JP4997240B2

JP4997240B2 - 複数の刃物台を備える自動旋盤

Info

Publication number: JP4997240B2
Application number: JP2008526851A
Authority: JP
Inventors: 雅彦渡辺; 厚志青柳
Original assignee: Citizen Holdings Co Ltd; Citizen Watch Co Ltd
Current assignee: Citizen Holdings Co Ltd; Citizen Watch Co Ltd
Priority date: 2006-07-27
Filing date: 2007-07-26
Publication date: 2012-08-08
Anticipated expiration: 2027-07-26
Also published as: JPWO2008013313A1; WO2008013313A1

Description

本発明は、主軸に対して個々に移動可能な複数の刃物台を備える多機能型の自動旋盤に関する。

数値制御（ＮＣ）旋盤に代表される自動旋盤において、旋盤機台に複数の刃物台を集約的に搭載し、それら刃物台の動作を個々に制御して、同一の被加工素材（すなわちワーク）に対し異なる種類の自動加工（例えば外丸削りと中ぐり）を同時に又は任意順序で遂行できるようにした、多機能型の自動旋盤が知られている。この種の多機能型自動旋盤では、複数の刃物台に、バイト、ドリル、フライス等の多種類の工具を交換可能に装着し、主軸に把持したワークに対して、旋削、穴あけ、フライス削り等の多様な加工工程を遂行可能として、複雑かつ多彩な形状の工作品を自動加工できるようにしたものが、種々提案されている。
例えば欧州特許出願公開第１２７０１４５号（ＥＰ１２７０１４５）は、多機能型自動旋盤において、一般的なタレット刃物台に加えて、複数の工具を並列配置で装着可能な刃物台を備え、この刃物台を、それ自体に工具選択動作を遂行させるための送り制御軸（例えばＹ軸と称する）に平行な軸線を中心として、旋回動作可能に旋盤機台に搭載した機械構成を開示する。この自動旋盤では、旋回可能な刃物台の旋回角度を適宜選択することにより、刃物台に装着した回転工具を用いて、主軸に把持したワークに対し、その軸線方向端面や外周面への切削だけでなく、ワーク軸線に斜交する方向への穴あけを遂行することができる。なお、旋回可能な刃物台は、複数の工具を、旋回制御軸（例えばＢ軸と称する）に平行な軸線を中心として外方へ刃先を向ける放射状配置で、複数の旋回割出位置にそれぞれ装着できるようになっている。
ＥＰ１２７０１４５に記載される自動旋盤では、旋回可能な刃物台の旋回軸線が、刃先を外向きにした工具群の放射状配置の略中心に位置するので、個々の工具によるワーク加工点から刃物台の旋回中心までの距離が比較的長く、結果として、加工作業中の切削抵抗により刃物台駆動部へ負荷されるモーメントトルクが大きくなる傾向がある。したがって、加工精度を向上させるべく刃物台（すなわち工具）を高精度に位置決め保持するためには、駆動部の出力を増強したり減速機やブレーキ等の付属機器を装備したりする必要があり、その結果、自動旋盤の全体寸法の削減が困難になることが懸念される。
また、上記自動旋盤では、旋回可能な刃物台に装着した個々の工具の刃先が、刃物台の旋回軸線から見て径方向外方へ離れて位置するので、旋盤機台上で刃物台を旋回可能に担持する送り台と、刃物台上の個々の工具によるワーク加工点との位置関係が、刃物台の旋回角度に対応して大きく変化することになる。したがって、加工工程の進行に伴い刃物台を旋回させる都度、使用工具をワーク加工点に移動させるための刃物台（すなわち送り台）の送り動作ストロークが比較的大きくなり、結果として、自動旋盤の全体寸法の削減が困難になることが懸念される。
さらに、上記自動旋盤では、旋回可能な刃物台が、主軸の回転軸線に平行な制御軸（例えばＺ軸と称する）と同回転軸線に直交する制御軸（例えばＸ軸と称する）との合成制御の下で、ワークに斜め穴加工を遂行する構成となっている。したがって、刃物台の送り動作制御が比較的複雑になり、異なる２つの制御軸に配備した送り機構を個々に動作させることから、工具の高水準の位置決め精度を確保することが困難になる危惧がある。

