以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態の冷蔵庫1を前方から見た斜視図であり、図2は、図1のA−A線断面概念図である。
<<冷蔵庫1の全体構成>>
図1に示すように、本発明を適用した冷蔵庫1は、最上部に6℃前後の冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室2,最下部に6℃前後の冷蔵温度帯の貯蔵室である野菜室5がそれぞれ配置され、冷蔵室2と野菜室5との間には、これらの両室と断熱的に仕切られた0℃以下の冷凍温度帯(例えば、約−20℃〜−18℃の温度帯)の冷凍室である製氷室3a,急冷凍室3b、および冷凍室4が、図2に示すように、それぞれ仕切り壁k1,k2,k3により区画され配置されている。
冷蔵庫1は、前面に貯蔵室2〜5の前面開口部を閉塞する断熱構成の扉6〜10が設けられ、扉6〜10を除く外周筐体部は、鋼板製の外箱11と樹脂製の内箱との間に外気との断熱を図るウレタン発泡断熱材及び真空断熱材(図示せず)を有し構成されている。
冷蔵室2の前面開口部を閉塞する冷蔵室扉6(6a,6b)は、観音開き式の両開きの扉で構成されており、一方、製氷室3aの前面開口部を閉塞する製氷室扉7,急冷凍室3bの前面開口部を閉塞する急冷凍室扉8,冷凍室4の前面開口部を閉塞する冷凍室扉9、および野菜室5の前面開口部を閉塞する野菜室扉10は、貯蔵室内の容器がともに引き出される引き出し式の扉によって構成されている。
冷蔵庫1には、上記冷凍および冷蔵を行うための冷凍サイクルが、圧縮機,凝縮器,キャピラリチューブおよび冷媒の気化熱を奪い冷却源となる蒸発器、そして、再び圧縮機の順に接続し構成されている。
この冷却源となる蒸発器は、冷凍室3,4の後方に設置され、送風ファンによって、蒸発器の冷気が、製氷室3a,急冷凍室3b,冷凍室4に送られるとともに、冷蔵温度以下になると閉塞する開閉可能なダンパ装置を介して、冷蔵室2および野菜室5の各貯蔵室へと送られている。なお、冷気は、各貯蔵室を冷却した後に循環される冷気の循環構造を有しており、各貯蔵室2〜5が、温度センサを用いた制御装置による温度制御によって、所定の温度に維持されている。
図1のB−B線断面図の図3に示すように、冷蔵室扉6aは、支軸S1を中心に回転自在に支持されており、飲み物等を入れるポケット状の半透明の樹脂成型のドア収納6a1が内部側に突設されるとともに、その裏面には、ねじりコイルバネの付勢力およびガイドにより揺動自在に構成された回転仕切り6a2が設けられている。
この回転仕切り6a2は、冷蔵室扉6a,6bの閉塞時(図1参照)には左側の冷蔵室扉6aに沿った位置で冷蔵室扉6a,6b間からの冷気の漏出を防止し、一方、冷蔵室扉6aの開放時には冷蔵室扉6aの厚み方向(二点鎖線で示す)に揺動し利用者の邪魔にならにないように構成されている。
また、右側の冷蔵室扉6bは、支軸S2を中心に揺動自在に支持されており、飲み物等を入れるポケット状の半透明の樹脂成型のドア収納6b1が内部側に突設されている。
<<気体調節室である減圧室13の構成>>
図3に示す減圧室13は、真空ポンプ12により、内部の空気が吸引され、0.7気圧(70kPa)等に減圧される気体調節室であり、食品の酸化防止,野菜類の鮮度維持等に特別な空気雰囲気を醸成している。
なお、0.7気圧より気圧が高い、例えば、0.8気圧(80kPa)にすれば、外部の大気圧との差圧が低くなるため、減圧室13の強度を低くでき、また、真空ポンプ12の能力を低くすることが可能である。
図3に示すように、冷蔵室扉6bを閉じた状態において、冷蔵室扉6bのドア収納6b1と減圧室13の減圧室蓋16間には、所定のスペースが形成され、互いに接触しないように構成されている。
図4は、減圧室13の構成を斜め前上方から見た斜視図である。
減圧室13は、上面および前面に開口部を有し扁平である奥方に長い略直方体状の外郭部材14と、上面を閉塞する透明な強化ガラスで形成されたガラス板Gと、前面の開口部下方の水平な支軸24S廻りに回動自在に支持されるとともに前方および後方に内部の貯蔵物を出し入れするために開閉する減圧室蓋16とにより外周壁が形成されている。
なお、減圧室蓋16は、開く場合、後記のリンク機構により、前方に引き出されながら正立して所定距離、例えば10mm、移動後に上部が前方に回動しつつ移動して開く。
一方、減圧室蓋16が閉じる場合には後方に押し戻されながら上部が後方に回動しつつ後方に移動後、正立して所定距離移動し閉じる構成である。
外郭部材14は、ABS(アクリロニトリル,ブタジエン,スチレンを含む樹脂),AS(アクリロニトリル,スチレンを含む樹脂)等を用いて樹脂成形され、両側面壁14a,14b,底面壁14c,後面壁14d、および前面壁14eを有した上面および前面を開口した形状に形成されている。
外郭部材14の両側面壁14a,14b,底面壁14c,後面壁14dのそれぞれの外面には、断面係数を増加し強度向上を図る補強リブが、直線状,格子状等に立設されている。
そして、図3に示すように、外郭部材14の左側面壁14aの外面後方には、真空ポンプ12との接続部である挿通孔のポンプ接続部14iおよび圧力スイッチと連通する圧力スイッチ接続部14jが設けられており、また、図4に示すように、両側面壁14a,14b、および後面壁14dの内面には、補強板材15を当接させて取り付けるための取り付けリブ14hが、複数、補強板材15が当接する取り付け下面14h1を有して形成されている。
図5は、図4に示す減圧室12のC方向矢視概念図であり、また、図6は、図5のD−D線断面図であり、図7は、図4のE−E線断面図である。
図6,図7に示すように、外郭部材14には真空ポンプ12で減圧した際に外部の大気圧と内部の低圧との差圧により大きな荷重がかかるため、外郭部材14内には、外郭部材14を補強するための強度の高い補強板材15が、外郭部材14の形状に沿った前面および上面が開口された略直方体の形状を有して、収容されている。
補強板材15は、例えば、1.6mm厚の鋼板等の金属板を用いて絞り加工により形成され、両側面壁15a,15b,底面壁15c、および後面壁15dが曲面をもって連続して形成されており、図6に示すように、両側面壁15a,15ba,底面壁15cには、内方に突出した補強部15hが複数、形成されている。
このように、補強板材15が、曲面をもって箱状に形成されるとともに、複数の内方に突出した補強部15hを有することにより剛性が高められ、外部の大気圧と内部の低圧との差圧による大きな荷重に抗することが可能である。
また、図4,図6,図7に示すように、両側面壁15a,15bおよび後面壁15dの上縁部には、補強板材15を外郭部材14内に保持するための矩形状の取付部15tが、突設されている。
また、図7に示すように、補強板材15の底面壁15cの両側部には、食品トレイ17をガイドするための凹状の一対の案内溝15m,15mが、前後方向(図4の紙面の左右方向)に延設されており、食品トレイ17の出し入れを円滑にしている。
上記補強板材15内に配置される食品トレイ17は、AS等の透明な樹脂成型品であり、図6,図7に示すように、両側壁17a,17b,底面壁17c,後面壁17dおよび前面壁17eを有している。
食品トレイ17の前面壁17eには、後記の補強支持部Hを配置するための凹部17fが形成されており、図6に示すように、凹部17fを形成する前面壁17eの両側面下端部には、食品トレイ17を減圧室蓋16に取り付け、減圧室蓋16の開閉動作に連動させるための一対の取り付け爪17t,17tが形成されている。
この取り付け爪17t,17tは、下部が開口された半円筒状に形成されており、食品トレイ17を減圧室12内の補強板材15上に載置して減圧室蓋16の裏側の突起部16g,16g(図18参照)に係合することより、食品トレイ17を、減圧室蓋16に取り付けて、減圧室蓋16の開閉動作に連動させている。
そのため、利用者は、減圧室蓋16の開閉動作に伴って引き出される食品トレイ17内を視認して、食品トレイ17内の食品を容易に取り出すことができる。
図6,図7に示すように、ガラス板Gは、十分な剛性及び強度を有する透明材料としての強化ガラスであり、透明な矩形平板状に形成されている。
このガラス板Gの周囲に取着される環状パッキングGpは、ガラス板Gと外郭部材14間の気密性を保持するための部材であり、気密性を確保するため、弾性的性質を有するゴム等の材料を用いて、内周面にガラス板Gを挿入する凹溝を有し、環状に作られる。
