JP4985506B2 - 光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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本発明は、可視光線透過率が高く、複屈折が小さいなどの光学特性に優れ、良好な機械強度、耐熱性及び透湿性と優れた紫外線吸収性能とを有し、かつ着色やブリードなどの問題が生じることがない偏光子の保護膜用光学フィルム、該フィルムを偏光子の片面又は両面に保護膜として利用した偏光板、及び該偏光板を用いた画像表示装置に関する。
偏光板は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させ、その他の光を遮蔽する機能を有する材料であり、例えば液晶表示装置を構成する部品の一つとして広く使用されている。このような偏光板としては、偏光子と保護フィルムが積層された構成をもつものが一般的に使用されている。前記偏光子は、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有するものであり、例えばポリビニルアルコール(以下「PVA」と記すことがある。)フィルムなどを延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したフィルムが一般に使用されている。また、最近では塗布型の偏光子も用いられている。
前記保護フィルムは、偏光子を保持して偏光板全体に実用的な強度を付与するなどの機能を担うものであり、例えばセルロース系フィルムのトリアセチルセルロース(以下「TAC」と記す。)フィルムなどが一般に使用されている。セルロース系フィルムは、透明性が良好で、複屈折が小さいなど光学的な均一性に優れ、実用的な耐熱性と優れた機械強度を持っているため偏光子保護フィルムとして優れた特性を有している。
また、透湿度が高いためPVAなどの偏光子と貼り合わせる際に、PVAや接着剤の水分透過性に優れるなど加工性も良いため、偏光子保護フィルムとして一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、セルロース系フィルム(例えばTACフィルム)は吸水性も高いため、偏光子の性能低下、吸水による寸法安定性などに問題があった。
この問題点を解決すべく、従来のTACフィルムよりも吸水率の小さいフィルム素材を偏光子保護フィルムとして用いることにより、寸法安定性を向上しようとする試みがなされているが、吸水性の小さなポリカーボネートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムは、光弾性定数が大きく、外部応力の作用によって位相差の変化が生じるため偏光板としての性能低下を生じてしまうという問題があった。
そこで、偏光子保護膜として、フィルムとして透湿度の低い、一軸延伸された高密度ポリエチレンまたはポリプロピレンフィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、一軸延伸されたポリエチレン又はポリプロピレンには、位相差が発生し、偏光板としての機能低下をもたらすという問題があった。
特開平7−120617号公報 特公平6−12362号公報
上記のような問題点に鑑みて、本発明者らは、光学フィルムに用いる樹脂として、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂を開発している(例えば、特願2007−261295号)。メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂は、ヘーズが小さく透明性に優れ、可視光線透過率が高く、複屈折が小さいなどの光学特性に優れ、良好な機械強度、耐熱性及び透湿性を有しているが、紫外線吸収性能が十分ではなく、さらに向上させたいという課題がある。
ところで、偏光子などの有機部材は、紫外線による劣化を防止するため、紫外線防護フィルターなどを設置する、あるいは紫外線吸収剤を含有する保護フィルムにより保護することが一般的である。保護フィルムに用いられる紫外線吸収剤としては、例えばTACフィルムの場合は、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などの多種多様なものが一般的に挙げられる。
しかし、これらの紫外線吸収剤を、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする光学フィルムに適用する場合、(i)フィルム表面に染み出すといった紫外線吸収剤のブリードアウトなどにより、フィルムの成形加工時の安定性が低下する、(ii)成形加工時の蒸散などによる紫外線吸収剤の消失により、紫外線吸収能の確保のために紫外線吸収剤使用量が増加する、(iii)添加量に対して紫外線吸収性能が低すぎる、などの問題があり、どの紫外線吸収剤であっても制限なく適用できるわけではなく、またポリプロピレン系樹脂のなかでもその種類によって、適用しうる紫外線吸収剤は異なる。このように、本発明で用いられるメタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂を主成分とする光学フィルムに使用しうる、紫外線吸収剤の検討が望まれている。
すなわち、本発明の課題は、可視光線透過率が高く、複屈折が小さいなどの光学特性に優れ、良好な機械強度、耐熱性及び透湿性と優れた紫外線吸収性能とを有し、かつ着色やブリードなどの問題が生じることがない偏光子の保護膜用光学フィルム、該フィルムを偏光子の片面又は両面に保護膜として利用した偏光板、及び該偏光板を用いた画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂を主成分とし、これに所定のベンゾトリアゾール系フェノールを配合してなる光学フィルムが、偏光子の保護膜用として適しており、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、
[1]メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂を主成分とし、これにベンゾトリアゾール系フェノールを配合してなるポリプロピレン系樹脂混合物から構成され、前記ベンゾトリアゾール系フェノールの含有量が前記ポリプロピレン系樹脂混合物に対して0.3〜5.5質量%であり、波長250nm以上280nm未満の範囲の光線透過率の最大値をX(%)とし、波長280nm以上370nm以下の光線透過率の最大値をY(%)としたときに、X>20、Y<15、かつX+Y<70の条件を満たす保護膜用光学フィルム、
[2]上記[1]に記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも片面に形成してなる偏光板、及び
[3]上記[2]に記載の偏光板を用いてなる画像表示装置、
を提供するものである。
本発明の光学フィルムは、可視光線の透過率が高く、複屈折が小さいなどの光学特性に優れ、透湿性に優れ、優れた紫外線吸収性能を有し、かつ着色やブリードなどの問題が生じることがない。また、耐熱性、耐湿熱性などの各種耐久性に優れ、また偏光板の光学的機能に何ら影響を与えることなく、偏光板の偏光度を向上させることができ、しかも、柔軟でかつ弾性に富む。さらに、本発明の光学フィルムは、外部からの衝撃や変形に対し抵抗力を有するため、偏光子に貼り合わせることで、液晶表示素子としての強度や信頼性を顕著に向上させた偏光板が得られる。
