従来、包装袋又は袋包装体の形態として、ピロー、ガセット、ヘム付きガセット等の各種形態があるが、これらの包装形態を有する包装袋又は袋包装体は、一般的に、ヒートシールによって背貼りシール部やエンドシール部に強いシールがされているので、これらのシール部を引き裂くことでの開封が困難である。それゆえ、引き裂き方向性を備えた特殊な包装フィルムを用いること、或いは袋の背貼りシール部やエンドシール部にIノッチやVノッチのような引き裂き開始用としての切り込みを形成することで、開封を容易にすることを図っている。しかしながら、引き裂き開始用の切り込みはその位置や深さにバラツキが生じがちであって、どの包装袋又は袋包装体でも一様な切り込みを形成できるという保証がある訳ではない。
上記の包装形態を有する包装体は、縦型製袋充填包装機によって連続的に製造される。即ち、ウェブ状包装材は、製袋筒であるフォーマによって、その内側で且つ製袋筒の内部に配置され下方向に垂下する製品充填筒の外側を囲むように筒状に曲形されて縦方向に供給され、その途中で包装材の側縁部分が縦シールユニットによってヒートシールされることで筒状包装材に成形される。縦型製袋充填包装機は製品充填筒の下方に位置されている横シールユニットを備えており、筒状包装材は、横シールユニットのエンドシーラによって、先行して形成された袋の開口端部がエンドシールされるとともに、次に形成される袋の底となる部分にエンドシールが施されて袋の底部が形成される(ガセットタイプの場合には更にサイド部分の折り込みが行われる)。底部が形成された筒状包装材には、製品充填筒を通じて包装物である製品が投入される。製品が充填された筒状包装材を1個の袋の長さ分だけ下方に送り、底部が形成され且つ製品が投入された筒状包装材にその開口部になる位置にエンドシールを施すことを順次繰り返すことによって、背貼りシール部と両端のエンドシール部(底部と開口部)とで封鎖されたピロータイプの袋包装体が連続して製造される。
袋の形態の一つとして、合成樹脂フィルム等の軟質包装材で構成され、開口部に樹脂製のジッパーが取り付けられて成る平ピロー袋、ガセットピロー袋等のジッパー付包装袋がある。この形態の袋は、袋の開封後に、例えば、包装されている製品を取り出す毎にジッパーによって再封鎖可能であり、食品や医薬品等の製品を包装するのに好適である。
このようなピロー形態のジッパー付包装袋の製造方法としても、上記したような縦型製袋充填包装機が利用される。この方法では、縦型製袋充填包装機に供給する前の連続したウェブ状包装材の所定位置に、雄側部材と雌側部材を互いに係合させた状態のジッパーが取り付けられ、そのジッパー付軟包装材を縦型製袋充填包装機に送ってジッパーを内側にして筒状包装材に成形し、重ね合わせた両側縁部分のヒートシール(背貼りシール部)と袋底部のヒートシールが行われる(ガセットタイプの場合には更にサイド部分の折り込みを行う)。製品の充填と1個の袋の長さ分だけ筒状包装材を下方に送った後、天ヒートシールと後続の袋のための底ヒートシールが行われ、同時にジッパーの雄側部材と雌側部材のそれぞれのシール用フランジがその外側に位置する包装材の内面側にヒートシールされてジッパーが確実に取り付けられる。次いで、製造された袋包装体を切り離すという作業が行われる。
従来のジッパー付き包装袋は、四方シール・スタンドパウチの製袋工程において袋を作り、給袋機などで給送されるパウチに充填・包装が行われている。縦型製袋充填包装機において、包装袋をピロー形態やガセット形態とする場合には、背貼りシール部を袋の左右中心に沿って延びていることが一般的である。背貼りシール部のうち、エンドシールを施す部分は互いに対向するエンドシーラによって強い圧力で挟まれて平坦にされる。背貼りシール部がその後自身の復元力でエンドシール部から立ち上がるのを防止するため、背貼りシール部をエンドシール部に溶着することがあるが、そのためには、背貼りシール部となる側縁部分にエンドシール部との溶着を可能にするパートコートを施す必要がある。また、背貼りシール部及びエンドシール部から開封を開始するには、その開始部分に開封開始用のノッチを形成する必要がある。このような対処のため、包装のコスト上昇と機構の複雑化を招いている。
ピロー包装袋において、ヒートシールによって形成されるシール部は一般に強度が高くなるので、引き裂きがシール部である背貼りシール部に到達したときに停止する虞がある。背貼りシール部が封筒貼り方式で形成されている場合に、袋の側端部から開始した引き裂きが背貼りシール部で止まることなく進行し、簡単に開封可能とすることが提案されている(特許文献1参照)。この提案によれば、フィルムを円曲させて重ね合わされる両側端部分を封筒貼り方式でヒートシールすることで背貼りシールが形成されたピロー包装袋において、背貼りシール部となるフィルムの片側又は両端の端縁に沿って微細な切り込み又は刻み目を設けておくことにより、袋を引き裂いた際、引き裂きがこの切り込み又は刻み目から簡単に背貼りシール内を進行して横断することを可能にしている。また、端縁に沿って微細な切り込み又は刻み目が加工される背貼りシールを引き裂き開始側に向けて袋の裏面にヒートシールしておくことで、幅方向から引き裂いたときに、引き裂きは切り込み又は刻み目から背貼りシール内に簡単に進行し、背貼りシールのところで引き裂きが停止することを防止することが提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−256159号公報(段落[0019]〜[0020]、図1)
