JP5002811B2 - 多変数モデル解析システム、方法、プログラム、およびプログラム媒体 - Google Patents

多変数モデル解析システム、方法、プログラム、およびプログラム媒体 Download PDF

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Description

本発明は、複数の変数と特性値との関係を解析することにより、解析モデルに内在する基本的な因果関係等の設計原理を抽出する多変数モデル解析システム、方法、プログラム、およびプログラム媒体に関する。
近年のコンピュータ技術の発達に伴い、多くの分野においてシミュレーションシステム、CAE(Computer−Aided Engineering)が広く用いられるようになってきた。例えば、自動車設計の分野においては、自動車の個々の部分の理論式を組み合わせることにより自動車全体の理論式を構築し、この理論式を用いたシミュレーションに基づき設計を行っていた。理論式は、構造体の材質、大きさ、形状等の設計変数と、乗り心地、雑音等の特性値との関係式により表されるものである。この理論式を用いて特性値のシミュレーションを行うことにより、所望の設計変数を決定していた。
しかしながら、自動車のサスペンションのように複雑な構造体においては、設計変数の数が多くなり、理論式も極めて複雑なものとなってしまう。このようにして決定された理論式を用いてシミュレーションを行ったとしても、所望の特性値を得るために設計変数をどのように決定すべきかを判断するのは極めて困難である。自動車設計においては、操縦安定性、乗り心地等の特性値は、複数の設計変数が複雑に絡み合って決定され、また、特性値同士のトレードオフの関係にあり、これらの特性値、設計変数の決定は容易ではない。
さらに、複雑な構造体の場合には、設計変数の数もおよび複雑な理論式を有するモデルシミュレーションを行うには、膨大な計算量と時間を必要とし、設計時間および開発コストの増大という問題が生じていた。
従来の解析システムとして、例えば特開2002−356106号公報に記載されたシステムが案出されている。このシステムは、設計対象となるタイヤをモデル化する手段と、車両および走行条件等を変数として入力する手段と、入力された変数に基づきモデル化されたタイヤの走行をシミュレーションする手段とを備えて構成されている。すなわち、このシステムは、設計対象となるタイヤをモデル化し、実際の走行状態、車両の構造等の多くの変数を定めることにより、精密なシミュレーションを行うことを目的としたものである。
しかしながら、変数の数が多くなるほど、設計モデルの理論式は複雑となり、変数と特性値との関係を理解するのは設計者にとっては容易なことではない。すなわち、複雑な理論式から設計モデルに内在する設計原理を把握するのが困難となる。また、理論式が複雑になれば、シミュレーションに要する計算量および時間も膨大になり、設計期間および開発コストが増大してしまうという問題も生じる。なお、ここでの「設計原理」とは、設計モデルに内在する、作用、特性、各要因間の基本的な因果関係等を指すものとする。例えば、車両のサスペンション構造においては、各リンクの座標等の設計変数とキャンバー角度、トー角度の特性値との間には物理的な因果関係が内在し、これらの因果関係のうち、設計者にとって把握し易いように簡単化したものを設計変数と呼ぶ。かかる因果関係を理論式によって表そうとすると、極めて複雑なものとなり、シミュレーションの計算量も膨大なものとなってしまう。 また、他の従来技術として、特開2000−315218号公報に記載された設計方法が案出されている。この方法は、構造物モデルの設計において、設計モデルの各部位の剛性評価を行うことにより感度を算出し、相対的に大きな感度を有する部位の特性を設計変数に設定することにより、最適化計算に用いる設計変数の数を削減するものである。すなわち、この方法によれば、感度の高い部位を自動選定することにより、より少ない変数で最適化計算を行うことが可能となるというものである。
しかしながら、この方法は、単に各部位の感度を参照することにより、設計変数の削減を可能ならしめるにすぎず、設計対象となるモデルに内在する設計原理を抽出するものではない。このため、設計変数と特性値とを結びつける設計原理を抽出することはできず、設計者にとっては設計の方針を把握することは困難である。
本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、多変数の解析モデルにおける設計原理を抽出することにより、高率の良いシミュレーションおよび設計を行うことのできる多変数モデル解析システム、方法、プログラム、およびプログラム媒体を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明は、各々が複数の設計変数を有するモデルを複数生成するモデル生成部と、与えられたモデルの変数に基づき当該モデルの特性値を算出するとともに、当該モデルの変数および特性値を書き込む特性値算出部と、前記特性値が近似した複数のモデルを同一のクラスタに分類するクラスタリング部と、各クラスタにおいてモデルの設計変数同士の相関係数を算出するとともに、当該相関係数を前記メモリマップに書き込む相関係数算出部と、各クラスタにおいて相関係数が所定値を越える設計変数を前記メモリマップから抽出する抽出部とを備える。
また、前記モデル生成部は、直交表を用いて複数の設計変数を決定することによるモデルを生成する。
前記クラスタリング部は、特性値間の距離が最小となるモデル同士を同一のクラスタにクラスタリングする。
さらに、前記相関係数算出部は、前記設計変数に関連のある変量を変化させることにより、設計変数同士の相関係数を算出する。
前記抽出部は、複数のクラスタにおける前記設計変数の相関係数の平均値を算出し、当該平均値が所定値を越える設計変数を前記メモリマップから抽出する。
また、前記抽出部によって抽出された設計変数の保存および検索を行うデータベースをさらに有する。
さらに、本発明の他の態様によれば、各々が複数の変数を有するモデルを複数生成するモデル生成部と、与えられたモデルの変数に基づき当該モデルの特性値を算出するとともに、当該モデルの変数および特性値を書き込む特性値算出部と、前記特性値が類似度の高い複数のモデルを同一のクラスタに分類することによりクラスタ群を生成し、前記特性値を座標軸とする空間上に前記クラスタ群を配置するとともに、当該クラスタ群のうち、所望の特性値変化を示す直線、曲線、若しくは平面上に位置するクラスタを順にサンプリングするクラスタリング部と、前記クラスタリング部によるサンプリング順に従い、サンプリングされた各クラスタに含まれるモデルの変数の平均値がどのように変化するかを求める原理抽出部とを備える。
また、前記モデル生成部は、直交表に割り付けられた複数の要因の配列を変更することにより複数の直交表を生成し、これらの直交表を用いて複数のモデルを生成する。
本発明によれば、類似度が高く、特性値が近似した複数のモデルを同一のクラスタに分類することにより、特性値に対して大きな影響を与える設計変数の値に基づいた分類が行われる。すなわち、特性値に対する影響の少ない設計変数に対する感度を低下させることができ、特性値との結びつきの強い設計変数を把握することが可能となる。
また、設計変数同士の相関係数を算出し、相関係数の高い複数の設計変数を抽出することにより、モデルに内在する設計原理を把握することが可能となる。すなわち、相関係数の高い設計変数同士は互いに連動して特性値に影響を及ぼしていると考えられることから、このような設計変数と特性値との関係に基づき、モデルに内在する設計原理を抽出することが可能となる。
また、本発明によれば、直交表を用いてモデルの生成を行うことにより、互いに重複のない均等な値の設計変数を有するモデルを生成することができる。このため、最小限のモデル生成数により、効率の良い解析を行うことが可能となる。
さらに、複数のクラスタにおける前記設計変数の相関係数の平均値を算出し、当該平均値が所定値を越える設計変数を抽出することで、互いに連動し合いながら特性値に影響を与える設計変数を把握することができる。
図1は、本発明に係る解析システムの全体図である。
