JP5015640B2 - 導電性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、導電性フィルムに関するものである。さらに詳しくは、透明性および導電性だけでなくその耐熱性にも優れ、液晶ディスプレイ(LCD)、透明タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンスランプ等の透明電極や電磁波シールド材として好適に使用することができる導電性フィルムに関するものである。
従来、液晶ディスプレイ、透明タッチパネル等の透明電極や電磁波シールド材として透明導電性フィルムが好適に用いられている。かかる透明導電性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等の透明フィルム表面の少なくとも片面に、酸化インジウム(In)、酸化錫(SnO)、InとSnOの混合焼結体(ITO)等を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスによって設けたものがよく知られている。
しかし、通常透明導電性フィルムは、ウェブ状での連続加工や打ち抜き加工があり、また、表面加工中も曲げられた状態で用いられたり、また保管されたりするため、上記ドライプロセスにより得られる透明導電性フィルムは、該加工工程や保管している間にクラックが発生して表面抵抗が増大したりすることがあった。
一方、透明基材フィルムの上に導電性高分子を塗布すること(ウエットプロセス)により形成される透明導電塗膜層は、膜自体に柔軟性があり、クラックなどの問題は生じがたい。また、導電性高分子を塗布することによって透明導電性フィルムを得る方法は、ドライプロセスとは異なって製造コストが比較的安く、またコーティングスピードも一般的に速いので生産性に優れるという利点もある。このような導電性高分子の塗布によって得られる透明導電性フィルムは、これまで一般的に用いられてきたポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等は、開発の初期段階では高い導電性が得られないために帯電防止用途などに使用が限定されていたり、導電塗膜層自体の色相が問題となったりしていた。しかし、最近では製法の改良などによりこれらの問題も改善されてきている。例えば、3,4−ジアルコキシチオフェンをポリアニオン存在下で酸化重合することによって得られるポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリアニオンとからなる導電性高分子(特許文献1)は、近年の製法の改良(特許文献2および特許文献3)などにより、高い光線透過率を保ったまま非常に低い表面抵抗を発現している。
しかしながら、これらの導電性高分子を透明導電塗膜層として用いた導電性フィルムは、デバイス等の作製工程で加熱を行った場合、基材フィルム中に微量存在するオリゴマー成分が析出して導電層に悪影響を与え、導電性が低下して表面抵抗が上昇してしまう、フィルムのヘーズが高くなってしまう等の問題があった。従来、導電層の密着性の向上や光学干渉を用いた光線透過率の向上を目的としてアンカーコートを用いる方法は提案されているが(特許文献4)、基材フィルム由来のオリゴマーによる導電性能の低下を抑制する方法については提案されていない。
特開平1−313521号公報 特開2002−193972号公報 特開2003−286336号公報 特開2006−294532号公報
本発明は、上記背景技術を鑑みなされたもので、その目的は、ディスプレイやタッチパネルの作製工程等で熱が負荷される工程を経ても、導電特性や光学特性の変化しがたい、耐熱性に優れた導電性フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、電磁波硬化性成分を含有する皮膜を硬化したアンカー層を導電層と基材フィルムとの間に設ければ、基材フィルムに由来するオリゴマーの影響による導電特性および光学特性の低下を抑制できることを見出し、本発明に到達した。
かくして、本発明によれば
「基材フィルムの少なくとも片面にアンカー層および導電層をこの順で有する、130℃で3時間熱処理した後の表面抵抗変化率が30%以下、かつヘイズ値の変化率が30%以下である導電性フィルムを製造するに際して、
基材フィルムの少なくとも片面に、
(a)(メタ)アクリレート系の電磁波硬化性成分を含有する皮膜を形成し、それを電磁波照射により硬化して、膜厚1.0〜7.0μmのアンカー層を形成し、次いでその上に、
(b)下記一般式で表される単位を主たる繰返し単位とするポリカチオン状のポリチオフェンとポリアニオンとからなる導電性高分子を主たる構成成分として含む導電層を形成する、
Figure 0005015640
(式中、RおよびRは、相互に独立して水素または炭素数1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数1〜12のアルキレン基を表す)
導電性フィルムの製造方法。」が提供される。
本発明の導電性フィルムは、特定の導電性高分子を主たる構成成分とする導電層と基材フィルムの間に、電磁波硬化性成分からなるアンカー層を設けているので、フィルムを加熱した際に発生する基材フィルム由来のオリゴマー成分による悪影響を導電層が受けることを防ぎ、導電特性および光学特性の変化を抑えることが可能となる。したがって、本発明の導電性フィルムは上述の特性を生かして、透明タッチパネル、液晶ディスプレイ(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンス素子等の透明電極や電磁波シールド材として特に好適に使用することができる。
