以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態としては、被吸着物質として空気中の水分を対象とした吸着体を用いた吸着再生装置とし、これを空気調和機の室内機に組み込んだ例で説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る空気調和機の室内機1は、図1及び図2に示すように室内と室外とを仕切る壁2の内側面に取付けられる室内機本体3を有し、室内機本体3の前面部と上面部とには複数の吸込口4が形成されている。室内機本体3の下部には、ルーバー5により開度を調整可能な吹出口6が形成されている。
室内機本体3内には、エアフィルタ7と、熱交換器8と、再生処理用ファンとしての空調用ファン9とが配置されている。さらに、室内機本体3内には、水分や臭い成分等の被吸着物質を吸着可能及び脱離可能な吸着体10と、吸着処理用ファンとしての室外排気用ファン11と、吸着脱離機構12と、吸着脱離機構12の一部を構成するヒータ13A,13B,13Cと、制御器14とが配置されている。
エアフィルタ7は、室内機本体3の前面部と上面部との内側に配置され、メッシュ状に形成されている。吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれる空気中に埃が含まれている場合、この空気がエアフィルタ7を通過する過程で埃がエアフィルタ7により捕集される。
熱交換器8は、室外に配置されている室外機(図示せず)内に設けられている熱交換器に接続され、内部に冷媒が流れ、冷房運転と暖房運転とに切替可能に設けられている。冷房運転時には熱交換器8の周囲を流れる空気が冷却され、暖房運転時には熱交換器8の周囲を流れる空気が加熱される。
空調用ファン9は、長尺形状に形成された貫流(横流)ファンであり、一端にモータ15が連結され、モータ15により回転駆動される。空調用ファン9が駆動されることにより、室内の空気が吸込口4から吸い込まれ、吸い込まれた空気が熱交換器8を通過して吹出口6から吹き出す。吹出口6から吹き出す空気は、冷房運転時は冷たい熱交換器8を流れることにより冷却されて冷風となり、又は、暖房運転時は、暖かい熱交換器8を流れることにより加熱されて温風となる。
室外排気用ファン11には、この室外排気用ファン11を回転駆動させるモータ18が連結されている。室外排気用ファン11が駆動されることにより、室内の空気が正面側の吸込口4から吸い込まれ、吸着体10を通過した後、ダクト11Aを介して排気用パイプ19内を通風され、室外に排気される。排気用パイプ19は、室内機本体3内から室内機本体3外へ延び出し、さらに、壁2を貫通して室外に延び出している。
制御器14は、プログラムされたマイコン及びその周辺機器からなり、室内機本体3内の制御対象物の制御を行う。制御器14には、図3に示すように、空調用ファン9を駆動させるモータ15、室外排気用ファン11を駆動させるモータ18、ルーバー5を駆動させるモータ26及び後述する吸着体10をスライドさせる移動手段としてのスライド機構36用のモータ39が接続されている。さらに、制御器14には、ヒータ13、室温センサ27、室内機1の動作を操作するリモコン28からの赤外線信号を受光する受光部29が接続されている。
吸着体10は、室内機本体3内における正面側の吸込口4と熱交換器8との間に配置され、室内機本体3の横幅方向に延びた長尺の直方体形状に形成されている。吸着体10は、図4に示すように、複数枚の平面シート31と複数枚の波形シート32とを交互に接着して形成され、平面シート31と波形シート32との間に奥行き方向に通風可能な空間部33が形成されている。吸着体10の長手方向である横方向の両端には端板33a、33bが設けられ、横方向の中央部には端板33a、33bと平行に仕切板33cが設けられている。すなわち、吸着体10は仕切り板33cによって左右に2分割されている。
平面シート31と波形シート32との表面には、ゼオライト等の吸着材粒子が塗布されている。吸着体10が室内機本体3内に配置された場合、空間部33は正面側の吸込口4から熱交換器8に向けられている。水分や臭い成分を含む空気が吸着体10の空間部33を奥行き方向に流れることにより、水分や臭い成分が吸着材粒子に吸着される。また、加熱された空気が吸着体10の空間部33を流れることにより、吸着材粒子に吸着されている水分や臭い成分が吸着材粒子から脱離される。
吸着脱離機構12は、室外排気用ファン11が駆動された場合に流れる空気と空調用ファン9が駆動された場合に流れる空気とを吸着体10に当て、吸着体10に対して被吸着物質の吸着と脱離とを行わせるための機構である。この吸着脱離機構12は、室外排気用ファン11が駆動された場合に流れる空気を吸着体10の一部に当たる位置に通風する吸着流路34と、空調用ファン9が駆動された場合に流れる空気を吸着体10の他の部分に当たる位置に通風する再生流路35と、吸着体10の各部が吸着流路34上と再生流路35上とに交互に位置するように吸着体10をスライドさせる移動手段としてのスライド機構36と、吸着体10から被吸着物質を脱離させるために吸着体10に当たる空気を加熱するヒータ13A、13B、13Cとを備えている。吸着流路34は、排気用パイプ19に連通されている。
吸着体10と熱交換器8との間には、図5に示すように吸着体10に向けて開口し、吸着流路34を通過した空気が流入するダクト11Aが配置されている。ダクト11Aは排気用パイプ19に接続されている。吸着流路34は、室内空気吸込み側に位置する吸着体10部分と同じ大きさの開口が設けられ、これがダクト11Aにつながっている。したがって、室外排気用ファン11の運転により吸込口4から吸込まれた室内空気は、吸着体10の左側半分を通過してダクト11Aの開口を通る。ダクト11Aは、開口から吸着体10を避けて上方向に延出されており、図5中破線位置となるように吸着体10が左側にスライドした場合、左側の吸着体10の背面にダクト11Aが位置しないようになっている。これにより左側に吸着体10がスライドした場合でも室内空気はダクト11Aが通風抵抗となることなく、熱交換器側へと流れる。
