概要
1つの側面において、本発明は、対象におけるβ−カテニン遺伝子(CTNNBl)関連癌または新生物発生前の損傷を診断し、予測し、あるいは予後的にまたは治療的に評価する方法を提供する。CTNNB1関連癌は、CTNNB1発現自体に関連するものならびにCTNNB1を含む情報伝達系に関連する他の遺伝子の発現に関連するものを含む。かかる方法は、対象からの細胞または細胞群におけるCTNNB1関連癌と関係がある転写物またはタンパク質または新生物発生前の損傷の1つまたは2つ以上の比率、レベル、または細胞局在を決定すること;かかる転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞局在を、かかる転写物またはタンパク質の標準的な比率、レベル、または細胞局在と比較すること;および対象からの細胞におけるかかる転写物またはタンパク質の変調した比率、レベル、または細胞局在を関連付けて、対象に対する予後の、診断のおよび/または治療的な重大性を有するかもしれない情報を提供すること、を含む。
CTNNB1関連癌と関係がある転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞局在は、16A転写物の16B転写物に対する比率、cMYC転写物のWAF1転写物に対する比率、16A転写物のレベル、16B転写物のレベル、cMYC転写物のレベル、WAF1転写物のレベル、cMYCタンパク質のWAF1タンパク質に対する比率、CTNNB1タンパク質の16A、16B、cMYCまたはWAF1転写物の1つまたは2つ以上に対する比率、cMYCタンパク質のレベル、WAF1タンパク質のレベル、転写物の活性全体のレベル、またはCTNNB1タンパク質の細胞局在を含んでもよい。
1つの好ましい態様において、本発明は、組織学上正常に見える食道扁平上皮細胞、扁平上皮異形成、および浸潤性ESCC細胞に存在する、2つのCTNNB1転写物、16Aおよび16Bを用いた診断の、予後の、モニタリングのおよびスクリーニングのツールとして用いてもよい。
1つの態様によると、16B転写物に対する16A転写物の比率における低下により、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷を有するか、または進展しつつある癌に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す。関連する態様によると、WAF1転写物に対するcMYC転写物の比率における増加により、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇しつつあるリスクにある可能性があることを示す。
もう1つの関連する態様によると、16A転写物のレベルにおける低下またはWAF1転写物における低下により、対象がCTNNB1関連癌を有するか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対するリスクが上昇しつつある可能性があることを示す。
さらなるもう1つの関連する態様によると、16B転写物、cMYC転写物のレベルまたは全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上における上昇は、対象がCTNNB1関連癌を有するか、癌または新生物発生前の疾患の上昇したリスクにあることを示す。
1つの態様によると、CTNNB1関連転写物またはタンパク質の標準的比率、レベル、または細胞局在は、参照細胞または細胞群における同様のCTNNB1関連転写物またはタンパク質の対応する比率、レベル、または細胞局在である。
1つの態様において、参照細胞は、以下のものの1つまたは2つ以上である:
対象からの細胞、培養細胞、対象からの培養細胞、または処置前の対象からの細胞。
他の1つの側面において、本発明は、CTNNB1関連の癌、または新生物発生前の疾患を有する、またはCTNNB1関連の癌または新生物発生前の疾患に対する上昇したリスクにある対象が、処置または臨床的介入に対する好都合な臨床反応を呈しうるかどうかを見極める方法を提起する。かかる方法は、癌細胞または対象からの代用細胞(surrogate cell)における上記のCTNNB1関連癌転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞の1つまたは2つ以上を決定すること;転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞局在を、転写物またはタンパク質の標準的な比率、レベル、または細胞局在と比較すること;および癌細胞または代用細胞における転写物またはタンパク質の変調した比率、レベル、または細胞局在を関連付けて対象が処置または関連する臨床的介入に対して好都合な臨床反応を有しそうであるかどうかを決定する。
ある態様によると、かかる処置は、例えば、外科手術、局所治療(例えば、粘膜切除術、アルゴンプラズマ凝固、凍結療法)、セレン強化(selenium fortification)、化学放射線療法、フルオロウラシル(5-FU)、シスプラチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、デプシペプチド類、フラボピリドール、メルファラン、およびデシタビンを含むが限定をしない化学療法である。
1つの側面に扁平上皮内癌、浸潤性食道扁平上皮癌、またはいかなる組織学的または細胞学的中間段階の1つまたは2つ以上であってよい。
1つの態様において、癌または新生物発生前の疾患は、食道の扁平上皮癌、胃腸のまたは食道の腺癌、胃腸のまたは食道の異形成、胃腸のまたは食道の化生、バレット腸組織、組織学的な正常を呈する食道の扁平粘膜、頸部、肺、頭部、および首の新生組織形成および新生組織形成前駆損傷の1つまたは2つ以上である。
1つの態様において、16A転写物の16B転写物に対する比率における疾患により、対象が癌、新生物発生前の損傷を有すること、または進展しつつある癌に対する上昇するリスクにあるということを示す。関連する態様において、cMYC転写物のWAF1転写物に対する比率の上昇により、対象が癌、新生物発生前の損傷を有するか、進展しつつある癌または新生物発生前の疾患の上昇するリスクにあるということを示す。他の1つの関連する態様において、16A転写物またはWAF1転写物のレベルにおける低下により、対象が癌を有するか進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇したリスクにある可能性があることを示す。さらに他の1つの関連する態様において、16B転写物、cMYC転写物のレベルまたは全体の全体の転写活性レベルの1つまたは2つ以上における上昇により、対象が癌を有するかもしれないか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患の上昇したリスクにある可能性があることを示す。
他の1つの側面によると、CTNNB1関連向けの治療に反応する腫瘍を同定する方法が存在する。かかる方法は、腫瘍細胞サンプルを得ること;腫瘍細胞サンプルにおける上記の比率、レベル、または免疫学的局在決定の1つまたは2つ以上を決定すること;腫瘍細胞サンプルにおける比率、レベル、または細胞局在を、潜在的CTNNB1関連癌処置での処置後の標準的比率、レベルまたは細胞局在に対して比較すること;および、処置後のサンプルにおける比率、レベル、または活性を潜在性CTNNB1関連癌治療と関連付け、癌がCTNNB1関連癌治療での治療に対して好都合な臨床的な反応を有しそうかどうかを決定する、ことを含む。
1つの態様において、β−カテニン遺伝子(CTNNB1)関連の癌は、食道の扁平上皮癌、胃腸のまたは食道の腺癌、胃腸のまたは食道の異形成、胃腸の食道の化生、バレット腸組織、組織学的に正常に見える食道の扁平粘膜における前癌状態、頸部、肺、頭部、および首の新生組織形成および新生組織形成前駆損傷の1つまたは2つ以上である。
1つの態様において、16A転写物の16B転写物に対する比率の低下により、腫瘍がCTNNB1関連治療に反応しているかもしれないということを示す。関連する態様において、cMYC転写物のWAF1転写物に対する比率における増加により、腫瘍がCTNNB1関連治療に反応しているかもしれないということを示す。他の1つの関連する態様において、16A転写物のまたはWAF1転写物のレベルの低下により、腫瘍がCTNNB1関連治療に反応しているかもしれないということを示す。さらに他の1つの関連する態様において、16B転写物、cMYC転写物のレベルまたは全体の転写活性レベルの1つまたは2つ以上における増加により、腫瘍がCTNNB1関連治療に反応しているかも知れないということを示す。
他の1つの側面によると、本発明は、直接的にまたは間接的にCTNNB1を標的とする分子または組成物で処理するための、癌、前新生組織形成での、または上昇する癌リスクにおける、対象を選択する方法を提供する。かかる方法は、対象からの癌細胞における上記の比率、レベル、細胞局在の1つまたは2つ以上の処置前のレベルを決定すること;対象にCTNNB1治療的に有効量のCTNNB1関連癌処置を施すこと;およびCTNNB1関連癌処置での処置の最初の期間の後の腫瘍または標的組織における比率、レベル、細胞局在、または活性の1つまたは2つ以上の処置後のレベルを決定すること、を含むものであって、CTNNB1関連癌処置での処置後の癌細胞または標的細胞における比率、レベル、細胞局在または活性における変調は、損傷/疾患がCTNNB1関連癌処置での処置に対して好都合な臨床反応を有しそうであるということを示すことである。
1つの態様において、処置の開始時期は、CTNNB1関連癌処置の安定状態の血漿または細胞濃度を達成するために必要な時間である。
1つの態様において、16A転写物の16B転写物に対する比率における低下により、対象が好都合にCTNNB1関連癌処置に反応しているかもしれないということを示す。関連する態様において、cMYC転写物のWAF1転写物に対する比率における増加により、対象が好都合にCTNNB1関連癌処置に反応しているかもしれないということを示す。他の1つの関連する態様において、16A転写物またはWAF1転写物のレベルにおける低下により、対象がCTNNB1関連癌処置に好都合に反応しているかもしれないということを示す。さらに他の1つの関連する態様において、1つまたは2つ以上の16B転写物、cMYC転写物、または全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上における増加により、対象がCTNNB1関連癌処置に好都合に反応しているかもしれないということを示す。
1つの態様において、かかる方法は、さらに、CTNNB1関連転写物(類)またはタンパク質(類)の処置前のまたは処置後の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上を、CTNNB1関連転写物またはタンパク質の標準比率、レベル、または細胞局在に対して比較することを含む。
他の1つの側面において、本発明はCTNNB1関連癌で処置する方法を含む。かかる方法は、対象からの癌細胞における、上記の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上の処置前のレベルを決定すること、およびかかる比率、レベル、または細胞曲事の1つまたは2つ以上がCTNNB1関連癌処置での処置が効果があろうということを示す場合、CTNNB1治療の有効量のCTNNB1関連癌処置を施すということを含む。
1つの態様において、処置の開始時期は、CTNNB1関連癌処置の安定状態血漿又は細胞濃度を達成するために必要な時間である。
他の1つの態様において、かかる方法は、さらに、追加的なCTNNB1治療剤(抗癌剤、化学発癌抑制剤、抗炎症剤)の投与または処置様式(例えば、食道切除術、粘膜切除術、放射線治療)を含む。
1つの側面において、CTNNB1向けの治療で処置する対象の進行をモニタリングする方法を提供し、かかる方法は、対象からの癌細胞における上記の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上の処置前のレベルを決定すること;対象にCTNNB1治療的有効量のCTNNB1関連癌処置を施すこと;および、CTNNB1関連癌処置での処置の開始時期後の腫瘍における比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上のレベルを決定することを含み、CTNNB1関連癌処置の施行に続く癌細胞における比率、レベル、細胞局在および活性の変調は、癌処置が効果のあるものであるということを示すことである。
1つの態様において、かかる方法は、さらに、第2のCTNNB1治療有効量のCTNNB1関連癌処置を対象に施すこと;およびCTNNB1関連癌処置での処置の第2の期間後の比率、レベル、または細胞局在のレベルを決定することを含む。
他の1つの側面は、対象におけるCTNNB1向けの治療に対する反応を決定するためのキットを提供し、癌細胞における以下の1つまたは2つ以上を決定する少なくとも1つの試薬を含む:16A転写物の16B転写物に対する比率、cMYC転写物のWAF1転写物に対する比率、16A転写物のレベル、16B転写物のレベル、cMYC転写物のレベル、WAF1転写物のレベル、cMYCタンパク質のWAF1タンパク質に対する比率、CTNNB1タンパク質の16A、16B、cMYCまたはWAF1転写物に対する比率、cMYCタンパク質のレベル、WAF1タンパク質のレベル、全体の転写活性のレベル、またはCTNNB1タンパク質の細胞局在。
1つの態様において、かかる試薬はプライマー、ポリメラーゼ、抗体、緩衝液、または標識の1つまたは2つ以上から選択される。
他の1つの側面は、上記の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上を決定し、そしてかかる比率、レベル、または活性を標準比率、レベル、または活性と比較するための、内部に説明書を有する、CTNNB1関連癌処置化合物または組成物および標識またはパッケージを含む容器を含む組成物であって、癌細胞における変調した比率、レベル、または活性が標準の比率、レベル、または細胞局在に相対すると見出される場合は、CTNNB1関連癌処置化合物を対象に投与する。
他の1つの側面において、CTNNB1関連癌治療法を同定する方法は、試験組成物で癌細胞を処置すること;癌細胞における上記の比率、レベルまたは細胞局在の1つまたは2つ以上を決定すること;かかる比率、レベル、または細胞局在を標準の比率、レベル、または細胞局在と比較すること;および癌細胞における変調した比率、レベル、また細胞局在を関連付けし、試験組成物が臨床的効果を有しそうであるかどうかを決定する、ことを含む。本出願の目的に対して、臨床的効果は、臨床設定において測定される効果および/またはさらなる臨床調査のための候補化合物を同定するR&D効果の関連で測定される効果を言及するために用いられる。
1つの態様において、16A転写物の16B転写物に対する比率における上昇により、試験組成物が臨床的効果を有しそうであることを示す。関連する態様において、cMYC転写物のWAF1転写物に対する比率における低下により、試験組成物が臨床的効果を有しそうであることを示す。他の1つの関連する態様において、16A転写物またはWAG1転写物のレベルにおける上昇により、試験組成物が臨床的効果を有しそうであることを示す。さらに他の1つの関連する態様において、16B転写物、cMYC転写物のレベル、または全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上における低下は、試験組成物が臨床的効果を有しそうであることを示す。
1つの側面において、本発明は対象においてβ−カテニン遺伝子(CTNNB1)関連の癌の存在を診断するまたは予測する方法を提供する。かかる方法は、対象からn細胞または細胞群におけるCTNNB1関連転写物の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上を決定すること;CTNNB1関連転写物の比率、レベル、または細胞局在を標準の比率、レベル、または細胞局在と比較すること;対象からの細胞における変調した比率、レベル、または細胞局在を関連付けて癌がCTNNB1関連癌であろうという決定をすること;およびかかる細胞の病理学的ステージを組織学的に決定すること、を含む。
1つの側面において、本発明はβ−カテニン遺伝子(CTNNB1)関連疾患に罹患するか敏感である対象を処置する方法を提供し、その必要がある対象にRNAi誘導実体を施すことを含む。
1つの態様において、RNAi誘導実体は、RNAi構築である。
他の1つの態様において、実体を誘導する誘導するRNAiは低分子干渉RNA(siRNA)であり、かかるsiRNAは19〜39塩基対長である。関連する態様において、かかるRNAi構築は、処置細胞においてsiRNAを精製する1つまたは2つ以上の転写生成物を精製するために転写されるコード配列を有する発現ベクターである。他の1つの関連する態様において、かかるRNAi構築は、処置細胞においてsiRNAを産生するヘパリンRNAであり、かかるRNAi構築はβ−カテニン遺伝子(CTNNB1)から選択される1つまたは2つ以上の標的遺伝子を減衰させる。
ある態様によると、かかるRNAi構築は遺伝子の発現を減衰し、結果として増殖の低減が起こる。
1つの態様において、RNAi構築は、処置する細胞においてsiRNAを産生する1つまたは2つ以上の転写産物を産生するために転写するコード配列を有する発現ベクターである。
本発明の方法は、さらに、付加的な治療剤を対象に投与することを含んでもよい。
1つの態様において、かかるsiRNAは、以下の1つまたは2つ以上に対応する配列を有する。
TATGGGAACAATTGAAGTAAA(16A−1)(配列番号1)、
CAGAAAGTGCCTGACACACTA(16A−2)(配列番号2)、
CTCGGGATGTTCACAACCGAA(16A+16B−1)(配列番号3)、
ATGGGTAGGGTAAATCAGTAA(16A+16B−2)(配列番号4)
あるいは配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号4のいずれかの断片または変異体
関連する態様において、かかるsiRNAは、配列番号5で同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体に少なくとも80%同一である。他の1つの関連する態様において、かかるsiRNAは、配列番号5で同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体に少なくとも90%同一である。さらに関連する態様において、かかるsiRNAは配列番号5で同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体に少なくとも約99.9%同一である。
1つの側面において、本発明は、CTNNB1核酸配列の少なくとも1つの部位を含む、二本鎖RNAを含む化合物を、対象に投与することを含む、β−カテニン遺伝子(CTNNB1)関連癌に罹患するか敏感である対象を処置する方法を提供し、かかる投与はかかる対象におけるCTNNB1関連癌を処置するためにまたは防ぐために充足する。
1つの態様において、かかる二本鎖RNAを19〜25ヌクレオチド長の低分子干渉RNA(siRNA)へと処理する。
他の1つの側面において、本発明は、対象に一本鎖低分子干渉RAN分子(ss−siRNA)を投与することを含む、β−カテニン遺伝子(CTNNB1)関連の癌に罹患するか敏感である対象を処置する方法を提供し、かかるss−siRNA分子の配列は標的特異的なRNA干渉(RNAi)を対象とする標的mRNA配列に対して十分に相補的であり、5’ヌクレオチドは、5’リン酸化されているか、あるいはin situまたはin vivoにおいて5’リン酸化されることが可能であり、かかるss−siRNAを標的mRNAの分解を起こすために十分な量で投与し、それにより有機体における標的特異的なRNAiを活性化する。
1つの態様において、かかる標的配列はCTNNB1である。
他の1つの態様において、標的mRNAの分解は、標的mRNAによって特定されるタンパク質が少なくとも10%低下するようになされる。
1つの態様によると、かかるsiRNAは19〜30塩基対長である。
他の1つの態様において、かかるsiRNAはβ−カテニン遺伝子(CTNNB1)から選択される1つまたは2つ以上の標的遺伝子を減衰させる。
1つの態様において、かかるss−siRNAを吸入または経鼻腔的に投与する。
1つの側面において、本発明は、対象に投与するために処方され、β−カテニン遺伝子(CTNNB1)から選択された1つまたは2つ以上の標的遺伝子を減衰させるに作動的な、1つまたは2つ以上のRNAi構築を含む組成物を提供する。
1つの態様において、かかる組成物をアエロゾルで投与する。1つの関連する態様において、かかる組成物を静脈内に投与し、かかる組成物を、対象の細胞への送達を増強する送達増強成分を含む送達剤中に処方する。
他の1つの関連する態様において、かかる送達増強成分は、対象の細胞が発現する分子に特異的に結合する、抗体、抗体断片、またはリガンドを含む。
1つの態様において、かかるRNAi構築は19〜30塩基対長である。
ある態様によると、かかるRNAi構築は、処置する細胞においてsiRNAを産生する、1つまたは2つ以上の転写産物を産生するために転写するコード配列を有する、発現ベクターである。
1つの態様において、かかるRNAi構築は、処置する細胞においてsiRNAへと処理される、ヘパリンRNAである。
他の1つの態様において、かかるRNAi構築を、多次元高分子網目を含む超分子複合体として処方する。
特有の態様において、かかるRNAi構築を、リポソームとともにカプセル化する、または接着させる。
1つの態様において、かかるリポソームは、カチオン性ベシクル形成の脂質から形成されるカチオン性リポソームである。関連する態様において、かかるリポソームは、200nmより小さい平均直径を有する。
1つの態様によると、対象は哺乳類、例えばヒト、霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、またはウマである。
1つの態様において、RNAi構築は、処置する細胞においてsiRNAを産生する、1つまたは2つ以上の転写産物を産生するように転写するコード配列を有する、発現ベクターである。
他の1つの態様において、かかるRNAi構築は、処置する細胞においてsiRNAへと処理されるヘパリンRNAである。
さらに他の1つの態様において、かかるRNAi構築の少なくとも一部位は、以下の1つまたは2つ以上に対応する配列を有する。
TATGGGAACAATTGAAGTAAA(16A−1)(配列番号1)、
CAGAAAGTGCCTGACACACTA(16A−2)(配列番号2)、
CTCGGGATGTTCACAACCGAA(16A+16B−1)(配列番号3)、
ATGGGTAGGGTAAATCAGTAA(16A+16B−2)(配列番号4)
あるいは配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号4のいずれかの断片または変異体
関連する態様において、RNAi構築の少なくとも一部位は、配列番号5により同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体と、少なくとも約80%同一である。他の1つの関連する態様において、RNAi構築の少なくとも一部位は、配列番号5により同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体と、少なくとも約90%同一である。さらに他の1つの関連する態様において、RNAi構築の少なくとも一部位は、配列番号5により同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体と、少なくとも約99.9%同一である。
1つの態様において、かかるRNAi構築は、配列番号5あるいはその断片または変異体の1つまたは2つ以上に対応する配列を有する。関連する態様において、かかるRNAi構築は、配列番号5により同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体と少なくとも約80%同一である。他の1つの関連する態様において、かかるRNAi構築は、配列番号5により同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体と少なくとも約90%同一である。さらに他の1つの関連する態様において、かかるRNAi構築は、配列番号5により同定されるヌクレオチド配列あるいはその断片または変異体と少なくとも約99.9%同一である。
1つの側面によると、本記載に定めるところによる、薬学組成物は、CTNNB1 siRNA構築および薬学的に受容可能な搬送体を含み、
かかる構築は、CTNNB1遺伝子の少なくとも一部分に相補的な配列を有し、
かかる構築は、CTNNB1 mRNAにアンチセンスなオリゴヌクレオチドである。
1つの側面によると、本記載に定めるところによる、対象におけるCTNNB1関連の疾患を処置するキットは、RNAi構築および取扱説明書を含む。
1つの側面によると、本発明はまた、以下のものを含む、対象を処置する方法を含む:
(a)対象からの癌細胞における、以下の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上の処置前のレベルを決定すること:
(i)16B転写物に対する、16A転写物の比率、
(ii)WAF1転写物に対する、cMYC転写物の比率、
(iii)16A転写物のレベル、
(iv)16B転写物のレベル、
(v)cMYC転写物のレベル、
(vi)WAF1転写物のレベル、
(vii)WAF1タンパク質に対する、cMYCタンパク質の比率、
(viii)16A、16B、cMYCまたはWAF1転写物のレベルに対する、CTNNB1タンパク質の比率、
(ix)cMYCタンパク質のレベル、
(x)WAF1タンパク質のレベル、
(xi)全体の転写活性のレベル、または
(xii)CTNNB1タンパク質の細胞局在;および
(b)対象に治療的有効量のCTNNB1関連RNAiを投与することであり、段階(a)(i)〜(a)(xii)の1つまたは2つ以上で測定する、1つまたは2つ以上の比率、レベル、または細胞局在が、CTNNB1関連癌の処置での処置が効果のあるものであろうと示すかどうかである。
1つの態様において、かかる対象は、癌またはハイリスクな損傷(例えば、高度異形成など)を有するとして同定されている。
他の1つの態様において、処置の開始時期は、CTNNB1 RNAiの安定状態の血漿または細胞濃度を達成するために要する時である。
方法は、付加的なCTNNB1治療剤または処置様式(例えば、食道切除術、粘膜切除術、放射線治療など)をさらに含んでもよい。
1つの態様によると、付加的なCTNNB1治療剤は、抗癌剤または化学発癌抑制剤である。
他の1つの態様において、付加的なCTNNB1治療剤は、抗炎症剤である。
本記載による、1つの態様によると、治療を目的とするCTNNB1で処置される対象の過程をモニタリングする方法を提供する。かかる方法は、(a)上記の、対象からの癌細胞における比率、レベル、細胞局在、または活性の1つまたは2つ以上の前処置レベルを決定すること、(b)対象に治療的有効量のCTNNB1 RNAiを投与すること;および(c)CTNNB1 RNAiでの処置の開始時期後の腫瘍における比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上のレベルを決定することであって、CTNNB1 RNAiを投与後の癌細胞における(a)(i)から(a)(xii)にわたる段階の1つまたは2つ以上で測定する比率、レベル、細胞局在または細胞活性の変調が効果があるということである。
1つの態様によると、かかる方法はさらに、対象に第2の治療的有効量のCTNNB1 RNAiを投与すること;かかる第2の治療的有効量のCTNNB1 RNAiは最初の治療的な有効量のCTNNB1 RNAiと同様でも、または異なってもよく;そして、CTNNB1 RNAiでの第2の期間の処置後の腫瘍における、請求項80の(a)(i)から(a)(xii)にわたる1つまたは2つ以上の段階で測定される比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上のレベルを決定すること、を含む。
そして、本発明の方法および組成物は、CTNNB1関連疾患を治療的に処置することにおいて有用な方法および組成物、ならびにCTNNB1関連疾患を、例えば、診断的に、予後的に、および治療的に、正確に見極める方法を供給し、そしてそれらに対する需要を解決する。
1つの態様において、CTNNB1の核の局在の上昇したレベルは、転移および/または低下した予後診断と関連する。
1つの態様において、16B転写物、cMYC転写物のレベルまたは全体的な転写活性のレベルの1つまたは2つ以上における上昇は、対象が腺種から癌腫への進行を有するかもしれないか、または有する可能性がより高いことを示す。
本発明の他の態様を、以下に開示する。
図面の簡単な説明
