JP2577709B2 - 鉄イオン徐放出性のコンクリート構築物 - Google Patents
鉄イオン徐放出性のコンクリート構築物Info
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- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A40/00—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
- Y02A40/80—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
- Y02A40/81—Aquaculture, e.g. of fish
Landscapes
- Artificial Fish Reefs (AREA)
- Cultivation Of Seaweed (AREA)
Description
することによって、短期間に海藻類や珪藻類等の水生植
物を着生、活着・繁茂させて、魚介類の生育に良好な藻
場を構築するコンクリート構築物に関するものである。
おり、水生動植物の生態的バランスを良好に保つための
方法や技術が開発されてきた。漁礁を沈めた海域や消波
ブロックを設置した水域を、海藻など水生植物が繁茂す
る藻場とし、魚類など水生動物が住み着きやすい生活環
境の場所にする方法が施行されるようになっている。良
好な藻場を作るため、漁礁や消波ブロックの表面に硫酸
鉄など鉄化合物を混入した塗料を塗布し、水生植物の微
量要素である鉄分を供給することで、海藻などの生育を
促す方法がとられている。
して、海藻の生育環境を促す技術も開発されている。た
とえば、特開平5−192048号公報には鉄材をセメ
ントに混合して成形する海藻養殖用のコンクリートブロ
ックが記載される。また、特開平5−268854号公
報には、コンクリートブロックの表面に鉄含有廃棄物を
付着して海藻を効率よく繁殖させる技術が記載される。
さらにまた、特開平6−9453号公報には、表面を金
属面とすることによりコンクリートブロックよりも海藻
の付着を改善する漁礁が記載される。
物を塗布した漁礁や消波ブロック、あるいは鉄分を含有
する漁礁、あるいはまた表面を鉄とする漁礁は、表面か
ら過剰の鉄分が速いスピードで溶出することが多く、水
生植物にとって微量で充分な養分が過多に供給され、海
藻の生育はしばしば悪化する。鉄化合物の過剰放出は、
水圏の汚染を引き起こす恐れもある。また、この種の漁
礁や消波ブロックを製作するには、コンクリートなどの
材料を成形した後、塗料を塗る作業が入ることで、工程
が煩雑となり、製作コストも高くなる。製作工程が簡単
で水質汚濁を起こさない安全な藻場漁礁や水生植物がよ
く茂る消波ブロックを製作する技術や方法の開発が待た
れている。
に開発されたもので、本発明の重要な目的は、微量要素
の鉄イオンを徐々に放出することで、海藻や珪藻などの
水生植物の繁茂に必要な鉄分を供給し、鉄分の過剰溶出
を防止できる鉄イオン徐放出性のコンクリート構築物を
提供することにある。また、本発明の他の重要な目的
は、簡単に能率よく、しかも低廉に多量生産できる鉄イ
オン徐放出性のコンクリート構築物を提供することにあ
る。
築物は、鉄分の放出を水生植物の繁茂に最適な量に抑制
制御するために、コンクリートに、鉄イオンや鉄イオン
のキレート化合物を担持した鉄吸着担体を混入してい
る。本発明のコンクリート構築物は、単に鉄分を物理的
にコンクリート中に含有するのではない。鉄は、ゼオラ
イトなどの吸着担体に、イオン結合する等の状態で、化
学的に結合して担持されている。
イト、合成ゼオライト、天然ゼオライト等のゼオライ
ト、珪藻土、活性炭、シリカ、ベントナイト、カオリナ
イト、陽イオン交換樹脂、腐食酸、泥炭の何れかの吸着
担体に鉄を担持させたものが使用できる。鉄を担持する
吸着担体には、たとえば、100g当りの陽イオン交換
容量が50meq〜600meq、好ましくは80me
q〜600meq以上、さらに好ましくは100meq
〜600meq、最適には200meq〜600meq
のものが使用される。陽イオン交換容量の大きい吸着担
体は、より多くの鉄を吸着できるので、鉄吸着担体の混
合量を少なくして、優れた効果がある。
担持させるには、吸着担体を鉄イオンを含む水溶液に浸
漬する。浸漬時間は、たとえば、数時間以上とする。鉄