これに加えて、本発明の光学フィルムは、従来汎用されているTACフィルムと比較した場合、これと同等以上の保護機能を有する。特にTACフィルムは親水性であり、防湿性が殆んどないのに対し、本発明の光学フィルムは疎水性であるので、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができる。
[光学フィルムの紫外線吸収性能]
一般的に、光エネルギーは、紫外線は波長の長い順にUV−A(380〜315nm)、UV−B(315〜280nm)、及びUV−C(280〜100nm)に分類される。波長が短くなると光学フィルムに対する傷害性は強くなるが、オゾン層や大気中の酸素などが波長の短い太陽光線を吸収するため、280nm以下の紫外線は地上に到達する量が少ない。ポリプロピレン系樹脂の劣化は、波長280〜400nmの光の照射によるものが大半であり、なかでもポリプロピレン系樹脂の主要吸収波長は、310nm(UV−B領域)、330nm(UV−A領域)、370nm(UV−A領域)であることが知られている。従って、ポリプロピレン系樹脂の紫外線による劣化を防止するためには、添加した紫外線吸収剤によってUV−A領域の光とUV−B領域の光を吸収することが必要である。
本発明の光学フィルムは、UV−C領域における波長250nm以上280nm未満の範囲の光線透過率の最大値をX(%)とし、UV−A領域及びUV−B領域における波長280nm以上370nm以下の光線透過率の最大値をY(%)としたときに、X>20、Y<15、かつX+Y<70の条件を満たすものである。すなわち、本発明の光学フィルムは、上記したようなUV−A領域及びUV−B領域における光をほとんど吸収するという性能を有しつつ、さらにUV−C領域の光を所定量透過させるものである。本発明において、UV−C領域の光を所定量透過させることが、ポリプロピレン系樹脂の紫外線による劣化を抑えると同時に、光学フィルムの製造後の紫外線吸収剤のブリードの低減に対して非常に有効であることが分かった。
本発明の光学フィルムの光線透過率について、図5を用いて説明する。図5は、実施例1で得られた光学フィルムの全光線透過率を示すグラフである。実施例1で得られた光学フィルムの全光線透過率は、UV−C領域における波長250nm以上280nm未満の範囲で一つのピークを有しており、そのピークの極大点は31.2%であり、UV−A領域及びUV−B領域における波長280nm以上370nm以下の範囲では多少のノイズなどによると思われる微小なピークはみられるものの0%に近く、当該領域における光をほとんど吸収するという特徴を有する。ここで波長250nm以上280nm未満の範囲において、図5のようにピークと極大点を有し、当該極大点が当該領域における最大値Xとなっていてもよいし、極大点が例えば波長250nm未満の範囲に存在し、波長250nmにおける光線透過率が最大値となっていてもよい。また、波長250nm以上280nm未満の範囲において、二つ以上のピークを有していてもよい。
また、波長280nm以上370nm以下の範囲では、光線透過率は0%であることが望ましいが、当該範囲内における最大値Yが、Y<15、かつX+Y<70を満たしていれば、ピークを有していてもよい。
本発明において、上記した光線透過率は、特定の紫外線吸収剤とその使用量とにより調整されるものである。紫外線吸収剤、及びその使用量については、後述する。
[メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂]
次に、本発明の光学フィルムを構成する材料について、ポリプロピレン系樹脂から説明する。本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、後述するメタロセン触媒により合成されたものであり、プロピレンとα−オレフィンの共重合体であることが好ましい。α−オレフィンとしては、エチレン、炭素数4〜18の1−オレフィンが用いられ、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などを挙げることができる。共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%以下である。コモノマーとして、上記のα−オレフィンは1種類に限られず、2種類以上を用いることができ、共重合体をターポリマーのような多元系共重合体とすることもできる。
本発明で用いられるメタロセン触媒は、活性点が均一なシングルサイト触媒であっても、活性点が均一ではないマルチサイト触媒であってもよく、なかでもマルチサイト触媒であることが好ましい。このマルチサイト触媒のメタロセン触媒としては、一般的には、Zr、Ti、Hfなどの4〜6族遷移金属化合物、特に4族遷移金属化合物と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体の基を有する有機遷移金属化合物が挙げられる。
シクロペンタジエニル誘導体の基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニルなどのアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基などで結合されたものも好適に挙げることができる。
助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることができる。また、必要に応じてこれらの化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
上述の層状ケイ酸塩とは、イオン結合などによって、構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとるケイ酸塩化合物をいう。本発明では、層状ケイ酸塩は、イオン交換性であることが好ましい。ここでイオン交換性とは、層状ケイ酸塩の層間陽イオンが交換可能なことを意味する。大部分の層状ケイ酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら層状ケイ酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
層状ケイ酸塩の具体例としては、公知の層状ケイ酸塩であれば特に制限はなく、例えば、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイトなどのカオリン族;クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石族;モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族;バーミキュライトなどのバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族;アタパルジャイト;セピオライト;パリゴルスカイト;ベントナイト;パイロフィライト;タルク;緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