スライド機構36は、吸着体10に固定されたラック37と、ラック37に噛み合うピニオン38と、ピニオン38を回転させるモータ39とにより構成されている。モータ39を正逆回転させることにより、吸着体10は図2に示す位置と図6に示す位置との間で往復移動する。吸着体10が図2に示す位置にスライドしている場合、吸着体10における端板33aと仕切板33cとの間の領域(X部)がダクト11Aの開口部に対向する。吸着体10が図6に示す位置にスライドしている場合、吸着体10における端板33bと仕切板33cとの間の領域(Y部)がダクト11Aの開口部に対向する。
ヒータ13Aは、正面側の吸込口4と吸着体10との間であって、室内空気の吸込み側であるダクト11Aの開口部に対向する位置に配置されている。ヒータ13B、13Cは、正面側の吸込口4と吸着体10との間であって、吸着体10のスライド方向に沿ったダクト11Aの両側に対向する位置に配置されている。ヒータ13A、13B、13Cは、空気調和機の運転モードに応じ、及び、吸着体10のスライド位置に応じ、制御器14により個々に通電可能とされている。
このような構成において、空気調和機が加湿運転される場合の室内機1の動作について説明する。
なお、加湿運転が開始される前には、吸着体10は、図2、図7に示す位置又は図6、図8に示すように位置している。ここでは、吸着体10が図2、図7に示すように位置して暖房運転が行われている状態から、加湿運転が開始される場合について説明する。
加湿運転が行われていない暖房運転時には、空調用ファン9が駆動され、室内の空気が吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた空気が熱交換器8により加熱され、温風となって吹出口6から吹き出している。
加湿運転を開始する信号がリモコン28から制御器14に入力されると、室外排気用ファン11が駆動され、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれた室内の空気の一部が、吸着流路34に通風され、吸着流路34を通過した後にダクト11A内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気される。
吸着流路34内を空気が通風されることにより、通風される空気が吸着体10の一部(X部)に当たり、空気中の水分が吸着体10のX部に吸着される。水分が吸着されて含有水分量が少なくなった空気は、ダクト11A内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気される。
室外排気用ファン11の駆動が開始されてから一定時間が経過すると、モータ39が駆動され、吸着体10が図6、図8に示す位置にスライドされ、さらに、ヒータ13Cに通電される。
吸着体10が図2、図7に示す位置から図6、図8に示す位置にスライド移動すると、吸着体10の一部であって吸着流路34上に位置して水分が吸着された部分(X部)が、再生流路上35上に移動する。一方、吸着体10の他の一部であって図2、図7に示す場合に再生流路35上に位置していた部分(Y部)が、ダクト11Aの開口部に対向する吸着流路34上に移動する。
そして、再生流路35上に移動した吸着体10のX部に対向して位置するヒータ13Cに通電されることにより、空調用ファン9が駆動されて正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれる室内空気の一部がヒータ13Cにより加熱され、加熱された空気が吸着体10のX部に当たる。これにより、吸着体10のX部が加熱され、吸着体10のX部から吸着されている水分が脱離される。
吸着体10のX部から脱離された水分は、空調用ファン9の運転により、その後部にある熱交換器8を通過して吹出口6から吹き出す空気中に含まれた状態で吹出口6から室内に放出され、室内の加湿が行われる。
同時に、室外排気用ファン11は引き続き駆動され、吸着体10の他の一部であって吸着流路34上に位置している部分(Y部)に水分が吸着される。
図6、図8に示す状態で一定時間が経過すると、モータ39が逆向きに駆動され、吸着体10が図2、図7に示す位置にスライド移動される。このスライド移動により、吸着体10における吸着流路34上に位置して水分が吸着された部分(Y部)が、再生流路35上に移動する。そして、ヒータ13Cへの通電が停止され、ヒータ13Bに通電され、ヒータ13Bから発熱される。これにより、図6、図8に示す場合に水分の吸着が行われた吸着体10のY部にヒータ13Bにより加熱された空気が当たり、吸着体10のY部から水分が脱離される。吸着体10のY部から脱離された水分は、空調用ファン9が駆動されることにより吹出口6から室内に吹き出す空気中に含まれ、吸着体10から脱離された水分が吹出口6から室内に放出され、室内の加湿が行われる。
一方、図6、図8に示す場合に水分の脱離が行われた吸着体10のX部が吸着流路34上に移動し、再び水分の吸着が開始される。
この室内機1によれば、室外排気用ファン11と空調用ファン9とを連続回転させ、吸着体10を往復スライドさせ、ヒータ13C、13Bに交互に通電することにより、室内の加湿を連続して行うことができる。
吸着体10は、室内機1の横幅方向に延びた長尺形状に形成され、正面側の吸込口4と熱交換器8との間に位置して室内機本体3内に配置されている。このため、室内機1の外径寸法が大きくなることを抑制しつつ吸着体10の表面積を増大させることができ、加湿性能を高めることができる。なお、この第1の実施の形態においては、吸着体10、吸着脱離機構12によって吸着脱離装置が構成され、これが室内機内に組み込まれたものである。
