JP4983291B2 - 鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材、特に自動車部品、たとえば等速ジョイントおよびハブなどの足回り部品や、クランクシャフト等のエンジン部品に代表される機械構造部品の素材として供する鋼材に関する。
上記の機械構造部品は、耐疲労性に優れることの他、切削加工して製造されるのが一般的であるため、被削性が良好であることも要求される。こうした部品の素材となる鋼材の被削性を改善する方法としては、鋼中に被削性改善成分としてPbやS等を含有させること、特にPbは少量の添加で被削性が格段に向上することが知られている。
しかしながら、Pbは環境汚染物質となることから、鉄鋼材料においてもPbの使用は抑制する傾向にあり、Pbを利用することなく被削性を改善する技術の開発が求められている。
例えば、Pbを利用しない硫黄快削鋼は、MnS等の硫化物系介在物の大きさや形状等の形態制御によって被削性を改善することが主流をなしていたが、これら従前の技術では鋼材を圧延したり鍛造する際に母材の塑性変形に伴ってMnSが長く延伸し、これが原因となって機械的特性に異方性を生じる結果、疲労特性の低下をまねくことが問題であった。
これに対して、特許文献1では、Pbを用いることなく優れた切屑処理性と機械的特性を安定して確実に発揮し得る機械構造用鋼の提供を目的として、鋼中に観察される硫化物系介在物のうち、長径が5μm以上の硫化物系介在物のアスペクト比の平均値が5.2以下であり、且つ長径が20μm以上の硫化物系介在物の個数をa、長径が5μm以上の硫化物系介在物の個数をbとするとき、a/b≦0.25を満足させることが提案されている。
特開2002−146473号
しかしながら、硫化物系介在物のアスペクト比を平均値にて規制することは、大きなアスペクト比の硫化物系介在物を必ずしも排除するものでないから、かような介在物の存在下で被削性の格段の向上は望むことができないものであった。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、従来よりも被削性並びに疲労強度を一層向上させた鋼材を、提案することを目的とする。
さて、発明者らは、被削性並びに疲労強度を効果的に向上させるべく、鋭意検討を行った結果、アスペクト比の大きなMnSの存在頻度を規制することにより、優れた被削性並びに疲労強度が得られるとの知見を得て、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
)高周波焼入れによる表面硬化層を少なくとも部分的に有する鋼材であって、
C:0.35〜0.7 mass%、
Si:1.1 mass%以下、
Mn:0.05 〜2.0 mass%、
Al:0.008mass%以下、
Ti:0.005 〜0.1 mass%、
Mo:0.05〜0.6 mass%、
B:0.0003〜0.006 mass%および
S:0.01〜0.06mass%
を含み、さらに
Ca: 0.0021mass%以上、
REM:0.0021mass%以上および
Mg:0.0021mass%以上
のうちの1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、
アスペクト比が50以上のMnSの全MnS中に占める比が累積頻度で5%以下であることを特徴とする鋼材。
)前記()において、前記成分組成として、さらに
Cr:2.5mass%以下、
Cu:1.0mass%以下、
Ni:2.5mass%以下、
Co:1.0mass%以下、
V:0.3mass%以下、
W:1.0mass%以下
Nb:0.1mass%以下、
Zr:0.1mass%以下、
Ta:0.5mass%以下、
Hf:0.5mass%以下および
Sb:0.015mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する鋼材。
)前記()または()において、鋼材がベイナイト組織およびマルテンサイト組織を有し、かつ、これらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率が10%以上であり、かつ、前記表面硬化層の旧オーステナイト粒径の平均値が12μm以下であることを特徴とする鋼材。
)上記()、()または()において、円相当径が2μm以上の介在物は、MnSの存在比率が30%以下およびCaOの存在比率が20%以下であることを特徴とする鋼材。
ここで、上記アスペクト比とは、光学顕微鏡観察において、介在物の長さと幅をとり(長さ)/(幅)で規格化した数値であり、この値が大きい程、長く延びていることを表す。
本発明によれば、アスペクト比の大きなMnSの存在頻度を適正に規制して、特に被削性を阻害するMnSの排除を実現したため、被削性、さらには疲労特性の優れた鋼材を提供できる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼材の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
Mn:0.05mass%以上2.0mass%以下
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化深さを確保する上で不可欠の成分である。また、硫化物介在物を形成して被削性の向上に寄与する成分である。これらの効果を得るには、0.05mass%以上で含有することが肝要である。
特に、焼入れ時の硬化深さを確保するためには、含有量が 0.2mass%未満ではその添加効果に乏しいので、0.2mass%以上好ましくは 0.3mass%以上である。
一方、Mn量が 2.0mass%を超えると焼入れ後の残留オーステナイトが増加し、かえって表面硬度が低下し、ひいては疲労強度の低下を招くので、Mnは 2.0mass%以下とすることが好ましい。さらに、Mnは含有量が多いと、母材の硬質化を招き、被削性に不利となるきらいがあるので、1.2 mass%以下とするのが好適である。さらに好ましくは 1.0mass%以下である。
S:0.01mass%以上0.06mass%以下
Sは、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用元素であり、そのためには0.01mass%以上は必要である。一方、0.06mass%を超えて含有させると粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、Sは0.06mass%以下にする。より好ましくは0.04mass%以下である。
本発明では、上述の範囲でMnおよびSを含有する鋼材について、介在物であるMnSに関する規制も重要である。すなわち、本発明においては、アスペクト比が50以上のMnSの全MnS中に占める比を累積頻度で5%以下に制限することが肝要である。
ここに、C:0.46mass%,S:0.38mass%,Mn:0.75mass%,S:0.043mass%,Mo:0.40 mass%を含有する脱炭処理後の溶鋼を脱酸処理する際に、Ti、Al、Ca、REMおよびMgのいずれか1種または2種以上を添加し、MnSの析出形態を変化させた鋼材aないしhについて、析出した全MnSのアスペクト比を光学顕微鏡観察に基づいて調査するとともに、各鋼材の疲労強度および被削性を調査した。