本発明の目的は、主軸に対して個々に移動可能な複数の刃物台を備える多機能型の自動旋盤において、多種類の工具を用いた多彩な加工能力を低下させることなく、自動旋盤の全体寸法を削減でき、しかも工具の高水準の位置決め精度を確保できる、高性能の自動旋盤を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、旋盤機台と、主軸と、前記主軸に対して個々に移動可能に前記旋盤機台に搭載される複数の刃物台と、前記複数の刃物台を、互いに異なる送り制御軸の制御下で独立して直線動作可能に支持する旋回台とを具備し、前記旋回台は、前記複数の刃物台のそれぞれの直線動作方向に交差する軸線を中心として、旋回制御軸の制御下で旋回可能に前記旋盤機台に設置される、自動旋盤を提供する。
上記構成を有する自動旋盤によれば、主軸に把持したワークに対し、主軸回転軸線に斜交する方向への穴あけ加工を施す場合に、旋回制御軸の制御下で旋回台を軸線に関して指定角度に配置した状態で、指定工具を装着した刃物台を、それ自体の送り制御軸の制御下で直線送り動作させるだけで、指定の斜め穴を形成できる。したがって、この種の加工作業に際し、複数の刃物台の送り動作制御が容易になり、いずれか１つの制御軸に配備した送り機構のみを動作させればよいので、工具の高水準の位置決め精度を容易に確保することができる。また、旋回台の軸線に対する複数の刃物台の配置を適宜選択することで、加工中に旋回台の駆動機構へ負荷されるモーメントトルクを減少させたり、使用工具をワーク加工点に移動させるための旋回台上での各刃物台の送り動作ストロークを削減したりすることができるから、多種類の工具を用いた多彩な加工能力を低下させることなく、自動旋盤の全体寸法を削減できる。
上記自動旋盤においては、旋回台の軸線を、複数の刃物台に装着される複数の工具の刃先の、実質的前方に配置することができる。
この構成によれば、個々の工具によるワーク加工点を、複数の刃物台に共通する旋回台の旋回軸線に、可及的に近接して設定することができる。したがって、加工作業中の切削抵抗により旋回台の駆動機構へ負荷されるモーメントトルクが減少し、駆動機構の出力増加や減速機、ブレーキ等の付属機器の追加装備を要することなく、個々の刃物台（すなわち工具）を高精度に位置決め保持して加工精度を向上させることができる。さらに、旋回台を介して複数の刃物台を旋回可能に担持する旋盤機台上の基準点と、各刃物台上の個々の工具によるワーク加工点との位置関係は、旋回台が旋回しても実質的に変化しないので、加工工程の進行に伴い旋回台を旋回させたときに、使用工具をワーク加工点に移動させるための旋回台上での各刃物台の送り動作ストロークは、退避位置から前進させるだけの必要最小限の移動量とすることができる。その結果、自動旋盤の全体寸法を効果的に削減することができる。
上記自動旋盤においては、旋回台の軸線が、主軸の回転軸線に直交する構成とすることもできる。
また、複数の刃物台は、旋回台に、軸線を実質的中心として放射状に互いに異なる方向へ直線動作可能に支持されることができる。
また、複数の刃物台は、複数の工具が並列配置で装着されるくし歯刃物台を含むことができる。この場合、それら刃物台の各々の直線動作方向は、旋回台の軸線に直交するとともに複数の工具の並列方向に直交することができる。
上記自動旋盤は、旋回台を旋盤機台上で旋回可能に支持する送り台をさらに具備することができる。この場合、送り台は、旋回台の軸線に平行な方向へ、複数の刃物台の送り制御軸とは異なる送り制御軸の制御下で直線動作可能に旋盤機台に設置されることができる。
主軸は、主軸の回転軸線に平行で旋回台の軸線に直交する方向へ、複数の刃物台の送り制御軸とは異なる送り制御軸の制御下で直線動作可能に、旋盤機台に設置されることができる。
上記自動旋盤は、主軸と複数の刃物台との間に位置するガイドブッシュをさらに具備することができる。この場合、旋回台の軸線を、ガイドブッシュのワーク送出端面に近接して配置することができる。
旋回台は、主軸の回転軸線に平行で旋回台の軸線に直交する方向へ、複数の刃物台の送り制御軸とは異なる送り制御軸の制御下で直線動作可能に、旋盤機台に設置されることができる。
上記自動旋盤は、主軸に対向配置可能な背面主軸をさらに具備することができる。この場合、旋回台に支持される複数の刃物台は、背面主軸に対して加工動作する背面刃物台を含むことができる。

本発明の上記並びに他の目的、特徴及び利点は、添付図面に関連した以下の好適な実施形態の説明により一層明らかになろう。同添付図面において、