なお、外郭部材14内に金属製の箱状ケースを用いて、ガラス板Gを使用しない構成も適宜、選択可能である。金属製の箱状ケースを用いることにより、減圧室13の高強度化が図れる。
図8は、図4に示す減圧室13の側面に取着される鋼板製の保護板材19を取り外して要部を示す斜視図である。
図4,図8に示すように、外郭部材14の両側面壁14a,14bの外面には、それぞれ、ガイド部材24,25(図17,図29参照)による減圧室蓋16の前後方向(図4,図8の紙面の左右方向)の移動を水平に案内するために、減圧室13の前後方向に延在する第2案内溝20b,20bを有する案内部材(図示せず)が螺着されるとともに、ガイドローラ21a,21b(図7参照)が軸支されている。
図9から図16は、減圧室13の減圧室蓋16を閉塞状態から全開状態にする過程を示す減圧室13の右側面図であり、図17は、図9のF−F線断面図である。
なお、図9は、開閉ハンドル26が上方に引き上げられ減圧室蓋16が水平かつ前方(図9の紙面左側)に若干、引き出され移動した状態を示しており、図16は、開閉ハンドル26が上方に引き上げられ減圧室蓋16が水平かつ前方に所定距離移動した後、減圧室蓋16上部が前方に回動しつつ前方に水平に移動し減圧室蓋16が開き切り全開した状態を示している。
ここで、図10から図15は、図9の状態から図16の状態に至る過程を示している。
減圧室13の減圧室蓋16を閉塞状態から全開状態に開く場合には、図9から図16に示す過程を経るが、一方、減圧室蓋16を全開状態から閉塞状態に閉める場合には、逆に、図16から図9に示す過程を遷移する。
さらに、図4,図8,図17に示すように、減圧室13の外郭部材14の底面壁14cの下方には、左右にピニオンギア22a、22bが固定された回転同期軸23が、回転自在に支持されており、図9から図16に示す減圧室蓋16の閉塞から開放への動作または開放から閉塞への動作における左右の同期がとられている。このため、減圧室蓋16が傾くことなく、真直ぐに引き出すことができる。
図4,図8に示すように、減圧室蓋16の前後方向(図9から図16の紙面の左右方向)の移動を行うための部材としてガイド部材24,25が、減圧室13の左右に一対、設けられている。ガイド部材24,25は、同様な構成であるので、ガイド部材24についてのみ説明する。
ガイド部材24は、機械的性質に優れるジュラコン(ポリプラスチック(株)の登録商標)等の樹脂を用いて形成され、下面の長手方向に沿ってラックギア24gが形成されるとともに、ガイドローラ21bが案内される第1案内溝24aが、ほぼ中央部に前後方向に延設されている。
また、ガイド部材24の上部後方には、減圧室13の右側部に前方から奥方にかけて水平に延在する第2案内溝20bによって前後方向(図4,図8の紙面の左右方向)に案内されるガイドローラ24rが軸支されている。
そして、減圧室13の右側方のガイド部材24の前先端部には、減圧室蓋16が支軸24s廻りに回動自在に支持されるとともに、減圧室13の左側方のガイド部材25の前先端部には、減圧室蓋16が同様な支軸廻りに回動自在に支持されている。
こうして、ガイド部材24のガイドローラ24rが、減圧室13の右側方の第2案内溝20bによって前後方向に案内されるとともに、図4,図8,図17に示すように、ガイド部材24の第1案内溝24aが、減圧室13の右前側方のガイドローラ21bにより案内されている。
このガイド部材24と同様に、左側のガイド部材25のガイドローラが、減圧室13の左側方の第2案内溝(右側の第2案内溝20bに対応)によって前後方向に案内されるとともに、図17に示すように、左側のガイド部材25の第1案内溝25aが、減圧室13の左前側方のガイドローラ21aにより案内されている。
さらに、図4,図8,図17に示すように、ガイド部材24のラックギア24gとガイド部材25のラックギア25gとが、それぞれ、減圧室13の下方に回動自在に支持される回転同期軸23に固定され同期されたピニオンギア22a,22bに噛み合って、ガイド部材24,25が、左右で同期をとられ、前後方向(図9から図16の紙面の左右方向)に移動する。
この構成により、減圧室蓋16は、減圧室13に対する図9から図16に示す開閉動作における前後方向(図9から図16の紙面の左右方向)の移動において、両側方でそれぞれ2点支持されるために水平に移動できる。
加えて、減圧室蓋16は、同期された左右のピニオンギア22a,22bによる駆動により左右の同期がとられるので、水平面内において左右で傾くことなく、円滑な往復直線運動が可能である。
<<減圧室蓋16の構成>>
ガイド部材24,25の支軸24s,(25s)によって下部で回動自在に支持された減圧室蓋16は、図4,図5,図8に示すように、その両側方に設けられた支軸16s廻りに開閉ハンドル26が回動自在に支持されるとともに、図5,図6に示す差圧抜き弁Vが構成されている。
この開閉ハンドル26を、利用者が把持して、減圧室蓋16の開閉操作および減圧室蓋16の閉塞時のロックが行われるとともに、差圧抜き弁Vの開閉が行われる。
なお、差圧抜き弁Vとは、減圧室13が、真空ポンプ12によって減圧された場合、減圧室13の外部の大気圧と、減圧室13の内部の減圧された圧力との差圧によって減圧室蓋16に加わる荷重が大きくなることから、何らの手段を施すことなく、人手で、直接、減圧室蓋16を開放することは不可能である。
そこで、差圧抜き弁Vによって減圧室蓋16の内外空間を挿通させ、内外圧力差を無くし差圧による荷重を解消し、減圧室蓋16を容易に開くことができるようにしている。
減圧室蓋16は、図6に示すように、閉じた際に、外郭部材14に当接する内周縁部に弾性材のパッキン16pが配設されており、該パッキン16pが外郭部材14と減圧室蓋16間のシールを行っている。本実施形態は、パッキン16pの硬度を30度としている。
パッキン16pは、図6に示すように、その横断面は外周中央が内部側に凹む凹部16p1を有して環状に成型されている。
パッキン16pが、外郭部材14に対して減圧室蓋16が多少、傾いて閉じられた場合も、凹部16p1内に柔軟にパッキン16pが弾性変形し、その偏りを吸収し外郭部材14と減圧室蓋16間を確実にシールすることができる。なお、パッキン16pは、減圧室蓋16に設けることなく、外郭部材14側に設けることも可能である。
図4に示すように、減圧室蓋16は、外周部16gが不透明なABS等の樹脂で成型され、央部16cが減圧室13内に貯蔵された食品を視認できるように透明なAS等の樹脂で成型されている。
減圧室蓋16の央部16cの両側方部16c1,16c1は、図4に示すように、開閉ハンドル26を減圧室蓋16に対して回動させる際に、開閉ハンドル26と減圧室蓋16間のスペースは、減圧室蓋16の両側方部16c1,16c1と開閉ハンドル26の棒体27の回動軌跡間の距離を、所定値以下、例えば、7mm以下となるように、開閉ハンドル26の棒体27が移動する円弧状の軌跡にほぼ沿って、外側に***した形状に形成されている。
減圧室蓋16の中央部16c2は、図6に示すように、その外面側が、利用者の手が入り、また、開閉ハンドル26の取っ手操作部36が占める空間を有するように、内部側に凹む形状に形成されている。
このように、減圧室蓋16自身は、減圧室蓋16の正面からみて奥行方向(図6では紙面の左右方向)に凹凸を有する形状となる。これにより、減圧時に減圧室蓋16に加わる荷重は分散される。よって、減圧時の減圧室蓋16自身の反りや変形等を防止することができる。
ここで、外郭部材11の前面開口には、外殻部材11の変形を支持するための支持部材が設けられていない。もしも支持部材が設けられていない状態で減圧すると、前面開口の変形量は大きくなってしまう。また、減圧室13は箱形状であって、外殻部材11の前面開口は上下方向よりも左右方向に長い長方形状である。そのため、外殻部材11全体において、減圧時の変形量は、前面開口において最も大きくなる。
さらに、前面開口に支持部材を設けると、前面開口は貯蔵物を出し入れするために設けているのであるから、貯蔵物の出し入れ操作を阻害してしまうおそれがある。これらを鑑みて、図6,図10に示すように、減圧室蓋16の中央部16c2の内部側には内方に突出する形状の前面開口の上下支持部である補強支持部Hが形成されている。
図18は、図16に示す減圧室蓋16の全開状態時の減圧室蓋16を後方斜め上方から見た斜視図である。
