JP5005235B2 - 流体軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、流体軸受装置に関するものである。
流体軸受装置は、軸受部材と軸部材の相対回転により、軸受隙間に形成される油膜で軸部材を回転自在に支持する軸受装置である。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等に搭載するスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)などに搭載するポリゴンスキャナモータ用、パーソナルコンピュータ(PC)などに搭載するファンモータ用、あるいは軸流ファンなどの電気機器に搭載する小型モータ用の軸受として広く用いられている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の流体(例えば、潤滑油)に動圧を発生させる動圧発生部を備えた動圧軸受と、動圧発生部を備えていない、いわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
例えば、HDD等のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部とが設けられる。ラジアル軸受部の軸受としては、ラジアル軸受隙間を介して対向する二面(軸部材の外周面、あるいは軸受部材の内周面)に動圧発生用の溝を設けた動圧軸受が用いられる場合が多い。一方、スラスト軸受部としては、動圧軸受が用いられる場合と、軸部材の一端を接触支持する構造の軸受(いわゆる、ピボット軸受)が用いられる場合とがある。
この種の流体軸受装置の一例として、内周面に動圧溝等の動圧発生手段を有する軸受スリーブを焼結金属で形成し、この軸受スリーブを樹脂製のハウジングに固定した構造が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−114164号公報
焼結金属製の軸受スリーブを樹脂製のハウジングに固定するための固定手段としては、接着によるものが考えられる。しかし、接着では十分な固定力が得られず、過度の衝撃荷重が加わった際に軸受スリーブがハウジングから抜脱するおそれがある。
軸受スリーブのハウジングからの抜脱を防止する構成として、軸受スリーブとハウジングを樹脂等で一体成形することも考えられるが、これでは軸受スリーブから軸受隙間への油の補給が期待できないため、軸受隙間の油量が不足して潤滑不良を招くおそれがある。この例に限らず、軸受スリーブとハウジングとでは、それぞれに求められる機能が異なるため、これらを共通の材料で一体成形すれば、どうしても双方の必要機能を満足させるのが難しくなり、軸受性能の向上に限界を生じることとなる。
そこで、本発明では、軸受スリーブ相当部分とハウジング相当部分との間で十分な抜去力を確保し、併せて軸受性能の向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる流体軸受装置は、ラジアル軸受面を有する内径部、および他部材との取り付け面を有する外径部を備えた軸受部材と、ラジアル軸受面が面するラジアル軸受隙間に形成される油膜で支持すべき軸をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備え、軸受部材の内径部と外径部異なる樹脂で形成され、互いに対向する内径部の外周面および外径部の内周面の双方が溶融して結合していることを特徴とする。なお、上記の「他部材」として、軸受部材をモータに取付けるためのブラケットの他、モータのステータコイル等を挙げることができる。また、上記の「異なる樹脂」というのは、「ベース樹脂が異なる」もののみならず、「充填材等を含めた樹脂組成物全体の組成が異なる」ものも含む意である。すなわち、内径部と外径部を構成するベース樹脂を同一としつつ、充填材の種類や配合比を異ならせた樹脂組成物も「異なる樹脂」に含まれる。また、ベース樹脂・充填材の種類や配合比が全て同じでも、その密度を異ならせた場合(非多孔質樹脂と多孔質樹脂等)も「異なる樹脂」に含まれる。
この構成においては、軸受部材の内径部が従来装置の軸受スリーブに相当し、軸受部材の外径部がハウジングに相当すると考えることができる。このように軸受部材の内・外径部を別部品とし、何れも樹脂で形成した場合、溶着等の手段で界面を溶融させることで、両者を強固に固定することができる。これにより、内径部と外径部との間で高い抜去力を確保して、流体軸受装置の耐衝撃荷重性向上を図ることができる。
また、内径部および外径部のそれぞれについて、両者に求められる特性に適合した樹脂組成物を選択使用することができ、これにより軸受装置全体での軸受性能向上を図ることができる。例えばラジアル軸受面を有する内径部を含油樹脂、特に多孔質の含油樹脂で形成すれば、内径部の空孔が保持する油の表面への滲み出しにより、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間等の軸受隙間に潤沢な油を供給することが可能となり、高い潤滑性能を得ることが可能となる。多孔質の含油樹脂は、例えば気孔形成材を混合した樹脂材料を射出成形し、その後、気孔形成材を除去し、さらに油を含浸させることによって形成される。