これらの層状ケイ酸塩は化学処理を施すことができる。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理などが挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離、固体酸性度などを変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
上記メタロセン触媒によりポリプロピレン系樹脂を合成する方法(重合方法)としては、これらの触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法、溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法などが挙げられる。また、マルチサイト触媒のメタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂は、市販品として容易に入手可能であり、市販品としては例えば「ウィンテック(商品名)」:日本ポリプロ株式会社製などが挙げられる。
[曲げ弾性率]
本発明におけるポリプロピレン系樹脂は、曲げ弾性率が700MPa以上であることが好ましく、900MPa以上であることがより好ましい。曲げ弾性率が上記範囲内であると、光学フィルムとして十分な強度が得られ、後加工を容易に行うことができる。
また、該ポリプロピレン系樹脂は、融点(Tm)が130℃以上であることが好ましい。融点(Tm)が130℃以上であれば、未延伸フィルムの場合は、曲げ弾性率が高くなり、光学フィルムとして強度が増し、後加工に影響を与えることがなく好ましい。
さらに、該ポリプロピレン系樹脂は、引張強度が20MPa以上であることが好ましい。20MPa以上であると、光学フィルムを、接着剤層を介して偏光子にロール・ツウ・ロールの方法で貼り合わせる時に、配向がかからず、光学フィルムに当初の光学設計を超えた位相差を発生させないため、偏光板の性能を維持できる。
[ベンゾトリアゾール系フェノール]
本発明の光学フィルムに用いられるポリプロピレン系樹脂混合物は、その紫外線吸収性能により所望の光学フィルムの光線透過率を達成するために、ベンゾトリアゾール系フェノールを含有する。ベンゾトリアゾール系フェノールは、下記一般式(1)で表されるように、ベンゾトリアゾール基の窒素原子に、置換されていてもよいフェノール基が少なくとも1つ結合したものである。
Figure 0004985506
式(1)中、R1は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、置換されていてもよく、直鎖でも分岐鎖であってもよい。またkは0〜4の整数である。1価の炭化水素基としてはアルキル基が好ましく、なかでもメチル基、tert−アルキル基であることが、光学フィルムの製造後にベンゾトリアゾール系フェノールがブリードすることがなく好ましい。また、複数のR1は同じでも異なっていてもよい。
本発明で用いられるベンゾトリアゾール系フェノールは、分子量が250以上であることが好ましく、250〜400の範囲内であることがより好ましい。ベンゾトリアゾール系フェノールの分子量が上記範囲内にあれば、光学フィルムの製造後にベンゾトリアゾール系フェノールがブリードすることがない。
このようなベンゾトリアゾール系フェノールとしては、より具体的には、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノールなどが挙げられる。なかでも、光学フィルム製造後のブリードが少なく、紫外線吸収性能の安定性の観点から、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール、及び2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノールが特に好ましい。ベンゾトリアゾール系フェノールは、単独で用いても、2種類以上のものを任意の比で混合して用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系フェノールの含有量は、ポリプロピレン系樹脂混合物に対して、0.3〜5.5質量%であることを要し、0.5〜1.5質量%であることが好ましい。上記範囲内であれば、本発明の光学フィルムに良好な紫外線吸収性能を与えることができ、またフィルムの良好な透明性を確保でき、着色やブリードなどの問題が生じることがない。
[紫外線吸収金属酸化物]
ポリプロピレン系樹脂混合物は、上記したベンゾトリアゾール系フェノールに加えて、紫外線吸収金属酸化物を含有していてもよい。紫外線吸収金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、及び酸化鉄が好ましく挙げられ、なかでも酸化亜鉛、及び酸化チタンが好ましい。これらの紫外線吸収剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用される。
紫外線吸収金属酸化物の一次粒子の平均粒子径は、可視光線透過率を良好にしながら紫外線吸収性能を確保する観点から5〜90nmであることが好ましく、5〜70nmがより好ましく、5〜50nmがさらに好ましい。紫外線吸収金属酸化物の平均粒子径は、上記の観点から小さければ小さいほど好ましいが、製造コストを鑑みると、下限は5nmである。ここで、平均粒子径は、カーボンブラックをクロロホルムなどの溶媒で十分に希釈分散させた分散液を、コロジオン膜付メッシュ上に展開、乾燥させた後、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影したTEM写真のコンピューター画像解析を行い、抽出された各凝集体の面積と等しい面積を有する円の直径(等面積円径)を粒径とし、得られた粒径分布より求めた算術平均径(数平均値)である。
紫外線吸収金属酸化物の含有量は、光学フィルムの良好な紫外線吸収性能を確保しつつ、良好な透明性を得るために、ポリプロピレン系樹脂混合物に対して、通常0.08〜5.5質量%程度である。
これらの紫外線吸収金属酸化物は、通常粉体のものを原料として使用することができる。紫外線吸収金属酸化物が粉体の場合、紫外線吸収金属酸化物は、分散性に劣るため、ポリプロピレン系樹脂と紫外線吸収金属酸化物とのマスターバッチをあらかじめ作成してから、ポリプロピレン系樹脂に練り込むことが必要となる。マスターバッチ作成時における紫外線吸収金属酸化物の含有量は、ポリプロピレン系樹脂と紫外線吸収金属酸化物との混合物に対して、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。紫外線吸収金属酸化物の含有量が上記範囲内であれば、マスターバッチ中の紫外線吸収金属酸化物の分散性は良好となる。
[ソルビトール系添加物]
本発明では、ポリプロピレン系樹脂混合物は、引張強度を向上させて、かつ透明性を向上させるために、さらにソルビトール系添加物を含有していてもよい。ソルビトール系添加物としては、位相差への影響が微小であるジベンジリデンソルビトール系添加物が好ましい。