減圧室蓋16の補強支持部Hは、図18に示すように、内部側に立設する外周上壁面H1,外周下壁面H2,両側壁面H3が連続して形成されており、外周上壁面H1、外周下壁面H2間には、複数の補強リブhrが上下方向に延在して形成されている。これにより、貯蔵物の出し入れ操作を阻害することなく、外殻部材11の前面開口を支持して補強することができる。
また、減圧室蓋16の補強支持部Hの両側壁面H3外面には、減圧室蓋16の開閉動作に食品トレイ17を連動させるための円柱状の突起部16g,16gが形成されている。
この突起部16g,16gに食品トレイ17の一対の取り付け爪17t,17t(図6参照)を係合させて、減圧室蓋16の開閉動作に食品トレイ17を連動させて外部に引き出し、利用者が食品トレイ17内の食品を視認し易く、取り出し易いように構成されている。
図6に示すように、減圧室蓋16を閉じて減圧する場合、減圧室蓋16の内部側の補強支持部Hが、ガラスGの下面であって減圧室13内の外郭部材14の前面壁14eおよび減圧室13内の補強板材15の底面壁15cに直接当接して、又は間接的に支持する。これにより、減圧室12外部の大気圧と減圧室12内の低圧との差圧により、外郭部材14の前面壁14eおよびガラス板Gに上方から加わる荷重と、外郭部材14の底面壁14cに下方から加わる差圧による荷重とを支持し、減圧室13の変形を抑制するように構成されている。また、上述の構成により、減圧室13の強度(剛性)を維持して、減圧状態のまま減圧室13の内部を確認することができる。また、減圧時の補強板材15の浮き上がりを防止できる。すなわち、補強板材15は、減圧時の負圧によって底面壁15cが浮き上がるおそれがある。補強板材15が浮き上がると、外殻部材11と補強板材15との間には隙間が形成される。この隙間は、外殻部材11が負圧によってさらに変形しようとする変形量となる。そこで、本実施形態においては、補強板材15の浮き上がりを、補強支持部Hによって防止する。これにより、減圧時の外殻部材11と補強板材15との間に隙間ができることを防止できる。すなわち、外殻部材11の変形量を小さくすることができる。
また、パッキン16pは、減圧室蓋16の補強支持部Hの外方に設けられる。具体的に、パッキン16pは減圧室蓋16、又は外殻部材11の前面開口に設けられて、シール性を向上させている。この際、パッキン16pは、補強支持部Hよりも外方に位置するように設けられる。ここで、補強支持部Hよりも外方とは、本実施形態では図18に示すように、補強支持部Hの周囲であって、減圧室蓋16の背面の縁部付近である。なお、パッキン16pの位置は、減圧室蓋16と外殻部材11の前面開口との間の気体の出入りを抑制できる位置であればよく、上述の位置に限定するものではない。
また、パッキン16pの奥行方向(図26〜図28においては紙面の左右方向)の位置は、補強支持部Hよりも手前(図26〜図28においては紙面の左方向)になるように設けられる。これにより、外郭部材14と減圧室蓋16間のシールと、外殻部材14の前面開口の補強とを、両立することができる。
なお、パッキン16pの奥行方向の位置は、補強支持部Hの上方および下方(図26〜図28において示すパッキン16pよりも右方向の位置)になるように設けてもよい。これにより、上述した実施形態における作用効果を同様に奏することができる。
また、図5,図6に示すように、減圧室蓋16の中央部16c2には、差圧抜き弁Vの減圧室13内に挿通する差圧抜き孔16aが設けられるとともに、差圧抜き孔16aの周囲に弾性的性質および柔軟性を有するゴム等から成る弁座16zが配設されている。
そして、減圧室蓋16には、図6に示すように、差圧抜き弁Vを開閉する弁体35tを有する弁開閉部材35が、支軸35s廻りに回動自在に設けられている。
ここで、弁開閉部材35が回動する支軸35sと、開閉ハンドル26が回動する支軸16s(図8,図10参照)とは同心に構成されており、開閉ハンドル26の開閉操作を、弁開閉部材35を介して弁体35tの開閉動作に連動させるように構成している。
図29は、図5の減圧室蓋16をH−H線断面で切断した減圧室蓋16を示す斜視図であり、図30は、図5の減圧室蓋16をI−I線断面で切断した減圧室蓋16を示す斜視図である。また、図31は、図5の減圧室蓋16をD−D線断面で切断した減圧室蓋16を示す斜視図である。
図29,図30に示すように、弁開閉部材35には、開閉ハンドル26の開閉時の回動操作を弁体35tの開閉弁動作に連動させるための開閉ガイド35g,35hが、弁開閉部材35の支軸35s(図6参照)中心と開閉ハンドル26の棒体27中心とを結ぶ直線に平行な辺面35g1,35g2,35h1,35h2をそれぞれ有して扁平な直方体状に形成されている。
また、図9に示すように、減圧室蓋16の左右両側部には、開閉ハンドル26を後記の蓋ロック案内溝部材30,30で案内できるように開閉ハンドル26を所定位置に保持するハンドル保持部材37,37が、支軸37s,37s廻りに回動自在に支持され、ねじりコイルバネ32(図25,図26参照)等により上方に付勢されている。
ハンドル保持部材37,37には、保持突起37t,37tがそれぞれ形成され、保持突起37t,37tは、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t(図10,図11,図13参照),29t(図18参照)にそれぞれ係止して開閉ハンドル26を所定位置に保持する。
<<開閉ハンドル26の構成>>
図4,図9,図18に示すように、開閉ハンドル26は、アルミ棒で構成される棒体27と、該棒体27の左右両端に一方端部がそれぞれ固定される金属製の支持部28,29と、中央部に棒体27が挿通しハンドル操作に用いられる取っ手操作部36とを備えている。
開閉ハンドル26の左右の支持部28,29は、それぞれ中央部が、減圧室蓋16の左右の支軸16s,16s廻りに回動自在に支持されており、他方端部には、ガイドローラ28r,29rが回動自在に支持されるとともに、開閉ハンドル26を上端位置で保持するためのハンドル保持部材37に嵌合するための突起状のツメ部28tが形成されている。
<<開閉ハンドル26のロック機構>>
図8に示すように、開閉ハンドル26は、減圧室蓋16の左右側部の支軸16s,16s廻りに回動自在に支持されており、棒体27を左右の支軸16s,16s廻りの回動軌跡の最下部に位置させた場合が、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16を閉塞しロックした状態であり、一方、図9に示すように、棒体27を左右の支軸16s,16s廻りの回動軌跡の上方に位置させた場合が、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロックを開放した状態となっている。
開閉ハンドル26の左右の支持部28,29のガイドローラ28r,29rは、それぞれに対応し減圧室13両側部の側面壁14a,14bに設けられる蓋ロック案内溝部材30,30に嵌入し、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロックが行われる。
図19,図20,図21は、図9に示す減圧室13の減圧室蓋16および開閉ハンドル26の支持部28および蓋ロック案内溝部材30廻りの開閉ハンドル26をロックする過程を示す拡大図である。
なお、図19は、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック開放状態を示した図であり、図21は、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態を示した図であり、図20は、図21におけるロックの手前の状態を示した図である。
なお、左側の蓋ロック案内溝部材30は、右側の蓋ロック案内溝部材30と同様な構成であるから、右側の蓋ロック案内溝部材30について説明し、左側の蓋ロック案内溝部材30についての説明は省略する。
図19,図20,図21に示すように、蓋ロック案内溝部材30は、例えば、樹脂成型された部材であり、ガイドローラ28rを側面視で曲線状の内側壁ガイド30aに接触させて案内するものである。
蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aは、側面視で下記の形状に形成されている。
