JP5034137B2 - 溶接物の製造方法,台座および電池の製造方法 - Google Patents

溶接物の製造方法,台座および電池の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接対象物を台座に載置し、溶接棒を押し当てて電気抵抗溶接する溶接物の製造方法、それに用いる台座、およびそれを用いる電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子技術の進歩に伴い、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),携帯電話あるいは携帯用コンピュータなどのポータブル電子機器が数多く普及し、それらの小型化および軽量化が図られている。そこで、それらに使用するポータブル電源として、電池、特に二次電池の開発が進められている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を実現できるものとして注目されており、とりわけ、薄型で折り曲げ可能な形状の自由度が高いものの研究開発が活発に進められている。
【0003】
このような電池としては、例えば、電解質に漏液のおそれがない固体化されたものを用い、正極端子板に約0.1mmの厚さの薄いアルミニウム板を用い、負極端子板に約0.1mmの厚さの薄いニッケル板を用いたものが知られている。この正極端子板および負極端子板には、外部と接続するためのニッケル板などよりなる配線板が溶接されている。この溶接、特に正極端子板と配線板との溶接は、従来、超音波溶接により行われている。薄いアルミニウム板とニッケル板とを電気抵抗溶接することが技術的に難しいからである。
【0004】
電気抵抗溶接が難しい第1の理由は、アルミニウムとニッケルとの融点の差にある。アルミニウムの融点は660℃であるのに対してニッケルの融点は1455℃であり、その差は約800℃と大きく異なる。また、アルミニウムの沸点は2486℃であるのに対してニッケルの沸点は2731℃と、沸点も大きく異なっている。
【0005】
電気抵抗溶接が難しい第2の理由は、アルミニウム板の表面に形成されている酸化皮膜(酸化アルミニウム)の存在にある。酸化アルミニウムの融点は2050℃と高く、アルミニウム板とニッケル板とを電気抵抗溶接する場合には、溶接部の温度を約2050℃以上にして、この薄い酸化皮膜を溶解する必要がある。ここで、アルミニウムの表面の酸化アルミニウム膜は一般にアルミナと呼ばれており、化学式はAlである。
【0006】
よって、電気抵抗溶接の電圧・電流・時間を十分に強く設定すると、溶接部のアルミニウム板が完全に溶解して穴が空いてしまったり、あるいは溶接部のアルミニウム板が沸点に達し、アルミニウムが蒸発して周囲に激しく飛散してしまう。逆に、電気抵抗溶接の電流を弱くすると、アルミニウム板のみが溶解し、ニッケル板が溶解しないため、アルミニウムとニッケルとの合金層が形成されず、溶接できない。そのため、実際の製品の量産工程において、薄いアルミニウム板とニッケル板とを電気抵抗溶接することは難しく、もし電気抵抗溶接できたとしても、不良率が大きく、信頼性に著しく欠けていた。また、溶接強度が弱かった。
【0007】
なお、正極端子板を負極端子板と同様にニッケル板により構成すれば電気抵抗溶接することができるが、正極端子板をニッケル板により構成すると、電池内部において電気的に反応し、溶解してしまう場合もあるので好ましくない。また、正極端子板と配線板とを半田付けすることも考えられるが、正極端子板を構成する薄いアルミニウム板が高温になると電池内部も高温になり、電池が劣化してしまうので、半田付けすることは難しい。すなわち、従来は超音波溶接しか方法がなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、超音波溶接では次のような問題点があった。第1に、超音波溶接の振動強度と振幅時間の設定幅が小さく、溶接の最適条件の維持が難しい。第2に、溶接強度を安定させることが難しく、大量に製品を製造する量産工程においてある割合の溶接不良が発生する場合がある。第3に、超音波溶接装置が抵抗溶接装置よりも高価であり、量産のための設備費用が高くなる。第4に、超音波溶接装置が抵抗溶接装置よりも大きく、より大きな床スペースが必要である。そこで、薄いアルミニウム板とニッケル板とを電気抵抗溶接により溶接する技術の開発が要望されていた。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、100℃における電気体積抵抗値が13.6μΩ・cm未満の材料の異なる2つ以上の溶接対象物を容易にかつ高い信頼性で電気抵抗溶接することができる溶接物の製造方法、それに用いる台座、およびそれを用いた電池の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による溶接物の製造方法は、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm未満の材料の異なる2つ以上の溶接対象物を台座に載置し、溶接棒を押し当てて電気抵抗溶接するに際し、台座を、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成するにより構成するものである。
【0011】
本発明による台座は、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、前記載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成されたものである。
【0012】
本発明による電池の製造方法は、電極端子板に配線板が溶接された電池を製造するものであって、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm未満の材料の異なる電極端子板と配線板とを台座に載置し、溶接棒を押し当てて電気抵抗溶接するに際し、台座を、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成するものである。