さらに、この室内機1では、吸着体10を用いて、室内の除湿、室内からの臭い成分の除去を行うことができる。
室内の除湿や室内からの臭い成分の除去を行う場合には、除湿又は臭い成分の除去を行う信号をリモコン28から制御器14に出力する。この信号が制御器14に入力されると、空調用ファン9が駆動される。この場合、空気調和機の空調運転状態は、冷房運転、暖房運転、停止のいずれであってもよい。図2、図7に示す状態において空調用ファン9が駆動されると、室内の空気が正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた空気が再生流路35(この場合、機能的には吸着(湿)流路となる。)を通風されて吸着体10のY部に当たり、空気中の水分や臭い成分が吸着体10のY部に吸着される。水分や臭い成分が吸着され、水分や臭い成分の含有量が少なくなった空気は吹出口6から室内に吹き出す。
空調用ファン9が予め設定されている時間回転駆動されると、モータ39が駆動され、吸着体10が図6、図8に示す位置にスライドされる。さらに、室外排気用ファン11が駆動され、ヒータ13Aに通電される。
吸着体10が図2、図7に示す位置から図6、図8に示す位置にスライドすると、吸着体10の一部であって図2、図7に示す場合に再生流路35上に位置して水分や臭い成分が吸着された部分(Y部)が、吸着流路34(この場合、機能的には再生流路となる。)上に移動する。一方、吸着体10の他の一部であって図2、図7に示す場合に吸着流路34上に位置する部分(X部)が、再生流路35上に移動する。
室外排気用ファン11が駆動されることにより、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれた室内の空気の一部が、吸着流路34に通風され、吸着流路34を通過した後にダクト11A内と排気用パイプ19内とを通って室外排気される。さらに、ヒータ13Aに通電されることにより、吸着流路34を通風される空気がヒータ13Aにより加熱される。ヒータ13Aにより加熱されて吸着流路34を通風される空気が吸着体10のY部に当たり、吸着体10のY部に吸着されている水分や臭い成分が吸着体10から脱離される。吸着体10から脱離された水分や臭い成分を含む空気は、ダクト11A内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気され、ここに、室内の除湿や室内からの臭い成分の除去が行われる。
なお、除湿だけを行なうのであれば、ヒータとしてはダクト11Aの開口部に対向する位置に設けられたヒータ13Aだけでもよい。
ところで、この実施の形態では、前半に説明した「室内からの排気換気を、吸着体を使って湿度を回収して室内に還元する方式(排気換気)」において、3つの空気流路を備え、左右の流路を再生流路35とし、中央の流路を吸着流路34としている。すなわち、3流路型(2N+1)の流路のうち偶数番目の流路を吸着流路34にするため、効率を損なうことなく、また、弁などの機構の追加も必要とせず、常時、安定運転されるべき室外排気用ファン11に接続して連続換気−連続加湿を提供できる。
なお、3流路型の流路のうち奇数番目の流路を吸着流路にした場合には、1番目、または、(2N+1)番目の流路は必ず、不使用となる。このため、弁などを設けて不使用時には通風しないような機構を設けなければ、吸着体がないために低圧損が流路を吸湿することなく、排気がバイパスしてしまい、大きく損失してしまうことになる。
なお、「室外からの給気換気に、吸着体からの再生放湿水分を添加して室内に供給する方式(吸気換気)」を採用した場合には、再生流路は給気換気ファンに繋がるため、3流路型(2N+1)の流路のうち偶数番目の流路を再生流路とする。これにより、効率を損なうことなく、また、弁などの機構の追加も必要とせず、常時、安定運転されるべき給気換気ファンに接続して連続換気−連続加湿を提供できる。
奇数番目の流路を再生流路とした場合には、1番目、または3(2N+1)番目の流路は必ず不使用となるため、弁などを設けて不使用時には通風しないような機構を設けなければ、吸着体がないために低圧損な流路を給気される外気がバイパスしてしまい、大きく損失してしまうことになる。
なお、以下に示す各実施の形態においては、吸着対象を水分とする場合には、吸着体を吸湿体、吸着流路を吸湿流路と記載する。
(第2の実施の形態)
図9は本発明の第2の実施の形態を示すものである。
なお、上記した第1の実施の形態の形態において示した部分と同一部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記した第1の実施の形態では、吸湿流路34が1個で、再生流路35が2個である3流路型の場合について説明したが、この第2の実施の形態は、2個の吸湿流路34a、34bと、3個の再生流路35a〜35cからなる5流路型のものである。
即ち、図9に示す時点で、吸湿流路34aと吸湿流路34bで吸湿体10の1/2(=1/4×2)が吸湿行程に入り、再生流路35aと再生流路35bで吸湿体10の残り1/2(=1/4×2)が再生放湿行程に入る。
この状態から予め設定された一定時間が経過すると、吸湿体10が図10に示す位置にスライド移動される。この時、先ほど吸湿流路34aと吸湿流路34bで吸湿した吸湿体の1/2(=1/4×2)が、再生流路35bと再生流路35cに位置して再生放湿行程が行なわれる。また、先ほど再生流路35aと再生流路35bで再生放湿した吸湿体10の1/2(=1/4×2)は、吸湿流路34aと吸湿流路34bに位置して吸湿行程に入る。
そして、予め設定された一定時間経過後に、再度、吸湿体10が図9に示す位置にスライド移動して戻り、吸湿流路34aと吸湿流路34bで吸湿体10の1/2(=1/4×2)が吸湿行程に入り、再生流路35aと再生流路35bで吸湿体10の残り1/2(=1/4×2)が再生放湿行程に入る。なお、当然、再生流路35a、35bには吸湿体の上流側に加熱手段であるヒータが設けられる。