特開2004−256158号公報(段落[0015]〜[0017]、図1、図2)
プラスチックラミネートフィルムの端を突き合わせてヒートシールすることで形成される背シール部を包装袋の側端又は側端の近傍に設け、背シール部を形成する各突き合わせた端に連なる折曲げ部に上端から下端まで延びる細幅の開封用粗面部を設けることが提案されている(特許文献3)。包装袋の一面の側端又は側端の近傍に細幅の開口を形成し、封入された内容物の一部を細幅の開口から取り出した後でも包装袋の袋形状を保つことを可能にしている。細幅の開封容易区域が背シール部に沿って形成されるので、背シール部を開封用粗面部に沿って破ることで、包装袋は開封される。
特開平8−324582号公報(段落[0006]〜[0009]、図1〜図5)
袋の本体部を、積層フィルムの左右の端縁部同士を縦方向にヒートシールして筒状に形成する際、少なくとも一方の側部を積層フィルムの折り返し部で形成し、上部の開口端を上部シール部でヒートシールすると共に、その内側の内面に一方の側部から他方の側部に向けて横方向にチャックテープを熱接着し、上部シール部とチャックテープの間に切り取り線とノッチなどの開封手段を設けて構成されたチャックテープ付き袋が提案されている(特許文献4参照)。チャックテープの熱接着は、折り返し前の積層フィルムに仮接着させ、筒状に形成後、本接着する方法で行われる。また、上部シール部とチャックテープの間にノッチを形成するために、当該部分の袋にスポットシール部を設けることが開示されている。
特開2003−212248号公報(段落[0033]〜[0038]、図1)
帯状に形成された被シール片と、この被シール片に沿って延在する開閉自在な封止部とを有する一対のジッパー片からなり、封止部の両端部が押し潰されて接合しているとともに、当該押し潰し部分が被シール片よりも膨出した形状のジッパー部材を、包装材に熱シールするためのジッパーシールブロックであって、被シール片に当接してこれを包装材に熱シールする取付けシール部と、封止部の両端押し潰し部分に当接してこれを熱シールする両端シール部と、封止部の両端に近接する部分に当接してこれを熱シールする封止部近傍シール部3とを含み、両端シール部は、封止部の両端押し潰し部分を挿入する凹部形状に形成したものが提案されている(特許文献5参照)。当該文献では、ジッパーの両端部の押し潰しを行うために、超音波ホーンという手段が別途設けられる。横シールブロックの直下に配設されるジッパーシールブロックは、ジッパー部材の被シール片(ジッパーの嵌合部から延びていて嵌合部とは一定の距離を置いて包装材の内面に熱シールされる部分)を包装材に熱シールする取付けシール部と、ジッパー部材の嵌合部の両端部分を熱シールする両端シール部と、当該両端部分の近傍を熱シールする封止部近傍シール部とを備えている。
特開2005−119209号公報(段落[0017]〜[0034]、図1〜図6)
背貼りシール部が包装袋の左右中央に位置していると、背貼りシール部が存在している側が包装袋の裏側として定まり、印刷及び表示において包装袋の表面の利用性が制限される。また、背貼りシール部が合掌貼りで形成される場合には、背貼りシール部を折り曲げて倒した状態では、包装袋の表裏を含めれば引き裂くべき包装材は4重になり、引き裂いて開封する際に背貼りシール部のところで大きな抵抗となり、スムーズな開封ができなくなるという問題がある。そこで、包装袋における背貼りシール部の位置と具体的な易開封手段の構造とに着目してその組合せに工夫を凝らすことにより、簡易で確実な開封を可能にする袋包装体を連続して製造することを可能にする点で解決すべき課題がある。
この発明の目的は、印刷及び表示において包装袋の表面の利用性を高めることができるとともに、表面を簡素で且つ見栄えを良くして高級感を与えることができ、更に開封の際に引き裂きが背貼りシール部をスムーズに通過して容易に開封をすることができる包装形態を備えた袋包装体を連続して製造することを可能にする製袋充填包装方法及び装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、この発明による製袋充填包装方法は、充填筒の周りに曲成したウェブ状包装材の側縁部分同士を合掌状にシールして背貼りシール部を形成することにより筒状包装材を形成し、前記充填筒の先端から送り出される前記筒状包装材を前記背貼りシール部が断面長軸上の略一方端を占める態様で断面略長円に変形し、前記背貼りシール部をその内側シール縁線を折り曲げ線として折り曲げ、先行して底エンドシール部が形成された包装袋への前記充填筒に投入された製品の充填と、前記背貼りシール部の折り曲げ状態で前記筒状包装材にエンドシールを施すことにより前記背貼りシール部が前記包装袋の側端縁に沿った態様で前記製品が充填された前記包装袋の天エンドシール部の形成及び次の包装袋の底エンドシール部の形成とを繰り返すことから成っている。
