JP4985469B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気系に設けられた触媒により排気を浄化する、内燃機関の排気浄化装置に関する。
リーンバーン内燃機関(リーンバーンエンジン)等では空燃比を理論空燃比(ストイキ)よりリーン空燃比側に制御して酸化雰囲気で燃焼を行なうことから、三元触媒ではその特性上、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を充分に浄化できない。このため、この種の内燃機関には、リーン空燃比の運転時に排気中のNOxを吸蔵するとともに、吸蔵したNOxをリッチ空燃比の運転時に放出還元する吸蔵型NOx触媒が備えられている。
吸蔵型NOx触媒は、還元成分濃度が低い酸化雰囲気中において排気ガス中のNOxを硝酸塩X−NO3として吸蔵し、吸蔵したNOxを一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)等の還元成分が多量に存在する還元雰囲気で窒素(N2 )に還元させる特性を有した触媒として構成されている。
そして、吸蔵型NOx触媒では、リーン運転時に排気ガス中のNOxを吸蔵して大気中への排出を防止するとともに、最適なタイミングで(吸蔵型NOx触媒が飽和する以前に)空燃比をリッチ側に制御するリッチスパイクを実行して吸蔵されているNOxを放出還元して浄化している。なお、このような空燃比のリッチ化によるNOxの放出還元を以下リッチパージという。
リッチパージが不適切であると、無用な燃料消費やNOx放出還元の不足を引き起こすため、リッチパージにおけるリッチ混合気の量あるいはリッチパージにおける燃料量を求めることは重要である。このため、リーン継続時間や車速等のパラメータを基本としてリッチ混合気の量を求める対策が従来から種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
このうち、特許文献1に開示された排気浄化装置では、NOxの前後に設けられたNOx濃度検出手段の出力と吸入空気量とからNOx触媒のNOx累積量を算出するとともに、触媒温度検出手段により検出した触媒温度指数値からリッチ制御を実行した場合の単位時間当たりのNOx放出量を算出し、NOx累積量とNOx放出量とからリッチ制御時間(リッチスパイクの継続時間:リッチパージ量)を算出し、得られたリッチ制御時間に基づいてNOxパージを実行している。
また、特許文献2に開示されたエンジンの制御装置では、リーンNOx触媒の下流に排気ガス中の酸素の有無を検出するO2センサを配置し、O2センサの出力信号からの期間に応じて貯蔵NOx量を演算し、貯蔵NOx量を反映してリーンNOx触媒の制御を実行している。
特開2005−2954号公報 特開2005−90460号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、理論的には正しい手法であるものの、NOx累積量やNOx放出量等の全ての値を算出処理により推定しているため、現実に則した値を求めることが非常に困難である。
また、特許文献2の技術は、O2センサの出力信号を演算期間のパラメータの一つとして貯蔵NOx量を演算しているため、特許文献1の技術と同様に現実に則した値の貯蔵NOx量を求めることが非常に困難である。また、特許文献2に記載されたO2センサは、排気空燃比の状態が理論空燃比近傍であるか否かを検出するものであり、触媒の状態に対して応答遅れが存在し、現実に則した値の貯蔵NOx量を求めるためには別途補正演算処理等をする必要がある。
したがって、特許文献1に開示されたリッチ制御時間や、特許文献2に開示された貯蔵NOx量には無視できない誤差が含まれることになり、リッチパージ中のNOx放出還元が不適切なものとなってしまうおそれがある。
そして、触媒の個体差や触媒を含むエンジンの劣化や運転状況等により、演算等で求められたリッチパージ量の設定では更に誤差が生じて、リッチパージ中のNOx放出還元がさらに不適切なものとなる恐れがある。この結果、無用な燃料消費やNOx放出還元の不足が生じることが考えられるため、触媒の能力に余裕を持たせる等の手段を講じる必要があった。
このことは、リーン運転により浄化装置の性能が劣化した時に性能を回復させるための手段としてリッチ化する時、例えば、燃料カットを実施した場合の燃料復帰時に、リッチ化制御を行なってO2を触媒から脱離させるO2パージの時のリッチ混合気の量の設定の際にも同様に当てはまるものである。
本発明はこのような課題に鑑みて創案されたもので、運転条件や触媒の劣化状態、触媒を含む内燃機関の劣化状態や触媒の温度状態に関わらず、触媒の排気浄化性能を高く維持することができるようにした、内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
このため、本発明の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の排気成分を吸着するとともに、還元成分を添加剤として供給することで吸着した前記排気成分を脱離する触媒と、前記触媒の後流側に設けられ排気空燃比の値を検出する空燃比検出手段と、前記内燃機関が前記リーン空燃比により運転された際に前記触媒に吸着された前記排気成分を放出するために前記触媒に供給する添加剤の目標供給量を設定して排気成分の脱離を実行させるように前記内燃機関を制御する空燃比制御手段とを備え、前記空燃比制御手段は、該触媒の温度が所定の温度範囲にある場合に排気成分の脱離を実行させるときの前記空燃比検出手段の検出値の波形に応じて前記目標供給量を学習し、前記触媒の温度が前記所定の温度範囲外にある場合には、前記学習を禁止するとともに、前記触媒の温度情報に基づいて得られる温度補正係数を用いて前記目標供給量を補正することを特徴としている(請求項1)。
なお、上記の触媒としては吸蔵型NOx触媒(リーンNOxトラップ触媒)であるのが好ましい。一般に吸蔵型NOx触媒は、内燃機関のリーン運転を実施した場合、NOxを吸蔵しNOxが飽和する前にリッチ運転(リッチパージ)により添加剤を多く流入させ、吸蔵されているNOxを放出還元浄化(性能の回復)している。