ジベンジリデンソルビトール系添加物としては、1,3−2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−2,4−ジパラメチルジベンジリデンソルビトールなどのジ−置換ジベンジリデンソルビトール、及びジ−置換ベンジリデンソルビトールとジグリセリンモノ脂肪酸エステルとを配合したものなどが好ましく挙げられる。
ジベンジリデンソルビトール系添加物は、透明化核剤として、ポリプロピレン樹脂の透明性向上と強度向上に寄与することが知られているが、本発明において、偏光子の保護膜用光学フィルムに使用しても位相差への影響が微小であることを見出したものである。
上記ジベンジリデンソルビトール系添加物のなかでも、ブリードが少なく安定したジグリセリンモノ脂肪酸エステル添加ジベンジリデンソルビトール系核剤が望ましい。ジグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンモノラウリン酸エステル、ジグリセリンモノミリスチン酸エステル、ジグリセリンモノステアリン酸エステルなどが好ましく、これらは単独で又は混合して使用される。
上記ジベンジリデンソルビトール系添加物の含有量は、ポリプロピレン系樹脂混合物に対して、0.03〜0.5質量%の範囲であることが好ましく、0.05〜0.25質量%がより好ましい。0.03質量部以上であると、透明性の向上及び十分な強度の向上を図ることができる。一方、0.5質量部以下であると、効率よく透明性の向上や強度の向上が得られるので、コスト的に有利である。
また、ジグリセリンモノ脂肪酸エステルを添加したジ−置換ベンジリデンソルビトールを用いる場合、ジ−置換ベンジリデンソルビトールの含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物に対して0.03〜0.3質量%とすることが好ましく、混合するジグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物に対して0.01〜0.2質量%とすることが好ましい。
ジベンジリデンソルビトール系添加物及びベンゾトリアゾール系フェノールは、ポリプロピレン系樹脂混合物中の分散性を向上させる目的で、これらを単独で、又は混合してから造粒して用いることが好ましい。これらの造粒は、溶融押出造粒、乾式押出造粒、圧縮造粒などの方法により行うことができる。
[各種オレフィン樹脂及び添加剤]
また本発明における光学フィルムには、得られるフィルムの所望物性に応じて、必要な透明性を損なわない範囲で、各種オレフィン樹脂や添加剤を配合することができる。
オレフィン樹脂としては、チーグラー触媒で合成されたホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンなどが挙げられ、これを光学フィルムに対して10質量%を超えない範囲で少量ブレンドしても良い。
また、添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、アンチブロッキング剤、滑剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、光安定剤を用いることができる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、ラジカル捕捉剤として機能するものである。このようなヒンダードアミン系光安定剤(HALS)としては、N,N′,N′′,N′′′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、デカンニ酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物、ビス(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2′−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
また、光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性のものを用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常光学フィルムの膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
光学フィルムには、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
[光学フィルムの製造方法]
以下、本発明の光学フィルムの製造方法について説明する。本発明の光学フィルムは、上記したポリプロピレン系樹脂、ベンゾトリアゾール系フェノール、及びその他の各種成分を含むポリプロピレン系樹脂混合物を押出しコーティング成形法、キャスト法、Tダイ押出し成形法、インフレーション法、射出成形法などの各種成形法によって製造することができる。さらに、該光学フィルムを用いた偏光板は、上記した各種成形法によって直接、偏光子の上に作製することができるし(図1参照)、上記した各種成形法によって、光学フィルム4をあらかじめ作製しておき、その後、接着剤層を介して偏光子に貼り合わせて作製してもよい。本発明では、偏光子上に作製される光学フィルムが配向しないことが望まれるため、延伸のかからない未延伸のTダイ押出し成形が望ましい。
また、上記した各種成形法による成形は、加熱下において行ってもよい。加熱の温度条件は、160〜250℃が好ましく、180〜220℃がより好ましい。
直接偏光子の上に光学フィルムを製造する方法について、図1を用いてさらに説明する。図1では、事前に、偏光子3の上に接着剤層5を塗布しておき、押出し法にて、ポリプロピレンの溶融樹脂1を製膜する(図1、左図)。製膜したポリプロピレン樹脂が固化して保護膜4となる。
また、保護膜4をあらかじめ、Tダイ法で製膜しておき、接着剤層2をあらかじめ塗布して偏光子3と貼り合わせても良い。
光学フィルムの厚さは、10〜200μmの範囲が好ましく、30〜150μmがより好ましい。該厚さが10μm以上であると、偏光子の保護膜としての強度が十分に確保され、200μm以下であると十分な可撓性が得られ、また軽量であることからハンドリングが容易であり、かつコスト的にも有利である。
[偏光板]
本発明に係る偏光板は、偏光子の片面又は両面に、上記本発明の光学フィルムを貼合したものであり、コストを考慮すると偏光子の片面に光学フィルムを貼合したものが好ましい。ここで、該光学フィルムは偏光子と接着されて、保護膜としての機能を果たす。偏光板を、光学フィルムにより保護せずに液晶表示装置内に適用した場合、外光及びバックライトの紫外線光により偏光子及び液晶の劣化が生じてしまう可能性がある。このような劣化を防止するために、本発明の偏光板は、液晶表示装置内において液晶セルと貼り合わせて用いられる場合は、液晶表示装置内における外光側の偏光板を上偏光板、バックライト側の偏光板を下偏光板とすると、該上偏光板の片面であって液晶セルとは反対側の面、及び該下偏光板の片面であって液晶セルとは反対側の面に、本発明の光学フィルムを貼合する態様を有することが好ましい。