なお、疲労強度は、上記に従って100kgの鋼塊を溶製した後、50mmΦの棒鋼に熱間鍛造し、850℃×1hの焼ならし処理を施したのち、平行部が20 mmΦで応力集中係数α:1.5の切欠きを有するねじり試験片を作製し、このねじり試験片に最高加熱温度1000℃、周波数4kHzおよび100 kHzの2周波混合の高周波焼入れを施した後、170℃×30分の焼戻しを行って、ねじり疲労試験に供して評価した。ねじり疲労試験は、最大トルク:4900N・mのねじり疲労試験機を用いて両振りで応力条件を変えて行い、1×105回の寿命となる応力を疲労強度として評価した。
被削性は、超硬工具(P10)を用い、切削速度:200m/min、送り:0.25mm/rev、切り込み:2.0mmおよび無潤滑の条件で外周旋削試験により行い、工具寿命で判定した。なお、工具寿命の判定は、超硬工具逃げ面磨耗が0.2mmに達するまでの総時間で評価した。
まず、全MnSのアスペクト比の調査結果をアスペクト比毎の個数累積頻度にて整理した結果を図1に示す。また、表1に各鋼材の疲労強度および被削性の調査結果を示すように、鋼材aないしc、gおよびhは、疲労強度が700以上および被削性が5000mm以上と所期した性能を満足する鋼材である。そして、図1に示すとおり、これら鋼材aないしc、gおよびhはいずれも、アスペクト比が50以上のMnSの全MnS中に占める比が累積頻度で5%以下である。一方、所期性能を満足しない鋼材dないしfはいずれも、アスペクト比が50以上のMnSの全MnS中に占める比が累積頻度で5%を超えている。
Figure 0004983291
かように、アスペクト比が50以上のMnSの全MnS中に占める比が累積頻度で5%以下であれば、疲労強度および被削性を共に向上することができる。これは、アスペクト比が大きな介在物で割れが発生するため、従来のようにアスペクト比を特定するのではなく、大きなアスペクト比の介在物の存在頻度を規定することが重要であることを示している。アスペクト比が50以上のMnSの存在頻度が5%以上であると、大アスペクト比の介在物が疲労試験時の応力負荷位置に出現する確率が高まり、大きく疲労強度を低下させることについても確認できる。
次に、上述のようにMnSの形態を調整する、すなわち、アスペクト比50以上のMnSの存在頻度を5%以下とする方法について詳しく説明する。
まず、溶製段階の処理として、転炉から取鍋に出鋼する際に、Mn含有量を0.05mass%以上に、およびS含有量を0.01mass%に、それぞれ調整し、その他SiやMnなども必要に応じて調整した後、取鍋において0.005mass%以上のTiを添加して真空脱酸処理を施す。その際、Ti添加前にAlを微量添加し、予備脱酸を行い、Ti合金使用量を削減することでコスト低減を図ることも可能であるが、Al量は0.008mass%以下とする必要がある。Al量が0.008mass%超であると、さらに、タンディッシュ内においてCa:0.0021 mass%以上、REM:0.0021 mass%以上およびMg:0.0021 mass%以上のいずれか1種または2種以上を添加して、MnSの析出に先立って、Ti(S、C)、CaS、CaO系介在物等のいずれか一つ以上を析出させる。MnSはこれら介在物を起点に析出するため、圧延時あるいは鋳造時にMnS単体の場合よりもMnSが伸延しにくくなり、大きなアスペクト比のMnSの存在頻度、すなわち、アスペクト比50以上のMnSの存在頻度が5%以下となる。
ここでは、Ti添加を必須として、Ca、REMおよびMgのいずれか1種または2種以上を上記の添加量の下で用いればよいが、その添加量の上限は、それぞれTi:0.1mass%、Ca:0.0080mass%、REM:0.0100mass%、Mg:0.0050mass%とすることが推奨される。
すなわち、Ti:0.005mass%、Ca:0.0080mass%、REM:0.0100mass%およびMg:0.0050mass%を、いずれかの成分が超えると、介在物の融点が1800℃以上となりノズル詰まりが発生しやすくなる。
また、上記の添加操作に当り、析出する酸化物系介在物の融点を1200℃以上1800℃以下とし、かつ添加後の溶解酸素量を4ppm以上15ppm以下に制御することが好ましい。
上記融点の制御により、連続鋳造時の浸漬ノズル内部への介在物付着が抑制され、操業が阻害されるのを回避できる。次に、溶解酸素量の制御により、ブリードの発生が抑制できる。具体的には、酸化物系介在物の融点は多元素介在物の組成によって制御し、また添加後の溶解酸素量は酸素プローブ等によってあらかじめ溶解酸素を測定し、計算によって添加量を決定することによって制御する。
以上のようにして、MnSの形態を調整した鋼材は、上述した量のMnおよびSを含有し、さらに、Ti:0.005mass%以上と、Ca:0.0021 mass%以上、REM:0.0021 mass%以上およびMg:0.0021 mass%以上のいずれか1種または2種以上とを含有し、かつ、Alを含有させた場合は、Al:0.008mass%以下の組成となる。
さらに、鋼材の疲労強度を高めるための好適な組成として、C:0.35〜0.7 mass%、Si:1.1 mass%以下、Mn:0.2 〜2.0 mass%、Al:0.008mass%以下、Ti:0.005 〜0.1 mass%、Mo:0.05〜0.6 mass%、B:0.0003〜0.006 mass%およびS:0.06mass%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成である鋼材とすることが特に高周波焼入用の素材として好ましい。
まず、鋼材の成分組成を上記の範囲に限定する理由について説明する。
C:0.35〜0.7 mass%
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めて疲労強度の向上に有効に寄与する。しかしながら、含有量が0.35mass%に満たないと必要とされる疲労強度を確保するためには焼入れ硬化深さを飛躍的に高めねばならず、その際焼割れの発生が顕著となり、またベイナイト組織も生成し難くなるため、0.35mass%以上を添加する。一方、0.7 mass%を超えて含有させると粒界強度が低下し、それに伴い疲労強度も低下し、また切削性、冷間鍛造性および耐焼き割れ性も低下する。このためCは、0.35〜0.7 mass%の範囲に限定した。好ましくは 0.4〜0.6 mass%の範囲である。
Si:1.1 mass%以下
Siは、焼入れ加熱時にオーステナイトの核生成サイト数を増加させると共に、オーステナイトの粒成長を抑制し、焼入れ硬化層の粒径を微細化する作用を有する。また、炭化物生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制する。さらに、ベイナイト組織の生成にも有用な元素であり、これらのことにより疲労強度を向上させる。
しかしながら、Si量が 1.1mass%を超えると、フェライトの固溶硬化により硬さが上昇し、切削性および冷間鍛造性の低下を招く。従って、Siは、1.1 mass%以下の範囲に限定した。好ましくは0.40〜1.0 mass%の範囲である。
Mn:0.2 〜2.0 mass%