吸蔵型NOx触媒を備えた内燃機関では、排出されるNOx濃度と吸入空気量に基づいてNOx排出量が積算され、NOx排出量の積算値によりリッチ運転における添加剤の目標供給量(リッチ化分燃料積算目標値)が決定される。リッチパージの際には、決定された目標供給量(係数処理した値)だけリッチ混合気が供給され、実際の燃料噴射量が目標供給量(係数処理した値)に達するまでリッチパージが実行される。
そして、空燃比検出手段により排気空燃比の値が検出され、空燃比検出手段の検出値の波形に応じて目標供給量を学習補正することによりリッチスパイクの継続時間を適切に制御することができる。これにより、運転条件や吸蔵型NOx触媒の劣化状態、吸蔵型NOx触媒を含む内燃機関の劣化状態に関わらずリッチパージ用の燃料量を適切に制御することができ、吸蔵型NOx触媒のリッチパージ時の浄化効率のばらつきを抑制して排気浄化性能を高く維持することができる内燃機関の排気浄化装置となる。
特に、添加剤の目標供給量の学習を、該触媒が所定の温度範囲にある場合にのみ実行することにより精度の高い学習が実行でき、より適切なリッチパージ用の添加剤供給量を設定できる。すなわち、一般に触媒の排気浄化効率は温度の影響を受けやすく、排気浄化を実施する際に実際の触媒温度と予め想定された触媒温度とが大きく乖離してしまうとリッチパージ時の添加剤の供給量の学習が正しく行われない。このため、該触媒が所定の温度範囲にある場合にのみ添加剤の目標供給量の学習を許容することにより、学習の精度を高めている。
さらに前記触媒温度が前記所定の温度範囲外にある場合には、前記学習を禁止するとともに、該触媒の温度情報に基づいて得られる温度補正係数を用いて該目標供給量を補正するため、触媒温度が所定の温度範囲外にあるため学習が実行されない場合にも触媒の温度を考慮した補正を行うことができ、精度の高い空燃比制御を実行することができる。
また、好ましくは、前記空燃比制御手段は、前記添加剤の供給に伴う前記空燃比検出手段が検出する空燃比値の所定空燃比値からリッチ側への偏差に基づいて目標供給量を学習する(請求項)。
したがって、空燃比検出手段の検出値のリッチ側への偏差で添加剤の目標供給量の過不足を判断することができ、この過不足に基づいて目標供給量を補正することで、リッチパージを適切に制御することができる。なお、偏差が所定値以上の場合には目標供給量を減量し、所定値未満の場合には目標供給量を増量するのが好ましい。
また、好ましくは、空燃比制御手段の前記所定空燃比は、前記添加剤の供給に伴う前記空燃比検出手段が検出する空燃比のリッチ側への変化率が所定以上となるときの空燃比とする(請求項)。
したがって、空燃比検出手段の検出値のリッチ側への偏差や変化率で添加剤の目標供給量の過不足を判断することができ、この過不足に基づいて目標供給量を補正することで、リッチパージを適切に制御することができる。なお、変化率が所定値以上の場合には目標供給量を減量し、所定値未満の場合には目標供給量を増量するのが好ましい。
また、好ましくは、前記空燃比制御手段は、前記添加剤の供給に伴う前記空燃比検出手段が検出する空燃比値のリッチピークの値に基づき学習を行う(請求項)。
この場合、空燃比検出手段で検出されたリッチピークの検出値で添加剤の目標供給量の過不足を判断することができ、この過不足に基づいて目標供給量を補正することで、リッチパージを適切に制御することができる。
また、好ましくは、前記空燃比制御手段は、前記添加剤の供給に伴う前記空燃比検出手段が検出する空燃比値の所定の空燃比値からリッチ側への変化率に応じて前記目標供給量を学習する(請求項)。
さらに好ましくは、前記空燃比制御手段は、空燃比をストイキよりリッチにする分の燃料の目標値を前記目標供給量として設定する(請求項)。
なお、該所定の温度範囲は、該触媒が所定の浄化効率を発揮する温度範囲である。これにより、精度の高い学習を実施することができる。所定の浄化効率とは、触媒の最大浄化効率を100%とすると例えば90%であり、この場合には所定の温度範囲とは触媒が浄化効率90%を維持できる温度範囲をいう。
本発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、運転条件や触媒の劣化状態、触媒を含む内燃機関の劣化状態に関わらず、リッチパージを適切に制御することができ、触媒の排気浄化性能を高く維持することができる。また、特に触媒温度に基づいてリッチパージ燃料供給量を学習補正の有無を実行するので、触媒の浄化効率を考慮した適切な燃料供給量を設定することができるという利点がある。
以下、図面により、本発明の一実施形態について説明すると、図1はその概略構成を示す模式図、図2はリッチパージ制御のタイミングチャート、図3,図4はリッチパージ制御のフローチャート、図5は空燃比センサ(LAFS)処理フラグセット制御のフローチャート、図6はリッチパージ量補正制御のフローチャート、図7〜図8はいずれもその作用を説明するための図である。また、以下の実施形態では内燃機関として吸気管噴射型の多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジンを用いた場合について説明する。なお、内燃機関としては、吸気管噴射の多気筒ガソリンエンジンだけでなく、筒内噴射型ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等を適用することも可能である。
まず、図1を用いて内燃機関の排気浄化装置の構成を説明する。
図に示すように、リーンバーン内燃機関(リーンバーンエンジン)であるエンジン本体(以下、エンジンと称する)1のシリンダヘッド2には気筒毎に点火プラグ3が取り付けられ、点火プラグ3には高電圧を出力する点火コイル4が接続されている。シリンダヘッド2には気筒毎に吸気ポート5が形成され、各吸気ポート5の燃焼室6側には吸気弁7がそれぞれ設けられている。吸気弁7は、エンジン回転に応じて回転するカムシャフト8のカムにより開閉駆動され、各吸気ポート5と燃焼室6との連通・遮断を行なうようになっている。
