本発明は、射出成形機の射出開始時移動ダイプレート位置設定方法に関する。
合成樹脂は、容易に成型でき且つ安価であるため、種々の製品の材質として使用されている。こうした合成樹脂の原料を使用して製品の成形を行う射出成形機では、原料のペレットを加熱溶融し、この溶融されたペレットを金型のキャビティに射出した後、固化する。そして、金型の型開きを行うことで固化した製品を取り出し製品の製造を行っている。
図8は、射出成形機を示す一部切り欠き断面図である。射出成形機1は、金型11の型開閉を行う型締ユニット2と、原料となるペレットを溶融した後に金型11のキャビティ18に射出する射出ユニット3と、これらを制御する制御ユニット4とを具備している。
型締ユニット2では、金型11が型締駆動手段30によって型締される。金型11は、固定金型11aと可動金型11bとで構成される。固定金型11aは、固定ダイプレート12に装着され、可動金型11bは、移動ダイプレート13に装着されている。移動ダイプレート13の背面(図8において左側)には、型締ロードセル17を介してハウジング15が取り付けられている。この型締ロードセル17によって、金型11に加わる型締力を検出することができる。
固定ダイプレート12とテールストック16との間には、タイバー14が架設されており、タイバー14に移動ダイプレート13がスライド自在に取り付けられている。なお、射出ユニット3に向かって(即ち、図8において右方向に)移動することを「前進」、その反対に移動することを「後退」という。
テールストック16にはトグル駆動サーボモーター31が取り付けられており、その回転駆動軸に取り付けられた駆動プーリー33と、テールストック16にベアリングを介して回転自在に配設されたトグル駆動ナット36の突出端に固定された従動プーリー34とが、タイミングベルト35を介して接続されている。
従動プーリー34には、トグル駆動ナット36を介してトグル駆動ネジ41が進退自在に螺装されており、このトグル駆動ネジ41の突出端がクロスヘッド42に取り付けられている。トグルリンク機構40は長短各アーム43をリンク機構に接続したもので、その一端はテールストック16に回動自在に接続され、他端はハウジング15に回動自在に接続され、更にもう1つの端部はクロスヘッド42に取り付けられている。
金型11の型締は、次のように行われる。即ち、トグル駆動サーボモーター31が作動し、その回転力が駆動プーリー33及び伝達ベルト35を介して従動プーリー34に伝達される。そして、従動プーリー34がトグル駆動ナット36を介してトグル駆動ネジ41を駆動し、トグル駆動ネジ41は図8の右方向に進み、クロスヘッド42を前進させトグルリンク機構40を伸長させる。
この時、この伸長に合わせて移動ダイプレート13及びこれに装着されている可動金型11bが固定金型11a側に移動し、固定金型11aに可動金型11bが所定圧力で押圧され、型締が行われる。なお、移動ダイプレート13の位置は、トグル駆動サーボモーター31に取り付けられたエンコーダー32を使用して検出することができる。
以上の構成、即ち、トグル駆動サーボモーター31、駆動プーリー33、タイミングベルト35、従動プーリー34、トグル駆動ナット36、トグル駆動ネジ41、クロスヘッド42、長短各アーム43、及びエンコーダー32によって、型開閉のために移動ダイプレート13を進退するための駆動力を発生させる型締駆動手段30が実現される。
所で、型締力は、成形品によって異なる(即ち、金型によって異なる)ため、その値を変更できなければならない。通常は、テールストック16の位置を変更することで、発生できる型締力を変更する。テールストック16には、サーボモーター21が取り付けられており、リングギア23を回転させる。このリングギア23の回転によって、全てのタイバー14に螺合した全てのアジャストナット24が回転し、タイバー14の長手方向に進退することで、テールストック16が進退する。なお、テールストック16の位置は、サーボモーター21に取り付けられたエンコーダー22によって検出することができる。
以上の構成、即ち、サーボモーター21、リングギア23、アジャストナット24、及びエンコーダー22によって、テールストック16をタイバー14に沿って進退させるテールストック移動手段20が実現される。なお、リングギア23の使用方法については、特許文献1及び特許文献2を始めとして種々の方法が知られている。
制御ユニット4は、型締ユニット2と射出ユニット3の制御を行う。制御ユニット4は、実際に制御を行う制御手段61と、オペレーターとの入出力を行う入出力手段62とからなる。制御手段61は、型締ロードセル17、エンコーダー22、エンコーダー32等からの信号に基づいて、各部を制御する。駆動系の制御は全てサーボモーター21によって行われるため、プログラムによって複合動作など任意の条件を作り出すことができる。この際、入出力手段62を用いて、条件の入力や確認を行うことができる。なお、入力手段62としては、タッチパネル付きディスプレイのように入力手段と出力手段とが一体構成のものも、キーボードと液晶ディスプレイのように入力手段と出力手段とが別体構成のものもある。
