JP5018643B2 - 方位探知装置 - Google Patents

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Description

本発明は電波源の方位探知装置、とりわけ、電波の到来時間差を用いて方位を探知する装置に関する発明である。本発明による方位探知装置は、航空機や艦船等に搭載される電波探知装置等に組み込まれ、相手航空機や艦船等に搭載されるレーダ装置等の電波源の到来方位を高精度で探知するために用いられる。
従来の一般的な電波の到来時間差を用いた方位探知装置のブロック図を図14に示す。この構成については、例えば特開平4−212081号公報(特許文献1)に開示されている。図において、1は電波受信用の受信アンテナ、2は受信信号を増幅する高周波増幅器、12は増幅された信号を検波する検波増幅器、15はパルス立ち上がり検出回路、17はタイムカウンタ、9はタイムカウンタ17で得られた時間差データと、1組の受信アンテナ1の間隔から到来方位を検出する方位算出回路である。
上記の方位探知装置の動作原理を図15に示す。2つの受信アンテナ1の間隔をdとする。到来方位θに応じて行路差が生じるため、2つの受信アンテナに到来する電波の到来時刻は異なる。このため、2つの受信アンテナ間に到来時間差τが生じる。到来方位θと、時間差τは式(1)のような関係になる。
sinθ=cτ/d・・・(1)
ここで、電波の速度をcとする。この式(1)の関係を用いて、時間差τを測定することにより、電波の到来方位を算出できる。
上記の方位探知装置では、受信アンテナ1で受信した受信信号を高周波増幅器3及び検波増幅器12で処理した後、パルスの立ち上がり検出回路15により立ち上がりタイミングを検出し、この検出したタイミングと、受信アンテナ2で受信して同様に検出したタイミングから、タイムカウンタ17により立ち上がりの時間差を測定している。立ち上がりの時間差は到来時間差として方位算出回路9に出力され、式(1)に従い、到来方位θが算出される。
この構成では、タイムカウンタ17のカウンタ間隔以上の精度で時間差測定を行うことは不可能であり、時間差測定の精度がある一定以上向上しないという問題が生じる。また、信号の立ち上がりがなまっていた場合や、受信アンテナ1の受信信号処理チャンネルと受信アンテナ2のチャンネルの間に、受信アンテナ1、2の利得や高周波増幅器12、13の利得に差があり、パルス立ち上がり検出回路15、16に入力される受信信号の振幅に差が生じている場合には、立ち上がりのタイミングを検出する振幅閾値を受信信号波形が越えるタイミングすなわち信号波形の時間軸上の位置がチャンネル間で異なることにより、時間差測定誤差が生じやすいという問題もある。
そこで、特開平9−257902号公報(特許文献2)では、クロススペクトルの位相を用いることで、上記問題を解決し、高精度の方位探知技術を得ようとしている。この技術では、到来電波を例えば、2チャンネル(ChA、ChB)で受信し、受信電波Aと、Aに対して到来遅れ時間を含む電波Bのクロススペクトルの位相成分の周波数勾配すなわち群遅延から、到来遅れ時間を計算し、電波の到来方位を求めている。以後、この方法による方位探知装置を従来の方位探知装置と呼ぶ。
特開平4−212081号公報(図1) 特開平9−257902号公報(図1)
図16は、クロススペクトルの振幅、位相の説明図である。この図を用いて到来遅れ時間の計算について説明する。一般にクロススペクトルを計算しようとする受信信号は受信機ノイズを含んだ信号となっている。ノイズを含んだ信号において、従来の方位探知装置によりクロススペクトルS を計算すると、図16(a1)(a2)のようになる。図16(a1)(a2)を見ると明らかなように、位相成分φ を示す図3(a2)において、誤差が小さく実用上周波数勾配を求めることの出来る範囲(この周波数範囲をδfとする)は、クロススペクトルS の帯域部分とその周辺のみである。前記δfの範囲での位相成分φ の変動幅をδφ とすると、到来時間差は(1/2π)×(δφ /δf)で算出される。