また、各吸気ポート5には吸気マニホールド9の一端がそれぞれ接続され、各吸気ポート5に吸気マニホールド9が連通している。吸気マニホールド9には電磁式の燃料噴射弁(インジェクタ)10が取り付けられ、インジェクタ10には燃料パイプ11が取り付けられている。燃料パイプ11は図示しない燃料供給装置に接続され、図示しない燃料タンクから燃料パイプ11を介してインジェクタ10に燃料が添加剤として供給される。
インジェクタ10の上流側における吸気マニホールド9には電子制御式のスロットル弁(ETV)12が取り付けられるとともに、スロットル弁12の弁開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)13が設けられている。スロットル弁12の上流側には吸入空気量Qを計測するエアフローセンサ14が設けられている。なお、エアフローセンサ14としてはカルマン渦流式やホットフィルム式のエアフローセンサが使用される。
一方、シリンダヘッド2には気筒毎に排気ポート15が形成され、各排気ポート15の燃焼室6側には排気弁17がそれぞれ設けられている。排気弁17は、エンジン回転に応じて回転するカムシャフト18のカムにより開閉駆動され、各排気ポート15と燃焼室6との連通・遮断を行なうようになっている。
そして、各排気ポート15には排気マニホールド16の一端がそれぞれ接続され、各排気ポート15に排気マニホールド16が連通している。なお、このようなMPIエンジンは公知のものであるため、構成の詳細については省略する。
排気マニホールド16の他端には排気管(排気通路)20が接続され、排気管20には触媒としての吸蔵型NOx触媒21が設けられている。吸蔵型NOx触媒21は、例えば白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh)等の貴金属と、バリウム(Ba),カリウム(K),ナトリウム(Na)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のNOxトラップ剤を含んでいる。
吸蔵型NOx触媒21は、排気空燃比がリーン空燃比(還元成分濃度が低い酸化雰囲気中)の時に排気ガス中のNOxを硝酸塩X−NO3として吸蔵し、排気空燃比がリッチ空燃比(一酸化炭素[CO]や炭化水素[HC]等の還元成分が多量に存在する雰囲気下)の時に、吸蔵するNOxを放出して窒素(N2)等に還元する機能を有している。
また、図示するように、吸蔵型NOx触媒21の上流側(入ロ側)の排気管20には排気ガス中のNOx濃度を検出するNOx濃度センサ22が設けられ、吸蔵型NOx触媒21の下流側(出口側)の排気管20には排気空燃比の値を検出する空燃比検出手段としての空燃比センサ23が設けられている。空燃比センサ23は、例えば、出力が空燃比に対して連続的に変化するセンサ(リニアA/Fセンサ:LAFS)が適用される。
また、エンジンには点火タイミングや燃料噴射量(空燃比)を制御するためのECU(電子コントロールユニット)31が設けられている。このECU31は、入出力装置,ROM、RAM等の記憶装置、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えて構成されている。そして、このECU31により、エンジン1を含めた空燃比制御装置の総合的な制御が行われる。つまり、ECU31が空燃比制御手段として機能する。
ECU31の入力側には、上述したTPS13,エアフローセンサ14,NOx濃度センサ22,空燃比センサ23の他、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ25、エンジン1の冷却水温を検出する図示しない温度センサ等の各種センサ類が接続され、これらセンサ類からの検出情報が入力されるようになっている。
一方、ECU31の出力側には、上述のインジェクタ10、点火コイル4、スロットル弁12等の各種出力デバイスが接続されている。これら各種出力デバイスには、各種センサ類からの検出情報に基づきECU31で演算された燃料噴射、燃料噴射時間、点火時期等がそれぞれ出力される。詳しくは、各種センサ類からの検出情報に基づき空燃比が適正な目標空燃比に設定され、通常は、空燃比を理論空燃比(ストイキ)よりリーン空燃比側に制御して運転が行なわれる。つまり、リーン空燃比側の目標空燃比に応じた量の燃料が適正なタイミングでインジェクタ10から噴射され、また、スロットル弁12が適正な開度に調整され、点火プラグ3により適正なタイミングで火花点火が実施されるようになっている。
そして、リーン空燃比でのリーン運転時には排気ガス中のNOxを吸蔵型NOx触媒21で吸蔵して大気中への排出を防止するとともに、最適なタイミングで(吸蔵型NOx触媒21が飽和する以前に)添加剤となる燃料を還元剤として供給するべく空燃比をリッチ側に制御するリッチスパイクを実行して、吸蔵されているNOxを放出還元して浄化するようになっている(リッチパージ)。
本実施形態の吸蔵型NOx触媒21を備えたエンジン1では、排出されるNOx濃度と吸入空気量とに基づいてNOx排出量が積算され、NOx排出量の積算値によりNOx吸蔵量が算出又は推定されるようになっている。そして、この推定NOx吸蔵量に基づいてリッチパージにおける還元成分としての添加剤の目標供給量(リッチ化分燃料積算目標値)が決定される。なお、この目標供給量はストイキ運転での燃料量に対して上乗せする部分の燃料量であり、リッチパージ期間中における全燃料噴射量ではない。
ここで、ECU31内には図7に示すようなマップが格納されており、NOx吸蔵量が推定されると、このマップからリッチパージ時の基本燃料量、即ちリッチ化分燃料積算目標値(Rfuel)が読み出されるようになっている。また、リッチパージの際には、決定された基本燃料量(Rfuel)に対して学習による係数処理した値を供給目標値としてリッチ混合気が供給され、実際に噴射された燃料量の積算値がリッチ化分燃料積算目標値(係数処理した値)に達するまでリッチパージが実行される。
