JP5007871B2 - 底質改良用団粒土および水底地盤 - Google Patents

底質改良用団粒土および水底地盤 Download PDF

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Description

本発明は、海域、湖沼、河川等の底質の改良に用いる団粒土および該団粒土を用いて底質を改良した水底地盤に関する。
例えば、海域の藻場や干潟は、底生生物、魚類、プランクトン、鳥類、水生動植物などの様々な生物の生息に適するほか、水質浄化、親水等の環境改善にも寄与している。このため、最近では、藻場や干潟の保全、再生が重要な課題となっており、人工的に藻場や干潟を造成することも種々試みられている。
そして従来、例えば、人工的に藻場を造成する方法としては、海藻類、珪藻類等の水生植物の種子(種苗)が活着し易いマットやコンクリート構造物を海底に沈める方法(特許文献1、2等参照)、あるいは予め水生植物の種子を付着させた播種基盤(播種シ−トや藻類付着網)を海底に展張敷設する方法(特許文献3、4等参照)があった。しかし、前者の方法によれば、種子の自然な着生を期待するだけであるため、費用対効果が小さい、という問題があった。また、後者の方法によれば、乾燥を嫌う種子を取扱うため、播種基盤の管理が面倒であることに加え、播種基盤を展張しかつ海底に固定する面倒な作業が必要で、敷設に多くの労力と時間とを要する、という問題があった。
特開平09−140284号公報 特開2002−167258号公報 特開平11−308904号公報 特開平08−242716号公報
ところで、水生植物特に海藻類や珪藻類の生育には、土砂中の細粒分が有用であることが従来より知られている。したがって、海藻類や珪藻類の種子を細粒分の多い底質の土砂中に直接混入(直接播種)すれば、播種基盤に頼ることなく効率よく藻場を造成できるようになる。しかしながら、土砂中の細粒分は、潮流や波浪の影響で流動し易いという性質があり、前記直接播種方式を採用した場合は、この細粒分と一緒に種子も流出してしまい、安定して藻場を造成することは困難となる。
本発明者等は、上記直接播種方式による藻場造成について鋭意検討する中、土砂を団粒化することが、細粒分の流出防止ひいては海藻類や珪藻類の種子の流出防止に大きく寄与することを確認した。団粒土は、土壌の粒子(単粒)が集まってつくられた団粒が並んだ構造となっており、孔隙量が大きいという特徴を有している。そして、この団粒構造が発達した土壌は、その孔隙が保水、通気、根の生長促進等様々な機能を有することから、植物の生育にきわめて好ましいことが確認されており、陸上においては、積極的にその利用が図られている。
本発明は、上記した団粒土のもつ様々な機能に着目してなされたもので、その課題とするところは、藻場はもちろん、各種水域の底質の改良に向けて好適な団粒土を提供し、併せてこの団粒土によ底質を改良した水底地盤提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る底質改良用団粒土は、土砂に、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの合成有機高分子、アルギン酸ナトリウム、キトサンの多糖類系および天然有機高分子から選択された少なくとも1種である団粒化剤と、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄から選択される少なくとも1種の多価の陽イオンを含む塩化物である固化剤と、中心に原子として金属原子または金属イオンを配し、その周りに配位子としてOHイオンを結合してなる錯体イオンであるヒドロキシ金属イオンを担持した吸着担体と、を混合して団粒化したことを特徴とする。
このように構成した団粒土は、固化剤を混合しているので、団粒化が促進されると共に、固化が促進され、結果として耐水性が十分となって長期的に団粒構造が維持される。また、団粒土が有する多くの孔隙が、水生植物はもとより水生動物の生息にも好適となるので、藻場や干潟の海域はもちろん、湖沼、河川等の底質の改良に向けて有用となる。しかも、細粒分が団粒構造内に取込まれるので、その流出が抑制され、この中に海藻類、珪藻類等の種子を播種した場合は、該種子の流出も抑制される。