図2は、本発明に係る解析システムのハードウェアブロック図である。
図3は、本発明に係る解析システムの機能ブロック図である。
図4は、本発明に係る解析システムの動作を表すフローチャートである。
図5は、本発明に係る解析システムの動作を表すフローチャートである。
図6は、本発明に係る解析解析システムの概念図である。
図7は、本発明の第1実施例に係るダブルウィッシュボーンサスペンションの斜視図である。
図8は、本発明の第1実施例に係るダブルウィッシュボーンサスペンションの接合点を表す図である。
図9は、本発明の第1実施例に係る設計変数、特性値等を説明するための図である。
図10A、10Bは、本発明の第1実施例に係るキャンバー角およびトー角を説明するための図である。
図11は、本発明の第1実施例に係る階層化クラスタリングを表す図である。
図12は、本発明の第1実施例に係るクラスタ1のキャンバー角およびトー角のグラフである。
図13は、本発明の第1実施例に係るクラスタ6のキャンバー角およびトー角のグラフである。
図14は、本発明の第1実施例に係るクラスタ7のキャンバー角およびトー角のグラフである。
図15は、本発明の第1実施例に係るクラスタ1における設計変数同士の相関を表す図である。
図16は、本発明の第1実施例に係るクラスタ6における設計変数同士の相関を表す図である。
図17は、本発明の第1実施例に係るクラスタ7における設計変数同士の相関を表す図である。
図18は、本発明の第1実施例に係るダブルウィッシュボーンサスペンションにおける相関の強い接合点を表す図である。
図19は、本発明の第1実施例に係る相関係数の平均値を表す図である。
図20A、20B、20Cは、本発明の第1実施例に係るダブルウィッシュボーンサスペンションの設計原理を説明するための図である。
図21は、本発明の第1実施例に係るキャンバー角の特性について解析結果と実測値との比較を表すグラフである。
図22は、本発明の第1実施例に係るトー角の特性について解析結果と実測値との比較を表すグラフである。
図23は、本発明の第2実施例に係る半導体集積回路への適用例である。
図24は、本発明の第2実施例に係るインバータ回路の遅延時間を説明するためのグラフである。
図25は、本発明の第2実施例に係るMOSトランジスタの構成図である。
図26は、本発明に係る直交表を説明するための図である。
図27は、本発明に係る解析システムの動作を表わすフローチャートである。
図28は、本発明に係るクラスタのサンプリング方法を説明するための図である。
図29は、本発明に係る各クラスタの設計変数の平均値を表すグラフである。
図30は、本発明の第4実施例に係るマルチリンクサスペンションのモデルを表す図である。
図31は、本発明の第4実施例に係る設計変数の分布を表すグラフである。
図32は、本発明の第4実施例に係るクラスタリングされた設計変数を表すグラフである。
図33は、本発明の第4実施例に係る階層化クラスタリングを説明するための図である。
図34は、本発明の第4実施例に係る設計変数の具体例である。
図35は、本発明の第4実施例に係る設計変数の平均値を表す図である。
図36は、本発明の第4実施例に係るクラスタのサンプリングを説明するための図である。
図37は、本発明の第4実施例に係る設計変数の変化の傾向を表すグラフである。
図38は、本発明の第4実施例に係るクラスタのサンプリングを説明するための図である。
図39は、本発明の第4実施例に係る設計変数の変化の傾向を表すグラフである。
図40は、本発明の第4実施例に係るクラスタのサンプリングを説明するための図である。
図41は、本発明の第4実施例に係る設計変数の変化の傾向を説明するためのグラフである。
以下に、図面を参照しながら本発明の最良の実施の形態を説明する。
(全体構成)
図1に本実施形態に係る解析システムの全体構成図を示す。この解析システムは、シミュレーション端末1,エミュレータ端末2、ハードウェアインタフェース3、サーバ4、およびネットワーク5を備えて構成されている。シミュレーション端末1は、コンピュータ本体、ディスプレイ、キーボード等により構成されており、解析モデルのシミュレーションを行うとともに、設計変数のクラスタリングおよび設計変数の抽出を行う機能を有している。また、シミュレーション端末1は、抽出された設計変数に基づき解析モデルに内在する設計原理を抽出し、この情報をデータベースとし記憶可能である。これにより、ユーザからの要求に応じた所望の設計情報を検索することが可能である。
エミュレータ端末2は試作されたハードウェアの物理量を測定するためのハードウェアインタフェース3を備えている。このエミュレータ端末2はシミュレーション端末1によって算出された設計変数に基づき、HIL(Hardware In Loop)によるエミュレーション等を実行し、詳細な設計を行うために用いられる。
サーバ4は、LANまたはWAN等のネットワーク5を介してシミュレーション端末1およびエミュレーション端末2に接続されており、これらの端末1,2からの要求に応じて所定の計算処理を実行するためのものである。本実施形態においては、シミュレーション処理、データベースの検索等を上述の端末1,2に代わって実行することも可能である。サーバ4は、シミュレーション端末1によって算出された相関係数、モデルの設計原理等のシミュレーション結果をデータベースとして保存しておき、ユーザからの要求に応じて当該データベースの検索を実行する機能を備えている。
図2は、上述のシミュレーション端末1のハードウェアブロック図である。このシミュレーション端末1は、CPU(中央処理演算ユニット)101、バス102、メモリ103、HDD(ハードディスクドライブ)104,外部記憶装置105,操作インタフェース106,ビデオコントローラ107,入出力インタフェース109,NIC(ネットワークインタフェースカード)110、ディスプレイ108等により構成されている。
CPU101は、与えられた解析モデルの設計変数領域を抽出するとともに、当該設計変数領域のシミュレーション計算を実行する。バス102はデータバスおよびアドレスバスにより構成され、CPU101とメモリ等デバイスとの間でデータの受け渡しを行うためのものである。メモリ103はCPU101が解析プログラムを実行するためのワークエリア等として用いられ、HDD104は当該プログラムを保存するとともにシミュレーション結果等のデータベースを保存するために用いられる。
外部記憶装置105は、MO、CD、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R、DVD−RW等の各種記録媒体に対してデータの読み書きを行うための記憶装置である。これの記録媒体上に本実施形態に係る解析プログラムを格納する他、シミュレーション結果等を保存することが可能である。
操作インタフェース106は、キーボード、マウス等の入力デバイスとのインタフェースであり、ユーザはこれらの入力デバイスを介して解析モデルの指定、データベースの検索の指示をシミュレーション端末1に与えることができる。ビデオコントローラ107はグラフィックメモリ、3Dグラフィックコントローラ等を備え、解析モデル、シミュレーション結果のグラフ等を映像信号に変換する機能を備えている。ディスプレイ108は、CRT、液晶ディスプレイ等により構成され、ビデオコントローラからの映像信号に基づく画像を表示するためのものである。入出力インタフェース109は、USB、シリアルポート、パラレルポート等により構成され、プリンタ等の外部デバイスとシミュレーション端末1との接続のために使用される。NIC110はイーサネット(登録商標)、インターネット等とシミュレーション端末1とを接続するためのネットワークアダプタである。このNIC110を介してサーバ4からシミュレーション端末1に解析プログラムをダウンロードすることも可能である。
図3は本実施形態に係る解析システムの機能ブロック図である。この図において、理論式入力部11は解析対象となるモデルの理論式を決定するためのものである。理論式は、車両等の機械構造物、電子回路、経済現象などのシミュレーションの対象となる各種モデルを表したものであり、複数の設計変数と特性値(関数値)との関係を数式で表したものである。