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化深さを確保する上で不可欠の成分であるため、積極的に添加するが、含有量が 0.2mass%未満ではその添加効果に乏しいので、0.2mass%以上とした。好ましくは 0.3mass%以上である。一方、Mn量が 2.0mass%を超えると焼入れ後の残留オーステナイトが増加し、かえって表面硬度が低下し、ひいては疲労強度の低下を招くので、Mnは 2.0mass%以下とした。なお、Mnは含有量が多いと、母材の硬質化を招き、被削性に不利となるきらいがあるので、1.2 mass%以下とするのが好適である。さらに好ましくは 1.0mass%以下である。
Al:0.008mass%以下
Alは、0.008mass%以下にする。Alが0.008mass%超では脱酸処理時にTi系酸化物が生成しなくなり、介在物の形態抑制が困難となる。
Ti:0.005 〜0.1 mass%
Tiを上述のとおり、脱酸剤として用い、Ca、REM、Mgのうちの一種以上と複合して添加することにより、鋼中に生成するMnSのアスペクト比の大きなものの存在頻度が小さくなる。このため、0.005mass%以上が必須である。さらに、Tiは、不可避的不純物として混入するNと結合することで、BがBNとなってBの焼入れ性向上効果が消失するのを防止し、Bの焼入れ性向上効果を十分に発揮させる作用を有する。この効果を得るためには、少なくとも 0.005mass%の含有を必要とするが、0.1 mass%を超えて含有されるとTiNが多量に形成される結果、これが疲労破壊の起点となって疲労強度の著しい低下を招くので、Tiは 0.005〜0.1 mass%の範囲に限定した。好ましくは0.01〜0.07mass%の範囲である。さらに、Nを確実に固定して、Bによる焼入れ性向上により、ベイナイトとマルテンサイト組織を得る観点からは、Ti(mass%)/N(mass%)≧3.42を満足させることが好適である。
Mo:0.05〜0.6 mass%
Moは、ベイナイト組織の生成を促進することにより、焼入れ加熱時のオーステナイト粒径を微細化し、焼入れ硬化層の粒径を細粒化する作用がある。また、焼入れ加熱時におけるオーステナイトの粒成長を抑制することにより、焼入れ硬化層の粒径を微細化する作用がある。特にこの効果は、高周波焼入れ時の加熱温度を 800〜1000℃より好ましくは 800〜950 ℃とすることにより、一層顕著となる。さらに、焼入れ性の向上に有用な元素であるため、焼入れ性を調整するために用いられる。加えて、Moは、炭化物の生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を有効に阻止する元素でもある。
このように、Moは、本発明において非常に重要な元素であり、含有量が0.05mass%に満たないと、製造条件や焼入れ条件をいかように調整しても硬化層全厚にわたって旧オーステナイト粒径が12μm 以下の微細粒とすることができない。しかしながら、 0.6mass%を超えて含有させると、圧延材の硬さが著しく上昇し、加工性の低下を招く。従って、Moは0.05〜0.6 mass%の範囲に限定した。好ましくは 0.1〜0.6 mass%の範囲である。さらに好ましくは 0.3〜0.4 mass%の範囲である。
B:0.0003〜0.006 mass%
Bは、ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織の生成を促進する効果を有する。またBは、微量の添加によって焼入れ性を向上させ、焼入れ時の焼入れ深さを高めることによりねじり強度を向上させる効果もある。さらにBは、粒界に優先的に偏析して、粒界に偏析するPの濃度を低減し、粒界強度を向上させ、もって疲労強度を向上させる作用もある。
このため、本発明では、Bを積極的に添加するが、含有量が0.0003mass%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.006mass%を超えて含有させるとその効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招くため、Bは0.0003〜0.006 mass%の範囲に限定した。好ましくは0.0005〜0.004 mass%の範囲である。さらに好ましくは0.0015〜0.003 mass%の範囲である。
S:0.01〜0.06mass%
Sは上述の通り、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用元素であり、0.01mass%以上である必要がある。しかし、0.06mass%を超えて含有させると粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、Sは0.06mass%以下に制限した。好ましくは0.04mass%以下である。
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cr:2.5 mass%以下
Crは、焼入れ性の向上に有効であり、硬化深さを確保する上で有用な元素である。しかし、過度の添加すると、炭化物を安定化させて残留炭化物の生成を助長し、粒界強度を低下させて疲労強度を劣化させる。従って、Crの含有は極力低減することが望ましいが、2.5mass%までは許容できる。好ましくは1.5mass%以下である。
Cu:1.0 mass%以下
Cuは、焼入れ性の向上に有効であり、またフェライト中に固溶し、この固溶強化によって、疲労強度を向上させる。さらに、炭化物の生成を抑制することにより、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、疲労強度を向上させる。しかしながら、含有量が1.0 mass%を超えると熱間加工時に割れが発生するため、1.0 mass%以下の添加とする。なお好ましくは0.5 mass%以下である。
Ni:3.5 mass%以下
Niは、焼入れ性を向上させる元素であるので、焼入れ性を調整する場合に用いる。また、炭化物の生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制して、疲労強度を向上させる元素でもある。しかしながら、Niは極めて高価な元素であり、3.5 mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、3.5 mass%以下の添加とする。なお、0.05mass%未満の添加では焼入れ性の向上効果および粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.05mass%以上含有させることが望ましい。好ましくは 0.1〜1.0 mass%である。
Co:1.0 mass%以下
Coは、炭化物の生成を抑制して、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、強度および疲労強度を向上させる元素である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であり、1.0 mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、1.0 mass%以下の添加とする。なお、0.01mass%未満の添加では、粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.02〜0.5 mass%である。
Nb:0.1 mass%以下
