以下添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
[本印刷システム1000を含む印刷環境10000全体のシステム構成の説明]
まず、ここでは、本印刷システム1000を含むPOD環境(図1の印刷環境10000)の現場全体のシステム環境について説明する。このような印刷環境自体も本形態の特徴の1つである。
尚、本形態では、この本印刷システム1000が適用可能な印刷環境10000のことを、POD環境に適したものであることから、PODシステム10000と呼ぶことにする。
図1のPODシステム10000は、構成要素として、本形態の印刷システム1000、サーバコンピュータ103、クライアントコンピュータ104(これを、以下PCと呼ぶ)を具備する。又、紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108、スキャナ102等も具備する。このように複数の装置がPODシステム10000に用意されている。
本印刷システム1000は、構成要素として、印刷装置本体100及びシート処理装置200を具備する。尚、印刷装置100の1例として、本形態では、コピー機能及びPCプリント機能等複数の機能を具備する複合機で説明するが、PC機能のみ或いはコピー機能のみの単一機能型の印刷装置であっても、良い。尚、該複合機のことを、以下では、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ぶ。
ここでは、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108を、本印刷システム1000が具備するシート処理装置200と同様に、シート処理装置と定義する。何故なら、本印刷システム1000が具備する印刷装置100で印刷されたジョブのシートに対するシート処理を実行可能な装置であるからである。例えば、紙折り機107は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの折処理を実行可能に構成されている。断裁機109は、複数枚のシートで構成されるシート束単位で、印刷装置100で印刷されたシートの断裁処理を、実行可能に構成されている。中綴じ製本機110は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの中綴じ製本処理を実行可能に構成されている。くるみ製本機108は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートのくるみ製本処理を実行可能に構成されている。但し、これらのシート処理装置で各種シート処理を実行させるには、印刷装置100で印刷されたジョブの印刷物を該印刷装置100の排紙部からオペレータが取出し、且つ、処理対象となるシート処理装置に、その印刷物をセットする作業が必要である。
このように、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200以外のシート処理装置を利用する場合には、印刷装置100による印刷処理後にオペレータによる介入作業を要する。
一方、本印刷システム1000のシート処理装置200を利用して印刷装置100により印刷されたジョブにて要するシート処理を実行させる場合には、該装置100による印刷処理の実行後にオペレータによる介入作業は不要である。何故なら、印刷装置100からシート処理装置200に対しては、印刷装置100で印刷されたシートを、直接、供給出来るように構成されているからである。具体的には、印刷装置100内部のシート搬送路が、シート処理装置200内部のシート搬送路に、連結可能に構成されている。また、本印刷装置100とシート処理装置200は、互いに電気的に接続され、またともにCPUを具備し、データ通信可能に構成されている。
尚、本形態では、本印刷システム1000が具備する制御部が、これら印刷装置100とシート処理装置200を統括的に制御している。この1例として、本例では、図2の印刷装置100内部のコントローラ部205が統括制御を行う。尚、本形態では、これらシート処理装置の事を、後処理装置やポストプレスとも呼ぶ。
図1のPODシステム10000における、これら複数の装置のうちの、中綴じ製本機110以外の装置は、全て、ネットワーク101に接続されており、互いに他装置とデータ通信可能に構成されている。
例えば、PC103、PC104等の外部装置の一例に該当する情報処理装置からネットワーク101を介して送信された印刷実行要求とともに送信された印刷データを、印刷装置100により印刷させる。
又、例えば、ネットワーク通信により他の装置とのデータの送受を実行することで、サーバPC103は、本PODシステム10000にて処理すべき全てのジョブの全体を管理する。換言すると、複数の処理工程からなる一連のワークフローの工程全体を統括管理するコンピュータとして機能する。該PC103は、オペレータから受け付けたジョブの指示に基づいて、本PODシステム10000にて仕上げ可能な後処理条件を決定する。且つ、エンドユーザ(この例では印刷の作成依頼をした顧客)の要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。この際に、サーバ103が、JDF(Job Definition Format)などの情報交換ツールを用いて、ポストプレス内部でのコマンドやステータスでそれぞれの後処理機器と情報交換している。
以上のような構成要素を具備するPODシステム10000において、上記各シート処理装置を、本形態では、3種類に分類して、以下のように、定義している。
[定義1]
以下に列挙の(条件1)と(条件2)の両方を満たす装置に該当するシート処理装置を、「インラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、インラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
(条件1) 印刷装置100から搬送されるシートをオペレータの介入無しに直接的に受容出来るように、紙パス(シート搬送路)が、印刷装置100と連結されている。
(条件2) 操作指示や状況確認等に要するデータ通信を他装置と出来るように、他装置と電気的に接続されている。具体的には、印刷装置100とデータ通信可能に電気的に接続されている事、或いは、ネットワーク101を介して印刷装置100以外の装置(例えば、PC103、PC104等)とデータ通信可能に電気的に接続されている事。これら少なくとも何れかの条件を満たすものを、(条件2)に合致するものとする。
即ち、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200は、「インラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、上記の如く、シート処理装置200は、印刷装置100と紙パスが連結され、且つ、印刷装置100と電気的に接続されたシート処理装置であるからである。
[定義2]
前述の(条件1)と(条件2)のうちの(条件1)は満たさないが、(条件2)を満たす装置に該当するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、ニアラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかし、操作指示や状況確認はネットワーク101等の通信手段を介して電気的に情報送受可能である。このような条件に合致するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108は、「ニアラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、これらのシート処理装置は、印刷装置100と紙パスが連結されていない。しかし、少なくとも、ネットワーク101を介して、PC103やPC104等の他装置とデータ通信可能なように電気的に接続されたシート処理装置であるからである。
[定義3]
前項に掲げる(条件1)と(条件2)の何れの条件も満たさない装置に該当するシート処理装置を、「オフラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、オフラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかも、操作指示や状況確認に要する通信ユニットも具備しておらず、他装置とのデータ通信も不可能である。故に、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を手作業で行う必要がある。このような条件に合致するシート処理装置を「オフラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の中綴じ製本機110は「オフラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、このシート処理装置は、印刷装置100と紙パスが連結されていない。しかも、ネットワーク101にも接続不可で、他装置とデータ通信不可なシート処理装置であるからである。
以上の如く、3つの種類に分類する各種シート処理装置を具備する本PODシステム10000にて、様々なシート処理を実行可能に構成している。
例えば、断裁処理、中綴じ製本処理、くるみ製本処理、シートの折処理、穴あけ処理、封入処理、帳合処理、等の様々なシート加工処理を、印刷装置100により印刷処理されたジョブの印刷媒体に対して実行可能に構成している。このように、エンドユーザ(顧客)が望む製本印刷体裁でもってシート加工を実行可能に構成されている。
サーバPC103が管理するニアラインフィニッシャやオフラインフィニッシャには、他にも、ステープラ専用装置、穴あけ専用装置、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。サーバ103は、これらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで、逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況を、ネットワーク101経由で把握する。且つ、本PODシステム10000にて処理すべき多数のジョブの各ジョブの実行状況(進捗状況)を管理する。
尚、本形態は、上述の複数の記録紙処理をそれぞれ別々のシート処理装置により実行可能にする構成でも、複数種類の記録紙処理を1台のシート処理装置が実行可能にする構成でも良い。又、複数のシート処理装置のうちのいずれかのシート処理装置を本印刷システム1000に具備させる構成でも良い。
ここで、本形態の更なる着目点について説明しておく。
図1の印刷システム1000は、印刷装置100と、該印刷装置100に着脱可能なインラインタイプのシート処理装置200を具備している。つまり、このシート処理装置200は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、直接的に、シート搬送路を介して、受容可能な装置である。且つ、ユーザインタフェース部を介して印刷実行要求と共にユーザが要求したシート処理を、印刷装置100のプリンタ部203により印刷されたジョブのシートに対して実行するシート処理装置である。
本形態のシート処理装置200は、一連のシート処理装置群200として、定義することも可能である。また本形態では、シート処理装置200として、互いに異なる筐体で構成され、且つ独立して使用可能な、複数台のシート処理装置を、印刷装置100に連結して利用可能に構成されている。この1例として、図1に示す、印刷システム1000は印刷装置100と3台のシート処理装置とを具備している構成である。図1の印刷システム1000は、3台のシート処理装置が印刷装置100に直列接続されている。本例では、このように複数台のシート処理装置を印刷装置100に接続された構成をカスケード接続と呼ぶ。これら印刷装置100にカスケード接続される、一連のシート処理装置群200に包含される、複数台のシート処理装置は、全て、インラインフィニッシャとして、本形態で取り扱っている。且つ、本システム1000の制御部の1例に該当する図2のコントローラ205が、印刷装置本体100及びこれら複数台のインラインタイプのシート処理装置を統括的に制御し、以下の実施形態で述べる各種制御を実行する。このような特徴点も具備している。尚、この構成については、図3等を用いて後述する。
[本システム1000の内部構成(主にソフト構成)]
次に、本印刷システム1000の内部構成(主に、ソフト構成)について、図2のシステムブロック図でもって説明する。尚、本例では、本印刷システム1000が具備する図2に示す各ユニットのうちのシート処理装置200(厳密にいえば、複数台のインラインタイプのシート処理装置で構成可能な一連のシート処理装置群)以外のユニットは全て印刷装置100内部に具備している。シート処理装置200は、本印刷装置100に対して、着脱可能なシート処理装置であり、印刷装置100のオプションとして提供可能に構成されている。これにより、PODシステムにて、ユーザが必要とするインラインフィニッシャを、必要な台数分、提供可能にする等の効果を図っている。
印刷装置100は、自装置内部に複数の処理対象となるジョブのデータを記憶可能なハードディスク209(以下、HDDとも呼ぶ)等の不揮発性メモリを具備する。且つ、印刷装置100自身が具備するスキャナ部201から受付けたジョブデータを該HDDを介してプリンタ部203で印刷するコピー機能を具備する。且つ、PC103、PC104等の外部装置から通信部の1例に該当する外部I/F部202ユニットを介して受付けたジョブデータを該HDDを介してプリンタ部203で印刷する印刷機能等を具備する。印刷装置100は、このような複数の機能を具備したMFPタイプの印刷装置(画像形成装置とも呼ぶ)である。
尚、本形態の印刷装置は、カラープリント可能な印刷装置でも、モノクロプリント可能な印刷装置でも、本形態で述べる各種制御を実行可能であるならば如何なる構成でも良い。
本形態の印刷装置100は、原稿画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理するスキャナ部201を具備する。又、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受する外部I/F部202を具備する。又、スキャナ部201及び外部I/F部202の何れかから受付けた複数の印刷対象となるジョブの画像データを記憶可能なハードディスク209を具備する。又、ハードィスク209に記憶された印刷対象のジョブのデータの印刷処理を印刷媒体に対して実行するプリンタ部203を具備する。又、本印刷装置100は、本印刷システム1000が具備するユーザインタフェース部(UI部ともいう。)の一例に該当する、表示部を有する操作部204も、具備する。本印刷システム1000にて提供しているユーザインタフェース部の別の例としては、例えば、PC103やPC104の外部装置の表示部及びキーボードやマウス等がこれに該当する。
本印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当するコントローラ部(制御部、或いは、CPUとも呼ぶ)205は、本印刷システム1000が具備する各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。ROM207には、後述する図31,29に示すフローチャートの各種処理等を実行する為のプログラムを含む本形態にて要する各種の制御プログラムが記憶されている。又、ROM207には、図示しているユーザインタフェース画面(以下、UI画面と呼ぶ)を含む、操作部204の表示部に各種のUI画面を表示させる為の表示制御プログラムも記憶されている。制御部205は、ROM207のプログラムを読出実行することで、本形態にて説明する各種の動作を本印刷装置により実行させる。外部I/F202を介して外部装置(PC103やPC104等)から受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを解釈し、ラスターイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行する為のプログラム等もROM207に記憶されている。これらは、ソフトウェアによって処理される。
ROM207は読み出し専用のメモリで、ブートシーケンスやフォント情報等のプログラムや上記のプログラム等各種プログラムが予め記憶されている。RAM208は読み出し及び書き込み可能なメモリで、スキャナ部201や外部I/F202よりメモリコントローラ206を介して送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報を記憶する。
HDD(ハードディスク)209は、圧縮伸張部210によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。当該HDD209に、処理対象となるジョブのプリントデータや、制御に用いるための変数を記憶しておく種々の記憶部等複数のデータを保持するように構成されている。制御部205は、スキャナ部201や外部I/F部202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブのデータを、該HDD209を介して、プリンタ部203でプリントするように制御する。又、外部I/F202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このようにHDD209に格納した処理対象のジョブのデータの各種の出力処理を実行するように制御部205により制御する。圧縮伸張部210は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等を圧縮・伸張動作を行う。
以上のような構成のもと、本印刷システムが具備する制御部の1例としての制御部205が、図1の説明の如く、インラインタイプのシート処理装置200の動作も制御する。この説明も含む、本印刷システム1000のメカ構成について、図3等でもって説明する。
[本システム1000の装置構成(主にメカ構成)]
次に、本印刷システム1000の構成(主に、メカ構成)について、図3の装置構成説明図でもって説明する。
尚、上述したように、本印刷システム1000は、複数台のインラインタイプのシート処理装置を、印刷装置100にカスケード接続可能に構成している。又、印刷装置100に接続可能なインラインタイプのシート処理装置は、特定の制限のもと、本形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数接続できる。
故に、説明をより明瞭化すべく、図2や図3では、シート処理装置200は、一連のシート処理装置群として、N台接続可能であるものとしている。且つ、1台目のシート処理装置から順に、シート処理装置200a、200b、、、、、と示し、N台目のシート処理装置として、シート処理装置200nと示している。尚、図1〜図3では、説明上、シート処理装置200の形状が、図のような形状となっているが、しかし、本来の概観は、後述するような構成となっている。
まず、これらインラインタイプのシート処理装置200によるシート処理を実行する前の工程に該当する印刷装置100における印刷処理を実行する際の、メカ構成を説明する。主に、図2のコントローラ部(以下制御部又はCPUと呼ぶ)205が印刷装置100に実行させる、プリンタ部203の内部からシート処理装置200の内部へ印刷処理がなされたジョブのシートを供給する時点迄のペーパハンドリング動作等を説明する。
図3に示す符号301〜322のうち、301は、図2のスキャナ部201のメカ構成に該当する。302〜322が、図3のプリンタ部203のメカ構成に該当する。尚、本形態では、1DタイプのカラーMFPの構成について説明する。尚、4DタイプのカラーMFP、白黒MFPも、本形態の印刷装置の一例であるが、ここでは説明を割愛する。
図3の自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、スキャナ302によって原稿を走査するために原稿台ガラス上へ搬送する。スキャナ302は、原稿台ガラス上に搬送された原稿の画像を読み取り、CCDによって画像データに変換する。回転多面鏡(ポリゴンミラー等)303は、画像データに応じて変調された、例えばレーザ光などの光線を入射させ、反射ミラーを介して反射走査光として感光ドラム304に照射する。感光ドラム304上に前記レーザ光によって形成された潜像はトナーによって現像され、転写ドラム305上に貼り付けられたシート材に対してトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することによりフルカラー画像が形成される。4回の画像形成プロセスの後に、フルカラー画像形成された転写ドラム305上のシート材は、分離爪306によって分離され、定着前搬送器307によって定着器308へ搬送される。
定着器308は、ローラやベルトの組合せによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート材上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。排紙フラッパ309は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。排紙フラッパ309が図中時計回りの方向に揺動しているときには、シート材は真直ぐに搬送され、排紙ローラ310によって機外へ排出される。一方、シート材の両面に画像を形成する際には、排紙フラッパ309が図中反時計回りの方向に揺動し、シート材は下方向に進路を変更され両面搬送部へと送り込まれる。両面搬送部は、反転フラッパ311、反転ローラ312、反転ガイド313および両面トレイ314を具備する。
反転フラッパ311は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。制御部205は、両面印刷ジョブを処理する場合、プリンタ部203でシートの第1面にプリント済みのシートを、反転フラッパ311を図中反時計回りの方向に揺動させ、反転ローラ312を介して、反転ガイド313へと送り込むよう制御する。そして、シート材後端が反転ローラ312に狭持された状態で反転ローラ312を一旦停止させ、引き続き反転フラッパ311が図中時計回りの方向に揺動させる。且つ、反転ローラ312を逆方向に回転させる。これにより、該シートスイッチバックして搬送させ、シートの後端と先端が入れ替わった状態で、該シートを両面トレイ314へと導くよう制御する。
両面トレイ314ではシート材を一旦積載し、その後、再給紙ローラ315によってシート材は再びレジストローラ316へと送り込まれる。このときシート材は、1面目の転写工程とは反対の面が感光ドラムと対向する側になって送られてきている。そして、先述したプロセスと同様にして該シートの第2面に対して2面目の画像を形成させる。そして、シート材の両面に画像が形成され、定着工程を経て排紙ローラ310を介して印刷装置本体内部から機外へと該シートを排出させる。制御部205は、以上のような一連の両面印刷シーケンスを実行することで、両面印刷対象のジョブのデータのシートの第1面と第2面の各面に対する両面印刷を本印刷装置により実行可能にする。
給紙搬送部は、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとしての給紙カセット317、318(例えば、夫々500枚のシートを収容可能)、ペーパーデッキ319(例えば、5000枚のシートを収納可能)、手差しトレイ320等がある。又、これら給紙ユニットに収納されたシートを給送するユニットとして、給紙ローラ321、レジストローラ316等がある。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319には、各種のシートサイズで且つ各種のマテリアルのシートを、これらの各給紙ユニット毎に、区別して、セット可能に構成されている。
手差しトレイ320も、OHPシート等の特殊なシートを含む各種の印刷媒体をセット可能に構成されている。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319、手差しトレイ320には、それぞれに給紙ローラ321が設けられ1枚単位でシートを連続的に給送可能に構成される。例えば、ピックアップローラによって積載されたシート材が順次繰り出され、給紙ローラ321に対向して設けられる分離ローラによって重送が防止されてシート材は1枚ずつ搬送ガイドへと送り出される。ここで、分離ローラには搬送方向とは逆方向に回転させる駆動力が図示しないトルクリミッタを介して入力されている。給紙ローラとの間に形成されるニップ部にシート材が1枚だけ進入しているときには、シート材に従動して搬送方向に回転する。
一方、重送が発生している場合には搬送方向とは逆方向に回転することにより重送したシート材が戻され、最上部の1枚だけが送り出されるようになっている。送り出されたシート材は搬送ガイドの間を案内され、複数の搬送ローラによってレジストローラ316まで搬送される。このときレジストローラ316は停止しており、シート材の先端がレジストローラ316対で形成されるニップ部に突き当たり、シート材がループを形成し斜行が補正される。その後、画像形成部において感光ドラム304上に形成されるトナー像のタイミングに合わせて、レジストローラ316は回転を開始してシート材を搬送する。レジストローラ316により送られたシート材は、吸着ローラ322によって転写ドラム305表面に静電気的に吸着される。定着器308から排出されたシート材は、排出ローラ310を介して、シート処理装置200内部のシート搬送路へ導入される。
制御部205は、以上のような印刷プロセスを経て、印刷対象となるジョブを処理する。
制御部205は、UI部を介してユーザから受付けた印刷実行要求に基づき、データ発生源からHDD209に記憶させた該ジョブの印刷データの印刷処理を、上記方法でもって、プリンタ部203により、実行させる。また、制御部205は、印刷処理をし終わったジョブに関する情報を履歴として、HDD209内に用意したジョブ履歴情報記憶部に記憶しておく。ジョブに関する情報には、例えば、当該ジョブに一意に振られる受付番号やジョブ名、印刷日時や、ページ数、印刷設定、印刷レイアウトなどがある。また、ジョブの印刷時に要したシートの枚数をカウントしておき、保持しておくようにしてもよい。
尚、例えば、印刷実行要求を操作部204から受付けたジョブのデータ発生源は、スキャナ部201を意味する。又、印刷実行要求をホストコンピュータから受付けたジョブのデータ発生源は、当然ホストコンピュータである。
又、制御部205は、処理対象のジョブの印刷データを、先頭ページから順番にHDD209に記憶させ、且つ、先頭ページから順番にHDD209から該ジョブの印刷データを読み出して、シート上に該印刷データの画像を形成させる。このような先頭ページ処理を遂行する。且つ、制御部205は、先頭ページから順番に印刷されるシートを、画像面が下向きで、シート処理装置200内部のシート搬送路へ供給させる。その為に、排紙ローラ310によりシート処理装置200内部へシートを導入する直前で、定着部308からのシートの表裏を反転させる為のスイッチバック動作をユニット309、312等を用いて実行させる。このような、先頭ページ処理に対処する為のペーパハンドリング制御も制御部205は実行する。
次に、本印刷システム1000が印刷装置100と共に具備するインラインタイプのシート処理装置200の構成について説明する。
本形態のシステム1000は、図3に示すが如く、印刷装置100にカスケード接続可能なインラインタイプのシート処理装置を合計n台としている。この台数は、例えば、可能な限り何台でも設置可能に構成しても良い。しかし、少なくとも、プリンタ部203により印刷がなされたシートをオペレータによる介入作業無しに機内のシート処理部へ供給可能な構成のシート処理装置の利用を要する。換言すると、例えば、印刷装置100が具備する排紙ローラ309を経てプリンタ部203内部から排出される印刷媒体を機内で搬送可能なシート搬送路(紙パス)を具備するシート処理装置の利用を要する。このような制約事項は遵守するように構成されている。
とはいうものの、本形態の効果を向上させる為の1つの仕組みとして、このような制約事項を遵守した範囲内では、柔軟に本印刷システム1000を構築可能に構成している。
例えば、インラインタイプのシート処理装置を3台接続したり、5台接続したり、接続数も任意とする。勿論、オフラインタイプのシート処理装置の利用効率を向上させるが故に、インラインタイプのシート処理装置は不要と管理者が判断するようなPOD環境も想定している。例えば、インラインタイプのシート処理装置を全く利用しない(即ち、0台)場合でも、本形態の印刷装置100は当然利用可能にする。
又、例えば、複数台のインラインタイプのシート処理装置を印刷装置100にカスケード接続する場合に、それら複数台のシート処理装置の接続順番も、管理者等の特定ユーザにより、予め決められた制約の範囲内で、任意に、変更、決定可能に構成している。
但し、上記のような仕組みは、ユーザ利便性を向上させるための仕組みであるが故に、必ずしも必須の構成要件としなくても良い。例えば、本印刷システム1000にて利用可能なインラインタイプのシート処理装置の台数や、それらの装置の接続順序が、一律に規定されているようなシステム構成でも良い。少なくとも、後述する各種ジョブ制御の少なくとも何れかを実行可能に構成されるならば、如何なるシステム構成でも装置構成でもあってもよい。
尚、本印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等は、後述する。
[本システム1000のUI部の1例に該当する操作部204の構成]
図4等を用いて、本システム1000の印刷装置100が具備する本システム1000におけるユーザインタフェース部(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する操作部204について説明する。
操作部204は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル部401を、有する。
図5に示すように、キー入力部402は、操作部電源スイッチ501を具備する。該スイッチ501のユーザ操作に応答し、制御部205は、スタンバイモード(通常動作状態)とスリープモード(ネットワーク印刷やファクシミリ等に備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止して消費電力を抑えている状態)を選択的に切換るよう制御する。制御部205は、該スイッチ501のユーザ操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がON状態にて、受付可能に制御する。