さらに外径部を、空孔を有しないソリッドな樹脂組成物(非多孔質樹脂)で形成すれば、空孔からの油の滲み出しによる軸受外部への油漏れあるいは接着強度低下等の悪影響を回避することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、軸受部材の内径部と外径部を強固に固定できるので、高い耐衝撃荷重性を確保することができる。その一方で、内径部と外径部を、それぞれ両者に求められる必要機能を満足する材料で個別に形成することができ、軸受性能の向上(潤滑性能の向上や周囲環境の汚染防止等)を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る流体軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、ディスクハブ3を取付けた軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4aおよびロータマグネット4bと、ブラケット5とを備えている。ステータコイル4aはブラケット5の外周に取付けられ、ロータマグネット4bはディスクハブ3の外周に取付けられている。流体軸受装置1の軸受部材6は、ブラケット5の内周に固定される。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスク状情報記録媒体(以下、単にディスクという。)Dが一又は複数枚保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4aに通電すると、ステータコイル4aとロータマグネット4bとの間に発生する電磁力でロータマグネット4bが回転し、これに伴って、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、上記スピンドルモータで使用される流体軸受装置1の一例を示すものである。この流体軸受装置1は、回転側の軸部材2と、固定側の軸受部材6とを主要な構成部品として備える。なお、以下説明の便宜上、軸受部材6の開口部から軸部材2の端部が突出している側を上側、その軸方向反対側を下側として説明を進める。
軸部材2は、ステンレス鋼等の金属材料、あるいは、金属と樹脂のハイブリッド構造とされる。軸部材2は全体として概ね同径の軸状をなし、その中間部分には、他所よりも僅かに小径の逃げ部2bが形成されている。軸部材2の外周面2aのうち、第1および第2フランジ部9、10の固定位置には、凹部、例えば円周溝2cが形成されている。
軸受部材6は、樹脂の多孔質体(多孔質樹脂)で形成され、従来構成における軸受スリーブに相当する円筒状の内径部8と、樹脂の非多孔質体で形成され、内周に内径部8を固定可能な従来構成におけるハウジングに相当する略円筒状の外径部7とで構成される。多孔質樹脂からなる内径部8は、例えば、気孔形成材を配合した樹脂組成物を用いて射出成形した後、気孔形成材を水、アルコール等の溶媒で除去して形成される。なお内径部8の成形には、上記の射出成形の他、内径部8の形状や選定される樹脂の材質等に応じて圧縮成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、トランスファ成形などの手法を用いることもできる。
内径部8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、該2つの領域には動圧発生部として、例えば図3(a)に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ形成される。図示例では、動圧溝8a1、8a2の双方を軸方向中心に対して対称形状としているが、例えば上側の動圧溝8a1のうち軸方向中心に対して上側領域の溝の軸方向幅を下側領域の溝のそれよりも長大化させることにより、軸部材2の回転時、潤滑油に軸方向下方の押し込み力(ポンピング力)を付与することもできる。動圧溝8a1、8a2はラジアル軸受隙隙間を介して対向する軸部材2の外周面2aに形成してもよい。動圧溝は、公知のその他の形状、例えばスパイラル形状等に形成することもできる。
また、内径部8の上側端面8bの一部または全部環状領域には、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面が形成され、当該スラスト軸受面となる領域には動圧発生部として、例えば図3(b)に示すようなスパイラル形状の動圧溝8b1が形成される。同様に、内径部8の下側端面8cの一部または全部環状領域には、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面が形成され、当該スラスト軸受面となる領域には動圧発生部として、例えば図3(c)に示すようなスパイラル形状の動圧溝8c1が形成される。動圧発生部は、スラスト軸受隙間を介して対向する面、すなわち第1フランジ部9の下側端面9bおよび第2フランジ部10の上側端面10bに形成してもよい。なお、動圧溝形状は、上記スパイラル形状の他、例えばヘリングボーン形状等に形成することもできる。
