以下、タグ情報処理装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるタグ情報処理装置を備えたタグ情報処理システムのブロック図である。本実施の形態におけるタグ情報処理装置は、複数のタグからの信号によるタグの相互隣接関係を抽出する処理を行う装置である。なお、ここでは、この処理を、ADROWS(ADjoint Relation Of node extraction With mixed chorus echo Signals)と呼ぶ。
タグ情報処理システムは、タグ情報処理装置1と、複数のRFIDタグ100とを具備している。
タグ情報処理装置1は、アンテナ10、送信部11、受信部12、受付部13、隣接度設定部14、属性取得部15、出力部16を具備する。
RFIDタグ(以下、タグと称す)100は、識別情報等の情報を記録しており、外部から送信される、情報の読み出しを指示する情報を受信して、当該受信した情報に応じて、識別情報等の情報を読み出して送信する。本実施の形態においては、RFIDタグ100から読み出される情報が、タグ100の識別情報である場合について説明する。なお、読み出される情報は、識別情報を含む情報であればよい。識別情報は、複数のタグ100を識別可能な情報であれば、どのような情報であっても良い。例えば、製造番号等であっても良いし、タグ100の名称等であっても良いし、タグ100固有の情報であっても良い。タグ100の構造や、動作する周波数帯等は問わない。複数のタグ100は、全て同じ構造のタグであっても良いし、異なる構造のタグを含んでいても良い。タグ100としては、通常、パッシブタイプのRFIDタグが用いられるが、アクティブタイプのRFIDタグを用いるようにしても良い。
アンテナ10は、所望の空間内に配置されている複数のRFIDタグ100に対する情報、具体例としては識別情報、の送受信に用いられる。なお、本実施の形態においては、RFIDタグ100に対する情報の送受信、すなわちRFIDタグ100の読み取り処理は、複数のRFIDタグ100が配置されている所望の空間内における、読み取り対象とする空間を変更して複数回行われる。このため、アンテナ10は、電波を送受信する領域が自動または手動で変更可能なものであることが好ましい。ただし、電波を送受信する領域が異なるように配置された複数のアンテナ10を切り替えて用いるようにしてもよい。アンテナ10の指向性等は問わない。なおここでは、送受信兼用のアンテナを用いた場合について説明しているが、送信用のアンテナと受信用のアンテナとを個別に設けるようにしても良い。
送信部11は、複数のRFIDタグ100に対して、複数回の情報、具体的には識別情報、の送信を指示する情報の送信を行う。送信を指示する情報を送信するタイミング等は問わない。例えば、予め設定された所定の間隔毎に識別情報の送信を指示する情報を送信する処理を繰り返してもよいし、外部から図示しない受付部等を介して送信指示を受け付けた場合に送信を行うようにしても良い。ここでは例として、送信部11が、アンテナ10を介して送信を行う場合について説明する。送信部11は、通常、無線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。
受信部12は、送信部11から送信される情報の送信に応じて、複数のRFIDタグ100から送信される情報、具体的には識別情報、を受信する。そして、受信した識別情報を受付部13に出力する。ここでの出力は、バスを介した出力やラインを介した出力であっても良い。また、引数の読み出しでも良い。ここでは例として、受信部12が、アンテナ10を介して受信を行う場合について説明する。受信部12は、無線の通信手段が好適であるが、放送を受信する手段や有線の通信手段でも実現可能である。無線または有線の通信手段等で実現され得る。通常、無線通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。なお、上記の送信部11と受信部12として、一般的なRFIDタグリーダライタを用いるようにしても良い。
受付部13は、複数のタグ100が配置されている空間内において、読み取り対象とする空間を変更して複数回行われた、タグ100に記録されている情報、具体的には識別情報、の読み取り結果を受け付ける。ここで述べる読み取りとは、タグ100の情報、例えば識別情報を受信することであり、読み取り結果とは、例えば、送信部11による送信を指示する情報の送信に対応して受信したタグ100の識別情報を示す。ここでは、受信部12が随時出力する複数のタグ100から読み取られた識別情報である読み取り結果を、受付部13が受け付ける場合について説明する。ただし、予め、送信部11と受信部12と同様の構成を備えた他の装置等により行われたタグ100に記録されている識別情報の読み取り結果を、ネットワーク等を通じて受け付けるようにしても良い。また、予め送信部11と受信部12と同様の構成を備えた他の装置等を用いて行われたタグ100の識別情報の複数回毎の読み取り結果を、記録媒体等に蓄積しておくようにし、この記録媒体に蓄積された識別情報を、読み取り回毎に読み出すことで、受付部13が複数のタグ100の読み取り結果を受け付けるようにしても良い。ここで述べる受付とは、例えば、受信部12からの入力信号の受け付けや、他の機器等から送信される入力信号の受信や、記録媒体等からの情報の読み出し等である。受付部13は、入力信号の読み出し等を行うデバイスのデバイスドライバーや、入力信号の受付を制御するソフトウェア等で実現され得る。
隣接度設定部14は、受付部13が受け付けた複数回の読み取り結果において、複数のタグ100内の1以上のタグである対象タグの少なくともいずれか一つと同時に情報が読み取られた、複数のタグ100内のタグに対して、同時に読み取られた回数に応じて、対象タグのそれぞれとの隣接関係を示す値である隣接度を設定する。ここでの同時に読み取られた回数は同時に読み取られた頻度と考えても良い。なお、同時に読み取られたタグは、通常、判断対象となる対象タグ自身を含まないようにするが、含むようにしてもよい。本実施の形態においては、特に、タグ100内の1以上のタグを、便宜上、対象タグと呼ぶ。対象タグを、どのように決定するかは問わない。対象タグは、予め図示しない受付部等を介してユーザから、タグの識別情報等を用いて指定されるようにしてもよい。また、対象タグを、複数回の読み取り動作により読み取られたタグの全てに指定するようにしても良い。また、対象タグはランダムに決定しても良い。対象タグは、予め決まっていても良いし、処理の途中等で適宜追加されていっても良い。対象タグは、複数回の読み取り動作により読み取られたタグの一部または全てであっても良いし、読み取りの対象となる複数のタグ100の一部または全てであっても良い。ここで述べる隣接関係とは、言い換えれば、タグ同士の距離の関係であり、タグ同士が近い位置関係にあるか否か等の関係である。ここで述べる、同時とは、同じ読み取りが行われた回(以下、読み取り回と称す)に読み取られたことを示しており、必ずしも読み取られた時間が一致している必要はない。隣接度とは、タグ同士の距離の近さを示す指標や、度合いや、値である。ここでは、例として、隣接度が高いタグ同士は、隣接度が低いタグ同士よりも近い距離に位置していることとする。隣接度は、例えば、数値等で表される。この実施の形態においては、例として、隣接度が高いほど、すなわち、タグ同士が近い位置関係にあるほど、隣接度の値が高い値となるよう設定されるものである場合について説明する。この場合、複数のタグ100内のタグに対して、対象タグと同時に読み取られた回数が高くなるに従って、対象タグのそれぞれとの隣接関係を示す値である隣接度は、相対的に高い値に設定される。ただし、隣接度が高いほど、すなわちタグ同士が近い位置関係にあるほど、隣接度の値が低い値となるように設定してもよく、この場合、複数のタグ100内のタグに対して、同時に読み取られた回数が高くなるに従って、対象タグのそれぞれとの隣接関係を示す値である隣接度は低い値に設定されるようにすればよい。複数のタグ100内のタグが、対象タグの一つと同時に読み取られたか否かは、例えば、一の読み取り回の読み取り結果に、複数のタグ100内のタグと、対象タグの一つのタグの情報(識別情報)が同時に含まれているか否かで判断され、同時に含まれている場合、同時に読み取られたと判断される。隣接度設定部14は、例えば、一の読み取り回において、対象タグ内の一のタグの識別情報と、他のタグの識別情報とが含まれていた場合、当該他のタグに対して、対象タグ内の一のタグに対する隣接度の値を高くする。この処理を対象タグ内の全てのタグについて順次行う。さらにこの処理を、複数回の読み取り結果について順次繰り返す結果、複数のタグ100内のタグに対して、同時に読み取られた回数に応じた隣接度が設定される。なお、ここでは、同時に読み取られたタグ100の隣接度が、読み取られなかったタグ100の隣接度に対して、相対的に高く設定されれば良く、隣接度を高く設定する代わり、あるいは、隣接度を高く設定することに加えて、同時に読み取られなかった複数のタグ100内のタグの隣接度を低く設定するようにしてもよい。また、一の読み取り回において、隣接度を高くする度合いや重み付け等は問わない。例えば、一の読み取り回において同時に読み取られた場合に、隣接度の値を所定の値、例えば「2」増加させ、同時に読み取られなかった場合に、隣接度の値を所定の値「1」減少させても良い。一の読み取り回において同時に読み取られた場合に、隣接度の値を1増加させた場合、隣接度は、一の対象タグと同時に読み取られた回数と一致する。従って、隣接度として、各対象タグと同時に読み取られた回数を用いるようにしても良い。また、このような同時に読み取られた回数や、同時に読み取られなかった回数等に対して、正規化等の統計処理を行って得られた値を隣接度としても良い。例えば、各対象タグが読み出された回数で、複数のタグ100内のタグが各対象タグと同時に読み出された回数を除算した値や、この値をパーセント表示した値を、隣接度として用いても良い。隣接度を、各対象タグがそれぞれ読み出される回数に対する、当該対象タグと、複数のタグ100内のタグとが同時に読み出される確率と考えても良い。なお、ここでは、少なくとも、対象タグと同時に読み出された複数のタグ100内のタグに、隣接度を設定すれば良く、複数のタグ内の同時に読みとられなかったタグにも、隣接度を設定しても良い。隣接度設定部14は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。隣接度設定部14の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
