JP5002930B2 - 低臭気エマルションの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、乳化重合法により得られる重合体エマルションより揮発性有機化合物を効率よく除去して、低コストで低臭気のエマルションを製造する方法に関するものである。
スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ブタジエン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル(以下、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを総称して(メタ)アクリル酸エステルという)等の単量体を水性媒体中で乳化重合法により共重合して得られる重合体エマルション(以下、単にエマルションという)は、塗料、接着剤、粘着剤等の原料として広く利用されている。
かかるエマルションには、通常未重合の単量体や重合中に発生する分解物を主成分とする揮発性有機化合物が微量含まれており、悪臭を発生して環境を汚染したり、毒性を有するため取り扱い作業者の健康問題を引き起こしたりしていた。
エマルションから揮発性有機化合物を除去する方法としては、加圧水蒸気を吹き込み、水蒸気とともに揮発性有機化合物を追い出す方法(特許文献1、特許文献2)、段塔型ストリッパーの上部からエマルションを供給しながら下方から加圧水蒸気を供給する方法(特許文献3)、及びエチレン系共重合体より未重合単量体を除去する方法(特許文献4)等が提案されている。
特開2002−60415公報 特開昭53−41387号公報 特開昭58−213003号公報 特開昭59−187009号公報 特許文献1は、酢酸ビニル単量体を乳化重合して得られるエマルションを対象として、揮発性成分の含有量を測定機器の検出下限以下にまで低減できる方法が開示されている。特許文献2、3に記載の発明は、揮発性有機化合物の含有量が数千ppm程度の水準にあるエマルションを処理対象とし、揮発性有機化合物の含有量を1000ppm以下に低減させることを目的としている。更に特許文献3は、段搭型ストリッパーという特殊な装置を用いて除去する方法を開示している。一方、特許文献4には低沸点であって常温でガス状の単量体であるエチレンを共重合したエマルションの処理方法が開示されている。
特許文献1においては、揮発性有機化合物の含有量を低減させるために極めて長時間を要しており、具体的には各実施例においていずれも48時間も要していた。また、特許文献2に記載の方法では、エマルション中の揮発性有機化合物の濃度を200ppm以下のように微量にすることは極めて困難であった。一方、特許文献3は特殊な除去装置を使用しなければならず汎用性に欠けていた。特許文献4は、揮発性有機物が常温でガス状のエチレン単量体(沸点が−103℃)、塩化ビニル単量体(−14℃)であって、除去が極めて容易である。
本発明においては、沸点が50℃以上の単量体からなるエマルションを、簡便な装置で長時間を掛けることなく処理して、該エマルション中の揮発性有機化合物の濃度が200ppm以下になる方法を提供することを課題にした。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕沸点が50℃以上からなる単量体を乳化重合することによって得られたエマルションを、加熱処理容器または熱交換器で予め60〜95℃に予備加熱をおこなった後、該エマルションを脱臭処理槽に連続的に供給し、同槽内に貯えられた該エマルションに加圧水蒸気を吹き込み、水蒸気とともに揮発性有機化合物を除去した後、供給速度と等速で該エマルションを抜き出すことを特徴とする低臭気エマルションの製造方法。
〔2〕脱臭処理槽に供給する前におけるエマルション中の揮発性有機化合物の濃度が500ppm以下である〔1〕に記載の低臭気エマルションの製造方法。
〔3〕加熱処理容器において、エマルションに加圧水蒸気を供給し、かつ該容器内を水が沸騰する圧力に維持して、水蒸気とともに揮発性有機化合物を予備的に除去する〔1〕乃至〔2〕のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
〔4〕加熱処理容器において、該容器内の気相部の圧力を7〜85KPaにして、エマルションの脱泡をおこなうことを特徴にする〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
〔5〕脱臭処理槽において、40〜95℃かつ該槽内の気相部の圧力を水が沸騰する圧力に維持しながら加圧水蒸気を供給し、水蒸気とともに揮発性有機化合物を蒸発させることによりエマルションより揮発性有機化合物を除去する〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