さて、移動ダイプレート13の制御には、「移動ダイプレート位置」が多く使用される。「移動ダイプレート位置」は、テールストック16から最も離れた位置を基準にして、移動ダイプレート13がテールストック16に近づいた距離で定義される。以下、図9及び図11を用いて、移動ダイプレート位置を説明する。
図9は、型締ユニットのテールストックから可動金型までを示す断面図である。説明の便宜上、タイバー及びトグル駆動ネジ並びに下半分は、省略した。また、図8と同一の符号を付した要素は、図8の場合と同一の要素であり、その説明は省略する。図9の(a)は、移動ダイプレート13をテールストック16に最も近づけた状態であり、同図(c)は、移動ダイプレート13をテールストック16から最も遠ざけた状態であり、同図(b)は、それらの中間の状態である。
図9において、uは、テールストック16とクロスヘッド42との距離を表す変数である。移動ダイプレート13をテールストック16に最も近づけた状態(同図(a))において、u=0とし、移動ダイプレート13をテールストック16から最も遠ざけた状態(同図(c))において、u=Qとする。ここで、Qは、定数である。
また、vは、テールストック16と移動ダイプレート13との距離を表す変数である。移動ダイプレート13をテールストック16に最も近づけた状態(同図(a))において、v=Rとし、移動ダイプレート13をテールストック16から最も遠ざけた状態(同図(c))において、v=R+Sとする。ここで、R及びSは、定数である。なお、Sは、「型開閉ストローク」と呼ばれる場合もある。
或る時点における移動ダイプレート位置xは、移動ダイプレート13をテールストック16から最も遠ざけた状態におけるテールストック16と移動ダイプレート13との距離(R+S)から、その或る時点におけるテールストック16と移動ダイプレート13との距離(v)を減算した値である。即ち、移動ダイプレート位置xは、R+S−vである(同図(b)参照)。
従って、同図(c)のように、移動ダイプレート13をテールストック16から最も遠ざけた状態(v=R+S)では、x=0であり、同図(a)のように、移動ダイプレート13をテールストック16に最も近づけた状態(v=R)では、x=Sである。
図11は、テールストック16とクロスヘッド42との距離uに対する、移動ダイプレート位置x(破線)及びテールストック16と移動ダイプレート13との距離v(実線)を表すグラフである。uの大きい領域(即ち、移動ダイプレート13がテールストック16から遠い位置にある状態)では、テールストック16と移動ダイプレート13との距離vの増加の割合(傾き)が小さくなる。この特性により、型開閉速度の向上、並びに型締時の金型及び成形品の保護を同時に実現できる。
所で、近年、高速且つ大容量の記録媒体として、光ディスクが広く普及している。光ディスクの厚さは、規格によって1.2mmと規定されており、厚さが0.6mmのディスクを2枚張り合わせて作られることが多い。このような薄肉ディスクを射出成形機で成形する場合、溶融樹脂の流路が狭く、キャビティ内流動抵抗が大きくなるため、形成不良が発生し易かった。
特許文献3には、成形工程において、可動金型と固定金型とが接触(金型接触という)する前から、射出を開始する技術が開示されている。この技術によれば、射出開始時の流動抵抗が減少し、溶融樹脂がスムーズに流れるので、成形不良を減少させることが可能となる。この技術を用いた成形工程における各変数の値を、図10及び図12を使用して説明する。
図10は、型締ユニットのテールストックから固定ダイプレートまでを示す断面図である。説明の便宜上、タイバー及びトグル駆動ネジ並びに下半分は、省略した。図8と同一の符号を付した要素は、図8の場合と同一であり、その説明は省略する。また、変数u及びx、並びに定数Q、R及びSは、上述した図9の場合と同一であるため、その説明は省略する。ここで、図10におけるgは、金型間距離、即ち、固定金型11aのパーティング面と可動金型11bのパーティング面との距離である。また、Wは、射出を開始する時の金型間距離である。Tは、型締時にタイバーが伸びる長さであり、型締時にテールストック16が後退する量である。
図10の(a)は、移動ダイプレート13をテールストック16に最も近づけた状態である。この時、移動ダイプレート位置xの値は、Sである。同図(b)は、金型間距離gがWになった状態、即ち、射出が開始される状態であり、移動ダイプレート位置xの値はT+Wである。
同図(c)は、移動ダイプレート13を更に前進させて可動金型11bを固定金型11aに丁度接触させた状態である。この時、金型間距離gはゼロであり、移動ダイプレート位置xの値はTである。同図(d)は、移動ダイプレート13をテールストック16から最も遠ざけた状態である。金型間距離gはゼロであり、移動ダイプレート位置xはゼロである。
図12は、図10の成形工程における、移動ダイプレート位置xと金型間距離gとの関係を示すグラフである。図12の符号A、B、C、及びDで示される各点は、それぞれ、図10の(a)、(b)、(c)、及び(d)の状態に対応する。符号C及びDで示される各点、即ち、図10の(c)と(d)とでは、金型間距離gは同じ値(ゼロ)であるが、移動ダイプレート位置xの値は異なる。これは、図10の(c)の状態から(d)の状態になった時に、タイバーが伸び、テールストック16が後退するからである。
