以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1には、パチンコ機10の機表側が略示されており、機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技機用構成部材をセットする縦長方形の中枠ベース12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、中枠ベース12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14と、上球皿15aを有する上皿ユニット15とが、共に横開き状態で開閉可能に組み付けられている。
前記前枠14の周囲前面側には、パチンコ機10の各種遊技の演出態様(大当り、リーチなど)に応じて点灯(点滅)・消灯などの発光装飾を行う電飾ランプ16が設けられている。この電飾ランプ16は、図示しない発光体(LEDなど)を備え、該発光体にレンズ部材を覆い被せて構成されている。また、上皿ユニット15の両側方には、前記遊技の状態に応じて各種音声(効果音など)を出力するスピーカ17が設けられている。また、中枠ベース12の下部には、下球皿18及び発射装置19などを有する下皿ユニット20が装着されている。
上記パチンコ機10は、遊技盤工程→中枠工程→最終工程の順序で製造される。
遊技盤工程では、遊技盤13を製造するために、自動セル貼り、多軸穴加工、ゲージプレス、NCルータ加工などの処理を行うベニヤ加工工程や、NC釘打ち、自動レール締め、NC風車打ち、コーナ飾り、役物物品挿入、自動ビス締め、配線、表示基板取付などの処理を行う遊技盤組立工程が行われる。
中枠工程では、中枠ベース12に対する下皿ユニット20及び上皿ユニット15の取付作業、前枠14の取付作業及び遊技盤13の合体作業、図示しない打球発射装置、セット盤、音声基板等の各種部品の組付作業が順次行われる。
最終工程では、外枠11、それぞれ図示しない電源基板、払い出し基板、メイン基板などの組付作業や、機能検査、ロット登録、各種番号(保証書番号、管理番号等)の付与などが行われる。
ところで、遊技盤工程において、多軸穴加工、ゲージプレス、NCルータ加工、NC釘打ち、自動レール締め、NC風車打ちなどを行う場合、遊技盤13はパレット台車に固定され搬送される。本実施の形態のパレット台車は、サイズの異なる大型遊技盤(新ワーク)と小型遊技盤(旧ワーク)とが選択的に固定可能に構成されており、共通の製造ラインで二種類の遊技盤13が製造される。
以下、遊技盤13を製造するための遊技盤製造ラインについて説明する。
図2に示されるように、本実施の形態の製造ライン21は、遊技盤13を搬送するための一本の遊技盤搬送ライン22と、パレット台車23を搬送するための一本のパレット台車搬送ライン24と、遊技盤搬送ライン22とパレット台車搬送ライン24との間に設けられた移載装置25とを備える。
遊技盤搬送ライン22は、例えば、ローラーコンベアなどによってサイズの異なる二種類の遊技盤13(大型遊技盤及び小型遊技盤)を搬送する。遊技盤搬送ライン22は、本実施形態では平面視でL字状をなし、そのコーナ部には遊技盤13の搬送方向を直角に変更するための機構が設けられている。
パレット台車搬送ライン24の両サイドには駆動チェーン27が搬送方向(ラインの長手方向)に沿って設けられており、これらの駆動チェーン27によってパレット台車23が搬送される。
移載装置25は、遊技盤搬送ライン22の終端に設けられ、その搬送ライン22の所定位置(本実施の形態では、終端位置)28に搬送された遊技盤13を、パレット台車搬送ライン24においてその途中の遊技盤固定位置29に搬送されたパレット台車23上に移載する。なお、移載装置25は、遊技盤搬送ライン22の終端位置28と遊技盤固定位置29との間で往復移動可能に支持された可動アーム(図示略)を備えている。そして、この可動アームが遊技盤13の側面を挟んで運ぶことで、遊技盤13をパレット台車23に移載する。本実施の形態の移載装置25には、搬入されてきた二枚の遊技盤13を二枚同時に移載するよう2つの可動アームが設けられている。