モデル生成部12は、理論式入力部11により入力された理論式において設計変数の値を複数決定することにより、各種モデルを生成するためのものである。ここでは、均等で偏りのない設計変数を決定させるために、直交表を用いることとする。この直交表は、要因(設計変数)の水準をすべて均等に割り付けた表により構成されている。例えば、4要因2水準の直交表は、4つの要因の各々について1および2が均等に割り付けられた表により構成されており、この直交表を用いて4つの設計変数の各値を定めることが可能となる。このように均等な設計変数の生成のために直交表を用いるのが望ましいが、乱数により設計変数を擬似的に均等に生成しても良い。
なお、所与の直交表の各要因を並べ替えることによって複数の直交表を生成し、このようにして得られた複数の直交表を用いてサンプリングすべき設計変数の数を増やすことが可能である。並べ替えの手法としては、図26に示したように、各要因をずらす(回転させる)ことが挙げられる。例えば、8要因の直交表を順に7回転させることにより、8種類の直交表を生成でき、合計で64×8=512モデルの設計変数を均等に生成することが可能となる。すなわち、N要因の直交表に対しては、(N−1)回転させることによりN種類の直交表を生成可能である。なお、直交表の要因の配列をランダムに変更する等、他の方法により配列を変更しても良い。シミュレーション計算部10は、モデル生成部12によって生成された各々の設計変数を理論式に代入し、特性値を計算するためのものである。例えば、モデル生成部12によって128個のモデルが生成された場合には、特性値および設計変数値からなる128個のデータセットが生成されることになる。このシミュレーション計算部10は、できるだけ高精度の計算が可能であることが好ましいが、汎用のシミュレーションシステムを用いて構成可能である。上述のように、計算すべき設計変数の数は、設計変数生成部12によって限定されるため、シミュレーション計算部10の計算量を最小限に抑えることが可能となる。
クラスタリング部14は、階層化クラスタリングの手法を用いて、近似した特性値変化を有するモデル同士を分類するためのものである。複数のモデルの中には、特性値変化が互いに近似した複数のモデルが存在し、これらが一つのクラスタに分類される。すなわち、あるモデルの特性値と他のモデルの特性値との距離が各々の設計変数毎に算出され、これらの距離の総和が最も小さくなるようなモデル同士が同一のクラスタに分類される。なお、上述の最短距離法の他、群平均法などの手法を用いてクラスタリングを行うことも可能である。クラスタリング部14は、このようにして分類されたクラスタを上位のクラスタとして順に分類することにより、階層的に分類されたクラスタを生成することが可能である。
このように、特性値の近似したモデル同士を統一のクラスタに分類することにより、特性値に対する影響の大きな設計変数の値に基づいた分類を行うことができる。すなわち、特性値に対する影響の小さな設計変数の感度を低下させ、特性値に対する影響の大きな設計変数を抽出することが可能となる。
相関係数算出部13は、各クラスタにおいて設計変数同士の相関係数を算出するためのものである。例えば、設計変数に関連のある他の変量または特性値を変化させた場合に、2つの設計変数XとYは所定の変化を示す。ここで、2つの設計変数の変化の相関の有無は、以下の式の相関係数によって表すことができる。
r={(x1−x0)(y1−y0)+(x2−x0)(y2−y0)+・・・(xn−x0)(yn−y0)}/(nδxδy)
上述の式において、x0、y0はx、yの平均値を表し、δx、δyはx、yの標準偏差を表している。相関係数rは、−1≦r≦1の値となり、正の相関が強い場合にはrは1に近い値を示し、負の相関が強い場合にはrは−1に近い値を示す。
設計変数同士の相関係数が強いということは、これらの設計変数が互いに連動しながら特性値に影響を及ぼしていると考えられる。また、これらの相関し合う設計変数は、各クラスタに共通して存在するものであり、これらの設計変数がモデルに内在する設計原理に密接に関係するものである。したがって、各クラスタにおいて相関の強い変数同士を探し出すことにより、多変数モデルにおける設計原理を抽出することが可能となる。
原理抽出部15は、各クラスタに基づきモデルに内在する設計原理を抽出するためのものである。即ち、原理抽出部15は、各クラスタにおける相関係数の平均を算出し、全クラスタにおいて強い相関を有する設計変数の結びつきを求める。これらの設計変数は連動して特性値に影響を及ぼしているものであり、これらの設計変数と特性値との関係を図式化することにより、モデルに内在する設計原理を把握することが可能となる。例えば、複数の設計変数のうちの3つの設計変数が強い正の相関を有する場合には、これらの設計変数を同様に変更することにより所望の特性値を得ることが分かる。これらの設計変数と特性値との関係を図式化することで、ユーザは解析対象のモデルの設計原理を把握することが可能となる。
なお、相関係数の閾値を予め定めることにより、設計変数の抽出を自動的に行うことができる。また、抽出された設計変数と特性値との変化の関係をシミュレーション計算部10等により算出することにより、モデルに内在する設計原理を自動的に抽出することができる。
なお、相関係数等をディスプレイ等に表示することにより、設計原理の抽出処理をユーザによって行っても良い。
出力部18は、上述の処理結果をユーザに視覚的に提示するためのものである。例えば、分類されたクラスタ、各クラスタにおける設計変数同士の相関係数、および、抽出された設計変数と特性値との関係式等を表示することが可能である。また、出力部18は、ネットワークを通じて処理結果を他の端末に送信しても良い。
データベース17は、処理結果をデータベースとして記憶し、検索を可能ならしめるためのものである。すなわち、分類されたクラスタ、相関係数、抽出された設計原理等のデータをデータベース17に予め記憶しておくことにより、記憶された多数の処理データの中から所望のデータを検索し、利用することが可能となる。
メモリマップ16は、理論式入力部11,モデル生成部12,シミュレーション計算部10、相関係数算出部13、クラスタリング部14、原理抽出部15の各々における処理結果を保持するためのものである。各々の処理部はメモリマップ16を介して処理結果を他の処理部に受け渡すことが可能である。
続いて、本実施形態に係る解析システムの作用を図4及び図27のフローチャートを参照しながら説明する
<第1の解析方法>
図4に示された解析方法は、各クラスタ同士の相関係数を算出することにより、互いに特性値に影響を及ぼす複数の設計変数を探し、モデルに内在する設計原理を抽出するための方法である。
(モデルの生成)。
先ず、ユーザは解析対象となるモデルの理論式を決定し、理論式入力部11に入力する(ステップS401)。解析対象モデルが機械構造である場合には、構造各部の3次元座標等を設計変数として表し、強度、雑音等を特性値として表した理論式を決定する。また、解析対象モデルが半導体デバイスである場合には、配線間距離、電極面積等を設計変数として表し、遅延時間を特性値として表した理論式を決定することができる。さらに、経済現象のモデルの場合にも、設計変数および特性値間の理論式を決定することにより、経済現象の原理を抽出することも可能である。このように、解析対象となっているモデルは、物理モデルに限定されることなく、経済モデル等の様々なモデルでも良い。
モデル生成部12は、決定された理論式における設計変数の値を具体的に決定し、複数のモデルを生成する(ステップS402)。すなわち、モデル生成部12は直交表を用いて各々の設計変数を定めることにより、均等で重複のない複数のモデルを生成することが可能となる。なお、モデルの生成数は、例えば128個のように設計原理を抽出するのに十分な数であることが望ましい。このようにして生成されたモデルはメモリマップ16に格納される。
シミュレーション計算部10は、生成されたモデルのシミュレーションを行う(ステップS403)。すなわち、シミュレーション計算部10は、具体的に決定された設計変数の値を理論式に代入し、特性値を算出する。このようにして算出された特性値と設計変数との組み合わせは一つのデータセットとして1モデル毎にメモリマップ16に保存される。