換言すると、リッチパージの期間は時間や排気空燃比で決まるのではなく、リッチパージ開始からの燃料の実噴射量の積算値(ストイキに対して上乗せされた実燃料噴射量の積算値)が、上記の学習補正された燃料量(Rfuel)に達するとリッチパージ終了と判定されるのである。
ここで、添加剤の目標供給量は、ストイキ空燃比からリッチ化させるための燃料量と設定している。これは、吸蔵型NOx触媒21のNOx浄化に必要な添加剤はストイキよりリッチ側の空燃比で運転したときに生成され、リッチ側の燃料量とほぼ比例する関係にあるからであって、これにより還元剤量を正確に制御できるようになる。
実際に供給されるリッチ化分燃料積算値が目標値に達するまでリッチ混合気を供給する場合、エンジン1の転条件や吸蔵型NOx触媒21の劣化状態、吸蔵型NOx触媒21を含むエンジン1の劣化状態によっては、リッチパージが不適切になって無用な燃料消費やNOx放出還元の不足を引き起こす虞がある。
このため、本実施形態の吸蔵型NOx触媒21を備えたエンジン1では、リッチ化分燃料積算値をエンジン1や吸蔵型NOx触媒21の状態、運転状況等に応じてリッチ化分燃料積算目標値を学習し補正するようにしている。具体的には、出力が空燃比に対して連続的に変化するLAFS23により排気空燃比の値を検出し、空燃比センサ23の検出値の波形に応じてリッチ化分燃料積算目標値を補正してリッチパージを適切に制御するようにしている。
これにより、運転条件や吸蔵型NOx触媒21の劣化状態、吸蔵型NOx触媒21を含むエンジン1の劣化状態に関わらず、リッチパージを適切に制御することができ、吸蔵型NOx触媒21のリッチパージ時の浄化効率のばらつきを抑制して排気浄化性能を高く維持することができる。
ところで、図8はNOx触媒21の温度(図中ではNOx TRAP温度と記す)に対する浄化効率の特性を示す図であるが、図示するように、NOx触媒21の排気浄化効率は触媒温度に大きく依存しており、温度の影響を受けやすい。
このため、ECU31にキャリブレーションされた触媒温度が、実際の触媒温度と大きく乖離してしまうとリッチ化分燃料積算目標値の学習が正しく行われない。つまり、通常キャリブレーションする際はNOx触媒21の浄化効率が十分能力発揮する状態を基準にするので、実際のリッチパージ実行時の触媒温度が低すぎたり高すぎたりすると実際の触媒21の浄化効率がキャリブレーション時の浄化効率と異なり、正確な学習結果を得ることができなくなる。
このため、本実施形態ではNOx触媒21が所定の排気浄化効率(例えば最大の排気浄化性能の90%)が維持できる温度範囲T1〜T2にあるときにのみリッチ化分燃料積算目標値の学習を許容し、上記温度範囲以外の時には学習制御を禁止するようになっている。
また、上記温度範囲以外の時には学習制御を禁止する代わりに、触媒温度に基づいて得られる補正係数RFUELTKを設定し、この温度補正係数RFUELTKに基づいて、リッチ化分燃料積算目標値を補正するようになっている。
次に、図2〜図6に基づいて上述した排気浄化装置におけるリッチパージの詳細を説明する。まず、図2を参照してリッチパージ制御の全体の状況を説明する。
図2において、(a)はLAFS23の出力値の経時変化、(b)は運転モードの経時変化、(c)は制御空燃比即ち目標空燃比(A/F)の経時変化、(d)は炭化水素(HC)の流量の経時変化、(e)はNOxの流量の経時変化を示す図である。
図2(b)に示すように、運転モードが予めエンジン回転数と負荷とで規定された所定のリーン運転モード領域から脱離してストイキ運転モード領域又はリッチ運転モード領域に入ると、リッチパージが開始される。なお、以下ではストイキ運転モードに移行した場合について説明する。
この場合、図2(c)に示すように、制御A/Fをリーンからリッチに徐々に変化させ(テーリング)、所定の時間リッチ状態を継続させて、リッチパージが行われる。リッチパージが進行し吸蔵型NOx触媒21に吸蔵されているNOxが少なくなる又は無くなると、還元剤としての燃料が吸蔵型NOx触媒21で消費されなくなるので、図2(a)に示すように、LAFS23の出力値がリッチ側に変化する。この際、まずLAFS出力がストイキ近傍まで変化したのち更にリッチ空燃比値側に急変、即ち、ストイキ空燃比値からリッチ空燃比値への変化率が急変し(出力急変部分)、最もリッチ側のリッチ空燃比値まで変化する。
そして、予め設定されたリッチパージ用の燃料(リッチ化分燃料積算目標値+ストイキ運転で要求される燃料量)を全て噴射してリッチパージが終了すると、図2(b)に示すように、運転モードがリッチからストイキに切り替わり、図2(c)に示すように、制御A/Fが徐々にリッチからストイキに変化して理論空燃比近傍での運転(ストイキ運転)が実行される。これにより、図2(a)に示すように、LAFS出力がストイキに収束する。
そして、LAFS出力の波形に応じてリッチ化分燃料積算目標値を補正して、リッチパージ時の浄化効率のばらつきを抑制している。具体的には、ストイキ近傍でのLAFS出力の変化率に応じて補正する。
すなわち、リッチ化分燃料積算目標値が小さくリッチ化燃料(還元剤)が不足している場合、十分リッチな空燃比にならず、変化率が無い又は小さくなってしまい、また、リッチ化分燃料積算目標値が大きくリッチ化燃料が過多な場合、リッチ空燃比になりやすく変化率が大きく現れる。
なお、LAFS出力の変化率だけでなく、ストイキ近傍のLAFS出力の出力急変部分から最もリッチ側のリッチ空燃比値までの変化量(△Rich)または、ストイキから最もリッチ側のリッチ空燃比値までの変化量(△Rich)に基づいてリッチ化分燃料積算目標値を補正することも可能である。また、LAFS出力のリッチ側の山となるリッチピークの有無やリッチピークの出力値によりリッチ化分燃料積算目標値を補正することも可能である。また、出力急変部分を基準として経過時間、車両の走行距離、車速等他のパラメータによりリッチ化分燃料積算目標値を補正することも可能である。
実際の運転におけるLAFS出力の変化率や△Richに応じてリッチ化分燃料積算目標値を補正することで.運転条件や吸蔵型NOx触媒21の劣化状態、吸蔵型NOx触媒21を含むエンジン1の劣化状態に関わらず、リッチパージを適切に制御することができる。