また、中心に原子として金属原子または金属イオンを配し、その周りに配位子としてOHイオンを結合してなる錯体イオンであるヒドロキシ金属イオンを担持した吸着担体を混合することにより、栄養分となる金属イオンが吸着担体から徐々に放出され、水生動植物の生育環境が長期にわたって維持される。この場合の吸着担体の添加量は、土砂の体積に対して1〜10%とするのが望ましい。これは、吸着担体の添加量が少ないと栄養分の供給量が不足し、水生動植物の生育が低下するからである。添加量が多すぎると、相対的に土砂の量が低下して団粒化が困難になることで生育が低下するためである。さらに、過剰添加は、収量逓減の法則に従って、かえって生育低下を招くからである。吸着担体にヒドロキシ金属イオンを担持させるには、ヒドロキシ金属イオンを含む水溶液に吸着担体を浸漬すればよい。吸着担体からの金属イオンの徐放出の程度は、重合度(OH/M比:Mは金属)で決まるので、必要によりこの重合度を適当な値に制御すればよい。
本団粒土において、上記土砂の発生源は任意であり、底泥であっても、陸上の土砂であってもよい。ただし、海藻類や珪藻類の生育には細粒分が必要であるので、藻場の保全、再生、造成等に団粒土を使用する場合は、砂泥分(粒径0.425mm未満)が80〜100%で、泥分(粒径0.075mm未満)が30%以下の粒度組成の土砂を用いることが望ましい。
本団粒土において、団粒化剤の添加量は任意であるが、土砂の乾燥重量に対して1〜5%程度とするのが望ましい。これは、添加量が少ないと所望の団粒構造が得られず、多すぎると、いたずらに団粒化剤の消費量が増してコスト的な無駄が多くなるためである。また、固化剤の添加量も任意であるが、土砂の乾燥重量に対して0〜2%程度(ただし、0%は除く)とするのが望ましい。これは、固化剤の添加量が少ないと所望の耐水性が得られず、多すぎると、いたずらに団粒化剤の消費量が増してコスト的な無駄が多くなるためである。
ヒドロキシ金属イオンを担持した吸着担体においては、吸着担体としてイオン吸着能力に優れた物質を、金属イオンとして水生動植物の栄養分となるものをそれぞれ選択する。このような吸着担体としては人工ゼオライト、天然ゼオライト、合成ゼオライト、珪藻土、活性炭、木炭、シリカゲル、アルミナゲル、ベントナイト、カオリナイト、アロフェン、イモゴライト、陽イオン交換樹脂、腐食酸、泥炭あり、一方、ヒドロキシ金属イオンとしてはヒドロキシ鉄イオン、ヒドロキシ銅イオン、ヒドロキシ亜鉛イオン、ヒドロキシコバルトイオン、ヒドロキシモリブデンイオン、ヒドロキシカルシウムイオン、ヒドロキシマグネシウムイオンある。本団粒土は、これら物質から選択された1種または複数種を用いることができる。
また、水底に上述の団粒土を敷設することで、底質が、水生動植物の生息に住みよい環境に改良される。この場合、前記団粒土の土砂として改良域の底泥を用いて、該底泥を団粒土と置換するようにしてもよく、これにより底質はより確実に改良される。団粒土の土砂として改良域の底泥を用いる場合、船上から水底に改良装置を降ろし、前記改良装置内で底泥を団粒化しても、あるいは底泥を浚渫して船上に揚げ、該船上で底泥を団粒化して、得られた団粒土を水底に埋戻すようにしてもよい。何れの場合も改良域(現場)で施工できるので、土砂はもちろん、得られた団粒土の輸送が不要になる。また、前者の場合は、底泥を浚渫する作業が不要になり、後者の場合は大量処理が可能になる。
本発明に係る水底地盤は、請求項1乃至4のいずれかに記載の団粒土を水底に敷設して、該団粒土に海藻類または珪藻類の種子を播種したことを特徴とする。この場合水底地盤はそのまま藻場となる。
本発明に係る底質改良用団粒土によれば、十分なる耐水性を有して長期的に団粒構造が維持されるので、水生動植物の生息に好適となり、藻場や干潟の海域はもちろん、湖沼、河川等の底質の改良にきわめて有用となる。また、細粒分が団粒構造内に取込まれるので、その流出が抑制され、海藻類、珪藻類等の藻場造成に向けて好適となる。