Nbは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でC, Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1 mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するので、0.1 mass%を上限とする。なお、0.005 %未満の添加では、析出強化作用および焼もどし軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005 mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.01〜0.05mass%である。
V:0.5 mass%以下
Vは、鋼中でC, Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果により疲労強度を向上させる。しかしながら、0.5 mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するので、0.5 mass%以下とする。なお、0.01mass%未満の添加では、疲労強度の向上効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.03〜0.3 mass%である。
W:1.0mass%以下
Wは、オーステナイト粒の成長を抑制する上で有用な元素であり、そのためには0.005mass%以上で含有することが好ましいが、1.0mass%を超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Wは1.0mass%以下とすることが好ましい。
ここで、粒界強度の観点から、Coを以下の範囲で含有することもできる。
Co:1.0mass%以下
Coは、炭化物の生成を抑制して、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、疲労強度を向上させる元素である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であり、1.0mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、1.0mass%以下の添加とする。なお、0.01mass%未満の添加では、粒界強度の低下抑制効果が小さいため、0.01mass%以上は添加することが望ましい。より好ましくは0.02〜0.5mass%である。
Nb:0.1mass%以下
Nbは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でC,Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するので、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼もどし軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上添加することが望ましい。さらに好ましくは0.01〜0.05mass%である。
Zr:0.1mass%以下
Zrは、焼入れ性向上効果があるだけでなく、鋼中でC,Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼もどし軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上添加することが望ましい。さらに、好ましくは0.01〜0.05mass%である。
また、上記の4成分の他にも、主に転動疲労の劣化防止の観点から、Ta、HfおよびSbを、以下の範囲で含有することができる。
Ta:0.5mass%以下
Taは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化防止する効果があるので、添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えて含有量を増加させても、それ以上強度向上に寄与しないので、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Hf:0.5mass%以下
Hfは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化防止する効果があるので、添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えて含有量を増加させても、それ以上強度向上に寄与しないので、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Sb:0.015mass%以下
Sbは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化防止する効果があるので、添加してもよい。しかし、その含有量が0.015mass%を超えて含有量を増加させると靭性が劣化するので、0.015mass%以下、好ましくは0.010mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.005mass%以上とすることが好ましい。
以上説明した元素以外の残部はFeおよび不可避不純物であることが好ましく、不可避不純物としてはP,O,Nが挙げられ、それぞれ、P:0.10mass%、N:0.01mass%、O:0.008mass%までをそれぞれ許容できる。
以上、好適成分組成範囲について説明したが、本発明では、さらに、成分組成を上記の範囲に限定することに加えて、母材組織を以下のように調整することが好ましい。
すなわち、本発明においては、母材の組織、すなわち焼入れ前の組織(高周波焼入れ後の硬化層以外の組織に相当)が、ベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織を有し、かつこれらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率を体積分率( vol%)で10%以上とすることが好ましい。この理由は、ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織は、フェライト−パーライト組織に比べて炭化物が微細に分散した組織であるため、焼入れ加熱時にオーステナイトの核生成サイトである、フェライト/炭化物界面の面積が増加し、生成したオーステナイトが微細化するため、焼入れ硬化層の粒径を微細化するのに有効に寄与するからである。そして、焼入れ硬化層の粒径の微細化により、粒界強度が上昇し、疲労強度が向上する。
ここに、ベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率は20 vol%以上とすることがより好ましい。
また、ベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率の上限は90 vol%程度とするのが好適である。というのは、これらの合計の組織分率が90vol %を超えると焼入れによる硬化層の旧オーステナイト粒の微細化効果が飽和するだけでなく、被削性が急激に劣化するからである。
なお、焼入れ後の硬化層の粒径の微細化に関しては、マルテンサイト組織もベイナイト組織と同程度の効果を有するが、工業的な観点からは、マルテンサイト組織に比べてベイナイト組織の方がより合金元素の添加量が少なくて済み、また被削性の点でも有利であり、さらに低冷却速度で生成させることが可能であるため、製造上有利である。