以上を繰り返すことで、常に吸湿流路34a,34b、再生流路35a,35bそれぞれから乾燥排気、加湿空気が得られ、連続換気−連続加湿を提供することができる。
上記したことを帰納的に考えると、室外排気ファン11につながる吸湿流路34a、34bと、空調用ファン9につながる再生流路35a,35b,35cが、交互に配置され合計、奇数(2N+1)本の流路に対し、隣接する偶数(2N)本の流路を占有する大きさの吸湿体10を、あらかじめ設定された一定時間毎にスライド移動し往復させる。ただしNは自然数(1,2,3…)。
この往復を繰り返すことで、常に吸湿流路、再生流路それぞれから乾燥排気、加湿空気が得られ、連続換気−連続加湿を提供することができる。
なお、流路幅が3流路型のとき、吸湿体10の大きさは流路幅の2/3の大きさになるが、5流路型のときには吸湿体10の大きさは流路幅の4/5の大きさになる、
ここで、5流路型の大きさが、先の3流路型と同じであるならば、吸湿体10の大きさは2/3<4/5であるから、5流路型の方がより大きい吸湿体を採用できることになる。
大きい吸湿体を使うほど、1回あたりの取り扱える水分量が増すため、無給水加湿器機構としてはコンパクトで高性能になる。
そして、これも帰納的に考えると、吸湿体の大きさはL=(2N)/(2N+1)であるから、Nが大きいほど「Lは1に近づく」ため、より流路幅に近い、大きな吸湿体を採用できることになり、吸着脱離装置(無給水加湿器)としてはコンパクトで高性能になる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
なお、上記した実施の形態で説明した部分と同一部分については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
この第3の実施の形態は、空気調和機の室内機または室外機に内蔵または併設する換気機能/換気ファンを利用した、ゼオライトやシリカゲルといった吸湿材を担持させた吸湿体40を使った図15、図16に示すような、無給水加湿器において、図11に示すような再生処理用ファン43につながる再生流路42と、図13に示すような吸着処理用ファン(以下、吸湿処理用ファンという)41につながる吸湿流路50の計2本の流路に対し、1本の流路を占有する大きさの吸湿体40を、予め設定された一定時間ごとに吸湿体40を移動機構47によってスライド移動させて各流路42,50間を往復移動させる。
また、吸湿処理用ファン41と再生処理用ファン43のいずれか一方、または両方が空気調和機の室内機または室外機に内蔵または併設する換気ファンである。
この実施の形態で用いられる吸湿体40は、図17に示すように、塗布や粒子埋め込みなどにより吸湿材45が表面に担持された伝熱フィン46、または吸湿材45に伝熱フィン46が埋め込まれたものであり、伝熱フィン46からの熱伝導で直接的に吸湿材45を加熱または冷却する。なおこの伝熱フィン46の根元端部51には、後述する加熱体、冷熱体と接触するための面が形成されている。
この伝熱フィン46を加熱または冷却するための熱源自体は吸湿体40と一体化せずに、伝熱フィン46を加熱するための加熱体48は再生流路42に、また冷熱体49は吸湿流路50に設けられている。
なお、加熱体48とは、吸湿体40が処理する空気よりも高温で伝熱フィン根元端部51と接触できるような面をもった構造体を意味し、熱源57の種類は問わない。冷熱体49も同様で、吸湿体40が処理する空気よりも低温で伝熱フィン根元端部51と接触できるような面をもった構造体を意味し、冷熱源58の種類は問わない。
熱源57としては、ヒータなどの発熱体以外にも図20に示すようなペルチェ素子55、図18に示すように高温冷媒管(凝縮器)53や、図19に示すようにヒートパイプ54で別所より熱輸送してくることも考えられる。
冷熱源58としては、図20に示すようなペルチェ素子55以外にも図18に示す低温冷媒管(蒸発器)56や図19に示すヒートパイプ54で別所より熱輸送してくることも考えられる。
なお、処理する空気温度より高温を伝熱フィン46に与える加熱体48に対し、処理する空気温度より低温を伝熱フィン46に与える冷熱体49と対表現として一貫して使用しているが、「伝熱フィン46に冷熱を与える」ことと、「伝熱フィン46の熱を奪う」こととは同じ意味をもつ。
上記した構成において、吸湿体40が図11及び図12に示すように、再生流路42にスライド移動すると、伝熱フィン根元端部51は加熱体48に接触して伝熱フィン46が加熱される。高温になった吸湿材45はそれまでに吸湿していた水分を再生放湿し、通過した空気は湿度の高い空気となり、室内加湿に用いられる。
この状態から一定時間経過すると、吸湿体40は図13及び図14に示すように吸湿流路50にスライド移動する。これにより、伝熱フィン根元端部51が冷熱体49と接触して伝熱フィン46全体が冷却され、吸湿材45も冷却されることになり、吸湿材45は通過する空気から吸湿し、乾燥した空気が排気されることになる。これを繰り返すことで、無給水加湿器として動作する。
ただし、この2流路型は従来のバッチ方式と同様に、吸湿と再生放湿がそれぞれ断続することになる。
なお、伝熱フィン46に吸湿材45を担持させる方法は、吸湿材45を表面塗布するだけとは限らず、吸湿材粒子がフィンに熱伝導できるように直接、または伝熱性のあるバインダ(接着材)を通して間接接触していも構わない。
また、吸湿体40に伝熱フィン46が埋め込まれた方式でも構わない。また、伝熱フィン46は板材と限るものではなく、棒状や網状でも良いが、加熱体48や冷熱体49と接触するための面は持つ必要がある。
さらに、加熱体48や冷熱体49の流路における設置位置と伝熱フィン根元端部51の接触方向に関しては、下側からのみとは限らず、上からでも上下から挟み込んでも構わない。