また、本発明に係る水底地盤は、上記団粒土の利用により水生動植物の生息に好適となり、環境の保全および再生はもとより、新たな環境の創造に大いに役立つ。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1および図2は、本発明に係る団粒土を用いて行う底質改良工法の1つの実施形態を示したものである。本実施形態は、改良域の水底で底質を直接改良するもので、作業船1から延ばしたラダー2の先端部には改良装置3が支持されている。この改良装置3は、ケーシング4内に、放射状に撹拌翼5を持つ回転体6を、相互に撹拌翼5がラップするように2軸に配設してなっている。各回転体6は筒状をなしており、図示を略すモータにより相互に反対向きに回転駆動されるようになっている。各回転体6の軸心位置には2重管構造の送出管7が配設され、また、回転体6内には、前記送出管7内の2つの管路に各独立に一端が接続する各一対の吐出ノズル8、9が相互に90度位置をずらして放射状に配設されている。
一方、作業船1上には、団粒化剤と、ヒドロキシ金属イオンを担持した吸着担体と水とを所定の割合で混合する第1混合機11と、固化剤と水とを所定の割合で混合する第2混合機12とが配設されている。これら第1混合機11、第2混合機12のそれぞれと上記改良装置3との間は配管13、14により各独立に接続されており、改良装置3内において各配管13、14の先端は、2重管構造の送出管7に対しスイベル継手(略)を介して接続されている。また、配管13、14にはポンプ15、16が配設されており、これらポンプ15、16の運転により第1混合機11、第2混合機12から送出管7に圧送された所定の水溶液が、対応する吐出ノズル8、9から回転体6の周りに吐出される。
底質の改良に際しては、予め第1混合機11で所定の濃度の吸着担体入りの団粒化剤水溶液を、第2混合機12で所定の濃度の固化剤水溶液をそれぞれつくっておく。そして、ラダー2を操作(ウインチ操作)してその先端の改良装置3を水底に着底させ、その内部の一対の回転体6を回転させる。そしてこの状態で、先ず第1混合機11側のポンプ15の作動により吸着担体入りの団粒化剤水溶液を配管13から送出管7を経て吐出ノズル8へ圧送し、この吐出ノズル8から該団粒化剤水溶液を回転体6の周りへ所定量吐出させる。すると、回転体6に設けられている撹拌翼5によって底質の土砂(底泥)Sと前記吸着担体入りの団粒化剤とが撹拌混合され、次第に底泥の団粒化が進む。前記撹拌混合が所定時間経過した時点で、第2混合機12側のポンプ16の作動により、固化剤水溶液を配管14から送出管7を経て吐出ノズル9へ圧送し、この吐出ノズル9から該団粒化剤水溶液を回転体6の周りへ所定量吐出させる。すると、団粒化が進みつつある底泥内に固化剤が混合されて底泥の団粒化がより一層進むと共に、固化が進み、この撹拌混合を所定時間行うことで、改良装置3内の底泥は団粒構造が発達しかつ耐水性が十分な団粒土で置換される。したがって、前記改良装置3をラダー2の操作で所定のピッチで移動させながら、前記操作を繰返すことで、目的とする改良域の底泥が団粒土で置換される。なお、固化剤の混合を団粒化剤の混合よりも遅らせるのは、団粒化剤が固化剤と反応して固化してしまうのを防止するためであり、前記したように時間差をつけることで、団粒化剤と底泥との混合が十分に促進され、団粒化が効率よく進む。
ここで、上記実施形態の底質改良工法を利用して海藻類や珪藻類の藻場造成を行う場合は、作業船1上に前記海藻類や珪藻類の種子を浮遊させた水槽(図示略)を用意すると共に、作業船1上から改良装置3内に別途配管(図示略)を延ばす。そして、上記した改良装置3内での撹拌混合過程の最終段階(回転体6の回転を停止させるよりもわずか前段階)で、前記配管を通じて改良装置3内へ必要量の種子を投入する。すると、撹拌翼5の回転によって団粒土中に前記種子が分散して混入(播種)される。この場合、改良装置3内に種子を投入してから、撹拌翼5の回転を数回転で止めることが望ましく、これにより種子の損傷は防止される。このようにして、団粒土によって改良された改良域には、団粒土に捕捉された状態で種子が分散して配置されることになる。この場合、細粒分も団粒土に取込まれているので、潮流が激しく、大きな波浪が押寄せる場所でも細粒分の流出は抑えられ、この結果、種子の流出も抑制されて、種子が安定して生育する。特に、上記第1実施形態のようにヒドロキシ金属イオンを担持した吸着担体を団粒土に含ませた場合は、栄養分となる金属イオンが徐放出されるので、海藻類、珪藻類等の水生植物は、必要な栄養分を常時補給され、旺盛に生育する。