射出を開始する時の金型間距離は、射出成形機、金型の個体差、樹脂の種類、成形品等に応じて最適な値を有する。例えば、金型間距離が大きいと、重力の影響を大きく受けるため、溶融樹脂が下方に垂れたり、成形品にリング状のマークが生じたりする。また、金型間距離が小さいと、流動抵抗の減少効果が小さく、溶融樹脂がスムーズに流れない。このため、連続成形前に金型間距離を最適な値に設定しておく必要がある。
さて、従来、このような薄肉ディスクの製造は、以下のような手順で行われていた。即ち、初めに、所定の型締力を発生できる位置にテールストックを移動させ、次に、射出開始条件を設定し、最後に、成形工程(連続成形)を行うというものである。
所定の型締力を発生できる位置にテールストックを移動させる技術は、種々提案されており、実用化されている。例えば、特許文献4の第3図のS1からS11までの処理を行うことで、実現できる。ここで、型締力は、例えば、特許文献5に記載されているように、型締ロードセル(圧力センサー)を用いて検出することができる。
続く射出開始条件の設定には、例えば、特許文献6に記載の「直線状のエンコーダー」を使用する方法が考えられる。この直線状のエンコーダーを使用すると、金型間距離を直接検出することができる。従って、移動ダイプレートを前進させ、この直線状のエンコーダーの検出値が変化しなくなった時が、可動金型が固定金型に接触した時である。故に、この時の直線状のエンコーダーの検出値に所定の金型間距離の値を加算した値を、射出開始時の値として設定すればよい(即ち、直線状のエンコーダーの検出値が、射出開始時の値として設定された値になった時に、射出が開始される。)。
しかし、上述の直線状のエンコーダーは、非常に高価であり、現実的ではない。このため、直線状のエンコーダーを使用せずに、「移動ダイプレート位置」を使用して射出開始条件を設定する方法が広く知られている。
特許文献7には、トグル駆動サーボモーターのエンコーダー等を用いてクロスヘッド位置を検出し、このクロスヘッド位置から移動ダイプレート位置を一時式で近似して求める技術が開示されている。また、クロスヘッド位置を求めず、トグル駆動サーボモーターのエンコーダーの値や、この値から算出したトグル駆動ネジの回転角から、移動ダイプレート位置を求める技術も広く知られている。多くの射出成形機では、このようにして求められた移動ダイプレート位置が表示されるようになっており、オペレーターは、この値を知ることができる。
さて、先に述べたように、型締の際、直線状のエンコーダーの検出値は、金型接触後は変化しないので、金型接触を容易に検知することができる。一方、移動ダイプレート位置は、金型接触後も、値が変化する。従って、移動ダイプレート位置の値を見ても、金型接触を検知することはできない。
このため、オペレーターは、型締ロードセルによって検出された型締力の値を目視し、その変化から、金型接触を判断する。具体的に言うと、オペレーターは、低速で移動ダイプレートを前進させるとともに、型締力を常に監視する。そして、型締力が増加し始めた時に、金型が接触したと判断し、その時に表示されている移動ダイプレート位置を瞬時に読み取る。その後、オペレーターは、読み取った移動ダイプレート位置に所定の金型間距離を加算した値を、射出開始時移動ダイプレート位置として入力し、設定が完了する。
特開平7−68610号公報
特開2003−231161号公報
特許第3293019号公報
特公平7−45100号公報
特許第3749783号公報
特開昭64−58521号公報
特公平3−56654号公報
従来の方法では、オペレーターは移動ダイプレート位置を瞬時に読み取らなければならず、読み取りに失敗することが多かった。このため、読み取れるまで何度も移動ダイプレートの進退を繰り返さなければならず、設定に時間を要してしまうという問題があった。
また、従来の方法では、オペレーターは金型が接触したと判断してから移動ダイプレート位置を読み取るので、判断・反応に要する時間の分だけ、検出される移動ダイプレート位置の精度が低下するという問題があった。また、従来の方法では、移動ダイプレート位置を読み取るタイミングがオペレーターによって異なるので、読み取られる移動ダイプレート位置もオペレーターによって異なる。このため、異なった成形条件で連続成形が行われ、成形品にばらつきが生じるという問題があった。