以下、本発明に係る画像形成装置の好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の画像形成装置の具体例として、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーのレーザプリンタを示す。このレーザプリンタの装置本体100は、パーソナルコンピュータ、画像読取装置、そしてファクシミリ装置など外部機器であるホスト装置に電気的かつ通信可能に接続して使用される。装置本体100では、それら各装置から送信される種々の画像情報に基づいた作動信号を受信し、搬送されてきた転写材などのシートP上に画像を転写して記録する。
装置本体100の内部には、たとえばY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色に対応する4つのプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKがインライン構成によるタンデム型構造として水平方向に配列されている。本発明で「カートリッジ」と呼ぶプロセス手段を備えたそれら各プロセスカートリッジは収容するトナーの色が異なるだけですべて同一構造である。
この場合のプロセスカートリッジは、それぞれ第1の像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、単に「感光体ドラム」という)1を内蔵している。この感光体ドラム1に作用するプロセス手段として帯電装置2、現像装置3およびクリーニング装置4の少なくともどれかをカートリッジ枠体を形成するカートリッジフレーム5の内部に一体的に組み込んでプロセスカートリッジを構成している。帯電装置2には接触型の帯電ローラが用いられている。現像装置3は現像ローラ3aを有し、現像剤容器内にはトナーが収容されている。クリーニング装置4としてはトナーを掻き均すブレード方式などを適用することができる。
そこで、プロセスカートリッジPYは現像装置3にY色のトナーが収容され、感光体ドラム1のドラム面にY色トナー像を形成する。プロセスカートリッジPMは現像装置3にM色のトナーが収容されて感光体ドラム1のドラム面にM色トナー像を形成する。プロセスカートリッジPCは現像装置3にC色のトナーが収容されて感光体ドラム1のドラム面にC色トナー像を形成する。そして、プロセスカートリッジPKは現像装置3にK色のトナーが収容されて感光体ドラムのドラム面にK色トナー像を形成する。
それら各プロセスカートリッジの上方部にはレーザスキャナユニット11が配置されている。このスキャナユニット11は、外部装置としてのホストコンピュータなどから出力された各色による画像情報に対応して変調されたレーザ光Lを照射する。このレーザ光Lはプロセスカートリッジのカートリッジフレーム5の上面に貫通させて設けた露光通し窓6を通し、カートリッジフレーム内部の感光体ドラム1のドラム面を走査して露光する。
また、図1に示すように、各プロセスカートリッジの下方部には第2の像担体として、可撓性を有しかつ誘電体であるフィルム材などを無端に形成した中間転写ベルト(エンドレス状のベルト)を主体とするユニット12が配置されている。この中間転写ベルトユニット12のベルト本体13は、回転駆動源のモータから回転動力を受ける駆動ローラ14と従動ローラ16、そしてテンションローラ15の各ベルトローラ間に掛け渡して循環駆動方向に周回する。駆動ローラ14と従動ローラ16は装置本体100の内部後側に配置されている。テンションローラ15は内部前側に配置されている。各プロセスカートリッジに備わる感光体ドラム1は、ドラム表面の下側をベルト本体13のベルト上面に接触させている。ベルト本体13の内周側には各感光体ドラム1に対向する位置の4個所に4つの一次転写ローラ17が装着されている。駆動ローラ14はベルト本体13を介して二次転写ローラ22に当接している。
また、中間転写ベルトユニット12の下方部には給紙ユニット18が配置されている。給紙ユニット18は給紙トレイ19、給紙ローラ20および分離パッド21などによって構成され、給紙トレイ19は装置本体100の前側から出し入れして着脱自在となっている(フロントローデング式)。また、装置本体100の後側でその上部に定着装置23と排紙ローラ対24が配置され、装置本体100の上部に排紙トレイ25が配置されている。定着装置23は定着フィルムアセンブリ23aと加圧ローラ23bを有するものを用いている。排紙ローラ対24は排紙ローラ24aと排紙コロ24bからなっている。