すなわち、図19に示すように、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック開放状態における支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点30a1と支軸16s間寸法をcとし、また、図20に示すように、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック手前の支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点30a2と支軸16s間寸法をbとし、また、図21に示すように、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態における支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点30a3と支軸16s間寸法をaとすると、このa,b,c間には、
b(ロック手前の状態(図20))>a(ロック状態(図21))>c(ロック開放状態(図19))
の関係が成立する曲線で連続し、側面視で図19,図20,図21に示す内側壁ガイド30aの形状が形成されている。
この蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30a形状によって、図20に示す開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック手前の状態においては、支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点30a2と支軸16s間寸法がbと最も大きいことから、図20に示すように、支持部28のガイドローラ28rが蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aに強く当接し又はこじり、支持部28で支持される開閉ハンドル26を開閉操作する利用者に重たい感じを与え、クリック感を付与した後ロックするように、内側壁ガイド30aが形成されている。
すなわち、利用者が、開閉ハンドル26の取っ手操作部36を把持して、図20のロック手前の状態から、開閉ハンドル26の取っ手操作部36を下方へ押し下げ、図21に示すロック状態へ至った場合、
b(ロック手前の状態(図20))>a(ロック状態(図21))
の関係から、中立状態の支持部28のガイドローラ28rが蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aをこじる、すなわち強く当接する度合いがやわらぎ、利用者の開閉ハンドル26のロックへの移行操作において、開閉ハンドル26がロック手前の状態からロック状態に引き込まれる感触を付与するように構成されている。
そして、利用者が、開閉ハンドル26の取っ手操作部36を把持して、図20のロック手前の状態から、開閉ハンドル26の棒体27を上方へ持ち上げ、図19に示すロック開放状態へ至った場合、支軸16sとガイドローラ28rの軸心とを結ぶ直線の内側壁ガイド30aとの交点と支軸16s間寸法がaであり、ロック手前の状態(図20参照),ロック状態(図21参照)に比べ最も小さいことから、ロック手前の重たい感触の部分を一旦通過するものの、図20の状態から図19の開状態にいたる間には支持部28のガイドローラ28rが蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aに接触することなく、緩やかな感触で開閉ハンドル26の操作が行えるように、内側壁ガイド30aが形成されている。
<<開閉ハンドル26のロック機構の変形例>>
次に、開閉ハンドル26のロック機構の変形例について説明する。
図22,図23,図24は、変形例の開閉ハンドル26における蓋ロック機構のロック開放から中立状態を経てロック状態に至る過程を図示したものであり、図22は、ロック開放を示した図であり、図23は、変形例のロック手前の状態を示した図であり、図24は、ロック状態を示した図である。
変形例の開閉ハンドル26の蓋ロック機構は、支持部28のガイドローラ28rを、支持部の切り欠けガイドに変更し、蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aを、ガイドローラに変更した構成であり、これ以外の構成に変更はないので、同様な構成要素には前述の実施例における構成要素の符号に「′」を付して示し、詳細な説明は省略する。
図22に示すように、減圧室13′の外郭部材14′の側面壁14b′には、蓋ロック案内溝部材に代えてガイドローラr1′が回動自在に支持されている。
開閉ハンドル26′の支持部28′は、例えば、鋼板をプレス加工して製造され、支軸16s′廻りに回動自在に支持されており、一方端部にアルミ棒の棒体27′を有するとともに、他方端部側は、ガイドローラr1′を摺動させて案内するローラガイド28a′が、側面視で曲線状に形成されている。
図22に示すロック開放状態においては、開閉ハンドル26′の支持部28′のローラガイド28a′は、外郭部材14′のガイドローラr1′を完全に解放すように形成されている。
図23に示すロック手前の状態における、外郭部材14′のガイドローラr1′とローラガイド28a′との接触点と支軸16s′との距離をb′とし、図24に示すロック状態における、外郭部材14′のガイドローラr1′とローラガイド28a′との接触点と支軸16s′との距離をa′とすると、
b′(ロック手前の状態(図23))>a′(ロック状態(図24))
の関係になる曲線で連続するように、側面視で図22,図23,図24に示すローラガイド28a’の形状が形成されている。
変形例では、図22に示すロック開放状態において、開閉ハンドル26′の支持部28′のローラガイド28a′は、外郭部材14′のガイドローラr1′を完全に解放する以外は、実施例と同様な構成であり、同様な作用効果を得られるので、詳細な省略は説明する。
なお、前記実施例と同様に、ロック開放状態において、開閉ハンドル26′の支持部28′のローラガイド28a′が、外郭部材14′のガイドローラr1′と接触するように構成し、
b′((ロック手前の状態(図23))>a′(ロック状態(図24))>c′(ロック開放状態)
の関係になる曲線で連続するように、側面視で図22,図23,図24に示すローラガイド28a’の形状を形成してもよいことは言うまでもない。
<<開閉ハンドル26の付勢バネ>>
図25は、図5に示す減圧室蓋16のF−F線断面概念図であり、図26は、図5に示す減圧室蓋16のG−G線断面概念図であり、減圧室蓋16に対して開閉ハンドル26を下方に回動して減圧室蓋16を閉塞状態近くにした場合のねじりコイルバネ32の付勢力の働きを表している。
また、図27は、減圧室蓋16に対して開閉ハンドル26を回動し、ねじりコイルバネ32の付勢力が中立位置になった際の図5のG−G線断面概念図である。
図5,図25,図26に示すように、減圧室蓋16と該減圧室蓋16に支持される開閉ハンドル26との間にはねじりコイルバネ32が配設されており、該ねじりコイルバネ32は、図27に示すねじりコイルバネ32の中立位置から開閉ハンドル26を下方に回動して図21に示す減圧室蓋16のロック状態にする操作を付勢する、すなわち開閉ハンドル26を下方に付勢し、ロックする操作をアシストしている。
また、図27に示すねじりコイルバネ32の中立位置から、開閉ハンドル26を上方に回動して図19に示す減圧室蓋16のロック開放状態にする操作の範囲においては、開閉ハンドル26を上方に付勢し、開く操作をアシストしている。
図28は、減圧室蓋16に対して開閉ハンドル26を上方に回動した際のねじりコイルバネ32の付勢力の働きを示す図5の減圧室蓋16のG−G線断面概念図である。
図26,図27,図28に示すように、開閉ハンドル26は、減圧室蓋16の支軸16s廻りに回動自在に支持されており、図27に示すバネ力中立位置においては、開閉ハンドル26の回動支点の支軸16sとねじりコイルバネ32の付勢力とが同一直線状となって、開閉ハンドル26の回動支点の支軸16sとねじりコイルバネ32の付勢力間におけるウデの長さが0になり、開閉ハンドル26には、ねじりコイルバネ32の付勢力は働かない。
これに対して、図26に示すように、図27に示すバネ力中立位置より、開閉ハンドル26が下方に回動した場合には、ねじりコイルバネ32の白抜き矢印で表す付勢力までの開閉ハンドル26の回動支点の支軸16sからのウデの長さがu1となり、開閉ハンドル26にねじりコイルバネ32の下方への付勢力が働き、付勢力により下向きのモーメントが加わる。
