JP5026725B2 - 油性化粧料 - Google Patents
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例えば、発色性、のび、つや、化粧もちを向上させる技術として、ポリエチレンワックスと構造中に1個の−OH基を有する液状油分を組み合わせる技術(例えば、特許文献1)が挙げられる。
また、抱水特性、形状保持特性、発汗防止特性、実用特性などの点で硬化ひまし油とダイマー酸とのオリゴマーとマイクロクリスタリンワックスとポリエチレンワックス及び/またはセレシンと水酸基を少なくとも1個有するヒドロキシ化合物とIOB値が0.1〜0.4である液状エステル油を組み合わせる技術(例えば、特許文献2)が挙げられる。
更に、特許文献3、4には、ダイマー酸のオリゴマーエステルに関連する技術が記載されているが、顔料分散性の記述はあるものの、油性化粧料においては、顔料の分散性を向上させるだけでは、ムラ付きを解消することができないものであった。
このように、従来技術においては、潤い感およびツヤを持ちながら顔料分散性に優れムラ付きの無い均一な塗布膜を形成することを同時に具現化することは技術的に困難であった。
そこで、使用時の滑らかな密着感・潤い感に優れ、顔料分散性が良く、ムラ付きの無い均一な塗付膜が得られる油性化粧料が求められていた。
(a)固形油及び/又は油性ゲル化剤
(b)下記化学式(1)に示すダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物
R3OCO−R1−(−COO−R2−OCO−R1−)n−COOR3 ・・・(1)
(式中、R1はダイマー酸残基を、R2はダイマージオール残基を、R3はイソステアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す。)
(c)分子内に水酸基を有する分子量300〜1000の常温で液体のエステル油
(d)粉体
を配合することにより、使用時の滑らかな密着感・潤い感に優れ、顔料分散性が良く、ムラ付きの無い均一な塗付膜が得られる油性化粧料を提供するものである。
R3OCO−R1−(−COO−R2−OCO−R1−)n−COOR3 ・・・(1)
(式中、R1はダイマー酸残基を、R2はダイマージオール残基を、R3はイソステアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す。)
出発物質である、ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られるが、炭素数が11〜22の不飽和脂肪酸を2量化して得られ、炭素数36程度の二塩基酸が主成分である。CAS番号で、61788−89−4が該当する。また、ダイマー化反応において、二重結合を水素化した、水素添加ダイマー酸が好ましい。市販品としては、例えばPRIPOL1006、同1009、同1015、同1025等(ユニケマ社製)が挙げられる。
ダイマージオールは、前記ダイマー酸及び/又はその低級アルコールエステルを触媒存在下で水素添加して、ダイマー酸のカルボン酸部分をアルコールとした炭素数36程度のジオールを主成分としたものである。市販品としては、例えばPRIPOL2033等(ユニケマ社製)が挙げられる。
イソステアリルアルコールは、ダイマー酸の副産物から得られた脂肪酸を還元して得られるものや、ガーベット法により得られるもの、アルドール縮合法により得られるもの等が挙げられるが、特に限定されずいずれのものを使用することもできる。市販品としては、例えばSpeziol C18 ISOC(コグニス社製)等が挙げられる。
成分(b)の製造において、中間体としてオリゴマーエステルを得る場合、中間体であるダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルは、それぞれの仕込み比を変えることにより、得られるエステルの平均エステル化度や平均分子量を調整することができる。その仕込み比の範囲は、ダイマー酸1モル当量に対してダイマージオールを0.4〜0.9モル当量であることが好ましい。更に、イソステアリルアルコールでエステル化する場合、残存するカルボキシル基に対し0.8〜1.5モルであることが好ましい。
成分(c)の分子内に1個の水酸基有する分子量300〜1000のエステル油は、具体的には、例えば乳酸イソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸オレイル、乳酸ステアリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。これらの中でもリンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリルが顔料分散性の点で好ましい。市販品としては「コスモール222」、「コスモール43」(いずれも日清オイリオグループ社製)が挙げられる。
更にまた、水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
また更に、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等がそれぞれ挙げられる。
「ダイマー酸ダイマージオールオリゴマーエステルイソステアリルアルコールエステル化合物」
水素添加ダイマー酸(PRIPOL1006:ユニケマ社製)200g(0.348モル)及びダイマージオール(PRIPOL2033:ユニケマ社製)132g(0.243モル)を反応器に仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら5時間エステル化反応を行い、中間体であるダイマー酸ダイマージオールオリゴマーエステル(ダイマー酸:ダイマージオール=1:0.7)323gを得た。さらに、当該オリゴマーエステル307gとイソステアリルアルコール(Speziol C18 ISOC:コグニス社製)59g(0.217モル)を反応器に仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら10時間エステル化反応を行い、目的のエステル化合物351gを得た。得られたエステル化合物は、色相ガードナー2、酸価5.2、ケン化価111、粘度15,000mPa・s、屈折率1.48であった。
