JP5034201B2 - センサーチップの製造方法 - Google Patents
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また、従来の突起枠等の樹脂部材では、例えば、減圧下で保護材を固着した場合に、アクティブ面と保護材との間隙部の圧力が、外圧よりも小さくなり、外部から樹脂部材に作用する圧力により変形等が生じ、間隙部に気体とともに水分や塵等が侵入するおそれがあるという問題もあった。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、小型で耐久性に優れるセンサーチップと、このようなセンサーチップを簡便に製造するための製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記保護材を作製する工程において、保護材原料を溶融して金型内に射出し、固化することにより前記保護材を形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記金型は、カーボン製金型を使用するような構成とした。
また、本発明のセンサーチップの製造方法では、凸部を介して保護材をセンサー本体に配設する際に、良好な密着性を得るために加圧を大きくしても、凸部の機械的強度が大きく変形がほとんどないため、アクティブ面や端子に悪影響が及ぶことが防止され、同時に、センサー本体のアクティブ面と保護材との間隙を均一なものとすることが容易であり、また、所望の高さの凸部を一体的に備えた保護材をセンサー本体に配設した後において、センサー本体に損傷を与えることなく保護材の不要部位のみを研磨除去して小面積とすることも可能であり、これにより耐久性が高く小型、高品質のセンサーチップの製造が可能である。また、多面付けで作製する場合において、保護材の不要部位にクリアランス用凹部を設けることにより、保護材の不要部位のみの研磨除去が更に容易となる。
[センサーチップ]
図1は本発明のセンサーチップの一実施形態を示す概略断面図である。図1において、本発明のセンサーチップ1は、アクティブ面2Aと、このアクティブ面2Aの外側領域に配線3aを介して配設された複数の端子3を有するセンサー本体2と、回廊形状の凸部5を一方の面に一体的に有する保護材4とを備えており、保護材4は、凸部5がアクティブ面2Aと端子3との間の領域に接着剤を用いて固着されることにより、センサー本体2に配設されている。この保護材4は、所望の間隙6を介してセンサー本体2のアクティブ面2Aと対向し、凸部5とともに間隙6を封止してアクティブ面2Aを保護するものである。
本発明のセンサーチップ1,11を構成するセンサー本体2,12は、CCD、CMOS等のイメージセンサーや、加速度センサー、圧力センサー、ジャイロセンサー等の各種MEMS(Micro Electromechanical System)センサー等であってよい。また、センサー本体2,12のアクティブ面2A,12Aは、例えば、光電変換を行う受光素子が複数の画素をなすように配列された領域等、センサーの所望の検知機能を発現する領域を意味する。
また、センサー本体2,12が備える複数の端子3,13は、外部に信号を送るための端子である。センサーチップ11では、これらの端子13は表裏導通ビア17を介してセンサー本体12の裏面に接続されている。端子3,13および配線3a,13aの材質は、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル等の導電材料とすることができ、複数種の導電材料の積層構造であってもよい。また、表裏導通ビア17の材質は、銅、銀、金、スズ等の導電材料、あるいは、これらの導電材料を含有する導電ペーストとすることができる。
保護材4,14に一体的に設けられている回廊形状の凸部5,15は、センサー本体2,12のアクティブ面2A,12Aの外側であって、端子3,13よりも内側の領域に固着可能な寸法、形状を有するものである。尚、図4に示される例のように、センサー本体12の端子13の形成領域と、保護材14の凸部15の位置とが略一致したものであってもよく、また、端子13の形成位置が保護材14の凸部15の位置よりも内側に存在するものであってもよい。
このような凸部5,15の高さ、幅は、上記の間隙6,16の厚み等を考慮して適宜設定することができ、例えば、高さを2〜100μm、幅を50〜500μmの範囲で設定することができる。
上述のセンサーチップは例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
次に、本発明のセンサーチップの製造方法について説明する。
図6は、本発明のセンサーチップの製造方法の一実施形態を、上述の図1に示すセンサーチップ1を例として示す工程図である。
まず、シリコンウエハ31に多面付けでセンサー本体2を作製する(図6(A))。センサー本体2は、従来公知の手法、例えば、MEMS(Micro Electromechanical System)手法、フォトダイオードの製造方法(半導体プロセス)等を用いて作製することができる。作製したセンサー本体2は、表面にアクティブ面2Aを有し、このアクティブ面2Aの外側の領域に、配線3aを介して複数の端子3を有するものである。