なお、上記の動圧溝8a1、8a2、8b1、8c1は、内径部8の成形と同時に型成形することができる。これらは、例えば、内径部8を成形する成形型のうち、動圧溝に対応する領域にこれらの型部を形成しておけば容易かつ低コストに形成することができる。
内径部8の形成に用いるベース樹脂としては、射出成形可能で、かつ求められる耐熱性、耐油性、機械的強度等を満足できれば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わず使用可能で、例えば、以下例示する汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチックから選定された一または複数種混合したものが使用可能である。上記の要求特性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックを少なくとも一種混合するのが望ましい。ベース樹脂には、強化材や潤滑剤、導電材等の各種充填材を一または複数種配合させることもできる。
使用可能な汎用プラスチックとして、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、エポキシ(EP)等を挙げることができ、また汎用エンジニアリングプラスチックとして、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等を挙げることができる。
また、使用可能なスーパーエンジニアリングプラスチックとして、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、熱硬化性ポリイミド、ポリアミド(PA)、ポリアミド6T、ポリアミド9T等の芳香族ポリアミド、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系共重合体樹脂等が挙げられる。
上記のベース樹脂に、ドライブレンド、溶融混錬等、樹脂の混合に一般に使用する混錬法で気孔形成材、充填材を混合させることにより、内径部8の成形に用いる樹脂組成物(射出材料)が生成される。気孔形成材としては、成形時の融解を防止するため、選定されるベース樹脂の成形温度よりも高い融点を有し、ベース樹脂に配合して内径部8を成形した後、ベース樹脂を溶解しない溶媒を用いて除去可能なものを使用することができる。この中でも、特に、成形後の除去作業を容易に行い得る水溶性で、また、防錆剤として使用できる弱アルカリ性物質を好ましく使用することができる。
気孔形成材としては、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、あるいはステアリン酸ナトリウム等に代表される有機アルカリ金属塩や、炭酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、三リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等に代表される無機アルカリ金属塩等を使用することができる。この中でも、高融点で、ベース樹脂の選定自由度を高められ、かつ水溶性に優れる安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウムが特に好ましい。これらの金属塩は一種のみ使用する他、二種以上混合して使用しても良い。なお、使用する気孔形成材の平均粒径は、0.1〜500μmとするのが望ましい。気孔形成材の粒径、すなわち内径部8に形成される空孔径が0.1μm以下となると、潤滑油の表面張力によって軸受隙間への潤滑油の供給が円滑に行われず、空孔径が500μm以上となると、表面積が小さくなって所期の軸受剛性が得られないからである。
また、気孔形成材の配合比は、ベース樹脂、気孔形成材および充填材などを含めた全量に対して、30vol%〜90vol%とするのが好ましく、40vol%〜60vol%とするのが一層好ましい。30vol%以下では十分量の空孔を確保することができず、90vol%以上では所期の機械的強度が得られないからである。
外径部7は、樹脂の非多孔質体(ソリッド樹脂)で略円筒状に形成される。この外径部7の外周面には図1に示すブラケット5の取り付け面が形成され、この取り付け面がブラケット5の内周面に接着、圧入、圧入接着等の手段で固定される。
外径部7を構成するベース樹脂は、内径部8同様射出成形可能で、かつ求められる耐熱性、耐油性、機械的強度等を満足できれば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わず使用可能で、上述した汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチック等から選定された一または複数種混合したものが使用可能である。ベース樹脂には、強化材(繊維状、粉末上等の形態は問わない)や潤滑剤、導電材等の各種充填材が一種または二種以上配合される。