イオンを含む水溶液に浸漬された吸着担体は、マイナス
にチャジしている部分にプラスイオンの鉄イオンが結合
される。鉄イオンを含む水溶液には、たとえば、塩化
鉄、硫酸鉄、硝酸鉄の水溶液が使用できる。
化合物を担持させることもできる。この鉄吸着担体は、
鉄イオンのキレート化合物を含む水溶液に吸着担体を浸
漬する。鉄イオンのキレート化合物を含む水溶液には、
たとえばクエン酸鉄の水溶液が使用できる。
メントを混練りした生コンクリートに鉄吸着担体を混合
し、鉄吸着担体を混入した生コンクリートを型枠で成形
して製造できる。
オン交換容量によって変化する。陽イオン交換容量が2
倍である鉄吸着担体は、半分で同量の鉄を含有するから
である。陽イオン交換容量が200meq/100gで
ある鉄吸着担体を使用するとき、鉄吸着担体の添加量
は、コンクリートに添加するセメント100重量部に対
して、例えば3〜50重量部、好ましくは3〜40重量
部、さらに好ましくは4〜30重量部、最適には10〜
20重量部に設定される。吸着担体の陽イオン交換容量
が2倍になると、鉄吸着担体の添加量を半分に、陽イオ
ン交換容量が半分になると鉄吸着担体の添加量を2倍に
する。したがって、鉄吸着担体の最適添加量は、陽イオ
ン交換容量に反比例して増減する。
に少なすぎても水生植物の繁茂に最適な環境とならな
い。少なすぎると、水生植物の繁茂に最適量の鉄分を補
給できない。反対に混合量が多すぎると、過剰な鉄が補
給されて水生植物の繁茂に最適な環境とならないからで
ある。
ンクリート構築物は、鉄吸着担体から鉄分を経時的に、
著しく緩慢に長期間放出する。好ましいことに、鉄吸着
担体に担体される鉄イオンは、海藻や珪藻等の水生植物
の養分吸着部位が接触すると、この部分から分泌される
水素イオンとイオン交換して効率よく放出されて、水生
植物に補給される。鉄吸着担体は、植物による鉄の吸収
が行われないと、鉄イオンをほとんど放出しないので、
過剰の鉄が海水中に放出されて、鉄が水質を汚濁するこ
とがない。鉄吸着担体に含まれる鉄は、水生植物の根に
効率よく補給されるので、極めて長期間にわたって水生
植物に効率よく補給されて、水生植物を効果的に繁茂で
きる。硫酸鉄等を塗布した従来の漁礁のように、鉄分が
海水に溶解して、短期間に溶出してしまうことはない。
て、漁礁や消波ブロック等のコンクリート構築物を製造
する。
している石炭灰であるフライアッシュを使用して、優れ
た陽イオン吸着力の吸着担体である人工ゼオライトを製
造する。フライアッシュを人工ゼオライトとするには、
フライアッシュを、1Nの苛性ソーダ水溶液に数時間浸
漬して攪拌する。ただし、苛性ソーダ水溶液の濃度は1
N〜3Nとすることができる。その後、水洗、乾燥し
て、粉末状の人工ゼオライトとする。苛性ソーダ水溶液
に浸漬されたフライアッシュは、SiとAlとがOを介
して結合されて、Na型の人工ゼオライトとなる。この
ようにして製造される人工ゼオライトは、SiとAlに
4個のOが結合さる。Siはプラスの4価、Alはプラ
スの3価であるので、Alの部分で電子が1個余剰にな
ってこの部分がマイナスにチャージする吸着担体とな
る。Na型の人工ゼオライトは、Alのマイナスにチャ
ージする部分に、プラスイオンである鉄イオンが結合さ
れる。このようにして製造された人工ゼオライトは、陽
イオン交換容量が約200meq/100gとなる。
オンを吸着させる工程 フライアッシュから得た吸着担体である人工ゼオライト
を、鉄イオンを含む水溶液に浸漬して、人工ゼオライト
に鉄イオンを吸着させる。鉄イオンを含む水溶液には、
濃度を1Nとする塩化鉄の水溶液を使用する。吸着担体
である人工ゼオライトの浸漬時間は3時間とする。吸着
担体を塩化鉄の水溶液に浸漬すると、マイナスにチャー
ジする部分に鉄イオンが結合されて、鉄吸着担体である
鉄型人工ゼオライトとなる。鉄イオンを吸着させて鉄吸
着担体とした後、水洗、乾燥して粉末状の鉄吸着担体と
する。
築物を製造する工程 セメントに鉄吸着担体である鉄型人工ゼオライトを混合
する。鉄型人工ゼオライトの混合量は、混合するセメン
トに対して、10、20、30、40、50%の5段階
とする。すなわち、鉄吸着担体を、セメント100重量
部に対して、10重量部、20重量部、30重量部と、
40重量部、50重量部混合する。鉄型人工ゼオライト
とセメントを、骨材に混合し、さらにこれに水を添加し