〔6〕脱臭処理槽より抜き出した脱臭後のエマルション中の揮発性有機化合物の濃度が200ppm以下である〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
〔7〕脱臭処理槽におけるエマルションの滞留時間が1〜8時間である〔1〕乃至〔6〕のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
〔8〕該エマルションが、酢酸ビニルを含む単量体成分を乳化重合することによって得られたものである〔1〕乃至〔7〕のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
〔9〕該エマルションが、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを含む単量体成分を乳化重合することによって得られたものである〔1〕乃至〔7〕のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
である。
本発明によれば、特殊な処理装置を用いることなく、処理時間が10時間以内という短期間に、揮発性有機化合物の濃度が200ppm以下のエマルションを製造することができる。さらに、本発明によって製造されたエマルションは、臭気がほとんどないために環境問題や安全衛生問題に優れ、品質が良いのみならず、生産性や製造コスト面でも優れている。
本発明では、エマルションに対し、加熱処理容器または熱交換器で予め60〜95℃に予備加熱する工程(以下、工程(1)という)をおこなった後に、該エマルションを脱臭処理槽に連続的に供給し、同槽内に貯えられた該エマルションに加圧水蒸気を吹き込み、水蒸気とともに揮発性有機化合物を除去した後、供給速度と等速で該エマルションを抜き出す工程(以下、工程(2)という)をおこなう。
本発明で工程(1)をおこなう理由は、予備加熱していないエマルションを工程(2)に供給すると、該工程においてエマルションの凝集や皮張りが発生し、エマルションの安定性の低下や粒子径の増大、処理時間の増加、脱臭能力の減少等を引き起こすためである。
工程(1)における加熱には、加熱処理容器を用いたバッチ処理や、熱交換器を用いたライン加熱による連続処理を用いることができる。
加熱処理容器を使用する場合は、少なくとも攪拌機、温度計(熱電対)を備えることが好ましく、脱泡のための脱気装置を備えることがより好ましい。予備脱臭のための加圧水蒸気吹き込み口を備えることがさらに好ましい。
工程(1)で加熱したエマルション中の揮発性有機化合物の濃度は、工程(2)に供給する前において500ppm以下であることが、工程(2)で効率よく脱臭するために好ましい。さらに好ましくは300ppm以下である。
乳化重合で得られたエマルションが上記の濃度を超える場合は、加熱処理容器で予備脱臭するのが好ましい。 工程(1)における加熱処理容器での予備脱臭は、該容器にエマルションを仕込み、温度60〜95℃かつ圧力7〜85KPaで、該容器内を水が沸騰する状態に維持して、加圧水蒸気を供給することによりおこなう。エマルションに含まれる揮発性有機化合物は、供給された加圧水蒸気の量と釣り合う分だけ、過剰の水蒸気とともに容器外に排出される。その際、該容器内の気相部を排気ポンプにより排気して減圧にすることにより、揮発性有機化合物と水蒸気をスムーズに系外に除去できる。該容器と排気ポンプの中間にコンデンサーを設けることにより排気したガスを凝縮することが好ましい。該容器の気相部の具体的な圧力は7〜85KPaが好ましく、12〜48KPaがより好ましい。
工程(1)において、加熱処理用容器は加熱用ジャケットで加熱することが好ましい。その際、エマルションの温度を60〜95℃にすることが必要である。エマルションの温度が95℃を超えると、エマルションの分散安定性が破壊され、該容器の壁面で著しい量の重合体皮膜が発生し、容器内温度のバラツキや攪拌不良を引き起こす。温度が40℃未満では予備加熱が足りず、工程(2)に供給した後でトラブルが生じる。
工程(1)において、該容器で予備脱臭を同時におこなう場合でも、エマルションの温度を40〜95℃にすることが必要である。40℃未満では揮発性有機化合物の除去効率が低下する。95℃を超えると前記のようにエマルションの安定性が低下する。好ましい温度は50〜80℃である。
予備脱臭における加圧水蒸気の供給時間は30分〜8時間が好ましく、1〜6時間がより好ましい。供給時間が8時間を越えるとエマルションの分散安定性が低下して凝集が起こる懸念が生じ、30分未満ではエマルションが所定の温度に達せず、エマルション中の揮発性有機化合物が所定量まで低減されない懸念がある。