また、この発明による製袋充填包装装置は、ウェブ状包装材を筒状に曲成するフォーマ、前記フォーマ内を垂下し外周面に前記筒状包装材が走行可能であるとともに内部を通して包装すべき製品が投入される充填筒、前記筒状包装材の両側縁部分同士を合掌状にシールして背貼りシール部を形成する縦シーラユニット、前記充填筒の先端から送り出される前記筒状包装材を前記背貼りシール部が断面長軸上の略一方端を占める態様で断面略長円に変形しつつ案内するガイド部材、前記背貼りシール部をその内側シール縁線を折り曲げ線として折り曲げる折り曲げ手段、及び前記背貼りシール部が包装袋の側端縁に沿った態様で先行して製造され且つ前記製品が充填された前記包装袋の天エンドシール部と後続の包装袋の底エンドシール部とを形成する横シーラユニットを備えていることから成っている。
この発明による製袋充填包装方法又は装置によれば、合掌状にシールして背貼りシール部が形成された筒状包装材は、充填筒の先端から送り出されるときに背貼りシール部が断面長軸上の略一方端を占める態様で断面略長円に変形され(装置の場合にはガイド部材によって案内されつつ変形される)、更に背貼りシール部をその内側シール縁線を折り曲げ線として折り曲げられる(装置の場合には折り曲げ手段によって折り曲げられる)。背貼りシール部が折り曲げられた状態で且つ包装袋の側端縁に沿った態様で、製品が充填された包装袋の天エンドシール部と次の包装袋の底エンドシール部が(装置の場合には、横シーラユニットによって)形成される。したがって、製品が充填された袋包装体は、背貼りシール部が包装袋の側端縁に沿った位置を占め且つ折り曲げられた状態で製造され、表裏の区別が実質的にない、簡素で且つ高級感を醸し出す袋包装体となる。
この製袋充填包装装置において、前記折り曲げ手段は、前記筒状包装材の前記両側縁部分同士を合掌状に重ねた状態で折り曲げつつ両側縁部分同士をシールして背貼りシール部を形成することにより、前記縦シーラユニットと兼用されている。この場合には、両側縁部分同士をシールして背貼りシール部を形成する縦シーラユニットが、筒状包装材の両側縁部分同士を合掌状に重ねた状態で折り曲げつつ縦シールによって背貼りシール部を形成することで、折り曲げと同時に背貼りシール部が得られる。また、前記折り曲げ手段は、前記ガイド部材に関連して配設されており、前記背貼りシール部を受け入れて捩じる態様で折り曲げる螺旋溝が形成されている折り曲げ部材とすることができる。更に、前記折り曲げ手段は、前記横シーラユニットの上流に配設されており、前記背貼りシール部に係合して押し倒す折り曲げ板とすることができる。
この製袋充填包装方法又は装置において、前記天エンドシール部の予定位置の袋内側最寄り位置において、折り曲げられた前記背貼りシール部が重なる前記包装材の領域に当該包装材の内面同士をシールしてスポットシール部が形成され(装置の場合には、スポットシーラがスポットシール部を形成する)、前記背貼りシール部及び前記スポットシール部の重なり領域に易開封用ノッチが形成される(装置の場合には、ノッチ形成カッタが易開封用のノッチを形成する)。スポットシール部に易開封用ノッチを形成しているので、ノッチの周囲にはスポットシール部が残存しており、易開封用ノッチが形成されていることによって、通常の扱いでは袋包装体の封鎖が破られることはない。また、易開封用ノッチは背貼りシール部にも形成されていることから、包装材が四重になっていても切り裂きが止まることがなく抵抗感なく進行する。
この製袋充填包装方法又は装置において、前記ウェブ状包装材に、前記天エンドシール部の予定位置の袋内側近傍において、嵌合可能なジッパー骨から成り且つ繰り返して開封・閉鎖可能なジッパーをその嵌合状態にて仮着することができる。装置発明においては、ジッパー供給装置がウェブ状包装材上における前記天エンドシール部の予定位置の袋内側近傍に仮着状態となるように供給する。再開封・閉鎖可能なジッパーをウェブ状包装材上の所定位置に供給して嵌合状態とすることにより、以後の製袋充填包装の過程でジッパーは包装袋の天エンドシール部予定位置の袋内側近傍を占める所定位置に自動的に納められる。
ジッパーが仮着状態に供給される製袋充填包装方法において、前記エンドシールを施す際に、仮着された嵌合状態にある前記ジッパーをその両側で前記包装材の対向する各内面に対して貼着するジッパーシールを形成しつつ、前記ジッパーの両端に当該両端を押し潰した潰しシールを形成することができる。ジッパーが仮着状態に供給される製袋充填包装装置においては、前記横シーラユニットは、仮着された嵌合状態にある前記ジッパーをその両側で前記包装材の対向する各内面に対して貼着するジッパーシールを形成するジッパーシーラを備え、前記ジッパーシーラには、前記ジッパーの両端に潰しシールを形成する潰しシーラ部を備えることができる。この製袋充填包装方法又は装置によれば、仮着された嵌合状態にあるジッパーを、ジッパーシールにて(装置の場合には、ジッパーシーラによるジッパーシールにて)包装材の対向する各内面に対して貼着することができ、その際に、ジッパーの両端を押し潰して(装置の場合には、潰しシーラ部によって押し潰して)潰しシールを形成することで、ジッパーシールと潰しシールとを同時に形成することができる。