次に、図3〜図6を用いて上述したリッチ化分燃料積算目標値の補正の処理を詳細に説明する。図3に示すように、処理がスタートするとステップS1でエンジン1の回転数及び負荷が読み込まれ、ステップS2でリッチパージフラグがONであるか否かが判断される。このリッチパージフラグは、後述するようにリッチパージを実行する条件を満たすとONになるフラグであり、したがって、ステップS2ではリッチパージを実行するタイミングであるか否かが判断される。
リッチパージを実行する条件を満たしていない場合にはリッチパージフラグがOFFであるので、Noのルートを通って図4に示すステップS4の処理に移行してリッチパージを実行するための基本的な条件を設定する。
この場合、図4に示すように、まずステップS4でリーン運転中であるか否かが判断され、リーン運転中であると判断された場合、Yesのルートを通ってステップS5に進み、NOx濃度センサ22の検出情報もしくはNOx濃度マップから排出NOx濃度を求める。なお、このNOx濃度マップは回転数と負荷とをパラメータとしてNOx濃度が記憶されたマップである。そして、排出NOx濃度を求めた後、ステップS6で吸入空気量と排出NOx濃度との積からNOx排出量を求める。
次いで、ステップS7でNOx排出量を積算し、ステップS8でNOx積算値(吸蔵型NOx触媒21に蓄えられたと推定されるNOx量)から、リッチパージを実行するためのリッチパージ基本燃料量の目標値、即ちリッチ化分燃料積算目標値(RFuel)を決定する。なお、ECU31には、例えば図7に示すようなリッチ化分燃料積算目標値を設定するためのマップが予め記憶されており、このマップからリッチ化分燃料積算目標値(RFuel)が求められる。
ステップS8でリッチ化分燃料積算目標値(RFuel)が決定されると、ステップS9でリッチパージの実行タイミングか否かが判断される。ステップS9でリッチパージの実行タイミングであると判断された場合、ステップS10でリッチパージフラグをONにして、リターンとなる。また、ステップS9でリッチパージの実行タイミングではないと判断された場合、ステップS10を通らずにそのままリターンとなる。
なお、ステップS9におけるリッチパージの実行タイミングであるか否かの判定手法は種々の手法が適用可能であり、特に限定されるものではない。本実施形態においてはリーン運転モード領域から脱離したか否かを基本的な条件として設定しており、リーン運転モード領域からストイキ運転モード領域又はリッチ運転モード領域に移行すると、リッチパージ実行タイミングと判定している。また、これ以外にも例えばNOx触媒21に吸蔵されたNOx量を逐次算出又は推定し、推定されたNOx量が所定値を超えたことを基本条件にリッチパージ実行タイミングとして判定しても良い。
さて、図3に示すように、ステップS2でリッチパージフラグがONであると判断された場合、即ち、リッチパージを実行する条件になっていると判断された場合、ステップS3に進み、リッチパージ終了フラグをOFFにする。なお、このリッチパージ終了フラグは、後述するようにリッチパージの終了判定後ONにされるフラグであって、OFFであるときはリッチパージの実行中を示している。
次にステップS11に進み、A/Fがリーンからリッチに徐々に変化しているテーリング中か否かが判断される。ステップS11でテーリング中であると判断された場合、A/Fがリッチに変化している途中であるのでリターンとなる。
ステップS11でテーリング中ではないと判断された場合、テーリングが終了しているとしてステップS12に移行し、吸蔵型NOx触媒21(LNT)のNOx浄化リッチパージA/Fを設定する。そして、ステップS13でLNT浄化のリッチ化燃料積算分(実際にリッチパージ用いたストイキに上乗せされた燃料積算分)がリッチ化分燃料目標値である{RFuel*RFuel補正係数(n)*RFUELTK}よりも多いか否かが判断される。即ち、ストイキからリッチ化した分の実燃料噴射量を積算し、積算した実燃料噴射量が目標燃料量よりも多いか否かが判断される。
RFuel補正係数(n)及びRFUELTKの詳細についてはいずれも後述するが、RFuel補正係数(n)は、燃料目標供給量を学習した結果を反映した補正係数である。すなわち、本実施形態では、リッチパージを終了する判定値である次回のRFuelの値を実際のLAFS出力の波形に応じて学習し、この学習結果に基づいて補正するようになっている。これにより、LAFS23の出力値を用いてリッチ化分燃料目標値を補正してリッチ化の燃料量を多くし、リッチパージの燃料量を補正することができるようになっている。これについては主に図6を用いて後で説明する。
また、RFUELTKは、触媒21の温度情報に基づいて得られる温度補正係数であって、触媒温度Tに起因する触媒21の浄化効率の変動を考慮した補正係数である。ただし、触媒温度Tが所定範囲(T1<T<T2)の時にはRFUELTK=1.0となるように設定されており、触媒温度Tが上記の所定範囲内のときには実質的に温度補正を実行しないようになっている。なお、これについても詳細は図6及び図9を用いて後で説明する。
ここで再び図のステップS13に戻ると、リッチ化した分の実燃料噴射量が{RFuel*RFuel補正係数(n)*RFUELTK}よりも多いと判断された場合、リッチ化に用いた実燃料量がリッチ化分燃料目標値よりも多くなったため、ステップS14においてリッチパージの終了が判定されて、リッチパージフラグがOFFとなる。次いで、ステップS15に進みリッチパージ終了フラグをONにしてリターンとなる。
また、リッチ化した分の実燃料量がステップS13で{RFuel*RFuel補正係数(n)*RFUELTK}よりも少ないと判断された場合、所定のリッチパージが終了していないと判断されそのままリターンとなる。