スタートキー503は、処理対象となるジョブのコピー動作や送信動作等、ユーザにより指示された種類のジョブ処理を印刷装置に開始させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。ストップキー502は、受付けたジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にする為のキーである。クリアキー507は、キー506を介してユーザにより設定された置数等の各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象のジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、且つ、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受付る為のキーである。ユーザモードキー505は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。
次に、図6は、本印刷システムが提供するユーザインタフェースユニットの一例に相当するタッチパネル部(以下、表示部とも呼ぶ)401を説明する図である。該タッチパネル部401はLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示部)とその上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有す。当該ユニット401は、操作者からの各種設定を受付ける機能と操作者に情報を提示する機能を兼ね備える。例えば、LCD上の有効表示状態の表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたのを検知すると、制御部205は、ROM207に予め記憶された表示制御プログラムに従い、該表示部401に該キー操作に応じた操作画面を表示可能に制御する。尚、図6は、本印刷装置の状態がスタンバイモード時(印刷装置により処理すべきジョブが無い状態)に表示部401に表示させる初期画面の一例である。
図6に示す表示部401上のコピータブ601がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するコピー機能の操作画面を表示部401に表示させる。送信タブ602がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するファックスやE−mail送信などデータ送信(Send)機能の操作画面を表示部401に表示させる。ボックスタブ603がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するボックス機能の操作画面を表示部401に表示させる。
尚、ボックス機能とは、HDD209に仮想的に予め設けているユーザ毎に区別して利用可能な複数個のデータ記憶ボックス(以下、ボックスと呼ぶ)を利用する機能である。当該機能にて、制御部205は、例えば、複数のボックスのうち、ユーザが所望のボックスを該ユーザによりユーザインタフェースユニットを介して選択可能にし、所望の操作をユーザから受付可能に制御する。例えば、制御部205は、操作部204を介して入力されたユーザからの指示に応答し、該ユーザにより選択されたボックスに対して、本印刷装置のスキャナ201から受付けたジョブの文書データを記憶可能にHDD209を制御する。又、外部I/F部202を介し受付けた外部装置(例えばPC103やPC104等)からのジョブの文章データ等も該外部装置のユーザインタフェース部を介し指定された該外部装置のユーザ指示に従い、該ユーザが指定したボックスに記憶可能にする。又、制御部205は、ボックスに記憶されたジョブのデータを、操作部204からのユーザ指示に従い、該ユーザが所望の出力形態で、例えば、プリンタ部203により印刷させたり、該ユーザの所望の外部装置に送信可能に外部I/F部202を制御する。
このよう各種のボックス操作をユーザにより実行可能にすべく、制御部205は、該ボックスタブ603のユーザ押下に応答し、表示部401にボックス機能の操作画面を表示可能に制御する。又、制御部205は、図6の表示部401の拡張タブ604がユーザにより押下された場合、スキャナ設定など拡張機能を設定するため画面を表示部401に表示させる。システムモニタキー617がユーザ押下された場合、MFPの状態や状況をユーザに通知する為の表示画面を表示部401に表示させる。
色選択設定キー605は、カラーコピー、白黒コピー、あるいは自動選択かを予めユーザにより選択可能にするための表示キーである。倍率設定キー608は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定をユーザにより実行可能にする設定画面を表示部401に表示させる為のキーである。
両面キー614がユーザにより押下された場合、制御部205は、印刷対象となるジョブのプリント処理にて片面印刷か両面印刷のどちらを実行させるかを該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。又、用紙選択キー615のユーザ押下に応答し、制御部205は、印刷対象のジョブの印刷処理に要する給紙部やシートサイズやシートタイプ(メディアタイプ)を該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。キー612のユーザ押下に応答し、制御部205は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像処理モードを該ユーザにより選択可能にする為の画面を表示部401に表示させる。又、濃度設定キー611をユーザ操作することで、印刷対象となるジョブの出力画像の濃淡を調整可能にする。
又、図6を参照し、制御部205は、表示部401のステータス表示欄606に、スタンバイ状態、ウォームアップ中、プリント中、ジャム、エラー等、本印刷装置にて現在発生中のイベントの動作状態をユーザに確認させる為の表示を実行させる。又、制御部205は、処理対象となるジョブの印刷倍率をユーザに確認させる為の情報を、表示欄607に、表示させる。又、処理対象となるジョブのシートサイズや給紙モードをユーザに確認させる為の情報を、表示欄616に、表示させる。又、処理対象となるジョブの印刷部数をユーザに確認させる為の情報や、プリント動作中にて何枚目を印刷中かをユーザに確認させる為の情報を、表示欄610に、表示させる。このように、制御部205は、ユーザに通知すべき各種情報を表示部401に表示させる。
更に、制御部205は、割り込みキー613がユーザにより押下された場合、本印刷装置により印刷中のジョブの印刷を停止させ、該ユーザのジョブの印刷を実行可能にする。応用モードキー618が押下された場合、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行う画面を表示部401に表示させる。
また、制御部205は、処理対象となるジョブの為の設定として、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200が具備するシート処理部によるシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示をUI部により実行させる。この表示を該UI部に実行させる為の指示自体をユーザから受付可能にする表示も該UI部により実行させる。
この1例として、制御部205は、表示部401に図6の表示キー609を表示させる。このシート処理設定キー609がユーザ押下されたとする。この場合、制御部205は、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を用いて実行可能なシート処理の選択候補の中からユーザが所望のシート処理をユーザ自身により特定可能にする表示を、表示部401に、実行させる。尚、この図7の表示に例示する「シート処理設定キー609」のことを、図26以降で例示では、「フィニッシングキー」とも呼ぶ。即ち、同じ機能ボタンを意味する。故に、後述する説明では、「シート処理」のことを「フィニッシィング」とも呼ぶ。又、「パンチ処理」に関しても、POD環境では、様々なパンチ処理(印刷済みのシートに対する穿孔処理)を行うニーズが想定される。
そこで、図26以降の例示では、複数種類のパンチ処理に該当する、「2穴パンチ(シートの綴じ辺に該当するシート端部に2箇所穴をあける処理)「多穴パンチ(シートの端部に30穴等の多数の穴をあける処理)」を例示している。これらの処理は、上記構成に対応すべく、図8〜図13に示す中綴じ製本機が具備するパンチユニットにより実行可能にするものとする。換言すると、これ以外の装置やユニットを用いて、これらのパンチ処理を実行可能に構成しても良い。但し、上記例示の如く、インラインフィニッシャの定義に該当する装置を本システム1000にて利用を許可し、これに該当しない装置は本システム1000での利用を禁ずるよう構成する。
例えば、本例では、キー609がユーザにより押下された事に応答し、表示部401に図7の表示を実行させる。制御部205は、図7の表示を介して、処理対象のジョブにて印刷されたシートに対してインラインシート処理装置200により実行すべきシート処理の実行要求を受付可能に制御する。
但し、制御部205は、図7の表示を介して選択可能なシート処理装置の候補は、本システム1000が如何なるシート処理装置を具備するのか、その装備状況に応じて、決定する。例えば、図7の表示では、プリンタ部203により印刷されたシートに対して以下に列挙する複数種類のシート処理のうちの何れかの種類のシート処理の実行要求をユーザから受付けることを許可している。
(1) ステイプル処理
(2) パンチ処理
(3) 折り処理
(4) シフト排紙処理
(5) 断裁処理
(6) 中綴じ製本処理
(7) 糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理
(8) 糊付け製本処理の別例に該当する天糊製本処理
(9) 大量積載処理
図7のUI制御例では、制御部205は、これら9種類のシート処理が選択候補となるよう操作部204を制御している。この理由は、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を利用することで、これら9種類のシート処理を選択的に実行可能であるからである。
逆に、本システム1000にて実行不可能な種類に該当するシート処理は、図7の表示にて選択候補の対象外となるよう、UI部を制御する。例えば、くるみ製本処理及び天糊製本処理を選択的に実行可能な1台のシート処理装置を本システム1000が具備していない場合、或いは、故障している場合等は、キー707及びキー708は選択無効状態となるよう制御する。例えば、制御部205は、グレーアウト表示な網掛け表示を実行させる。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受付けないように制御する。更に、上記9種類の候補以外の異なるシート処理を実行可能なシート処理装置を本システム1000が具備している場合は、そのシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示キーを、図7の表示にて、有効表示状態にするよう制御する。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受付ける事を許可する。このような表示制御も、本形態にて、後述するジョブ処理制御と共に実行可能に構成することで、ユーザの誤操作を防止可能にしている。
又、このような制御を実行するうえで、制御部205は、如何なるシート処理装置が、シート処理装置200として、本システム1000が具備しているかを特定するシステム構成情報を獲得する。又、該シート処理装置200にてエラーが発生しているか否か等を特定するステータス情報等も、上記制御の際に利用する。これらの情報を、制御部205は、例えば、UI部を介してユーザがマニュアル入力する事で獲得するか、シート処理装置200が印刷装置100と接続された際に、装置自身が信号線を介して出力する信号に基いて自動獲得する。このような構成を前提とし、制御部205は、当該獲得した情報に基いた表示内容でもって、図7の表示を、表示部401に実行させる。
尚、本システム1000は、PC103、PC104等の外部装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求、及び、該ジョブにて要するシート処理の実行要求を受付可能に構成している。このように外部装置からジョブを投入する場合は、印刷データの送信元となる該外部装置の表示部に図7の表示と同等機能の表示を実行させるよう制御する。この1例として、本例では、後述するような、プリンタドライバの設定画面を、PC103やPC104のコンピュータの表示部に表示させている。但し、このように外部装置のUIに表示を実行させる場合には、該装置の制御部が上記制御を実行する。例えば、PC103やPC104の表示部に後述するプリンタドライバUI画面を表示させる場合には、制御の主体は、該PCのCPUが実行する。
[本形態にて制御対象となる本印刷システム1000の具体的システム構成例]
本形態の特徴点の1例に関連し、本印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等のシステム構成に関し、図8、図9等を用いて説明する。
本形態は、図1〜図3に示すシステム1000として、例えば、図8、図9のようなシステム構成を構築可能に構成している。
図8のシステム構成例は、本システム1000が、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、合計3台のインラインタイプのシート処理装置を、一連のシート処理装置群200として、具備している事を意味する。尚且つ、図8の構成例は、本システム1000が具備する印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機という、接続順序で、接続されている事を意味する。本システム1000が具備する制御部の1例に該当する制御部205は、図8、図9のようなシステム構成からなる本印刷システム1000を統括的に制御する。
本例にて、大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートを、大量枚数(例えば、5000枚)、積載可能なシート処理装置である。
又、本例の糊付け製本機は、プリンタ部203で印刷された1束分のシートを表紙をつけて製本するにあたりシートの糊付け処理を要するくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置である。又、表紙をつけずに糊付け製本するシート処理に該当する天糊製本処理も該糊付け製本機により実行可能である。該糊付け製本機は、少なくともくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置であるので、くるみ製本機とも呼ぶ。
又、中綴じ製本機は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル処理、パンチ処理、断裁処理、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、を、選択的に実行可能なシート処理装置である。
本形態では、制御部205が、これらのシート処理装置に関わる各種のシステム構成情報を、各種制御に要する管理情報として、特定のメモリに登録させる。例えば、制御部205は、本システム1000が図8のようなシステム構成である場合、以下に列挙する情報を、HDD209に登録させておく。
(情報1) 本システム1000はインラインタイプのシート処理装置を具備している事を制御部205により確認可能にする為の装置有無情報。このように、本システム1000がインラインタイプのシート処理装置を具備しているか否かを制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報2) 本システム1000は、インラインタイプのシート処理装置200を3台具備している事を制御部205により確認可能にする為のインラインシート処理装置の台数情報。このように、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の台数を制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報3) 大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機を、本システム1000が具備している事を制御部205により特定可能にするインラインシート処理装置の種類情報。このように、本システム1000にて具備するインラインシート処理装置の種類を制御部により確認可能にする情報がこれに該当する。
(情報4) 上記3台のうち、1台は、プリンタ部203からのシートの大量積載処理を実行可能な大容量スタッカである事を制御部205により確認可能にする情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートの糊付け製本処理(くるみ製本処理、及び/又は、天糊製本処理)を実行可能な糊付け製本装置ある事を制御部205により確認可能にする装置能力情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、が、選択的に実行可能な中綴じ製本装置である事を制御部205により確認可能にする情報。換言すると、本システムにて実行可能なシート処理は、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本、折り、くるみ製本、天糊製本、大量積載の、合計9種類である事を制御部205により特定可能にする為の情報。このように、本システム1000のインラインタイプのシート処理装置にて実行可能なシート処理の能力情報を制御部により確認可能にする為の情報が、これに該当する。
(情報5) 上記3台のシート処理装置は、印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、の順序で、カスケード接続されている事を制御部205により確認可能にする為の情報。このように、複数台のインラインフィニッシャが接続されている場合に、これらシート処理装置の本システムにおける接続順序情報が、これに該当する。
以上の(情報1)〜(情報5)で示すが如くの、各種情報を、制御部205が各種制御にて要するシステム構成情報として、HDD209に登録する。且つ、制御部205は、この情報を後述するジョブ制御にて要する判断材料情報として、利用する。
以上の構成を前提とし、例えば、本印刷システム1000のシステム構成状況が、図8のようなシステム構成であるとする。このシステム構成にて制御部205が、どのような制御を実行するか、以下に例示する。
例えば、本システム1000が図8、図9のシステム構成である場合、上記9種類のシート処理を本システムにて全て実行可能である。この事実は、制御部205が、上記(情報1)〜(情報5)の判断材料に基づいて、認識する。且つ、当該認識結果に基づいて、制御部205が、図7の表示に示す合計9種類のシート処理を全て選択候補にするようUI部を制御する。且つ、該制御部205は以下のようなユーザ操作に応答した制御を実行する。
例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー701のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にステイプル処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するステイプル処理を、図8のシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー702のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にパンチ処理(シートの穴あけ処理)の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するパンチ処理を、図8のシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー703のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8のシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー704のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8のシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー705のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に中綴じ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの中綴じ製本処理を、図8のシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー706のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に折り処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの折り処理(例えば、Z折りと呼ばれるシート処理)を、図8のシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー707のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にくるみ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートのくるみ製本処理を、図8のシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー708のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に天糊製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの天糊製本処理を、図8のシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー709のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に大量積載処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの大量積載処理を、図8のシート処理装置200aに該当する大容量スタッカにより実行させる。
以上の如く、制御部205は、本システム1000が具備するシート処理装置にて実行可能な種類のシート処理に対応する選択候補の中からユーザが所望の種類のシート処理の実行要求を、UI部を介して、印刷実行要求と共に、受付可能に制御する。且つ、本形態で提供するUI部を介して処理対象となるジョブの印刷実行要求をユーザから受付け事に応答し、該ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。且つ、そのプリント処理がなされた該ジョブのシートに対して該ジョブにて要するシート処理を本システム1000のシート処理装置により実行させる。
尚且つ、本形態の特徴点の1例として、制御部205は、以下のような制御も本システム1000にて実行する。
例えば、システム1000が図8のようなシステム構成であるとする。換言すると、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→糊付け製本機→中綴じ製本機の順で接続されているとする。この場合のシステム構成内部の状況は、図9に示すような構成になる。
図9は、印刷システム1000の構成が図8のシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示している。且つ、図9の装置構成は、図8の装置構成に対応している。
図9では、システム1000全体の装置断面図を示している。且つ、図9の装置構成は、図8の装置構成に対応している。
図9の装置内部構成からも明らかなように、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートは、各シート処理装置の内部へと供給可能に構成されている。具体的には、図9に示すが如く、各シート処理装置は、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、夫々、具備する構成である。
且つ、図9のシート処理装置200aや200b等、各インラインタイプのシート処理装置は、自装置にて実行可能なシート処理が処理対象となるジョブにて必要でなくても、自装置よりも前に接続されている前段の装置からシートを受取る機能を具備する。且つ、該前段装置から受取ったシートを、自装置よりも後ろ接続されている後段の装置へと渡す機能を具備する。
このように、本形態の印刷システム1000は、処理対象のジョブにて要するシート処理とは異なるシート処理を実行するシート処理装置が前段の装置から後段の装置へと処理対象となるジョブのシートを搬送する機能を具備する。この構成も、本形態の特徴点の1例である。
以上が如くのシステム構成を前提とし、例えば、印刷システム1000が図8、9に示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図8、図9のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex大量積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図8、図9のシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9のA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex大量積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9に示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図9の排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9のシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図8、図9のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9の(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図8、図9のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図8、図9のシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9のA点及びB点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9に示す糊付け製本装置内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図9の排紙先Yにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9のシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図8、図9のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9の(ケース2)の制御例に該当する。
更に、一方、例えば図8、図9のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。(中綴じ製本処理によるシート処理には、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理がある。)ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図8、図9のシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9のA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図9に示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
尚、図9の排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図16の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図8、図9のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9の(ケース3)の制御例に該当する。
以上の如く、本形態の制御部の一例に該当する制御部205は、HDD209に記憶された本システム1000のシステム構成情報に基いたペーパハンドリング制御も、実行する。
尚、このシステム構成情報に該当する情報は、インラインフィニッシャを具備しているか否かの情報、インラインフィニッシャを具備している場合の、その装置の台数の情報、その装置の能力情報である。又、複数台のインラインフィニッシャを具備する場合には、それらの接続順序情報も、これに該当する。
図1〜図3、図8、図9等で説明したように、本形態の印刷システム1000は、印刷装置100に対して、複数台のインラインタイプのシート処理装置を接続可能に構成している。且つ、図8、9及び後述する図10、図11や図12、図13を対比参照しても明白なように、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置は、それぞれ独立に接続したり、外したり、自由な組合せで、印刷装置100に対して、取付可能に構成している。また、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序も、物理的に接続できれば、自由に組み合わせることができる。但し、本形態では、これらのシステムに構成に関し、制約事項も設けている。