表1に示す処方及び下記に示す製造方法により、リップグロスを製造した。得られた各リップグロスについて、官能評価により、使用時の滑らかな密着感、塗布膜の均一性、潤い感を評価した。また、顔料分散性については色差計を用い測色をおこない彩度値の大小にて判定をおこなった。その結果を表1にあわせて示す。
*2:AEROSIL 300(日本アエロジル社製)
*3:AEROSIL R972(日本アエロジル社製)
*4:BENTONE38V BC(エレメンティス社製)
*5:合成例1のエステル化合物
*6:LUSPLAN DD−MIS(日本精化社製)
*7:ポリブテン100R(出光社製)
*8:コスモール222(日清オイリオグループ社製)
*9:コスモール43(日清オイリオグループ社製)
(製造方法)
A:成分1〜11を90℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分12〜14を加えて均一に混合する。
C:Bを脱泡後、塗布体付き容器に流し込み冷却する。
1.官能評価
(イ)使用感(滑らかな密着感)、(ロ)塗布膜の均一性、(ハ)の潤い感について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(絶対評価)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(判定基準)
(評点平均値) :(判定)
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
2点を超えて3点以下:やや不良 :△
2点以下 :不良 :×
顔料分散性の評価として、日本電色社製色差計(SZ−Σ90)を用い、各試料の彩度を測定した。各試料(2g)を測色用ガラス容器に入れ測色をおこなった。彩度の値としてはLab表色系における、a値の二乗とb値の二乗を加えた物の平方根で表される。それぞれの測色値から彩度値を求め、目視において顔料分散性が非常に良い実施例1を基準に、彩度値の差をもって評価を行った。顔料分散性が悪くなるとともに彩度値が低下するので彩度値の差は大きくなる。これより下記4段階判定基準により判定した。
(彩度値差)
(判定)
0.5以下 :非常に良好:◎
0.5を超えて1以下 :良好 :○
1を超えて2以下
:やや不良 :△
2を超える
:不良 :×
れ、塗布膜の均一性に優れることによりツヤ感が生じ、潤いを感じるものであった。また
、顔料分散性においても優れるものであった。
これに対して成分(a)が配合されていない比較例1では、密着感が得られず使用感、
塗布膜の均一性に欠け、顔料分散性においても劣るものであり、成分(b)が配合されて
いない比較例2では、塗布膜の均一性に欠け、潤い感も感じられなかった。また、成分(
b)の代わりにダイマージオール誘導体を配合した比較例3では、塗布膜の均一性に劣り
潤いも感じられず、ツヤの向上が期待できるポリブテンを配合した比較例4では、全ての
点でおとるものであった。さらに、成分(c)を配合していない比較例5では、全ての点
で劣り、特に顔料分散性についても劣るものであった。
(成分) (%)
1.セレシンワックス 6
2.ポリエチレンワックス *10 2
3.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
4.リンゴ酸ジイソステアリル *8 10
5.流動パラフィン 15
6.エステル化合物 *5 10
7.無水ケイ酸 *2 3
8.フッ素化合物処理雲母チタン *11 5
9.赤色202号 0.1
10.黄色4号 1.5
11.酸化チタン 2
12.黒酸化鉄 0.2
13.赤色104号アルミニウムレーキ 1.5
14.ビタミンE 0.5
15.香料 適量
*10:Performaren 655(ニューフェーズテクノロジー社製)
*11:5%パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩処理
(製造方法)
A:成分1〜6を100℃にて均一溶解する。
B:Aに成分7〜15を加え均一に分散する。
C:Bを金皿に流し込み、冷却固化して固形状口紅を得た。
実施例13は、使用時に滑らかな密着感が得られ、塗布膜の均一性に優れることによりツヤ感が生じ、潤いを感じるものであった。また、顔料分散性に優れる固形状口紅であった。
(成分) (%)
1.エチレン・プロピレンコポリマー *12 7
2.セレシン 7
3.ミツロウ 5
4.ワセリン 残量
5.エステル化合物 *5 20
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル *9 10
7.2−エチルヘキサン酸セチル 20
8.酢酸トコフェロール 0.5
9.N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル
/フィトステリル/ベヘニル) *13 10
10.(ビニルメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー *14 2
11.ビタミンE 0.5
12.香料 適量
*12:EP−700(Baker Petrolite社製)
*13:エルデュウ PS−304(味の素社製)
*14:KSP−100(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜9を110〜120℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分10〜12を加えて均一に混合する。