図１は、本発明の一実施形態による自動旋盤の全体構成を概略で示す斜視図、
図２は、図１の自動旋盤の概略正面図、
図３は、図１の自動旋盤の概略平面図、
図４は、図１の自動旋盤の主要部の拡大斜視図、
図５は、図１の自動旋盤で遂行可能な加工作業の一例を模式図的に示す図、
図６は、図１の自動旋盤で遂行可能な加工作業の他の例を模式図的に示す図、
図７は、図１の自動旋盤で遂行可能な加工作業のさらに他の例を模式図的に示す図、
図８は、図１の自動旋盤で遂行可能な加工作業のさらに他の例を模式図的に示す図、
図９は、図１の自動旋盤で遂行可能な加工作業のさらに他の例を模式図的に示す図、
図１０は、図１の自動旋盤で遂行可能な加工作業のさらに他の例を模式図的に示す図、
図１１は、本発明の他の実施形態による自動旋盤の全体構成を概略で示す斜視図、及び
図１２は、本発明のさらに他の実施形態による自動旋盤の全体構成を概略で示す斜視図である。

以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図１〜図４は、本発明の一実施形態による自動旋盤１０を示す図、図５〜図１０は、自動旋盤１０で実行可能な種々の加工作業例を示す図である。自動旋盤１０は、１つの旋盤機台に複数の刃物台を集約的に搭載し、各刃物台に装着したバイト、ドリル、フライス等の種々の工具により、主軸に把持したワークに対し異なる種類の自動加工（例えば外丸削りと中ぐり）を同時に又は任意順序で遂行できるようにした、多機能構造を有するものである。このような多機能型の自動旋盤１０は、例えば数値制御（ＮＣ）旋盤としての制御構成を有することができる。なお、本発明に係る自動旋盤が有する主軸及び刃物台の個数、配置、形式等は、図示実施形態の構成に限定されない。
図１〜図３に示すように、自動旋盤１０は、旋盤機台１２と、旋盤機台１２に搭載され、回転軸線１４ａを有する主軸１４と、主軸１４に対して個々に移動可能に旋盤機台１２に搭載され、それぞれに複数の工具１６が装着される第１及び第２の刃物台１８、２０とを備える。自動旋盤１０はさらに、任意の追加機構として、主軸１４の回転軸線１４ａに平行な回転軸線２２ａを有して、主軸１４に対向配置可能に旋盤機台１２に搭載される背面主軸２２と、背面主軸２２に対して移動可能に旋盤機台１２に搭載され、複数の工具１６が装着される背面刃物台２４とを備える。旋盤機台１２は、主軸１４、第１及び第２刃物台１８、２０、背面主軸２２並びに背面刃物台２４を、予め定めた直交３軸座標系における複数の制御軸による制御下で、移動可能に担持する。
主軸１４は、旋盤外部から供給された棒状のワークＷを把持して回転する主要な（又は正面側の）主軸であり、その回転軸線１４ａを旋盤機台１２の設置床面から見て水平に配置して、図示しない軸受装置を介して主軸台２６に回転可能に内蔵される。主軸１４は、中空筒状の構造を有し、その前端（図で右端）領域に、後端側から送給されたワークＷを強固に把持可能なチャック（例えばコレットチャック）（図示せず）が設置される。
主軸台２６は、旋盤機台１２の長手方向一端領域に設けられた主軸搭載部２８に搭載される。主軸搭載部２８には、主軸台２６を、所定の直交３軸座標系において、主軸１４の回転軸線１４ａに平行な送り制御軸（Ｚ１軸と称する）に沿った制御下で直線移動させる主軸駆動機構（図示せず）が設置される。主軸駆動機構は、Ｚ１軸駆動源（例えばＡＣサーボモータ）、Ｚ１軸案内部材（例えばスライドガイド）、送りねじ装置（例えばボールねじ）等を含んで構成される。したがって主軸１４は、それ自体の回転軸線１４ａに平行なＺ１軸の制御下で、主軸駆動機構の作動により、所定の送り動作ストロークに渡って、主軸台２６と共に直線往復動作する。
主軸台２６にはさらに、主軸１４を回転駆動する回転駆動源（例えばビルトイン型ＡＣサーボモータ）（図示せず）が内蔵される。また主軸１４は、回転軸線１４ａの周りの回転制御軸（Ｃ軸と称する）を有することができる。その場合、主軸回転駆動源を制御して得られるＣ軸の位置決め割出動作により、チャックに把持したワークＷの端面や外周面の所望位置に、所望の刃物台１８、２０に装備した回転工具を用いて多様な加工を施すことが可能になる。