(クラスタリング)
続いて、クラスタリング部14は、各モデルの特性値同士の距離を算出する(ステップS404)。例えば、128個のモデルの中には特性値の変化が近似したものが存在し、このような特性値同士の距離は短いものとなる。クラスタリング部14は、互いに距離の短い特性値を有するモデル同士を一つのクラスタに分類する(ステップS405)。このようにして分類された2つのモデルの各々の特性値変化は互いに近似したものとなる。さらに、クラスタリング部14は、各々のクラスタを上位のクラスタに分類することにより、階層的クラスタリングを行う。
(相関係数の算出)
相関係数算出部15は、上述の処理により得られたクラスタにおいて設計変数同士の相関係数を算出する(ステップS406)。すなわち、相関係数算出部15は、特性値等を一定の範囲で変化させた場合における設計変数の変化を求め、このときの設計変数同士の相関係数を算出する。
(図式化)
このようにして算出された相関係数の値が例えば0.9以上である場合には、設計変数同士の相関が強いと考えられる。図6に、設計変数の相関の強さの一例を示す。この図において、クラスタ1,2は設計変数1〜8を有するモデルを含んでおり、同一のクラスタに分類されたモデル同士は近似した特性値変化を有するものである。設計変数1〜8のうち、相関の強いもの同士が実線で結ばれ、相関が弱いもの同士が波線で示されている。このように、設計変数同士の相関の強さを図式化することにより、互いに連動し合う設計変数を視覚的に把握することが可能となる。
(設計原理抽出)
続いて、クラスタリング部14は、複数のクラスタにおける設計変数の相関係数の平均値を算出する(ステップS407)。図6の各クラスタにおいて、設計変数2,5,8が互いに強い相関を有しており、これらの設計変数の相関の強さはクラスタ1,2のいずれにおいても共通していることが確認できる。従って、これらのクラスタにおける設計変数の相関係数の平均値においても、設計変数2,5,8の相関係数が高い値を示すことになる。すなわち、設計変数2,5,8はいずれのクラスタに分類されたモデルであっても、共通して強い相関を有していることになり、設計変数2,5,8が連動して特性値に影響を与えていることが分かる。
また、これらの設計変数と特性値との変化を図式化することにより、解析対象となっているモデルの設計原理を視覚的に把握することができる(ステップS408)。さらに、原理抽出部15は、相関の強い設計変数同士と特性値との関係に基づき、モデルに内在する設計原理を抽出する(ステップS409)。例えば、図5に示されたように、解析対象モデルが設計変数1〜5と特性値1、2の出力を有していたとする。設計変数1〜5は特性値1,2と一定の関係を有しており、同図において相関に強い関係は太い矢印で示されている。また、細い矢印は相関が弱いことを表しており、特性値と矢印で結ばれていない変数は相関が殆どないことを表している。変数2,3,5は互いに強い相関を有しており、これらの変数と特性値1との結びつきを同図のように矢印で表すことにより、モデルに内在する設計原理を視覚的に表すことができる。
(データベース記憶)
以上のようにして生成されたモデル、クラスタ、設計原理等のデータはデータベース17に保存される。ユーザは、データベース17に保存されたデータの中から所望のデータを検索し、設計等に利用することができる。
<第2の解析方法>
図27に示された解析方法は、空間に分布したクラスタ群のうち、所定の平面若しくは直線が横切る複数のクラスタを順にサンプリングし、サンプリング順に設計変数を変化させることにより、モデルに内在する設計原理を抽出することを目的とした方法である。
(モデルの生成)。
同図において、先ず、ユーザは解析対象となるモデルの理論式を決定し、理論式入力部11に入力する(ステップ2701)。第1の解析方法と同様に解析対象モデルは機械構造等の物理モデルに限定されることなく、通信ネットワーク、経済モデル等、様々なモデルに適用可能である。
モデル生成部12は、決定された理論式における設計変数の値を具体的に決定し、複数のモデルを生成する(ステップS2702)。すなわち、モデル生成部12は直交表を用いて各々の設計変数を定めることにより、均等で重複のない複数のモデルを生成することが可能となる。なお、モデルの生成数は、例えば128個のように設計原理を抽出するのに十分な数であることが望ましい。このようにして生成されたモデルはメモリマップ16に格納される。なお、1つの直交表を回転させることによって複数の直交表を生成し、これらの直交表に基づきモデルを生成しても良く、乱数を用いてモデルを生成しても良い。
(シミュレーション)
シミュレーション計算部10は、生成されたモデルのシミュレーションを行う(ステップS403)。すなわち、シミュレーション計算部10は、具体的に決定された設計変数の値を理論式に代入し、特性値を算出する。このようにして算出された特性値と設計変数との組み合わせは一つのデータセットとしてメモリマップ16に保存される。
(クラスタリング)
続いて、クラスタリング部14は、各モデルの特性値同士の距離を算出する(ステップS404)。例えば、128個のモデルの中には特性値の変化が近似したものが存在し、このような特性値同士の距離は短いものとなる。クラスタリング部14は、互いに距離の短い特性値を有するモデル同士を一つのクラスタに分類する(ステップS405)。このようにして分類された2つのモデルの各々の特性値変化は互いに近似したものとなる。さらに、クラスタリング部14は、各々のクラスタを上位のクラスタに分類することにより、階層的クラスタリングを行う。
(平均値算出)
クラスタリング部14は、各クラスタに含まれる複数の設計変数の平均値を算出し、各クラスタの特徴を抽出しておく(ステップS2706)。この平均値はメモリマップ16に格納される。
(クラスタのサンプリング)
さらに、クラスタリング部14は、N個の特性値の各々を座標軸として、N次元空間上にクラスタ群を配置する。例えば、特性値が3個ある場合には、図28に示されるように、3次元空間上にクラスタ群が配置される。そして、クラスタリング部14は、空間上のクラスタ群に対して所望の曲線、曲面と交わるクラスタを順にサンプリングする(ステップS2707)。サンプリング用の曲線、曲面は、いずれの特性値を重視するか等を考慮して決定することができる。例えば、図28のクラスタ群においてZ軸に相当する特性値を大きく変化させ、X軸に相当する特性値を少し変化させるとともに、Y軸に相当する特性値を略一定になるように、矢印で示されたような曲線を想定する。そして、サンプリング部14はこの曲線と交わるクラスタを矢印の方向に従い順にサンプリングする。
なお、サンプリング用の曲線、局面は、オペレータがディスプレイ108に表示されたクラスタ群を見ながら対話形式で決定するだけではなく、サンプリング部14によって自動的に決定しても良い。例えば、サンプリング師14はクラスタ群を取り囲む包絡線、包絡面を自動的に検出し、これらの曲線、曲面に沿ってクラスタをサンプリングすることが可能である。また、クラスタ群を横切るとともに、空間座標軸のいずれかに平行な直線、平面を自動的に検出しても良い。
(図式化)
続いて、原理抽出部15は、サンプリングされた各クラスタの設計変数計、クラスタのサンプリング順に変化させることにより、設計変数がどのように変化するかを判断する。例えば、図29に示されたように、クラスタのサンプリング順に従い設計変数Cが矢印のように変化したと仮定する。この場合には、当該設計変数Cを矢印の方向に変化させることにより、図28の矢印で示されたように特性値が変化することが分かる。すなわち、所望の特性値と、当該特性値に関連のある設計変数を抽出することができるとともに、どのように設計変数を変化させれば、所望の特性値を得ることができるかを把握することが可能となる。
図28で示されたように、設計変数の変化を図式化することにより、モデルに内在する設計原理を抽出するだけでなく、設計変数変化と特性値変化との関係を視覚的に把握することができる。
(データベース記憶)