【0013】
本発明による溶接物の製造方法では、台座を、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成するので、溶接時に台座が溶接対象物と共に溶解し、台座に溶接対象物が付着してしまうことが防止される。また、台座の放熱効果により溶接対象物の過溶解が防止される。更に、台座にも溶接電流が流れるので、溶接対象物の溶接部により大きな溶接電流が流れる。
【0014】
本発明による台座では、少なくとも載置面を融点が3407℃よりも高い金属により構成しているので、また、本発明による電池の製造方法では、本発明の溶接物の製造方法を用いているので、本発明の溶接物の製造方法と同様に、溶接対象物の付着、過溶解が防止され、溶接部に大きな溶接電流が流れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る溶接物の製造方法およびそれに用いる溶接装置を表すものである。なお、本実施の形態では、溶接対象物10として材料の異なるアルミニウム板11と、ニッケル板12とを溶接する場合について説明する。ここで、アルミニウム板11はアルミニウムを含むアルミニウム系合金板でも良く、ニッケル板12はニッケルを含むニッケル系合金板でもよい。
【0017】
この溶接装置は、溶接対象物10を載置する台座20と、溶接対象物10に押し当てて溶接対象物10に電流を流す一対の溶接棒30とを備えている。溶接棒30は、図示しない電気溶接制御装置に接続されており、溶接対象物10を溶接する際の条件を設定できるようになっている。
【0018】
台座20は、少なくとも溶接対象物10の載置面20aが、溶接対象物10よりも融点の高い高融点金属により構成されることが好ましい。融点を高くすることにより、溶接時に台座20が溶接対象物10と共に溶解し、台座20に溶接対象物10が付着してしまうことを防止できるからである。また、金属は熱伝導率が高いので放熱効果を期待でき、アルミニウム板11の過溶解および沸騰を防止することができるからである。更に、金属は導電性を有しているので台座20にも溶接電流が流れ、溶接対象物10の溶接部10aにより大きな溶接電流を流すことができるからである。
【0019】
本実施の形態では、溶接対象物10であるアルミニウム板11の融点が660℃、ニッケル板12の融点が1455℃であるので、少なくとも載置面20aは、ニッケル板12の融点1455℃よりも高い融点を有する高融点金属により構成されることが好ましい。更に、載置面20aとニッケル板12との融点の差は大きい方が有利である。
【0020】
また、台座20の少なくとも載置面20aは、700℃における熱伝導率が10W/mK以上の金属により構成されることが好ましい。熱伝導率が低すぎると、放熱効果を期待できず、アルミニウム板11の過溶解および沸騰を有効に防止することができないからである。なお、電気溶接制御装置が小さい場合には、台座20の少なくとも載置面20aは、700℃における熱伝導率が200W/mK以下の金属により構成されることが好ましい。電気溶接制御装置の電流・電圧容量が小さく、溶接最大電流が約300A〜800A以下の場合には、熱伝導率が高すぎると、溶接対象物10に熱が蓄積されず、溶接することができない場合があるからである。ちなみに、700℃における熱伝導率で規定するのは、溶接時において溶接部10aに直接接触する載置面20aの部分は700℃程度に加熱されていると考えられるからである。
【0021】
更に、台座20の少なくとも載置面20aは、100℃における電気体積抵抗率が30μΩcm以下の金属により構成されることが好ましい。載置面20aの電気体積抵抗率が高すぎると、溶接電流の大半がニッケル板12とアルミニウム板11とを平面方向に流れてしまい、溶接対象物10の溶接部10aの垂直方向に大きな溶接電流を流すことができず、溶接部10aを十分に加熱することができないからである。また、載置面20aの電気体積抵抗率が高すぎると、溶接電流の約20〜70%がアルミニウム板11の2つの溶接部10aを結ぶ平面方向に流れてしまい、アルミニウム板11の温度がより高くなり、アルミニウム板11の溶接部10aが過度に溶解し、穴が形成されてしまう場合があるからである。すなわち、アルミニウム板11の発熱量が小さくなるようにした方が好ましい。ちなみに、100℃における電気体積抵抗率で規定するのは、溶接時において載置面20aの溶接電流が流れる溶接部10a近傍部分は100℃程度に加熱されると考えられるからである。
【0022】
少なくとも載置面20aを構成する金属としては、具体的には、白金(Pt),鉄(Fe),クロム(Cr),ジルコニウム(Zr),チタン(Ti),モリブデン(Mo),パラジウム(Pd),タングステン(W)およびイリジウム(Ir)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。本明細書において金属というのは、合金も含む広い概念である。これらの物性(融点,700℃における熱伝導率および100℃における電気体積抵抗率)を表1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0005034137
【0024】
台座20の厚さ(載置面20aに対して垂直な方向の厚さ)は、台座20全体が上述したような金属により構成される場合には、例えば1mm以上とされることが好ましい。薄すぎると、十分な放熱効果を得ることができず、しかも台座20の溶接部間抵抗値が大きくなるので、十分に大きな溶接電流を流せなくなり、更に、台座20が溶接棒30の圧力で変形してしまうからである。
【0025】
