JP5004486B2 - 炭素材料用及び耐火物用フェノール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素材料用及び耐火物用フェノール樹脂組成物に係り、特に、炭素材料や耐火物を製造する際の結合剤として、或いは、炭素材料を製造する際の原料(炭素源)として、好適に用いられ得るフェノール樹脂組成物に関するものである。
従来より、炭素材料や耐火物を製造するに際しては、一般に、各種バインダー(結合剤)が用いられているが、かかる結合剤としては、ピッチ類や、各種フェノール樹脂等が、広く用いられている。
そこにおいて、結合剤としてフェノール樹脂を用いる場合、その配合効果を有利に享受するためには、焼成後の残炭率が高いフェノール樹脂が好ましいところ、従来より公知の各種フェノール樹脂にあっては、その残炭率が58%程度と比較的低いものであった。
そのため、結合剤として有利に用いられ得る、焼成後の残炭率を向上せしめたフェノール樹脂(組成物)についての研究、開発が盛んに行なわれているのであり、例えば、特許文献1(特開平10−139845号公報)においては、ナフタレンを含む芳香族炭化水素を重縮合反応させて得られる合成樹脂にて変性したフェノール樹脂と、かかるフェノール樹脂の架橋剤としてのヘキサメチレンテトラミンとを配合してなる変性フェノール樹脂組成物が、提案されている。
しかしながら、かかる特許文献1にて提案されている変性フェノール樹脂組成物は、その残炭率は比較的高いものの、ヘキサメチレンテトラミンを含有するものであるところから、そのような変性フェノール樹脂組成物を結合剤として用いて、炭素材料や耐火物を製造する際には、ヘキサメチレンテトラミンの分解により発生するアンモニアの臭気対策を施すことが必要であった。
一方、近年、従来にはない新規な構造を有するフェノール樹脂(特殊フェノール樹脂)が種々開発されているのであり、例えば、エア・ウォーター・ベルパール株式会社製のベルパール(商品名)は、63%程度の高い残炭率を有するものであり、炭素材料や耐火物を製造する際の結合剤として、広く用いられている。
しかしながら、ベルパール(商品名)にあっては、その分子量が比較的大きく、溶融し難いフェノール樹脂であるため、炭素材料や耐火物の製造工程において、ベルパールを炭素源や耐火物粒子等に配合してなる混合物を溶融せしめると、かかるベルパール(商品名)が、結合剤として要求される流動性を十分に発揮し得ない恐れがあった。また、ベルパール等の特殊フェノール樹脂は高価なものであり、そのような高価な特殊フェノール樹脂を大量に用いて炭素材料等を製造することは、経済的な観点からも好ましいものではなかった。
特開平10−139845号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、溶融時の流動性が良好で、且つ、焼成後の残炭率が高く、炭素材料や耐火物を製造する際の結合剤として、また、炭素材料を製造する際の原料(炭素源)としても好適に用いられ得るフェノール樹脂組成物を提供することにある。
そして、本発明者等が、フェノール樹脂組成物について鋭意検討を重ねた結果、所定の2種類のフェノール樹脂を併用することによって、上述の如き課題が悉く解決されることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、(A)重量平均分子量が4000以下のレゾール型フェノール樹脂と、(B)重量平均分子量が5000以上で、且つ煮沸メタノールへの溶解度が30重量%以上である熱硬化性のフェノール樹脂とを、必須の構成成分として含有することを特徴とする炭素材料或いは耐火物を製造する結合剤、又は炭素材料を製造する原料としてのフェノール樹脂組成物を、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従うフェノール樹脂組成物における好ましい態様の一つにおいては、前記レゾール型フェノール樹脂(A)がベンジリックエーテル型レゾールである。
また、本発明のフェノール樹脂組成物における他の好ましい態様の一つにおいては、前記レゾール型フェノール樹脂(A)及び前記フェノール樹脂(B)を、レゾール型フェノール樹脂(A):フェノール樹脂(B)=20:80〜70:30の質量比にて含有することとなる。
一方、本発明は、(A)重量平均分子量が4000以下のレゾール型フェノール樹脂と、(B)重量平均分子量が5000以上で、且つ煮沸メタノールへの溶解度が30重量%以上である熱硬化性のフェノール樹脂とを、必須の構成成分として含有することを特徴とする炭素材料製造用フェノール樹脂組成物をも、その要旨とするのである。