本発明の導電性フィルムを、まず図面を用いて説明する。図1は、本発明の導電性フィルムの断面図、すなわち層構成の一例を示すものである。図1中、符号1は基材フィルム、符号2は導電層、符号3はアンカー層を示す。図1から分かるように、本発明の導電性フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面にアンカー層が積層され、その上にさらに導電層が積層されたものである。このような構成を有するものであれば、他の機能層が本発明の目的を損なわない限りにおいて形成されていてもよく、例えばアンカー層と基材フィルムの間に易接着層(符号4)、導電層を形成した面とは反対側に易接着層、ハードコート層(符号5)などが設けられていてもよい。
このように本発明の導電性フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に、後述する成分を硬化してなるアンカー層、その上に導電層がこの順で積層されている必要がある。さらに、130℃で3時間熱処理した後の表面抵抗変化率が30%以下で、かつヘイズ値の変化率が30%以下であることが必要である。これらの変化率が30%を超える場合には耐久性が不十分とであり、長期間安定に使用することが難しくなる。このような変化率は、後述する電磁波硬化性成分を選択してアンカー層の架橋割合をあげると共に、後述する導電性高分子の使用割合および導電層の厚さを適宜設定することにより調整できる。
本発明の導電性フィルムは、さらにその全光線透過率(JIS K7150に準拠して測定)が60%以上、好ましくは65%以上、特に70%以上であることが望ましい。かくすることにより、液晶ディスプレイ、透明タッチパネル等の透明電極や電磁波シールド材として、好適に使用することが可能となる。なお、この全光線透過率は、後述する基材フィルムや導電層の膜厚を適宜設定することにより調整できる。
また、本発明の導電性フィルムの導電層の表面抵抗は10〜5×10Ω/□の範囲にあることが、液晶ディスプレイ、透明タッチパネル等の透明電極や電磁波シールド材として用いたときの電極としての機能や、電磁波シールド特性の観点、および全光線透過率やコストの観点から好ましい。さらに好ましい表面抵抗は10〜1×10Ω/□の範囲、特に好ましくは10〜5×10Ω/□の範囲である。
以下、本発明の導電性フィルムを形成する各層について、さらに詳述する。
〈アンカー層〉
本発明においては、基材フィルム由来のオリゴマーの影響を抑制するために、(メタ)アクリレート系の電磁波硬化性成分を含有する膜を硬化してなるアンカー層を基材フィルムと導電層との間に設ける必要がある。ここで用いられる(メタ)アクリレート系の電磁波硬化性成分は、十分な架橋密度が得られて基材フィルム由来のオリゴマーを十分に封止でき、電磁波照射により硬化させることができるものであれば特に限定されず、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレートモノマーおよびこれを一部重合させたオリゴマー、さらには、ポリマーの側鎖に(メタ)アクリレート基を導入した電磁波硬化性ポリマーなどを例示することができる。
好ましく用いられる多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えばネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート)、メラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは一種単独で用いても、二種以上を併用しても構わない。
このような多官能(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM−400、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、TO−1200、TO−1231、TO−595、TO−756(以上、東亞合成製)、KAYARD D−310、D−330、DPHA、DPHA−2C(以上日本化薬製)、ニカラックMX−302(三和ケミカル社製)等を例示することができる。
このような多官能(メタ)アクリレート化合物には、必要に応じて(メタ)アクリロイル基以外の硬化性官能基を持たせてもよいし、(メタ)アクリロイル基以外の硬化性官能基を有する化合物を併用してもよい。また、これらの化合物の2〜20量体程度のオリゴマー、また皮膜を形成することが可能な範囲内で重合させたポリマーを用いることも可能である。
本発明におけるアンカー層を硬化させる方法は、電磁波照射であれば特に限定されないが、光重合開始剤を併用し、紫外線ないし可視光線を照射して光硬化(光架橋)させるのが好ましい。好ましく用いられる光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フロオレノン、アントラキノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等をあげることができる。
かかる光重合開始剤の添加量は、アンカー層皮膜の重量を基準として10重量%以下であることが好ましい。添加量が10重量%を超えると、光重合開始剤が可塑剤として作用し、アンカー層の強度が低下する可能性がある。
なお、本発明のアンカー層には、上記の成分のほかに、皮膜の強度を向上させる目的で微粒子を添加することも可能である。このような場合に用いられる微粒子としては、硬化後の皮膜の膜強度、すべり性、光学特性等の観点からケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、シリコーン樹脂からなるものが好ましい。なかでも、高強度の観点からケイ素酸化物が好ましい。これら微粒子は一種単独で用いても、二種以上を併用しても構わない。