また、パレット台車搬送ライン24は、各種製造工程の終了後にパレット台車23から遊技盤13を搬出し、遊技盤13の未載置状態のパレット台車23を遊技盤固定位置29へ戻すような周回ラインとなるよう構成されている。
ここで、本実施の形態のパレット台車23の構成について図3〜図5を用いて説明する。なお、図3は、パレット台車23の平面図である。また、図4は、パレット台車23の正面図であり、図5は、パレット台車23の側面図である。
図3〜図5に示されるように、パレット台車23は、略正方形の板状に形成されたベースフレーム31を備える。そのベースフレーム31において、その中央部を囲むように四角形状の収納枠32が設けられており、この収納枠32の内側に遊技盤13に接続される配線コード(図示略)が収納される。この収納枠32の外側には、長方形状の断面を有する四本の支柱34と六角形状の断面を有する二本の支柱35とが設けられており、これら支柱34,35の上端部に遊技盤13が載置される。本実施の形態における各支柱34,35の上端部には、合成樹脂等からなる衝撃緩衝体36,37が設けられている。そして、これらの衝撃緩衝体36,37によって、各支柱34,35の上端部に遊技盤13が配置される際の衝撃が緩和されるようになっている。
さらに、パレット台車23のベースフレーム31の底部には、その四隅となる位置に車輪38が設けられている。そして、パレット台車搬送ライン24に設けられたレール(図示略)上に配置された車輪38が回転することで、パレット台車23がレールに沿ってスムーズに搬送される。また、ベースフレーム31の側面には摩擦板39が設けられている。そして、パレット台車23の搬送時には摩擦板39に対して上述の駆動チェーン27が接触し、この接触により両者間に好適な摩擦抵抗が作用するようになっている。
本実施の形態における遊技盤13は略正方形状に形成されており、その遊技盤13において、遊技領域L1の外側(外周部)には、その対角となる位置に位置決め用の穴41a,41bが一対設けられている。各位置決め用の穴41a,41bのうち一方の穴(図3では右下の穴)41aは、各種類共通に設けられた共通穴であり、他方の穴(図3では左上の穴)41bは、各種類固有に設けられた固有穴である。なお、図1のように遊技盤13を他部品とともに組み付けてパチンコ機10とした状態では、各位置決め用の穴41a,41bは前枠14により隠されて見えなくなる。つまり、各位置決め用の穴41a,41bは遊技者から視認できない位置に形成されている。
パレット台車23のベースフレーム31の外周部には、位置決めピン固定部42,43,44(固定手段)が突設されている。具体的には、収納枠32の外側であって対角となる一方の角部(図3の右下の角部)近傍に1つの位置決めピン固定部42が設けられ、他方の角部(図3の左上の角部)近傍に2つの位置決めピン固定部43,44が設けられている。各位置決めピン固定部42〜44は、遊技盤13に形成された位置決め用の穴(共通穴41a及び固有穴41b)に嵌めこむことで遊技盤13を固定するための位置決めピン46を備える。
図6に示されるように、パレット台車23に小型遊技盤13aを固定する場合には、位置決めピン固定部42の位置決めピン46が共通穴41aに嵌め込まれ、位置決めピン固定部43の位置決めピン46が固有穴41bに嵌め込まれる。この結果、パレット台車23において、略中央の位置に小型遊技盤13aが固定される。図7に示されるように、パレット台車23に大型遊技盤13bを固定する場合には、位置決めピン固定部42の位置決めピン46が共通穴41aに嵌め込まれ、位置決めピン固定部44の位置決めピン46が固有穴41bに嵌め込まれる。