図1は、16A−1または16A−2を標的とするRNAi構築での両方のCTNNB1スプライス変異体における、著しい低下を描く。WAF1発現における上昇および付随するMYC発現における低下により、結果としてWAF1に対するMYCの率の低下が起こる(率=<1)。x軸はアッセイした遺伝子(例えば、15/16A、15/16B、MYCおよびWAF1)のそれぞれの相対的なコピー数を反映する。非サイレンシング(上段)は、16AおよびBスプライス変異体の匹敵するレベルとの、WAF1およびCNNB1に関する高レベルのMYCを示す;(16A/16B−1=CTNNB1の全体のサイレンシング;16A/16B−2=CTNNB1の全体のサイレンシング;16A−1=16A転写変異体のサイレンシング;16A−2=16A転写変異体のみのサイレンシング;非サイレンシング対照。
図2は、適合血(B)および食道扁平上皮細胞腫瘍(t)組織で実施された変異解析の結果を描く。患者を、Taiyuan, Shanxi Province, People's Republic of ChinaのShanxi Cancer Hospitalから、食道扁平上皮癌(ESCC)と診断したのちに、選択した。彼らを治療的外科的切除に対する候補者と見なし、同定をし、そして募集により研究に参加した。10mlの静脈血およびエタノール中に固定した腫瘍の一部位を56人の患者から得、SSCPを用いてCTNNB1エクソン3変異に対する解析をした。ゲノムDNAおよび体細胞DNAを、以前に記載された方法(Hu Cancer Res 2001)を用いて、それぞれ静脈血および腫瘍組織から、抽出しそして精製した。簡潔には、腫瘍細胞を光学顕微鏡検鏡下で顕微解剖し、CTTNB1のエクソン3における変異をプライマー(5'-ctaatgctaatactgtttcgt-3'(配列番号6)および5'-tactcttaccagctacttgttctt-3'(配列番号7))を用いてPCR−SSCPによりスクリーニングし、アニーリング温度を53℃へと調節したのち、228bpのPCR産物を産生した。ケース番号150からの血液(B)または腫瘍(t)DNAでのSSCPレーンは、2つのバンド(1および2)を含有する。対照的に、ケース番号152からの血液DNAでのレーンは、第3のバンド(バンド3)を有し、生殖細胞系列の変異の存在と一貫する。同様に、ケース番号391からの腫瘍DNAのレーンは、通常存在するバンドのそれぞれのちょうど上に「別の」バンド(矢印)を含有し、体細胞変異と一貫する。これらのレーンのそれぞれからのDNAを引き続き配列決定し、両方の変異を確認した。
図3Aは、エクソン11〜16A、エクソン11〜16B、およびエクソン13〜エクソン16を含んで延びるプライマーでの、ゲル電気泳動RT−PCRの結果を描く。
図3Bは、CTNNB1遺伝子の16Aおよび16B転写物の概略図であり、プライマーのPCR増幅に対する配置が、エクソン13から16へ(右上)またはエクソン11から16Aまたは16Bへ(左上)のいずれかへ延長していることを示す。
図4Aは、ヘマトキシリンエオジン染色した食道扁平上皮内癌の顕微鏡写真を描き、未熟な増殖、高い細胞質に対する核の割合の高い異形成扁平上皮細胞、過染色性、不定期な核の外観、および上皮の全厚を占める局所で可視の核小体を示す。
図4Bは、ベータ−カテニンに対する免疫組織化学抗体で、続いて赤のクロマゲン(chromagen)で染色した隣接組織切片を示し、この新生物での損傷において、高タンパク質および発現、例えば強い赤の染色を示す。
図5は、β−カテニン遺伝子の概略図であり、その16個のエクソンのそれぞれに対する数的な標識を含む。
図6は、レーザーキャプチャー顕微解剖(LCM)した食道のサンプルのRT−PCRの結果を描く。RNAを酵母搬送体tRNAの存在下で、標準のTrizol抽出手順を用いて、病変組織から単離した。それぞれのLCMサンプルからの約25%の得られたRNAを、cDNAの合成のために用いた。Thermoscript RT-PCR Synthesis (Invitrogen) Systemを用いて、製造者のプロトコールに従い、オリゴdTおよびランダム六量体プライマーをcDNAを合成するために採用した。CTNNB1の16A特異的なプライマー(Forward 5'〜3' gtt ate aag agg act aaa tac ca(配列番号8)、Reverse 5'〜3 ' gac aat aca get aaa tga tga t(配列番号9)および16Bアイソトープ(Forward 5 '〜3 ' gtt ate aag agg act aaa tac ca (配列番号10)、Reverse 5 '〜3 ' gta ttg tta etc eta aag gat ga(配列番号11))およびベータ−アクチンを特定の産物を増幅させるために用いた。ゲルの図の一番上のバンドは、16Aおよび16Bアイソタイプを、試験をしたそれぞれの番号のケースのベータ−カテニンに対して、それぞれ表す。かかるベータ−アクチン対照バンドは、ベータ−カテニンの下のウィンドー中に存在する。
図7A〜Gは、正常、異形成、ならびに上皮内癌および浸潤性損傷からのスプライス変異体の解析の結果を、グラフ的に描く。
図8は、本発明において有用なPCRプライマーの表である。
図9は、配列番号5のヌクレオチド配列であり、GenBank寄託番号NM_001904で見られるヒトカテニン(カドヘリン関連タンパク)、ベータ1、88IcDa CTNNB1、mRNAのヌクレオチド配列を表す。
図10は、配列番号6であり、図5の配列のアミノ酸翻訳を表す。
定義
さらに下で定義しない限り、ここで用いる全ての用語は、慣例の意味を与える。下で特定的に定義する用語の場合、かかる定義は慣例の意味を含有するが、特定の定義の付加的な文脈を含有するよう拡大する。
ここで用いる、そして他のものを定義しない場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的DNAまたはRNA配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを示す。
ここで用いる、siRNAまたはRNAi剤の「アンチセンス鎖」という用語、例えば、siRNA二本鎖またはsiRNA配列のアンチセンス鎖は、サイレンシングを標的とする遺伝子の、約10〜50のヌクレオチドの、例えば約15〜30、16〜25、18〜23または19〜22のヌクレオチドのmRNAの断片に、実質的に相補的な鎖を示す。かかるアンチセンス鎖または第一の鎖は、標的特異的なRNA干渉(RNAi)を対象とする所望の標的mRNA配列に十分相補的な、例えばRNAi機構または処理による所望の標的mRNAの破壊を誘発するために相補的に十分である配列を有する。siRNAまたはRNAi剤の「センス鎖」または「第2の鎖」という用語、例えばsiRNA二本鎖またはsiRNA配列のアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖または第一の鎖に相補的な鎖を示す。アンチセンス鎖およびセンス鎖はまた、第1の鎖または第2の鎖と示すことができ、かかる第1の鎖または第2の鎖は、標的配列に対する、およびかかる第1の鎖および第2の鎖に対する相補性を有するそれぞれの第2の鎖または第1の鎖に対する、相補性を有する。
ここで用いる、「見極める」という用語は、サンプル中に存在する検体の量または濃度に対する絶対値を得る、およびサンプル中の検体のレベルの指標となる、値、率、パーセンテージ、視覚的および/または他の値もまた得る意味における、量的なおよび質的な決定を含有することを意図する。見極めることは直接的または間接的であってよく、そして、実際に同定される化学種は、検体自体である必要がなく、例えばその誘導体またはあるさらなる物質であってよい。
ここで用いる、「良性肥大障害」は、それに限定することなく、前立腺肥大症(BPH)、消化管、子宮などにおける非発癌性ポリープを含有する。
ここで用いる、「細胞局在」は、細胞におけるタンパク質または核酸の局在(例えば、核に対する細胞質)を示す。
ここで用いる、「標準の比率、レベル、または細胞局在に対する、比率、レベル、または細胞局在」に関する「比較する」は、標準のCTNNB1関連転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞局在に対する、サンプル中にCTNNB1関連転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞局在がどのくらいかということの見極めをすることを示す。例えば、サンプルのCTNNB1関連転写物の比率、レベル、または細胞局在が、標準のCTNNB1関連転写物の比率、レベル、または細胞局在と同じ、より多いまたはより少ない、あるいは異なるかどうかを見極めることである。
siRNAの配列を記載するために用いるとき、ここで用いる「対応する」という用語は、示されるDNA配列から転写される標的mRNAの一部位と同一か双方的である配列を、siRNAが有するということを意味する。
ここで用いる、そして他に指示がなければ、「相補的に」という用語は、標識配列に関連する配列を記載するために用いるとき、配列が、標識配列を含む遺伝子の機能(例えば、複製、スプライシング、転写または翻訳)を駄目にするために十分な方法で、細胞環境における標識配列に結合できるということを意味する。かかる結合は、限定こそしないが、ヌクレオチド塩基対(例えば、A−T/G−C)などの相互作用から結果として起こるかもしれない。本発明の特有の態様において、配列は、高いストリング度、例えば、互いに少なくとも60%(好ましくは、約70、80、または90%より大きく)同一である、ヌクレオチド配列が、典型的には互いにハイブリダイズされたままでいる、元でハイブリダイズされそして洗浄されるための状態下で、その標的配列にハイブリダイズするとき、相補的である。かかるストリング化状態は、当業者に公知であり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6において見つけることができ、それをここに引例として組み入れる。
ストリングしたハイブリダイズ状態の他の1つの例は、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、引き続き50〜65℃での0.2×SSC、0.1%SDSでのヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションである。特に好ましいストリング状態は、約45C、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、引き続く50Cでの1回か2回以上の0.2×SSC、0.1%SDSでの洗浄である。他の1つのストリングしたハイブリダイゼーション状態の例は、約45C、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、引き続く55Cでの1回か2回以上の0.2×SSC、0.1%SDSでの洗浄である。ストリングしたハイブリダイゼーション状態のさらなる例は、45C、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、引き続く60Cでの1回か2回以上の0.2×SSC、0.1%SDSでの洗浄である。
好ましくは、ストリングしたハイブリダイゼーションの状態は、約45Cでの6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーション、引き続く
65Cでの0.2×SSC、0.1%SDSでの1回か2回以上の洗浄である。他の1つのストリングしたハイブリダイゼーションの好ましい例は、65Cでの0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、引き続く65C、0.2×SSC、1%SDSでの1回か2回以上の洗浄である。遺伝子の機能を無駄にするために十分な結合が起こる状態に依存して、標的配列に相補的な遺伝子内の配列は、標的配列と100%同一である必要はない。例えば、少なくとも約70、80、90、または95%のヌクレオチドが、標的配列のヌクレオチドとのマッチした塩基対化を介して結合するとき、配列はその標的配列に相補的である。
ここで用いる、パラメーター、例えは対照からの細胞における変調した比率、レベル、または細胞局在などへの参照における「相関させる」は、癌がCTNNB1関連でありそうであるということを示すことであってよい。本発明により用いられる「相関させる」または「正常化」は、以下のものの標準値に対する、マーカーの発現または局在に関連するレベルのいかなる方法によるものであってよい:診断のアセスメント、癌または癌進行の予測、臨床処置の効果のアセスメント、CTNNB1処置に反応するかもしれない腫瘍の同定、特有の処置に対する対象の選択、CTNNB1を目的とする治療での処置の進行のモニタリング、そしてスクリーニングアッセイの関連において、CTNNB1関連癌のCTNNB1治療の同定に対して。
「CTNNB1関連信号変換経路」の用語は、CTNNB1の活性化に関係する任意の経路を示す。かかる経路のエフェクターは、Wnt経路およびNF−.カッパ.Bの要素を含むが、さらなる要素が常に発見され、この用語は、CTNNB1経路と関係がある、かかる新しく見出された要素ならびに新しく見出された経路に及ぶ。
「CTNNB1関連癌」および「CTNNB1関連障害」を、ここでは相互的に用い、タンパク質またはRNAレベルのいずれかにおいて、CTNNB1の発現における変化に関連する、任意の癌、前癌、または障害を含む。例として、食道扁平上皮癌、胃腸または食道の腺癌、胃腸または食道の異形成、胃腸または食道の化生、バレット腸組織、 組織学的に正常に見える食道の扁平粘膜の前癌状態、頸部、肺、頭部および首の新生組織形成および新生組織形成前駆損傷−新生組織形成およびその前駆損傷であって、同様の組織学に同定される損傷と関係があり、頸部、肺、ならびに頭部および首の扁平上皮癌を含む。
ここで用いられ、そして他に指示がなければ、「CTNNB1 siRNA」という用語は、CTNNB1遺伝子中の配列に相補的な配列を有する、低分子干渉RNAを示す。典型的には、siRNAは約20〜23ヌクレオチド長である。
ここで用いる、「対象からの細胞」は、新生物発生前の扁平上皮、扁平上皮異形成、扁平上皮内癌、浸潤性食道扁平上皮癌、または任意の組織学的または細胞学的中間段階の1つまたは2つ以上であってよい。
「診断的」または「診断された」は、病理学的状態の存在または性質を同定することを意味する。診断的方法は、その感度および特異度において異なる。診断的アッセイの「感度」は、陽性との判定をされる罹患した対象のパーセンテージ(「真陽性者」のパーセント)である。かかるアッセイにより同定されない罹患した対象は、「擬陽性者」である。罹患しておらず、かかるアッセイにおいて陰性と判定される対象は、「真陰性者」と定義される。診断的アッセイの「特異度」は、1から擬陽性の率を引いたものであり、かかる「擬陽性」率を罹患せず要請と判定される者の比率として定義する。徳用の診断的方法は確定的状態の診断を提供しないかもしれないが、かかる方法が診断を補助する陽性の示唆を提示するならば、十分である。
ここで用いる「フレッシュな腫瘍」:は、宿主から、外科的なまたは他の手段により除去された腫瘍を示す。ここで用いる「ガイド鎖」という用語は、RNAi剤の鎖、例えばsiRNA二本鎖のアンチセンス鎖を示し、RISC複合体の内部へ進入し、標的mRNAの切断を目的とする。
「ハイリスクな損傷」は、例えば、高度の異形成を示す。
ここで用いる「単離したRNA」(例えば、「単離したssRNA」、「単離したsiRNA」または「単離したss−siRNA」)という用語は、他の細胞物質、または組み換え技術により産生されるときは培養培地を実質的に遊離した、または化学的に合成するときは化学前駆体または他の化学物質を実質的に遊離した、RNA分子を示す。
障害に「関連する」遺伝子は、疾患または障害、あるいはかかる疾患または障害の少なくとも1つの兆候を影響させるか引き起こす、遺伝子、その正常なまたは異常な、発現または機能を含む。
疾患または障害に「関連する」遺伝子は、疾患または障害、あるいはかかる疾患または障害の少なくとも1つの兆候を、影響させるまたは引き起こす、遺伝子、その正常なまたは異常な、発現または機能を含む。
ここで用いる「マーカー」、および「パラメーター」は、以下の1つまたは2つ以上を示す:16A転写物の16B転写物に対する比率、cMYC転写物のWAF1転写物に対する比率、16A転写物のレベル、16B転写物のレベル、cMYC転写物のレベル、WAF1転写物のレベル、cMYCタンパク質のWAF1タンパク質に対する比率、CTNNB1タンパク質の16A、16B、cMYCまたはWAF1転写物のレベルの1つまたは2つ以上に対する比率、cMYCタンパク質のレベル、WAF1タンパク質のレベル、全体の転写活性のレベル、またはCTNNB1タンパク質の細胞局在。
ここで用いられ、そして他に指示がなければ、遺伝子の「合成または発現を阻害する」という用語は、かかる遺伝子によりコード化される最終産物のタンパク質を合成する1つまたは2つ以上の段階を、遅滞させる、ゆっくりにするまたは防ぐということを意味する。典型的には、かかる阻害は、配列相補性に基づく遺伝子配列内に位置する標的部位の認識を含むメカニズムを通しての、遺伝子の複製、転写、スプライシングまたは翻訳における1つまたは2つ以上の段階の遮断に関連する。特定の態様において、CTNNB1の阻害により、癌細胞におけるTCTPの量を約20、50、または70%より大きく低減させる。TCTPの量を、濃度計、蛍光度計、ラジオグラフィー、照度計、抗体に基づいた方法および活性測定を含むが、限定はしない、周知の方法で、定義できる。
ここで用いる、「変調した」という用語は、1つまたは2つ以上のパラメーターのレベル、活性または比率における上昇または低下、例えば新生組織形成へと進行しつつある細胞内の細胞質におけるCTNNB1量の上昇、を示す。
ここで用いる「分子」という用語は、例えば核酸分子など、他の但し書きなしで用いるとき、生物学的起源または特徴(例えば、タンパク質、DNA、RNA、抗体など)の化合物、および合成有機化合物(例えば、アスピリン、イブプロフェン、アンピシリンなど)である化合物の両方を示す。
ここで用いる、「遺伝子をコード化するヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド」という用語は、遺伝子領域をコードする領域を含む核酸配列、例えば遺伝子産物をコード化する核酸配列を含む。例えば、16A転写物は、CTNNB1遺伝子をコード化するオリゴヌクレオチドである。かかるコードする領域はcDNA、ゲノムDNAまたはRNA形態で存在してよい。DNA形態で存在するとき、かかるオリゴヌクレオチドは一本鎖(例えば、センス鎖)または二本鎖で存在してよい。適した転写の開始および/または主要なRNA転写物の正しい処理を必要とする場合、エンハンサー、プロモーター、スプライス部位、ポリアデニル化信号などの適した制御要素を、遺伝子をコード化する領域の直近に位置させてもよい。
代わりに、本発明の発現ベクターにおいて利用されるコード領域は、内因性エンハンサー、スプライス部位、介在配列、ポリアデニル化信号など、または内因性および外因性制御要素の両方の組み合わせを含んでもよい。
ここで用いられ、そして他に指示がなければ、DNAまたはRNAの一部分を指定するために用いる「部分」という用語は、少なくとも15、25、または25ヌクレオチドの一部位を意味する。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類自体の短い高分子を示す。「RNA類似体」という用語は、対応する非変換のまたは非修飾のRNAと比較して少なくとも1つの変換したまたは修飾したヌクレオチドを有するが、対応する非変換のまたは非修飾のRNAと同じまたは同類の性質または機能を保持する、ポリヌクレオチド(例えば、化学的に合成されたポリヌクレオチド)を示す。上で議論したように、かかるオリゴヌクレオチドを、ホスホジエステル連鎖のRNA分子と比較して、RNA類似体の低い加水分解率が結果として起こる連鎖と連結してもよい。例えば、かかる類似体のヌクレオチドは、メチレンジオール連鎖、エチレンジオール連鎖、オキシメチルチオ連鎖、オキシエチルチオ連鎖、オキシカルボニルオキシ連鎖、ホスホロジアミデート連鎖、ホスホロアミデート連鎖、および/またはホスホロチオエート連鎖を含んでもよい。好ましいRNA類似体は、糖修飾および/または骨格修飾、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含む。かかる変換または修飾は、さらに、非ヌクレオチド物質の、かかるRNAの(両)末端または内部への(かかるRNAの1つまたは2つ以上のヌクレオチドへの)添加を含む。RNA類似体は、RNA干渉を仲介する能力を有する(仲介する)のに十分であるのみ、天然RNAに対して同様である必要がある。
「リン酸化」をいう用語は、少なくとも1つのリン酸基が化学(例えば、有機)化合物に付着されていることを意味する。リン酸基を、以下の反応を介して、例えばタンパク質または糖部位へと付着できる:遊離したヒドロキシル基+リン酸ドナー.fwdarw.リン酸エステル連鎖。「5’リン酸化」という用語は、例えば、かかる5’糖のC5ヒドロキシルへのエステル連鎖を介して付着するリン酸基を有するポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(例えば、かかる5%リボースまたはデオキシリボース、または同様の類似体)を記載するために用いられる。一リン酸類、二リン酸塩、および三リン酸塩が、通常である。一リン酸基、二リン酸基、または三リン酸基と同様か類似の方式で機能するリン酸基類似体を、また、本発明の範疇内に含むことと意図する(例えば、例示した類似体を参照のこと)。
「多型」という用語は、1つより多い形態のその遺伝子または一部位(例えば、対立遺伝子の変異体)の共存を示す。少なくとも2つの異なる形態、例えば2つの異なるヌクレオチド配列がある遺伝子の一部位を、「遺伝子の多様型の領域」と呼ぶ。遺伝子の多様型の領域の特定の遺伝子配列は、対立遺伝子である。多様型の領域は、単一のヌクレオチドであることができ、その同一性は異なる対立遺伝子において相違する。多様型の領域は、また、数ヌクレオチド長であることができる。
ここで用いる、「プライマー」という用語は、精製制限消化におけるものとしての、自然発生であれ、人工的に産生されるものであれ、核酸鎖に相補的な、プライマー延長産物の合成を誘発する状態下に置かれるとき(例えば、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの誘発剤の存在、および適した温度およびpH)、合成の開始点として振舞うことができる、オリゴヌクレオチドを示す。かかるプライマーは、最大増幅効率のためには、好ましくは一本鎖であるが、代わりに二本鎖であってもよい。二本鎖の場合、延長産物を調製するために用いる前に、かかるプライマーを最初に処置をし、その鎖を分離する。好ましくは、かかるプライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。かかるプライマーは、誘発剤の存在下で延長産物の合成を開始するために、十分な長さでなければならない。かかるプライマーの正確な長さは、温度、プライマー源およびその方法の使用を含む、多くの要素に依存するであろう。
「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応」および「RT−PCR」という用語は、RNA配列の逆転写によりcDNA配列の混合物を生成し、次いでクローニングまたは精製なしに混合物中の転写したcDNA配列の所望の断片の濃度を増加させることを示す。典型的には、2つのプライマーを用いた転写DNAの所望の断片のPCR増幅の先立って、RNAを1つのプライマー(例えば、オリゴ−dTプライマー)を用いて逆転写する。
ここで用いる、「参照細胞または細胞群」は、特有の使用方法に依存して、臨床的に正常な、臨床的に幾分正常と新生物のあいだの連続状態である、または新生物である、細胞サンプルを示す。かかる参照細胞は、例えば、以下の1つまたは2つ以上であってよい、対象からの細胞、培養細胞、対象からの培養細胞、または処置前の対象からの細胞、例えば、診断された組織の異なる部位から、または対象の他の1つの組織からのサンプル。かかる対照は、また、処置組織培養細胞からでもあってよい。かかる培養物は、初代培養または継代培養であってよく、診断された対象からまたは他の1つの由来のものであってよい。かかる培養物は、診断された同じ組織からまたは他の1つの組織からであってよい。かかる培養物は正常、正常から新生物への連続体における任意の地点、および/または新生物であってよい。
ここで用いる「関連する臨床的介入」は、例えば、化学的予防、外科的介入、放射線治療または生物学的治療を含む。
ここで用いる「RNA干渉」(「RNAi」)は、RNAの選択的細胞内分解を示す。RNAiは細胞において天然的に発生し、外来RNA(例えば、ウイルスRNA)を除去する。天然RNAiは、切断された断片を介して、分解機構を対象とする遊離したdsRNAから、他の類似のRNA配列へと進展する。代わりに、RNAiを人の手により開始することができ、例えば、標的遺伝子の発現を封じる。
「低減または阻害」により、アンチセンス核酸塩基オリゴマーまたはRNA干渉のために用いられるdsRNAで処置しないサンプルと比較した、前述のアッセイ(「発現」を参照)により同定された、タンパク質または核酸のレベルにおいて、好ましくは20%またはより大きい、より好ましくは50%またはより大きい、およびもっとも好ましくは75%またはより大きい全体的な低下を引き起こす能力を意味する。
「標的特異的なRNA干渉(RNAi)を対象とする標的mRNA配列に十分相補的な配列」を有するsiRNAは、かかるss−siRNAがRNAi機構または処理による標的mRNAの破壊の十分なトリガーとなる配列を有することを意味する。
本発明のさまざまな手順は、値、レベル、特性、特徴、特質などを、ここにおいて「適切な対照」ととして相互に参照される「適合した対照」に対して比較することを伴う手順に関連する。「適合した対照」または「適切な対照」は、当業者に周知の、比較目的に対して有用である、任意の対照または標準である。1つの態様において、「適合した対照」または「適切な対照」は、値、レベル、特性、特徴、特質などであり、ここに記載する、RNAi手順を実施するに先立って決定される。例えば、転写率、mRNAレベル、翻訳率、タンパク質レベル、生物学的活性、細胞の特徴または特質、遺伝子型、表現型などを、本発明のsiRNAを細胞または有機体へと導入するに先立って決定することができる。他の1つの態様において、「適合した対照」または「適切な対照」は、値、レベル、特性、特徴、特質などであって、例えば正常な特色を呈する、細胞または有機体、例えば対照または正常の細胞または有機体において決定される。さらなる他の1つの態様において、「適合した対照」または「適切な対照」は、所定の値、レベル、特性、特徴、特質などである。
「サンプル」の用語は、処置する対象から得られる細胞、組織サンプルまたは細胞成分(細胞膜または細胞の成分など)を示す。かかるサンプルが、疾患、例えばかかる疾患がタイプXの癌であると明らかにすると知られる細胞である、1つの態様において、かかる細胞は、癌(***、大腸、皮膚、肝臓、肺、細胞など)のまたは前記の転移の組織の細胞である。他の1つの態様においては、かかる細胞は、血液から得られた細胞、例えば好中球などの非疾患細胞であってよい。他の態様において、かかるサンプルは、癌性であると疑われる対照からの細胞である。癌性であると疑われる細胞は、正常から新生物への進行のどこかにあるとして特徴付けられ、当該分野で公知の方法、例えば組織または細胞の染色、または任意の診断の分子学的方法または病理学的方法により決定してもよい。かかる細胞を、新生物発生前の扁平上皮、扁平上皮異形成、扁平上皮内癌、浸潤性食道扁平上皮癌、または任意の組織学的または細胞学的中間ステージと決定していもよい。
「標的特異的なRNA干渉(RNAi)を対象とする標的mRNA配列に十分特異的な配列」である鎖を有するRNAi剤は、かかる鎖がRNAi機構または処理による標的mRNAの破壊のトリガーとなるに十分な配列を有するということを意味する。
「低分子干渉(small interfering)RNA(siRNA)」(および当該分野においては「短分子(short interfering)干渉RNA」とも呼ばれる)は、約10〜50のヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)からなる、RNA干渉を導くかまたは仲介することができる、単離したRNA分子を意味する。かかるsiRNAは好ましくは10ヌクレオチド長より大きい、より好ましくは15ヌクレオチド長より大きい、および最も好ましくは19ヌクレオチド長より大きく、分解される標的遺伝子またはmRNAを同定するために用いられる。19〜25ヌクレオチドの範囲が、siRNAの最も好ましいサイズである。siRNAはまた、siRNA二本鎖の両方の鎖が単一のRNA分子内に含まれる短いヘアピンRNAを含むことができる。siRNAは、任意の形態のdsRNA(大きなdsRNAのタンパク質分解性切断産物、部分的に精製したRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組み換え産生したRNA)ならびに、添加、削除、置換、および/または1つまたは2つ以上のヌクレオチドの変更による、天然発生RNAと異なる、変化したRNAを含む。かかる変化は、非ヌクレオチド物質の、21〜23nt RNAの末端または内部への(RNAの1つまたは2つ以上のヌクレオチドでの)添加を含むことができる。好ましい態様において、かかるRNA分子は、3’水酸基を含む。
