する置換基は、Sequence Rule of Cahn,Ingold and Prelogに従ってランク付けされる(Cahnら,Angew.Chem.Inter.Edit.1966,5,385;errata511;Cahnら,Angew.Chem.1966,78,413;CahnおよびIngold,J.Chem.Soc.1951(London),612;Cahnら,Experientia1956,12,81;Cahn,J.,Chem.Educ.1964,41,116)。
「幾何異性体」は、二重結合の周りの回転が妨げられることによって存在するジアステレオマーを意味する。これらの配置は、Cahn−Ingold−Prelog規則に従った分子において、二重結合と同じまたは反対側にあることを示す、接頭辞シスおよびトランス、あるいはZおよびEという名前によって識別する。
さらに、本願で検討する構造および他の化合物は、そのアトロピック異性体の全てを含む。「アトロピック異性体」は、2個の異性体の原子が、空間において異なって配置されている立体異性体のタイプである。アトロピック異性体は、中心結合の周りの大きな基の回転が妨げられることによって起こる、回転が制限されることによって起こる。そのようなアトロピック異性体は、通常、混合物として存在するが、最近のクロマトグラフ技術の進歩の結果、特別の場合、2つのアトロピック異性体混合物から分離することが可能である。
用語「結晶多形」または「多形体」または「結晶形」は、化合物(またはその塩または溶媒和物)が異なる結晶充填配置において、結晶化することができる結晶構造を意味し、それらの全ては、同じ元素組成を有する。異なる結晶形は、普通、X線回析パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬さ、結晶の形、光学および電気的特性、安定性および溶解性が異なる。再結晶溶剤、結晶速度、保存温度および他の要因は、1つの結晶形を生み、優勢となる。化合物の結晶多形は、異なる状況下で結晶化させることによって製造することができる。たとえば、再結晶に関し、異なる溶剤または異なる溶剤混合物を使用;異なる温度での結晶化;結晶化の間、非常に速い速度での冷却から非常にゆっくりした速度での冷却までにわたる、冷却の様々な方式、などがある。また、多形体は、開示する化合物を加熱しまたは溶融し、次いでゆっくりまたは素早く冷却することによって得られる。多形体の存在は、固プローブ核磁気共鳴スペクトル測定法、赤外スペクトル分析、差動走査熱量計、粉末X線回析、および他の当業者に公知のほかの技術によって測定される。
さらに、本発明の化合物、たとえば、該化合物の塩は、水和物として、または非水和物(無水物)の形、または他の溶剤分子との溶媒和物としても存在することができる。水和物の限定ではない例示として、一水和物、二水和物などが挙げられる。溶媒和物の限定ではない例示として、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが挙げられる。
「互変異性体」は、その構造は、原子の配置において著しく異なるが、容易に素早く均衡を保つ化合物を言う。式I〜IVeで表される化合物は、異なる互変異性体として示されてもよいと理解される。化合物が互変異性体である場合、全ての互変異性体は、本発明の範囲内に入るものであり、化合物の名前は、いかなる互変異性体を排除するものではないことは当然である。
本発明の化合物の中には、互変異性体の形で存在しうるものもあり、これらは本発明の範囲内に包含されるものである。
本発明の化合物、塩およびプロドラッグは、数種の互変異性体の形で存在する可能性があり、たとえば、エノールおよびイミン型、およびケトおよびエナミン型、および幾何異性体およびその混合物が挙げられる。そのような互変異性体の全てが、本発明の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液内で互変異性体セットの混合物として存在する。固体では、普通、1個の互変異性体が優位である。たとえ1個の互変異性体が記載されていても、本発明は、存在する化合物の全ての互変異性体を含む。
互変異性体は、平衡状態で存在し、1つの異性体の形から他の形に容易に変換する2個以上の構造異性体の1つである。この反応は、隣接する共役二重結合の交換によって達成される水素原子の形式的な移動となる。互変異性体化が可能な溶液において、互変異性体の化学平衡に到達する。互変異性体の正確な割合は、温度、溶剤およびpHを始めとする数種の要因に依る。互変異性体化によって相互変換しうる互変異性体の原理は、互変異性と呼ばれる。
可能な互変異性の種々のタイプの中で、2つが通常観察される。ケト−エノール互変異性においては、電子と水素原子との同時シフトが起こる。環−鎖互変異性は、グルコースによって発現される。糖鎖分子中のアルデヒド基(−CHO)が同じ分子内のヒドロキシ基(−OH)の1つと反応した結果、環状(リング状)となることが挙げられる。
互変異性体化は、塩基:1.脱プロトン;2.非局在化アニオン(たとえばエノラート)の形成;3.アニオンの異なる位置でのプロトン化;酸:1.プロトン化;2.非局在化カチオンの形成;3.カチオンに隣接する異なる位置での脱プロトンによって触媒される。
通用の互変異性体のぺアは、ケトン−エノール、アミド−ニトリル、ラクタム−ラクチム、ヘテロ環内でのアミド−イミド酸互変異性(たとえば、ヌクレオ塩基グアニン、チミンおよびシトシン中)、アミン−エナミンおよびエナミン−エナミンである。例示として、以下が挙げられる。
「溶媒和物」は、化学量論量あるいは非化学量論量の溶剤を含有する溶剤付加物を意味する。化合物の中には、結晶性固体状態で溶剤分子と決まったモル比で捕捉される傾向があるものがあり、その結果溶媒和物を形成する。溶剤が水の場合は、形成された溶媒和物は水和物であり、溶剤がアルコールの場合は、形成された溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1個以上の水の分子と、水をその分子内にH
2Oの形で保持する1個の物質との組合せによって形成され、そのような組合せは、1個以上の水和物を生成することができる。
本明細書で使用する用語「類縁体」は、構造的に他のものと類似するが組成が僅かに異なる化学物質(1個の原子の異なる元素の原子によるあるいは特定の官能基の存在下での置き換え、または1個の官能基の他の官能基による置き換え)を言う。したがって、類縁体は、関連化合物と、機能および外観において類似または比べうるが、構造または起源ではそうではない化合物である。
本明細書で規定する用語「誘導体」は、共通のコア構造を持ち、本明細書で記載した種々の基で置換された化合物を言う。たとえば、式Iで表される化合物の全ては、ロキサピン誘導体であり、共通のコアとして式Iを有する。
用語「バイオイソスター」は、他の広く類似した原子または原子の基による、原子または原子の基の交換の結果得られる化合物を言う。バイオイソスターの交換の目的は、親化合物に類似する生物特性を持つ新しい化合物を造り出すことである。バイオイソスター交換は、物理化学的または位相幾何学的なベースで行ってもよい。カルボン酸バイオイソスターの例として、アシルスルホンイミド類、テトラゾール類、スルホネート類およびホスフォネート類が挙げられる。たとえば、PataniおよびLaVoie,Chem.Rev.96,3147−3176(1996)を参照のこと。ある実施形態では、Zはカルボン酸またはカルボン酸バイオイソスターである。
用語「ロキサピン様化合物」または「ロキサピン−類縁体化合物」、「ロキサピン様化合物」または「ロキサピン誘導体化合物」は、三環系環系を介して結合する同じ原子に結合する、2個のアリール基を含む、ロキサピンまたは抗ヒスタミン剤の類縁体、たとえば、ピペラジン環を配置するために結合する7員環酸素および窒素含有環(すなわち、ロキサピンの環と類似する)を含むものである。
用語「抗ヒスタミン剤」は、H1受容体に結びつき、ヒスタミンの活性をブロックするおよび/または受容体の構成活性を減少させる化合物を言う。
本明細書で使用する用語「睡眠障害」は、当業者が睡眠障害と認める状況を含み、業界で知られた状況、または睡眠障害であると提案された状況または睡眠障害である発見された状況である。また、睡眠障害は、他の医学的障害、疾患または傷害を持つ対象、または他の薬物投与または治療的処置を受けている対象であって、その結果、対象が、睡眠に入るのが困難および/または睡眠を保つのが困難、またはたとえば、対象は睡眠不足を経験するような、爽快にならない睡眠、または回復しない睡眠の経験をする場合に起きる。
用語「睡眠障害を治療すること」は、他の障害、たとえば、CNS障害(たとえば、不安感のような精神的または神経的障害)の睡眠障害要素を治療することも含む。さらに、用語「睡眠障害を治療すること」は、該障害に伴う、機能回復目的の他の症状の有益な効果も含む。
用語「ノンレムピーク睡眠時間」は、LD12:12(12時間明かりをつけ12時間暗い中にいる)明−暗サイクル中で収容した時、明かりを消して6時間後である、概日時間(CT)18に、夜行性実験用ラットにおいて、薬物投与に伴い起こる、治療後の1時間当たりのノンレム睡眠の絶対ピーク量として規定する。名目基準値、1時間当たり55%ノンレム睡眠は、1時間当たり33分のノンレム睡眠と同等である。
本明細書で使用する用語「累積ノンレム睡眠」は、ノンレム睡眠の分数における総正味集計増加として規定され、普通(しかし常にではない)治療後最初の6時間で起こる、薬物の睡眠効果の全持続時間を通して、同じビヒクルコントロール治療に関し、24時間早く記録された日の対応する非治療ベースライン時間の間に起こる、ノンレム睡眠の分数の総正味集計に応じて調整して測定される。
ここで規定する用語「睡眠期間」は、連続したまたは連続に近い睡眠の1離散エピソードを言い、ノンレム睡眠、レム睡眠またはノンレムおよびレム睡眠の両方からなり、覚醒状態の2つの近接する10秒エポックより大きいエピソードの前後で区切られる。
本明細書で使用する用語「最長睡眠期間長さ」は、治療後一定の時間で開始される、単一最長睡眠エピソードまたは「期間」の間の、動物が眠っている(ノンレムおよび/またはレム睡眠段階)合計分数として規定する。「睡眠期間長さ」測定基準は、睡眠は10秒エポックにおいて連続して測定されると仮定し、優勢状態に基づいてスコアを付け、エポックを規定した10秒間隔の間の離散睡眠段階(ここでは、睡眠段階は、ノンレム睡眠、レム睡眠または覚醒状態として規定する)として演算または他の方法で決定する。
用語「平均睡眠期間長さ」は、規定された時間内に始まり、各エポックまたは期間の個々の持続時間とは無関係の、各睡眠期間の平均持続時間(分)として規定する。
「反跳性不眠」は、催眠剤または睡眠剤の睡眠促進効果の後に起こる、リバウンド、矛盾する、または代償的な覚醒状態の期間として定義する。
「レム睡眠抑制」は、CT−18(明かりを消して6時間後;LD12:12)での、またはCT−5(明かりをつけて5時間後;LD12:12)での治療後のレム睡眠時間の減少として規定する。CT−18またはCT−5のいずれかに投与された場合、レム睡眠時間は15分を超えて減少させられる(ベースラインに対し、およびビヒクル治療に応じて調整された)化合物は、不適格であるとみなす。
ノンレム睡眠または覚醒状態と比べて、レム睡眠は喚起うつ状態およびエピソード性心臓血管変化を起こす。反跳性不眠の間、レム睡眠の生理的効果は、拡大し、正常な睡眠サイクルを妨害する。
本明細書で規定する「不均衡性自発運動活性抑制」は、睡眠に起因する行動的活性において正常で予測される減少を超えた、自発運動活性の減少である。
「複合治療」(または「共治療」)は、これらの治療薬の共作用により有益な効果が得られることを意図した特定の治療レジメンの一部として、本発明の化合物と少なくとも第二薬剤とを投与することを含む。複合の有益な効果には、治療薬の組合せによって得られる薬物動態学的または薬力学的共作用が挙げられるがこれに限定されない。本発明の化合物と他の活性剤との組合せは、単一の組合せとして一緒に、または別々に投与してもよい。別々に投与する場合、1成分の投与は、他の薬剤の投与の前、同時にまたはそれ以後に行ってもよい。組合せにおけるこれらの治療剤の投与は、通常、規定された期間(普通、選択される組合せによって、数分、数時間、数日、数週間)で行われる。一実施形態では「複合治療」は、偶発的にかつ任意に本発明の組合せの結果となる、分離した単独治療レジメンの一部として、2種以上の治療剤を投与することも包含する。他の実施形態では、「複合治療」は、連続方式でのこれらの治療剤の投与、すなわち、各治療薬を異なる時間に投与し、同時にこれらの治療剤、または治療剤の少なくとも2種の実質的には同時方式での投与を採用することを意図するものである。実質的な同時投与は、たとえば、一定比率の各治療薬を含む単一カプセルを、または複数のそれぞれの治療剤を含む単一カプセルを複数、対象に投与することによって、達成することができる。各治療薬の連続または実質的に同時投与は、任意の適正な経路、たとえば、経口経路、静脈経路、および粘膜組成を介した直接吸収(これらに限定されない)によって、達成することができる。
治療剤は、同じ経路または異なる経路で投与しうる。たとえば、選択された組合せの第一治療薬を静脈注射により投与し、一方他の組合せの治療薬を経口的に投与してもよい。あるいは、たとえば、治療薬全てを経口的に投与する、または治療薬全てを静脈注射によって投与してもよい。治療剤が投与される順番は、そう重要ではない。また、「複合治療」は、先に記載した治療剤の投与をさらに他の生物学的に活性な成分および非薬物治療(たとえば、手術、照射治療、あるいは医療器具)と組合せて採用される。複合治療として、さらに非薬物治療と組合わせる場合、非薬物治療は、治療剤および非薬物治療の組合せの共作用による有益な効果が達成する限り、適切な任意の時間に行ってよい。たとえば、適正な場合では、非薬物治療を一時的に治療剤の投与から取り除いた場合でも、おそらく数日または数週間まで、有益な効果はまだ達成される。
本明細書で使用する用語「腸管外投与」および「腸管外的に投与した」は、腸内および局所投与を除く方式、普通注射によるものを言い、たとえば、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、真皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内および胸骨内注射および継続注入が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する用語「肺」は、その第一の機能が、患者内部の外部環境とのガス交換たとえば、O2/CO2交換である、任意の部分、組織または器官を言う。「肺」は、代表的には、呼吸器官の組織を言う。従って、語句「肺投与」は、ここで記載する処方剤を、その第一の機能が外部環境とのガス交換である、任意の部分、組織、または器官(たとえば、口、鼻、咽頭、咽頭中央部、喉頭咽頭、こう頭、気管、カリーナ、気管支、細気管支、肺胞)に投与することを言う。また、本発明の目的のため、「肺」は、呼吸器官に付随する組織または空洞、特に洞も含む。
次に、「医薬組成物」は、開示する化合物を対象に投与するのに適切な形で含有する処方剤である。一実施形態では、医薬組成物は、固まりまたは単位調剤の形である。単位調剤の形は、たとえば、カプセル、IVバッグ、錠剤、エアゾール吸入器具上の単一ポンプ、またはバイアルを含む種々の形のいかなるものでもよい。組成物の単位用量中の活性成分(たとえば、開示する化合物またはその塩類の処方剤)の量は、有効量であり、関与する個々の治療に従って変化する。当業者であれば、時には患者の年齢および状況に応じた用量の通常的変化が必要であることは理解するであろう。また、用量は、投与経路にも依る。種々の経路の使用が意図され、たとえば、経口、肺、直腸、腸管外、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内などが挙げられる。本発明の化合物の局所または経皮投与のための投与剤としては、粉末、スプレー、軟こう剤、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が挙げられる。一実施形態では、活性化合物は、滅菌状況下で、医薬的に許容しうる 担体、および任意の保存剤、緩衝液または求められる推進剤と混合される。
用語「フラッシュ投与剤」は、素早く分散する投与剤である化合物処方剤を言う。
用語「即時放出」は、比較的短時間、約60分までの間の投与剤からの化合物の放出として規定する。用語「修正された放出」は、遅延した放出、除放およびパルス状放出を含むものとして規定する。用語「パルス状放出」は、投与剤からの薬物の一連の放出として規定される。「持続性放出」または「徐放」は、長時間にわたって投与剤から化合物が継続的に放出するものとして規定する。
「対象」としては、哺乳動物たとえば、ヒト、ペット動物(たとえば、イヌ、ネコ、トリなど)、家畜(たとえば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、家禽など)および実験動物(たとえば、ラット、マウス、モルモット、トリなど)が挙げられる。最も好ましい対象はヒトである。
本明細書で使用する語句「医薬的に許容しうる」は、化合物、材料、組成物、担体および/または投与剤であって、強すぎる毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題や合併症がなく、妥当な利益/リスク比に見合った、正常な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織との接触に使用されるのに適切なものを言う。
「医薬的に許容しうる賦形剤」は、医薬組成物の調製において有用な賦形剤であって、一般的に安全で、毒性がなく、かつ生物学的にも他の意味でも望ましくないことがない賦形剤を意味し、種々の用途およびヒトへの医薬用途に適切な賦形剤が含まれる。本明細書および請求の範囲で使用される「医薬的に許容しうる賦形剤」は、1種または複数の賦形剤の両方が含まれる。
本発明の化合物は、さらに塩を形成することができる。これらの形態の全ても、クレームする本発明の範囲内で使用を意図する。
化合物の「医薬的に許容しうる塩」は、医薬的に許容しうる塩であって、親化合物の所望の医薬的活性を有する塩を意味する。
本明細書で使用する「医薬的に許容しうる塩」は、開示した化合物の誘導体であって、親化合物をその酸または塩基の塩を作ることによって修飾された誘導体を言う。医薬的に許容しうる塩の例として、アミン類のような塩基性残基の鉱物塩または有機酸塩、カルボン酸類のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。医薬的に許容しうる塩として、形成した親化合物の従来の無毒性塩またはまたは四級アンモニウム塩、たとえば、無毒性無機または有機酸からの塩が含まれる。たとえば、そのような従来からの無毒性塩として、2−アセトキシ安息香酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、1,2−エタンスルホン酸、フマール酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコール酸、グリコールアルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ハイドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、サブ酢酸、サクシン酸、スルファミド酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸および通用のアミン酸、たとえば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなどから選択される無機および有機酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
他の例として、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ピルビン酸、マロン酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、ムコン酸などが挙げられる。また、本発明は、親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオンたとえば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオンによって置き換えられる;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンアミンなどのような有機塩基と連携する時に形成される塩も包含する。
医薬的に許容しうる塩の全ての言及は、同じ塩の、本明細書で規定した溶剤付加形(溶媒和物)または結晶形(多形体)も含むことは当然である。
本発明の医薬的に許容しうる塩は、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から、既存の化学方法により形成することができる。一般的に、そのような塩は、水中または有機溶剤中で、あるいは2つの混合物の形で、これらの化合物の遊離の酸または塩基を、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって、生成することができ、一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水系媒体が使用される、たとえば、以下のスキームは、塩酸を使用した処置による、親化合物である化合物1の医薬的に許容しうる塩酸塩の形成を示す。
(1)化合物1
プロトン化された原子と塩に伴う対イオンの数は、制御することができ、親化合物中の酸性/塩基性原子の数と親化合物を処理するために使用される酸の量とに依存する。本発明の一実施形態では、親化合物の一塩酸塩は、塩酸との処理で形成される。他の実施形態では、親化合物の二塩酸塩は、塩酸との処理で形成される。
適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18編(Mack Publishing Company,1990)にある。たとえば、塩類として、脂肪族アミンを含有する、ヒドロキシルアミンを含有する、およびイミンを含有する本発明の化合物の塩酸塩および酢酸塩を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、本発明の化合物は、たとえば、医薬的に許容しうるエステル類のようなエステル類としても製造することができる。たとえば、化合物中のカルボン酸官能基は、対応するエステル、たとえば、メチル、エチルまたは他のエステルに変換することができる。
また、化合物中のアルコール基は、対応するエステル、たとえば、酢酸、プロピオン酸または他のエステルに変換することができる。
また、本発明の化合物は、プロドラッグ、たとえば医薬的に許容しうるプロドラッグとして製造するこもできる。用語「プロ−ドラグ」および「プロドラッグ」は、本明細書では互換的に使用し、インビボで親薬剤の活性成分を放出する任意の化合物を言う。プロドラッグは、医薬品の数多くの望ましい特性(たとえば、溶解性、生体内利用性、製造など)を強化することが知られており、本発明の化合物はプロドラッグの形で供給することができる。したがって、本発明は、現在クレームされている化合物、その供給方法およびそれを含有する組成物のプロドラッグもカバーするものである。「プロドラッグ」は、プロドラッグが対象に投与された時、インビボで、活性な本発明の親薬剤を放出する供給結合で結合された担体のいなかなるものも含むことを意図する。本発明のプロドラッグは、化合物内に存在する官能基を、日常の処置またはインビボによって親化合物に対する修飾が外れるように修飾することによって製造される。プロドラッグとして、ヒドロキシ、アミノ、スルフィドリル、カルボキシ、またはカルボニル基が、インビボで解離し、遊離のヒドロキシル、遊離のアミノ、遊離のスルヒドリル、遊離のカルボキシまたは遊離のカルボニル基を形成する、任意の基に結合した本発明の化合物が含まれる。
プロドラッグの例として、エステル類(たとえば、酢酸エステル、ジアルキルアミノ酢酸エステル、ギ酸エステル、ホスフェート、サルフェートおよび安息香酸エステル誘導体)およびヒドロキシ官能基のカルバミド酸エステル類(たとえば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル基(たとえば、エチルエステル類、モルフォリノエタノールエステル類)、N−アシル誘導体(たとえばN−アセチル)、Nマンニッヒ塩基、アミノ官能基のシッフ塩基およびエナミノン、式I〜IVの化合物中のケトンおよびアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタール、およびエノールエステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。Bundegaard,H.「Design of Prodrugs」p1−92,Elesevier,New York−Oxford(1985)を参照のこと。
本明細書では、文脈が明らかに反対のことを示していない限り、単数形はその複数形を含む。異なる記載がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する業界の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を持つものである。コンフリクトの場合、本明細書が規制する。
本明細書で使用する全てのパーセントおよび比率は、特に記載しない限り、重量基準である。
本発明で開示する化合物の「有効量」は、疾患または障害を患う対象に投与した時、対象における疾患または障害の後退となる結果をもたらす量である。対象に投与すべき、開示された化合物の量は、個々の障害、投与の方式、共に投与する化合物、もしあれば、通常の健康状態、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重、および薬物耐性などの対象の特性に依存する。当業者であれば、上記のおよび他の要因に依って、適正な用量を決定することができるであろう。
本明細書で使用する用語「有効量」は、睡眠促進剤として単独でまたは混合して投与した時に、本発明の化合物または化合物の組合せの効果のある量を言う。たとえば、有効量は、受け取る患者または対象に与えられる、処方剤中に存在するまたは医療機器上での化合物の生化学的活性を誘発するのに充分な量を言う。化合物の組合せは、場合によっては、相乗的な組合せである。相乗効果は、たとえばChouおよびTalalay,Adv.Enzyme Regul.vol.22,pp.27−55(1984)に記載するように、化合物の効果が、化合物を組合せて投与した時のほうが、単一の薬剤として単独で投与された時の付加的な効果より、大きく発揮する場合に起こるものである。一般的に、相乗効果は、化合物の最適下限の濃度で最もはっきりと実証される。相乗効果は、低級細胞毒性を下げる、睡眠促進効果を増強する、名残り作用を小さくする、または他の、個々の成分と比較した組合せの有益な効果におけつ相乗効果がありえる。
「治療的に有効な量」は、疾患の治療のために哺乳動物に投与した時、そのような疾患の治療を発揮するのに充分な化合物の量を意味する。「治療的に有効な量」は、化合物、疾患およびその重篤度、および治療すべき哺乳動物の年齢、体重などにより変化する。
本明細書で使用する「薬理学的効果」は、意図する所望の治療を受ける対象において作り出される効果を包含する。一実施形態では、薬理学的効果は、治療を受けている対象の主要な適応症が防止され、低減され、減少されることをを意味する。たとえば、薬理学的効果は、治療された対象中の主要適応症の防止、低減、減少の結果となりうるものである。他の実施形態では、薬理学的効果は、治療されている対象の主要適応症の障害または症状が、防止され、低減され減少されることを意味する。たとえば、薬理学的効果は、治療された対象における主要適応症の防止、減少の結果となりうるものである。
本発明は、有効量の本発明のロキサピン類縁体を投与することによる、睡眠を調整する方法であって、ヒスタミン受容体またはヒスタミン受容体の収集を拮抗する部分である方法を提供する。また本発明は、新規なロキサピン類縁体に関する。
効果的な睡眠調整剤は、増加した効能と減少した副作用に対応するある特徴を有する。これらの特徴として、対象における所望の半減期、所望の鎮静剤効果の開始時を制御すること、および精神運動性または他の中枢神経系(CNS)副作用(たとえば、記憶障害、筋肉トーンが減少すること、目蓋下垂および嗜眠状態)への検出可能な効果が最低限から検出されないことが挙げられる。たとえば、効果的な睡眠調整剤は、ヒトにおいて、7時間未満、6時間未満、5時間未満、4時間未満、約3時間、あるいは3〜7時間の範囲の半減期を有する。
効果的な睡眠調整剤の発現への取り組みは、睡眠調整活性を有する公知の化合物または化合物のファミリーを療法的に誘導体化することである。公知の化合物の誘導体化は、1以上の生物特性を強化し、得られた化合物を改良された方式で行うことを可能にする。都合のよい生物特性の例として、離散睡眠または催眠状態の誘引、離散時間の間の治療化合物の活性、置換基親油性または立体配置的親油性(すなわち、カルボキシレートアニオンとプロトン化アミンとの間の内部塩形成のような特定の立体配置の結果の親油性)が原因の血液−脳バリアを介するCNSへの浸透、治療化合物の半減期の調整、電荷の変更、薬物動態の変化、1以上の値によるlogPの変化、受容体選択性の増加、周辺半減期の減少、用量を増加する能力、周辺除去の増加、抗ムスカリン活性の減少、抗コリン作用の減少、およびこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
化合物の誘導体化は、種々の効果を生み、作用の機構を変化しうる。たとえば、ある特徴において、特定の官能基、たとえば、エステル、カルボン酸、またはアルコール基などを含有する化合物は、この基を持たない化合物を比べた時、望ましい受容体対望ましくない受容体に関する改良された選択性を持つ。他の特徴では、該特定の官能基を含有する化合物は、この基を持たない対応化合物よりも、睡眠障害を治療する治療薬として、より活性的である。誘導体化された化合物の効果は、付加の素性に依存する。
好都合な生物特性を増強し、望ましくない副作用を減らすために、化合物を誘導体化することによって、潜在的な機構的効果または相互反応に基づく療法を導入することが可能である。たとえば、ある化合物では、カルボン酸の存在によって、対応するカルボキシレートイオンを含む分子内イオン結合を形成、たとえば、化合物内の窒素原子との双生イオン種の形成または塩架橋形成する性能を生じさせる。これらの相互作用は、立体配置的親油性のような好都合な生理的効果を生み、すなわち、特定の立体配置のため親油性が増し、カルボキシレートアニオンとプロトン化アミンとの間に分子内塩を形成する。このような立体配置的親油性によって、2個の極性基の存在によって、非極性血液−脳バリアの交差は妨げられると一般的に考えられているにもかかわらず、血液−脳バリアを通りCNSへの浸透が可能になる。カルボン酸存在の他の利点は、化合物の、所望の受容体への結合選択性の性能が向上することである。