実用上周波数勾配を求めることのできる範囲もまた、位相成分に微小な誤差を含んでいる。この位相成分の誤差をδφとする。この誤差δφを考慮した位相成分φ の変動幅は(δφ +δφ)となる。この場合の到来時間差は(1/2π)×((δφ +δφ)/δf)となる。従って、δφが一定とするとδfが小さいほど、到来時間差の誤差δφ/δfが大きくなる。このため、この実用上の周波数勾配を求める範囲が狭いと、この範囲から求められる周波数勾配は誤差(到来時間差の誤差)が大きくなり、結果、最終的に求めたい到来遅れ時間と電波の到来方位の誤差が大きくなる。特に、受信信号がレーダパルス信号で、そのパルス幅が長い場合は、信号帯域が狭帯域となり、クロススペクトルの帯域幅も狭くなるので、大きな誤差が生じやすい。よって、最終的に求めたい到来遅れ時間と電波の到来方位の誤差を小さくするためには、実用上の周波数勾配を求めることのできる範囲δfを大きくする必要がある。
上記のとおり、クロススペクトルの帯域幅が広いほど、帯域部分が大きくなり、実用上周波数勾配を求めることのできる範囲は広くなる。従って、精度よく周波数勾配を求めるためには、クロススペクトルの帯域幅を大きくする必要がある。なお、クロススペクトルSの帯域幅は到来電波A、Bの帯域幅(到来電波Bは到来電波Aに対して、到来遅れ時間を含んでいるが、帯域幅は同じである。)と一致する。
上記のように、従来の方位探知装置では、到来電波の帯域幅が小さいと、クロススペクトルの帯域幅が小さくなり、クロススペクトルの位相成分の周波数勾配の誤差が大きくなるため、そこから計算される到来遅れ時間の精度が悪化し、最終的に式(1)で求められる到来方位の精度も悪化するという問題を抱えている。そこで本発明では後述の方法により、帯域幅を増やすことで、図16(b1)(b2)のように実用上の周波数勾配を求めることのできる範囲を広げ、位相成分の周波数勾配から高精度に電波の到来方位を求めることができるようにする。
信号の帯域を増やす(周波数分散させる)方法として、マイクロスキャン受信機(特開2001−267971号公報)等で用いられる、いわゆるチャープ変調(周波数掃引)をかける方法や、矩形パスル信号を用いてチョッパで変調する(実開平6−49978号公報)方法が考えられるが、これらの方法は、受信信号とは独立で非同期の周期信号を変調信号として用いており、2つの受信アンテナを用いた時間差方探装置において効を奏するためには、変調に際して、2つのチャンネル間で、変調タイミングを到来時間差相当分だけずらせておく必要があった。このため、到来時間差を測定する場合にはこれらの方法が使えないという問題があった。また、変調タイミングを適宜ずらせつつ、捜索的に最良の変調タイミングを見出して信号の帯域を増やすという方法も、理論的には成り立つが、信号処理時間ないしは回路規模が極めて増大し、実装が困難になるという問題があった。
また、図16(b2)からも明らかなように、位相は2nπ(nは整数)毎に同一の値をとる性質がある(つまり、位相アンビギュイティが発生する)ため、これにより方位アンビギュイティが発生する問題がある。従来の方位探知装置では、この問題を解決するために、受信アンテナ数(受信チャンネル数)をm組m+1個(mは自然数)にしているが、この場合、受信アンテナ数が増えるため、回路規模が増大するという新たな問題が生じてしまう。
そこで、本発明では、受信信号だけを用いた自律的な周波数分散により信号の帯域を増やすことにより、測定対象であり値が未知の到来時間差自身を使用することなく、また適正な回路規模により、精度良くクロススペクトルの位相成分の周波数勾配(群遅延時間)を求める。また、本発明では、周波数分散によりスペクトルが連続して広がることから、位相アンビギュイティは連続する2点間において存在するとしても最大で2πになることを利用したクロススペクトルの位相成分の位相接続により、位相アンビギュイティを解消し、位相の不連続点で生じるスパイク上のピークを除いて周波数勾配の平均値を求める。