本発明のRNA分子におけるヌクレオチドはまた、非天然発生ヌクレオチドまたはデオキリボヌクレオチドを含む、非標準のヌクレオチドをまた含むことができる。集合的に、全てのかかる変換したRNAは、RNAの類似体と呼ばれる。本発明のsiRNAは、RNA干渉(RNAi)を仲介する能力を有する天然RNAに十分類似する必要のみある。本発明のRNAi剤はまた、小さなヘアピンRNA(shRNA)、および発現shRNAへと改変される発現構築を含む。shRNAの転写は、ポリメラーゼHI(pol III)プロモーターにおいて開始され、4〜5‐チミン転写決定部位の第2部位において決定されると考えられている。発現に際し、shRNAは3’UU−オーバーハングとともにステムループ構造へと折りたたむと考えられ、次いでこれらのshRNAの末端は処理され、shRNAを約21〜23ヌクレオチドのsiRNA様分子へと変換する。Brummelkamp et al., Science 296:550-553 (2002); Lee et al, (2002). supra; MiyagishiおよびTaira, Nature Biotechnol. 20:497-500 (2002); Paddison et al. (2002), supra; Paul (2002), supra; Sui (2002) supra; Yu et al. (2002), supra
siRNAはまた、「一本鎖低分子干渉RNA分子」を含む。「一本鎖低分子干渉RNA分子」(「ss−siRNA分子」または「ss−siRNA」)。ss−siRNAは配列特定の方法で対応する遺伝子標的を封じる、活動性一本鎖siRNA分子である。好ましくは、かかるss−siRNA分子は、約10〜50またはそれより多いヌクレオチドの長さを有する。より好ましくは、かかるss−siRNA分子は、約19〜23のヌクレオチドからの長さを有する。ss−siRNA分子を含む組成物に加えて、本発明の他の態様は、かかるss−siRNA分子を作る方法およびかかるss−siRNA分子を用いるための方法(例えば、研究および/または治療的方法)を含む。
「固形癌」の用語は、癌腫、肉腫、腺種、および神経起源の癌を示し、造血細胞から生じず、特別な対象である、任意の型の癌を示す:癌腫、肉腫、腺腫、肝細胞癌、肝細胞癌、肝芽腫、横紋筋肉腫、食道癌、甲状腺癌、神経節芽細胞腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、滑液腫瘍、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、rhabdothelio肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、腎細胞癌、血腫、胆管癌、黒色腫、絨毛膜癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮性癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、網膜細胞芽腫、多発性骨髄腫、直腸癌、甲状腺癌、頭頸部癌、脳腫瘍、末梢神経系の癌、中枢神経系の癌、神経芽細胞腫、子宮内膜の癌、ならびに前記全ての転移。
ここで用いる、「特異的にハイブリダイズする」または「特異的に同定する」という用語は、核酸分子がサンプル核酸の少なくとも約6つの連続したヌクレオチドにハイブリダイズするということを示す。
「対象」または「患者」という用語は、ここで相互に用いられ、処置する哺乳類の対象を意味し、ヒト対象が好ましい。いくつかの場合において、本発明の方法は、実験動物における、獣医学的適用における、および疾患に対する動物モデルの開発における用途を見い出し、限定こそしないが、マウス、ラット、およびハムスターを含むげっ歯類;および霊長類を含む。
ここで用いる、核酸配列比較の文脈における「実質的な配列同一性」は、断片、またはその相補的な鎖のいずれかを比較するとき、適切なヌクレオチド挿入または欠失と最適に配列するとき、少なくとも約50%のヌクレオチドと、一般的に少なくとも56%、より一般的に少なくとも59%、通常は少なくとも62%、より通常には少なくとも65%、しばしば少なくとも68%、よりしばしば少なくとも71%、典型的には少なくとも74%、より典型的には少なくとも77%、普通は少なくとも80%、より普通には少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95〜98%以上、そして特別な態様において約99%以上の高いヌクレオチドと同一であるということ意味する。代わりに、実質的な配列同一性は、かかる断片を、選択的ハイブリダイゼーション状態下で、鎖、またはその相補鎖に、典型的にはCTNNB1関連遺伝子の公知のヌクレオチド配列に由来する断片を用いてハイブリダイズするときに、存在する。
典型的には、選択的ハイブリダイゼーションは、少なくとも約14ヌクレオチドの延長にわたり55%の、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも75%、そして最も好ましくは少なくとも90%の同一性があるとき、起こるであろう。Kanehisa (1984) Nuc. Acids Res. 12:203-213を参照のこと。記載する、配列同一性比較の長さは、長い延長にわたってもよく、ある態様において、少なくとも約17ヌクレオチド、通常は約20ヌクレオチド、より通常には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチド、そしてより好ましくは少なくとも約75〜100以上のヌクレオチドの延長にわたるであろう。かかる断片の端点は、多くの異なる対の組み合わせであってよい。配列同一性またはパーセント同一性を決定するに際し、下で議論する配列類似性に対する手順およびプログラムを、BLASTアルゴリズムを含んで、適切に採用する。
「実質的に精製した」は、その天然環境から除去し、単離または分離し、それらが天然的に関連する他の成分から、少なくとも約60%遊離する、好ましくは約75%遊離する、そして最も好ましくは約90%遊離するということを示す。
ここで用いられ、そして他に指示がなければ、「抑圧」または「抑圧する」という用語は、細胞増殖に関連して用いられるとき、細胞増殖の遅滞または阻害を意味する。かかる抑圧は、限定するわけではないが、腫瘍復帰および細胞アポトーシスなどの機構を通じて成し遂げられる。本発明の特定の態様において、増殖が20、30、50、75、100または200%より大きく遅滞されるとき、細胞増殖は抑制され、例えば、全体の腫瘍量により決定される。
ここで用いる「代用細胞」は、新生物発生前の細胞であってよく、または参照細胞であってよい。
「標的遺伝子」は、その発現が選択的に阻害されるまたは「封じられる」こととなる遺伝子である。かかるサイレンシングを、細胞のRNAi系による人工的なRNA前駆体から作製されたsiRNAにより、標的遺伝子のmRNAを切断することに達成する。かかるRNA前駆体の二本鎖の幹の一部分または断片は、相補的な、例えば約18〜約40以上のヌクレオチドの標的遺伝子のmRNAに完全に相補的な、アンチセンス鎖である。
「反応する腫瘍」は、処置の結果により腫瘍における変化、例えば、腫瘍の増殖または浸潤の潜在性における低下または安定、例えば好ましい反応、を示す。腫瘍は、増加する場合、あるいは不安定になる、または転移を呈する場合、例えば好ましくない反応など、反応すると考えられている。
ここで用いる、ポリペプチドの「変異体」は、1つまたは2つ以上のアミノ酸残基が変化したアミノ酸配列を示す。かかる変異体は「保存性(conservative)」の変化をし、そこにおいて置換アミノ酸は、類似の構造または化学的特質(例えば、ロイシンのイソロイシンでの置換)を有する。さらにまれに、変異体は「非保存性」の変化(例えば、グリシンのトリプトファンでの置換)を有するかもしれない。類似の僅かな変化は、アミノ酸欠失または挿入、あるいは両方もまた含んでもよい。どのアミノ酸残基を、生物学的活性を損なうことなく、置換、挿入、または除去してもよいかの誘導を、当該分野で周知のコンピュータープログラム、例えば、LASER遺伝子ソフトウェア(DNASTAR)を用いて見出してもよい。
詳細な説明
β‐カテニンは、遺伝子発現の活性化および成長および疾患過程の変化、例えば細胞の分化、癌およびアルツハイマー病などへと導く、ある細胞情報伝達系の鍵となる成分である。特に、CTNNB1はWnt−媒介シグナル伝達において機能し、LEF−I/TCF DNA結合タンパク質に結合し、転写因子を形成する(Willert and Nusse, genetics and Development 8:95-102, 1998を参照のこと)。β‐カテニン媒介シグナル伝達は、細胞分化および増殖を含む、さまざまな成長過程と関連する。例えば、(Gat et al., Cell 95:605-614,.1998; Ono et al., Cell 95:575-578, 1998)を参照のこと。β‐カテニンに基づく診断的およびスクリーニングアッセイは、β‐カテニンと関係がある疾患状態、例えばある癌腫類およびアルツハイマー病などのために、臨床的重要性を有する。
β‐カテニンは、染色体領域(3p)に位置し、食道の扁平上皮細胞発癌の早期および晩期の遺伝的事象と関係があり、そのタンパク質は新生物の進行とともに過発現しているように思われる(Iwamoto, DDW 2003; Roth, Cancer Detection and Prevention 2002; and Roth, Cancer Research 2001)。食道癌の他の研究により、APCなどの結合パートナーに競合する、CTNNB1の類似の過発現(Kimura Int. J. Cancer 1999, Osterheld Am J Clin Pathol 2002)および、その結果の、それから核へ転座できる、過剰β‐カテニンの安定を示す。一般化したCTNNB1過発現および3pでの遺伝子変化の所見にもかかわらず、CTNNB1の発現、下流の標的および/またはCTNNB1の核または細胞質の局在における変化が、ESCCの発達と関係があるかどうかは、未だに明らかではない。かかる潜在的な関連性は、Nollet et alにより最初に記載された、CTNNB1選択的スプライス形態により、さらに複雑化する。
遺伝子クローン化により、CTNNB1遺伝子座は、23kbの領域にわたり延長する、エクソン16の非コード領域の切れた部位に対するスプライス変異体(16B)を保因する、16エクソンからなるということが示される。少数のヒト大腸癌細胞系において、野生型および変異体の両方が、RT−PCRにより、類似のレベルにあると同定された。しかしながら、かかる変異体はESCC新生組織形成の設定においては研究されておらず、3’非翻訳領域(UTR)が、mRNAの空間的および一時的な発現を支配するかもしれない、調節要素の翻訳制御を有するかもしれないならば、そのことは生物学的に明らかであるかもしれない(Mendez Nature 2001, Kuersten Nature Genetics 2003, Hu Molecular Pharmacology 2002)。
接着結合または接着体タンパク質として、CTNNB1は、E−カドヘリン、APC、TCF、AXIN、GSK−3BおよびA−カテニンの結合複合体との、APCまたはWnt経路を通じた細胞シグナル伝達と関係がある。CTNNB1の機能のいくつかは、細胞間の接着の仲介および、その結果の正常な細胞の成長および習性の抑制を含み、胚形成、創傷治癒、および腫瘍転移を含む。後者は、部分的に、転写因子のT細胞ファミリー(TCF)との相互作用を解する転写における、CTNNB1の参画に関連する。安定化されたCTNNB1は、TCFと相互作用し、c−MYCおよびWAF1などの、下流の標的遺伝子の転写を活性化する(He Science 1998, Bieche Cancer Res 1999)。β‐カテニンの分解は、APCおよびセリン/スレオニンキナーゼGSK3βを含む多タンパク質複合体を必要とする(Behrens Ann N Y Acad Sci 2000)。腫瘍において、かかる分解を、CTNNB1遺伝子のエクソン3に典型的に関連する変異により阻害することができる(Behrens Ann N Y Acad Sci 2000)。
我々は、ここにおいて、とりわけ、癌およびその関連する新生物発生前の損傷、ならびにアルツハイマー病などの、β‐カテニン(CTNNB1)関連の障害の進行の、正確かつ迅速な診断およびモニタリングのための、新規の方法またはアッセイを記載する。特に、ある転写物および/またはタンパク質の発現および/または局在は、細胞サンプルの状態に診断的である。処置前および処置に平行するアセスメントツールとして有用な方法に加えて、本発明は、また、対象に有効量のCTNNB1治療、例えば本発明のスクリーニング方法により同定される化合物、を投与することによる処置(および予防)の方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、CTNNB1転写物変異体およびESCCおよび関連する新生物の新生物発達に関わる、MYCおよびWAF1などの下流の標的の発現の発現解析を含む。かかる態様、ならびに他の態様において、癌性であると疑いのあるところの、細胞を含むサンプルを、対象から採取してもよい。かかる癌性であるとの疑いのある対象からの細胞は、正常から新生物への進行の、任意の時点に存在してよい。例えば、かかる細胞は正常ではないが、異形成の兆候、または正常と新生組織形成の間の任意の他の病状を呈してもよい。
いくつかの態様において、癌細胞または代理細胞は、例えば、新生物発生前の扁平上皮、扁平上皮異形成、扁平上皮内癌、浸潤性食道扁平上皮癌、または任意の組織学的または細胞学的中間ステージであってよい。
いったん得られると、ここでの任意のアッセイの結果を、対象または健康管理の専門家に報告してもよく、例えば、かかる比率、レベル、細胞局在性、活性または関連などである。かかる健康管理の専門家は、それから、かかる情報を、診断するかまたはある処置計画が効果があるかもしれないという見込みを見極め、そしてそれから処置を開始するために用いてもよい。
効果のある結果の見込みの診断またはアセスメントに従い、かかる処置は、外科手術、局所治療(粘膜切除術、アルゴンプラズマ凝固、凍結療法)、セレン強化、セレコクシブ、化学放射線療法、フルオロウラシル(5−FU)、シスプラチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、デプシペプチド、フラボピリドール、メルファラン、およびデシタビンを含むが限定をしない、での化学療法を含んでもよい。対象に対するかかる適切な処置を当業者が決定してもよい。
癌に対する予防的処置を必要とする患者の同定は、当業者の能力および知識の範疇にある。進展しつつある、主題の方法により処置をできる癌のリスクにある患者の同定のための方法の確定は、医術において、家族歴、旅行歴および予定する旅行計画、対象患者における疾患状態の進展に関係がある危険因子の存在において評価される。当該分野の熟達した臨床医学者は、例えば、臨床試験、身体検査および病歴/家族歴/旅行歴を用いることにより、かかる候補患者を容易に同定することができる。
本発明は、さらに、ここに記載するスクリーニングアッセイにより同定される化合物、およびかかるアッセイを用いることによるかかる剤を作るための過程に関する。好ましい側面において、かかる化合物は、実質的に精製された、CTNNB1両方のものである。かかる化合物は、限定こそしないが、核酸、アンチセンス核酸、リボザイム、三重らせん、抗体、およびポリペプチド分子および無機または有機の小分子を含むことができる。それゆえ、1つの態様において、本発明は、ここに記載するスクリーニングアッセイの任意の1つの段階を含む方法により得られる化合物を含む。例えば、かかる化合物は、細胞、またはその分画(例えば、溶解物)を1つまたは2つ以上の候補分子に接触させる;およびかかる細胞中のCTNNB1分子の局在を同定する、または他のここに記載するパラメーターの1つを決定する、ことを含む方法により得られる。
いったん試験化合物を、本発明のスクリーニング方法により適切な活性を有すると同定すると、かかる試験化合物にさらに、例えば、CTNNB1関連癌CTNNB1治療的としてのその活性を確認するための動物モデルにおいて、さらなる試験を実施ことができる。かかる試験化合物を、また、その所望の活性を確認するために、細胞ベースまたは動物アッセイにおいてパラメーターの1つを調節する周知の化合物に対して、試験をすることができる。かかる同定した化合物を、また、かかる化合物の投与に関係があるであろう、その毒性、または副作用を決定するために、試験をすることができる。代わりに、ここで記載により同定する化合物を、かかる化合物の作用の機構を決定するために、動物モデルにおいて用いることができる。
特有の態様において、本発明は、CTNNB1の異常な細胞内局在性を特徴とする、疾患または障害を処置するための方法を提供する。かかる方法は、かかる疾患または障害を有する対象に、CTNNB1の書くの局在を低減する分子および薬学的に受容可能な搬送体を含む組成物を投与することを含む。かかる対照は、好ましくは、限定こそしないが、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イウなどの動物を含む動物であり、好ましくは哺乳類、そして最も好ましくはヒトである。特定の態様において、非ヒトの哺乳類がかかる対照である。
なお、さらなる態様において、請求の範囲の発明の方法は、対象の処置または状況の経過をモニターするために用いてもよい。対象のモニタリングを、「処置の開始時期のあと」にまたはCTNNB1関連癌治療を施したあとの時間の適当な期間後、例えば、2時間、4時間、8時間、12時間、または72時間、数週間、または数ヶ月後に取りかかる。この処置後のモニタリングの期間に、かかる比率、レベル、および/または細胞局在の1つまたは2つ以上を、再び決定してもよい。CTNNB1関連転写物またはタンパク質の比率、レベル、および/または細胞局在の1つまたは2つ以上の変調は、抗癌処置の効果を示すかもしれない。CTNNB1関連転写物またはタンパク質の比率、レベル、および/または細胞局在の1つまたは2つ以上を、処置の期間中、周期的に決定してもよい。例えば、CTNNB1関連転写物またはタンパク質の比率、レベル、および/または細胞局在の1または2つ以上を、処置の更なる効果を見極めるために、数時間毎、数日毎または数週間毎に確認してもよい。かかる記載する方法を、CTNNB1関連治療での処置から益を得るかもしれない患者を選別するまたは選択するために用いてもよい。
処置の開始時期は、CTNNB1関連癌処置の定常状態の血漿または細胞濃度を達成するために必要とされる時間であってよい。かかる開始時期は、また、CTNNB1関連転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上における変調を達成する時間であってよい。
対象の処置は、CTNNB1癌処置のCTNNB1の治療的な有効量の1つ以上の投与を施すことを伴ってもよい。投与期間において、CTNNB1関連転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上のレベル、CTNNB1関連癌処置での処置の第2の期間後の腫瘍において決定することが望ましいかもしれない。このことは、対象に対してそれが効果があり続けるかどうかを決定するために、処置経過をどのようにしてモニターするかの一例である。かかる処置をモニターするとき、処置前または処置後のCTNNB1関連転写物またはタンパク質の比率、レベル、または細胞局在の1つまたは2つ以上を、CTNNB1関連転写物またはタンパク質の標準の比率、レベル、または細胞局在に対して比較することは望ましいかもしれない。
処置は、付加的なCTNNB1治療剤の投与または処置様式(食道切除術、粘膜切除術、放射線治療、化学治療または免疫治療)もまた伴ってもよい。
さらなる態様において、ここに記載する方法において特別に有用な成分を含むキットを含む。本発明において意図される、かかる型のキットの1例は、CTNNB1を目的とする治療に対する対象の反応を決定するためのキットである。対象におけるCTNNB1を目的とする治療に対する反応を決定するためのかかるキットは、1つまたは2つ以上のかかるパラメーターを決定する、少なくとも2つの試薬を含んでもよい。
本発明によるキットは、プライマー、ポリメラーゼ、抗体、緩衝液、および/または標識を含む試薬を、含んでもよい。かかるキットは、また、顕微鏡スライド、反応容器、試薬および物質、およびかかるアッセイから生成されるデータをいかに解釈するかのための使用説明書を含んでもよい。例えば、16A、16B、cMYCまたはWAF1転写物の増幅のためのPCRプライマーを、含んでもよい。CTNNB1タンパク質を同定するための抗体を、また、かかるキットに含んでもよい。
CTNNB1関連の方法を実践するにおいて有用な組成物
タンパク質およびヌクレオチド
本発明において記載するCTNNB1関連の方法は、CTNNB1関連タンパク質のレベルを利用するか測定してもよい。かかるCTNNB1関連タンパク質は、天然発生、合成または天然での組み換え体であってよい。
本発明の組み換えポリペプチドを、発現系を含む遺伝子工学的宿主細胞から、当該分野で周知の過程により調製してもよい。それゆえ、さらなる側面において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類を含む発現系、かかる発現系を有する遺伝子工学的な宿主細胞、および組み換え技術による本発明のポリペプチドの産物に関する。細胞のない翻訳系を、また、本発明のDNA構築に由来するRNAを用いるかかるタンパク質を産生するために採用してもよい。
組み換え体の作製のために、本発明のポリヌクレオチドに対して、発現系またはその位置部位を組み込むために、遺伝子的に操作をしてもよい。ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入を、多くの標準的実験室マニュアル、例えばDavis et al., Basic Methods in Molecular Biology (1986)およびSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (1989)などに記載の方法により、有効とすることができる。好ましいかかる方法は、例えば、リン酸カルシウム導入、DEAE‐デキストラン媒介導入、トランスベクション(transvection)、顕微注入、カチオン脂質‐媒介導入、スクレープローディング(scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)または感染を含む。
「タンパク質」および「ポリペプチド」の用語を、ここでは相互に用いる。「ペプチド」という用語は、ここでは、アミノ酸またはアミノ酸類似体(非天然発生アミノ酸を含む)であって、アミノ酸がペプチド(−NHCO−)結合により結合するものを示す。そのため、本発明のペプチドは、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ミメトープ(mimetopes)およびペプチド模倣薬を含む。ミメトープおよびペプチド模倣薬を調製するための方法は、当該分野において公知である。
「ミメトープ」および「ペプチド模倣薬」の用語を、ここでは相互に用いる。化合物Xの「ミメトープ」は、Xの機能活性のために必要なXの化学構造が、Xの配座を擬態する他の化学構造で置換される化合物を示す。ペプチド模倣薬の例は、ペプチド骨格が1つまたは2つ以上のベンゾジアゼピン分子で(置換されるペプチド分子例えば、James, G.L. et al. (1993) Science 260:1937-1942を参照のこと)および「レトロインバーソ(retro-inverso)」ペプチド (U.S. Patent No. 4,522,752 to Sistoを参照のこと)を含む。「ミメトープ」および「ペプチド模倣薬」の用語は、また、天然発生アミノ酸以外の、かかるペプチドの機能でのかなりの程度に不都合な干渉をすることなく、ペプチド含有化合物において特有のアミノ酸に対する置換としての、立体配座性および機能的役割を果たす、部分を示す。アミノ酸模倣薬の例は、D−アミノ酸を含む。1つまたは2つ以上のD−アミノ酸で置換したペプチドを、周知のペプチド構成手順を用いて作製してもよい。付加的な置換体は、官能基に変異側鎖、例えば、b−シアノアラニン、カナバニン、ジエンコル酸、ノルロイシン、3−ホスホセリン、ホモセリンなどをを有するアミノ酸類似体を含む。
好ましいアミノ酸は、天然発生のアミノ酸、ならびに合成誘導体、および、タンパク質、例えばカゼインなどのタンパク質、例えばカザミノ酸、または例えば酵母の合成又は化学的消化物、動物産物、例えば、肉消化物、または植物産物、例えば、大豆タンパク質、綿実タンパク質、またはコンースティープリカー、に由来するアミノ酸を含む(例えば、Traders' Guide to Fermentation Media, Traders Protein, Memphis, TN (1988)、Biotechnology: A Textbook of Industrial Microbiology, Sinauer Associates, Sunderland, MA (1989)、およびProduct Data Sheet for Corn Steep Liquior, Grain Processing Corp., 10を参照のこと)。
「天然発生のアミノ酸」の用語は、生物系におけるほとんどのポリペプチドを一般的に含む任意の20のアミノ酸残基、繊維性タンパク質において見られる希少なアミノ酸(例えば、4−ヒドルキシ(hydorxy)プロリン、5−ヒドロキシリシン、−N−メチルリシン、3−メチルヒスチジン、イソデスモシン)、およびタンパク質において見られない天然発生のアミノ酸(例えば、−アラニン、−アミノブチル酸、ホモシステイン、ホモセリン、シトルリン、オルニチン、カナバニン、ジエンコル酸、および−シアノアラニン)を含む。
本発明の核酸およびタンパク質配列を、さらに、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連する配列を同定するために、公的データベースに対して検索を実行するための、「クエリー配列」として用いることができる。かかる検索を、Altschul, et al. (1990) J. MoI. Biol. 215:403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて実行することができる。BLASTヌクレオチド検索を、本発明のNIP2b、NIP2cL、およびNIP2cS核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、score = 100、wordlength = 12で実施することができる。BLASTタンパク質検索を、本発明のNIP2b、NIP2cL、およびNIP2cSタンパク質分子を得るために、XBLASTプログラム、score = 50, wordlength = 3で実施することができる。比較目的のための、ギャップした配列を得るために、Gapped BLASTをAltschul et al, (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載するように利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用するとき、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)の初期設定パラメーターを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。
配列類似性の検索を、また、手作業で、または当業者に公知のいくつかの利用可能なコンピュータープログラムを用いて、実施することができる。好ましくは、利用可能であって、当業者に公知の、Blast and Smith- Watermanアルゴリズムであり、および同様のものも用いることができる。Blastは、NCBIの配列の類似性の検索ツールであって、ヌクレオチドおよびタンパク質配列データベースの解析を支援するように作られている。GCGパッケージは、Blastの局所のバージョンを提供し、公的ドメインデータベースまたは任意の局所の利用可能な検索可能データベースのいずれかとともに用いることができる。GCGパッケージv9.0は、市販のソフトウェアパッケージであり、100を超える相互関連するソフトウェアプログラムを含有し、配列の解析を、それらを編集、マッピング、比較および並べることにより、可能にする。GCGパッケージに含まれる他のプログラムは、例えば、RNA第2構造の予測、拡散断片の組み立て、および変遷の解析を容易にするプログラムである。加えて、多くの卓越した遺伝子データベース(GenBank、EMBL、PIR、およびSWISS−PROT)はGCGパッケージとともに配布され、データベース検索および取り扱いプログラムとともに利用可能である。GCGにはインターネット、例えば、http://www.gcg.com/を通じてアクセスできる。
FetchはGCGにおいて利用可能なツールであり、註釈付けされた寄託番号に基づくGenBank記録を得ることができ、Entrezに類似する。他の1つの配列類似性検索を、PangeaからのGene WorldおよびGene Theasaurusで実施することができる。Gene World2.5は、自動化された、フレキシブルな、高処理能力の、ポリヌクレオチドおよびタンパク質配列の解析のためのアプリケーションである。Gene Worldにより、配列の自動解析および註釈付けが可能となる。GCGのように、Gene Worldは、配列同一性検索、遺伝子解析、多配列アラインメント、二次構造予測、およびモチーフ同定もためのいくつかのツールを組み込む。GeneThesaurus 1.0(登録商標)は、複数のソースから情報を提供する、配列および注釈データ登録サービスで、公衆およびローカルデータに対する関係データモデルを提供する。