本発明の偏光板で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であればいかなるものでもよく、例えばポリビニルアルコール系フィルムなどを延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したポリビニルアルコール系偏光子;ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などのポリエン系偏光子;コレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルム系偏光子などが挙げられ、なかでもポリビニルアルコール系偏光子が好ましく用いられる。
ポリビニルアルコール系偏光子としては、例えばポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
偏光子を構成する樹脂として好適に用いられるPVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
偏光板は、例えば、上述のようなPVA系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸PVA系樹脂フィルムに保護膜を貼合する工程を経て、製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、また、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤により膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、例えば、PVA系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として、具体的にはヨウ素又は二色性染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、PVA系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、PVA系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は通常、水100質量部あたり1×10-3〜1×10-2質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり2〜20質量部程度、好ましくは5〜15質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
ホウ酸処理後のPVA系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたPVA系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥温度は、通常40〜100℃である。乾燥処理における処理時間は、通常120〜600秒程度である。
こうして、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたPVA系樹脂フィルムからなる偏光子が得られる。
[接着剤層]
光学フィルムと偏光子との貼合の方法としては、上述のように、接着剤層を介して行われる。
接着剤層を形成する接着剤としては、PVA系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは該グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィン系接着剤などが挙げられる。その他、透明性を有する接着剤、例えば、ポリビニルエーテル系、ゴム系などの接着剤を使用することができる。なかでも、PVA系接着剤が好ましい。
PVA系接着剤は、PVA系樹脂と架橋剤を含有するものであり、PVA系樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVA及びその誘導体、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物、PVAをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化又はリン酸エステル化などした変性PVAなどが挙げられる。これらPVA系樹脂は一種を単独でまたは二種以上を併用することができる。酢酸ビニルと共重合性を有する単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル類、エチレンやプロピレンなどのα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体などが挙げられる。
PVA系樹脂の重合度などは特に限定されないが、接着性などが良好になることから、平均重合度100〜3000程度、好ましくは500〜3000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%程度のものを用いることが好ましい。
エポキシ系接着剤としては、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などがある。エポキシ樹脂には、さらにオキタセン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
アクリル系接着剤としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む)を主体とするものが、偏光子の偏光特性を阻害することがないので特に好ましい。
また、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは該グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィンを接着剤として使用することもできる。グラフトに用いられるポリオレフィンとしては、たとえば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、これらの混合物などである。ポリオレフィンのグラフトに用いる不飽和カルボン酸またはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などを挙げることができる。こうして得た変性ポリオレフィンはそのまま用いてもよいが、ポリオレフィンに配合して用いることもできる。
上記接着剤層は、光学フィルム、偏光子のいずれかの側または両側に、接着剤を塗布することにより形成する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
また、上記光学フィルムを偏光子と接着させるに際し、光学フィルムの偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理などの表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
次いで、上記のようにして易接着処理を行った面に接着剤層を形成し、該接着剤層を介して、本発明の光学フィルムと偏光子とを貼り合せる。この貼り合わせは、ロールラミネーターなどにより行うことができる。なお、加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