また、各プロセスカートリッジは装置本体100の内部の装着定位置にて後述する押圧部材93(図3参照)によって押圧された状態で固定して保持されている。また、各プロセスカートリッジの駆動入力部は装置本体100側に備わる駆動出力部に機械的かつ電気的に接続され、プロセスカートリッジ側駆動入力部に設けた電気接点が装置本体100側の給電系統に接続して電気的導通が図られる。
以上の構成から、本実施形態の画像形成装置では次のように動作する。
フルカラー画像の形成時、Y,M,C,K色に対応する各プロセスカートリッジPY,PM,PC,PKそれぞれに備わる各感光体ドラム1が図1中矢印で示す反時計回り方向に制御された設定速度でもって回転する。ベルト本体13は矢印で示す時計回り方向(ドラム回転に対して順方向)に感光体ドラム1の回転速度に対応した走行速度で周回する。また、スキャナユニット11の駆動に同期して各プロセスカートリッジでは、それぞれ制御タイミングを図って帯電装置2が感光体ドラム1のドラム表面を所定の極性と電位でもって帯電バイアス電圧を一様に印加して帯電する。さらに、スキャナユニット11は各感光体ドラム1のドラム表面をY,M,C,K各色の画像信号に応じて変調されたレーザ光Lで走査して露光する。そのようにしてY,M,C,Kに対応の各感光体ドラム1のドラム表面に画像信号に応じた静電潜像を形成される。その静電潜像は現像装置3でトナーを用いて現像され、トナー像として可視像化される。
上記のごとき電子写真プロセスを用いた画像形成によって、プロセスカートリッジPYの感光体ドラム1にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するY色トナー像が形成され、そのトナー像はベルト本体13上に一次転写される。同様に、プロセスカートリッジPMの感光体ドラム1にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するM色トナー像が形成され、そのトナー像はベルト本体13上に既に転写済みのY色トナー像に重畳されて一次転写される。また、プロセスカートリッジPCにおいてもその感光体ドラム1にはフルカラー画像のシアン成分に対応するC色トナー像が形成され、そのトナー像はベルト本体13上に既に転写済みの上記Y色+M色トナー像に重畳されて一次転写される。そして最後にプロセスカートリッジPKにあってはその感光体ドラム1にフルカラー画像のブラック成分に対応するK色トナー像が形成され、そのトナー像はベルト本体13上に既に転写済みの上記Y色+M色+C色トナー像に重畳されて一次転写される。かくして、ベルト本体13上にY色+M色+C色+K色の4色フルカラーの未定着トナー像が合成して形成される。
その間、各プロセスカートリッジにおいては、ベルト本体13に対してトナー像を一次転写した後、感光体ドラム1のドラム面に残留した未転写の残トナーをクリーニング装置4によって除去する。
その一方で、制御タイミングを図って給紙ローラ20が回転駆動され、給紙ローラ20と分離パッド21とが協働して給紙トレイ19上に積載されたシートPが1枚ずつ分離して給送される。給送されたシートPは二次転写ローラ22とベルト13との二次転写ニップ部に送り込まれ、そのニップ部で挟持搬送されつつベルト本体13上の4色重畳のトナー像がシートPの一面に順に一括して転写される。
続いて、シートPはベルト本体13のベルト面から分離されて定着装置23へと搬送され、ここの定着ニップ部にて加熱しかつ加圧される。それによって各色トナー像の混色とシートPへの永久定着がなされる。定着後、シートPはフルカラー画像形成物として排紙ローラ対24で排紙トレイ25上へと排出される。
シートPが分離された後のベルト本体13のベルト表面に二次転写残トナーが残留しておれば、たとえばプロセスカートリッジPYの一次転写部にて感光体ドラム1のドラム表面に静電的に付着させ、それをクリーニング器4によって除去することができる。
次に、図2および図3は、中間転写ベルトユニット12に装備された本実施形態の要旨であるベルト規制機構を示す。
ベルト本体13を巻回する駆動ローラ14と従動ローラ16、そしてテンションローラ15は、シート搬送方向に直交する左右両側のベルト保持フレーム68R,68Lに軸受14a,15a,16aを介して回転自在に軸支されている。駆動ローラ14がモータ動力を受けて回転開始すると、画像形成稼動時に応じて図1中の矢印で示す方向に回転する。駆動ローラ14と従動ローラ16の各軸受14a,16aは左右両側のベルト保持フレーム68R,68Lに高精度に位置決めされている。また、テンションローラ15の軸受15aはベルト保持フレーム68R,68Lに対してシート搬送方向、つまりローラ回転軸線に直交する方向にスライド可能に取り付けられている。その軸受15aごとテンションローラ15は張力ばね15bでベルト本体13に張力を付与して緊張させる方向に付勢されている。