次いで、シリコンウエハ31をダイシングして、個々のセンサーチップ1を得ることができる(図6(E))。
まず、シリコンウエハ41に多面付けでセンサー本体12を作製する(図7(A))。センサー本体12は、上述のセンサー本体2と同様に作製することができ、作製されたセンサー本体12は、表面にアクティブ面12Aを有し、このアクティブ面12Aの外側の領域に達する複数の引き出し用の配線13aを有するものである。
次に、各センサー本体12の配線13aの先端部位に微細貫通孔18を形成し、この微細貫通孔18に導電材料を配設して表裏導通ビア17とし、各表裏導通ビア17に接続する端子13を裏面(アクティブ面12Aの反対面)に形成する(図7(B))。
尚、図4に示されるセンサーチップ11を作製する場合には、上述の例に対し、配線13aの長さを短くし、微細貫通孔18の形成位置をアクティブ面12A寄りに設定する。
次に、各面付けのセンサー本体12に、アクティブ面12Aの外側であって、端子13の内側の領域に凸部15を固着させることにより、保護材14をセンサー本体12に配設する(図7(D))。凸部15を介したセンサー本体12への保護材14の配設は、凸部15の先端部に接着剤を塗布し、センサー本体12に当接させ硬化させることにより行なうことができる。この保護材14の配設の工程において、凸部15は保護材14に一体的に設けられているので、良好な密着性を得るために加圧を大きくしても、凸部15の変形による間隙16の変動や、アクティブ面12A、端子13への被覆による悪影響を生じることがない。
次に、保護材14とシリコンウエハ41をダイシングして、個々のセンサーチップ11を得ることができる(図7(E))。
この実施形態で使用する保護材4は、基本的に上述の実施形態の保護材4と同様であり、多面付けで回廊形状の凸部5を一体的に有するものであるが、保護材4の不要な部位にクリアランス用凹部4bを備えたものとする(図8(A))。すなわち、この保護材4は、凸部5の内側に凹部4aを有し、外側には格子形状でクリアランス用凹部4bを備えている。
次に、上述に実施形態と同様にして、シリコンウエハ31に多面付けでセンサー本体2を作製し、各面付けのセンサー本体2に、アクティブ面2Aの外側であって、端子3の内側の領域に凸部5を固着させることにより、保護材4をセンサー本体2に配設する(図8(B))。
次いで、シリコンウエハ31をダイシングして、個々のセンサーチップ1を得ることができる(図8(D))。
尚、上述の図3、図4に示すセンサーチップ11の製造においても、クリアランス用凹部を備えた保護材を使用できることは勿論である。
まず、保護材4とするための基材4′の一方の面に、凹部4aを形成する(図9(A))。凹部4aの形成は、上述の実施形態と同様に、サンドブラスト等の研削、あるいはウエットエッチング、ドライエッチング、また、研削とエッチングとの組み合わせで行なうことができる。次いで、保護材4の不要な部位を研削ブレードにて研削してクリアランス用凹部4bを形成するとともに、凸部5を形成する(図9(B))。
また、クリアランス用凹部4bを備えた保護材4を、上述に実施形態で説明したように、保護材原料を溶融して金型内に射出し、固化することにより形成してもよい。
尚、上述の本発明のセンサーチップの製造方法は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、厚み625μmのシリコンウエハを準備し、5mm×7mmで多面付けに区画した。次いで、このシリコンウエハの各面付け毎に、従来の手法により固体撮像素子(センサー本体)(アクティブ面寸法:3.88mm×5.88mm)を作製し、その後、シリコンウエハの裏面からバックグラインドを行って厚みを500μmとした。各センサー本体は、アクティブ面の周囲に20個の端子を備えるものであった。
次いで、ダイヤモンドカッターを用いて、各センサー本体の境界部位のガラス基板のみを1mmの幅で研削除去した。これにより、封止用枠体上に4mm×6mmのガラス基板からなる保護材が配設された状態となった。
次に、シリコンウエハをダイヤモンドカッターでダイシングして、本発明のセンサーチップを得た。このセンサーチップは、4.8mm×6.8mmであり、高さ約1.1mmであり、極めて小型なものであった。
実施例1と同様にして、シリコンウエハに多面付けでセンサー本体を作製して、ウエハレベルのセンサー本体を得た。各センサー本体は、アクティブ面の周囲に20個の配線パッドを備えるものであった。
次いで、アクティブ面の反対側のシリコンウエハ面に、プラズマCVD法により窒化珪素膜(厚み5μm)を成膜した。次に、この窒化珪素膜の全面にポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−800)を塗布し、微細貫通孔形成用のフォトマスクを介して露光、現像することによりレジストパターンを形成した。次に、CF4をエッチングガスとして、レジストパターンから露出している窒化珪素膜をドライエッチングし、その後、レジストパターンを剥離し、窒化珪素からなるマスクパターンを各面付けに形成した。上記のマスクパターンは、各面付け毎に、直径が100μmである円形開口が、上記の配線パッドに対応するように20個形成されたものであった。