加圧水蒸気としては、圧力49KPa(0.5Kg/cm)〜150KPa(1.5Kg/cm2)、温度120〜150℃程度の水蒸気が好ましく使用できる。加圧水蒸気の量が多量になるとコストが高くなり、少量であると揮発性有機化合物の除去が困難になる。
本発明では、工程(1)で予備加熱をおこなったエマルションは、配管を通って工程(2)に送られる。
工程(1)で予備脱臭をおこなった場合は、そのまま工程(2)に送っても良いが、一旦エマルションを別の容器に貯蔵してから工程(2)に供給することも可能である。貯蔵によりエマルションの温度が低下する場合は、該エマルションを所定温度まで加熱して使用することができる。加熱は一時的に貯蔵した容器でおこなっても良いし、熱交換器を通過させることによりライン加熱をおこなっても良い。
かかる熱交換器としては、特に限定されないが、例えばプレート式熱交換器が挙げられる。
工程(1)では、加熱処理容器の気相部の圧力を7〜85KPaまで減圧して、エマルションの脱泡をおこなうことができる。かかる場合は攪拌することが好ましいが、過剰の攪拌は突沸等を招く。その際は消泡剤を適量使用しても良い。好ましい消泡剤としては、例えばサンノプコ(株)商品名SNデフォーマーPC等のポリエーテル系消泡剤およびシリコーン系消泡剤が挙げられる。予備脱臭をおこなう場合はその工程中で脱気するため、改めて脱泡する必要はない。
本発明の工程(2)では、工程(1)で加熱したエマルション(必要により予備脱臭もおこなったエマルション)を連続的に脱臭処理槽に供給し、加圧水蒸気により本格的な脱臭処理をおこないながら供給量と同量のエマルションを連続的に抜き出す。
以下に工程(2)の条件を具体的に述べる。
工程(2)において処理槽内に加圧水蒸気を導入する際には、槽内に溜められた該エマルション中に直接吹き込むことが好ましい。これによりエマルションの粒子を破壊せずに、該粒子中の揮発性有機化合物を効率よく除去することができる。
槽内に溜められた該エマルション中に加圧水蒸気を吹き込み、これによって分離した揮発性有機化合物及び供給分と等量の水蒸気を系外に除去する。このためには、処理槽には排気ポンプが備えてあり、該ポンプで処理槽の上部の気相部より排気して減圧にすることが好ましい。排気される揮発性有機化合物及び水蒸気の除去方法は、特に限定されないが、処理槽と排気ポンプの中間の位置に設けられるコンデーサーで凝縮して除去することが好ましい。
工程(2)において処理槽内のエマルションは、水蒸気処理の期間一定の温度を維持するために、加温用ジャケットで加熱される。かかる際の処理槽内の温度は40〜95℃にする。槽内温度が95℃を超えると槽内壁面に大量の重合体皮膜が発生し、槽内の温度が不均一になって温度コントロールができなくなる。これによりエマルションの分散安定性が破壊されて品質低下や固形分低下を生ずる。槽内温度が40℃未満であると、揮発性有機化合物の除去効率が低下して臭気を除くことができなくなる。好ましい温度は50〜80℃である。
本発明においては、前記のように、水蒸気処理中に処理槽内の気体を排気ポンプで系外に排気することにより、上記の槽内温度において槽内が飽和水蒸気圧すなわち槽内の水分が沸騰している状態となるようにすることが必要である。処理槽内の気相部の具体的な圧力は7KPa〜85KPaの範囲が好ましく、12KPa〜47KPaの範囲がより好ましい。
この加圧水蒸気の好ましい割合は、該処理槽に供給するエマルション100質量部に対し5〜60質量部である。更に好ましい割合は、エマルション100重量部に対し15〜50質量部である。加圧水蒸気としては、工程(1)の予備脱臭と同様に圧力49KPa〜150KPa、温度120〜150℃程度の水蒸気が好ましく使用できる。
加圧水蒸気の量が多量になるとコストが高くなり実用的でなく、一方、加圧水蒸気の量が少なすぎると揮発性物質の除去が困難になる。
工程(2)において該処理槽の内容積に対してエマルションの供給量を選択することにより、エマルションの平均滞留時間(以下、滞留時間という)を適宜選択することができる。工程(2)におけるエマルションの滞留時間は1〜8時間が好ましく、より好ましくは2〜6時間である。滞留時間が8時間を越えるとエマルションの品質が低下する。一方、滞留時間が1時間未満では、揮発性有機化合物の除去が不十分になる。
本発明においては、処理後におけるエマルション中の揮発性有機化合物の濃度が200ppm以下となるように水蒸気処理をおこなうのが好ましい。かかる処理によってもなお該エマルション中に残留する揮発性有機化合物の量はガスクロマトグラフィーを用いて分析することができる。該エマルション中の揮発性有機化合物の濃度は150ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましい。
