JP5010479B2

JP5010479B2 - 吸収性物品

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Publication number: JP5010479B2
Application number: JP2007545175A
Authority: JP
Inventors: 浩治河村
Original assignee: Uni Charm Corp
Current assignee: Uni Charm Corp
Priority date: 2005-11-18
Filing date: 2006-10-03
Publication date: 2012-08-29
Anticipated expiration: 2026-10-03
Also published as: MA29981B1; EP1949879B1; US20070118090A1; EG25500A; KR101300851B1; WO2007058026A1; EP1949879A4; US7763001B2; JPWO2007058026A1; KR20080068807A; CN101304714B; EP1949879A1; TW200726450A; TWI317274B; CN101304714A

Description

本発明は、液吸収機能を有する吸収性物品に係り、特に尿取りパッドとして使用するのに適した吸収性物品に関する。

尿取りパッドは、失禁に備えて使用されるものであるが、失禁の態様は一様ではない。失禁は、大量の尿を放出する失禁から、少量の尿を***するにすぎない失禁ものまで様々考えられる。例えば、くしゃみをしたときなどに生じる腹圧時の軽い失禁は***される尿がわずかであるため、その尿は尿道から勢い良く***されることはなく、肌を伝わって移動しやすい。このため、肌を伝わって移動する尿は、尿取りパッドと身体の***部とが密着されていなければ、吸収体に確実に移行させることができず、尿取りパッドの外部に漏れやすくなる。また、切迫性失禁などでは一時に比較的多量の尿が***される。この場合、尿が吸収体に速やかに吸収されなければ肌に長期間接触することとなってしまい、肌荒れが生じやすくなると共に、漏れを生じさせるおそれもある。このため、多量の尿であってもすばやく吸収させる必要がある。

このように、尿取りパッドとして使用される吸収性物品は、少量***される尿であっても多量***される尿であっても速やかに且つ確実に吸収できることが必要である。これは、生理用ナプキンとして使用される吸収性物品においても同じである。

尿取りパッドとして使用される吸収性物品は、一般的に、液透過性のトップシートと、液不透過性の背面シート、及びトップシートと背面シートとの間に位置する吸収体とで構成されており、吸収体は、パルプと高吸水性樹脂とが混合されて形成されている。そして、少量の尿を捕捉する技術は、例えば、特許第３４４２９２９号公報及び特開２００２−３２０６３８号公報に記載される吸収性物品に開示されている。

これらの吸収性物品は、着用者の身体に接する受液側の表面に、縦方向に延びる***が形成されている。そしてこの***部分が着用者の***部に密着できるようになっているため、***部から***される少量の尿を捕捉しやすい。

しかしながら、特許第３４４２９２９号公報や特開２００２−３２０６３８号公報に記載の吸収性物品のように、液吸収性のシートで形成された***部自体が直接肌に接触して尿などの体液を最初に吸収させようとすると、体液が多量に***された場合には、多量の液が***部の両側部などに溜まりやすい。また、***部で吸収し切れなかった尿は、吸収性物品本体の吸収体で吸収する。この場合においても、吸収性物品本体の吸収体中のパルプの吸収速度が体液の流れに追従できず、体液が吸収性物品の左右両外側へ流れやすくなってしまうという問題もあった。

本発明は上記従来の課題を解決するものであり、多量の体液を受けたときであっても、この体液をトップシート上に滞留させないようにし、また、この体液を外部に洩らすことなく確実に捕捉できる吸収性物品を提供することを目的とする。

本発明者は、上記の課題を解決するために、トップシート上に体液を広く拡散させるようにすることにより、表面に尿が滞留するようなことがなくすみやかに吸収体へと移行できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、吸収体とトップシートとを備えた吸収性物品に弾性部材を備えた膨出手段を設け、かつ、トップシートにおいて他の構成部材と接着しない領域を設けるようにすることにより、トップシート上に弾性部材の収縮力により湾曲した多くのシワを発現させ、このシワを体液が移行できるようにした。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。