この外径部7の内周に、上記の内径部8が固定される。両者の固定は、溶着、接着、圧入、圧入接着等適宜の手段で行い得るが、本実施形態では、界面(内径部8の外周面8dおよび外径部7の内周面7aの一部領域)を溶融させることで両者間に高い結合強度が得られ、かつ固定に要する時間が短い溶着で固定されている(溶着部は、図中点線で示している)。具体的な溶着法としては、超音波溶着、レーザー溶着、振動溶着、高周波誘導加熱溶着、あるいは熱板溶着等、公知の溶着法を用いることができ、外径部7および内径部8の組成や形状等に応じて適宜選択される。
なお、外径部7あるいは内径部8の何れか一方をインサート部品とし、他方を射出成形することにより、外径部7と内径部8を一体成形することもできる。
第1フランジ部9および第2フランジ部10は、何れも黄銅等の軟質金属材料やその他の金属材料、あるいは樹脂材料で軸部材2とは別体のリング状に形成され、軸部材2の所定位置に接着固定される。このとき、軸部材2に塗布した接着剤が、接着剤溜りとしての円周溝2cに充填されて固化することにより、フランジ部9、10の軸部材2に対する接着強度が向上する。
第1フランジ部9の外周面9aは、外径部7の上端開口部の内周面7aとの間に所定容積の第1シール空間S1を形成し、また第2フランジ部10の外周面10aは、外径部7の下端開口部の内周面7aとの間に所定容積の第2シール空間S2を形成する。本実施形態において、第1フランジ部9の外周面9aおよび第2フランジ部10の外周面10aは、それぞれ軸受装置の外部側に向かって漸次縮径したテーパ面状に形成される。そのため、両シール空間S1、S2は、互いに接近する方向(軸受部材6の内部方向)に漸次縮径したテーパ形状となる。軸部材2の回転時、両シール空間S1、S2内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用と、回転時の遠心力により引き込み作用とにより、シール空間が狭くなる方向(軸受部材6の内部方向)に向けて引き込まれる。これにより、装置内部からの潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。油漏れを確実に防止するため、図2の拡大図(図中、左側の拡大図)に示すように、外径部7の上側端面7bと下側端面7c、第1フランジ部9の上側端面9c、および第2フランジ部10の下側端面10cにそれぞれ撥油剤からなる被膜11を形成することもできる。
第1および第2シール空間S1、S2は、軸受部材6の内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有する。想定される温度変化の範囲内では、油面は常時両シール空間S1、S2内にある。これを実現するために、両シール空間S1、S2の容積の総和は、少なくとも内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量よりも大きく設定される。
上記のようにして、軸受部材6(内径部8)の内周に軸部材2を挿入した後、内径部8を挟むように第1フランジ部9および第2フランジ部10を軸部材2の所定箇所に接着固定する。このようにして組立が完了すると、両フランジ部9、10で密閉された軸受部材6の内部空間に、内径部8の内部気孔も含め、潤滑流体として例えば潤滑油を充満させる。
流体軸受装置における潤滑油の注油は、例えば未注油状態の流体軸受装置を真空槽内で潤滑油中に浸漬した後、大気圧に開放することにより行われる。本実施形態の流体軸受装置1は、軸受部材6の両端が開放されているので、その一端を閉じた構成(特許文献1参照)に比べ、内部空間のエアを確実に潤滑油で置換することができ、残存エアによる弊害、例えば高温時の油漏れ等を確実に回避することができる。また、このような減圧を利用した注油方法だけでなく、常圧下での注油(例えば、潤滑油の加圧注油)も可能となり、注油装置および工程を簡略化して製造コストの低廉化を図ることができる。
なお、本実施形態のように軸受部材6(外径部7)が軸方向中心に対して略対称形状をなす場合、上下を誤って組立を行うおそれがある。そのため、図示は省略するが、外径部7の外周面等には、上下を区別し得る識別記号を形成しておくのが望ましい。このような識別記号は、例えば外径部7の成形と同時に形成することができる。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2が回転すると、内径部8の内周面8aのラジアル軸受面となる上下2箇所に離隔して設けられる領域は、それぞれ軸部材2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、ラジアル軸受隙間に形成された油膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性が高められ、軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。