上述の処理によって得られたグラフ、データはデータベース17に保存される(ステップS2710)。ユーザは、データベース17に保存されたデータの中から所望のデータを検索し、設計等に利用することができる。
続いて、本実施形態に係る第1の解析方法の適用例を説明する。本解析方法は機械構造の設計に広く適用することが可能であり、一例として自動車のサスペンションの設計への適用例を示す。本実施例では、ダブルウィッシュボーンサスペンション(Double Wishbone Suspension)を構成するアームの各リンク座標(要素)に注目し、これらの要素がどのようにキャンバー角度およびトー角度に影響を与えるかを考察した。図7は、ダブルウィッシュボーンサスペンションの概念図である。この図に示されたように、ダブルウィッシュボーンサスペンションは、ダンパ70と、各々が略A字形をなすアッパーアーム71、ロワーアーム72とを含んで構成されている。図8に示されたように、アッパーアーム71は接合点P1,P2,P3を有しており、接合点P1はボールジョイント等によってキングピン側に接合されている。また、接合点P2,P3はシャーシー側に接合されており、アッパーアーム71は接合点P2,P3を結ぶ軸を中心として揺動自在に構成されている。同様に、ロワーアーム72も接合点P4,P5,P6を備えており、アッパーアーム71とともに可動リンクを構成している。このような構成により、タイヤに前後左右の力が加わったとしても、タイヤの上下運動のみを実現することができ、安定したコーナリング性能を得ることが可能となる。
このように構成されたダブルウィッシュボーンサスペンションにおいて、タイヤの接地性および旋回性能を向上させるために、タイヤは接地面に対して所定の傾き(キャンバー角)をもってサスペンションに取り付けられている(図10A参照)。また、自動車の直進安定性および回頭性を向上させるために、自動車の直進方向に対してハの字をなすようにトー角が設けられている(図10B参照)。
これらのキャンバー角、トー角は自動車の走行性能に大きな影響を及ぼすものであり、アッパーアーム71,ロワーアーム72の取付位置、即ち接合点P1〜P7の3次元座標上の位置によってキャンバー角、トー角は大きく変化してしまう。従って、ダブルウィッシュボーンサスペンションの設計においては、設計変数である接合点P1〜P7の3次元座標値と、特性値であるキャンバー角、トー角との関係を把握することが極めて重要である。ところが、ダブルウィッシュボーンサスペンションの構造は複雑であり、これらの関係を把握することは必ずしも容易ではない。すなわち、所望のキャンバー角およびトー角の特性を実現するために、多くの設計変数の中からいずれの設計変数をどのように変化すれば良いかを判断しなければならない。しかしながら、従来のシミュレーションシステムにおいては、設計変数が多くなると計算量が膨大になってしまうため、キャンバー角およびトー角の変化に大きく影響している設計変数を探し出すことは困難であった。
そこで、本実施形態に係る解析システムを利用することにより、設計変数である接合点P1〜P7の座標値と特性値との間に存在する設計原理、すなわち基本的因果関係を抽出し、両者の関係を容易に把握することが可能となる。
以下に、本実施例における処理手順を図面を参照しながら説明する。先ず、理論式入力部11にダブルウィッシュボーンサスペンションの理論式を入力しておく。この理論式はシミュレーションシステム等に予め用意されているものを流用することが可能である。この理論式は上述のように定義された接合点P1〜P7の各々の3次元座標値からなる設計変数P1x、P1y、P1z・・・P7x、P7y、P7zからなり、合計で21個の設計変数を有している。また、理論式の特性値はキャンバー角およびトー角である。また、Bump−Reboundの範囲が±90mmとなるようにダンパ70のストローク量が決定される。
続いて、モデル生成部12は、設計変数P1x、P1y、P1z・・・P7x、P7y、P7zの各々を直交表を用いて決定する。本実施例においては設計変数の数は合計で21個あり、水準数4の直交表を用いて128個のモデルを生成する。また、上述のように1つの直行表を回転させることにより複数の直行表を導きだし、これらの直行表を用いてモデルを生成しても良い。また、直交表を回転させることにより、均等で重複のない複数のモデルを生成することが可能となる。
このようにして決定された128個のモデルの各々について、シミュレーション部10は特性値としてキャンバー角、トー角を算出する。すなわち、直交表で定められた設計変数P1x、P1y、P1z・・・P7x、P7y、P7zに対するキャンバー角およびトー角が算出され、これらの数値は1つのデータセットとしてメモリマップ16に保存される。このようにして、128モデルのすべてについてシミュレーションが繰り返される。
キャンバー角およびトー角の特性はモデルによって異なるが、128モデルの中には互いに近似した特性を有するものが存在する。クラスタリング部14は、128モデルの各々についてキャンバー角およびトー角の変化を表す曲線間の距離を求め、これらの距離が最小となるモデル同士を一つのクラスタに分類する。すなわち、キャンバー角およびトー角の特性の近似したモデル同士が一つのクラスタに分類される。
図12〜図14にクラスタに分類されたキャンバー角およびトー角の特性グラフの一例を示す。これらのグラフにおいて、横軸はダンパ70のストローク量(mm)を表し、縦軸は角度(deg)を表している。また、各グラフに描かれた複数の特性曲線は、同一のクラスタに複数のモデルが分類されたことを示している。これらの図から確認できるように、互いに近似したキャンバー角およびトー角の特性を有するモデル同士が同一のクラスタに分類されていることが分かる。クラスタ1,6,7には上述の図12〜図14に示したようなモデルが含まれる。
このように、近似した特性を有するモデルをクラスタリングすることにより、特性値との結びつきの強い設計変数を基準としたモデルの分類を行うことができる。すなわち、特性値に対する影響の小さい設計変数の値は各クラスタに均等に分布しており、感度の高い設計変数はクラスタ毎に特有の値を示すことになる。このようにして、キャンバー角およびトー角に対して影響の大きな設計変数を抽出することができる。すなわち、キャンバー角、トー角の変化と相関のある接合点の座標を探すことが可能となる。
図11に本実施例に係る階層化クラスタリングの結果を示す。クラスタリング部14によって、128モデルの各々は順に上位のクラスタへと分類される。階層化クラスタリングを実行し続けると128モデルのすべてが1つのクラスタに分類され、同図に示された階層化された樹形図が生成される。本実施例では8つのクラスタ1〜8を有する階層を用いて、モデルの解析を行った。各クラスタには合計で16モデルが含まれており、キャンバー角およびトー角の特性に対する感度の高い設計変数を基準とした分類がなされている。
このようにして生成されたクラスタにおいて、相関係数算出部13は各設計変数P1x、P1y、P1z・・・P7x、P7y、P7zの相関係数を算出する。すなわち、相関係数算出部13は、ダンパ70を一定の範囲で変化させた場合における設計変数P1x、P1y、P1z・・・P7x、P7y、P7zの変化を算出し、設計変数間における変化の相関の強さを求める。
図15〜図17に、クラスタ1,6,7の各々における相関係数の算出結果の一例を示す。これらの図において、実線は相関係数が0.95〜1.00であることを示し、波線は相関係数が0.90〜0.95であることを示している。また、実線および波線で結ばれていない設計変数同士は相関係数がこれらの値以下であることを示している。このようにして生成された図はデータベース17に保存され、後の設計のために利用可能である。
続いて、原理抽出部15は、各クラスタの設計変数P1x、P1y、P1z・・・P7x、P7y、P7z同士の相関係数の平均を算出し、図19に示されたグラフを生成する。この図において、実線は相関係数の平均値が0.95〜1.00であることを示している。この図から明らかなように、設計変数P1z、P4z、P7zの組み合わせと、設計変数P2x、P3xの組み合わせが相関係数が高いことが分かる。