このように、本発明のフェノール樹脂組成物にあっては、特性の異なる2種類のフェノール樹脂を必須の構成成分として含有するものであるところから、その溶融時には十分な流動性が確保されると共に、焼成後においては、高い残炭率を示すこととなり、以て、炭素材料用及び耐火物用の結合剤として、極めて有利に用いられるのである。
特に、前記レゾール型フェノール樹脂(A)として、ベンジリックエーテル型レゾールを用いると、その溶融及び焼成の際にガスの発生が有利に抑制され、結合剤の配合効果(バインダー効果)をより有利に確保できると共に、ガスの臭気による作業環境の問題も、効果的に改善され得る。
また、そのような本発明のフェノール樹脂組成物にあっては、その焼成後の残炭率が高いものであるため、炭素材料を製造する際の原料(炭素源)としても有利に用いられ得るのであり、かかるフェノール樹脂組成物を原料(炭素源)として用いることにより、高品質な炭素材料が有利に得られる。
ところで、本発明に従うフェノール樹脂組成物は、上述したように、特性の異なる2種類のフェノール樹脂(レゾール型フェノール樹脂(A)及びフェノール樹脂(B))を必須の構成成分とするものである。
そこにおいて、レゾール型フェノール樹脂(A)としては、従来より公知の各種レゾール型フェノール樹脂であって、その重量平均分子量が4000以下のものであれば、如何なるものであっても用いることが可能である。本発明においては、かかる所定の重量平均分子量を有するレゾール型フェノール樹脂の中でも、その分子内にベンジリックエーテル結合を有するベンジリックエーテル型レゾールが有利に用いられ、更に有利には、フェノール核結合官能基として、メチレン基、メチロール基及びジメチレンエーテル基を有するベンジリックエーテル型レゾールであって、メチロール基が10〜20モル%の割合において存在すると共に、ジメチレンエーテル基が40〜60モル%の割合において存在するものが、用いられる。これらは、NMRによるフェノール核結合官能基の比率によって求められる。このようなベンジリックエーテル型レゾールを用いることにより、炭素材料や耐火物を製造する際におけるガスの発生が効果的に抑制され、結合剤としての効果がより有利に発揮され得ると共に、不快な臭気を感じることのない、良好な作業環境が確保されることとなる。なお、フェノール樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算で算出することが出来る。
なお、本発明において用いられるベンジリックエーテル型レゾールは、上述したように、その重量平均分子量が4000以下のものであれば、その製法を問わず、如何なるものであっても用いることが可能であるが、かかるベンジリックエーテル型レゾールを有利に製造し得る方法の一つとして、反応触媒の存在下、フェノール類とアルデヒド類とを、フェノール類の1モルに対して、アルデヒド類が、一般に、0.5〜3.0モルの割合となるようにして、付加・縮合反応せしめる方法を、例示することが出来る。
また、上記したフェノール類とアルデヒド類との付加・縮合反応の際に用いられる触媒としては、特に限定されるものではなく、従来からベンジリックエーテル型レゾールの製造に用いられている各種の触媒の中から、所望とするフェノール樹脂の平均分子量等に応じたものが、適宜に選択されて、用いられる。それら公知の触媒の中でも、例えば、スズ、鉛、亜鉛、コバルト、マンガン、ニッケル等の金属元素を有する金属塩のうちの少なくとも1種が、反応触媒として好適に採用され得るのである。より具体的に、かかる金属塩としては、例えば、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化鉛の他、このような金属塩を形成し得る酸と塩基の組合せ等が挙げられる。また、かかる金属塩を反応触媒として採用する場合に、その使用量としては、特に限定されるものではないものの、一般に、フェノール類の100質量部に対して、0.01〜5質量部となるような割合において、使用されることとなる。
他方、そのようなレゾール型フェノール樹脂(A)と共に用いられるフェノール樹脂(B)は、重量平均分子量が5000以上で、且つ煮沸メタノールへの溶解度が30重量%以上、好ましくは50重量%以上である熱硬化性のフェノール樹脂である。
ここで、かかるフェノール樹脂(B)としては、熱硬化性を有し、また、5000以上の重量平均分子量を有し、更に煮沸メタノールへの溶解度が30重量%以上のものであれば、その製法を問わず、如何なるものであっても使用することが可能である。なお、本発明において用いられるフェノール樹脂の煮沸メタノールへの溶解度は、50℃のテトラヒドロフランへの溶解度で代用することも可能である。