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、容易に高精度の移動ダイプレート位置を検出できる射出開始時移動ダイプレート位置設定方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の射出開始時移動ダイプレート位置設定方法は、固定金型を取り付ける固定ダイプレート、前記固定金型と型開閉される可動金型を取り付ける移動ダイプレート、型開閉のために前記移動ダイプレートを進退するための駆動力を発生させる型締駆動手段、該型締駆動手段を取り付けたテールストック、前記固定ダイプレート及び前記テールストックを連結するタイバー、前記テールストックを前記タイバーに沿って進退させるテールストック移動手段、並びに型締力を検出する型締ロードセルを有する型締ユニットと、ペレットを溶融し、射出する射出ユニットと、前記型締ユニット及び前記射出ユニットを制御する制御ユニットとを具備し、前記固定金型と前記可動金型とが離れた状態で射出を開始する成形工程を実行する際の金型間距離を、射出開始時金型間距離として設定する工程を有する射出成形機の射出開始時移動ダイプレート位置設定方法であって、前記移動ダイプレートを前進させる前進工程と、前記型締ロードセルによって検出された型締力が予め設定された値を超えた時に前記可動金型が前記固定金型に接触したと判断する判断工程と、該判断工程で前記可動金型が前記固定金型に接触したと判断された時に、移動ダイプレート位置を求めて金型接触時移動ダイプレート位置とし、前記移動ダイプレートの前進を停止させる検出工程とを備えた金型接触時移動ダイプレート位置検出方法を備え、所定の型締力を発生させることができる位置にテールストックを移動させた後、前記金型接触時移動ダイプレート位置検出方法によって金型接触時移動ダイプレート位置を検出し、次に該検出された金型接触時移動ダイプレート位置を表示し、さらに該検出された金型接触時移動ダイプレート位置に、予め入力設定された射出開始時金型間距離を加算した位置を射出開始時移動ダイプレート位置として表示した後、該射出開始時移動ダイプレート位置の設定を自動的に行うことを特徴とする。
請求項1に記載の射出開始時移動ダイプレート位置設定方法によれば、型締力が予め設定された値を超えた時に、移動ダイプレート位置を求め、これを金型接触時移動ダイプレート位置とし、金型接触時移動ダイプレート位置検出方法によって検出された金型接触時移動ダイプレート位置に、予め設定された射出開始時金型間距離を加算した位置を、射出開始時移動ダイプレート位置として設定する。
請求項2に記載の射出開始時移動ダイプレート位置設定方法は、請求項1において、前記移動ダイプレートを前進させる前進工程と、前記型締ロードセルによって検出された型締力が予め設定された値を超えた時に前記可動金型が前記固定金型に接触したと判断する判断工程と、該判断工程で前記可動金型が前記固定金型に接触したと判断された時に、移動ダイプレート位置を求めて金型接触時移動ダイプレート位置とし、前記移動ダイプレートの前進を停止させる検出工程と、前記移動ダイプレートを後退させる後退工程とからなる処理を複数回実行し、各処理で求められた複数の移動ダイプレート位置の平均値を算出して金型接触時移動ダイプレート位置とすることを特徴とする。
請求項2に記載の射出開始時移動ダイプレート位置設定方法によれば、型締力が予め設定された値を超えた時に移動ダイプレート位置を求めるという処理を複数回実行し、移動ダイプレート位置の平均値を求め、これを金型接触時移動ダイプレート位置とする。
本発明によれば、型締力が予め設定された値を超えた時に移動ダイプレート位置を求めるので、数値で閾値が設定されるから、目視及び手動での操作ではなく、制御ユニットによる制御が可能になる。即ち、制御ユニットの制御によって移動ダイプレート位置を読み取るため、読み取りの失敗回数を減少させることができる。また、制御ユニットが制御するので、判断・反応が瞬時に行われるから、検出される移動ダイプレート位置の精度の低下を防止することができる。また、制御ユニットが制御するので、移動ダイプレート位置がオペレーターによって異なるということがなくなり、成形品のばらつきを防止できる。
更に、本発明によれば、金型接触時移動ダイプレート位置及び射出開始時移動ダイプレート位置を表示するので、オペレーターは金型接触時移動ダイプレート位置及び射出開始時移動ダイプレート位置を知ることができる。また、オペレーターは、金型接触時移動ダイプレート位置の値に射出開始時金型間距離を加算した値を、射出開始時移動ダイプレート位置として入力するだけで、射出開始時移動ダイプレート位置の設定を行うことができる。
更に、本発明によれば、検出された金型接触時移動ダイプレート位置に予め設定された射出開始時金型間距離を加算した位置を射出開始時移動ダイプレート位置として設定するので、射出開始時金型間距離を予め設定しておけば、自動的に、射出開始時移動ダイプレート位置の設定を行うことができる。
更に、本発明によれば、移動ダイプレート位置の平均値を求めるため、検出される金型接触時移動ダイプレート位置の精度をより向上することができる。
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例は本発明の具体例に過ぎず、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施例に係る射出成形機は、背景技術において説明した従来の射出成形機(図8)と構造上は同一であるから、その説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。図3は、本実施例のメインルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートは、射出開始時移動ダイプレート位置の設定が指示されると開始される。なお、このフローチャートの各処理は、全て制御ユニット4によって制御される。また、図6は、このフローチャートの実行途中で表示される内容の例である。