そこで、ベルト本体13の図2でいう右側の一端側では、その無端の内周面に移動方向と直交する方向である一方側へのベルト片寄りを規制するための突き当てリブ(第1係合部)13aが断面凸形状に形成され、「ベルト規制機構」を構成している。
図3(a),(b)で明らかなように、突き当てリブ13aに対応する位置のテンションローラ15の端部(ベルトローラの1つ)には断面凹形状の環状溝として形成された溝付きフランジ(第2係合部)15cがローラ軸と同軸上に結合して設けられている。ベルト内周面から突出させて設けた突き当てリブ13aをそのテンションローラ端部に結合した溝付きフランジ15cに係合させることで、ベルト本体13が一方側に片寄って移動するのを規制している。
ちなみに、ベルト本体13が片寄りするのは、非常に僅かではあるがローラ軸間距離の精度誤差、ベルトの左右両端で周長さの違いによる寸法差、そしてベルト厚さ寸法の変化などの加工精度によって片寄り力が発生することなどが原因している。また、その片寄りに起因する次の乗り上がりという問題もある。すなわち、ベルト本体13に突設した上記突き当てリブ13aがベルト片寄りを規制している状態でも、その突き当てリブ13aが溝付きフランジ15cで左右のいずれか不特定な方向に寄ってしまうことがある。その寄り力が強まると、突き当てリブ13aが溝付きフランジ15cから離脱し、テンションローラ15に乗り上がってしまうのである。
図3(a),(b)に示すように、上記突き当てリブ13aと共に「ベルト規制機構」を構成する本実施形態の要旨部材であり、突き当てリブ13aがテンションローラ15に乗り上げてしまうのを防止するコロ部材(規制部材)91が設けられている。
すなわち、突き当てリブ13aが溝付きフランジ15cに係合して移動するその上流側付近であって、突き当てリブ13aに近いベルト本体13の外周にコロ部材91が回転軸線をテンションローラ15の回転軸線に平行にして設けられている。そのコロ部材91はコロ軸受92に回転自在に軸支されてベルト本体13の脹らみを抑える働きをし、中間転写ベルトユニット13の上部に配置されている。コロ軸受92は、交換時にプロセスカートリッジを装置本体100の外側に移動させて取り出す手段として、図4以下の各図に示すカートリッジ着脱用保持トレイ(保持手段)35の右側前部に上下方向へのスライドが可能に取り付けられている。このカートリッジ着脱用保持トレイ35は、プロセスカートリッジ交換時にプロセスカートリッジを保持して着脱を行うために、装置本体100側に設けた案内部分または案内部材ともいうべき着脱方向への移動体としての役割をする。
ここで、カートリッジ着脱用保持トレイ35について説明する。図4に示すように、カートリッジ着脱用保持トレイ35は額縁形状に形成された前後枠35a,35cと左右枠35d,35eからなる外枠部を有している。その外枠部の内部を図示例では3枚の平行な仕切板35fでもってシート搬送方向でいう前後方向をほぼ四等分に仕切っている。すなわち、外枠部35dの後枠35cから前枠35bに第1〜第4の横長の小枠部35(1)〜35(4)を形成している。それら小枠部35(1)〜35(4)の1つ1つにY,M,C,K色対応の4つのプロセスカートリッジカートリッジPY,PM,PC,PKが保持される。
また、図4の右側でトレイ前部に上記コロ軸受92が設けられ、左側前部には押圧部材93が図4の上下方向にスライド可能に取り付けられている。図5でも明らかなように、コロ軸受92はカートリッジ着脱用保持トレイ35に設けたばねなどによる付勢部材92bによって下方向に押圧付勢されている。カートリッジ着脱用保持トレイ35が潜像形成時の位置に位置決めされている状態でそのコロ軸受92の突き当て面92aを右側のベルト保持フレーム68Rに突き当てている。また、コロ軸受92は、ベルト本体13のベルト表面とコロ部材91の外形との間の距離を一定に保持している。同時に、コロ軸受92はベルト保持フレーム68R,68Lを下方向に押圧し、右側のベルト保持フレーム68Rを装置本体100に設けた内側ステイの位置決め部に保持する働きをする。押圧部材93についても、コロ軸受92と同様、カートリッジ着脱用保持トレイ35に設けたばねなどによる付勢部材93aで下方向に押圧付勢され、画像形成稼動時つまり潜像形成時はその押圧部材93の突き当て面93aを左側のベルト保持フレーム68Lに突き当てている。それによって、左側のベルト保持フレーム68Lを下方向に押圧して、内側板のステイ部材にそのベルト保持フレーム68Lを保持している。
