JP4984447B2 - ラインパイプ向け低yr電縫鋼管の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法に関し、詳しくは、パイプラインとして敷設される際に座屈が発生し難く、敷設後の耐震性に優れるラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法に関する。
ここで、YRは降伏比であり、これは、引張試験により測定された降伏強さ(YS)の対引張強さ(TS)比(=YS/TS)で定義される。但しYSは、下降伏点応力(LYS)、オフセット法による0.2%耐力(0.2%PS)、アンダーロード法(全伸び法)による0.5%耐力(0.5%PS)の内の何れか1種であり、特にパイプの場合、前記引張試験は、API,JIS,ASTM等の鋼管に関する各種工業規格に定められる管長(パイプの長手(L))方向の全厚試験片を用いて行うものである。又、本発明にいう、「低YR電縫鋼管」とは、製品の全周、全長の何れの位置においても、YRが0.90以下(百分率表示では90%以下)である電縫鋼管を意味する。
敷設時に曲げ、曲げ戻しされるリールバージ向けのラインパイプには、従来、品質、強度の面からシームレス鋼管が多用されてきたが、近年品質および強度の問題が解消され、コストダウンを図る意味から電縫鋼管を使用する試みがなされるようになった。こういったリールバージ向けの電縫鋼管では、敷設する場合の曲げ歪みによる局部座屈発生と、これを起点とするパイプの破壊が問題となっている。またΦ200mmを超えるサイズの電縫鋼管は、リールバージ向け以外にも、UOE鋼管の代替として広く用いられるようになっており、敷設後の地震等の地盤変動による歪みで局部座屈が発生し、これを起点としてパイプが破断することが近年問題となっている。そこで、局部座屈による破断を防止するためのパイプの材質設計として、L方向引張特性におけるYRを下げることが要求されてきており、近年ではYR≦90%を満足することが必要となっている。
然し、電縫鋼管は、その造管成形段階においてL方向への引張歪が付与されるため、L方向YRは高くなる傾向にある。特に近年では対サワー性能の一層の向上が要求されているため、過去の電縫鋼管と比較して低C系の組成となり、素材段階のYRが著しく高く(80%以上)、その結果、造管後のYR≦90%を満足することが困難となりつつある。
尚、ラインパイプ向けの低YR鋼管では、例えばリールバージ向けに、特許文献1に示されたように実質的に炭素量を0.1%以上とする方法が知られている。一方、UOE鋼管では、溶接後の拡管によりL方向の圧縮歪みを付与して低YR化する手法が用いられている(例えば特許文献2)。
特開平3−211255号公報 特開平10−310821号公報
然しながら、特許文献1記載の技術では、成分調整により電縫溶接部の特性を向上させているものの、近年顧客から要求のある優れた耐サワー性については考慮されていない。又その実施例に示される引張特性は、円周溶接部を含む溶接継手引張試験の結果であり、母材の引張特性とは異なるものであるため、参考にならない。
一方、一般に拡管を行わない電縫鋼管製造にUOE鋼管製造における拡管工程を適用しようとするのは、拡管設備の追加を要することに加え、拡管工程は造管成形後に1本毎に行うバッチ処理であり、又熱処理が必要な場合もあるため、電縫鋼管のような高速溶接による製造では著しい生産能率の低下に繋がるという難点がある。
本発明は、かかる状況に鑑み、ラインパイプ向けの低YR電縫鋼管を、設備の追加や生産能率の低下を伴わずして製造しうる、ラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的達成にのために、本発明者らは、造管成形後のラインパイプ向け電縫鋼管を低YR化する観点から、造管成形‐電縫溶接後に適宜行われる回転矯正工程における矯正処理条件について鋭意検討し、その結果、耐サワー性の確保に適合するよう成分設計した組成の素材を用い、前記回転矯正工程において、管厚方向に繰り返し曲げ歪を付与する、若しくは管長手方向に圧縮歪を付与することにより、優れた耐サワー性具有と造管成形後の低YR化とが一挙に達成できることを見出した。
更に具体的には、耐サワー性確保のため素材を低C系の特定の鋼組成のものとし、電縫溶接後の回転矯正工程において、管全体の曲げ‐曲げ戻しにより0.1〜7.0%の管厚方向平均歪を付与する条件(1)、管長方向の長さ増減無しの縮径により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件(2)、縮径無しの管長方向直接圧縮により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件(3)、縮径及び管長方向直接圧縮により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件(4)、条件(1)と条件(2)〜(4)の何れかとを組合せた条件(5)、の何れかが満たされるように回転矯正処理を施すことにより、その効果を最大限に発揮させ得るという知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいて成されたものであり、その要旨は次の通りである。