上述の設計変数P1z、P4z、P7zは、図18に示したように、設計変数P1z、P4z、P7zは接合点P1、P4、P7のZ軸方向の変位を表している。このことから、接合点P1、P4、P7のZ軸方向の変位がキャンバー角およびトー角の変化に大きな影響を与えていることが確認できる。すなわち、ダンパ70の変位による接合点P1,P4、P7のZ軸方向の変位に伴い、キャンバー角およびトー角が変化することが分かる。
以上の処理によって、ダブルウィッシュボーンサスペンションの設計においては、接合点P1,P4,P7の3点のZ軸方向の変位とキャンバー角およびトー角との相関が大きいことが把握できる。従って、ダブルウィッシュボーンサスペンションの設計においては、接合点P1.P4,P7の座標を適宜変更することにより、所望のキャンバー角およびトー角を実現することが可能となる。すなわち、ダブルウィッシュボーンサスペンションのように設計変数の数が多くても、キャンバー角およびトー角の特性値に大きく影響する設計変数を抽出できるため、効率的な設計を行うことができる。
上述の結果は、以下のことからも正しいことが検証される。図20Aに示されたように、接合点P1,P4、P7で構成される面の法線を考える。図20Bにおける法線の変化はキャンバー角の変化を表しており、図20Cにおける法線の変化はトー角の変化を表している。ここで、図20Bは、サスペンションをX軸方向(車両走行方向)から見た図であり、図20CはサスペンションをZ軸方向(車両上方)から見た図である。
図20Bに示されたように、ダンパ70の上下動に伴い、法線は矢印のように変化し、接合点P1,P4、P7によって形成された面が変位し、キャンバー角が変化することが確認できる。また、図20Cに示されたように、ダンパ70の上下動に伴い、接合点P1,P4、P7によって形成された面が変位し、トー角が変化することが確認できる。 図21は、キャンバー角とダンパ70の変位との関係を示している。同図において、黒丸で示された曲線は解析結果に基づくキャンバー角変化を表し、黒の四角で示された曲線は上述の法線の傾きにより算出されたキャンバー角変化を表している。このグラフから確認できるように、両者の結果は一致し、本実施例における解析結果が正しいことが確認できる。同様に、図22に示されたようにトー角についても、本実施例における解析結果が正しいことが分かり、本実施形態における解析方法の有効性が立証された。
続いて、本実施形態に係る第1の解析方法の回路設計への適用例を説明する。図23はCMOSトランジスタを用いた半導体集積回路の一例を示している。この回路は、2つのインバータ回路231、232と、これらを接続する配線パターン230とを備えて構成されている。
CMOSトランジスタ、配線パターンには寄生容量が存在し、この寄生容量が原因となり、インバータ回路のスイッチング特性が劣化することが知られている。CMOSトランジスタには、ゲート電極におけるゲート容量C3、C4、ドレイン電極におけるドレイン容量C1、C2が存在する。これらのゲート容量C3、C4、ドレイン容量C1、C2の大きさは、ゲート電極、ドレイン電極等の構造によって定まるものである。また、配線容量C5は配線パターン230と他のパターンとの距離等により定まるものである。
これらの寄生容量C1〜C5の大きさによって、入力波形に対する出力波形が変化する。例えば、例えば、図24に示されたように、入力波形に対して出力波形に遅延時間が生じる。すなわち、入力波形の立ち上がりに対する出力波形の遅延時間td1、入力波形の立ち下がりに対する出力波形の遅延時間td2が存在する。
これらの遅延時間td1、td2を小さくするには、上述の寄生容量C1〜C5を小さくすることが望ましいが、これらをすべて小さくするのは設計上の制約等により困難な場合が多い。また、インバータ回路231、232を構成するCMOSトランジスタのゲート長、ドレイン長などの構造により寄生容量の値は大きく変化する。これらの要因により、遅延時間td1、td2に与える影響の強さは大きく異なり、半導体回路の各要因をどのように決定すれば良いかを把握するのは容易ではない。そこで、本発明に係る解析システムを用いて、回路構造と遅延時間td1、td2との間に内在する設計原理を抽出し、設計を行うことで効率良く遅延時間td1、td2を低減することが可能となる。
図25に示されたように、CMOSトランジスタにおける設計変数として、CMOSトランジスタのゲート長L、ゲート幅W、ゲート酸化膜厚d、ドレイン厚Pを定義する。さらに、配線パターン230のパターン長L1、配線間距離L2を設計変数として定義する。そして、特性値として遅延時間td1、td2を定め、これらの間における理論式を決定し、理論式入力部11に入力する。
モデル生成部12は、直交表を用いて、ゲート長L、ゲート幅W、ゲート酸化膜厚d、ドレイン厚P、パターン長L1、配線間距離L2の設計変数の各値を定めることにより、複数のモデルを生成する。上述のように、直交表を用いることにより、互いに重複のない均等な設計変数値を有するモデルを生成することができる。シミュレーション部10は、これらのモデルのシミュレーションを行い、各モデルの遅延時間td1、td2を算出する。このようにして算出された遅延時間td1、td2は設計変数の値により異なった変化を示すことになる。
続いて、クラスタリング部14は、遅延時間td1、td2の変化の近似したモデル同士を同一のクラスタに分類し、階層化クラスタリングを行う。各々のクラスタは、遅延時間td1、td2に対する影響の大きい設計変数の各値毎に分類されたものであり、これらのクラスタに基づき遅延時間td1、td2に対する影響の大きい設計変数を把握することができる。本実施例では、ゲート長L、ゲート幅W、パターン長L1、配線間距離L2の設計変数が遅延時間td1、td2に対して比較的に強い影響を及ぼしていることが確認できる。
相関係数算出部15は、上述の処理により得られたクラスタにおいて設計変数同士の相関係数を算出する。すなわち、相関係数算出部15は、特性値等を一定の範囲で変化させた場合における設計変数の変化を求め、このときの設計変数同士の相関係数を算出する。例えば、ゲート容量C3、C4を変化させた場合には、ゲート長L、ゲート幅Wの間の相関係数が高くなる。また、配線容量C5を変化させた場合には、パターン長L1、配線間距離L2の間の相関係数が高くなる。すなわち、相関係数の高い設計変数同士は互いに連動して遅延時間td1、td2に影響を及ぼしていることになる。
原理抽出部15は、複数のクラスタにおける相関係数の平均値を算出し、平均値の高い相関係数を有する設計変数を探し出す。本実施例においては、ゲート長L、ゲート幅Wの相関係数、および、パターン長L1、配線間距離L2の相関係数も高い値を示した。この結果から、ゲート長L、ゲート幅Wによってゲート容量C3、C4が定まり、さらにこれらの値が遅延時間td1、td2に影響を与えていることになる。また、パターン長L1、配線間距離L2によって配線容量C5が定まり、この値が遅延時間td1、td2に影響を与えていることになる。
以上により、遅延時間td1、td2と設計変数との間の設計原理を抽出することができ、設計者は半導体集積回路設計時において所望の特性を得るために設計変数をどのように変更すれば良いかを把握することが可能となる。
また、本発明は、ネットワーク回線のパフォーマンスの予測にも適用可能である。ネットワークの回線はできるだけ大容量であることが望ましいが、回線の維持コストを考慮すると、必要以上に要領の大きな回線は、コストの面からは好ましくない。このような事情から、ネットワークパフォーマンスの予測が広く行われている。
ネットワークのパフォーマンス(サービスレベル)を計る尺度としてPingレスポンスを用いることが考えられるが、多くの要因(設計変数)とPingレスポンスとの間の設計原理を把握することは必ずしも容易ではない。そこで、本発明に係るシステムを適用して、ネットワーク設計に必要な領域のみを計算および抽出することにより、設計時間、コストを大幅に短縮することが可能となる。以下に、ネットワークのパフォーマンスのシミュレーションの手順を説明する。
先ず、ネットワークの設計変数としてトラフィックX1、ネットワーク構成X2、ユーザ数X3、利用アプリケーションX4、ノード数X5を想定し、これらを数値化することにより変数X1〜X5を定める。また、ネットワークの特性値を上述のようにPingレスポンスとする。