本発明において用いられるフェノール樹脂(B)としては、具体的には、懸濁重合法によって製造された変性ノボラック型フェノール樹脂であって、その樹脂中に硬化剤が分散されてなるユニベックス(商品名、ユニチカ株式会社製)等を例示することが出来るが、本発明においては、以下に説明する特殊フェノール樹脂が、特に有利に用いられる。
本発明におけるフェノール樹脂(B)として、特に有利に用いられる特殊フェノール樹脂とは、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物からなる微粒子状のフェノール樹脂であって、1)GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量が5000以上、また、特開平6−298888号公報に記載のH1 −NMRによる測定に基づく、2)フェノール核当量が110〜130、3)ベンゼン環1個当たりのメチレン結合の数が0.9〜1.2個、4)ベンゼン環1個当たりのメチロール基の数が0.05〜0.20個、という特徴を有するものである。このような構造的特徴を有する特殊フェノール樹脂は、特公昭62−30210号公報及び特公昭62−30211号公報にて開示されているような、反応系内の温度を所定温度以下に保った状態において、フェノール類を、塩酸と過剰のホルムアルデヒドとを含む塩酸−ホルムアルデヒド浴に接触させる手法等に従って、製造される。かかる特殊フェノール樹脂としては、鐘紡株式会社(現在はカネボウ株式会社)が開発したベルパール(商品名)を挙げることが出来、特にベルパールS(商品名)が好ましい。なお、かかるベルパール(商品名)に関する事業は、2005年3月1日付けにて、カネボウ株式会社からエア・ウォーター・ベルパール株式会社に事業譲渡されている。
そして、上述の如きレゾール型フェノール樹脂(A)とフェノール樹脂(B)とを、所定の割合において配合し、均一となるように混合せしめることにより、本発明に従うフェノール樹脂組成物が得られるのである。
すなわち、そのような特性の異なる2種類のフェノール樹脂を併用する本発明のフェノール樹脂組成物にあっては、その溶融時においては十分な流動性が確保されると共に、その焼成後には高い残炭率を示すこととなり、以て、炭素材料や耐火物を製造する際の結合剤として、また、炭素材料を製造する際の原料として、好適に用いられ得るものとなっているのである。
ここで、レゾール型フェノール樹脂(A)とフェノール樹脂(B)との配合割合は、質量比において、レゾール型フェノール樹脂(A):フェノール樹脂(B)=20:80〜70:30の範囲内となるように、設定される。本発明のフェノール樹脂組成物中のフェノール樹脂:100質量部におけるレゾール型フェノール樹脂(A)の割合が20質量%未満、換言すれば、フェノール樹脂(B)の割合が80質量%を超えると、かかるフェノール樹脂組成物を溶融した際に、その流動性が十分に確保されず、結合剤としての効果を発揮し得ないおそれがあり、その一方、レゾール型フェノール樹脂(A)の割合が70質量%を超える(フェノール樹脂(B)の割合が30質量%未満となる)と、焼成後の残炭率が低くなるおそれがあるからである。
また、フェノール樹脂(A)及び(B)を混合するに際しては、それらフェノール樹脂は、固体状のもの、液体状のもの、或いは、所定の溶媒に分散せしめた状態のもの等、何れをも用いることが可能であり、フェノール樹脂(A)及び(B)の状態に応じた公知の混合手法に従って、フェノール樹脂(A)及び(B)は混合される。なお、本発明に係るフェノール樹脂組成物を、炭素材料用又は耐火物用の結合剤として用いる場合には、必ずしも、炭素材料等の原料となる混合物を調製するに先立ってフェノール樹脂組成物を調製する必要はなく、かかる混合物を調製する際に、炭素源或いは耐火物粒子(及び、必要に応じてその他の添加成分)に、上述の如きフェノール樹脂(A)及び(B)を配合して、原料となる混合物を調製することも可能である。
具体的には、本発明に係るフェノール樹脂組成物を結合剤として用いて、炭素材料を製造するに際しては、例えば、コークス等の粉末(炭素源)と本発明のフェノール樹脂組成物とを配合し、混合した後、得られた混合物を用いて所定の成形体を作製し、更に、かかる成形体を焼成することにより、製造される。炭素繊維を炭素源として用いて、特に炭素−炭素複合材料と称される炭素材料にあっても、所定の溶媒に溶解せしめた本発明のフェノール樹脂組成物を炭素繊維に含浸させ、かかる含浸した炭素繊維を所定の成形法に従って成形し、得られた成形体を焼成することにより、製造される。
同様に、耐火物を製造するに際しては、天然又は人工の耐火性粒子と本発明のフェノール樹脂組成物とを配合し、混合した後、得られた混合物を用いて所定の成形体を作製し、更に、かかる成形体を焼成することにより、製造される。