また、本発明の化合物は誘導体化して、プロドラッグを生成することもできる。「プロドラッグ」は、インビボで代謝的に変換して活性薬物を生成する、薬物の前駆体の形のものを含む。さらに、本発明は、インビボで変換して、本発明の方法で使用される睡眠を調整する化合物となるプロドラッグの用途も意図する(たとえば、R.B.Silverman,1992,「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action」,Academic Press,Chp.8参照)。このようなプロドラッグは、生体内分布(たとえば、通常血液−脳バリアを横切らない化合物を血液−脳バリアを横切るようにする)または睡眠調整化合物の薬物動態を変更するために使用することができる。たとえば、カルボキシレート、サルフェートまたはスルホネートのようなアニオン性基を、たとえば、アルキル基(たとえばメチル基)またはフェニル基とエステル化して、エステルを得ることができる。エステルが対象に投与されると、エステルが、酵素的にまたは非酵素的に、還元的に、あるいは加水分解的に解離して、アニオン性基が現われる。このようなエステルは、環状サルフェートまたはスルフォンのような環状でも可能で、2個以上のアニオン性部分が架橋基を介してエステル化されてもよい。アニオン性基は、***して睡眠調整化合物の中間体となり、これが続いて分解して、睡眠調整化合物となる部分(たとえば、アシルオキシメチルエステル)とエステル化されうる。一実施形態では、プロドラッグは、カルボキシレート、サルフェートまたはスルホネートの還元体、たとえば、アルコールまたはチオールであって、インビボで酸化されて睡眠調整化合物となる。さらに、アニオン性部分は、インビボで活発に移送される、または標的器官によって選択的に利用される基にエステル化することができる。
この療法は、睡眠調整化合物をはそれらの効果を改善し臨床的用途に安全に、適用することである。睡眠調整に有用な化合物の1つの基は、ロキサピンで、一般的に三環系抗うつ剤(「TCAs」)として知られている化合物のファミリーに属する)精神治療薬である。 ロキサピンは、ジベンズオキサゼピン抗精神薬であり、主な抗精神薬において見られる特性である、種々の動物種における薬理学的応答を造る。作用の正確な機構はわからないが、ロキサピンサクシネートの投与によって、自発運動活性が強く抑制される。ロキサピンは統合失調症の治療に推奨される。
一態様では、本発明は、式Iで表される化合物を治療的に有効な量投与することにより、対象における睡眠を調整する方法を提供する。
(Zは、CO
2H、CO
2R
13(式中、R
13はC
1−C
6アルキルである)、CONR
14R
15(式中、R
14およびR
15は、独立して、水素または低級アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−シクロアルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2NH−アルキル、CONHS(O)
2NH−シクロアルキル、CONHS(O)
2NH−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2NH−アリール、CONHS(O)
2NH−ヘテロアリール、SO
3H、SO
2H、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)
2、P(O)OH、
から選択され、ただし、ZがCOOHまたはCOOR
13であり、R
6がHまたはハロゲンの時、R
1〜R
5およびR
7〜R
12はそれぞれ水素ではなく、さらに、mが0の時、Xは存在しない。)
一実施形態では、本発明の方法で使用する式Iで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(K
i)が500nM未満;M1、M2、M3、D1、D2、α1およびα2から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するK
iが500nMを超えるおよび/またはH1受容体に関するK
iの5倍を超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が持続時間として13分を超える;対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、治療後の正味最長睡眠期間が3分またはそれ以上;平均睡眠期間が絶対ピークで5分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって、睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性を不釣合いに阻害しない。
他の実施形態では、本発明の方法で使用する式Iで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満;M1、M2、M3、D1、D2、α1およびα2から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが1μmを超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、13分を超える;対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、治療後の正味最長睡眠期間が、3分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで5分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性を不釣合いに阻害しない。
他の実施形態では、本発明の方法で使用する式Iで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満;M1、M2およびM3から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが、10μMを超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、17分を超える;対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、治療後の正味最長睡眠期間が、5分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで6分を超える;対象への化合物の投与により、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与により、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与により、自発運動活性または運動トーンを不釣合いに阻害しない。
本明細書で使用する「リンカー」は、ピペラジン窒素からZ基に結合する原子の鎖である。
本発明の方法は、たとえば、ヒト、ペット動物、家畜、実験動物および野生動物を含む様々な対象を治療するために使用される。
一実施形態では、睡眠を調整する方法で使用される化合物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87または88である。
一実施形態では、R9およびR10およびそれらが結合する炭素は、存在しない。一実施形態では、R9およびR10は、それらが結合する炭素と一緒に結合して、環サイズ3〜7のスピロ環を形成する。一実施形態では、R11およびR12は、それらが結合する炭素と一緒に結合し、環サイズ3〜7のスピロ環を形成する。たとえば、R9およびR10は、それらが結合する炭素と一緒になって、またはR11およびR12は、それらが結合する炭素と一緒になって、結合し、スピロ3員環シクロプロピル環を形成する。
一実施形態では、Zは、CO2H、テトラゾールまたはスルホンアミドである。スルホンアミドの例として、アシルスルホンアミド類が挙げられる。たとえば、Zは、式:
(式中、式中、Wは、所望のレベルの経口吸収、CNS浸透および尿または胆汁への***速度を得られるような、Z部分の極性表面積の効果を調整するのに必要なように選択される置換基である)で表されうる。この目的のために有用なW置換基の例として、アルキル基(場合によっては、二重結合または三重結合を含み、あるいはたとえば、CH
2OCH
3またはCH
2OCH
2CH
3で置換されたヘテロ原子を含む)、シクロアルキル基(場合によっては、二重結合を含む)、ヘテロ環式基、アリール基またはヘテロアリール基、該2つの基は、場合によっては、以下に示すように置換されている。
(式中、Vは、アシルスルホンアミド部分のpKaを調整する、または化合物の物性または代謝性能に影響するように選択された1個以上の側鎖である)。V側鎖の例として、F、ClまたはBrのようなハロゲン;OCH
3またはOCH
2CH
3のようなC
1−C
6アルコキシ基、CH
3、CF
3またはシクロプロピルのようなC
1−C
6アルキルまたはC
3−C
8シクロアルキル基;ヘテロ原子が置換するCH
2OCH
3またはCH
2OCH
2CH
3のようなC
1−C
6アルキルまたはC
3−C
8シクロアルキル;CN、ケトン、アミド、またはスルホン、
一実施形態では、Zはスルファミドである。スルファミドの例として、アシルスルファミド類が挙げられる。たとえば、Zは、式:
(式中、R
aおよびR
bは、独立して、たとえば、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環式基、アリール基またはヘテロアリール基であり、場合によっては置換されている)で表されうる。例として、以下
(式中、VはF、ClまたはBrのようなハロゲン;OCH
3またはOCH
2CH
3のようなC
1−C
6アルコキシ;CH
3、CF
3またはシクロプロピルのようなC
1−C
6アルキルまたはC
3−C
8シクロアルキル;ヘテロ原子が置換するCH
2OCH
3またはCH
2OCH
2CH
3のようなC
1−C
6アルキルまたはC
3−C
8シクロアルキル;CN、ケトン、アミド、またはスルホンのような電子求引性基である)、
他の実施形態では、ZがCOOHのとき、R1〜R8の少なくとも1個およびR9〜R12の少なくとも1個は水素ではない。
一実施形態では、R6はHでもハロゲンでない。他の実施形態では、R1〜R5およびR7〜R8はそれぞれ水素であり、R6はHでもハロゲンでもない。
一実施形態では、R1〜R8の少なくとも1個は水素ではなく、残りのR1〜R8は水素である。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも2個は水素ではなく、残りのR1〜R8は水素である。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも3個は水素ではなく、残りのR1〜R8は水素である。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも4個は水素ではなく、残りのR1〜R8は水素である。一実施形態では、R2は水素ではない。一実施形態では、R3は水素ではない。一実施形態では、R6は水素ではない。一実施形態では、R7は水素ではない。一実施形態では、R3およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R3およびR7は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR7は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR3は水素ではない。他の実施形態では、R6およびR7は水素ではない。
一実施形態では、R1〜R8の少なくとも1個は、メチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレンまたはメトキシである。他の実施形態では、R2はメチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレンまたはメトキシである。他の実施形態では、R3はメチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレンまたはメトキシである。他の実施形態では、R6は、メチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレンまたはメトキシである。他の実施形態では、R7は、メチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレンまたはメトキシである。
他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも2個は、メチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ、メトキシメチレンまたはメトキシである。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも2個は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシであり;ZはCOOHである。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも2個は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシであり;R9およびR10は水素であり;ZはCOOHである。
一実施形態では、R3およびR6は、両方、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R2、R4、R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R2およびR6は、両方、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R3〜R5およびR7、R8は水素である。一実施形態では、R3およびR7は、両方、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R2、R4〜R6およびR8は水素である。一実施形態では、R2およびR7は、両方、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R3〜R6およびR8は水素である。一実施形態では、R2およびR3は、両方、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1およびR4〜R8は水素である。
一実施形態では、R6はメチルである。一実施形態では、R6はメチルであり、R2またはR3は、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモである。他の実施形態では、R6はフルオロであり、R2またはR3は、メチル、メトキシメチレンまたはメトキシである。一実施形態では、R6はメトキシである。一実施形態では、R6はメトキシであり、R2またはR3はメチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモである。他の実施形態では、R6はフルオロであり、R2またはR3はメトキシである。
一実施形態では、R9およびR10は水素である。
一実施形態では、R9およびR10はメチルである。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7、R8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルである。R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7、R8は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はエチルである。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7、R8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7、R8は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7、R8は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7、R8は水素であり、ZはCOOHである。
他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7、R8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7、R8は水素であり、ZはCOOHである。
他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7、R8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7、R8は水素であり、ZはCOOHである。
他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7、R8は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7、R8は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11およびR12はメチルである。他の実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11およびR12はエチルである。他の実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6はメトキシである。他の実施形態では、R11およびR12メチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素で、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6はメトキシである。他の実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6はメトキシであり,R1〜R5およびR7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシである。他の実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合し、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合し、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシであり、R1〜R5およびR7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、本発明の方法で使用する式Iで表される化合物において、qは0である。他の実施形態では、qは0であり、R9およびR10は、それらが結合する炭素とともに存在しない。他の実施形態では、qは0であり、R9およびR10は、それらが結合する炭素とともに存在せず、XおよびYも存在しない。他の実施形態では、qは0であり、R9およびR10は、それらが結合する炭素とともに、存在せず、XおよびYも存在せず、m、n、oおよびpの合計は1または2である。
一態様では、本発明の化合物を、たとえば、入眠までの時間を減らすことによって、平均睡眠期間長さを増やすことによっておよび/または最大睡眠期間長さを増やすことによって、睡眠を調整するために使用する。別の態様では、本発明のロキサピン類縁体は、睡眠障害を治療するために使用する。たとえば、本発明のロキサピン類縁体を、日周期リズムの異常、不眠、錯眠、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーおよび/または睡眠過剰を治療するために使用する。
一実施形態では、本発明のロキサピン類縁体を、たとえば、時差ボケ、交代勤務障害、遅延睡眠相症候群、進行睡眠相症候群および非24時間睡眠覚醒障害のような日周期リズムの異常の治療において使用する。
他の実施形態では、ロキサピン類縁体を、たとえば、外因性不眠、精神生理学的不眠、高地不眠、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、投薬治療依存性不眠、薬物依存性不眠、アルコール依存性不眠および精神障害と関連する不眠を含む不眠の治療において使用する。
一実施形態では、本発明のロキサピン類縁体を、夢遊病、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠時歯ぎしりおよび夜尿症などのような錯眠障害を治療するために使用する。
他の実施形態では、ロキサピン類縁体を、たとえば、中枢性睡眠時無呼吸、閉塞型睡眠時無呼吸および混合睡眠時無呼吸のような睡眠時無呼吸障害を治療するために使用する。
式Iの化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物を、睡眠を調整する方法において使用する。一実施形態では、式Iの化合物またはその医薬的に許容しうる塩を1以上の追加の療法とともに、共投与する。
別の態様では、本発明は、治療的に有効な量の式IIで表される化合物、またはその医薬的に有効な塩を対象に投与することによる、対象における睡眠を調整する方法を提供する。
(式中、m、nおよびoは、独立して、0、1、2、3、4、5または6であり、Xは、存在しない、またはO、S、C(O)、SOまたはSO
2であり;R
2、R
3、R
6およびR
7は、独立して、H、F、Cl、Br、OH、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、シクロプロピル、OH、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3およびCH
2OCH
2CH
3から選択され;R
9およびR
10は、独立して、H、C
1−C
6直鎖アルキル、C
2−C
6分岐状アルキル、またはR
9およびR
10は、それらが結合する炭素と一緒に結合し、環サイズが3、4、5、6または7原子のスピロ環を形成し;Zは、COOH、COOR
13(式中、R
13はC
1−C
6アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2NH−アルキル、CONHS(O)
2NH−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2NH−アリール、CONHS(O)
2NH−ヘテロアリールまたはテトラゾールであり、ただし、ZがCOOHまたはCOOR
13であり、かつR
6がHまたはハロゲンの時は、R
1〜R
5およびR
7〜R
12はそれぞれ水素ではなく、さらにmが0の時は、Xは存在しない。)
一実施形態では、本発明の方法で使用する式IIで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(K
i)が500nM未満;M1、M2、M3、D1、D2、α1およびα2から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するK
iが500nMを超えるおよび/またはH1受容体に関するK
iの5倍を超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が持続時間として13分を超える;対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、治療後の正味最長睡眠期間が3分またはそれ以上である;平均睡眠期間が絶対ピークで5分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって、睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性を不釣合いに阻害しない。
他の実施形態では、本発明の方法で使用する式IIで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満;M1、M2、M3、D1、D2、α1およびα2から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが1μmを超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、13分を超える;対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、治療後の正味最長睡眠期間が、3分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで5分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;対象への化合物の投与によって睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性を不釣合いに阻害しない。
他の実施形態では、本発明の方法で使用する式IIで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満;M1、M2およびM3から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが、10μMを超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、17分を超える;対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、治療後の正味最長睡眠期間が、5分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで6分を超える;対象への化合物の投与により、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;および対象への化合物の投与により、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与により、自発運動活性または運動トーンを不釣合いに阻害しない。
一実施形態では、ZはCO2Hまたはテトラゾールである。他の実施形態では、ZはCOOHであり、R2、R3、R6およびR7の少なくとも1つとR9〜R10の少なくとも1つとは、水素ではない。一実施形態では、oは0である。
一実施形態では、ZがCOOHの時、R2、R3、R6およびR7の少なくとも1つとR9〜R10の少なくとも1つとが水素ではない。一実施形態では、R2、R3およびR7はそれぞれ水素であり、R6は水素でもハロゲンでもない。一実施形態では、R2、R3およびR7はそれぞれ水素であり、R6はメチル、メトキシ、メトキシメチレンまたはヒドロキシである。
一実施形態では、R2、R3、R6およびR7の少なくとも2つは水素ではなく、残りのR2、R3、R6およびR7は水素である。他の実施形態では、R2、R3、R6およびR7の少なくとも3つは水素であり、残りのR2、R3、R6およびR7は水素である。一実施形態では、R2は水素ではない。一実施形態では、R3は水素ではない。一実施形態では、R6は水素ではない。一実施形態では、R7は水素ではない。一実施形態では、R3およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R3およびR7は水素ではない。
一実施形態では、R9およびR10はそれぞれメチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれエチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれ水素である。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、環サイズ3〜7のスピロ環を形成する。たとえば、一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、本発明の方法で使用する式IIで表される化合物において、oは0である。他の実施形態では、oは0であり、Xは存在しない。他の実施形態では、oは0であり、Xは存在せず、mおよびnの合計は1または2である。
一実施形態では、睡眠調整は、たとえば、入眠までの時間を減らすこと、平均睡眠期間長さを増やすことおよび/または最大睡眠期間長さを増やすことである。一実施形態では、睡眠調整により睡眠障害を治療する。
また、式IIで表される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物は、対象における睡眠を調整する化合物において使用される。一実施形態では、式IIで表される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を、1以上の追加の療法とともに共投与する。
別の態様では、本発明は、治療的に有効な量の式IIIで表される化合物、またはその医薬的に有効な塩を対象に投与することによる、対象における睡眠を調整する方法を提供する。
(式中、mおよびnは、独立して、0、1、2、3または4であり、Xは存在しない、またはOまたはSであり;R
2、R
3、R
6およびR
7は、独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、OH、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OCH
3、CH
2OCH
3およびCH
2OCH
2CH
3から選択され;R
9およびR
10は、独立して、H、C
1−C
6直鎖アルキル、C
2−C
6分岐状アルキル、あるいはR
9およびR
10は、それらが結合する炭素と一緒になって結合し、環サイズが3、4、5、6または7原子のスピロ環を形成し;Zは、CO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリールおよびテトラゾールから選択され;ただし、ZがCOOHで、R
6がH、F、ClまたはBrの時は、R
2およびR
3、R
7、R
9、R
10は、それぞれ水素ではなく、さらに、mが0の時は、Xは存在しない。)