他の代替の配列類似性検索を、例えば、BlastParseにより実施することができる。BlastParseはUNIX(登録商標)プラットフォーム上で実行するPERLスクリプトであって、上記の方法を自動化する。BlastParseは目的の標的とする寄託番号のリストを獲得し、全てのGenBankのフィールドを、簡便な検索および解析のための「関係型データベース」に保存することができる、「タブ区切り」テキストへと解析し、柔軟性を提供する。かかる最終結果は、簡便に蓄積、フィルター、およびクエリーできる、一連の解析されたGenBankレコード、ならびに注釈関係型データベースである。
抗体
特定のCTNNB1関連タンパク質に結合する抗体は、また、本発明の組成物の調製または方法において、有用である。当該分野で公知のさまざまな方法を、CTNNB1、CTNNB1ファミリーメンバーまたはその任意のサブユニットに対する抗体、またはCTNNB、または断片、誘導体、同族体または類似体のタンパク質の作製のために用いてもよい。本発明の抗体は、限定こそしないが、合成抗体、モノクローナル抗体、組み換え作成抗体、細胞内発現抗体(intrabodies)、多特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、一本鎖Fv(scFv)(二重特異性scFvを含む)、一本鎖抗体Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、および抗イディオタイプ(anti−Id)抗体、ならびに上記の任意のエピトープ結合断片を含む。特に、本発明の抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な一部位、例えば、抗原に免疫特異的に結合する抗原を含む分子(例えば、抗体の、1つまたは2つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。
抗体の作製のために、さまざまな宿主動物を、例えば、天然CTNNB1タンパク質または合成バージョン、または前述の誘導体での注射により、免疫賦与することができる。かかる宿主動物は、限定こそしないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含む。さまざまなアジュバントを、宿主の種に依存して、免疫学的反応を上昇させるために用いることができ、限定こそしないが、フロイント(完全および不完全)、ミネラルゲル、例えば水酸化アルミニウムなど、表面活性物質、例えばリゾレシチンなど、プルロニックポリオール、多価陰イオン、ペプチド、油乳剤、ジニトロフェノール、および潜在性に有用なヒトアジュバント、例えば、bacille Calmette-Guerin(BCG)およびCorynebacterium parvumなど、を含む。以下においては、CTNNB1に特異的に述べるが、ここに記載する任意の方法は、CTNNB1、CTNNB1ファミリーメンバーまたはそのサブユニットに同等に、またはCTNNB1に適応する。
CTNNB1あるいはその誘導体、断片、同族体または類似体を対象とするモノクローナル抗体の調製のために、培養中の連続継代細胞系による抗体分子の作製のために提供する任意の技術を用いてもよい。かかる技術は、制限こそしないが、KohlerおよびMilsteinによって最初に開発されたハイブリドーマ技術(1975, Nature 256:495-497)、トリオーマ技術(Gustafsson et al, 1991, Hum. Antibodies Hybridomas 2:26-32)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al、1983、Immunology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル交代を産生するEBVハイブリドーマ技術(Cole et al, 1985, In: Monoclonal Antibodies and CancerTherapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)を含む。本発明の付加的な態様において、国際特許出願PCT/US90/02545に記載される近年の技術を利用して、無菌状態の動物において産生することができる。
本発明によって、ヒト抗体を用いてもよく、ヒトハイブリドーマ技術を用いることにより(Cote et al, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030)または in vitroでEBVウイルスでヒトB細胞をトランスフェクトすることにより(Cole et al, 1985, In: Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)、得ることができる。実際、本発明によると、CTNNB1特異的なマウス抗体分子からの遺伝子を適切な生物学的活性のヒト抗体分子からの遺伝子とともにスプライシングすることによる、「キメラ抗体」の作製のために開発された技術(Morrison et al, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855; Neuberger et al, 1984, Nature 312:604-608; Takeda et al, 1985, Nature 314:452-454) を、用いることができ;かかる抗体は、本発明の範疇内にある。
本発明によると、一本鎖抗体の作製のために記載された技術(米国特許4,946,778)を、CTNNB1特異性抗体の産生に適応させることができる。本発明の付加的な態様は、Fab発現ライブラリーの構築のために記載された技術(Huse et al, 1989, Science 246:1275-1281)を用い、モノクローナルFab断片の、所望の特異度での、CTNNB1タンパク質、その誘導体または類似体との迅速および簡便な同定をできるようにする。非ヒト抗体を、公知の方法により「ヒト化」することができる(例えば、米国特許第5,225,539号)。
CTNNB1のイディオタイプを含有する抗体断片を、当該分野で公知の技術により生成することができる。例えば、かかる断片は、限定こそしないが、抗体分子のペプシン消化により産生されるF(ab’)2断片;かかるF(ab’)2断片のジスルフィド結合を還元することにより生成されるFab’断片;抗体分子をパパインで処置して剤を還元することにより生成されるFab断片;およびFv断片を含む。合成抗体、例えば、化学合成により産生される抗体は、本発明において有用である。
抗体の作製において、所望の抗体のためのスクリーニングを、当該分野で公知の技術、例えばELISA(酵素免疫測定)により、成し遂げることができる。CTNNB1、またはその類似体、同族体、または類似体の特有のドメインに特異的な抗体を選択するために、かかるドメインを含む、CTNNB1タンパク質、またはその誘導体、同族体、または類似体の断片に結合する産物のために生成されたハイブリドーマをアッセイしてもよい。
ここで用いる、「エピトープ」は、B細胞および/またはT細胞表面抗原受容体により認識される(例えば、特異的に結合する)、ポリペプチドの一部位である。エピトープを周知の技術、例えばPaul, Fundamental Immunology, 3rd ed., 243- 247 (Raven Press, 1993)において要約されるもの、およびそこで引用される引例を用いて一般的に同定してもよい。かかる技術は、天然ポリペプチド由来のポリペプチドを、抗原特異性抗血清および/またはT細胞系またはクローンとの反応する能力に対しての、スクリーニングを含む。ポリペプチドのエピトープは、全長ポリペプチドの反応に類似するレベルのかかる抗血清および/またはT細胞と反応する一部位である。かかる選別は、一般的に、通常の知識を有する当業者に周知の方法を用いて実施してもよく、例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988に記載されるものである。B細胞およびT細胞エピトープを、また、コンピューター解析を介して予測してもよい。腫瘍組織において好ましく発現するポリペプチドのエピトープを含むポリペプチドは、本発明の範疇内にある。
CTNNB1 mRNAを標的とするRNAi組成物
本発明は、腫瘍形成に関連する、CTNNB1の発現を阻害することによる、癌の処置および管理に、一般的に関連する。つまり、本発明の1つの態様は、癌細胞の増殖を抑圧する方法を対象とし、CTNNB1遺伝子の合成または発現を阻害する化合物を有する細胞を、かかる阻害を引き起こすための十分量で含有することを含む。理論に限定されることなく、かかる阻害を、CTNNB1DNAまたはmRNAを選択的に標的とすることを通じて、例えば、CTNNB1遺伝子の複製、転写、スプライシングまたは翻訳の任意の段階を遅滞させることにより、達成する。かかるCTNNB1の配列は、GenBank寄託番号NM_001904(配列番号5)において開示され、その全体をここに引例として組み入れる。
RNAiを、二本鎖RNA(dsRNA)が動物または植物細胞におけるmRNAにおける相同なmRNAの配列特異的な分解を誘発するに際して、顕著に効率的な過程である(Hutvagner and Zamore (2002), Curr. Opin. Genet. Dev., 12, 225-232;Sharp (2001), Genes Dev., 15, 485-490)。哺乳類細胞において、RNAiは低分子干渉RNA(siRNA)の21ヌクレオチド(nt)二本鎖により(Chiu et al. (2002), MoI. Cell., 10, 549-561;Elbashir et al. (2001), Nature, 411, 494-498)、またはミクロRNA(miRNA)、機能性小ヘアピンRNA(shRNA)、またはRNAポリメラーゼIIIプロモーターでのDNAテンプレートを用いた、in-vivoで発現する他のdsRNAにより(Zeng et al. (2002), MoI. Cell, 9, 1327-1333;Paddison et al. (2002), Genes Dev., 16, 948-958;Lee et al. (2002), Nature Biotechnol., 20, 500-505;Paul et al. (2002), Nature Biotechnol., 20, 505-508;Tuschl, T. (2002), Nature Biotechnol., 20, 440-448;Yu et al. (2002), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99(9), 6047-6052;McManus et al. (2002), RNA, 8, 842-850;Sui et al. (2002), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99(6), 5515- 5520.)、トリガーとすることができる。
本発明は、「低分子干渉RNA分子」(「siRNA分子」または[siRNA])、かかるsiRNA分子を作製する方法およびかかるsiRNA分子を用いるための方法(例えば、研究および/または治療的方法)を特色とする。本発明のsiRNA分子は、センス鎖および相補的なアンチセンス鎖からなる二本鎖であり、かかるアンチセンス鎖はRNAiを仲介する標的mRNAに対して十分な相補性を有する。好ましくは、かかる鎖は、1つ、2つまたは3つの残基のオーバーハングが、鎖がアニールされるとき二本鎖の一端または両端において発生するように、配列しない(例えば、対立鎖に相補的な塩基対が発生しないような)鎖の端に、少なくとも1つ、2つまたは3つの塩基があるように配列する。
好ましくは、かかるsiRNA分子は、約10〜50からのまたはより多くのヌクレオチドの長さを有し、例えば、それぞれの鎖は、10〜50のヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)を有する。より好ましくは、かかるsiRNA分子は、約16〜30からの長さ、例えば、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のヌクレオチドをそれぞれの鎖に有し、そこにおいて鎖のうちの1つは、標的領域、野生型および変異対立遺伝子との間に少なくとも1塩基異なる標的領域など、例えば、機能獲得型変異を含む標的領域に実質的に相補的であり、例えば、少なくとも80%(もしくは、より多く、例えば、85%、90%、95%、または100%)相補的であり、2、1、または0のミスマッチのヌクレオチド有し、そして他の鎖は第1の鎖に同一であるか、実質的に同一である。低分子干渉RNA分子。
1つの態様において、CTNNB1の発現を、RNAiと称されるRNA干渉技術を用いることにより、阻害する。RNAiにより、標的遺伝子の選択的ノックアウトを、大いに能率的および特異的な方法で行うことができる。この技術は、標的遺伝子のエクソンの一部位に対応する配列を有する、二重鎖RNA(dsRNA)の細胞への導入に関連する。かかるdsRNAにより、標的遺伝子のmRNAの急速な破壊を引き起こす。例えば、Hammond et al., Nature Rev Gen 2: 110-119 (2001);Sharp, Genes Dev 15: 485-490 (2001)を参照、ここにおいてその両方を引例として、その全体を組み入れる。
RNAi技術の成功的使用のための方法および手順は、当該分野で周知であり、例えば、Waterhouse et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95(23): 13959-13964 (1998)に記載される。本発明のsiRNAは、CTNNB1 mRNAの選択分解を調節できる任意のsiRNAを包含する。
本発明のsiRNAは、「二本鎖低分子干渉RNA分子」(「ds−siRNA」)および「一本鎖低分子干渉RNA分子」(「ss−siRNA」)、siRNA分子を作製する方法およびかかるsiRNA分子を用いるための方法(例えば、研究および/または治療的方法)を含む。
かかるds−siRNAと同様に、かかるss−siRNA分子は、約10〜50以上ヌクレオチドからの長さを有する。より好ましくは、かかるss−siRNA分子は、約15〜45ヌクレオチドからの長さを有する。さらに好ましくは、かかるss−siRNA分子は、約19〜40ヌクレオチドからの長さを有する。本発明のss−siRNA分子は、さらに、ここに定義する、標的特異的なRNA干渉(RNAi)を目的とする標的mRNA配列に対して「十分相補的」な配列を有し、例えば、かかるss−siRNA配列は、RNAi機構または処理により標的mRNAの破壊のトリガーとするために十分な配列を有する。かかるss−siRNA分子は、それぞれの残基が標的分子中の残基に相補的となるように設計することができる。代わりに、置換物を分子内に作成でき、安定性を上昇させ、および/またはかかる分子の処理活性を増強させる。置換物を鎖内に作成することができるか、鎖の末端の残基に作製することができる。かかる5’末端は、最も好ましくは、リン酸化(例えば、リン酸基、二リン酸基、または三リン酸基を含む)されている。かかる活性剤がss−siRNA分子であるときは、3’水酸基である必要はないので、siRNAの3’末端は、RNAiを手助けするために水酸基であってよい。特徴があるのは、かかる3’末端(例えば、かかる3’糖のC3)が水酸基を欠くss−siRNA分子(例えば、かかる3’糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)における3’ヒドロキシルまたはC3位ヒドロキシルを欠く、ss−siRNA分子)である。
本発明のsiRNAは、その糖‐リン酸塩骨格またはヌクレオシドへの修飾を含む。かかる修飾を、選択的遺伝子阻害を促進するようにできるところ、ある細胞においてsiRNAにより生成されると報告される、一般的なパニック反応を避ける。さらに、修飾を塩基中に導入することができ、siRNAを1つまたは2つ以上の内因性酵素の反応から保護する。
本発明のsiRNAを、酵素的に産生できる、あるいは全体的にまたは部分的に合成できる。さらに、本発明のsiRNAを、in vivoまたはin vitroで合成できる。生物学的に合成するsiRNAのために、内因性またはクローン化外因性RNAポリメラーゼを、in vivoでの転写のために用いてもよく、およびクローン化RNAポリメラーゼをin vitroで用いてもよい。化学的にまたは酵素的に合成されるsiRNAを、細胞への導入に先立って好ましく精製する。
siRNAおよび標的領域の間の100%の配列同一性が好ましいが、本発明を実践するために必要というわけではない。配列において、ある程度の修飾を含むsiRNA分子を、また、本発明の目的のために適切に用いることができる。かかる修飾は、限定こそしないが、自発的発生であれ、意図した導入であれ、変異、欠失または挿入を含む。CTNNB1発現の阻害のために用いることができるsiRNAの特定の例を、詳細には例5で記載する。
siRNAにより導かれる、標的RNA切断反応は、大いに配列特異的である。概して、標的遺伝子の一部位に同一であるヌクレオチド配列を含有するsiRNAが、阻害のために好ましい。しかしながら、かかるsiRNAおよびかかる標的遺伝子の間の100%配列同一性を、本発明の実践のために必要としない。そのため、本発明は、遺伝子変異、種の多型、または進化的分岐により予期される配列変化を寛容できるという利点を有する。例えば、標的配列に相対する挿入、欠失、および単一点突然変異のあるsiRNA配列は、また、阻害のために効果的であると見出されてきた。代わりに、ヌクレオチド類似体置換物または挿入のあるsiRNA配列が、阻害のために効果的でありうる。
さらに、siRNAの全ての部位が、標的認識に等しく貢献するわけではない。siNA中心におけるミスマッチは、最も危機的であり、標的RNA切断を本質的に駄目にする。対照的に、siRNAの3’ヌクレオチドは、標的認識の特異性に重大には寄与しない。特に、かかる標的RNAに相補的なsiRNA配列の残基3’(例えば、ガイド配列)は、標的RNA切断に対して決定的ではない。
配列同一性を、当該分野で公知の配列比較および配列アルゴリズムにより決定してよい。2つの核酸配列(または2つのアミノ酸配列)のパーセント同一性を決定するために、かかる配列を最適な比較目的のために並べる(例えば、最適な配列のために、ギャップを第1の配列または第2の配列へと導入できる)。対応するヌクレオチド(またはアミノ酸)部位におけるヌクレオチド(またはアミノ酸配列)を、それから比較する。第1の配列におけるある部位が、第2の配列における対応する部位として同じ残基により占拠されるとき、そのとき、かかる分子はその部位において同一である。2つの配列の間のパーセント同一性は、かかる配列により共有される同一部位の数の関数(例えば、%同一性=同一の部位数/全体の部位数×100)であり、随意に導入されたギャップの数および/または導入されたギャップの長さに対するスコアを不利にする。
配列の比較および2つの配列の間のパーセント同一性の決定を、数学的アルゴリズムを用いて成し遂げることができる。1つの態様において、かかる配列を、十分な同一性を有する、並んだ配列のある一部位にわたって作成するが、低度の同一性を有する一部位(例えば、局所的配列)にわたっては作成しない。配列の比較のために利用する、局所的配列アルゴリズムの、好ましい、非限定的な例は、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77でのように修飾される、Karlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムを、Altschul, et al. (1990) J. MoI. Biol. 215:403-10のBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み入れる。
他の1つの態様において、かかる配列を、適切なギャップを導入することにより最適化し、パーセント同一性を並べた配列(例えば、ギャップ化配列)の全長にわたって決定する。比較目的のためにギャップ化配列を得るために、ギャップ化BLASTをAltschul et al., (1997) Nucleics Res. 25(17):3389-3402に記載されるように利用することができる。他の1つの態様において、かかる配列を適切なギャップを導入することにより最適化し、パーセント同一性を並べた配列(例えば、グローバル配列)の全長にわたって決定する。配列の全体的な比較のために利用される数学的アルゴリズムの、好ましい、非限定の例は、Myers and Miller, CABIOS (1989)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムを、GCC配列配向ソフトウェアパッケージの一部分である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れる。アミノ酸配列の比較のためにALIGNプログラムを利用するとき、PAM120重量残基テーブル、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4を用いることができる。
かかるsiRNAおよびかかる標的遺伝子の一部位の間の、90%より大きな配列同一性が、例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%でさえ、好ましい。代わりに、かかるss−siRNAを、標的遺伝子転写物(例えば、400nM NaCl、40 mM PIPES pH 6.4、1 mM EDTA、12〜16時間の50℃または70℃のハイブリダイゼーション;次いで洗浄)の一部位とハイブリダイズできるヌクレオチド配列(またはオリゴヌクレオチド配列)として、機能的に定義してもよい。さらなる好ましいハイブリダイゼーション状態は、1×SSC中70℃でのまたは1×SSC中50℃での、50%ホルムアミド次いで0.3×SSC中70℃洗浄でのハイブリダイゼーションまたは4×SSC中70℃または4×SSC中50℃、50%ホルムアミド次いで1×SSC中67℃での洗浄のハイブリダイゼーションを含む。長さで50塩基ついより少ないことが予期されるハイブリッドのためにハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融点(Tm)より5〜10℃低くあるべきで、Tmを以下の等式により決定する。
長さで18塩基対より少ないハイブリッドに対し、Tm(℃)=2(A+T塩基の数)+4(G+C塩基の数)。長さで18〜49塩基対の間のハイブリッドに対し、Tm(℃)=81.5+16.6(logl0[Na+])+0.41(% G+C)−(600/N)であって、式中、Nはかかるハイブリッドにおける塩基の数であり、[Na+]はハイブリダイゼーション緩衝液におけるナトリウムイオンの濃度(1×SSC=0.615Mに対する[Na+])である。ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションのためのストリング状態の付加的な例が、Sambrook, J., E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., chapters 9 and 11、およびCurrent Protocols in Molecular Biology, 1995, F. M. Ausubel et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., sections 2.10 and 6.3-6.4において提供され、ここに引例として組み入れる。かかる同一ヌクレオチド配列の長さは、少なくとも約10、12、15、17、20、22、25、27、30、32、35、37、40、42、45、47または50塩基であってよい。
好ましい側面において、本発明のRNA分子を、細胞培養のための血清または増殖媒体中での安定性を改善するために修正してもよい。かかる安定性を増強するために、3’残基を分解に対し安定化してもよい、例えば、それらを、プリンヌクレオチド、特にアデノシンまたはグアノシンヌクレオチドからなるように、選択してもよい。代わりに、ピリミジンヌクレオチドの修飾類似体による置換物、例えばウリジンの2’−デオキシチミジンによる置換物は耐容され、かかるRNA干渉の効率に影響しない。例えば、2’ヒドロキシルの不存在は、組織培養媒体におけるsiRNAのヌクレアーゼ抵抗力を顕著に増強するかもしれない。
本発明の態様において、かかるRNA分子は、少なくと も1つの修飾したヌクレオチド類似体を含んでもよい。かかるヌクレオチド類似体は、標的特異的な活性、例えばRNAi媒介活性が実質的に影響しない部位、例えば、RNA分子の5’‐末端および/または3’−末端の領域に配置してもよい。特に、かかる末端を、修飾ヌクレオチド類自体に組み込むことにより、安定化する。
好ましいヌクレオチド類似対は、糖‐および/または骨格修飾リボヌクレオチドを含む(例えば、リン酸塩‐糖骨格への修飾を含む)。例えば、天然RNAのホスホジエステル連鎖を修飾し、少なくとも1つの窒素または硫黄のヘテロ原子を含むようにしてもよい。好ましい骨格修飾リボヌクレオチドにおいて、リボヌクレオチドに隣接して接続するリン酸エステル基を、例えばホスホチオアート基の、修飾基で置換してもよい。好ましい糖修飾リボヌクレオチドにおいて、かかる2’−OH基を、RがC1〜6アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびhaloをF、Cl、BrまたはIであるような、H、OR、R、halo、SH、SR、NH2、NHR、NR2またはONから選択する基で置換する。
同様に好ましいのは、核酸塩基修飾リボヌクレオチド、例えば、天然発生の核酸塩基の代わりに少なくとも1つの非天然発生の核酸塩基を含有するヌクレオチドである。塩基を、アデノシンデアミナーゼの活性を阻害するように修飾してもよい。例となる修飾核酸塩基は、限定こそしないが、5−部位で修飾したウリジンおよび/またはシチジン、例えば、5−(2−アミノ)ウリジン、5−ブロモウリジン;8部位で修飾したアデノシンおよび/またはグアノシン、例えば、8−ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば、7−デアザ−アデノシン;O−およびN−アルキル化ヌクレオチド、例えば、6−メチルアデノシンを含み、適合する。注目すべくは、上記の修飾を混合してもよい。
本発明の核酸組成物は、ここに記載するsiRNAおよびsiRNAの誘導体の両方を含む。例えば、架橋を、かかる組成物の薬物動態を変更するために、例えば、体内での半減期を上昇させるために、採用することができる。そのため、本発明は、2つの鎖が架橋するようになっている、2つの相補的な鎖の核酸を有するを含むsiRNA誘導体を含む。本発明は、また、その3’末端(例えば、ペプチド)、有機組成物(例えば、染料)、またはその類に結合する、非核酸部分を有するsiRNA誘導体を含む。このようにしてsiRNA誘導体を修飾することにより、対応するsiRNAと比較して細胞摂取を改善するかまたは生じるsiRNA誘導体の活性の細胞標的活性を増強するか、または対応するsiRNAと比較してsiRNA誘導体の安定性を改善してもよい。
CTNNB1 DNAまたはmRNAを標的とするための、他の組成物
アンチセンス分子は、転写、スプライシングおよび翻訳のさまざまな段階において、作用することができ、標的遺伝子の発現を阻害する。理論に限定されることなく、アンチセンス分子は、三重鎖を形成することにより転写の開始を阻害することにより、RNAポリメラーゼ結合部位にハイブリッドを形成することにより転写を遅滞させることにより、エクソンとイントロンの接合点またはスプライセオソーム形成部位においてハイブリダイズすることでスプライシングを抑制することにより、ハイビリダイゼーションにより核から細胞質へのmRNAの転座を遮断することにより、翻訳開始因子結合部位またはリボソーム結合部位でのハイブリダイズにより翻訳を抑制することにより、mRNAのコード領域またはポリソーム結合部位とのハイブリダイズによりペプチド鎖の延長を阻害することにより、または、核酸とタンパク質の間の相互作用の部位におけるハイブリダイズにより遺伝子発現の抑制することにより、標的遺伝子の発現を阻害することができる。
本発明のアンチセンスヌクレオチドは、修飾糖−ホスホジエステル骨格または他の糖連鎖を有するオリゴヌクレオチドを含み、エンドヌクレアーゼのアタックに対する安定性を提供することができる。本発明は、また、共有結合的に有機のまたは他の部分に付着し標的核酸配列に対する親和性を上昇させる、アンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。限定こそしないが、挿入剤、アルキル化剤、および金属錯体などの剤を、また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドさに付着させることができ、その結合特異性を修飾する。