図3は、本発明に係る団粒土を用いて行う底質改良工法の他の実施形態を示したものである。本実施形態は、改良域に係留した作業船1上で底質を改良するもので、作業船1上には、底泥(土砂)Sを浚渫するバックホウ20と、浚渫した底泥を一次的に蓄える、スクリーン21付き貯泥タンク22と、団粒土をつくるための2軸のスクリュ式撹拌機23と、貯泥タンク22から撹拌機23へ土砂を定量ずつ搬送するコンベヤ24と、撹拌機23でつくられた団粒土を水底に埋め戻すためのフィーダ25とが搭載されている。作業船1上にはまた、上記実施形態と同じく、団粒化剤と、ヒドロキシ金属イオンを担持した吸着担体と水とを所定の割合で混合する第1混合機11と、固化剤と水とを所定の割合で混合する第2混合機12とが配設されている。
底質の改良に際しては、予め第1混合機11で所定の濃度の吸着担体入りの団粒化剤水溶液を、第2混合機12で所定の濃度の固化剤水溶液をそれぞれつくっておく。そして、バックホウ20によって底泥Sをすくって、貯泥タンク22へ順次投入し、これに合せて撹拌機23とコンベヤ24を駆動する。すると、コンベヤ24により底泥が定量ずつ撹拌機23へ送られ、該底泥は、先ず第1混合機11から供給された吸着担体入り団粒化剤と撹拌混合され、次第に団粒化しながら撹拌機23の出口側へ移動する。一方、撹拌機23の出口側には、第2混合機11から固化剤水溶液が供給されており、団粒化途中の土砂は固化剤と撹拌混合され、これにより土砂の団粒化がより一層進むと共に、固化が進み、この結果、耐水性を有する団粒土が形成される。この団粒土は、撹拌機23の出口から連続的にフィーダ25上に押出され、フィーダ25により水底に埋戻される。したがって、作業船1を所定のピッチで移動させながら、前記操作を繰返すことで、目的とする改良域の底泥Sは団粒土によって置換される。
ここで、上記底質改良工法を利用して海藻類や珪藻類の藻場造成を行う場合は、作業船1上に海藻類や珪藻類の種子を浮遊させた水槽(図示略)を用意すると共に、この水槽と前記撹拌機23の出口付近とを配管(図示略)により接続する。そして、前記配管を通じて撹拌機23内へ必要量の種子を連続的に投入する。すると、撹拌機23内のスクリュの回転によって団粒土中に前記種子が分散して混入(播種)される。したがって、団粒土によって置換され改良域には、ヒドロキシ金属イオンを担持した吸着担体を含む団粒土に捕捉された状態で種子が分散して配置されることになり、上記実施形態と同様に海藻類や珪藻類の種子の流出が抑制され、この結果、海藻類や珪藻類は旺盛に生育する。
図5(A),(B)に示す二次元長水路30に、本発明に係る団粒土を収納した第1容器31と比較土砂を収納した第2容器32とを並列に設置し、造波機33を駆動源として作動する造波板34により長水路30内に不規則波浪(H1/3=18.0cm、T1/3=1.7s)を26分間発生させ、細粒分の流出実験を行った。団粒土は、珪砂と人工ゼオライト(吸着担体)とを、図4に示す配合比となるようにアルギン酸ナトリウム(団粒化剤)の4%水溶液に加え、十分に撹拌混合した後、これに塩化カルシウム(固化剤)の7.35%水溶液を、同じく図4に示す配合比となるように徐々に加えながら撹拌混合して製造した。そして、実験前後において団粒土および比較土砂について粒度分布を測定した。