一方、図28に示すように、図27に示すバネ力中立位置より、開閉ハンドル26が上方に回動した場合には、ねじりコイルバネ32の白抜き矢印で表す付勢力までの開閉ハンドル26の回動支点の支軸16sからのウデの長さがu2となり、開閉ハンドル26にねじりコイルバネ32の上方への付勢力が働き、付勢力により上向きのモーメントが加わる。
ここで、コイルバネ32が、開閉ハンドル26を上方へ回動させる付勢力は、開閉ハンドル26の自重を上回り、利用者が開閉ハンドル26から手を離した場合にも、開閉ハンドル26がコイルバネ32の付勢力により上方に回動するように構成されている。
開閉ハンドル26における取っ手操作部36(図29参照)は、利用者が開閉ハンドル26を操作する場合の握り部の機能と、差圧抜き弁Vの開閉をガイドする機能とを有している。
図29に示すように、開閉ハンドル26における取っ手操作部36には、減圧室蓋16に回動自在に支持される弁開閉部材35の開閉ガイド35gの両辺面35g1,35g2を、その延在方向に案内する弁案内凹部30aが形成されている。
同様に、図30に示すように、開閉ハンドル26における取っ手操作部36には、弁開閉部材35の開閉ガイド35hの両辺面35h1,35h2を、その延在方向に案内する弁案内凹部30bが形成されている。
このように、開閉ハンドル26の回動による開閉操作を、弁開閉部材35を介して弁体35tの開閉弁動作に連動させることにより、開閉ハンドル26に、直接、差圧抜き弁Vの弁体を設けた場合に生じる開閉ハンドル26や減圧室蓋16の樹脂部のそり等による寸法誤差に起因する弁体の開閉動作不良を未然に防止している。
図32は、図5のD−D線断面図であり差圧抜き弁Vの閉弁状態を示しており、図33は、差圧抜き弁Vの開弁状態を示した図5のD−D線断面に相当する図である。
図32に示すように、開閉ハンドル26を矢印に示すように下方に回動して減圧室蓋16を閉塞しロックした場合には、開閉ハンドル26の寸法誤差に拘らず、開閉ハンドル26の回動操作を、開閉ハンドル26と一体で動作する弁開閉部材35によって連動させ、弁開閉部材35の弁体35tによって差圧抜き弁Vを閉弁することができる。
一方、図33に示すように、開閉ハンドル26を図32のロック状態から矢印に示すように上方に回動して開放した場合には、開閉ハンドル26の寸法誤差に拘らず、開閉ハンドル26の回動操作を、開閉ハンドル26と一体で回動する弁開閉部材35によって連動させ、弁開閉部材35の弁体35tによって差圧抜き弁Vを開弁する。
開弁した場合、図33の矢印に示すように、圧力差により外部の大気が減圧された減圧室13内に侵入し差圧が解消され、減圧室蓋16を開く際の減圧室蓋16に加わる差圧による荷重が無くなり、スムーズに減圧室蓋16を開くことができる。
<<開閉ハンドル26の保持機構>>
図34は、開閉ハンドル26の支持部28のツメ部28tが、減圧室蓋16のハンドル保持部材37の保持突起37tに係止して、開閉ハンドル26の下方への回動を阻止している状態を示す概念的右側面図であり、図35は、開閉ハンドル26の支持部28のツメ部28tが、減圧室蓋16のハンドル保持部材37の保持突起37tとの係止が外され、開閉ハンドル26の下方への回動の阻止が解除されている状態を示す概念的右側面図である。
図34,図35に示すように、外郭部材14の両側部には、突起状のハンドル保持解除部材39,39が固定されている。
図34に示すように、減圧室蓋16が減圧室13の外郭部材14から所定距離、離間している場合、外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39は、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37から離れており、ハンドル保持部材37,37を押圧することはない。
この場合、減圧室蓋16の上方に付勢されるハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tに係止され、開閉ハンドル26の矢印に示す下方への回動は阻止される。
そして、図34の白抜き矢印に示すように、減圧室蓋16が閉じる方向に移動され、図35に示すように、減圧室蓋16が減圧室13の外郭部材14から所定距離内に近づいた場合、外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39が、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37を押圧して矢印a方向に回動させ、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t、29tから外れ、開閉ハンドル26の保持が解除され、開閉ハンドル26は、矢印に示す下方への回動が自由に行える。
この結果、開閉ハンドル26を完全に下方まで回動させることが可能となり、減圧室蓋16を外郭部材14に密接させることができる。なお、ハンドル保持部材37および開閉ハンドル26の支持部28,29,ツメ部28t,29tは左右両側ではなくて片側だけに備えられていてもよい。
<<減圧室蓋16の蓋開閉案内機構>>
次に、減圧室蓋16の蓋開閉案内機構について説明する。
減圧室13は、図4,図9に示すように、その右側部に減圧室蓋16を、図9に示す、閉じた状態から図16に示す、開いた状態に開閉するための蓋開閉案内機構を備えている。
図4,図9に示すように、減圧室13の右側部に取り付けられる保護板材19には、前方から奥方に水平方向に延在する第1水平ガイド孔42aと、該第1水平ガイド孔に連続して奥方かつ下方に延在する第1傾斜ガイド孔42bと、該第1傾斜ガイド孔42bに連続し奥方に水平に延在する第2水平ガイド孔42cと、該第2水平ガイド孔42cに連続し奥方かつ上方に延在する第2傾斜ガイド孔42dと、該第2傾斜ガイド孔42dに連続し奥方に水平に延在する第3水平ガイド孔42eとを有する蓋開閉ガイド孔42が穿設されている。
第3水平ガイド孔42eの存在により、減圧室蓋16を閉じる場合に、閉じ間際に減圧室蓋16を、回動させることなく、真直ぐに移動して外郭部材14に当接させることができる。
図8に示すように、減圧室蓋16の開閉案内機構として、第1連結リンク43が設けられており、第1連結リンク43は、その中央軸43oで、ガイド部材24に回転自在に支持される。又、中央軸43oの奥側に挿通しているガイドローラ24rは、図8に示す第2案内溝20bに案内されて前後方向に移動する。
また、第1連結リンク43は、その一方端の先端縁が曲率を有して突出すとともに細幅に延びる形状の方向転換突部43tが形成されており、該方向転換突部43tから中央寄りには蓋開閉ガイド孔42に案内されるガイドローラ43rが軸支されており、その他方端には軸43jの廻りに第2連結リンク44の一方端が回動自在に連結されている。
図8,図18に示すように、第2連結リンク44は、前後方向に長い寸法を有しており、他方端が、開閉ハンドル26が減圧室蓋16に回動自在に支持される支軸16sに回動自在に支持されている。
また、図4に示す減圧室13の右側部に配設される保護板材19の内面には、図8に示すV字状の方向転換ガイド部材45が固定されており、後記するように、第1連結リンク43の方向転換突部43tが、方向転換ガイド部材45のガイド面45aに案内されて、第1連結リンク43が前後方向を転換する。
図36(a)は、図9に示す減圧室蓋16を閉じるに際に減圧室蓋16が正立した状態の蓋開閉案内機構を示す概念的側面図であり、図36(b)は、減圧室蓋16を開き最大傾斜させた状態の蓋開閉案内機構を示す概念的側面図である。
図36(a),図36(b)に示すように、減圧室蓋16を閉じる際の減圧室蓋16の正立時、および、減圧室蓋16を開いた際の減圧室蓋16の傾斜時ともに、第2連結リンク44が支持される支軸16s(A)点および軸43j(B)点、また、第1連結リンク43が支持される中央軸43o(C)点および軸43j(B)点の(A),(B),(C)の3点が略一直線状に位置する。そのため、蓋開閉力Fが加えられた場合、第1連結リンク43に回転モーメントが働き難くなり、蓋開閉力Fが、ガイド部材24に設けられている(C)点に真っ直ぐ伝達されるので、ガイド部材24が水平に移動する。従って、減圧室蓋16は回転しないで、正立ないし傾斜したままの状態を保って水平に移動することができる。
なお、減圧室蓋16の開閉案内機構は、減圧室13の右側部にのみ設けられ、左側部に設けられていない。なお、減圧室蓋16の開閉案内機構は、右側部に設けず、左側部に設けてもよい。