また、吸湿流路系の吸湿処理用ファン41は吸湿体40の下流ではなく、上流に設けるものであっても良い。また、同様に、再生流路系の再生処理用ファン43を吸湿体40の上流ではなく、下流に設けるものであっても良い。
さらに、図15、図16では部屋の外に無給水加湿ユニットおよび換気ファンを示した図になっているが、換気機能/換気ファンと空気調和機との併設とは、空気調和機の室内外配管や配線、ドレンホースを通すために壁に設けられた配管穴を共用するような設置のことであるため、無給水加湿ユニットおよび換気ファンが空気調和装置の室外機の上または室外機内にあるということに限定するものではない。
同様に、無給水加湿ユニットおよび換気ファンが部屋の内側にあっても空気調和装置の室内機の横または室内機内にあるということに限定するものではない。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態は、3流路型、即ち、(2N+1)流路型のもので、図21で示されるように、再生処理用ファン43につながる再生流路42aと、吸湿処理用ファン41につながる吸湿流路50と、再生放湿処理用ファン43につながる再生流路42bという交互に配置された計3本の流路に対し、隣接する2本の流路を占有する大きさの吸湿体10を、予め設定された一定時間ごとにスライド移動して往復させるものである。
なお、吸湿処理用ファン41と再生処理用ファン43のいずれか一方、または両方が空気調和機の室内機または室外機に内蔵または併設してもよい。
加熱体48は再生流路42a,42bにそれぞれ配設され、また冷熱体49は吸湿流路50に設けられている。
吸湿体10は3流路中の2流路を占有する大きさであるので、流路をまたいで伝熱フィン46に熱伝導しないように、根元端部51に図25、或いは図26に示すように断熱材60を介在させたり、隙間を介在させることなどにより断熱してある。
また、加熱体48と冷熱体49は、吸湿体10の上下部に位置するように配置しても良い。
上記した構成において、吸湿体10が図21、図22に示すように、スライド移動すると、その1/2が再生流路42aに位置し、残りの1/2が吸湿流路50に位置する。吸湿体10の再生流路42aに位置する部分の伝熱フィン根元端部51は再生流路42aの加熱体48に接触して伝熱フィン46が加熱され、高温になった吸湿材45はそれまでに吸湿していた水分を再生放湿し、通過した空気は湿度の高い空気となり室内加湿に用いられる。また、吸湿流路50に位置する吸湿体10の伝熱フィン根元端部51は吸湿流路50の冷熱体49に接触して伝熱フィン46が冷却され、吸湿材45は通過する空気から吸湿し、乾燥した空気が排気される。
そして、この状態から一定時間経過すると、吸湿体10は図23、図24を示すようにスライド移動し、先ほど吸湿流路50で吸湿した吸湿体10の1/2は、今度は再生流路42bに位置し、先ほど再生流路42aで再生放湿した残りの1/2は、今度は吸湿流路50に位置する。再生流路42bに位置した1/2の吸湿体10の伝熱フィン根元端部51は加熱体48に接触して伝熱フィン46が加熱され、高温になった吸湿材45が再生放湿する。また、吸湿流路50に位置する残り1/2の吸湿体10の伝熱フィン根元端部51は吸湿流路50の冷熱体49に伝熱フィン根元端部51が接触して伝熱フィン46が冷却され、吸湿材45は通過する空気から吸湿し、乾燥した空気が排気される。
以上を繰り返すことで、常に吸湿流路50、再生流路42a,42bそれぞれから乾燥排気、加湿空気が得られることになる。
つまり、「室外からの給気換気に、吸湿体からの再生放湿水分を添加して室内に供給する方式」においても、「室内からの排気換気を、吸湿体を使って湿度を回収して室内に還元する方式」においても連続換気一連続加湿を提供することができる。
これらは3流路一2流路占有吸湿体が、5流路−4流路占有吸湿体、7流路−6流路占有吸湿体…(2N+1)流路流路−(2N)流路占有吸湿体と拡張しても同様である。
図28は、吸湿体10内の伝熱フィン46の根元端部51が流路幅以下、すなわち、流路幅の1/2の分割幅になるように断熱されて分割された例を示し、図29は、根元端部51が流路幅の1/3の分割幅になるように断熱されて分割された例を示す。
図30は、図28に示す吸湿体10を3流路型に配置した例を示す。
3流路用の吸湿体10の全長は(2×流路幅)であるから、分割幅が(流路幅の1/2)であるならば、この吸湿体10は4分割される。
図30(a)〜(c)は、吸湿体10が最小分割幅でシフト移動された場合を示す。
図30(a)に示す状態から吸湿体10を2段階移動することで、初めて図30(c)に示すように一流路分のシフト移動になる。
しかし、図30(b)の状態であっても、吸湿や再生放湿される吸湿体の大きさや、吸湿時間、再生放湿時間、中央流路の流量、この場合は吸湿流量は図30(c)に示す場合に比べて大きな違いが生じない。
なお、図30(c)に示す状態以降の動きについては、以下に示すように2通りあり得る。
(1)往復型
図30(c)に示す状態から図30(b)に示す状態に移動したのち、図30(a)に示す状態に移動する。
(2)リセット移動型
図30(c)に示す状態から図30(a)に示す状態に移動したのち、図30(b)に示す状態に移動する。
図31は、吸湿体10の最小分割幅の2倍量(=流路幅)でシフト移動した場合である。
この場合は、図31(a)と図31(b)の繰り返ししか生じない。
これを拡張し、図29のような流路幅の1/3の分割幅になるように断熱によって吸湿体10が計6分割(k=3)される場合は、
(1)最小分割幅でシフト移動
(2)最小分割幅の2倍量シフト移動
(3)最小分割幅の3倍量(=流路幅)シフト移動
の3通りの移動幅を選ぶことが可能となる。