図2に、鋼中のベイナイト組織分率およびマルテンサイト組織分率が被削性および高強度化に及ぼす影響について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、ベイナイト組織とマルテンサイト組織は、微細化による高強度化の面ではほぼ同等であったが、被削性(硬さ)の面ではベイナイト組織の方が優れていた。特にベイナイト組織分率が25〜85%の範囲では、高強度化と被削性の両者をバランス良く得ることができた。特に好ましいベイナイト組織分率は30〜70%の範囲である。
なお、ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織以外の残部組織は、フェライト、パーライト等いずれでもよく、特に規定しない。
既に、光学顕微鏡レベルで評価可能なMnS系介在物の形態に関する説明を行ったが被削性および耐疲労性の両立という観点では、数μmサイズの介在物の種類および組成の制御も重要である。そこで、微細な介在物の種類、組成、形態に関する情報を定量的に把握するために、電子プローブアナライザー(EPMA)による評価を実施した。
すなわち、評価対象の素材の圧延方向に平行な方向(L方向)の断面において、4mm角領域中に含まれる円相当径が2μm以上の介在物を画像処理によって抽出し、各々の介在物の形態情報および組成情報を取得した。評価対象とした介在物数は、一試料当たり少なくとも500個とした。個々の介在物組成情報から、TiおよびCaの含有量が5mass%以下であるMn系硫化物をMnSとして計測し、全評価対象介在物に対する比率である存在比率を求めた。
さらに、CaSやCaOを含有する複合計介在物に対しては、Caの含有量が3mass%以上の場合にCa系介在物と見做し、さらにO(酸素)が3mass%以上の場合にCaOであると判断した。以上の条件に従って、全介在物中からCa系介在物を抽出し、そのうちのCaOの存在比率を求めた。
その結果、EPMAで評価した円相当径が2μm以上の介在物のうちMnSの存在比率が30%以下であり、さらにCaOの存在比率が20%以下である場合に、被削性および疲労特性が良好となることがわかった。
さらに、高周波焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒径の調整も重要である。すなわち、高周波焼入れ後の硬化層に関し、その全厚にわたって旧オーステナイト粒径を12μm 以下となることが特に好ましい。というのは、焼入れ硬化層の全厚にわたる粒径が12μm を超えると、十分な粒界強度が得られず、満足いくほどの疲労強度の向上が望めないからである。なお、好ましくは10μm 以下、さらに好ましくは5μm 以下である。
ここに、焼入れ硬化層の全厚にわたる旧オーステナイト粒径の測定は、次のようにして行う。
高周波焼入れ後の本発明の鋼材では、高周波焼入れした部分の鋼材最表層は面積率で 100%のマルテンサイト組織を有する。そして、表面から内部にいくに従い、ある深さまでは 100%マルテンサイト組織の領域が続くが、ある深さから急激にマルテンサイト組織の面積率が減少する。
本発明では、高周波焼入れした部分について、鋼材表面から、マルテンサイト組織の面積率が98%に減少するまでの深さ領域を硬化層と定義する。
そして、この硬化層について、表面から硬化層厚の 1/5位置、1/2 位置および4/5 位置それぞれの位置における平均旧オーステナイト粒径を測定し、いずれの平均旧オーステナイト粒径も12μm 以下である場合に、焼入れ硬化層の全厚にわたる旧オーステナイト粒径が12μm 以下であるとする。
なお、平均旧オーステナイト粒径の測定は、光学顕微鏡により、400 倍(1視野の面積:0.25mm×0.225 mm)から1000倍(1視野の面積:0.10mm×0.09mm)で、各位置毎に5視野観察し、画像解析装置により平均粒径を測定することにより行う。
さらに、本発明において、高周波焼入れによる硬化層厚みは2mm以上とすることが好適である。というのは、所望特性が転動疲労寿命のような極表層付近の組織のみに依存するような場合には、硬化層厚みが1mm程度でもそれなりの効果は得られるが、本発明のように疲労強度を問題とする場合には、硬化層厚みは厚いほど好ましいからである。従って、より好ましい硬化層厚みは 2.5mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。
また、上記した母材の組織の規制によって、疲労特性をさらに高める場合は、次に示す製造条件が有利に適合する。
すなわち、所定の成分組成に調整した鋼材を、棒鋼圧延または熱間鍛造後、必要に応じて冷間圧延、冷間鍛造または切削加工を施したのち、高周波焼入れを施して、製品とする。
本発明では、母材組織を、上述したベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織を有し、かつこれらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率が10 vol%以上の組織とするために、高周波焼入れを施す前の素材鋼材については、圧延・鍛造等の熱間加工により所定の形状に加工したのち、0.1 ℃/s以上の速度で冷却する必要がある。というのは、冷却速度が0.1 ℃/s未満の場合には、ベイナイトあるいはマルテンサイト組織が得られ難くなり、これら組織の合計の組織分率が10 vol%に達しない場合が生じるからである。熱間加工後の冷却速度の好適範囲は 0.3〜30℃/sである。
なお、熱間加工は 900℃超〜1250℃の温度範囲で行うことが好ましい。900 ℃以下では、必要なベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織が得られず、一方1250℃超では加熱コストが大きくなるため、経済的に不利となるからである。
次に、本発明では、上述した硬化層を得るために高周波焼入れを施すが、この高周波焼入れ時の加熱温度範囲は 800〜1050℃とする必要がある。というのは、加熱温度が 800℃未満の場合、オーステナイト組織の生成が不十分となり、上述した硬化層組織の生成が不十分となる結果、十分な疲労強度を確保することができず、一方、加熱温度が1050℃超えの場合、オーステナイト粒の成長が促進されて粗大となり、硬化層の粒径が粗大となるため、やはり疲労強度の低下を招くからである。より好ましい加熱温度範囲は 850〜1000 ℃である。
なお、上記の効果は、Moを本発明範囲で含有させた鋼において、より顕著に発現する。
図3に、Mo添加鋼(Mo:0.05〜0.6 mass%)とMo無添加鋼について、高周波焼入れ時の加熱温度と硬化層の旧オーステナイト粒径との関係について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、Mo添加鋼およびMo無添加鋼いずれにおいても、高周波焼入れ時の加熱温度を低下させることで硬化層の旧オーステナイト粒径を小さくできるが、Mo添加鋼においては、加熱温度を1000℃以下好ましくは 950℃以下とすることにより、特に顕著に硬化層粒径の微細化が達成される。