このジッパーシールと潰しシール部とが形成される上記製袋充填包装方法において、前記天エンドシール部と前記ジッパーシールとの間で、折り曲げられた前記背貼りシール部が重なる前記包装材の領域に当該包装材の内面同士をシールするスポットシール部を形成し、前記スポットシール部の領域に易開封用ノッチを形成することができる。ジッパーシールと潰しシール部とを形成する上記製袋充填包装装置において、前記横シーラユニットは、前記天エンドシール部と前記ジッパーシールとの間で折り曲げられた前記背貼りシール部が重なる前記包装材の領域に当該包装材の内面同士をシールしてスポットシール部を形成するスポットシーラ、及び前記背貼りシール部及び前記スポットシール部の重なり領域に易開封用ノッチを形成するノッチ形成カッタとを備えることができる。この製袋充填包装方法又は装置によれば、天エンドシール部とジッパーシールとの間で包装材の内面同士をシールするスポットシール部に易開封用ノッチを形成する(装置においては、スポットシーラがスポットシール部を形成し、ノッチ形成カッタが背貼りシール部及びスポットシール部の重なり領域に易開封用ノッチを形成する)ので、スポットシール部への易開封用ノッチの形成の際に袋包装体の封鎖が破られることはない。また、スポットシール部が重なる背貼りシール部にも同時に易開封用ノッチが形成されるので、背貼りシール部とスポットシール部とが重なる四重の包装材の切り裂きによる開封をスムーズに開始することができる。更に、ジッパーは、開封の線よりも袋内側に位置しているので、開封後もジッパーによる袋の再開封・閉鎖が可能である。
上記製袋充填包装方法において、前記ウェブ状包装材の前記側縁部分同士の幅を一方が他方よりも広く形成しておき、前記側縁部分同士を合掌状にシールする際に前記幅が広い方の前記側縁部分の端縁領域を余した状態で前記背貼りシール部を形成し、前記幅が広い方の前記側縁部分を上にして前記包装材上に折り曲げている。また、上記製袋充填包装装置において、前記ウェブ状包装材の前記側縁部分同士の幅を一方が他方よりも広く形成しておき、前記側縁部分同士を合掌状にシールする際に前記幅が広い方の前記側縁部分の端縁領域を余した状態で前記背貼りシール部を形成し、前記幅が広い方の前記側縁部分を上にして前記包装材上に折り曲げている。背貼りシール部を合掌状に形成する両側縁部分の幅に差を設け、広い側の側縁部分を上にして背貼りシール部を折り曲げることにより、はみ出た広い側の側縁部分は、背貼りシール部を押し倒してエンドシール部を形成する際に、エンドシール部の表面にシールされる。したがって、包装材の内側に本来備わっているシール可能面を用いて背貼りシール部のはみ出し部分を包装袋の側端縁の外側表面にシールすることができ、しかも背貼りシール部は、少なくとも、天及び底のエンドシール部にシールされて倒れた状態が維持されるので、背貼りシール部の戻りによる起立状態を抑制することができ、袋包装体の商品価値を高めることができる。
この発明による製袋充填包装方法及び装置によれば、合掌状にシールして背貼りシール部が形成された筒状包装材は、充填筒の先端から送り出されるときに背貼りシール部が断面長軸上の略一方端を占める態様で(装置の場合にはガイド部材によって)断面略長円に変形され、更に背貼りシール部をその内側シール縁線を折り曲げ線として(装置の場合には折り曲げ手段によって)折り曲げられる。背貼りシール部が折り曲げられた状態で且つ包装袋の側端縁に沿った態様で、製品が充填された包装袋の天エンドシール部と次の包装袋の底エンドシール部が(装置の場合には横シーラユニットによって)形成される。また、ウェブ状包装材の側縁部分同士の幅を一方が他方よりも広く形成しておき、側縁部分同士を合掌状にシールする際に幅が広い方の側縁部分の端縁領域を余した状態で背貼りシール部が形成され、幅が広い方の側縁部分を上にして包装材上に折り曲げられる。更に、天エンドシール部の予定位置の袋内側最寄り位置において、折り曲げられた背貼りシール部が重なる包装材の領域に(装置の場合にはスポットシーラによって)当該包装材の内面同士をシールしてスポットシール部が形成され、背貼りシール部及びスポットシール部の重なり領域に(装置の場合にはノッチ形成によって)カッタ易開封用ノッチが形成される。 したがって、この製袋充填包装方法及び装置によれば、背貼りシール部が包装袋の側端縁に沿った位置を占め且つ折り曲げられた状態となり、背貼りシール部を押し倒してエンドシール部を形成する際に、包装材の内側に本来備わっているシール可能面を用いて背貼りシール部のはみ出し部分を包装袋の側端縁であるエンドシール部の外側表面にシールすることができ、しかも背貼りシール部は、少なくとも、天及び底のエンドシール部にシールされて倒れた状態が維持されるので、表裏の区別が実質的になく、印刷及び表示において包装袋の表面の利用性を高められ、背貼りシール部の戻りによる起立状態を抑制することができ、表面を簡素で且つ見栄えを良くして高級感を醸し出すことができ商品価値の高い袋包装体を製造することができる。また、折り曲げられた背貼りシール部と当該背貼りシール部が重なる包装材の領域にスポットシール部と易開封用ノッチとを形成しているので、当該易開封用ノッチの周囲には背貼りシール部とスポットシール部が残存しており、易開封用ノッチが形成されることによって、袋包装体の通常の扱いで袋の封鎖が破られることはない。また、易開封用ノッチは倒れた状態にある背貼りシール部にも形成されていることから、袋包装体の開封の際に、背貼りシール部とスポットシール部とで包装材が四重になっていても切り裂きが止まることがなく抵抗感なく進行させることができる。更に、開封の際に引き裂きが背貼りシール部とスポットシール部をスムーズに通過して容易に開封をすることができる袋包装体、ジッパーを取り付けて再開封・封鎖可能な袋包装体、更には背貼りシール部を合掌状に形成する両側縁部分の幅に差を設け、広い側の側縁部分を上にして背貼りシール部を折り曲げることにより、エンドシール部を形成する際に、はみ出た広い側の側縁部分をエンドシール部の表面にシールして背貼りシール部を袋表面からの戻り起きを抑制した袋包装体を、それぞれ製造する製袋充填包装方法及び装置が得られる。