（１）長手方向と短手方向とを有する縦長形状の吸収性物品であって、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置され、体液を吸収して保持する吸収体と、前記トップシートと前記吸収体との間に、前記吸収性物品の前記長手方向の中心線に沿って帯状に設けられ、前記トップシートの前記中心線付近を膨出させる膨出手段と、を備え、前記膨出手段は、前記吸収体に固定されて前記膨出手段の基部となる固定部と、前記トップシートを支持する天面部と、前記固定部と前記天面部とを繋いで着用時に身体に向かう方向に立ち上がる起立部とで構成される液透過性部材を含み、前記天面部は、前記吸収性物品の前記中心線と平行に長手方向に延びるようにして配置された複数の弾性部材を有し、前記トップシートは、前記天面部の前記中心線から前記吸収性物品の両側縁との間において非接着領域を有する吸収性物品。

（１）に係る発明によれば、トップシート上に湾曲した皺（シワ）が多数発現している。即ち、本発明によれば、膨出手段の長手方向中央部分と吸収性物品の側縁部との間において、トップシートは他の構成部材と接着されておらず、フリーな状態となっている。ここで、膨出手段は弾性部材が配置されている部分において縮み応力により収縮するが、この膨出手段と接着されている部分においてはトップシートにも縮み応力が働く。従って、トップシートには膨出手段の上に位置する部分において幅方向に平行なシワが発現する。一方、膨出手段と側縁部の間においては、収縮する膨出手段に接着されたトップシートの部分と収縮しない側縁部に接着されたトップシートの部分とが反発して、斜めのシワが発現する。このように、トップシートにおいては幅方向に平行なシワと、前後方向に斜めに走るシワが発現し、トップシートが受け止めた体液はこのシワを伝って拡散し、すばやく吸収体へと導かれることとなる。

この点、従来の吸収性物品においては、トップシートと吸収体との非接着領域を設けるということは考えられていなかった。例えば、特開２００２−３２０６３８号公報には***部が、吸収シートを折りたたむことにより形成された実施例が開示されているが、折り込まれず露出した部分は全てトップシートと接着されている。従って、身体に接する表面においては、トップシートがどことも接着されていないという領域はほとんど存在しない。このため、***部を設けたことによるシワの発生が少なく、斜め方向にシワが入りにくい。

また、特許第３４４２９２９号公報のように***部が弾性部材を備えていても、トップシートに非接着領域が存在しないため、***部にできた伸縮材によるシワは幅方向にしかできず、本発明のように斜めにシワが入りにくい。このため、多量の体液は***部の両側縁に溜まってしまい、また、***部以外の部分での吸収は体液の流れる速度に追いつけず、本発明のように尿をすばやく拡散して捕捉するということは難しいものであった。

これに対し本発明は、多量の体液であってもこれを受けたトップシート上のシワを伝って体液がすばやく拡散される。これにより、体液がトップシート上に滞留してしまったり、または、一箇所のみに体液が集中してその部分において吸収体の吸液力が飽和してしまい、漏れを生じてしまうというようなこともない。

なお、トップシート上にシワが発現しやすいようにするため、トップシートは張り詰めた状態で取り付けるのではなく、ある程度ゆとりをもって取り付けるのが好ましい。

（２）前記トップシートは、前記非接着領域において前記天面部から前記両側縁に向かって斜め方向のシワが発現されるものである（１）記載の吸収性物品。

（２）に係る発明によれば、トップシート上に斜め方向のシワが入る。このため、従来のように幅方向にしかシワが入らず、体液***部の両サイドでしか体液を拡散できないということが防止できるようになっている。

（３）前記トップシートは、前記天面部と接着される第１接着領域と、前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍に沿って固着するための第２接着領域と、を備え、前記第１接着領域から前記第２接着領域との間において前記天面部から前記両側縁に向かって発現する斜め方向のシワの前記短手方向に対する角度を変更するために前記第１接着領域における前記短手方向の幅が調整される（１）記載の吸収性物品。

（３）に係る発明によれば、第１接着領域であるトップシートと膨出手段の天面部との接着領域を適宜調整することにより、トップシートに発現するシワの角度を調整することができるようになっている。例えば、第１接着領域を広くすればシワの斜めになる角度を全体的にきつくすることができ、第１接着領域を狭くすればシワの角度をゆるやかなものとすることができる。

（４）前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍に沿って設けられた防漏手段を備え、前記トップシートは、前記天面部と接着される第１接着領域と、前記吸収性物品の前記防漏手段を機能させるように前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍に沿って固着するための第２接着領域と、を備える（１）記載の吸収性物品。