上記した高周波焼入れを複数回繰り返す場合には、少なくとも最終の高周波焼入れを、加熱温度:800 〜1000℃として行えばよい。さらに、高周波焼入れを複数回繰り返す場合には、全ての高周波焼入れについて、加熱温度:800 〜1000℃とすることが最も望ましい。そして、2回以上の繰り返し焼入れを行うことで、1回焼入れに比べてさらに微細な硬化層粒径を得ることができる。
なお、高周波焼入れを複数回繰り返す場合、少なくとも最終の高周波焼入れによる焼入れ深さは、それ以前の高周波焼入れによる焼入れ深さと同等またはそれ以上とすることが好ましい。というのは、硬化層の結晶粒径は、最後の高周波焼入れに一番強く影響されるので、最後の高周波焼入れによる焼入れ深さが、それ以前の高周波焼入れによる焼入れ深さよりも小さいと、それ以前の焼入部分が焼戻されることになり焼入れ深さが低下するために、かえって疲労強度が低下する傾向にあるからである。
また、本発明においては、高周波焼入れは、上記加熱温度範囲における加熱時間を5秒以下とすることが好ましい。というのは、加熱時間を5秒以下とした場合には、5秒を超える場合に比べて、オーステナイトの粒成長をさらに抑制することができ、非常に微細な硬化層粒径を得ることができる。より好ましい加熱時間は3秒以下である。
さらに、高周波焼入れ時の加熱速度および上記加熱時間で保持した後の降温速度が大きいと、オーステナイトの粒成長が生じ易くなるので、高周波焼入れ時の加熱速度および加熱保持後の降温速度は 200℃/s以上とすることが好ましい。より好ましくは 500℃/s以上である。部品によっては、加熱速度を200℃/s以上とすることが難しくなる場合もあるので、加熱速度は特に限定するものではない。
転炉よりMn量並びにS量を調整した溶鋼を取鍋に出鋼し、次いでRH式真空脱ガス装置により脱酸処理する際にTiを添加し、その後溶鋼中にCa、REM、Mgのうちの1種以上を添加して、あるいは添加しないで段階的な脱酸処理を行い、表2に示す各種成分の溶鋼を溶製した。その後、タンディッシュ内溶鋼重量が60tの2ストランドスラブ連続鋳造機により、断面寸法300×400mm幅の鋳片に、溶鋼加熱度15〜30℃および鋳造速度0.9 m/min で鋳造した。
この鋳片を、ブレークダウン工程を経て150 mm角ビレットに圧延したのち、24〜60mmφの棒鋼に圧延した。圧延の仕上温度はベイナイトあるいはマルテンサイト組織生成の観点から好適な温度として 900℃超とした。圧延後の冷却は表3に示す条件とした。
ついで、この棒鋼について、析出した全MnSのアスペクト比を光学顕微鏡観察に基づいて調査するとともに、各鋼材の疲労強度および被削性を上述したところに従って調査した。
得られた結果を表3に併記する。
また、同じ条件で作製したねじり試験片について、鋼材の母材組織、焼入れ後の硬化層厚み、硬化層の全厚にわたって得られる平均硬化層粒径(旧オーステナイト粒径)を、光学顕微鏡を用いて測定した。さらに、EPMAを用いて、介在物の種類と組成を調査した。その調査結果を、鋼AおよびDに関して図4に示す。
ここで、硬化層厚みについては、前述したように、鋼材表面からマルテンサイト組織の面積率が98%に減少する深さまでとした。また、高周波焼入れを複数回実施したものについては、それぞれの焼入れ後の硬化層厚みを測定した。さらに、硬化層粒径については、表面から硬化層厚の 1/5位置、1/2 位置および4/5 位置それぞれの位置における平均旧オーステナイト粒径を測定し、それらの最大値を示した。なお、硬化層粒径の測定は、硬化層の厚さ方向に切断した断面について、水:500 gに対しピクリン酸:50gを溶解させたピクリン酸水溶液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:11g、塩化第1鉄:1gおよびシュウ酸:1.5 gを添加したものを腐食液として作用させ、旧オーステナイト粒界を現出させて行った。また、高周波焼入れを複数回実施したものについては、最終焼入れ後の平均旧オーステナイト粒径を測定した。
被削性は前記棒鋼より厚さ25mmの圧延方向と直交する断面の平行を出した被削性試験片を採取し、SKH4、4mmφのドリルを用いて1500rpmの条件にて12mm長さの穴あけを行い、切削不能となるまでの総穴長さ(mm)を工具寿命として評価した。
Figure 0004983291
Figure 0004983291
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表3から明らかなように、本発明の条件を満たす鋼は、良好な被削性を有することがわかる。さらに、本発明の条件を満たす鋼に対して、さらに、母材組織をベイナイトとマルテンサイトとの合計組織分率を10%以上とした場合には高周波焼入れ後に、旧γ粒径が微細な硬化層を得ることができ、疲労強度も高い値を示す。
本発明の鋼材を機械構造用部品に適用した例として、自動車のドライブシャフト、アウトプットシャフト、インプットシャフトを模擬したシャフトを製造した。すなわち、表4に示す成分組成になる鋼素材を、転炉により溶製し、連続鋳造により鋳片とした。鋳片サイズは300×400mmであった。この鋳片を、ブレークダウン工程を経て150mm角ビレットに圧延した後、仕上温度を800℃以上として、表5に示す熱間加工条件に従って棒鋼に圧延した。ここで、800〜1000℃の総加工率は、80%とした。また、圧延後の冷却は表5に示す条件とした。
なお、得られた棒鋼を別途被削性試験片として用いて、被削性について上述したところに従って調査した。
ついで、この棒鋼を所定の長さに切断後、表面切削加工と冷間での引き抜き加工を加え径を調整すると同時に、スプライン部の転造加工を施して、図5に示す寸法・形状になるスプライン部2を有するシャフト1を作製した。なお、冷間加工率は、20%である。
このシャフトに、周波数:25kHzの高周波焼入れ装置を用いて、表5に示す条件下で焼入れを行った後、加熱炉を用いて170℃×30分の条件で焼もどしを行い、その後ねじり疲労強度について調査した。
なお、ねじり疲労強度は、シャフトのねじり疲労試験において破断繰り返し数が1×10回の時のトルク値(N・m)で評価した。ねじり疲労試験は、油圧式疲労試験機を用い、図6に示すようにスプライン部2a,2bをそれぞれ円盤状のつかみ具3a,3bに組み込み、つかみ具3a,3bとの間に周波数1〜2Hzで繰り返しねじりトルクを負荷することにより行った。
また、同じシャフトについて、その硬化層をピクリン酸を主成分とした腐食液(水:500gに対しピクリン酸:50gを溶解させたピクリン酸水溶液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:11g、塩化第1鉄:1gおよびシュウ酸:1.5gを添加したもの)にてエッチング後、その組織を光学顕微鏡を用いて観察し、旧オーステナイト粒の平均粒径を求めた。平均粒径の測定にあたっては、前述した方法と同様とした。
さらに、同じシャフトについて、耐焼割れ性についても調査した。
この耐焼割れ性は、高周波焼入れ後のスプライン部のC断面5ヶ所を切断・研磨し、光学顕微鏡(倍率:100〜200倍)で観察した時の焼割れ発生個数で評価した。
得られた結果を表5に併記する。
Figure 0004983291
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本発明の鋼材を機械構造用部品に適用した例として、図7に示すクランクシャフトを製造した。すなわち、このクランクシャフト4は、シリンダーへのジャーナル部5、ピストン用コネクティングロッドの軸受け部であるクランクピン部6、クランクウェブ部7およびカウンタウェイト部8をそなえていて、特にジャーナル部5およびクランクピン部6には高周波焼入れを施して、その疲労強度の向上を図っている。