かかる微粒子は、粉体状であっても溶媒分散ゾル状であっても構わないが、溶媒分散ゾル状である場合には、他の成分との相溶性の観点から分散媒は有機溶媒であることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等をあげることができる。なかでもメタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
また、上記の微粒子の平均一次粒径は2〜2000nmが好ましく、さらには3〜200nm、最も好ましくは5〜100nmである。平均一次粒径が2000nmを超えるような場合には、透明性の高い皮膜を得るのが困難となり、一方平均一次粒径が2nm未満である場合には、粒子自体の強度が低く、また硬度の高い皮膜が得られなくなる。かかる微粒子の分散性を改良するために、各種の界面活性剤やアミン類等を併用してもよい。
好ましく用いられるケイ素酸化物微粒子としては、例えば市販されている以下のような微粒子分散ゾルをあげることができる。IPA−ST,MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40(以上日産化学社製)。
好ましく用いられる酸化アルミニウム微粒子としては、例えば以下のような微粒子分散ゾルをあげることができる。アルミナゾル−100、アルミナゾル−200、アルミナゾル−500(以上日産科学社製)、AS−150I、AS−150T(住友大阪セメント製)。
好ましく用いられるシリコーン樹脂微粒子としては、例えば市販されているN−31−4(日本純薬社製)をあげることができる。
以上に説明した微粒子は、分散性を向上させる観点および(メタ)アクリレート系の電磁波硬化性成分(マトリックス樹脂)との架橋を生成して皮膜強度を向上させる観点から、重合性官能基を有する表面処理剤で予め表面処理していることが好ましい。好ましく用いられる表面処理剤としては例えば、シラノール基を含有する、または加水分解することによりシラノール基を生成する化合物(以下、シランカップリング剤と称することがある)があげられる。なかでも、シラノール基以外の重合性官能基を併せ持ったシランカップリング剤が好ましい。かかる化合物のシラノール基と前述の微粒子表面の水酸基は、熱などによって結合を形成することができ、微粒子表面にシランカップリング剤が結合され、微粒子が有機成分中にも分散しやすい状態を形成することができる。シラノール基以外の重合性官能基の例としては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、アクリルアミド基、水酸基などをあげることができる。
このようなシラノール基以外の重合性官能基を持った化合物としては例えば、TSL−8350、TSL−8337、TSL−8370、TSL−8375(以上、GE東芝シリコーン社製)、A−9530、(新中村化学製)、A−187(日本ユニカ製)などをあげることができる。
微粒子の表面処理を行う場合には、まず前述のようなシランカップリング剤と処理する微粒子(分散ゾル)とを混合し、さらにイオン交換水を添加した後に室温に静置することにより先ずシランカップリング剤の加水分解を進める。加水分解させるのに必要な時間は用いる化合物の種類によって異なるが、1〜24時間程度である。シランカップリング剤の加水分解が十分に進行した後に、20℃〜150℃の温度で処理することにより、シランカップリング剤のシラノール基と粒子表面の水酸基とが反応し、表面処理された微粒子を得ることができる。
以上に説明した微粒子の添加量は、形成されるアンカー層の重量を基準として5〜90重量%とするのが好ましく、特に10〜85重量%の範囲が好ましい。
本発明のアンカー層は、例えば上述の多官能(メタ)アクリレート系電磁波硬化性化合物、必要に応じて(表面処理された)微粒子および光重合開始剤を溶媒に溶解・分散させて塗布した後、乾燥、光照射して硬化させることにより形成する。ここで用いる溶媒としては特に制約はないが、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、セカンダリーブタノール、t−ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン、芳香族炭化水素類等があげられる。なかでも溶解性の観点からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等のケトン類が好ましい。有機溶剤はアンカー層を形成するための溶液の全固形分濃度が1〜70重量%になる範囲で用いるのが好ましい。
本発明のアンカー層には、本発明の目的を損なわない範囲において光増感剤、レベリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、染料等を併用しても構わない。
本発明のアンカー層の厚みは、薄くなりすぎると基材フィルムからのオリゴマーを封止する効果が不十分になるばかりか、ラジカル硬化反応させる場合には酸素障害の影響が大きくなって硬化不良となりやすく、逆に厚くなりすぎると皮膜の柔軟性が低下してフィルムを曲げた際に割れやすくなるので、1.0〜7.0μmの範囲が必要であり、特に2.0〜6.0μmの範囲とするのが好ましい。
かかるアンカー層を電磁波照射して硬化させるには、塗布・乾燥した後に、例えば紫外線照射の場合には、照射量が10〜2000mJ/cm、好ましくは50〜1500mJ/cm、特に好ましくは100〜1000mJ/cmとなる範囲にすればよい。
〈導電層〉