（４）に係る発明によれば、防漏手段は、例えば後述するサイドギャザーとして吸収性物品の長手方向の両側縁近傍に沿って設けられる。これにより、尿など大量に***される体液が吸収性物品の長手方向の両側縁から外部に漏れ出ることを防止する。トップシートの第２接着領域は、上記サイドギャザーの機能を損ねることなく、吸収性物品の長手方向の両側縁近傍に沿った、例えばサイドギャザーの付け根近傍に配置される。すなわち、トップシートの第２接着領域は、サイドギャザーで堰き止められた体液をトップシート及び膨出手段を介して吸収体へスムーズに導けるように設けられることが重要である。

（５）前記トップシートの前記第２接着領域は、前記防漏手段の形成領域に沿って設けられている（４）記載の吸収性物品。

（６）前記トップシートの前記第２接着領域は、前記吸収体と繋がる前記固定部と接着される（５）記載の吸収性物品。

（７）前記トップシートの前記第２接着領域は、前記バックシートと接着される（５）記載の吸収性物品。

（５）、（６）及び（７）のうちの一つに係る発明によれば、トップシートの第２接着領域は、防漏手段となるサイドギャザーで堰き止められた体液をトップシート及び膨出手段を介して吸収体へスムーズに導けるように配し得る。

（８）前記トップシートは、前記天面部と接着される第１接着領域と、前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍において前記吸収体と繋がる前記固定部と接着される第２接着領域と、を備える（１）記載の吸収性物品。

（９）前記トップシートは、前記天面部と接着される第１接着領域と、前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍において前記バックシートと接着される第２接着領域と、を備える（１）記載の吸収性物品。

（８）または（９）に係る発明によれば、第１接着領域において、天面部の弾性部材により、天面部上のトップシートに基礎となるシワが形成される。第１接着領域から前記第２接着領域との間においてトップシートが他の構成部材と接着されておらず、フリーな状態となる。これにより、トップシートにおいて、上記基礎となるシワは、第２接着領域に向かって斜めに延びるシワに発展する。すなわち、トップシートにおける第２接着領域は、トップシートの側縁部を固定すると共に第１接着領域から延びる斜めのシワの発現に寄与する。

本発明によれば、トップシートと膨出手段の天面部との接着領域と、トップシートと両側縁部との接着領域との間において、トップシートにどことも接着されないフリーな部分を設けることにより、トップシート上に斜めに入るシワを形成する。そして、そのシワを***された体液が伝うことによって、***部の前後両サイドにも体液を誘導し（拡散させ）、トップシートの下に位置する吸収体へと誘導して吸収させることができる。

しかも、体液の拡散により吸収されるポイントが増えるため、多量の体液が***された場合でも、素早く前後斜め方向に体液を拡散して吸収するため、体液が表面上に溜まる量を低減でき外漏れを防止することができる。また吸収する面積が増えることで単位面積当たりの吸収能力にも余裕ができるため、ウェットバック（逆戻り）する体液の量も低減することができる。

第１実施形態に係る吸収性物品の正面図である。第１実施形態に係る吸収性物品の斜視図である。図２のＡ−Ａで切断した断面図である。第１実施形態に係る吸収性物品が平面状に展開された状態を示す正面図である。図３の第１変形例を示す断面図である。図３の第２変形例を示す断面図である。

発明を実施するための形態

以下、本発明の好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。

図１は本実施形態に係る吸収性物品を示す正面図であり、図２は斜視図であり、図３は断面図であり、図４は平面状に展開された正面図である。

＜全体構成＞
本実施形態の吸収性物品１は、図１に示すように、身体側に接するトップシート１１に***された尿をすばやく拡散させるための湾曲シワが多数発現されるように構成されている。このため、切迫性失禁によって一時に比較的多量の尿が***されたときであっても、この尿を拡散して吸収する機能を発揮できる。また、吸収性物品１は、図２に示すように、着用者が装着しやすく、かつ、漏れが生じにくいように、受液側表面について窪むような凹曲面形状となっている。

この吸収性物品１は、長手方向である縦方向（Ｙ方向）の長さ寸法が、短手方向である幅方向（Ｘ方向）の寸法よりも長い縦長形状となっており、縦方向の長さ寸法は、３００〜５００ｍｍ程度であり、幅方向の寸法は１００〜２００ｍｍ程度である。また、下着と身体との間に装着した状態で、厚みが５〜３０ｍｍ程度である。