一実施形態では、本発明の方法で使用する式IIIで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満;M1、M2、M3、D1、D2、α1およびα2から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが500nMを超えるおよび/またはH1受容体に関するKiの5倍をこえる;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、13分を超える;治療後の正味最長睡眠期間が、対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、3分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで、5分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって、睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性を不釣合いに阻害しない。
他の実施形態では、本発明の方法で使用する式IIIで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満;M1、M2、M3、D1、D2、α1およびα2から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが1μmを超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、13分を超える;治療後の正味最長睡眠期間が、対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、3分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで、5分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって、睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性を不釣合いに阻害しない。
他の実施形態では、本発明の方法で使用する式IIIで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が、150nM未満;M1、M2およびM3から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが10μMを超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、17分を超える;治療後の正味最長睡眠期間が、対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、5分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで、6分を超える;対象への化合物の投与により、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与により、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって、睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性または運動トーンを不釣合いに阻害しない。
一実施形態では、Zは、CO2Hまたはテトラゾールである。一実施形態では、mは0である。一実施形態では、ZがCOOHの時、R2、R3、R6およびR7の少なくとも1つとR9〜R10の少なくとも1つとが水素ではない。一実施形態では、R2、R3およびR7はそれぞれ水素であり、R6は水素でもハロゲンでもない。一実施形態では、R2、R3およびR7はそれぞれ水素であり、R6は、メチル、メトキシメチレン、メトキシまたはヒドロキシである。
一実施形態では、R2、R3およびR7はそれぞれ水素であり、R6は水素でもハロゲンでもない。一実施形態では、R2、R3およびR7はそれぞれ水素であり、R6は、メチル、メトキシメチレン、メトキシまたはヒドロキシである。
一実施形態では、R2、R3、R6およびR7の少なくとも2つは水素ではなく、残りのR2、R3、R6およびR7は水素である。他の実施形態では、R2、R3、R6およびR7の少なくとも3つは水素ではなく、残りのR2、R3、R6およびR7は水素である。一実施形態では、R2は水素ではない。一実施形態では、R3は水素ではない。一実施形態では、R6は水素ではない。一実施形態では、R7は水素ではない。一実施形態では、R3およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R3およびR7は水素ではない。
一実施形態では、R9およびR10はそれぞれメチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれエチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれ水素である。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、環サイズが3〜7のスピロ環を形成する。たとえば、一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は、水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、本発明の方法で使用する式IIIで表される化合物において、Xは存在しない。他の実施形態では、Xは存在せず、mおよびnの合計は1または2である。
一実施形態では、睡眠調整は、たとえば、入眠までの時間を減らす、平均睡眠期間長さを増やすおよび/または最大睡眠期間長さを増やすことである。一実施形態では、睡眠調整により、睡眠障害を治療する。
式IIIで表される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物も、本発明による睡眠を調整する化合物において使用する。
別の態様では、本発明は、治療的に有効な量の式IVで表される化合物、またはその医薬的に有効な塩を対象に投与することによる、対象における睡眠を調整する方法を提供する。
(式中、tは、1、2、3または4であり;R
2、R
3、R
6およびR
7は、独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、OH、OCH
3、CH
2OCH
3またはCH
2OCH
2CH
3であり;R
9およびR
10は、H、CH
3、CH
2CH
3であり、あるいはR
9およびR
10は、それらが結合する炭素と一緒に結合して環サイズが3、4、5、6または7原子のスピロ環を形成し;Zは、CO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリールまたはテトラゾールから選択され;ただし、ZがCOOHであり、R
6がH、F、ClまたはBrの時は、R
2、R
3、R
7、R
9およびR
10は、それぞれ、水素ではない。
一実施形態では、t=1または2である。
一実施形態では、本発明の方法で使用する式IVで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が500nM未満;M1、M2、M3、D1、D2、α1およびα2から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが500nMを超えるおよび/またはH1受容体に関するKiの5倍を超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、13分を超える;治療後の正味最長睡眠期間が、対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、3分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで、5分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって、睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性を不釣合いに阻害しない、
他の実施形態では、本発明の方法で使用する式IVで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。 H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が300nM未満;M1、M2、M3、D1、D2、α1およびα2から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが1μmを超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20分以上;最長睡眠期間が、持続時間として、13分を超える;治療後の正味最長睡眠期間が、対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、3分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで、5分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって、睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性を不釣合いに阻害しない。
他の実施形態では、本発明の方法で使用する式IVで表される化合物は、以下の特徴の1以上を有する。H1受容体結合に関する阻害定数(Ki)が150nM未満;M1、M2およびM3から選択されるオフターゲットに結合するオフターゲットに関するKiが、10μMを超える;ノンレムピーク時値が、化合物を対象に投与した後、3時間までの1時間毎のノンレム睡眠の55%を超える;ノンレム睡眠における累積全増加分が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関し、20以上;最長睡眠期間が、持続時間として、17分を超える;治療後の正味最長睡眠期間が、対象への化合物の投与の少なくとも24時間前に得た基線量を使用して調整した場合、5分またはそれ以上;平均睡眠期間が、絶対ピークで、6分を超える;対象への化合物の投与によって、認識しうる量の反跳性不眠を造らない;対象への化合物の投与によって、レム睡眠を認めえるほど阻害しない;および対象への化合物の投与によって睡眠の正常な効果に対して、自発運動活性または運動トーンを不釣合いに阻害しない。
一実施形態では、Zは、CO2Hまたはテトラゾールである。他の実施形態では、ZがCOOHの時、R2、R3およびR7の少なくとも1つと、R9〜R10の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態では、R9およびR10はそれぞれメチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれエチルである。一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、環サイズが3〜7のスピロ環を形成する。たとえば、一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態では、R9およびR10はメチルであり;R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり;R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素であり;ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はエチルであり;Rは水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり;R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素であり;ZはCOOHである。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり; R2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素であり;ZはCOOHである。
一実施形態では、睡眠調整は、入眠までの時間を減らすこと、平均睡眠期間長さを増やすこと、および最大睡眠期間長さを増やすことから選択される。一実施形態では、睡眠調整により睡眠障害を治療する。
式IVで表される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物も、本発明による睡眠を調整する化合物において使用する。
一実施形態では、本発明の方法において使用される式IVで表される化合物は、IVa、IVb、IVc、IVdまたはIVeである。
たとえば、R9およびR10がメチルの時、化合物は、一般式IVa:
で表され;
R
9およびR
10が結合して、3員環スピロ環(シクロプロピル)を形成する時、化合物は、一般式IVb:
で表され;
R
9およびR
10がエチルの時、化合物は、一般式IVc:
で表され;
R
9およびR
10がエチルであり、C−1炭素が結合して3員環スピロ環(シクロプロピル)を形成する時、化合物は、一般式IVd:
で表され;
R
9およびR
10が水素の時、化合物は、一般式IVe:
別の態様では、本発明は、式Iで表される化合物またはその医薬的に有効な塩を提供する。
(式中、m、n、o、pおよびqは、独立して、0、1、2、3、4、5または6の整数であり;XおよびYは、独立して、存在しない、O、S、C(O)、SOまたはSO
2であり;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、C
2−C
6直鎖アルキル、C
3−C
6分岐状アルキル、C
3−C
7シクロアルキル、C
3−C
7ヘテロ環式、OH、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3およびC
1−C
6ヒドロキシアルキルから選択され;リンカーのCH
2基中の任意の水素は、場合によっては、H、F、Cl、OH、Br、CF
3、CH
3、C
2−C
6直鎖アルキル、C
3−C
6分岐状アルキル、C
3−C
7シクロアルキル、C
3−C
7ヘテロ環式、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OCH
3、CH
2OCH
2CH
3、C
1−C
6ヒドロキシアルキルで置換されており;R
9、R
10、R
11およびR
12は、独立して、H、C
1−C
6直鎖アルキルまたはC
2−C
6分岐状アルキルであり、またはR
9とR
10とこれらが結合する炭素とは存在しない、あるいは一緒に結合して、環サイズが3、4、5、6または7原子のスピロ環を形成し、またはR
11およびR
12は、彼らが結合する炭素と結合して、環サイズが3、4、5、6または7原子のスピロ環を形成し、または2個の異なる炭素原子上の置換基が結合して、3、4、5、6または7の環を形成し;Zは、CO
2H、CO
2R
13(式中、R
13はC
1−C
6アルキルである)、CONR
14R
15(式中、R
14およびR
15は、独立して、水素または低級アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−シクロアルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2NH−アルキル、CONHS(O)
2NH−シクロアルキル、CONHS(O)
2NH−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2NH−アリール、CONHS(O)
2NH−ヘテロアリール、SO
3H、SO
2H、S(O)NHCO−アルキル、S(O)NHCO−アリール、S(O)NHCO−ヘテロアリール、P(O)(OH)
2、P(O)OH、
から選択され、ただし、ZがCOOHまたはCOOR
13であり、かつR
6がHまたはハロゲンの時は、R
1〜R
5およびR
7〜R
12は、それぞれ、水素ではなく、さらにmが0の時は、Xは存在しない。)
一実施形態では、化合物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87または88である。
一実施形態では、Zは、CO2H、テトラゾール、スルホンアミドまたはスルファミドである。他の実施形態では、ZがCOOHの時、R1〜R8の少なくとも1つおよびR9〜R12の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態では、R6はHでもハロゲンでもない。他の実施形態では、R1〜R5およびR7〜R8はそれぞれ水素であり、R6はHでもハロゲンでもない。
一実施形態では、R1〜R8の少なくとも1つは水素ではなく、残りのR1〜R8は水素である。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも2個は水素でなく、残りのR1〜R8は水素である。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも3個は水素でなく、残りのR1〜R8は水素である。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも4個は水素ではなく、 残りのR1〜R8は水素である。一実施形態では、R2は水素ではない。一実施形態では、R3は水素ではない。一実施形態では、R6は水素ではない。一実施形態では、R7は水素ではない。一実施形態では、R3およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R3およびR7は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR7は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR3は水素ではない。他の実施形態では、R6およびR7は水素ではない。
一実施形態では、R1〜R8の少なくとも1個は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシである。他の実施形態では、R2は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシである。他の実施形態では、R3は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシである。他の実施形態では、R6は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシである。他の実施形態では、R7は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシである。
他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも2個は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシである。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも2個は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシであり;ZはCOOHである。他の実施形態では、R1〜R8の少なくとも2個は、メチル、メトキシメチレン、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシまたはメトキシであり;R9およびR10は水素であり;ZはCOOHである。
一実施形態では、R3およびR6は、両方、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、メトキシメチレン、ヒドロキシ、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R2、R4、R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R2およびR6は、両方、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、ヒドロキシ、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R3〜R5およびR7、R8は水素である。一実施形態では、R3およびR7は、両方、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、ヒドロキシ、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R2、R4〜R6およびR8は水素である。一実施形態では、R2およびR7は、両方、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R3〜R6およびR8は水素である。一実施形態では、R2およびR3は、両方、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモであり、残りのR1、R4〜R8は水素である。
一実施形態では、R6はメチルである。一実施形態では、R6はメチルであり、R2またはR3は、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、クロロ、フルオロまたはブロモである。他の実施形態では、R6はフルオロであり、R2またはR3は、メチル、メトキシメチレンまたはメトキシである。一実施形態では、R6はメトキシである。一実施形態では、R6はメトキシであり、R2またはR3は、メチル、メトキシ、メトキシメチレン、ヒドロキシ、クロロ、フルオロまたはブロモである。他の実施形態では、R6はフルオロであり、R2またはR3はメトキシである。
一実施形態では、R9およびR10は、それらが結合する炭素と一緒結合して、環サイズが3〜7のスピロ環を形成する。一実施形態では、R9およびR10は、それらが結合する炭素とともに存在せず、およびR11およびR12は、それらが結合する炭素と一緒に結合して、環サイズが3〜7のスピロ環を形成する。たとえば、R9およびR10は、それらが結合する炭素、またはR11およびR12は、それらが結合する炭素と一緒に結合して、スピロ3員環シクロプロピル環を形成する。
一実施形態では、R9およびR10は水素である。
一実施形態では、R9およびR10はメチルである。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7、R8は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はエチルである。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7およびR8は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7、R8は水素であり、ZはCOOHである。
他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6はメトキシ、R1〜R5、R7およびR8は水素であり、ZはCOOHである。
他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6はメトキシメチレンであり、R1〜R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6はメトキシメチレンであり、R1〜R5、R7およびR8は水素であり、ZはCOOHである。
他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5、R7およびR8は水素であり、ZはCOOHである。
他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6はメトキシであり、R1〜R5、R7およびR8は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6はメトキシであり、R1〜R5、R7およびR8は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はそれらが結合する炭素とともに存在しない。
一実施形態では、R11およびR12はメチルである。他の実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11およびR12はエチルである。他の実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6は水素またはハロゲンであり、R1〜R5、R7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6はメトキシである。他の実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5、R7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11およびR12はメチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5、R7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6はメトキシである。他の実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5、R7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11およびR12はエチルであり、R6はメトキシであり、R1〜R5、R7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6はメトキシである。他の実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6はメトキシであり、R1〜R5、R7〜R10は水素である。他の実施形態では、R11、R12およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6はメトキシであり、R1〜R5、R7〜R10は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、qは0である。他の実施形態では、qは0であり、R9およびR10は、それらが結合する炭素とともに存在しない。他の実施形態では、qは0であり、R9およびR10は、それらが結合する炭素とともに存在せず、XおよびYも存在しない。他の実施形態では、qは0であり、R9およびR10は、それらが結合する炭素とともに存在せず、XおよびYは存在せず、m、n、oおよびpの合計は1または2である。
式Iの化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物も、本発明による睡眠を調整する方法において使用する。
別の態様では、本発明は、式IIで表される化合物またはその医薬的に有効な塩を提供する。
(式中、m、nおよびoは、独立して、0、1、2、3、4、5または6であり、Xは、存在しない、またはO、S、C(O)、SOまたはSO
2であり;R
2、R
3、R
6およびR
7は、独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、シクロプロピル、OH、OCH
3、OCF
3、CH
2OCH
3またはCH
2OCH
2CH
3であり;R
9およびR
10は、独立して、H、C
1−C
6直鎖アルキル、C
2−C
6分岐状アルキル、またはR
9およびR
10は、それらが結合する炭素と一緒に結合して、環サイズが3、4、5、6または7原子のスピロ環を形成し;Zは、COOH、COOR
13(式中、R
13はC
1−C
6アルキルである)、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリール、S(O)
2NHCO−アルキル、S(O)
2NHCO−ヘテロアルキル、S(O)
2NHCO−アリール、S(O)
2NHCO−ヘテロアリール、CONHS(O)
2NH−アルキル、CONHS(O)
2NH−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2NH−アリール、CONHS(O)
2NH−ヘテロアリールまたはテトラゾールであり、ただし、ZがCOOHまたはCOOR
13であり、かつR
6がHまたはハロゲンの時は、R
1〜R
5およびR
7〜R
12はそれぞれ水素ではなく、さらにmが0の時は、Xは存在しない。)
一実施形態では、ZはCO
2Hまたはテトラゾールである。他の実施形態では、ZがCOOHの時は、R
2、R
3、R
6およびR
7の少なくとも1つおよびR
9〜R
10の少なくとも1つが水素ではない。一実施形態では、oは0である。
一実施形態では、ZがCOOHの時は、R2、R3、R6、R7の少なくとも1つとR9〜R10の少なくとも1つは水素でない。一実施形態では、R2、R3およびR7はそれぞれ水素であり、R6は水素でもハロゲンでもない。一実施形態では、R2、R3およびR7はそれぞれ水素であり、R6は、メチル、メトキシまたはヒドロキシである。
一実施形態では、R2、R3、R6、R7の少なくとも2個は水素ではなく、残りのR2、R3、R6、R7は水素である。他の実施形態では、R2、R3、R6、R7の少なくとも3個は水素ではなく、残りのR2、R3、R6、R7は水素である。一実施形態では、R2は水素ではない。一実施形態では、R3は水素ではない。一実施形態では、R6は水素ではない。一実施形態では、R7は水素ではない。一実施形態では、R3およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R3およびR7は水素ではない。
一実施形態では、R9およびR10はそれぞれメチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれエチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれ水素である。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して環サイズが3〜7のスピロ環を形成する。たとえば、一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。.