[請求項1] 帯鋼を略円筒状のオープン管に連続成形し、該オープン管の円周方向端部同士を電縫溶接してなる管に上下一対のロールをそれらのロール軸が互いに交差し且つパスラインに対し斜角配置となる形態で保持するロールスタンドを複数タンデムに配列した回転矯正機を用いて、回転矯正処理を施して外形寸法形状を整える電縫鋼管の製造方法において、前記帯鋼の組成を、質量%で、C:0.02〜0.1%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.6〜2.3%、P:0.01%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部が実質的にFeからなる組成とし、管全体の繰り返し曲げ−曲げ戻し、管長方向の長さ増減無しの縮径、縮径無しの管長方向直接圧縮、縮径及び管長方向直接圧縮という何れかの回転矯正処理を、下記条件(2)〜(5)の何れか一つが満たされるように施すことを特徴とするラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。

条件(1):管全体の繰り返し曲げ‐曲げ戻しにより0.1〜7.0%の管厚方向平均歪を付与する条件。
条件(2):管長方向の長さ増減無しの縮径により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件。
条件(3):縮径無しの管長方向直接圧縮により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件。
条件(4):縮径及び管長方向直接圧縮により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件。
条件(5):条件(1)と条件(2)〜(4)の何れかとを組合せた条件。
[請求項2] 前記組成を、下記式で定義される炭素当量Ceqが0.44%未満になる組成としたことを特徴とする請求項1記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。

Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、右辺の元素記号項は同号元素の鋼中成分含有量(質量%)であり、含有されない成分元素の項は無視する。
[請求項3] 前記Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下の内から選ばれる1種又は2種を含有するとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。
[請求項4] 前記Feの一部に代えて、質量%で、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下の内から選ばれる1種又は2種を含有するとしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。
[請求項5] 前記Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下の内から選ばれる1種又は2種以上を含有するとしたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。
[請求項6] 前記Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.005%以下を含有するとしたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。
本発明によれば、素材組成と回転矯正処理条件とを適正に組合せたことにより、設備追加を要さず生産能率の低下も伴わずに、ラインパイプ向け低YR電縫鋼管を製造することができる。
本発明は、帯鋼を略円筒状のオープン管に連続成形する造管成形工程と、該オープン管の円周方向端部同士を電縫溶接する接合工程と、該電縫溶接後の管に回転矯正処理を施して外形寸法形状を整える回転矯正工程とを有する。造管成形工程では、コイル状巻物から連続的に払い出した帯鋼を、ブレークダウンロール装置、ケージロール装置、フィンパスロール装置等を複数直列に配置したロール成形手段に通して略円筒状のオープン管に連続成形する。接合工程では、高周波通電(又は誘導)加熱装置及びスクイズロール装置からなる電縫溶接手段を用いて、オープン管のVシェイプ収束点を連続的に接合する。造管成形工程及び接合工程は、常法により実施すればよい。