Y,M,C,K色の各プロセスカートリッジは、カートリッジ着脱用保持トレイ35の内側を仕切った小間部35(1)〜35(4)に上方向から挿入される。各プロセスカートリッジは左右側の庇部56(図12参照)の下面がカートリッジ着脱用保持トレイ35の左右枠35d,35eの上面に受け止められることで載る形で保持される。すなわち、カートリッジ着脱用保持トレイ35では各プロセスカートリッジを真上に取り出し可能に保持し、各プロセスカートリッジを真下に向かって移動させることで保持する。また、カートリッジ着脱用保持トレイ35では、各プロセスカートリッジを窮屈にならない程度にラフな状態で保持している。それによって各プロセスカートリッジの交換時の着脱作業性を容易にしている。
カートリッジ着脱用保持トレイ35の左右枠35d,35eは、図6に示すように、左右のトレイ保持フレーム34L,34Rのそれぞれ内側面で前後方向に形成したガイド溝部34aに嵌まり込んで係合している。それにより、カートリッジ着脱用保持トレイ35は左右のトレイ保持フレーム34L,34R間に支持され、ガイド溝部34aに案内されてスライド移動し、トレイ保持フレーム34L,34Rに対しては前後方向へ水平なにスライド移動が可能となっている。図5は、カートリッジ着脱用保持トレイ35のコロ部材91とそのコロ軸受92との取り合いを示す。カートリッジ着脱用保持トレイ35にはガイド部35hが設けられ、そのガイド部35hがコロ軸受92に設けた溝92cに嵌まり込んで係合することで、コロ軸受92の前後左右の方向への移動を規制し、上下方向のみへのスライドを可能としている。
以上において、図3(a),(b)は、カートリッジ着脱用保持トレイ35のコロ部材91とコロ軸受92、そしてテンションローラ15の端部に結合して設けた溝付きフランジ15cの部分を装置本体100の前側から示している。図3(a)に示すように、画像形成時ではコロ支持部材91の突き当て部91aは中間転写ベルトユニット12のベルト保持フレーム68R,68Lに対して、カートリッジ着脱用保持トレイ35に設けたコロ軸受92の付勢手段92bによって押圧されている。この状態では、ベルト本体13の外周表面からコロ部材91の外形までの距離lはリブ13bの厚みt以下となるようにしている。また、図3(b)に示すように、付勢手段92bがコロ軸受92を押圧付勢する押圧力Pkは、突き当てリブ13aがテンションローラ15の溝付きフランジ15cから出て乗り上げようとする力Prよりも大きくしている。したがって、ベルト本体13に強い寄り力が発生した場合であっても、突き当てリブ13aは溝付きフランジ15cから外れ出ることはなく、ベルト本体13を損傷から保護することができる。
なお、本実施形態においては、ベルト本体13が一方側に片寄りすることを想定してそれを防止する突き当てリブ13aを設けた構成を示したが、あくまで一例である。ベルト両側にそうした突き当てリブ13aを設けることも勿論可能であり、それは費用対効果で決まる。ベルト両側に設ける場合は、図4に示す押圧部材93に代えて、コロ部材91とそのコロ軸受92を設けるだけで済む。
(プロセスカートリッジ交換時)
Y,M,C,K色の各プロセスカートリッジでは、画像形成による経時使用で現像装置3に収容されているトナーが消費される。プロセスカートリッジを購入するユーザにとって高品質の画像形成が困難になる程度までトナーを消費した際、カートリッジとしての商品価値が喪失する。
したがって、その場合は各プロセスカートリッジにおけるトナー残量を検出する手段を設けて、そのトナー残量検出手段からの検出信号に基づいてCPU(中央演算制御装置)などからなる制御手段によってトナー消費に関する各種制御を実行させることができる。たとえばトナーセンサでトナーの残量を検出した検出値を、設計上限値としてのしきい値と比較して監視する。トナー残量の検出値がしきい値を超えたとき、カートリッジ寿命予告や寿命警告をユーザにむけて発信して認識させる。また、トナー残量の検出値がしきい値を下回っているプロセスカートリッジに対しては、表示部に当該プロセスカートリッジは寿命に達したか達する直前である旨の予告や寿命警告を表示させる。その表示によってユーザにプロセスカートリッジの新旧交換の準備を促す。あるいは、プロセスカートリッジの交換を促して出力画像の品質を維持するようにしている。
以上から理解されるように、本実施形態の画像形成装置ではプロセスカートリッジの新旧交換はユーザへの利便性を向上させる。そのために、プロセスカートリッジを装置本体100から引き出して取り出すためのカートリッジ着脱用保持トレイ35を台車として載せ、装置本体100の正面から交換作業できるようにした構造である。図1と、図7以下の各図に示すように、画像形成装置の正面側に装置本体100にプロセスカートリッジを挿入して装着するため、また装置本体100からプロセスカートリッジを引き出して取り出すためのカートリッジ装着口部30が設けられている。