本発明における導電層は、表面抵抗を下げられ、かつ透明性も具備する下記一般式
Figure 0005015640
で表される繰返し単位からなるポリカチオン状のポリチオフェン(以下、“ポリ(3,4−ジ置換チオフェン)”と称することがある)と、ポリアニオンとからなる導電性高分子を主たる構成成分として含む組成物から形成される。すなわち、この導電性高分子はポリ(3,4−ジ置換チオフェン)とポリアニオンとの複合化合物である。
この導電性高分子を構成するポリ(3,4−ジ置換チオフェン)のRおよびRは、相互に独立して水素または炭素数が1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数が1〜12のアルキレン基を表す。RおよびRが一緒になって形成される、置換基を有してもよい炭素数が1〜12のアルキレン基の代表例としては、1,2−アルキレン基(例えば、1,2−シクロヘキシレンおよび2,3−ブチレンなど)があげられる。また、RおよびRが一緒になって形成される炭素数が1〜12のアルキレン基の好適な例としては、メチレン、1,2−エチレンおよび1,3−プロピレン基があげられ、1,2−エチレン基が特に好適である。具体例としては、アルキル置換されていてもよいメチレン基、炭素数1〜12のアルキル基もしくはフェニル基で置換されていてもよい1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基が挙げられる。
一方、該導電性高分子を構成するポリアニオンとしては、例えば高分子状カルボン酸類(例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸など)、高分子状スルホン酸(例えばポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸など)などがあげられる。これらの高分子状カルボン酸またはスルホン酸類は、ビニルカルボン酸またはビニルスルホン酸類と他の重合可能な低分子化合物、例えばアクリレート類、スチレンなどとの共重合体であってもよい。これらのポリアニオン中でも、ポリスチレンスルホン酸およびその全べてもしくは一部が金属塩であるものが好ましく用いられる。
本発明における導電層を形成するためのコーティング組成物は、上述の導電性高分子を主成分として水に分散させた分散液を用いるが、必要に応じてポリエステル、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどの適当な有機高分子材料をバインダーとして添加することができる。
また得られる導電層の塗膜強度を向上させる目的で、さらにアルコキシシランまたはアシロキシシランを添加してもよい。これらのシラン化合物は、加水分解され、その後に縮合反応された反応生成物の形態で導電層中に存在する。これらのシラン化合物としては、例えばメチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどがあげられる。なかでも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトライソブトキシシランなどのテトラアルコキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのアルコキシ基以外の反応性官能基を有するトリアルコキシシランが好ましく、特にグリシドキシ基を有するトリアルコキシシランが好ましい。かかるシラン化合物の添加量は、導電性高分子の重量を基準として50重量%以下、特に10〜40重量%の範囲とするのが適当である。
なお、該アルコキシシランの加水分解/縮合を効率よく進行させるためには触媒を併用することが好ましい。触媒としては酸性触媒または塩基性触媒のいずれをも用いることができる。酸性触媒としては、酢酸、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、しゅう酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等が好適である。一方塩基性触媒としてはアンモニア、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の有機アミン化合物、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物などが好適である。
さらに必要に応じて、溶解性や基材フィルムへの濡れ性を改善する目的、固形分濃度を調整する目的などで、水と相溶性のある適当な溶媒を添加することができる。例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、アミド類(ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド)などが好ましく用いられる。
また、上記のコーティング組成物の基材フィルムに対する濡れ性を向上させる目的で、少量の界面活性剤を加えてもよい。好ましい界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステルなど)、およびフッ素系界面活性剤(例えばフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなど)があげられる。