好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌細胞へと導入するとき、少なくともCTNNB1 mRNAの部分に配列相補性を有するRNA分子、例えば、16A/16Bスプライス変異体に相補的なオリゴヌクレオチドへと転写するcDNAである。
リボザイムは酵素的RNA分子であり、RNAの特定の切断に触媒作用を及ぼすことができる。リボザイムのかかる特徴は当該分野で周知である。例えば、その全体をここに引例として組み入れる、Rossi, Current Biology 4: 469-471 (1994)を参照のこと。理論に限定されることなく、リボザイム作用の機構は、リボザイム分子の相補的標的RNAに対する配列特異的なハイブリダイゼーション、それに次ぐエンドヌクレアーゼ的切断に関連する。リボザイム分子の組成物は標的遺伝子mRNAに相補的な1つまたは2つ以上の配列を含まなければならず、そしてmRNA切断に関与する周知の触媒配列を含まなければならず、それは米国特許番号5,093,246号に開示され、その全体をここに引例として組み入れる。標的mRNAの配列が公知である場合、制限酵素様リボザイムを、標準の技術を用いて調製することができる。
かかるCTNNB1遺伝子の発現を、また、三重らせん形成を用いることにより、阻害できる。転写阻害のための三重らせん形成において用いられる核酸分子は、一本鎖であり、デオキシヌクレオチドから成るべきである。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成物は、Hoogsteen塩基ペアリングルールを解して三重らせん形成を推進させるようになっていなければならず、一般的に二本鎖の1つの鎖上に存在するプリンかピリミジンのいずれかの相当のストレッチを必要とする。ヌクレオチド配列はピリミジンベースであってよく、生じる三重らせんの3つの結びついた鎖にわたるTATおよびCGC+トリプレットを生じるであろう。かかるピリミジンが豊富な分子は、その鎖に対して平行配向である2本鎖の一本鎖のプリンが豊富な領域に対して相補的な塩基を提供する。加えて、プリンが豊富な、例えばG残基のストレッチを含有する、核酸分子を、選択してもよい。これらの分子は、GC対が豊富なDNA二本鎖と三重らせんを形成し、そこにおいてプリン残基の大多数を標的二本鎖の一本鎖上に配置し、かかるトリプレット中に3つの鎖にわたるGGCトリプレットを生じる。
代わりに、三重らせん形成を標的とすることができる潜在的配列を、いわゆる「スイッチバック」核酸分子を作成することにより上昇させてもよい。スイッチバック分子を、二本鎖の最初の1つの鎖そして次に他の鎖とのペアーに基づき、二本鎖の1つの鎖上に存在するプリンまたはピロリジンのいずれかの相当なストレッチに対する必要性を除外するような、5’−3’、3’−5’の様式で、合成する。
CTNNB1のかかる発現を、また、「共抑制」と称されるものにより阻害することができる。共抑制は、標的配列に対して同一または類似を有する遺伝子を細胞に導入するとき、導入される遺伝子および内在性遺伝子の両方の発現が抑制される現象を示す。この現象は、最初は植物系において観察されたものであるが、ある動物系においても同様に観察された。導入される遺伝子の配列は、標的配列に同一である必要はないが、十分な同一性により共抑制が生じるようにできる。同一性の範囲の決定は個々の場合に依存し、そして当該分野の通常の技量内にある。
当業者は、DNAまたはmRNAを選択的に標的とする遺伝子発現阻害の他の方法を、本発明の趣旨から出発することなく、本発明と関連して用いることができるということを、容易に分かるであろう。
RNA標的組成物に関連する方法
送達
本発明の組成物(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、またはここに記載する他の組成物)の患者への送達は、直接的、例えば、患者を直接的に本発明の組成物または化合物を運搬するベクター、もしくは間接的、例えば細胞を最初にin vitroで本発明の組成物とトランスフェクトし、次いで細胞置換治療のために患者へと移植する、であることができる。これらの2つのアプローチは、in vivoおよびex vivo治療として、各々公知である。
in vivo治療の場合において、本発明の組成物を直接的にin vivoで投与し、そこで発現しコード化産物を産生する。このことは、任意の当該分野で公知の数々の方法により成し遂げることができるが、例えば、適切な核酸発現ベクターの部分として構築し、細胞内となるように施すことによって、欠損性または弱毒性レトロウイルスあるいは他のウイルスベクターを用いた感染によって(例えば、米国特許番号4,980,286)、裸のDNAの直接的注入によって、微粒子銃法(microparticle bombardment)(例えば、遺伝子銃:Biolistic.RTM.、DuPont)を用いることによって、脂質または細胞表面レセプターまたはトランスフェクト剤で被覆し、リポソーム、微細粒子、またはマイクロカプセルをカプセル化することによって、または、それらを受容体媒介エンドサイトーシスにさらすリガンドへの結合に供することによって(Wu and Wu, J Biol. Chem. 262:4429-4432 (1987))であり、それらを特異的に受容体を発現する細胞の型を標的とするように用いることができる。さらに、本発明の組成物を、例えばWO 92/06180、WO 92/22635、WO92/20316、WO93/14188、およびWO 93/20221に開示されるように、特定の受容体を標的とすることにより、細胞の特定の摂取および発現に対してin vivoで標的にすることができる。これらの引例の全てを、ここに引例により組み入れる。
Ex vivo治療は、電気穿孔法、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介導入、およびウイルス感染などの方法により、本発明の組成物を組織培養物へトランスファーすることに関連する。通常、かかるトランスファーの方法は、選択的マーカーの細胞へのトランスファーを含む。それからかかる細胞を選択下で配置し、取り込んでトランスファーした組成物を発現した細胞を単離する。それから、それらの細胞を患者へと送達する。
本発明の組成物を、生じる組み換え細胞のin vivoの投与に先立って、細胞内へ導入してもよい。かかる導入を、当該分野で公知の任意の方法により、限定こそしないが、導入、電気穿孔法、顕微注入、核酸配列を含有するウイルスベクターでの感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子 トランスファー、ミクロ細胞媒介遺伝子トランスファー、およびスフェロプラスト融合により実行してもよい。数々の技術が、外来組成物の細胞への導入に対して、当該分野で公知である。かかる技術の例は、Loeffler et al., Meth. Enzymol. 217:599-618 (1993); and Cohen et al., Meth. Enzymol. 217:618-644 (1993); and Cline, Pharmac. Ther. 29:69-92 (1985)に開示され、それらの全てをここに引例として組み入れる。これらの技術は、本発明の組成物の細胞への安定したトランスファーのために、それらが細胞により発現できるようそしてその細胞産物により好ましく遺伝性であり発現可能であるように、提供されるべきである。
生じる組み換え細胞を、患者へ、当該分野で公知のさまざまな方法により送達することができる。かかる送達方法の例は、限定こそしないが、皮下注射、植皮、および静脈注射を含む。
本発明の核酸組成物は、ここの記載する、siRNAおよびsiRNA誘導体の両方を含む。例えば、架橋を、組成物の薬物動態を変更するために、例えば、体内上昇半減期を上昇させるために、採用することができる。そのため、本発明は、2つの核酸の相補的な鎖を、かかる2つの鎖が架橋するようにして有する、siRNAを含む、siRNA誘導体を含む。本発明は、また、その3’末端(たとえば、ペプチド)、有機組成物(例えば、染料)、またはその類に接合する非核酸部分を有するsiRNA誘導体を含む。このようにしてsiRNA誘導体を修飾することは、対応するsiRNAと比較して、細胞摂取を改善するかまたは生じるsiRNA誘導体の細胞標的活性を増強するかもしれなく、細胞内でのかかるsiRNA誘導体を追跡するために有用であり、または対応するsiRNAと比較してsiRNA誘導体の安定性を改善するかもしれない。
合成siRNAを、当該分野で公知の方法により細胞へと送達することができ、カチオンリポソーム導入および電気穿孔法を含む。しかしながら、かかる外因性siRNAは、概して、サイレンシング効果の短期残留を示し(培養細胞において4〜約5日)、ある態様においてのみ有益であるかもしれない。標的遺伝子(例えば、変異遺伝子)の長期抑圧を得るために、およびある状況したでのそうたつを容易にするために、1つまたは2つ以上のsiRNAを組み換えDNA構築からの細胞内で発現できる。細胞における長期の標的遺伝子抑圧をできるようにする、組み換えDNA構築からの細胞内のsiRNA二本鎖を発現させるための、かかる方法は、当該分野で公知であり、機能性二本鎖siRNAを発現することができる哺乳類のPolIIIプロモーター系(例えば、H1またはU6/snRNAプロモーター系 (Tuschl (2002), supra);(Bagella et al., J. Cell. Physiol. 177:206213 (1998); Lee et al. (2002), supra; Miyagishi et al. (2002), supra; Paul et al. (2002), supra; Yu et al. (2002), supra; Sui et al. (2002), supra)を含む。
RNA PolIIIによる転写の終了は、DNAテンプレートにおける4つの連続したT残基の走行において起こり、特定の配列でのsiRNA転写物を終了させる機構を提供する。かかるsiRANは5’−3’および3’−5’配向における標的遺伝子の配列に対して相補的であり、かかるsiRNAの2つの鎖を同じ構築内でまたは別の構築内で発現させることができる。H1またはU6 snRNAプロモータにより決定され細胞内で発現する、ヘパリンsiRNAは、標的遺伝子の発現を阻害することができる(Bagella et al. (1998), supra; Lee et al. (2002), supra; Miyagishi et al. (2002), supra; Paul et al. (2002), supra; Yu et al. (2002), supra; Sui et al. (2002) supra)。T7プロモーターの制御下でのsiRNA配列を含有する構築は、また、T7 RNAポリメラーゼを発現するベクターとの細胞への共トランスフェクトするとき、機能性siRNAを作る。単一の構築が、変異SOD1をコード化する遺伝子の複数の領域などの、siRNAに対してコード化する複数の配列を含んでもよく、同じ遺伝子または複数の遺伝子を標的とし、そして、例えば分離したPOlIIIプロモーター部位により、促進される。
動物細胞は、約22ヌクレオチド末端マイクロRNA(miRNA)の非コードRNAの範囲を発現し、それは動物の発育の期間に、転写または翻訳後レベルにおいて遺伝子発現を調節する。miRNAの1つの共通の特性は、それらは全て、約70ヌクレオチドの前駆体ステムループ、恐らくはDicer、RNase IIIタイプ酵素、またはその同族体により、切り取られる。miRNA前駆体の基幹配列を標的mRNAに相補的な配列と置換することにより、人工的な前駆体を発現するベクター構築を用いて、哺乳類細胞における特定のmRNA標的に対するRNAiを開始させることができる(Zeng (2002), supra)。ポリメラーゼIIIプロモータを含有するDNAベクターにより発現するとき、ミクロRNA設計ヘパリンは、遺伝子発現を封じることができる(McManus (2002), supra)。多型性を標的とするミクロRNAは、また、siRNA媒介遺伝子サイレンシングの不存在における、変異タンパク質の翻訳の遮断のために有用であるかもしれない。かかる適用は、例えば、意図するsiRNAが野生型タンパク質の的外れのサイレンシングを引き起こすsiRNAを意図する場合のような状況において、有用であるかもしれない。
ウイルス媒介送達機構は、siRNAの発現を通じて、例えば、RNA Pol IIプロモーター転写制御下で組み換えアデノウイルス隠蔽siRNAを産生することにより、標的遺伝子の特異的サイレンシングを誘発することができる(Xia et al. (2002), supra)。これらの組み換えアデノウイルスによりHeLa細胞の感染により、減少した内因性標的遺伝子発現が可能となる。siRNAの標的遺伝子を発現するトランスジェニックマウスへの組み換えアデノウイルスの注入により、in-vivoにおいて低下した標的遺伝子発現が結果として起こる。前出。動物モデルにおいて、全胚電気穿孔法により、効率的に合成siRNAを着床後マウス胚へと送達できる(Calegari et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. Pat. No. 99(22): 14236-40 (2002))。成体マウスにおいて、効率的なsiRNAの送達を、「高圧」送達技術、つまり尾静脈を介する動物への大量のsiRNA含有溶液の急速注射(5秒以内)により、成し遂げることができる(Liu (1999), supra; McCaffrey (2002), supra; Lewis, Nature Genetics 32:107-108 (2002))。また、ナノ粒子およびリポソームを用いて、動物にsiRNAを送達することができる。
本発明の核酸組成物を、他の1つの部分、例えばナノ粒子に接合させずまたは接合させ、かかる組成物の特性、例えば吸収、効能、生物学的利用能、および/または半減期などの、薬物動態パラメーターなどを、増強することができる。かかる接合を、当該分野で公知の方法により、たとえばLambert et al., Drug Deliv. Rev.:47(l), 99-112 (2001) (ポリアルキルシアノアクリレート(PACA)ナノ粒子に担荷する核酸を記載する);Fattal et al., J. Control Release 53(l-3):137-43 (1998)(ナノ粒子に結合する核酸を記載する);Schwab et al., Ann. Oncol. 5 Suppl. 4:55-8 (1994)(挿入剤、疎水基、ポリカチオンまたはPACAナノ粒子に連鎖する核酸を記載する);およびGodard et al., Eur. J. Biochem. 232(2):404-10 (1995)(ナノ粒子に連鎖する核酸を記載する)の方法を用いて、成し遂げることができる。
核酸を導入する物理学的な方法は、RNA含有溶液の注入、RNAが被覆する粒子による衝突、かかる細胞または有機体をRNAの溶液に浸すこと、またはRNAの存在したでの細胞膜の電気穿孔法を含む。ウイルス粒子へと包括されたウイルス構築により、発現構築の細胞への効率的な導入および発現構築によりコード化されたRNAの転写の両方を、成し遂げることができるであろう。核酸を細胞へと導入するための当該分野で公知の他の方法、例えば、脂質媒介搬送体輸送、リン酸カルシウムなどの化学的媒介搬送などを、用いてもよい。そのようにして、かかるRNAを1つまたは2つ以上の以下の活性を実行する成分とともに導入してもよい;細胞によるRNA摂取を増強する、一本鎖のアニーリングを阻害する、一本鎖を安定化する、またはそうでなければ標的遺伝子の阻害を増加させる。
RNAを直接的に細胞中へ導入してもよい(例えば、細胞内的);または空洞、間質腔へと、有機体の循環へと、細胞外的に導入してもよく、口腔的に導入してもよく、または細胞または有機体をRNAを含有する溶液に浸すことにより導入してもよい。血管系またはリンパ系、および能脊髄液などの、脈管または脈管外の循環は、RNAを導入してもよい部位である。
かかる標的遺伝子を有する細胞を、任意の有機体から送達してもよく、または任意の有機体に含有させてもよい。かかる有機体は、植物、動物、原生動物、バクテリア、ウイルス、または真菌であってよい。かかる植物は、単子葉植物、双子葉植物または裸子植物であってよい;かかる動物 は、脊椎動物または無脊椎動物であってよい。好ましい微生物は、農業においてまたは工業により用いられるものであり、植物または動物に対して病原性である。真菌は、菌および酵母形態の両方での有機体を含む。植物は、シロイヌナズナ;農作物;野菜作物;果物作物およびナッツ作物;および観賞植物を含む。脊椎動物の例は、魚類、哺乳類、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、げっ歯類、ハムスター、マウス、ラット、霊長類、およびヒトを含み;無脊椎動物は、線虫、他の寄生虫、ショウジョウバエ、および他の昆虫を含む。
標的遺伝子を有する細胞は、生殖細胞系または体性、分化全能性または多能性、***または非***、実質または上皮、不死化またはトランスフェクト、またはその類からであってよい。かかる細胞は、幹細胞または分化細胞であってよい。分化した細胞のタイプは、脂肪細胞、線維芽細胞、筋細胞、心筋細胞、内皮細胞、ニューロン、神経膠細胞、血球、骨髄巨核球、リンパ球、大食細胞、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、白血球、顆粒球、ケラチノサイト、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、肝細胞、および内分泌腺または外分泌腺の細胞を含む。
特有の標的遺伝子および送達される二本鎖RNA物質の用量に依存して、この過程は、標的遺伝子の部分的なまたは完全な損失を提供するかもしれない。例示としては、標的細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%またはそれ以上での遺伝子発現の低下または損失である。遺伝子発現の阻害により、標的遺伝子からのタンパク質および/またはmRNA産物のレベルにおける不存在(または観察できる低下)を示す。特異度は、細胞の他の遺伝子への明白な影響のない、標的遺伝子を阻害する能力を示す。阻害の結果を、細胞または有機体の表面的特性の試験により(以下に例で表すように)またはRNA溶液ハイブリダイゼーション、ヌクレアーゼ保護、ノーザンハイブリダイゼーション、逆転写、遺伝子発現、マイクロアレイでのモニタリング、抗体結合、酵素免疫吸着測定法(ELISA)、ウエスタンブロット法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、他の免疫アッセイ、および蛍光活性化細胞アッセイ(FACS)などの生化学的技術により、確認することができる。
細胞系または有機体全体におけるRNA媒介阻害に対して、遺伝子発現を、そのタンパク質産物を容易に分析する、レポーター遺伝子または薬剤耐性遺伝子を用いて分析することができる。かかるレポーター遺伝子は、アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータガラクトシダーゼ(LacZ)、ベータグルクロニダーゼ(GUS)、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ルシフェラーゼ(Luc)、ノパリンシンターゼ(NOS)、オクトピンシンターゼ(OCS)、およびその誘導体を含む。多数の選択可能なマーカーを利用可能であり、それらはアンピシリン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、メトトレキサート、ホスフィノトリシン、ピューロマイシン、およびテトラサイクリンに対する耐性を賦与する。
アッセイに依存して、遺伝子発現量の計量により、本発明に従って処理されない細胞と比較して10%、33%、50%、90%、95%または99%より大きな阻害の程度を決定できるようにする。低用量の注入する物質およびss−siRNAの投与後の長期間のために、わずかな細胞(例えば、標的細胞の少なくとも10%、20%、50%、75%、90%、または95%)における阻害を結果として引き起こすかもしれない。細胞における遺伝子発現の計量により、標的mRNAの蓄積または標的タンパク質の翻訳のレベルにおいて類似量の阻害を示すかもしれない。例として、阻害の効率を、細胞における遺伝子産物の量を評価することにより決定してもよい;mRNAを、阻害二本鎖RNAに対して用いられる領域の外のヌクレオチド配列を有するハイブリダイゼーションプローブで同定してもよく、または、翻訳ポリペプチドを、その領域のポリペプチド配列に対して立ち上げた抗体で同定してもよい。
かかるRNAを、細胞あたり少なくとも1コピーの送達をできるような量で導入してもよい。より高用量(例えば、少なくとも細胞あたり5、10、100、500または1000コピー)の物質が、より効率的な阻害をもたらすかもしれない:より低用量もまた、特定の適用に対して有用であるかもしれない。
本発明の核酸組成物は、当該分野で公知の非修飾siRNAおよび修飾siRNAの両方を含んでもよく、例えば、架橋したsiRNA誘導体、または、例えば3’または5’末端に結合した非ヌクレオチドを有する誘導体である。このようにしてsiRNA誘導体を修飾することにより、対応するsiRNAと比較して、細胞摂取を改善するかまたは対応するsiRNAと比較して、生じる誘導体の細胞標的活性を増強するかもしれなく、細胞におけるかかるsiRNA誘導体の追跡のために有用であり、または対応するsiRNAと比較して、siRNA誘導体の安定性を改善する。
ここで記載されるように細胞または全体の有機体へと導入される、人工的なRNA前駆体により、所望のsiRNA分子の作成へと導かれるであろう。そして、かかるsiRNA分子は、切断および破壊に対する特異的なmRNA配列に結合し、および標的とする、RNAi経路の内因性タンパク質成分と関連するであろう。このやり方で、人工的なRNA前駆体から生成されるsiRNAにより標的とされるmRNAを、細胞または有機体から激減させ、細胞または有機体におけるmRNAによりコード化されるタンパク質の濃度を低下させる。かかるRNA前駆体は、典型的には核酸分子であり、個々にdsRNAのいずれかの鎖をコード化するか、またはRNAヘアピンループ構造のヌクレオチド配列全体をコード化する。
本発明の核酸分子を、また、当該分野で公知の任意の方法を用いて標識することができる;例えば、かかる核酸組成物を、フルオロフォア、例えば、Cy3、フルオロセイン、またはローダミンで標識することができる。かかる標識化を、キット、例えば、SILENCER.TM.siRNA標識化キット(Ambion)を用いて実行できる。加えて、かかるsiRNAを、例えば、3H、32P、または他の適切なアイソトープを用いて、放射のラベルすることができる。
RNAi組成物の設計および作製
以下のガイドラインの1つまたは2つ以上を、本発明に従って有利に利用される、標的mRNA、例えば、shRNA、stRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムなど、に結合するように設計された、siRNA配列および他の核酸を設計するときに用いてもよい:
AUG開始コドンの遺伝子で開始して、AAジヌクレオチド配列を検索する;それぞれのAAおよび3’隣接の16個以上のヌクレオチド配列が、潜在的なsiRNA標的である。かかるsiRNAは、野生型および変異対立遺伝子間またはスプライス変異体間の少なくとも1つの塩基対が異なる標的領域に対して、特異的であるべきである。dsRNAiにおいて、第1の鎖はこの配列に対して相補的であるべきであり、そして他の鎖は第1の鎖に対して同一または実質的に同一であるべきである。1つの態様において、かかる核酸分子を、CTNNB1の16Aまたは16Bスプライス変異体の領域から選択する。さらに、低いG/C含有量(35〜55%)のsiRNAは、より高いG/C含有量のものより活動的であるかもしれない。そのため、1つの態様において、本発明は35〜55%のG/C含有量を有する核酸分子を含む。加えて、かかるsiRNAの鎖は、1〜4個のの3’オーバーハング、例えば2つのヌクレオチド、を有するように対にすることができる。そのため、他の1つの態様において、かかる核酸分子は、2ヌクレオチド、例えばTTなどの3’オーバーハングを有してもよい。かかるオーバーハングするヌクレオチドは、RNAまたはDNAのいずれかであってよい。上記のように、かかるミスマッチがプリン:プリンミスマッチである標的領域を選択することが望ましい。
当該分野で公知の任意の方法を用いて、適切なゲノムデータベース(ヒト、マウス、ラットなど)に対する潜在的な標的を比較し、他のコード配列に対する顕著な同一性がある任意の標的配列を考慮から除外する。かかる配列同一性検索に対する1つのかかる方法は、BLASTとして公知であり、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイト(http://www.ncbi.nih.gov)において利用可能である。評価に対する基準を満たす1つまたは2つ以上の配列を選択する。
他の1つの方法は、標的mRNAの配列、開始コドンから約50〜約100nt 3’に配置された領域において選択することを含む。この領域において、以下の配列を検索する:AA(N19)TTまたはAA(N21)、式中、N=任意のヌクレオチド。かかるRNAiの特異性を最大化させるために、目的のゲノムにおいて関連する配列に対する検索において選択された配列を用いることが望ましい;他の遺伝子を欠く配列が好ましい。かかる標的mRNAの二次構造を決定するかまたは予測してもよく、二次構造を少し有するか有しないmRNAの領域を選択することが好ましいかもしれないが、注目すべくは、RNAiへ少ししか影響を与えないようである。可能なとき、転写および/または翻訳因子に結合する配列を避けるべきである、なぜならそれらは、mRNAへのsiRNA、shRNAまたはstRNA(ならびに他のアンチセンスオリゴヌクレオチド)の結合を競合的に阻害するかもしれないからである。
siRNAの設計および仕様に関するさらなる一般的な情報を、The Max-Planck-Institut fur Biophysikalishe Chemieのウェブサイト(http://www.mpibpc.mpg.de)において利用可能な、"The siRNA User Guide"で見つけることができる。
陰性対照siRNAは、選択されたsiRNAと同様のヌクレオチド組成物を有するべきであるが、適切なゲノムに対する顕著な配列相補性がない。かかる陰性対照を、選択されたsiRNAのヌクレオチド配列を無作為にスクランブルして設計してもよい;同一性検索を実施し、陰性対照が適切なゲノムにおける任意の他の遺伝子に対する同一性を欠くということを確実にすることができる。加えて、陰性対照siRNAを、1つまたは2つ以上の塩基ミスマッチをかかる配列へと導入して設計することができる。単一のヌクレオチド特異性を有するsiRNAを以下のように設計することができる:
RNAを、酵素的にまたは部分的/全体的有機合成により産生することができ、任意の修飾リボヌクレオチドをin vitro酵素合成または有機合成により導入することができる。1つの態様において、siRNAを化学的に作製することができる。RNA分子を合成する方法は当該分野で公知であり、特にはVerma and Eckstein (1998) Annul Rev. Biochem. 67:99-134で記載する化学的合成方法である。他の1つの態様において、siRNAを酵素的に作製する。例えば、ds−siRNAを、所望の標的mRNAに対して十分な相補性を有する長dsRNAを酵素的に処理することにより、作製することができる。長dsRNAの処理を、in vitroで、例えば、適切な細胞の溶解物を用いて、成し遂げることができ、次いでds−siRNAをゲル電気泳動またはゲルろ過により精製することができる。そして、ds−siRNAを、当該分野で認められる手順に従って変性することができる。例となる態様において、RNAを、混合物から、溶媒または樹脂による抽出、沈降、電気泳動、クロマトグラフィー、またはそれらの組み合わせにより精製することができる。
代わりに、かかるRNAを、サンプルの処理のための損失を避けるために、精製せずにまたは最小限の精製で利用してもよい。代わりに、かかる一本鎖RNAを、合成DNAテンプレートからまたは組み換えバクテリアから単離したDNAプラスミドから酵素転写により作製してもよい。典型的には、ファージRNAポリメラーゼ、例えばT7、T3またはSP6 RNAポリメラーゼなどを用いる(Milligan and Uhlenbeck (1989) Methods Enzymol. 180:51-62)。かかるRNAを貯蔵のために乾燥してもよく、または水溶液に溶解してもよい。かかる溶液は、アニーリングを阻害する、および/または一本鎖の安定性を促進する、水溶液または塩を含有してもよい。
本発明のsiRNA分子を、化学的に合成し、またはin-vitroでDNAテンプレートから、またはin-vivoで例えばshRNAから、または、組み換えヒトDICER酵素を用いて、in-vitro転写dsRNAテンプレートを切断して、RNAiを仲介する20、21または23塩基の二本鎖RNAにすることができる。かかるsiRNA分子を、当該分野で公知の任意の方法を用いて設計することができる。