例えば、本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する装置は、以下の構成要件を具備する装置としている。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能であり、且つ、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段装置へ渡すシート搬送機能を具備するシート処理装置。例えば、本例では、図8、図9や後述する図10、図11のシステム構成で示す、大容量スタッカ及び糊付け製本機が、これに該当する。
尚且つ、本形態では、上記構成に該当しないシート処理装置も、インラインタイプのシート処理装置として本システム1000にて利用を許可している。例えば、以下の要件を満たす装置がこれに該当する。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能である反面、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段の装置へ渡すシート搬送機能を具備しない、シート処理装置。例えば、本例では、図8、図9や後述する図10、図11や図12、図13のシステム構成で示す、中綴じ製本機が、これに該当する。但し、このような装置に対しては制約事項を設けている。
例えば、上記の如く、後段装置へのシート搬送機能が無い構成のインラインフィニッシャ(例えば図8、図9の中綴じ製本機)を本印刷システム1000にて利用する場合には、この装置の利用台数を1台のみとする。但し、これ以外のタイプのインラインフィニッシャを同時に利用することは許可する。
例えば、図8、図9や後述する図10、図11のシステム構成で示すが如く、大容量スタッカや糊付け製本機を、中綴じ製本機と併用して利用することは許可する。但し、このように、複数台のシート処理装置をカスケード接続して利用する場合、上記後段装置へのシート搬送機能を具備しないインラインタイプのシート処理装置は、シート搬送方向最下流に位置するように設置させる。
例えば、図8、図9や後述する図10、図11のシステム構成で示すが如く、中綴じ製本機は、システム1000にて1番最後に接続するように構成する。換言すると、図8、図9や後述する図10、図11のシステム構成とは異なるシステム構成として、大容量スタッカと糊付け製本機との間に上記中綴じ製本機を接続するように本システムにて構成する事は禁止する。
以上のような制約事項を遵守した範囲内での運用を行うよう本システムが具備する制御部は本システム1000を統括的に制御する。
この1例として、例えば、制御部205は、上記制約に違反するような接続順序でインラインタイプのシート処理装置が接続された場合には、UI部に警告表示を実行させる。又、例えば、上述した構成が如く、複数台のシート処理装置の接続順番をUI部を介してユーザ自身により入力させる構成の場合に、制御部205は、上記制約に違反するようなユーザ設定は無効にするよう制御する。例えば、不適正な接続の設定を阻止するべくグレーアウト表示や網掛け表示を実行させる。
以上のような構成を採用することで、本形態のような構成を採用する場合にて、ユーザ誤操作や装置誤動作等の発生を未然防止できる。即ち、本形態で述べている効果が更に向上する。
このような構成を前提とし、本形態では、上記制約事項を遵守する範囲内において、本システム1000のシステム構成を柔軟に構築可能に構成する。
例えば、インラインタイプのシート処理装置の接続順序や接続台数を、上記制約事項を遵守した範囲内で、PODシステム10000のオペレータにより任意に決定変更可能に構成する。且つ、本システム1000は、当該システム構成状況に応じた制御を実行する。この一例を以下に示す。
例えば、図8のシステム構成における複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序を変更したシステム構成の1例として、図10のようなシステム構成も構築可能に本印刷システム1000を構成している。
図10のシステム構成は、図8のシステム構成と比較して、本システム1000が具備する複数台のインラインシート処理装置の接続順序が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→糊付け製本機→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順で接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図11に示すような構成になる。
図11は、印刷システム1000の構成が図10のシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示す。且つ、図11のシステム構成は、図10のシステム構成の内部構成に対応している。
図11のシステム内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図11に示すが如く、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、プリンタ部203からのシートを搬送可能なシート搬送路を具備する。
しかも、図10、図11のシステム構成も、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を本印刷装置100にカスケード接続している。
以上の構成を前提とし、例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図10、図11に示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対し、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図10、図11のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex大量積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図10、図11のシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図11のA点及びB点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex大量積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図11に示す大容量スタッカ内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図11の排紙先Yにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。これにより、わざわざ、図11のシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図9のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図11の(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図10、図11のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図10、図11のシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図11のA点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図11に示す糊付け製本装置内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図11の排紙先Xにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。これにより、わざわざ、図11のシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図10、図11のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図11の(ケース2)の制御例に該当する。
更に、一方、例えば、図10、図11のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。(中綴じ製本処理によるシート処理には、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理がある。)ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図10、図11のシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図11のA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図11に示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
尚、図11の排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図16の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図10、図11のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図11の(ケース3)の制御例に該当する。
以上の図8、図9、図10、図11に例示した如く、本印刷システム1000は、インラインシート処理装置として利用を許可する複数台のシート処理装置の接続順序を、上記制約事項の範囲内で、柔軟に、組換え変更可能に構成している。このように、本形態で上述する効果を最大限に発揮する為の仕組みを多数盛り込んでいる。
この観点で、本形態では、図8、図9や図10、図11のようなシステム構成以外の構成も、本システム1000にて、適宜、構築可能に構成している。この一例を以下に説明する。
例えば、図8、図9や図10、図11のシステム構成では、インラインタイプのシート処理装置を3台具備するシステム構成を説明した。本形態では、インラインタイプのシート処理装置の台数を上記のような制約事項を遵守した範囲内で任意にユーザが決定可能に構成している。
この1例として、図12のようなシステム構成も構築可能に本印刷システム1000を構成している。
図12のシステム構成は、図8や図10のシステム構成とはシート処理装置の接続台数が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順序で、2台接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図13に示すような構成になる。
図13は、印刷システム1000の構成が図12のシステム構成の場合における印刷システム1000全体のシステム構成断面図を示す。且つ、図13の装置構成は、図12の装置構成に対応している。
図13の装置内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図13に示すが如く、装置内部におけるA点、B点、を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、具備する。しかも、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を接続している。
このような構成を前提とし、例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図12、図13に示すシステム構成であるとする。このような場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図12、図13のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex大量積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図12、図13のシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図13のA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex大量積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図13に示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図13の排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。これにより、わざわざ、図13のシート搬送方向最下流の排紙先Yにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図12、図13のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図13の(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図12、図13のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。(中綴じ製本処理によるシート処理には、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理がある。)ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図12、図13のシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図13のA点及びB点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図13に示す中綴じ製本装置の排紙先Yにて、保持させる。
尚、図13の排紙先Yは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図16の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図12、図13のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図11の(ケース2)の制御例に該当する。
但し、制御部205は、図12、図13のシステム構成の場合は、糊付け製本機が実行可能なシート処理(exくるみ製本処理or天糊製本処理)の実行要求をユーザから受付ける事を禁止する。
例えば、本印刷システムが図12、図13のようなシステム構成状況である場合において、図7の表示をUI部に実行させる際には、表示キー707及び表示キー708の網掛け表示やグレーアウト表示になるよう制御する。換言すると、該キー707、708のユーザ操作を無効状態にする。
以上の如く、本システム1000が図12、10Bのようなシステム構成である場合には、制御部205は、糊付け製本処理を本システム1000にて実行する事を禁止する。
この、本印刷システム1000が図10のシステム構成である場合にて制御部205により実行する制御が、図13の(禁則制御)に該当する。
以上の説明の如く、制御部205は、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の接続台数に応じた各種制御を実行する。換言すると、システム1000にて実行可能なシート処理の種類に応じた各種制御を実行する。
以上、図8〜図13等の説明からも明らかなように、本印刷システム1000が具備する制御部は、本システム1000のシステム構成状況(インラインシート処理装置の接続台数や接続順序)毎に対応した各種制御を本システム1000にて実行する。
尚、何故、本形態にて本印刷システム1000にてインラインシート処理装置の接続順序や台数をユーザニーズに対応するよう柔軟に構築変更可能に構成しているか、この理由の1例を述べる。これは、全てユーザメリットを考慮しているからである。
まず、なぜ、本システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置は、各々、独立筐体で且つ印刷装置に対して着脱可能に構成しているかの理由を述べる。
この理由の1例としては、例えば、本システム1000の納品先となるPOD業者として、くるみ製本処理は必要ないが大容量積載処理は行いたい等の要望をもった業者等の存在に配慮した仕組みである。
例えば、本システムの利用環境を想定してみると、上記9種類のシート処理の全てをインラインシート処理装置で実現したい等のニーズが予想される。一方、特定のシート処理のみインラインシート処理装置で実現した等のニーズも可能性としてはある。このように、納品先となる各POD業者毎にニーズも千差万別である事に対処する仕組みを提供する為である。
又、なぜ、本システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置の接続順序を上記制約事項の範囲内で任意に変更、組替えを、可能に構成しているかの理由を述べる。この理由は、なぜ、図8、図9や図10、図11に示すが如く、各インラインシート処理装置毎に印刷物をオペレータにより取出可能な排紙先を設けているのかの理由でもある。
この理由の一例としては、本印刷システム1000にて要求される複数のシート処理の利用頻度に応じて柔軟にシステムを構築可能にする方が、本システム1000の利用者の利便性が向上すると考えるからである。
例えば、図1のPODシステム10000を保有するPOD業者では、顧客より依頼される印刷形態のニーズが、ユーザマニュアルやガイドブック等、くるみ製本処理を要する印刷ジョブが比較的多い傾向にあるとする。このような利用環境の場合、図8、図9のような接続順序でシステム1000を構築するよりも、図10、図11のような接続順序でシステム1000を構築する方が利便性がある。
換言すると、印刷装置100に対して、より近い個所に、糊付け製本機を接続した方が使い勝手が良い。これは、くるみ製本ジョブにて要するくるみ製本処理を実行する為に必要な装置内部におけるシートの搬送距離を短い方が効果的である事に起因する。
例えば、シート搬送距離がながければ長いほど、そのジョブの最終成果物である印刷物の完成に要する時間が長くなる。又、シート搬送距離が長ければ長いほど、シート搬送動作中における装置内部でのジャム発生率が、高くなる可能性が予想される。このような理由によるものである。
即ち、くるみ製本ジョブがユーザニーズとして多いようなPOD業者の場合には、図8、図9のシステム構成よりも図10、図11のシステム構成を採用する方が、くるみ製本ジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。且つ、迅速に印刷物を取出すことが出来る。
例えば、上記業者とは別のPOD業者では、シートの大量積載を要するジョブの方が多い傾向にあるとする。この場合には、図10、図11のシステム構成よりも図8、図9のシステム構成の方が、スタッカジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。且つ、迅速に印刷物を取出すことが出来る。
このように、本形態は、如何に、効率よく、利用環境に適した柔軟なシステム形態で、本印刷システム1000にて複数のジョブの生産性を向上させるかに着目している。その上で、このような本システム1000を利用するユーザからの立場にたった利便性を追求した多数の仕組みを提供可能に構成している。
次に、図8〜図13で例示した本システム1000にて具備可能な各種インラインタイプのシート処理装置の内部構成の具体例を、各シート処理装置毎に、個別に例示する。
[大容量スタッカの内部構成]
図14は、図8〜図13に例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、大容量スタッカの内部構成断面図の1例を示す。
当該大容量スタッカ内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図14に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、エスケープパスである。1つは、スタックパスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
尚、図14の大容量スタッカ及び後述する図15の糊付け製本機の各装置が具備するストレートパスは、前段装置から受取ったシートを後段装置へ渡す為の機能を果たすが為に、本例ではインラインシート処理装置におけるスルーパスとも呼ぶ。
大容量スタッカ内部に具備するストレートパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの大量積載処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為のシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
又、大容量スタッカ内部に具備するエスケープパスは、スタックせずに、出力したい場合に用いられる。例えば、後続のシート処理装置が接続されていない場合に、出力の確認作業(プルーフプリント)等を行う場合に、スタックトレイからの取出しを簡略化するべく、当該エスケープパスに印刷物を搬送して、該トレイから印刷物を取出可能にする。
尚、この大容量スタッカ内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。また、大容量スタッカに積載されたシートが存在するか否かを検知するシート検知センサが設けられている。
大容量スタッカの不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、制御部205に通知する。制御部205は、この大容量スタッカからの情報に基き、大容量スタッカ内部のシートの搬送状況やジャム、また積載されたシートの有無を把握する。尚、本印刷システムのシステム構成として、このシート処理装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この大容量スタッカのセンサの情報を制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
又更に、大容量スタッカ内部に具備するスタックパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの大量積載処理を要するジョブのシートに対する大量積載処理を、該装置により実行させる為のシート搬送路である。
例えば、本システム1000が図8〜図13に示した大容量スタッカを具備しているとする。このシステム構成状況において、制御部205が、例えば図7の表示のキー709のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該スタッカにて実行可能なシートの積載処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、この大容量スタッカが具備するスタックパスへシートを搬送するよう制御する。スタックパスへ搬送されたシートはスタックトレイへ排紙する。
図14のスタックトレイは、伸縮可能なステイなどの上に載置される積載ユニットである。このスタックトレイとの結合部には、ショックアブソーバ等が付けられている。制御部205は、このスタックトレイを用いて、処理対象となるジョブの印刷済みシートの積載処理を該大容量スタッカによって実行させるよう制御する。伸縮可能なステイの下は台車となっており、不図示の取っ手を付けると台車として、上に載せたスタック出力を別のオフラインフィニッシャなどに運べるようになっている。
スタッカ部の前ドアが閉まっているときは、伸縮可能なステイはスタック出力が積載されやすい上の位置に上昇し、前ドアがオペレータにより開けられる(あるいは、開ける指示がなされる)とスタックトレイは、下降する仕組みになっている。
また、スタック出力の積み方には、平積みとシフト積みがあって、平積みは、文字通り常に同じ位置に積む。シフト積みは、ある部数単位、ジョブ単位などで奥手前方向にシフトして、出力に区切りを作って、出力を扱いやすいように積む方法である。
このように、本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する対象の当該大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行するにあたり、複数種類の積載方法を実行可能に構成されている。制御部205は、このような各種動作の制御を装置に対して実行する。
[糊付け製本装置の内部構成]
図15は、図8〜図13に例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、糊付け製本装置の内部構成断面図の1例を示す。
当該糊付け製本装置内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図15に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、本身パスである。1つは、表紙パスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
図15の糊付け製本装置内部に具備するストレートパス(スルーパス)は、該装置が具備する糊付け製本ユニットによるシートの糊付け製本処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為の機能を果たすシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
尚、この糊付け製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
糊付け製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、制御部205に通知する。制御部205は、この糊付け製本機からの情報に基き、糊付け製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムのシステム構成として、このシート処理装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この糊付け製本装置のセンサの情報を制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
又、図15の糊付け製本装置内部に具備する本身パスと表紙パスは、くるみ製本印刷物を作成する為のシート搬送路である。
例えば、本形態では、くるみ製本印刷処理として、本文となる印刷データの印刷処理をプリンタ部203で実行させる。且つ、この印刷されたシートをくるみ製本印刷物の1束分の出力物における本文部分として利用可能にする。このように、くるみ製本にて本文(中身)部分に該当する印刷データが印刷された本文部分のシート束を、本例では「本身」と呼ぶ。且つ、この本身を表紙用の1枚のシートでくるむ処理を、くるみ製本処理にて実行する。この表紙としてのシートを、表紙パスを介して搬送する。他方、本身となる、プリンタ部203でプリントした印刷用紙は、本身パスへ搬送するよう制御部205が各種シートの搬送制御を実行する。
このような構成のもと、例えば、制御部205が、例えば図7の表示のキー707のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該糊付け製本機にて実行可能なくるみ製本処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、以下のように当該装置を制御する。
例えば、プリンタ部203で印刷されたシートを、図15の本身パスを介して、順次スタック部に蓄える。且つ、処理対象となるジョブの1冊分のシートにて要する本文データが印刷されたシートを、全ページ、該スタック部に蓄えたうえで、表紙パスを介して、該ジョブにて要する表紙用のシートを、搬送させる。
尚、くるみ製本に関し、本形態の特徴点の1つに関連する事項が存在する。例えば、本例にて糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理では、1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数が、当該糊付け製本処理とは異なる種類のシート処理にて1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数よりも、圧倒的に多い。例えば、くるみ製本処理にて1束分の本文用のシート束として最大200枚まで処理を許容する。一方、ステイプル処理等は、最大20枚、中綴じ製本では最大15枚まで、1束分のシート処理として印刷用紙を処理する事を許可する。このように、1束分のシート束としてシート処理を許可する印刷用紙の許容枚数は、糊付け製本処理と、その他のシート処理では、圧倒的に異なる。
このように、本形態では、制御部205により制御対象となるインラインタイプのシート処理装置により、くるみ製本処理という糊付け製本処理を実行可能に構成している。且つ、オフィス環境では要求すらされなかったインラインタイプのシート処理装置により実行可能なフィニッシィングとして全く新規のフィニッシィングを提供可能に構成している。換言すると、POD環境を想定した仕組みの1つであり、且つ、後述する制御に関連する構成である。
尚、くるみ製本にて、表紙用のシートとして、図15に示すが如く、糊付け製本装置自身が具備するインサータのインサータトレイから搬送対象となる、表紙用のデータが予め印刷済みのプレプリントシートを利用可能に構成している。又、印刷装置100自身により表紙用の画像を印刷させたシートも利用可能に構成している。これら何れかのシートを表紙用のシートとして、表紙パスへ搬送させる。そして、スタック部の下方部分にて、当該表紙用のシートの搬送を一時停止させる。
この動作に並行して、スタック部に積載済みの本文全ページが印刷済みの複数枚のシートで構成される本身に対して、糊付け処理を実行する。例えば、糊付け部は、所定量の糊を本身の下部に塗布して、十分に糊が行き渡ったところで、本身の糊付けされた部分を表紙の中央部にあてがい、包み込むように結合させる。結合に当たっては、本身を下方に押し込むように送り出すため、表紙にくるまれた本身は、ガイドに添って、回転台の上に滑り落ちる。その後、ガイドは、表紙にくるまれた本身を回転台の上に倒すように移動する。
回転台の上に寝た表紙にくるまれた本身を、幅寄せ部で位置合わせを行って、まず、小口となる部分をカッターで断裁する。次に、回転台を90度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、天となる部分を断裁する。更に、180度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、地となる部分を断裁する。