旋盤機台１２の長手方向略中央には、主軸搭載部２８に隣接して、主軸１４の回転軸線１４ａから側方へずれた位置に、コラム３０が立設される。コラム３０は、主軸１４に近接する側の前面（鉛直面）３０ａに、主軸回転軸線１４ａに直交する鉛直方向へ直線移動可能に、送り台３２を担持する。送り台３２は、所定の直交３軸座標系において、上記Ｚ１軸に直交する送り制御軸（Ｙ１軸と称する）の制御下で、コラム３０に設置される送り台駆動機構（図示せず）の作動により、所定の送り動作ストロークに渡って直線往復動作する。なお、送り台駆動機構は、Ｙ１軸駆動源（例えばＡＣサーボモータ）、Ｙ１軸案内部材（例えばスライドガイド）、送りねじ装置（例えばボールねじ）等を含んで構成される。
送り台３２は、コラム３０の前面３０ａから主軸回転軸線１４ａに接近する方向へ水平に延長される一対のアーム３４を備える。それらアーム３４は、送り台３２上で鉛直方向へ互いに十分に離間して固定的に配置される。両アーム３４の先端には、第１及び第２刃物台１８、２０の共通の支持部材である旋回台３６が、主軸回転軸線１４ａに直交する鉛直軸線３６ａを中心として旋回可能に担持される。
旋回台３６は、所定の直交３軸座標系において、上記Ｙ１軸に平行な旋回制御軸（Ｂ軸と称する）の制御下で、送り台３２に設置される旋回台駆動機構（図示せず）の作動により、予め定めた角度範囲に渡って旋回往復動作する。なお、旋回台駆動機構は、Ｂ軸駆動源（例えばＡＣサーボモータ）、動力伝達装置（例えば歯車列）等を含んで構成される。
旋回台３６は、略直角三角形の断面形状を有する角柱状部材であり、互いに直交する一対の側面のそれぞれに、略平坦な刃物台支持面３８、４０が形成される。旋回台３６は、それら刃物台支持面３８、４０の交線を越える方向へ固定的に延設される一対のアーム４２を介して、両刃物台支持面３８、４０を、旋回軸線３６ａに平行な鉛直姿勢に配置した状態で、送り台３２の一対のアーム３４に旋回可能に支持される。
旋回台３６の一方の刃物台支持面３８には、第１刃物台１８が、旋回軸線３６ａに直交する水平方向へ直線移動可能に支持される。第１刃物台１８は、所定の直交３軸座標系において、上記Ｙ１軸に直交する送り制御軸（Ｘ１軸と称する）の制御下で、旋回台３６に設置される第１刃物台駆動機構（図示せず）の作動により、所定の送り動作ストロークに渡って直線往復動作する。なお、第１刃物台駆動機構は、Ｘ１軸駆動源（例えばＡＣサーボモータ）、Ｘ１軸案内部材（例えばスライドガイド）、送りねじ装置（例えばボールねじ）等を含んで構成される。また図示実施形態では、第１刃物台１８は、第１刃物台駆動機構を介して旋回台３６に可動支持される刃物台テーブル４４に、固定して設置される。
第１刃物台１８は、複数の工具１６が並列配置で装着されるくし歯刃物台の構成を有する。くし歯構造の第１刃物台１８には、バイト、ドリル、フライス等の種々の工具１６が、旋回台３６の旋回軸線３６ａに平行な鉛直方向へ並列して、それぞれの刃先を旋回軸線３６ａに近接対向させる水平姿勢で、固定的に保持される。なお図示実施形態では、第１刃物台１８は、バイト等の複数の旋削工具１６Ａを並列配置で保持できる第１保持部１８Ａと、フライス等の複数の回転工具１６Ｂを並列配置で保持できる第２保持部１８Ｂとを備えている（図２及び図４参照）。
旋回台３６の他方の刃物台支持面４０には、第２刃物台２０が、旋回軸線３６ａに直交する水平方向へ直線移動可能に支持される。第２刃物台２０は、所定の直交３軸座標系において、上記Ｙ１軸及びＸ１軸の双方に直交する送り制御軸（Ｘ２軸と称する）の制御下で、旋回台３６に設置される第２刃物台駆動機構（図示せず）の作動により、所定の送り動作ストロークに渡って直線往復動作する。なお、第２刃物台駆動機構は、Ｘ２軸駆動源（例えばＡＣサーボモータ）、Ｘ２軸案内部材（例えばスライドガイド）、送りねじ装置（例えばボールねじ）等を含んで構成される。また図示実施形態では、第２刃物台２０は、第２刃物台駆動機構を介して旋回台３６に可動支持される刃物台テーブル４６に、固定して設置される。
第２刃物台２０は、複数の工具１６が並列配置で装着されるくし歯刃物台の構成を有する。くし歯構造の第２刃物台２０には、バイト、ドリル、フライス等の種々の工具１６が、旋回台３６の旋回軸線３６ａに平行な鉛直方向へ並列して、それぞれの刃先を旋回軸線３６ａに近接対向させる水平姿勢で、固定的に保持される。なお図示実施形態では、第２刃物台２０は、第１刃物台１８と同様に、バイト等の複数の旋削工具１６Ａを並列配置で保持できる第１保持部２０Ａと、フライス等の複数の回転工具１６Ｂを並列配置で保持できる第２保持部２０Ｂとを備えている（図２及び図４参照）。
