JP5007693B2 - 電動機、電動機支持部材および電動機支持方法 - Google Patents
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Description
実施例1の電動機1は車両に搭載される電動機であって、電動機1を車両側に固定するためのトランスミッションケース2と、電動機1の内周面に固定子6を有する電動機ハウジング4と、固定子6に対して回転する回転子5と、電動機ハウジング4をトランスミッションケース2に固定するために介在するリング3とから形成される。なお、トランスミッションケース2は本発明の電動機取付部材、電動機ハウジング4および固定子6は本発明の固定子側部材、回転子5は本発明の回転子側部材、リング3は本発明の中間部材に相当する。
トランスミッションケース2は、有底カップ状に形成された底部分に貫通孔28を有し、内周側にリング3と電動機ハウジング4を収装する。
リング3には貫通孔30が複数形成される。回転子5の回転中心Oと電動機ハウジング支持位置Aとを結ぶ線(電動機ハウジング支持線C)と、隣接する電動機ハウジング支持線C間の中心線(電動機ハウジング支持中心線D)とによって挟まれる領域内に貫通孔31が形成される。実施例1では、リング3には貫通孔30(電動機ハウジング支持位置A)が3つ形成され、各電動機ハウジング支持線C間は120°ごとに等間隔に配置される。またリング3には貫通孔31(トランスミッションケース支持位置B)が3つ形成され、各電動機ハウジング支持線Cに対して30°の位置に配置される。なお、電動機ハウジング支持線Cは本発明の固定子側支持線、電動機ハウジング支持中心線Dは本発明の固定子側支持中心線に相当する。
ここで「領域内に貫通孔31が形成されるとは、貫通孔31aのような状態も示す。逆に、領域内に貫通孔31が形成されていない状態とは貫通孔31bのように電動ハウジング支持中心線Dが貫通孔31bの一部に通過するような状態を示す。
次に電動機ハウジング4に発生する振動について説明する。
電動機1が駆動して回転子5が回転を行うときに、電動機ハウジング4には振動が発生する。図4は、電動機ハウジング4に発生する振動のモードについて説明する図である。
図4(b)は、円環0次モード振動の様子を示す図である。円環0次モード振動では、円環2次モード振動のような節11が生じない。そのため、電動機ハウジング4の節11の部分に対応する位置とトランスミッションケース2とを接続することができないため、トランスミッションケース2に変位が入力されてしまい、振動の発生を抑制することができない。
次に、電動機ハウジング支持位置Aの位置、すなわち電動機ハウジング4からリング3に変位が入力される位置と、この位置に応じたリング3に発生する振動のモードについて説明する。
図5は円環0次モード振動が発生している電動機ハウジング4からの変位を電動機ハウジング支持位置Aから入力されたときの、リング3において発生する振動のモードについて説明する図である。図5(a)は電動機ハウジング4に発生する振動の位相が0°、(b)は位相が180°、(c)は位相が-180°のときを示す。
ここでは、電動機ハウジング4では円環0次モード振動が発生している場合について説明するが、リング3において発生する振動のモードは電動機ハウジング4で発生する振動のモードによって決定されるものではなく、電動機ハウジング支持位置Aの個数によって決定される。よって、電動機ハウジング4の振動は円環0次モード振動でなくとも同様の作用が得られる。
電動機ハウジング4に発生する振動の位相が180°となると、電動機ハウジング4は径方向に拡大する方向に変位する。このときリング3には、電動機ハウジング支持位置Aにおいて電動機ハウジング4から径方向外側への変位が入力され、リング3には図5(b)に示すような波形の振動が発生する。
また、電動機ハウジング4に発生する振動の位相が-180°となると、電動機ハウジング4は径方向に縮小する方向に変位する。このときリング3には、電動機ハウジング支持位置Aにおいて電動機ハウジング4から径方向内側への変位が入力されて、リング3には図5(c)に示すような波形の振動が発生する。