断裁後は、再度幅寄せ部で奥まで押しやって、出来上がった表紙にくるまれた本身をバスケット部に入れる。
バスケット部で十分に糊を乾かした後、出来上がったくるみ製本の束を取り出すことができる。
このように、糊付け製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に糊付け製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する糊付け製本処理を実行する糊付けユニットを具備している。
又、上述したように、本形態にて、インラインタイプのシート処理装置により実行可能に構成した糊付け製本処理は、上記構成に示すが如く、他の種類のシート処理と比較して、処理工程が多く準備すべき前構成も多い。したがって、ステイプルや中綴じ製本のようなオフィス環境にて頻繁に利用されうるシート処理とは全く構成も異なり、要求されたシート処理を完結されるのに要する処理時間も、他のフィニッシィングに比べ、長くなる事が予想される。
このように、糊付け製本機能1つをとっても分るように、本形態では、例えば、オフィス環境のみ留まらず、POD環境等の全く新しい印刷環境でも充分に通用する、利便性や生産性を追求した仕組みを採用している。換言すると、例えば、くるみ製本機能や大量積載機能等、オフィス環境では全く未対処であった新機能をPOD環境でも活用可能に構成要件として具備している。又、図8〜図13に例示するが如く、印刷装置に対して、インラインタイプのシート処理装置を複数台接続可能にしたシステム構成自体についても、上記目的を果たすが為の仕組みである。
[中綴じ製本装置の内部構成]
図16は、図8〜図13に例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、中綴じ製本機の内部構成断面図の1例を示す。
当該中綴じ製本装置内部には、印刷装置100からのシートに対してステイプル処理や断裁処理やパンチ処理や折り処理がシフト排紙処理等を選択的に実行可能にするための各種ユニットを具備している。但し、当該中綴じ製本機は、上記制約事項で述べたように、後段装置へのシート搬送機能の役目を果たすスルーパスを具備しない。
尚、この中綴じ製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
中綴じ製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、制御部205に通知する。制御部205は、この中綴じ製本機からの情報に基き、中綴じ製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムのシステム構成として、このシート処理装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この中綴じ製本装置のセンサの情報を制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
又、例えば、図16に示すが如く、サンプルトレイ、スタックトレイ及び、ブックレットトレイが設けられており、制御部205は、ジョブの種類や排出される記録紙の枚数に応じて利用するユニットを切り替えるよう制御する。
例えば、制御部205が、図7の表示のキー701のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該中綴じ製本機にて実行可能なステイプル処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、プリンタ部203からのシートを、スタックトレイ側へ搬送するよう制御する。尚、この際、記録紙がスタックトレイに排出される前に、記録紙をジョブ毎に中綴じ製本部の内部の処理トレイに順次蓄えておき、該処理トレイ上にてステープラにてバインドして、その上で、スタックトレイへ、該記録紙束を束排出する。このような方法でプリンタ部203にて印刷されたシートに対するステイプル処理を当該装置により実行させる。
その他、紙をZ字状に折るためのZ折り機、ファイル用の2つ(または3つ)の穴開けを行うパンチャがあり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してZ折り処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してZ折り機により折り処理を実行させる。そうした上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。又、例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してパンチ処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してパンチャによるパンチ処理を実行させる。そうした上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。
又、サドルステッチャ部は、記録紙の中央部分を2ヶ所バインドした後に、記録紙の中央部分をローラに噛ませることにより記録紙を半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する中綴じ製本処理を行う。
サドルステッチャ部で製本された記録紙は、ブックレットトレイに排出される。当該サドルステッチによる製本処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
又、インサータはインサートトレイにセットされた記録紙をプリンタへ通さずにスタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによって中綴じ製本部に送り込まれる記録紙(プリンタ部で印刷された記録紙)と記録紙の間にインサータにセットされた記録紙をインサート(中差し)することができる。インサータのインサートトレイにはユーザによりフェイスアップの状態でセットされるものとし、ピックアップローラにより最上部の記録紙から順に給送する。故に、インサータからの記録紙はそのままスタックトレイまたはサンプルトレイへ搬送することによりフェイスダウン状態で排出される。サドルステッチャへ送るときには、一度パンチャ側へ送り込んだ後スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。
尚、当該インサータによる記録紙挿入処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
又、本形態では、1例として、中綴じ製本装置内部に断裁部(トリマ部)も具備する。この説明を以下に行う。
中綴じ製本部においてブックレット(中綴じの小冊子)となった出力は、このトリマに入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部にて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部に格納される。尚、当該トリマによる断裁処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
このように、中綴じ製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に中綴じ製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する中綴じ製本処理を実行する中綴じ製本ユニットを具備している。
尚、例えば、図7の表示のキー705によりユーザから中綴じ製本が選択された場合、制御部205は、UI部に図17の表示を実行させる。当該図17の表示を介して、制御部205は、中綴じ製本の詳細設定をユーザから受付可能に制御する。例えば、ステイプル針を用いて実際にシート中央付近に対する中綴じ処理を実行するか否かを決定可能にする。又、分割製本、中綴じ位置の変更、断裁の有無、あるいは、断裁幅の変更などの設定もユーザから受付け可能にする。
例えば、制御部205がUI部に実行させた図17の表示を介してユーザにより「中綴じ製本する」と「断裁する」が設定されたとする。この場合、制御部205は、中綴じ製本印刷結果として処理対象のジョブが図18のような印刷体裁になるよう本システム100の動作制御を行う。図18の中綴じ製本印刷結果に示すが如く、サドルステッチが打たれて、小口側の断裁がなされる。また、サドルステッチの位置や断裁面の位置を予め設定しておけば、所望の位置に変更することができる。
又、例えば、図7の表示のキー707によりユーザからくるみ製本処理の実行要求がなされた場合、制御部205は、くるみ製本印刷結果として、処理対象のジョブが図19のような印刷体裁になるよう本システム1000を制御する。図19の1例に示すが如く、くるみ製本の場合の印刷物は、断裁面A、B及び、Cに関して、それぞれ断裁幅を設定することができる。
又、本印刷システム1000は、外部装置の一例に該当する情報処理装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求及びシート処理の実行要求を受付け可能に構成されている。以下、ホストコンピュータから本印刷システム1000を利用する場合の一例をもって説明する。
例えば、本実施形態の各種の処理や制御を実行する為のプログラムデータをWEB等のデータ供給源あるいは特定の記憶媒体からダウンロードしたホストコンピュータ(図1のPC103やPC104等)にて操作する場合、以下のように制御する。但し、制御の主体はPCの制御部である。
例えば、ユーザからのマウス或いはキーボード操作に応答し、本システム1000の印刷装置100を操作する為のプリンタドライバの起動指示がなされたとする。これを受け、該ホストコンピュータのCPUは、当該ホストコンピュータの表示部に、図20に示す印刷設定画面を表示させる。図20、21は、本実施形態にて制御対象となる、ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
ここで、例えば、当該図20、21の操作画面上の仕上げキー1701がユーザのマウス操作により押下されたとする。すると、該ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を、図21のような印刷設定画面に切り換えるよう表示部を制御する。
そして、該ホストコンピュータのCPUは、図20、21の印刷設定画面上のシート処理設定項目1701を介し、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200により実行させるシート処理の種類をユーザにより選択可能に制御する。
尚、ここでは、省略するが、該ホストコンピュータを含む外部装置においては、図20、21以外の画面として、本実施形態で詳述した各種の表示画面を介して入力可能な指示と同等の指示を入力可能にするための表示画面を表示させるように構成している。換言すると、本形態で述べる各種の処理や制御と同等の処理や制御を外部装置側にて実行可能に構成されている。
そして、ユーザにより、設定項目1701を介して所望のシート処理が選択され、図20、21の画面に戻って、OKキーが押下されるとする。
これを受け、ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を介してユーザにより設定された各種印刷条件を示すコマンドと、プリント部203によりプリントさせるべき一連のプリントデータとを、一つのジョブとして関連付ける。ホストコンピュータのCPUは、関連付けたジョブを本システム1000に対して、ネットワーク101を介して送信する。
そして、該コンピュータからのジョブを、本システム1000の外部I/F部202が受信すると、本システムの制御部205はこれを受ける。そして、本システムの制御部205は、当該ホストコンピュータからのジョブを、該ホストコンピュータにてユーザにより設定された処理要件に基づいて、処理するよう本システム1000を制御する。
以上のように構成することで、外部装置等からのジョブでも、本形態で述べる各種の効果を得ることが出来、本システム1000の利用効率を更に向上させる事ができる。
本形態の印刷システム1000が具備する制御部は、以上で説明したような各種構成要件を前提として、後述する各種制御を実行する。
尚、図1〜図21を用いた説明した構成は、本実施形態にて述べる全ての実施形態にて共通する構成要件に該当する。換言すると、例えば、本形態にて述べる各種制御は、当該構成を前提とした構成要件に該当する。
図1〜図21を用いた上述の如く、本形態の印刷システム1000は、オフィス環境に留まらず、POD環境にも適した印刷環境を構築可能に構成している。
例えば、その1例として、オフィス環境では全く想定されえないPOD環境にて想定されうるユースケースやユーザニーズに対処可能な仕組みを採用している。
この1例として、例えば、POD環境では顧客から様々な印刷形態をPOD業者が受注可能に構成している。
具体例を挙げるならば、例えば、上記の如く、糊付け製本処理や大量積載処理等、オフィス環境ではユーザニーズとして要求されえないフィニッシィングをインラインシート処理装置により実現可能に構成している。換言すると、本形態は、ステイプル等のオフィス環境にて要求されうるニーズ以外のユーザニーズにもPOD環境を考慮して対処出来るように構成している。
この1例として、例えば、上記の如く、複数台のインラインシート処理装置を印刷装置100に対して接続可能にし、且つ、各インラインシート処理装置毎に、独立筐体で且つ独立動作が可能に構成している。且つ、接続するシート処理装置も任意台数とし、本印刷システム1000にて柔軟にインラインシート処理装置の増設や変更等を可能にシステムを構成している。
尚、本形態では本印刷システム1000の利用者の操作性にも充分配慮した設計となっている。この1例として、例えば、本形態では、本印刷システム1000のシステム構成を、オペレータ自らが手動でHDD209に登録できる構成を説明した。故に、これを用いて例示する。
例えば、本印刷システム1000のシステム構成として、図8、図9に示すシステム構成をPOD業者にて構築したいと望んだとする。この場合、まず、該POD業者のオペレータにより、印刷装置100と共に購入した図8、図9の3台のシート処理装置を、図8、図9に示す接続順序で、印刷装置に接続してもらう。そのうえで、操作部204のユーザモードキー505を押下してもらう。この場合に、制御部205は、当該キー操作に応答し、表示部401に、図22の表示を実行させる。
図22の表示は、本印刷システム1000のシステム構成情報を、オペレータ自身によりマニュアル入力可能にする為の表示である。制御部205は、当該図22〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続すべきインラインタイプのシート処理装置の種類をオペレータにより決定可能にする。且つ、制御部205は、当該図22〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続する複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序をオペレータにより決定可能にする。
且つ、制御部205は、図22の表示の各設定項目毎に設けた「詳細設定」キーがオペレータにより押下されたら、不図示の画面を表示させる。この画面で、1台ずつ、本印刷システムにて利用するシート処理装置を特定可能にする。しかも、本形態は、上述したように制約事項を遵守してもらっている故、この情報もガイダンス情報としてオペレータに通知する。例えば、制御部205は、図22に示すが如く、「印刷装置に接続する、シート処理装置の種類と接続順序を登録して下さい。最大5台まで接続できます。但し、中綴じ製本機は接続する装置の1番最後に接続して下さい。」なるガイダンスを通知する。尚、ここでは、インラインシート処理装置の接続台数を最大5台までとしているが、特にこれに限定しなくても良い。
尚、制御部205は、図22の設定項目の上から順番に、利用するシート処理装置を1台ずつ決定可能に表示部401を制御するが、この設定項目の上から順番に設定する設定順序自体が、実際の装置の接続順序として判断する。
上記構成のもと、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図8、図9に示すシステム構成にする場合、図23の表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図23の表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒糊付け製本機⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図8、図9に示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
一方、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図10、11に示すシステム構成にする場合、図24の表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図24の表示のように、設定項目の上から順番に「糊付け製本機⇒大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図10、11に示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
更に一方、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図12、10Bに示すシステム構成にする場合、図25の表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図25の表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図12、10Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
又、図26に例示する本形態の印刷システム1000のシステム構成では、図16に例示した大容量スタッカを2台と中綴じ製本機の1台の計3台のインラインフィニッシャを接続したシステム構成例である。このシステム構成は、同一タイプのインラインフィニッシャとして、大容量スタッカを2台接続したシステム構成である。このように、本形態の印刷システムは、同じ種類のインラインフィニッシャを複数台接続可能に構成している。尚、図26に例示が如く、同じ種類のインラインフィニッシャを連続してカスケード接続する構成を、本形態では、タンデム接続とも呼ぶ。又、図26に例示のシステム構成は、本システムの納品先の印刷業者が大量積載を頻繁に行うような状況を想定している。このように、本形態では、大容量スタッカを複数台タンデム接続可能に構成している。
このように、実際の現場のユースケースを想定した利便性を向上させるUI制御自体も本形態の特徴点の1つに該当する。
以上の図1〜図26を用いて上述した如く、本システム1000は、オフィス環境とはユースケースやユーザニーズも異なるPOD環境等をも見据えた、様々なユースケースやユーザニーズにも柔軟に対処可能な、製品の実用化に向けての様々な仕組みを具備する。
しかも、単に、上記のような新規な機能及び新規な構成を具備するに留まらず、本印刷システム1000の効果を最大限に発揮すべく、以下のような各種制御を、本システム1000にて実行可能に構成している。
この1例として、例えば、本印刷システムが具備する制御部は、以下のような制御を本印刷システム1000にて実行するよう制御している。
尚、以下の具体的制御を説明する前に、本印刷システム1000の構成について補足しておく。
本形態の大容量スタッカ等の各種インラインフィニッシャは、夫々、装置毎に、用紙ジャムを除去したり、プリンタ部203で印刷されたジョブの印刷物(印刷媒体とも呼ぶ)を取り出したりする為に、装置筐体前面に開閉動作が可能なドア(前ドア)を具備する。
又、本形態の大容量スタッカは、例えば図16の内部構成で例示したように、大量の印刷物を積載可能な装置内部に配設されたスタックトレイ(スタッカ部とも呼ぶ)と装置外(機外上方部)に配設されたエスケープトレイ(サンプルトレイとも呼ぶ)を具備する。制御部205は、本形態の大容量スタッカの機内に配設される上記スタックトレイ、及び、機外に配設される上記エスケープトレイの各トレイに対して、本形態に例示が如くの各種判断条件に基づき、処理対象のジョブの印刷物を選択的に供給可能に制御する。又、大容量スタッカ等、中綴じ製本機以外の、本形態のインラインフィニッシャは、自装置の前段に位置する装置から受取った印刷物を、自装置内部のスルーパスを介して、自装置の後段に位置するインラインフィニッシャの装置内部へ搬送する機能も具備する。又、本形態の大容量スタッカは、装置内部のスタックトレイに積載された印刷物のシート積載量に応じて、該トレイが自動的に下降可能に構成されている。又、印刷物の整合処理も可能に構成されている。
また、図27の装置概観例に示すが如く、大容量スタッカの前面にはオペレータによる開閉動作が可能な前ドア2002を具備する。且つ、当該ドア2002をオープンさせる為の指示をオペレータが入力する為のスイッチ2001を装置筐体上部に具備している。この大容量スタッカにおける各種動作の制御は、当該大容量スタッカ自身が具備する制御部(不図示)が、主体となり行う。この大容量スタッカの制御部は、スイッチ2001からのオペレータによる手動入力命令に従い、このドア2002をオープンさせる。具体的には、当該ドア2002は閉じている状態の時に不図示の鍵により施錠状態としており、この鍵を開錠させて、ドア2002をオープンさせる。これにより、大容量スタッカのスタックトレイに積載済みの印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。又、スイッチ2001からの操作だけでなく、印刷装置100の制御部205からの指示により、当該ドア2001を自動的にオープン可能に制御される。この際は、図2に示す装置内部の信号線を介して、当該ドアオープン信号を、制御部205から大容量スタッカの制御部に送信する。又、大容量スタッカのスタックトレイに積載された印刷物をオペレータにより取出作業を行う際に、ドア2002を開けて、オペレータによる取出作業が行われる。勿論、これらの主体制御も、印刷装置100が具備する制御部205が実行しても良い。
本形態では、印刷処理がなされたジョブの印刷物を該大容量スタッカからオペレータにより取り出す際、その大容量スタッカが具備するスタックトレイに対し、該ジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブのシートが排紙されないように制御する必要がある。この制御は本印刷システム1000を、制御部205が主体となり、おこなっている。
換言すると、本形態の印刷システム1000は、シート処理装置におけるオペレータによる印刷処理がなされたジョブの印刷物の取出作業中には、当該シート処理装置内部のシート処理部に対して当該ジョブに後続するジョブのシートが排紙されないよう制御する。
但し、制御部205は、例えば、大容量スタッカが具備するスタックトレイにおける印刷物のオペレータによる取出作業中であっても、例えば以下に例示する動作は実行可能に制御する。
例えば、制御部205は、大容量スタッカのスタックトレイに積載済の印刷物のオペレータによる取出作業中等、大容量スタッカの前ドア2001を開けた状態でも、次のような制御を行う。制御部205は、印刷物の取出作業中等に、その大容量スタッカのエスケープトレイに対して、後続ジョブの印刷物を排紙可能に、システム1000を制御する。
又、後続のジョブが大容量スタッカによる大量積載処理が不要なジョブで、且つ、その大容量スタッカの後段に接続されているインラインフィニッシャによるフィニッシングを要するジョブである場合がある。大容量スタッカの前ドア2001がオープンされたままの状態で、そのような後続のジョブが送られてくると、制御部205は、後続ジョブの印刷物を、大容量スタッカ内部のスルーパスを介して、搬送可能に、システム1000を、制御する。
このように、制御部205は、ドア2002がオープンされている状態のままでも、上記例示が如くのシステム1000における動作の実行を許可する。
以上の各種動作を実行する為に、制御部205は、シート処理装置からのオペレータによるシートの取出対象となるジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブの印刷動作の開始を禁止したり、許可したりする。換言すると、制御部205は、当該後続ジョブの印刷動作の実行可否や印刷タイミングを、制御する。
また、制御部205は、例えば、大容量スタッカが具備する図29や図30に示す構成によって、以下に例示する束排紙処理や、ジョブ間シフト処理を実行可能に制御する。
例えば、制御部205は、図29に示す、大容量スタッカ内部の構成を用いて、以下に例示の制御をおこなう。制御部205は、印刷対象となるジョブを実行し、プリンタ部203で印刷されたジョブのシートを、シート搬送処理により、大容量スタッカ内部のスタックパス2101に導入させる。その後、制御部205は、印刷されたシートを大容量スタッカ内部の処理トレイ2102に一時的にスタックさせる。
制御部205は、そのジョブを実行することで排紙される全てのシートの処理トレイ2102へのスタックが完了すると、スタックされたジョブのシート束を大容量スタッカのスタックトレイに排出させる。このように、複数枚のシートからなるシート束単位で排紙をおこなう処理を、束排紙処理と呼ぶ。
以下では、ある処理対象のジョブの印刷を完了するのに、計4枚のシートを用いる場合の例について説明する。この場合、制御部205は、当該ジョブを実行した際に、図31に示すように、シートP1〜P4の計4枚のシートを処理トレイに排紙させた後に、それらを1束のシート束として大容量スタッカのスタックトレイに排紙させる。
この制御について、より具体的に説明する。まず制御部205は、プリンタ部203により、処理対象のジョブのシート束の1枚目のシート(P1)、2枚目のシート(P2)、3枚目のシート(P3)、4枚目のシート(P4)の順番で印刷させる。そして、制御部205は、印刷された各シートをパス2101に導入させる。そして、制御部205は、そのジョブのシート束のシートP1〜P4を、画像形成面が下向きの状態で、先頭ページから順番に処理トレイ2102にスタックさせる。そして、制御部205は、当該ジョブの最終紙に相当する4枚目のシートP4が処理トレイ2102にスタックされた事に応じて、整合ユニット2104により、当該ジョブのシート束の端部をきれいに揃える為の整合処理を実行させる。これにより、当該ジョブのシート束に含まれるシートP1〜P4を、ひとまとまりの出力束とする。そして、制御部205は、当該整合ユニット2104による整合処理を実行させたうえで、当該ジョブのシートP1〜P4を、ひとまとまりの出力束の状態で、そのまま、押し出しユニット2103により、大容量スタッカのスタックトレイ上に排出させる。制御部205は、以上のような束排紙処理を実行させることができる。
尚、大容量スタッカのスタックトレイは、上下方向に移動可能に構成されている。又、該スタックトレイは、所定枚数分のシートがスタックされる毎に、下降させ、一方、シートが該スタックトレイからユーザにより除去されれば、上昇させることができる。換言すると、大容量スタッカのスタックパスが具備する排紙口とその大容量スタッカのスタックトレイでのシートの積載面との距離を一定に維持可能に構成している。これにより、排紙されたシートを積載できない高さに大容量スタッカのスタックトレイが位置する不具合を防止するように構成している。また、あまりにも低い位置にスタックトレイが存在する事で、排紙したシートがスタックトレイにて不安定になる等の不具合を防止するように構成している。
また、図31の例では、制御部205は、あるジョブの印刷物である1束目のシート束の処理トレイ2102からスタックトレイへの束排紙処理が完了すると、そのジョブとは異なるジョブの印刷物である2束目のシート束の束排紙処理を開始させる。
制御部205は、2束目のシート束の束排紙処理を実行させる際に、1束目のシート束と、2束目のシート束とを区分けするための処理として、ジョブ間シフト処理を実行させる。言い換えると、制御部205は、上記区分け処理として、あるジョブの印刷物である1束目のシート束と、そのジョブとは異なるジョブの印刷物である2束目のシート束の排紙位置とをずれた状態にして、排紙させるように制御する。制御部205は、ジョブ間シフト処理を大容量スタッカにおこなわせたうえで、シートを排紙させることによって、オペレータは、排紙されたシートをジョブごとに容易に取り分けることが可能になる。
では、当該ジョブ間シフト処理について、図29と同様に大容量スタッカ内部の構成の一部を表す図30を用いて説明する。
制御部205は、図30に示す大容量スタッカ内部の構成の一部を用いて、ジョブ間シフト処理をおこなわせる。尚、処理トレイ2102は、図30に示すように大容量スタッカ内部のシート搬送路上に存在する。そこで、図30では、処理トレイ2102が装置内部に存在することを示すため、該ユニット2102を点線で示している。
又、図30は、ジョブを処理している途中の状況を示している。具体的には、異なるジョブにおいて、制御部205が、先行してプリント処理が実行されるジョブ(以下、先行ジョブと呼ぶ)のシート束を、大容量スタッカのスタックトレイにスタックさせた後の状況である。尚且つ、現在、制御部205が、先行ジョブに後続するジョブ(以下、後続ジョブと呼ぶ)を実行し、処理トレイ2102上に当該後続ジョブのシートをスタックさせている状況を示す。そして、制御部205は、該後続ジョブのシートのジョブ間シフト処理を処理トレイ2102により実行させている状況である。
例えば、図30で示す大容量スタッカのスタックトレイに既にスタック済みのシート束が、図31に示すシート束のうち1束目のシート束であるとする。この場合、図30で示す処理トレイ2102上にスタックさせているシートは、図31の2束目のシートに該当する。
大容量スタッカの処理トレイ2102には整合ユニット2104が存在する事を図29で説明したが、整合ユニット2104は、2つのユニットで構成されている。これを、図30にて整合ユニット2104a、2104bと表記している。この整合ユニット2104a、2104bは、それぞれ、図30に示すシート搬送方向に対して、垂直方向に移動可能なものであり、且つ、それぞれを独立且つ択一的に動作可能に構成している。
例えば、制御部205は、整合ユニット2104a、2104bによって、図31に示す1束目のシート束を、そのシート束のシート上端部が図30の第1の整合ポジションを基準に揃うように、処理トレイ2102にて整合させる。制御部205が、この整合処理がなされた1束目のシート束を、処理トレイ2102からスタックトレイに対して束排紙させ、そのまま、スタックトレイの第1の積載位置を基準に、スタックさせたとする。このように1束目のシート束を処理させた場合、制御部205は、2束目のシート束を、次のように処理させる。