上記構成により、自動旋盤１０においては、第１及び第２刃物台１８、２０は、旋回台３６上で、互いに異なる送り制御軸（Ｘ１軸及びＸ２軸）の制御下で独立して直線動作でき、旋回台３６は、送り台３２上で、第１及び第２刃物台１８、２０のそれぞれの直線動作方向に交差する軸線３６ａを中心として旋回制御軸（Ｂ軸）の制御下で旋回動作でき、送り台３２は、旋盤機台１２上で、旋回台３６の軸線３６ａに平行な方向へ、第１及び第２刃物台１８、２０の送り制御軸（Ｘ１軸及びＸ２軸）とは異なる送り制御軸（Ｙ１軸）の制御下で直線動作できる。
したがって、第１刃物台１８は、送り台３２のＹ１軸送り動作によって第１刃物台１８上で割出選択した所望の工具１６を、送り台３２上での旋回台３６のＢ軸旋回動作により、主軸１４に把持したワークＷに対し所望の対向角度に配置し、その状態で、当該工具１６の刃先を、旋回台３６上での第１刃物台１８自体のＸ１軸送り動作と前述した主軸１４のＺ１軸送り動作との協働により、ワークＷに対し加工動作させることができる。同様に、第２刃物台２０は、送り台３２のＹ１軸送り動作によって第２刃物台２０上で割出選択した所望の工具１６を、送り台３２上での旋回台３６のＢ軸旋回動作により、主軸１４に把持したワークＷに対し所望の対向角度に配置し、その状態で、当該工具１６の刃先を、旋回台３６上での第２刃物台２０自体のＸ２軸送り動作と前述した主軸１４のＺ１軸送り動作との協働により、ワークＷに対し加工動作させることができる。このようにして、主軸１４に把持したワークＷを、第１刃物台１８上の所望の工具１６と第２刃物台２０上の所望の工具１６との同時又は選択的（或いは交互的）使用により、所望形状に加工することができる。
このように、自動旋盤１０では、旋盤機台１２上で軸線３６ａを中心として旋回動作する旋回台３６に、軸線３６ａに交差する方向へ直線送り動作可能に第１及び第２刃物台１８、２０を設置している。それにより、例えば、主軸１４に把持したワークＷに対し、主軸回転軸線１４ａに斜交する方向への穴あけ加工を施す場合に、Ｂ軸制御下で旋回台３６を軸線３６ａに関して指定角度に配置した状態で、指定工具１６を装着した第１又は第２刃物台１８、２０を、それ自体の送り制御軸（Ｘ１軸又はＸ２軸）の制御下で直線送り動作させるだけで、指定の斜め穴を形成できる。したがって、この種の加工作業に際し、第１及び第２刃物台１８、２０の送り動作制御が容易になり、いずれか１つの制御軸に配備した送り機構（刃物台駆動機構）のみを動作させればよいので、工具１６の高水準の位置決め精度を容易に確保することができる。
また、自動旋盤１０では、図示のように、旋回台３６の旋回軸線３６ａを、第１及び第２刃物台１８、２０に装着される複数の工具１６の刃先の、実質的前方に配置する機械構成を、容易に実現できる。このような構成によれば、個々の工具１６によるワーク加工点を、第１及び第２刃物台１８、２０の共通の旋回軸線３６ａに、可及的に近接して設定することができる。したがって、加工作業中の切削抵抗により旋回台３６の駆動機構へ負荷されるモーメントトルクが減少し、駆動機構の出力増加や減速機、ブレーキ等の付属機器の追加装備を要することなく、第１及び第２刃物台１８、２０（すなわち工具１６）を高精度に位置決め保持して加工精度を向上させることができる。その結果、自動旋盤１０の全体寸法を効果的に削減することができる。
さらに、工具１６によるワーク加工点を第１及び第２刃物台１８、２０の旋回軸線３６ａに可及的に近接して設定できることから、旋盤機台１２上で旋回台３６を介して両刃物台１８、２０を旋回可能に担持する送り台３２と、各刃物台１８、２０上の個々の工具１６によるワーク加工点との位置関係は、旋回台３６が旋回しても実質的に変化しないことになる。したがって、加工工程の進行に伴い旋回台３６を旋回させたときに、使用工具１６をワーク加工点に移動させるための旋回台３６上での各刃物台１８、２０の送り動作ストロークは、退避位置から前進させるだけの必要最小限の移動量とすることができる。その結果、自動旋盤１０の全体寸法を効果的に削減することができる。
このように、本発明に係る自動旋盤１０は、主軸１４に対して個々に移動可能な第１及び第２刃物台１８、２０上の多種類の工具１６により、ワークＷに多彩な加工を施す多機能性を維持しつつ、自動旋盤１０の全体寸法を効果的に削減でき、しかも工具１６の高水準の位置決め精度を確保できる、高性能のものとなる。