導電層を形成する際の塗布方法としては、それ自体公知の方法を採用できる。例えばリップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法などが好ましく挙げられる。熱硬化性樹脂をバインダーとして併用した場合には、導電層の塗設はそれぞれを形成する成分を含む塗液を基材フィルムに塗布し、加熱乾燥させて塗膜を形成させる。加熱条件としては80〜160℃で10〜120秒間、特に100〜150℃で20〜60秒間が好ましい。紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂をバインダーとして併用した場合には、一般的には予備乾燥を行った後、紫外線照射または電子線照射を行なう。
また、かかる導電層を形成するための塗液を前述のアンカー層上に塗布する際には、必要に応じて、さらに密着性・塗工性を向上させるための予備処理として、該アンカー層表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施しても構わない。表面処理を行った後のアンカー層上の表面濡れ指数(表面張力)は50ダイン/cm以上であることが好ましく、特に好ましくは60ダイン/cm以上である。表面張力が50ダイン/cm未満と低い場合には、濡れ性の改善効果が不十分となり、導電層の密着性・塗工性の改善効果が小さくなる。
以上に説明した本発明の導電層の厚みは0.01〜0.30μmの範囲、特に0.02〜0.25μmの範囲であることが好ましい。該導電層の厚さが薄すぎると十分な導電性が得られないことがあり、逆に厚すぎると全光線透過率が不足したり、ブロッキングを起こしたりすることがある。
(易接着層)
本発明においては、必要に応じて、前記アンカー層と基材フィルムとの間に易接着層を設けてもよい。かかる易接着層を形成する成分は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリエチレン共重合体等、透明性を備えるものであれば特に制限はされないが、密着性の観点から、特にポリエステル樹脂およびオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂の両方を構成成分として含有するものが好ましい。
ここで用いられるポリエステル樹脂も特に制限はなく、以下に示す多塩基酸とポリオールとからなるポリエステルを例示することができるが、特に水(多少の有機溶剤を含有していてもよい)に可溶性または分散性のポリエステルが好ましい。
ポリエステル樹脂の多塩基酸成分としては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等をあげることができる。なかでも、これら酸成分を2種類以上含有する共重合ポリエステルが好ましい。なお、若干量であればマレイン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸成分や、p−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸成分が含まれていてもよい。
またポリオール成分としては例えば、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロパン等や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールをあげることができるがこれらに限定されるものではない。
一方オキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂も、水(多少の有機溶剤を含有していてもよい)に可溶性または分散性のアクリル樹脂が好ましい。かかるオキサゾリン基とポリアルキレンオキシ鎖とを有するアクリル樹脂としては例えば、以下に示すモノマーを共重合成分として含むものをあげることができる。
まずオキサゾリン基を有するモノマーとしては、例えば2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中で2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく好適である。かかるオキサゾリン基を有するアクリル樹脂を用いることによりアンカーコート層の凝集力が向上し、透明導電塗膜層との密着性がより強固になる。さらにフィルム製膜工程内や透明導電塗膜層加工工程における金属ロールに対する耐擦傷性を基材フィルム表面に付与できる。なお、オキサゾリン基を含有するモノマーの含有量は、該アクリル樹脂中の含有量として2〜40重量%、好ましくは3〜35重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。
次にポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸のカルボキシル基にアルキレンオキシドを付加反応させたものを挙げることができる。ポリアルキレンオキシド鎖はポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等を挙げることができる。ポリアルキレンオキシド鎖の繰り返し単位は3〜100であることが好ましい。かかるポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリル樹脂を用いることによりアンカーコート層中のポリエステル樹脂とアクリル樹脂の相溶性がポリアクリレンオキシド鎖を含有しないアクリル樹脂と比較してよくなり、アンカーコート層の透明性を向上させることができる。ここでポリアルキレンオキシド鎖の繰返し単位が3より小さいとポリエステル樹脂とアクリル樹脂との相溶性が低下してアンカーコート層の透明性が低下し、逆に100より大きいとアンカーコート層の耐湿熱性が下がり、高湿度、高温下での透明導電塗膜層との密着性が悪化する。なお、ポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーの含有量は、該アクリル樹脂中の含有量として3〜40重量%、好ましくは4〜35重量%、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲である。