先ず、モデル生成部11は直交表を用いて変数X1〜X5の初期値を決定し、この変数を有するネットワークモデルのPingレスポンスをシミュレーション計算部10により算出する。なお、ネットワークモデルのシミュレーションは、既存の予測システムをそのまま利用することが可能である。クラスタリング部14は、Pingレスポンスが互いに近似した特性を有するネットワークモデル同士を同一のクラスタに分類する。さらに、これらのクラスタ同士を分類することにより、階層化クラスタリングを行う。
相関係数算出部13は、設計変数同士の相関係数を算出することにより、互いに連動し合う設計変数を算出する。例えば、ユーザ数が増加すれば、利用アプリケーション数も増加する傾向にあり、ユーザ数X3、利用アプリケーションX4の間には強い相関が存在する。また、ネットワーク構成X1とノード数X5との間にも強い相関が存在する。続いて、原理抽出部15は各クラスタにおける相関係数の平均値を算出し、相関係数の高い設計変数同士を抽出する。このように、相関の強い設計変数同士を決定するとともに、これらの設計変数と特性値Pingレスポンスとの関係を把握できる。すなわち、本実施例によれば、ネットワークモデルの各種設計変数と特性値Pingレスポンスとの間の設計原理を抽出することが可能となる。
続いて、本実施形態に係る第2の解析方法をマルチリンクサスペンションに適用した実施例を説明する。図30はマルチリンクサスペンションのモデルを表しており、このマルチリンクサスペンションはトレーリングアーム、インナーアーム、アッパーアーム、ロワーアーム等を備えて構成されている。そして、各アームの接合点P1、P2、P3、P4を設計変数として以下の解析を行うとする。
マルチリンクサスペンションにおいて、タイヤの接地性および旋回性能を向上させるために、タイヤは接地面に対して所定の傾き(キャンバー角)をもってサスペンションに取り付けられている。また、自動車の直進安定性および回頭性を向上させるために、自動車の直進方向に対してハの字をなすようにトー角が設けられている。
これらのキャンバー角、トー角は自動車の走行性能に大きな影響を及ぼすものであり、接合点P1〜P4の3次元座標上の位置によってキャンバー角、トー角は大きく変化してしまう。従って、マルチリンクサスペンションの設計においては、設計変数である接合点P1〜P4の3次元座標値と、特性値であるキャンバー角、トー角との関係を把握することが極めて重要である。本実施形態に係る解析方法を利用することにより、設計変数である接合点P1〜P4の座標値とキャンバー角およびトー角との間に存在する設計原理を抽出し、さらに、両者の関係を容易に把握することが可能となる。
以下に、本実施例における処理手順を図面を参照しながら説明する。先ず、理論式入力部11にマルチリンクサスペンションの理論式を入力しておく。この理論式はシミュレーションシステム等に予め用意されているものを流用することが可能である。この理論式は上述のように定義された接合点P1〜P4の各々の3次元座標値からなる設計変数P1x、P1y、P1z・・・P4x、P4y、P4zからなり、合計で12個の設計変数を有している。また、理論式の特性値はキャンバー角およびトー角である。
続いて、モデル生成部12は、設計変数P1x、P1y、P1z・・・P4x、P4y、P4zの各々の具体的数値を直交表を用いて決定する。本実施例においては設計変数の数は合計で12個あり、水準数4の直交表を用いて128個のモデルを生成する。また、上述のように1つの直行表を回転させることにより複数の直行表を導きだし、これらの直行表を用いてモデルを生成しても良い。
このようにして決定された128個のモデルの各々について、シミュレーション部10は特性値としてキャンバー角、トー角を算出する。すなわち、直交表で定められた様々な設計変数P1x、P1y、P1z・・・P7x、P7y、P7zに対するキャンバー角およびトー角が算出され、これらの数値は1つのデータセットとしてメモリマップ16に保存される。このようにして、128モデルのすべてについてシミュレーションが繰り返される。シミュレーションによって得られたモデルは図29のように分布することになる。
キャンバー角およびトー角の特性はモデルによって異なるが、128モデルの中には互いに近似した特性を有するものが存在する。クラスタリング部14は、128モデルの各々についてキャンバー角およびトー角の変化を表す曲線間の距離を求め、これらの距離が最小となるモデル同士を一つのクラスタに分類する。すなわち、キャンバー角およびトー角の特性の近似したモデル同士が一つのクラスタに分類される。
このように、近似した特性を有するモデルをクラスタリングすることにより、特性値との結びつきの強い設計変数を基準としたモデルの分類を行うことができる。すなわち、特性値に対する影響の小さい設計変数の値は各クラスタに均等に分布しており、感度の高い設計変数はクラスタ毎に特有の値を示すことになる。このようにして、キャンバー角およびトー角に対して影響の大きな設計変数を抽出することができる。
図32、図33に本実施例に係る階層化クラスタリングの結果を示す。クラスタリング部14によって、モデルの各々は順に上位のクラスタへと分類される。階層化クラスタリングを実行し続けると128モデルのすべてが1つのクラスタに分類され、同図に示された階層化された樹形図が生成される。本実施例では17個のクラスタ(1)〜(17)を有する階層を用いて、モデルの解析を行った。各クラスタにはキャンバー角およびトー角の特性に対する感度の高い設計変数を基準とした分類がなされている。クラスタ1には、図32に示されるように、複数の設計変数が含まれている。これらの設計変数の平均値を図33に示す。このように、設計変数の平均値を図式化することにより、各クラスタにおける設計変数の変化の傾向を容易に把握することができる。
続いて、クラスタリング部14は、図36に示されたようにクラスタリングされたモデルを、トー角、キャンバー角の各座標軸で表された空間(平面)上に配置する。そして、クラスタリング部14は、このクラスタ群上において、所定の特性値変化を示す曲線に沿ってクラスタを順にサンプリングする。例えば、トー角が約「−1」であり、かつ、キャンバー角が次第に大きくなるような曲線(直線)に沿ってクラスタ(10)、(8)、(15)、(13)、(1)、(2)を順にサンプリングする。すなわち、キャンバー角のみが変化するような直線を想定し、この直線に沿ってクラスタをサンプリングする。
続いて原理抽出部15は、図37に示されたように、サンプリングされたクラスタ(10)、(8)、(15)、(13)、(1)、(2)の各々の設計変数の平均値をグラフ上に描く。上述のサンプリング順に従い、これらの設計変数の平均値を順にプロットすると、設計変数は波線矢印で示されたように変化する。この図から、特性値であるキャンバー角は、トレーリングアーム接合点P1のX座標、ロワーアーム接合点P4のZ座標、アッパーアーム接合点P3のZ座標の変化に大きく影響されることが確認できる。
また、トレーリングアーム接合点P1のX座標およびロワーアーム接合点P4のZ座標は次第に小さくなり、アッパーアーム接合点P3のZ座標は次第に大きくなっている。すなわち、トー角の変化を小さく抑えながらキャンバー角を次第に大きな値に変化させるためには、トレーリングアーム接合点P3のX座標およびロワーアーム接合点P4のZ座標を次第に小さくし、アッパーアーム接合点P3のZ座標を次第に大きくさせれば良いことがこの結果から推測できる。