まず、制御部205は、シート下端部が第2の整合ポジションを基準に揃うように、2束目のシートの整合動作を整合ユニット2104に実行させる。例えば、制御部205は、整合ユニット2104bを図30に示す位置で固定させる。制御部205は、この状態を維持させたまま、当該2束目のシート束の下端部が該整合ユニット2104bに突き当たるように、整合ユニット2104aを整合ユニット2104b側に移動させる。これにより、図30に示すように、制御部205は、後続ジョブのシート束の下端部を第2の整合ポジションまでシフトさせる。
そのうえで、制御部205は、処理トレイ2102から大容量スタッカのスタックトレイへのシート束の排紙を実行させる。これにより、第2の積載基準位置にシート下端部が揃った状態で、当該2束目のシート束を該スタックトレイにてスタックさせることができる。
以上のような処理を施すことで、制御部205は、1束目のシート束と2束目のシート束とを、シート搬送方向に対して垂直方向に特定量分だけシフトされた状態で、2束目のシート束をスタックトレイにスタックさせる。この特定量を例えば、10mmとすると、制御部205は、1束目のシート束と、2束目のシート束とを10mm分ずれた状態で2束目のシート束を1束目のシート束の上に積載することができる。ここでは、制御部205はシート上端部が第1の整合ポジションにある1束目のシート束に対し、2束目のシート束のシートの下端部を第2の整合ポジションまでずらすことで、1束目のシート束と2束目のシート束とを10mm分ずれた状態にする処理を説明した。だが、2束目のシート束をずらす処理は、これに限るものではない。例えば、制御部205は、処理トレイ上にスタックした2束目のシート束を、整合ユニット2104a、2104bによって、1束目のシートと5mm分ずれた状態でスタックするように制御することも可能である。また、制御部205は、処理トレイ上にスタックした2束目のシート束を、整合ユニット2104a、2104bによって、1束目のシートと3mm分ずれた状態で積載させることも可能である。
このように制御部205は、先行ジョブのシート束と後続ジョブのシート束とを特定量分(この例では、10mm)ずれた状態にせずとも、5mmや3mmずれた状態で積載することで、各シート束を区別可能にしつつ、スタックトレイに積載させることができる。ここでは、制御部205が10mmや、5mm、3mm分ずれた状態で積載する例を説明したが、その幅については、これらに限られるものではなく、先行ジョブのシート束と後続ジョブのシート束とが、積載後に区別可能であればよい。
第2の積載基準位置を基準にスタックされた2束目のシート束の直後に処理すべきジョブのシートに相当する3束目のシート束を処理する場合は、制御部205は、1束目のシート束を処理した際と同じ束排紙処理を実行させる。即ち、制御部205は、第1の積載基準位置を基準にスタックトレイにシートを積載させるように大容量スタッカを動作させる。
第1の積載基準位置を基準にスタックされた3束目のシート束の直後に処理すべきグループのシートに相当する4束目のシート束を処理する場合は、2束目のシート束を処理した際と同じ束排紙処理を実行させる。即ち、制御部205は、第2の積載基準位置、もしくは、第1の積載基準位置から特定量分だけ、第2の積載基準位置側にずれた位置にシートを積載させるように大容量スタッカを動作させる。
このように、制御部205は、1ジョブ分のシート束を処理する毎に、スタックトレイにおけるシートの積載位置を交互に切りかえるように制御することで、ジョブ間シフト処理をおこなう。
オペレータは、ジョブ間シフト処理の実行を、そのユーザモード画面から指示可能である。制御部205は、オペレータにより図5に示すユーザモードキー505が押されたと判断すると、図32に示すようなユーザモード画面をタッチパネル部401に表示させる。図32に示すジョブ間シフトボタン2301は、上述したジョブ間シフト処理をおこなうように設定するためのものであり、デフォルトではオンの状態、つまり、ジョブ間シフト処理をおこなうように設定されている。その後、制御部205は、ジョブ間シフトボタン2301が押されたことを示す信号を受信した場合に、ジョブ間シフト処理のオン、オフを切りかえる。ジョブ間シフト処理がオンに設定されているとき、制御部205は、シートを排紙させる際に、大容量スタッカにより、上述したジョブ間シフト処理を行わせる。ジョブ間シフト処理がオフのとき、制御部205は、大容量スタッカにより、シートを排紙させる際に上述したジョブ間シフト処理をおこなわせない。
制御部205は、大容量スタッカにより、ジョブ間シフト処理を全てのシート束に対して行わせることが可能である。これにより、制御部205は、先行ジョブのシート束のスタックトレイにおける積載位置と、先行ジョブのシート束の上に積載される後続ジョブのシート束のスタックトレイにおける積載位置とを、特定量分ずれた状態で積載させる事ができる。即ち、制御部205が、このようなジョブ間シフト処理をおこなうことによって、オペレータは各ジョブのシート束を容易に取り分けることができるようになる。
また、図16に示す中綴じ製本機も、上述したジョブ間シフト処理をおこなうために、当該中綴じ製本機のスタックトレイへの排紙をおこなう排紙口付近に上記のような、ジョブ間シフト処理をおこなうための構成を具備する。そして、制御部205は、例えば、ジョブ間シフトボタン2301によって、ジョブ間シフト処理をおこなうように設定されている場合、中綴じ製本機のスタックトレイにシートを排紙する際にも、ジョブ間シフト処理をおこなわせることができる。
このように、制御部205は、大容量スタッカ、または、中綴じ製本機において、1ジョブ分のシート束を束排紙するごとに、スタックトレイにおけるシートの積載位置を交互に切りかえるように制御する例について説明した。また、制御部205は、1部分のシート束を束排紙するごとに、スタックトレイにおけるシートの積載位置を交互に切りかえるように制御する「部間シフト処理」を行わせることも可能である。これ以降の説明では、「ジョブ間シフト処理」や「部間シフト処理」を総称して「シフト処理」と呼ぶ。
以上のような構成も、印刷装置に対して紙パスが連結され、且つ、電気的に接続されたインラインフィニッシャ固有の構成である。
以上のような構成を前提とし、本印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当する制御部205は、以下に例示の制御を実行する。尚、以下に例示の制御を説明する前に本印刷システムの前提的な構成要件について更に補足しておく。
前提として、本システム1000は、複数のジョブのデータを記憶可能なHDD209内のデータの印刷処理を実行可能なプリンタ部203を具備する印刷装置100を備える。且つ、システム1000は印刷装置100と接続可能なプリンタ部203で印刷がなされジョブのシート(印刷物又は印刷媒体とも呼ぶ)に対するシート処理(フィニッシング又は後処理とも呼ぶ)を実行可能な1台以上のシート処理装置200a〜nを具備する。これらのシート処理装置は、装置毎に、自装置でシート処理を施した印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。且つ、本システム1000は、該印刷装置100のプリンタ部203から、これらのシート処理装置に対して、プリンタ部203により印刷がなされたジョブのシートを、選択的に、供給可能に構成している。
例えば、本印刷システム1000が図12、図13に示すシステム構成で、処理対象のジョブが大量積載処理を要するジョブである場合に、制御部205は、印刷済みシートを大容量スタッカ200aへ供給する。そして、制御部205は、供給したシートを図13の排紙先Xに示す大容量スタッカのスタックトレイに排紙させる。一方、制御部205は処理対象のジョブが中綴じ製本処理によるシート処理(中綴じ製本又はパンチ又は断裁又はシフト又は折り)を要するジョブである場合に、印刷済みシートを中綴じ製本機200bへ供給する。そして、制御部205は、供給したシートを図13の排紙先Yに示す中綴じ製本機のスタックトレイに排紙させる。
ここで制御部205は、例えば、大容量スタッカのスタックトレイや中綴じ製本機のスタックトレイにシートを排紙させる際に、排紙させるシートを、ジョブごとに、先に排紙したシート束に対し、位置を特定量分ずれた状態で排紙させる。言い換えると、制御部205は、例えば、大容量スタッカのスタックトレイや中綴じ製本機のスタックトレイにシートを排紙させる際に、ジョブ間シフト処理をおこなわせることができる。
制御部205は、ジョブ間シフト処理をおこなってシートを積載させる積載パターンには、シートの積載量によって、複数の積載パターンが存在する。以下に、制御部205が、積載させるシートの積載パターンのうち、いくつかの積載パターンでシートを積載させる場合について、図33に図示し、説明する。
(積載パターン1)
制御部205は、図33(a)に示す、例えば、大容量スタッカのスタックトレイ、もしくは中綴じ製本機のスタックトレイに、図33(b)に示すような、200枚のシートからなるシート束2400aを積載させる。その後、制御部205は、図33(c)に示すように、300枚のシートからなるシート束2400bを、シート束2400aの上に、シート束2400aのシートの排紙位置とは、ずれた状態で積載させる。
(積載パターン2)
制御部205は、図34(a)に示す、例えば、大容量スタッカのスタックトレイ、もしくは中綴じ製本機のスタックトレイに、図34(b)に示すような、200枚のシートからなるシート束2401aを積載させる。その後、制御部205は、図34(c)に示すように、2500枚のシートからなるシート束2401bを、シート束2401aの上に、シート束2401aのシートの排紙位置とは、ずれた状態で積載させる。
(積載パターン3)
制御部205は、図35(a)に示す、例えば、大容量スタッカのスタックトレイ、もしくは中綴じ製本機のスタックトレイに、図35(b)に示すような、1500枚のシートからなるシート束2402aを積載させる。その後、制御部205は、図35(c)に示すように、300枚のシートからなるシート束2402bを、シート束2402aの上に、シート束2402aのシートの排紙位置とは、ずれた状態で積載させる。
(積載パターン4)
制御部205は、図36(a)に示す、例えば、大容量スタッカのスタックトレイ、もしくは中綴じ製本機のスタックトレイに、図36(b)に示すような、1500枚のシートからなるシート束2403aを積載させる。その後、制御部205は、図36(c)に示すように、3000枚のシートからなるシート束2403bを、シート束2403aの上に、シート束2403aのシートの排紙位置とは、ずれた状態で積載させる。
尚、図24の2400a〜2403aおよび2400b〜2403bは、それぞれ少なくとも1枚以上のシートからなるシート束を表している。図中の2400a〜2403aで表されたシート束は、それぞれ2400b〜2403bで表されたシート束に先行して積載されるシート束を表しており、それぞれのシート束は1ジョブ分のシート束を表している。
このように、制御部205は、例えば、中綴じ製本機のスタックトレイや、大容量スタッカのスタックトレイにシートを排紙する際に、以上のような、ジョブ間シフト処理を大容量スタッカにおこなわせる。それによって、オペレータは、ジョブごとにシート束を容易に取り分けることができるように構成された印刷システムを提供することができる。
なお、中綴じ製本機のスタックトレイにシート束を積載する場合には、上記のような積載パターン1〜4のいずれの積載パターンでシートを積載させても、積載されたシートが多少の振動で崩れてしまう可能性は低い。その理由は、制御部205が、図13に示す排紙先Yのスタックトレイに、そのスタックトレイに積載可能な枚数の範囲内でシート束を積載させる場合に、積載後のシートが安定性を失わない程度のシフト幅でシフトを行わせるためである。
一方、図13に示す大容量スタッカも、図29、図30で示した機構を具備している。そのため、制御部205は、図13に示す大容量スタッカが有する排紙先Xにおいても、図29、図30に示した機構を用いて、シフト処理を行わせることが可能である。
ただし、図13の排紙先Xに示す大容量スタッカのスタックトレイに示す大容量スタッカのスタックトレイついては、次の点で、図13の排紙先Yに示す中綴じ製本機のスタックトレイとは異なる。
制御部205は、シートを排紙先Xに排紙させる場合に、当該シートを大容量スタッカが具備する台車上に設けられたスタックトレイに積載させる。そして、大容量スタッカは、図28に示すように、台車上のスタックトレイに積載されたシートを、その台車によって運搬可能に構成されている。
そこで、大容量スタッカのスタックトレイに積載されたシートの場合、オペレータが台車を用いてそのシートを運搬するケースが想定される。その場合、台車上のスタックトレイに積載されたシートは、運搬中の揺れや衝撃等の影響を受けることが考えられる。従って、大容量スタッカ上のスタックトレイにシートを積載する場合、積載の仕方(積載パターン)によっては、台車で運搬する際の揺れや衝撃により、スタックトレイ上に積載されたシートが崩れてしまいやすくなる場合があると考えられる。
例えば図33(c)、図34(c)、図35(c)、図36(c)に示す積載パターンのうち図34(c)、図36(c)に示す積載パターンの場合、台車で運搬する際の揺れや衝撃により積載されたシートが崩れやすくなると考えられる。
このように、排紙先Yに示す中綴じ製本機のスタックトレイにシートを積載する場合には問題のない積載パターンがある。しかし、その積載パターンと同じ積載パターンで、排紙先Xに示す大容量スタッカのスタックトレイにシートを積載すると、台車で運搬する際の揺れや衝撃で、積載されたシートが崩れやすくなるという問題が発生する。
そこで、本形態の制御部の一例である制御部205は、以上のようなPOD市場を見据えたシステム構成である印刷システム1000で、以下に例示する制御を実行する。それによって、オペレータが、スタックトレイ上に積載されたシートを、台車を用いて運搬する際に、積載されたシートが不安定な状態になる可能性を低減することができる。
尚、上述したように印刷システム1000の構成は、インラインフィニッシャの接続の仕方によって、様々な構成が存在する。それらの構成のうち、本形態では、印刷システム1000が図12あるいは図13に示すように、印刷装置100に、大容量スタッカ、中綴じ製本機の、2台のインラインタイプのシート処理装置を接続した構成を例にとって説明する。
本形態の制御部の一例である制御部205は、例えば、前述したジョブ間シフトボタン2301によって、ジョブ間シフト処理をおこなうように設定されている場合に、次のような制御をおこなう。
制御部205は、HDD209に格納してある図37に示すような管理テーブルに基づいて、シートの排紙に関する制御を行う。
例えば、制御部205は、図37の制約事項1に示す最大積載許容枚数に基づき、排紙先の最大許容枚数を超えないように制御する。
例えば、処理すべきジョブの排紙先として、中綴じ製本機が排紙先として指定されている場合、制御部205は、次の制御を行う。制御部205は、当該ジョブに対して、そのジョブを実行した際に排紙されるシートを中綴じ製本機のスタックトレイに積載すると、中綴じ製本機のスタックトレイの最大積載許容枚数を超えるか否か、図37の中綴じ製本機の制約事項1の欄を参照して判定する。
ここで、制御部205は、中綴じ製本機の最大積載許容枚数が4000枚であるという情報を取得し、処理すべきジョブのシート束を積載させた場合に、中綴じ製本機のスタックトレイに積載されるシートが4000枚を超えるか否かを判定する。制御部205は、積載されるシートが4000枚以下だと判定すれば、オペレータに指定された通り、中綴じ製本機のスタックトレイに該ジョブのシートを排紙させる。一方、制御部205は、積載されるシートが4000枚を超えると判定すれば、該ジョブのシートの排紙先を、該中綴じ製本機のスタックトレイとは別の排紙先に切りかえる。
シートの排紙先が大容量スタッカの場合には、制御部205は、大容量スタッカの最大積載許容枚数が5000枚であるという情報を取得する。そして、制御部205は、これから排紙するジョブのシートを排紙した結果、大容量スタッカのスタックトレイに積載されるシートが5000枚を超えるか否かを判定する。制御部205は、積載されるシートが5000枚以下であると判定した場合に、オペレータに指示された通り、大容量スタッカのスタックトレイに該ジョブのシートを排紙させる。一方、積載されるシートが5000枚を超えると判定した場合には、制御部205は、該ジョブのシートの出力先を、該大容量スタッカのスタックトレイとは別の出力先に切りかえる。
また、制御部205は、図37の管理テーブルの制限事項2に基づいて、積載されるシートが不安定な状態になるのを未然に防ぐための制御をおこなう。
図38は、本発明に係る印刷システムで、積載されるシートが不安定な状態になるのを未然に防ぐための制御の一例を示すフローチャートである。
制御部205は、電源投入後、もしくは、印刷実行要求がなされたジョブを印刷装置100が受け付けた場合に、図38のフローチャートに示す制御を開始する。
まず、図38のステップS2901において、制御部205は、処理すべきジョブが存在するか否かを判定する。処理すべきジョブとは、印刷要求がなされ、HDD209内に格納された実行待ちのジョブのことをいう。電源投入後、制御部205は、印刷要求がなされたジョブがHDD209内に存在するか否かを判定し、存在すればステップS2902に進む。
一方、制御部205は、印刷要求がなされたジョブがHDD209内に存在しない場合は、処理すべきジョブが存在しないと判定し、ステップS2901の処理を繰り返す。その後、印刷実行要求がなされたジョブを受け付けた場合に、制御部205は、処理すべきジョブが存在すると判定し、ステップS2902に進む。具体的には、ステップS2901において、制御部205は、ユーザから印刷実行要求を受付けたか否かを、例えば、操作部204のスタートキー503に対するユーザの操作に基づき判断する。又、例えば、図20、図21で例示したように、本形態のUI部の別の例に該当する外部装置の操作部を介してユーザから印刷実行要求を受付けたか否かを、制御部205が判定する。
尚、制御部205は、印刷実行要求がなされ、スキャナ部201または外部I/F部202を介して入力された処理対象となるジョブの印刷データを、全て、HDD209に記憶させ、且つ、HDD209から読み出してプリンタ部203により印刷させる。
又、制御部205は、そのジョブの処理条件データも受付け、該印刷データに対応付けてHDD209に記憶させる。この処理条件データには、印刷時のページ数や印刷倍率や印刷レイアウト、用紙の種類、用紙サイズ、片面/両面印刷設定等に関する情報が含まれる。且つ、当該ジョブにて印刷対象となるシートに対して、いかなる種類のシート処理を実行させるのかを特定する為のシート処理の種類に関する情報および印刷対象となるシートの排紙先情報も、当該処理条件データの中に含まれている。
なお、制御部205が、印刷対象となるシートの排紙先情報を設定する方法について、以下に説明する。印刷システム1000が、図8、図9に示すようなシステム構成の場合、シートの排紙先には、例えば、以下に示すものがある。図8、図9に示す印刷システム1000は、大容量スタッカと、糊付け製本機と、中綴じ製本機を具備する。そこで、印刷システムの排紙先には、図14に示す大容量スタッカのエスケープトレイやスタックトレイ、図15に示すくるみ製本機のバスケット、図16に示す中綴じ製本機のサンプルトレイ、スタックトレイ、ブックレットトレイ等がある。
これらの排紙先候補の中から、制御部205は、処理対象となるジョブに対して設定されたシート処理の種類をもとに、当該ジョブを実行して排紙されるシートの排紙先を決定する。例えば、処理対象となるジョブに対して、オペレータから、タッチパネル401を介してステイプル処理をおこなうように指定された場合、制御部205は、中綴じ製本機のスタックトレイを、シートの排紙先とする。また、例えば、処理対象となるジョブに対して、大量積載処理をおこなうように指定された場合、制御部205は、大容量スタッカのスタックトレイを、シートの排紙先とする。また、例えば、処理対象となるジョブに対して、中綴じ製本処理をおこなうように指定された場合、制御部205は、中綴じ製本機のスタックトレイをシートの排紙先とする。
このように、制御部205は、処理対象となるジョブに対してオペレータにより設定されたシート処理の種類をもとに、当該ジョブを実行して排紙されるシートの排紙先を決定する。そして、制御部205は、決定した排紙先に関する情報を、処理条件データとして、受付けたジョブの印刷データに対応付けて、HDD209内に格納しておく。
ステップS2901の処理は、印刷要求がなされたジョブを受付けるまで繰り返される。そして、印刷要求がなされたジョブを印刷装置100が受付けた場合は、制御部205は、図38のステップS2901からステップS2902へ処理を移行する。
ステップS2902において、制御部205は、処理すべきジョブの排紙先がシート束をずれた状態で積載するための機構を具備する排紙先であるか否かを判定する。具体的には、制御部205は、HDD209に記憶された処理条件データのうち、処理すべきジョブの排紙先情報を参照して判定する。制御部205は、排紙先情報が、例えば、中綴じ製本機のスタックトレイ、または、大容量スタッカのスタックトレイであると判定した場合に、処理すべきジョブの排紙先が、シート束をずれた状態で積載するための機構を具備する排紙先であると判定する。
制御部205は、判定の結果、当該機構を具備した排紙先ではないと判定した場合には、ステップS2914に進み、指定された排紙先に、処理すべきジョブのシート束をずれた状態にするための処理を行うことなく積載させる。当該機構を具備しない排紙先には、例えば、図14に示した大容量スタッカのエスケープトレイや、図16に示したサンプルトレイがある。
一方、ステップS2902において、制御部205は、処理すべきジョブの排紙先が、シート束をずれた状態で積載するための機構を具備すると判定した場合には、ステップS2903に進む。
ステップS2903で、制御部205は、処理すべきジョブの排紙先に指定されている排紙先と同じ排紙先のジョブ(先行ジョブ)が存在するか否かを判定する。本形態における(先行ジョブ)とは、例えば、以下の(先行ジョブ1)及び(先行ジョブ2)に示す2通りの状態のジョブのことを示すものとする。
(先行ジョブ1)
HDD209に記憶されており、処理すべきジョブよりも先に実行される予定の、実行待ち状態のジョブ。
(先行ジョブ2)
すでに実行済みのジョブであり、且つ、当該ジョブのシート束が大容量スタッカに積載されている状態のジョブ。
(先行ジョブ1)の有無の判定と(先行ジョブ2)の有無の判定は、それぞれ判定の方法が異なるので、分けて説明する。
先に、制御部205が(先行ジョブ1)に示す状態の先行ジョブがあるか否かを判定する場合の判定の方法について説明する。
まず、制御部205は、処理すべきジョブのシートの排紙先情報を当該処理すべきジョブの印刷データに対応付けられて記憶されている処理条件データから取得する。また、制御部205は、先行ジョブのシートの排紙先情報を、当該先行ジョブの印刷データに対応付けて記憶されている処理条件データから取得する。そして、制御部205は、各排紙先情報から、処理すべきジョブのシートの排紙先と、先行ジョブ1のシートの排紙先とを比較し、処理すべきジョブのシートの排紙先と、同じ排紙先のジョブがあるか否かを判定する。制御部205は、同じ排紙先のジョブがあると判定した場合に、先行ジョブが存在すると判定する。
次に、制御部205が(先行ジョブ2)に示す状態の先行ジョブがあるか否かを判定する場合の判定の方法について説明する。
まず、制御部205は、処理すべきジョブのシートの排紙先情報を処理条件データから取得する。そして、制御部205は、当該処理すべきジョブの排紙先に、排紙済みのシートが存在するか否かを、例えば、当該排紙先に設けられたシートの有無検知センサによって検知する。
シートの有無検知センサは、該処理すべきジョブの排紙先と同じ排紙先に、シートが存在することを検知すると、その旨を通知する信号を制御部205に送信する。制御部205は、その信号を受信して、該処理すべきジョブと同じ排紙先に、排紙済みのシートが存在することを検知する。その場合に、制御部205は、処理すべきジョブの排紙先情報で指定されている排紙先と同じ排紙先のジョブ、いわゆる先行ジョブが存在すると判定する。
ステップS2903において、制御部205は、以上のような、(先行ジョブ1)の有無の判定と、(先行ジョブ2)の有無の判定を行い、(先行ジョブ1)も(先行ジョブ2)も存在しないと判定した場合に、先行ジョブが存在しないと判定する。その場合に、ステップS2913に処理を進める。
ステップS2913において、制御部205は、処理すべきジョブの印刷物の端部が積載基準位置に揃うように積載するように制御する。例えば、処理すべきジョブの排紙先が、大容量スタッカのスタックトレイの場合、制御部205は、図30に示す積載基準位置(例えば、第1の積載基準位置)に揃えて積載させるように制御する。その後、制御部205は、ステップS2909に処理を進める。
一方、ステップS2903において、制御部205は、(先行ジョブ1)または(先行ジョブ2)が存在すると判定した場合に、先行ジョブがあると判定し、ステップS2904に処理を進める。なお、ステップS2904からS2912の処理の説明では、先行ジョブに対して、処理すべきジョブのことを「後続ジョブ」と呼ぶ。
ステップS2904において、制御部205は、印刷システム1000の設定として、例えば、ジョブ間シフトボタン2301によって、処理すべきジョブに対して、ジョブ間シフト処理を行わせるように指示されているか否かを判定する。
制御部205は、ジョブ間シフト処理を実行するように指示されていないと判定した場合には、ステップS2912に進み、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずらさずに積載するように制御する。言い換えると、制御部205は、ステップS3011において、先行ジョブのシート束と後続ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止する。その後、制御部205は、ステップS2909に処理を進める。
一方、ステップS2904において、制御部205は、印刷システム1000の設定として、ジョブ間シフト処理を実行するように指示されていると判定した場合には、ステップS2905に処理を進め、後続ジョブの排紙先が大容量スタッカか否かを判定する。
ステップS2905において、制御部205は、後続ジョブの処理条件データから、後続ジョブの排紙先情報を取得し、後続ジョブの排紙先が大容量スタッカではないと判定した場合には、ステップS2911に進む。
ステップS2911において、制御部205は、排紙先情報で指定されている排紙先に、後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分(以降、特定量を10mmとする)ずれた状態で積載させるように制御する。例えば、制御部205は、後続ジョブのシートの排紙先が中綴じ製本機の場合に、図37に示す管理テーブルの中綴じ製本機の制約事項を参照し、その制約事項に従った制御をおこなう。具体的に、制御部205は、管理テーブルの制約事項1に従って、先行ジョブのシート束の上に、後続ジョブのシート束を積載した結果、排紙先の最大積載許容枚数を超えるか否かを判定する。そして、制御部205は、最大積載許容枚数の範囲内であると判定した場合に、管理テーブルの制約事項2に従って、次の制御をおこなう。制御部205は、中綴じ製本機のスタックトレイに、シート束の積載量によらずに、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載させるよう制御する。その後、制御部205は、ステップS2909に処理を進める。
一方、制御部205はステップS2905で、後続ジョブの排紙先が大容量スタッカだと判定した場合にステップS2906に処理を進める。
ステップS2906において、制御部205は、例えば、各ジョブのシート束に含まれるシートの枚数や、シート束の高さに基づき後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを許可するか禁止するかの判定をおこなう。制御部205は、当該判定を管理テーブルの大容量スタッカの制限事項2に従って行うが、その手順については、後に詳述する。ステップS3006において、制御部205は判定を行った後、ステップS2907に処理を進める。
ステップS2907では、ステップS2906における判定の結果、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを許可すると判定した場合は、ステップS2910に進む。そして、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載するように制御する。
一方、ステップS2906における判定の結果、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定した場合には、ステップS2908に進む。
ステップS2908では、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する。この場合、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずらさずに、後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束の上に積載することは許可する。また、制御部205は、特定量よりも小さい量(例えば、5mm)だけ、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載するように制御することを許可するようにしてもよい。このように、制御部205は、特定量より小さい量だけずれた状態でシート束を積載することで、荷崩れの危険性を抑制しつつ、積載後に先行ジョブのシート束と後続ジョブのシート束とを区別しやすくすることができる。そして、制御部205は、ステップS2909に処理を進める。
制御部205は、ステップS2909において、処理すべきジョブが他にも存在するか否かを判定する。処理すべきジョブが他に存在しない場合には、処理を終了する。一方、ステップS2909において、HDD209内に格納された処理すべきジョブが他にも存在すると判定した場合には、ステップS2902に戻って処理を繰り返す。
なお、処理を終了した後、新しくジョブを受け付けた場合に、制御部205は、再び、フローチャートの制御を開始する。