て、混練りして生コンクリートとする。骨材には砂と砂
利とを使用する。セメントと砂と砂利と水の混合率は、
セメント100重量部に対して、砂を150重量部、砂
利を300重量部、水を50重量部とする。
した生コンクリートを使用して、縦25cm、横40c
m、高さ5cmの直方体形のブロック(投影平面積:
0.1平方メートル、体積:0.005立方メートル、
重量:11.5kg)を形成して、本発明の実施例ブロ
ックとした。
混合しない以外、前記の方法と同様にして直方体ブロッ
クを作製し、比較例1ブロックを製作した。さらに、鉄
吸着担体を混入することなく、表面に硫酸鉄を含有する
塗料を塗布する以外、前記の方法と同様にして直方体ブ
ロックを作製して比較例2ブロックを製作した。実施例
ブロックと比較例1、2ブロックとを、徳島県松茂町海
岸の平均水深2m前後の海中に沈めて、海藻の着床生育
の様子を観察した。さらに同じようにして製作した、実
施例ブロックと比較例1、2ブロックとを、徳島県穴吹
町の吉野川水深2メートルに沈めて、珪藻の着床生育の
様子を観察した。
ックに海藻(紅藻類)の着生が認められた。比較例ブロ
ックと従来例ブロックとは変化がなく海藻着生は認めら
れなかった。2週間後には、実施例ブロックに海藻(緑
藻類)が着生していたが、比較例1、2は変化がなく海
藻(緑藻類)は着生されなかった。4週間経過した時に
は、実施例ブロックは、表面の半分以上覆うほどに緑藻
類が生長していた。一方、比較例1、2ブロックは、海
藻の着生は依然認められなかった。
施例ブロックと比較例2ブロックに珪藻類が着生し、比
較例1ブロックには珪藻の着生は認められなかった。河
川に沈めて3カ月経過すると、実施例ブロックは表面の
ほぼ全面を覆うほどに珪藻類が繁茂した。3週間後に珪
藻類が着生していた比較例2ブロックは、3カ月後には
着生していた珪藻類が消滅した。比較例1ブロックは、
3カ月経過後も珪藻類が着生しなかった。
工ゼオライトを添加して製作した実施例ブロックを海中
に沈めて4週間経過した状態を示している。この図に示
す本発明のコンクリート構築物である実施例ブロック1
は、ブロック表面のほぼ3分の2にわたって海藻2(大
部分が緑藻類)が活着し、大きいものでは高さ約5cm
にも達するほどに生長している。海藻2の付近には、巻
き貝3も生活しており、一つの小さな生態系を形作って
いる。これに対して、鉄吸着担体を添加しない従来の比
較例ブロックには海藻の着生がほとんど認められない。
工ゼオライトを添加して製作した実施例ブロックを河川
に沈めて3カ月経過した状態を示している。この図に示
す本発明のコンクリート構築物である実施例ブロック1
は、ブロック表面のほぼ全面にわたって珪藻4が活着し
た。
加する実施例ブロックは、海藻や珪藻等の水生植物の誘
引・着生と活着生育の効果を現すようになることが明ら
かになった。人工ゼオライトの過剰混合は、水生植物の
着生効果を減少させる場合があるので、鉄吸着担体の添
加量は、セメント100重量部に対して約20%程度と
するのが最も効果が大きい。この程度の混入では、ブロ
ックの強度はほとんど低下せず、破壊に対して十分に耐
えうる。
イト混入量と、海藻類や珪藻類等の水生植物の着生の程
度は次のようであった。本発明の実施例ブロックは、セ
メント100重量部に対して、20重量部の鉄型人工ゼ
オライトを添加したものに、最も多量の水生植物が繁茂
した。10重量部の鉄型人工ゼオライトを添加して実施
例ブロックは、わずかに水生植物の繁茂量が少なくなっ
た。鉄型人工ゼオライトの添加量を20重量部よりも多
くすると、水生植物が繁茂する量は次第に少なくなっ
た。したがって、陽イオン交換容量を200meq/1
00gとする人工ゼオライトに鉄イオンを結合させた鉄
型人工ゼオライトは、最適混合量が、セメント100重
量部に対して10〜20重量部である。
オンのキレート化合物を担持したものも使用できる。鉄
イオンのキレート化合物を担持する鉄吸着担体は、下記
のようにして製造される。人工ゼオライトを、鉄イオン
のキレート化合物を含む水溶液に浸漬して、人工ゼオラ
イトに鉄イオンのキレート化合物を吸着させる。鉄イオ
ンのキレート化合物を含む水溶液には、濃度を1Nとす
るクエン酸鉄の水溶液を使用する。吸着担体である人工
ゼオライトの浸漬時間は3時間とする。吸着担体をクエ
ン酸鉄の水溶液に浸漬すると、吸着サイト部分に鉄イオ
ンのキレート化合物が結合されて、鉄吸着担体である人