属性取得部15は、上述した対象タグの属性を、対象タグと同時に情報が読み出されたタグ100に対して隣接度設定部14が設定した隣接度に応じて取得する。この対象タグと同時に読み出されたタグ100は、対象タグであっても良いし、対象タグ以外のタグであっても良い。ここでは、例えば、属性取得部15は、受付部13が受け付けた複数回の読み取り結果において読み取られた全てまたは一部のタグ100を、対象タグに設定して、対象タグの属性として、全てまたは一部の対象タグ同士の位置関係を示す属性を取得しても良い。全てまたは一部の対象タグ同士の位置関係を示す属性とは、例えば、対象タグ全体または一部についての、対象タグ同士が、それぞれ、どの対象タグと近く、どの対象タグと離れているかを示す、相互の位置関係を示す情報である。また、属性取得部15は、対象タグを、相互間の距離によってグループ分けした場合の、各対象タグが属するグループを指定する情報を、各対象タグ同士の位置関係を示す属性として取得しても良い。
また、属性取得部15が取得する対象タグの属性は、当該対象タグのそれぞれについての、当該各対象タグと同時に情報が読み取られた複数のタグ100内の少なくともいずれか一つに対する位置関係を示す属性であってもよい。ここでの位置関係とは、タグ間の距離の関係である。すなわち、一の対象タグに対して、当該対象タグと同時に読み取られた複数のタグ100のいずれか一つが、近いか遠いかということを示す情報である。例えば、属性取得部15は、一の対象タグに対する隣接度が高いタグ100を、当該一の対象タグに対する距離がより近いタグと判断する。なお、上記のような位置関係を示す属性を、タグ同士の位置関係を示す情報である対応情報と呼ぶようにしても良い。属性取得部15は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。属性取得部15の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
出力部16は、属性取得部15が取得した属性を示す情報を出力する。ここで述べる出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタによる紙等への印字、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積等を含む概念である。出力部16は、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部16は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
次に、タグ情報処理装置1が行うADROWS処理の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。ここでは、タグ100から識別情報を読み取る場合を例に挙げて説明する。なお、ここでは、例として、タグ100からの情報の読み取り処理が行われる毎に、新たに識別情報が取得されたタグ100を、対象タグ、および隣接度を設定する対象のタグに、順次追加していく場合について説明する。従って、ここでは、各対象タグは、他の対象タグについて隣接度を設定する対象となり得るものとする。また、ここでは、各対象タグと同時に読み取られたタグ100の、同時に読み取られた回数を、各対象タグが読み取られた回数で除算し、パーセント表示した値を、各対象タグについての隣接度として用いる場合を例に挙げて説明する。また、ここでは、タグ情報処理装置1は、対象タグを含む複数のタグ100から識別情報を読み取るものとし、識別情報が各タグの代わりに適宜用いられるものとする。
(ステップS201)送信部11は、複数のタグ100に対して、アンテナ10を介して、識別情報の読み出しのための、識別情報の送信指示を送信する。
(ステップS202)受信部12は、タグ100から送信される識別情報を、受信する。
(ステップS203)受付部13は、受信部12が受信した識別情報を受け付ける。受け付けた識別情報は、例えば、図示しないメモリ等に蓄積される。
(ステップS204)隣接度設定部14は、カウンターiに1を代入する。
(ステップS205)隣接度設定部14は、ステップS203により受け付けた識別情報内に、i番目の識別情報があるか否かを判断する。i番目の識別情報がある場合、ステップS206に進み、ない場合、ステップS209に進む。
(ステップS206)隣接度設定部14は、ステップS203により受け付けた識別情報のi番目の識別情報が、過去に受付部13が受け付けた識別情報以外の識別情報、すなわち、新規の識別情報であるか否かを判断する。例えば、ステップS203により受け付けたi番目の識別情報を、過去に受け付けたタグの識別情報のリスト等と、比較し、一致しない場合に、i番目の識別情報が新規の識別情報であると判断する。新規の識別情報があることは、新規のタグから識別情報が読み出されたことを意味する。i番目の識別情報が新規の識別情報である場合、ステップS207に進み、新規の識別情報でない場合、S208に進む。
(ステップS207)隣接度設定部14は、i番目の識別情報を、対象タグに対応した識別情報と判断して、対象タグを管理する管理表等に登録する。すなわち、i番目の識別情報に対応するタグを、対象タグに追加する。管理表等は、例えば、図示しないメモリ等に格納されているものとする。
(ステップS208)隣接度設定部14は、iを1インクリメントする。そして、ステップS205に戻る。
(ステップS209)隣接度設定部14は、カウンターjに1を代入する。
(ステップS210)隣接度設定部14は、ステップS203により受け付けた識別情報内に含まれる、対象タグに対応する識別情報(以下、対象タグ識別情報と称す)に、j番目の識別情報があるか否かを判断する。このj番目の識別情報は、j番目の対象タグに対応する識別情報である。j番目の対象タグ識別情報がある場合、ステップS211に進み、ない場合、ステップS213に進む。
(ステップS211)隣接度設定部14は、ステップS203において受け付けた識別情報に含まれる、対象タグ識別情報のうちの、j番目の対象タグ識別情報についての読み取り回数を1インクリメントする。ここでは、ステップS203において受け付けたタグ100の識別情報が、全て対象タグ識別情報となるため、ステップS203において受け付けたタグ100の識別情報内の、j番目の識別情報の読み取り回数を1インクリメントする。なお、対象タグとして用いるタグが予め決まっている場合、対象タグとして用いるタグの識別情報を予め登録しておき、ステップS203において受け付けた識別情報の中から、この登録された識別情報と一致するj番目の識別情報を検出して、この識別情報の読み取り回数を1インクリメントしても良い。
(ステップS212)隣接度設定部14は、カウンターjを1インクリメントする。そして、ステップS210に戻る。
(ステップS213)隣接度設定部14は、隣接度を設定する。なお、この処理の詳細については、後述する。
(ステップS214)タグ情報処理装置1は、電波の照射向きを変更した送信指示の出力を、継続するか否かを判断する。例えば、予め、送信指示の出力を繰り返す回数を設定しておき、送信部が11が送信を行う毎に、カウンターを1インクリメントして、カウンターの値が所定の繰り返し数に達した時点で、継続停止を判断しても良い。また、全ての隣接度の変化の度合いを、例えば隣接度の値を微分した値等から判断して、全ての隣接度の変化の度合いが、所定の値より小さくなった場合、すなわち、全ての隣接度の変化が安定した場合に、継続停止を判断しても良い。また、ユーザから、送信停止の指示を受け付けたか否かを判断して、受け付けた場合に継続停止を判断しても良い。送信を継続する場合、ステップS201に戻り、送信の継続を停止する場合、ステップS215に進む。なお、送信を継続する場合、電波の照射方向を自動または手動で変更して、再度、送信が行われる。
(ステップS215)属性取得部15は、識別情報を受け付けたタグ100についての位置関係を示す属性を取得する。
(ステップS216)出力部16は、ステップS215により取得された属性を出力、例えばディスプレイ等を用いて表示、する。そして、処理を終了する。
なお、図2のフローチャートにおいて、ステップS215の処理を省略して、ステップS216の出力処理において、ステップS213で設定した隣接度を、例えば表等を用いて出力、例えば表示、するようにしてもよい。このようにすることで、当該出力内容が示すタグ間の隣接度から、ユーザが、各対象タグに対して、近接した位置にあるタグ100を判断することが可能となる。
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
図2のステップS209において説明した隣接度を設定する処理の詳細を、以下、図3のフローチャートを用いて説明する。ここでは、隣接度として、対象タグの読み取り回数に対する、タグ100の、対象タグと同時に読み取られた回数の比率を、パーセント表示した値を算出する場合について説明する。
(ステップS301)隣接度設定部14は、カウンターjに1を代入する。
(ステップS302)隣接度設定部14は、ステップS203において受け付けたタグ100の識別情報内に含まれる対象タグ識別情報の中に、j番目の対象タグ識別情報があるか否かを判断する。すなわち、隣接度設定部14は、j番目の対象タグが、ステップS201からステップS202の処理により読み取られたタグ内に含まれるか否かを判断する。ここでは、ステップS203において受け付けたタグ100の識別情報が、全て対象タグの識別情報となるため、ステップS203において受け付けたタグ100の識別情報内に、j番目の識別情報があるか否かを判断してもよい。なお、対象タグとして用いるタグが予め決まっている場合、対象タグとして用いるタグの識別情報を、予め登録しておき、ステップS203において受け付けた識別情報の中に、この登録された識別情報と一致する識別情報であって、j番目の識別情報があるか否かを判断してもよい。j番目の対象タグ識別情報がある場合、ステップS303に進み、ない場合、上位関数に戻る。
(ステップS303)隣接度設定部14は、カウンターkに1を代入する。
(ステップS304)隣接度設定部14は、ステップS203において受け付けた識別情報内に、j番目の対象タグ識別情報と同時に読み出されたk番目の識別情報があるか否かを判断する。ここでは具体的には、ステップS203において受け付けた識別情報内に、k番目の識別情報があるか否かを判断する。これにより、j番目の対象タグと同時に読み出されたk番目のタグの有無を判断することとなる。ある場合、ステップS305に進み、ない場合、ステップS310に進む。以下、一の対象タグの識別情報と同時に読み取られた識別情報を同時読取識別情報と称す。なお、同時読取識別情報は、j番目の対象タグ識別情報以外の対象タグ識別情報となる場合がある。
(ステップS305)隣接度設定部14は、k番目の同時読取識別情報が、新規の識別情報であるか否か、すなわち、k番目の同時読取識別情報が、直前のステップまでおいて、j番目の対象タグの識別情報と同時に読み出された識別情報ではないか否か、を判断する。これにより、k番目の同時読取識別情報に対応したタグが、直前のステップまでにおいて読み出されていない新規タグであるか否かが判断される。新規の識別情報である場合、ステップS306に進み、新規の識別情報でない場合、ステップS307に進む。