そのカートリッジ装着口部30の閉位置と開位置との間を開閉方向に移動する開きドア31が設けられている。開きドア31は、その基端辺に設けた図6に示すドアヒンジ32を回動中心にして装置本体100に対して開閉方向に回動する。また、開きドア31はドアヒンジ32から立て起こし方向に回動し、作動時や非使用時は図1に示すように、装置本体100を閉じ込んだ状態にする。ドアヒンジ32から装置本体100の手前側に倒せば、図7に示すように、装置本体100からプロセスカートリッジを取り出し可能な状態となる。これにより、装置本体100の正面側ではカートリッジ装着口部30が大きく開放される。ドア31の開閉操作は指掛け部31aを掛けて行う。
また、図13に示すように、装置本体100の骨格を形成するメインフレーム81を有している。この左側フレーム81Lの内側と右側フレーム81Rの内面どうしを対面させて、前後方向を長手とする左右一対のトレイ保持フレーム34L,34R(移動手段)34L,34Rが配置されている。それらトレイ保持フレーム34L,34R間には前後方向に水平にスライド移動可能にカートリッジ着脱用保持トレイ35が保持されている。Y,M,C,Kの各プロセスカートリッジはそのトレイ35に保持されている。
開きドア31の開動に連動して、上記トレイ保持フレーム34L,34Rは後述するように前方向と上方向に設定された量(距離)だけ移動する。その移動によってトレイ保持フレーム34L,34Rはその前側部が、図8に示すように、カートリッジ装着口部30から装置本体100の外側に設定長さ量だけ突出した位置に引き出される。
また、トレイ保持フレーム34L,34Rの移動に連動して、各プロセスカートリッジでは装置本体100に対して以下のような機械的かつ電気的な接続ON/OFF動作が行われる。各プロセスカートリッジの着脱に際してそれら各駆動入力部が装置本体100側の駆動出力部に機械的かつ電気的に接続ON/OFFされる。また、各プロセスカートリッジの着脱に際してそれらを位置決め固定する押圧部材の押圧力がON/OFFされる。また、各プロセスカートリッジの着脱に際してそれらの電気接点が装置本体100側の給電系統に電気的導通がON/OFFされ、給電状態または給電解除の状態になる。また、トレイ保持フレーム34L,34Rの移動に伴い、それまで固定されていたトレイ35の位置決めも解除される。
このような状態で、カートリッジ装着口部30から外部に出て覗いたカートリッジ着脱用保持トレイ35をその取手部35aに手指を掛けて引き出しを開ける。カートリッジ着脱用保持トレイ35をトレイ保持フレーム34L,34Rに対してスライドさせて手前に水平に引き出し、図8に示す状態まで引き出す。引き出されたカートリッジ着脱用保持トレイ35に保持されたY,M,C,K色の各プロセスカートリッジPY,PM,PC,PKは、それらの全体がカートリッジ装着口部30から引き出されてカートリッジ上面を開放する。必要量だけ十分にき出されたカートリッジ着脱用保持トレイ35はストッパ(図示略)によってそれ以上の引き出し移動を制止される。そのように引き出された状態でカートリッジ着脱用保持トレイ35はトレイ保持フレーム34L,34Rに安定して保持される。
カートリッジ着脱用保持トレイ35では、各プロセスカートリッジが真上に取り出せるようになり、また各プロセスカートリッジを真下に向かって移動させることも可能に保持している。そこで、交換すべき使用済みのプロセスカートリッジを、図8中の二点鎖線で図示するように、カートリッジ着脱用保持トレイ35から上方に持ち上げて抜き外す。そして、新しいプロセスカートリッジをカートリッジ着脱用保持トレイ35に対して上から嵌め込む。
その場合、感光体ドラム1の下面を保護する開閉式のドラムカバー(図示略)を有する型式のプロセスカートリッジでは、カートリッジ着脱用保持トレイ35から外したらカバーを手動で閉じ状態にする。また、新しいプロセスカートリッジはカートリッジ着脱用保持トレイ35に乗せる前にカバーを手動で開き状態にする。あるいは、プロセスカートリッジをカートリッジ着脱用保持トレイ35から上方に持ち上げて抜き外す過程でカバーが自動的に閉じ動作する。逆に、カートリッジ着脱用保持トレイ35に上から嵌め入れて乗せる過程で、カバーが自動的に開き動作する。