一実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、式IIで表される化合物において、oは0である。他の実施形態では、oは0であり、Xは存在しない。他の実施形態では、oは0であり、Xは存在せず、mおよびnの合計は1または2である。
式IIで表される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物も、本発明による睡眠を調整する方法において使用する。
別の態様では、本発明は、式IIIで表される化合物、またはその医薬的に有効な塩を提供する。
(式中、mおよびnは、独立して、0、1、2、3または4であり、Xは存在しない、またはOまたはSであり;R
2、R
3、R
6およびR
7は、独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、OCH
3、CH
2OCH
3およびCH
2OCH
2CH
3から選択され;R
9およびR
10は、独立して、H、C
1−C
6直鎖アルキル、C
2−C
6分岐状アルキル、あるいはR
9およびR
10は、それらが結合する炭素と一緒になって結合し、環サイズが3、4、5、6または7原子のスピロ環を形成し;Zは、CO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、CONHS(O)
2−アリール、CONHS(O)
2−ヘテロアリールおよびテトラゾールから選択され;ただし、ZがCOOHで、R
6がH、F、ClまたはBrの時は、R
2、R
3、R
7、R
9およびR
10は、それぞれ水素ではなく、さらに、mが0の時は、Xは存在しない。)
一実施形態では、Zは、CO
2Hまたはテトラゾールである。一実施形態では、mは0である。一実施形態では、ZがCOOHの時、R
2、R
3、R
6、R
7の少なくとも1つおよびR
9〜R
10の少なくとも1つは水素ではない。一実施形態では、R
2、R
3およびR
7はそれぞれ水素であり、R
6は水素でもハロゲンでもない。一実施形態では、R
2、R
3およびR
7は、それぞれ、水素であり、R
6は、メチル、メトキシまたはヒドロキシである。
一実施形態では、R2、R3およびR7は、それぞれ、水素であり、R6は、水素でもハロゲンでもない。一実施形態では、R2、R3およびR7は、それぞれ、水素であり、R6は、メチル、メトキシメチレン、メトキシまたはヒドロキシである。
一実施形態では、R2、R3、R6およびR7の少なくとも2個は、水素ではなく、残りのR2、R3、R6およびR7は水素である。他の実施形態では、R2、R3、R6およびR7の少なくとも3個は水素ではなく、残りのR2、R3、R6およびR7は水素である。一実施形態では、R2は水素ではない。一実施形態では、R3は水素ではない。一実施形態では、R6は水素ではない。一実施形態では、R7は水素ではない。一実施形態では、R3およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R2およびR6は水素ではない。他の実施形態では、R3およびR7は水素ではない。
一実施形態では、R9およびR10はそれぞれメチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれエチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれ水素である。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、環サイズが3〜7のスピロ環を形成する。たとえば、一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はエチルであり、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり、残りのR2、R3およびR7は水素であり、ZはCOOHである。
一実施形態では、式IIIで表される化合物において、Xは存在しない。他の実施形態では、Xは存在せず、mおよびnの合計は1または2である。
式IIIで表される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物も、本発明による睡眠を調整する方法に使用する。
別の態様では、本発明は、式IVで表される化合物またはその医薬的に有効な塩を提供する。
(式中、tは、1、2、3または4であり;R
2、R
3およびR
6は、独立して、H、F、Cl、Br、CF
3、CH
3、OH、OCH
3、CH
2OCH
3またはCH
2OCH
2CH
3であり;R
9およびR
10は、H、CH
3、CH
2CH
3であり、あるいはR
9およびR
10は、それらが結合する炭素と一緒に結合して環サイズが3、4、5、6または7原子のスピロ環を形成し;Zは、CO
2H、CONHS(O)
2−アルキル、CONHS(O)
2−シクロアルキル、CONHS(O)
2−ヘテロアルキル、またはテトラゾールから選択され;ただし、ZがCOOHであり、R
6がH、F、ClまたはBrの時は、R
2、R
3、R
7、R
9およびR
10は、それぞれ、水素ではなく、さらにmが0の時は、Xは存在しない。
一実施形態では、化合物のtは1または2である。
式IVで表される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物も、本発明による睡眠を調整する方法に使用する。
一実施形態では、Zは、CO2H、スルホンアミド、スルファミドまたはテトラゾールである。他の実施形態では、ZがCOOHの時、R2、R3およびR7の少なくとも1個およびR9〜R10の少なくとも1個は水素ではない。
一実施形態では、R9およびR10はそれぞれメチルである。他の実施形態では、R9およびR10はそれぞれエチルである。一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、環サイズ3〜7のスピロ環を形成する。たとえば、一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。
一実施形態では、R9およびR10はメチルであり;R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり;R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素であり;ZはCOOHである。
一実施形態では、R9およびR10はエチルであり;R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9およびR10はメチルであり;R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素であり;ZはCOOHである。
一実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成する。R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素である。他の実施形態では、R9、R10およびそれらが結合する炭素は結合して、3員環スピロ(シクロプロピル)環を形成し、R6は水素またはハロゲンであり;R2、R3およびR7は水素であり;ZはCOOHである。
式IVで表される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む医薬組成物も、本発明による睡眠を調整する方法に使用する。
一実施形態では、式IVで表される化合物は、IVa、IVb、IVc、IVdまたはIVeである。たとえば、R9およびR10がメチルの時、化合物は式IVa:
で表され;
R
9およびR
10が結合して3員環スピロ環(シクロプロピル)を形成する時、化合物は一般式 IVb:
で表され;
R
9およびR
10がエチルの時、化合物は一般式IVc:
で表され;
R
9およびR
10がエチルであり、C−1炭素が結合して3員環スピロ環(シクロプロピル)を形成する時、化合物は一般式IVd:
で表され;
R
9およびR
10が水素の時、化合物は一般式IVe:
本発明の代表的な化合物のいくつかを表1に示す。
表1:ロキサピン誘導体
一般的に、別の態様では、本発明は、睡眠を調整するための、式I〜IVeで表されるロキサピン−類縁体の用途に関する。式I〜IVeの化合物は、副作用を抑えて、たとえば、化合物はレム睡眠を抑制しない(したがって、これらの化合物に誘発された睡眠は人間の自然な睡眠サイクルにより近く類似する)、反跳性不眠の結果とならないおよび/または化合物は、自発運動活性を抑制しない、または体温に悪影響を及ぼさずに、睡眠を調整するのが好ましい。
本発明のロキサピン類縁体に関し、インビトロ選択基準を表2に示す。
一実施形態では、オフターゲット結合Kiは、H1受容体の測定Kiの50倍である。いくつかの実施形態では、オフターゲット結合Kiは、H1受容体の測定Kiの100倍である。
インビトロ結合アッセイは、H1結合(すなわち、一次標的結合)とM1、M2およびM3結合(すなわち、オフターゲット結合)を測定するために使用した。 これらの結合アッセイでは、H1、M1、M2およびM3受容体から既知標準を置き換える、ロキサピン類縁体の性能(ここで、H1はヒスタミン受容体であり、M1、M2およびM3は、コリン作動性(ムスカリン作動性)受容体である)を測定する。類似のアッセイが、H1およびドーパミン受容体(D1およびD2)と、H1およびアドレナリン作動性受容体(α1およびα2)に関しても行われる。
ヒスタミン受容体、H1に対する結合の検討では、結合親和性を示し、したがって、結合アッセイの結果は、ロキサピン類縁体化合物の活性の指標である。ムスカリン受容体に対する結合の検討で、化合物が、該化合物の抗コリン活性に関与するムスカリン受容体を結合する程度を示す。ムスカリン受容体への結合により、多くの公知の抗ヒスタミン剤の数種の望ましくない副作用、たとえば口内乾燥が起こる。M1〜M3受容体への化合物の結合が減少することは、H1受容体への化合物の結合に対し、ムスカリン受容体を超えた、ヒスタミン受容体に関する化合物のより大きな特異性の指標である。さらに、ヒスタミン受容体に関し、増大した特異性を持つ薬物は、抗コリン副作用はより少ない。
本発明のロキサピン類縁体(本明細書では、「試験化合物」または「本発明用化合物」とも言う)のH1結合は、所定の試験化合物または一連の試験化合物のH1受容体に対する特異的結合を測定し、それと既知標準(すなわち参照化合物)の特異的結合とを比較することによって決定する。このH1結合アッセイで使用される参照化合物は、たとえば、トリプロリジン(Ki3.3nM)、クロロフェニラミン(Ki103.0nM)、ピリラミン(Ki1.9nM)、シクロヘプタジン(Ki8.5nM)、シメチジン(Ki>10,000)およびジマプリット(Ki>10,000)が挙げられる(たとえば、Changら,J.Neurochem.,32:1653−63(1979)(および修正版);Martinez−Mir,ら,Brain Res.,526:322−27(1990);およびHaaksmeら,Pharmac.Ther.,47:73−104(1990)参照)。
たとえば、H1結合アッセイの一実施形態では、H1受容体は、ウシ細胞膜をおよび放射性リガンドを起源とし、2.0nMの最終リガンド濃度で、放射性リガンド、[3H]ピリラミン(15−25Ci/mmol)を使用して、H1受容体に関する特異的結合を検出する。アッセイの特性は、KD(結合親和性)が1.3nM、およびBmax(受容体数)が6.2fmol/mg組織(重量)である。トリポリジン(10μM)を、非特異的決定因子、参照化合物およびポジティブコントロールとして使用する。結合反応は、50mMのNAKPO4(pH7.5)中、25℃で60分間行う。反応は、ガラス繊維フィルター上で急速真空ろ過によって終了させる。フィルター上に捕捉された放射能レベルを測定し、コントロール値と比べ、所定の試験化合物とH1結合部位との間の任意の相互作用を解明する。
M1結合アッセイでは、所定の試験化合物のM1に対する特異的結合を測定し、参照化合物の特異的結合と比較することによって、試験化合物のM1結合を決定する(たとえば、Buckleyら,Mol.Pharmacol.35:469−76(1989)(および修正版)参照)。M1結合アッセイで使用する参照化合物として、たとえば、スコポラミン、メチルBr(Ki0.09nM);4−DAMPメチオジド(Ki0.27nM);ピレンゼピン(Ki2.60nM);HHSID(Ki5.00nM);およびメトクトラミン(Ki29.70nM)が挙げられる。
たとえば、M1結合アッセイの一実施形態では、M1ムスカリン受容体は、CHO細胞で発現するヒト組換えM1であり、放射性リガンド、[3H]−スコポラミンN−メチルクロライド(80−100Ci/mmol)を、最終リガンド濃度0.5nMで使用して、M1の特異的結合を検出する。アッセイの特性は、KD(結合親和性)が0.05nM、およびBmax(受容体数)が4.2pmol/mg組織(重量)である。(−)−スコポラミン臭化メチル(メチルスコポラミンブロマイド)(1.0μM)を、非特異的決定因子、参照化合物およびポジティブコントロールとして使用する。結合反応は、PBS中、25℃で60分行う。反応は、ガラス繊維フィルター上で急速真空ろ過によって終了させる。フィルター上に捕捉された放射能レベルを測定し、コントロール値と比べ、所定の試験化合物とクローン化されたムスカリン作動性M1結合部位との間の任意の相互作用を解明する。
M2結合アッセイは、所定の試験化合物のM2に対する特異的結合を測定し、参照化合物の特異的結合と比較することによって、試験化合物のM2結合を決定する(たとえば、Buckleyら,Mol.Pharmacol.35:469−76(1989)(および修正版)参照)。M2結合アッセイで使用される参照化合物として、たとえば、スコポラミンメチルBr(Ki0.3nM);4−DAMPメチオジド(Ki20.7nM);メトクトラミン(Ki20.460nM);HHSID(Ki212.7nM);およびピレンゼピン(Ki832.9nM)が挙げられる。
たとえば、M2結合アッセイの一実施形態では、M2ムスカリン受容体は、CHO細胞で発現するヒト組換えM2であり、放射性リガンド、[3H]−スコポラミンN−メチルクロライド(80−100Ci/mmol)を最終リガンド濃度0.5nMで使用して、M1の特異的結合を検出する。アッセイの特性は、KD(結合親和性)が0.29nM、およびBmax(受容体数)が2.1pmol/mg組織(重量)である。(−)−スコポラミン臭化メチル(メチルスコポラミンブロマイド)(1.0μM)を、非特異的決定因子、参照化合物およびポジティブコントロールとして使用する。結合反応は、PBS中、25℃で60分行う。反応は、ガラス繊維フィルター上で急速真空ろ過によって終了させる。フィルター上に捕捉された放射能レベルを測定し、コントロール値と比べ、所定の試験化合物とクローン化されたムスカリン作動性M2結合部位との間の任意の相互作用を解明する。
M3結合アッセイは、所定の試験化合物のM3に対する特異的結合を測定し、参照化合物の特異的結合と比較することによって、試験化合物のM3結合を決定する(たとえば、Buckleyら,Mol.Pharmacol.35:469−76(1989)(および修正版)参照)。M3結合アッセイで使用される参照化合物として、たとえば、スコポラミンメチルBr(Ki0.3nM);4−DAMPメチオジド(Ki0.8nM);HHSID(Ki14.5nM);ピレンゼピン(Ki153.3nM);およびメトクトラミン(Ki700.0nM)が挙げられる。
たとえば、M3結合アッセイの一実施形態では、M3ムスカリン受容体は、CHO細胞で発現するヒト組換えM3であり、放射性リガンド、[3H]−スコポラミンN−メチルクロライド(80−100Ci/mmol)を最終リガンド濃度0.2nMで使用して、M1の特異的結合を検出する。アッセイの特性は、KD(結合親和性)が0.14nM、およびBmax(受容体数)が4.0pmol/mgタンパク質である。(−)−スコポラミン臭化メチル(メチルスコポラミンブロマイド)(1.0μM)を、非特異的決定因子、参照化合物およびポジティブコントロールとして使用する。結合反応は、50mMのTRIS−HCl(pH7.4)を含有する10mMのMgCl2、1mMのEDTA中、25℃で60分行う。反応は、ガラス繊維フィルター上で急速真空ろ過によって終了させる。フィルター上に捕捉された放射能レベルを測定し、コントロール値と比べ、所定の試験化合物とクローン化されたムスカリン作動性M3結合部位との間の任意の相互作用を解明する。
本発明のロキサピン類縁体に関し、インビトロ選択基準を表3に示す。
本発明のロキサピン類縁体に関し、他のインビトロ選択基準を表4に示す。
H1結合(一次標的結合)およびM1、M2並びにM3結合(オフターゲット結合)は、先に記載したH1、M1、M2およびM3結合アッセイを使用して、決定する。
本発明のロキサピン類縁体の他のインビトロ選択基準として、hERG結合が挙げられる。一次標的結合およびオフターゲット結合は、先に記載したように決定する。もし試験化合物が、所望の一次標的(H1)結合および一次標的/オフターゲット結合比を発現する場合、hERG結合(オフターゲット結合)はhERGブロック比較検討を使用して測定し、哺乳動物細胞で発現するクローン化されたhERGチャンネル上の所定の試験化合物の効果を評価する(たとえば、BrownおよびRampe,Pharmaceutical News7:15−20(2000);Rampeら,FEBS Lett.,417:28−32(1997);WeirichおよびAntoni,Basic Res.Cardiol.93Suppl.1:125−32(1998);YapおよびCamm,Clin.Exp.Allergy,29Suppl3,174−81(1999)参照)。
IKrの抑制は、非心臓性薬物による強心作用の潜在的な延長の最も一般的な原因であるので、hERGのオフターゲット結合、ヒト心室内の即時遅延整流電流(IKr)に関連する心臓カリウムチャンネルが評価される(BrownおよびRampe(2000),WeirichおよびAntoni(1998);YapおよびCamm(1999)参照)。活動電位持続時間の増加は、危険な血管性不整脈、トルサード・ド・ポアンを伴う、QT間隔の延長を起こす(BrownおよびRampe(2000))。
hERGアッセイにおいて、hERGチャンネルは、内因性IKrを欠くヒト胚腎臓細胞系(HEK293)で発現する。哺乳動物細胞系での発現は、ゼノプス卵母細胞での一過性発現に好ましい。後者は、hERGチャンネル遮断薬に対して10〜100倍低感度を示すからである(Rampe1997参照)。
hERGアッセイの一実施形態では、ポジティブコントロール(すなわち参照化合物)は、すでに示しているテルフェナジン(Sigma社,St.Louis MO.)で、濃度60nMでhERG電流を約75%まで遮断する。試験化合物は、HEPES−緩衝化生理食塩水(HB−PS)+0.1%ジメチルスルフォキシド(DMSO)で送られる。各試験化合物は、濃度10μMで、hERGを発現するHEK293細胞に適用される(n33(式中、n=細胞の数)。細胞は恒常状態ブロックに達するのに必要な時間、しかし10分以下の時間、試験化合物に曝される。ポジティブコントロール(60mMのテルフェナジン)が2つの細胞に適用される(n32)。
hERGに曝された細胞を、次いで、記録チャンバーに転送し、HB−PS溶液で灌流する。ホールセル記録用のピペット溶液は、アスパラギン酸カリウム(130mM)、MgCl2(5mM)、EGTA(5mM)、ATP(4mM)およびHEPES(10mM)を含む、pHはKOHで7.2に調整されている。試験化合物によるhERG電流の開始および恒常状態ブロックは、固定振幅を持つパルスパターン(脱分極:+20mVで2秒;再分極:−50mVで2秒)を使用して測定し、10秒間隔で、保持電位−80mVから繰り返す。ピークテール電流は、2秒ステップの間、−50mVまで測定する。恒常状態は、試験化合物またはポジティブコントロール化合物が適用される前に、少なくとも30秒保たれる。ピークテール電流は、新しい恒常状態を達成するまで測定する。
前記インビトロ選択基準に加えて、本発明のロキサピン類縁体は、以下のインビボ睡眠−覚醒および生理学的評価を使用して選択される。
ノンレム睡眠:ロキサピン類縁体は、成熟した雄のウィスター種ラットの場合、もし以下であれば選択される。(i)ピークノンレム量が、治療の3時間後までに1時間当たりのノンレムの55%を超える;および(ii)ノンレム睡眠におけるこの増加の特質が、薬物を経口的に送った時、治療の最初の6時間内の正味のノンレム睡眠における累積全増加分(対応する概日時間の24時間早いベースラインに応じて、かつビヒクルコントロール治療に対して調整された)が、最高睡眠定着を作り出す化合物用量に関して、睡眠期間長さによって測定して、合計で20分以上である。
用語「ノンレムピーク睡眠時間」は、LD12:12(12時間明かりをつけ12時間暗い中にいる)明−暗サイクル中で収容した時、明かりを消して6時間後である、概日時間(CT)18に、夜行性実験用ラットにおいて、薬物投与に伴い起こる、治療後の1時間当たりのノンレム睡眠の絶対ピーク量として規定する。名目基準値、1時間当たり55%ノンレム睡眠は、1時間当たり33分のノンレム睡眠と同等である。
本明細書で使用する,用語「累積ノンレム睡眠」は、ノンレム睡眠の分数における総正味集計増加として規定され、普通(しかし常にではない)治療後最初の6時間に起こる、薬物の睡眠効果の全持続時間を通して、同じビヒクルコントロール治療に関し、24時間早く記録された日の対応する非治療ベースライン時間の間に起こる、ノンレム睡眠の分数の総正味集計に応じて調整して測定される。
ここで規定する用語「睡眠期間」は、連続したまたは連続に近い睡眠の離散エピソードを言い、ノンレム睡眠、レム睡眠またはノンレムおよびレム睡眠の両方からなり、覚醒状態の2つの近接する10秒エポックより大きいエピソードの前後で区切られる。以下の限定ではない記載は、この概念を説明する。WWWWSSSSWSSSSSSSWWSSSSSSSWWWW(ここで書く文字は、10秒ごこに観察される優勢な覚醒状態(S=睡眠、W=目覚め)を示す。測定睡眠「期間」は、21個の10秒エポックまたは持続時間として3.5分である。
睡眠定着: ロキサピン類縁体は、成熟した雄のウィスター種ラットのにおいて、もし以下であれば選択される。(i)治療後の最長連続睡眠エピソード絶対時間(すなわち「睡眠期間」)が、持続時間として、13分を超える;(ii)24時間早いベースラインに応じて調整し、ビヒクル治療に対して計算した時、治療後の正味最長睡眠期間が、3分またはそれ以上、;(iii)時間毎の基準において時間当たりで平均化した場合、各睡眠期間の平均絶対持続時間が5分またはそれ以上である。前記選択基準は、睡眠および覚醒状態の段階を連続的に各10秒と決定し(たとえば、10秒睡眠を「エポック」と得点する)、睡眠および覚醒状態を、EEGおよびEMG基準、ポリグラフで測定し、睡眠エピソード(ノンレムおよび/またはレム睡眠から構成される)を連続「期間」として規定して、該エピソードが、覚醒状態の隣あう10秒エポックの2を超えるものによって妨害されるまでと想定する。
本明細書で使用する用語「最長睡眠期間長さ」は、治療後一定の時間で開始される、単一最長睡眠期間の間の、動物が眠っている(ノンレムおよび/またはレム睡眠段階)合計分数として規定する。「睡眠期間長さ」測定基準は、睡眠は10秒エポックにおいて連続して測定され、優勢状態に基づいてスコアを付け、エポックを規定した10秒間隔の間の離散睡眠段階(ここでは、睡眠段階は、ノンレム睡眠、レム睡眠または覚醒状態として規定する)として演算または他の方法で決定すると、想定する。
用語「平均睡眠期間長さ」は、規定された時間内に始まり、各エピソードまたは期間の個々の持続時間とは無関係の、全ての睡眠エピソードまたは期間の平均持続時間(分)として規定する。