本発明では、回転矯正工程を利用して低YR化を実現する点に大きな特徴がある。そこで、素材組成の説明に先立ち、回転矯正処理について説明する。回転矯正処理は、造管成形‐電縫溶接後の管1の外形寸法形状を整え、製品寸法精度を向上させるために、例えば図1に示すような回転矯正機を用いて行われる。これは、上下1対のロール2、2’をそれらのロール軸が互いに交差し且つパスラインに対し斜角配置となる形態で保持するロールスタンド3を複数タンデムに配列してなり、各ロールスタンド3,3,…,3間での縮径、曲げ‐曲げ戻しによる曲り矯正が可能に構成されている。図1のように、ロール2,2’を矢示4,4’方向に回転させると、管1は矢示6方向に回転しながら矢示5方向に搬送される。このときロール回転速度、ロールギャップ、パスライン高さ位置等の操作因子をロールスタンド3,3,…,3毎に設定操作することにより、縮径、曲げ‐曲げ戻し等の加工量を目標値に制御することができる。
従来、回転矯正処理は、製品寸法精度の向上のみを目的としたものであり、これを製品の材質制御に利用するという技術思想はなかった。これに対し本発明によれば、回転矯正処理の利用により製品のYRを有利に低減させることができるのである。その作用を説明する。
図1のような回転矯正機を用い、電縫溶接後の管に繰り返し曲げ歪を付与すると、バウシンガー効果により管長方向引張特性に係るYRの低減が発生する。又、管長方向長さを増減すること無く縮径を行うと、管周方向圧縮歪を受けて管長方向へ伸びようとする歪が抑制されることにより管長方向に圧縮歪が作用し、バウシンガー効果により管長方向引張特性に係るYRの低減が発生する。更に前記操作因子の設定操作方法によっては縮径を行わずに直接管長方向圧縮歪みを付与することも可能であり、この場合もバウシンガー効果による管長方向引張特性変化を介して低YR化が可能となる。
管全体の繰り返し曲げ‐曲げ戻しにより付与される管厚方向平均歪は、0.1%以上であればYRを低減させるのに十分であり、一方7.0%を超えた場合加工硬化により管長方向のバウシンガー効果が相殺されるため、0.1〜7.0%とすることが肝要である。
又、管長方向圧縮歪みは、付与方法が縮径であるか管長方向直接圧縮であるかに拘らず、0.1%以上であればバウシンガー効果によりYRを低減させるのに十分であり、一方7.0%を超えた場合加工硬化により管長方向のバウシンガー効果が相殺されるため、0.1〜7.0%以下とすることが肝要である。
繰り返し曲げ‐曲げ戻しによる管厚方向平均歪付与、縮径による管長方向圧縮歪付与、管長方向直接圧縮による管長方向圧縮歪付与は、個別に実施した場合も組合せて実施した場合も同様にYR低減の効果が得られる。
尚、管厚方向平均歪又は管長方向圧縮歪を目標値に制御するに必要な、これら制御量と前記操作因子の設定操作量との定量的関係は、管の弾塑性変形理論に基いて適宜のモデル式を作成し、これを実験により検証したものを用いて決定することができる。
次に、素材の組成(化学成分)の限定理由を説明する。尚、化学成分含有量の単位には質量%を用いるが、以下では%と略記する。本発明か対象とするラインパイプ向け電縫鋼管は、種々の敷設環境での使用に耐え、特に近年顧客からの要求に応えるために、優れた耐サワー性を有する必要がある。従って本発明に係る素材組成は、耐サワー性適応組成を基本として成分設計された。
Cは0.02〜0.1%とする。Cは炭化物として析出強化に寄与する元素であるが、0.1%を超えるとパーライト、ベイナイト、マルテンサイト等の第二相の組織分率が増加し、ラインパイプとして必要な優れた耐サワー性を確保できなくなる。このため、Cは0.1%以下に限定した。一方、C含有量が0.02%未満では、ラインパイプとして十分な強度が確保できなくなる。このため、Cは0.02%以上含有するものとする。好ましくは0.02〜0.07%である。
Siは0.01〜0.5%とする。Siは脱酸のため添加するが、0.01%未満では脱酸効果が十分でなく、0.5%を超えると電縫溶接性を劣化させるため、Si含有量を0.01〜0.5%に規定する。
Mnは0.6〜2.3%とする。Mnは強度、靭性を確保するため添加するが、0.6%未満ではその効果が十分でなく、2.3%を超えると第二相分率が増加し、ラインパイプとして必要な優れた素材靭性を確保できないため、Mn含有量を0.6〜2.3%に規定する。
Pは0.01%以下とする。Pは電縫溶接性を劣化させる元素であるため、P含有量の上限を0.01%に規定する。
Sは0.01%以下とする。Sは一般的に鋼中においてはMnS介在物となり、水素誘起割れ(HIC)の起点となるため少ないほどよい。然し、0.01%以下であれば問題ないため、S含有量の上限を0.01%に規定する。
一方、鋼材の溶接性の指標として、構造用鋼材の溶接熱影響部最高硬さに対する成分元素の影響に関する実験データ解析から導出された次式の炭素当量Ceqがよく用いられている。
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
但し、右辺の元素記号項は同号元素の鋼中成分含有量(質量%)であり、含有されない成分元素の項は無視する。Ceqが0.44%未満であれば、電縫鋼管の各種溶接施工において割れ等の欠陥が生じ難いため、本発明では、Ceqを0.44%未満とすることが望ましい。尚、このCeq規制に係る実施形態は、後述の選択添加成分を含有する場合にも適用することが望ましい。