C:Bを脱泡後、樹脂容器に流し込み充填し、冷却して成型し、スティック状リップクリ
ームを得た。
実施例14は、使用時に滑らかな密着感が得られ、塗布膜の均一性に優れることにより
ツヤ感が生じ、潤いを感じるものであった。また、顔料分散性に優れるスティック状リッ
プクリームであった。
(成分) (%)
1.キャンデリラワックス 5
2.マイクロクリスタリンワックス 10
3.ポリエチレンワックス *15 0.5
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル *9 10
5.エステル化合物 *5 5
6.トリ(カプリル・カプリン酸)グリセライド 残量
7.無水ケイ酸 *2 0.1
8.微粒子酸化チタン 1
9.微粒子酸化亜鉛 1
10.酸化チタン 8
11.硫酸バリウム 2
12.セリサイト 15
13.ベンガラ 1
14.黄酸化鉄 2
15.黒酸化鉄 0.5
16.アロエエキス 適量
17.香料 適量
*15:Performalene 500(ニューフェーズテクノロジー社製)
(製造方法)
A:1〜6を100℃にて均一溶解する。
B:Aに7〜17を加え均一に分散する。
C:Bを金皿に流し込み、冷却固化して固形状ファンデーションを得た。
実施例15は、使用時に滑らかな密着感が得られ、塗布膜の均一性に優れ、潤いを感じ
るものであった。また、顔料分散性に優れる固形状ファンデーションであった。
(成分) (%)
1.マイクロクリスタリンワックス 5
2.セレシンワックス 10
3.トリイソステアリン酸ジグリセリル *9 4
4.α−オレフィンオリゴマー *16 2
5.エステル化合物 *5 10
6.スクワラン 残量
7.リンゴ酸ジイソステアリル *8 15
8.ステアリル変性アクリレートシリコーン *17 15
9.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
10.モノオレイン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン(20E.O.) 0.8
11.球状ナイロン粉末 5
12.シリコーン処理タルク *18 10
13.赤色202号 0.5
14.青色404号 1
15.シリコーン処理酸化チタン *18 2
16.シリル化処理無水ケイ酸*3 1
17.コラーゲン水溶液 適量
18.香料 適量
*16:ノムコートHPD−C(日清オイリオグループ社製)
*17:KP−561(信越化学工業社製)
*18:(ジメチコン/メチコン)コポリマー3%処理
(製造方法)
A:成分1〜10を100℃にて均一溶解する。
B:Aに成分11〜18を加え、均一に混合分散する。
C:Bを金皿に流し込み、冷却固化して油性アイカラーを得た。
実施例16は使用時に滑らかな密着感が得られ、塗布膜の均一性に優れることによりツ
ヤ感が生じ、潤いを感じるものであった。また、顔料分散性に優れる油性アイカラーであ
った。
(成分) (%)
1.エチレン・プロピレンコポリマー *12 5
2.セレシン 2
3.キャンデリラロウ 0.5
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
5.エステル化合物 *5 10
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル *9 4
7.ジメチルポリシロキサン(10cs) 2
8.(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー *19 0.1
9.p−メトキシ桂皮酸オクチル 20
10.オキシベンゾン 0.1
11.微粒子酸化チタン 20
12.マイカ 5
13.無水ケイ酸*2 0.5
14.香料 適量
*19:シリコン KP−545(信越化学工業社製)(30%デカメチルシクロペンタ
シロキサン溶液)
(製造方法)
A:成分1〜10を100℃にて均一溶解する。
B:Aに成分11〜14を加え、均一に混合分散する。
C:Bをスティック容器に流し込み、冷却固化して日焼け止めスティックを得た。
実施例17は使用時に滑らかな密着感が得られ、塗布膜の均一性に優れ、潤いを感じる
ものであった。また、顔料分散性に優れる日焼け止めスティックであった。
Claims (4)
- 次の成分(a)〜(d);
(a)エチレン・プロピレンコポリマー及び/又はデキストリン脂肪酸エステル、無水ケイ酸、金属石鹸、有機変性粘土鉱物から選ばれる1種又は2種以上の油性ゲル化剤
(b)下記一般式(1)に示すダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物
R3OCO−R1−(−COO−R2−OCO−R1−)n−COOR3・・・(1)
(式中、R1はダイマー酸残基を、R2はダイマージオール残基を、R3はイソステアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す。)
(c)リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリルから選ばれる1種又は2種のエステル油
(d)粉体
を配合することを特徴とする油性化粧料。 - 成分(d)が着色顔料であることを特徴とする請求項1記載の油性化粧料。
- 成分(a)を6〜20質量%、成分(b)を1〜40質量%、成分(c)を3〜30質量%、成分(d)を0.01〜20質量%含有し、固形状のものである請求項1または2に記載の油性化粧料。
- 前記の油性化粧料が***化粧料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油性化粧料。
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