図面を参照して、この発明による製袋充填包装方法及び装置の実施の形態について説明する。図1はこの発明による製袋充填包装装置の一例を示す図であって、(a)はその正面図、(b)は側面図、(c)は横断面図、図2は図1に示す製袋充填包装装置に供給されるウェブ状包装材へのジッパーの供給態様を示す平面図、図3は図1に示す製袋充填包装装置に用いられる折り曲げ手段の一例を示す図、図4は図1に示す製袋充填包装装置に用いられる折り曲げ手段の別の例を示す図、図5は図1に示す製袋充填包装装置に用いられる折り曲げ手段の更に別の例を示す図、図6は図1に示す製袋充填包装装置に用いられる横シールユニットを示し、(a)はその正面図であって(b)はその平面図、図7は図1に示す製袋充填包装装置によって製造された袋包装体の一例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のb−b断面図、(c)は(a)のc−c縦断面である。
図1において、製袋充填包装装置30は、背貼りシール部5を形成し処理する構造及びエンドシールを形成し処理する構造以外の基本的な構成は従来の製袋充填包装装置と同様のものを備えている。図1及び図2に示すように、製袋充填包装装置30に供給されるウェブ状包装材Fwにおいては、フィルム幅のうち、各側部に背貼りシール部5のための糊代幅w1,w1の側縁部分fe,feを確保した後の残るフィルム幅の半分がジッパー8の長さに等しくされている。図7(c)に示すように、ジッパー8は、凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10とが予め嵌合した状態で、包装袋のピッチ毎にウェブ状包装材Fw上にその横断方向の向きに供給される。ジッパー8は、幅広い方の凹型ジッパー骨10のうち部分S1がウェブ状包装材Fwの幅w2を持つ領域に貼着される。
背貼りシール部5については、ウェブ状包装材Fwの側縁部分の幅を一方が他方よりも広く(広い方をfe’で示す)形成しておき、側縁部分fe,fe’同士を合掌状にシールする際に幅が広い方の側縁部分fe’の端縁領域を余した、即ち、はみ出させた状態で背貼りシール部5’(図5を参照して後述する)を形成することができる。
製袋充填包装装置30は、基本的な構成として、ウェブ状包装材Fwを筒状に曲成するフォーマ31と、フォーマ31内を上方からに延びて下方に垂下し且つ外周面に筒状包装材Ftを案内走行させるとともに内部に包装物である製品を投入可能な充填筒32と、フォーマ31によって曲成された包装材の側縁部分fe,fe(図2参照)をヒートシールして背貼りシール部5を形成することにより、ウェブ状包装材Fwを筒状包装材Ftに成形する縦シーラユニット33と、フォーマ31の下方の位置で且つ充填筒32の左右両側において充填筒32の外周面に対向して配置され、当該外周面との間に筒状包装材Ftを挟み筒状包装材Ftを下方に向けて袋包装体P1のピッチに相当する長さ毎に間欠的に送り出す包装材送り機構34とを備えている。また、製袋充填包装装置30は、充填筒32の下方位置に配置されている横シーラユニット20を備えている。横シーラユニット20は、筒状包装材Ftを横方向に押し潰して底エンドシール部3を含むエンドシールを形成するエンドシーラ21及びエンドシーラ21の直下方に配置され且つエンドシーラ21と同期して作動しジッパー8の両端部8a,8bを押し潰すとともに易開封用のノッチを形成するジッパーシーラ22を有している。なお、エンドシーラ21は、筒状包装材Ftから袋包装体P1を切断して切り離すカッタ21aを備えている。
縦シーラユニット33は、この例では、充填筒32の正面外方に配置されていて、左右から挟み込むように包装材の側縁部分fe,fe同士をヒートシールする一対の縦ヒートシールバー33a,33bの構造を有している。したがって、この例では、背貼りシール部5は合掌状のシール部として形成される。縦シーラユニット33は、後述するように、合掌状に合わせた側縁部分fe,feを折り曲げてから1本のヒートシールバーによってヒートシールすることにより、封筒貼りの背貼りシール部を形成する場合に似せて、合掌状の背貼りシール部5を形成することもできる。
包装材送り機構34は、充填筒32の周りにおいて、縦シーラユニット33が配置される周方向位置に対して両側に直角方向に隔置し、充填筒32を直径方向に挟む位置にて配置された一対のベルト搬送機構34a,34bである。ベルト搬送機構34a,34bは、下側に置かれた駆動プーリ35と、上側に置かれた従動プーリ36と、両プーリ35,36に巻き掛けられ且つ多数の孔が開けられた吸引ベルト37と、巻き掛け空間内に配置されており吸引ベルト37を通して筒状包装材Ftを吸引するバキューム箱38を備えており、それ自体公知のものであってよい。