上記以外の残部は実質的にFeからなる。残部が実質的にFeからなるとは、本発明の作用効果を無くさない限り、不可避的不純物をはじめ、他の微量添加元素を含有するものが本発明の範囲に含まれることを意味する。不可避的不純物の含有量は合計で0.05%以下であることが好ましい。他の微量添加元素の含有量は合計で5%以下であることが好ましい。
更に、本発明では、ラインパイプ向け電縫鋼管の強度や降伏比、靭性を更に改善する目的で、組成中のFeの一部に代えて、
・Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下の内から選ばれた1種又は2種、
・Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下の内から選ばれた1種または2種、
・Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下の内から選ばれた1種又は2種以上、
・Ca:0.005%以下、
を選択添加し含有させることができる。
Cuは0.5%以下がよい。Cuは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、多く添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.5%を上限とする。好ましくは0.05〜0.5%である。
Niは0.5%以下がよい。Niは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、多く添加すると硬化第二相が生成しやすくなり、耐サワー性の低下に繋がるため、添加する場合は0.5%を上限とする。好ましくは0.05〜0.5%である。
Crは0.5%以下がよい。CrはMnと同様に低Cでも十分な強度を得るために有効な元素であるが、多く添加すると第二相が生成しやすくなり耐サワー性を低下させるため、添加する場合は0.5%を上限とする。好ましくは0.1〜0.5%である。
Moは0.5%以下がよい。MoはMn、Crと同様に低Cでも十分な強度を得るために有効な元素であるが、多く添加すると第二相が生成しやすくなり耐サワー性を低下させるため、添加する場合は0.5%を上限とする。好ましくは0.05〜0.5%である。
Nbは0.1%以下がよい。Nbは炭窒化物の微細析出と組織の微細粒化により強度と靭性を向上させる。然し、0.1%を超えると硬化した第二相が増加しやすくなり、耐サワー性が著しく劣化するため、添加する場合は0.1%以下に規定する。好ましくは0.01〜0.1%である。
Vは0.1%以下がよい。VはNbと同様に炭窒化物の微細析出により強度上昇に寄与する。然し、0.1%を超えるとNbと同様に硬化した第二相分率が増加し、耐サワー性が著しく劣化するため、添加する場合は0.1%以下に規定する。好ましくは0.05〜0.1%である。
Tiは0.1%以下がよい。TiもNb、Vと同様に炭窒化物の微細析出により強度上昇に寄与する。然し、0.1%を超えるとNbと同様に硬化した第二相分率が増加し、耐サワー性が著しく劣化するため、添加する場合は0.1%以下に規定する。好ましくは0.005〜0.1%である。
Caは0.005%以下がよい。Caは、水素誘起割れの起点となり易い伸長したMnSの形態制御に必要な元素である。然し、0.005%を超えて添加すると過剰なCa酸化物、硫化物が生成し、靭性劣化に繋がるため、添加する場合は0.005%以下に規定する。好ましくは0.002〜0.005%である。
表1に示す組成、板厚、YS、TS、YRを有する帯鋼(コイル状熱延鋼板)を、前記造管成形工程及びこれに引続く前記接合工程(加熱方式は高周波通電加熱方式)により処理し、得られた管に、回転矯正機を用いて表2に示す内の何れかの条件で回転矯正処理を施し、外径18インチ(457mmφ)のX65電縫鋼管を製造した。尚、本実施例では、接合工程は高周波通電加熱方式で行ったが、高周波誘導加熱方式等の他の加熱方式も適用可能である。
Figure 0004984447
Figure 0004984447
得られた電縫鋼管(製品)のシーム部から円周方向に180度離れた位置から試験方向がL方向になるように採取したJIS5号全厚引張試験片を用い、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行ってYS(LYS若しくは0.2%PS)、TSを測定し、YSを算出した。そして、製造上のばらつきを考慮して、製品のYSが88%以下のものを低降伏比性に優れる点で合格(○)、残りを不合格(×)と評価した。
又、製品から採取した腐食試験片(サイズ:20W×全厚×100L[mm])を用い、NACEStandard TM0284の規定に準拠したHIC試験を行い、浸漬終了後同規定に準拠して試験片を切断し研摩し、割れ長さを測定し、割れ長さ比(CLR)を求めた。そしてCLRが10%以下のものを耐サワー性に優れる点で合格(○)、残りを不合格(×)と評価した。
更に、低降伏比性、耐サワー性の総合評価として、これら双方が合格であるものを○、残りを×とした。得られた結果を表3に示す。
Figure 0004984447