次に、ステップS2906で、制御部205が図37に示す管理テーブルを参照し、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する必要があるか否かを判定する判定処理について図39、図40を用いて説明する。
尚、制御部205は、当該判定をおこなう際に、例えば、シート束の枚数を基準に判定する場合と、シート束の高さを基準に判定する場合がある。
<枚数を基準に判定する場合>
まず、制御部205が、先行ジョブのシート束の枚数、及び、後続ジョブのシート束の枚数を基準に判定する場合について、図39のフローチャートを用いて説明する。
ステップS3001において、制御部205は、まず、先行ジョブのシート束の枚数を算出するために、先行ジョブの情報を取得する。
前述したように、先行ジョブにはHDD209に記憶されている実行待ち状態のジョブ(先行ジョブ1)と、すでに実行され、且つ、そのシート束が大容量スタッカに積載されている状態のジョブ(先行ジョブ2)とがある。
先行ジョブの状態の違いによって、先行ジョブの情報の取得方法や、取得可能な先行ジョブの情報の種類は異なる。そこで、先行ジョブの情報の取得方法、及び、取得可能な先行ジョブの情報の種類について、先行ジョブの状態別に説明する。
<先行ジョブがHDD209に記憶されている実行待ち状態のジョブ(先行ジョブ1)である場合>
(先行ジョブの情報取得方法1)
先行ジョブがHDD209に記憶されている実行待ち状態のジョブである場合には、そのジョブの印刷データに対応付けてHDD209に記憶された処理条件データを参照することで、制御部205は先行ジョブの情報を取得することができる。
この方法で制御部205が取得できる情報には、該先行ジョブのページ数や印刷倍率、印刷レイアウト、用紙の種類、用紙のサイズ、片面/両面印刷設定等に関する情報、シート処理の種類に関する情報、シートの排紙先に関する情報等がある。
<先行ジョブが、すでに実行済みで、且つ、その先行ジョブのシート束が大容量スタッカ内に積載されている状態のジョブ(先行ジョブ2)である場合>
(先行ジョブの情報取得方法2)
制御部205は、当該先行ジョブを実行する際、前述した処理条件データに含まれる内容を、HDD209内のジョブ履歴情報記憶部に、当該先行ジョブに対応付けて記憶しておく。
そして、当該先行ジョブのシート束に関する情報が必要になった時に、制御部205は、そのHDD209のジョブ履歴情報記憶部を参照することで、その先行ジョブの処理条件データに含まれる情報のうち、必要な情報を取得することができる。ジョブ履歴情報記憶部に記憶させておく情報は、そのジョブの処理条件データの全てであってもよいし、一部であってもよい。
(先行ジョブの情報取得方法3)
制御部205は、先行ジョブの印刷を実行する際に、印刷に要したシートの枚数を不図示のカウンタによってカウントし、HDD209の印刷枚数情報記憶部にカウントした枚数を格納しておく。その後、制御部205は、カウントした値をHDD209の印刷枚数情報記憶部を参照することにより、当該先行ジョブを実行することにより排紙されたシートの枚数情報を取得することができる。
なお、カウンタはソフトウェアのカウンタ、ハードウェアのカウンタを問わず、排紙したシートの枚数をカウントできるものであればよい。
ここで、先行ジョブのシート束の情報取得方法2、3について、説明を補足しておく。印刷枚数情報記憶部やジョブ履歴情報記憶部に記憶された情報は、制御部205が、大容量スタッカ内に積載されているシート束の枚数や高さといった情報を把握するためのものである。従って、大容量スタッカから取り除かれ、すでにその大容量スタッカ内に存在しないシート束に関する情報は、大容量スタッカ内に積載されているシート束の情報と区別しておく必要がある。ここでは、区別する方法の一例として、大容量スタッカから取り除かれたシート束に関する情報を削除する方法について説明する。
制御部205は、例えば、スタッカ内の紙のシート検知センサや大容量スタッカの前ドアの開閉センサを用いて、シート束が大容量スタッカから取り除かれたと判定し、当該シート束に関する情報を削除する。
オペレータは、大容量スタッカに積載された紙を取り出す際に、大容量スタッカの前ドアを開けて、大容量スタッカ内に積載されているシートを取り出した後、大容量スタッカの前ドアを閉める。制御部205は、この手順を考慮した制御をおこなうことで、効率良く、大容量スタッカから取り除かれたシート束の情報を削除することができる。
では、その具体的な制御について説明する。HDD209内に大容量スタッカ内に積載されたシートが存在するか否かを示すフラグを用意しておく。制御部205は、例えば、印刷システム1000の電源投入時に、シート検知センサにシートがあるか否かを問い合わせるための信号を送信し、シート検知センサから大容量スタッカ内に積載されたシートが存在するかを示す信号を受信する。制御部205は、積載されたシートが存在する信号を受信した場合には、フラグをオンの状態にし、積載されたシートが存在しない信号を受信した場合には、フラグをオフの状態にしておく。そして、制御部205は、大容量スタッカ内にシートの排紙処理をおこなった場合に、当該フラグをオンの状態にする。その後、制御部205は、大容量スタッカの前ドアの開閉センサから、扉が閉められたことを示す信号が送られてきた場合に、シート検知センサにシートがあるか否かを問い合わせるための信号を送信する。そして、その返信として、シート検知センサから大容量スタッカ内に積載されたシートが存在するかを示す信号を受信する。その信号により、制御部205は、大容量スタッカ内に積載されたシートが存在しないと判定した場合に、大容量スタッカ内のシートが取り除かれたと判定し、フラグをオフの状態にする。制御部205は、フラグをオフの状態にしたときに、前述した記憶部の内容を削除する。
このような制御によって、制御部205は、紙を取り出す際に、オペレータが実際におこなう動作にあわせた制御をすることができる。また、シート検知センサは、大容量スタッカの前ドアが閉められ、制御部205から要求があったタイミングでのみ、シートがあるか否かを示す信号を送信すればよいので、シート検知センサと制御部205との間において不要なトラフィックを発生させずに済む。
ステップS3001において、以上に説明したような方法のいずれかによって、制御部205は、大容量スタッカ内に積載されている先行ジョブのシート束の情報を取得することができる。その後、ステップS3002に処理を移行する。
(後続ジョブの情報取得方法)
ステップS3002において、制御部205は、後続ジョブの情報を取得する。制御部205は、後続ジョブの情報を、後続ジョブを受付けた際に、HDD209に当該後続ジョブの印刷データに対応付けて記憶した処理条件データを参照して取得する。この方法で制御部205が取得できる情報には、該後続ジョブのページ数や印刷倍率や印刷レイアウトや用紙サイズや片面/両面印刷設定等に関する情報、シート処理の種類に関する情報、シートの排紙先に関する情報等がある。
ステップS3002で後続ジョブのシート束の情報を取得したら、ステップS3003に処理を移行する。
(先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数の算出方法)
ステップS3003において、制御部205は、前述した(先行ジョブの情報取得方法1〜2)に説明した方法によって取得した情報に基づいて、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数を算出する。その方法について説明する。
制御部205は、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数を、ステップS3001で取得可能な情報のうち、ページ数、印刷レイアウト、片面/両面印刷設定に関する情報を用いて計算する。
例えば、ページ数が1000ページで、2in1印刷が設定されている場合、制御部205は、1000ページ÷2(2in1印刷のため)で、500枚のシートが排紙されると計算する。また、ページ数が2000ページで両面印刷が設定されている場合には、制御部205は、2000ページ÷2(両面印刷のため)で、1000枚のシートが排紙されると計算する。つまり、制御部205は、そのジョブの総ページ数を、シート1枚あたりに印刷するページ数で割ることで、当該ジョブを実行したときに排紙される1シート束に含まれるシートの枚数を得ることができる。
また、この方法とは別に、制御部205は、先行ジョブが既に実行され、そのジョブのシート束が大容量スタッカに積載済みの場合には、(先行ジョブの情報取得方法3)によって、上記計算をせずとも、先行ジョブのシート束の枚数を取得できる。
ステップS3003において、制御部205は、上記に例示されたような方法で、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数を取得すると、ステップS3004に処理を進める。
(後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数の算出)
ステップS3004において、制御部205は、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数を算出する。ステップS3004において、制御部205は、(後続ジョブの情報取得方法)で取得した情報に基づき、前述した先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数を算出する方法と同じ手順で、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数を算出する。
その後、ステップS3003、S3004で算出した各ジョブのシートの枚数をもとに、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する必要があるか否かを判定する。制御部205は、図37の管理テーブルに基づいて、ステップS3005〜S3013に示すように判定をおこなう。
具体的に、制御部205は、HDD209内に格納された図37に示す管理テーブルに示す制約事項2に基づき、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する必要があるか否かを判定する。なお、この管理テーブルで用いている条件値は、一例にすぎず、ここで示した値に限られるものではない。また、これらの値は、製造時に予め設定してROM207に格納しておき、制御部205が必要に応じて参照するようにしてもよいし、後にオペレータによって設定、変更できるようにしてもよい。
ステップS3005〜S3013に示す処理の流れを説明する前に、管理テーブルに設定された条件について説明する。制御部205が、ステップS2906において、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(例えば、10mm)ずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定するのは、例えば、次に示す場合である。
まず、制御部205が、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が300枚未満であり、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が1000枚以上だと判定した場合である。この場合は、土台となる先行ジョブのシート束の枚数が、少なく、その上に積載されるシートの枚数が多い。そのため、重心の位置が高い状態になり、台車でそのシートを運搬している際に運搬途中の揺れや衝撃の影響を受けやすい。言い換えると、積載されたシートが崩れやすい状態である。例えば、図34(c)に示す積載パターンがそれに該当する。
ただし、例外として、土台となる先行ジョブのシート束に含まれるシートが1枚や2枚のときのように、極端に少ない場合(枚数S1枚未満の場合)には、先行ジョブの上に積載される後続ジョブは揺れる余地が少ない。その場合、先行ジョブのシート束は無視することができる。ここでは、制御部205は、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が10枚未満であると判定した場合に、先行ジョブのシート束を無視するように、管理テーブルを設定している。
よって、制御部205は、このような場合にまで、先行ジョブのシート束の排紙位置に対して、後続ジョブのシート束を特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを禁止する必要は無い。つまり、制御部205は、先行ジョブの1シート束に含まれるシートの枚数が10枚以上300枚未満で、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が1000枚以上であると判定した場合に、次の制御をおこなう。制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを10mmずれた状態で積載する事を許可する。
また、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が300枚以上であっても、その上に積載される後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が2000枚以上の場合に、制御部205は次の制御を行う。制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定する。図36(c)に示す積載パターンがこれに該当し、積載されたシートの重心の位置が高い状態を示している。
このような管理テーブルに示す条件値に基づいて、制御部205は、ステップS3005〜S3013に示す制御をおこなう。ここでは、枚数に関する条件値に基づいて制御を行う例を説明するが、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数の条件値をS1、S2とし、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数の条件値をT1、T2として説明する。以下の説明では、例として、S1が10枚、S2が300枚、T1が1000枚、T2が2000枚の場合について説明するが、S1、S2、T1、T2の値はこれに限らない。但し、S1はS2よりも小さい値であるとする。
まず制御部205は、ステップS3005において、管理テーブルに基づいて、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数がS1枚(10枚)未満であるか否かを判定する。シートの枚数がS1枚(10枚)未満であると判定した場合には、ステップS3013に移り、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(例えば10mm)ずれた状態で積載することを許可する。
一方、ステップS3005で先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数がS1枚(10枚)以上であると判定した場合には、ステップS3005に移り、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数はS2枚(300枚)未満であるか判定する。先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が、S2枚(300枚)未満であると判定した場合には、ステップS3007に移る。
ステップS3007では、制御部205は、管理テーブルに基づいて、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数がT1枚(1000枚)以上であるかどうかを判定し、T1枚(1000枚)以上であると判定した場合は、次の制御を行う。制御部205は、S3008にて、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載する事を禁止する必要があると判定する。
一方、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が、T1枚(1000枚)未満であると判定した場合にはステップS3109にて、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載する事を許可する。一方、ステップS3006において、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数がS2枚(300枚)以上であると判定した場合には、ステップS3010に移る。
ステップS3010において、制御部205は、後続のジョブのシート束に含まれるシートの枚数がT2枚(2000枚)以上であるか判定する。T2枚(2000枚)以上である場合には、ステップS3011にて、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載する事を禁止する必要があると判定する。
一方、制御部205は、T2枚(2000枚)未満であると判定した場合には、ステップS3012にて後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載する事を許可する。
以上のように、制御部205が状況に応じて、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載する事を許可するか禁止するかを判定する。それによって、積載されたシートが不安定になることを未然に防止することができる。
また、この制御とは別に、制御部205は、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数と後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数の割合をもとにして、ジョブ間シフト処理を許可するか禁止するかを決定することも可能である。例えば、制御部205は、後続ジョブのシート束の枚数を先行ジョブのシート束の枚数で割り、割った値が予め定められた条件値以上の場合には、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定してもよい。
<高さを基準に判定する場合>
次に、図38に示すステップS2906において、制御部205が、先行ジョブのシート束の高さ、及び、後続ジョブのシート束の高さを基準に、判定を行う場合について、図41のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御部205は、図41のステップS3201、ステップS3202において、図39のステップS3001、S3002で述べた方法と、同じ方法で、先行ジョブの情報と、後続ジョブの情報を取得する。その後、ステップS3203に処理を進める。
ステップS3203において、まず、制御部205は、ステップS3201で取得した先行ジョブの情報から、前述した方法で、先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数を求める。そして、制御部205は、当該先行ジョブのシートの枚数と、シート1枚あたりのシートの厚さとの積をとることで、先行ジョブのシート束の高さを求める。
シート1枚あたりのシートの厚さは、用紙の種類に対応づけて予めHDD209に記憶しておき、制御部205は、印刷に要する用紙の種類を処理条件データから取得し、その用紙の種類に対応したシートの厚さを参照することで、取得することができる。
シートの高さを算出する方法について、例をあげて説明する。例えば、通常のコピー用紙の厚さを0.1mmとして、予めHDD209に記憶させておき、制御部205は、該コピー用紙に500枚の印刷シートを積載する場合に、その高さは0.1mm×500枚で50mmであると算出する。ステップS3203において、制御部205は、このようにして、先行ジョブのシート束の高さを算出したら、ステップS3204に処理を進める。
ステップS3204において、制御部205は、後続ジョブのシート束の高さを、先行ジョブのシート束の高さを算出した方法と、同様の方法によって算出し、ステップS3205に処理を進める。
なお、ステップS3203において、(先行ジョブの情報取得方法1〜3)に示す方法で取得した情報から、シート束の高さを算出する方法を説明したが、制御部205は、次の方法でも、先行ジョブの高さに関する情報を取得することが可能である。
(先行ジョブの高さ取得方法)
先行ジョブが既に実行済みのジョブである場合に、制御部205は、大容量スタッカ内に設けられた不図示の高さ検知センサによって、大容量スタッカに積載された先行ジョブのシート束の高さを取得することができる。高さ検知センサは、大容量スタッカの内部に積載されているシートの高さを検知し、制御部205に、検知した高さに関する情報を送信する。この場合、制御部205は、高さ検知センサからの信号を受信して、大容量スタッカに積載された先行ジョブのシート束の高さを取得することができるので、上記計算をしなくてもよい。
以上のようにして得た各シート束の高さをもとに、制御部205は、図41に示すステップS3205〜S3213の処理で、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止する必要があるかを判定する。制御部205は、当該判定を図40に示す管理テーブルに基づいておこなう。
尚、この管理テーブルに示す高さの条件値は、製造時に予め設定した値をROM207に格納しておき、制御部205がそれらを必要に応じて参照するようにしてもよいし、後にオペレータによって設定、変更できるようにしてもよい。
ステップS3005〜S3013に示す処理の流れを説明する前に、管理テーブルに設定された条件について説明する。
まず、制御部205が、ステップS2906において、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定するのは、次のような場合である。それは、制御部205が、先行ジョブのシート束の高さが30mm未満であり、後続ジョブのシート束の高さが100mm以上だと判定した場合である。例えば、図34(c)に示す積載パターンがそれに該当する。
ただし、例外として、先行ジョブのシート束の高さが、極端に低い場合、例えば1mm未満の場合)には、先行ジョブのシート束の高さは無視することができる。よって、制御部205は、このような場合にまで、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを禁止する必要は無い。
つまり、制御部205は、先行ジョブのシート束の高さが1mm以上30mm未満で、後続ジョブのシート束の高さが100mm以上であると判定した場合に、次の制御を行う。制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを禁止する。
また、制御部205は、先行ジョブのシート束の高さが30mm以上でも、その上に積載される後続ジョブのシート束の高さが200mm以上の場合、例えば図36(c)に示す積載パターンの場合も、次の制御を行う。制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを禁止する。
制御部205は、図41に示すフローチャートに従って当該判定をおこなう。尚、ここでは、シート束の高さに関する条件値に基づいて制御を行う例を説明するが、先行ジョブのシート束の高さの条件値をL1、L2とし、後続ジョブのシート束の高さの条件値をM1、M2として説明する。以下の説明では、例として、L1が1mm、L2が30mm、M1が100mm、M2が200mmの場合について説明するが、L1、L2、M1、M2の値はこれに限らない。但し、L1はL2よりも小さい値であるとする。
まず制御部205は、ステップS3205において、先行ジョブのシート束の高さがL1(1mm)未満であるか判定する。L1(1mm)未満であると判定した場合には、ステップS3213に移り、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを禁止する必要はないと判定する。
一方、制御部205は、ステップS3201でL1(1mm)以上と判定した場合には、ステップS3206に移り、先行ジョブのシート束の高さはL2(30mm)未満であるか判定する。L2(30mm)未満であると判定した場合には、ステップS3207に移る。
ステップS3207において、制御部205は、後続ジョブのシート束の高さがM1(100mm)以上であるかどうかを判定し、M1(100mm)以上であると判定した場合に、ステップS3208に処理を進める。ステップS3208において、制御部205は後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定する。
後続ジョブのシート束の高さがM1(100mm)未満であると判定した場合にはステップS3209にて、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを許可する。
一方、ステップS3206において、先行ジョブのシート束の高さがL2(30mm)以上であると判定した場合には、ステップS3210に移る。ステップS3210では、制御部205は、後続ジョブのシート束の高さがM2(200mm)以上であるか判定する。その結果、M2(200mm)以上であると判定した場合には、制御部205は、ステップS3211にて、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定する。また、M2(200mm)未満であると判定した場合には、制御部205は、ステップS3212にて、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分(10mm)ずれた状態で積載することを許可する。
以上のような制御によって、制御部205が状況に応じて、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する必要があるか否か判定することで、積載されたシートが不安定になることを未然に防止することができる。尚、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを許可した後続ジョブについては、そのジョブを実行する際に後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載するための制御を行う。
また、この制御とは別に、制御部205は、先行ジョブのシート束の高さと後続ジョブのシート束の高さの割合をもとにして、ジョブ間シフト処理を禁止することが必要であるか否かを判定することも可能である。例えば、制御部205は、後続ジョブのシート束の高さを先行ジョブのシート束の高さで割り、割った値が、予め定められた条件値以上の場合に、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定してもよい。
<具体例>
以上説明した動作のうち、シートの枚数を基準にして後続ジョブのシート束と、先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止する方法を、以下に具体例を用いて説明する。
制御部205は、印刷要求を受けたジョブを、当該ジョブの実行を完了するまで、例えば、表示部401に図42に示すようなジョブリストとして表示させる。
制御部205は、ジョブAを受付けると、ジョブAの印刷データをHDD209に格納する。また、ジョブAを受付ける際に、ジョブAの処理条件データも受付け、処理条件データをジョブAに対応付けてHDD209に格納する。
そこで、制御部205は、受付けたジョブ名(ジョブA)と、ジョブAに対応付けられてHDD209に記憶されている処理条件データの一部(ジョブ名や、用紙サイズ、ページ数など)を、ジョブリストに表示させる。
制御部205は、ジョブAと同様に、ジョブB、ジョブCを受付けた後、図42に示すジョブリストを表示部401に表示させる。
制御部205は、ジョブA、ジョブB、ジョブCについて、それぞれ図38に示すフローチャートの制御をおこなう。換言すると、制御部205は、ジョブAを受付けた場合に、図38のステップS2901で印刷要求がなされたジョブを受付けたと判定し、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止するか否か判定する判定処理を開始する。
まず、制御部205がジョブAを受付けたときの処理について説明する。なお、このとき大容量スタッカには、シートが積載されていない状態であるものとして説明をおこなう。
まず制御部205は、図38のフローチャートに示すステップS2901で、印刷要求がなされたジョブAを受付けたと判断し、ステップS2902に処理を進める。
ステップS2902において、制御部205は、ジョブAの排紙先にシート束をずれた状態で積載させる機構があるか否か判定する。まず、制御部205は、ジョブAの排紙先をジョブAの印刷データに対応付けて記憶された処理条件データを参照することで取得する。ジョブAは、中綴じ製本処理を行うように指示されたジョブであり、中綴じ製本機のスタックトレイを排紙先とするため、制御部205は、ジョブAの排紙先にシート束をずれた状態で積載させる機構があると判定し、ステップS2903に処理を進める。
その後、ステップS2903において、制御部205は、ジョブAの排紙先と同じ排紙先のジョブ(先行ジョブ)が存在するか否かを判定する。ジョブAと同じ排紙先のジョブは存在しないので、ステップS2913に処理を進める。ステップS2913において、制御部205は、処理すべきジョブのシート束の端部が、例えば図30に示す第1の積載基準位置に揃うように積載させるように制御し、ステップS2909に処理を進める。また、HDD209の中に、ジョブAよりも先に実行予定の印刷ジョブが存在しないので、印刷装置100はジョブAの印刷処理の実行を開始する。このとき、印刷された1枚目のシートは、図30に示す第1の積載基準位置に排紙される。
次に、ステップS2909において、制御部205は、他にも処理すべきジョブが存在するか否かを判定する。ここで、制御部205は、ジョブBを受付けている場合に、ステップS2902に処理を進め、ジョブBを対象に次の処理を行う。
ステップS2902において、制御部205は、ジョブBの排紙先に、シート束をずれた状態で積載させる機構があるか否か判定する。まず、制御部205は、ジョブBの排紙先情報を、ジョブBの印刷データに対応付けて記憶された処理条件データを参照することで取得する。ジョブBは大量積載処理を行うように指示されたジョブであり、大容量スタッカのスタックトレイを排紙先とするため、制御部205は、ジョブBの排紙先にシート束をずれた状態で積載させる機構があると判定し、ステップS2903に処理を進める。