<<減圧室蓋16の蓋開閉案内機構による開閉過程>>
次に、前記構成の減圧室蓋16の開閉案内機構による減圧室蓋16の開閉過程について説明する。
ここで、減圧室蓋16は、図8,図17、および図18に示すように、ガイド部材24の支軸24sおよび同様なガイド部材25の支軸に回動自在に支持されるとともに、支軸16sで第2連結リンク44と回動自在に支持されている。
従って、減圧室蓋16は、ガイド部材24の支軸24sと第2連結リンク44との支軸16sが相対的に同じ水平移動を行えば、回動することなく、水平に移動することになる。
図4,図8,図36(a)に示すように、減圧室蓋16を閉じた状態において、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の水平に延在する第3水平ガイド孔42eに位置するとともに、第1連結リンク43の中央軸43oがガイド部材24のガイドローラ24rと同心にあり図8に示す第2案内溝20bに案内されており、第1連結リンク43に連結する第2連結リンク44が、図示する位置にある。
続いて、図8に示すように、利用者が、開閉ハンドル26の取っ手操作部36を持って、矢印に示すように、上方に開閉ハンドル26を回動させて、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロックを解除する。
そして、図9に示すように、利用者が、開閉ハンドル26の取っ手操作部36(図4参照)を持ち、開閉ハンドル26を矢印で表した前方(図9の紙面左側)に引くと、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の水平に延在する第3水平ガイド孔42e内を前方(図9の紙面左側)に案内されるとともに、第1連結リンク43の中央軸43oがガイド部材24のガイドローラ24rと同心にあり図8に示す第2案内溝20bに案内され前方(図9の紙面左側)に前方に移動し、第1連結リンク43は、傾くことなく前方(図9の紙面左側)に移動する。
この場合、第1連結リンク43は、ガイド部材24,25と同じく水平に前方に向かって同じ距離を移動するため、第1連結リンク43と、軸43jで連結される第2連結リンク44は、第1連結リンク43と等距離、同方向に移動する。
そのため、ガイド部材24,25と第1連結リンク43とで支持される減圧室蓋16は、回動することなく、前方(図9の紙面左側)に、ガイド部材24,25および第1連結リンク43と等距離水平方向に前方に移動する。
このように、減圧室蓋16が開く場合に、減圧室蓋13の外郭部材14と傾くことなく所定距離,水平方向に離れ、逆に、減圧室蓋16が閉じる場合に、減圧室蓋13の外郭部材14と傾くことなく水平方向に近づき、当接する。
そのため、減圧室蓋16のパッキン16pが、外郭部材14と傾くことなく離れ、また、外郭部材14と傾くことなく近づき当接するので、パッキン16pが外郭部材14にこじられることがなく、ほぼ均一に当接されるのでシール性能が高い。また、パッキン16pの劣化を防止することができる。
続いて、利用者が、開閉ハンドル26を前方(図9の紙面左側)に引くと、図10に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oがガイド部材24のガイドローラ24rと同心にあり図8に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図10の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第2傾斜ガイド孔42dにより前方かつ下方に案内される。
この場合、図10に示すように、ガイド部材24,25は、前方に水平に移動するが、第1連結リンク43は、ガイドローラ43rが下方に傾き、第2連結リンク44が連結される軸43jは上方に移動する。
すると、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように回動しつつ前方に移動する。
さらに、図10の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図10の紙面左側)に引くと、図11に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図8に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図11の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43の方向転換突部43tが方向転換ガイド部材45のガイド後面45a1に案内されつつ第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第2水平ガイド孔42c(図9参照)内を移動する。
この過程において、第1連結リンク43は、ガイドローラ43rが下方に傾き、第2連結リンク44が連結される軸43jは上方に移動する。
すると、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように回動しつつ前方に移動する。
続いて、図11の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図11の紙面左側)に引くと、図12に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図8に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図12の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43の方向転換突部43tが方向転換ガイド部材45の凹状のガイド底面45a2に案内されるとともに第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第2水平ガイド孔42c内を移動し、第1連結リンク43が直立状態になる。
この過程において、第2連結リンク44が連結される軸43jは上方に移動し、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように回動しつつ前方に移動する。
このように、減圧室蓋16が傾斜することで、減圧室13内の食品等を見易くなるとともに、減圧室蓋16を完全に引き出さなくとも減圧室13内の食品等を取り出せる。
さらに、図12の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図12の紙面左側)に引くと、図13に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図8に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図13の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43の方向転換突部43tが方向転換ガイド部材45のガイド前面45a3に案内されるとともに第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第2水平ガイド孔42c内を移動し、第1連結リンク43が方向転換突部43t廻りに回動し方向転換する。
この過程において、第2連結リンク44が連結される軸43jは前方に移動し、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように開きつつ前方に移動する。
続いて、図13の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図13の紙面左側)に引くと、図14に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図8に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図14の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第1傾斜ガイド孔42b内を移動し、第1連結リンク43が方向転換突部43t側を中心として、さらに回動する。
この過程において、第2連結リンク44が連結される軸43jは上方に移動し、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように回動しつつ前方に移動する。