なお、台座20は全体が上述したような金属により構成されていてもよいが、図2に示したように、上述したような金属よりなる載置部21と、この載置部21よりも熱伝導率の大きい放熱部22とを有するように構成されていてもよい。台座20全体を単一の金属で構成するようにすれば製作は容易であるが、載置部21と放熱部22とを有するように構成すれば、高融点金属よりなる載置部21により溶接対象物10の付着を防止しつつ放熱部22により溶接部10aの放熱を促進し、アルミニウム板11の過溶解をより効果的に防止することができるからである。また、上述したような金属は高価なものが多く、載置部21のみをこれらの金属により構成するようにすれば台座20の費用を安くすることができるという利点もあるからである。更に、何回も電気抵抗溶接を行うことにより載置部21に凹凸ができたり、劣化した場合、載置部21のみを交換することにより放熱部22を再利用することができるからである。よって、図2に示したように載置部21と放熱部22とを有する台座20は、溶接対象物10が接触する部分の溶解を防止でき、かつ最大限に放熱できるので好ましい。
【0026】
放熱部22を構成する材料としては、具体的には、銀(Ag),銅(Cu),アルミニウム(Al)および金(Au)からなる群のうちの少なくとも1種を含む金属が好ましい。これらの100℃における熱伝導率を表2に示す。100℃における熱伝導率を示すのは、溶接時における放熱部22の温度は100℃程度であると考えられるからである。なお、白金の100℃における熱伝導率は72W/mKである。
【0027】
【表2】
Figure 0005034137
【0028】
載置部21の厚さは、例えば0.5mm〜2mm程度が好ましく、約1mmであればより好ましい。厚さが薄すぎると、溶接棒30の圧力により載置部21が変形したり、また放熱部22が溶解して変形してしまうからであり、厚すぎると、放熱効果が低下し溶接強度がすこし低下してしまう可能性があり、また台座20の費用も高くなってしまうからである。放熱部22の厚さは、例えば5mm以上であることが好ましい。厚さが薄すぎると、十分な冷却効果が得られず、台座20自体も高温となり酸化および劣化してしまうからである。
【0029】
載置部21と放熱部22とは、例えば、接合面が凹凸のないように平らに鏡面仕上げされた後、ねじあるいは上下に配置された支え金具などにより機械的に密着するように圧力が加えられて接合されている。なお、載置部21は放熱部22の上に載せてあるだけでもよい。電気抵抗溶接時に載置部21と放熱部22とを密着させる方向に数kg以上の力が印加され熱的に結合するからである。また、載置部21と放熱部22とは、数Mg以上のかなり高い圧力を上下からかけることにより、溶接接合されていてもよい。但し、機械的に接合させる方が、載置部21の交換が容易であり、かつ安定性および密着性も優れているので好ましい。
【0030】
載置部21と放熱部22とを機械的に接合する場合には、例えば、図3に示したように、載置部21と放熱部22との間に、シリコン系の接着剤,シリコンオイルあるいは熱伝導性シートなどよりなる密着層23を介在させるようにしてもよい。このようにすれば、載置部21と放熱部22との密着性を簡単に保持することができ、放熱性をより高めることができるので好ましい。
【0031】
また、載置部21と放熱部22とをろう付けにより接合するようにしてもよい。このようにすれば、載置部21を交換する際の簡便性には劣るものの、載置部21と放熱部22との密着性に優れ、放熱性に優れると共に、簡単に製作することができるので好ましい。ろう材としては、例えば、銀含有の銀ろう、鉛含有の半田、または銅含有の鉛フリー半田がある。但し、鉛含有の半田を用いると、放熱性が少し低下してしまう。
【0032】
溶接棒30は、硬度・導電率・熱伝導性が高いことが必要であり、例えば、クロム銅またはアルミナ分散強化銅などの銅合金により構成されている。溶接棒30の先端形状は、例えば、図4(A)に示したような半球形状、同(B)に示したような円錐形状、同(C)に示したような円柱形状、同(D)に示したような円錐の先端を平らに切断した台形形状、同(E)に示したような半球の先端を平らに切断した半球と平面とを組み合わせた形状、または同(F)に示したような四角錐形状(ピラミッド形状)などの多角錐形状とされることが好ましい。
【0033】
中でも、半球形状は溶接棒30の最も好ましい先端形状である。この形状によれば、溶接棒30を溶接対象物10に押し当てたとき、溶接棒3の先端の中心部に高い圧力が加えられ、溶接電流が集中して流れるので、そのごく小さな範囲において温度が上昇し、溶接対象物10が溶解されて合金層が形成され易い。また、合金層が形成される場所が必ず溶接棒30の中心に固定されるので、溶接電流が流れる2箇所の溶接部10aの距離が固定され、溶接条件が安定して好ましい。更に、溶接棒30を溶接対象物10に押し当てた時の圧力は溶接棒30の中心から周囲に向かって弱くなるので、溶接棒30の中心部において溶接対象物10が溶解しても、その周辺では完全に溶解せず、溶接対象物10に穴が形成されにくい。ここで溶接電流は、圧力に比例して溶接棒30の中心から周囲に向かって弱くなる。
【0034】
有効な半球状の先端形状は、例えば、円柱の直径が0.5mm〜10mmであり、先端の半球の半径が0.5mm〜5mmのものである。最適な半球状の先端形状は、溶接棒30の先端から10mm上部の円柱の直径が3mmであり、溶接棒30の先端から1mm上部の円柱の直径が1.5mmであり、先端の半球の半径が1.5mmのものである。
【0035】
円錐形状は、半球形状とほぼ同様に作用し、比較的良好な先端形状である。円錐の先端角度は140度〜175度の鈍角が好ましく、円柱の直径は0.5mm〜5mmが好ましい。最適な円錐の先端形状は、溶接棒30の先端から10mm上部の円柱の直径が3mmであり、溶接棒30の先端から1mm上部の円柱の直径が1.5mmであり、先端の円錐の角度が170度のものである。先端の角度を90度以下の鋭角とすると、中心部に高い圧力が印加され、溶接対象物10に穴が開いてしまったり、あるいは溶接電流が流れる面積が小さくなってしまう可能性があるので、好ましくない。なお、多角錐形状も円錐形状と同様である。