同時に測定される副作用: 成熟した雄のウィスター種ラットにおいて、これらの化合物が(i)認識しうる量の反跳性不眠を造らず;(ii)レム睡眠を認めえるほど阻害せず;(iii)睡眠それ自身の正常な効果に対して、自発運動活性および/または運動トーンを不釣合いに抑制しなければ、ロキサピン類縁体が選択される。これら3つの副作用の変数のための閾値定義は以下の通りである。
「反跳性不眠」は、催眠剤または睡眠剤の睡眠促進効果の後に起こる、リバウンド、矛盾する、または代償的な覚醒状態の期間として定義する。反跳性不眠は、CT−18(明かりを消して6時間後、所定のLD12:12)での治療後、通常の6〜18時間の概日安静相中に普通観察されが、治療直後から30時間の間に起こりうる。リバウンドは、雄のウィスター種ラットにおいて、反跳性不眠に伴う過剰の累積覚醒状態が、治療後概日安静相(点灯)の間の時間当たりのノンレム睡眠の平均で10%を超えて減少すると、不適格とみなす。
成熟した雄のウィスター種ラットにおいて、反跳性不眠は、ベースラインで(24時間早い)で対応する時間に対して、覚醒状態の増加として現われ、続いて、薬物誘発性睡眠効果および反跳性不眠が累積的に測定される。
「レム睡眠抑制」は、CT−18(明かりを消して6時間後;LD12:12)での、またはCT−5(明かりをつけて5時間後;LD12:12)での治療後のレム睡眠時間の減少として規定する。CT−18またはCT−5のいずれかに投与された場合、レム睡眠時間を、15分を超えて減少させる(ベースラインに対し、およびビヒクル治療に応じて調整された)化合物は、不適格であるとみなす。
本明細書で規定する「不均衡性自発運動活性抑制」は、睡眠に起因する行動的活性において正常で予測される減少を超えた、自発運動活性の減少である。動物が眠れば、正常では自発運動活性の対応する減少があるのが理論的である。もし催眠剤または催眠性化合物が、自発運動活性レベルを、睡眠だけによって説明されるレベルより20%を超えて減少させれば、その化合物は不適格と認定される。自発運動活性(LMA)または運動トーンは、同じ動物において、客観的な睡眠−覚醒測定を同時に測定する限り、行動的自発運動活性モニター(非特異的動作、遠隔測定基準の活性モニタリング、三次元動作検出機器、走行輪活性、探査測定、筋電図記録、その他)のいかなるものを使用して、客観的に定量化してもよい。
一実施形態では、動物のケージ内での自発運動活性は、動物の腹腔内に手術をして埋め込んだバイオテレメトリ機器を使用して測定される。該埋め込み可能な機器およびそれに関連する遠隔測定用受信機は、ケージ内で動物が動くか、およびおよびどのくらいの動きであるかを検出する。睡眠および覚醒状態を、同時に10秒エポックで測定する。単位時間あたりの自発運動活性のカウントを、同じ単位当たりの覚醒状態の平行量で除して、該単位時間当たりの「自発運動活性 強度」(LMAI)測定を得る。CT−18(明かりを消して6時間後;LD12:12)で投与され、単位目覚め時間あたりの自発運動活性の減少が、ビヒクルに対して、20%を超えた催眠剤または催眠性化合物は、不適格と判断されるであろう。
他の実施形態では、本発明のロキサピン類縁体は、表5に示す、インビボ睡眠−覚醒および生理学的評価基準を使用して選択される。
これらの睡眠−覚醒および生理学的評価基準を評価する方法は先に記載した。表5の第2欄に示す「絶対値」は、各試験化合物に関して測定した値を言い、表5の第3欄に示す「変化」の値は、ビヒクル値がベースラインに応じて調整されている場合、絶対値はビヒクルからの差である、調整値を言う。
いくつかの実施形態では、最長睡眠期間は、持続時間として、13分を超える。他の場合は、持続時間として、17分を超える。いくつかの実施形態では、治療後の正味最長睡眠期間は、持続時間として、3分またはそれ以上である。他の場合は、持続時間として、6分またはそれ以上である。
本発明のロキサピン類縁体の選択のために使用される、他のインビボ睡眠−覚醒および生理学的評価基準として、ビヒクルに対するベースラインにおける変化として、急性体温および潜伏性体温の測定が上げられる。1〜6時間で、急性体温変化は−0.50℃を、潜伏性体温変化は、+0.50℃を超えるべきでない。急性体温(T1−6)は、ビヒクルに対し、24時間早く測定した対応ベースラインに応じて調整する(ビヒクルからの減少)。薬物治療の7〜18時間後(T7−18)に測定された潜伏性体温は、ビヒクルに対し、24時間早く測定した対応ベースラインに応じて調整する(ビヒクルからの減少)。
本発明は、対象に、治療的に有効な量の、式I−IVeで表される化合物、またはその医薬的に有効な塩を投与することによる、睡眠を調整する方法を提供する。該化合物は、入眠までの時間を減らす、平均睡眠期間長さを増やす、および最大睡眠期間の長さを増やすなど、種々の方法で睡眠を調整する。
化合物またはその医薬的に許容しうる塩を、経口的に、経鼻的に、経皮的に、肺に、吸入で、口内に、舌下に、腹腔内に、静脈内に、直腸に、胸膜内に、髄腔内に、および腸管外に投与する。一実施形態では、化合物を経口的に投与する。当業者であれば、投与経路の確実な利点を理解するであろう。
式I〜IVeで表される化合物またはその医薬的に有効な塩の治療的に有効な量を、対象に投与することによる、睡眠を調整する方法は、日周期リズムの異常、不眠、錯眠、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーおよび/または睡眠過剰を含む種々の睡眠障害を治療するために使用される。一実施形態では、該方法によって、時差ボケ、交代勤務障害、遅延睡眠相症候群、進行睡眠相症候群および非24時間睡眠覚醒障害のような日周期リズム異常を治療する。他の実施形態では、該方法によって、外因性不眠、精神生理学的不眠、高地不眠、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、投薬治療依存性不眠、薬物依存性不眠、アルコール依存性不眠および精神障害と関連する不眠を含む不眠を治療する。
他の実施形態では、該方法により、夢遊病、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠時歯ぎしりおよび夜尿症を含む錯眠を治療する。さらに他の実施形態では、該方法により、中枢性睡眠時無呼吸、閉塞型睡眠時無呼吸および混合睡眠時無呼吸を含む睡眠時無呼吸障害を治療する。さらに、該方法は、ナルコレプシーまたは睡眠過剰のような他の睡眠障害を治療する。
いくつかの実施形態では、式I〜IVeで表される化合物を医薬的に許容しうる塩として投与する。当業者であれば、医薬的に許容しうる塩類を製造し、適正な塩を同定する様々な方法を認識するであろう。一実施形態では、化合物または医薬的に許容しうる塩を医薬組成物中に含める。
「睡眠障害」は、当業者が睡眠障害と認める状況を含み、業界で知られた状況、または睡眠障害であると提案された状況または睡眠障害である発見された状況である。たとえば、Thorpy,M J International Classification of Sleep Disorders,Revised:Diagnostic and Coding Manual.American Sleep Disorders Association;Rochester,Minnesota 1997;およびICD−9−CM,International Classification of Diseases,Ninth Revision,Clinical Modification,National Center for Health Statistics,Hyattsville,MD参照のこと。
たとえば、睡眠障害は、一般的に、睡眠異常、たとえば内因性障害、外因性障害および日周期リズム障害;錯眠、たとえば、覚醒障害、睡眠−覚醒移行障害、レム(REM)関連障害および他の錯眠;精神的、神経的および他の医学的障害を伴う障害;他の睡眠障害に分類される。
内因性睡眠障害として、たとえば、精神生理学的不眠、睡眠状態の誤解、本態性不眠、ナルコレプシー、反復性睡眠過剰、本態性睡眠過剰、外傷性睡眠過剰、閉塞型睡眠時無呼吸症候群、中枢性睡眠時無呼吸症候群、中枢性肺胞性呼吸低下症候群、周期性四肢運動障害および下肢静止不能症候群が挙げられる。
外因性睡眠障害として、たとえば、不適正な睡眠衛生、環境的睡眠障害、高地不眠、調整睡眠障害、不十分な睡眠症候群、限度設定睡眠障害、障害を伴う入眠の開始、食物アレルギ−不眠、夜行性摂食(飲む)症候群、催眠剤依存性睡眠障害、覚せい剤依存性睡眠障害、アルコール依存性睡眠障害、および毒が誘発した睡眠障害が挙げられる
日周期リズム睡眠障害として、たとえば、時間帯変化(時差ボケ)症候群、交代勤務睡眠障害、一定しない睡眠−覚醒パターン、遅延睡眠相症候群、進行睡眠相症候群および非24時間睡眠覚醒障害も含まれる。
覚醒睡眠障害として、たとえば、混乱した覚醒、夢遊病、および夜驚症が挙げられる。
睡眠−覚醒移行障害として、たとえば、リズム動作障害、睡眠開始、寝言、および夜中の足のひきつりが挙げられる。
REM関連睡眠障害として、たとえば、悪夢、睡眠麻痺、障害性睡眠関連陰茎***、睡眠関連***疼痛、レム睡眠関連洞停止およびレム睡眠行動障害が挙げられる。
他の錯眠として、たとえば、睡眠時歯ぎしり、夜尿症、睡眠関連異常嚥下症候群、夜行性期間性緊張異常、原因不明の夜行性突然死症候群、原発性いびき、小児睡眠時無呼吸、先天性中枢呼吸低下症候群、小児突然死症候群および良性新生児睡眠筋硬直が挙げられる。
また、「睡眠障害」は、他の医学的障害、疾患または傷害を持つ対象、または他の薬物投与または治療的処置を受けている対象であって、その結果、対象が、睡眠に入るのが困難および/または睡眠を保つのが困難、またはたとえば、対象は睡眠不足を経験するような、爽快にならない睡眠、または回復しない睡眠の経験をする場合に起きる。たとえば、ある対象は、他の状況のための医学的治療、たとえば、化学療法または手術を受けた後、疼痛または他の身体的傷害の結果、睡眠に困難をきたすようになることもある。
ある医学的障害、たとえば、不安感のような精神的または神経的障害のような中枢神経系(CNS)障害は、睡眠障害要素、たとえば、睡眠妨害があることは業界ではよく知られている。したがって、「睡眠障害を治療する」は、他の障害、たとえばCNS障害の睡眠障害要素を治療することも含みえる。さらに、CNS障害の睡眠障害要素を治療することは、障害に関連する他の症状を機能回復する有益な効果もありえる。たとえば、睡眠遮断と組合わせられた不安感を経験するある対象において、睡眠遮断要素を治療することは、不安感の要素を治療することにもなる。したがって、本発明は、そのような医学的障害を治療する方法も含む。
たとえば、精神障害と関連する睡眠障害は、精神病、情緒障害、不安感障害、パニック障害、中毒なども含む。特定の精神障害として、たとえば、抑鬱症、強迫性障害、障害性神経症/障害、抑鬱性神経症/障害、不安感神経症;気分変調性障害、行動障害、情緒障害、統合失調症、躁病抑鬱症、譫妄状態およびアルコール依存症が挙げられる。
神経的障害に関連する睡眠障害として、たとえば、大脳変性障害、痴呆症、パーキンソン症、ハンチントン疾患、アルツハイマー症、致死性家族性不眠症、睡眠関連てんかん、睡眠の電気的てんかん重積および睡眠関連頭痛などが挙げられる。他の医学的障害に関連する睡眠障害として、たとえば、睡眠病、夜行性心虚血、慢性閉塞性肺疾患、睡眠関連ぜんそく、睡眠関連胃食道逆流、消化性潰瘍疾患および結合識炎症候群が挙げられる。
ある状況では、睡眠障害は、疼痛、たとえば、下肢静止不能症候群に関連する神経障害性疼痛;偏頭痛;痛覚過敏症、線維筋痛症,疼痛;痛覚過敏、カウザルギーおよびアロジニア;急性疼痛のような疼痛に対し増強されたまたは過大にされた感覚;灼熱痛;非定型顔面痛;神経障害性疼痛;背痛;複合局所疼痛症候群IおよびII;関節炎疼痛;スポーツ傷害疼痛;感染に関連した疼痛、たとえば、HIV、ポリオ後症候群およびヘルペス感染後神経痛;幻影肢疼痛;労働疼痛;癌の疼痛;化学療法後疼痛;卒中後疼痛;手術後疼痛;神経痛;過敏性大腸症候群、偏頭痛および狭心症を含む内臓の疼痛に関連する状況にも関連する。
他の睡眠障害として、たとえば、短スリーパー、長スリーパー、サブ覚醒状態症候群、断片的筋硬直、睡眠多汗症、月経関連睡眠障害、妊娠関連睡眠障害、恐入眠時幻覚、睡眠関連神経性呼吸促迫、睡眠関連喉頭けいれんおよび睡眠閉塞症候群が挙げられる。
不眠は、一般的に、対象が眠りに入るまでに30分を超える時間を要する、入眠時不眠と、対象が予定の睡眠時間の間に30分以上目を覚ましている、またはたとえば、所望の起床時間の前に起きてしまい、再び眠ることが困難または不可能な、不眠が維持される睡眠とに分類される。開示した化合物は、日周期リズム調整障害による不眠、またはCNS障害による不眠の、入眠時および不眠を維持する睡眠を治療するのに効果的である。一実施形態は、日周期リズム調整障害の対象を治療することである。別の実施形態は、情緒障害に起因する不眠の対象を治療することである。別の実施形態では、対象は、睡眠時無呼吸、夢遊病、夜驚症、下肢静止不能症候群、入眠時不眠および/または不眠を維持する睡眠を、更に好ましくは、入眠時不眠または不眠を維持する睡眠を治療される。開示された化合物は、入眠時不眠を治療するのに効果的である。開示された化合物は、不眠を維持する睡眠を治療するのにも効果的である。
化合物を利用する調剤処方は、患者のタイプ、種、年齢、重さ、性別、および医学的状況;治療すべき状況の重症度;投与の経路;患者の腎機能および肝機能;および使用する特定の化合物またはその塩を含む、様々な要因に従って選択する。当業者である医師や獣医師は、症状の進行を予防し、対抗し、停止するのに必要な薬物の有効量を簡単に決定し、処方することができる。
示された効果のために使用する場合、本発明の経口用量は、経口的に約0.05〜5000mg/日の範囲である。開示された化合物の有効量は、一般的に約0.01mg/kg/日と約100mg/kg/日の間の範囲であり、好ましくは0.1 mg/kg/日と約10mg/kg/日の間の範囲である。本発明の開示された化合物の投与の技術は、Remington:the Science and Practice of Pharmacy,第19編,Mack Publishing社,Easton,Pa.(1995)に見出すことができる。
たとえば、いくつかの実施形態では、アミンまたは他の塩基の基を含有する化合物の酸塩は、化合物を、塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩素酸などの適切な有機または無機酸と反応させることによって得る。四級アンモニア基を持つ化合物は、クロライド、ブロマイド、イオダイド、アセテート、パークロレートなどのような対アニオンも含有する。そのような塩の他の例として、ハイドロクロライド類、ハイドロブロマイド類、サルフェート類、メタンスルホネート類、ナイトレート類、マレエート類、アセテート類、クエン酸塩類、フマル酸塩類、酒石酸塩類(たとえば、(+)−酒石酸塩類、(−)−酒石酸塩類またはラセミ混合物を含むその混合物)、コハク酸塩類、安息香酸塩類およびグルタミン酸のようなアミノ酸の塩が挙げられる。
カルボン酸または他の酸性官能基を含有する化合物の塩は、適切な塩基を反応させることによって生成する。そのような医薬的に許容しうる塩は、医薬的に許容しうるカチオンを与える塩基で生成する。そのような塩として、アルカリ金属塩類(特にナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属塩類(特にカルシウムおよびマグネシウム)、アルミニウム塩類およびアンモニウム塩類、さらに、生理学的に許容しうる有機塩基、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンズイルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンズイルピペリジン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、N,N’−ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、コリジン、キニーネ、キノリンおよびリシンおよびアルギニンのような塩基性アミノ酸から造られる塩が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ある化合物とその塩は、溶媒和物、たとえば、水和物の形でも存在し、本発明はその各溶媒和物およびその混合物も含む。
一実施形態では、ここで記載された化合物およびその医薬的に許容しうる塩は、医薬的に許容しうる担体または希釈剤と組合わせて医薬製剤として使用される。適切な医薬的に許容しうる担体として、不活性固体充填剤または希釈剤および滅菌水性または有機溶液を含む。化合物は、そのような医薬組成物中に、本明細書に記載された範囲内で、所望の用量を提供するのに充分な量で存在する。処方剤および本発明の開示された化合物の投与に関する技術は、前記Remington:the Science and Practice of Pharmacyに見出すことができる。
一般的に、化合物は、経口投与用に調整され、開示された化合物またはその塩を、適切な固体または液体担体または希釈剤と組合わせ、カプセル、錠剤、ピル、粉末、シロップ、溶液、懸濁液などに形成する。
錠剤、ピル、カプセルなどは、約1〜約99重量%の活性成分と、トラガントガム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンのような結合剤;リン酸ジカルシウムのような賦形剤;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルギン酸のような崩解剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤および/またはサッカロース、ラクトース、サッカリン、キシリトールなどの甘味剤とを含有する。用量単位形態がカプセルの場合、上記のタイプの材料に加えて、脂肪油のような液体担体を含有することが多い。
いくつかの実施形態では、種々の他の材料が、コーティングとして、または用量単位の物理的形体を変更するために、存在する。たとえば、ある実施形態では、錠剤は、シェラックまたは糖、あるいは両方で塗布されている。いくつかの実施形態では、シロップまたはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてサッカロース、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、着色剤およびチェリーまたはオレンジフレーバーのような風味剤などを含有する。
腸管外投与に関するある実施形態では、開示された化合物、またはその塩、溶媒和物または多形体は、滅菌された水性または有機性媒体と組合わせて、注射可能な溶液または懸濁液を形成する。注射可能な組成物は、水性等張溶液または懸濁液が好ましい。組成物は、滅菌されおよび/またはアジュバントを含有してもよく、アジュバントとして、保存、安定化、湿潤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調整するための塩類および/または緩衝液が挙げられる。さらに、他の治療的に価値のある物質も含有してよい。該組成物は、それぞれ、既知の混合、造粒、または塗布方法に従って製造し、約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%の活性成分を含有する。
たとえば、注射可能な溶液は、ごま油またはビーナツ油のような溶剤、または水性プロピレングリコール、および水溶性の化合物の医薬的に許容しうる塩の水溶液を用いて、製造する。いくつかの実施形態では、分散液を、油中のグリセロール液状ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物中で製造する。通常の貯蔵および使用状況下では、これらの製剤は、微生物の成長を阻止するために保存剤を含有する、本明細書で使用する用語「腸管外投与」および「腸管外に投与された」は、通常注射による、腸内および局所投与以外の投与の方式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、真皮内、腹腔内、経気管的に、皮下的、表皮下的、関節内、被膜下的、クモ膜下的、脊椎内および胸骨内注射および継続注入を含むが、これらに限定されない。
直腸投与に関し、適切な医薬組成物は、たとえば、局所製剤、座剤または浣腸剤である。座剤は、脂肪乳液または懸濁液から製造するのが都合がよい。組成物は、滅菌されおよび/またはアジュバントを含有してもよく、アジュバントとして、保存、安定化、湿潤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調整するための塩類および/または緩衝液が挙げられる。さらに、他の治療的に価値のある物質も含有してよい。該組成物は、それぞれ、既知の混合、造粒、または塗布方法に従って製造し、約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%の活性成分を含有する。
いくつかの実施形態では、化合物を、肺投与、たとえば、手動ポンプスプレー、ネブライザーまたは加圧式定量噴霧吸入器具から活性剤を含有するエアロゾル処方剤の投与によって、活性剤を送るように処方する。いくつかの実施形態では、このタイプの適切な処方剤は、効果的なエアロゾルとして開示された化合物を保持するために、制電剤のような他の薬剤も含む。
エアロゾルを送るための薬剤デリバリー装置は、記載したような医薬的なエアロゾル処方剤を含有する、計量バルブ付きの適切なエアロゾル・キャニスターと、キャニスターを保持し、薬剤を送るために適用された、アクチュエーター・ハウジングとを含む。薬剤デリバリー装置中のキャニスターは、キャニスターの総容量の約15%を超えるヘッドスペースを有する。肺投与されるポリマーは、溶媒和剤、界面活性剤および推進剤の混合物中に溶解、分散または乳化されることが多い。混合物は、計量バルブで密閉されたキャニスター内に加圧下で維持される。
経鼻投与に関して、固体担体でも液体担体でも使用することができる。固体担体は、たとえば、約20〜約500ミクロンの範囲の粒径の粗粉末を含み、該処方剤は、急速吸入によって、経鼻経路を介して投与する。いくつかの実施形態において、液状担体が使用される場合、該処方剤は、経鼻スプレーまたは点鼻液として投与し、活性成分の油性または水性溶液を含む。
また、「フラッシュ投与剤」形体としても知られる、投与剤を早急に分散する処方剤の使用も意図する。特に、本発明のある実施形態では、たとえば、一般的に5分未満、好ましくは約90秒未満、より好ましくは約30秒未満、最も好ましくは10または15秒未満の短時間で活性成分を放出する組成物として処方する。そのような処方剤は、種々の経路、たとえば、体の空洞への挿入、湿った体表面または開放性外傷への塗布を通して対象に投与するのに適している。
代表的には、「フラッシュ投与」は、経口的に投与する固形投与剤であり、これは口の中で素早く分散し、したがって、飲み込むのに大きな努力を必要とせず、また、口の中の粘膜を通して、化合物を素早く摂取または吸収するのを可能にする。いくつかの実施形態では、適切な急速分散投与剤は、他の用途、たとえば、傷および他の肉体的障害の治療、および外部から供給される湿気による薬剤の放出が不可能な疾患状態にも使用される。
「フラッシュ投与剤」形体は、業界で公知であり、たとえば、effervescent dosage forms and quick release coatings of insoluble microparticles、米国特許第5,578,322号および5,607,697号明細書;freeze dried foams and liquids、米国特許第4,642,903号および5,631,023号明細書; melt spinning of dosage forms、米国特許第4,855,326号、5,380,473号および5,518,730号明細書;solid, free−form fabrication、米国特許第6,471,992号明細書;saccharide−based carrier matrix and a liquid binder、米国特許第5,587,172号、5,616,344号、6,277,406号および5,622,719号明細書;および業界で知られた他のフォームを参照のこと。