(ステップS306)隣接度設定部14は、k番目の同時読取識別情報を、j番目の対象タグに対応して隣接度を設定する対象となるタグの識別情報として、図示しない管理表等に登録する。これにより、k番目のタグが、j番目の対象タグに対する隣接度の設定対象となるタグに追加される。なお、管理表等は、例えば、図示しないメモリ等に格納されている。
(ステップS307)隣接度設定部14は、k番目の同時読取識別情報が、j番目の対象タグ識別情報と同時に読み取られた回数をインクリメントする。すなわち、k番目のタグが、j番目の対象タグと同時に読み取られた回数を1インクリメントする。インクリメントする値は、例えば1であるが、1以外であっても良い。
(ステップS308)隣接度設定部14は、j番目の対象タグ識別情報に対する、k番目の同時読取識別情報の隣接度を、算出する。具体例としては、k番目の同時読取識別情報が、j番目の対象タグ識別情報と同時に読み取られた回数を、j番目の対象タグ識別情報が読み取られた回数で除算した値をパーセントで表した値である隣接度を算出する。すなわち、隣接度設定部14は、k番目のタグが、j番目の対象タグと同時に読み取られた回数を、j番目の対象タグの読み取られた回数で除算した値を100倍して隣接度を算出し、設定する。算出した隣接度を、例えば、図示しないメモリ等に蓄積する。
(ステップS309)隣接度設定部14は、カウンターkを1インクリメントする。
(ステップS310)隣接度設定部14は、カウンターjを1インクリメントする。そして、ステップS302に戻る。
なお、上記フローチャートにおいて、例えば、j番目の対象タグに対応した識別情報に対する、k番目の識別情報の読み取り回数等を、隣接度に用いる場合、ステップS308の処理や、図2のフローチャートのステップS209からステップS212までの処理等等は省略しても良い。
なお、図3のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
以下、本実施の形態におけるタグ情報処理装置の具体的な動作について説明する。
ここでは、まず、本具体例における、隣接度と、タグ同士の距離との関係について説明する。
通常、同時に読取られる可能性の高いタグ同士は距離が近い位置に配置されていると推定される。例えば、図4のようにタグが配置されていると仮定すると、タグa1は、タグb1,タグa2との距離が最も近く、同時に読取られる確率が高いと考えられる。これに対し、タグa1は、タグd4とは距離が遠く、同時に読取られる確率が低い。
このため、本具体例においては、タグAとタグBと同時に読み取られる確率を示す値として、タグAが読み取られた回数に対する、タグAとタグBと同時に読み取られた回数の比率を算出し、これを、タグAに対するタグBの隣接度として用いる。
例えば、以下のようにして、隣接度を算出してもよい。
タグk(対象タグk)に対するタグlの隣接度をg(k,l)(率)、複数回の読み取りにおいてタグkが読取られた回数を回数(k)(回)、複数回の読み取りにおいてタグk(対象タグk)とタグlとが同時に読み取られ回数を回数(k,l)(回)とすると、
g(k,l)=回数(k,l)/回数(k)
で表される。
また、次の読み取りにより、タグkとタグlとが同時に読み取られた場合、
次のg(k,l)={前回の回数(k,l)+1}/{前回の回数(k)+1}
となる。
また、次の読み取りにより同時に読み取られなかった場合、
次のg(k,l)={前回の回数(k,l)}/{前回の回数(k)+1}
となる。
ここで、タグAとタグBの距離をF(A,B)とすると、
g(A,B)≧g(A,C)ならば、F(A,B)≦F(A,C)
が成り立つ。従って、対象タグについての隣接度の最も高いタグが、対象タグに最も距離が近いタグであると推定される。ただし、ここでの距離は、実際の物理的な距離でなく、あくまでも電波の読み取られやすさに対応した距離であり、ここでは読み取られ距離と定義する。
また、タグAとタグBとが、同時に読取られる確率をG(A,B)、タグAに対するタグBの隣接度をg(A,B)、タグBに対するタグAの隣接度をg(B,A)とする。
この場合、十分に読取りを行った安定した状態であれば、
g(A,B)=g(B,A)=G(A,B)の安定値
が成り立つ。なお、
g(A,B)=(複数回の読み取りにおいてタグAとタグBとが同時に読み取られた回数)/複数回の読み取りにおいてタグAの読み取られた回数、
g(B,A)=(複数回の読み取りにおいてタグBとタグAの同時に読み取られた回数)/複数回の読み取りにおいてタグBの読み取られた回数、
である
また、安定していない状態においては、タグAの読み取られた回数とタグBの読み取られた回数とのうちの、読み取り回数の多い方のgが、G(A,B)の安定値に近いと推定される。
また、十分に読取りを行った安定した状態であれば、
G(A,B)≧G(A,C)ならば、F(A,B)≦F(A,C)が成り立つ。
次に、本具体例におけるタグ情報処理装置1について説明する。タグ情報処理装置1の概念図は図5である。タグ情報処理装置1のアンテナ10は、ここでは、例として、タグに対する一回(一期間)の読み取りが終了する毎に、自動的に向きが変更されて、読み取り対象とする領域が変更されるものであるとする。また、向きは、毎回異なる向きに変更されるものとする。このアンテナ10からの電波が照射可能な範囲内に、複数のタグ100が配置されているものとする。また、タグ情報処理装置1の送信部11と受信部12とは、ここでは、RFIDタグリーダライタ40を構成しているものとする。また、タグ情報処理装置1のアンテナ10、送信部11、および受信部12を除いた部分は、コンピュータ50等の情報処理装置で構成されているものとする。
なお、ここでは、説明を簡略化するために、複数のタグ100が図6に示すように予め設定されたマトリクス状に区切られた区画のいずれかに配置されており、アンテナ10を用いたタグ100からの情報の読み取りは、当該マトリクス状のタグ100の上を、アンテナ10から出力される電波が照射される領域を、読み取り毎に毎回変化させて、スキャンすることで行われるものとする。なお、図6において、領域50は、一回目の読み取りにおいてアンテナ10からの電波が照射される領域である。また、ここでは、タグ100を丸印で表しており、タグ100内の値は、タグの識別情報であるとする。
以下、本具体例の処理について、読み取り処理から順に説明する。まず、1回目の読み取りとして、図6に示すように、送信部11がアンテナ10を介して、複数のタグ100が配置されている空間内の領域50に、タグ100内に格納されている識別情報の送信指示する情報を送信する。なお、この領域50のサイズは、複数のタグ100が配置されている領域全てをカバーする大きさよりも小さいサイズに設定しておく。
識別情報の送信を指示する情報に応じて、領域50内に位置するタグ100は、それぞれ識別情報を送信する。
タグ100から送信された識別情報を、受信部12は、アンテナ10を介して受信する。そして、受信部12が受信した識別情報を、受付部13が受け付ける。受け付けた識別情報は、ここでは、「03」、「12」、「13」、「34」であったとする。
図7は、対象タグに対応した識別情報の読み取り回数を管理する対象タグ管理表である。識別情報管理表は、「対象タグ識別情報」と、「読み取り回数」という属性を有している。「対象タグ識別情報」は、対象タグの識別情報である。また、「読み取り回数」は、対象タグが読み取られた回数であり、具体的には、対象タグに対応した識別情報を受け付けた回数である。「読み取り回数」の初期値は「0」である。各行を、ここではレコードと呼ぶ。ここでは、1回目の読み取り開始時には、レコード数が0であるものとする。
次に、受付部13が、読み取られたタグ100の識別情報を受け付けると、隣接度設定部14は、当該受け付けた識別情報に対して、順番に、新たに受け付けた識別情報であるか否かを判断する。たとえば、受け付けた識別情報が、図7に示した対象タグ管理表の「対象タグ識別情報」の属性値に、含まれるか否かを判断し、含まれない場合、新規の識別情報であると判断する。そして、新規の識別情報であれば、当該識別情報が、対象タグの識別情報と判断され、対象タグの識別情報として追加設定される。これにより、新規の識別情報に対応したタグ100が対象タグと判断され、対象タグに追加登録されることとなる。ここでは、受付部13が受け付けた識別情報は、1回目の読み取りにより受け付けた識別情報であるため、対象タグ管理表のレコードがまだ存在しないため、全てが新規の識別情報であると判断される。このため、全ての識別情報が、対象タグに対応した識別情報として登録される。
具体的には、隣接度設定部14は、新規の識別情報を「対象タグ識別情報」に含むレコードを、図7に示したような対象タグ管理表に追加登録する。例えば、1回目の読み取りにより受け付けた識別情報を、全て対象タグ識別情報に登録していく結果、図7に示すように、識別情報が、「03」、「12」、「13」、「34」であるレコードを有する対象タグ管理表が構成される。
次に、隣接度設定部14は、受付部13が受け付けた識別情報から、対象タグ識別情報を検索する。具体的には、図7に示した対象タグ管理表により管理されている対象タグ識別情報と一致する識別情報を、受付部13が受け付けた識別情報から検索する。そして、検索された対象タグ識別情報について、順次読み取り回数を1インクリメントする。これにより、ここでは、図7に示したような「読み取り回数」属性が、初期値である「0」から「1」にインクリメントされた対象タグ管理表が構成される。なお、新規に追加されたレコードの「読み取り回数」の値を0から1にインクリメントする代わりに、新規にレコードを追加する際には、「読み取り回数」の値を1に設定するようにしても良い。
次に、隣接度設定部14は、受付部13が受け付けた識別情報から、対象タグ識別情報を検索し、検索された識別情報のうちの一の識別情報を、一番目の対象タグ識別情報に指定する。ここでは、例として、識別情報「03」を、1番目の対象タグ識別情報に指定したとする。
つぎに、隣接度設定部14は、1番目の対象タグの識別情報「03」と、同時に受け付けられた識別情報、すなわち同時読取識別情報を検出し、この同時読取識別情報の中の一つを1番目の同時読取識別情報に設定する。例えば、ここでは、同時読取識別情報「34」を1番目の同時読取識別情報に設定する。そして、この同時読取識別情報「34」が、既に1番目の対象タグ識別情報「03」と、同時に受け付けられているか否かを判断する。
図8は、対象タグについての隣接度を管理する隣接度管理表である。隣接度管理表は、「対象タグ識別情報」、「同時読み取りタグ識別情報」、「同時読み取り回数」、および「隣接度」という属性を有している。「対象タグ識別情報」は、対象タグの識別情報である。「同時読み取りタグ識別情報」とは、同じレコードの「対象タグ識別情報」が示す対象タグの識別情報と同時に読み取られたタグ100の識別情報である。「同時読み取り回数」は、「同時読み取りタグ識別情報」が示す識別情報が、「対象タグ識別情報」が示す対象タグの識別情報と同時に読み取られた回数である。また、「隣接度」は、「同時読み取り回数」を用いて算出された隣接度の値である。なお、1回目の読み取りの開始時には、隣接度管理表のレコード数は0であるとする。