一方、本発明のフェノール樹脂組成物を用いて炭素材料を製造するに際しては、本発明のフェノール樹脂組成物を、還元雰囲気下等の所定の焼成条件に従って焼成することによって、製造されるのである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、本実施例で使用するフェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)及び得られた各フェノール樹脂組成物の特性は、以下のようにして測定、或いは評価した。
〔重量平均分子量(Mw)〕
東ソー株式会社製ゲル濾過クロマトグラフSC−8020シリーズ・ビルドアップシステム(カラム:G2000HXL+G4000HXL、検出器:UV254nm、キャリヤ:テトラヒドロフラン1mL/分、カラム温度:38℃)を用いたGPC測定によって、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
〔硬化時のガス量の評価〕
フェノール樹脂組成物が硬化する際に発生するガス量については、加熱時の質量減少率(%)を測定することにより、評価した。具体的には、秤量したPt容器内に、秤量したフェノール樹脂組成物を収容せしめ、TG−DTA(理学電機株式会社製)を用いて、空気雰囲気下にて、かかるPt容器を室温から100℃まで、10℃/minの昇温速度にて昇温し、100℃で10分間保持した後、引き続き200℃まで10℃/minの昇温速度にて昇温し、200℃で10分間保持した時の、室温から100℃×10分保持後までの質量減少率(%)と、100℃×10分保持後から200℃×10分保持後までの質量減少率(%)とを求め、下記式1より算出した。この数値が0に近いほど、硬化の際に発生するガス量が少ないことを意味する。
Figure 0005004486
〔溶融時の流動性〕
JIS−K−6911の「5.3.2 円板式流れ性」に準じて、以下のようにして測定した。具体的には、得られたフェノール樹脂組成物と黒鉛粉末とを、フェノール樹脂組成物:黒鉛粉末=4:6(質量比)の割合において混合し、得られた混合物の5gを400kg重にて圧縮成形することにより、直径:25mmのタブレット状の試験片を得た。かかる試験片を、加熱温度:160℃、圧力:254.2kgf/cm2 の条件にて3分間、圧縮し、圧縮後の試験片における光沢部分の長さを測定した。かかる長さが長いほど、フェノール樹脂組成物の溶融時における流動性が優れていることを意味する。
〔硬化時の臭気の評価〕
タブレット状の試験片を圧縮して流動性を評価した際の臭気について、以下の評価方法及び評価基準に基づく官能試験により評価した。具体的には、試験片を圧縮した際の臭気を、室温:20℃、相対湿度:60%の環境下において、15名の臭気パネラー(男性:10名、女性:5名)が、以下の基準に基づいて官能評価をし、得られた官能評価レベルの平均レベルによって評価した。なお、下記の各表中の◎等の記号は、以下の基準を表わすものである。
[評価基準]
◎:臭気がほとんど感じられない。
○:臭気をやや感じるが、実用上支障はない。
△:やや強い臭気を感じる。
×:非常に強い臭気を感じる。
〔残炭率の測定〕
秤量したPt容器内に、秤量したフェノール樹脂組成物を収容せしめ、TG−DTAを用いて、窒素雰囲気下(窒素流量:75mL/min)で、かかるPt容器を、室温から830℃まで、10℃/minの昇温速度にて昇温しながら、Pt容器全体の質量の変化を測定し、昇温前のPt容器全体の質量に対する、温度:800℃におけるPt容器全体の質量の割合(%)を算出して、残炭率とした。
−実施例1〜実施例3、比較例1及び比較例2−
レゾール型フェノール樹脂(A)としてベンジリックエーテル型レゾール(BE型レゾール、旭有機材工業株式会社製、重量平均分子量:3100)を、また、フェノール樹脂(B)としてベルパールS890(商品名、エア・ウォーター・ベルパール株式会社製、重量平均分子量:10000、煮沸メタノールへの溶解度:95重量%)を用いて、それらを下記表1に掲げる各割合にて配合することにより、3種類のフェノール樹脂組成物(実施例1〜実施例3)を得た。一方、BE型レゾールのみからなるフェノール樹脂組成物(比較例1)、及びベルパールS890(商品名)のみからなるフェノール樹脂組成物(比較例2)も準備した。各フェノール樹脂組成物の特性を、上述の如き手法に従って評価した。その結果を、下記表1に併せて示す。
Figure 0005004486