工程(2)においても、発泡を抑えるために消泡剤を適量使用してもよい。かかる消泡剤は、工程(1)で使用した物と同一であっても異なっても良い。
本発明において揮発性有機化合物を除去する対象となるエマルションとしては、沸点が50℃以上の単量体のみからなる単量体を乳化重合して得られるエマルションである。
本発明で使用する単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルおよび(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、酢酸ビニル、マレイン酸エステル、バーサチック酸ビニルなどの高級ビニルエステル等のビニル単量体であって沸点が50℃以上のものが例示される。
沸点が50℃未満の単量体を使用する場合は、公知の方法によって脱臭が可能であるため、本発明の方法を使用する価値がない。
本発明のエマルションは、上記単量体を水性媒体中で乳化重合して得られる。
塗料、粘着剤、バインダーや接着剤等の塗装作業に使用される乳化重合体としては、ガラス転移温度が−80℃〜80℃の共重合体が使用される。光沢、接着性や塗工性が良い点から酢酸ビニルを含む単量体成分を乳化重合することによって得られたエマルションが好ましい。また、光沢、耐水性や耐候性が良い点から(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を乳化重合することによって得られたエマルションが好ましい。酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体も接着性が良い点から使用可能である。
エマルションにおける固形分濃度は、15〜70質量%が好ましい。固形分が少ないと必要な重合体に対して処理に要するエマルションの量が多く生産効率が悪い。固形分が高すぎると揮発性有機化合物が除去し難い。エマルションの安定性と処理効率の点から、30〜60質量%がより好ましい。
エマルションに含まれる揮発性有機化合物としては、未重合単量体および重合中に加水分解等によって生成したアルコール類が挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下における「部」は「質量部」を意味する。
・ 製造例
撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を装着した反応容器に、水600部を投入し、87℃に維持した。滴下槽には、水300部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム43部、メタクリル酸メチル150部、アクリル酸ブチル500部、スチレン340部およびメタクリル酸10部を投入し撹拌して乳化液を作成した。この乳化液と重合開始剤(過硫酸アンモニウム)5%水溶液60部を、反応容器に4時間かけて連続滴下して乳化重合させた後、さらに1.5時間熟成した。熟成中には過硫酸アンモニウム5%水溶液を40部添加し、固形分50質量%のエマルションを得た。
該エマルションの揮発性有機化合物の含有量は910ppm(ガスクロマトグラフ測定)であり、主な物質はアクリル酸ブチルおよびブタノールであった。
・ 実施例1
製造例で得られたエマルション用いて水蒸気処理を行った。
加熱処理容器及び脱臭処理槽としては、撹拌機、排気装置、温度計を備えた3リットルの内容積を有するものを用いた。加熱処理容器に製造例で得たエマルションを一括して750g仕込み、工程(1)の予備脱臭をおこなった(所定の温度と圧力で加圧水蒸気を吹き込み、容器内圧力が飽和水蒸気圧になるように排気装置を稼動させた水分を沸騰状態にさせた)。その後直ちに、エマルションを工程(2)の脱臭処理槽に連続的に供給し、加圧水蒸気で処理して本格脱臭の処理をおこない、処理後のエマルションを等量で抜き出した。なお、水蒸気に関しては、供給量と同量を槽外に排出し、コンデンサーで水に凝縮させて除去した。
工程(1)の予備脱臭及び工程(2)の本格脱臭における加熱水蒸気処理の条件(エマルションの滞留時間、水蒸気の供給量およびエマルション温度等)は表1、処理によって得られるエマルション中の揮発性有機化合物濃度は表2に記載のとおりである。
○実施例2
製造例で得られたエマルションを用い、工程(1)の予備脱臭時間および工程(2)の加圧水蒸気供給量を変える以外は実施例1と同様に処理をおこなった。処理条件は表1、処理によって得られたエマルション中の揮発性有機化合物の濃度は表2に記載のとおりである。
○実施例3