図6及び図7に示されるように、本実施の形態において、遊技盤13(13a,13b)の共通穴41aの固定には、遊技盤13の種類に関わらず共通の位置決めピン固定部42が使用される。この位置決めピン固定部42の場合、位置決めピン46が上下方向に移動不能に設けられている。また、大型遊技盤13bの固有穴41bに嵌め込まれる位置決めピン固定部44の位置決めピン46は、小型遊技盤13aを固定したときにその遊技盤13aの外周位置よりも外方に位置するよう設けられている。この位置決めピン固定部44の位置決めピン46は、小型遊技盤13aには干渉しないため、上下方向に移動不能に設けられている。一方、小型遊技盤13aの固有穴41bに嵌め込まれる位置決めピン固定部43の位置決めピン46は、上下方向に進退可能に設けられている。大型遊技盤13bを固定する際には、その位置決めピン46が下方に後退することでそれが遊技盤13bに干渉しないようになっている。このように、パレット台車23に位置決めピン固定部43の位置決めピン46を進退可能に設けたことにより、大きさの異なる二種類の遊技盤13a,13bを選択的に固定することが可能となる。
パレット台車搬送ライン24における移載装置25の手前の待機位置48(本実施形態では2箇所)において、パレット台車23は一旦停止される。これらの待機位置48には段取り替えユニット49が設置されており、これらの段取り替えユニット49を用いて位置決めピン固定部43における位置決めピン46の進退位置切り替えが行われる。以下、位置決めピン固定部43、及び段取り替えユニット49の具体的な構成を説明する。
図8に示されるように、位置決めピン固定部43は、位置決めピン46と、位置決めピン46を上方に付勢するバネ51と、位置決めピン46とバネ51との間に設けられる位置決めピン規制部材52と、位置決めピン46、バネ51、及び位置決めピン規制部材52を収納する円筒状の保護ケース53とを備える。
位置決めピン規制部材52は、凹部を有する断面略「コ」字状に形成されており、その凹部側を下方に向けた状態で保護ケース53内に配置されている。保護ケース53内において、バネ51は、その一方の端部(基端部)が保護ケース53の底部材54に固定され、他方の端部(先端部)が位置決めピン規制部材52の凹部に挿入された状態で固定されている。そして、その位置決めピン規制部材52の上面に位置決めピン46の基端部が固定されている。また、保護ケース53の上部にはピン挿通穴55が形成されており、位置決めピン46はそのピン挿通穴55から突出した状態で設けられている。
保護ケース53の側面には、位置決めピン規制部材52に対応する位置に開口部57が設けられ、その開口部57にシリンダロッド58の先端が挿入された状態で第1のシリンダ59(ピン位置保持手段)が固定されている。シリンダロッド58の略中央には拡径部60が設けられている。シリンダケース61内にて、そのシリンダロッド58における拡径部60よりも基端側(図では右側)には、バネ62が嵌め込まれている。このバネ62は、その一端がケース内周面に当接し、他端が拡径部60に当接し、保護ケース53内に進入させる方向にシリンダロッド58を付勢している。そして、シリンダロッド58の拡径部60が保護ケース53の側面(開口部57の周縁となる部位)に当接することでシリンダロッド58の移動が規制されている。この状態においては、シリンダロッド58の先端が開口部57から突出して位置決めピン規制部材52に当接する。
シリンダロッド58の基端側は、シリンダケース61外部に突出し、その基端には操作部材64が接続されている。さらに、その操作部材64の端部には円盤状の把持部65が形成されている。
図9及び図10に示されるように、段取り替えユニット49は、駆動手段を構成するスライドテーブル67及び第2のシリンダ68と、位置決めピン確認センサ69と、駆動制御手段としての制御部70とを備える。制御部70は、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、データを記憶するためのメモリ71を備える。制御部70は、スライドテーブル67及び第2のシリンダ68と電気的に接続されており、駆動信号を出力することでスライドテーブル67及び第2のシリンダ68を駆動制御する。また、制御部70は、位置決めピン確認センサ69と電気的に接続されており、位置決めピン確認センサ69から出力される検出信号に基づいて、位置決めピン46の進退位置を確認する。