隣接度設定部14は、例えば、図8に示した隣接度管理表において、1番目の対象タグの識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、1番目の識別情報「34」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードを検索する。ここでは、一回目の読み取りであるため、レコードが一つも追加されていないため、検索の結果、対応するレコードがない、という結果が得られる。このため、1番目の対象タグ識別情報「03」に関しては、識別情報「34」は、新規な同時読取識別情報であると判断され、この1番目の識別情報「34」を、1番目の対象タグ識別情報に対する隣接度を設定する対象に追加する。具体的には、隣接度管理表に対して、1番目の対象タグの識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、1番目の識別情報「34」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードを追加する。レコード追加時の「同時読み取り回数」の属性値は「0」であるとする。
そして、隣接度設定部14は、更に、1番目の対象タグの識別情報「03」が、1番目の識別情報「34」と同時に読み取られた回数を1インクリメントする。ここでは、レコードを追加した直後であるため、1番目の対象タグ識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、1番目の同時読取識別情報「34」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードの「同時読み取り回数」を、「1」に変更する。
さらに、隣接度設定部14は、1番目の対象タグの識別情報「03」に対する、1番目の識別情報「34」の隣接度を算出する。ここでは、具体的には、1番目の対象タグの識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、1番目の識別情報「34」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードの「同時読み取り回数」の属性値「1」を、図7に示した対象タグ管理表の、1番目の対象タグの識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有するレコードの「読み取り回数」属性である「1」で除算する。そして、除算結果からパーセントの値に取得する。ここでは、「同時読み取り回数」÷「読み取り回数」×100=1÷1×100=100%となる。この計算結果が、隣接度に設定される。
同様にして、1番目の対象タグの識別情報「03」と同時に読み取られた2番目の同時読取識別情報「13」、3番目の同時読取識別情報「12」についても、上記と同様に隣接度が算出され、設定される。これにより1番目の対象タグ識別情報「03」についての処理が終了する。
さらに、1番目の対象タグ識別情報「03」以外の、2〜4番目の対象タグ識別情報、ここでは、読み取られた残りの識別情報「12」、「13」、「34」についても、順番に、同様の処理が行われる。この結果、一回目の読み取り処理により、図8に示した隣接度管理表が構成される。
次に二回目の読み取り処理が行われたとする。例えば、二回目の読み取り処理は、図9のように電波の当てる場所を変えて行われたとする。これにより、例えば、図10に示すようなタグの識別情報が読み取られたとする。
次に、受付部13が、図10に示したような読み取られたタグ100の識別情報を受け付けると、隣接度設定部14は、当該受け付けた識別情報に対して、順番に、新たに受け付けた識別情報であるか否かを判断する。ここでは、受け付けた識別情報が、図7に示したような対象タグ管理表の「対象タグ識別情報」の属性値に、含まれるか否かを判断し、含まれない場合、新規の識別情報であると判断する。ここでは、識別情報「03」、「13」、「34」の識別情報を含むレコードが図7の対象タグ管理表に存在するため、「06」、「34」、「45」の識別情報が、新規の識別情報と判断される。そして、これらの新規の識別情報に対応したレコードが、図7に示した対象タグ管理表に追加される。これらの「読み取り回数」の属性値の初期値は、上記と同様に「0」とする。
次に、隣接度設定部14は、受付部13が受け付けた識別情報から、対象タグ識別情報を検索する。具体的には、図7に示した対象タグ管理表により管理されている対象タグ識別情報と一致する識別情報を、受付部13が受け付けた識別情報から検索する。そして、検索された対象タグの識別情報について、順次読み取り回数を1インクリメント、具体的には、対象タグ管理表の「読み取り回数」の属性値を1インクリメントする。これにより、図11に示したような、「対象タグ識別情報」が「03」、「06」、「13」、「26」、「34」、「45」であるレコードの「読み取り回数」の属性値を1インクリメントした対象タグ管理表が構成される。
次に、隣接度設定部14は、受付部13が受け付けた識別情報から、対象タグ識別情報を検索し、検索された識別情報のうちの一の識別情報を、一番目の対象タグ識別情報に指定する。ここでは、例として、識別情報「03」を、1番目の対象タグ識別情報に指定したとする。
つぎに、隣接度設定部14は、1番目の対象タグ識別情報「03」と、同時に受け付けられた同時読取識別情報を検出し、この同時読取識別情報の中の一つを1番目の同時読取識別情報に設定する。例えば、ここでは、識別情報「45」を1番目の同時読取識別情報に設定する。そして、この識別情報「45」が、既に1番目の対象タグの識別情報「03」と、同時に受け付けられているか否かを判断する。
隣接度設定部14は、例えば、図8に示したような、最新の隣接度管理表のレコードにおいて、1番目の対象タグ識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、1番目の同時読取識別情報「45」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードを検索する。ここでは、検索の結果、対応するレコードがない、という結果が得られる。このため、1番目の対象タグ識別情報「03」に関しては、同時読取識別情報「45」は、新規な同時読取識別情報であると判断され、隣接度設定対象に追加される。具体的には、隣接度管理表に対して、1番目の対象タグ識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、1番目の同時読取識別情報「45」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードを追加する。
そして、隣接度設定部14は、更に、追加した1番目の対象タグ識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、1番目の同時読取識別情報「45」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードの「同時読み取り回数」を、「1」に変更する。
さらに、隣接度設定部14は、1番目の対象タグ識別情報「03」に対する、1番目の同時読取識別情報「45」の隣接度を算出する。具体的には、「対象タグ識別情報」が「03」、「同時読み取りタグ識別情報」が「45」であるレコードの「同時読み取り回数」の属性値「1」を、図11に示した対象タグ管理表の、「対象タグ識別情報」が「03」であるレコードの「読み取り回数」の属性値「2」で除算した値を100倍して、隣接度「50%」を得る。この計算結果を、隣接度に設定する。
つぎに、隣接度設定部14は、1番目の対象タグ識別情報「03」と、同時に受け付けられた同時読取識別情報のうちの、同時読取識別情報「34」を2番目の同時読取識別情報に設定する。そして、この同時読取識別情報「34」が、既に1番目の対象タグ識別情報「03」と、同時に受け付けられているか否かを判断する。
隣接度設定部14は、例えば、図8に示したような、最新の隣接度管理表のレコードにおいて、1番目の対象タグ識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、2番目の同時読取識別情報「34」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードを検索する。ここでは、検索の結果、対応するレコードがある、という結果が得られる。このため、1番目の対象タグ識別情報「03」に関しては、同時読取識別情報「34」は、新規ではない同時読取識別情報と判断される。
そして、隣接度設定部14は、最新の隣接度管理表のうちの、1番目の対象タグ識別情報「03」を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、2番目の同時読取識別情報「34」を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードの「同時読み取り回数」を、1インクリメントした値である「2」に変更する。
さらに、隣接度設定部14は、1番目の対象タグ識別情報「03」に対する、2番目の識別情報「34」の隣接度を算出する。具体的には、「対象タグ識別情報」が「03」、「同時読み取りタグ識別情報」が「34」であるレコードの「同時読み取り回数」の属性値「2」を、図11に示した対象タグ管理表の、「対象タグ識別情報」が「03」であるレコードの「読み取り回数」の属性値「2」で除算した値を100倍して、隣接度「100%」を得る。この計算結果を、隣接度に設定する。
以下、同様にして、1番目の対象タグ識別情報「03」と同時に読み取られた3番目以降の同時読取識別情報についても、上記と同様に隣接度が算出され、設定される。これにより1番目の対象タグ識別情報「03」についての処理が終了する。
さらに、2回目に読み取られた識別情報のうちの、1番目の対象タグ識別情報「03」以降の対象タグ識別情報、ここでは、「06」、「13」、「26」、「34」、「45」についても、順番に、同様の処理が行われる。この結果、2回目の読み取り処理により、図12に示した隣接度管理表が構成される。
その後、上記のような読み取り処理と、隣接度を設定する処理が繰り返され、隣接度の変化がほぼ安定した時点で読み取り処理と、隣接度を設定する処理が終了する。なお、予め処理回数が、所定回数に達した時点で読み取り処理と、隣接度を設定する処理を終了するようにしてもよい。
ここでは、説明を簡単にするために、上記の2回の処理に続いて、3回目から6回目までの読み取り処理と、隣接度を設定する処理が、上記と同様に繰り返され、読み取り処理と隣接度を設定する処理が終了したものとする。