リング3の振動の腹10を除く位置とは、換言すると腹10が発生する電動機ハウジング支持線Cと、隣接する電動機ハウジング支持線C間の中間である電動機ハウジング支持中心線Dとによって挟まれる領域内を示す。また、リング3の振動の節11の位置とは、換言すると電動機ハウジング支持線Cと電動機ハウジング支持中心線Dとの中心線上を示す。
電動機ハウジング4を、リング3に対して3つの電動機ハウジング支持位置Aにおいて固定したため、リング3では円環3次モード振動を発生させることができる。また、トランスミッションケース2をリング3に対して3つのトランスミッションケース支持位置Bにおいて固定し、このトランスミッションケース支持位置Bを各電動機ハウジング支持線Cに対して30°の位置とした。この位置は、電動機ハウジング支持線C間の角度120°の1/4であって節11の位置にあたるため、トランスミッションケース2をリング3の節11の位置で固定することが可能となる。そのため、電動機ハウジング4からトランスミッションケース2側への振動の伝達を抑制することができる。
(1)電動機ハウジング4に収装された固定子6と回転子5とを有する電動機1であって、電動機1を支持するトランスミッションケース2と電動機ハウジング4との間に介在するリング3と、固定子6とリング3とを連結する複数の電動機ハウジングボルト40と、リング3とトランスミッションケース2とを連結する複数のトランスミッションケースボルト20が取り付けられる貫通孔31とを有し、複数の電動機ハウジングボルト40が取り付けられる位置(電動機ハウジング支持位置A)のうち、1つの電動機ハウジング支持位置Aの中心と、回転子5の回転中心とを結ぶ電動機ハウジング支持線Cを設定し、電動機ハウジング支持線Cに隣接する他の電動機ハウジング支持線Cと、電動機ハウジング支持線Cとで形成する狭角を等分する電動機ハウジング支持中心線Dを設定した場合、電動機ハウジング支持中心線Dと、電動機ハウジング支持線Cとによって挟まれるリング3の領域内に、トランスミッションケースボルト20を配置した。
よって、トランスミッションケースボルト20はリング3の振動の節11の位置に配置されるため、トランスミッションケース2には変位が入力されず、トランスミッションケース2における振動の発生を防止することができる。
電動機ハウジング4には、リング3の電動機ハウジング支持位置Aに対応する位置に突出した電動機ハウジングピン41が形成されている。この電動機ハウジングピン41は、リング3の電動機ハウジング支持位置Aに形成された貫通孔32に対して回動可能に係合されている。またリング3には、トランスミッションケース支持位置Bにおいて突出したトランスミッションケースピン34が形成されている。このトランスミッションケースピン34は、トランスミッションケース2に、リング3のトランスミッションケース支持位置Bに対応した位置に形成された貫通孔29に対して回動可能に係合されている。なお、貫通孔29とトランスミッションケースピン34は本発明の電動機取付部材支持部材に相当する。
リング3において発生する振動の節11には回転変位が生じる。以下、節11において発生する回転変位について図9を用いて説明する。
図9は電動機ハウジング4からリング3に入力された変位より、リング3に発生する振動について説明する図である。図9(a)は電動機ハウジング4に発生する振動の位相が180°、(b)は位相が-180°のときを示す。
図9に示すように位相の変化に伴い、節11では径方向の位置は変位しないものの、トランスミッションケース支持位置Bを中心に回転方向に変位する。この回転方向変位がトランスミッションケース2に入力されると、トランスミッションケース2において振動が発生する。
よって、リング3からトランスミッションケース2への節11の回転方向変位の入力が抑制されるため、トランスミッションケース2の振動の発生を抑制することができる。
よって、リング3からトランスミッションケース2への節11の回転方向変位の入力を抑制することが可能となり、トランスミッションケース2の振動の発生を抑制することができる。
リング3は、電動機ハウジング4に固定された固定子6の内周側に挿入されている。リング3には、トランスミッションケース支持位置Bに突出部35が形成されており、電動機ハウジング4の底部には、この突出部35と対応する位置に突出部35が貫通する貫通孔47が形成されている。突出部35にはトランスミッションケースボルト20が係合する係合穴33が形成され、リング3とトランスミッションケース2とがトランスミッションケースボルト20によって固定されている。