本発明の光学フィルムを偏光子の保護膜として、偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせる本発明の偏光板には、必要に応じて偏光子の他方の面に、本発明の光学フィルムを積層することもできるし、その他の樹脂からなるフィルムを積層することもできる。その他の樹脂からなるフィルムとしては、例えばフマル酸ジエステル系樹脂、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリナフタレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、マレイミド系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルムなどが挙げられる。上記その他の樹脂からなるフィルムは特定の位相差を持つ位相差フィルムであってもよい。
本発明の偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させるために、少なくとも一層以上のハードコート層を有する積層体とすることが好ましい。該ハードコート層としては、例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハードコート剤などよりなるハードコート層が挙げられ、その中でも透明性、耐傷付き性、耐薬品性の点から、紫外線硬化型樹脂よりなるハードコート層が好ましい。これらのハードコート層は、一種類以上で用いることができる。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタンなどから選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。また、ハードコート層の間にプライマー処理をすることもできる。
また、本発明の偏光板は、必要に応じて、反射防止や低反射処理などの公知の防眩処理を行うことができる。
[画像表示装置]
本発明の光学フィルムが少なくとも片面に形成してなる偏光板は、例えば液晶セルなどに貼り合わせて使用される。図2に、本発明の光学フィルム及び偏光板を有する液晶セルの構成例を示す。図2において、6は液晶セルを示す。この液晶セル6は、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型などや、ツイストネマチック型、スーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型などのものが例示される。図2の液晶セルの構成例は、この液晶セル6の上に、粘着剤層(図示せず。以下同じ。)を介して、位相差板8が積層され、この上に、粘着剤層(図示せず)を介して、本発明の偏光板7が積層されたものである。ここで、光学素子2は、当該位相差板8と偏光板7とが積層されており、偏光板7は、中心に偏光子3を有し、その両側の表面に、接着剤層5を介して、本発明の光学フィルムで構成される保護膜4が積層されている。本発明の偏光板7と位相差板8、位相差板8と液晶セル6の積層に際しては、あらかじめ偏光板7、位相差板8及び液晶セル6に粘着剤層を設けておくこともできる。
本発明の偏光板と液晶セルを積層する粘着剤としては特に限定されず、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。なかでも、アクリル系粘着剤が、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れているので好ましい。
該粘着剤には、光学的透明性、適度な濡れ性、凝集性、接着性などの粘着特性、耐候性、耐熱性などに優れることが求められる。さらに吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差などによる光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が求められる。
粘着剤には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末などからなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層であってもよい。
本発明の偏光板への上記粘着剤の塗工は、特に限定されず、適宜な方法で行うことができる。例えば、トルエンや酢酸エチルなどの適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた10〜40質量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式などの適宜な展開方式で本発明の偏光板上に直接塗工する方法、あるいはこの方法に準じ離型性ベースフィルム上に粘着剤層を形成してそれを本発明の偏光板に移着する方法などが挙げられる。
塗工方法は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなど、各種方法が可能であるが、グラビアコートが最も一般的である。
粘着剤層は、異なる組成又は種類などのものの重畳層として本発明の偏光板の片面又は両面に設けることもできる。また、両面に設ける場合、本発明の偏光板の表裏において、粘着剤が同一組成である必要はなく、また同一の厚さである必要もない。異なる組成、異なる厚さの粘着剤層とすることもできる。
また、粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1μm〜500μmであり、5μm〜200μmが好ましく、特に10μm〜100μmが好ましい。
粘着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止などを目的に離型性フィルムが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。離型性フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体などの適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデンなどの適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来公知なものを用いることができる。
なお、本発明において、上記偏光子、保護膜層、粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などの紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
本発明の偏光板は、画像表示装置などの各種装置の形成などに好ましく用いることができる。ここで画像表示装置としては、液晶セルを含む液晶ディスプレイ、有機EL表示装置、タッチパネルなどが挙げられ、偏光板を使用するものであれば、画像表示装置の種類の限定はない。また、液晶ディスプレイの場合、画像表示装置は、一般に、液晶セル、光学フィルム、及び必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては上記した偏光板を用いる点を除いて、画像表示装置の構成には特に限定はない。例えば、液晶セルの片側又は両側に偏光板を配置した画像表示装置や、照明システムとしてバックライト又は反射板を用いたものなどの適宜な画像表示装置が例示される。また、液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。尚、画像表示装置の構成するに際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