パレット台車搬送ライン24上において段取り替えユニット49に対応する待機位置48にはパレット台車ストッパ73が設けられており、このパレット台車ストッパ73によりパレット台車23が一旦停止される。スライドテーブル67の先端にはアーム部72が設けられており、パレット台車23が待機位置48で停止された状態では、位置決めピン固定部43の把持部65がアーム部72の内側に配置される。また、パレット台車23が待機位置48で停止された状態では、第2のシリンダ68の下方に位置決めピン46が配置される。
スライドテーブル67は、図示しないアクチュエータの駆動により水平方向に往復動可能に設けられている。そして、位置決めピン固定部43の把持部65をスライドテーブル67のアーム部72でつかみ、バネ62の付勢力に抗してシリンダロッド58を引っ張ることにより、シリンダロッド58と位置決めピン規制部材52との当接が解除される。また、スライドテーブル67のアーム部72を戻すと、バネ62の付勢力によってシリンダロッド58が保護ケース53内部に進入し、そのシリンダロッド58が位置決めピン規制部材52に当接される。
また、第2のシリンダ68は、図示しないアクチュエータを駆動することによって上下方向に昇降可能なシリンダロッド74を備えている。この第2のシリンダ68のシリンダケース75には、断面略「コ」字状のセンサ保持部材76が固定されている。位置決めピン確認センサ69は、発光素子69a及び受光素子69bを備える。これら位置決めピン確認センサ69の各素子69a,69bは、位置決めピン46を挟んで対向配置されるようセンサ保持部材76の先端に設けられ、位置決めピン46の位置を検出する。具体的には、位置決めピン46が上方に前進している場合には発光素子69aから出力される光が遮断され、受光素子69bで光が検出されることはない。一方、位置決めピン46が下方に後退している場合には発光素子69aから出力される光が受光素子69bで検出される。制御部70は、その受光素子69bの検出信号を取り込み、その検出信号に基づいて位置決めピン46が前進しているか後退しているかを判定する。
図2に示されるように、遊技盤搬送ライン22において移載装置25の上流側には、遊技盤13の種類を読み取るコードリーダ78(読み取り手段)が設けられている。コードリーダ78及び段取り替えユニット49は、製造ライン21の操作盤79(設定記憶手段)に接続されている。この操作盤79は、遊技盤13の生産計画を入力するための操作パネル81や、生産計画に関するデータを記憶するためのメモリ82を備え、パレット台車搬送ライン24によって搬送される遊技盤13の種類や数量を記憶管理する。また、操作盤79には、警告ランプ83が設けられており、遊技盤製造ライン21における一連の動作で不具合が生じた場合、警告ランプ83が点灯され、異常が報知されるようになっている。
コードリーダ78は、CCDカメラを備え、遊技盤13の側面に記されている二次元コード(例えばQRコード、登録商標)をCCDカメラによって読み取り、遊技盤13の種類に関するデータを操作盤79に送信する。
操作盤79は、そのデータをメモリ82に記憶するとともに、段取り替えユニット49に送信する。段取り替えユニット49の制御部70は、操作盤79から受信したデータ(遊技盤13の種類のデータ)をメモリ71に記憶し、そのデータに基づいて、スライドテーブル67や第2のシリンダ68を駆動して位置決めピン固定部43の位置決めピン46を遊技盤13の種類に応じた位置に変更する。
ここで、位置決めピン46の動作例について図11を用いて説明する。
先ず、位置決めピン46を前進位置から後退位置に切り替える場合について説明する。図11(a)に示されるように、保護ケース53内においてシリンダロッド58の先端が位置決めピン規制部材52の下端に当接することで、位置決めピン46の落下が防止され、位置決めピン46が前進位置で保持されている。