すなわち、固定子6の内周側の隙間にリング3を配置することが可能となる。よって、電動機1の軸方向長さを縮小することができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1ないし実施例3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1ないし実施例3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
図12は他の実施例1のリング3の正面図である。
実施例1では電動機ハウジング支持位置Aを等間隔で配置したが、図12に示すように電動機ハウジング支持位置Aの間隔が不等間隔となるように配置しても良い。他の実施例1のリング3では、電動機ハウジング支持位置Aの間隔をそれぞれ100°、120°、140°としている。このときトランスミッションケース支持位置Bは、電動機ハウジング支持線Cに対してそれぞれ25°(=100°×(1/4))、30°(=120°×(1/4))、35°(=140°×(1/4))の位置に配置されている。
よって、トランスミッションケース支持位置Bはリング3の振動の節11の位置に配置されるため、トランスミッションケース2には変位が入力されず、トランスミッションケース2における振動の発生を防止することができる。
図13は他の実施例2のリング3の正面図である。
実施例1では電動機ハウジング支持位置Aを3つ、トランスミッションケース支持位置Bを3つ形成したが、図13に示すように電動機ハウジング支持位置Aを4つ、トランスミッションケース支持位置Bを8つ形成するようにしても良い。すなわち、電動機ハウジング支持位置Aは、2つ以上であって、トランスミッションケースボルト20の径に対して、リング3の振動の腹10と節11の距離が十分に大きくなるように配置すれば、個数はいくつでも良い。またトランスミッションケース支持位置Bは、2つ以上であって、リング3の振動の腹10を除く部分、または節11に対応する部分に配置すれば個数はいくつでも良い。
よって、トランスミッションケース支持位置Bはリング3の振動の節11の位置に配置されるため、トランスミッションケース2には変位が入力されず、トランスミッションケース2における振動の発生を防止することができる。
図14は他の実施例3のリング3の正面図である。
実施例1では電動機ハウジング支持位置Aとトランスミッションケース支持位置Bとを同心円上に形成したが、この構成を図14に示すように電動機ハウジング支持位置Aとトランスミッションケース支持位置Bとの径方向位置を異ならせても良い。
よって、トランスミッションケース支持位置Bはリング3の振動の節11の位置に配置されるため、トランスミッションケース2には変位が入力されず、トランスミッションケース2における振動の発生を防止することができる。
図15は他の実施例4の電動機1の斜視図である。
実施例1ではトランスミッションケース2とリング3、電動機ハウジング4とリング3をそれぞれトランスミッションケースボルト20、電動機ハウジングボルト40によって固定していたが、この構成を図15に示すように、リング3に代わって中間部材7を設け、トランスミッションケース2と中間部材7、電動機ハウジング4と中間部材7をキーによって固定するようにしても良い。
電動機ハウジング4には、中間部材7のキー溝70に対応する位置にキー42が形成される。トランスミッションケース2には、中間部材7のキー71に対応する位置にキー溝21が形成される。
トランスミッションケース2の内周に中間部材7が挿入されて、キー溝21とキー71とが係合する。また中間部材7に電動機ハウジング4が挿入されて、キー溝70とキー42とが係合する。
よって、トランスミッションケース支持位置Bは中間部材7の振動の節11の位置に配置されるため、トランスミッションケース2には変位が入力されず、トランスミッションケース2における振動の発生を防止することができる。
図16は他の実施例5の電動機1の断面図である。
実施例1では、電動機ハウジング4は、有底カップ状に形成された底部分に貫通孔46を有し、内周面に固定子6が固定されていたが、この構成を図16に示すように、電動機ハウジング4を円筒部43と、この円筒部43の側面の一端部にリブ44を有する形状としても良い。