表4に示した成分組成になる鋼素材を、転炉により溶製し、連続鋳造により鋳片とした。鋳片サイズは300×400mmであった。この鋳片を、熱間圧延により90mmφの棒鋼に圧延した。ついで、この棒鋼を所定の長さに切断後、1100〜1300℃の温度範囲で熱間鍛造を行い、さらにバリ取りを行ってクランクシャフト形状に成形した。
ついで、図8に示すクランクシャフト断面図のようにクランクシャフトのクランクピン部およびジャーナル部の表面に、それぞれ表6に示す条件で高周波焼入れを行って焼入れ組織層9を形成させたのち、加熱炉を用いて170℃、30分の焼戻しを行い、さらに仕上げ加工を施して、製品とした。
かくして得られたクランクシャフトの曲げ疲労寿命について調べた結果を、表6に示す。
ここに、クランクシャフトの曲げ疲労寿命は、次のようにして評価した。
図9に示すように、クランクシャフトの端部は固定した状態で、各コネクティングロッドに繰り返し曲げ応力を負荷する耐久試験を行い、疲労限によって曲げ疲労寿命を評価した。なお、母相の被削性は、圧延した棒鋼に対して、上述と同様の工具寿命の評価を行なった。
また、同じクランクシャフトについて、硬化層の旧オーステナイト平均粒径を、前述した方法と同様の手法にて求めた。
これらの結果も表6に併記する。
Figure 0004983291
本発明の鋼材を機械構造用部品に適用した例として、図10に示す、ドライブシャフト10からの動力を車輪のハブ11に伝えるために介在させる、等速ジョイント12を製造した。
この等速ジョイント12は、外輪13および内輪14の組み合わせになる。すなわち、外輪13のマウス部13aの内面に形成したボール軌道溝に嵌めるボール15を介して、マウス部13aの内側に内輪14を揺動可能に固定してなり、この内輪14にドライブシャフト10を連結する一方、外輪13のステム部13bをハブ11に例えばスプライン結合させることによって、ドライブシャフト10からの動力を車輪のハブ11に伝えるものである。
表4に示した成分組成になる鋼素材を、転炉により溶製し、連続鋳造により鋳片とした。鋳片サイズは300×400mmであった。この鋳片を、ブレークダウン工程を経て150mm角ビレットに圧延したのち、50mmφの棒鋼に圧延した。得られた棒鋼を別途被削性試験片として用いて、被削性について上述したところに従って調査した。
ついで、この棒鋼を所定長さに切断後、800℃以上の温度で表7に示す条件にて熱間鍛造を行い、等速ジョイント外輪のマウス部(外径:60mm)およびステム部(直径:20mm)を一体に成形した後に空冷し、次いで切削または冷間鍛造によって等速ジョイント外輪のマウス部内面のボールの軌条溝などの成形を行うとともに、切削加工または転造加工によって等速ジョイント外輪のステム部にスプライン軸とする成形を行った。
そして、図11または図12に示すように、この等速ジョイント外輪13のマウス部13aの内周面またはステム部13bの外周面に、周波数:15kHzの高周波焼入れ装置を用いて、焼入れを行い焼入れ組織層16を形成した後、加熱炉を用いて180℃×2hの条件で焼もどしを行って製品とした。ここで、焼入れ条件は表7に示す条件とした。かくして得られた等速ジョイント外輪は、そのマウス部にボール(鋼球)を介して、ドライブシャフトを連結した内輪を装着するとともに、ステム部をハブに嵌合させることによって、等速ジョイントユニットとした(図10参照)。なお、ボール、内輪およびハブの仕様は下記の通りである。

ボール:高炭素クロム軸受鋼SUJ2の焼入れ焼戻し鋼
内輪:クロムSCrの浸炭焼入れ焼もどし鋼
ハブ:機械構造用炭素鋼
次に、この等速ジョイントユニットを用いて、ドライブシャフトの回転運動を等速ジョイントの内輪そして外輪を経てハブに伝える動力伝達系において、マウス部の内周面に高周波焼入れを施したものについては転動疲労強度に関する耐久試験を、ステム部の外周面に高周波焼入れを施したものについては、ねじり疲労強度に関する耐久試験を行った。
転動疲労試験は、トルク:900N・m、作動角(外輪の軸線とドライブシャフト軸線とがなす角度):20°および回転数:300rpmの条件下で動力伝達を行い、マウス部の内周部分が転動疲労破壊するまでの時間を転動疲労強度として評価した。
さらに、この動力伝達系において、ねじり疲労強度に関する耐久試験を実施した。ここでのねじり疲労試験は、等速ジョイントユニットの作動角(外輪の軸線とドライブシャフト軸線とのなす角度):0°とし、最大トルク:4900N・mのねいじり疲労試験機を用いて、ハブとドライブシャフトとの間にねじり力を負荷するようにし、ステム部の最大トルクを変化させることで両振りで応力条件を変えて行い、1×10回の寿命となる応力をねじり疲労強度として評価した。
なお、ねじり疲労試験にあたっては、等速ジョイント外輪のねじり疲労を評価するため、ハブ、ドライブシャフトの強度が十分大きくなるように、ハブ、ドライブシャフト形状、寸法を調整した。
同様に、転動疲労試験に当たっても、等速ジョイント内輪および鋼球等の寸法、形状を、耐久試験時に等速ジョイント外輪内周面が最弱部になるように設定した。
また、同じ条件で作製した等速ジョイント外輪について、硬化層の平均旧オーステナイト粒径および最大旧オーステナイト粒径を、前述した方法と同様の手法にて求めた。
表7には、これらの結果も併記する。
Figure 0004983291
Figure 0004983291
本発明の鋼材を機械構造用部品に適用した例として、図13に示す、ドライブシャフト10から動力を車輪のハブ11に伝えるために介在させる、等速ジョイント12を製造した。
この等速ジョイント12は外輪13および内輪14の組み合わせになる。すなわち、外輪13のマウス部13aの内面に形成したボール軌道溝に嵌めるボール15を介して、マウス部13aの内側に内輪14を揺動可能に固定してなり、この内輪14にドライブシャフト10を連結する一方、外輪13のステム部13bをハブ11に例えばスプライン結合させることによって、ドライブシャフト10からの動力を車輪のハブ11に伝えるものである。
表4に示す成分組成になる鋼素材を、転炉により溶製し、連続鋳造により鋳片とした。鋳片サイズは300×400mmであった。この鋳片を、ブレークダウン工程を経て150mm角ビレットに圧延したのち、55mmφの棒鋼に圧延した。得られた棒鋼を別途被削性試験片として用いて、被削性について上述したところに従って調査した。
ついで、この棒鋼を所定長さに切断後、熱間鍛造によって等速ジョイント内輪(外径:45mmおよび内径:20mm)を成形した後に空冷し、次いで転造加工によって嵌合面にスプライン結合のための条溝を形成した。また、冷間鍛造によって、ボールの転動面を形成した。
図14または図15に示すように、この等速ジョイント内輪のドライブシャフトとの嵌合面14bまたは等速ジョイント外輪との間に介在するボールの転動面14aに、周波数:15Hzの高周波焼入れ装置を用いて、表8に示す条件下で焼入れを行って焼入れ組織層16とした後、加熱炉を用いて180℃×2hの条件で焼もどしを行って焼入れた。
かくして得られた等速ジョイント内輪は、その嵌合面にドライブシャフトを嵌合するとともに、等速ジョイント外輪のマウス部にボール(鋼球)を介して装着し、一方等速ジョイント外輪のステム部にハブを嵌合することによって、等速ジョイントユニットとした(図10参照)。なお、ボール、外輪、ドライブシャフトおよびハブの仕様は下記の通りである。