図11(b)に示されるように、スライドテーブル67のアーム部72により把持部65をつかみ、バネ62の付勢力に抗してシリンダロッド58を引っ張ることで、シリンダロッド58の先端を保護ケース53内部から一旦後退させる。これにより、シリンダロッド58と位置決めピン規制部材52との当接が解除される。
そして、図11(c)に示されるように、第2のシリンダ68を駆動してシリンダロッド74を下降させ、そのシリンダロッド74により、バネ51の付勢力に抗して位置決めピン46を後退位置まで押し下げる。続いて、図11(d)に示されるように、スライドテーブル67のアーム部72を戻し、シリンダロッド58の先端を保護ケース53内部に進入させる。この状態で第2のシリンダ68のシリンダロッド74を上方に戻すと、バネ51の付勢力により位置決めピン規制部材52の上端がシリンダロッド58に当接する。これにより、位置決めピン46の上昇が防止され、位置決めピン46が後退位置で保持される。
次に、位置決めピン46を後退位置から前進位置に切り替える場合について説明する。
先ず、図11(d)に示されるように、第2のシリンダ68のシリンダロッド74を下降させて、そのシリンダロッド74と位置決めピン46とを当接させる。その後、図11(e)に示されるように、スライドテーブル67のアーム部72により把持部65をつかみ、バネ62の付勢力に抗してシリンダロッド58を引っ張ることで、シリンダロッド58の先端を保護ケース53内部から一旦後退させる。これにより、シリンダロッド58と位置決めピン規制部材52との当接が解除される。その状態で、第2のシリンダ68のシリンダロッド74を上方に戻すことで、バネ51の付勢力により位置決めピン46を上方に徐々に前進させる。そして、バネ51がその付勢力を残した状態で、位置決めピン規制部材52の上端が保護ケース53の内面上部と当接される。
その後、図11(f)に示されるように、スライドテーブル67のアーム部72を戻し、シリンダロッド58の先端を保護ケース53内部に進入させることにより、位置決めピン規制部材52の下端にシリンダロッド58の先端を位置させる。この後、小型遊技盤13aを固定する際に、位置決めピン46に上方から力が加わったとしても、位置決めピン規制部材52の下端にシリンダロッド58が当接し、位置決めピン46の落下が防止される。これにより、位置決めピン46が前進位置で固定される。
次に、本実施の形態における遊技盤製造ライン21の動作について図12のフローチャートに従い説明する。なお、図12の処理は、作業者が操作盤79の操作パネル81を操作して生産計画を入力した後に開始される。
先ず、遊技盤搬送ライン22は、生産計画に基づいて所定の遊技盤13を移載装置25に搬送する(ステップ100)。
コードリーダ78は、移載装置25に搬入される遊技盤13の二次元コードをCCDカメラで撮影し、画像処理を行うことで二次元コードの情報(機種名など)を読み取る(ステップ110)。そして、コードリーダ78は、その読み取り情報を操作盤79に送信する。操作盤79は、受信した読み取り情報を段取り替えユニット49に送信するとともに、パレット台車23で搬送する遊技盤13の種類及び数量をメモリ82に記憶する(ステップ120)。なお、メモリ82においては、機種名とその機種に対応した遊技盤13のサイズとが関連付けられて記憶される。
パレット台車搬送ライン24は、パレット台車23を搬送し、待機位置48においてパレット台車ストッパ73によりパレット台車23を一旦停止させる。段取り替えユニット49の制御部70は、操作盤79から受信した読み取り情報に基づいて、パレット台車23に載置すべき遊技盤13のサイズを判定する。具体的には、読み取った機種名に基づき、それに関連付けられている遊技盤13のサイズを、パレット台車23に載置すべき遊技盤13のサイズであると判定する。そして、制御部70は、その遊技盤13のサイズに応じて、スライドテーブル67及び第2のシリンダ68を駆動して、位置決めピン46の進退位置を設定する(ステップ130)。また、段取り替えユニット49の制御部70は、位置決めピン確認センサ69の検出信号を取り込み、遊技盤13のサイズに応じた位置に位置決めピン46が固定されているか否かを判定する。ここで、正しい位置に位置決めピン46が固定されていなければ、警告ランプ83を点灯させてその異常を報知させるとともに、遊技盤製造ライン21を一旦停止させる。そして、作業者により、その異常が解消された後、操作パネル81が操作されることで処理が再開される。