リング3は、外径はトランスミッションケース2の大径部23よりも小さな径に形成され、内径は電動機ハウジング4の円筒部43の外径よりも大きな径に形成されて、内部に円筒部43が挿入される。
トランスミッションケース2の大径部23と小径部22とを繋ぐ段部25には、リング3のトランスミッションケース支持位置Bに形成された貫通孔37に対応する位置に軸方向に突出した突出部24が形成される。この突出部24と貫通孔37とが回動可能に係合される。
図17は他の実施例6の電動機1の断面図である。
実施例1では、固定子6は電動機ハウジング4に固定され、この電動機ハウジング4とリング3とを固定していたが、固定子6を直接リング3に固定するようにしても良い。
リング3はトランスミッションケース2のカップ部26の内周側に2枚挿入される。2枚のリング3のうち、1枚はカップ部26の底でトランスミッションケースピン26bにより結合され、もう1枚は蓋部27でトランスミッションケースピン27bにより結合される。
また、固定子6は2枚のリング3の間に挿入されて、固定子6を貫通する固定子ピン60によってリング3と結合される。
2 トランスミッションケース
3 リング
4 電動機ハウジング
5 回転子
6 固定子
7 中間部材
30 電動機ハウジング支持点
31 トランスミッションケース支持点
32 電動機ハウジング支持線
33 電動機ハウジング支持中心線
Claims (6)
- 固定子側部材と、回転子側部材とを有する電動機であって、
前記電動機を支持する電動機取付部材と前記固定子側部材との間に介在する中間部材と、
前記固定子側部材と前記中間部材とを連結する複数の固定子側支持部材と、
前記中間部材と前記電動機取付部材とを連結する複数の電動機取付部材側支持部材と、
を有し、
前記複数の固定子側支持部材のうち、1つの固定子側支持部材の中心と、前記回転子側部材の回転中心とを結ぶ固定子側支持線を設定し、
前記固定子側支持線に隣接する他の固定子側支持線と、前記固定子側支持線とで形成する狭角を等分する中心線を設定した場合、
前記中心線と、前記固定子側支持線とによって挟まれる前記中間部材の領域内に、前記電動機取付部材側支持部材を配置することを特徴とする電動機。 - 請求項1に記載に電動機において、
前記電動機取付部材側支持部材は、前記領域の中央部に配置されていることを特徴とする電動機。 - 請求項1または請求項2に記載の電動機において、
前記電動機取付部材側支持部材は、前記中間部材に回動可能に取り付けられていることを特徴とする電動機。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電動機において、
前記中間部材は、前記固定子側部材と前記回転子側部材との間に挿入されていることを特徴とする電動機。 - 固定子側部材と回転子側部材とを有する電動機と、前記電動機が取り付けられる電動機取付側部材との間に設けた中間部材であって、
前記中間部材は、
前記固定子側部材と連結する複数の固定子側支持部材と、
前記電動機取付側部材と連結する複数の電動機取付側支持部材とを有し、
前記複数の固定子側支持部材のうち、1つの固定子側支持部材の中心と、前記回転子側部材の回転中心とを結ぶ固定子側支持線を設定し、
前記固定子側支持線に隣接する他の固定子側支持線と、前記固定子側支持線とで形成される狭角を等分する中心線を設定し、
前記中心線と、前記固定子側支持線とによって挟まれる領域内に、前記電動機取付部側支持部材は、配置されていることを特徴とする中間部材。 - 固定子側部材を有する電動機と、前記電動機が取り付けられる電動機取付側部材との間に設けた中間部材であって、
前記中間部材は、
前記固定子側部材と連結する複数の固定子側支持部材と、
前記電動機取付側部材と連結する複数の電動機取付支持部材とを有し、
円環0次モードで振動する前記固定子側部材の振動は、前記固定子側支持部材を介して前記中間部材に伝播され、
前記伝播により、前記中間部材には、複数の振幅が大きい部分と、複数の振幅が小さい部分が形成され、
前記電動機取付側支持部材は、前記振幅の小さい部分に配置することを特徴とする中間部材。
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