その後、ステップS2903において、制御部205は、ジョブBの排紙先と同じ排紙先のジョブ(先行ジョブ)が存在するか否かを判定する。ここで、制御部205は、ジョブAの排紙先を、ジョブAの印刷データに対応付けて記憶されている処理条件データを参照し、当該ジョブAの排紙先が、ジョブBの排紙先である大容量スタッカのスタックトレイか否か判定する。ジョブAの排紙先は、中綴じ製本機のスタックトレイであるので、制御部205は、ジョブBと同じ排紙先のジョブは存在しないと判定し、ステップS2913に処理を進める。
ステップS2913において、制御部205は、処理すべきジョブのシート束の端部が積載基準位置に揃うように積載させるように制御し、ステップS2909に処理を進める。尚、ジョブBの頁数は800頁あり、表示はしていないが、両面印刷設定および4in1印刷設定がなされているものとする。
次に、ステップS2909において、制御部205は、他にも処理すべきジョブが存在するか否かを判定する。ここで、制御部205は、ジョブCを受付けている場合に、ステップS2902に処理を進める,ジョブCを対象に次の処理を行う。
ステップS2902において、制御部205は、ジョブCの排紙先にシート束をずれた状態で積載させる機構があるか否か判定する。まず、制御部205は、ジョブCの排紙先をジョブCの印刷データに対応付けて記憶された処理条件データを参照することで取得する。ジョブCは、中綴じ製本処理を行うように指示されたジョブであり、中綴じ製本機のスタックトレイを排紙先とするため、制御部205は、ジョブCの排紙先にシート束をずれた状態で積載させる機構があると判定し、ステップS2903に処理を進める。
その後、ステップS2903において、制御部205は、ジョブCの排紙先と同じ排紙先のジョブ(先行ジョブ)が存在するか否かを判定する。制御部205は、ジョブCの排紙先をジョブCの処理条件データを参照することによって取得し、ジョブA、ジョブBの排紙先と比較する。その結果、制御部205は、ジョブCの排紙先である中綴じ製本機のスタックトレイと同じスタックトレイを排紙先とするジョブAが存在すると判定し、ステップS2904に処理を進める。
ステップS2904において、制御部205は、ジョブCに対して、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載するジョブ間シフト処理をおこなうように指定されているか否かを判定する。当該ジョブ間シフト処理の指示は、図32に示すジョブ間シフトボタン213によっておこなわれる。ここでは、ジョブ間シフトボタン2301によってジョブ間シフト処理をおこなうように設定されているとする。この場合、制御部205は、ジョブ間シフト処理をするように指示されていると判定し、ステップS2905に処理を進める。
ステップS2905において、制御部205は、ジョブCの排紙先は大容量スタッカか否かを判定する。制御部205は、ジョブCの印刷データに対応付けて記憶されている処理条件データを参照し、ジョブCの排紙先情報を取得する。ジョブCの排紙先は、中綴じ製本機のスタックトレイであるので、制御部205は、ステップS2911に処理を進める。
ステップS2911において、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載させるように制御し、ステップS2909に処理を進める。
他に処理すべきジョブは存在しないので、制御部205は、図38のフローチャートに示す処理を終了する。
このような状態のときに、制御部205は、ジョブDを受付けたとする。制御部205は、ここで、ジョブDを受付けた制御部205は、図38のフローチャートに示すステップS2901において、印刷要求がなされたジョブDを受付けたと判断し、ステップS2902に処理を進める。
ステップS2902において、制御部205は、ジョブDの排紙先にシート束をずれた状態で積載させる機構があるか否か判定する。まず、制御部205は、ジョブDの排紙先をジョブDの印刷データに対応付けて記憶された処理条件データを参照することで取得する。ジョブDは、大量積載処理を行うように指示されたジョブであり、大容量スタッカのスタックトレイを排紙先とするため、制御部205は、ジョブDの排紙先にシート束をずれた状態で積載させる機構があると判定し、ステップS2903に処理を進める。
ステップS2903において、制御部205は、ジョブDの排紙先と同じ排紙先のジョブが存在するか否か判定する。ジョブDの排紙先は大容量スタッカのスタックトレイであり、同じ大容量スタッカのスタックトレイを排紙先とするジョブがあるか否かを判定する。制御部205は、ジョブAからジョブCの排紙先に関する情報を取得し、大容量スタッカのスタックトレイを排紙先とするジョブBがあると判定し、ステップS2904に処理を進める。
次に、ステップS2904において、制御部205は、ジョブDに対して、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載するジョブ間シフト処理をおこなうように指定されているか否かを判定する。ここでは、ジョブ間シフトボタン2301によってジョブ間シフト処理をおこなうように設定されているとする。この場合、制御部205は、ジョブ間シフト処理をするように指示されていると判定し、ステップS2905に処理を進める。
ステップS2905において、制御部205は、ジョブDの排紙先は大容量スタッカか否かを判定する。制御部205は、ジョブDの印刷データに対応付けて記憶されている処理条件データを参照し、ジョブDの排紙先情報を取得する。ジョブDの排紙先は、大容量スタッカのスタックトレイであるので、制御部205は、ステップS2906に処理を進める。
ステップS2906において、制御部205は、ジョブDのシート束とジョブBのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する必要があるか否かを判定する。その具体的な処理については、図39、もしくは、図41に示すフローチャートによって示される。ここでは、図39のフローチャートに従って処理を行う例について説明する。
図39のステップS3001において、制御部205は、先行ジョブであるジョブBの情報を取得する。具体的に、制御部205は、ジョブBの処理条件データから、ジョブBのページ数と印刷設定とを取得する。この例では、まず制御部205は、HDDにジョブBに対応付けて記憶されている処理条件データから、ジョブBの印刷データは800頁分あり、両面印刷で、4in1印刷するように設定されているという情報を取得し、ステップS3002に処理を進める。
ステップS3002において、制御部205は、ジョブDの情報を取得する。ここでも、ジョブBの情報を取得したのと同様に、ジョブDのページ数と印刷設定とを取得し、ステップS3003に処理を進める。
ステップS3003において、制御部205は、ステップS3001で取得したジョブBの情報から、800頁÷2(両面印刷)÷4(4in1)=100枚というように、ジョブBのシート束に含まれるシートの枚数を算出する。そして、制御部205は、算出した値を、HDD209中の先行ジョブの枚数格納領域に記憶しておく。そして、ステップS3004に処理を進める。
ステップS3004において、制御部205は、ステップS3002で取得したジョブDの情報から、ジョブDのシート束に含まれるシートの枚数を計算する。ジョブDは5000頁あり、片面印刷で、2in1印刷するように設定されている場合、制御部205は、それらの情報をステップS3002で取得しておく。そして、制御部205は、取得した情報から5000頁÷2(2in1)=2500枚とジョブDのシート束に含まれるシートの枚数を計算する。そして、制御部205は、その値をHDD209中の後続ジョブの枚数格納領域に記憶しておく。
次にステップS3005以降で、制御部205は、ジョブBやジョブDのシート束に含まれるシートの枚数に基づき、後続ジョブ(ジョブD)のシート束と先行ジョブ(ジョブB)のシート束とをずれた状態で積載することを禁止する必要があるか否か判定する。
尚、この例では、制御部205は、図37の管理テーブルに定められた条件値に基づいて、判定する。
まず、ステップS3005において、制御部205は、先行ジョブの枚数格納領域に格納されたジョブBのシート束に含まれるシートの枚数とS1(10枚)とを比較する。ジョブBのシート束に含まれるシートの枚数は100枚で、S2(10枚)未満ではないので、ステップS3006に進む。次に、ステップS3006において、制御部205は、ジョブBのシート束に含まれるシートの枚数がT1(300枚)未満かどうかを判定する。ジョブBのシート束に含まれるシートの枚数100枚は、T2(300枚)未満であるので、ステップS3007に進む。
ステップS3007において、制御部205は、ジョブDのシート束に含まれるシートの枚数がT1(1000枚)以上かどうか判定する。ジョブDのシート束は2500枚であり、T1(1000枚)以上であるので、ステップS3008に進む。
ステップS3008において、制御部205は、後続ジョブ(ジョブD)のシート束と先行ジョブ(ジョブB)のシート束とをずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定する。
そして、制御部205は、図39を用いて説明した、後続ジョブ(ジョブD)のシート束と先行ジョブ(ジョブB)のシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを許可するか禁止するかの判定を行う処理を終了し、ステップS2907に処理をすすめる。
ステップS2907において、制御部205は、後続ジョブ(ジョブD)のシート束と先行ジョブ(ジョブB)のシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定し、ステップS2908に処理を進める。
ステップS2908において、制御部205は、後続ジョブ(ジョブD)のシート束と先行ジョブ(ジョブB)のシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを禁止する。そして、制御部205は、ステップS2909に処理を進める。
ステップS2909において、制御部205は、処理すべきジョブは、存在しないと判定し、終了する。
以上のような制御によって、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載させると、積載されたシート束が不安定になる状態を、制御部205は、種々の条件値によって判断することができる。それによって、制御部205は、大容量スタッカに積載されたシートが不安定になることを未然に防ぐように制御することができる。
また、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定した場合に、当該後続ジョブの処理条件データに、ずれた状態で積載することを禁止する旨の情報を加えておく。そして、制御部205は、その後続ジョブを実行する場合に、以下の(制御1)〜(制御3)に述べるような制御を代わりにおこなうことができる。
(制御1)
制御部205は、先行ジョブのシート束の排紙位置に対して、後続ジョブのシート束をずらさずに、積載させる。
また、その際に、制御部205によって、その先行ジョブのシート束と、後続ジョブのシート束の間に仕切り紙を入れるように制御する。それによって、後続ジョブと先行ジョブとをずらさずとも、両ジョブの区切れ目を明確にすることができる。
なお、仕切り紙のサイズは、その仕切り紙の、前後のシートのサイズよりも大きいサイズのものを選択することで、仕切り紙を前後のシートと比較して、見分けやすくすることができる。また、先行ジョブのシート束と、後続ジョブのシート束の間に仕切り紙を入れないように設定することも可能である。
(制御2)
制御部205は、後続ジョブの実行時に、表示部401に図44に示すような表示をさせ、オペレータに後続ジョブのシート束に対して、ジョブ間シフト処理をせずに排紙をおこなうように指示するためのメッセージを表示させる。それとともに、制御部205は、ジョブ間シフト処理をせずに排紙する指示をおこなうためのボタンを表示させる。
例えば、ここで、オペレータによって、図44に示す「はい」ボタンが押された場合、制御部205は、「はい」ボタンが押されたことを表示部401のタッチパネルから送られてくる信号によって認識する。そして、当該信号を受信した制御部205は、後続ジョブのシート束に対してジョブ間シフト処理をおこなわずに積載させる。言い換えると、制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを極力ずれない状態で積載させる。その際にも、(制御1)と同様、制御部205によって、先行ジョブのシート束と後続ジョブのシート束の間に仕切り紙を入れることによって後続ジョブと先行ジョブとをずらさずとも、両ジョブの区切れ目を明確にすることができる。
一方、オペレータによって、「いいえ」ボタンが押された場合、制御部205は、「いいえ」ボタンが押されたことを表示部401のタッチパネルから送られてくる信号によって認識する。そして、当該信号を受信した制御部205は、後続ジョブのシート束に対してジョブ間シフト処理をおこなわせ、積載させる。言い換えると、当該信号を受信した制御部205は、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載するように制御する。例えば、台車での運搬距離が短く、シートの運搬中に荷崩れする可能性が低い場合に、オペレータは「いいえ」ボタンを選択することによって、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載させることができる。このような構成によって、印刷システム1000は、オペレータの意思を尊重したシフト処理をおこなうことができる。
(制御3)
制御部205は、表示部401に図45に示すような表示をさせ、オペレータに大容量スタッカ中に積載されているシートを取り除くように促す。その後、制御部205は、当該シートが大容量スタッカからシートが取り除かれたと判定した場合に、後続ジョブのシートの排紙を開始する。
ここで、制御部205が大容量スタッカからシートが取り除かれたと判定する方法には、例えば、前述したような、不図示の大容量スタッカに設けられたシート検知センサを用いたものや、大容量スタッカの前ドアの開閉センサによるものがある。また、制御部205は、表示部401に大容量スタッカからシートを取り除いた後にOKボタンを押すように促すメッセージを表示させる。その後、制御部205は、OKボタンが押下されたことを通知する信号をタッチパネル401から受信した時に、シートが取り除かれたと判定する方法もある。
その際に、OKボタンが押下されたにもかかわらず、例えば、シート検知センサから、シートが有る旨の信号を受け取った場合は、後続ジョブのシートの排紙を開始せず、表示部401に再度、図38に示すような表示を行うとよい。
以上のような制御をおこなうことによって、制御部205は、大容量スタッカに積載されるシートの安定性を維持することができる。
<後続ジョブがコピージョブの場合>
以上のような制御では、これから排紙しようとするシート束の積載位置を、当該シート束の1枚目を排紙する時点までに、これから排紙するシート束の枚数、あるいは高さに基づいて制御部205が決定しておく必要がある。
ただ、後続ジョブが複数ページの原稿からなるコピージョブで、当該複数ページ分の読取りが完了していない場合に、制御部205は当該コピージョブの印刷を完了する為に何枚のシートを要するか、1枚目の印刷済みシートの排紙時点でわからない場合がある。もちろん、コピージョブなので、クライアントPCから処理条件データを受信することも考えづらく、制御部205は、処理条件データから当該ジョブのページ数を参照することもできない。このような状況は、以下に示す複数の条件を同時に満たす場合に起こる。
(条件1)
複数ページあるコピー原稿の読取りが完了していないこと。
複数ページあるコピー原稿の読取りの完了を制御部205が判断する方法には、次のようなものがある。オペレータは、例えば、コピー原稿の連続読取りモードを利用することで、複数ページある原稿を1つのジョブとして読み込ませることができる。制御部205は、不図示の「連続読取ボタン」が押された後で、且つ、連続読取を完了した際に押される不図示の「完了」ボタンが押されるまでを連続読取りモードとし、その間に読み取った原稿を1つのジョブのデータとする。そこで、制御部205は、原稿の読取りの完了を、不図示の「完了」ボタンが押されたことを検知することによって判断する。従って、制御部205は、原稿の連続読取りモード中であって、「完了」ボタンが押されていない場合には、複数ページあるコピー原稿の読取りが完了していないと判断する。
また、オペレータは、複数ページある原稿の読み取りを印刷システムが有する自動原稿搬送装置(ADF)301を用いて行うことができる。自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、スキャナ302によって原稿走査するために原稿台ガラス上へ搬送する。そして、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束がなくなったと判定した場合に、原稿読取りが完了したと判断する。従って、制御部205は、自動原稿搬送装置(ADF)301による原稿搬送動作中で、且つ、原稿トレイにコピー原稿が残っていると判定した場合に、複数ページあるコピー原稿の読取りが完了していないと判断する。
(条件2)
受付けたコピージョブを実行可能な状況である。例えば、HDD209内に、当該コピージョブの前に実行中、あるいは、実行待ちの先行ジョブが存在しない場合、先行ジョブの実行が完了し受付けたジョブを実行可能になった場合がある。
以上のような(条件1)、(条件2)を同時に満たす場合に、制御部205は、当該コピージョブの実行を開始できる状況において、当該コピージョブの印刷に何枚のシートを要するのか把握できない。そのため、制御部205は、このような場合に、枚数や高さ等の積載量に基づいたシート排紙処理を禁止する必要があるか否かを決定することは難しかった。
制御部205は、全ての原稿の読取りが完了するまで、印刷ジョブの1枚目の印刷の開始を待てば、コピージョブの印刷に何枚のシートを要するか認識することができる。しかし、その場合、1枚目のシートを排紙するまでに要する時間、FCOT(ファーストコピーオンタイム)が遅くなり、生産性が悪化する。
そこで、制御部205が、以下に説明する制御をおこなうことによって、このような問題を解決し、FCOTやジョブ全体の生産性の向上を図ることができる。
まず、制御部205は、表示部401に図46に示すようなジョブリストを表示させている場合を例にして説明する。先行ジョブであるジョブAは、大量積載処理を要求されているジョブであり、制御部205によって、実行中のジョブである。また、それと並行して、制御部205は、後続ジョブであるジョブBの原稿読取りをおこなっている。ジョブBはコピージョブであり、まだ制御部205は、コピー原稿の全ページ分の読取り完了を検知していない場合を想定する。
この場合、先行ジョブAの実行を完了する前に後続ジョブBの複数ページの原稿のうち、全ページの読取りが完了した場合、制御部205は、ジョブBの総ページ数を把握でき、総ページ数をもとに、印刷に要する枚数を取得することができる。しかし、ジョブAの実行が完了したときに、ジョブBの読取りが完了していない場合には、制御部205は、ジョブBの総ページ数が分からず、印刷に要する枚数を把握することができない。
この場合、制御部205が、次のような制御をすることが有効である。
例えば、ユーザはコピー原稿の枚数が多い場合に、圧板を使ってコピー原稿を読み込ませるよりも、ADF301を用いてコピー原稿を読み込ませることが多い。従って、コピー原稿がADFを介して行われている場合には、コピー原稿の枚数は多いと推測できる。逆に、コピー原稿が圧板を使って行われている場合には、コピー原稿の枚数は少ないと推測できる。
従って、制御部205は、ジョブBのコピーがADF301でおこなわれている旨の信号を受信した場合、ジョブAとジョブBとをずれた状態で積載することを禁止する必要があると判定し、当該ジョブBの印刷の実行を開始する。この場合に、制御部205は、ジョブBを実行した際に排紙する1枚目のシートの排紙位置を、ジョブAのシート束の積載位置と同じ位置に排紙することを決定して排紙させる。
一方、制御部205は、不図示の圧板使用検知センサからの信号を受信し、ジョブBが圧板によってコピーが行われていると判定した場合、当該ジョブBの総ページ数は少ないと推測することができる。よって、制御部205は、圧版によってコピーがおこなわれている旨の信号を受信した場合に、ジョブAとジョブBとをずれた状態で積載することを禁止する必要はないと判定し、当該ジョブBの印刷の実行を開始する。この場合に、制御部205は、ジョブBを実行した際に排紙する1枚目のシートの排紙位置を、ジョブAのシート束の積載位置と特定量分ずれた位置に決定して排紙させる。
以上の制御によって、後続ジョブがコピージョブであっても、全てのコピー原稿の読取りを終えるのを待つことなく、ジョブ間シフト処理の許可あるいは禁止を決定し、そのコピージョブの実行を開始することができる。それによって、最初のページが出力されるまでに要する時間を短くすることができ、ジョブ全体の生産性も向上させることができる。
<排紙先が変わったときのシフト排紙制御>
また、制御部205が、ジョブのシートの排紙先を変更する場合がある。
例えば、あるジョブのシートを排紙した場合に当該ジョブの排紙先の積載許容枚数を超えると制御部205が印刷処理の開始前に判定した場合や、排紙しているジョブのシートの排紙先が当該ジョブの印刷途中で満載になった場合がある。また、表示部401から受付けたオペレータの排紙先変更指示によるものなどがある。
ここでは、図26に例示する本形態の印刷システム1000のシステム構成を例にとって説明する。図26に示すのは、図16に例示した大容量スタッカを2台と中綴じ製本機の1台の計3台のインラインフィニッシャを接続したシステム構成例である。
図26に示すシステム構成において、制御部205は、大容量スタッカ200aのスタックトレイに排紙をおこなっているとする。このとき、例えば、制御部205は、不図示のカウンタによって、当該大容量スタッカに積載済みのシートの枚数をカウントしておく。その後、制御部205は、既に大容量スタッカに積載済みのシートの枚数と、これから排紙しようとするシート束の枚数との和を計算し、その和が大容量スタッカの積載許容枚数を超えると判定した場合に、そのジョブのシート束の排紙先を別の排紙先に変更する。
変更後の排紙先の候補として、もう1台の大容量スタッカ200bと、中綴じ製本機200cのスタックトレイのいずれかを新たな排紙先として選択する。
その際に、制御部205は、新たな排紙先として、もう1台の大容量スタッカ200bを選択した場合には、処理すべきジョブのシート束を、その前に積載されたシート束と同じ位置に積載させる。
一方、制御部205が、新たな排紙先として、中綴じ製本機200cのスタックトレイを選択した場合には、処理すべきジョブのシート束と、その前に積載されたシート束とを特定量分ずれた状態で積載させる。
なお、このような設定は、ユーザが予め排紙先ごとに予め決めておくようにしてもよい。
以上のような制御によって、排紙先ごとに、ジョブ間シフト処理をおこなうか行わないかを設定しておき、排紙先が複数ある場合にも、排紙先に合わせたジョブ間シフト処理をおこなうことができる。
<3つ目以降のジョブのシート束を積載する場合の制御>
積載されたシートが存在しない排紙先に排紙する、2つのジョブのシート束間でおこなうジョブ間シフト処理の制御については、上記のように説明した。
ここでは、3つ目以降のジョブのシート束について、ジョブ間シフト処理の許可/禁止を決定する制御部205の制御について説明する。なお、3つ目以降の各ジョブに関しては、3つ目のジョブに対する制御と同じ制御をすることで、同じ効果が得られるため、3つ目のジョブに対して行う制御を例にとって説明をおこなう。
3つ目のジョブのシート束を、それ以前にスタッカに積載されるシート束の上に積載することで、積載されたシートが台車での運搬中に不安定になる積載パターンを、図47(a)、(b)に示す。これらは、3つ目のジョブのシート束(受付けたジョブのシート束)の積載量が多く、且つ、当該3つ目のジョブのシート束を、互いにずれた状態で積載された複数の先行ジョブのシート束の上に積載する場合である。
このような状態でシートが積載されるのを未然に防ぐために、3つ目のシート束を排紙するときに制御部205がおこなう制御について、図38および図48のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御部205は、図38のフローチャートに示す制御をおこなう。図38に示すフローチャートにおいて、制御部205が、3つ目のジョブに対して行う制御のうち、2つ目までのジョブと異なる制御は、ステップS2906である。そこで、制御部205が、ステップS2906で行う処理について、図48を用いて説明する。
尚、制御部205は、処理すべきジョブが3つ目のジョブであることを、例えば、HDD209内に、排紙先ごとに用意されたジョブカウンタの値によって認識する。当該ジョブカウンタの値は、排紙先に設けられたシートの有無検知センサによって、当該排紙先にシートが積載されていないと判定した場合に初期化される。換言すると、0に設定される。その後、制御部205は、処理すべきジョブを実行する際に、指定された排紙先に当該ジョブのシートを排紙し、そして、当該ジョブのシートの排紙が完了した場合に、その排紙先に対応するジョブカウンタの値を1増やす。その後、図38のステップS3801において、処理すべきジョブが存在し、ジョブカウンタの値が2である(処理すべきジョブの排紙先に既に2つのジョブ分のシート束がある)と判定した場合に、制御部205は、3つ目のジョブに対しておこなう制御をする。
まず、図48のステップS3901で、制御部205は、先行ジョブの情報を取得するが、先行ジョブは複数あるので、それら複数の先行ジョブの情報を取得する。これら、先行ジョブに対して、処理すべきジョブを後続ジョブと呼ぶものとする。ここでは、3つ目のジョブを後続ジョブと呼ぶものとする。そして、ステップS3902に処理を進める。
ステップS3902において、制御部205は、後続ジョブの情報を取得し、ステップS3903に処理を進める。
ステップS3903において、制御部205は、ステップS3901で取得した先行ジョブの情報をもとに、複数の先行ジョブそれぞれのシート束に含まれるシートの枚数を算出し、当該複数の先行ジョブのシート束に含まれるシートの枚数の総和を算出する。
ステップS3904において、制御部306は、ステップS3902で取得した後続ジョブの情報をもとに、後続ジョブの枚数情報を算出する。
そして、制御部205は、ステップS3905において、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が、R枚(例えば、500枚)以上であるか否か判定する。R枚以上でない場合には、ステップS3808に移り、先行ジョブのシート束と後続ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で積載することを許可する。この場合、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数が少ない場合、積載されたシートが台車での運搬中の揺れや衝撃によって、荷崩れを起こす可能性が低いためである。言い換えると、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを極力ずれた状態で積載するようにするための処理である。一方、後続ジョブのシート束に含まれるシートの枚数がR枚以上である場合は、ステップS3906に処理を進める。
ステップS3906にて、制御部205は、複数ある先行ジョブのシート束のうち、他のジョブとずれた状態で積載されたシート束があるか否かの判定を行う。
ここでの判定の仕方について説明する。HDD209内に、シフト排紙フラグを用意しておき、初期状態(大容量スタッカにシートが存在しない状態)でシフト排紙フラグをオフに設定しておく。その後、制御部205がジョブに対して、例えば、図38のステップS2910のように、後続ジョブを先行ジョブに対してずれた状態で積載するように制御し、排紙をおこなった場合に、HDD209のシフト排紙フラグをオンにしておく。また、ステップS2908において、特定量よりも小さい量(例えば、5mm)だけ、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載するように制御し、排紙を行った場合にも、制御部205は、HDD209のシフト排紙フラグをオンにする。
そして制御部205は、図48のステップS3906において、HDD209内の当該シフト排紙フラグがオンになっていると判定した場合に、先行ジョブのシート束が互いにずれた状態で積載されていると判定する。なお、制御部205は、大容量スタッカからシートが取り除かれたと判定した場合に、HDD209中のシフト排紙フラグをオフにする。大容量スタッカからシートが取り除かれたと判定する方法は、前述したとおりである。
そして、制御部205は、先行ジョブのシート束が互いにずれた状態で積載されると判定した場合に、図45に示すような警告を、タッチパネル401上に表示し、先行のシート束を大容量スタッカから除去するようにオペレータに促す。
一方、ステップS3906において、制御部205は、複数の先行ジョブのシート束が互いにずれた状態で積載されていないと判定した場合には、Aに処理を移行する。そして、受付けた3つ目のジョブのシート束を後続のジョブのシート束、それ以前に実行される複数のジョブ分の平積みされたシート束を先行ジョブのシート束として、制御部205は、図39のフローチャートに示すステップS3005に処理を進める。ステップS3005以降の処理は、図39で説明したとおりであるので説明を省略する。
このような制御によって、3つ目以降のジョブのシート束に対しても、制御部205は、積載されたシートが不安定になるのを未然に防ぐことができる。
<複数部数印刷するように指示されたジョブの部間シフト>
また、本システム1000において、例えば、図6に示すようなコピーの設定画面の表示中に、オペレータは、図5に示すテンキー506を用いて、読み取った原稿の印刷部数を設定することができる。また、図53に示す部間シフトボタン213によって部間シフト処理をおこなうように指定されている場合を想定する。その場合、制御部205は、複数部数印刷をおこなうように指定されたコピージョブを受付けると、排紙するシートを1部ごとにずれた状態で積載させる。また、しかし、この場合も、大容量スタッカのスタックトレイに各部のシート束を互いにずれた状態で積載すると、積載されたシートが不安定になる場合がある。
シートの積載パターンには、1部あたりのシートの枚数によって、複数の積載パターンが存在するが、その中のいくつかの積載パターンについて、図49、図50に示し、以下で説明する。