【0036】
円柱形状は例えばニッケル板同士を溶接する際の最も一般的な形状であるが、溶接のための電流値がばらついてしまうので、溶接強度もばらついてしまう傾向があり、ある割合の溶接不良が発生してしまう可能性がある。例えば、電気抵抗溶接時に溶接棒30を溶接対象物10に押し当てたとき、溶接棒30先端の円形中のさらに小さなある部分に高い圧力が加えられ、そこに溶接電流が流れるので、溶接棒30先端の酸化状態および劣化状態、台座20の状態、あるいは溶接対象物10の表面状態に応じて、溶接毎に溶接部の場所が偶発的に移動してしまう。よって、2つの溶接部10aの間の距離を一定に保つことができず、2本の溶接棒30間の抵抗値および電流値が変化してしまい、溶接部10aの温度が変化し、溶接強度が変化してしまい好ましくない。更に、溶接時の電圧あるいは電流を高くした場合、溶接対象物10が完全に溶解されてしまい穴が開いてしまう可能性もある。但し、先端部の面積は半球形状よりも広いので、大きな面積で合金層が形成される可能性がある。また、溶接に繰り返し用いた後の研磨作業が極めて簡単であり、作業コストも安価であるという利点がある。
【0037】
円錐の先端を平らに切断した台形形状、あるいは半円の先端を平らに切断した形状も、半球形状とほぼ同様に作用し、比較的良好な先端形状である。また、高い圧力が加えられる面積を比較すると半球形状よりも広く、大きな面積で合金層が形成される可能性がある。但し、溶接時の電圧あるいは電流をかなり高くした場合、溶接対象物10が完全に溶解されてしまい穴が開いてしまう可能性があり、好ましくない場合もある。
【0038】
本実施の形態では、このような溶接装置を用い、次のようにしてアルミニウム板11とニッケル板12とを溶接する。
【0039】
まず、台座20の載置面20aの上にアルミニウム板11とニッケル板12とを重ねて載せる。その際、アルミニウム板11の方、すなわち融点の低い方を台座側とする。台座20による放熱効果により過溶融を防止するためである。次いで、一対の溶接棒30を下方に移動させ、予め設定された重さにより上方からニッケル板12を押し付ける。このとき、溶接棒30の先端の直下部において、ニッケル板12とアルミニウム板11とは圧力により密着し、アルミニウム板11は台座20に密着する。
【0040】
続いて、図示しない電気溶接制御装置により、予め定められた時間の電圧波形または電流波形で一対の溶接棒30に電圧を印加する。溶接電流は、プラス電極の溶接棒30→ニッケル板12→アルミニウム板11→台座20→アルミニウム板11→ニッケル板12→マイナス電極の溶接棒30の順番に、約数10ms程度の短時間流れる。これにより、溶接棒30の直下部におけるニッケル板12とアルミニウム板11との接合部、すなわち溶接部10aが溶解し、溶けあう。電気溶接制御装置により溶接電流が停止されると、溶接部10aが急速に冷却され、合金層が形成され、溶接される。
【0041】
その際、台座20に接しているアルミニウム板11の表面は、台座20の放熱効果により冷却されており、融点の高い酸化皮膜で覆われてもいるので、融点に到達しない。また、台座20の少なくとも載置面20aは、溶接対象物10よりも融点の高い高融点金属により構成されているので、溶解されない。よって、台座20とアルミニウム板11との合金層は形成されにくい。更に、台座20は、自身の放熱効果により温度の上昇が抑制され、高温による酸化が防止される。加えて、台座20が載置部21と放熱部22とを有する場合には、溶接部10aにおける発熱がより効率的に放熱される。
【0042】
溶接時の電圧、電圧印加時間などは、ニッケル板12が溶解するために最低必要な値とすればよい。例えば、最大電圧を0.5V〜5V、最大電流を100A〜3000A、電圧印加時間を5ms〜40msとする。一例を挙げれば、電圧を約1.1V、電流を約1000A、電圧印加時間を約10msとする。印加する電圧の波形は直流電圧波形でも交流電圧波形でもよい。但し、直流の方がより短時間で大電流を流すことができるので、溶接部10aの温度を早く上昇させることができ、好ましい。よって、アルミニウム板11を冷却できる短時間において、溶接部10aに合金層を形成できる。また、制御方式は、印加電圧制御方式でも印加電流制御方式でもよい。印加電圧制御方式であれば溶接部10aの発熱量が一定となるので好ましく、また印加電流制御方式であれば、溶接対象物10、溶接棒30および台座20の載置面20aの表面状態または抵抗値が変化しても一定の電流が流れるので、ニッケル板12およびアルミニウム板11の接合する部分の発熱量が一定となり、好ましい。
【0043】
なお、数百回〜数千回の溶接毎に、台座20の載置面20aを研磨剤が塗布されたバフや砥石や紙やすりで磨き、載置面20aの表面の酸化物やアルミニウム付着物を除去するクリーニング作業を行うことが好ましい。台座20の載置面20aの抵抗値が増大し、溶接電流が台座20に流れにくくなり、溶接強度が不安定となるからである。また、数千回の溶接毎に、溶接棒30の先端を磨く研磨作業を行うことが好ましい。例えば、先端の酸化あるいは劣化の層が薄い場合には紙やすりで磨き、酸化あるいは劣化の層が厚い場合にはエンドミルなどの切削加工機械で0.2mm程度以上削ることにより、酸化していない金属部分を露出させる。更に、数万回以上の溶接毎に、台座20または台座20の載置部21および溶接棒30を新品に交換することが好ましい。
【0044】
このように本実施の形態によれば、台座20の少なくとも載置面20aを溶接対象物10よりも融点の高い高融点金属、例えば1455℃よりも融点の高い高融点金属により構成するようにしたので、アルミニウム板11とニッケル板12のように材料の異なる溶接対象物10を電気抵抗溶接しても、溶接対象物10が台座20に付着することを防止することができると共に、溶接対象物10の過溶解を防止することができ、かつ溶接部10aに大きな溶接電流を流すことができる。よって、溶接対象物10を強固に電気抵抗溶接することができる。また、電気溶接制御装置の設定範囲が広いので、大量に溶接する場合においても溶接強度を安定させることができる。更に、アルミニウム板11を冷却しながら溶接するので、アルミニウムが沸騰し、周囲に激しく飛び散ることがなく、作業の安全性を向上させることができると共に、掃除の手間を省くことができる。