図示実施形態による自動旋盤１０は、旋回台３６の旋回軸線３６ａが、主軸１４の回転軸線１４ａに直交する構成を採用している。したがって、第１及び第２刃物台１８、２０の少なくとも一方において、回転工具１６Ｂを、それ自体の回転軸線（すなわち工具軸線）が旋回台３６の旋回軸線３６ａに直交する位置に装着することにより、後述するように、主軸１４に把持したワークＷの軸線方向端面の中心に、穴あけ加工を施すことができる。
また、図示実施形態による自動旋盤１０は、第１刃物台１８と第２刃物台２０とが、旋回台３６に、旋回軸線３６ａを実質的中心として放射状に互いに異なる方向（Ｘ１軸及びＸ２軸）へ直線動作可能に支持される構成を採用している。したがって、後述するように、旋回台３６上で２つの刃物台１８、２０を個々に送り動作させることで、主軸１４に把持したワークＷに対し、異なる種類の自動加工（例えば外丸削りと中ぐり）を同時に又は任意順序で遂行できる。
さらに、図示実施形態による自動旋盤１０では、第１及び第２刃物台１８、２０の各々を、複数の工具１６が並列配置で装着されるくし歯刃物台として構成し、旋回台３６上での各刃物台１８、２０の直線動作方向を、旋回軸線３６ａに直交するとともに複数の工具１６の並列方向に直交する方向に設定している。したがって、加工プログラムで必要とされる多種類の工具１６を予め第１及び第２刃物台１８、２０に装着しておき、加工プログラムに従い各刃物台１８、２０から所望の工具１６を迅速に選択して加工作業を遂行できるので、サイクルタイムを効果的に削減することができる。
さらに、図示実施形態による自動旋盤１０は、旋回台３６を旋盤機台１２上で旋回可能に支持する送り台３２を、旋回軸線３６ａに平行な方向へ、第１及び第２刃物台１８、２０の送り制御軸（Ｘ１軸、Ｘ２軸）とは異なる送り制御軸（Ｙ１軸）の制御下で直線動作可能に旋盤機台１２に設置している。したがって、送り台３２のＹ１軸送り動作により、第１及び第２刃物台１８、２０から所望の工具１６を容易に選択することができる。
図示実施形態による自動旋盤１０では、主軸１４が、主軸回転軸線１４ａに平行で旋回台３６の旋回軸線３６ａに直交する方向へ、第１及び第２刃物台１８、２０の送り制御軸（Ｘ１軸、Ｘ２軸）とは異なる送り制御軸（Ｚ１軸）の制御下で直線動作可能に、旋盤機台１２に設置される構成を採用している。したがって、主軸１４のＺ１軸送り動作と、第１又は第２刃物台１８、２０のＸ１軸又はＸ２軸送り動作との協働により、ワークＷに多彩な加工を施すことができる。
上記構成においては、図示のように、主軸１４と第１及び第２刃物台１８、２０との間に位置するガイドブッシュ４８をさらに装備することが有利である。ガイドブッシュ４８は、主軸台２６を担持する主軸搭載部２８から、送り台３２の両アーム３４の間に介入するように延設される第２コラム５０に支持されて、主軸１４の回転軸線１４ａに対し同軸に配置される。ガイドブッシュ４８は、主軸１４に把持されたワークＷの先端の被加工領域を、加工作業中に振れが生じないように心出し支持する。ガイドブッシュ４８は、固定型ガイドブッシュと回転型ガイドブッシュとのいずれかの、公知の構造を有することができる。この場合、旋回台３６の旋回軸線３６ａは、ガイドブッシュ４８のワーク送出端面４８ａ（図３）に近接して配置される。
また、図示実施形態による自動旋盤１０は、前述したように、主軸１４に対向配置可能な背面主軸２２と、背面主軸２２に対して加工動作する背面刃物台２４とを備えている。背面主軸２２は、正面側の主軸１４から受け渡された一部加工済みのワーク（図示せず）を把持して回転する補助的な主軸であり、その回転軸線２２ａを旋盤機台１２の設置床面から見て水平に配置して、図示しない軸受装置を介して背面主軸台５２に回転自在に内蔵される。背面主軸２２は、中空筒状の構造を有し、その前端領域に、対向する主軸１４（又はガイドブッシュ４８）から送出されたワークを強固に把持可能なチャック（例えばコレットチャック）（図示せず）が設置される。
背面主軸台５２は、旋盤機台１２上で主軸搭載部２８の反対側に設けられた背面主軸搭載部５４に搭載される。背面主軸搭載部５４は、背面主軸２２の回転軸線２２ａに直交する鉛直方向へ直線移動可能に送り台５６を担持し、この送り台５６に、背面主軸台５２が、背面主軸回転軸線２２ａに平行な水平方向へ直線移動可能に担持される。背面主軸搭載部５４及び送り台５６には、背面主軸台５２を、所定の直交３軸座標系において、背面主軸回転軸線２２ａに直交する送り制御軸（Ｙ２軸と称する）に沿った制御下で直線移動させるとともに、背面主軸回転軸線２２ａに平行な送り制御軸（Ｚ２軸と称する）に沿った制御下で直線移動させる背面主軸駆動機構（図示せず）が設置される。背面主軸駆動機構は、Ｙ２軸駆動源（例えばＡＣサーボモータ）、Ｚ２軸駆動源（例えばＡＣサーボモータ）、Ｙ２軸案内部材（例えばスライドガイド）、Ｚ２軸案内部材（例えばスライドガイド）、送りねじ装置（例えばボールねじ）等を含んで構成される。したがって背面主軸２２は、それ自体の回転軸線２２ａに直交するＹ２軸及び平行なＺ２軸の制御下で、背面主軸駆動機構の作動により、所定の送り動作ストロークに渡って、背面主軸台５２と共に直線往復動作する。