位置決めピン46がサイズに応じた位置に設定された後、パレット台車ストッパ73が解除される。すると、パレット台車搬送ライン24によりパレット台車23が遊技盤固定位置29に搬送される。そして、移載装置25は、遊技盤搬送ライン22から搬送された遊技盤13を遊技盤固定位置29のパレット台車23に移載する(ステップ140)。ここで、遊技盤13は、位置決め用の共通穴41a及び固有穴41bに位置決めピン46が嵌め込まれた状態でパレット台車23の各支柱34,35上に固定される。そして、パレット台車搬送ライン24は、遊技盤13を固定したパレット台車23を所定の遊技盤製造工程に搬送する(ステップ150)。その後、各種製造工程の終了後には、パレット台車23から遊技盤13が搬出され、パレット台車搬送ライン24により、遊技盤13の未載置状態のパレット台車23が段取り替えユニット49に対応した待機位置48に再び戻される。
本実施の形態では、段取り替えユニット49において、パレット台車搬送ライン24上を搬送されるパレット台車23毎に、固定すべき遊技盤13のサイズに関するデータがメモリ71に記憶されている。そして、操作盤79から送信された読み取り情報に基づいて、今回パレット台車23に固定すべき遊技盤13のサイズが前回固定した遊技盤13と同じであれば、メモリ71の記憶内容はそのまま保持される。この場合、段取り替えユニット49は、スライドテーブル67や第2のシリンダ68を駆動することなく、位置決めピン46の進退位置を前回と同じ位置に保持する。一方、今回固定すべき遊技盤13のサイズが前回固定した遊技盤13と異なった場合、最新の読み取り情報にメモリ71の記憶内容を更新する。そして、段取り替えユニット49の制御部70は、その最新の読み取り情報に基づいてスライドテーブル67や第2のシリンダ68を駆動し、固定すべき遊技盤13のサイズに応じた位置に位置決めピン46を設定する。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態の遊技盤製造ライン21では、コードリーダ78により、遊技盤搬送ライン22から移載装置25に搬入される遊技盤13の機種名が読み取られ、さらにその読み取られた機種名に関連付けられた遊技盤13のサイズを判定することができる。そして、その読み取り情報に基づいて、段取り替えユニット49の制御部70がスライドテーブル67及び第2のシリンダ68を制御することにより、遊技盤13のサイズに応じて位置決めピン固定部43の位置決めピン46を上下動させることができる。この場合、パレット台車23に移載すべき遊技盤13のサイズに応じて、位置決めピン46の位置を作業者が手作業で切り替える必要がなく自動的に切り替えることができる。これにより、一種類のパレット台車23にサイズの異なる複数種類の遊技盤13を選択的に固定して各種製造工程に搬送することができる。その結果、1本の遊技盤製造ライン21において、複数種類の遊技盤13を効率よく製造することが可能となる。
(2)本実施の形態の遊技盤13a,13bでは、位置決め用の共通穴41aと固有穴41bとを対角となる位置に一対設けているので、遊技盤13a,13bの位置決め精度を向上させることができる。さらに、位置決め用の共通穴41aには遊技盤13a,13bの種類にかかわらず同じ位置決めピン46を用いることができるので、種類毎に複数の固有穴41bを設ける場合と比較して、位置決めピン46のピン数を削減することができる。