さらに、図14の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図14の紙面左側)に引くと、図15に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図8に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図15の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の水平方向に延在する第1水平ガイド孔42aを案内され移動し、第1連結リンク43が回動して水平になり前方に移動する。
この過程において、第2連結リンク44が連結される軸43jは前方に移動するとともに、第2連結リンク44と支軸16sで連結される減圧室蓋16は、上部が前方に傾くように開き切り、ガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第1水平ガイド孔42aに入った時点で開く動作が停止する。
そして、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第1水平ガイド孔42a(図9参照)に移動した後は、第1連結リンク43とガイド部材24とは、等距離前方に移動するので、減圧室蓋16は開き切った状態で前方(図15の紙面左側)に移動する。
続いて、図15の矢印に示すように、開閉ハンドル26を前方(図15の紙面左側)に引くと、図16に示すように、第1連結リンク43の中央軸43oが、前記の如く、図8に示す第2案内溝20bに案内されて前方(図16の紙面左側)に案内されるが、第1連結リンク43のガイドローラ43rが蓋開閉ガイド孔42の第1水平ガイド孔42a内を案内され移動して、ガイド部材24の第1案内溝24aの縁部24a1に減圧室13の右前側方のガイドローラ21bが当接し、減圧室蓋16は開き切った状態での前方(図16の紙面左側)への移動が停止し、減圧室蓋16は全開状態となる。
以上が、蓋開閉案内機構を用いた減圧室蓋16の開く動作である。
図16に示す減圧室蓋16が全開状態から、図9に示す減圧室蓋16を閉じる過程は、前記の過程を逆に遷移して行われる。
ここで、図16に示すように、減圧室13が冷蔵室6などの下部に配置された場合等を考慮して、二点鎖線で示す減圧室13の底面と開閉ハンドル26間に利用者の手指の入るスペースを確保するために、減圧室蓋16の上端近傍で、利用者が開閉ハンドル26を持って減圧室蓋16の開閉操作を行う構成としている。
<<減圧室蓋16のロック開閉動作>>
次に、減圧室蓋16のロック開閉動作について説明する。
図37(a)は、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態からロックを解除して、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16を開く操作を示す右側面図であり、図37(b)から図37(d)は、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態からロックを解除して、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16を開く操作を開始する開閉ハンドル26廻りの機構の遷移を示す概念的側面図である。
図37(a)に示すように、減圧室蓋16で減圧室13を閉じて開閉ハンドル26によって減圧室蓋16をロックしている場合、開閉ハンドル26は、減圧室蓋16の下部に位置する。
開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態から減圧室蓋16を開く動作は、矢印α1に表すように、開閉ハンドル26を完全に一旦、上端まで持ち上げてロックを解除し、矢印α2に表すように、開閉ハンドル26を前方(図37(a)の紙面左側)に引き出す必要がある。
この過程を、図37(b)から図37(d)を用いて、説明する。
図37(b)に示すように、開閉ハンドル26による減圧室蓋16のロック状態においては、開閉ハンドル26の支持部28のガイドローラ28rが、蓋ロック案内溝部材30の内側壁ガイド30aと交点30a3(図21参照)で接触しロックされている。
この場合、図37(b),図35に示すように、外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39が、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37を押圧しており、また、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tは上方にあり、ハンドル保持部材37,37の保持突起37tとは外れている。
この状態から、開閉ハンドル26を、図37(c)に示すように、持ち上げると、開閉ハンドル26が回動し、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tが下方に位置し、ハンドル保持部材37の保持突起37tの近くに位置する。
この場合、開閉ハンドル26は、図28に示すように、開閉ハンドル26の自重より強い力のねじりコイルバネ32の付勢力で、上昇した位置で支持されている。
続いて、利用者が、開閉ハンドル26を持って、図37(d)の白抜き矢印に示すように、手前(図37(d)の紙面左側)に引くと、減圧室蓋16は直立状態で前方(図37(d)の紙面左側)に移動し、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37が、減圧室13本体側における外郭部材14の両側部のハンドル保持解除部材39,39から離れ、互いの係合が解除される。
そのため、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37は、ねじりコイルバネ等の弾性材で上方へ付勢されているので、上方に回動し、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t、37tが、開閉ハンドル26の支持部28、29のツメ部28t,29tに係止し、開閉ハンドル26の下方への回動にロックがかかり、開閉ハンドル26が上端位置でロックされる。
こうして、開閉ハンドル26が上端位置でロックされたまま、図9〜図16に示すように、手前(図16の紙面左側)の全開位置まで引き出される。
次に、減圧室蓋16を開いた状態から、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16を閉じロックする動作について、説明する。
図38(a)は、減圧室蓋16が開いた状態から、開閉ハンドル26によって減圧室蓋16をロックする動作を示す右側面図であり、図38(b)から図38(d)は、減圧室蓋16が開いた状態から開閉ハンドル26によって減圧室蓋16をロックする過程における開閉ハンドル26廻りの機構の遷移を示す概念的側面図である。
図38(a)に示すように、開閉ハンドル26は、減圧室蓋16が全開状態から、矢印β0に示すように、後方(図38(a)の紙面右側)に戻された後、開閉ハンドル26に何らかの機構が設けられていない場合には、破線矢印β1に示すように、開閉ハンドル26は戻されることになる。
この場合には、開閉ハンドル26の両側部の支持部28,29のガイドローラ28r,29rが、両側部の蓋ロック案内溝部材30,30内に入らないので、減圧室蓋16を閉じることが不可能になる。
従って、開閉ハンドル26は、その支持部28,29のガイドローラ28r,29rが、破線矢印β2に示すように、蓋ロック案内溝部材30,30内に入る上端位置に保持した状態で、減圧室蓋16が閉じられるように次のように構成している。
前述の図37(d)に示したように、減圧室蓋16を減圧室13から所定距離離れた際に、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tに係止し、開閉ハンドル26の下方への回動にロックがかかり、開閉ハンドル26が上端位置でロックされる。
そして、この位置より、減圧室蓋16が減圧室13から離れた減圧室蓋16の開閉動作においては、減圧室13本体側の外郭部材14における両側部のハンドル保持解除部材39,39から、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37が離れているので、ハンドル保持解除部材39,39によって押圧されることはない。