図6は団粒土の実験前後における粒度分布を、図7は比較土砂の実験前後の粒度分布をそれぞれ示したものである。団粒土の場合は、図6に示されるように、実験の前後すなわち波浪作用の前後で粒度分布にほとんど変化がなく、細粒分の流出が認められない。これに対し、比較土砂は、図7に示されるように、波浪作用後の粒度分布が波浪作用前の粒度分布に対して、細粒側で低めに乖離しており、細粒分の流出が起こっている。すなわち、団粒化することにより細粒分の流出が抑えられることは明らかで、団粒土により底質を改良することが、海藻類や珪藻類の生育にとってきわめて好ましい環境が創造される、といえる。
なお、上記実施例1では、団粒化剤としてアルギン酸ナトリウムを採用したが、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの合成有機高分子、キトサンの多糖類系および天然有機高分子のうちから少なくとも1種を選択して採用してもよい。また、上記実施例1では、固化剤として塩化カルシウムを採用したが、塩化マグネシウムまたは塩化鉄の多価の陽イオンを含む塩化物を採用してもよい。
Y漁港から採取した砂混じりヘドロ状土砂(原泥)と、該原泥に団粒化剤としてのアルギン酸ナトリウムと固化剤としての塩化カルシウムを混合した団粒土と、該団粒土に、さらにヒドロキシFeイオンを担持したFe型人工ゼオライトを混合した団粒土(人工ゼオライト入団粒土)とを用意した。そして、前記3種類の試験土を紙製のポットに入れると共に、各ポットにアマモの種子を50粒ずつ播種し、このポットを、各試験土について2個ずつ用意して、これらを塩分濃度約3%の海水を溜めた水槽に入れた。試験は、水槽内を曝気しかつ水槽に3〜4E/m2の光合成エネルギーが得られるように白色蛍光灯の光を照射しながら、水温を、アマモの発芽に必要な10℃からアマモの生育に好適な22℃まで徐々に高めていき、アマモの生育状況を観察した。
図8は、3ケ月経過後のアマモの生育状況を示したものである。なお、同図中、生育数は2個のポット間の平均値として表している。これより、団粒土および人工ゼオライト入団粒土は、何れも原泥に対して生育数が著しく多くなっており、団粒土が発芽促進効果および生育促進効果が大きいことが分った。また、団粒土と人工ゼオライト入団粒土との比較では、両者の間にそれほど差がなく、この段階では、生育数に対する人工ゼオライトの効果は明瞭でない。
図9は、3ケ月経過後の一本当り最大根長を示したものである。これより、団粒土および人工ゼオライト入団粒土は、何れも原泥に対して一本当り最大根長が大きくなっており、団粒土が根長増加効果を有することが確認できた。また、団粒土と人工ゼオライト入団粒土との比較では、人工ゼオライト入団粒土の方が人工ゼオライトを含まない団粒土よりも根長が長くなっており、人工ゼオライトが根長増加効果を有することを確認できた。
ヒドロキシCaイオンを担持したCa型人工ゼオライトとヒドロキシFeイオンを担持したFe型人工ゼオライトとを用意し、これら人工ゼオライトを、富栄養化している海水を満たした6つの容器に、それぞれ海水の重量に対して1.00%、0.10%、0.01%となるように混入した。そして、各容器を24時間振とう処理した後、遠心分離して上澄液を採取し、窒素、リンの平衡濃度を測定して、人工ゼオライトの栄養吸着力を求めた。ここで、窒素濃度の測定はインドフェノール青吸光光度法で行い、リン濃度の測定はモリブデン青吸光光度法で行った。また、栄養吸着力は、実験前後の窒素平衡濃度差、リン平衡濃度差を実験前の窒素濃度、リン濃度でそれぞれ除して吸着除去率(%)として表わした。
図10はCa型人工ゼオライトの結果を、図11はFe型人工ゼオライトの結果をそれぞれ示したものである。これらの結果より、Ca型人工ゼオライト、Fe型ゼオライト共に、海水に対する添加量が多くなるほど、吸着除去率が大きくなっており、ゼオライトが海水中の栄養分(窒素、リン)を吸着する能力を有することが分った。このことから、団粒土中にヒドロキシ金属イオンを担持した人工ゼオライト(吸着担体)を混合させると、水中の栄養分を吸着することにより水生植物に対する栄養補給が可能になることが明らかである。