横シーラユニット20においては、二つの横ヒートシールバー20a,20bはそれぞれ、従来のピロー包装の場合と比較して周方向に90度回転した位置に配置されている。この配置によって、横シーラユニット20が作動して筒状包装材Ftを押し潰すときに、背貼りシール部5は包装袋1の一方の側端縁に寄った位置にもたらされる。背貼りシール部5を包装袋1の一方の側端縁に確実に寄せるために、充填筒32の下端には、充填筒の先端から送り出される筒状包装材Ftを案内するガイド部材としてのガイド棒39,39が、末広がりのように傾斜して取り付けられている。ガイド棒39,39は、筒状包装材Ftを、背貼りシール部5が断面長軸上の略一方端を占める態様となるように、断面略長円に変形しつつ案内する(図1(c)における想像線で示される長円包装材Ft’を参照)。図1に示す製袋充填包装装置30においては、背貼りシール部5を折り曲げるために、後述する図4に示す折り曲げ手段40を採用しており、その概略が図示されている。
図3には、縦シーラユニット33cが、背貼りシール部の折り曲げ手段を兼用している例が示されている。図1(c)と共通する構成要素には同じ符号を付して再度の説明を省略する。縦シーラユニット33cは折り曲げ手段を兼用しており、筒状包装材Ftの両側縁部分fe,feを合掌状に重ねた状態にしつつ、両側縁部分fe,fe同士をシールして背貼りシール部5を形成する。同時に背貼りシール部5を折り曲げている。この場合、縦シーラユニット33cは、正面側から接離する方向に作動される一本の縦ヒートシールバー33cから成っており、充填筒32の縦シーラユニット33cが対向する部分には、裏当て部32aが形成されている。縦シーラユニット33cが裏当て部32aに向かって、図示矢印の方向に進退する動作をするすることにより、両側縁部分fe,fe同士はシールされて背貼りシール部5が形成される。縦シーラユニット33cが両側縁部分fe,feをシールする直前に、両側縁部分fe,feを補助的に折り曲げておくことが好ましい。この補助的な折り曲げ手段としては、後述する図5に示す手段を、縦シーラユニット33cと同期して作動させるなどして援用することができる。
図4には、背貼りシール部5を折り曲げるための折り曲げ手段の別の例が示されている。図4に示す折り曲げ手段40は、一対のガイド部材39,39のうち、縦シーラユニット33が配置される側のガイド部材39に関連して配設されており、背貼りシール部5に係合して捩じる態様で折り曲げる折り曲げ部材である。折り曲げ手段40は実質的にガイド部材39の長手方向に沿って延びており、螺旋状のガイド面41を備えている。筒状包装材Ftは、ガイド部材39が背貼りシール部5の内側のシール縁部に当接して張られた状態にある。折り曲げ手段40は、そのような状況にある筒状包装材Ftに対して背貼りシール部5の外側側方から係合し、ガイド部材39が線状に当接する内側シール縁線を折り曲げ線5a(図7(a)(b)参照)として、背貼りシール部5をガイド面41によって折り曲げる。背貼りシール部5は、筒状包装材Ftが走行する際にガイド部材39の下方に向かうに従って略180°の範囲に捩じられて、筒状包装材Ft上に重ねられる。折り曲げ手段40は、ガイド部材39の先端位置を越えて更に下方に延びてもよく、この場合、折り曲げた背貼りシール部5の復元力による戻りを防止しつつ、筒状包装材Ftを横シールユニット20(図1)へ送ることができる。
図5(a)には、背貼りシール部5を折り曲げるための折り曲げ手段の更に別の例が示されている。図5(a)に示す折り曲げ手段50は、横シールユニット20の上流に適用されており、合掌状の背貼りシール部5に対して押し倒す作用を及ぼす折り曲げ板51によって構成されている。折り曲げ板51の背貼りシール部5に向かう一面は、螺旋状のガイド面52に形成されており、ガイド面52は、筒状包装材Ftに対して背貼りシール部5の側方から係合し、内側シール縁線を折り曲げ線5a(図7(a)(b)参照)として背貼りシール部5を略90°の角度で捩じって折り曲げ、筒状包装材Ft上に重ねる。この例では、図4に示す例とは異なり、背貼りシール部5の折り曲げ線5aは、筒状包装材Ftが横シールユニット20でヒートシールが形成される際に、包装袋1の側端縁1aから背貼りシール部5の幅(糊代幅w1に相当)だけ内側に寄った位置に置かれる。この配置は、ガイド部材39,39の充填筒32への取付け位置を調整することによって、製袋充填包装装置30の基本的な構成を変更することなく得ることができる。背貼りシール部5を折り曲げたとき、背貼りシール部5の端縁5bは、結果的に包装袋1の一方の側端縁1aと実質的に一致させることができる。なお、折り曲げ板51が押し当たるときに筒状包装材Ftが撓むことを考慮して、もう一つの折り曲げ板51で筒状包装材Ftを挟むことで、その撓みを互いに打ち消し合わせることができる。また、背貼りシール部5の位置については、図4に示す例と同様の位置に置くこともできる。その場合、折り曲げ板51は、扁平な筒状包装材の側端部に位置している背貼りシール部5を略180°に捩じって折り曲げることになる。