また、軸部材2が回転すると、内径部8の上側端面8bのスラスト軸受面となる領域が第1フランジ部9の下側端面9bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向し、内径部8の下側端面8cのスラスト軸受面となる領域が第2フランジ部10の上側端面10bと所定のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして軸部材2の回転に伴い、上記スラスト軸受隙間に形成された油膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性が高められ、軸部材2がスラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
以上に示すように、本発明では、内径部8と外径部7とが何れも樹脂製であるから、内径部を焼結金属、外径部を樹脂で形成し、両者を接着固定した従来構成に場合に比べ、溶着で界面を溶融させることにより、両者間の結合強度を容易に高めることができ、耐衝撃荷重性に優れた流体軸受装置1を提供することができる。
また、特に本実施形態では、ラジアル軸受面およびスラスト軸受面を有する内径部8を多孔質の含油樹脂で形成しているから、軸受運転時には、内部空孔に保持された潤滑油のラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間への滲み出しにより、これらの軸受隙間に潤沢な潤滑油を供給することが可能となり、高い潤滑性能を得ることができる。この多孔質樹脂製の内径部8は、例えば気孔形成材を混合した樹脂組成物を射出成形し、その後気孔形成材を除去するだけで形成可能であるから、内径部8を焼結金属製とした従来構成に比べ、製造工程を簡略化して流体軸受装置1の低コスト化を図ることもできる。さらに、外径部7を非多孔質樹脂で形成しているから、内径部8の空孔からの潤滑油の滲み出しによる軸受外部への油漏れ、また、これに起因したブラケット5との固定強度低下を回避することができる。
以上に示すように、本発明にかかる流体軸受装置1では、高い耐衝撃荷重性を確保することができる一方で、内径部8と外径部7を構成する樹脂組成物を適切に選択することにより、潤滑性能の向上や周辺環境の汚染防止を図ることができる。
なお、以上の説明では、内径部8を多孔質の含油樹脂で形成する場合について説明を行ったが、内径部8を多孔質ではない非多孔質の含油樹脂で形成することもできる。非多孔質の含油樹脂としては、例えば、潤滑成分(潤滑油または潤滑グリース)をベース樹脂中に分散保持した状態で固化(硬化)させたものが使用可能であり、その成分となる樹脂や潤滑油、潤滑グリースの種類は特に限定しないで採用できる。このような含油樹脂の樹脂成分の具体例としては、超高分子量ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が、また、潤滑成分の具体例としては、鉱油、合成炭化水素油、エステル油などの潤滑油が挙げられる。また、樹脂として熱可塑性樹脂を使用し、かつ潤滑成分として潤滑グリースを使用する場合には、熱可塑性樹脂の融点より高い滴点を有する潤滑グリースを採用することが好ましい。これらの樹脂材料には、必要に応じて強化材(繊維状、粉末上等の形態は問わない)や潤滑剤、導電材等等の各種充填材が一又は複数種配合される。
また、図示は省略するが、更なる低コスト化を図るため、外径部7の成形時、図1に示すブラケット5を一体に成形することもできる。この場合、図1に示すステータコイル4aは外径部7に固定されることとなるが、外径部7を非多孔質樹脂で形成すれば油漏れを防止して、ステータコイル4aの脱落を防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明を行ったが、本発明の構成は上記の流体軸受装置1に限定適用されるものでなく、他の形態の流体軸受装置にも好ましく適用できる。以下、流体軸受装置の他の構成例について説明を行うが、図2に示すものと同一の機能・作用を有する構成部材・要素には同一の参照番号を付与し、重複説明を省略する。
図4は、流体軸受装置1の第2の実施形態を示している。この実施形態の流体軸受装置1が図2に示す実施形態と異なる点は、第1フランジ部9および第2フランジ部10の何れか一方(図4では第2フランジ部10)を軸部材2と一体形成した点にある。これにより、フランジ部10の固定時における軸部材2とフランジ部10との間の組み付け精度(例えば直角度)のばらつきを抑えることができ、組立時の精度管理を容易化することが可能となる。
図5は、流体軸受装置1の第3の実施形態を示している。この流体軸受装置が図2に示す第1の実施形態と異なる点は、内径部8を上側の内径部81と下側の内径部82とで構成し、さらに両内径部81、82の間の空間を埋めるスペーサ部83を設けた点にある。本実施形態では、上側内径部81の内周面81aと軸部材2の外周面2aとの間に第1ラジアル軸受部R1が設けられ、下側内径部82の内周面82aと軸部2aの外周面2aとの間に第2ラジアル軸受部R2が設けられる。また、上側内径部81の上側端面81bと第1シール部材9の下側端面9bとの間に第1スラスト軸受部T1が設けられ、下側内径部82の下側端面82cと第2シール部材10の上側端面10bとの間に第2スラスト軸受部T2が設けられる。