背面刃物台２４は、旋回台３６の一方の刃物台支持面３８に可動支持される刃物台テーブル４４に、第１刃物台１８と共に固定して、第１刃物台１８の後背側に設置される。したがって、背面刃物台２４は、所定の直交３軸座標系におけるＸ１軸の制御下で、第１刃物台１８の送り動作に同期して、所定の送り動作ストロークに渡って直線往復動作する。背面刃物台２４は、複数の工具１６が並列配置で装着されるくし歯刃物台の構成を有する。図示実施形態では、背面刃物台２４には、フライス等の種々の回転工具１６Ｂが、旋回台３６の旋回軸線３６ａに平行な鉛直方向へ並列して、それぞれの刃先を旋回軸線３６ａから離反させる水平姿勢で、固定的に保持される（図２及び図４参照）。
したがって、背面刃物台２４は、送り台３２のＹ１軸送り動作及び背面主軸２２用の送り台５６のＹ２軸送り動作２４の少なくとも一方によって背面刃物台２４上で割出選択した所望の工具１６を、送り台３２上での旋回台３６のＢ軸旋回動作により、背面主軸２２に把持したワークに対し、ワーク軸線に平行な対向角度に配置し、その状態で、当該工具１６の刃先を、旋回台３６上での背面刃物台２４自体のＸ１軸送り動作と背面主軸２２のＹ２軸及びＺ２軸送り動作との協働により、ワークに対し加工動作させることができる。それにより、背面主軸２２に把持したワークを、背面刃物台２４上の所望の工具１６により、所望形状に加工することができる。この背面加工は、第１及び第２刃物台１８、２０上の所望の工具１６で、主軸１４に把持したワークＷを加工する間に、同時に遂行することができる。なお、背面刃物台２４を、旋回台３６の他方の刃物台支持面４０に可動支持される刃物台テーブル４６に、第２刃物台２０と共に固定して設置することもできる。
次に、図５〜図１０を参照して、上記構成を有する自動旋盤１０におけるワークＷに対する加工作業の幾つかの例を説明する。
例えば図５に示すように、ワークＷに対し、第１刃物台１８上の回転工具１６Ｂを用いた端面二次加工（端面穴あけ等）と、第２刃物台２０上の旋削工具１６Ａを用いた外径旋削加工（外丸削り等）とを、同時に遂行できる。また、旋回台３６を図５に示す位置と同じ旋回位置に配置した状態で、第１刃物台１８上の旋削工具１６Ａ（図４）を用いた内径旋削加工（中ぐり等）と、第２刃物台２０上の回転工具１６Ａ（図４）を用いた側面二次加工（クロス穴あけ等）とを、同時に遂行することもできる。
また、図６に示すように、旋回台３６を、図５の旋回位置に対し９０°異なる位置に配置して、ワークＷに対し、第１刃物台１８上の旋削工具１６Ａを用いた外径旋削加工（外丸削り等）と、第２刃物台２０上の回転工具１６Ｂを用いた端面二次加工（端面穴あけ等）とを、同時に遂行できる。同じ旋回位置で、第１刃物台１８上の回転工具１６Ｂを用いた側面二次加工（クロス穴あけ等）と、第２刃物台２０上の旋削工具１６Ａを用いた内径旋削加工（中ぐり等）とを、同時に遂行することもできる。さらに、図７に示すように、旋回台３６を、図６の旋回位置と同じ位置に配置して、ワークＷに対し、第１刃物台１８上の回転工具１６Ｂを用いた側面二次加工（クロス穴あけ等）と、第２刃物台２０上の回転工具１６Ｂを用いた端面二次加工（端面穴あけ等）とを、同時に遂行できる。
また、図８に示すように、旋回台３６を、図５及び図６のそれぞれの旋回位置の中間位置に配置して、ワークＷに対し、第１刃物台１８上の旋削工具１６Ａを用いた外径旋削加工（外丸削り等）と、第２刃物台２０上の旋削工具１６Ａを用いた外径旋削加工（外丸削り等）とを、同時に遂行できる。この同時加工は、２つの旋削工具１６Ａのワーク加工点をワーク軸線方向へ僅かにずらすことで、一方の旋削工具１６Ａによりワーク外周面を粗加工し、他方の旋削工具１６Ａによりワーク外周面を仕上げ加工するもの（例えばバランスカットと称する）であって、サイクルタイムの短縮に有効である。