アクリル樹脂のその他の共重合成分としては、例えば以下のモノマーをあげることができる。すなわちアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基またはその塩を有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アクリロイルモルフォリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマル酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等であるが、これらのモノマーに限定されるものではない。
易接着層を形成するポリエステル樹脂の易接着層中の含有割合は5〜95重量%であることが好ましく、特に50〜90重量%であることが好ましい。易接着層を形成するオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂の易接着層中の含有割合は5〜90重量%であることが好ましく、特に10〜50重量%であることが好ましい。ポリエステル樹脂が95重量%を超える、もしくはオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂が5重量%未満になると易接着層の凝集力が低下し、アンカー層の密着性が不十分になる場合がある。
上記易接着層(以下「塗膜」ということがある)を基材フィルム上に形成させるために、上記の成分を水溶液、水分散液または乳化液等の水性塗液の形態として使用することが好ましい。塗膜を形成するために、必要に応じて、前記成分以外に他の成分、例えば帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤等を添加することもできる。特に滑剤を添加することにより、耐ブロッキング性をさらに良好なものとすることができる。
易接着層の塗工に用いる水性塗液の固形分濃度は通常20重量%以下であるが特に1〜10重量%であることが好ましい。この割合が1重量%未満であると、基材フィルムへの濡れ性が不足することがあり、一方20重量%を超えると塗液の貯蔵安定性や易接着層の外観が悪化することがある。
易接着層の膜厚は、十分な密着向上効果を発現しかつ透明性を損なわない範囲であれば特に制限されないが、通常は0.001〜0.10μm、好ましくは0.005〜0.090μm、特に好ましくは0.01〜0.085μmの範囲が適当ある。
次に本発明における基材フィルムは特に制限する必要はないが、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート(以下、PETと称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENと称することがある。)などのポリエステル(全酸成分を基準として20モル%以下、好ましくは10モル%以下の第3成分を共重合していてもよい)やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボニル基等の官能基で一部変性した樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などからなるフィルムが好適である。これらの基材フィルムのうち、機械特性や透明性、生産コストの点からポリエステル(PET、PENおよびそれらの共重合ポリエステル)フィルムが特に好ましい。基材フィルムの厚みも特に制限されないが、500μm以下が好ましい。500μmより厚い場合には剛性が強すぎて、得られたフィルムをディスプレイなどに貼付ける際の取扱い性が低下しやすい。
基材フィルムとしてポリエステルフィルムを用いる場合には、易接着層を設けるための上述の塗料塗布は、任意の段階で実施することができるが、ポリエステルフィルムの製造過程で実施するのが好ましい。特に、配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。
ここで配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向、また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。
なかでも未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに易接着層を形成するための水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
易接着層を形成するための水性塗液を基材フィルムに塗布する際には、密着性や塗布性を向上させるための予備処理として、フィルム表面にコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいは塗液組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。
かかる界面活性剤は、上記易接着層を形成する水性塗液の基材フィルムへの濡れを促進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪族エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は塗膜を形成する組成物中に0.1〜10重量%含まれていることが好ましい。