(3)本実施の形態の遊技盤製造ライン21では、コードリーダ78により、遊技盤13から読み取った読み取り情報が操作盤79に送信され、その操作盤79により、その読み取り情報が段取り替えユニット49の制御部70に送信される。そして、操作盤79により、その読み取り情報に基づいて、パレット台車23で搬送する遊技盤13の種類及び数量が管理される。このようにすれば、遊技盤搬送ライン22側で搬送される遊技盤13の情報を管理する操作盤79と、パレット台車搬送ライン24側でパレット台車23の位置決めピン46を制御する制御部70とにおいて、コードリーダ78で読み取った遊技盤13の情報(種類及び数量)を共有できる。ゆえに、パレット台車23に遊技盤13を正確に固定することができる。
(4)本実施の形態の遊技盤製造ライン21では、コードリーダ78の読み取り情報が制御部70のメモリ71に記憶される。また、パレット台車搬送ライン24において、各種製造工程の終了後に遊技盤13がパレット台車23から搬出され、遊技盤13が載置されていない未載置状態のパレット台車23が再び遊技盤固定位置29に戻ってくる。ここで、制御部70は、メモリ71に記憶していた読み取り情報に基づいて、前回パレット台車23に固定した遊技盤13の種類が今回パレット台車23に固定すべき遊技盤13の種類と異なるか否かを判定することができる。そして、制御部70は、前回パレット台車23に固定した遊技盤13の種類と異なった場合のみ、スライドテーブル67及び第2のシリンダ68を制御して位置決めピン46を移動させることができる。このようにすれば、例えば、一種類の遊技盤13を大量生産する場合、パレット台車23における位置決めピン46を移動させることなく遊技盤13を搬送することができる。よって、その位置決めピン46の移動にかかる時間を短縮することができ、生産効率を高めることができる。
(5)本実施の形態では、スライドテーブル67及び第2のシリンダ68によって移動された位置決めピン46の位置を確認するための位置決めピン確認センサ69が設けられている。この位置決めピン確認センサ69によって、パレット台車23における位置決めピン46が遊技盤13のサイズに応じた正常な位置に設定されたか否かを確認できるため、パレット台車23に遊技盤13を確実に固定することができる。
(6)本実施の形態のパレット台車23には、複数の支柱34,35が設けられているので、それら支柱34,35によって遊技盤13を安定的に支持することができる。また、各支柱34,35の上端部には、合成樹脂等からなる衝撃緩衝体36,37が設けられているので、遊技盤13を傷つけることなく確実に支持することができる。このように、遊技盤13を各支柱34,35で支持することにより、パレット台車23に遊技盤13を固定した状態で、役物物品挿入、自動ビス締めなどの遊技盤組立工程を容易に行うことができる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、各製造工程の終了後において、遊技盤13が搬出され未載置状態のパレット台車23は、位置決めピン固定部43の位置決めピン46が遊技盤13の搬出時の進退位置を保持した状態で待機位置48に戻される構成であった。しかし、図13に示す遊技盤製造ライン85のように、パレット台車23が未載置状態となってから遊技盤固定位置29へ戻るまでの間に、位置決めピン46を下方向に退避させた状態に設定するためのピン退避ユニット86(退避状態設定手段)を設けてもよい。なお、遊技盤製造ライン85においてピン退避ユニット86以外の構成は上記実施の形態の遊技盤製造ライン21と同様である。また、ピン退避ユニット86は、段取り替えユニット49と同様に、スライドテーブル67と、第2のシリンダ68と、位置決めピン確認センサ69と、制御部70とを備えている。スライドテーブル67及び第2のシリンダ68を駆動すると、パレット台車23における位置決めピン固定部43の位置決めピン46が下方向に退避する。そして、そのパレット台車23が待機位置48に搬送され、段取り替えユニット49により、コードリーダ78の読み取り情報(機種名)に関連付けられた遊技盤13のサイズに応じた位置に位置決めピン固定部43の位置決めピン46が設定される。このようにすれば、パレット台車23において固定する遊技盤13の種類に関わらず、位置決めピン46の移動にかかる時間を一定とすることができ、遊技盤製造ライン85の制御性を向上させることができる。