つまり、一般化した(2N−1)流路−(2N)吸湿体方式において、断熱を挟むことで吸湿体を流路幅の1/kで分割した場合、その最小分割幅は(流路幅/k)であり、吸湿体全体は(k×2N)分割され(Nもkも自然数)、吸湿体のシフト移動量は(m×流路幅/k、1≦m≦k)で動かすことができる。
図32は、加熱体48を加熱する加熱源、及び冷熱体49を冷熱する冷熱源としてペルチェ素子64を用いた例を示すものである。
ペルチェ素子64は通電することにより加熱面と冷熱面が生じる。そこで、この加熱面を熱伝導体62を介して加熱体48に接続して加熱し、冷熱面を冷熱体49に接触させて冷熱する。
加湿運転時には、図32(a)に示す状態で吸湿体10の左半分は加熱体48によって加熱され、右半分は冷熱体49によって冷却される。この状態から一定時間経過すると、吸湿体10は図32(b)に示すように移動されて右半分が加熱体48によって加熱され、左半分が冷熱体49によって冷却される。
除湿運転時には、図33(a)に示すように、吸湿体10の左半分は冷熱体49によって冷却され、右半分は加熱体48によって加熱される。この状態から一定時間経過すると、吸湿体10は図33(b)に示すように移動されて右半分が冷熱体49によって冷却され、左半分が加熱体48によって加熱される。
図34及び図35は、ペルチェ素子64の他の配置例を示すものである。
図34は、吸湿流路50の上下部に冷熱体49をそれぞれ配設し、再生流路46aの下部側と再生流路46bの上部側とにそれぞれ加熱体48を配設している。そして上部側のペルチェ素子64によって上部側の加熱体48を加熱するとともに、上部側の冷熱体49を冷却し、下部側のペルチェ素子64によって下部側の加熱体48を加熱するとともに、下部側の冷熱体49を冷却するものである。
図35は、2個のペルチェ素子64a,64bを配設し、一方のペルチェ素子64aによって一方の加熱体48を加熱するとともに、冷熱体49を冷却し、他方のペルチェ素子64bによって他方の加熱体48を加熱するとともに、冷熱体49を冷却するものである。
図36は、加熱体48と冷熱体49の熱源として冷凍サイクルを用いた例を示すものである。同図中、冷媒は冷凍サイクル中を矢印の方向に流れる。
冷凍サイクルは、コンプレッサ67、四方弁68、凝縮器69、膨張弁70、及び蒸発器71を備え、四方弁68を使い分けることで、上記したペルチェ素子の場合と同じように、流路やファンを変更することなく、図36に示すように加湿器にも、図37に示すように除湿器(図37に示す)にもなる。
なお、2つ加熱体48,48と1つの冷熱体49に対する冷凍サイクルの組み方や四方弁68の入れ方や個数は、この限りではない。
図38は、3流路型において、再生流路42a,42bに加熱体48を配置するが、吸湿流路50には冷熱体を配置しない例を示すものである。
冷熱体を配置しないのは、吸湿時の冷却は必ずしも必要ではないからである。冷却しない分効率は落ちるが、構造はシンプルで安価に作ることが可能となる。
図39は、再生流路42a,42bと吸湿流路50のそれぞれに加熱体48を設置する例を示すものである。この例では、図39(a)に示すように吸湿流路50の加熱体48をオフ状態、再生流路42a,42bの加熱体48をオン状態にして無給水加湿運転を行ない、また、図39(b)に示すように、再生流路42a,42bの加熱体48をオフ状態、吸湿流路50の加熱体48をオン状態にして除湿運転を行なう。
図40は、排気換気−乾燥排気型の3流路型システムで暖房空調を加熱源とした例を示すものである。図41は図40のA−A断面で、再生流路系を示し、壁掛け室内機の暖房時の高温吹出し空気はルーバ5によって上方向に向けられ、再度室内機内に吸い込まれる。この際、高温空気は吸湿体10を通過し、この部分に位置する吸湿対10は温度が上昇し、再生放湿する。これによれば、ヒータ等の別個の加熱手段を設けることなく、熱交換器8と熱交換後の室内の暖房空気を加熱源として再生(加湿)することができる。また、ファンは空調機の横流ファン9で代用できる。
図42は図40のB−B断面で、吸湿流路系を示し、この部分に位置する吸湿体10に対しても高温吹出し空気が供給されるが、冷熱体49により吸湿体10は伝熱で冷却され、処理空気から吸湿し、乾燥空気は室外に排気される。
続いて、冷熱体49をなくして、部品点数を削減した例を説明する。この例においては、空気調和機の室内機の吹出し通路に設けられ、風向を制御するルーバ5が横方向に各流路に合わせて複数個に分割されている。吸湿体10部分の全体は、図42に示す図から、冷熱体49をなくしただけのものであり、図を省略する。
それぞれの分割されたルーバ5は流路の幅と略一致し、かつ分割単位で方向が変更できるようになっている。図43は、再生流路系の断面を示しており、この再生流路に対応する左右部分に位置するルーバ5aは上向きに位置決めされる。この結果、壁掛け空調機の暖房時の高温吹出し空気はルーバによって上方向に向けられ、再度室内機内に吸い込まれる。この際、高温空気は吸湿体10を通過し、この部分に位置する吸湿体10は温度が上昇し、再生放湿する。
図44は、吸湿流路系の断面を示し、この再生流路に対応する室内機の中央部分に位置するルーバ5bは下向きに位置決めされる。この結果、室内機の高温吹出し空気は、吸込み側に回ることがなく、低温の室内空気が、吸湿体10を介して室内機内に吸込まれる。したがって、冷熱体を設けることなく、この部分に位置する吸湿体10は低温となり、室内空気の水分を吸着する。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。 この例においては、吸湿体10が流路の奥行き方向に複数枚設けられ、そのそれぞれが左右に正逆方向にスライド移動可能となっている。
この例について、空気調和機の室内機または室外機に内蔵または併設する換気機能、換気ファンを利用してゼオライトやシリカゲルといった吸湿材を担持させた吸湿体の吸湿−再生特性を利用した無給水加湿器において、吸湿体の吸着時間と再生時間が吸着時間:再生時間=2:1の場合で説明する。.