易接着層を形成する際の塗布方法としては、それ自体公知の方法を採用すればよい。例えばリップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法などを例示することができ、これらの方法を単独または組み合わせて用いることができる。なお、塗膜は必要に応じてフィルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
本発明の導電性フィルムは、上述のとおり基材フィルムの少なくとも片面にアンカー層および導電層がこの順序で積層されていることが必要であるが、該導電層が形成される側と反対の面には必要に応じて易接着層、ハードコート層等の塗膜を設けることもできる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における各評価は下記の方法にしたがった。
(1)膜厚
アンカー層および導電層の厚みは、反射分光膜厚計(大塚電子製、商品名「FE−3000」)を用いて、導電性フィルム試料の導電層側における波長300〜800nmの反射率を測定した。
アンカー層の膜厚は、上述の反射スペクトルの干渉波形からピークバレー法を用いてフィッティングさせることにより算出した。一方、導電層の膜厚は、上述の反射率測定値について代表的な屈折率の波長分散の近似式としてn−k Cauchyの分散式を引用し、スペクトルの実測値とフィッティングさせることにより求めた。
(2)アンカー層表面の濡れ指数
JIS K6768に準拠しアンカー層表面に濡れ性標準試薬を塗布し、2秒以上撥水することなく濡れる最小の試薬番号をアンカーコート層表面の濡れ指数とした。
(3)全光線透過率
JIS K7150にしたがい、スガ試験機(株)製のヘイズメーターHCM−2Bにて測定を行った。
(4)表面抵抗
三菱化学社製Lorester MCP−T600を用いて、JIS K7194に準拠して測定した。測定は任意の箇所を5回測定し、それらの平均値とした。
(5)表面抵抗変化率
表面抵抗を測定したサンプルを、130℃のオーブンに入れて3時間処理を行った後、上記と同様に表面抵抗を測定し、下記式により表面抵抗変化率を算出した。
表面抵抗変化率=(処理後の表面抵抗/処理前の表面抵抗−1)×100(%)
この式で表される表面抵抗変化率が小さいほど耐熱性が良好であることを意味する。
(6)ヘイズ値の変化率
JIS K7150に準拠してヘイズ値を測定したサンプルを、130℃のオーブンに入れて3時間処理を行った後、上記と同様にヘイズ値を測定し、下記式によりヘイズ値の変化率を算出した。
ヘイズ変化率=(処理後のヘイズ値/処理前のヘイズ値−1)×100(%)
(7)柔軟性
作成したフィルムサンプルを直径10mmの金属棒に巻きつけて戻す動作を50回繰り返した後、アンカー層および導電層を形成した面を光学顕微鏡で観察し、塗面の割れがあるかどうかを確認した。
○:塗面に割れが観察されなかった
×:塗面に割れが観察された
[実施例1]
<易接着層形成用塗液成分>
ポリエステル:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸65モル%/イソフタル酸30モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=80℃、平均分子量13000)。
なお、かかるポリエステルは特開平6−116487号公報の実施例1に記載の方法に準じて下記のとおり製造した。すなわち2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル44部、イソフタル酸ジメチル4部、エチレングリコール34部、ジエチレングリコール2部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃までに上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。
アクリル:メチルメタクリレート30モル%/2−イソプロペニル−2−オキサゾリン30モル%/ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリレート10モル%/アクリルアミド30モル%で構成されている(Tg=50℃)。
なお、かかるアクリルは特開昭63−37167号公報に記載の方法に準じて下記のとおり製造した。すなわち、四つ口フラスコに、界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム3部およびイオン交換水181部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硝酸水素ナトリウム0.2部を添加し、さらにモノマー類であるメタクリル酸メチル23.3部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン22.6部、ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリレート酸40.7部、アクリルアミド13.3部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるように調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ攪拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が35%のアクリルの水分散体を得た。
添加剤:シリカフィラー(平均粒系100nm)(日産化学株式会社製:商品名スノーテックスZL)
濡れ剤:ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名ナロアクティーN−70)