ステップS120で、制御ユニット4は、型締力調整工程(後述)を実行し、ステップS130に進む。この工程を実行すると、テールストック16は、型締時に所定の型締力を発生できる位置に移動する。即ち、この射出成形機1で発生させることができる型締力の調整を行うことができる。
ステップS130で、制御ユニット4は、金型接触時移動ダイプレート位置検出工程(後述)を実行し、ステップS140に進む。この工程を実行すると、金型接触時の移動ダイプレート位置が検出される。
ステップS140で、制御ユニット4は、ステップS130で検出された金型接触時移動ダイプレート位置を表示し、ステップS150に進む。図6(a)は、この表示例である。金型接触時移動ダイプレート位置の表示領域72に、検出された金型接触時移動ダイプレート位置(例えば、0.92)が表示されている。
ステップS150で、制御ユニット4は、オペレーターに射出開始時移動ダイプレート位置の入力を促し、入力された値を射出開始時移動ダイプレート位置として設定し、メインルーチンを終了する。具体的に、この処理を説明する。図6(a)において、射出開始時移動ダイプレート位置の表示領域73に入力カーソル79が表示されている。オペレーターは、既に表示されている金型接触時移動ダイプレート位置(0.92)に所定の金型間距離(例えば、0.61)を加算した値(1.53)を、この表示領域73に入力する(図6(b)参照)。この結果、射出開始時移動ダイプレート位置として、1.53mmが設定される。
図5は、本実施例の型締力調整工程(図3に示すメインルーチンにおけるステップS120)を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの各処理は、全て制御ユニット4によって制御される。
ステップS610で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13をテールストック16に最も近い位置まで後退させ、ステップS620に進む。ここで、移動ダイプレート13の位置は、エンコーダー32によって検出することができる。
ステップS620で、制御ユニット4は、サーボモーター21を制御してテールストック16を所定量(例えば、10mm)だけ後退させ、ステップS630に進む。ここで、テールストック16の位置や移動量は、エンコーダー22によって検出することができる。
ステップS630で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13を前進させ、ステップS640に進む。
ステップS640で、制御ユニット4は、可動金型11bが固定金型11aに接触したか否かを判断し、接触している場合は、ステップS610に進み、そうでない場合は、ステップS650に進む。
ステップS650で、制御ユニット4は、移動ダイプレート13がテールストック16から最も離れた位置まで前進しているか否かを判断し、最も離れた位置まで前進している場合は、ステップS660に進み、そうでない場合は、ステップS630に進む。
ステップS660で、制御ユニット4は、サーボモーター21を制御してテールストック16を前進させ、ステップS670に進む。
ステップS670で、制御ユニット4は、可動金型11bが固定金型11aに接触したか否かを判断し、接触している場合は、ステップS680に進み、そうでない場合は、ステップS660に進む。
ステップS680で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13をテールストック16に最も近い位置まで後退させ、ステップS690に進む。
ステップS690で、制御ユニット4は、所定の型締力を発生させるためのタイバー14の伸び量を算出し、ステップS700に進む。
ステップS700で、制御ユニット4は、サーボモーター21を制御して、ステップS690で算出された伸び量だけテールストック16を前進させ、型締力調整工程を終了する。
図1は、本実施例の金型接触時移動ダイプレート位置検出工程(図3に示すメインルーチンにおけるステップS130)を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの各処理は、全て制御ユニット4によって制御される。
ステップS320で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13を前進させ、ステップS330に進む。
ステップS330で、制御ユニット4は、可動金型11bが固定金型11aに接触したか否かを判断し、接触している場合は、ステップS340に進み、そうでない場合は、ステップS330に進む。ここで、制御ユニット4は、型締ロードセル17で検出された型締力が、予め設定された値(例えば、500kg重)を超えた時に、可動金型11bが固定金型11aに接触したと判断する。