核酸を、in vitroで合成でき、天然の生物学的な資源から(例えば、細胞、細胞小器官、ウイルスなど)から作製でき、または環境試料または他の試料として収集できる。核酸の例は、限定こそしないが、オリゴヌクレオチド(限定こそしないが、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)、リボザイム、アプタマー、ポリヌクレオチド、人工的染色体、クローニングベクターおよび構築物、発現ベクターおよび構築物、遺伝子治療ベクターおよび構築物、PNA(ペプチド核酸)DNAおよびRNAを含む。
本発明の発現構築は、適切な発現系での使用に適合した任意の構築を含み、限定こそしないが、当該分野で公知の、レトロウイルスベクター、線形発現カセット、プラスミドおよびウイルスベクターまたはウイルス由来のベクターを含む。かかる発現構築は、1つまたは2つ以上の誘導プロモーター、RNA POlIIIプロモーター系、例えばU6 snRNAプロモーターなど、またはH1 RNA ポリメラーゼIIIプロモーター、または当該分野で公知の他のプロモーターを含むことができる。かかる構築は、siRNAの1つのまたは両方の鎖を含むことができる。両方の鎖を発現する発現構築は、また、両方の鎖に連結するループ構造を含むことができ、またはそれぞれの鎖を同じ構築内の分離プロモーターから別々に転写することもまたできる。(Tuschl (2002), supra)。
さらに、RNAiは少なくとも1つの一本鎖RNA中間体を介して前進すると考えられるため、当業者は、ss−siRNA(例えば、ds−siRNAのアンチセンス鎖)を、また、ここに記載するように設計(例えば、化学的合成のために)生成(例えば、酵素的に生成)または発現(例えば、ベクターまたはプラスミドから)でき、および請求の範囲に記載される手順に従って利用できることを認識するであろう。さらに、無脊椎動物において、RNAiを、KNAiのエフェクターとして作用する長いdsRNA(例えば、約100〜1000ヌクレオチド長、好ましくは約200〜500ヌクレオチド長、例えば、約250、300、350、400または450ヌクレオチド長)によりトリガーしてもよい。(Brondani et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Dec. 4;98(25): 14428-33. Epub 2001 Nov. 27)。
本発明のsiRNA分子は、
配列番号5、例えば、GenBank寄託番号NM_001904;TATGGGAACAATTGAAGTAAA(16A−1)(配列番号1);CAGAAAGTGCCTGACACACTA(16A−2)(配列番号2);CTCGGGATGTTCACAACCGAA(16A+16B−1)(配列番号3);ATGGGTAGGGTAAATCAGTAA(16A+16B−2)(配列番号4);あるいは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5の任意の1つのあるいは断片または変異体
を含む配列を含むことができる。
CTNNB1関連転写物およびタンパク質の比率、レベル、または細胞局在を決定する方法
さまざまな技術を、本発明の方法を実行するために利用可能である。これらの技術は、限定こそしないが、免疫組織化学およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む。免疫組織化学技術を、本発明において記載する方法におけるCTNNB1関連タンパク質の比率、レベルまたは細胞局在を測定するために用いることができる。かかる免疫組織化学的方法は、特に、CTNNB1関連タンパク質の細胞局在の測定に適する。免疫組織化学技術は、当業者に周知である。
CTNNB1関連転写物の比率、レベルまたは細胞局在を測定するために用いることができるいくつかの技術は、PCRを採用する。CTNNB1関連転写物のレベル、比率または細胞局在を測定するための特に有用な技術は、RT−PCRである。PCR技術は、プライマーを鍵となる試薬(key reagent)として利用する。請求の範囲に記載される発明の方法を実行するにおいて有用な、いくつかの好ましいプライマーの例を、図8で見る。しかしながら、本発明を、図8で示されるPCRプライマーに限定せず、当業者は他のプライマーを容易に設計するかもしれない。
かかる方法は、さらに、かかる比率、レベル、細胞局在、活性、またはそれらの関連を、対象、または健康管理の専門家に報告することを含んでもよい。このことは、関連付けられていない「生の」結果として、例えば単なる決定されたパラメーターとの報告として、なされてもよく、または関連付けられた結果であってもよい。
転写物のレベルを決定するとき、かかる転写物は、公知の配列を含んでもよく、またはそれらは、多型または変異のために公知の配列に対して実質的に同一であってもよい。
かかるパラメーター、例えば比率、レベル、または細胞局在を、免疫組織化学の方法により決定してもよい。かかるタンパク質のレベルを同定する方法は、かかる細胞のタンパク質内容物を抽出すること、あるいは細胞膜から、またはサイトゾルから、例えば、溶解、消化、分離、分離および精製技術により、タンパク質の断片を抽出すること、およびウエスタンブロット上の細胞のタンパク質性内容物(粗内容物または精製内容物のいずれか)を分離すること、および、それから当該分野で公知のさまざまな同定技術によりタンパク質、またはタンパク質断片の存在を同定することを含んでもよい。例えば、ゲル上で分離される内容物を、タンパク質同定技術とともに適した分子量マーカーを用いて、または適した同定部位を(例えば、標識化抗体、標識化レクチン、標識化結合剤(アゴニスト、アンタゴニスト、基質、コファクター、ATPなど)用いて同定してもよい。
ウエスタンブロット上のタンパク質のレベルを、癌細胞の総タンパク質レベルに対して、または標準の内部タンパク質、例えばアクチンおよび/またはGAPDHなどに対して、標準化してもよい。かかる検出は、in situによるもの、例えば全組織サンプルにおいて、無傷細胞または組織に存在するときの生物学的マーカーに対する、特異的認識剤の結合によるものであってよい。かかる標識化認識部位の存在を、標識の性質に適した技術を用いて同定してもよい。かかる認識剤が蛍光標識化であるとき、かかる検出を、共焦点顕微鏡を用いておよび(膜への)標識結合のレベルを直接見ることにより、実施してもよい。かかる認識剤が標識化されるとき、例えば、放射線同位体標識化されるとき、かかるレベルを細胞における放射線同位体標識のレベルの決定により、決定してもよい。
転写物の発現レベルの決定は、例えば、特有のタンパク質または遺伝子に対する、またはタンパク質または遺伝子の特有のスプライス変異体に対する、RNA転写物の量の決定を含んでもよい。RNAレベルを、例えば、当該分野でRNAの検出に対して用いられる任意の方法により、例えば同定できるプローブとの、例えば同定できる部分(蛍光の、放射性の、色素胞の部分など)を含有する相補的配列とのin situハイブリダイゼーションなどにより、同定してもよい。微量のRNAを同定するために十分に感度のいいさまざまな増幅方法も、また、有用である。かかるパラメーター、例えば、比率、レベル、または細胞局在を、PCR、例えばRT−PCR、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、シークエンシング、転写アッセイ、量的分枝RNA解析(quantitative branched RNA analysis)、in situ PCR、in situ RT−PCR、LCR(リガーゼ鎖反応(ligase chain reaction))および/または3SR(自立配列複製(self-sustained sequence replication))により決定してもよい。かかる増幅産物を、当該分野で用いられる方法により、例えばゲル上での分離および適した標識化プローブを用いた検出により、またはRT PCR機器の光学ユニットにより、同定してもよい。
サンプルは、対象または患者からの組織サンプルまたは細胞、例えば生検によって得られたもの、無傷細胞、例えば組織サンプルから分離されたサンプル細胞。または血液または他の体液に存在する無傷細胞、対象から得られた細胞または組織サンプルであって、パラフィン包埋組織サンプルを含み、細胞、細胞膜、核または任意の他の細胞成分から得られる抽出タンパク質または核またはサイトゾルから得られるmRNAであってよい。かかるサンプルは、全血であってもよく、または全血サンプルから分離された血液の任意の一部位であってよい。サンプルは、また、参照細胞または標準細胞サンプルであってよい。例えば、「サンプルにおけるβ−カテニン遺伝子(CTNNB1)関連の存在または不存在を同定すること」に関するとき、かかるサンプルは、対象(例えば、生検、血液、など)からまたは参照細胞または標準細胞、例えば細胞系(例えば、初代培養細胞系、または株化細胞系)からであってよい。
検査したパラメーターのレベルがさまざまな細胞成分における局在である場合、それぞれの分画におけるマーカーの量、またはさまざまな成分における量の割合を決定してもよい。これを、例えば、細胞成分を分離することにより(例えば、細胞を溶かし分離して膜およびサイトゾルを得ることにより)または分離してサイトゾルおよび核を得てタンパク質内容またはRNAまたはそれぞれの分離細胞成分における対応する生物学的マーカーの転写物レベルを決定することにより、上述の方法の任意の1つまたはタンパク質内容を決定するために用いる他の方法を用いることにより、行ってもよい。
代わりに、CTNNB1局在を、CTNNB1結合剤(例えば、抗体、アゴニスト、アンタゴニスト)、特に蛍光標識化結合剤を用いて、決定できる。アゴニストおよびアンタゴニストは、CTNNB1と直接的または間接的のいずれかで相互作用する剤、またはCTNNB1転写物の発現を変化させる剤を含む。細胞におけるCTNNB1の局在を、例えば、顕微鏡検査を用いてモニターできる。
ここに開示するスクリーニング方法に関して、概して、生理学的パラメーター(例えば、レベル、比率または細胞局在)は、対照(control)(例えば、対照(reference))と比較するような方法で変化してもよい。例えば、例えば、薬剤(好ましくはCTNNB1モジュレーター、最も好ましくはCTNNB1アゴニスト)を投与するなどの処理の結果としての上昇した増殖(「増殖支持性(pro-proliferative)」)を示す変化、またはかかる薬剤を投与するなどの処置の結果としての低下した上昇(「抗増殖支持性」)を示す変化。
正常細胞と比較して、癌においては、発現レベルは:
16Aは低下し、
16Bは上昇し、
cMycは上昇し、および/または
Waf1は低下する。
そのため、16A/16Bの割合は低下し、Myc/Wafの割合は上昇する。
治療的反応を、反対方向の変化により示すかもしれない。癌性細胞の処置の期間において、処置の反応は以下の発現レベルを含むかもしれない:
16Aの上昇、
16Bの低下、
cMycの低下、および/または
Wafの増加。
そのため、16A/16Bの割合は上昇するであろうし、Myc/Wafの割合は低下するであろう。
処置の効果、潜在性、または効能の抗増殖支持性効果の示唆の例は、以下を含む:
CTNNB1関連疾患の診断または予後診断を示す例は以下を含む:
16B転写物に対する16A転写物の比率における低下は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷、または進展しつつある癌に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;
WAF1転写物に対するcMYC転写物の比率における上昇は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;
16A転写物のレベルにおけるまたはWAF1転写物における低下は、対象がCTNNB1関連癌を有するか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;および/または
16B転写物、cMYC転写物のレベルまたは全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上における上昇は、対象がCTNNB1関連癌を有するか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す。
処置の増殖効果(pro-proliferative effects)の指標となる変化は、以下を含む:
16B転写物の16A転写物に対する比率における低下は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の 損傷、または進展しつつある癌に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す。
WAF1転写物に対するcMYC転写物の比率における上昇は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷を有するか、進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す。
16A転写物またはWAF1転写物の1つまたは2つ以上のレベルにおける低下は、対象がCTNNB1関連癌を有するか、進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;および/または
16B転写物、cMYC転写物、または全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上のレベルの上昇は、対象がCTNNB1関連癌を有するか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す。
低下した増殖の指標となる変化は、CTNNB1治療の有益な効果が増殖の低下または阻害により明白であるかもしれない疾患状態の処置のために投与するCTNNB1モジュレーター、好ましくはCTNNB1アゴニストの有効性を示す。過剰な増殖を典型的な特徴とするかかる疾患の例は、限定こそしないが、全てのタイプの癌;そして、特に、全てのタイプの固形癌;皮膚増殖性疾患(例えば、乾癬);さまざまな良性肥大障害;および炎症性疾患を含む。
反応する腫瘍を同定する方法は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷を有するか、または進展しつつある癌に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す、16B転写物に対する16A転写物の比率における低下;対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷を有するか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにあるということを示す、WAF1転写物に対するcMYC転写物の比率における上昇、対象がCTNNB1関連が有するか、進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す16A転写物のレベルの低下またはWAF転写物における低下;および/または、対象がCTNNB1関連癌を有するか、進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す、16B転写物、cMYC転写物のレベルまたは全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上における上昇が、あるかどうかを決定することを含む。
本発明により、CTNNB1の上昇した発現を、原発腫瘍部位においてだけでなく、その転移においてもまた見ることができることを、示した。
かかる疾患が癌である場合、対象から得る細胞は、トランスフェクトされたと疑われる細胞ならびに好中球などの明白な血液細胞であると疑われるかもしれない。トランスフェクトされたと疑われる細胞を、「疑わしき」細胞を得るための公知の方法により、例えば、生検、針生検、微細針吸引生検、ぬぐい、外科的切除、および当該分野で公知の他の技術により、得てもよい。疾患または疾患状態の診断は、自己診断により、または健康管理専門家による診断による。かかる健康管理の専門家は、疾患を診断するための当該分野で公知の方法を、例えば、対象および/または病歴、ならびに身体検査およびさまざまなイメージング(NMR、MR、スキャニング、超音波、マンモグラフィー)、または病理学的技術など用いてもよい。
増加した細胞増殖、癌への病理学的進行、β‐カテニン遺伝子(CTNNB1)関連癌、CTNNB1関連対象治療に反応する癌、癌と適合した対象、前新生組織形成、および/または増加した癌リスクの指標となるパラメーター(例えば、タンパク質またはRNA発現のレベル、タンパク質の細胞局在、および/またはタンパク質および/またはRNA発現または核の局在の比率または割合)における変化は、CTNNB1関連癌治療での処置が効能があるであろうということを実証する。かかる変化は以下を含む:
16B転写物に対する16A転写物の比率における低下は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷を有するか、または進展しつつある癌に対する上昇するリスクにあることを示す;
WAF1転写物に対するcMYC転写物の比率における上昇は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷を有するか、進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;
16A転写物のレベルにおけるまたはWAF1転写物における低下は、対象がCTNNB1関連癌をゆうするか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;および/または
16B転写物、cMYC転写物のレベルまたは全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上における上昇は、対象がCTNNB1関連癌、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す。
パラメーター(例えば、タンパク質またはRNA発現のレベル、タンパク質の細胞局在、および/またはタンパク質および/またはRNA発現または核の局在のレベルの比率または割合)における変化は、CTNNB1関連癌CTNNB1治療の同定に対して、およびβ‐カテニン遺伝子(CTNNB1)関連の癌、新生組織形成、または前新生組織形成の予測に対して、有用である。
上記の方法の1つによる、細胞における生物学的マーカーの少なくとも1つの生理学的パラメーターのレベル、割合、または細胞局在のモニタリングは、また、CTNNB1に関連する疾患状態の処置に対する、見込みのある候補に対する選別を助けるかもしれない。
例えば、組織サンプルの細胞培養物、例えば、治療に対する標的を意図する癌の種類に由来する癌細胞の特定の株、を用いることができる。薬剤候補化合物での処置前、処置中、および/または処置後の1つまたは2つ以上の生理学的なパラメーターの変調の決定は、CTNNB1関連疾患状態の処置における薬剤候補の可能な使用に対する指標としての役割を果たすかもしれない。
ここで用いる診断という用語は、医学関連状態の存在または不存在の任意の種類のアセスメントを、一般的に含む。そのため、診断は、医学関連状態に対する傾向に対するスクリーニング、医学関連状態の前兆に対するスクリーニング、医学関連状態に対するスクリーニング、医学関連状態の臨床的または病理学的診断などを含む。ここで用いる、医学関連状態の診断は、ヒトの健康および/または体に関して有用であるかもしれない、細胞学的、組織学的、生化学的または分子生物学的レベルに対し同定できる、任意の状態の検査を含むかもしれない。かかる検査は、例えば、ライフサイエンスにおける医学的診断方法および調査研究を含むかもしれない。本発明の1つの態様において、かかる方法を、医学関連状態、例えば疾患など、の診断のために用いる。かかる疾患は、例えば、細胞または組織の増殖を特徴とする障害を含む。
1つの態様において、かかる診断は、癌およびその前兆段階の診断に、癌における疾患経過のモニタリングに、癌における予後診断のアセスメントにおよび播種性腫瘍検出に、例えば、微小残存病変の診断の経過において、関連する。本発明による方法を、例えば、癌およびその前兆段階の臨床的または病理学的診断、または特有の癌に対して、例えばぬぐい液の検査に対して、実施される一連のスクリーニングテスト、例えば頸部損傷に対する気管支洗浄、または肺癌に対するブラシの、食道癌に対する食道バルーンスクリーニングまたは胃腸管の損傷、例えば結腸直腸の損傷、に対するスツールの、スクリーニングテスト、において用いる。
この正常化の1つの側面は、ここに開示する1つまたは2つ以上のパラメーターの決定を比較することおよび以下の1つまたは2つ以上を決定することを含む:
16B転写物に対する16A転写物の比率における低下は、対象がCTNNB1関連が、新生物発生前の損傷を有するか、または進展しつつある癌に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;
WAF1転写物に対するcMYC転写物の比率における上昇は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;
16A転写物またはWAF1転写物のレベルにおける低下は、対象がCTNNB1関連癌を有するか、進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;および/または
16B転写物、cMYC転写物または全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上のレベルにおける上昇は、対象がCTNNB1関連癌を有するか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す。
「相関させる」は、例えば、以下の1つまたは2つ以上を決定することを含む:
16B転写物に対する16A転写物の比率における低下は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷を有するか、または進展しつつある癌に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;
WAF1転写物に対するcMYC転写物の比率における上昇は、対象がCTNNB1関連癌、新生物発生前の損傷を有するか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;
16A転写物またはWAF1転写物のレベルにおける低下は、対象がCTNNB1関連癌を有するか、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す;および/または
16B転写物、cMYC転写物または全体の転写活性のレベルの1つまたは2つ以上のレベルにおける上昇は、対象がCTNNB1関連癌、または進展しつつある癌または新生物発生前の疾患に対する上昇するリスクにある可能性があることを示す。
相関させることは、特有の結果が正確でないというアセスメントをすることを含んでもよい。相関させることは、また、あるレベル、比率、または細胞局在が、診断、予後診断、および/または処置のモニタリングの関連において意味のあるものであるかどうかを予測することを含んでもよい。相関させることを、数式、コンピュータープログラム、または人が為してもよい。ここに開示する、あるレベル、比率、および/または細胞局在は、疾患状態または疾患状態の進行の予測的なものである。相関させるまたは正常化は、特に診断の関連において、サンプルに存在する細胞の、サンプルにおける特有の細胞タイプまたはタイプ類の存在または不存在、サンプルにおける有機体または有機体の細胞の存在または不存在の数、サンプルに存在する特別な細胞タイプまたは有機体の細胞の数、サンプルに存在する細胞の増殖の特徴、またはサンプルに存在する細胞の分化パターンなどの要素を、含むか考慮に入れてよい。
ある態様において、正常化は、また、かかるケースが不適切であるとき、試験結果を放棄するかまたは無効であると分類するところの、試験の妥当性を実証することを含んでもよい。つまり、本発明の関連において用いる正常化は、正常化に対する質的なまた判定量的な方法を含んでもよい。ある態様において、半定量的な正常化は、正常化のマーカーに対する閾値を決定することを含んでもよい。
1つの態様において、半定量的な正常化を、例えば以下のようなものとして適応する:関連するマーカーに対して決定するレベルを、正常マーカーのおレベルが定義した閾値を超える場合、有効な試験結果であるとみなしてもよい。閾値に達しない場合、関連するマーカーに対する試験結果を無効であると見なし、診断を、試験に基づいて見極めなくてもよい。他の態様において、超えないであろう閾値を設定してもよい。ある態様において、質的な正常化を、正常化マーカーの存在または不存在に関して実施してもよい。それらの場合、例えば、関連するマーカーに対して決定する値を、正常化マーカーの存在または不存在と比較する。既定するところ、かかる値は、正常化パラメーター(正常化マーカーの同定できるレベルの存在または不存在)が見合う場合のみ、有効である。
正常化または相関させることは、さらに、存在する、不存在である、または異なって局在するか発現する、サンプル中の成分、および加えてタンパク質の特有の転写物の全体レベルの検出を含むかもしれない。
治療候補
そのため、本発明は、モジュレーター、例えば、剤により影響される経路における刺激的または阻害的効果を有するおよび抗増殖支持性特質を有する、候補または試験化合物または剤(例えば、ペプチド、小分子または他の薬剤)などの、モジュレーターを同定するための方法を提供する。かかる化合物は、限定こそしないが、D体および/またはL体のアミノ酸で作られたペプチド(例えば、ランダムペプチドライブラリーの形式;(Lam, et al., Nature, 354:82-4 (1991)を参照のこと)、ホスホペプチド(例えば、ランダムにまたは部分的に生成する形態、直接的ホスホペプチドライブラリー;Songyang, et al., Cell, 72:767-78 (1993)を参考のこと)、抗体、siRNA分子、および有機または無機の小分子を含んでもよい。同定する化合物は、例えば、β‐カテニン経路標的タンパク質、好ましくは変異タンパク質、の活性の調整において;β‐カテニン経路標的遺伝子タンパク質の混み入った生物学的機能において;または正常なβ‐カテニン経路標的遺伝子相互作用を無駄にするまたは自体かかる相互作用を無駄にする化合物に対するスクリーニングにおいて、有用であるかもしれない。
1つの態様において、本発明は試験化合物のライブラリーを提供する。本発明の試験化合物を、当該分野で公知の組み合わせライブラリーの方法におけるさまざまアプローチの任意のものを用いて得ることができるが、以下のものを含む:生物学的ライブラリー、空間的に配置できる平行固体相または液相ライブラリー;解析を必要とする合成ライブラリー法;1ビーズ1化合物ライブラリー法;および親和性クロマトグラフィー選別を用いた合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチを、ペプチドライブラリーが例示し、一方他の4つのアプローチを、化合物の、ペプチド、非ペプチドのオリゴマーまたは小分子に応用可能である(Lam, K. S. (1997) "Application of combinatorial library methods in cancer research and drug discovery." Anticancer Drug Des. 12: 145)。
分子ライブラリーの合成のための方法を、当該分野において見出すことをでき、例えば、以下においてである、(i)De Witt, S. H. et al. (1993) "Diversomers: an approach to nonpeptide, nonoligomeric chemical diversity." PNAS 90:6909、(ii)Erb, E. et al. (1994) "Recursive deconvolution of combinatorial chemical libraries." PNAS 91:11422、(iii)Zuckermann, R. N. et al. (1994) "Discovery of nanomolar ligands for 7-transmembrane G-protein-coupled receptors from a diverse N-(substituted)glycine peptoid library." J. Med Chem. 37: 2678および(iv)Cho, C. Y. et al. (1993) "An unnatural biopolymer." Science 261:1303。化合物のライブラリーを以下において提示するであろう、i)溶液(例えば、Houghten, R. A. (1992) "The use of synthetic peptide combinatorial libraries for the identification of bioactive peptides." BioTechniques 13:412)ii)ビーズ上(Lam, K. S. (1991) "A new type of synthetic peptide library for identifying ligand-binding activity." Nature 354:82)、iii)チップ(Fodor, S. P. (1993) "Multiplexed biochemical assays with biological chips." Nature 364:555)、iv)バクテリア(米国特許番号第5,223,409号)、v)胞子(米国特許番号第5,571,698号、第5,403,484号、および第5,223,409号)、vi)プラスミド(Cull, M. G. et al. (1992) "Screening for receptor ligands using large libraries of peptides linked to the C terminus of the lac repressor." PNAS 89: 1865)またはvii)ファージ(Scott, J. K. and Smith, G. P. (1990) "Searching for peptide ligands with an epitope library." Science 249: 386)。