また、図38に示されたように、クラスタ群の上側包絡線に沿ってクラスタ(10)、(16)、(17)、(4)、(3)を順にサンプリングしたとする。この包絡線は、キャンバー角を小さくするに従い、トー角の値が0度→2度→0度のように変化することを表している。このようにしてサンプリングされたクラスタの設計変数の平均値は図37のように表される。この図から確認できるように、接合点P1のX座標、接合点P3のZ座標、および接合点P4のZ座標は上述の図37と略同様の変化の傾向を示しているが、トレーリングアーム接合点P1のZ座標は減少した後に再び増加している。すなわち、図39で示されたように設計変数を変化させることにより、図38の包絡線で示されたような特性値変化が導き出されることが確認できる。 さらに、図40に示されたようにクラスタ群の下側包絡線に沿ってクラスタ(10)、(12)、(11)、(6)、(5)を順にサンプリングしたとする、この包絡線はキャンバー角を小さくするに従い、トー角の値が0度→−4度→―2度のように変化することを表している。サンプリングされたクラスタの設計変数の平均値は図41のように表される。上側包絡線によりサンプリングした場合とは異なり、下側包絡線によりサンプリングした場合にはトレーリングアーム接合点P1のZ座標は増加した後に再び減少していることが確認できる。
従って、図39,図41からは、トー角はトレーリングアーム接合点P1のZ座標の変化に大きく影響されることが導き出される。また、キャンバー角は、上述したように、トレーリングアーム接合点P1のX座標、ロワーアーム接合点P4のZ座標、アッパーアーム接合点P3のZ座標の変化に大きく影響される。 なお、上述のサンプリング曲線の設定は、オペレータがディスプレイ108を見ながらいわゆる対話形式で行うことが可能である。さらに、本実施例に係る解析システムによって自動的に設定することも可能である。すなわち、解析システムは図36,38,40に示されたクラスタ群の分布を検出し、クラスタ群の包絡線、クラスタ群を横切る直線等の特性曲線を自動的に算出し、さらに、これらの特性曲線に沿ってクラスタをサンプリングすることができる。これにより、自動的な解析を行うことが可能である。
本実施例に示されたように、クラスタ群において所望の特性値曲線を想定し、この特性値曲線に沿ってクラスタをサンプリングすることにより、当該特性値曲線をしめる設計変数の変化の様子を把握することが可能となる。すなわち、所望の特性値を実現するために設計変数をどのように設定すれば良いかを把握でき、効率の良い設計を行うことができるようになる。
以上、本実施形態を説明したが、本発明は上述の構成に拘泥されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である、例えば、上述の設計分野に限定されることなく、シミュレーション計算が可能な設計分野であれば、本発明を適用可能である。例えば、電子回路シミュレーション、構造設計、ソフトウェア設計、株価予測、交通機関の渋滞予測などの広い分野に亘って本発明を適用可能である。
なお、本発明は、上述の処理を実行するソフトウエアのプログラムをコンピュータにインストールするだけでなく、サーバ若しくはダウンロードサイトからダウンロードして使用しても良い。また、CD−ROM等の記憶媒体からプログラムソフトウエアをインストールしても良い。さらに、暗号化されたプログラムをユーザに配布し、対価を支払ったユーザにのみ解読キーを通知するようにしても良い。また、プログラムを実行するためのオペレーティングシステムはどのようなものであっても良く、プログラムを実行するハードウェアの形態を問わない。
この出願は2004年10月26日に出願された日本国特許出願番号2004−310937号、および2005年3月9日に出願された日本国特許出願番号2005−66086号からの優先権を主張するものであり、その内容を引用して当該出願の一部とするものである。

Claims (15)

  1. 各々が複数の変数を有するモデルを複数生成するモデル生成部と、
    与えられたモデルの変数に基づき当該モデルの特性値を算出するとともに、当該モデルの変数および特性値を書き込む特性値算出部と、
    前記特性値が類似度の高い複数のモデルを同一のクラスタに分類するクラスタリング部と、
    各クラスタにおいてモデルの変数同士の相関係数を算出するとともに、当該相関係数を前記メモリマップに書き込む相関係数算出部と、
    各クラスタにおいて相関係数が所定値を越える変数を前記メモリマップから抽出する抽出部とを備える多変数モデル解析システム。
  2. 前記モデル生成部は、直交表を用いて複数の変数を決定することによるモデルを生成することを特徴とする請求項1に記載の多変数モデル解析システム。
  3. 前記クラスタリング部は、類似度が高く、特性値間の距離が最小となるモデル同士を同一のクラスタにクラスタリングすることを特徴とする請求項1に記載の多変数モデル解析システム。
  4. 前記相関係数算出部は、前記特性値または前記特性値に関連のある変量を変化させた場合における前記変数の変化に基づき、変数同士の相関係数を算出することを特徴とする請求項1に記載の多変数モデル解析システム。
  5. 前記抽出部は、複数のクラスタにおける前記変数の相関係数の平均値を算出し、当該平均値が所定値を越える変数を前記メモリマップから抽出することを特徴とする請求項1に記載の多変数モデル解析システム。
  6. 前記抽出部によって抽出された変数の保存および検索を行うデータベースをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の多変数モデル解析システム。
  7. 前記モデルは車両構造を表すことを特徴とする請求項1に記載の多変数モデル解析システム。
  8. 各々が複数の変数を有するモデルを複数生成するモデル生成ステップと、
    与えられたモデルの変数に基づき当該モデルの特性値を算出するとともに、当該モデルの変数および特性値を書き込む特性値算出ステップと、
    前記特性値が類似度の高い複数のモデルを同一のクラスタに分類するクラスタリングステップと、
    各クラスタにおいてモデルの変数同士の相関係数を算出するとともに、当該相関係数を前記メモリマップに書き込む相関係数算出ステップと、
    各クラスタにおいて相関係数が所定値を越える変数を前記メモリマップから抽出する抽出ステップとを、コンピュータに実行させるための多変数モデル解析プログラム。
  9. 前記モデル生成ステップは、直交表を用いて複数の変数を決定することによるモデルを生成することを特徴とする請求項8に記載の多変数モデル解析プログラム。
  10. 前記クラスタリングステップは、類似度が高く、特性値間の距離が最小となるモデル同士を同一のクラスタにクラスタリングすることを特徴とする請求項8に記載の多変数モデル解析プログラム。
  11. 前記相関係数算出ステップは、前記変数に関連のある変量を変化させることにより、変数同士の相関係数を算出することを特徴とする請求項8に記載の多変数モデル解析プログラム。
  12. 前記抽出ステップは、複数のクラスタにおける前記変数の相関係数の平均値を算出し、当該平均値が所定値を越える変数を前記メモリマップか抽出することを特徴とする請求項8に記載の多変数モデル解析プログラム。
  13. 各々が複数の変数を有するモデルを複数生成するモデル生成部と、
    与えられたモデルの変数に基づき当該モデルの特性値を算出するとともに、当該モデルの変数および特性値を書き込む特性値算出部と、
    前記特性値が類似度の高い複数のモデルを同一のクラスタに分類することによりクラスタ群を生成し、前記特性値を座標軸とする空間上に前記クラスタ群を配置するとともに、当該クラスタ群のうち、所望の特性値変化を示す直線、曲線、若しくは平面上に位置するクラスタを順にサンプリングするクラスタリング部と、
    前記クラスタリング部によるサンプリング順に従い、サンプリングされた各クラスタに含まれるモデルの変数の平均値がどのように変化するかを求める原理抽出部とを備える多変数モデル解析システム。
  14. 前記モデル生成部は、直交表に割り付けられた複数の要因の配列を変更することにより複数の直交表を生成し、これらの直交表を用いて複数のモデルを生成することを特徴とする請求項1乃至7および13のいずれか1項に記載の多変数モデル解析システム。
  15. 前記モデル生成ステップは、直交表に割り付けられた複数の要因の配列を変更することにより複数の直交表を生成し、これらの直交表を用いて複数のモデルを生成することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の多変数モデル解析プログラム。
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