ステップS340で、制御ユニット4は、移動ダイプレート位置xを求め、ステップS350に進む。ここで、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31に取り付けられたエンコーダー32の出力(即ち、トグル駆動ネジ41の回転角)を、予め記憶してある換算表を使って移動ダイプレート位置に変換する。
ステップS350で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13の前進を停止させ、ステップS360に進む。
ステップS360で、制御ユニット4は、ステップS340で求められた移動ダイプレート位置xを記憶し、ステップS370に進む。
ステップS370で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13をテールストック16に最も近い位置まで後退させ、金型接触時移動ダイプレート位置検出工程を終了する。
このように、本実施例の処理を実行することで、金型接触時移動ダイプレート位置が表示され、また、射出開始時移動ダイプレート位置が設定される。
本実施例に係る射出成形機は、実施例1の場合(図8)と構造上は同一であるから、その説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。また、本実施例のメインルーチンは、実施例1の場合(図3)と同一であるため、説明は省略する。実施例1との違いは、金型接触時移動ダイプレート位置検出工程(図3に示すメインルーチンのステップS130)だけであるから、この工程についてのみ説明する。
図2は、本実施例の金型接触時移動ダイプレート位置検出工程を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの各処理は、全て制御ユニット4によって制御される。また、このフローチャートでは、ループ回数をカウントするためのカウンタ変数jと、ループする回数(即ち、平均化されるデータ数)を記憶する変数Mを使用する。
ステップS410で、制御ユニット4は、カウンタ変数jに1を代入し、ステップS420に進む。
ステップS420で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13を前進させ、ステップS430に進む。
ステップS430で、制御ユニット4は、可動金型11bが固定金型11aに接触したか否かを判断し、接触している場合は、ステップS440に進み、そうでない場合は、ステップS430に進む。ここで、制御ユニット4は、型締ロードセル17で検出された型締力が、予め設定された値(例えば、500kg重)を超えた時に、可動金型11bが固定金型11aに接触したと判断する。
ステップS440で、制御ユニット4は、移動ダイプレート位置x(j)を求め、ステップS450に進む。ここで、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31に取り付けられたエンコーダー32の出力(即ち、トグル駆動ネジ41の回転角)を、予め記憶してある換算表を使って移動ダイプレート位置に変換する。
ステップS450で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13の前進を停止させ、ステップS460に進む。
ステップS460で、制御ユニット4は、ステップS440で求められた移動ダイプレート位置x(j)を記憶し、ステップS470に進む。
ステップS470で、制御ユニット4は、トグル駆動サーボモーター31を制御して移動ダイプレート13をテールストック16に最も近い位置まで後退させ、ステップS480に進む。
ステップS480で、制御ユニット4は、カウンタ変数jの値を1だけ増やし、ステップS490に進む。
ステップS490で、制御ユニット4は、カウンタ変数jの値が、ループする回数Mよりも大きいか否かを判断し、Mよりも大きい場合は、ステップS500に進み、そうでない場合は、ステップS420に進む。これにより、ステップS420からステップS480までの処理が、M回ループされる。
ステップS500で、制御ユニット4は、記憶されているM個の移動ダイプレート位置の平均値を算出し、ステップS510に進む。
ステップS510で、制御ユニット4は、ステップS500で算出された平均値を、移動ダイプレート位置として記憶し、金型接触時移動ダイプレート位置検出工程を終了する。
このように、本実施例の処理を実行することで、M個の金型接触時移動ダイプレート位置データの平均値が表示され、また、この平均値に基づいて射出開始時移動ダイプレート位置が設定される。
本実施例に係る射出成形機は、実施例1の場合(図8)と構造上は同一であるから、その説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。図4は、本実施例のメインルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートは、射出開始時移動ダイプレート位置の設定が指示されると開始される。なお、このフローチャートの各処理は、全て制御ユニット4によって制御される。また、図7は、このフローチャートの実行途中で表示される内容の例である。