図３に示すように、吸収性物品１は、液透過性のトップシート１１と、液不透過性のバックシート１２と、トップシート１１とバックシート１２との間に配置され、体液を吸収して保持する吸収体１３を有する。さらにこの吸収体１３から成る支持体２の長手方向の中央線Ｏに沿うようにして突設して設けられた液透過性シート３０からなる膨出手段３を備えている。

＜膨出手段＞
膨出手段３は一連の液透過性のシート３０からなり、支持体２に固定される固定部３１と、膨出手段３を立ち上がらせる起立部３２と装着時に身体に密着させるための天面部３３とから構成されている。

図３に示すように、液透過性シート３０は、縦方向中心線Ｏを挟む両側において、それぞれ二つ折りとされ、折られた液透過性シート３０の間に、弾性部材３４が挟まれ、液透過性シート３０の折り内面と弾性部材３４とがホットメルト型接着剤で接着固定されている。弾性部材３４は、縦方向中心線Ｏを挟んだ一方の側に４本、他方の側に４本ずつ設けられ、縦方向へ１．２〜２倍の範囲で伸ばされた状態で液透過性シート３０に固定されている。そして、この弾性部材３４の縮み応力によりセンターギャザーが形成され、前記起立部３２が起立している。

この弾性部材３４は膨出手段３の縦方向全体にわたって配置されているものではなく、図４に示すように第１領域Ｌ１のみに配置され、それよりも後方の第２領域Ｌ２には配置されていない。なお、本実施形態において、第１領域Ｌ１の長さ寸法は１３０〜２３０ｍｍ程度であり、第２領域Ｌ２の長さ寸法は、第１領域Ｌ１の長さ寸法よりも短く設定されている。なお、第１領域Ｌ１と第２領域Ｌ２の長さ寸法は同じであってもよく、第２領域Ｌ２のほうが長くてもよい。

図３に示すように、膨出手段３の受液側の表面には液透過性のトップシート１１が設けられ、弾性部材３４が入った天面部３３の受液側を覆っており、第１接着領域１１ａにおいてトップシート１１と天面部３３とが接着されている。第２接着領域１１ｄは、防漏手段としてのサイドギャザー２０の形成領域に沿って設けられている。ここでは、第２接着領域１１ｄにおいて、トップシート１１は吸収体１３の長手方向の両側縁に位置する防漏手段であるサイドギャザー２０に接着され、その下には吸収体１３が位置するようになっている。また、トップシート１１においては、他のどことも接着されておらず、フリーな状態である非接着領域１１ｂ及び非接着領域１１ｃも存在する。

ここで、第２接着領域１１ｄには弾性部材が無いため、トップシート１１は伸ばされたままである。反対に天面部３３と接着されている接着領域１１ａにおいてトップシート１１は使用時には弾性部材３４によりトップシート１１も天面部３３と一緒に縮められ、第１接着領域１１ａには従来と同様の幅方向に平行なシワを発生させる。本発明の構成では、この天面部３３と接着された第１接着領域１１ａと吸収体１３の両側縁で接着された第２接着領域１１ｄとの間にある非接着領域１１ｂ及び１１ｃにおいては、天面部３３の弾性部材３４の縮みに引っ張られて斜めにシワが入る。これはフリーな部分のトップシート１１は第２接着領域１１ｄでは収縮の影響を受けないが、第１接着領域１１ａでは収縮の影響を受けるため、その間に位置するフリーな部分の非接着領域１１ｂ及び１１ｃには斜めにシワが入ることによる。

一方、天面部３３の収縮に関し、弾性部材３４の影響を受け始める位置と受け終わる位置の両方から中央部分に向かって縮んでいく収縮範囲を有する。このため、収縮範囲の中央部分から遠くなるほど収縮する距離は長くなる。従って、トップシート１１の非接着領域１１ｂ及び１１ｃにおいて入るシワは、収縮範囲の中央部分の平行線上にある部分は天面部３３の幅方向と平行にシワが入り、収縮範囲の中央部分の平行線上から離れるに従って斜めのシワが入っていき、離れれば離れるほどトップシート１１の移動距離が長くなるため、シワの斜めになる角度はきつくなる。