・上記実施の形態では、コードリーダ78によって遊技盤13に付された二次元コードを読み取って機種名を判定し、さらにこの読み取った機種名に関連付けられている遊技盤13のサイズを判定するものであったが、二次元コード以外にバーコードなどのコード情報により機種名や遊技盤13のサイズを判定するように構成してもよい。勿論、CCDカメラで遊技盤13の外形を撮影し、その外形から遊技盤13の種類を読み取るように構成してもよい。
・上記実施の形態では、コードリーダ78の読み取り情報は、操作盤79に送信され、さらにその操作盤79から段取り替えユニット49の制御部70に送信されるものであったが、コードリーダ78から制御部70に直接送信するよう構成してもよい。このように構成しても、制御部70は、コードリーダ78の読み取り情報に基づいて遊技盤13のサイズを判定でき、スライドテーブル67及び第2のシリンダ68を制御することにより、遊技盤13のサイズに応じた位置に位置決めピン46を上下動させることができる。
・上記実施の形態では、小型遊技盤13aの固有穴41bに対応した位置決めピン固定部43の位置決めピン46を上下方向に進退可能に設けるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、小型遊技盤13aと大型遊技盤13bとのサイズがあまり変わらず、パレット台車23に小型遊技盤13aを固定したときに、その小型遊技盤13aに重なる位置に大型遊技盤用の位置決めピン固定部44が設けられる場合がある。この場合、位置決めピン固定部44を、小型遊技盤用の位置決めピン固定部43と同様に、位置決めピン46が上下方向に進退可能に構成する。このように構成すると、大型遊技盤用の位置決めピン46と小型遊技盤13aとの干渉を回避できるため、パレット台車23に小型遊技盤13aを確実に固定することができる。
・上記実施の形態では、遊技盤13a,13bに2つの位置決め用の穴(共通穴41a及び固有穴41b)を設けるものであったが、3つ以上の位置決め用の穴を設けてもよい。
・上記実施の形態の遊技盤製造ライン21では、パレット台車23に二種類の遊技盤13a,13bを選択的に固定するものであったが、三種類以上の遊技盤13を選択的に固定するよう構成してもよい。この場合、パレット台車23には、各機種固有の位置決めピン46を設け、必要に応じて位置決めピン46を進退可能に構成する。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)サイズの異なる複数種類の遊技盤を選択的に固定可能な固定手段を備えたパレット台車を遊技盤固定位置へと搬送するパレット台車搬送ラインと、サイズの異なる複数種類の遊技盤を搬送する遊技盤搬送ラインとを備え、前記遊技盤固定位置に搬送されたパレット台車に前記遊技盤搬送ライン上の遊技盤を移載し、当該パレット台車上にて前記固定手段により遊技盤を固定した状態で各種製造工程に搬送する遊技盤製造ラインにおいて、前記複数種類の遊技盤には、その外周部における少なくとも2つの箇所に位置決め用の穴が形成され、前記固定手段には、前記位置決め用の穴に嵌め込むことで前記遊技盤を固定するための位置決めピンが設けられ、前記位置決めピンを上下動させるための駆動手段と、前記駆動手段を制御するための駆動制御手段と、前記遊技盤搬送ラインの所定位置において、当該遊技盤搬送ラインから前記遊技盤固定位置のパレット台車に遊技盤を移載するための移載装置と、前記遊技盤搬送ラインから前記移載装置に搬入される遊技盤の種類を読み取る読み取り手段とを備え、前記読み取り手段は、前記遊技盤に付された二次元コードからそのサイズを読み取るCCDカメラであり、読み取った遊技盤のサイズに基づいて、前記駆動制御手段が駆動手段を制御することにより、前記位置決めピンを上下動させることを特徴とする遊技盤製造ライン。
(2)技術的思想(1)において、前記駆動手段によって移動された前記位置決めピンの位置を確認するための確認手段を備える。