例えば、3回目から6回目までの読み取り処理においては、図13に示すように、タグ100に対する読み取り範囲を変更して行われたとする。領域133〜136は、3回目から6回目までの読み取り処理の読み取り範囲を示している。
また、これらの読み取りにより受付部13がそれぞれ受け付けた識別情報を、図14に示す。
また、この受け付けた識別情報により設定した隣接度管理表を、図15に示す。
そして、このようにして設定した隣接度を用いて、属性取得部15により、対象タグの属性を取得する処理が行われる。
ここでは、まず、対象タグの属性を取得する処理の第1の例について説明する。この第1の例においては、各対象タグについて、当該各対象タグと同時に読み取られたタグのうちの、少なくともいずれか一つに対する位置関係を示す属性を取得する場合について説明する。具体的には、この第1の例においては、隣接度が高いタグ同士は、距離が近い位置に配置されているということを利用して、各対象タグについて、当該各対象タグの識別情報と同時に読み取られた識別情報のうちの、隣接度の高い識別情報を取得し、各対象タグの属性として、当該取得された隣接度の高い識別情報に対応したタグに近い位置に配置されている、という位置関係に関する属性を取得するものである。
図16は、図15に示した隣接度管理表に基づいて、説明のために作成した同時読み取り回数表の例である。同時読み取り表は、行を対象タグの識別情報、列を同時に読み取られたタグの識別情報、として、隣接度管理表の「同時読み取り回数」属性の値を用いて、各対象タグに対する、同時に読み取られた各タグの、同時に読み取られた回数を表で表したものである。なお、対象タグの識別情報と、同時に読み取られたタグの識別情報とが同じとなる位置、すなわち図の斜線部分のセルの値は、対象タグが、少なくとも読み取られた回数、すなわち、図11に示した対象タグ管理表の「読み取り回数」属性に相当する値を示す。また、ここでは、各対象タグについて、同時に読み取られていないタグの、同時に読み取られた回数を0として表している。
また、図17は、図15に示した隣接度管理表に基づいて、説明のために作成した隣接度表の例である。隣接度表は、行を対象タグの識別情報、列を同時に読み取られたタグの識別情報、として、隣接度管理表の「隣接度」属性の値を表で表したものである。
図17に示すように、例えば、識別情報が「34」である対象タグについては、最も高い隣接度の値が「66.7」である。このため、識別情報が「34」である対象タグの属性として、隣接度の値が「66.7」である識別情報「45」のタグに最も近い位置関係にあるという属性を取得する。
実際には、図15に示したような、6回目の読み取りに対応した処理結果が反映されたの隣接度管理表において、各対象タグの識別情報ごとに、「隣接度」の属性値が最も高いレコードを検索して、当該レコードの「同時読み取りタグ識別情報」属性の値を取得する。例えば、対象タグ「34」の属性として、識別情報「45」が取得される。なお、2以上のレコードが検索された場合、両方のレコードの「同時読み取りタグ識別情報」属性の値を、対象タグの属性として取得する。例えば、対象タグ「42」の属性として、「34」、「63」という2つの識別情報が取得される。
そして、出力部16は、属性取得部15が取得した属性を出力、ここでは、例としてディスプレイに表示する。
図18は、出力部16による、属性取得部15が取得した属性の出力例を示す図である。図18においては、属性取得部15が取得した属性を、位置関係表として表示している。位置関係表においては、「タグ」は、対象タグの識別情報を示している。また、「最も近いタグ」は、属性取得部15が取得した属性、すなわち、対象タグに対して最も隣接度の高いタグの識別情報を示している。この位置関係表により、各対象タグについての位置関係を示す属性として、各対象タグが、どのタグに最も近い位置に配置されているかという属性を示すことができる。
例えば、ユーザは、図18に示した位置関係表から、識別情報が「12」であるタグに最も近いタグは、識別情報が「13」、「34」のタグであるという属性を、知ることができる。
なお、ここでは、対象タグの識別情報に対して最も隣接度の高い識別情報を属性として取得するようにしたが、必ずしも、最も隣接度の高い識別情報だけを取得する必要はなく、例えば、対象タグの識別情報に対して、隣接度の高さが、上位3番目までの識別情報等を対象タグについての属性として取得し、出力するようにしても良い。また、隣接度の低い識別情報を、属性として取得し、出力するようにしても良い。
なお、上記第1の例において、図16に示したような同時読み取り回数を、隣接度として用いるようにしても良い。例えば、この場合においても、各対象タグの識別情報について、隣接度の高い、すなわち同時読み取り回数の高い識別情報を、属性取得部15が、各対象タグの属性として取得すればよい。
なお、ここでは、6回の読み取り結果に応じて、各対象タグの属性を取得したが、読み取り回数はできるだけ多い方が、より正確な属性を得ることができる。また、複数のタグに対して、できるだけ、均等に、読み取りのための電波の照射を行うことが、より正確な属性を得るためには好ましい。かかることは、他の例や他の実施の形態においても同様である。
つぎに、対象タグの属性を取得する処理の第2の例について説明する。この第2の例においては、3以上の対象タグ同士の位置関係を示す属性を取得する場合について説明する。具体的には、ここでは、複数回の読み取り処理により読み取られた3以上のタグを対象タグとして、3以上の対象タグ同士の隣接度から、当該3以上の対象タグ同士の相互の相対的な位置関係を示す情報を取得して、この位置関係に関する属性を、3以上の対象タグ同士の属性として取得するものである。
なお、ここでは、前提として、上述したように6回程度の読み取り結果について処理を行うのではなく、読み取りの処理と、隣接度を設定する処理とが、第1の対象タグについての、第2の対象タグの隣接度と、第2の対象タグについての、第1の対象タグの隣接度が、ほぼ同じとなる程度まで、十分な回数繰り返された結果について、属性を取得する処理が行われるものとする。
以下、対象タグが3つの場合を例に挙げて、隣接度設定部14が設定した隣接度を用いて、対象タグ同士の位置関係に関する属性を取得する処理について説明する。
まず、読み取り空間内に、対象タグA,B,Cがあり、読み取り回数が必要十分であり
g(A,B)≒g(B,A)=G(A,B)
g(B,C)≒g(C,B)=G(B,C)
g(C,A)≒g(A,C)=G(A,C)
であるとする。すなわち、ここで述べる確率Gは、隣接度設定部14が設定した隣接度に相当する。なお、実際には、g(A,B)とg(B,A)との値が異なる場合には、G(A,B)を、g(A,B)とg(B,A)とのいずれかに合わせるようにすればよい。例えば、g(A,B)とg(B,A)との母数の多い方、すなわち対象タグAと対象タグBとの読みと取られた回数が多い方のgを、G(A,B)として用いるようにしても良い。また、g(A,B)とg(B,A)との任意の一方を、G(A,B)として用いるようにしても良い。また、g(A,B)とg(B,A)との平均や加重平均等の代表値を用いるようにしても良い。なお、かかることは、隣接度として確率を用いる場合は、以下同様である。
ここで、Gで表される2つの対象タグが同時に読み出される確率の値に対して、ある閾値Xを設け、G≧Xの場合を「1」と表現し,G<Xの場合は「0」と表現した場合、G(A,B)、G(B,C)、およびG(A,C)の値の組合せは、図19に示す8通りとなる。なお、Xの値は、確率Gの値の上限値と下限値との間の値である。
ここで、ケース1の場合、タグが存在する空間の関係は図20に示すようになると推定される。なお、図において、G(A)は、タグAと他のタグとが同時に読み出される確率である。以下、他のタグについても同様である。空間21は、タグAと他のタグとが同時に読み出される確率が閾値X以上である空間、すなわち、G(A)>0で表される関係となる空間である。また、空間22は、タグBと他のタグとが同時に読み出される確率が閾値X以上である空間、すなわち、G(B)>0で表される関係となる空間である。また、空間23は、タグCと他のタグとが同時に読み出される確率が閾値X以上である空間、すなわち、G(C)>0で表される関係となる空間である。
すなわち、図20(a)に示すように、3つの確率(隣接度)が、ケース1の関係にある場合、タグ間の距離の関係は、図20(b)に示すようになると推定される。
すなわち、図21(a)に示すように、3つの確率(隣接度)が、ケース2の関係にある場合、タグが存在する空間の関係は、図21(b)に示すようになると推定される。
すなわち、図22(a)に示すように、3つの確率(隣接度)が、ケース3の関係にある場合、タグが存在する空間の関係は、図22(b)に示すようになると推定される。
すなわち、図23(a)に示すように、3つの確率(隣接度)が、ケース4の関係にある場合、タグが存在する空間の関係は、図23(b)に示すようになると推定される。
すなわち、図24(a)に示すように、3つの確率(隣接度)が、ケース5の関係にある場合、タグが存在する空間の関係は、図24(b)に示すようになると推定される。
すなわち、図25(a)に示すように、3つの確率(隣接度)が、ケース6の関係にある場合、タグが存在する空間の関係は、図25(b)に示すようになると推定される。
すなわち、図26(a)に示すように、3つの確率(隣接度)が、ケース7の関係にある場合、タグが存在する空間の関係は、図26(b)に示すようになると推定される。
すなわち、図27(a)に示すように、3つの確率(隣接度)が、ケース8の関係にある場合、タグが存在する空間の関係は、図27(b)に示すようになると推定される。
従って、属性取得部15により、3つの対象タグについて、隣接度を用いてこのように推定した位置関係を示す結果、例えば、上述した各タグの存在する空間の包含関係等を、属性として取得する。そして、この取得した属性を、3つの対象タグについての属性として、出力部16から出力する。
なお、タグA,B,Cにおいて、タグA、タグBをG(A,B)=「1」となる状態で物理的な位置を固定した場合、タグCの位置を、ケース5からケース8までの推論により、図28に示すような4つの空間a〜空間dのいずれに存在しているか、精度よく求めることが可能となる。この場合、このタグCの存在している空間を示す情報を、タグCの属性を示す情報として取得し、出力するようにしても良い。
また、上述したように、「G(A,B)≧G(A,C)ならばF(A,B)≦F(A,C)が成り立つ」ことから、距離関数Fと確率関数Gとの関係は図29に示すようなグラフに示す関係にあると定義できる。このグラフは、リーダライタの性能および設置環境により傾き、値などが異なるが、あらかじめ位置の特定できているタグの距離を、距離関数Fが示す読み取られ距離に近似することにより、作成することが可能である。従って、このようなグラフを用いることで、タグ間の隣接度から、タグ間の距離を推定することも可能となる。従って、このようにして推定したタグ間の距離を、タグ間の属性として取得して、出力するようにしても良い。