請求項1に係る方位探知装置は、所定距離離間して配置され到来電波を受信する第1及び第2の受信アンテナと、この第1及び第2の受信アンテナで受信された第1及び第2の受信信号の周波数帯域を各々周波数分散するものであって、前記第1及び第2の受信アンテナで受信された第1及び第2の受信信号を用いた自律的な周波数分散を行う周波数分散部と、この周波数分散部から出力される周波数分散された第1及び第2の受信信号のクロススペクトルを演算するクロススペクトル演算器と、前記クロススペクトルが示すコヒーレンスのレベルが高い周波数帯における位相の周波数に対する周波数勾配から第1及び第2の受信アンテナで受信された到来電波の時間差を検出する時間差検出器と、前記時間差及び前記所定距離に基づいて電波の到来方位を演算する方位演算器とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2に係る方位探知装置は、アナログ信号である第1及び第2の受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を備え、このデジタル信号を用いて周波数分散部以降の処理が行われることを特徴とするものである。
また、請求項3に係る方位探知装置は、前記周波数分散部が、クリッピング回路またはリミッティング回路より構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項4に係る方位探知装置は、前記時間差検出器が、前記クロススペクトルの周波数−位相特性において、隣接周波数間で位相が2π変動し位相の不連続点となる位相アンビギュイティを解消するために、前記不連続点の位相に2πを加算または減算することにより位相接続を図った後に、位相の周波数に対する周波数勾配から第1及び第2の受信アンテナで受信された到来電波の時間差を検出するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項5に係る方位探知装置は、前記時間差検出器が、前記クロススペクトルの周波数−位相特性において、クロススペクトルの位相の周波数微分により周波数勾配を算出し、所定の閾値を越える周波数勾配を除いた残りの周波数勾配を平均して算出される平均周波数勾配から第1及び第2の受信アンテナで受信された到来電波の時間差を検出するようにしたことを特徴とするものである。
請求項1〜3に係る本発明の方位探知装置では、受信信号とは別個の独立・非同期の変調信号を用いて変調をかけるのではなく、取得した到来電波を用いた自律的な周波数分散を行うことで帯域を広げ、その後の到来電波のクロススペクトルの帯域を広げ、高精度にクロススペクトルの位相成分の周波数勾配を求めることで、従来手法では実現していなかった、高精度の到来時間差の算出及び、高精度の到来方位の算出を実現している。
また、請求項4、5に係る本発明の方位探知装置では、微分等を活用することで、従来手法では実現しなかった、位相の2nπ(nは整数)の位相アンビギュイティの問題を解決している。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1による方位探知装置のブロック図を図1に示す。本発明は2系統の受信系ChAとChBとを有する。1は電波受信用の2つのアンテナからなる受信アンテナ、2は各アンテナに対応した2台の増幅器からなる高周波増幅器、3は受信電波を周波数分散する周波数分散部、4は周波数分散後のデータをA/D変換しデジタルデータを生成するA/D変換部、5は得られたデジタルデータから到来時間差を算出する時間差検出器、6は到来時間差から到来方位を算出する方位検出器である。
ここで、時間差検出器5は、得られたデジタルデータをフーリエ変換(周波数変換)するFFT部、フーリエ変換後のデータからクロススペクトルを求めるクロススペクトル部、クロススペクトルの位相成分から周波数勾配を求める勾配算出部及び算出した周波数勾配から到来時間差を算出する遅れ時間算出部からなる。A/D変換部4より前段の受信アンテナ1、高周波増幅器2、周波数分散部3で取り扱うデータはアナログデータである。A/D変換器4で、アナログデータをデジタルデータに変換する。よって、時間差検出器5以降に扱われるデータはデジタルデータとなる。