次に、アセトンを用いてマスクパターンをコア材から除去した。その後、微細貫通孔内、およびアクティブ面の反対側のシリコンウエハ面に、プラズマCVD法により窒化珪素膜を形成し、さらに、MOCVD法により窒化チタン膜を形成して、絶縁膜を形成した。その後、シリコンウエハの一方の面(アクティブ面の反対側面)から、チタン−銅の順にスパッタリング法により下地導電薄膜を0.3μmの厚みで形成した。次いで、この下地導電薄膜上にドライフィルムレジスト(旭化成(株)製APR)をラミネートした。次いで、表裏導通ビア形成用のフォトマスクを介し露光、現像してレジストパターン(厚み15μm)を形成した。このレジストパターンをマスクとし、上記の下地導電薄膜を給電層として、電解銅めっきを行ない、微細貫通孔内部を充填した。次に、レジストパターンと下地導電薄膜を除去して、表裏導通ビアを形成した。
次に、シリコンウエハとガラス基板をダイヤモンドカッターでダイシングして、本発明のセンサーチップを得た。このセンサーチップは、4.8mm×6.8mmであり、高さ約1.1mmであり、極めて小型なものであった。
凸部を一体的に有する保護材を以下のように作製した他は、実施例1と同様にして、本発明のセンサーチップを得た。
すなわち、保護材は、ガラス(旭硝子(株)製 AN100)を700℃で溶融し、カーボン製金型内に射出し、25℃まで冷却して固化させた後、カーボン製金型から取り出し、650℃でアニール(熱処理)することにより作製した。作製した保護材は、5mm×7mmの碁盤目の各面付け内に、高さ50μm、幅100μmの回廊形状(4mm×6mm)をなす凸部を備えるものであり、凸部の存在しない部位での厚みは500μmであった。
得られた本発明のセンサーチップは、4.8mm×6.8mmであり、高さ約1.1mmであり、極めて小型なものであった。
まず、以下のようにして、クリアランス用凹部を備えた保護材を作製した。
厚みが550μmであるガラス基板(6インチJEIDA規格シリコンウエハ寸法に準拠)を準備した。次に、このガラス基板の一方の面にクロム膜パターンを形成(密着性向上のため)し、更に、耐酸性レジスト(東京応化工業(株)製)にてパターンを形成してマスクとした。これにより、5mm×7mmの碁盤目の各面付け中央に3.9mm×5.9mmの長方形のパターン非形成部位が存在するようにマスクパターンが形成された。次いで、上記のマスクパターンを介してフッ酸をスプレーすることにより、ガラス基板をウエットエッチングし、その後、マスクパターンをレジスト剥離液とクロム剥離剤(共に東京応化工業(株)製)を用いて除去した。これにより、深さ50μmで平坦面をなす長方形の凹部(3.9mm×5.9mm)を形成した。次に、研削ブレード(幅900μm)を用いて、各面付けの境界線上に沿って格子形状にガラス基板を研削して、略樋形状のクリアランス用凹部を形成するとともに、回廊形状の凸部を形成して保護材とした。形成したクリアランス用凹部の最深部におけるガラス基板の厚みは300μmであった。また、形成した凸部は、高さ(上記の平坦凹部の平坦面からの高さ)50μm、幅(先端部の幅)100μmの回廊形状(4mm×6mm)であった。
2,12…センサー本体
2A,12A…アクティブ面
3,13…端子
4,14…保護材
4b…クリアランス用凹部
5,15…凸部
6,16…間隙
17…表裏導通ビア
18…微細貫通孔
Claims (4)
- アクティブ面と、該アクティブ面の外側領域に複数の端子を有するセンサー本体を多面付けで作製する工程と、
一方の面に前記センサー本体の面付け位置に整合させて多面付けで回廊形状の凸部を一体的に有するとともに、各面付け毎の前記凸部の外側に格子形状でクリアランス用凹部を有する保護材を作製する工程と、
前記センサー本体のアクティブ面と端子形成領域との間に前記凸部を固着することにより前記保護材を前記センサー本体上に配設する工程と、
前記保護材の各面付け毎の前記凸部の間の前記クリアランス用凹部が存在する不要な部位の保護材を除去する工程と、
多面付けの前記センサー本体をダイシングして個々のセンサーチップを得る工程と、を有し、
前記クリアランス用凹部を、隣接する前記凸部間の保護材がアーチ形状となり、かつ、最深部における保護材の厚みが前記凸部で囲まれた領域の保護材の厚みよりも小さくなるように形成することを特徴とするセンサーチップの製造方法。 - 前記保護材を作製する工程において、前記保護材の一方の面を碁盤目状に研削および/またはエッチングして凹部を形成し、その後、該凹部をエッチングして平坦化し、前記凹部間の保護材を研削して前記クリアランス用凹部を形成するとともに前記凸部を形成することを特徴とする請求項1に記載のセンサーチップの製造方法。
- 前記保護材を作製する工程において、保護材原料を溶融して金型内に射出し、固化することにより前記保護材を形成することを特徴とする請求項1に記載のセンサーチップの製造方法。
- 前記金型は、カーボン製金型を使用することを特徴とする請求項3に記載のセンサーチップの製造方法。
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