一方、図4に示すステップS4においてリーン運転中ではないと判断された場合、直近のステップS2でリッチパージのフラグがOFFであるので、この場合はリッチパージをしていない運転状態である。この場合、ステップS4からステップS16に進みリッチパージ終了フラグがONであるか否かが判断される。ステップS16でリッチパージ終了フラグがONであると判断された場合、リッチパージが終了したとされ、ステップS17でRFuelがリセットされ、ステップS18でNOx積算値がリセットされる。そして、ステップS19でストイキパージに移行してリターンとなる。ステップS16でリッチパージ終了フラグがONではないと判断された場合、リーン運転中でもなくリッチパージが終了した直後でもないため、ステップS20で通常の制御が実行される。
つまり、リーン運転中ではない状態でリッチパージが終了したと判断された時に、ストイキ運転によりNOxがパージされるストイキパージが行なわれてリターンとなり、リッチパージが終了していないと判断された時に、通常の制御が行なわれてリターンとなる。
次に、図5に基づいてLAFS23の出力値(LAFS出力)に基づく処理(LAFSフラグセット)、即ち、LAFS出力の波形に応じてリッチ化分燃料積算目標値を補正するためのフラグ処理を説明する。図5に示した処理は、リッチパージが開始された時に実行される。
まず、ステップS21でリッチパージ開始後所定時間内か否かが判断され、リッチパージ開始後所定時間内であると判断された場合、ステップS22でLAFS補正処理フラグをONにする。ステップS21でリッチパージ開始後所定時間内ではないと判断された場合、後述するリッチ化分燃料積算目標値の補正係数の補正処理(学習)が実行されるため、そのままリターンとなる。
ステップS22でLAFS補正処理フラグがONにされた後、ステップS23でLAFS出力がストイキ出力+αよりもリッチ側(LAFS出力<ストイキ出力+α)であるか否かが判断される。即ち、図2(a)に示すように、ストイキからリーン側のαの範囲にあるか(ストイキに近いか)否かが判断される。
ステップS23でLAFS出力<ストイキ出力+αではないと判断された場合、リーン状態からストイキに近づいてないとされ、リターンとなる。一方、ステップS23でLAFS出力がストイキ出力+αを下回ると判断された場合、リッチパージ開始後ストイキに近くなっているので、ステップS24でLAFS急変フラグがONになっているか否かが判断される。つまり、LAFS出力が図2(a)に示す出力急変部分になっているかが判断される。なお、LAFS急変フラグのON,OFFの設定については後述する。
ステップS24でLAFS急変フラグがONになっていないと判断された場合、LAFS出力が図2(a)に示す出力急変部分になっていない(LAFS出力の変化率がリッチ空燃比値側に大きくなっていない)とされ、ステップS25でLAFS信号変化率が所定値を下回っているか否かが判断される。つまり、LAFS出力の変化率の急変が判断される。リッチ側への変化の際のLAFS信号の変化は負の変化であるので、変化率が所定値を下回る時に傾きが急になってLAFS出力の変化率が急に変化したと判断される。
ステップS25でLAFS信号変化率が所定値を下回っていないと判断された場合、LAFS出力の変化率は急変していないとされ、リターンする。
また、ステップS25でLAFS信号変化率が所定値を下回っていると判断された場合、LAFS出力の変化率が急変していると判定され、ステップS26でLAFS急変フラグをONにしてリターンとなる。
そして、ステップS24でLAFS急変フラグがONになっていると判断された場合、ステップS27でリッチ空燃比値のピーク値(リッチピーク値)を検出して△Richを記録し、リターンとなる。つまり、LAFS出力のリッチ側への変化率が急変した時点から最もリッチ側のリッチ空燃比値までの変化量である△Richが記録される。
このため、ストイキからリーン側のαの範囲でLAFS出力の出力急変部分が生じている時、LAFS出力の急変部分の空燃比値から最もリッチ側のリッチ空燃比値までの変化量である△Richが記録され、△Richに基づいてリッチパージを終了する判定値であるRFuelを学習し補正することができる(詳細は後述する)。
次に、図6を用いて△Richに基づく学習及びRFuelの補正係数(n)の補正処理、即ち、△Richに基づくリッチ化分燃料積算目標値を補正するための処理を説明する。また、あわせて温度補正係数RFUELTKの設定についても説明する。
図6に示した処理は、リッチパージが開始されて所定時間が経過した後に実行される。つまり、リッチパージが開始されて所定時間内は図5に示したLAFSフラグセットの処理が実行され、LAFSフラグセットの処理が実行された直後にRFuel補正係数を補正する処理が実行される。
まず、ステップS31でリッチパージ開始後所定時間内か否かが判断され、リッチパージ開始後所定時間内であると判断された場合、LAFSフラグセットの処理が実行中であるとされ、リターンとなる。ステップS31でリッチパージ開始後所定時間内ではないと判断された場合、ステップS32でLAFS補正処理フラグがONであるか否かが判断される。即ち、図5に示したLAFSフラグセットの処理が実行されたか否かが判断される。ステップS32でLAFS補正処理フラグがONではないと判断された場合、リターンとなる。
ステップS32でLAFS補正処理フラグがONであると判断された場合、触媒21が所定の温度範囲にあるか否かが判定される(ステップS41〜S43)。すなわち、ステップS3でYesと判定されるとステップS41に進み、エンジン回転数及び負荷に基づいて触媒温度Tを推定する。なお、ECU31には予めエンジン回転数及び負荷をパラメータとする温度推定マップが設けられており、このマップから推定温度Tが読み出される。触媒温度Tを取得する手法については、上述以外にも触媒21に温度センサを設け、温度センサから直接検出するようにしても良いし、他のパラメータから推測してもよい。
次にステップS42に進み、ステップS41で得られた温度に対して一遅れ処理を施し、最終的な触媒推定温度Tを算出する。つまり、触媒は熱容量が大きいので、エンジン回転数や負荷が急激に変化しても、触媒温度の変化遅れを伴う。このため、ステップS42で一遅れ処理を施しているのである。なお、温度センサ等により直接触媒温度を取得した場合には、ステップS42は省略可能である。
