JP5041877B2 - 乾式摩擦材 - Google Patents

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本発明は、乾式の摩擦材、例えば、自動車等に用いられるトルクリミッターを構成する乾式摩擦材に関し、特に、金属製の摩擦相手材との間に錆付きを発生させることがない乾式摩擦材に関するものである。
近年、クラッチフェーシング、ダンパー、トルクリミッター等を始めとする乾式摩擦材を含むシステムは小型化・軽量化される傾向にあり、乾式摩擦材を含むシステムにおいて乾式摩擦材の耐摩耗性を向上させることは、乾式摩擦材の小型化につながり、システムの小型化・軽量化に有効な手段の1つである。また、同じサイズとすれば、より高負荷なシステムへの搭載も可能となる。
クラッチフェーシングの製造方法としては、特許文献1に示されるように、基材となる長繊維を束ねた繊維束(ガラスロービング)に熱硬化性樹脂を含む含浸液を含浸させて樹脂含浸紐を形成する樹脂含浸工程と、樹脂含浸紐に配合ゴムを付着させるゴム付着工程とを有し、前記含浸液の媒体は水であり、熱硬化性樹脂はメラミン配合率が30%以上80%以下の水性メラミン変性フェノール樹脂であることを特徴とする方法が知られている。この特許文献1の技術によれば、樹脂含浸工程でもゴム付着工程でも有機溶媒を使用することなしに、最終製品の乾式摩擦材(クラッチフェーシング等)の性能が低下しない摩擦材用素材を製造することができる。
また、特許文献2に示されるように、クラッチフェーシングを始めとする乾式摩擦材の製造方法として、基材、樹脂、及びゴム材を主成分とする乾式摩擦材において、多孔性炭素材料を含有することを特徴とする発明について、開示されている。このように、多孔性炭素材料を乾式摩擦材に配合することによって、高回転・高温の条件下においても耐摩耗性が良く、高摩擦係数を維持できるとしている。
特開2000−037797号公報 特開2000−256652号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においても特許文献2に記載の技術においても、乾式摩擦材の摩擦相手材として鋼板を用いているため、高湿度等の過酷な使用条件下においては鋼板と摩擦材との間に錆付きが発生し、クラッチ固着等の不具合が起こるという問題点があった。
そこで、本発明は、乾式摩擦材の摩擦面に占めるガラス繊維の面積の割合を所定値以下に低減しつつ乾式摩擦材の強度を維持することによって、従来の工程で製造できて、かつ、金属製の摩擦相手材との間の錆付きを防止しつつ強度及び摩擦特性を維持することができる乾式摩擦材の提供を課題とするものである。
請求項1の発明に係る乾式摩擦材は、ガラス繊維とガラス繊維含浸用合成樹脂と配合ゴムとを含有し、摩擦相手材が金属製である乾式摩擦材であって、前記ガラス繊維と前記ガラス繊維含浸用合成樹脂と前記配合ゴムを略均一に配合した下層と、摩擦面に占める前記ガラス繊維の面積が0%とした配合ゴムのみからなる上層とを一体にしたものである。
ここで、「配合ゴム」とは、乾式摩擦材を構成する材料であって、合成ゴム・天然ゴム等のゴム、カーボンブラック等の顔料、硫黄、加硫促進剤、レジンダスト・炭酸カルシウム等の充填材を含有する、ゴムを主体とする混合物である。また、「合成ゴム」としては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR,二トリルゴムとも言う)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を単独で、または混合して用いることができる。
また、前記乾式摩擦材は前記ガラス繊維と前記ガラス繊維含浸用合成樹脂と前記配合ゴムとを略均一に配合した下層と前記配合ゴムのみの上層とを一体に成形してなる二層型の摩擦材であって、前記下層の厚さに対する前記上層の厚さの比率が20%〜85%の範囲内であるものである。
請求項2の発明に係る乾式摩擦材は、請求項1の構成において、前記乾式摩擦材によって構成されるシステムがトルクリミッターであるものである。