なお、ここでは、3つの対象タグについての属性を取得する場合について説明したが、上記と同様に、各対象タグの隣接度を用いて、各タグが読み取られる確率から、各タグの存在している空間の位置関係を決定していくことにより、4以上の対象タグについても相互の位置関係の属性を取得することが可能である。
以上、本実施の形態によれば、複数のタグ同士の隣接度から、タグの属性を取得することができるため、タグから情報を読み取るための手段、例えばタグリーダライタ等を、複数用意する必要がなく、コストを安価に抑えることができる。また、複数のタグを用いてタグの属性を取得するため、タグの属性を取得するために要する装置の設置や接続等の手間を削減できる。このため、容易にRFIDタグの位置等の属性を検出することができる。
また、本実施の形態によれば、複数のタグ同士の隣接度を用いて、複数のタグ間の相互の位置関係を示す属性を取得することができる。
なお、上記実施の形態において、属性取得部15を省略して、出力部16が、隣接度設定部14が設定した隣接度等を、図16や図17に示すような同時読み取り回数表や隣接度表等を用いて出力するようにしても良い。このような表を用いることで、ユーザは、どの対象タグに対して、どのタグの隣接度が高いか否かを判断し、対象タグと他のタグとの位置関係等を知ることができる。かかることは、他の実施の形態においても同様である。
また、上記具体例においては、受付部13が、送信部11と受信部12とにより、複数のRFIDタグ100から繰り返し読み出された識別情報を受け付けるようにしたが、本発明においては、送信部11と受信部12と同様の構成を備えた他の装置等により読み出された識別情報を、ネットワーク等を通じて受け付けるようにしても良いし、予め送信部11と受信部12と同様の構成を備えた他の装置等により、複数回繰り返し読み取られた識別情報を、記録媒体等に蓄積しておくようにし、この記録媒体に蓄積された識別情報を、順次読み出すことで、受付部13が識別情報を受け付けるようにしても良い。かかることは、他の実施の形態においても同様である。
また、上記具体例においては、対象タグを順次追加していく場合について説明したが、対象タグは、予め指定されていても良い。例えば、図2のステップS210等においては、予め対象タグが格納している識別情報のリスト等を用意しておき、当該リストに載せられている識別情報と一致する識別情報が、受付部13が受け付けた識別情報内にあった場合に、その識別情報を対象タグの識別情報と判断するようにすればよい。かかることは他の実施の形態においても同様である。
また、上記具体例においては、対象タグに対する隣接度を設定する対象となるタグに、新規に識別情報が読み取られたタグを、順次追加していく場合について説明したが、これらの隣接度を設定する対象となるタグは、識別情報等を用いて予め指定されていても良い。かかることは他の実施の形態においても同様である。
(実施の形態2)
本実施の形態にかかるタグ情報処理システムは、上記実施の形態において説明したタグ情報処理システムにおいて、複数のタグ100内に、対象タグについての属性を示す情報と対応付けられたタグである1以上の属性タグを設けるようにし、当該属性タグを用いて、対象タグについての属性、例えば特徴や性質、を判断するようにしたものである。
図30は、本実施の形態2にかかるタグ情報処理システムの構成を示すブロック図である。
タグ情報処理システムは、複数のタグと、タグ情報処理装置2とを備えている。ここでは、説明の便宜上、複数のタグが、1以上の対象タグ100aと、1以上の属性タグ200とにより構成されている場合を例に挙げて説明する。
タグ情報処理装置2は、アンテナ10、送信部11、受信部12、受付部13、属性情報格納部20、隣接度設定部24、属性取得部25、および出力部26を具備する。
アンテナ10、送信部11、受信部12、および受付部13の構成については上記実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
対象タグ100aについては、上記実施の形態1において説明した対象タグと同様であるので、説明は省略する。
属性タグ200は、対象タグについての属性を示すタグである。対象タグについての属性とは、例えば各対象タグ自身についての属性であってもよいし、対象タグが取り付けられる対象物の属性であっても良い。各対象タグ自身の属性とは、例えば各対象タグが配置される位置や領域の情報である。より具体的には、1以上の属性タグが配置された位置に対して、近い位置にあるか遠い位置にあるか等や、1以上の属性タグが配置された領域に対して、同じ領域内にあるか否か等の情報である。また、対象タグが取り付けられる対象物の属性とは、また、例えば、対象物の種類や、種別等の情報である。また、例えば対象物が製品等であれば、製品が製造された日付等の属性であってもよい。また、対象物が輸送品であれば、発送する日付等の属性であってもよい。また、対象物が食品等であれば、消費期限等の属性であっても良い。また、対象物の位置や領域の属性であっても良い。属性タグ200は、例えば、上述したような対象タグ100aについての属性を示す情報である属性情報と対応付けられている。そして、1以上の属性タグ200の属性情報によって、対象タグについての属性が、後述する属性取得部25により取得される。各属性タグ200に対して、属性情報が、どのように対応付けられて格納されており、どのように後述する属性取得部等により取得されるか等は問わない。例えば、属性情報が、各属性タグ200内の記憶媒体等に格納されていて、当該属性情報が受信部12により読み出されるようにしても良い。また、各属性タグ200内に格納されている識別情報と、各属性タグに対応する属性情報とが、対応付けられて記録媒体等に格納されていて、各属性タグから読み出された識別情報に対応した属性情報が、読み出されるようにしても良い。ここでは、特に、例として、属性情報格納部20に、属性情報が、各属性タグ200の識別情報と対応付けられて格納されている場合について説明する。なお、各属性タグ200の属性情報が、各属性タグ200の識別情報であってもよい。例えば、属性タグ200が、対象タグ100aの位置の属性を与えるタグである場合であって、各属性タグがそれぞれ所定の位置に配置されている場合、ある対象タグ100aに対応した属性タグ200の識別情報を得ることで、ユーザは、得られた識別情報を有する属性タグ200の近く、あるいは属性タグを含むグループ内に、その対象タグ100aが存在することを判断可能であるからである。属性タグ200としては、対象タグ100a等の複数のタグと同じ構造のタグを用いてもよいし、異なるタグを用いても良い。属性タグ200は、例えば識別情報から、属性タグであると判断できればよい。属性タグ200の構造は問わない。属性タグ200が、動作する周波数帯等は、対象タグ100aの動作する周波数帯と同じことが好ましいが、異なる周波数帯であっても良い。ただし、この場合、各読み取り処理時に、それぞれの動作する周波数帯を用いる必要がある。
属性情報格納部20には、各属性タグ200に対応した属性情報と、各属性タグ200の識別情報とが対応付けられて格納されている。例えば、属性情報と、対応する識別情報とが、一のレコードの属性値として格納されている。属性情報格納部20は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
隣接度設定部24は、上記実施の形態1において説明した隣接度設定部14において、複数のタグ100内の1以上のタグである対象タグの少なくともいずれか一つと同時に情報が読み取られた属性タグ200に対して、同時に読み取られた回数に応じて、対象タグのそれぞれとの隣接関係を示す値である隣接度を設定するようにしたものであり、その他の構成については、上記隣接度設定部14と同様であるので、説明は省略する。なお、隣接度設定部24は、属性タグ200以外の複数のタグ100内のタグに対して隣接度を設定するか否かは任意である。
属性取得部25は、上記実施の形態2において説明した属性取得部15において、上述した対象タグのそれぞれの属性を、各対象タグ100aに対する、隣接度設定部14が設定した属性タグ200の隣接度と、属性タグが示す属性とを用いて取得するようにしたものである。具体的には、属性取得部25は、対象タグ100aのそれぞれの属性を、各対象タグ100aに対する隣接度の高い属性タグが示す属性として取得する。属性取得部25は、対象タグ100aに対する属性として、隣接度が最も高い属性タグ200が示す属性を取得してもよいし、隣接度が高い順の2以上の属性タグ200が示す2以上の属性を取得しても良い。また、この場合、隣接度の値の大きさ等に応じて、対象タグ100aに付与される属性の度合いを変化させてもよい。属性タグが示す属性とは、例えば、上述した各属性タグに対応付けられた属性情報が示す属性である。この場合、例えば、属性取得部25は、対象タグ100aのぞれぞれの属性として、各対象タグ100aに対する隣接度が高い(あるいは低い)属性タグ200が対応付けられた属性情報が示す属性を取得する。例えば、属性タグ200の識別情報に対応付けられた属性情報が、属性情報格納部20に格納されている場合、属性取得部25は、対象タグ100aに対する隣接度が高い属性タグ200の識別情報を用いて、当該識別情報に対応した属性情報を、属性情報格納部20から検索して取得し、当該取得した属性情報が示す属性を、対象タグ100aの属性とする。また、属性タグ200の属性情報が、属性タグ200内に格納されている場合、属性取得部25は、対象タグ100aに対する隣接度が高い属性タグ200の属性情報を、適宜、属性タグ200から読み取る等により取得して、この読み取った属性情報が示す属性を、対象タグ100aの属性とする。このとき、属性情報が識別情報、あるいは識別情報と共に読み取られている場合、この属性情報を用いるようにすればよい。なお、その他の構成については、上記実施の形態1において説明した属性取得部15と同様であるので、ここでは説明を省略する。
出力部26は、上記実施の形態1において説明した出力部16において、属性取得部25が取得した属性を示す情報を出力するようにしたものであり、その他の構成については、上記実施の形態1の出力部16と同様であるので、説明は省略する。なお、出力部26は、属性取得部25が取得した属性を示す情報として、属性取得部25が取得した属性情報をそのまま用いるようにしても良い。
つぎに、本実施の形態2にかかるタグ情報処理装置2の動作について、図31のフローチャートを用いて説明する。なお、図31において、図2と同一符号は同一または相当する処理ステップを示している。
(ステップS3101)隣接度設定部24は、i番目の識別情報が新規に受け付けた識別情報であるか否かを判断する。例えば、管理表等を用いてそれぞれ管理されている、過去に受け付けた属性タグの識別情報や対象タグの識別情報と一致するか否かを判断して、一致しない場合、新規の識別情報であると判断する。新規である場合、ステップS3102へ進み、新規でない場合、ステップS208に進む。