背貼りシール部5については、図5(b)に示すように、側縁部分fe,fe’同士を合掌状にシールする際に幅が広い方の側縁部分fe’の端縁領域を余した状態で背貼りシール部5’(図5を参照して後述する)を形成することができる。この場合、背貼りシール部5は、幅が広い方の側縁部分fe’を上にして筒状包装材Ft上に折り曲げられる。製袋充填包装装置においては、ウェブ状包装材Fwをフォーマ31によって筒状に曲成する際に、幅を一方が他方よりも広く形成して側縁部分fe,fe’としておき、側縁部分fe,fe’同士を合掌状にシールする際に幅が広い方の側縁部分fe’の端縁領域を余した状態で背貼りシール部5’が形成される。広い側の側縁部分fe’を上にして背貼りシール部5’を折り曲げることにより、天及び底のエンドシール部3,4を形成するときに、背貼りシール部5’は側縁部分fe’のはみ出た領域でエンドシール部の表面にシールされる。したがって、背貼りシール部5’は、少なくともエンドシール部3,4に対して倒れた状態が維持されるので、背貼りシール部5’の起立戻りが抑制されて袋包装体の商品価値を高めることができる。
ここで、この発明による製袋充填包装方法又は装置によって製造される袋包装体の一例を、図7を参照して説明する。図7(a)に示すように、包装袋1は、筒状に成形されている胴部2と、胴部2の下側端部でヒートシールされて袋底を形成している地エンドシール部3と、胴部2の上側端部でヒートシールされて袋上端を形成している天エンドシール部4とを有する平袋として形成されており、袋包装体P1は包装袋内に製品Aが収容された包装体である。袋包装材を筒状に形成する背貼りシール部5は、包装材の互いの側縁部分5c,5dをヒートシールしたシール部として形成されている。背貼りシール部5は、包装袋1の一方の側端縁1aに沿って位置しており、図7(b)に示すように、折り返されて包装袋1の一方の表面に重ねられている。背貼りシール部5は、図示の例では、互いの側縁部分5c,5dの内側面同士を合掌状にシールすることで形成されており、背貼りシール部5の端縁5bは、包装袋1の側端縁1aから背貼りシール部5の糊代だけ離れて位置している。包装袋1は、背貼りシール部5によって筒状に形成された胴部2の上下の各端部を、地エンドシール部3及び天エンドシール部4によってシールすることによって、密封形成されている。
包装袋1には、背貼りシール部5が寄せられている側の側端縁1aで、且つ包装袋1の天エンドシール部4に最寄りの位置において、包装袋1を切り裂いて袋包装体P1を開封するための開封ノッチ6が形成されている。開封ノッチ6から引き裂きを開始して、天エンドシール部4の内側で且つ天エンドシール部4に沿って包装袋1を引き裂くために、包装材としては、少なくとも引き裂き方向(包装袋1の横方向)に延伸した包装フィルムを用いることができる。開封ノッチ6を形成する前又は同時に開封ノッチ6が形成される予定の領域を含む包装材の内面同士をシールしてスポットシール部7を形成し、開封ノッチ6の周囲にスポットシール部7が残るようにすることで、開封ノッチ6を形成しても袋包装体Pの密封が損なわれるのを回避することができる。また、開封ノッチ6の延長上の包装材には、引き裂きを天エンドシール部4よりも内側で切り裂いて案内する弱化線6aを形成しておくことで、引き裂き線が意図しない方向に進むことがなく真っ直ぐな開封ラインとなるように誘導することが好ましい。弱化線6aに代えて、ユーザに引き裂き方向を案内する指示線を印刷等で示しておくこともできる。開封ノッチ6から包装袋1を引き裂くことによって、袋包装体P1を開封し、製品Aにアクセスすることができる。開封ノッチ6は、図示の例では外側からV形に切り込まれた、所謂、Vノッチであるが、その他にも、Iノッチやその他、引き裂き方向を誘導する形状とすることができる。
開封した袋包装体P1の開口部を繰り返して閉鎖可能にするために、天エンドシール部4の近傍、即ち、開封ノッチ6で切り裂き予定位置よりも更に袋中央寄りの位置に、再開封・再閉鎖可能なジッパー8が設けられている。ジッパー8は、図7(c)に示す断面図に最も良く示すように、包装袋1の内面側において、一側にシールによって貼着されている凸型ジッパー骨9と、凸型ジッパー骨9に対応して他側にシールによって貼着されている凸型ジッパー骨10とから構成されている。凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10とを嵌合させることで、開いていた開口部が再閉鎖可能となる。凹型ジッパー骨10は、凸型ジッパー骨9よりも幅広く形成されている。なお、ジッパー8の包装材への貼付けは、予め、凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10とを嵌合させた状態のジッパー8を、幅広い方の凹型ジッパー骨10の延長部分S1において包装材に貼着する状態で取り付けることで包装材に位置決めしておき、包装袋1の製造時にジッパーシールにて、凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10との残る部分S2,S3をそれぞれ対応する包装材の内面にヒートシールによって貼着させることができる。ジッパー8の両端部は、ジッパー潰しシール26a,26bを形成することができる。