なお、上記のブロック図の説明では、時間差検出器5以降をデジタル処理しているが、図2のように、周波数分散部3とA/D変換部4とを入れ替え、周波数分散部3以降をデジタル処理する方法でも本発明は実施可能である。図2において、A/D変管部4の位置の違い以外は、図1と構成は同じである。
本実施の形態1による方位探知装置の処理の流れを図3に示す。受信アンテナ及び高周波増幅器により取得した到来電波A、Bそれぞれについて、周波数分散部で周波数分散を実施する(ステップ1、2)。周波数分散後の信号は分散前と比較して、様々な周波数成分をもつため、帯域も分散前と比較して広くなる。到来電波A、Bの分散後の信号をそれぞれ、Adis(t)、Bdis(t)とする。
周波数分散は、例えばマイクロスキャン変調器等で用いられるチャープ変調をかける方法、矩形パルス信号を用いてチョッパ変調をかける方法のように、受信信号とは別個の独立・非同期の変調信号を用いて変調をかけるのではなく、受信信号のみを用いた自律的な周波数分散により、信号の帯域を拡張する。周波数分散の具体的な方法としては、例えばアナログ回路では、アナログ信号に対してリミッタ(振幅制限器)を用いたクリッピングや、論理ゲートを用いたハードリミッティング等が挙げられる。
周波数分散後の信号Adis(t)、Bdis(t)はA/D変換部にて、デジタルデータに変換される(ステップ3)。変換後のデータをそれぞれ、A dis(t)、B dis(t)とする。デジタル変換後の信号A dis(t)、B dis(t)をFFT等により、周波数変換する(ステップ4)。周波数変換後の信号をFA dis(f)、FB dis(f)とする(fは周波数)。
周波数変換後の信号FA dis(f)、FB dis(f)について、クロススペクトルS(f)を計算する(ステップ5)。計算されたクロススペクトルは、周波数分散することで帯域を広げた信号に対して計算されたものであるので、周波数分散をせずに計算したクロススペクトル(このクロススペクトルをS (f)とする。)よりも帯域が広くなっている。このため、局所的な位相誤差変動の影響を受けることなく、高精度に位相成分の周波数勾配を求めることができ、高精度の到来方位が得られる。なお、周波数分散しても群遅延は変化しないため、クロススペクトルの周波数勾配については、周波数分散を行わない場合のクロススペクトルS (f)の周波数勾配も周波数分散を行った場合のクロススペクトルS(f)の周波数勾配も同じである。
クロススペクトルの位相成分の周波数勾配は以下の方法により求める(ステップ6)。第1の方法は、周波数分散によりスペクトルが連続して広がることから位相アンビギュイティが最大で2πになることを利用したクロススペクトルの位相成分の位相接続により、位相アンビギュイティを解消してクロススペクトルの位相成分の周波数勾配(群遅延時間)を求める方法である。図4に示すように、具体的には、隣接する2点の位相成分φ(i)、φ(i+1)について、その位相差△φ(i)を計算し、その大きさの変化により、φ(i+1)に±πの補正を加えることで、位相アンビギュイティを解決する。
第2の方法は、クロススペクトルの位相成分を周波数微分して位相成分の周波数勾配(群遅延時間)を求める方法である。微分により傾きを求めているため、位相のアンビギュイティの影響を受けることなく、位相の周波数勾配を求めることができる。ただし、単純に微分を実施した場合、位相の不連続点でスパイク状のピークが生じてしまったり、帯域以外の精度良く位相成分の周波数勾配を求めることのできない範囲を含むことになったりする。
位相の不連続点でのピークについては第1の方法で除去可能である。また、他の不要範囲の除去方法としては、本発明では、ある閾値を設定し、その閾値以上、以下のデータを排除することで、スパイク状のピークを除いて周波数勾配の平均値を求めるようにする方法もある。なお、周波数勾配の算出は上記2つの方法を単独または組み合わせて実施する(第1の方法を実施した後、第2の方法を実施する)。時間差検出器にて、求めた位相成分の周波数勾配Gφより、到来時間差τを計算(ステップ7)した後、方位検出器にて、到来方位θを算出する(ステップ8)。以下、実施例により本発明の要部である周波数分散部の具体的な内容を説明する。
実施例1.