CTNNB1を対象とする治療と共合するかもしれない化合物は、抗バクテリア、抗真菌、抗ウイルス、抗高血圧、抗うつ、抗不安、および抗関節炎物質、ならびにアレルギー、糖尿病、高コレステロール血症、骨粗鬆症、アルツハイマー病、パーキンソン病、および/または他の神経変性疾患、および肥満の処置のための物質を含む。特異的なカテゴリーの試験物質は、限定こそしないが、PPARアゴニスト、HIVプロテアーゼ阻害剤、抗炎症薬、エストロゲン薬、抗エストロゲン薬、抗ヒスタミン剤、筋弛緩剤、抗不安薬、抗精神病薬、および抗狭心症薬を含むことができる。他の薬剤を、CTNNB1関連治療と、特有の対象の必要に従って、共合させてもよい。
抗炎症薬は、例えば、非ステロイド剤およびCOX−2特異的な剤、例えばジクロフェナク、ジフルニサル、エタドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダック、トルメチン、および関連する物質、を含む、炎症性物質を含む。
筋弛緩剤の例は、ダントロレン(例えば、ダントリウム(登録商標))、バクロフェン(例えば、リオレサール(登録商標))、カリソプロドール(例えば、ソマ(登録商標))、クロルフェネシン(例えば、マオレート(登録商標))、クロルゾキサゾン(例えば、パラフレックス(登録商標))、シスアトラクリウム、シクロベンザプリン(例えば、フレキセリル(登録商標))、ダントロレン、ジアゼパム(例えば、ヴァリウム(登録商標))、メタキサロン(例えば、スケラキシン(登録商標))、ガラミン、メトカルバモール(例えば、ロバキシン(登録商標))、ミバクリウム、オルフェナドリン(例えば、ノルフレックス(登録商標))、パンクロニウム、ロクロニウム、チザニジン、スキサメトニウム、ベクロニウム、および関連する物質を含む。
本発明の実践は、他に示唆がなければ、当業者の技量内にある、従来の分子生物学、微生物学、および組み換えDNA技術を採用する。かかる技術は、著作物中に完全に記載される。例えば、Maniatis, Fritsch & Sambrook, In Molecular Cloning: A Laboratory Manual (1982);DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II, D. N. Glover, ed., (1985);Oligonucleotide Synthesis , M. J. Gait, ed., (1984);Ausubel, et al., (eds.), Current Protocols In Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N. Y. (1993);Nucleic Acid Hybridization, B. D. Hames & S. J. Higgins, eds., (1985);Transcription and Translation, B. D. Hames & S. I. Higgins, eds., (1984);Animal Cell Culture, R. I. Freshney, ed. (1986);およびB. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning (1984)を参照のこと。
処置法、管理法または予防法
本発明の1つの態様は、かかる処置または管理を必要とする患者に、CTNNB1遺伝子の合成または発現を阻害する治療的にまたは予防的に有効量の化合物を投与することを含む、癌を処置するまたは管理する方法を対象とする。
ここで用いられ、そして他に指示がなければ、「癌を処置する」または「癌の処置」という用語は、癌細胞の複製を阻害する、癌の拡大を阻害する、腫瘍のサイズを低下させる、体内の癌性細胞の数を少なくするまたは低減する、あるいは癌により引き起こされる疾患の兆候を改善するまたは軽減する、ということを意味する。かかる処置は、死亡率および/または罹患率における低下、または体内悪性細胞数の低減により明らかとなる、疾患負荷の低下がある場合、治療的であると考えられる。
ここで用いられ、そして他に指示がなければ、「癌を防ぐ」または「癌の予防」という用語は、癌の疾患状態の発生または再発を防ぐことを意味する。そのように、転移、腫瘍増殖、または癌の増殖を遅滞させる、阻害する、または干渉する処置は、予防的活性を有する。ここで用いる、癌を防ぐことは、癌が決して発生しないということを必要とはしないが、例えば、良性肥大状態を同定するとき、悪性状態の出現のオンセットを遅滞させること、あるいは、処置後の増殖の阻害(arrest)のあとの、腫瘍の出現の再発または腫瘍増殖の再発を遅らせること、あるいは、腫瘍の転移を遅らせることの関連において用いる。
ここで用いられ、そして他に指示がなければ、「管理する」という用語は、癌を罹患した患者における癌の再発を防ぐこと、癌を罹患した患者が回復状態にある時間を長期化させること、癌に罹患するリスクにある患者(例えば、大量の放射線または癌原性物質、例えばアスベスト、に暴露した患者;癌の発生に関係があるウイルス、限定こそしないが、例えばHIVおよびカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなど、に感染した患者;および癌への遺伝的な傾向にある患者、例えばダウン症候群に罹患する者など)における癌の発生を防ぐこと、および前癌状態または非悪性癌に罹患する患者における悪性癌の発生を防ぐこと、を意味する。
予防的方法
1つの側面において、本発明は、対象に治療剤(例えば、siRNAまたは同じものをコード化するベクターまたはトランス遺伝子)を投与することによる、異常なまたは無用の標的遺伝子発現または活性を対象において防ぐための方法を提供する。異常なまたは無用の標的遺伝子発現または活性により引き起こされるか寄与される疾患に対するリスクにある対象は、例えば、ここに記載する、任意のまたは組み合わせの診断的または予後のアッセイにより同定できる。予防的な剤の投与は、標的遺伝子異常の特徴的な兆候が現れるに先立って、疾患または障害を防ぐ、または、代わりに進行を遅らせるように、行うことができる。標的遺伝子異常、例えば標的遺伝子に依存して、標的遺伝子アゴニストまたは標的遺伝子アンタゴニスト剤を、対象の処置のための用いることができる。適切な剤を、ここに記載するスクリーニングアッセイに基づいて決定することができる。
治療的方法
本発明の他の1つの側面は、治療目的の標的遺伝子の発現、タンパク質発現または活性の調節する方法に関連する。それゆえ、例となる態様において、本発明の調節方法は、標的遺伝子またはタンパク質(例えば、かかる遺伝子をコード化するmRNAに対して特異的であるか、または、かかるタンパク質のアミノ酸配列を特定する)に対して特異的な治療剤(例えば、siRNAまたは同じものを発現するベクターまたはトランス遺伝子)と標的遺伝子を発現できる細胞を、発現または1つまたは2つ以上の標的タンパク質の活性が変調するように、接触させることを含む。これらの調節方法を、in vitroで(例えば、剤とともに細胞を培養することにより)、または、代わりに、in vivoで(例えば、剤を対象に投与することにより)、実施することができる。そのため、本発明は、標的遺伝子のポリペプチドまたは核酸分子の異常なまたは無用の発現または活性を特徴等する、疾患または障害に苦しむ個々人を処置する方法を提供する。標的遺伝子活性の阻害は、標的遺伝子が異常にも調節されない、および/または低下した標的遺伝子活性が有益な効果を有しそうな状況において、望ましい。
本発明の方法を、初期のおよび転移性の癌に罹患する患者を処置するためおよび管理するために、用いることができる。それらは、癌を以前処置をした患者、ならびに癌に対して以前処置をしていない患者を処置する方法を包含する。本発明は、第一の、第二の、第三のおよびさらなる段階の癌処置を包含する。
本発明の組成物(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、およびここに記載する他の剤)を1つまたは2つ以上の他の抗癌治療と組み合わせることは、当業者にとって容易に明白であろう。本発明の組成物を、代謝拮抗剤、アルキル化剤、紡錘体毒および/または挿入剤、およびインターフェロンなどのタンパク質と、同時にまたは順番に投与することができる。
特別な第2抗癌剤の例は、限定こそしないが:アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロンアセテート;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラサイクリン;アントラマイシン;アロマターゼインヒビター;アスパラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシラート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナーナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シクロデオキシアデノシン;シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;副腎皮質ステロイド;クリスナトルメシラート;シクロホスファミド;シタラビン;シトシンアラビノース;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デオキシコンフォーマイシン(deoxyconformycin);デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシラート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンシトレート;ドロモスタノロンプロピオネート;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロミチン(eflomithine);エルサムニトルシン(elsamnitrucin);エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンホスフェートナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;エトポシドホスフェート;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;フルダラビンホスフェート;フルオロウラシル;フルロシタラビン;フォリン酸;フォスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イルモホシン;インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−nl;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチドアセテート;レトロゾール;酢酸ロイプロリドアセテート;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;ロイコボリン;
マソプロコル;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロールアセテート;酢酸メレンゲストロールアセテート;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスパー;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ミエロプリン;ナベルビン;ニトロソウレアカムスチン(camustine);ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキサリプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロスチン類;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェナー;タリソマイシン;タキサン;テコガランナトリウム;テガファー;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテーパ;チアゾフリン;チラパザミン;トポイソメラーゼ阻害剤;トレミフェンシトレート;酢酸トレストロンアセテート;トリシリビンホスフェート;トリメトレキセート;トリメトレキセートグルクロネート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;ビノレルビンタートレート;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンを含む。
さらに他の抗癌薬は、限定こそしないが:20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドクス;アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラフォリド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背側化形態形成タンパク質−1;アンチアンドロゲン前立腺癌;アンチエストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β−アレチン;ベータクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルフォキシミン;カルシポトリオール;カルフォスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポックスIL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クローリンズ(chlorins);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コムブレタスタチンA4;コムブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペントアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクフォスフェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;
ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシフォスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドクス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;”ジヒドロタキソール,9−”;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフロールニチン(eflornithine);エレメン;エミテファー;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;エトポシドホスフェート;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルビシン塩酸塩;フォルフェニメックス;フォルメスタン;フォストリエチン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ハイペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;”イポメアノール,4−”;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセテート;ランレオチド;ライナマイシン;レノグラスチム;レンチナンスルフェート;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルートテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶菌ペプチド
マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコル;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミスマッチ型二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン繊維芽細胞成長因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモル;多薬剤耐性遺伝子阻害剤;多腫瘍サプレッサー1をベースとする療法;マスタード第2抗癌剤;マイカペルオキシドB;ミコバクテリア細胞壁エキス;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン;06−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘発剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリスルフェートナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;
プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジン J2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAをベースとする免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;セイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1ミメチクス;セムスチン;セネセンス由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;ナトリウムフェニルアセテート;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞***阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;スーパーアクチブバソアクチブインテスティナルペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スベインソニン;合成グリコサミノグリカン;
タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガファー;テルラピリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイエチンミメチック;チマルファシン;チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルフォスチン;UBC阻害剤;ユベニメクス;泌尿生殖洞由来成長抑制因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系赤血球遺伝子療法;ベラレソル;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコーブ;ジノスタチンスチマラマーを含む。
本発明の方法において用いる第2抗癌剤の同一性および量の決定は、当該分野で公知の標準の技術を用いる通常の技量を有する医療実践者により容易に為され、そして処置する癌の型および重症度に依存して異なるであろう。
本発明の組成物および第2抗癌剤を、同時にまたは順番に、同じまたは異なる投与ルートにより投与することができる。特有の化合物に対して採用する特有の投与ルートの適応性は、化合物自体(例えば、経口で血流に入る前に分解しないせずに投与できるかどうか)および処置する疾患に依存するであろう。例えば、皮膚上または露出する粘膜上の腫瘍の処置は、1つまたは2つ以上の活性材料を、局所的、経皮的または粘膜的(例えば、経鼻、舌下、口腔、経直腸または経膣投与により)に投与する。体内の腫瘍の処置、または体の1つの部分から他の1つの部分に拡大するであろう癌の予防は、1つまたは両方の活性材料を非経口でまたは経口で投与する場合、より効果的であるかもしれない。同様に、非経口投与は、疾患の急な処置に対して好ましいが、経皮または経粘膜投与経路を疾患の慢性の処置または予防に対して採用してもよい。抗癌剤に対する好ましい投与ルートは、通常の知識を有する当業者に公知である。
薬学組成物
本発明は、また、薬学組成物を提供する。かかる組成物は、治療的有効量のCTNNB1治療剤、および薬学的に受容可能な搬送体を含む。特定の態様において、「薬学的に受容可能な」という用語は、連邦または州政府のまたは米国薬局方に記載される管理機関または他の一般的に承認された薬局方が、動物、およびより特異的には、ヒトにおける使用に対し認めることを意味する。「搬送体」という用語は、CTNNB1治療剤とともに投与する、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを示す。かかる薬学搬送体は殺菌した液体、例えば、水および油など、石油、動物、野菜または合成起源のものを含み、限定こそしないがピーナッツ油、大豆油、鉱油、胡麻油などとすることができる。薬学組成物を経口投与するとき、水を好ましい搬送体とすることができる。生理食塩水および水性D形グルコースは、薬学組成物を静脈内投与するとき、好ましい搬送体である。適した製薬的賦形剤は、でんぷん、ブドウ糖、乳糖、蔗糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾いたスキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水など、を含む。
かかる組成物は、所望ならば、また、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することができる。かかる組成物は、溶液、懸濁液、乳液、錠剤、ピル、カプセル、粉末、持続放出製剤、などの形態をとることができる。かかる組成物を、坐薬として、トリグリセリドなどの従来のバインダーおよび搬送体とともにに、処方することができる。経口製剤は、標準の搬送体、例えば、医薬品グレードのマンニトール、乳糖、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン・ナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含むことができる。適した薬学搬送体の例は、"Remington's Pharmaceutical Sciences" by E. W. Martinに記載される。かかる組成物は、治療的有効量のCTNNB1治療剤を、好ましくは精製した形態で、適量の搬送体とともに、患者への適切な投与のための形態を提供するために、含有するであろう。かかる製剤は、投与様式に適合させるべきである。
好ましい態様において、かかる組成物を、一連の手順に従って、ヒトへの静脈内投与に適合した薬学組成物として、処方する。典型的には、静脈内投与のための組成物は、殺菌した等張水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、かかる組成物は、また、可溶化剤および投与部位での痛みを和らげるリドカインなどの局所麻酔薬であってよい。概して、かかる原料を、分離してまたは単位投与形態でともに、例えば、乾燥凍結粉末または活性剤の量を提示するアンプルまたはサシエなどの密封封入容器における水なしの凝縮として、提供する。かかる組成物を輸液により投与する場合、それを殺菌した医薬品グレードの水または生理食塩水を含有する輸液ボトルで調合できる。かかる組成物を注射により投与する場合、殺菌した注射用水または生理食塩水のアンプルを、原料を投与に先立って混合するように、提供することができる。
本発明のCTNNB1治療剤を、中性のまたは塩基性の形態で処方することができる。薬学的受容可能な塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などから由来する遊離カルボキシル基で形成されるもの、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから由来する遊離アミノ基で形成されるもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、および水酸化第二鉄などから由来するものを含む。
好ましい薬学組成物および投与形態は、本発明のCTNNB1治療剤、または薬学的に受容可能なプロドラッグ、塩、溶媒和物、またはそのクラレートを、随意に1つまたは2つ以上の付加的な活性剤との組み合わせにおいて、含む。
特有の障害または状態の処置において効果的であろう、本発明のCTNNB1治療剤の量は、障害または状態の性質に依存するであろうし、標準の臨床技術により決定できる。加えて、in vitroアッセイを、最適な投与範囲の同定に役立つように、随意に採用してもよい。製剤において採用する正確な用量は、また、投与ルート、および疾患または障害の重症度に依存するであろうし、実践者の判断およびそれぞれの患者の環境に従って決定するべきであろう。しかしながら、静脈内投与に適合した用量範囲は、概して、キロ体重あたり約1〜50mgの活性化合物である。経鼻投与に適した用量範囲は、一般的には、約0.1mg/kg体重〜50mg/kg体重である。有効用量を、in vitroまたは動物モデル試験系に由来する用量反応曲線から推定してもよい。
坐薬は、一般的に0.5〜10重量%の範囲の活性原料を含有する;経口製剤は、好ましくは、10〜95%の活性原料を含有する。例となる小分子の用量は、対象またはサンプルの体重のキログラムあたりミリグラムまたはマイクログラム量の小分子(例えば1μg/kg〜500mg/kg、約100μg/kg〜約5mg/kg、または約1μg/kg〜約50μg/kg)を含む。
本発明が包含する、抗体、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび融合タンパク質に対し、患者への投与量は、典型的には、患者体重の0.0001mg/kg〜100mg/kgである。好ましくは、患者への投与量は、患者体重の、0.0001mg/kgおよび20mg/kg、0.0001mg/kgおよび10mg/kg、0.0001mg/kgおよび5mg/kg、0.0001および2mg/kg、0.0001および1mg/kg、0.0001mg/kgおよび0.75mg/kg、0.0001mg/kgおよび0.5mg/kg、0.0001mg/kg〜0.25mg/kg、0.0001〜0.15mg/kg、0.0001〜0.10mg/kg、0.001〜0.5mg/kg、0.01〜0.25mg/kgまたは0.01〜0.10mg/kgの間である。概して、ヒト抗体はヒト体内において、外来ポリペプチドに対する免疫反応のために他の類からの抗体よりも長い半減期を有する。そのため、ヒト抗体のより低用量およびより低頻度の投与がしばしば可能である。さらに、かかる本発明の抗体またはその断片の投与用量および頻度を、修飾、例えば脂質化などによる増強した摂取および組織透過性のために、低減してもよい。
本発明のCTNNB1治療剤は、また、例えば米国特許番号第3,845,770号;第3,916,899号:第3,536,809号;第3,598,123号;および第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号に記載されるような、当業者に周知の制御放出手段または送達デバイスにより投与してもよい。かかる制御放出組成物を、用いる1つまたは2つ以上の活性材料、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマー基質、ゲル、浸透膜、浸透系(osmotic system)、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはその類、または異なる比率で所望の放出プロフィールを提供するそれらの組み合わせの遅滞または制御放出を提供するために、用いることができる。当業者に公知の適合した制御放出製剤を、容易に、本発明の薬学組成物での使用のために選択してもよい。
全ての制御放出薬学産物は、非制御同等物により達成されるものを超えて薬剤治療を改善するという共通のゴールを有する。理想的には、医療処置において最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小時間で状態を治癒するかまたは制御するための採用する最小の薬剤物質を特徴とする。制御放出製剤の利点は、薬剤の延長した活性、低下した投与頻度および/または上昇した患者コンプライアンスを含んでもよい。