製造例で得られたエマルションを用い、工程(1)の予備脱臭時の水蒸気供給量、並びに工程(2)のエマルション供給量及び滞留時間を変更する以外実施例2と同様に処理をおこなった。処理条件は表1、処理によって得られるエマルション中の揮発性有機化合物の濃度は表2に記載のとおりである。
○実施例4
製造例で得られたエマルションに更に過硫酸アンモニウム5%水溶液を40部添加し、5時間熟成をおこなって、揮発性有機化合物の含有量が450ppm(ガスクロマトグラフ測定)のエマルションを得た。主な揮発性有機化合物はアクリル酸ブチルおよびブタノールであった。
次いで、該エマルションを67℃になるように攪拌しながら3時間加熱した後(予備脱臭はおこなわなかったがメタクリル酸メチルが微量減少した。)、工程(2)をおこなった。処理条件は表1、処理によって得られるエマルション中の揮発性有機化合物の濃度は表2に記載のとおりである。
比較例1
製造例の方法によって得られたエマルションを用いて、処理条件を変えて実施例1と同様な脱臭処理を行った。処理条件は表1に、エマルション中の揮発性有機化合物の濃度は表2に記載のとおりである。
実施例1との違いは、工程(1)のエマルション温度、容器内圧力及び水蒸気供給量、工程(2)の水蒸気供給量及びエマルション温度である。処理条件は表1に、エマルション中の揮発性有機化合物の濃度は表2に記載のとおりである。
Figure 0005002930
Figure 0005002930
表1および表2から明らかなように、本発明によれば、エマルション中の揮発性有機化合物が極めて少ない低臭気エマルションが、通常の装置で容易に得られる。

本発明によれば、人体に有害な揮発性有機化合物の含有量が少なく環境に優しくかつ安全であって、品質も良好なエマルションが安価かつ容易に得られる。かかるエマルションは、塗料や接着剤、粘着剤、繊維バインダー等の環境面、安全面、品質面に対する要求が厳しい用途に、広範囲に使用できる。

Claims (9)

  1. 沸点が50℃以上からなる単量体を乳化重合することによって得られたエマルションを、加熱処理容器または熱交換器で予め60〜95℃に予備加熱をおこなった後、該エマルションを脱臭処理槽に連続的に供給し、同槽内に貯えられた該エマルションに加圧水蒸気を吹き込み、水蒸気とともに揮発性有機化合物を除去した後、供給速度と等速で該エマルションを抜き出すことを特徴とする低臭気エマルションの製造方法。
  2. 脱臭処理槽に供給する前におけるエマルション中の揮発性有機化合物の濃度が500ppm以下である請求項1に記載の低臭気エマルションの製造方法。
  3. 加熱処理容器において、エマルションに加圧水蒸気を供給し、かつ該容器内を水が沸騰する圧力に維持して、水蒸気とともに揮発性有機化合物を予備的に除去する請求項1乃至2のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
  4. 加熱処理容器において、該容器内の気相部の圧力を7〜85KPaにして、エマルションの脱泡をおこなうことを特徴にする請求項1乃至3のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
  5. 脱臭処理槽において、40〜95℃かつ該槽内の気相部の圧力を水が沸騰する圧力に維持しながら加圧水蒸気を供給し、水蒸気とともに揮発性有機化合物を蒸発させることによりエマルションより揮発性有機化合物を除去する請求項1乃至4のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
  6. 脱臭処理槽より抜き出した脱臭後のエマルション中の揮発性有機化合物の濃度が200ppm以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
  7. 脱臭処理槽におけるエマルションの滞留時間が1〜8時間である請求項1乃至6のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
  8. 該エマルションが、酢酸ビニルを含む単量体成分を乳化重合することによって得られたものである請求項1乃至7のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
  9. 該エマルションが、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを含む単量体成分を乳化重合することによって得られたものである請求項1乃至7のいずれかに記載の低臭気エマルションの製造方法。
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