第1の実施例は、周波数分散部としてリミッタ(振幅制限器)を設け、リミッタにクリップ回路を採用し、クリッピングすることで周波数分散を実施する方法である。図5は、本実施例1における方位探知装置の構成ブロック図である。基本構成は図1と同様である。本装置は受信アンテナ、高周波増幅器、周波数分散部(クリップ回路)、A/D変換器および、時間差検出(FFT、クロススペクトル算出、勾配算出、遅れ時間算出)と方位検出を実行するための計算機からなる。
受信アンテナは空間に放出された電波の電磁波を高周波電流に変換する機器で、この目的を果たすことができるものであれば、その形状・構成はどのようなものでも良い。ただし、電波の周波数、偏波により必要とされるアンテナ形状・大きさ等は異なる。高周波増幅器は、入力された信号を選択および増幅する低雑音増幅器で、この目的を果たすことができるのであれば、その形状、構成はどのようなものでよい。クリップ回路は図6のように、取得した高周波電流のうち、ある一定振幅以上を切り取る回路であり、例えばダイオード等により構成される。
A/D変換装置は、クリップ回路で切り取った高周波電流(アナログ信号)を後段の計算機で解析ができるようにデジタル信号に変換するための装置で、この目的を果たすことができるのであれば、その構成はどのようなものでも良い。計算機は、変換されたデジタル信号を用いて、フーリエ変換(FFT)の計算、クロススペクトルの算出、周波数勾配の算出、到来時間差の算出および、到来方位の算出を実施し、最終的に目標電波源から到来する電波の到来方位を出力する。
次に動作について説明する。基本的な動作は図3での説明と同様である。受信アンテナにより、空間に放出された到来電波の電磁波を高周波電流に変換し、その高周波電流を受信機により受信する。時間に関する関数であることを明確にするため、受信後の到来電波A、Bをそれぞれ、A(t)、B(t)とする(tは時間)。A(t)、B(t)は式(2)、(3)のように表現できる。
A(t)=AM(t)・sin{2πft+φsys} ・・・(2)
B(t)=AM(t)・sin{2πf(t+τ)+φsys}・・・(3)
ただし、AM(t)は振幅、fはキャリア周波数、φsysはシステム固有の位相である。
受信後の到来電波A(t)、B(t)それぞれについて、クリップ回路を用いて、周波数分散の一手法であるクリッピングを実施する。クリップ回路前後の信号波形は図6の通りである。クリップ回路によりクリッピングすることで、元々正弦波だった受信後の到来電波A(t)、B(t)が矩形波に近づき、周波数が分散される。図6に対応した周波数分散の一例を図7に示す。図7から明らかなように、クリッピングの前には単一周波数だった波形が、クリッピングにより複数の周波数成分を持つ波形になっている(=周波数分散された波形になっている)。
クリッピング後の信号は分散前と比較して、様々な周波数をもつため、帯域も分散前と比較して広くなる。到来電波A、Bの分散後の信号をそれぞれ、Adis(t)、Bdis(t)とすると、式(4)、(5)のように表現される。

Figure 0005018643
(t)=AM(t)・sin{2π(f+f)t}・・・(6)
(t)=AM(t)・sin{2π(f+f)t
+2π(f+f)τ}・・・(7)
ただし、k=−L、・・・、−1、0、1、・・・、N、AM(t)は各分散周波数成分の振幅、fは分散周波数である。また、f=0である。
クリッピング後の信号Adis(t)、Bdis(t)はA/D変換器にてデジタルデータに変換される。変換後のデータをそれぞれ、A dis(t)、B dis(t)とする。なお、本説明ではクリッピング後に信号をデジタルデータに変換したが、クリッピング前に信号をデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータをクリッピングしても良い。
デジタル変換後の信号A dis(t)、B dis(t)をFFT等により、周波数変換する。FFT等の周波数変換は計算機により実施する。周波数変換後の信号をFA dis(f)、FB dis(f)とする(fは周波数)。周波数変換後の信号FA dis(f)、FB dis(f)について、式(8)のようにクロススペクトルS(f)を計算する。
(f)=FA dis(f)・FB dis(f)・・・(8)
ただし、*は共役記号である。
式(8)により計算されたクロススペクトルは、クリッピングにより周波数分散することで帯域を広げた信号に対して計算されたものであるので、クリッピングせずに計算したクロススペクトル(このクロススペクトルをS (f)とする。)よりも帯域が広くなっている。このため、前述のとおり、局所的な位相誤差変動の影響を受けることなく、高精度に周波数勾配を求めることができ、高精度の到来方位が得られる。
求めたクロススペクトルS(f)より、位相成分φ(f)を抽出する。S(f)は複素数であり、その実数部分をReal(S(f))、虚数部分をImage(S
(f))とすると、S(f)の振幅成分Amp(f)と位相成分φ(f)は式(9
)、(10)のように表現される。




Figure 0005018643
なお、周波数分散しても群遅延は変化しないため、クロススペクトルの位相成分の周波数勾配はS (f)もS(f)も同じである。また、クロススペクトルの計算は計算機により実施する。
図8に示すように、上記式(10)により求めたクロススペクトルの位相成分φ(f)を用いて、位相成分φ(f)の周波数勾配Gφを求める。また、求めた位相成分の周波数勾配Gφについて、計算機内の遅れ時間及び方位算出部にて、到来時間差τおよび、到来方位θを算出する。位相成分の周波数勾配Gφと到来時間差τには式(11)の関係が成り立つ。
φ=2πτ・・・(11)
よって、式(11)より到来時間差を求めれば、式(1)により、到来方位を求めることが出来る。
実施例2.