請求項1の発明に係る乾式摩擦材は、ガラス繊維とガラス繊維含浸用合成樹脂と配合ゴムとを含有し、摩擦相手材が金属製である乾式摩擦材であって、前記ガラス繊維と前記ガラス繊維含浸用合成樹脂と前記配合ゴムを略均一に配合した下層と、摩擦面に占める前記ガラス繊維の面積が0%とした配合ゴムのみからなる上層とを一体にした。
ここで、「配合ゴム」とは、乾式摩擦材を構成する材料であって、合成ゴム・天然ゴム等のゴム、カーボンブラック等の顔料、硫黄、加硫促進剤、レジンダスト・炭酸カルシウム等の充填材を含有する、ゴムを主体とする混合物である。また、「合成ゴム」としては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR,二トリルゴムとも言う)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を単独で、または混合して用いることができる。
本発明者は、鉄鋼を始めとする金属製の摩擦相手材を有する乾式摩擦材において、高湿度の条件下における錆付きの発生について鋭意実験研究を重ねた結果、摩擦相手材との摩擦面におけるガラス繊維の占める面積の割合が40%以下である場合に、錆付きが発生しないことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。すなわち、摩擦面におけるガラス繊維の占める面積の割合が40%以下であれば、高湿度の条件下においても錆付きが発生しないことが分かった。
ここで、乾式摩擦材としてガラス繊維とガラス繊維含浸用合成樹脂と配合ゴムとを略均一に成形してなる通常の一層型の摩擦材の場合には、強度を保持するためにある程度以上の体積含有率でガラス繊維を含有させる必要があるため、摩擦面におけるガラス繊維の占める面積の割合を0%にすることはできない。
しかし、ガラス繊維とガラス繊維含浸用合成樹脂と配合ゴムとを略均一に配合した下層と配合ゴムのみの上層とを一体に成形してなる二層型の摩擦材の場合には、下層に一定値以上のガラス繊維を含有させることによって、乾式摩擦材としての強度を維持しつつ、摩擦面におけるガラス繊維の占める面積の割合を0%にすることができる。
このようにして、乾式摩擦材の摩擦面に占めるガラス繊維の面積の割合を所定値以下に低減しつつ乾式摩擦材の強度を維持することによって、従来の工程で製造できて、かつ、金属製の摩擦相手材との間の錆付きを防止しつつ強度及び摩擦特性を維持することができる乾式摩擦材となる。
更に、乾式摩擦材はガラス繊維とガラス繊維含浸用合成樹脂と配合ゴムとを略均一に配合した下層と配合ゴムのみの上層とを一体に成形してなる二層型の摩擦材であって、下層の厚さに対する上層の厚さの比率が20%〜85%の範囲内、より好ましくは25%〜60%の範囲内である。
本発明者は、鋭意実験研究の結果、ガラス繊維とガラス繊維含浸用合成樹脂と配合ゴムとを略均一に配合した下層と配合ゴムのみの上層とを一体に成形してなる二層型の乾式摩擦材において、下層の厚さに対する上層の厚さの比率が20%〜85%の範囲内である場合に、乾式摩擦材の強度が維持されて高速回転にも耐えられることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、かかる二層型の乾式摩擦材全体においては、摩擦面が配合ゴムのみからなり摩擦面に占めるガラス繊維の面積の割合が0%であるため、高湿度等の過酷な使用条件においても摩擦相手材との錆付きが起こる心配はないが、配合ゴムのみからなる上層の割合が余り大きいと、乾式摩擦材としての強度が低下して高速回転に耐えられずに破壊を起こしてしまう。
ここで、二層型の乾式摩擦材においては、下層の厚さに対する上層の厚さの比率が85%以下であれば乾式摩擦材としての強度が維持されて高速回転にも耐えられ、かつ、下層の厚さに対する上層の厚さの比率が20%以上であれば長期間の使用においても上層が摩滅してしまうことがなく、ガラス繊維が摩擦面に露出することがないため錆付きが発生する恐れもない。したがって、下層の厚さに対する上層の厚さの比率は20%〜85%の範囲内であることが好ましい。