[有機EL表示装置への適用]
本発明の偏光板は、有機EL表示装置にも好適に使用し得る。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体などからなる正孔注入層と、アントラセンなどの蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体などからなる電子注入層の積層体や、これらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体など、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に本発明の偏光板を設け、かつ該透明電極と偏光板との間に複屈折層(位相差板)を設けることができる。
本発明の偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、複屈折層をλ/4板で構成し、かつ偏光板と該複屈折層との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、一般には複屈折層によって楕円偏光となるが、複屈折層がλ/4板でしかも偏光板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、複屈折層で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
[タッチパネルへの適用]
本発明の光学フィルムは、タッチパネルの偏光板にも好適に使用し得る。一般に、タッチパネルは、操作者が表示画面の上部に設けられた透明な面をペン、または指でタッチすることで、装置、システムの操作を行うものである。画面上を直接タッチすることは、カーソルを方向キーで押して位置を確定することに比べれば、より直接的であり、また直感的でもあることから、近年、非常に多用されるようになっている。また、近年、携帯電話、およびPDA(Personal Digital Assistants;個人用の携帯情報端末)などの携帯端末市場の成長は著しく、太陽光のもとでの視認性、および薄型軽量が強く要求されるようになった。タッチパネルには種々の方式があり、その得失により使い分けられている。タッチパネルには、抵抗膜方式、光学式、静電容量結合方式(アナログ容量結合方式とも呼ばれる)、赤外線方式、超音波式、および電磁誘導式などの方式がある。ここでは、抵抗膜方式のタッチパネルの例で説明する。
抵抗膜方式のタッチパネルには、ガラス/ガラスタイプとガラス/フィルムタイプがある。ガラス/ガラスタイプは透明導電層付ガラス基板と透明導電層付ガラス基板が空間を介して保持されたものであり、これがディスプレイ表面に装着される。また、ガラス/フィルムタイプは、車載用あるいは携帯用のタッチパネルにおいて、より軽量化・薄型化したものが望まれるため、上部の透明導電層付ガラス基板を光学フィルムで置き換えたタイプのタッチパネルである。
ガラス/ガラスタイプのタッチパネルを図3、ガラス/フィルムタイプのタッチパネルを図4に示す。ガラス/ガラスタイプのタッチパネル、及びガラス/フィルムタイプのタッチパネルについて、各々図3及び4を用いて以下に説明する。
直線偏光板、あるいは偏光板にλ/4板を組み合わせて積層した円偏光板をタッチパネルの最表面に使用すれば、タッチパネルとして十分な強度を得ることができ、かつ、反射防止の効果により視認性が向上する。タッチパネルの偏光板は、図3において9、図4において17である。これらタッチパネルの偏光板に本発明の光学フィルムが好適に使用できる。
本発明の光学フィルムと偏光子からなる偏光板とλ/4板を、λ/4板の面内の遅相軸と偏光板の偏光軸との角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。実質的に45°とは、40〜50°であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることがさらに好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
本発明の光学フィルムは偏光板の保護膜上・下・下外(ITOを設ける軽量化用フィルム)のいずれにも使用できる。またタッチパネルの反射防止には、直線偏光タイプと円偏光タイプがあるが(直線偏光は円偏光に比べて反射率が高い)、本発明の光学フィルムは円偏光板にも直線偏光タイプの偏光板にも使用できる。
本発明の光学フィルムを使用した円偏光板、又は直線偏光板は、透過型・反射型どちらのタッチパネルにも使用できる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
1.曲げ弾性率
JIS K7171に準拠して測定した。
2.面内位相差の評価
面内位相差を、波長589.3nm、入射角0度で位相差測定機(「KOBRA−WR(型番)」:王子計測機器株式会社製)を用いて測定した。
3.透明性
JIS K7105に準拠して測定した。
4.紫外線吸収性能の評価
波長260nm(UV−C領域)、310nm(UV−B領域)での光線透過率を、紫外線可視吸光分析計(「UV−2400(型番)」:島津製作所株式会社製)を用いて計測し、各々をX(%)、Y(%)とした。
X(%)の評価
○:20以上
×:20未満
Y(%)の評価
○:10未満
×:10以上
X+Yの評価
○:70未満
×:70以上
5.可視光透過率の評価
波長550nm、750nmでの光線透過率を、紫外線可視吸光分析計(「UV−2400(型番)」:島津製作所株式会社製)を用いて計測した。
○:透過率が80%以上100%以下
×:透過率が80%未満
6.紫外線吸収剤のブリード(滲み出し)の評価
光学フィルムの外観(紫外線吸収剤のブリードの有無)を、フィルム作製後、下記の2条件で1,000時間経過の後、目視にて下記評価基準により評価した。
(条件)
条件1)80℃ドライ
条件2)60℃,90%8(相対湿度)
(評価基準)
○:ブリード(滲み出し)が全くない。
△:ブリード(滲み出し)が発生し、部分的に白化が認められるが、実用上は支障ない。
×:ブリード(滲み出し)が発生し、全体的に白化が認められる。
実施例1
メタロセン触媒により合成したポリプロピレン樹脂(「ウィンテック(商品名)」:日本ポリプロ株式会社製、曲げ弾性率;900MPa、融点142℃、以下「mPP−A」と表記する。)に、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系フェノール(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、「TINUVIN329(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を添加してポリプロピレン系樹脂混合物を調整した。ここで、ベンゾトリアゾール系フェノールの含有量は、ポリプロピレン系樹脂混合物に対して1.0質量%とした。このポリプロピレン系樹脂混合物を、加工温度200℃・引取りロール温度50℃の条件で、100μmの厚みでTダイ押し出し成形することにより、光学フィルムを得た。当該光学フィルムについて、上記評価方法にて評価した。結果を第1表及び第2表に示す。また、波長250〜800nmにおける全光線透過率のグラフを図5に示す。