表3より、C含有量が請求範囲外である帯鋼Aを素材とした鋼管(No.1〜5)は何れも、組織がフェライト‐ベイナイト系で低降伏比性には合格であるが耐サワー性には不合格である。Mn或いはNb含有量が請求範囲外である帯鋼B、Cを素材とした鋼管(鋼管No.6〜15)は何れも、耐サワー性のみならず、低降伏比性にも不合格である。
組成が請求範囲内である帯鋼D〜Jを素材とした鋼管(鋼管No.16〜41)の場合、耐サワー性には何れも合格である。然しながら、回転矯正処理を実施していない条件No.1、繰り返し曲げ‐曲げ戻しによる管厚方向平均歪が0.1%未満の条件No.2、該歪が7.0%超の条件No.3、管長方向の長さ増加無く縮径したが相対的に管長方向圧縮歪が0.1%未満の条件No.5、該歪が7.0%超の条件No.6、縮径無く管長方向直接圧縮したが管長方向圧縮歪が0.1%未満の条件No.8、該歪が7.0%超の条件No.9では、低降伏比性に不合格である。これに対し、回転矯正処理が請求範囲内である条件No.4,7,10,11,12,13では何れもYRが素材帯鋼よりも低減し、低降伏比性に合格している。
回転矯正機の1例を示す概略図である。
符号の説明
1 管
2、2’ ロール
3 ロールスタンド
4 ロール回転方向の矢示
5 管搬送方向の矢示
6 管回転方向の矢示

Claims (6)

  1. 帯鋼を略円筒状のオープン管に連続成形し、該オープン管の円周方向端部同士を電縫溶接してなる管に上下一対のロールをそれらのロール軸が互いに交差し且つパスラインに対し斜角配置となる形態で保持するロールスタンドを複数タンデムに配列した回転矯正機を用いて、回転矯正処理を施して外形寸法形状を整える電縫鋼管の製造方法において、前記帯鋼の組成を、質量%で、C:0.02〜0.1%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.6〜2.3%、P:0.01%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部が実質的にFeからなる組成とし、管全体の繰り返し曲げ−曲げ戻し、管長方向の長さ増減無しの縮径、縮径無しの管長方向直接圧縮、縮径及び管長方向直接圧縮という何れかの回転矯正処理を、下記条件(2)〜(5)の何れか一つが満たされるように施すことを特徴とするラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。

    条件(1):管全体の繰り返し曲げ−曲げ戻しにより0.1〜7.0%の管厚方向平均歪を付与する条件。
    条件(2):管長方向の長さ増減無しの縮径により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件。
    条件(3):縮径無しの管長方向直接圧縮により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件。
    条件(4):縮径及び管長方向直接圧縮により0.1〜7.0%の管長方向圧縮歪を付与する条件。
    条件(5):条件(1)と条件(2)〜(4)の何れかとを組合せた条件。
  2. 前記組成を、下記式で定義される炭素当量Ceqが0.44%未満になる組成としたことを特徴とする請求項1記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。

    Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
    但し、右辺の元素記号項は同号元素の鋼中成分含有量(質量%)であり、含有されない成分元素の項は無視する。
  3. 前記Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下の内から選ばれる1種又は2種を含有するとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。
  4. 前記Feの一部に代えて、質量%で、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下の内から選ばれる1種又は2種を含有するとしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。
  5. 前記Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下の内から選ばれる1種又は2種以上を含有するとしたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。
  6. 前記Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.005%以下を含有するとしたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のラインパイプ向け低YR電縫鋼管の製造方法。
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