また、図９に示すように、旋回台３６を、指定の旋回角度に配置して、ワークＷに対し、第１又は第２刃物台１８、２０上の回転工具１６Ｂを用いた斜め穴加工を遂行することができる。さらに、図１０に示すように、旋回台３６を、Ｂ軸制御下で旋回送り動作させることにより、ワークＷに対し、第１又は第２刃物台１８、２０上の回転工具１６Ｂを用いた面取り加工又は丸み付け加工を遂行することもできる。
上記した種々のワーク加工例は、いずれも、旋回台３６上で第１及び第２刃物台１８、２０を互いに独立して送り動作させることで、２つの工具１６の加工動作が互いに影響を及ぼすことなく、円滑に遂行されるものである。また、前述したように、図５〜図７に示すような旋回台３６の旋回位置では、ワークＷに対する上記した加工作業に並行して、背面刃物台２４上の工具１６により、背面主軸２２に把持したワークに所望の背面加工を施すことができる。
以上、本発明の好適な実施形態による自動旋盤１０の構成を説明したが、本発明に係る自動旋盤は、上記実施形態に限定されず、種々の修正や変形を採用することができる。
例えば図１１に示すように、主軸１４を内蔵する主軸台２６を、旋盤機台１２に固定的に設置して、ガイドブッシュ４８を省略した機械構成を採用できる。また、図１２に示すように、図１１の構成に加えて、第１及び第２刃物台１８、２０を担持する旋回台３６を、送り台３２及びコラム３０ごと、主軸１４の回転軸線１４ａに平行で旋回台３６の軸線３６ａに直交する方向へ、第１及び第２刃物台１８、２０の送り制御軸（Ｘ１軸、Ｘ２軸）とは異なる送り制御軸（例えばＺ３軸）の制御下で直線動作可能に、旋盤機台１２に設置することもできる。
また、旋回台３６の刃物台支持面３８、４０が互いに直交する図示実施形態の構成に代えて、様々な角度で交差する刃物台支持面を備えた旋回台を採用し、複数の刃物台がそれら刃物台支持面上で、様々な角度で交差する方向へ送り動作できるように構成することもできる。なお、旋回台に設置される刃物台の個数、工具保持形式等は、任意である。さらに、旋盤機台１２に、タレット刃物台等の他の刃物台、ＮＣ装置等の制御装置、操作盤、工具マガジン、自動工具交換装置等を併設することもできる。
以上、本発明をその好適な実施形態に関連して説明したが、後述する請求の範囲の開示から逸脱することなく様々な修正及び変更を為し得ることは、当業者に理解されよう。

Claims

旋盤機台と、
主軸と、
前記主軸に対して個々に移動可能に前記旋盤機台に搭載される複数の刃物台と、
前記複数の刃物台を、互いに異なる送り制御軸の制御下で独立して直線動作可能に支持する旋回台とを具備し、
前記旋回台は、前記複数の刃物台のそれぞれの直線動作方向に交差する軸線を中心として、旋回制御軸の制御下で旋回可能に前記旋盤機台に設置される、
自動旋盤。
前記旋回台の前記軸線は、前記複数の刃物台に装着される複数の工具の刃先の、実質的前方に配置される、請求項１に記載の自動旋盤。
前記旋回台の前記軸線が、前記主軸の回転軸線に直交する、請求項１に記載の自動旋盤。
前記複数の刃物台は、前記旋回台に、前記軸線を実質的中心として放射状に互いに異なる方向へ直線動作可能に支持される、請求項１に記載の自動旋盤。
前記複数の刃物台は、複数の工具が並列配置で装着されるくし歯刃物台を含み、該刃物台の各々の前記直線動作方向は、前記旋回台の前記軸線に直交するとともに該複数の工具の並列方向に直交する、請求項１に記載の自動旋盤。
前記旋回台を前記旋盤機台上で旋回可能に支持する送り台をさらに具備し、該送り台は、前記旋回台の前記軸線に平行な方向へ、前記複数の刃物台の前記送り制御軸とは異なる送り制御軸の制御下で直線動作可能に該旋盤機台に設置される、請求項１に記載の自動旋盤。
前記主軸は、該主軸の回転軸線に平行で前記旋回台の前記軸線に直交する方向へ、前記複数の刃物台の前記送り制御軸とは異なる送り制御軸の制御下で直線動作可能に、前記旋盤機台に設置される、請求項１に記載の自動旋盤。
前記主軸と前記複数の刃物台との間に位置するガイドブッシュをさらに具備し、前記旋回台の前記軸線は、該ガイドブッシュのワーク送出端面に近接して配置される、請求項１に記載の自動旋盤。
前記旋回台は、前記主軸の回転軸線に平行で該旋回台の前記軸線に直交する方向へ、前記複数の刃物台の前記送り制御軸とは異なる送り制御軸の制御下で直線動作可能に、前記旋盤機台に設置される、請求項１に記載の自動旋盤。
前記主軸に対向配置可能な背面主軸をさらに具備し、前記旋回台に支持される前記複数の刃物台は、該背面主軸に対して加工動作する背面刃物台を含む、請求項１に記載の自動旋盤。