実施例2
実施例1において、ベンゾトリアゾール系フェノールの含有量を0.5質量%とした以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
実施例3
実施例1において、ベンゾトリアゾール系フェノールの含有量を5質量%とした以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
実施例4
実施例1において、mPP−Aにかえて、メタロセン触媒により合成したポリプロピレン樹脂(「ウィンテック(商品名)」;日本ポリプロ株式会社製、曲げ弾性率;700MPa、融点125℃、以下「mPP−B」と表記する。)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
実施例5
実施例1において、ベンゾトリアゾール系フェノールを、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニル(「TINUVIN328(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)とした以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
比較例1
実施例1において、ベンゾトリアゾール系フェノールの含有量を0.25質量%とした以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
比較例2
実施例1において、ベンゾトリアゾール系フェノールの含有量を6質量%とした以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
比較例3
実施例1において、ベンゾトリアゾール系フェノールをベンゾフェノン系化合物(オクタベンゾン,「CHIMASSORB81(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
比較例4
実施例1において、ベンゾトリアゾール系フェノールをベンゾフェノン系化合物(2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール,「TINUVIN1577FF(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
比較例5
実施例1のベンゾトリアゾール系フェノールを、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(「TINUVIN P(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表及び第2表に示す。
Figure 0004985506
*1,フィルム端部に応力がかかるために、実施例に記載の製造方法においては 、面内位相差にばらつきがでるが、面内位相差が低く一定のロットでは偏光板 として使用可能である。
Figure 0004985506
本発明によれば、可視光線の透過率が高く、複屈折が小さいなどの光学特性に優れ、透湿性に優れ、優れた紫外線吸収性能を有し、かつ着色やブリードなどの問題が生じることがない光学フィルムを提供することができる。本発明の光学フィルムは、耐熱性、耐湿熱性などの各種耐久性に優れ、偏光板の光学的機能に何ら影響を与えることなく、偏光板の偏光度を向上させることができ、しかも、柔軟でかつ弾性に富む。
また、本発明の光学フィルムは、外部からの衝撃や変形に対し抵抗力を有し、紫外線吸収性能も良好であるため、この光学フィルムを偏光子に貼り合わせて用いることで、液晶表示素子としての強度や信頼性を顕著に向上させた偏光板が得られる。
さらに、本発明の光学フィルムは、従来汎用されているTACフィルムと比較すると、TACフィルムが親水性であり、防湿性が殆んどないのに対し、本発明の光学フィルムは疎水性であるので、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができる。従って、本発明の光学フィルムは、偏光板の少なくとも一面に積層されて液晶セル表面基板と接着される保護膜として好適に使用でき、さらには偏光板の他面側の保護膜に使用することもできる。
本発明の偏光板の製造工程を示す模式図である。 本発明の偏光板を有する液晶セルの構成例を示す模式図である。 本発明の偏光板を有する抵抗膜方式のタッチパネル(ガラス/ガラスタイプ)の構成例を示す模式図である。 本発明の偏光板を有する抵抗膜方式のタッチパネル(ガラス/フィルムタイプ)の構成例を示す模式図である。 実施例1で得られた光学フィルムの波長250〜800nmにおける全光線透過率を示すグラフである。
符号の説明
1:溶融樹脂(PP)
2:光学素子
3:偏光子
4:保護膜(光学フィルム)
5:接着剤層
6:液晶セル
7:偏光板
8:位相差板(複屈折層)
9:タッチパネルの偏光板
10:反射防止膜
11:λ/4板
12:偏光子の保護膜[上]
12’:偏光子の保護膜[下]
13:偏光子(PVA)
14:ガラス
15:ITO保護膜
16:偏光子の保護膜[下外]
17:タッチパネルの偏光板

Claims (8)

  1. メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂を主成分とし、これにベンゾトリアゾール系フェノールを配合してなるポリプロピレン系樹脂混合物から構成され、前記ベンゾトリアゾール系フェノールの含有量が前記ポリプロピレン系樹脂混合物に対して0.3〜5.5質量%であり、波長250nm以上280nm未満の範囲の光線透過率の最大値をX(%)とし、波長280nm以上370nm以下の光線透過率の最大値をY(%)としたときに、X>20、Y<15、かつX+Y<70の条件を満たす保護膜用光学フィルム。
  2. ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率が700MPa以上である請求項1に記載の光学フィルム。
  3. ベンゾトリアゾール系フェノールの分子量が250〜400である請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. ベンゾトリアゾール系フェノールが2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、又は2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノールである請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  5. 光学フィルムが未延伸フィルムである請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも片面に形成してなる偏光板。
  7. 液晶セルと貼り合わせて用いられ、かつ光学フィルムが偏光子の液晶セル側とは反対に形成してなる請求項6に記載の偏光板。
  8. 請求項6又は7に記載の偏光板を用いてなる画像表示装置。
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