工ゼオライトとなる。鉄イオンのキレート化合物を吸着
させて鉄吸着担体とした後、水洗、乾燥して粉末状の鉄
吸着担体とする。
レート化合物を担持する鉄吸着担体を使用する以外、前
記の方法と同様にして、実施例ブロックを試作した。こ
の実施例ブロックは、鉄吸着担体の添加量を同量とし
て、鉄イオンを担持する鉄吸着担体を使用する前記の実
施例ブロックと同等の繁茂効果が得られる。
交換容量を100meq/100gとする天然ゼオライ
トとする以外、前記の方法と同様にして実施例ブロック
を試作した。この実施例ブロックは、陽イオン交換容量
が人工ゼオライトの半分である天然ゼオライトを吸着担
体に使用する。この実施例ブロックは、鉄吸着担体に人
工ゼオライトを使用する実施例ブロックに比較して、鉄
吸着担体の添加量を2倍にすると同等の水生植物の繁茂
効果が得られる。
オン交換容量を500meq/100gとする合成ゼオ
ライトとする以外、前記の方法と同様にして実施例ブロ
ックを試作した。この実施例ブロックは、陽イオン交換
容量が人工ゼオライトの2.5倍である合成ゼオライト
を吸着担体に使用する。この実施例ブロックは、鉄吸着
担体に人工ゼオライトを使用する実施例ブロックに比較
して、鉄吸着担体の添加量を1/2.5に少なくして、
同等の水生植物の繁茂効果が得られる。
添加する鉄吸着担体に、ゼオライトに代わって、100
g当りの陽イオン交換容量を50meq〜600me
q、好ましくは80meq〜600meq以上、さらに
好ましくは100meq〜600meq、最適には20
0meq〜600meqとする、珪藻土、活性炭、シリ
カ、ベントナイト、カオリナイト、陽イオン交換樹脂、
腐食酸、泥炭等の吸着担体に鉄を担持させたものも使用
できる。本発明のコンクリート構築物に鉄吸着担体とし
て添加させる吸着担体は、100g当りの陽イオン交換
容量を、好ましくは下記の範囲とするものが使用でき
る。 人工ゼオライト……………150〜400meq 天然ゼオライト………………50〜200meq 合成ゼオライト……………350〜600meq ベントナイト………………100〜120meq 陽イオン交換樹脂…………200〜1000meq 腐食酸………………………300〜800meq 泥炭…………………………200〜300meq
ート化合物を含む水溶液に浸漬して、鉄イオンや鉄イオ
ンのキレート化合物を担持する鉄吸着担体とすることが
できる。吸着担体に陽イオン交換容量の大きいものを使
用する鉄吸着担体は添加量を少なくし、陽イオン交換容
量の小さい吸着担体の鉄吸着担体は添加量を多くする。
般的にコストが高くなる。フライアッシュを原料として
製造される人工ゼオライトは、本発明のコンクリート構
築物に添加する吸着担体として理想的なものである。そ
れは、石炭を燃料として使用する発電所等で発生する膨
大な廃棄物を有効利用できると共に、優れた陽イオン吸
着能力によって、水生植物を効果的に繁茂できるからで
ある。
クリート構築物は、微量要素の鉄分を必要最小量だけ供
給でき、水生植物の着生を良好にする。水生植物が繁茂
した漁礁、消波ブロック、護岸ブロックは、様々な種類
の魚類が生存しやすい環境を提供するので、水生生物の
生態系を好都合な状態に保つ効果を生む。このような漁
礁、消波ブロック、護岸ブロック等のコンクリート構築
物の製作は、従来のような鉄分入り塗料の塗布工程が不
必要なので、経済的にも低廉価で行える。また、鉄分の
過剰溶出が起こらないので、水圏を汚染しない環境調和
タイプの漁礁や消波ブロックや護岸ブロック等のコンク
リート構築物であることも大きな効果としてあげてよ
い。
Claims (2)
- 【請求項1】 鉄イオンや鉄イオンのキレート化合物を
担持した鉄吸着担体を混入してなるコンクリートで成形
してなる鉄イオン徐放出性のコンクリート構築物。 - 【請求項2】 鉄吸着担体が、ゼオライト、珪藻土、活
性炭、シリカ、ベントナイト、カオリナイト、陽イオン
交換樹脂、腐食酸、泥炭の何れかを含む吸着担体に鉄を
担持させたものである請求項1に記載の鉄イオン徐放出
性のコンクリート構築物。
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JP6-192934 | 1994-07-25 | ||
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