そのため、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tが、開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tに係止し、ロックされ、開閉ハンドル26が上端位置で保持された状態で、減圧室蓋16の開閉動作が行われる。
そして、減圧室蓋16が開き開閉ハンドル26が上端位置で保持された状態から、図38(b)の白抜き矢印に示すように、減圧室蓋16を閉じるため、減圧室蓋16が後方(図38(b)の紙面左側)に移動された場合、開閉ハンドル26の支持部28、29のガイドローラ28r,29rが、蓋ロック案内溝部材30、30内に入る。
そして、開閉ハンドル26の支持部28,29のガイドローラ28r,29rが蓋ロック案内溝部材30,30内に入った後、図38(c)に示すように、減圧室蓋16が、閉じられるため、減圧室13の外郭部材14にさらに近づくと、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37が、減圧室13本体側の外郭部材14における両側部のハンドル保持解除部材39,39に押圧され、減圧室蓋16のハンドル保持部材37,37の保持突起37t,37tの開閉ハンドル26の支持部28,29のツメ部28t,29tとの係止が外され、開閉ハンドル26が上下動作可能となる。
そして、図38(d)に示すように、利用者が開閉ハンドル26を押し下げて、開閉ハンドル26の支持部28,29のガイドローラ28r,29rが蓋ロック案内溝部材30、30で案内され、開閉ハンドル26で減圧室蓋16を引き込み、減圧室蓋16を減圧室13本体側の外郭部材14にロックする。
開閉ハンドル26を押し下げることによって、減圧室蓋16の左右両側が外郭部材14に対して引き込まれるので、減圧室蓋16に部品のソリや変形があっても、確実にパッキンを外郭部材14に対して当接して良好なシール性を確保できる。
またさらに、パッキン16pは凹部16p1を備えている。具体的に、パッキン16pは断面がV字形状であり(図28,図30参照)、V字形状の一方の辺は、減圧室蓋16に設けられる。また、V字形状の他方の辺は、減圧室蓋16を閉じる場合に、外殻部材11の前面開口に弾性を有して接するように設けられる(図28,図29参照)。これにより、シール部材であるパッキン16pは、減圧室蓋16と外殻部材11との間の気体の出入りを抑制する。特に、減圧動作の開始時において、シール性がより重要となる。より具体的に、ある程度減圧が進行すると、減圧室13の内外に圧力差が生じる。よって、パッキン16pは外殻部材11の前面開口側に引き込まれる力が作用して、減圧室蓋16と外殻部材11の前面開口とがより密着するようになり、シール性は向上する。
一方、減圧動作の開始時は、減圧室13内外における圧力差がない。すなわち、パッキン16pが外殻部材11の前面開口側に引き込まれる力は作用していない。よって、減圧動作の開始前に、減圧室蓋16と外殻部材11との間における気体の出入りの抑制を、より確実に行わなければならない。そこで、本実施形態では、パッキン16pにV字形状の溝を設けることで、減圧室蓋16と外殻部材11とが、弾性的に接するようにする。これにより、減圧室蓋16を閉じるときに、減圧室蓋16と外郭部材11との間で隙間ができないようにしている。
また、パッキン16pは柔軟であり、ハンドルでロックをする際にも、凹部を完全に押しつぶさない範囲までしか押し込まないように設定することで、ハンドルをロックする力が過大になることはなく、軽快にロック動作を行うことができる。
なお、パッキン16pは、V字形状の一方の辺が外殻部材11に設けられて、V字形状の他方の辺が、減圧室蓋11に弾性を有して接するように設ける構成であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
この減圧室蓋16が閉じられた後、例えば図示しない操作スイッチをユーザが押すか、あるいは冷蔵室扉6bが閉じられて図示しないドアスイッチがオンされるなどの後、真空ポンプ12の運転が開始され、減圧室13内の空気が吸引され減圧が開始される。
減圧が開始されると、減圧室蓋16は大気圧と内部の低圧との差圧によって外側から押圧され、パッキン16pはハンドルによるロックされる力以上の押圧で外郭部材14に対して押圧される。パッキン16pの凹部は密着して図26乃至図32に示した状態となり、大気圧と内部の低圧との差圧による大きな荷重により、パッキン16pが潰れて大きな面圧を生じるので、さらにシール性が良好となって、内部の負圧を維持することができる。
前記構成によれば、減圧室13の減圧室蓋16が前方に回動しつつ開かれ、かつ、減圧室13の減圧室蓋16が後側に回動しつつ閉じられるので、減圧室蓋16の開閉操作の操作性が良好であり、使い勝手が良い。
また、減圧室蓋16は、左右の同期がとられて前方または後方に移動する開閉動作が行われるので、動作信頼性が高い。
減圧室蓋16は、減圧室13の外郭部材14に正立して離間または当接するので、減圧室蓋16のパッキン16pがこじられることがなく、パッキン16pの損耗が防止されシール性能が高い。
<<変形例1>>
次に、変形例1について、図39を用いて説明する。なお、図39は、変形例1の冷蔵庫における減圧室13の構成を示す斜視図である。
図39に示す変形例1の冷蔵庫の減圧室13は、図4に示す実施形態の減圧室13の右側部に設けた減圧室蓋16を回動させつつ開く第1連結リンク43,第2連結リンク44等の蓋開閉案内機構を設けない構成である以外は、同様な構成であるので、実施形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
変形例1によれば、減圧室蓋16は、左右の同期がとられて前方または後方に移動する開閉動作が行われるので、動作信頼性が高い。
また、減圧室蓋16は、減圧室13の外郭部材14に正立して当接または離間するので、減圧室蓋16のパッキン16pがこじられることがなく、パッキン16pの損耗が防止されシール性能が高い。なお、上述の実施形態では、減圧室13を冷蔵室2に設置する構成としたが、これに限るものではない。冷凍室4に減圧室13を設置する構成であっても、上述した実施形態と同等の作用効果を奏する。又その際、減圧室扉16が傾斜しないものにも適用可能である。
<<変形例2>>
次に、変形例2について、図40,図41を用いて説明する。なお、図40は、変形例2の減圧室13を裏面から見た平面図であり、図41は、図40のH−H線断面図である。
変形例2は、図4,図8に示す実施形態の減圧室13のガイド部材24,25のラックギアに代えて、図40,図41に示すように、ガイド部材124,125に内方に向けて水平に形成したラックギア124g,125gを設け、ラックギア124g,125g間に、略水平方向に偶数個の平歯車71,72,73,74を設けたものである。これ以外の構成は、実施形態と同様な構成であるので、実施形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
変形例2によれば、ガイド部材124,125に内方に向けて水平に形成したラックギア124g,125gを設け、ラックギア124g,125g間に略水平方向に偶数個の平歯車71,72,73,74を設けたので、鉛直方向の寸法を小さくでき、コンパクトな構成が可能である。
また、前記実施形態で奏する作用効果は同様に奏する。
なお、上述した本実施形態では、気体調節室として室内の空気を吸引して減圧する減圧室を例示して説明を行ったが、気体調節室として減圧室以外に、窒素ガスを封入する貯蔵室,酸素分離膜を設けてポンプにより酸素を室から排出する貯蔵室、およびシリカゲル,ゼオライト等を用いて湿度調節を行う貯蔵室等の減圧室以外の気体調節室に幅広く適用でき、減圧室に限定されるものではない。
また、前記実施形態では、気体調節室である減圧室13を例示して説明したが、本発明の構成は、気体調節室に限定されず、冷蔵室,冷凍室等の貯蔵室に広汎に適用可能である。
また、前記実施形態では、減圧室蓋16の移動手段として、ラックギアとピニオンギア、および、ラックギアと平歯車を例示したが、同期軸で連結された両側部のガイドローラと該ガイドローラを案内する両側部のレールで構成しても良い。