また、本発明のロキサピン類縁体は、「パルス型放出」処方剤としても処方され、該類縁体は、医薬組成物から、一連の放出(すなわちパルス)として放出される。ロキサピン類縁体は、「持続性放出」処方剤としても処方され、該類縁体は、医薬組成物から長時間にわたって連続的に放出される。
処方剤、たとえば、環状または非環状カプセル化剤または溶媒和剤、たとえば、シクロデキストリン、ポリエーテル類または多糖類(たとえばメチルセルロース)、より好ましくは、アルキルエーテルスペーサー基または多糖類によって親油性空洞から分離されているスルホン酸ナトリウム塩の基を持つ、ポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体を含む液状処方剤の使用も意図する。一実施形態では、該薬剤はメチルセルロースである。他の実施形態では、該薬剤は、ブチルエーテルスペーサー基によって親油性空洞から分離されているスルホン酸ナトリウムを持つ、ポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体、たとえば、CAPTISOL.RTM.(CyDex,Overland,KS.)である。当業者であれば、薬剤のたとえば40重量%水溶液を調整し、たとえば、溶液を20%、10、5%、2.5%、0%(コントロール)などとした、段階希釈液を調整し、開示された化合物を過剰(該薬剤が溶解しうる量に比べて)に加え;たとえば、加熱、撹拌、超音波処理などの適切な条件下で混合し、得られた混合物を遠心分離またはろ過して透明な溶液を得、開示された化合物の濃度のために、溶液を分析することによって、適切な薬剤/開示された化合物の処方剤比を調べることができる。
先に記載した治療的な処方剤の他に、本発明の化合物を含む治療は、場合によっては、1以上の追加の療法、たとえば、薬物または物理療法または行動治療(たとえば、光線療法、電気刺激、行動修正、認知療法、日周期リズム修正など)との共投与を含む。このような診療を、「複合治療」と言う。複合治療における他の治療法(複数を含む)として、当業者によって認識されている、本発明の化合物との組合わせて望ましい、たとえば、業界で知られている治療法、睡眠障害を治療する、または睡眠障害に伴う疾患を治療するものとして業界で提案されまたは見出された治療法、たとえば、任意の睡眠障害またはここで開示した他の状況のための治療法が挙げられる。いくつかの実施形態では、化合物を複合治療として投与し、一方、別の実施形態では、それを単独治療法として投与する。
一般的には、化合物は単独治療法として投与する。
本発明の化合物と組合せて投与する治療法は、本発明の化合物が標的とするものと同じまたは異なる標的を対象にすることは、当業者であれば認識するであろう。本発明の化合物の投与が先で、続いて他の治療法を行う;あるいは、他の治療法における投与が最初であってもよい。他の治療法は、標的とする障害、たとえば、睡眠障害、他の障害(たとえば、他のCNS障害)の症状を治療する、予防するまたは減少させることが業界で知られている任意のものである。加えて、本発明のいくつかの実施形態には、標的とする障害のためのほかの公知の治療法と組み合わせて投与される化合物がある。さらに他の治療法には、開示された化合物と組合わせて投与した時、患者への利益となる任意の薬剤が含まれる。
たとえば、いくつかの実施形態では、他の治療法が薬物を使用する場合、該薬物を、本発明の化合物とは異なる処方剤として、または同じ処方剤で投与する。本発明の化合物は、任意の1以上の市販の、店頭で買える、または処方箋薬物、たとえば、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、静真菌剤、殺菌剤、ホルモン類、解熱薬、糖尿病治療薬、気管支拡張薬、下痢止め薬、抗不整脈薬、冠状動脈拡張剤、グリコシド類、鎮けい薬、血圧降下剤、抗うつ剤、抗不安薬、他の精神治療薬、ステロイド、コルチコステロイド、鎮痛薬、冷薬物投与、ビタミン類、鎮静剤、催眠剤、避妊薬、非ステロイド系抗炎症剤、血糖降下剤、コレステロール降下剤、抗けいれん薬、他の抗てんかん薬、免疫調整剤、抗コリン作用剤、交感神経遮断薬、交感神経興奮剤、血管拡張剤、血液凝固阻害剤、抗不整脈剤、種々の薬学的活性を持つプロスタグランジン、利尿剤、睡眠補助剤、抗ヒスタミン剤、抗悪性腫瘍薬、腫瘍崩壊性薬、抗アンドロゲン薬、抗マラリア薬、抗らい病薬、および他の種々のタイプの薬物(これらに限定されない)、投与とともに複合治療として投与する。GoodmanおよびGilman’s The Basis of Therapeutics(Eighth Edition,Pergamon Press社,USA,1990)およびThe Merck Index(Eleventh Edition,Merck & Co.,Inc.,USA, 1989)参照。
薬物の本発明の化合物と組合わせて使用される薬物の例として、AMBIEN(登録商標)、STILNOX(登録商標)(酒石酸ゾルピデム)、インディプラン、ESTORRA(商標)(エスゾピクロン)、NEURONTIN(登録商標)(ギャバペンチン)、LYRICA(登録商標)(プレガバリン)、エプリバンセリン、SONATA(登録商標)(ザレプロン)、ESTORRA(商標)(エスゾピクロン)、ZOPICLONE(商標)(アモバン)、DESYREL(商標)(トラゾドン塩酸塩)、SEROQUEL(登録商標)(フマル酸クエチアピン)、CLOZARIL(登録商標)(クロザピン)、ZYPREXA(商標)(オランザピン)、RISPERDAL(登録商標)(リスペリドン)、M100907およびLUNESTA(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、本発明の化合物は、CPAPのような機械的治療法との組合わせで有用である。「CPAP」あるいは「持続性気道陽圧」は、睡眠時無呼吸および他の睡眠関連呼吸障害(いびきを含む)の治療のための機械的装置である。CPAP装置での治療では、普通、患者の鼻または口を介して投与する。
CPAP治療下では、対象は、睡眠時、鼻にぴったりとフィットしたプラスチック製のマスクを装着する。マスクはコンプレッサーにつながれ、ここから空気を鼻の中へ強制的に入れ、対象の気道内に陽圧を作り出す。この方法の原理は、気道に圧力をかけることによって、機械的な「固定した」作用を造り、そうすることで、気道の閉塞を、したがって、閉塞型睡眠時無呼吸を予防または軽減する。CPAP治療を受ける殆どの対象において、効果的な治療応答が観測されているが、多くの対象は、装置や圧力に耐え切れず、治療を拒否する。さらに、最近の秘密モニタリング検査によれば、CPAP治療による長期コンプライエンスは非常に低いことが実証された。対象は睡眠中にマスクを外すことがわかっている。
一態様では、本発明の化合物をCPAP機器と併用して投与し、睡眠を促進する。別の態様では、本発明の化合物をCPAP機器と併用して投与し、睡眠を改善する。別の態様では、本発明の化合物をCPAP機器と併用して投与し、CPAP治療に関するコンプライアンスを改善する。いかなる理論にも縛られるものではないが、CPAP治療と併用して、対象に有効量の本発明の睡眠促進化合物を投与することによって、対象は、よりよく、よりしっかりと眠り、たぶんマスクをはずすことがなくなるであろう。
一実施形態では、本発明の化合物をCPAP治療の前に投与する。他の実施形態では、本発明の化合物をCPAP治療と実施的に同じ時に投与する。一実施形態では、有効量の化合物の平行投与は、付加的なエアロゾルチャンネルをCPAP機器の空気圧治療部分に付けたし、本発明の化合物を霧状にして、CPAP機器の経鼻または経口マスクを介して投与することによって達成する。あるいは、有効量の化合物を水に加え、あるいはCPAP治療機器の一般的な部分である液体貯蔵部に加えることもできる。
CPAPマスク治療を使用して、本発明の化合物を低濃度で一晩中投与する、あるいはボーラスのように高濃度で、夜の最初から途中の間の異なる時点で投与する。
本明細書で引用した全ての刊行物および特許文献は、該刊行物および文献のそれぞれが具体的にまたは個別に参照によって組み込まれると示唆しているように、参照によって本明細書に組み入れられる。刊行物および特許文献の引用で、どれも関連従来技術であると承認するという意図ではなく、またこれらの内容および日付に関していかなる承認を構成するものでもない。今記載によって説明した本発明について、当業者であれば、本発明は様々な実施形態において実施することができ、先の記載および以下の実施例は、説明の目的のためにあるもので以下の請求の範囲の限定ではないということを理解するであろう。
実施例1:ロキサピン類縁体の合成
本発明の化合物および関連する誘導体は、当業者に公知の方法によって、合成することができる。
実施例2:本発明の化合物の睡眠導入特性
哺乳動物における睡眠は、実質的な脳活性を伴う急速眼球運動(REM)の時間の間に起こる睡眠と、脳活性の減少が伴うノンレム(NREM)睡眠の間に起こる睡眠に分類することができる。一般的には、正常な夜間睡眠の時間は、おもにNREM睡眠で占められ、従ってNREM累積は、総睡眠累積の物差としての役目を果たすことができ、たとえば、有意に減少したNREMは、不眠と「睡眠負債」の蓄積、たとえば、付加的な睡眠の充分な量が累積するまでに持続する傾向が睡眠の累積された生理学的な必要性とに関連する可能性がある。したがって、治療に伴うNREMの増加は、不眠治療における治療効果を示している可能性がある。
睡眠の質は、睡眠持続または睡眠の維持に関連する。たとえば、睡眠時無呼吸を患う対象は、睡眠時間の間に何度も眼を覚まし、たとえば、対象は、持続する睡眠を維持することが困難である。そのような対象は代表的な夜間の睡眠時間、たとえば8時間、を取ったとしても、睡眠時無呼吸によって起こされる目覚めのために、その睡眠によって、壮快感はなく、また回復しない。したがって、治療に関連する、最長連続睡眠期間(LUSB、「最長睡眠期間」としても知られる)の増加は、睡眠持続の増強および、したがって、不眠が維持される睡眠の治療において、治療の効果的を示している可能性がある。
睡眠−覚醒状態、自発運動活性および体温は、最初に濃度10mg/kgの試験化合物(たとえば、ロキサピン類縁体)で治療された雄ウィスター種ラットをモニターする。特定の化合物に関しより高いおよびより低い用量を試験する(たとえば、高い濃度は45mg/kgであり、効果のない用量を造るのに必要なほど低い濃度)。治療は、CT−18、活性が優勢な時間のピーク(明かりを消して6時間後)で投与し、増加したノンレム睡眠時間が特徴の催眠性(睡眠導入)効果、増加された睡眠維持を作り出すが、レム睡眠抑制または反跳性不眠の証拠はない。
睡眠−覚醒状態、自発運動活性および体温は、開示された睡眠導入剤(たとえば、化合物、1、2、3、5、6、7、8、9、10、12、14、17、19、20、21、23、30、31、32、39、40、42、46、50、51、52、54、56および58)、および表1に挙げた他の化合物のあるものに関し、インビボで、モニターした。成熟した雄のウィスター種ラット(外科手術時250g、Charles River Laboratories,Wilmington MA)に麻酔(医薬等級酸素中2%イソフルラン)をかけ、長期脳電図(EEG)および筋電図(EMG)記録ができるように、頭部移植片で外科的に処置した。体温および自発運動活性を、腹部に外科的に配置した縮小送信機(Mini−Mitter,Bend,OR.)を介してモニターした。頭部移植片は、EEG記録用の、ステンレス鋼製スクリュー(前頭部2個(十字縫合から+3.2AP、±2.0ML)および後頭部に2個(−6.9AP、±5.5ML))からなる。EMG記録用に、2個のテフロン(登録商標)が塗布されたステンレス鋼ワイヤーを、項菱形靭帯の下に配置した。外科手術の前に、全リード線を縮小接続部にハンダ付けし、エチルオキサイド中で滅菌した。移植片組立品を歯科用アクリルで頭蓋骨に固定した。外科手術の回復のために最低3週間置いた。
各ラットは、特注のステンレス鋼キャビネットの分離し換気されたコンパートメント内にある個別の記録ケージに持続的に収容した。各ケージは、フィルターが上に付いた昇水管と、低トルクスイベル交換器が備えられた。食物および水は、自由に与えた。24時間明暗サイクル(12時間明、12時間暗)を試験の間維持した。動物は、治療の前後少なくとも48時間は平穏であった。
睡眠および覚醒状態は、「SCORE−2000(登録商標)」(Hypnion,Worcester,Mass.)、インターネット基準睡眠−覚醒および生理的モニターシステムを使用して測定した。該システムは、遠隔測定で、増幅EEG(バンドパス:1〜30Hz)、集積EMG(バンドパス:10〜100Hz)、体温および非特異的自発運動活性(LMA)を、継続的におよび同時に飲水活性をモニターした。覚醒状態は、オンラインで、ノンレム(NREM)睡眠、レム睡眠、目覚め、またはシータ優勢目覚めとして10秒ごとにクラス分けした。総飲量および自発運動活性カウント、および体温を、EEG特性抽出およびパターンマッチングアルゴリズムを使用して定量し、毎分記録した。このデータから、最長持続睡眠期間(LUSB)を得た。クラス分けアルゴリズムは、個別に教示するEEG覚醒状態テンプレートと、シータ優勢覚醒状態からレム睡眠を識別するEMG基準と、行動依存性前後関係規則(たとえば、もし動物が飲んでいたら、それは起きている)とを使用した。飲水および自発運動活性強度(LMA)は、10秒ごとに記録し、体温は毎分記録した。自発運動活性は、ケージの後ろの遠隔測定用受信機(Mini−Mitter)によって検出した。遠隔操作測定(LMAおよび体温)は、スコアアルゴリズムの一部ではなく、したがって、睡眠スコアおよび遠隔操作データは、別々の測定であった。
化合物は、CT−18、活性が優勢な時間のピークで投与し、明かりをつける前に治療効果の経過を観察するのに充分な時間(治療後6時間)を認めた。化合物は、0.25%または0.5%の滅菌メチルセルロース(1〜2ml/kg)に懸濁した。治療は、ボーラスとして、経口的に投与した。
平行群検討を採用した。ビヒクルコントロールは、大きな集団(N>200)から引き抜き、プールしたビヒクルコントロールのサブセットから、コンピュータ化マッチングに基づいて、薬物投与群の24時間治療後ベースラインで選んだ。
化合物1、2、3、5、6、7、8、9、10、12、14、17、19、20、21、23、30、31、32、39、40、42、46、50、51、52、54、56および58、および表1に列挙した他の化合物のようなロキサピン誘導体について、NREMおよびLUSBパラメーターの結果を測定した。代表的な結果を表6に示す。
実施例3:Irwinスクリーン副作用
Irwinスクリーンは、一般的生理的および行動的機能に関する、化合物の潜在的な副作用の有用な情報を提供する。スクリーンは、そのような試験に数多く使用され、バックグラウンドデータも容易に入手しうる、雄ウィスター種ラットを使用して、0.25%のメチルセルロース水溶液中の試験化合物を経口的に投与することによって行う。
Irwinスクリーンは、試験化合物を投与された動物における数多くのパラメーター用に試験される。たとえば、スクリーンには以下が挙げうる。インケージ効果、たとえば、分散、呼吸速度、自発運動活性、情緒不安、闘争行動、覚醒状態、感覚麻痺および眼球突出;インアリーナ効果、たとえば、転送覚醒、空間移動、下垂、驚愕、尾部上昇、立毛、感覚逃散、位置受動、カタレプシ、正向反射、視覚的プレージング、握力、耳介、角膜、疼痛応答およびワイヤーマヌーバ;操作中に観察されるパラメーター、たとえば、チアノーゼ、皮膚血流、低体温、ボディートーン、瞳孔サイズ、明瞳孔応答、流涙、グルーミング、赤色汚染、唾液分泌および誘発咬合;一般的スコア、たとえば、恐怖感、過敏性、異常歩行、異常ボディキャリジ、ふるえ、ピクピクした動き、けいれん、奇異な行動、もがき、泣鳴、下痢、多くの便意、多くの尿意、瀕死状態、致死、および異常を検出する。さらに、詳しくは、Irwin,S;Comprehensive observational assessment:Ia.A systematic,quantitative procedure for assessing the behavioural and physiological state of the mouse.Psychopharmacologia(Berl.)13:222−257,1968に見出すことができ、これらの教示の全ては、参照によって本明細書に組み入れられる。
開示した睡眠導入剤のIrwinスクリーンは、上記Irwinに従って、Covance(Princeton,N.J.);Covance Standard Operating Procedure (SOP PHARM8.10の現在の訂正番号);および規則上の関連機関ガイドライン、ICH(International Committee for Harmonization)Guideline(Topic S7A;CPMP/ICH/539/00)on Safety Pharmacology Studies for human pharmaceuticals(November 2000)によって行い、生きた動物で行われる全ての手順は、英国の法律、特に動物(Scientific Procedures)法、1986の対象である。これは、現場の倫理的な審査過程を保つために、イギリスの研究所の全てに義務付けられており、施設内の動物の使用は全て注意深く考え判断し、削減、改良または交換に対する全ての可能性を正しく考慮し、収容および世話の高い基準が達せられることを確保する。
使用した薬品は、特に記載しない限り、全て、Colorcon社,Dartford Kent,UKから購入し、ACS試薬級の純度またはそれ以上のものである。試験化合物処方剤は全て、Covance Harrogate Dispensaryによって、投与するその日に製造する。試験化合物は、0.25%のメチルセルロース水溶液で、必要とされる最も高い濃度で処方する。より低い容量は、0.25%メチルセルロース水溶液を使用して、もっと高い濃度の一連の希釈によって得る。用量濃度は、純度あるいはアクティブコンテンツに関係なく、投与した試験化合物の量で示す。処方剤は全て、室温(通常、10〜30℃)で、密閉し、光から防護されて貯蔵する。
適正な数の雄ウィスター系(Crl:WI(Glx/BRL/Han)BR:WH)ラットは、Charles River社(Margate,Kent,イギリス)から入手する。ラットは、約5週齢で、体重は、平均で150gと170gの間である。動物は、(33×15×13cm)または(45×28×20cm)の、固体の床およびベッドとして等級10木材フレーク(Datesand社,Cheshire,イギリス)が備えられた、ポリプロピレンケージに6匹を超えない群で収容する。ケージは、使用前は、清潔で乾燥している。アスペン製のそしゃくブロックが、環境的に質の向上した形体でケージ内に置かれる。日常的に、保持室は、許容限界内の温度および相対湿度(通常、それぞれ、19〜25℃および40%〜70%)で維持される。これらの部屋は、各24時間サイクルのうちの12時間は蛍光灯の光によって照らされ、1時間に少なくとも15回空気交換を行うよう設計されている。主タップ供給からの食料(RM1.(E).SQC.(Special Diets Services社、Witham,イギリス)および水が、自由に(操作中は除く)提供される。これらを、特定の構成に関して、日常的に分析し、試験システムを干渉するかもしれない生物的または化学的実体を含まないことを確認する。到着した時点で、全動物は、病気か健康か調べられる。動物は、少なくとも5日間、なじませる。この間に、動物をそのケージの大きさによって、識別する。この試験に関する適正を確保するために、いかなる実験操作の開始の前に、獣医学的試験を行う。それらを入手した時、実験開始前に動物を無作為に治療群に割り当て、それぞれ、尾にマークを付ける。実験がおわれば、動物は安楽死させる。
各動物に、一定の用量1mg/kgで、ビヒクルまたは試験化合物の単回経口投与を行う。個々の用量は、個々の体重に基づき、1日1回の投与を受ける。
上記のIrwinスクリーンパラメーターは、関連するコントロールに従って、全身的に検査する。一般的に、正常な動物にはない薬物誘発変化を、「0」は正常(+/+、存在する/存在しないもまた使用してよい)という整数を足して採点する。正常動物のパラメーターは、記録されている増加および減少もたらす整数を使用して採点する。詳しい観察を、投与後、30、60、90、180および300分で行った。動物を投与後7日間飼育し、その間、毒性の著しい徴候および死亡率を毎日観察する。
実施例4:開示する薬剤のhERG副作用
心臓カリウムチャンネル、hERGは、ヒト両心室における即時遅延整流電流(iKr)に関連する。IKrの抑制は、非心臓性薬物による、望ましくない強心作用潜在的延長の最も一般的な原因であるので、このチャンネルが評価として選ばれてきている。活動電位持続時間の増加によって、危険な血管性不整脈、トルサー・ド・ポアンを伴うQT間隔の延長を起こす(Brown,A M;Rampe,D.(2000);Drug−induced long QT syndrome:is hERG the root of evil?;およびPharmaceutical News7,15−20;Rampe,D;Roy,M L;Dennis,A;Brown,AM.(1997)、これらの教示全体は、参照によって本明細書に組み入れられる)。hERGチャンネルは、内因性tKrを欠く、ヒト胚腎臓(HEK293)細胞系でで発現した。哺乳動物細胞系での発現は、ゼノプス卵母細胞での一過性発現に好ましい。後者は、hERGチャンネル遮断薬に対して10〜100倍低感度を示すからである。たとえば、A mechanism for the pro−arrhythmic effects of cisapride(Propulsid):high affinity blockade of the human cardiac potassium channel hERG.FEBS Lett.417,28−32;Weirich,J;Antoni,H.(1998);Rate−dependence of anti−arrhythmic and pro−arrhythmic properties of class I and class III anti−arrhythmic drugs.Basic Res Cardiol93Suppl1,125−132;およびYap,Y G;Camm,A J.(1999);およびArrhythmogenic mechanisms of non−sedating antihistamines.Clin.Exp.Allergy29Suppl3,174−181も参照のこと。記載した文献の教示全体は、参照によって本明細書に組み入れられる。
hERG(human−a−go−go−related遺伝子)チャンネル電流(IKr、即時活性型遅延整流心臓カリウム電流)における開示した睡眠導入剤のインビトロ効果を、Chan試験の標準作業手順に従って、Chan試験(Cleveland,Ohio)によって測定した。