(ステップS3102)隣接度設定部24は、i番目の識別情報が、属性タグであるか否かを判断する。例えば属性情報格納部20等に予め格納されている属性タグの属性情報を管理する管理表等に、i番目の識別情報と一致する識別情報があるか否かを判断する。そして、一致する場合、属性タグの識別情報であると判断し、一致しない場合、属性タグの識別情報ではないと判断する。なお、予め、属性タグとして使用するタグの識別情報のリスト等を用意しておき、当該リスト等を、属性情報を管理する管理表等の代わりに用いても良い。属性タグである場合、ステップS208に進み、属性タグでない場合、ステップS207に進む。
(ステップS3103)隣接度設定部24は、隣接度を設定する。なお、この処理の詳細については、後述する。
(ステップS3104)属性取得部25は、各対象タグについて、隣接度の高い1以上の属性タグの識別情報を取得する。
(ステップS3105)属性取得部25は、ステップS3104で取得した属性タグの識別情報に対応した属性情報を、属性情報格納部20に予め格納されている属性情報管理表から取得する。具体的には、ステップS3104で取得した属性タグの識別情報と一致する属性タグの識別情報を含むレコードを、属性情報管理表において検索し、検出されたレコードに含まれる属性情報を取得する。そして、取得した属性情報が示す属性を、対象タグの属性とする。
つぎに、図31のステップS3103において説明した隣接度を設定する処理の詳細を、以下、図32のフローチャートを用いて説明する。ここでは、隣接度として、対象タグの読み取り回数に対する、タグ100の、対象タグと同時に読み取られた回数の比率を、パーセント表示した値を算出する場合について説明する。なお、図32において、図3と同一符号は同一または相当する処理ステップを示している。また、図3の同時読取識別情報等は、ここでは、適宜、属性タグの識別情報等と読み替えられるものとする。
(ステップS3201)隣接度設定部24は、k番目の識別情報が属性タグの識別情報であるか否かを判断する。この処理は、ステップS3101の処理と同様の処理である。属性タグである場合、ステップS3202に進み、属性タグでない場合、ステップS309に進む。
(ステップS3202)隣接度設定部24は、k番目の識別情報が、新規の属性タグの識別情報であるか否かを判断する。例えば、管理表等を用いてそれぞれ管理されている、過去に受け付けた属性タグの識別情報と一致するか否かを判断して、一致しない場合、新規の属性タグの識別情報であると判断する。新規である場合、ステップS3203へ進み、新規でない場合、ステップS307に進む。
(ステップS3203)隣接度設定部24は、k番目の識別情報を、隣接度を設定する対象となる属性タグの識別情報として、管理表等に登録する。そして、ステップS307に進む。
次に、本実施の形態にかかる具体例について説明する。本具体例においては、タグ情報管理システムを用いて、対象タグについての、どの棚に配置されているかという属性を取得する場合について説明する。
図33は、本具体例のタグ情報管理システムの概念図である。図に示すように、複数の書棚300が用意されており、各棚の中央には、それぞれ属性タグ200が配置されているものとする。ここでは、各書棚300には、ユーザが識別可能な名称等が付けられているものとする。そして、各書棚には、対象タグ100aが貼付された複数の書物が配置されているものとする。書棚300の前には、タグ情報処理装置2が配置されているものとする。タグ情報処理装置2のアンテナ10は、例として、タグに対する一回(一期間)の読み取りが終了する毎に、自動的に向きが変更されて、読み取り対象とする領域が変更されるものであるとする。また、向きは、毎回異なる向きに変更されるものとする。このアンテナ10からの電波が照射可能な範囲内に、書棚300が位置しているものとする。また、タグ情報処理装置1の送信部11と受信部12とは、ここでは、RFIDタグリーダライタ40を構成しているものとする。また、タグ情報処理装置1のアンテナ10、送信部11、および受信部12を除いた部分は、コンピュータ350等の情報処理装置で構成されているものとする。
図34は、属性情報格納部20に予め格納されている、属性タグ200の識別情報と、当該属性タグ200に対応する属性情報とを管理する属性情報管理表である。属性情報管理表は、「属性タグ識別情報」と、「属性情報」という属性を有している。「属性タグ識別情報」は、属性タグ200に格納されている識別情報である。「属性情報」は、対応する属性タグ200が示す属性情報であり、ここでは、対応する属性タグ200が貼付されている書棚300の名称の情報である。ここでは、一の属性タグ200の「属性タグ識別情報」と、「属性情報」とが、一のレコードに格納されている。
まず、1回目の読み取りとして、例えば、図33に示すように、送信部11がアンテナ10を介して、複数のタグ100が配置されている空間内の領域310に、対象タグ100aおよび属性タグ200内に格納されている識別情報の送信指示を送信する。なお、この領域のサイズは、書棚300が配置されている領域全てをカバーする大きさよりも小さいサイズに設定しておく。
識別情報の送信を指示する情報に応じて、領域310内に位置する対象タグ100aおよび属性タグ200は、それぞれ識別情報を送信する。
対象タグ100aおよび属性タグ200から送信された識別情報を、受信部12は、アンテナ10を介して受信する。
そして、受信部12が受信した識別情報を、受付部13が受け付ける。そして、受け付けた各識別情報が、上述した属性情報管理表の「属性タグ識別情報」の属性値のいずれかと一致するか否かを判断する。一致した場合、その識別情報が属性タグの識別情報と判断される。また一致しない場合、対象タグの識別情報であると判断し、図7に示したような対象タグ管理表の「対象タグ識別情報」の属性値のいずれかと一致するか否かを判断する。一致しない場合、受け付けた識別情報を含むレコードを、対象タグ管理表に追加する。
そして、対象タグ管理表のレコードのうちの、受付部13が受け付けた対象タグの識別情報と、「対象タグ識別情報」の属性値が一致するレコードの「読み取り回数」を1インクリメントする。
図35は、対象タグについて、同時に読み出された属性タグとの隣接度を管理するための属性隣接度管理表である。この属性隣接度管理表は、図8に示した隣接度管理表において、「同時読み取りタグ識別情報」属性の代わりに、「同時読み取り属性タグ識別情報」属性を設けるようにしたものである。「同時読み取り属性タグ識別情報」は、対象タグの識別情報と同時に読み取られた属性タグの識別情報である。ただし、この図33においては、、複数回の読み取りの繰り返しが終了した時点での属性隣接度管理表を示しており、一回目の読み取り開始時には、レコード数は0であるとする。
次に、隣接度設定部24は、受付部13が受け付けた識別情報のうちの、一の対象タグの識別情報について、同時に受け付けた各識別情報が、属性タグであるか否かを、上記と同様に判断する。そして、属性タグであれば、新規の属性タグであるか否かを判断する。例えば、図35に示した属性隣接度管理表において、一の対象タグの識別情報を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、属性タグと判断された識別情報を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードを属性隣接度管理表内で検索する。そして、該当するレコードがない場合、新規の属性タグであると判断して、一の対象タグの識別情報を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、属性タグと判断された識別情報を、「同時読み取りタグ識別情報」の属性値として有するレコードを、属性隣接度管理表に追加し、「同時読み取り回数」を「1」にする。また、一の対象タグの識別情報と同時に受け付けた各識別情報が、新規の属性タグでない場合、すなわち、一の対象タグの識別情報を「対象タグ識別情報」の属性値として有し、属性タグと判断された識別情報を、「同時読み取り属性タグ識別情報」の属性値として有するレコードが検出された場合、当該レコードの同時読み取り回数」を1インクリメントする。また、一の対象タグの識別情報について、同時に受け付けた各識別情報について、一の対象タグの識別情報について、同時に読み出された属性タグの識別情報の隣接度を、上記実施の形態1の具体例と同様に算出する。すなわち、図35に示した属性隣接度管理表の一の対象タグの識別情報を「対象タグ識別情報」、同時に読み出された属性タグの識別情報を「同時読み取り属性タグ識別情報」として、それぞれ有するレコードについて、「同時読み取り回数」÷「読み取り回数」×100の式を用いて隣接度を算出する。そして、算出した隣接度で、図35に示した属性隣接度管理表の「隣接度」属性を更新する。これと同様の処理を、受付部13が受け付けた識別情報のうちの全ての対象タグの識別情報について行う。これにより、一回目の読み取り結果に基づいた隣接度管理表が構成される。
さらに、アンテナ10の電波を照射する位置を変えて、読み取りを繰り返し、その都度属性隣接度管理表の更新を行う。
そして、上記のような読み取り処理と、隣接度を設定する処理が繰り返され、隣接度を設定する処理が終了する。これにより、例えば、図35に示したような属性隣接度管理表が構成されたとする。
図36は、図35に示した属性隣接度管理表を用いて、説明のために作成した属性隣接度表の例である。隣接度表は、行を対象タグの識別情報、列を同時に読み取られた属性タグの識別情報として、隣接度管理表の「隣接度」属性の値(%)を表で表したものである。
次に、設定された隣接度を用いて、属性取得部25が、各対象タグ100aの属性を取得する。例えば、図36に示すように、例えば、識別情報が「45」である対象タグについては、最も高い隣接度の値は、識別情報「34」の属性タグの隣接度「63.6」である。このため、識別情報が「45」である対象タグについては、識別情報「34」の属性タグの隣接度の値が最も高いと判断される。
実際には、図35に示した属性隣接度管理表において、各対象タグの識別情報ごとに、「隣接度」の属性値が最も高いレコードを検索して、当該レコードの「同時読み取り属性タグ識別情報」属性の値を取得する。この取得した属性値が、各対象タグについて、最も隣接度の高い属性タグの識別情報である。
そして、属性取得部25は、取得した各対象タグについての、最も隣接度の高い属性タグの識別情報に対応する属性情報を、図32に示した属性情報管理表から検索により取得する。例えば、識別情報が「45」である対象タグに対して、最も隣接度の高い属性タグの識別情報は、「34」であるため、属性情報管理表の「属性タグ識別情報」が「34」であるレコードの「属性情報」である「書棚B2」という属性情報が取得される。すなわち、属性取得部25は、識別情報が「45」の対象タグについて「書棚B2」という書棚に配置されているという、位置の属性を取得したこととなる。