以上から分かるように、カートリッジ着脱用保持トレイ35はシートPの搬送方向に沿って移動する移動体である。カートリッジ着脱用保持トレイ35は、カートリッジ装着口部30からプロセスカートリッジを2つのポジションである第1〜第3位置に運び置くことができる。第1位置は、プロセスカートリッジを装置本体100の外側に取り出せるようになる引き出し開始位置と、プロセスカートリッジを外側から装置本体100の内側に装着できる挿入開始位置との間である。また、第2位置は画像形成時に感光体ドラム1に静電潜像を形成できる潜像形成位置である。
すなわち、第1位置では、カートリッジ着脱用保持トレイ35を引き出し開始位置に移動させる前に、挿入開始位置から上方向に移動させ、またその挿入開始位置に向けて下方向に移動させる。換言すれば、トレイ保持フレーム34L,34Rはカートリッジ着脱用保持トレイ35を移動可能に支持する支持部材であると同時に、カートリッジ着脱用保持トレイ35を第1位置と第2位置に位置させ得る移動体でもある。すなわち、開きドア31の閉動作に連動して、トレイ保持フレーム34L,34Rはその第1の位置から第2の位置に後退する。
図8に示す位置までカートリッジ着脱用保持トレイ35を引き出し、そのカートリッジ着脱用保持トレイ35に保持されているプロセスカートリッジのうち交換すべきものの新旧交換を終える。交換後、カートリッジ着脱用保持トレイ35を十分に押し込み移動させて装置本体100の内部に収納し、図7に示す引出し前の状態にした後、開きドア31を閉じて図1に示す状態に戻す。
開きドア31の閉動作に連動して、トレイ保持フレーム34L,34Rが後方向と下方に決められた設定量だけ移動することで、各プロセスカートリッジは装着位置に移動して位置決めされる。すなわち、トレイ保持フレーム34L,34Rの移動に連動して、各プロセスカートリッジは押圧部材によって押圧されて所定の位置決め部に固定された状態に保持され、各プロセスカートリッジ内の感光体ドラム1の下面がベルト本体13の所定位置にて接触する。そのようにしてプロセスカートリッジカートリッジの駆動入力部が装置本体100側の駆動出力部に機械的かつ電気的に接続し、導通状態になって給電可能に結合される。
(ドアとトレイ保持フレームの連動機構)
ここで、図6を参照して開きドア31とトレイ保持フレーム34L,34Rとの連動機構を示す。開きドア31のドアヒンジ32は装置本体100の左右方向に水平に延びている。そのシャフト左右両端部を装置本体100のメインフレームを構成する左右フレーム80L,80R(図13参照)間に渡して回転可能に軸支されている。開きドア31はドアヒンジ32に一体に結合されている。開きドア31の開閉動と一緒にドアヒンジ32が回動する。また、ドアヒンジ32の左右両端部寄りにはそれぞれ連結アーム37L,37Rを同じ位相で一体に結合させて設けてある。それら左右の連結アーム37L,37Rにはそれぞれ横向軸ピン37aが結合してあり、左側の連結アーム37Lの横向軸ピン37aは左側のトレイ保持フレーム34Lの前側下部に設けた縦長孔34bに嵌合している。また、右側の連結アーム37Rの横向軸ピン37aは右側のトレイ保持フレーム34Rの前側下部に設けた縦長孔34bに嵌合している。
図9(a)〜(c)に示すように、ドアヒンジ32とトレイ保持フレーム34L,34Rは、連結アーム37L,37Rと、横向軸ピン37aと、そして縦長孔34bとを介して連結されている。それによって開きドア31が開閉されると、左右のトレイ保持フレーム34L,34Rには前後方向への移動力が作用することになる。トレイ保持フレーム34L,34Rにはそれぞれ前後に間隔を開けて立ち上げ固定した2本のピン軸34cを装置本体100のメインフレームを構成する左右フレーム80L,80Rにそれぞれ設けたカイド孔36に係合させている。そのピン軸34cとカイド孔6との凹凸による係合でトレイ保持フレーム34L,34Rはそれぞれ左右フレーム80L,80Rに支持される。
右側のトレイ保持フレーム34Rは左側のトレイ保持フレーム34Lと同一形状であり、そのピン軸34cとカイド孔36とは左側のトレイ保持フレーム34Lに対称に形成されている。したがって、左右のトレイ保持フレーム34L,34Rはそれぞれカイド孔36による案内範囲において左右フレーム80L,80Rに対して移動できる自由度を有している。
図10は、上記カイド孔36の部分を拡大して示す。いずれのガイド孔36も前後方向で水平な第1ガイド領域36aと、この第1ガイド領域36aのピン軸前進方向に連設した昇り傾斜の第2ガイド領域36bを有している。また、第2ガイド領域36bの頂上部に連設したピン軸34cを受け止めて安定に保持する第3ガイド領域36cを有している。ピン軸34c、即ち左右のトレイ保持フレーム34L,34Rはドア31の開動作に連動して第1ガイド領域36aによって水平方向に距離a1だけ移動後、第2ガイド領域36bによって斜め上方(水平方向に距離a2、垂直方向に距離b)に移動する。そして、最後に第3ガイド領域36cによって水平方向に距離a3だけ移動する。