かかる表1の結果からも明らかなように、本発明の如く、異なる2種類のフェノール樹脂(フェノール樹脂(A)、(B))を併用して、それらが20:80〜70:30(質量比)の範囲内において配合されてなるフェノール樹脂組成物(実施例1〜実施例3)にあっては、溶融時の流動性が良好で、且つ焼成後の残炭率も高く、更に、その硬化の際にはガスの発生量が少なく、不快な臭気も感じられなかった。これに対して、レゾール型フェノール樹脂(A)(BE型レゾール)のみからなる樹脂組成物(比較例1)にあっては、溶融時の流動性は良好であるものの、焼成後の残炭率は低く、また、その硬化の際には比較的多量のガスが発生して、特有の臭気が感じられ、一方、フェノール樹脂(B)(ベルパールS890、商品名)のみからなる樹脂組成物(比較例2)は、溶融時の流動性が十分なものではないことが、認められた。
−実施例4〜実施例6、比較例3−
レゾール型フェノール樹脂(A)として、上記と同様のBE型レゾールを用いる一方、それ以外のフェノール樹脂として、下記表2に掲げるベルパールS870、ベルパールS890、ベルパールS899、ベルパールR800(何れも商品名、エア・ウォーター・ベルパール株式会社製)の何れか1種を用いて、それらを下記表2に掲げる割合において配合して、4種類のフェノール樹脂組成物(実施例4〜実施例6、比較例3)を得た。なお、実施例5は、前述した実施例2と同一組成のものである。各フェノール樹脂組成物の特性を、上述の如き手法に従って評価した。その結果を、下記表2に併せて示す。
Figure 0005004486
かかる表2の結果からも明らかなように、BE型レゾールと共に、煮沸メタノールへの溶解度が30重量%未満であるベルパールR800(商品名)を用いたフェノール樹脂組成物(比較例3)にあっては、溶融時の流動性が十分なものでないことが確認された。
−実施例7及び実施例8、比較例4及び比較例5−
フェノール樹脂(B)としてベルパールS890(商品名)を用いる一方、それ以外のフェノール樹脂として、上記と同様のBE型レゾール、又はアンモニアレゾール(旭有機材工業株式会社製、重量平均分子量:3300)を用いて、それらを下記表3に掲げる割合において配合して、2種類のフェノール樹脂組成物(実施例7及び実施例8)を得た。なお、実施例7は、前述した実施例2及び実施例5と同一組成のものである。一方、ベルパールS890(商品名)と、ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:SP1600N、重量平均分子量:6300)とを用いてなるフェノール樹脂組成物(比較例4)と、それらフェノール樹脂に、更に架橋剤としてのヘキサメチレンテトラミンを配合してなるフェノール樹脂組成物(比較例5)を準備した。各フェノール樹脂組成物の特性を上述の如き手法に従って評価し、その結果を、下記表3に併せて示す。
Figure 0005004486
かかる表3の結果からも明らかなように、本発明の範囲外のフェノール樹脂を組み合わせてなる樹脂組成物(比較例4、比較例5)にあっては、溶融時の流動性、或いは焼成後の残炭率の何れかにおいて十分なものではないことが確認された。これに対して、本発明に従うフェノール樹脂組成物の中でも、レゾール型フェノール樹脂(A)としてBE型レゾールを用いてなるもの(実施例7)は、特に、溶融時の流動性、焼成後の残炭率、ガス発生量、臭気の有無の何れにおいても優れていることが、認められたのである。

Claims (4)

  1. (A)重量平均分子量が4000以下のレゾール型フェノール樹脂と、(B)重量平均分子量が5000以上で、且つ煮沸メタノールへの溶解度が30重量%以上である熱硬化性のフェノール樹脂とを、必須の構成成分として含有することを特徴とする炭素材料或いは耐火物を製造する結合剤、又は炭素材料を製造する原料としてのフェノール樹脂組成物。
  2. 前記レゾール型フェノール樹脂(A)が、ベンジリックエーテル型レゾールであることを特徴とする請求項1に記載のフェノール樹脂組成物。
  3. 前記レゾール型フェノール樹脂(A)及び前記フェノール樹脂(B)を、レゾール型フェノール樹脂(A):フェノール樹脂(B)=20:80〜70:30の質量比にて含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフェノール樹脂組成物。
  4. (A)重量平均分子量が4000以下のレゾール型フェノール樹脂と、(B)重量平均分子量が5000以上で、且つ煮沸メタノールへの溶解度が30重量%以上である熱硬化性のフェノール樹脂とを、必須の構成成分として含有することを特徴とする炭素材料製造用フェノール樹脂組成物。
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