図45に示すように、吸湿処理用ファンにつながる吸湿流路50と、再生処理用ファンにつながる再生流路42が設置されており、流路を占有する大きさの吸湿体40a〜40cが常に吸湿流路50に2枚、再生流路42に1枚配置されている。
この3枚の吸湿体40a〜40cが順番に吸湿流路50と再生流路42をスライド移動する。この時、吸湿体40a〜40cは互いの流路をスライド出来るよう1枚毎ずらして設置されている。
まず、始めに、図45(a)に示すように吸湿体40a〜40cが配置されており、第3の吸湿体40cがまだ全く吸湿がされていないとする(再生流路42から吸湿流路50にスライド移動してきた直後とする)。
吸湿時間:再生時間=2:1なので1枚毎順番に再生流路42にスライドすると、まず第1の吸湿体40aが再生流路42で再生されている時間1分、次に第1の吸湿体40aの再生が終わり、ずっと吸湿流路50に置かれていた第2の吸湿体40bが再生流路42に移動し、再生する時間1分であり、第3の吸湿体40cは合計2分間吸湿流路50に置かれていることになる。
よって、再生流路42中の第2の吸湿体40bが再生終了のタイミングで、吸湿流路50側の第3の吸湿体40cは吸着終了状態となり、このサイクルを繰り返すことで吸湿流路50側の吸湿体は順次、吸湿が終了していく。
よって吸湿流路50に2枚、再生流路42に1枚の吸湿体を設置することで、常に吸湿流路50の吸湿体1枚は、再生流路42にある1枚の吸湿体の再生が終了するタイミングで吸着が終了状態になるため、再生が終了したと同時に再生流路42に吸着終了の吸湿体をスライドさせることで連続加湿が可能となる。
また、吸湿体を切替える時に、先に吸湿流路50側の吸着終了の吸湿体を素早く再生流路42にスライドさせ終わってから、再生終了の吸湿体を吸湿流路50に戻すことで、常に吸湿流路50と再生流路42には吸湿体が占有している状態であり、切替え時の切替えショック(温湿度変動)が小さくてすむ。
吸着時間:再生時間=2:1の場合で説明したが、吸着時間Nが2以上のときは吸湿流路42に設置する吸湿体の枚数を増やし、N枚とすれば、上記同様の連続加湿方式となる。
図45に示すものは、加湿機であるが、吸湿流路と再生流路を切替える機構を設け、吸湿体の位置を入れ替えれば除湿機としても転用可能である。
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
図46は、上記した第5の実施の形態と同様に、空気調和機に搭載する無給水加湿器において、吸湿体の吸着時間:再生時間=N:1の時、Nが3以上でかつ奇数である場合、ここでは簡単に、吸着時間:再生時間=3:1とした例を示すものである。なお、吸着時間:再生時間の比は、吸湿体の材料の特性、吸着、再生通路の風量により定まる。
まず、吸湿処理用ファンにつながる吸湿流路50と、再生処理用ファンにつながる再生流路42が、吸湿流路50−再生流路42−吸湿流路50の順で、再生流路42を挟むかたちで吸湿流路50が左右に設置されている。
そして、流路を占有する大きさの吸湿体が、まず、吸湿流路50に(N+1/2枚、つまり2枚ずつ配置され、左右の吸湿流路50から交互に1枚ずつ再生流路42にスライド移動を繰り返す。
吸湿流路50から常に1枚の吸湿体が再生流路42に移動されているので、左右の吸湿流路50には常に合計N=3枚の吸湿体が設置され、1枚は常に再生流路42にある。
図46の様に、吸湿体は左右の吸湿流路50に向かい合う様に設置出来るので、1吸湿流路50当たり吸湿体の枚数が、Nが奇数の場合は(N+1)/2枚(ここでは2枚〉の厚みの機構ですむので上記した第5の実施の形態の機構よりコンパクト化できる。
同じ流路に置かれた吸湿体は吸湿・再生流路間をスライド移動出来るよう1枚毎ずらして配置されている。
ここで、左右の吸湿流路50から交互に1枚毎、再生流路42に吸湿体がスライド移動を繰り返すサイクルについて説明する。
まず、図46に書かれた数字の順番に吸湿体40a〜40dが再生流路42に移動するとする。
始めに図45(a)に示すように、第1〜第4の吸湿体40a〜40dが配置されており、第4の吸湿体40dがまだ全く吸湿がされていないとする(再生流路42から吸湿流路50にスライドしてきた直後とする)。
まず、左の吸湿流路50に設置された第4の吸湿体40dは、再生流路42で第1の吸湿体40aが再生されている時間1分、次に第1の吸湿体40aの再生が終わり、右の吸湿流路50に置かれていた第2の吸湿体40bが図47(b)に示すように、再生流路42に移動し、再生する時間1分、次に同じく右の吸湿流路50に置かれていた第3の吸湿体40cが図47(c)に示すように、再生流路42に移動し、再生する時間1分の合計3分間、吸湿流路50に置かれていることになる。
つまり、再生流路42中の第3の吸湿体40cが再生終了のタイミングで、吸湿流路50側の第4の吸湿体40dが吸着終了状態となり、図47(c)に示すように、第4の吸湿体40dが再生流路42に移動する。このサイクルを繰り返すことで左右の吸湿流路50側の吸湿体は交互に順次、吸湿が終了していく。
よって、吸湿体の吸着時間:再生時間=3:1の場合、第5の実施の形態と同様に、左右の吸湿流路50には常に合計3枚、再生流路42に1枚の吸湿体がある状態にすることで、常に吸湿流路50の吸湿体1枚は、再生流路42にある1枚の吸湿体の再生が終了するタイミングで吸着が終了状態となるため、再生が終了したと同時に再生流路42に吸着終了の吸湿体をスライドさせることで連続加湿が可能となる。
この時、上記した順番のように左右の吸湿流路50で交互に吸湿が終了するタイミングにすれば、再生が終了したと同時に、再生流路42に吸着終了の吸湿体をスライドさせ、スライドし終わってから、再生終了の吸湿体を元の吸湿流路50に戻すことが可能であり、吸湿体の切替え時の切替えショック(温湿度変化〉を最小限に抑えることが可能である。
ここでは、吸湿体のスライドの動きを左上から左右交互に斜めに順番をふって説明したが、移動の仕方はこの1通りだけではない。