そして、出力部26が、各対象タグについて属性取得部25により取得された属性情報を、図37に示すように、ディスプレイ等に表示する。図37においては、対象タグ100aが貼付された書物と、書物棚の対応関係が表示されている。「書物」は、各書物に貼付されている対象タグ100aの識別情報である。また、「書棚」は、各書棚300の名称であり、対象タグ100aに対応して取得された属性情報である。
ユーザは、図37に示すような表示から、例えば識別情報が「45」である対象タグ、言い換えれば、識別情報が「45」である対象タグ、が貼付された書物について、「書棚B2」という名称の書棚に配置されているという属性を得ることができる。
なお、ここで、予め、対象タグ100aの識別情報と、当該貼付されている書物名等とを、対応付けた管理表を用意しておき、属性取得部25が、対象タグ100aの識別情報を、当該管理表を用いて書物名等に変換して、「書物名」と、「書棚」とを対応付けて出力するようにしても良い。このようにすることで、書物が、どの書棚に配置されているかを、容易に判断することが可能となる。
なお、上記具体例においては、属性取得部25が、隣接度の高い属性タグの識別情報に対応した属性情報を、属性情報格納部20に格納されている属性情報管理表から取得するようにしたが、本実施の形態においては、属性取得部25が、対象タグに対して隣接度の高い属性タグの識別情報を、当該対象タグの属性を示す情報として取得するようにしても良い。このような属性タグの識別情報が、出力部26から出力されることにより、ユーザは、この識別情報を有する属性タグの近く、あるいはこの識別情報を有する属性タグを中心とした領域内に、対象タグが存在している、という、対象タグの位置や領域に関する属性を得ることができる。また、例えば、属性タグの識別情報として、属性タグが配置される座標情報等の位置の情報等を与えておけば、この属性タグの識別情報が出力されることで、対象タグが配置されているおおよその位置を判断することができる。
なお、上記実施の形態において、属性取得部25を省略して、出力部26が、隣接度設定部24が設定した隣接度等を、図34に示すような属性隣接度表等を用いて出力するようにしても良い。このような表を用いることで、ユーザは、どの対象タグに対して、どの属性タグの隣接度が高いか否かを判断し、対象タグについて、どの属性タグに近い位置に配置されているか等の、位置関係の属性を得ることができる。
なお、上記具体例においては、属性タグ200が、対象タグ100aの位置に関する属性を与える場合について説明したが、属性タグ200が、対象タグ100aの位置以外の属性を与えるようにしても良く、また、属性タグ200が、対象タグ100aが取り付けられている物品等の属性を与えるようにしても良い。
たとえば、衣服が配置される複数のワゴンに、それぞれ、サイズを示す属性情報と対応付けられた属性タグを一つずつ設置し、ワゴンに配置される各衣服には、各衣服のサイズの情報を含む識別情報を有するタグを取り付けておく。
具体的には、図38に示すように、Sサイズのワゴン361、Mサイズのワゴン362、Lサイズのワゴン363には、それぞれ「Sサイズ」、「Mサイズ」、「Lサイズ」という属性情報と対応付けられた属性タグ301〜303を配置しておく。また、Sサイズの衣服には、例えば、「S1」から「Sn」(nは1以上の整数)までの対象タグを、Mサイズの衣服には、例えば、「M1」から「Mn」(nは1以上の整数)までの対象タグを、Lサイズの衣服には、例えば、「L1」から「Ln」(nは1以上の整数)までの対象タグを、それぞれ取り付けておく。このようにして、ワゴン361〜ワゴン363に対して電波の照射領域を変更して複数の読み取りを行い、上記のように本実施の形態の処理を行ったとする。この場合において、例えば、識別情報が「L4」という対象タグに対して、「Mサイズ」という属性情報が得られた場合、「L4」という識別情報を有する対象タグが取り付けられたLサイズの衣服が、誤って、Mサイズのワゴン302に入っていることを知ることが可能となる。
また、出荷日についての属性情報と対応付けられた属性タグをパレットに取り付け、対象タグを出荷する製品に取り付けておく。そして、製造された製品を、製造された順番に、出荷日の早いパレットから順番に、積み上げていたとする。このような場合において、ある製品の出荷日を知りたい場合、その製品の対象タグの識別情報を指定して、本実施の形態のような処理を行うことにより、当該製品に最も近いパレットに取り付けられた対象タグの属性情報である出荷日についての情報が、当該製品の属性情報として出力される。これにより、対象タグが取り付けられた製品についての出荷日という属性を取得することができる。
また、上記具体例においては、対象タグの識別情報に対して最も隣接度の高い属性タグの識別情報を取得し、当該属性タグに対応した属性情報を取得するようにしたが、必ずしも、最も隣接度の高い属性タグの識別情報だけを取得する必要はなく、例えば、対象タグの識別情報に対して、隣接度の高さが、上位3番目までの属性タグの識別情報等を取得し、当該取得した属性タグの識別情報に対応した属性情報を、出力するようにしても良い。また、隣接度の低い属性タグの識別情報に対応した属性情報を取得し、出力するようにしても良い。
例えば、様々な属性を有する属性タグが存在している場合において、上記と同様の処理により、ある製品に取り付けられている対象タグについて、上位3番目までの3つの属性タグに対応した属性情報が得られたとする。この3つの属性タグから得られた属性情報が、「日本製」、「9月下旬製造」、「電化製品」という属性情報であったとすると、当該対象タグが貼付されている製品について、「日本製で、9月下旬に製造された、電化製品である」という属性を得ることができる。
また、このような場合に属性タグの隣接度の高さの順位によって、属性の度合いを判断できるようにしても良い。例えば、ある製品に取り付けられている対象タグについて、上位3番目までの3つの属性タグに対応した属性情報として、上位から順に、「個人用」、「オフィス用」、「工場用」という属性情報が得られたとすると、当該製品が、最も個人用に適しているが、オフィス用としても利用でき、工場用としても利用可能である製品であることが分かる。
なお、上記具体例に示した隣接度、すなわち一の対象タグが読み取られた回数に対する、一の対象タグと一の属性タグとが同時に読み取られた回数の比率は、上記実施の形態1において説明したように、一の対象タグと一の属性タグとが同時に読み取られる確率Gと考えてもよい。ここで、属性タグα、β、γが存在するときに、タグAと各属性タグとの読取られ確率Gがそれぞれ次のような値を示すとき、
G(A,α)≧G(A,β)≧G(A,γ)
タグAと属性タグα、β、γとの距離Fは、図39に示すような関係となり、
F(A,α)≦F(A,β)≦F(A,γ)
となる。
また、属性タグα、β、γの位置が特定されているとき、図40に示すように、F(A,α)、F(A,β)およびF(A,γ)の表す円をα、β、γを中心に描くと、タグAはそれぞれの円の交わる交点上にあることとなる。また、距離Fの誤差範囲は円を描く線の太さ(図40の斜線の部分)によって表すことができる。
これらの情報により、属性タグα、β、γの位置が特定されている場合には、タグAの位置を推定することができる。また、位置の特定されているタグがより多く存在する場合、より精度高くタグAの位置を推定することができる。このような推定を、例えば、属性取得部25により行い、推定結果を、タグAの属性として出力するようにしても良い。
なお、上記具体例において、同時読み取り回数を、隣接度として用いるようにしても良い。例えば、この場合においても、各対象タグの識別情報について、隣接度の高い、すなわち同時読み取り回数の高い属性タグの識別情報に対応した属性情報を、属性取得部25が、各対象タグの属性を示す情報として取得すればよい。
以上、本実施の形態によれば、対象タグと属性タグの隣接度から、属性タグの属性を用いて、対象タグについての属性を取得することができるため、タグから情報を読み取るための手段を、複数用意する必要等がなく、容易にRFIDタグの位置等の属性を得ることができる。
また、属性タグに、属性情報を対応付けておくことで、対象タグや、対象タグが取り付けられた物品についての、さまざまな属性を得ることができ、高い汎用性をえることができる。
なお、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
なお、上記各実施の形態におけるタグ情報処理装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、複数のRFIDタグが配置されている空間内において、読み取り対象とする空間を変更して複数回行われた、RFIDタグに記録されている情報の読み取り結果を受け付ける受付ステップと、前記受付ステップで受け付けた複数回の読み取り結果において、前記複数のRFIDタグ内の1以上のタグである対象タグの少なくともいずれか一つと同時に情報が読み出された、前記複数のRFIDタグ内のタグに対して、同時に読み出された回数に応じて、前記対象タグのそれぞれとの隣接関係を示す値である隣接度を設定する隣接度設定ステップと、前記隣接度設定ステップで設定した隣接度を出力する出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
また、上記各実施の形態におけるタグ情報処理装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、複数のRFIDタグが配置されている空間内において、読み取り対象とする空間を変更して複数回行われた、RFIDタグの情報の読み取り結果を受け付ける受付ステップと、前記受付ステップで受け付けた複数回の読み取り結果において、前記複数のRFIDタグ内の1以上のタグである対象タグの少なくともいずれか一つと同時に情報が読み出された、前記複数のRFIDタグ内のタグに対して、同時に読み出された回数に応じて、前記対象タグのそれぞれとの隣接関係を示す値である隣接度を設定する隣接度設定ステップと、前記対象タグの属性を、前記対象タグと同時に情報が読み出されたRFIDタグに対して前記隣接度設定ステップで設定した前記隣接度に応じて取得する属性取得ステップと、前記属性取得ステップで取得した属性を示す情報を出力する出力ステップとを実行させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段(情報送信部など)は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
また、上記各実施の形態では、タグ情報処理装置がスタンドアロンである場合について説明したが、タグ情報処理装置は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、画面を出力したりすることになる。