ボール:高炭素クロム軸受鋼SUJ2の焼入れ焼戻し鋼
外輪:機械構造用炭素鋼の高周波焼入れ焼戻し鋼
ハブ:機械構造用炭素鋼の高周波焼入れ焼戻し鋼
ドライブシャフト:機械構造用炭素鋼の高周波焼入れ焼戻し鋼
次に、この等速ジョイントを用いて、ドライブシャフトの回転運動を等速ジョイントの内輪そして内輪を経てハブに伝える動力伝達系において、ドライブシャフトとの嵌合面に高周波焼入れを施したものについては、ドライブシャフトの嵌合部のすべり転動疲労強度に関する耐久試験を、ボールの転動面に高周波焼入れを施したものについては、ボールの転動面の転動疲労強度に関する耐久試験を行った。
転動疲労試験は、トルク:900N・m、作動角(内輪の軸線とドライブシャフト軸線とがなす角度):20°および回転数:300rpmの条件下で動力伝達を行い、等速ジョイント内輪の転動面にはく離が生じるまでの時間を転動疲労強度として評価した。なお、ここでドライブシャフト、等速ジョイント外輪等の寸法、形状は、耐久試験時に等速ジョイント内輪が最弱部になるように設定した。
また、同じ条件で作製した等速ジョイント内輪について、硬化層の平均旧オーステナイト粒径を、前述した方法と同様の手法にて求めた。
表8には、これらの結果も併記する。
Figure 0004983291
本発明の鋼材を機械構造用部品に適用した例として、本発明の機械構造用部品として、図16に示す、自動車の車輪のハブを製造した。
この自動車の車輪のハブ17は、軸受けの内輪を兼ねる軸部18を有し、その外周面において外輪20との間に挿入したボール21を介して軸受けを構成している。なお、図16中の符号19はハブの軸部18と外輪20との間にボール21を保持するためのスペーサである。この図16に示したところにおいて、ハブの軸受けをなすボールが転動する外周面(転動面)22では転動疲労寿命の向上が要求される。
表4に示す成分組成になる鋼素材を、転炉により溶製し、連続鋳造により鋳片とした。鋳片サイズは300×400mmであった。この鋳片を、ブレークダウン工程を経て150mm角ビレットに圧延したのち、24mmφの棒鋼に圧延した。得られた棒鋼を別途被削性試験片として用いて、被削性について上述したところに従って調査した。
ついで、この棒鋼を所定の長さに切断後、熱間鍛造によってハブ形状に成形後、空冷した。ついで、切削によりハブ軸部の軸受けボールが転動する外周面について、表9に示す条件で高周波焼入れを行って焼入れ組織層を形成したのち、加熱炉を用いて150℃、1時間の焼戻しを行い、さらに仕上げ加工を施して、製品とした。
かくして得られたハブの転動疲労寿命について調べた結果を表9に示す。
ハブの転動疲労寿命は、次のようにして評価した。
ハブの軸部の外周面に軸受けボールを配置すると共に、外輪を装着し、ハブを固定した状態で、図16に示すように、ハブ外輪20に一定の荷重(950N)を負荷した状態でハブ外輪20を一定の回転速度(300rpm)で回転させる耐久試験を行って、高周波焼入れ組織層22が転動疲労破壊するまでの時間を転動疲労寿命として評価した。
なお、ここで、他の外輪、鋼球等の寸法・形状は、耐久試験時にハブの軸部転動面が最弱部になるように設定した。
また、同じハブについて、その焼入れ組織を硬化層の平均旧オーステナイト粒径を、前述した方法と同様の手法にて求めた。
これらの結果も表9に併記する。
Figure 0004983291
MnSのアスペクト比とアスペクト比毎の個数累積頻度との関係を示すグラフである。 鋼中のベイナイト組織分率およびマルテンサイト組織分率が被削性および高強度化に及ぼす影響を示したグラフである。 Mo添加鋼(Mo:0.05〜0.6 mass%)とMo無添加鋼について、高周波焼入れ時の加熱温度が硬化層の旧オーステナイト粒径に及ぼす影響を示したグラフである。 析出物の相対存在頻度を示すグラフである。 代表的なシャフトの正面図である。 シャフトのねじり疲労試験の要領を示す図である。 クランクシャフトの模式図である。 クランクシャフトの高周波焼入れ位置を示した図である。 耐久試験の概要を示した図である。 等速ジョイントの部分断面図である。 等速ジョイント外輪における焼入れ組織層を示す断面図である。 等速ジョイント外輪における焼入れ組織層を示す断面図である。 等速ジョイントの部分断面図である。 等速ジョイント内輪における焼入れ組織層を示す断面図である。 等速ジョイント内輪における焼入れ組織層を示す断面図である。 ハブおよびハブ軸受けユニットを示した図である。
符号の説明
1 シャフト
2 スプライン部
3 つかみ具
4 クランクシャフト
5 ジャーナル部
6 クランクピン
7 クランクウェブ部
8 カウンタウェイト部
9 焼入れ組織層
10 ドライブシャフト
11 ハブ
12 等速ジョイント
13 外輪
13a マウス部
13b ステム部
14 内輪
15 ボール
16 焼入れ組織層
17 ハブ
18 ハブの軸部
19 スペーサ
20 ハブの外輪
21 ボール
22 転動面

Claims (4)

  1. 高周波焼入れによる表面硬化層を少なくとも部分的に有する鋼材であって、
    C:0.35〜0.7 mass%、
    Si:1.1 mass%以下、
    Mn:0.05 〜2.0 mass%、
    Al:0.008mass%以下、
    Ti:0.005 〜0.1 mass%、
    Mo:0.05〜0.6 mass%、
    B:0.0003〜0.006 mass%および
    S:0.01〜0.06mass%
    を含み、さらに
    Ca:0.0021mass%以上、
    REM:0.0021mass%以上および
    Mg:0.0021mass%以上
    のうちの1種または2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成になり、
    アスペクト比が50以上のMnSの全MnS中に占める比が累積頻度で5%以下であることを特徴とする鋼材。
  2. 請求項1において、前記成分組成として、さらに
    Cr:2.5mass%以下、
    Cu:1.0mass%以下、
    Ni:2.5mass%以下、
    Co:1.0mass%以下、
    V:0.3mass%以下、
    W:1.0mass%以下
    Nb:0.1mass%以下、
    Zr:0.1mass%以下、
    Ta:0.5mass%以下、
    Hf:0.5mass%以下および
    Sb:0.015mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する鋼材。
  3. 請求項1または2において、鋼材がベイナイト組織およびマルテンサイト組織を有し、かつ、これらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率が10%以上であり、かつ、前記表面硬化層の旧オーステナイト粒径の平均値が12μm以下であることを特徴とする鋼材。
  4. 請求項1、2または3において、円相当径が2μm以上の介在物は、MnSの存在比率が30%以下およびCaOの存在比率が20%以下であることを特徴とする鋼材。
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