また、吸着時間:再生時間=3:1の場合で説明したが、吸着時間Nが3以上かつ奇数のときは、左右の吸湿流路50に設置する吸湿体の枚数を増やし、1吸湿流路あたり(N+1)/2枚づつとすれば、上記同様の連続加湿方式となる、
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
図48は、第6の実施の形態と同様、空気調和機に搭載する無給水加湿器において、吸湿体の吸着時間:再生時間=N:1の時、Nが4以上で、かつ偶数である場合、ここでは簡単に、吸着時間:再生時間=4:1とする例である。
即ち、吸湿処理用ファンにつながる吸湿流路50と、再生放湿処理用ファンにつながる再生流路42が吸湿流路50一再生流路42一吸湿流路50の順で、再生流路42を挟むかたちで吸湿流路50が左右に設置されており、流路を占有する大きさの吸湿体が、まずは、左右の吸湿流路に吸湿体が(N/2)+1枚、N/2、つまり3枚と2枚に分かれて配置され、左右の吸湿流路50から交互に1枚毎、再生流路42にスライド移動を繰り返すものである。
吸湿流路50から常に1枚の吸湿体は再生流路42に移動されているので、左右の吸湿流路50には常に合計N=4枚の吸湿体が設置され、1枚は常に再生流路42にある。
吸湿体は左右の吸湿流路50に向かい合う様に設置出来るが、Nが奇数の場合は、吸湿体の枚数が、片方の吸湿流路の方が1枚多くなるので、(N/2)+1枚(ここでは3枚)の厚みの機構となるが、上記した第5の実施の形態の機構よりコンパクト化できる。
同じ流路に置かれた吸湿体は吸湿・再生流路間をスライド移動出来るように1枚毎ずらして配置されている。
ここで、左右の吸湿流路50から交互に1枚毎、再生流路42に吸湿体がスライド移動を繰り返すサイクルについて説明する。
まず、図48に書かれた数字の順番に吸湿体が再生流路42に移動するとする。始めに図49(a)に示すように吸湿体40a〜40eが配置されており、第5の吸湿体40eがまだ全く吸湿がされていないとする(再生流路42から吸湿流路50にスライドしてきた直後とする)。
まず、右の吸湿流路50に設置された第5の吸湿体40eは、第1の吸湿体40aが再生流路42で再生されている時間1分、次に第1の吸湿体40aの再生が終わり、右の吸湿流路50に置かれていた第2の吸湿体40bが図49(b)に示すように再生流路42に移動し、再生する時間1分、次に左の吸湿流路50に置かれていた第3の吸湿体40cが図49(c)に示すように再生流路42に移動し、再生する時間1分、次に同様に左の吸湿流路50に置かれていた第4の吸湿体40dが図49(d)に示すように再生流路42に移動し、再生する時間1分であり、合計4分間、吸湿流路50に置かれていることになる。
つまり、再生流路42中の第4の吸湿体40dが再生終了のタイミングで、吸湿流路50側の第5の吸湿体40eは吸着終了状態となって図49(e)に示すように再生流路42に移動する。このサイクルを繰り返すことで左右の吸湿流路50側の吸湿体は交互に順次、吸湿が終了していく。
よって、吸湿体の吸着時間:再生時間=4:1の場合、第6の実施の形態と同様に、左右の吸湿流路50には常に合計4枚、再生流路42に1枚の吸湿体がある状態にすることで、常に吸湿流路50の吸湿体1枚は、再生流路42にある1枚の吸湿体の再生が終了するタイミングで吸着が終了状態となり、再生が終了したと同時に再生流路42に吸着終了の吸湿体をスライドさせることで連続加湿が可能となる。
この時、上記した順番のように左右の吸湿流路50で交互に吸湿が終了するタイミングにすれば、再生が終了したと同時に、再生流路42に吸着終了の吸湿体をスライドさせ、スライドし終わってから、再生終了の吸湿体を元の吸湿流路50に戻すことが可能であり、吸湿体の切替え時の切替えショック(温湿度変化)を最小限に抑えることが可能である。
ここでは、吸湿体のスライドの動きを左上から左右交互に斜めに順番をふって説明したが、移動の仕方はこの1通りだけではない。
また、吸着時間:再生時間=4:1の場合で説明したが、吸着時間Nが4以上かつ偶数のときは、左右の吸湿流路50に設置する吸湿体の枚数を増やし、左右の吸湿流路50に(N/2)+1枚、N/2の吸湿体を設置すれば、上記同様の連続加湿方式となる。
この時Nを4以上としたのは、N=2の時は、片方の吸湿流路50に設置される吸湿体の枚数が1枚となってしまい、その1枚が再生流路42に移動した際、1つの吸湿流路50は不使用となるため、弁などを設けて不使用時には通風しないような機構にしなくてはならず、機構が複雑化してしまうので、N=2の時は、上記第5の実施の形態の方が好ましい為である。
上記第5の実施の形態と同様に、この発明は加湿機であるが、吸湿流路と再生流路を切替える機構を設け、吸湿体の位置を入れ替えれば除湿機としても転用可能である。
ここで、吸着時間:再生時間=N:1の定義について図50を参照して説明する。
但し、下記数値は1例である。
図50(b)の再生のグラフにおいて、仮に吸着容量の90%が再生した時点を再生完了と見なし、その時間をt分とする。吸着は再生よりも時聞がかかるため、t分ではまだ吸着できる容量の60%しか吸着できていない。
そこで、図50(a)の吸着容量の90%以上が吸着し、かつ、再生時間t分と整数比となる時点を吸着終了とする。
よって、上記のグラフの場合は、吸着時間:再生時間=2:1あるいは3:1となる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
1…室内機、3…室内機本体、4…吸込口、6…吹出口、9…空調用ファン(再生処理用ファン)、10…吸湿体(吸着体)、11…室外排気用ファン(吸着処理用ファン)、34…吸湿流路、35…再生流路、36…スライド機構(移動手段)、40…吸湿体(吸着体)、41…吸湿処理用ファン、42…再生流路、43…再生処理用ファン、45…吸湿材、46…伝熱フィン、47…移動機構(移動手段)、48…加熱体、49…冷熱体、50…吸湿流路、51…根元部、55,64…ペルチェ素子、60,62…断熱材。