ステップS210で、制御ユニット4は、オペレーターに射出開始時金型間距離の入力を促し、入力された値を射出開始時金型間距離として設定し、ステップS220に進む。具体的に、この処理を説明する。図7(a)において、射出開始時金型間距離の表示領域71に入力カーソル79が表示されている。オペレーターは、所定の金型間距離(例えば、0.61)を、この表示領域71に入力する(図7(b)参照)。この結果、射出開始時金型間距離として、0.61mmが設定される。
ステップS220で、制御ユニット4は、型締力調整工程を実行し、ステップS230に進む。この工程は、実施例1の場合(図5)と同一であるので、説明は省略する。なお、この工程を実行すると、テールストック16は、型締時に所定の型締力を発生できる位置に移動する。即ち、この射出成形機1で発生させることができる型締力の調整を行うことができる。
ステップS230で、制御ユニット4は、金型接触時移動ダイプレート位置検出工程を実行し、ステップS250に進む。この工程は、実施例1の場合(図1)と同一であるので、説明は省略する。なお、この工程を実行すると、金型接触時の移動ダイプレート位置が検出される。
ステップS250で、制御ユニット4は、金型接触時移動ダイプレート位置と射出開始時移動ダイプレート位置を表示し、射出開始時移動ダイプレート位置を設定した後、メインルーチンを終了する。具体的に、この処理を説明する。図7(c)に示すように、金型接触時移動ダイプレート位置の表示領域72に、ステップS230で求められた金型接触時移動ダイプレート位置(例えば、0.92)が表示される。また、この金型接触時移動ダイプレート位置(0.92)にステップS210で設定された射出開始時金型間距離(0.61)を加えた値(1.53)が、射出開始時移動ダイプレート位置の表示領域73に表示される。そして、射出開始時移動ダイプレート位置として、1.53mmが設定される。
このように、本実施例の処理を実行することで、金型接触時移動ダイプレート位置が表示され、また、射出開始時移動ダイプレート位置が自動的に設定される。
本実施例に係る射出成形機は、実施例3の場合(図8)と構造上は同一であるから、その説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。また、本実施例のメインルーチンは、実施例3の場合(図4)と同一であるため、説明は省略する。実施例3との違いは、金型接触時移動ダイプレート位置検出工程(図4に示すメインルーチンのステップS230)だけであるが、本実施例における金型接触時移動ダイプレート位置検出工程は、実施例2の場合(図2)と同一であるから、説明は省略する。
このように、本実施例の処理を実行することで、M個の金型接触時移動ダイプレート位置データの平均値が表示され、また、この平均値に基づいて射出開始時移動ダイプレート位置が自動的に設定される。
以上述べたように、本発明によれば、容易に高精度の移動ダイプレート位置を検出できる金型接触時移動ダイプレート位置検出方法、金型接触時移動ダイプレート位置表示方法、及び射出開始時移動ダイプレート位置設定方法を提供することができる。
また、金型接触時移動ダイプレート位置検出方法は、固定金型を取り付ける固定ダイプレート、前記固定金型と型開閉される可動金型を取り付ける移動ダイプレート、型開閉のために前記移動ダイプレートを進退するための駆動力を発生させる型締駆動手段、該型締駆動手段を取り付けたテールストック、前記固定ダイプレート及び前記テールストックを連結するタイバー、前記テールストックを前記タイバーに沿って進退させるテールストック移動手段、並びに型締力を検出する型締ロードセルを有する型締ユニットと、ペレットを溶融し、射出する射出ユニットと、前記型締ユニット及び前記射出ユニットを制御する制御ユニットとを具備した射出成形機において、前記移動ダイプレートを前進させる前進工程と、前記可動金型が前記固定金型に接触したか否かを判断する判断工程と、該判断工程で前記可動金型が前記固定金型に接触したと判断された時に、移動ダイプレート位置を求めて金型接触時移動ダイプレート位置とし、前記移動ダイプレートの前進を停止させる検出工程とを備えた金型接触時移動ダイプレート位置検出方法であって、前記判断工程は、前記型締ロードセルによって検出された型締力が予め設定された値を超えた時に前記可動金型が前記固定金型に接触したと判断する。
金型接触時移動ダイプレート位置検出方法によれば、型締力が予め設定された値を超えた時に、移動ダイプレート位置を求め、これを金型接触時移動ダイプレート位置とする。