実施例1では周波数分散部としてクリップ回路を用い、クリッピングにより周波数分散を実現していた。本実施例では、周波数分散部としてクリップ回路の代わりにハードリミッタ回路部を設け、ハードリミットすることで、周波数分散を実現する。
ハードリミッタ回路部前後の信号波形は図9の通りである。ハードリミッタ回路部により、ハードリミットすることで、ある閾値以上の受信信号の振幅(閾値は装置に入るノイズ等を考慮して決定する。)は一定値たとえば1に、ある閾値未満の到来電波の成分は0に変換される。元々正弦波だった到来電波の成分が図9のように矩形波に近づくことで、周波数分散される。
到来電波のハードリミットの一例及び、ハードリミット前後の周波数成分の分布を図10に示す。図10からも明らかなように、ハードリミットの前には単一周波数だったものが、ハードリミットにより複数の周波数成分を持つようになっている(=周波数分散された形になっている)。
ハードリミッタ回路部の実装方法の例として、次の2つの方法が考えられる。第1の方法は図11のように、ハードリミッタ回路部をA/D変換装置の後、計算機内に設け、計算によりハードリミットを実現する方法である。第2の方法は図12のように、動作速度がマイクロ波帯クラスの論理ゲート(CMOSゲート等の1bitのA/D変換装置)をアナログデバイスとして用いることによりハードリミットを実現する方法で、この方法を用いるとハードリミッタ部とA/D変換部を1つの回路にまとめられるため、小型軽量化が図れる。また、一般的なA/D変換装置と比較して、1bitのA/D変換装置は多bitの変換装置に比べてより高速のものを利用できるため、容易にオーバーサンプリングが可能であり、多くのデータをデジタル変換することができるため、後段の処理をより高精度に実施することができる。
実施例3.
本実施例3では、実施例1および実施例2の位相成分の位相アンビギュイティを解消する位相接続の方法についてより詳細に述べる。隣接する2点の位相成分φ(i)、φ(i+1)について、その位相差△φ(i)を計算し、その大きさにより、式(12)のようにφ(i+1)に補正を加えることで、位相アンビギュイティを解決し、位相の周波数勾配を求める。一例を図4に示す。
△φ(i)=φ(i+1)−φ(i)
If △φ(i)> π Then φ(i+1)=φ(i+1)−2π
If △φ(i)<−π Then φ(i+1)=φ(i+1)+2π
Otherwise φ(i+1)=φ(i+1)・・・(12)
実施例4.