図6は、流体軸受装置1の第4の実施形態を示している。この流体軸受装置1が上記の実施形態と異なる点は、主に、軸部材2に設けられたフランジ部10の両端に第1、第2スラスト軸受部T1、T2が設けられた点、およびシール空間Sが、軸部材2の外周面2aと外径部7の上端側内周面7aに固定されたシール部材13の内周面13aとの間にのみ設けられ、軸受部材6の下端側は蓋部材12で封口された点にある。なお、この形態では、軸部材2の下端側を凸球状に形成し、この軸端を蓋部材12の上端面で接触支持する、いわゆるピボット軸受でスラスト軸受部を構成することもできる。
図7は、流体軸受装置1の第5の実施形態を示している。同図に示す流体軸受装置1は、主に、第2スラスト軸受部T2が、軸部材2に固定されたハブ部14の下側端面14aと外径部7の上側端面7bとの間に設けられた点、およびシール空間Sが外径部7の外周面7dとハブ部14の内周面14bとの間に形成された点で以上に示す形態と構成を異にしている。
以上の説明では、ラジアル軸受部R1、R2として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、ラジアル軸受部R1、R2として、いわゆる多円弧軸受やステップ軸受を採用しても良い。多円弧軸受やステップ軸受は、ラジアル軸受面となる領域に、それぞれ複数の円弧面や軸方向溝を設けた構成の軸受である(図示省略)。
また、以上の説明では、ラジアル軸受部R1、R2のように、ラジアル軸受部を軸方向の2箇所に設けた構成としたが、軸方向の1箇所、あるいは3箇所以上のラジアル軸受部を設けた構成としても良い。
また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、例えば、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、いわゆる波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる(図示省略)。
また、以上の説明では、ラジアル軸受部R1、R2の双方を動圧軸受で構成する形態を示したが、ラジアル軸受部R1、R2の何れか一方または双方を真円軸受で構成することもできる(図示省略)。
以上の説明では、流体軸受装置1の内部に充満し、内径部8と軸部材2との間のラジアル軸受隙間や、内径部8と軸部材2(両フランジ部9、10)との間のスラスト軸受隙間に充満される流体として潤滑油を例示したが、潤滑油以外にも、例えば空気等の気体や、磁性流体等を使用することもできる。
本発明に係る流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの断面図である。 本発明に係る流体軸受装置の断面図である。 (a)図は内径部の断面図、(b)図は内径部の上側端面を示す図、(c)図は内径部の下側端面を示す図である。 流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。 流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。 流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。 流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
4a ステータコイル
4b ロータマグネット
5 ブラケット
6 軸受部材
7 外径部
8 内径部
9 第1フランジ部
10 第2フランジ部
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S1、S2 シール空間

Claims (5)

  1. ラジアル軸受面を有する内径部、および他部材との取り付け面を有する外径部を備えた軸受部材と、ラジアル軸受面が面するラジアル軸受隙間に形成される油膜で支持すべき軸をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備える流体軸受装置において、
    軸受部材の内径部と外径部異なる樹脂で形成され、互いに対向する内径部の外周面および外径部の内周面の双方が溶融して結合していることを特徴とする流体軸受装置。
  2. 軸受部材の内径部が含油樹脂で形成された請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 含油樹脂が多孔質体である請求項2記載の流体軸受装置。
  4. 溶着により、互いに対向する内径部の外周面および外径部の内周面の双方を溶融して結合させた請求項1記載の流体軸受装置。
  5. 軸受部材の外径部が非多孔質体である請求項1記載の流体軸受装置。
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