使用した薬品は、特に記載しない限り、全て、Sigma社(St.Louis,Mo.)から購入し、ACS試薬級の純度またはそれ以上のものである。試験物質の原液およびテルフェナジン(ポジティブコントロール)は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を使用して製造し、凍結貯蔵した。試験物質およびポジティブコントロール濃度は、原液をHEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸])−緩衝化生理食塩水(HB−PS)溶液に希釈することによって製造した(組成、mM):NaCl、137;KCl、4.0;CaCl2、1.8;MgCl2,1;HEPES、10;グルコース、10;pHはNaOHで7.4に調整(毎週製造し、使用まで冷凍)。0.3%DMSOはチャンネル電流に影響しないという結果が前もって出ているので、全試験およびコントロール溶液は、0.1%DMSOを含有する。もしDMSOの最終濃度が特定の試験物質濃度を得るために0.3%を超えなければいけない場合は、n>2の、別のビヒクルコントロール試験を、DMSOの最も高い最終濃度で行った。試験およびコントロール溶液は、日単位で原液から製造した。
使用した細胞は、アデノウィルス5DNAで形質変換され、hERG cDNAで形質移入されたヒト上皮胎芽腎臓細胞(HEK293;ソース株、American Type Culture Collection,Manassas,Va.;サブ株、Chan試験,Cleveland,OH)であった。安定な形質移入体を、発現プラスミドに導入されたG418−耐性遺伝子とともに共発言することによって選択した。選択圧力は、培地中のG418を含ませることによって維持した。細胞は、10%ウシ胎児血清、100U/mLペニシリンGナトリウム、100μg/mLストレプトマイシンサルフェートおよび500μg/mLのG418を補足した、ダルベッコー修飾イーグル培地/栄養混合物F−12(D−MEM/F−12)中で培養した。
データ取得および分析は、pCLAMPプログラム(Axon Instruments,CA.)のパッケージソフトを使用して行った。恒常状態は、試験物質適応前後の経時変化の限界一定速度である。恒常状態に到達した時の電流振幅の減少を、コントロールに対する%ブロックを計算するために使用した。
試験は全て室温(18℃〜24℃)で行った。各細胞はそれ自身のコントロールとして作用した。各試験物質の1濃度(10μM)を、hERG(n≧3(ここでn=細胞の数)を発現する細胞に適用した。各濃度に曝露される持続時間は、恒常状態ブロックに到達するのに必要な時間を限界とし、しかし10分を超えない時間であった。ポジティブコントロール物質の1濃度(60nMテルフェナジン)を2個の細胞(n≧2)に適応した。細胞を記録チャンバーに転送し、HB−PS溶液で灌流した。ホールセル記録法用のピペット溶液(組成、mM)は、アスパラギン酸カリウム、130;MgCl2、5;EGTA(エチレングリコールテトラアセテート)、5;ATP(アデノシントリホスフェート)、4;HEPES、10であり、pHをKOHで7.2に調整した。ピペット溶液は、バッチ式で製造し、アリコートし、凍結保存し、新鮮なアリコートを毎日解凍した。パッチピペットを、ガラス細管材料から、P−97マイクロピペットプーラ(Sutter Instruments,CA.)を使用して作った。市販のパッチククランプアンプを、ホールセル記録用に使用した。デジタル処理化の前、電流記録は、サンプリング頻度の1/5で、ローパスフィルター処理された。
試験物質によるhERG電流の開始および恒常状態ブロックを、保持電位−80mVから10秒間隔で、固定振幅(脱分極:2秒間で+20mV;再分極:2秒−50mV)のパルスパターンを用いて測定した。ピークテール電流を、2秒ステップの間−50mVまで測定した。恒常状態は、試験物質またはポジティブコントロールを適用する前、少なくとも30秒保持した。ピークテール電流は、新しい恒常状態に達するまで測定した。
表7に、種々の開示した睡眠導入剤に関し、示した濃度でのhERGチャンネルの%ブロックを示す。もし化合物が強い睡眠導入性能を持ち、他に有意な副作用がなければ、通常、約10%以下の値が望ましいとされ、約12%〜約30%の値は許容しうる。約30%を超える値は、望ましくないとされる。
実施例5:H1ヒスタミン受容体に関する特異性
開示した睡眠導入剤および表1に挙げた化合物から選択した誘導体を使用して、H1ヒスタミン受容体、M1、M2およびM3ムスカリン受容体、α1およびα2受容体、ならびにD1およびD2受容体に関する既知標準を用いる競合結合アッセイにおいて、結合アッセイを行った。
ヒスタミンH1アッセイは、Changら,Heterogeneity of Histamine H1−Receptors:Species Variation in[3H]Mepyramine Binding of Brain Membranes.Journal of Neurochemistry.32:1653−1663(1979);Martinez−Mir,M.I.,Pollard,H.,Moreau,J.,らThree Histamine Receptors(H1,H2,and H3)Visualized in the Brain of Human and Non−Human Primates.Brain Res.526:322−327(1990);Haaksma,E.E.J.,Leurs,R.and Timmerman,H.Histamine Receptors:Subclasses and Specific Ligands.Pharmac.Ther.47:73−104(1990)に記載されている。ムスカリン作動性アッセイは、Buckley,N.J.,Bonner,T.I.,Buckley,C.M.,and Brann,M.R.Antagonist Binding Properties of Five Cloned Muscarinic Receptors Expressed in CHO−K1 Cells.Mol.Pharmacol.35:469−476(1989)に記載されている。アッセイは、前述の論文に従って、以下の修正を加えて行った。以下の化学試薬は、Sigma社St.Louis,MOから入手した。
ヒスタミンH1アッセイに関し、受容体は、Bmax(受容体番号)6.2フェムトモル/mg組織(湿重量)およびKD(結合親和性)1.3nMを有する、ウシ小脳膜組織から得た。放射性リガンド([3H]ピリラミン(15−25)Ci/mmol)、Ki:1.9nM、最終濃度:2.0nM)を使用し、10μMのトリプロリジン(Ki:3.3nM)を、非特異的決定因子、参照化合物およびポジティブコントロールとして使用した。受容体および放射性リガンドを、試験化合物濃度が約10−10〜約10−6Mの範囲で、試験化合物と組合せ、混合物を、50mMのNa−KPO4(pH7.5)中、25℃60分インキュベートした。反応を、ガラス繊維フィルターへの急速真空ろ過によって終了させた。フィルター上に捕捉された、置換放射性リガンドからの放射能を測定し、試験化合物とヒスタミンH1結合部位との相互作用を測定するために、コントロール値と比べた。
ムスカリン作動性アッセイに関し、受容体を、CHO細胞で発現するヒト組換え受容体(PerkinElmer社,Wellesley,MA.)から入手した。使用した放射性リガンドは、[3H]−スコポラミン、N−メチルクロライド(80〜100Ci/mmol)であった。(−)−メチルスコポラミンブロマイド、1.0μMを、非特異的決定因子、参照化合物およびポジティブコントロールとして使用した。インキュベーションの後、反応をガラス繊維フィルター上への急速真空ろ過によって終了させた。フィルター上に捕捉された、置換放射性リガンドからの放射能を測定し、試験化合物と各受容体との相互作用を測定するために、コントロール値と比べた。
M1受容体アッセイに関して、Bmax(受容体番号)は、4.2ピコモル/mgタンパク質、および受容体のKD(結合親和性)は0.05nMであった。放射性リガンドは、最終濃度0.5nMで使用し、(−)−メチルスコポラミンブロマイドのKiは0.09nMであった。受容体および放射性リガンドを、試験化合物濃度が約10−12〜約10−5Mの範囲で、試験化合物と組合せ、ダルベッコホスフェート緩衝化食塩水(PBS)中、25℃で60分インキュベートし、先の記載のように仕上げた。
M2受容体アッセイに関して、Bmax(受容体番号)は2.1ピコモル/mgタンパク質であり、受容体のKD(結合親和性)は、0.29nMであった。放射性リガンドを、最終濃度0.5nMで使用し、(−)−メチルスコポラミンブロマイドのKiは0.3nMであった。受容体および放射性リガンドを、試験化合物濃度が約10−12〜約10−5Mの範囲で、試験化合物と組合せ、ダルベッコホスフェート緩衝化食塩水(PBS)中、25℃で60分インキュベートし、先の記載のように仕上げた。
M3受容体アッセイに関して、Bmax(受容体番号)は、4.0ピコモル/mgタンパク質であり、受容体のKD(結合親和性)は0.14nMであった。放射性リガンドを、最終濃度0.2nMで使用し、(−)−メチルスコポラミンブロマイドのKiは0.3nMであった。受容体および放射性リガンドを、試験化合物濃度が約10−12〜約10−5Mの範囲で、試験化合物と組合せ、50mMのTRIS−HCl(pH7.4)を含有する10mMのMgCl2、1mMのEDTA中、25℃で60分インキュベートし、先の記載のように仕上げた。
アデノシン、プリン性A1結合アッセイを、刊行された手順に従って行った。たとえば、Brunsら,Naunyn Schmiedebergs Arch.Pharmacol.,335(1):59−63(1987)および重要でない修正付;およびFerlanyら.Drug Dev.Res.9:85−93(1986)を参照のこと。
アデノシン、プリン性A2結合アッセイを、刊行された手順に従って行った。たとえば、Jarvisら,J.Pharmacol.Exper.Ther.251(3):888−93(1989)および修正版;およびBrunsら,Mol.Pharmacol.29(4):331−46(1986)および修正版参照。
ドーパミン、D1(ヒト組換え)結合アッセイを、刊行された手順に従って行った。たとえば、Jarvieら.J.Recept Res.,13(1−4):573−90(1993);およびBillardら.Life Sciences,35(18):1885−93(1984),および修正版を参照。
ドーパミン、D1(ヒト組換え)結合アッセイを、刊行された手順に従って行った。たとえば、Jarvieら.J.Recept Res.,13(1−4):573−90(1993);およびGundlachら.Life Sciences,35(19):1981−8(1984)および修正版参照。
H1への結合は、化合物の望ましい睡眠導入活性の指標である可能性がある。ムスカリン受容体への結合は、非特異的結合を示し、多くの公知の抗ヒスタミン剤の副作用、たとえば、かすみ目、口内乾燥、便秘、泌尿器系の問題、めまい、不安感など、望ましくない副作用を起こす結果となる可能性のある、抗コリン作用活性を示しうる。H1受容体への化合物の結合に対する、M1〜M3受容体への化合物の結合の減少は、ヒスタミン受容体に関し、ムスカリン受容体を超える、化合物のより大きな特異性の指標である。さらに、ヒスタミン受容体に関し、特異性が増大する薬物は、抗コリン作用副作用に関してはより低い。
表8に、H1およびムスカリン受容体に関する阻害定数Ki(単位:nM)を示す。開示された化合物は、H1に関し、ムスカリン受容体を超えた高い特性を示すのがわかる。したがって、開示された化合物は、良好な睡眠導入性能を発揮し、ムスカリン受容体抑制に伴い、副作用が抑えられることが期待しうる。
1 11.5:ラット、23.7:ヒト;258.8:ラット、31.7:ヒト;
3 2730:ラット。
実施例6:ロキサピン類縁体の評価
以下の薬物動態パラメーターを、修飾抗ヒスタミン剤化合物の個々の血漿濃度から、非コンパートメント法および適正な認証済み薬物動態ソフトウェア(たとえばWinNonlin Professional)を使用して、算出する。BLQとして報告される濃度の値は、0に設定する。濃度データが入手可能であれば、暫定的な計算を、可能なら、時間の間に行う(非QC.dデータ)。用量増大は、薬物動態計算に依存しない。
平均値、標準偏差、変動係数、幾何的平均値、中央値、最小値および最大値を含む記述統計は、各薬物動態パラメーターに関し、用量群によって算出する。自然対数形質変換AUC(0−t)、AUC(0−inf)およびCmaxに関する記述統計を、各用量濃度で載せる。さらに、平均値および中央値濃度対時間のグラフも載せる。
実験薬物投与後の用量比例性を、自然対数−形質変換薬物動態変数AUC(0−t)、AUC(0−inf)およびCmaxを、共変数として自然対数−形質変換用量を含む線状モデルを用いて分析することによって検討する。用量比例性は、共変数の勾配に関する95%信頼感覚が値1を含むかで推論する。AUC(0−t)、AUC(0−inf)およびCmaxに関する用量比例も、線状モデルによって検討する。たとえば、Gibaldi and Perrier,Pharmacokinetics,Second Ed.,Marcel Dekker:New York,New York(1982)を参照。実際のサンプリング時間が、プロトコルで規定する許容時間範囲からはみ出した場合以外、基準サンプル収集時間を使用して計算した。
以下のパラメーターを評価した。
Cmax 最大血漿濃度
Tmax 最大濃度の時間
CmaxおよびTmaxは、濃度−時間データから直接記録した。
AUC0−t 時間9〜測定可能な濃度の最終時点までの血漿濃度−時間曲線下の面積、線形台形則により評価
AUC0−00 以下の式を使用して計算した、無限大まで推定された血漿濃度−時間曲線下の面積、
AUC0−00=AUC0−1+C0/λ0
(式中、Ctは、血漿中の測定可能な最終濃度であり、λxは、最終除去フェーズ中の対数直線回帰を用いて評価した、最終フェーズ排出速度定数である)。λx計算で使用される時点の数は、最終フェーズを記載するデータの視覚検査によって決定した。少なくとも、測定可能な値の最終の3時点を、λz計算において使用した。λz計算で使用した時点の数は、最終除去フェーズに記載された時点のために得られた、最大相関関数(r2調整された)に基づく。後退線に関するr2調整値は、値が>0.7の場合は、最終除去フェーズを正確に規定するために考慮される。
T1/2 In(2)λzによって決定される除去半減期
CL 全身クリアランス;静脈内ボーラスまたは継続注入に関しては、以下の式を使用して計算:
CL=Dose/AUC0−00 ReportCL/F
(式中、F=他の全ての投与経路に関する、絶対生体内利用性)
V2 以下の式を使用して計算する、他の全ての投与経路に関する分散の容積
Vz=CLλz
CL/Fは、血管外投与経路に関するV2/Fを計算するために使用する。
薬物動態分析は、WinNonlin Professional Edition(Pharsight Corporation,Version3.3または4.1)を使用して行う。 平均値および標準偏差のような記述統計は、Microsoft Excel(Version8.0e)で計算する。
サルおよびヒト凍結保存肝細胞における試験物質の代謝は以下のように分析した。
(プレインキュベーション製剤)
サンプルをDMSOで希釈して、100μMおよび10μMの原液を調製する。アセトニトリル中の0.1%ギ酸を、1Lアセトニトリル当たり1mLギ酸を加えることによって調製する(室温で3ヶ月保存)。10分、60および120分96穴急冷プレートを、1穴当たり、150μLアセトニトリル+0.1%ギ酸で調製する。氷上または凍結保存する。
次に、肝細胞を解凍し、100μLの細胞懸濁液をマイクロチューブに0.4%Trypan Blue溶液100μLとともに充填し、静かに反転により混合する。少量の染色された細胞懸濁液(約15μL)を、清潔な血球計数器にカバーガラスで入れる。血球計数器を顕微鏡の載物台に置き、焦点および倍率を、単一計数する正方形のが視野いっぱいになるまで調整した。血球計数器の4つの外角細分正方形内にある細胞の数を計測する。生細胞は乳光で丸く淡く、より暗色の輪郭を持つ。非生細胞は、暗く不透明な青色である。
%変数として、生細胞の数を細胞の全体数で割り100をかけた数を計算する。
生細胞密度および生細胞の総数を、生細胞密度(D)=計測した生細胞の平均3(C)×104×12、生細胞の総数(E)=D×26(再懸濁液の容量)で計算する。1×106細胞/mLの濃度を達成するために必要な追加の培地は以下の式で計算する。
細胞をこのように希釈し、温度で保存する。
インキュベーション
198μLの肝細胞を投薬プレート上の関連する穴へ転送する。残りの肝細胞懸濁液を合わせ、沸点近くの適切な容器に入れ、5分放置し、細胞を不活性化する(不活性コントロールおよび標準曲線調製)。
198μLの不活性肝細胞をコントロール穴へ転送し、198μLのブランク培地を緩衝液コントロール穴へ転送する。プレートを少なくとも15分プレインキュベートする。投薬プレートから、2μLの適正な試験化合物希釈溶液の反応を開始する。プレートを、37℃に設定されたインキュベーター内で約10分インキュベートし、次いで、50μLの培養物を取り、150μLアセトニトリル+0.1%ギ酸を含有する10分急冷プレートへ移し、冷蔵または氷上で保存する。60分後、50μLの培養物を取り、150μLアセトニトリル+0.1%ギ酸を含有する60分急冷プレートへ移し、冷蔵または氷上で保存する。120分後、50μLの培養物を取り、150μLアセトニトリル+0.1%ギ酸を含有する120分急冷プレートへ移し、冷蔵または氷上で保存する。残りの50μLをインキュベーションプレート内で凍結する。次いで、チューブを〜4℃、〜1400×g、〜10分遠心分離する。100μLの上澄液を、分析プレート内で、100μLの水を使用して希釈し、分析前に−20℃で冷凍保存する。
標準曲線の作成
標準予備プレート内で、10μMの投与溶液2μLを198μLの不活性肝細胞に加えることによって、0.1μMの標準を調製する。150μLのアセトニトリル+0.1%ギ酸を、標準急冷プレートに加える。0.1μM標準150μLを、標準プレートの1カラムに送る。75μLの不活性肝細胞を、残った穴に加える。0.1μMから75μL標準を、プレート内のカラム中の隣の穴に移し、チトレーションによりよく混合する。段階希釈を続ける。75μLを最終標準から取り出す(全穴が75μLを含有する)。プレートを約37℃で10分間インキュベートする。50μLを、150μLのアセトニトリル+0.1%ギ酸を含有する標準急冷プレートに移す。プレートをサンプルとともに遠心分離し、上記のように、上澄液を水で1:1となるように希釈する。
サンプルを約〜−20℃で冷凍保存する。
化合物5に関し、1μmでの処置の後120分留まった肝細胞は、霊長類で75.105、ヒトで90.405であった。
実施例7:ロキサピン類縁体の臨床評価
ヒト臨床試験の目的は、ロキサピン誘導体の効果に関するデータの収集である。そのようなデータとして、たとえば、身体検査、有害事象、試験室の安全性(たとえば、血液学、血清臨床化学、尿の化学分析)、バイタルサイン(たとえば、血圧、心拍数、体温、呼吸数)および心電図(ECG)データから得られる臨床所見および症状が挙げられる。
臨床試験は以下のように行われる。
I.対象の選択
最低18の対象(各9の対象の2登録群)を使用する。以下の採択基準を満たす対象候補が実験の参加にふさわしい。
・健康で成熟した男性の対象、18〜45歳
・少なくとも60kgで彼らの理想体重の15%以内の体重(Desirable Weights of Adults, Metropolitan Life Insurance Company, 1983の表を参照)
・医学的に健康な対象であって臨床的に有意なスクリーニング結果を持たない(たとえば、検査プロフィール、医療履歴、ECGS、身体検査)
以下の除外基準の1つを満たす対象候補が実験の参加にふさわしくない。
・有意な心血管、肺、肝臓、腎臓、血液、消化管、内分泌腺、免疫性、皮膚、神経性または神経病疾患の病歴または存在
・睡眠障害の病歴または存在
・実験前90日以内のH1受容体拮抗剤(たとえば、テルフェナジン、アステミゾール)による治療を必要とする慢性または季節型アレルギーの病歴
・過去2年以内のアルコール依存症またはドラッグ乱用の病歴または存在
・実験前90日以内のタバコまたはニコチンの使用
・実験処方剤(Captisol(登録商標);ナトリウムサッカリン、F.C.C.;グリセリン,U.S.P.;オレンジフレーバー;メチルセルロース400センチポイズ,U.S.P.;精製水)または関連化合物の実験薬物、可能性のある賦形剤に対する公知の過敏症または特異体質反応
・実験前90日以内の血液または血液成分の供与(標準またはそれ以上の供与量)
・最初の投与前90日以内の別の臨床試験への参加
・疾患、医学的状況または外科手術であって、薬物吸収、代謝、分配または***に影響を及ぼすかもしれないものの病歴または存在
・実験前30日以内の体重の減少または増加(±10%)
・実験前30日以内の大量のカフェイン含有飲料物の(たとえば、1日あたり5カップを超えるコーヒーまたはその等価物)規則的な消費(たとえば複数日)
・実験に関して対象が適切ではないという研究者またはスポンサーの意見という状況
・任意の禁止された前または同時薬物投与の使用
実験スクリーニング検査を完了し、参加基準を満たし、実験に賛成する各対象者は、固有の識別番号が割り当てられ、無作為化スキームに従って、修飾抗ヒスタミン剤およびプラセボの指定された用量を受け取る。無作為化スキームは、薬物を製造する医薬スタッフ(薬物の投与に関わる者ではない)にのみが入手しえ、対象、分析者または有害実験のモニタリングおよび評価に責任のあるスタッフは入手しえない。
以下の理由により研究責任者は対象を実験からはずされてもよい。
・重要な除外基準の2次的発生
・彼らの健康を守るため
・有害事象
・血液収集が困難
・実験の一貫性を守るため
・プロトコル違反
・実験方向への適合の欠如
臨床報告書には、対象をはずした理由とその詳細が含まれる。実験完了前に試験からはずされた対象は、実験完了のために計画されたすべての手順に従う。任意の有害事象(深刻または深刻でなくても)あるいは臨床的に有意な異常試験結果のためにはずされた対象は、研究者またはモニタリングした医者によって評価され、症状または値が研究者によって判断される、正常または許容しうるレベルに到達するまで、治療および/またはフォローアップを受ける
II.実験制約
対象は、実験が進行する7日間、最終薬物動態サンプリング期間の最終サンプルが収集されるまで、処方箋のまたは市販の薬物(ハーブ製品を含む)を取らない。さらに、以下の物質を含有する食物および飲用物の消費も禁止される。
・メチルキサチン:各投与の72時間前およびサンプル収集の全期間、たとえば、カフェインの入った飲み物および等価物(たとえば、チョコレートバー)は禁止される。
アルコール: 各投与の72時間前およびサンプル収集の全期間
実験開始の30日前から取った全ての薬物は記録される。実験開始の90日前から取った全ての慢性または季節型アレルギー用の薬物も記録される。
予備実験対象スクリーニング: スクリーニングでは、インフォームドコンセプトのフォームが適用される。薬物投与の14日前以内に、病歴および患者の背景のデータ、たとえば、名前、性別、年齢、人種、体重(kg)、身長(cm)、アルコールの使用およびタバコの使用、が記録される。各対象は、特定された完全なバイタルサイン、12−誘導ECGおよび研究室試験を含む身体検査を受ける。研究室試験には以下がある。
a)示差血小板数およびMCHを有するヘモグロビン、MCV、赤血球数、ヘマトクリット、MCHC、白血球数を含む血液学;
b)bun、アルブミン、ALT(SGOT)、クレアチニン、アルカリフォスファターゼ、グルコース、総ビリルビン、クレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)、ナトリウム、尿酸、AST(SGOT)およびトリグリセリドを含む血清化学;
c)外観および色、グルコース、亜硝酸塩、pH、ケトン、ウロビリノーゲン、比重、ビリルビン、白血球、タンパク質および血液を含む尿の化学分析;