再び、図9(a)において、開きドア31が装置本体100にて完全に閉められた状態を示す。このとき左右のトレイ保持フレーム34L,34Rはヒンジ軸32と左右の連結アーム37L,37Rと、横向軸ピン37aと、そして縦長孔34bを介して装置本体100の内部後方へと移動している。ピン軸34cはガイド孔36の第1ガイド領域36aの後端部に位置している。そのために、左右のトレイ保持フレーム34L,34Rはそれぞれ左右の左フレーム80Lと右フレーム80Rに対して所定の下げ位置(第2の位置)に保持されている。したがって、トレイ保持フレーム34L,34Rに保持されているカートリッジ着脱用保持トレイ35も所定の下げ位置(第2位置:潜像形成位置)に保持されている。
カートリッジ着脱用保持トレイ35に保持されている各プロセスカートリッジPY,PM,PC,PKはそれぞれ左右側の上面部分が押圧部材93(図1参照)によって押圧されている。これにより、図12に示すように、駆動側の軸受部51と非駆動側の軸受部52との下面部分(被位置決め部)が装置本体100のステイ部材(内側板)に設けた位置決め部に固定される。そして、各プロセスカートリッジが装置本体100にて所定位置に位置決めして保持される。この状態において、各プロセスカートリッジ内の感光体ドラム1の下面は中間転写ベルトユニット12の上行側ベルト部分の上面に対して所定に安定に接している。また、各プロセスカートリッジのカップリング嵌合部53,54にはそれぞれ、装置本体100側のドラム駆動カップリングと現像駆動カップリングが嵌入している状態にある。
また、図11に示すように、カートリッジ着脱用保持トレイ35は下向きの突起部67の下端部が装置本体側の不動部材であるベルト保持部材68Lに設けた孔69Lに入って位置決めされている。このとき、コロ軸受92の突き当て部92aが左側のベルト保持フレーム68Lに突き当たり、付勢手段92bによって所定の力で下方向に押圧された状態となる。
したがって、コロ軸受92によって支持されるコロ部材91とベルト本体13との距離は、カートリッジ着脱用保持トレイ35の位置によらず、左側のベルト保持フレーム68Lの位置によって決定される。このため、カートリッジ着脱用保持トレイ35の上下方向の位置が部品精度や環境変動によってバラツキがあっても、コロ部材91の外形とベルト本体13の外周表面との距離を高精度に保つことができる。以上の効果は、本発明の効果として記載する「カートリッジを保持する保持手段はベルトとの間で高精度な位置関係が確保されているから、そうした保持手段に規制部材を設けたことで、その規制部材の取付位置精度も高精度が保証される。したがって、高精度の規制部材によって第1係合部を確実に規制できるという効果が得られる」という意味に要約される。
図9(b)に示す開きドア31を途中まで開いた状態時から、図9(a)に示すドア閉じ状態から開きドア31が開かれていくと、これに連動して左右のトレイ保持フレーム34L,34Rは装置本体内を前方向に引かれる。これにより、図10において、トレイ保持フレーム34L,34Rはピン軸34cが、カイド孔36の第1ガイド領域36aでガイドされて、先ず水平方向に距離a1前方向に移動する〔図9(b)〕。このトレイ保持フレーム34L,34Rの距離a1の移動過程において、各プロセスカートリッジに対するドラム駆動カップリングと現像駆動カップリングとが解除される。また各プロセスカートリッジの押圧部材93による位置決めも解除される。このとき、カートリッジ着脱用保持トレイ35がトレイ保持フレーム34L,34Rの動きに追従しないように、トレイに設けた下向きの突起部67の下端部が装置本体側の不動部材68Lに設けた孔69に係合して位置決めされている。
開きドア31の開動作に連動して、トレイ保持フレーム34L,34Rはさらに装置本体100の内部を前方向に引かれる。これにより、トレイ保持フレーム34L,34Rはピン軸34cがカイド孔36の第2ガイド領域36bで案内されて斜め上方に移動していく。トレイ保持フレーム34L,34Rの斜め上方への移動過程において、各カートリッジの電気接点55と装置本体側との電気的接続が解除される。