更に、下層の厚さに対する上層の厚さの比率が25%〜60%の範囲内であれば、より乾式摩擦材としての強度が向上し、ガラス繊維を含まない摩擦面(上層)の厚さもより厚くなるため、より好ましい。
このようにして、乾式摩擦材の摩擦面に占めるガラス繊維の面積の割合を所定値以下に低減しつつ乾式摩擦材の強度を維持することによって、従来の工程で製造できて、かつ、金属製の摩擦相手材との間の錆付きを防止しつつ強度及び摩擦特性を維持することができる乾式摩擦材となる。
請求項2の発明に係る乾式摩擦材においては、乾式摩擦材によって構成されるシステムがトルクリミッターである。請求項1の発明に係る乾式摩擦材においては、高湿度等の過酷な使用条件かにおいても、金属製の摩擦相手材との間の錆付きを確実に防止することができる。したがって、特にトルクリミッターに使用する乾式摩擦材として適している。
このようにして、乾式摩擦材の摩擦面に占めるガラス繊維の面積の割合を所定値以下に低減しつつ乾式摩擦材の強度を維持することによって、従来の工程で製造できて、かつ、金属製の摩擦相手材との間の錆付きを防止しつつ強度及び摩擦特性を維持することができる乾式摩擦材となる。
次に、本発明の実施の形態に係る乾式摩擦材について説明する。なお、実施の形態2以降において、実施の形態1の部分と同一の記号及び同一の符号は、実施の形態1と同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1に係る乾式摩擦材について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る乾式摩擦材を用いたトルクリミッターの概略構成を示す断面図である。図2は本発明の実施の形態1に係る乾式摩擦材の製造工程を示すフローチャートである。図3は本発明の実施の形態1に係る乾式摩擦材の性能評価に用いた供試体の寸法を示す説明図である。
図1に示されるように、本実施の形態1に係る乾式摩擦材3は、外径φ220mm×内径φ190mm×厚さ2.4mmのリング状の成形体で、同じ外径とやや小さい内径を有するリング状の芯金4の両面に貼り付けて用いられる。本実施の形態1に係るトルクリミッター1は、この乾式摩擦材3を芯金4の両面に貼り付けた摩擦板と、この摩擦板に押圧されてエンジンからの駆動力トルクを伝達する摩擦相手材としての鋼板製のプレッシャープレート2と、摩擦板の回転をATに伝達する回転軸5によって構成されている。
次に、本実施の形態1に係る乾式摩擦材3の製造方法について、図2を参照して説明する。まず、樹脂含浸工程において、ガラス繊維にガラス繊維含浸用合成樹脂としてのフェノール樹脂(より詳しくはメラミン変性フェノール樹脂)を含む含浸液を含浸させて樹脂含浸紐が形成される(ステップS10)。続いて、ゴム付着工程において、この樹脂含浸紐に配合ゴムを付着させ(ステップS11)、巻取り工程において、配合ゴムが付着した樹脂含浸紐が所定の大きさに巻取られる(ステップS12)。
ここで、「配合ゴム」としては、合成ゴム、カーボンブラック等の顔料、硫黄、加硫促進剤、レジンダスト・炭酸カルシウム等の充填材を含有するゴムを主体とする混合物を用いており、合成ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を混合して用いている。
そして、成形工程において、巻取り品が金型に押し込まれて加熱加圧成形されるが(ステップS13)、成形工程においては、面圧15MPa、温度165℃で、数回のガス抜きを行って、2分間加熱加圧成形する。この成形体を金型から取り出して、240℃で10時間熱処理を行い(ステップS14)、その後常温まで放冷してから、表裏両面を研磨して(ステップS15)、本実施の形態1に係る乾式摩擦材3が完成する。
本実施の形態1においては、ガラス繊維の体積含有率を5vol%〜18vol%の範囲内で変化させて、実施例1乃至実施例5の5種類の乾式摩擦材を作製した。また、比較のため、ガラス繊維を全く含まない配合ゴムのみからなる比較例1、及びガラス繊維の体積含有率を22vol%とした比較例2の乾式摩擦材をも作製した。これらの実施例1乃至実施例5、比較例1及び比較例2の配合割合を表1の上段に示す。