【0045】
特に、台座20の少なくとも載置面20aを700℃における熱伝導率が10W/mK以上の金属により構成するようにすれば、溶接対象物10を適度に加熱し、かつ適度に放熱することにより過溶解および沸騰を有効に防止することができる。
【0046】
また、台座20の少なくとも載置面20aを100℃における電気体積抵抗率が30μΩcm以下の金属により構成するようにすれば、台座20にも溶接電流が適度に流れ、溶接部10aの垂直方向に大きな溶接電流を流すことができ、溶接部10aを局所的に十分に加熱することができる。
【0047】
更に、台座20が載置部21と放熱部22とを有するように構成すれば、溶接対象物10を適度に加熱しつつ放熱効果をより高めることができると共に、費用を安くでき、再利用も可能となる。例えば、台座20を白金のみで構成すると、台座20の大きさが10×10×10mmの場合には約4万円以上になってしまう。ところが、10×10×1mmの白金よりなる載置部21と、10×10×9mmの銀よりなる放熱部22とにより構成すると、8千円以下にすることができる。
【0048】
加えて、溶接棒30の先端形状を半球形状、円錐形状、円錐の先端を平らに切断した台形形状、半球の先端を平らに切断した半球と平面とを組み合わせた形状、または多角錐形状とすれば、溶接電流の流れる範囲をごく小さくすることができ、溶接部10aを容易に加熱することができる。また、2箇所の溶接部10aの距離を高い精度で一定とすることができるので、溶接条件を安定させることができる。特に半球形状とすれば、より高い効果が得られる。
【0049】
なお、本実施の形態では、溶接対象物10としてアルミニウム板11とニッケル板12とを溶接する場合について説明したが、本発明は、材料の異なる2つ以上の溶接対象物を溶接する場合に広く適用することができる。例えば、ニッケル板12に変えて、ニッケル板と鉄板とを張り合わせた金属板(クラッド材)とアルミニウム板11とを溶接する場合も同様である。この場合、溶接されるのが金属板のうちのニッケル板の部分とアルミニウム板11であれば、溶接対象物はニッケル板であり、溶接対象物の融点というのはアルミニウム板およびニッケル板の融点を指す。
【0050】
この溶接物の製造方法は、例えば、次のような電池の製造方法に用いることができる。
【0051】
図5は本実施の形態に係る溶接物の製造方法を用いた電池の製造方法およびそれにより製造される電池の構造を表すものである。図6は図5のI−I線に沿った断面構造を表すものである。この電池は、正極端子板41および負極端子板42を取り付けた電池素子50を外装部材60の内部に封入したものである。電池素子50は、正極51と負極52とが電解質53を介して積層された構成を有している。
【0052】
正極51は、例えば、正極集電体層51aと正極合剤層51bとにより構成されており、正極端子板41は正極集電体層51aに接続されている。正極集電体層51aは、例えばアルミニウム箔により構成されており、正極合剤層51bは、例えば、正極材料と、カーボンブラックあるいはグラファイトなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含有して構成されている。正極材料としては、リチウム(Li)を含有するリチウム複合酸化物あるいはリチウム複合硫化物、またはリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物、または特定の高分子材料などが好ましく、電池の使用目的に応じてそれらのいずれか1種または2種以上が選択される。
【0053】
負極52は、例えば、負極集電体層52aと負極合剤層52bとにより構成されており、負極端子板42は負極集電体層52aに接続されている。負極集電体層52aは、例えば銅箔により構成されており、負極合剤層52bは、例えば、負極材料と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含有して構成されている。負極材料は、例えば、炭素材料あるいはケイ素化合物などのリチウムを吸蔵および離脱することが可能な材料、またはリチウム金属あるいはリチウム合金などのリチウムを析出および溶解することが可能な材料を含んでいる。
【0054】
電解質53は、いわゆるゲル状電解質あるいは有機固体電解質と呼ばれるものにより構成されており、例えば、高分子化合物と、必要に応じて可塑剤と、電解質塩としてのリチウム塩とを含んでいる。正極51と負極52との間には、図示しないセパレータが必要に応じて配置されていてもよい。
【0055】
正極端子板41は、例えば厚さが約0.05mm〜0.15mm程度の薄いアルミニウム板により構成されている。負極端子板42は、例えば厚さが約0.05mm〜0.15mm程度の薄いニッケル板により構成されている。正極端子板41および負極端子板42には、例えば厚さが約0.1mm〜0.2mm程度の薄いニッケル板あるいはニッケル板と鉄板とが張り合わされた金属板よりなる配線板71,72がそれぞれが溶接されている。
【0056】
このような電池は、次のようにして製造することができる。
【0057】
まず、所定の方法により電池素子50を作製し、電池素子50に正極端子板41および負極端子板42を接続して、外装部材60の内部に電池素子50を封入する。次いで、正極端子板41に配線板71を上述した溶接物の製造方法により電気抵抗溶接する。すなわち、正極端子板41および配線板71よりも融点の高い高融点金属よりなる台座20を用い、正極端子板41を台座20側にして正極端子板41と配線板71とを台座20に載置し、図1に示したようにして溶接棒30を押し当てて電圧を印加する。ここでは、上述した方法を用いているので、アルミニウム板よりなる正極端子板41が台座20に付着することなく、正極端子板41と配線板71とが強固に溶接される。