また、金型接触時移動ダイプレート位置検出方法は、固定金型を取り付ける固定ダイプレート、前記固定金型と型開閉される可動金型を取り付ける移動ダイプレート、型開閉のために前記移動ダイプレートを進退するための駆動力を発生させる型締駆動手段、該型締駆動手段を取り付けたテールストック、前記固定ダイプレート及び前記テールストックを連結するタイバー、前記テールストックを前記タイバーに沿って進退させるテールストック移動手段、並びに型締力を検出する型締ロードセルを有する型締ユニットと、ペレットを溶融し、射出する射出ユニットと、前記型締ユニット及び前記射出ユニットを制御する制御ユニットとを具備した射出成形機において、前記移動ダイプレートを前進させる前進工程と、前記可動金型が前記固定金型に接触したか否かを判断する判断工程と、該判断工程で前記可動金型が前記固定金型に接触したと判断された時に、移動ダイプレート位置を求めて金型接触時移動ダイプレート位置とし、前記移動ダイプレートの前進を停止させる検出工程と、前記移動ダイプレートを後退させる後退工程とからなる処理を複数回実行し、各処理で求められた複数の移動ダイプレート位置の平均値を算出して金型接触時移動ダイプレート位置とする金型接触時移動ダイプレート位置検出方法であって、前記判断工程は、前記型締ロードセルによって検出された型締力が予め設定された値を超えた時に前記可動金型が前記固定金型に接触したと判断する。
金型接触時移動ダイプレート位置検出方法によれば、型締力が予め設定された値を超えた時に移動ダイプレート位置を求めるという処理を複数回実行し、移動ダイプレート位置の平均値を求め、これを金型接触時移動ダイプレート位置とする。
また、金型接触時移動ダイプレート位置表示方法は、所定の型締力を発生させることができる位置にテールストックを移動させた後、金型接触時移動ダイプレート位置検出方法によって検出された金型接触時移動ダイプレート位置を表示する。
金型接触時移動ダイプレート位置表示方法によれば、金型接触時移動ダイプレート位置検出方法によって検出された金型接触時移動ダイプレート位置を表示する。
また、射出開始時移動ダイプレート位置設定方法は、所定の型締力を発生させることができる位置にテールストックを移動させた後、請求項1又は2に記載の金型接触時移動ダイプレート位置検出方法によって金型接触時移動ダイプレート位置を検出し、該検出された金型接触時移動ダイプレート位置に予め設定された射出開始時金型間距離を加算した位置を射出開始時移動ダイプレート位置として設定する。
射出開始時移動ダイプレート位置設定方法によれば、金型接触時移動ダイプレート位置検出方法によって検出された金型接触時移動ダイプレート位置に、予め設定された射出開始時金型間距離を加算した位置を、射出開始時移動ダイプレート位置として設定する。
以上によれば、型締力が予め設定された値を超えた時に移動ダイプレート位置を求めるので、数値で閾値が設定されるから、目視及び手動での操作ではなく、制御ユニットによる制御が可能になる。即ち、制御ユニットの制御によって移動ダイプレート位置を読み取るため、読み取りの失敗回数を減少させることができる。また、制御ユニットが制御するので、判断・反応が瞬時に行われるから、検出される移動ダイプレート位置の精度の低下を防止することができる。また、制御ユニットが制御するので、移動ダイプレート位置がオペレーターによって異なるということがなくなり、成形品のばらつきを防止できる。
更に、本発明によれば、移動ダイプレート位置の平均値を求めるため、検出される金型接触時移動ダイプレート位置の精度をより向上することができる。
更に、本発明によれば、金型接触時移動ダイプレート位置を表示するので、オペレーターは金型接触時移動ダイプレート位置を知ることができる。また、オペレーターは、この値に射出開始時金型間距離を加算した値を、射出開始時移動ダイプレート位置として入力するだけで、射出開始時移動ダイプレート位置の設定を行うことができる。
更に、本発明によれば、検出された金型接触時移動ダイプレート位置に予め設定された射出開始時金型間距離を加算した位置を射出開始時移動ダイプレート位置として設定するので、射出開始時金型間距離を予め設定しておけば、自動的に、射出開始時移動ダイプレート位置の設定を行うことができる。
本発明の実施例1及び3に係る金型接触時移動ダイプレート位置検出工程の処理の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施例2及び4に係る金型接触時移動ダイプレート位置検出工程の処理の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施例1及び2の処理の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施例3及び4の処理の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施例1乃至4に係る型締力調整工程の処理の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施例1及び2に係る表示例を示す図である。
本発明の実施例3及び4に係る表示例を示す図である。
本発明の実施例1乃至4及び従来技術に係る射出成形機を示す断面図である。
型締ユニットを示す断面図である。
型締ユニットを示す断面図である。
テールストックとクロスヘッドとの距離に対する移動ダイプレート位置を示すグラフである。
移動ダイプレート位置に対する金型間距離を示すグラフである。
1 射出成形機
2 型締ユニット
3 射出ユニット
4 制御ユニット
11a 固定金型
11b 可動金型
12 固定ダイプレート
13 移動ダイプレート
14 タイバー
16 テールストック
17 型締ロードセル
20 テールストック移動手段
30 型締駆動手段