Figure 0005041877


これらの配合で図2のフローチャートにしたがって作製された実施例1乃至実施例5、比較例1及び比較例2の乾式摩擦材の特性を評価した。ガラス繊維の摩擦材表面への出現割合、すなわち乾式摩擦材の摩擦面におけるガラス繊維の占める面積の割合については、ガラス繊維部分の大きさを測定して、面積比を算出した。錆付き性については、所定時間水に浸漬させた供試体を相手材(鋼板)に所定圧力で密着させて、所定の環境下で保持させた後、供試体と相手材(鋼板)の錆付き荷重をプッシュプルゲージで測定した。
なお、錆付き性の評価用の供試体としては、図3に示されるように、外径φ220mm×内径φ190mm×厚さ2.4mmのリング状の乾式摩擦材3から、リングの中心線に平行に、幅25mmの供試体TPを切り出して使用した。
また、回転破壊強度については、乾式摩擦材3を芯金4の両面に貼り付けた供試体を用いて、所定の保持温度、所定の保持回転数、所定の保持時間高速回転させて、破壊・クラックの発生の有無を評価した。これらの評価結果を表1の下段に、また詳細な評価条件について、表1の欄外に示す。
表1の下段に示されるように、ガラス繊維の摩擦材表面への出現割合は、ガラス繊維の体積含有率を5vol%〜18vol%の範囲内とした実施例1乃至実施例5の供試体においては、10%〜40%の範囲内に収まっている。これに対して、配合ゴムのみからなる比較例1においては、ガラス繊維の摩擦材表面への出現割合は当然0%であり、ガラス繊維の体積含有率を22vol%とした比較例2の供試体においては、49%となり、40%を上回っている。
その結果、錆付き荷重は、供試体10枚の平均値で、実施例1乃至実施例5及び比較例1においては0(ゼロ)N〜49Nと小さい値に収まっているのに対して、比較例2においては194Nと大きな値となり、温度50℃、湿度90%RH以上で1.3MPaの面圧で72時間保持という条件下では、顕著に錆付きが発生することが分かった。
また、回転破壊強度については、雰囲気温度130℃、回転数10000rpmで5分間保持という試験条件で、実施例1乃至実施例5及び比較例2においては、供試体10枚について破壊・クラックが全く発生しなかったのに対して、ガラス繊維を全く含まない配合ゴムのみからなる比較例1においては、供試体10枚の全てについて破壊が発生した。このように、ガラス繊維を全く含まない配合では、回転破壊強度が不足することが判明した。
したがって、表1の下段に示される結果から、乾式摩擦材3におけるガラス繊維の体積含有率を5vol%以上とすることによって充分な回転破壊強度が得られ、乾式摩擦材3におけるガラス繊維の体積含有率を18vol%以下とすることによってガラス繊維の摩擦材表面への出現割合を40%以下に抑えることができ、過酷な条件下における錆付きも防止できることが判明した。
このようにして、本実施の形態1に係る乾式摩擦材3においては、ガラス繊維の体積含有率を5vol%〜18vol%の範囲内とすることによって、乾式摩擦材の摩擦面に占めるガラス繊維の面積の割合を所定値以下に低減しつつ乾式摩擦材の強度を維持することができ、従来の工程で製造できて、かつ、金属製の摩擦相手材との間の錆付きを防止しつつ強度及び摩擦特性を維持することができる。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2に係る乾式摩擦材について、図4を参照して説明する。図4は本発明の実施の形態2に係る乾式摩擦材の構造を示す断面模式図である。
図4に示されるように、本実施の形態2に係る乾式摩擦材10は、ガラス繊維とガラス繊維含浸用合成樹脂としてのメラミン変性フェノール樹脂と配合ゴムとを略均一に配合した下層10Bと、配合ゴムのみの上層10Aとを一体に成形してなる二層型の摩擦材である。