【0058】
続いて、負極端子板42に配線板72を電気抵抗溶接する。その際、上述した方法により行うようにしてもよいが、負極端子板42も配線板72も共にニッケル板により構成されているので、従来の台座80、すなわち銅あるいは銅合金、または非金属であるベーク板により構成されたものを用い、電気抵抗溶接してもよい。これにより、図5に示した電池が完成する。
【0059】
また、図7に示したような電池を製造する場合にも、本実施の形態に係る溶接物の製造方法を用いることができる。この電池は、正極端子板41および負極端子板42の先端部に溝41a,42aが設けられていることを除き、図5に示した電池と同様の構成を有している。
【0060】
このような電池では、正極端子板41の先端部に溝41aが設けられているので、溶接電流が正極端子板41を通りにくくなり、溶接電流の大部分は台座20または配線板11を通ることになる。このため、溶接強度がより強固になる。
【0061】
ちなみに、配線板71にも正極端子板41および負極端子板42と同様の溝を設けると、プラス電極の溶接棒30→配線板71→マイナス電極の溶接棒30に流れる電流もなくなってしまうため、配線板71の溶接部の温度上昇が妨げられ、あまりよい効果は期待できない。よって、配線板71,72には溝を設けない方が好ましい。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、薄いアルミニウム板よりなる正極端子板とニッケル板などよりなる配線板とを電気抵抗溶接により強固に溶接することができる。ところで、従来の超音波溶接では、溶接強度が強固であるための設定条件の幅が極めて狭いので、溶接強度を強固に保つことが極めて難しく、アタッチメントの形状や位置関係が少しでも変化すると不良品率が高くなってしまう可能性があったのに対し、本実施の形態によれば、溶接強度が強固であるための設定条件の幅が広いので、溶接強度を強固に保つことが容易であり、不良品率を極めて低くすることができる。また、電気抵抗溶接装置は、超音波溶接よりも安価なため、設備費用を削減することもできる。
【0063】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について、図1を参照して詳細に説明する。
【0064】
(実施例1,2)
実施例1として、台座20を白金により構成し、上記実施の形態において説明したようにして溶接対象物10としてアルミニウム板11とニッケル板12とを電気抵抗溶接した。その際、印加電圧制御方式により直流電圧を印加し、最大電圧は1.2V、最大電流は1000A、電圧印加時間は10msとした。実施例2として、台座20を鉄により構成したことを除き、実施例1と同様にしてにアルミニウム板11とニッケル板12とを電気抵抗溶接した。
【0065】
そののち、アルミニウム板11の側の溶接痕および台座20の載置面20aの状態を光学顕微鏡により観察した。また、溶接したアルミニウム板11とニッケル板12とを引き剥がし、引き剥がした後のニッケル板12の状態を光学顕微鏡により観察した。それらの結果を図8ないし図13に示す。図8は実施例1のアルミニウム板11の溶接痕、図9は実施例1の台座20の状態、図10は実施例1の引き剥がし後の状態、図11は実施例2のアルミニウム板11の溶接痕、図12は実施例2の台座20の状態、図13は実施例2の引き剥がし後の状態をそれぞれ表すものである。
【0066】
また、本実施例に対する比較例1,2として、台座を銅(比較例1)あるいはセラミック(比較例2)により構成したことを除き、本実施例と同様にしてにアルミニウム板とニッケル板とを電気抵抗溶接した。比較例1,2についても、本実施例と同様に、アルミニウム板側の溶接痕、台座の状態および引き剥がした後のニッケル板12の状態を光学顕微鏡により観察した。それらの結果を図14ないし図19に示す。図14は比較例1のアルミニウム板11の溶接痕、図15は比較例1の台座20の状態、図16は比較例1の引き剥がし後の状態、図17は比較例2のアルミニウム板11の溶接痕、図18は比較例2の台座20の状態、図19は比較例2の引き剥がし後の状態をそれぞれ表すものである。
【0067】
図8ないし図13から分かるように、本実施例によれば、台座20とアルミニウム板11とが溶接されたり、アルミニウムが台座20に付着したりすることははほとんど見られず、溶接部10aの状態も良好であった。更に、図10および図13から分かるように、引き剥がし後の状態を見ても、溶接部10aのアルミニウムがニッケル板12に付着していることから、強固に溶接されていることが確認された。また、台座20を白金により構成した実施例1よりも鉄により構成した実施例2の方が、少し溶接部10aの面積が大きく、台座20にアルミニウムの付着が若干見られることが分かった。これは、鉄の熱伝導率が白金に比べて低いので、溶接部10aの温度がより高くなり、溶接部10aの面積が大きくなったからであると考えられる。更に、白金よりも鉄の方が融点が低いので、鉄の表面の微小な部分が溶解したからであると考えられる。
【0068】
これに対して、図14ないし図16から分かるように、台座を銅により構成した比較例1では、溶接部10aの面積が小さく、溶接強度が小さく、台座にアルミニウムの付着が多く見られた。これは、銅の熱伝導率が大きいために十分にアルミニウム板11およびニッケル板12を加熱することができず、また、融点が低いためにアルミニウム板11と共に台座の一部が溶解してしまうからであると考えられる。ここで、溶接時の設定電圧をより高くすれば、十分に溶接対象物10を加熱し、強固な溶接をすることができるとも考えられるが、アルミニウム板11が台座20に付着し、アルミニウム板11に穴があいてしまうので、好ましくない。