このようなシワの角度は、例えば第１接着領域１１ａの範囲を広くすれば斜めになる角度は全体的にきつくなり、反対に第１接着領域１１ａの範囲を狭くすればゆるくなる。なお、トップシート１１と天面部３３との接着範囲の好適な範囲は、最大で天面部３３の幅と同程度の範囲であり、最小で天面部３３の幅の約３分の１程度の範囲である（この場合において、天面部３３の幅寸法はサイドギャザー２０の支点間距離の２分の１以下程度の寸法であるのが好ましい）。ここで、上述した最大範囲よりも接着幅が広い場合、接着位置から左右それぞれのサイドギャザー２０までの距離が短くなりすぎるため、シワが入りにくくなる。反対に上述の最小範囲よりも接着幅が狭い場合、トップシート１１との接着幅が狭くなり、体液の吸収及び浸透効率が悪くなることになる。

このように、液透過性のトップシート１１に入ったシワによって、***された尿がトップシート１１を透過するのと同時に表面に入ったシワを伝って前後斜め方向に流れていく。そして、前後斜め方向に流れた尿は液透過性トップシートを透過しながら、サイドギャザー２０まで到達し、吸収体１３に吸収される。サイドギャザー２０まで到達する前に液透過性のトップシート１１を通過した尿は吸収体１３の中央部で吸収される。このため、大量の尿が***された場合であっても、すばやく尿を拡散して表面に尿が滞留することがないため着用感がすぐれ、かつ、吸収体で確実に吸収されるように尿が誘導されるため漏れ防止効果も高い吸収性物品１となっている。

＜構成部材＞
〔トップシート〕
トップシート１１は、親水性で液を透過する機能を有しているものである。好ましくは、親水処理された合成樹脂繊維のみで形成され、液保持機能を有するパルプなどの天然繊維、高吸水性樹脂、ポリビニールアルコール（ＰＶＡ）などの吸水性樹脂を含まないものが使用される。優れた液透過機能を発揮できるように、目付けが１０〜４０ｇ／ｍ^２の範囲のスルーエア不織布を使用することが好ましい。スルーエア不織布は、芯部がポリプロピレン樹脂（ＰＰ）またはポリエチレンテレフタレート樹脂（ＰＥＴ）で、鞘部がポリエチレン樹脂（ＰＥ）の芯鞘型複合合成繊維、またはＰＥＴ繊維、ＰＰ繊維などで形成される。また、多数の液透過孔を有する樹脂フィルムで形成されてもよい。

トップシート１１は、噛み込みエンボス加工により、縦方向と横方向の少なくとも一方に向けて収縮するように凹凸賦形されたものが使用される。噛み込みエンボス加工は、表面に凹凸部を有する一対のロール間に不織布や樹脂フィルムを噛み込ませる工程で行われる。この工程を経ることにより、トップシート１１は縦方向と横方向の少なくとも一方に収縮性を有するようになる。その結果、トップシート１１で覆われている膨出手段３が、吸収体１３の表面から立ち上がりやすくなり、また膨出手段３がトップシート１１と共に左右に比較的自由に動けるようになる。なお、トップシート１１を、ポリウレタン繊維などの弾性伸縮性繊維を含む不織布などで形成し、トップシート１１が弾性伸縮性を有するようにしてもよい。

〔バックシート〕
図３に示すように、吸収性物品１の着衣対向側にはバックシート１２が設けられている。このバックシート１２の外形は図２に示す吸収性物品１の外形と同じである。このバックシート１２は、ポリエチレン樹脂フィルムなどの液不透過性で且つ非通気性樹脂フィルムで形成されている。また、バックシート１２が、液不透過性で且つ通気性の樹脂フィルムで形成されてもよい。

バックシート１２の外面には感圧接着剤層１４が設けられている。この感圧接着剤層１４は、ゴム系などのホットメルト型接着剤を塗工して形成されたものである。図３と図４では省略しているが、吸収性物品１を使用するまでは、感圧接着剤層１４の表面に離型シートが接着されて、感圧接着剤層１４が保護されている。

〔吸収体〕
バックシート１２の上には吸収体１３が設置され、バックシート１２と吸収体１３とがホットメルト型接着剤などで接着固定されている。吸収体１３は、パルプ繊維と高吸水性樹脂とが混合されたものであり、高吸水性樹脂の含有比は、２０〜６０質量％程度であり、パルプ繊維と高吸水性樹脂の合計の目付けは、５００〜２０００ｇ／ｍ^２程度であるが、これらの数値に限定されるものではない。吸収体１３は、パルプ繊維と高吸水性樹脂とが混合された下層吸収体の上に、同じくパルプ繊維と高吸水性樹脂とが混合された上層吸収体を積層し、親水性のティッシュペーパーで包んだものである。