本実施例4では、実施例1および実施例2の位相成分の周波数勾配の算出方法についてより詳細に述べる。なお、本説明では実施例3の後、実施例4を実施する方法について述べるが、実施例4のみを単独で実施しても良い。実施例4の流れを図13に示す。
まず実施例3の方法により、位相接続を実施し、下記式(13)に示すように、隣接NP1個の点の平均を取り、平均化(平滑化)を実施する。平均化後の位相成分をφ newとする。
Figure 0005018643
平均化は微小なノイズを除去するために実施する。
つぎに下記式(14)に示すように、φ new(f)を周波数について微分し、位相の周波数勾配Gφを求める。
Figure 0005018643
微分により、図8のように周波数勾配は一定値になると考えられるため、容易に周波数勾配を求めることができる。しかしながら、単純に微分を実施した場合、位相の不連続点でスパイク状のピークが生じてしまったり、帯域以外の精度良く位相成分の周波数勾配を求めることのできない範囲を含むことになったりする。位相の不連続点でのピークについては、実施例3の方法により解決可能である。不要範囲の除去については以下の方法により解決する。
まず、クロススペクトルの振幅成分が最大となる周波 数を含む帯域(山)において、振幅成分の、例えば最大値−3dBとなる周波数の幅(3dBダウン幅)を求め、この周波数の幅内に入っている位相成分の周波数勾配の平均値GφMAVを求める。次に位相成分の中から、位相成分の周波数勾配の値がGφMAV×kMAV以下かつ、−GφMAV×kMAV以上のデータを抽出し、そのデータの平均値を求める(kMAVは任意の値)。求めた平均値が位相成分の勾配Gφとなる。振幅成分が最大の点周辺の周波数勾配は、相対的に精度が良いと考えられるため、この方法により不要範囲を除去できる。
本発明の実施の形態1における方位探知装置の構成ブロック図である。 本発明の実施の形態1における他の方位探知装置の構成ブロック図である。 本発明の実施の形態1における方位探知装置の動作フローチャートである。 位相のアンビギュイティの解決方法についての説明図である。 本発明の実施例1における構成ブロック図である。 本発明の実施例1におけるクリップ回路の動作についての説明図である。 本発明の実施例1におけるクリッピングによる周波数の変化についての説明図である。 本発明の実施例1における微分を用いたクロススペクトルの位相成分の周波数勾配の求め方についての説明図である。 本発明の実施例2におけるハードリミットの動作についての説明図である。 本発明の実施例2におけるハードリミットによる周波数の変化についての説明図である。 本発明の実施例2におけるハードリミッタ回路部を含む方位探知装置の構成ブロック図である。 本発明の実施例2におけるハードリミッタ回路部を含む他の方位探知装置の構成ブロックである。 本発明の実施例4における微分及びスパイク状のピーク除去により位相成分の周波数勾配を求める方法についての説明図である。 従来の方位探知装置の構成ブロック図である。 従来の方位探知装置の動作原理についての説明図である。 クロススペクトルの振幅成分と位相成分についての説明図である。
符号の説明
1 受信アンテナ、 2 高周波増幅器、 3 周波数分散部、 4 A/D変換器、 5 時間差検出器、 6 方位検出器、 9 方位算出回路、 12 検波増幅器、 15 パルス立上り検出回路、17 タイムカウンタ。

Claims (5)

  1. 所定距離離間して配置され到来電波を受信する第1及び第2の受信アンテナと、この第1及び第2の受信アンテナで受信された第1及び第2の受信信号の周波数帯域を各々周波数分散するものであって、前記第1及び第2の受信アンテナで受信された第1及び第2の受信信号を用いた自律的な周波数分散を行う周波数分散部と、この周波数分散部から出力される周波数分散された第1及び第2の受信信号のクロススペクトルを演算するクロススペクトル演算器と、前記クロススペクトルが示すコヒーレンスのレベルが高い周波数帯における位相の周波数に対する周波数勾配から第1及び第2の受信アンテナで受信された到来電波の時間差を検出する時間差検出器と、前記時間差及び前記所定距離に基づいて電波の到来方位を演算する方位演算器とを備えたことを特徴とする方位探知装置。
  2. アナログ信号である第1及び第2の受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を備え、このデジタル信号を用いて周波数分散部以降の処理が行われることを特徴とする請求項1に記載の方位探知装置。
  3. 前記周波数分散部は、クリッピング回路またはリミッティング回路より構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の方位探知装置。
  4. 前記時間差検出器は、前記クロススペクトルの周波数−位相特性において、隣接周波数間で位相が2π変動し位相の不連続点となる位相アンビギュイティを解消するために、前記不連続点の位相に2πを加算または減算することにより位相接続を図った後に、位相の周波数に対する周波数勾配から第1及び第2の受信アンテナで受信された到来電波の時間差を検出するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の方位探知装置。
  5. 前記時間差検出器は、前記クロススペクトルの周波数−位相特性において、クロススペクトルの位相の周波数微分より周波数勾配を算出し、所定の閾値を越える周波数勾配を除いた残りの周波数勾配を平均して算出される平均周波数勾配から第1及び第2の受信アンテナで受信された到来電波の時間差を検出するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の方位探知装置。
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