【0069】
また、図17ないし図19から分かるように、台座をセラミックにより構成した比較例2では、アルミニウム板11に穴があいてしまい、溶接強度が不十分であり、台座にアルミニウムの一部が付着していた。これは、セラミックなどの絶縁物質の場合、溶接電流が台座を流れないので、溶接電流の大半がアルミニウム板11およびニッケル板12に流れてしまい、アルミニウム板とニッケル板との溶接部の温度が上がらないこと、また、台座の熱伝導率が低いので、アルミニウム板が過溶解あるいは沸騰してしまうことによるものと考えられる。
【0070】
すなわち、溶接対象物10よりも融点が高く、700℃における熱伝導率が10W/mK以上であり、かつ100℃における電気体積抵抗率が30μΩcm以下の高融点金属により台座20を構成するようにすれば、材料の異なる2つ以上の溶接対象物10を強固に電気抵抗溶接できることが分かった。
【0071】
なお、上記実施例では、台座20を白金あるいは鉄により構成し、アルミニウム板11とニッケル板12とを溶接する場合について具体的に例を挙げて説明したが、上記実施の形態において説明した他の材料により台座20を構成するようにしても、上記実施例と同様の結果を得ることができる。また、上記実施の形態において説明したように、他の材料の異なる2つ以上の溶接対象物10を電気抵抗溶接する場合についても、上記実施例と同様の結果を得ることができる。
【0072】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、電池の構成について具体的に例を挙げて説明したが、本発明は、他の構成を有する電池についても同様に適用することができる。例えば、上記実施の形態では、リチウムを電極反応種として用いる電池について具体的に説明したが、他の電極反応種を用いる電池についても同様に適用することができる。また、上記実施の形態では、電解質がゲル状電解質あるいは有機固体電解質よりなる場合について説明したが、液状の電解質である電解液により構成するようにしてもよく、無機材料よりなる無機電解質により構成するようにしてもよい。更に、電池の形状もどのようなものでもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、本発明の溶接物の製造方法を電池の製造に用いる場合について説明したが、他のものを製造する場合にも同様に適用することができる。特に、本発明は、融点が異なる厚さが薄い溶接対象物を溶接する場合に有効である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項9のいずれか1に記載の溶接物の製造方法によれば、台座を、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成するようにしたので、または請求項10ないし請求項14のいずれか1に記載の台座によれば、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成するようにしたので、または請求項15ないし請求項24のいずれか1に記載の電池の製造方法によれば、台座を、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成するようにしたので、材料の異なる溶接対象物を電気抵抗溶接しても、溶接対象物が台座に付着することを防止することができると共に、溶接対象物の過溶解を防止することができ、かつ溶接部に大きな溶接電流を流すことができる。よって、溶接対象物を強固に電気抵抗溶接することができる。また、電気溶接制御装置の設定範囲が広いので、大量に溶接する場合においても溶接強度を安定させることができる。
【0075】
また、台座の載置部を100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属により構成するようにしたので、台座にも溶接電流を適度に流すことができ、溶接部の垂直方向に大きな溶接電流を流すことができる。
【0076】
また、台座を、台座を、載置部と、載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とを有するようにしたので、溶接対象物を適度に加熱しつつ放熱効果をより高めることができると共に、費用を安くでき、再利用も可能とできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る溶接物の製造方法およびそれに用いる溶接装置を表す斜視図である。
【図2】図1に示した溶接装置の変形例を表す斜視図である。
【図3】図2に示した溶接装置の変形例を表す斜視図である。
【図4】図1に示した溶接装置における溶接棒の先端形状を表す正面図である。
【図5】図1に示した溶接物の製造方法を用いた電池の製造方法を表す斜視図である。
【図6】図6に示した電池のI−I線に沿った断面図である。
【図7】図6に示した電池の製造方法の変形例を表す斜視図である。
【図8】本発明の実施例1に係るアルミニウム板の溶接痕を表す光学顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施例1に係る台座の状態を表す光学顕微鏡写真である。
【図10】本発明の実施例1に係る引き剥がし後の状態を表す光学顕微鏡写真である。
【図11】本発明の実施例2に係るアルミニウム板の溶接痕を表す光学顕微鏡写真である。
【図12】本発明の実施例2に係る台座の状態を表す光学顕微鏡写真である。
【図13】本発明の実施例2に係る引き剥がし後の状態を表す光学顕微鏡写真である。
【図14】比較例1に係るアルミニウム板の溶接痕を表す光学顕微鏡写真である。
【図15】比較例1に係る台座の状態を表す光学顕微鏡写真である。
【図16】比較例1に係る引き剥がし後の状態を表す光学顕微鏡写真である。
【図17】比較例2に係るアルミニウム板の溶接痕を表す光学顕微鏡写真である。