本実施の形態2に係る乾式摩擦材10は、上記実施の形態1に係る乾式摩擦材3と同様の製造工程によって製造することができる。すなわち、図2のフローチャートにおいて、ステップS13の成形工程で、巻取り品を金型に押し込んだ上から配合ゴムのみを更に押し込んで、加熱加圧成形を行えば良い。その他の工程については、図2のフローチャートにしたがって実施することができる。
こうして製造される乾式摩擦材10において、下層10Bの厚さβ(mm)に対する上層10Aの厚さα(mm)の比率、すなわち(α/β)×100(%)を様々に変化させて、上記実施の形態1に係る乾式摩擦材3と同様に回転破壊試験を実施したところ、(α/β)×100=20%〜85%の範囲内の場合には、殆ど破壊・クラックが発生せず、(α/β)×100の値が85を超えると、破壊・クラックが発生することが分かった。
したがって、乾式摩擦材10における下層10Bの厚さβに対する上層10Aの厚さαの比率は、20%〜85%の範囲内であることが好ましい。
また、(α/β)×100=25%〜60%の範囲内の場合には、全く破壊・クラックが発生しなかった。したがって、乾式摩擦材10における下層10Bの厚さβに対する上層10Aの厚さαの比率は、25%〜60%の範囲内であることが、より好ましい。
更に、上記実施の形態1に係る乾式摩擦材3と同様に錆付き性評価を実施したところ、本実施の形態2に係る乾式摩擦材10においては、上層10Aが配合ゴムのみからなり、摩擦面に占めるガラス繊維の面積がゼロであることから、錆付き荷重はゼロであった。
このようにして、本実施の形態2に係る乾式摩擦材10においては、下層10Bの厚さβに対する上層10Aの厚さαの比率を20%〜85%の範囲内とすることによって、乾式摩擦材の摩擦面に占めるガラス繊維の面積をゼロにしつつ乾式摩擦材の強度を維持することができ、従来の工程で製造できて、かつ、金属製の摩擦相手材との間の錆付きを防止しつつ強度及び摩擦特性を維持することができる。
上記各実施の形態においては、ガラス繊維含浸用合成樹脂としてメラミン変性フェノール樹脂を用いた場合について説明したが、その他の変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂を始めとするその他の熱硬化性樹脂等を用いることもできる。特に、メラミン変性フェノール樹脂は容易に入手できるとともに耐熱性に優れているため、乾式摩擦材の材料としてのガラス繊維含浸用合成樹脂として好ましい。
本発明を実施するに際しては、乾式摩擦材のその他の部分の組成、成分、配合量、材質、大きさ、製造方法等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
なお、上記各実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
図1は本発明の実施の形態1に係る乾式摩擦材を用いたトルクリミッターの概略構成を示す断面図である。 図2は本発明の実施の形態1に係る乾式摩擦材の製造工程を示すフローチャートである。 図3は本発明の実施の形態1に係る乾式摩擦材の性能評価に用いた供試体の寸法を示す説明図である。 図4は本発明の実施の形態2に係る乾式摩擦材の構造を示す断面模式図である。
1 トルクリミッター
2 摩擦相手材
3,10 乾式摩擦材
4 芯金
10A 上層
10B 下層

Claims (2)

  1. ガラス繊維とガラス繊維含浸用合成樹脂と配合ゴムとを含有し、摩擦相手材が金属製である乾式摩擦材であって、
    前記ガラス繊維と前記ガラス繊維含浸用合成樹脂と前記配合ゴムを略均一に配合した下層と、摩擦面に占める前記ガラス繊維の面積が0%とした配合ゴムのみからなる上層とを一体とし、しかも、前記下層の厚さに対する前記上層の厚さの比率が20%〜85%の範囲内としたことを特徴とする乾式摩擦材。
  2. 前記乾式摩擦材によって構成されるシステムがトルクリミッターであることを特徴とする請求項1に記載の乾式摩擦材。
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