ここで、図11は、突起部67の孔69に対する進入量をcとし、カートリッジ着脱用保持トレイ35を保持しているトレイ保持フレーム34L,34Rの上記斜め上方移動に伴う上昇量をbとして示す。トレイ保持フレーム34L,34Rが斜め上方に移動する際、カートリッジ着脱用保持トレイ35の突起部67が孔69に係合している間(c>b)は、突起部67はトレイ保持フレーム34L,34Rの垂直方向の移動にのみ追従する。そして、トレイ保持フレーム34L,34Rがある程度持ち上がった状態(c≦b)で、突起部67が孔69から抜ける。このような構成にすることで、カートリッジ着脱用保持トレイ35に保持されている各カートリッジPY・PM・PC・PKのドラム下面がベルト本体13に接している状態ではカートリッジ着脱用保持トレイ35が水平方向に移動することはない。したがって、感光体ドラム1とベルト本体13との擦れによって生じる損傷、そしてメモリ発生を防止することができる。
また、図3(a)に示すように、コロ軸受92は、図9(a)の状態から距離dだけ下方向に移動すると、コロ軸受92に設けた爪部92dがカートリッジ着脱用保持トレイ35に設けたコロ軸受規制部35hに突き当たって止まるようにしている。このため、トレイ保持フレーム34L,34Rがある程度持ち上がった状態(d≦b)では、コロ軸受92の突き当て部92aはベルト保持フレーム68R,68Lから離れる。したがって、コロ軸受92はベルト保持フレーム68R,68Lと摺動することなく、カートリッジ着脱用保持トレイ35とともに容易に水平方向に移動させることができる。
図9(c)は、開きドア31が完全に開かれた状態時を示している。この状態時においては、トレイ保持フレーム34L,34Rは第2ガイド領域36bによる斜め上方移動を終えて、ピン軸34cが水平の第3ガイド領域36cに位置している。すなわち、トレイ保持フレーム34L,34Rは斜め上方に移動に移動した後に水平方向に移動する。これは、その後にトレイ保持フレーム34L,34Rからカートリッジ着脱用保持トレイ35を引き出してカートリッジ交換時、プロセスカートリッジやトレイ保持フレーム34L,34Rの高さ方向の位置を安定させるためである。加えて、トレイ保持フレーム34L,34Rが元位置に戻ろうとする動きを防止するためである。
図9(c)に示す状態は、突起部67が孔69Lから抜けており、カートリッジ着脱用保持トレイ35の位置決め状態が解除されている。また、コロ軸受92の突き当て面92aは、ベルト保持フレーム68R,68Lから離れた状態となっている。したがって、カートリッジ着脱用保持トレイ35はトレイ保持フレーム34L,34Rに対して前後方向に水平にスライド移動の操作が自由である。
突起部67と孔69Lは、移動体であるカートリッジ着脱用保持トレイ35が装置本体内の装着位置において、感光体ドラム1とベルト本体13が接触する方向と交差する方向に移動しないように規制する移動規制手段である。この移動規制手段67,69Lによるカートリッジ着脱用保持トレイ35の移動規制は、移動手段である左右のトレイ保持フレーム34L,34Rの感光体ドラム1とベルト本体13が接触する方向成分の移動に倣う。それによってカートリッジ着脱用保持トレイ35が追従した後に解除される。
また、移動体である左右のトレイ保持フレーム34L,34Rは第1ガイド領域36aに案内されて、感光体ドラム1とベルト本体13が接触する方向と交差する方向に移動する(第1移動)。また、トレイ保持フレーム34L,34Rはその後に第1ガイド領域36aに案内され、感光体ドラム1とベルト本体13が接触する方向と、その接触する方向と交差する方向との2つの方向成分を有する斜め方向に移動する(第2移動)。トレイ保持フレーム34L,34Rは、その後に感光体ドラム1とベルト本体13が接触する方向と交差する方向に移動する(第3移動)。トレイ保持フレーム34L,34Rは、上記の第1移動においてプロセスカートリッジの駆動をOFFにする。そして、感光体ドラム1とベルト本体13が接触する方向成分の移動に倣って、カートリッジ着脱用保持トレイ35が追従した後に移動規制手段67,69Lが解除される。これに伴い、ベルト本体13の内面に設けた突き当てリブ13aの乗り上げを防止するコロ部材91とコロ軸受92は、ベルト保持フレーム68R,68Lに当接したリブ乗り上げを防げる位置から離間する。すなわち、カートリッジ交換時にカートリッジ着脱用保持トレイ35とともに装置本体外に移動可能な離間位置へと移動する。
以上説明したように、プロセスカートリッジの交換操作に伴い、ベルト本体13側に設けた突き当てリブ13aが乗り上げるのを防止する部材をベルト近傍から退避させる。それによって、カートリッジ取り出し経路上に乗り上げを防止する部材を配置した場合であっても乗り上げ防止部材を回避してカートリッジを取り出す必要はなくなる。そのため、画像形成装置本体の小型化が可能となる。また、通常行うカートリッジ交換操作にともなって乗り上げ防止部材を移動させることができるため、乗り上げ防止部材の移動によりカートリッジ交換操作が複雑になり、ユーザへの利便性を損なうことはない。