【図18】比較例2に係る台座の状態を表す光学顕微鏡写真である。
【図19】比較例2に係る引き剥がし後の状態を表す光学顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10…溶接対象物、10a…溶接部、11…アルミニウム板、12…ニッケル板、20…台座、20a…載置面、21…載置部、22…放熱部、23…密着層、30…溶接棒、41…正極端子板、41a,42a…溝、42…負極端子板、50…電池素子、60…外装部材、71,72…配線板。

Claims (24)

  1. 100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm未満の材料の異なる2つ以上の溶接対象物を台座に載置し、溶接棒を押し当てて電気抵抗溶接するに際し、前記台座を、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、前記載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成する
    溶接物の製造方法。
  2. 溶接対象物として、ニッケル板,ニッケル系合金板あるいはニッケル板と鉄板とを貼り合わせた金属板と、アルミニウム板あるいはアルミニウム系合金板とを電気抵抗溶接する、請求項1記載の溶接物の製造方法。
  3. アルミニウム板あるいはアルミニウム系合金板を台座側にして溶接対象物を重ね、台座に載置する、請求項2記載の溶接物の製造方法。
  4. 載置部を白金,鉄,クロム,ジルコニウム,チタンおよびパラジウムからなる群のうちの少なくとも1種を含む金属により構成すると共に、放熱部を銀,銅,アルミニウムおよび金からなる群のうちの少なくとも1種を含む金属により構成する、請求項1記載の溶接物の製造方法。
  5. 載置部と放熱部とを機械的に接合する、請求項1記載の溶接物の製造方法。
  6. 載置部と放熱部との間に密着層を介在させる、請求項1記載の溶接物の製造方法。
  7. 載置部と放熱部とをろう付けにより接合する、請求項1記載の溶接物の製造方法。
  8. 溶接棒の先端形状を半球形状、円錐形状、円柱形状、円錐の先端を平らに切断した台形形状、半球の先端を平らに切断した半球と平面とを組み合わせた形状、または多角錐形状とする、請求項1記載の溶接物の製造方法。
  9. 溶接棒に印加電圧制御方式または印加電流制御方式により直流電圧または交流電圧を印加し、最大電圧を0.5V以上5V以下、最大電流を100A以上3000A以下とし、かつ電圧印加時間を5ms以上40ms以下とする、請求項1記載の溶接物の製造方法。
  10. 100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm未満の材料の異なる2つ以上の溶接対象物を溶接する際に前記溶接対象物を載置する台座であって、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、前記載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成された台座。
  11. 載置部を白金,鉄,クロム,ジルコニウム,チタンおよびパラジウムからなる群のうちの少なくとも1種を含む金属により構成すると共に、放熱部を銀,銅,アルミニウムおよび金からなる群のうちの少なくとも1種を含む金属により構成する、請求項10記載の台座。
  12. 載置部と放熱部とを機械的に接合する、請求項10記載の台座。
  13. 載置部と放熱部との間に密着層を介在させる、請求項10記載の台座。
  14. 載置部と放熱部とをろう付けにより接合する、請求項10記載の台座。
  15. 電極端子板に配線板が溶接された電池の製造方法であって、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm未満の材料の異なる電極端子板と配線板とを台座に載置し、溶接棒を押し当てて電気抵抗溶接するに際し、前記台座を、100℃における電気体積抵抗率が13.6μΩ・cm以上30.0μΩ・cm以下の金属よりなる載置部と、前記載置部よりも熱伝導率の大きい放熱部とにより構成する、電池の製造方法。
  16. アルミニウム板あるいはアルミニウム系合金板よりなる電極端子板と、ニッケル板,ニッケル系合金板あるいはニッケル板と鉄板とを貼り合わせた金属板よりなる配線板とを電気抵抗溶接する、請求項15記載の電池の製造方法。
  17. 電極端子板を台座側にして電極端子板と配線板とを重ね、台座に載置する、請求項15記載の電池の製造方法。
  18. 前記載置部は、配線板よりも融点の高い高融点金属よりなる、請求項15記載の電池の製造方法。
  19. 載置部を白金,鉄,クロム,ジルコニウム,チタンおよびパラジウムからなる群のうちの少なくとも1種を含む金属により構成すると共に、放熱部を銀,銅,アルミニウムおよび金からなる群のうちの少なくとも1種を含む金属により構成することを特徴とする請求項15記載の電池の製造方法。
  20. 載置部と放熱部とを機械的に接合する、請求項15記載の電池の製造方法。
  21. 載置部と放熱部との間に密着層を介在させる、請求項15記載の電池の製造方法。
  22. 載置部と放熱部とをろう付けにより接合する、請求項15記載の電池の製造方法。
  23. 溶接棒の先端形状を半球形状、円錐形状、円柱形状、円錐の先端を平らに切断した台形形状、半球の先端を平らに切断した半球と平面とを組み合わせた形状、または多角錐形状とする、請求項15記載の電池の製造方法。
  24. 溶接棒に印加電圧制御方式または印加電流制御方式により直流電圧または交流電圧を印加し、最大電圧を0.5V以上5V以下、最大電流を100A以上3000A以下とし、かつ電圧印加時間を5ms以上40ms以下とする、請求項15記載の電池の製造方法。
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