<基材フィルムおよび易接着層の形成>
ポリエチレンテレフタレート(〔η〕=0.62dl/g、Tg=78℃)をダイより溶融押し出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.4倍延伸した後、その両面に上述のポリエステル60部、アクリル30部、添加剤5部、濡れ剤5部からなる塗液をイオン交換水で濃度8%に調整した塗液を、ロールコーターで均一に塗布した。次いで塗工後にこのフィルムを横方向に125℃で3.6倍延伸し、220℃で幅方向に3%収縮させ熱固定を行い、易接着層が形成された、厚さ188μmの基材フィルムを得た。なお、易接着層の厚さは0.04μmであった。
<アンカー層の形成>
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびシリカナノ粒子を主成分とした塗剤(商品名Z7501:JSR株式会社製)をMEKにて固形分濃度40%に調整し、ロールコーターで均一に塗布した。次いで塗工後に70℃で2分間の乾燥処理を行い、その後高圧水銀ランプにより紫外線照射を行った。紫外線照射量は300mJ/cmで実施した。なおアンカー層の乾燥厚みは6.0μmであった。次いで得られたアンカー層表面に4kWの出力、処理速度10m/分でコロナ処理を行った。このアンカー層表面の濡れ指数は65ダイン/cmであった。
<導電層の形成>
導電性ポリマー:ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)0.5重量%とポリスチレンスルホン酸(分子量Mn=150,000)0.8重量%を含んでなるポリマーの水分散体(BaytronP:バイエルAG製)97部に対して3部のジエチレングリコール、0.5部のγ―グリシドキシトリメトキシシランを添加して調整した溶液を、マイヤーバーを用いて上記のアンカー層を設けた基材フィルム上に塗工し、140℃で1分間の乾燥を行って導電層を形成した。導電層厚みは0.08μmであった。得られた導電性フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
アンカー層の厚みを3.0μmにした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
アンカー層と導電層を形成した面とは反対面に、市販のハードコート塗液(EXF−D202:大日精化製)をMEKで固形分40%に希釈した塗液をバーコーターで塗工し、その後70℃で1分の乾燥および高圧水銀ランプによる紫外線照射を300mJ/cmの照射強度で実施した。得られたハードコート層の膜厚は5.0μmであった。結果を表1に示す。
[比較例1]
アンカー層の厚みを0.8μmにした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
アンカー層の厚みを9.0μmにした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
アンカー層を形成しなかった以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
アンカー層の形成を、下記の如く変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
アクリルポリオール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、A801P)52部、イソシアネート硬化剤(大日本インキ化学工業株式会社製、DN981)8部、MEK40部からなる塗液をバーコーターによって塗設し、140℃で1分間乾燥/硬化させて、厚みが5.0μmのアンカー層を形成した。
Figure 0005015640
上記表1から分かるように、本発明の導電性フィルムは、透明性、初期表面抵抗などの特性は維持しながら、優れた耐熱性を有している。
以上に説明した本発明の導電性フィルムは、優れた導電性を維持しながら、高い耐熱性を有しているので、タッチパネル、液晶ディスプレイ(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、無機エレクトロルミネッセンス素子等の透明電極や電磁波シールド材として極めて有用である。
本発明の導電性フィルムの一例を示す断面図である。
符号の説明
1 基材フィルム
2 導電層
3 アンカー層
4 易接着層
5 ハードコート層

Claims (1)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面にアンカー層および導電層をこの順で有する、130℃で3時間熱処理した後の表面抵抗変化率が30%以下、かつヘイズ値の変化率が30%以下である導電性フィルムを製造するに際して、
    基材フィルムの少なくとも片面に、
    (a)(メタ)アクリレート系の電磁波硬化性成分を含有する皮膜を形成し、それを電磁波照射により硬化して、膜厚1.0〜7.0μmのアンカー層を形成し、次いでその上に、
    (b)下記一般式で表される単位を主たる繰返し単位とするポリカチオン状のポリチオフェンとポリアニオンとからなる導電性高分子を主たる構成成分として含む導電層を形成する、
    Figure 0005015640
    (式中、RおよびRは、相互に独立して水素または炭素数1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数1〜12のアルキレン基を表す)
    導電性フィルムの製造方法。
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