なお、上記実施例3では、Fe型人工ゼオライト及びCa型人工ゼオライトが採用され、その効果を確認したが、吸着担体として、人工ゼオライトの他、天然ゼオライト、合成ゼオライト、珪藻土、活性炭、木炭、シリカゲル、アルミナゲル、ベントナイト、カオリナイト、アロフェン、イモゴライト、陽イオン交換樹脂、腐食酸、泥炭から少なくとも1種選択してもよい。また、吸着担体に担持されるヒドロキシ金属イオンとして、ヒドロキシ鉄イオン及びヒドロキシカルシウムイオンの他、ヒドロキシ銅イオン、ヒドロキシ亜鉛イオン、ヒドロキシコバルトイオン、ヒドロキシモリブデンイオンおよびヒドロキシマグネシウムイオンのうちから少なくとも1種選択してもよい。
本発明に係る底質改良工法の一つの実施形態を示す模式図である。 図1に示した実施形態で用いた改良装置の構造を模式的に示す断面図である。 本発明に係る底質改良工法の他の実施形態を示す模式図である。 本発明の実施例1で用いた原材料の種類と配合割合を示す図表である。 実施例1で行った細粒分の流出実験に用いた長水路の構造を示したもので、平面的に示す模式図(A)と側面的に示す模式図(B)である。 実施例1の実験結果を示したもので、団粒土の実験前後の粒度分布を示すグラフである。 実施例1の実験結果を示したもので、非団粒土の実験前後の粒度分布を示すグラフである。 実施例2の実験結果を示したもので、アマモの生育数に及ぼす試験土の影響を示すグラフである。 実施例2の実験結果を示したもので、アマモの一本当り最大根長に及ぼす試験土の影響を示すグラフである。 実施例3の実験結果を示したもので、栄養分吸着率に及ぼすCa型人工ゼオライトの添加量の影響を示すグラフである。 実施例3の実験結果を示したもので、栄養分吸着率に及ぼすFe型人工ゼオライトの添加量の影響を示すグラフである。
符号の説明
1 作業船
2 ラダー
3 改良装置
5 撹拌翼
11 第1混合機(団粒化剤+吸着担体+水)
12 第2混合機(固化剤+水)
20 浚渫用バックホウ
23 スクリュ式撹拌機
25 埋戻し用フィーダ
S 底泥(底質の土砂)

Claims (5)

  1. 土砂に、
    ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールの合成有機高分子、アルギン酸ナトリウム、キトサンの多糖類系および天然有機高分子から選択された少なくとも1種である団粒化剤と、
    塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄から選択される少なくとも1種の多価の陽イオンを含む塩化物である固化剤と、
    中心に原子として金属原子または金属イオンを配し、その周りに配位子としてOHイオンを結合してなる錯体イオンであるヒドロキシ金属イオンを担持した吸着担体と、
    を混合して団粒化したことを特徴とする底質改良用団粒土。
  2. 前記吸着担体が、人工ゼオライト、天然ゼオライト、合成ゼオライト、珪藻土、活性炭、木炭、シリカゲル、アルミナゲル、ベントナイト、カオリナイト、アロフェン、イモゴライト、陽イオン交換樹脂、腐食酸、泥炭のうちから選択された少なくも1種であることを特徴とする請求項に記載の底質改良用団粒土。
  3. 前記ヒドロキシ金属イオンが、ヒドロキシ鉄イオン、ヒドロキシ銅イオン、ヒドロキシ亜鉛イオン、ヒドロキシコバルトイオン、ヒドロキシモリブデンイオン、ヒドロキシカルシウムイオンおよびヒドロキシマグネシウムイオンのうちから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の底質改良用団粒土。
  4. 前記団粒化剤は、ポリアクリル酸ナトリウムまたはアルギン酸ナトリウムであり、
    前記固化剤は、塩化カルシウムであり、
    前記吸着担体は、前記ヒドロキシ鉄イオンを担持したFe型人工ゼオライトまたは前記ヒドロキシカルシウムイオンを担持したCa型人工ゼオライトであることを特徴とする請求項3に記載の底質改良用団粒土。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の団粒土を水底に敷設して、該団粒土に海藻類または珪藻類の種子を播種したことを特徴とする水底地盤。
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