(積載パターン5)
制御部205は、図49(a)に示す、例えば、大容量スタッカのスタックトレイに図49(b)に示すような、300枚のシートからなる、1部目のシート束4000aを積載させる。その後、制御部205は、図49(c)に示すような、300枚のシートからなる2部目のシート束4000bを、シート束4000aの上に、シート束4000aのシートの排紙位置とはずれた状態で積載させる。
(積載パターン6)
制御部205は、図50(a)に示す、例えば、大容量スタッカのスタックトレイに図50(b)に示すような、2000枚のシートからなる、1部目のシート束4001aを積載させる。その後、制御部205は、図50(c)に示すような、2000枚のシートからなる2部目のシート束4001bを、シート束4001aの上に、シート束4001aのシートの排紙位置とはずれた状態で積載させる。
尚、図49、図50の4000a〜4001aおよび4000b〜4001bは、それぞれ少なくとも1枚以上のシートからなるシート束を表している。図中の4000a〜4001aで表されたシート束は、それぞれ4000b〜4001bで表されたシート束に先行して積載されるシート束を表しており、それぞれのシート束は1部分のシート束を表している。
制御部205は、図49(c)、図50(c)のうち、図50(c)に示す積載パターンで大容量スタッカのスタックトレイにシートを積載させると、台車で運搬する際に、積載されたシート束が不安定になる。換言すると、図50(c)に示す積載パターンは、図49(c)に示す積載パターンに比べて、台車での運搬中の揺れや、段差による衝撃によって積載されたシートが崩れやすい。
そこで、本形態の制御部の一例である制御部205は、積載されたシートを台車で運搬する際に、積載されたシートが崩れやすい状態になることを未然に防止するために、以下のような制御を実行する。
尚、印刷システム1000の構成は、インラインフィニッシャの接続の仕方によって、様々な構成が存在する。ここでは、それらの構成のうち、印刷システム1000が図12あるいは図13に示すように、印刷装置100に、大容量スタッカ、中綴じ製本機の、2台のインラインタイプのシート処理装置を接続した構成を例にとって説明する。
印刷システム1000がこのような構成の場合、タッチパネル401上に示された図6のUI上のシート処理設定ボタン609がオペレータによって押下されると、制御部205は、例えば、図53に示すようなUIをタッチパネル401に表示させる。図53に示すようなUIにおいて、制御部205は、排紙先として中綴じ製本機211とスタッカ212(大容量スタッカ)の2種類の排紙先のうち、いずれかの排紙先をオペレータに対して選択可能にしている。
図53は、オペレータによって、排紙先に中綴じ製本機211が選択された場合に、制御部205が、タッチパネルに表示させる画面の一例である。このとき、制御部205は、部間シフト処理を行うか否かを選択する部間シフトボタン213を表示部401に表示させる。デフォルトでは、部間シフト処理をおこなうように設定されている。そして、当該部間シフトボタン213がオペレータによって押下されるごとに、制御部205は、部間シフトボタン213が押下されたことを通知する信号をタッチパネル401から受信し、部間シフト処理を実行する、しないを切りかえる。
また、制御部205は、オペレータの指示によって、中綴じ製本機211ではなく、スタッカ212が選択された場合に、図54に示すような表示をタッチパネル401に表示させる。この図54に示すように、制御部205は、中綴じ製本機が排紙先として指定された場合に選択可能にしていた部間シフトボタン213を、大容量スタッカが排紙先として指定された場合に設定不可能に表示部401に対して制御を行っている。
このように、制御部205は、排紙先にスタッカ212が指定された場合に、オペレータに部間シフトボタン213を選択できないようにし、排紙するシートに対する部間シフト処理を禁止する。以上の制御により、制御部205は、大容量スタッカへ排紙する際に、部間シフト処理を行わないようにすることができる。
制御部205は、部間シフト処理を禁止した場合、部間シフト処理をおこなう代わりに、例えば、部間シフト処理をおこなわずにシートを積載させるとよい。それによって、台車上に積載されたシートは部間シフト処理をおこなわずに積載されているため、部間シフト処理を行った場合に比べ、積載されたシートの安定性を保ち、積載されたシートが崩れる可能性を低減することができる。
次に、本発明における実施の形態の、別の例について説明する。この例では、オペレータの指示によって排紙先として、スタッカ212が選択された場合でも、制御部205は、部間シフトボタン213を選択可能にした図55のような表示を表示部401に行わせる。そして、オペレータが部間シフトボタン213によって部間シフト処理を行うように指示した場合であっても、制御部205が状況に応じて、部間シフト処理を禁止することで、積載されたシートが不安定になることを未然に防止する例について説明する。具体的に、制御部205がおこなう制御について、フローチャート図51を用いて説明する。
まず、図51のステップS4101において、制御部205は、処理すべきジョブが存在するか否かを判定する。処理すべきジョブとは、印刷要求がなされ、HDD209内に格納された実行待ちのジョブのことをいう。電源投入後、制御部205は、印刷要求がなされたジョブがHDD209内に存在するか否かを判定し、存在すればステップS4102に進む。
一方、制御部205は、印刷要求がなされたジョブがHDD209内に存在しない場合は、処理すべきジョブが存在しないと判定し、ステップS4101の処理を繰り返す。この場合、その後に、印刷実行要求がなされたジョブを受付けた場合に、制御部205は、処理すべきジョブが存在すると判定し、ステップS4102に進む。具体的には、ステップS4101において、制御部205は、本形態のUI部の一例である操作部204を介してユーザから印刷実行要求を受付けたか否かを、操作部204のスタートキー503に対するユーザの操作に基づき判断する。又、例えば、図20、図21で例示したように、本形態のUI部の、別の例に該当する外部装置の操作部を介してユーザから印刷実行要求を受付けたか否かを、制御部205が判定する。
尚、制御部205は、印刷実行要求がなされ、スキャナ部201または外部I/F部202を介して入力された処理対象となるジョブの印刷データを、全て、HDD209に記憶させ、且つ、HDD209から読み出してプリンタ部203により印刷させる。
又、制御部205は、ジョブを受付ける際に、そのジョブの処理条件データも受付け、該印刷データに対応付けてHDD209に記憶させる。この処理条件データには、印刷時のページ数や印刷部数、印刷倍率、印刷レイアウト、用紙の種類、用紙サイズ、片面/両面印刷設定等に関する情報が含まれる。且つ、当該ジョブにて印刷対象となるシートに対していかなる種類のシート処理を実行させるのかを特定する為のシート処理の種類に関する情報および印刷対象となるシートの排紙先情報も、当該処理条件データの中に含まれている。なお、制御部205が、印刷対象となるシートの排紙先情報を設定する方法については、前述したとおりである。
ステップS4101の処理は、印刷要求がなされたジョブを受付けるまで繰り返される。そして、印刷要求がなされたジョブを印刷装置100が受付けた場合は、制御部205は、図51のステップS4101からステップS4102へ処理を移行する。
ステップS4102において、処理すべきジョブの排紙先がシート束をずれた状態で積載するための機構を具備する排紙先であるか否かを判定する。具体的には、制御部205は、HDD209に記憶された処理条件データのうち、処理すべきジョブの排紙先情報を参照して判定する。制御部205は、排紙先情報が、例えば、中綴じ製本機のスタックトレイ、または、大容量スタッカのスタックトレイであると判定した場合に、処理すべきジョブの排紙先が、シート束をずれた状態で積載するための機構を具備する排紙先であると判定する。
制御部205は、判定の結果、当該機構を具備した排紙先ではないと判定した場合には、ステップS4014に進み、指定された排紙先に、処理すべきジョブのシート束をずれた状態にするための処理を行うことなく積載させるように制御する。
一方、ステップS4102において、制御部205は、処理すべきジョブの排紙先が、シート束をずれた状態で積載するための機構を具備すると判定した場合には、ステップS4103に進む。
ステップS4103において、制御部205は、処理すべきジョブが複数部数印刷するように指定されたジョブか否かを判定する。例えば、制御部205は、処理すべきジョブの印刷データに対応付けられた処理条件データを参照することによって、当該ジョブが複数部数印刷するように指定されているか否かを判定する。複数部数印刷するように指定されていなければ、ステップS4113に進み、処理すべきジョブの印刷物の端部が積載基準位置に揃うように積載させるように制御する。例えば、処理すべきジョブの排紙先が、大容量スタッカのスタックトレイの場合、図30に示す積載基準位置(例えば、第1の積載基準位置)に揃えて積載させるように制御する。
一方、制御部205は、処理すべきジョブが、複数部数印刷するように指定されたジョブであると判定した場合には、ステップS4104に進む。
ステップS4104において、制御部205は、印刷システム1000の設定として、例えば部間シフトボタン213によって部間シフト処理を実行するように指示されているか否かを判定する。
部間シフト処理を実行するように指示されていないと判定した場合には、ステップS4112に進み、制御部205は、処理すべきジョブの各部のシート束を互いにずらさずに積載させるように制御する。言い換えると、制御部205は、ステップS4112において、各部のシート束をずれた状態で積載することを禁止する。
一方、ステップS4104において、制御部205は、印刷システム1000の設定として、部間シフト処理を実行するように指示されていると判定した場合には、ステップS4105に進む。
ステップS4105において、制御部205は、処理すべきジョブの排紙先が大容量スタッカか否かを判定する。
ステップS4105において、制御部205は、処理すべきジョブの処理条件データから、当該ジョブの排紙先の情報を取得し、当該ジョブの排紙先が大容量スタッカではないと判定した場合には、ステップS4111に進む。
ステップS4111では、処理すべきジョブの各部のシート束を互いに特定量分(以降、特定量を10mmとする)ずれた状態で積載させるように制御する。一方、制御部205はステップS4105において、処理すべきジョブの排紙先が大容量スタッカだと判定した場合にステップS4106に進む。
ステップS4106において、制御部205は、処理すべきジョブの情報を取得する。処理すべきジョブはHDD209に記憶されており、実行待ちの状態であるので、次の方法によって、処理すべきジョブの情報を取得することができる。制御部205は、処理すべきジョブの印刷データに対応付けてHDD209に記憶された処理条件データを参照することで、当該処理すべきジョブの情報を取得することができる。
この方法で制御部205が取得できる情報には、先行ジョブの1部あたりのページ数や印刷部数、印刷倍率、印刷レイアウト、用紙の種類、用紙のサイズ、片面/両面印刷設定に関する情報、シート処理の種類に関する情報、シートの排紙先に関する情報等がある。
ステップS4107において、制御部205は、ステップS4106で取得した、処理すべきジョブの情報から、当該処理すべきジョブの1部のシート束に含まれるシートの枚数を算出する。
制御部205は、処理すべきジョブの1部のシート束に含まれるシートの枚数を、ステップS4107で取得可能な情報のうち、1部あたりのページ数、印刷レイアウト、片面/両面印刷設定に関する情報を用いて計算する。
例えば、1部あたりのページ数が1000ページで、2in1印刷が設定されている場合、制御部205は、1000ページ÷2(2in1印刷のため)で、処理すべきジョブ1部あたり500枚のシートが排紙されると計算する。また、1部あたりのページ数が2000ページで両面印刷が設定されている場合には、制御部205は、2000ページ÷2(両面印刷のため)で、処理すべきジョブ1部あたり1000枚のシートが排紙されると計算する。つまり、制御部205は、そのジョブの1部あたりのページ数を、シート1枚あたりに印刷するページ数で割ることで、当該ジョブを実行したときに排紙される、処理すべきジョブの1部のシート束に含まれるシートの枚数を得ることができる。ステップS4107において、制御部205は、処理すべきジョブの1部のシート束に含まれるシートの枚数を算出したら、ステップS4108に処理を進める。
ステップS4108において、制御部205は、処理すべきジョブの1部のシート束に含まれるシートの枚数が、条件値M枚(例えば、500枚)以上であるか否か判定する。
M枚以上であると判定した場合は、ステップS4109に処理を進め、制御部205は、処理すべきジョブの各部のシート束を互いに特定量分ずれた状態で積載する事を禁止する。この場合、制御部205は、例えば、各部のシート束を互いにずらさずに積載するように制御する。また、制御部205は、表示部401に、例えば図44に示すような表示をさせ、シート束を互いにずれた状態で積載するか否かをオペレータに確認するような構成にしてもよい。例えば、制御部205は、図44に示す「はい」ボタンが押されたことを、表示部401からの信号によって認識すると、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束の排紙位置とをずれた状態にせずに積載する。その際に、制御部205は、先行ジョブのシート束と、後続ジョブのシート束の間に仕切り紙を入れることによって、後続ジョブと先行ジョブとをずれた状態にせずとも、両ジョブの区切れ目を明確にすることができる。
一方、制御部205は、「いいえ」ボタンが押されたことを認識すると、後続ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載するように制御する。例えば、台車での運搬距離が短く荷崩れする可能性が低い場合に、オペレータは「いいえ」ボタンを選択することによって、荷崩れする可能性があっても、処理すべきジョブの各部のシート束をずれた状態で積載させることができる。このような構成によって、印刷システム1000は、オペレータの意思を尊重した部間シフト処理をおこなうことができる。
一方、M枚未満であると判定した場合は、ステップS4110に処理を進め、処理すべきジョブの各部のシート束を互いに特定量分ずれた状態で積載させるように制御する。
このような制御をおこなうことで、同一ジョブにおいて、オペレータからの指示によって、シートを部ごとにずれた状態で積載する場合であっても、台車での運搬中に積載されたシートが崩れる可能性を低減することができる。
<メディアタイプの違いによる制御>
印刷システム1000において、オペレータは、例えば、図6に示す用紙選択キー615を押下することで、印刷対象のジョブの印刷処理に要するシートの種類(メディアタイプ)を設定することが可能である。制御部205は、オペレータによる用紙選択キー615の押下に応答し、印刷対象のジョブの印刷処理に要するシートサイズやシートの種類(メディアタイプ)を該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。そして、制御部205は、その中からオペレータによって選択された種類のシートに印刷をおこなわせ、当該シートを指定された排紙先に排紙させる。
だが、シートの種類(例えば、普通紙やコート紙、光沢紙)によって、そのシートの表面の摩擦係数は異なる。そのため、摩擦係数が小さいシートを積載した場合、積載されたシートが、摩擦係数が大きいシートを積載した場合と比較して、崩れやすくなるという課題が生じる。
そこで、制御部205は、それらのシートの種類を考慮した、以下のような制御をおこなうことができる。例えば、制御部205は、処理すべきジョブを実行する際に、図52に示す管理テーブルに基づき、以下の制御をおこなう。
制御部205は、当該ジョブの印刷に要するシートの種類(メディアタイプ)を、当該ジョブを受付ける際に同時に受付けた処理条件データから特定する。そして、制御部205は、図52に示す管理テーブルを参照し、特定したシートの種類に応じて、当該ジョブのシート束と先行ジョブのシート束とを、ずれた状態で積載することを許可するか禁止するかを決定する。言い換えると、制御部205は、ジョブ間シフト処理をおこなうことを許可するか禁止するかを決定する。
例えば、制御部205は、処理対象のジョブの印刷に要するシートとして、摩擦係数の大きい光沢紙が指定されている場合には、当該処理対象のジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを許可する。また、例えば、処理対象のジョブの印刷に要するシートとして、摩擦係数の小さい普通紙が指定されている場合には、制御部205は、当該処理対象のジョブのシート束と先行ジョブのシート束とをずれた状態で積載することを禁止する。
尚、ここでは、制御部205が、ジョブ間シフト処理をおこなうことを、シートの種類を考慮して、許可するか禁止するか決定する場合について説明した。だが、これに限るものではなく、制御部205は、シートの種類を考慮して、部間シフト処理をおこなうことを許可するか禁止するかを決定してもよい。
このような制御を行うことで、制御部205は、シートの種類を考慮したジョブ間シフト処理、あるいは、部間シフト処理の実行の許可/禁止を制御することが可能となり、積載されたシートが台車での運搬中に崩れる可能性を低減することができる。
以上のように、本形態では、できるだけシフト排紙を行うことにより、予め決められた単位ごとの切れ目を明確にし、オペレータの作業の負担を軽減するとともに、種々の状況を想定して積載されたシートが崩れやすくなるような排紙を行わないようにした。これにより、積載されたシートが崩れてしまうことにより、それを拾い集めるなどといった更なるオペレータの作業の負担を未然に防ぐことができる。
以上の本形態で既述の制御で特に重要な構成の1例を以下に順番に例示する。
まず、本形態の印刷システム1000は、積載手段を具備する後処理装置の出力先に、印刷装置100により印刷された印刷物を、積載可能に構成されている。
上記構成を前提に、例えば、制御部205は、次のように構成されている。制御部205は、印刷装置により印刷済みの先行ジョブのシート束が積載された後処理装置の積載手段へ、後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載可能にする。
そして、上記構成を大前提とし、制御部205は、少なくとも、後処理装置の種類に関わる情報に基づいて、後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束とを特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを禁止する。
このように、本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
また、制御部205は、少なくとも、後続ジョブのシート束の積載量に関する情報に基づいて、積載手段により積載対象の後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを禁止する。
このように、本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
尚、積載量に関する情報は、例えば、処理条件データに含まれる情報のことであり、その例として、ページ数、印刷部数、印刷設定、印刷レイアウト、用紙の種類、用紙の厚さなどの情報がある。以下の説明中の積載量に関する情報についても同様である。
また、積載量は、例えば、シート束に含まれるシートの枚数であってもよいし、シート束の高さであってもよい。ここでは、積載量の一例として、シートの枚数や高さを例示したが、これに限らず、重さや容量など、予め定めておいた条件値と比較できるものであればよい。以下の説明中の積載量についても同様である。
また、制御部は205は、少なくとも、後続ジョブのシート束の積載量に関する情報と、後続ジョブのシート束の積載に要する後処理装置の種類に関わる情報に基づいて、次に示す制御を行う。制御部205は、それらの情報に基づいて、積載手段により積載対象の後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを禁止する。
このように、本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
また、制御部205は、後続ジョブのシート束の積載量が条件値T1(あるいはM1)以上の場合に、積載手段により積載対象の後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを禁止する。
このように、本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
しかも、制御部205は、少なくとも、先行ジョブのシート束の積載量に関する情報と、後続ジョブのシート束の積載量に関する情報と、後続ジョブのシート束の積載に要する後処理装置の種類に関わる情報に基づいて、次の制御をおこなう。制御部205は、積載手段により積載対象の後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを禁止する。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
しかも、制御部205は、先行ジョブのシート束の積載量が条件値S1(あるいはL1)より少ない場合に、積載手段により積載対象の後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを許可する。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
しかも、排紙先となるインラインフィニッシャの中には、当該インラインフィニッシャに着脱可能な台車を具備できるように構成されるものがある。
このように、印刷装置100で印刷されたシートを制御部205は複数のインラインフィニッシャのいずれかに積載可能にし、積載されたシートを該台車によって運搬可能に構成している。
そして、制御部205は、後続ジョブのシート束の積載に要するインラインフィニッシャがシートの搬送を行う台車が着脱可能なインラインフィニッシャである場合に、次の制御を行う。制御部205は、例えば、積載手段により積載対象の後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを禁止する。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
しかも、制御部205は、先行ジョブのシート束とずれた状態で、先行ジョブのシート束の上に積載対象となる後続ジョブのシート束を、積載手段に積載させた場合に、次の制御を行う。制御部205は、後続ジョブのシート束の上に積載対象となるジョブのシート束を当該積載手段に積載することを禁止する。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
しかも、本形態の印刷システム1000は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、スキャナ302によって原稿走査するために原稿台のガラス上へ搬送する自動原稿搬送装置(ADF)301を具備する。そして、制御部205は、例えば、後続ジョブのシート束がコピージョブのシート束である場合に、該コピージョブの原稿の読取りが該ADF301によって行われているか否かを、不図示のADF使用検知センサからの信号によって判定する。そして、制御部205は、該後続ジョブの原稿の読取りがADF301によって行われていると判定した場合には、後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを禁止する。また、制御部205は、該後続ジョブの現行の読取りがADF301によって行われていないと判定した場合には、後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを許可する。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
しかも、制御部205は、後続ジョブのシート束を先行ジョブのシート束と特定量分ずれた状態で先行ジョブのシート束の上に積載することを禁止する場合に、該先行ジョブのシート束とずれない状態で、後続ジョブのシート束を積載させる。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
しかも、制御部205は、シフト排紙処理を禁止する場合に、例えば、表示部401によって、図44または図45に示すが如くの警告をおこなう。それによって、オペレータに、積載されるシート束の安定性を維持するように促すことができる。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
しかも、制御部205は、シフト排紙処理を禁止する場合に、例えば、シート束とシート束の間に仕切り紙を挿入する。それによって、各シート束をずれた状態にせずとも、オペレータは、シート束とシート束を用意に区別し、また、取り分けることができるようになる。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
また、制御部205は、複数部数印刷するように指定された1つのジョブにおける各部のシート束をずれた状態で積載するように制御する。
このように本形態は、以上に例示が如くの制御を実行可能に構成している。
以上、種々の構成を具備したシステム構成となっている本形態により、本形態に記載の種々の効果が図れる。しかし、これらの全てを具備した構成でなくてもよく、本形態の特徴点の1つの効果のみを実現可能に構成したものであれば、本形態に包含される。
又、本形態では、制御部205が、各装置の排紙口に設けられた整合ユニット2104a、2104bを用いて、シート束とシート束とをずれた状態で積載する例を説明した。だが、シート束とシート束とをずれた状態で積載することができれば、その方法はこれに限られるものではない。例えば、制御部205は、シートを排紙させる際に、トレイを、ジョブごと(あるいは部ごと)に、シートの排紙方向と垂直方向にずらすことで、シート束とシート束とをずれた状態で積載させることもできる。
又、本形態が開示する主な制御は、印刷装置100が内蔵する制御部205が実行する構成を紹介したが、これ以外の構成でも良い。
例えば、UIに関する操作制御とシステム1000における実際の動作制御の代表的な2つの制御のうちの、動作制御に関しては、制御部205により実行させ、操作制御に関しては、表示制御部等のUI制御ユニットが実現する構成でも良い。
又、本形態の主な制御の全て、或いは、その1部を、PC等の印刷装置100とは遠隔の外部装置の制御部による制御により、本形態の各種オペレータとインタラクティブな処理を行うための本実施例が開示する表示を、その外部装置の表示部により実行させる。外部装置には、サーバコンピュータ103、または、クライアントコンピュータ104に例示したようなものが挙げられる。そして、その外部装置の表示部を介して本形態が開示する各種オペレータ要求と同等の要求を受付可能にする。且つ、その要求に応じた動作を、本形態が開示する動作と同等の動作として、実行するように、印刷装置100を含む本印刷システム1000を制御するように構成する。
このように制御の主体を印刷装置100側ではなく、外部装置側にて実現する構成でも良い。但し、少なくとも、図38で例示が如くの制御を実行可能に構成することが望ましい。
以上の例示が如くの本実施形態の印刷システム1000による奏することが可能な効果以下に例示する。
例えば、従来で想定したような課題に対処できる。又、例えば、オフィス環境に留まらずPOD環境にも適応可能な使い勝手の良い便利な印刷環境が構築可能となる。又、例えば、極力、高い生産性でもってシステムを動作させたいといったニーズや、極力、オペレータの作業負荷を軽減したいといったニーズ等、POD等の印刷環境における実際の作業現場のニーズにも対処可能となり、特に、以下のような効果を奏する。
例えば、オペレータが積載されたシートを運搬する際に、積載されたシートが荷崩れを起こすおそれを低減することができる。
このように、従来で想定したようなPOD環境で想定されうるユースケースやニーズに対処可能な便利で且つ柔軟な印刷環境が構築可能となり、製品実用化に向けての様々な仕組みが提供可能となる。
[その他のしくみ]
本実施形態における図に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータ(例えば、PC103やPC104)により遂行されていてもよい。尚、この場合に、各操作画面を含む本形態で述べた操作画面と同様の操作画面を表示させる為のデータを外部からインストールし、該ホストコンピュータの表示部に上記各種のユーザインタフェース画面を提供可能に構成する。この一例として、本例では、図17のUI画面による構成でもって、これを説明している。このような構成の場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
従って、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのものをハードディスク等の記憶媒体にダウンロードする方法がある。もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布することも可能である。他にも所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。さらに、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、次のような処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。CPUが記憶媒体から読み出されたプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込む。そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、前述した実施形態の機能を実現する。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、本形態では、印刷装置100内部の制御部205が上記各種制御の主体となっていたが、印刷装置100と別筐体の外付けコントローラ等によって、上記各種制御の1部又は全部を実行可能に構成しても良い。
以上、本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。