また、このステップS42では以下の式に基づいて一次遅れ処理を行い触媒推定温度Tを算出する。
T=k・T(n)+(1−k)・T(n−1)
ただし、T(n)は今回推定された触媒温度、T(n−1)は前回推定された触媒温度、kは一遅れ係数であって0<k<1である。
そして、この後ステップS42からステップS43に進み、ステップS42で得られた触媒温度Tが所定温度範囲T1〜T2にあるか否かが判定される。ここで所定の温度範囲とは、NOx触媒21が所定の排気浄化効率(例えば最大の排気浄化性能の90%)が維持できる温度範囲をいう。
そして、この所定の温度範囲にあるときには、Yesのルートを通ってステップS33に進み、その後ステップS33からステップS35に進むと学習が行われる。また、所定の温度範囲外と判定されるとNoのルートを通ってステップS34に進み、学習を行うことなく触媒温度に応じた補正が行われる。
つまり、上述したように、NOx触媒21の排気浄化効率は触媒温度の影響を受けやすく、ECU31にキャリブレーションされた触媒温度と、実際の触媒温度とが大きく乖離してしまうと学習が正しく行われないおそれがある。この場合、キャリブレーションよりも触媒温度が低すぎると、図2(a)に示すようにリッチピーク値が最適リッチピーク値よりも大幅にリッチ側に振れてしまい、逆に触媒温度が高すぎると最適リッチピーク値よりも大幅にリーン側になってしまう。
そこで、本実施形態ではステップS41〜S43の処理を実行することにより、NOx触媒21が所定の温度範囲T1〜T2にあるときにのみリッチ化分燃料積算目標値の学習を許容するようにしているのである。
さて、ステップS43からステップS33に進んだ場合には、LAFS急変フラグがONであるか否かが判断される。即ち、図5に示したLAFSフラグセットの処理でLAFS出力の変化率が急変していると判断された後か否かが判断される。
ここで、ステップS33でLAFS急変フラグがONではないと判断された場合、LAFS出力の変化率が急変しておらず△Richが記録されていないので、ステップS34に移行して△Richを加味しない状態でRFuelの補正係数であるRFuel補正係数(n)を求める。即ち、前回求めたRFuel補正係数(n−1)に調整用のゲインAを乗じてRFuel補正係数(n)とする。
なお、ゲインAは1より大きい値とする。すなわち、LAFS急変フラグがONではないということは、吸蔵型NOx触媒21に吸蔵しているNOxが十分に還元されるだけの還元剤がかなり不足していることとなり、RFuel補正係数を大きくする方向に設定してリッチ化分燃料積算目標値を大きくする。
そして、その後ステップS44に進み、触媒温度Tに応じた触媒温度補正係数RFUELTKが図9に示すマップから読み出される。なお、このマップに示すように触媒温度補正係数RFUELTKは触媒温度がT2以上となると触媒温度の上昇に応じて1.0以上の値に増大していくとともに、触媒温度がT1以下では触媒温度の低下に応じて1.0以下の値に減少する特性を有している。
そして、この温度補正係数RFUELTKを求めると、ステップS36に進む。
一方、ステップS33でYesであればステップS35に進み、リッチピークに基づく学習が実行される。この場合、LAFS出力の変化率の急変を検出して△Richが記録されているので、△Richに基づき学習を実行しRFuelの補正係数であるRFuel補正係数(n)を更新する。
すなわち、ステップS35では、予め設定された目標となる△Rich(△Rich目標)に対して今回記録された△Richの比(△Rich目標/△Rich)を求めて1を減じ、更に、調整用のゲインBを乗じた値を前回のRFuel補正係数(n−1)に加算する。つまり、RFuel補正係数(n)が△Richに基づいて、即ち、実際の状況に応じた△Richの深さによって学習補正され、{RFuel*RFuel補正係数(n)}により決められるリッチ化燃料積算分が補正される。
例えば、△Richの深さが深い場合、吸蔵型NOx触媒21に吸蔵されているNOxが十分に還元される以上の還元剤が使われたこととなり、図2(d)で示した排出されるHCが多いことになり、リッチが過剰になるのでリッチ化分燃料を少なくする必要がある。このため、リッチ化分燃料積算目標値である{RFuel*RFuel補正係数(n)}が小さくなるようにRFuel補正係数(n)を学習補正する。
逆に、△Richの深さが浅い場合、吸蔵型NOx触媒21に吸蔵しているNOxが十分に還元されるだけの還元剤が少し不足していることとなり、図2(d)で示した排出されるHCが少ないことになり、リッチにならないのでリッチ化分燃料を多くする必要がある。このため、リッチ化分燃料積算目標値である{RFuel*RFuel補正係数(n)}が大きくなるようにRFuel補正係数(n)を学習補正する。
そして、ステップS36に進みLAFS補正処理フラグをOFFにし、ステップS37でLAFS急変フラグをOFFにしてリターンとなる。
上述したように、ストイキからリーン側のαの範囲にある(ストイキに近い)時に、LAFS出力、即ち、LAFS23の検出値が急変した時点から最もリッチ側のリッチ空燃比値までの変化量△Richにより、RFuel補正係数(n)を学習補正してリッチ化分燃料積算目標値を補正するようにしたので、的確なタイミングでのLAFS出力に基づいて、運転条件や吸蔵型NOx触媒21の劣化状態、吸蔵型NOx触媒21を含むエンジン1の劣化状態に合わせてリッチパージを適切に制御することができる。
このため、エンジン1の運転条件や吸蔵型NOx触媒21の劣化状態、吸蔵型NOx触媒21を含むエンジン1の劣化状態に拘わらず、リッチパージを適切に行うことができ、NOxの浄化効率のばらつきを抑制して無用な燃料消費やNOx放出還元の不足を引き起こすことがなくなり、安定した排ガス特性を得ることが可能になり、NOx浄化性能を高く維持することができる。
また、上記の学習は触媒21の浄化効率が比較的高い状態を維持できる所定の温度範囲(T1<T<T2)にある場合に実行するので、安定した学習補正を実施することができ精度の高いリッチパージを実行することができる。