〔膨出手段〕
吸収体１３の受液側の表面には、液透過性シート３０が設けられている。この液透過性シート３０は、親水性で液を透過する機能を有しているものである。液透過性シート３０は、好ましくは、親水処理された合成樹脂繊維のみで形成され、液保持機能を有するパルプなどの天然繊維、高吸水性樹脂、ポリビニールアルコール（ＰＶＡ）などの吸水性樹脂を含まないものが使用される。優れた液透過機能を発揮できるように、液透過性シート３０として、目付けが１０〜４０ｇ／ｍ^２の範囲のスルーエア不織布を使用することが好ましい。スルーエア不織布は、芯部がポリプロピレン樹脂（ＰＰ）またはポリエチレンテレフタレート樹脂（ＰＥＴ）で、鞘部がポリエチレン樹脂（ＰＥ）の芯鞘型複合合成繊維、またはＰＥＴ樹脂繊維、ＰＰ樹脂繊維などで形成される。ただし、液透過性シート３０を、前記パルプ繊維やレーヨン繊維などを含むもので形成することも可能である。

図５は、図３の第１変形例を示す断面図である。図３に比べて、トップシート１１における第２接着領域１１ｄの形態が異なっている。第２接着領域１１ｄにおいて、トップシート１１は、吸収体１３の長手方向の両側縁に位置する防漏手段であるサイドギャザー２０に接着され、かつその下の吸収体１３と繋がる固定部３１とも接着されている。これにより、第２接着領域１１ｄは、サイドギャザー２０の動きに影響され難く、かつより強固な接着を達成する。このような構成においても、サイドギャザー２０の機能を損ねることなく、トップシート１１における第２接着領域１１ｄは、トップシート１１の側縁部を固定すると共に第１接着領域１１aから延びる斜めのシワの発現に寄与する。

図６は、図３の第２変形例を示す断面図である。図３に比べて、トップシート１１における第２接着領域１１ｄの形態が異なっている。第２接着領域１１ｄにおいて、トップシート１１は、バックシート１２と接着されている。なお、第２接着領域１１ｄにおいて、さらに固定部３１側縁部とも接着されていてもよい。これにより、第２接着領域１１ｄは、サイドギャザー２０の動きに影響され難く、かつ、シワの形成範囲がより広くなる接着を達成する。このような構成においても、トップシート１１における第２接着領域１１ｄは、トップシート１１の側縁部を固定すると共に第１接着領域１１aから延びる斜めのシワの発現に寄与する。

Claims

長手方向と短手方向とを有する縦長形状の吸収性物品であって、
液透過性のトップシートと、
液不透過性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置され、体液を吸収して保持する吸収体と、
前記トップシートと前記吸収体との間に、前記吸収性物品の前記長手方向の中心線に沿って帯状に設けられ、前記トップシートの前記中心線付近を膨出させる膨出手段と、
を備え、
前記膨出手段は、前記吸収体に固定されて前記膨出手段の基部となる固定部と、前記トップシートを支持する天面部と、前記固定部と前記天面部とを繋いで着用時に身体に向かう方向に立ち上がる起立部とで構成される液透過性部材を含み、
前記天面部は、前記吸収性物品の前記中心線と平行に長手方向に延びるようにして伸長状態で配置された複数の弾性部材を有し、
前記トップシートは、前記複数の弾性部材が伸長状態で前記天面部と接着される第１接着領域と、前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍に沿って固着するための第２接着領域と、前記第１接着領域と前記第２接着領域との間に配置される非接着領域とを有し、
前記複数の弾性部材の収縮により、前記非接着領域において前記天面部から前記両側縁に向かって斜め方向の皺が発現される吸収性物品。
前記第１接着領域から前記第２接着領域との間において前記天面部から前記両側縁に向かって発現する斜め方向の皺の前記短手方向に対する角度を変更するために前記第１接着領域における前記短手方向の幅が調整される請求項１記載の吸収性物品。
前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍に沿って設けられた防漏手段をさらに備え、
前記トップシートの前記第２接着領域は、前記防漏手段の形成領域に沿って設けられている請求項１又は２記載の吸収性物品。
前記トップシートの前記第２接着領域は、前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍において前記吸収体と繋がる前記固定部と接着される請求項１から３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記トップシートの前記第２接着領域は、前記吸収性物品の前記長手方向の両側縁近傍において前記バックシートと接着される請求項１から３のいずれか一項に記載の吸収性物品。