d)HIV、尿薬物スクリーン、HbsAg、カンナビノイド、HCV、ベンゾジアゼピン、HCV、アンフェタミン、肝炎A(IgM)、アペン製剤、アルコール、コカインおよびコンチニンを含む付加的試験
対象管理: 対象は、投与前少なくとも36時間前から、24時間ポストドースの完了まで収容される。対象は、最終投与またはより早いはずされた後、1週フォローアップの来診に戻る。
対象は、薬物投与後、最初の4時間はベッドで座位を保つ。しかし、もし有害事象が起きれば、いつでも、好ましい姿勢となり、または患者の右側に横たわることが許される。対象は、拘束期間中、常に激しい運動をしない。
標準の食事が、第1日目と第2日目に出される。対象には、第1日目、投与前最小で夜10時間の断食、その後少なくとも4時間の断食が要求される。しかし、もし、摂食状態で以前の投与の選択が群2の期間3において使用された場合は、標準多脂食事が投与の30分前に出される。この場合、多脂の朝食(すなわち、約50%のカロリーが脂肪に由来する)は、バターの目玉焼き2個、ベーコン2切れ、バタートースト2切れ、ハッシュブラウンポテト4オンス、および全乳8オンスで構成される。カフェインおよび等価物(たとえばチョコレートバー)を含有する食事および飲み物は、拘束中は禁止される。
水は、投与の2時間まえから2時間後まで許されない。水は、他の時間はいつでも飲める。標準食事は、投与の約4時間後と9時間後、その後適切な時に出される。
III.薬物投与
対象は、各投与量(登録)群用の投与順番の無作為化計画に従って割り当てられたように、各期間投与量を受ける。対象は、割り当てられた投与量をガラス投与用カップで受け取り、各投与群、全投与、アクティブおよびプラセボ内で、同じ用量投与され、二重盲法を保つ。対象は、薬を飲み込むよう指示される。
合計で240mLの水が、投与のために与えられる。指定された量の水(投与容量に基づいて医者が割り当てる)が空っぽのカップに加えられ、口をすすぎ、対象者はそれを飲み込む。この手順は2回繰り返され、次いで残った水は、対象者が消費する。
最初のヒト投与レベルのための開始用量は、前臨床検査における毒性および安全性プロフィールに基づく。ヒトからラットへ等価体表面変化率は1/6(Toxicological Handbook,Michael J.Dereleko,CRC press, Boca Raton,FL.)である。ラットに関してNOAELが30mg/kg/日であることと体表面等価基準に基づいて、60kgの固体に関する等価用量は、300mg/kg/日(1/6×30mg/kg/日[ラットNOAEL]×60kg)である。ラット(30mg/kg/日)におけるNOAEL用量に基づいて、3mgの用量は、ラットにおいて約1/10のNOAEL用量である。最も高い用量の160mgもまた、ラットにおけるNOAELより低い。
もし、実験薬物投与に関連すると考えられる用量規定毒性(WHO Common Toxicity Criteria−AppendixIを修正した等級スケールに従う等級が3または4)がいかなる用量レベルで、6人の対象のどの2人からでも観察されれば、用量段階的増大を停止し、先の用量を最大許容用量(MTD)とみなす。
もし、任意の用量レベルで1人の対象が用量規定毒性を経験すれば、研究責任者(スポンサーと相談して)は、良識のある臨床判断を用いて、計画している次の用量レベルに進むか、計画した用量を放棄し、新しい用量を調整するか決定する。この相談は、計画された用量に進むか放棄して用量を調整するか決定するために先の用量群の前に、全群に関してなされる。さらに、計画された用量は、よりゆっくりと挙げる必要を示唆する先行の用量から、新興の安全性または許容の問題が明らかになった場合、(すなわち、該用量は、等級3または4にする必要がない)、中間の用量と交換されてもよい。
用量の増加量は、研究責任者の意見において、適切は安全性および許容度が、先のより低い用量で実証されたときにのみ可能である。全てのケースで、研究責任者は、良識のある臨床判断を用いて、対象の安全性に関連する全ての要素の総合評価に基づいて、用量を調製するか、実験を停止するかを決定する。
研究責任者は、チェックインデータ(たとえば、身体検査結果、バイタルサイン、アンケートおよび臨床的研究結果(たとえば、血清化学、血液学、尿の化学分析および尿薬物スクリーン)を、スクリーニングまたは先の期間から臨床的に有意な変化に関して検討する。研究責任者は、この検討に基づいて、対象について、実験のために、投与を続けさせるか、あるいははずすかを決定する。
IV.臨床観察
血液学パネル、血清化学パネルおよび尿の化学分析をスクリーニングで、各チェックイン時、各投与後24時間、および最終投与後1週間またはより早くはずした時に、行う。
血液サンプル(約7mL)を、ナトリウムヘパリンを含有する真空ガラス管へ通した留置静脈内カテーテルから、投与前、および投与から0.25、0.5、0.75、1.0、1.5、2、3、4、6、8、10、12、18および24時間後に収集する。尿サンプルは、投与前と各期間の0〜8時間の間に収集する。間に収集したサンプルはプールしない。各排尿はサンプルと考える。排尿時間は任意で、計画されていない(投与前排尿および8時間の間隔の最後の排尿は除く)。
バイタルサインは、スクリーニングの間に測定する。バイタルサインの時間がECGとのみ重なる時は、ECGの前にバイタルサインに10分かける。バイタルサインの時間が、採血または採血およびECGと重なる時は、採血の前にバイタルサインに10分かける。呼吸および体温は、チェックイン時、各投与後24時間、および最終投与後1週間またはより早くはずした時にモニターする。座位の姿勢で最低5分後に、血圧および心拍数の単一測定値を取る。実験拘束中に取った測定値は、チェックイン時、0(投与前);投与後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、18および24時間;および最終投与後1週間またはより早くはずした時にAVS機でモニターされる。1分当たり100拍子を超える心拍数測定値については、該心拍数は2分後に再チェックされる。第1日目、投与の約24時間前、2分間隔で先に記載した血圧および心拍数の測定を、3回行う。
標準12誘導ECGは、各対象に関し、スクリーン時、第1日目、投与の1時間前、投与から1、1.5、2、3、4および6時間後の時と重なる時、第1日目投与前1時間および投与から1、1.5、2、3、4、6および24時間後に;および最終投与後1週間またはより早くはずした時に行う。必要と考えるならば、他の時間に追加のECGsを行ってもよい。全標準12誘導ECGは10秒記録される。ECGに関するタイミングおよび位置あわせ技術は、全対象に関して標準化されている。対象は各12誘導ECG評価の前に少なくとも1分間は横になるべきである。研究責任者は、PR、QRS、QTおよびQTc間隔を評価する。ECGの時間が採血と重なる時は、採血の後にECGを行う。
医者は、各対象をスクリーニング時、各チェックイン時、各投与の24時間後、および最終投与後1週間またはより早くはずした時に、診断する。必要と考えるなら、追加の診断を行う。
バイタルサイン測定の直前、投与の1時間前、および投与の1、2、6および24時間後(バイタルサインは、これらの時間で指定された採血の前に、10分取る)は、対象は視覚アナログスケールを与えられ、「非常に眠たい」および「まんじりともしない」の間の範囲のポイントで、そのときの覚醒状態のレベルはどれが最もよくあらわしているか、100mm線でクロスさせて分離記号を引くように求められる。
対象は、実験の間経験した有害事象または介入疾患のどのようなものでも実験医者またはスタッフに報告するように指示される。さらに、有害事象に関する具体的な質問は、投与の前、投与の2、4、8および24時間後、および最終投与後1週間またはより早くはずした時に行う。質問は、応答を邪魔しないように、非特異的方法で提出する。
有害事象(深刻でも深刻でなくても)あるいは臨床的に有意な異常試験結果のためにはずされた対象はだれでも、研究者またはモニタリングした医者によって評価され、症状または値が研究者によって判断される、正常または許容しうるレベルに到達するまで、治療および/またはフォローアップを受ける。医者は、その場にいても、近くの病院緊急室にいても、いかなる深刻な有害事象に対して治療を施す。適切な場合は、医学テストおよび診断を行い、事態の解決を文書化する。結果は、たとえば、解決、改善、変化ナシ、悪化、致死、またはわからない(フォローアップできず)に分類する。
V.報告
臨床試験中に起こった全有害事象を記録する。有害事象は、MedDRA(バージョン4.1)を用いてコード化する。有害事象/経験(AE)とは、必ずしもこの治療と因果関係があるとないえない医薬品を投与された患者または臨床検査対象における、根拠のない医学的現象のいかなるものも言う(ICH/WHO)。したがって、有害事象(AE)は、医学品に関係あると考えられるかどうかに関わらず、不都合なおよび意図しない兆候(たとえば、異常な臨床検査値)、症状、一時的に医学品の使用に伴う疾患の任意のものである(ICH/WHO)。
研究者は、各事象を検討し、薬物治療との関係(すなわち、関係なし、疑わしい、可能性がある、確実性がある、ほとんど核心的)を評価する。報告された各兆候または症状は、3点重症度尺度(軽度、中度、重度)で格付けされ、日付および開始時、薬物投与の時間関係、持続時間および各事象の結果が記載される。格付け重症度の以下の規定が使用される。
(1)軽度:有害事象は容易に耐えられ、日常の活動を邪魔しない。
(2)中度:有害事象によって日常の活動が邪魔されるが、対象はまだ動くことができる。
(3)重度:有害事象は耐え切れず、医学的介入が必要である。
上記した有害事象のいずれかが深刻であれば、具体的な処置が以下である。深刻な事象が薬に関係すると考えられるあるいはそうでないとしても、深刻有害事象の全てを24時間以内にスポンサーに報告し、次いで48時間以内に文書で報告する。
深刻有害事象(SAE)は、どのような用量でも、有害な医学的事象であり、死を招き、生命を脅かすものであり、永久的な身体障害または無能力の結果となり、患者は入院を必要とし、入院を長引かせ、先天異常であり、対象を危うくするかもしれず、あるいは上記した他の結果の1以上を予防するために介入治療が必要であるかもしれない。
VI.薬物動態
以下の薬物動態パラメーターは、非コンパートメント方法を使用した、修飾抗ヒスタミン剤化合物の個々の血漿濃度、および適正な認証を受けた、薬物動態ソフトウェア(たとえば、WinNonlin Professional)から、コンピュータ化される。
BLQとして報告された濃度の値は、0と設定される。濃度データがもし入手可能なら、可能であれば、期間の間で暫定的な計算(非−QC.dデータ)を行う。用量の段階的増大は、薬物動態計算には依存しない。
平均値、標準偏差、変動係数、幾何的平均値、中央値、最小値および最大値を含む記述統計は、各薬物動態パラメーターに関して、用量群によって、コンピュータ化される。自然対数形質変換AUC(0−t)、AUC(0−inf)およびCmaxに関する記述統計を、各用量別に載せる。さらに、平均値および中央値濃度体時間のグラフも載せる。
実験薬物投与後の用量比例性を、自然対数−形質変換薬物動態変数AUC(0−t)、AUC(0−inf)およびCmaxを、共変数として自然対数−形質変換用量を含む線状モデルを用いて分析することによって検討する。用量比例性は、共変数の勾配に関する95%信頼間隔が値1を含むかで推論する。AUC(0−t)、AUC(0−inf)およびCmaxに関する用量比例も、線状モデルによって検討する。
VII.安全性の総合判断
逐次的期間、好ましい期間、治療、重症度および治療との関係を含む、副対象治療−緊急有害事象データリストを載せる。
有害事象を経験した対象の数および有害事象の数を、頻度カウントを使用して、用量レベルによって要約する。
実験室評価およびバイタルサイン総合判断を含む安全性データを、用量レベルおよび収集の時点によって、要約する。定量的安全性データに関して、記述統計を計算し、定量的安全性データの分類に関し、頻度カウントを編集する。さらに、バイタルサインに関するベースラインテーブルからの平均変化を載せ、臨床検査結果に関し、正常範囲シフトから記載したシフトテーブルを載せる。
ECG結果を正常異常に分類し、頻度カウントを使用して用量群および収集時点によって要約する。PR、QRS、QTおよびQTc間隔に関し、記述統計を計算する。
身体検査における変化を最終報告の文中に記載する。
心拍数データを、治療群および記述統計を使用する時点によって要約し、ベースライン値からの個々の変化も要約する。ベースラインからの平均変化の結果を、各時点で、活性用量群をプラセボと比較するために使用する。用量レベルごとの6つの完成した対象からのデータは、毎分20拍数の違いを検出するのに、80%確実性を提供すべきである。暫定解析は、以下の各期間を実行する。
VIII.効能の総合判断
各用量レベルに関し、VAS鎮静スコアを、記述統計を使用して収集の時点によって要約する。
実施例8:ロキサピン類縁体の前臨床評価
化合物のヒト臨床試験の前に、前臨床試験を行う。前臨床評価には以下の試験が含まれる。
i.前臨床吸収、分布、代謝および***
化合物を、ラット、イヌ、およびカニクイザルに、用量約3mg/kgで経口的におよび静脈内に投与する。血漿サンプルを薬物動態分析のために、全種から収集した。Tmaxおよび半減期(時間)をラット、イヌおよびサルに関して測定する。ラットおよびヒト血漿中のタンパク質固まりの割合も測定する。
親薬物の脳濃度を決定するために、経口投与後、脳をラットから収集する。
サイトクロームP450抑制をインビトロで検査する。さらに、ラット、イヌ、サルおよびヒトの肝細胞培養のインビトロでの代謝速度を、各化合物に関して測定する。
ii.心作用病巣
プロジェクトの臨床候補選択フェーズ間に試験した第一毒性課題は、QT間隔延長である。歴史的には、H1拮抗剤は、この効果に関連する。まれな例でのQT延長は、致死性心臓の不整脈に発展しうる。QT延長を起こす化合物の公算を予期する最もよいインビトロ試験、hERG結合アッセイは、この効果を作る化合物の潜在性を実験するために選ばれた試験システムであった。安定細胞系に形質移入された、ヒトhERGチャンネルは、電気生理学的に実験し、チャンネル電流の抑制率を報告する。
化合物がQT間隔において変化を造る出すかどうかを決定するために、化合物を遠隔操作されるビーグル犬において実験する。イヌはデバイスが移植され、ECGおよび動脈血圧を連続的にモニターする。イヌ(4匹の群)は、ラテン方陣十字設計で実験され、各イヌは、3種の異なる用量およびプラセボを受ける。2つの実験が、0.3、1、3、10および30mg/kgの用量で行われる。
iii.急性ラット実験
この実験の目的は、ラットに、経口強制栄養を与えた時の、試験物質に毒性および最大許容用量(MTD)を評価することである。雄Crl:CD(登録商標)(SD)IGS BRラット(3匹/群)を、5群に割り当てる。投与に開始時、動物は約7週齢で、体重は、172〜206gの範囲である。各群は、50、100、150、200または250mg/kgの化合物を、1日1回、5日間与えらる。6日目に生き残った動物を全て致死させる。毒性の総合判断は、死亡率、臨床観察および体重データに基づく。
iv.急性イヌ実験
この実験の目的は、イヌに、経口強制栄養を与えた時の、試験物質に毒性および最大許容用量(MTD)を評価することである。2匹の純粋種の雄ビーグルを実験に割り当てる。投与に開始時、動物は少なくとも6ヶ月齢で、体重は、8.0〜10.9kgの範囲である。イヌは、25、50または75mg/kgの段階的に増加する用量で、化合物を含有する用量製剤を、1日1回、5日間与えられる。
イヌを、投与後、0.25、0.5、0.75、1.0、1.5および2.0時間±5分および4、6、8および24時間±15分観察する。イヌは第1日目と第6日目に体重を測定する。
第5日目、投与の前、40mg/kgの用量を投与して1、4および24時間後に心電図を取り、血圧を測る。
観察した臨床所見の範囲および重症度に基づいて、化合物に関するMTDを計算する。
v.回復実験を伴う14日ラット実験
この実験の目的は、少なくとも14日間ラットに経口強制栄養を介して投与した時の化合物の毒性を評価し、14日までの回復期間後の任意の効果の回復性、持続性または遅延性発生を査定することである。
雄および雌Crl:CD(登録商標)(SD)IGS BRラットを、4つの主実験群と毒性動態学用の3つの群の7つの群に割り当てる。各群に、0.25%メチルセルロース、200mMアセテート緩衝液中400cps、または10、30または150mgの試験物質/体重kg(mg/kg/日)を含有する投与製剤を、1用量あたり5mL/kgで与える。
毒性の総合判断は、死亡率、臨床および眼の観察、体重、えさの消費、臨床病理学、器官の重さ、および肉眼および顕微鏡での発見に基づく。毒物動態学的評価のために血液サンプルを収集する。
回復フェーズを伴う14日イヌ実験
毎日経口強制栄養経由で(フェーズ1)またはカプセルで(フェーズ2)、イヌに少なくとも14日間投与した時の、本発明の化合物の毒性および毒性動態学を決定する。7日(フェーズ1)または14日(フェーズ2)回復期間後の観察しうる効果の回復性、持続性または遅延性発生も査定する。3、10、30および70mg/kg/日の用量を実験する。計画している時より生き残った全フェーズ1および2のイヌは致死させる。
上記化合物およびプロトコルは、本発明のロキサピン化合物の前臨床評価において有用である。
実施例9:鎮痛活性の評価
経口投与後のロキサピン類縁体の鎮痛活性を分析する。鎮痛活性は、ラットおよびマウスにおいて、腹部痙縮試験によって評価する。また、鎮痛活性は、マウスでテールクリップ試験、ラットでテールフリック試験、ラットでRandall−Selitto試験を使用して評価し、比較をビヒクルコントロール群で行う。参照化合物ASA(アセチルサリチル酸)およびモルフィンも比較のために含まれる。
テールクリップ試験およびテールフリック試験は、試験物質の中枢鎮痛活性に関し有用な情報を与える。Randall−Selitto試験は、高疼痛状態を変える化合物の能力に関する情報を提供し、腹部痙縮試験は、試験物質の周辺鎮痛活性に関する情報を提供する。試験物質は、経口強制栄養によって投与され、これは、意図された投与の臨床経路である。使用された用量レベルは、効能用量を包含することが期待され、適正な安全率を提供する。
試験物質、参照化合物および刺激性処方剤
処方剤は全て、投与の日に調製する。試験物質は、0.25%(w/v)MC中、必要とされる最高濃度で処方する。より低い用量は、0.25%(w/v)MCを使用して、最高濃度の段階的希釈により得る。参照化合物であるアセチルサリチル酸は、0.25% (w/v)MC中、必要な濃度で処方する。ビール酵母は、注射用水中、必要な濃度で処方する。酢酸は、注射水で希釈し、投与に必要な濃度を得る。
用量レベルは、純度または活性含量に関係なく、投与された試験物質I参照化合物/刺激物の量で表す。
動物
適正数の雄Crl:CD−I(ICR)BRマウスおよびウィスター種ラットをCharles River(UK)社Margate,Kentから入手する。マウスは、約4週齢で体重が平均で18gと22gとの間である。ラットは約5週齢で体重は平均で150gと170gとの間である。実験開始時の動物の年齢と体重を、生データおよび最終報告書に記録する。
動物は、使用するケージのサイズに合った群で収容し、ケージは、Scientific Procedures Act(Home Office Animals Scientific Procedures Act 1986)において使用される動物の収容および世話のための実施基準を満たすものである。ベッドは週単位で、清潔なアスペン木材チップ(Dates and Ltd,Manchester,UK)を使用して、備え付ける。ベッドは特定の不順物質に関して分析し、結果はCovanceでファイルして残す。使用前ケージは、清潔で乾燥している。アスペン製のそしゃくブロックが、環境的に質の向上した形体でケージ内に置かれる。日常的に、保持室は、許容限界内の温度および相対湿度(通常、それぞれ、19〜25℃および40%〜70%)で維持される。これらの部屋は、各24時間サイクルのうちの12時間は蛍光灯の光によって照らされ、1時間に少なくとも15回空気交換を行うよう設計されている。
主タップ供給からのRM1.(E).SQC.(Special Diets Services社、Witham,イギリス)および水が、自由に(以下に特定するもの除く)提供される。これらを、特定の構成に関して、日常的に分析し、試験システムを干渉するかもしれない生物的または化学的実体を含まないことを確認する。実験のために使用した処置群を表9に示す。
血圧の測定は、ビヒクル、試験物質または参照化合物の投与の直前、および経口投与から30、60、120および240分後に、各動物の左右くるぶしで行う。血圧測定の順番は、左くるぶし次いで右くるぶしである。
ラットにおける腹部痙縮試験
各動物に、経口強制栄養による、ビヒクル、試験物質または参照化合物の10mg/kg一定用量の単一投与を行う。個別の用量は、投与する日の個々の体重に基づく。処置群を表10に示す。
経口投与から45分後、各動物に1%酢酸の1mL腹腔内注射を行う。直ちに動物を個別の観察チャンバーに置き、次の25分間で腹部癒着が誘発されるものの数を記録する。
マウスにおける腹部痙縮試験
各動物に、経口強制栄養による、ビヒクル、試験物質または参照化合物の10mL/kg一定用量の単一投与を行う。個別の用量は、投与する日の個々の体重に基づく。処置群を表11に示す。
経口投与から45分後、各動物に0.5%酢酸の0.25mL腹腔内注射を行う。直ちに動物を個別の観察チャンバーに置き、次の25分間で腹部癒着が誘発されるものの数を記録する。
最終処置
各試験の最後に、動物は、スケジュール1化合物によって人為的に殺し(たとえば、高い濃度の二酸化炭素ガスに曝し、次いで首を折る)、死体解剖なしで廃棄する。もし実験中に深刻な不快感の兆候を示せば、すぐに人為的に致死させる。実験中に早期に死亡または殺された動物は、死体解剖を行う。胸腔および腹腔を開いた後、その場で組織の外観を観察することによって、肉眼観察を行う。異常なところはすべて記録される。
実施例10:アシルスルホンアミド類の合成
アシルスルホンアミド化合物40の合成をスキームIにまとめる。この手順は、本明細書に記載した対応する酸からのアシルスルホンアミドの一般的な合成として適応できる。
トルエン中のN,N−ジメチルアニリンの存在下、三環10H−ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン−11−オン(3)をリンオキシクロライドで処理して、イミドイルクロライド(4)を得、これを過剰のピペラジンと反応させて11−ピペラジン−1−イル−ジベンゾ[b,f][1,4]オキサゼピン(5)に変換した。三環アミジン(5)を2−カルボメトキシ2−メチルプロピオンアルデヒドで還元アミノ化し、アルキル化ピペラジン(6)を得、これをシリカゲル上で精製した。エタノール水溶液中で5のメチルエステルの塩基性加水分解を行い、次いで、酸性化し、カルボン酸(7)を得た。該カルボン酸(7)を、ジクロロメタン中の水溶性カルボジイミド、EDCIを用い、触媒としてのジメチルアミノピリジンで、メタンスルホンアミドとカップリングさせ、アシルメチルスルホンアミドに変換した。カップリング生成物を酸性化して、目的のアシルスルホンアミド化合物40(HY−10427)を2HCl塩として得た。
他の実施形態
本発明を、その詳細な説明とともに記載したが、上記の記載は、説明のためにあるもので、添付の請求項の範囲によって規定される、本発明の特許範囲を限定するものではない。他の局面、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。当業者には、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱しない限り、形式および詳細における種々の変更が、なされてもよいことは、理解されるであろう。