また、上記の所定の温度範囲外にあるときには、学習を禁止するとともに、触媒21の温度情報に基づいて得られる温度補正係数RFUELTKを用いて目標供給量を補正するので、学習が禁止されているときも高い精度でリッチパージを実行することができる。
なお、上述した実施形態では、吸蔵型NOx触媒21を備えたエンジン1におけるNOx浄化のためのリッチパージを例に挙げて説明したが、リーン運転により浄化装置の性能が劣化した時に性能を回復させるための手段としてリッチ化する時、例えば、燃料カットを実施した場合の燃料復帰時に、リッチ化制御を行なってO2を触媒から脱離させるO2パージの時のリッチ混合気の量の設定の際にも同様に適用することが可能である。
また、上述した実施形態例では、RFuel補正係数を前回のリッチパージ時のLAFS出力で補正しているが、過去数回のリッチパージ時の平均値による補正や学習値を用いた補正を行っても良い。この場合、より正確なRFuel補正係数を設定することができる。なお、補正の応答性が遅くなるように思われるが、エンジン1や吸蔵型NOx触媒21の劣化は急激に進まないため問題ない。
また、上述した実施形態では、添加剤の供給方法として、燃焼用の燃料を供給するインジェクタで説明したが、添加剤供給用のインジェクタを筒内や吸蔵型NOx触媒より上流の排気管に設けてもよい。この場合、添加剤として性状の異なる燃料や還元作用を行える還元剤を用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の作用を説明するタイムチャートである。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の作用を説明するリッチパージ制御のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の作用を説明するリッチパージ制御のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の作用を説明するLAFS(LAFS)処理フラグセット制御のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の作用を説明するリッチパージ量補正制御のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置のリッチパージ時の基本燃料量(Rfuel)を設定するマップである。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置のNOx触媒の温度に対する浄化効率の特性を示す図である。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置における触媒温度に応じた触媒温度補正係数(RFUELTK)を設定するためのマップである。
符号の説明
1 エンジン本体(エンジン)
2 シリンダヘッド
3 点火プラグ
4 点火コイル
5 吸気ポート
6 燃焼室
7 吸気弁
8,18 カムシャフト
9 吸気マニホールド
10 燃料噴射弁(インジェクション)
11 燃料パイプ
12 スロットル弁
13 スロットルポジションセンサ
14 エアフローセンサ
15 排気ポート
16 排気マニホールド
17 排気弁
20 排気管
21 吸蔵型NOx触媒(触媒)
22 NOx濫度センサ
23 LAFS(空燃比検出手段)
25 クランク角センサ
31 ECU(空燃比制御手段)

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の排気成分を吸着すると共に、添加剤を供給することで吸着した前記排気成分を脱離する触媒と、
    前記触媒の後流側に設けられ排気空燃比の値を検出する空燃比検出手段と、
    前記内燃機関がリーン空燃比により運転された際に前記触媒に吸着された前記排気成分を放出するために前記触媒に供給する添加剤の目標供給量を設定して排気成分の脱離を実行させるように前記内燃機関を制御する空燃比制御手段とを備え、
    前記空燃比制御手段は、該触媒の温度が所定の温度範囲にある場合に排気成分の脱離を実行させるときの前記空燃比検出手段の検出値の波形に応じて前記目標供給量を学習し、
    前記触媒の温度が前記所定の温度範囲外にある場合には、前記学習を禁止するとともに、前記触媒の温度情報に基づいて得られる温度補正係数を用いて前記目標供給量を補正する
    ことを特徴とする、内燃機関の排気浄化装置
  2. 前記空燃比制御手段は、前記添加剤の供給に伴う前記空燃比検出手段が検出する空燃比値の所定空燃比値からリッチ側への偏差に基づいて前記目標供給量を学習する
    ことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記空燃比制御手段の前記所定空燃比は、前記添加剤の供給に伴う前記空燃比検出手段が検出する空燃比のリッチ側への変化率が所定以上となるときの空燃比とする
    ことを特徴とする、請求項記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記空燃比制御手段は、前記添加剤の供給に伴う前記空燃比検出手段が検出する空燃比値のリッチピークの値に基づき前記学習を行う
    ことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記空燃比制御手段は、前記添加剤の供給に伴う前記空燃比検出手段が検出する空燃比値の所定の空燃比値からリッチ側への変化率に応じて前記目標供給量を学習する
    ことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記空燃比制御手段は、空燃比をストイキよりリッチにする分の燃料の目標値を前記目標供給量として設定する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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