ジッパーシールにおいては、ジッパー8の両端部を嵌合状態で潰して潰しシール26a,26bとされる。ジッパー8を端部まで開くことができるようにしておくと、開いたときに包装袋1の両側端縁が損傷を受けやすくなり、最悪の場合、包装袋が破れる虞がある。ジッパー8の両端部に対応して潰しシール26a,26bを設けることにより、ジッパー8を開くとき、ジッパー潰しシール26a,26bでは、凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10とを分離させることができないので、そうした包装袋の損傷を未然に防止することができる。また、スポットシール部7とジッパー潰しシール26a,26bとは連続して形成することができる。
次に、上記した袋包装体P1を製造するための製袋充填包装装置30の横シーラユニット20について、図6を参照して説明する。図6は、この発明において、袋包装体の天エンドシールとジッパーシールとを行う横シーラユニットを示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のジッパーに対応する部分における横断面図である。図6に示すように、横シーラユニット20は、包装袋1や袋包装体Pを連続的に製造する装置に組み込まれるユニットであって、包装袋1のエンドシールを形成するためのエンドシーラ21とジッパー8に対応したジッパーシーラ22とを備えている。横シーラユニット20は、背貼りシール部5(5’)が包装袋1の一方の側端縁1aに沿った態様で先行して製造され且つ製品が充填された包装袋の天エンドシール部4と後続の包装袋の底エンドシール部3(図7参照)とを形成する。
横シーラユニット20のエンドシーラ21は、包装袋の開口部をシールする従来のヒートシーラと同等の構造であって、互いに対向配置されたヒートシールバーから成る構造であり、対向配置されたヒートシールバー間に包装材を挟む態様で使用される。エンドシーラ21は、包装袋1の天エンドシール部4と、袋包装体P1(包装袋1)に連続する次の包装袋1aの地エンドシール3とを同時に形成する構造であってよい。この場合、天エンドシール部4と地エンドシール3とをそれぞれ形成するヒートシールバーの間に、先行して製造された袋包装体P1(包装袋1)と後続の筒状包装材Ftとを切断するカッタ21aを進退可能に組み込み、相手側にはカッタの進入を許容する溝を形成しておくことができる。カッタ21aは、ヒートシールバーで包装材を挟んでヒートシールを行っている間に、袋包装体P1(包装袋1)を後続の筒状包装材Ftから切断・分離する。また、横シーラユニット20は、二つのユニット片が対向配置される構造となっており、作動機構については図示しないが、駆動源の定常回転運動を往復運動に変換する変換機構を備え、ガイドによって互いに対向し.接近・離隔し得るように作動される。更に、エンドシーラ21とジッパーシーラ22とは、一体的な構造として同時に作動させることも可能である。袋包装体P1は、平袋の形態を有している。
ジッパーシーラ22は、ジッパー8を包装材にヒートシールするジッパーシーラ本体部22aと、ジッパーシーラ本体部22aから一端側においてエンドシーラ21に向かって一体的に延びるノッチ形成部22bとを備えている。ジッパーシーラ本体部22aは、幅狭い方の凸型ジッパー骨9と、幅広い方の凹型ジッパー骨10のうち予め包装材に貼着される部分S1以外の残り部分S2,S3を包装材の内側にヒートシールする部分である。ジッパーシーラ本体部22aの両端部分は、当該両端部分間においてジッパー8の殆どに当接する中間部分24,24よりも幾分***した***面23a,23aを持つ潰しシーラ23,23である。潰しシーラ23,23は、互いに接近する作動時に、予め凹凸嵌合しているジッパー8の両端部8a,8bを包装材の内面にヒートシールすると共に両端部8a,8bを潰す働きをする。包装袋1を開くときに、ジッパー8が長手方向中央から開き始めて両端8a,8bまで開くと、両端8a,8bに対応する包装袋1の端縁部分に大きな力が作用して破損し易くなるが、ジッパー8の両端部8a,8bを潰すことによってジッパー8の開き時にその両端8a,8bまで開くことが阻止されるので、包装袋1の耐久性を向上させることができる。ジッパーシーラ本体部22aのうち、両端部分23,23以外の中間部分24では、ジッパー8を包装材の内面にヒートシールする。
ノッチ形成部22bは、天エンドシール4とジッパー8との間における背貼りシール部5において側方からVノッチ6を形成するためのものである。一方のヒートシールバーにはVノッチ6に対応した切断刃25が形成されており、相手側のヒートシールバーには切断刃25が入り込む溝又はスリット(図示せず)が形成されている。ジッパーシーラ22は、ジッパーシーラ本体部22aとノッチ形成部22bとが一体に構成されているので、同時に作動し、ジッパー8の潰しとVノッチ6が予定される領域を含むスポットシール部7及びVノッチ6の形成が一度に行われる。背貼りシール部5は、包装袋1の胴体2のうち背貼りシール部5と重なる部分に重ねシールが施されているので、Vノッチ6は重ねシールの部分に形成されることになり、包装袋1の密封を毀損することにならない。
以上、袋包装体の製造方法及び製造装置について説明してきたが、包装袋とその製造においては、製品Aを充填することなく実行すればよい。この場合、天エンドシール部又は底エンドシール部のいずれか一方は未シール状態とされ、製品Aの充填後にシール可能とされる。製造装置におけるエンドシーラ21においては、一方のシーラ部分は非作動とすることができる。