多くの制御放出製剤を、所望のCTNNB1治療剤効果を即座に産生する量のCTNNB1治療剤を当初に放出し、そして徐々におよび連続的にCTNNB1治療剤の残りの量を延長された期間にわたってCTNNB1治療剤の適切なレベルを維持するように放出するために放出するように設計する。体内CTNNB1治療剤のこの恒常的なレベルを維持するために、かかるCTNNB1治療剤を、代謝され体内より排出されるCTNNB1治療剤の量を置換するような率で、組成物から放出しなければならない。CTNNB1治療剤の制御放出を、さまざまな誘導因子により、例えば、pH、温度、酵素、水、または他の生理学的な状態または化合物により、刺激する。本発明の関連でのかかる制御放出成分は、限定こそしないが、活性原料の制御放出を容易にする、高分子、高分子基質、ゲル、浸透膜、リポソーム、微粒子、またはその類、またはそれらの組み合わせを含む。
本発明は、また、本発明の薬学組成物の1つまたは2つ以上の原料で満たした1つまたは2つ以上の容器を含む、薬学パックまたはキットを提供する。随意に、関連するかかる容器は、その通知が製造機関による認証、ヒト投与のための使用または販売を反映する、薬学的または生物学的産物の製造、使用または販売を規制する政府機関が既定する形態の通知である。
他のCTNNB1治療剤は、ステロイドまたは非ステロイド抗炎症剤であることができる。有用な非ステロイド抗炎症剤は、限定こそしないが、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン(flubufen)、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン(piroprofen)、カプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン(pramoprofen)、ムロプロフェン(muroprofen)、トリオキサプロフェン(trioxaprofen)、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン(fluprofen)、ブクロキシ酸(bucloxicacid)、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、ゾメピラック、チオピナック、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナック(oxpinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリサル(diflurisal)、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム;アスピリン、サリチル酸ナトリウム、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サルサラート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジンおよびオルサラジンを含むサリチル酸誘導体;アセトアミノフェンおよびフェナセチンを含むパラアミノフェノール誘導体;インドメタシン、スリンダックおよびエトドラックを含むインドールおよびインデン酢酸;トルメチン、ジクロファナックおよびケトロラックを含むヘテロアリール酢酸;メフェナム酸およびメクロフェナム酸を含むアントラニン酸(フェナメート);オキシカム(oxicam)(ピロキシカム、テノキシカム)およびピラゾリジンジオン(フェニルブタゾン、オキシフェンサルタゾン(oxyphenthartazone))を含むエノール酸;およびナブメトンを含むアルカノン、ならびにそれらの薬学的に受容される塩および混合物、を含む。
より詳細なNTHEの記載に関し、Paul A. Insel, Analgesic-Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Employed in the Treatment of Gout, in Goodman & Gilmem 's The Pharmacological Basis of CTNNBl therapeutics 617-57 (Perry B. Molinhoff and Raymond W. Ruddon eds., 9th ed 1996)およびGlen R. Hanson, Analgesic, Antipyretic and Anti-Inflammatory Drugs in Remington: The Science and Practice of Pharmacy VoI II 1196- 1221 (A.R. Gennaro ed. 19th ed. 1995)を参照のこと。これらを、その全体を引例としてここに組み入れる。
予防薬およびCTNNB1治療剤は、限定こそしないが、免疫調節薬、抗炎症薬(例えば、副腎皮質ステロイド、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、prednisolone、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン)、糖質コルチコイド、ステロイド、非ステロイド抗炎症薬(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、およびCOX−2阻害剤)、およびロイコトリエン(leukotriene)アンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、メチルキサンチン、ザフィールカスト(zafirlukast)、およびジレウトン)、β2−アンタゴニスト(例えば、アルブテロール、ビテロール(biterol)、フェノテロール、イソエタリエ(isoetharie)、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリンフォルモテロール、サルメテロール、およびサルメテロールテルブタリン)、抗コリン剤(例えば、臭化イプラトロピウムおよび臭化オキシトロピウム)、スルファサラジン、ペニシラミン、ダプソーン、抗ヒスタミン剤、抗マラリア剤(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗ウイルス剤、および抗生剤(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、エリスロマイシン(erythromycin)、ペニシリン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))を含む。
治療処置と組み合わせて、本発明の化合物および他の薬剤の両方を、従来の方法により哺乳類(例えば、ヒト、男性または女性)に投与する。かかる剤を、単回投与の形態でまたは分離投与の形態で投与してもよい。他のCTNNB1治療剤の有効量は、当業者に周知である。しかしながら、他のCTNNB1治療剤の最適な有効量範囲を決定することは、十分当業者の視野にある。他の1つのCTNNB1治療剤を動物に投与する本発明の1つの態様において、本発明の化合物の有効量は、他のCTNNB1治療剤を投与しない場合の有効量よりも少ない。他の1つの態様において、従来の剤の有効量は、本発明の化合物を投与しない有効量よりも少ない。このようにして、いずれかの剤の高用量に関係がある望ましからざる副作用を最小化するかもしれない。他の潜在的な利点(制限することなく、改善した投与計画および/または低減した薬剤コストを含む)は、当業者には明らかであろう。
さまざまな態様において、治療剤(例えば、予防薬またはCTNNB1治療剤)を、5分より短いの間隔で、30分より短く隔てて、1時間を隔てて、約1時間を隔てて、約1〜約2時間を隔てて、約2時間〜約3時間を隔てて、約3時間〜約4時間を隔てて、約4時間〜約5時間を隔てて、約5時間〜約6時間を隔てて、約6時間〜約7時間を隔てて、約7時間〜約8時間を隔てて、約8時間〜約9時間を隔てて、約9時間〜約10時間を隔てて、約10時間〜約11時間を隔てて、約11時間〜約12時間を隔てて、約12時間〜18時間を隔てて、18時間〜24時間を隔てて、24時間〜36時間を隔てて、36時間〜48時間を隔てて、48時間〜52時間を隔てて、52時間〜60時間を隔てて、60時間〜72時間を隔てて、72時間〜84時間を隔てて、84時間〜96時間を隔てて、または96時間〜120時間を隔てて投与する。好ましい態様において、2つまたは3つ以上の治療剤を、同じ患者視察で投与する。
ある態様において、本発明の1つまたは2つ以上の化合物および1つまたは2つ以上の他の治療剤(例えば、予防薬またはCTNNB1治療剤)を、循環的に投与してもよい。循環治療は、第1の治療(例えば、第1の予防薬またはCTNNB1治療剤)の一時期の施術、次いで第2の治療(例えば、第2の予防薬またはCTNNB1治療剤)の一時期の施術、随意に、次いで、第3の治療(例えば、予防薬またはCTNNB1治療剤)の一時期などの施術、および、例えば治療のうちの1つの耐性の進展を低減するための、治療のうちの1つの副作用を避けるまたは低減するための、および/または治療の効能を改善するための、この順番の施術の繰り返しに関連する。
ある態様において、本発明と同様の化合物の投与を繰り返してもよく、および投与は少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、または少なくとも6ヶ月、分離してもよい。他の態様において、本発明の化合物以外の同様の治療(例えば、予防薬またはCTNNB1治療剤)の施術は、少なくとも1日、2日、3日、5日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、または少なくとも6ヶ月、分離してもよい。
例
当然のことながら、本発明を、いま記載する例に限定するように構築しないべきである;むしろ、本発明は、ここに提供する任意および全ての応用ならびに当業者の範疇の全ての同等の変形を含むように構築するべきである。
例1:リアルタイムRT−PCR解析
6人の患者からの切除試料を組織学カセット(histology cassettes)に完全に入れ、CTNNB1、MYCおよびWAF1のリアルタイムRT−PCR解析まで、−70℃で貯蔵した。
連続5−ミクロン凍結断片をそれぞれの組織学カセットより切り出し、6個の完全摘出食道切除片からの正常(N=11)、低度異形成(N=11)、高度異形成(N=8)、上皮内癌(N=4)、および浸潤扁平上皮癌(N=11)の代表的病巣を、容認された病理学的基準を用いて対応するヘマトキシリンエオジン染色スライドの病理学者(MR)による病理学的調査に基づいて選択した。RNAを酵母搬送体tRNAの存在下で、標準のTriazol抽出プロトコールを用いて、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションした組織病巣から単離した。約25%の得られたRNAを、それぞれのLCMサンプルより、cDNAの合成のために用いた。Thermoscript RT-PCR Synthesis (Invitrogen) Systemを用いて、オリゴdTおよびランダム六量体プライマーを、製造者のプロトコールに従ってcDNAを合成するために採用した。CTNNB1の16Aおよび16Bのアイソタイプ、c−MYC、p21(Waf1)、GAPDH、18s rRNAおよびB−アクチンに特異的なプライマー(図8)を用いて、SYBRグリーン(50サイクル‐リアルタイムRT−PCR)またはSYBRを用いない(35サイクルの従来のゲルベースのRT−PCR)かのいずれかで、特異的な産物を増幅した。本発明において有用なプライマーを、図8に示す。特定しなければ、全ての反応条件は、55℃の再アニーリング温度を含む、標準のPCR条件を用いた、Platinum Supermix (Invitrogen)において導入した。リアルタイムPCR産物の濃度の標準化のために、適切な産物の精製した挿入物を連続希釈で用い、それから対数軸上にプロットし、開始量(閾値開始サイクル)を計算した。全てのサンプルを、遺伝子発現レベルの計算に先立って、ハウスキーピング対照(B−アクチン)へと標準化した。
例2:エクソン3変異の特性化
エクソン3CTNNB1変異の頻度を特性化した、CTNNB1遺伝子の異常調節に高頻度で関連するまたは関係がある変化があることが実証された。CTNNB1遺伝子の発現を、中国のハイリスク地域からのESCCの新生物進展にかかるMYCおよびWAF1(p21)などの下流の標的の転写物変異体および発現と比較した。変異再解析を、56の腫瘍および対応する生殖細胞系(血液)DNAにおいて、CTNNB1のエクソン3に対するプライマーおよびSSCP DNAシークエンスゲルを用いて、実施した。量的リアルタイムRT−PCRを、正常から浸潤癌への組織学的スペクトラムを呈する41の病巣に、下流の標的cMYCおよびWAF1に関連する、CTNNB1のエクソン16の159−bpの非コード断片の存在(16A)および不存在(16B)により異なる選択的スプライス変異体に対する特異的プライマーを用いて、実施した。2つの独特な変異を、56ケースのうちの2つにおいて同定したところ、SxxxS繰り返し領域におけるセリンのフェニルアラニンへの体細胞置換、およびスレオニンのアラニンへの置換(T59A)を生じる生殖細胞系列多型からなるものであった。
そして、CTNNB1エクソン3の変異は、この群においては稀な事象であり、そのため、効率のESCCとの病因学的に関係なさそうである。RT−PCR解析は、成功的に、組織学的に正常なおよび新生物発生前の扁平上皮ならびに食道の浸潤癌におけるβ‐カテニンスプライス変異体の両方の存在を確認し、そして、正常な粘膜から異形成への進行に伴う、16A/16Bの割合における顕著な低下(p=0.014)およびそれに伴うc−MYC/WAF1発現割合における上昇(p=0.014)を同定した。この例におけるデータにより、組織学的に正常を呈する食道扁平上皮細胞、扁平上皮異形成および浸潤ESCCにおいて、2つのCTNNB1転写物があるということが実証された。かかる結果により、マイナーなmRNA(16B)アイソフォームにおける上昇および正常から扁平上皮異形成への病理学的進行の間での上昇と一貫する下流のマーカーの発現における変化が示された。
CTNNB1のエクソン3は、ESCC腫瘍において稀に変異し(ESCCの症例の56のうち2(4%))、我々は、SxxxS反復領域におけるセリンのフェニルアラニンへの置換物において生じる、単一の体細胞のTCT−TTT変化(S37F)、およびスレオニンのアラニンへの置換物において生じる生殖細胞系列の多型ACC−GCC変化(T59A)を同定した。低頻度の変異のかかる所見は、ESCC(De Castro Virchow's Arch 2000, Ninomiya Int J Cancer 2000)および頭部および首の組織学的に類似した扁平上皮細胞癌(Gonzalez's J Clin Pathol 1998)における他のものにより観察されるものと一貫する。このハイリスク群において、エクソン3の変異は、かかる食道腫瘍の大多数で同定されるタンパク質発現における上昇に関与しないようである。
正常から浸潤扁平上皮癌への新生物の進行の組織学的スペクトラムを呈し、試料あたり平均で7(3〜15の範囲)の病巣がある、6つの完全にブロックした凍結食道切除試料を、RT−PCR解析に対して選択した。
これらの切除片から、全体で組織学的に正常の(Nml)な上皮の11個の病巣が4つの食道切除変で見つかり、低度異形成(LGD)の11個の病巣が6つの食道切除片を見つかり、高度異形成(HGD)の8つの病巣が4つの食道切除片で見つかり、上皮内癌(CIS)の4つの病巣が2つの食道切除片で見つかり、そして浸潤癌の11の病巣を5つの食道切除変で見つかった。少数の病巣およびCISが、例えば同じ切片において、浸潤癌に隣接していたという事実のため、LGDおよびHGDからの発現結果をDYSカテゴリーへと混合し、CISおよび浸潤SCCからのものを癌カテゴリーへと混合した。RT−PCR解析は、CTNNB1スプライス変異体、16Aおよび16B、およびMYCおよびWAF1に対して成功的に増幅したRT−PCR産物を、それぞれの組織学的カテゴリーにおいて同定した。全ての正常、異形成、および癌の病巣に対する平均発現値を、表1に示す。
CTNNB1産物の相乗平均RNA発現は、Nml、DYS、およびCAの間の組織学的重症度に伴って変化する。正常組織で見られるように、スプライス変異体16Aは、16Bの約10倍で豊富であった。16Aの平均値はNmlよりもDYSにおいて低かったが、DYSよりもCAにおいて高かった。16Bの平均値はNmlよりもDYSにおいて高かったが、DYSよりもCAにおいて低かった。さらに、組織学的に正常な様相の上皮と比較して、DYSにおける全体のCTNNB1(16A+16B)mRNA発現は、51%低かった。NmlおよびDYSの間の総CTNNB1における低下は、豊富な方のスプライス変異体16Aの約70%の低下および豊富ではない方の変異体16Bの162%の上昇に起因した。その結果、NmlおよびDYSの間の16A/16B mRNA発現率(p=0.014)における顕著な低下となった。下流のマーカー、MYCおよびWAF1は、また、組織学的損傷のスペクトラムにわたって変化し、16Aと平行に変化する16BおよびWAF値におけるものに平行するMYC値における変化であった。転写の下流のマーカーの量化は、Nml上皮よりもDYSにおける78%を超えて高いMYCmRNA発現を示し、WAFはDYSにおいてNmlよりも52%低かった(p=0.026)。これらの方向性における違いの結果として、MYC/WAF1発現割合は、また、低減した(p=0.001)。
ここに例2で示すデータは、組織学的に正常を呈する食道上皮、扁平上皮異形成および浸潤性ESCCにおける、エクソン16の159−bp非コード断片の存在(16A)または不存在(16B)により異なる、2つのCTNNB1転写物を実証する。タンパク質において上昇を示す、従前の免疫組織化学の解析と対照的に、異形成上皮における総CTNNB1 mRNA発現における低下を見出した。かかる結果は、また、CTNNB1スプライス変異体に対する割合が正常から異形成上皮への組織学進行とともに顕著に低減するということを示す。かかるタンパク質の所見の関連においておよびエクソン3の変異の不存在において、かかる結果は、正常の組織学からDYSへの進行に伴う、マイナーなmRNA 16Bアイソフォームにおける優先の過程および上昇がある可能性があることを示す。しかしながら、この研究はかかる変化に潜む機構の決定を意図するものではなかったが、可能な説明は、いかなる科学的な理論により結合することを望まないが、16Bアイソフォームの核のエクスポートにおける、転写効率、mRNA安定性、または低下を含む。かかる機構は、3’非翻訳領域が、空間的および一時的なmRNA発現を支配するいくつかの調節要素を含むことができることを示す研究と一致する(Kuersten Nature 2003, Hurlstone EMBO 2002, Cok Journal of Biological Chemistry 2001)。
かかる平均CTNNB1 mRNA発現変化は、細胞転写において相乗的に上昇に遊離となる、上昇した平均cMYCおよび低下した平均WAF1 mRNA発現を伴う(Bitzer Anticancer Research 2003)。このことは、MYCおよびWAFがTCF標的遺伝子を体現し、胃腸管におけるCTNNB1関連の潜在性悪性転換の一部分であるという事実と一貫する(Hurlstone EMBO 2002, Van de Wetering Cell 2002)。このことは、また、β‐カテニン/TCF−4複合体が、健常および悪性腸管上皮細胞においてG1期停止および分化を制御するMYCおよびWAF1活性に影響することにより、増殖対分化を制御するという所見と一貫する(Van de Wetering Cell 2002)。これらの遺伝子は、また、食道の腫瘍ならびに胃腸間の外の部位の新生物の発達に関連するように見える(Wang LD World J Gastroenterol 1998, Sarbia M AJP 1999, Polakis Genes and Development 2000, Tselepis Gut 2003)。
組織学的に正常な上皮で所見される、DYSからCAへのレベルに対する傾向化に対する進行に伴う、CTNNB1、MYCおよびWAF1発現における変化のパターンは、かかる遺伝子が、正常からDYSおよび/または癌性損傷が新生物発生前の損傷で見られるよりも外来性であるということを含む細胞群の悪性潜在性への新生物の進行のより初期の段階において、より顕著な役割を果たすかもしれない、ということを示す。
ここで用いる、かかる特異的な変化は、効果的な早期の検出および疾患予防方策である。
例3:統計的解析
遺伝子発現価を、自然対数を用いて変換する。少数であるため、LGDおよびHGDをともにDYSとして解析し、CISおよび浸潤性扁平上皮癌をともにCAとして解析した。正常からDYSおよびCAへの発現におけるパーセント変化を、参加者に対する変量切片を含む線形混合モデルを用いて推定した。グレードを、固定効果として扱う2つの指標変数で記載した。試料あたりのサンプルの数に対する範囲のために、試料あたりのサンプル数に対する固定効果の付加的なモデルを調べ、サンプル数および組織学の間の効果的修飾に対しテストした(結果非公開)。全ての試験の統計的優位性は2側であった。統計的解析を、S−PLUS(S-PLUS version 6.1 for Windows(登録商標). Seattle (WA): Insightful Corporation; 2002)を用いて実施した。
例4
図6に関して、かかる結果は、試料あたり平均7個(3個〜15個の範囲)の病巣を有する、正常から浸潤性扁平上皮癌への新生物進行の組織学的スペクトラムを呈する、RT−PCR解析のために選択された、6つの完全ブロック凍結食道切除試料に由来する。これらの切片から、合計で組織学的に正常な(Nml)上皮の11個の病巣を4つの食道切除片より見つけ、11個の低度異形成(LGD)の病巣を6個の食道切除片で見つけ、8個の高度異形成(HGD)の病巣を4個の食道切除片で見つけ、4個の上皮内癌(CIS)の病変を2個の食道切除片で見つけ、そして11個の浸潤癌の病変を5個の食道切除片で見つけた。少数の病巣であるため、CISが、例えば同じ切片中で、浸潤癌に近接とするという事実のため、LGDおよびHGDからの発現結果をDYSカテゴリーへと混合し、CISおよび浸潤SCCからのものを癌カテゴリーへと混合した。
RT−PCR解析により、CTNNB1スプライス変異体、16Aおよび16Bを同定し、そしてそれぞれの組織学的カテゴリーにおけるMYCおよびWAF1に対するRT−PCR産物を、成功的に増幅した。:リアルタイムRT−PCR解析:6人の患者からの切断試料を完全に組織額カセットへと装填し、CTNNB1、MYCおよびWAF1のリアルタイムRT−PCR解析まで−70℃で貯蔵した。
連続5−ミクロン凍結断片をそれぞれの組織学カセットより切り出し、6個の完全摘出食道切除片からの正常(N=11)、低度異形成(N=11)、高度異形成(N=8)、上皮内癌(N=4)、および浸潤扁平上皮癌(N=11)の代表的病巣を、容認された病理学的基準を用いて対応するヘマトキシリンエオジン染色スライドの病理学者(MR)による病理学的調査に基づいて選択した。RNAを酵母搬送体tRNAの存在下で、芳醇のTriazol抽出プロトコールを用いて、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションしたこれらの組織病巣から単離した。約25%の得られたRNAを、それぞれのLCMサンプルより、cDNAの合成のために用いた。Thermoscript RT-PCR Synthesis (Invitrogen) Systemを用いて、オリゴdTおよびランダム六量体プライマーを、製造者のプロトコールに従ってcDNAを合成するために採用した。CTNNB1の16Aおよび16Bのアイソタイプ、c−MYC、p21(WAF1)、GAPDH、18s rRNAおよびベータ−アクチンに特異的なプライマー(表1)を用いて、SYBRグリーン(50サイクル‐リアルタイムRT−PCR)またはSYBRを用いない(35サイクルの従来のゲルベースのRT−PCR)かのいずれかで、特異的な産物を増幅した。
特定しなければ、全ての反応条件は、55℃の再アニーリング温度を含む、標準のPCR条件を用いた、Platinum Supermix (Invitrogen)において導入した。リアルタイムPCR産物の濃度の標準化のために、適切な産物の精製した挿入物を連続希釈で用い、それから対数軸上にプロットし、開始量(閾値開始サイクル)を計算した。全てのサンプルを、遺伝子発現レベルの計算に先立って、ハウスキーピング対照(ベータ−アクチン)へと標準化した。この研究は、Shanxi Cancer Hospital, Shanxi, ChinaおよびNational Cancer Institute, Bethesda, Maryland, United Statesの治験審査委員会により承認された。全ての正常、異形成、および癌病巣に対する平均発現値を、表1に示す。
* パーセント変化の推定値は、変量効果としての参加者および2つの指標変数として扱う固定効果処置としてのグレードを含む、線形混合モデルからのものである。
** 正常組織と比較して、異形成におけるmRNA発現のパーセント変化は、Waf(p=0.06)および16A/16B(p=0.014)およびMyc/Waf(p=0.001)の割合に対して顕著に異なる。
† 総計で、16A+16Bおよび16A/16Bに対して43観察、16A、16N、Waf、およびMyc/Waf割合に対して44観察;およびMycに対して45観察となる、6人の参加者。
例5
低分子干渉RNA(siRNA)分子を、CTNNB1の16Bおよび16A+16Bアイソフォームを標的とするように設計した。阻害剤の使用により、増殖、cMYCおよびWAF1の下流のマーカーの発現が変調することを実証し、CTNNB1関連癌を処置する再のCTNNB1スプライス変異体関連治療剤の使用を説明する。
このデータは、293−H腎臓細胞におけるCTNNB1(16Aおよび16B)または16A変異体の最初のサイレンシングを表す。siRNA構築を、CTNNB1アミノ末端領域(CTNNB1−1または−2)または代替のスプライス配列16A(16A−1および−2)内に備わる配列に対して設計する。かかるsiRNAを50nMの濃度で用いた。かかる293−H細胞を48時間後に採取し、発現レベルを抽出RNAのRT−PCRにより決定した。陰性対照をsiRNAサイレンシング構築を用いずにアッセイし、CTNNB1代替スプライス配列の両方に対し、例えば、16Aおよび16B、加えてMYC、WAF1およびアクチンに対し、同様のリアルタイムRT−PCRアッセイを用いて対照発現レベルを決定した
CTNNB1構築(16A/16B−1または16A/16B−2)のいずれかのサイレンシングの結果、非サイレンス発現と比較して、16Aおよび16B代替スプライス配列の発現において95%より大きい低下となった(表2)。下流転写マーカー、MYCおよびWAF、の発現は、また、siRNA CTNNB1構築により低下した。加えて、16Aを対象とするsiRNA構築(16A−1および16A−2)は、両方のCTNNB1スプライス変異体において、未だ決定しない2つの16A構築に特異的なスプライス変異体の不存在で、さらに大きな劇的な低下を示した。さらに、16A−1または16A−2のいずれかでのサイレンシングは、WAF1発現における上昇およびMYC発現における関連する低下となり、非サイレンシング実験(割合=192)に対して、WAF1に対するMYCの割合(割合=<1)の低下が結果として生じた。
さらに、これらの結果を、棒グラフで描くところ(図1)、x軸はアッセイしたそれぞれの遺伝子(例えば、15/16A、MYCおよびWAF1)に対する相対的なコピー数を反映する。そして、非サイレンシング(一番上のパネル)は、16AおよびBスプライス変異体に匹敵するレベルでの、WAF1およびCTNNB1に対する高レベルのMYCを示す。16A−1または16A−2でのサイレンシングにより、16Aの量を顕著に低減させ、そして、より少ない程度の16Bとし、およびWAF1の発現は僅かに上昇するが、MYC発現を低減した。CTNNB1−1(16A/16B−2)またはCTNNB1−2(16A/16B−1)での処置により、16Aおよび16Bスプライス変異体の両方を低減させ、WAF発現よりもMYC発現をより低下させた。変調を目的とするsiRNA CTNNB1に対するそれぞれの反応は、低減した転写および低減した新生物の潜在性と一貫する。8個の繰り返しのウェル(サイレンシング)または16個の繰り返しのウェル(非サイレンシング)で獲得し、それぞれの個々のウェルからの結果を最終の相対的な発現レベルを決定するために平均化した。
*全ての発現レベルを、内部対照アクチンに対して正規化した。
印刷物、電子体、コンピューター読み込み可能な記憶装置媒体または他の形態であるところの、ここに引用する全ての参考文献を、要約、論説、ジャーナル、出版物、テキスト、論文、技術的データシート、インターネットウェブサイト、データベース、特許、特許出願、および特許出版物を含めて、その全体を、引例として組み入れる。
本発明の多くの態様を記載した。それでもなお、当然のことながら、さまざまな修飾を、本発明の精神および範疇から出発することなく為すであろう。それゆえ、他の形態は以下の請求項の範疇内にある。