JP4982516B2 - 塩耐性l−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法 - Google Patents

塩耐性l−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4982516B2
JP4982516B2 JP2009045388A JP2009045388A JP4982516B2 JP 4982516 B2 JP4982516 B2 JP 4982516B2 JP 2009045388 A JP2009045388 A JP 2009045388A JP 2009045388 A JP2009045388 A JP 2009045388A JP 4982516 B2 JP4982516 B2 JP 4982516B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pino1
salt
rino1
myoinositol
phosphate synthase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009045388A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009148289A (ja
Inventor
マジャンダー、アルネンドラ、ナス、ラヒリ
マノージ、マジェー
Original Assignee
デパートメント オブ バイオテクノロジー
ボース インスティチュート
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by デパートメント オブ バイオテクノロジー, ボース インスティチュート filed Critical デパートメント オブ バイオテクノロジー
Publication of JP2009148289A publication Critical patent/JP2009148289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4982516B2 publication Critical patent/JP4982516B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8241Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
    • C12N15/8261Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield
    • C12N15/8271Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance
    • C12N15/8273Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology with agronomic (input) traits, e.g. crop yield for stress resistance, e.g. heavy metal resistance for drought, cold, salt resistance
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/90Isomerases (5.)

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Description

本発明は、塩耐性L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法に関する。
農業バイオテクノロジーにおいて、長年の目標の1つは、塩分、乾燥及び温度の媒介による脱水(これらは全て直接の浸透圧ストレスを導くものである)などの環境ストレスに対する作物植物(crop plant)の耐性を向上させることである。そのような非生物的なストレス条件に対して植物が反応する機構の1つは、適合溶質又は浸透保護剤と呼ばれる非毒性生体分子を合成することによる。これらの化合物は、3種のカテゴリー、即ち、アミノ酸(例えば、プロリン)、オニウム化合物(例えば、グリシンベタイン、ジメチルスルホニオプロピオネート)、及びポリオール/糖(例えば、イノシトール、オノニトール/ピニトール、マンニトール、トレハロース)に分類される。代謝工学技術によってこれら化合物の合成における重要なステップをコードする遺伝子を移入することで浸透圧保護剤を過剰生産させることは、生物工学技術者にとってストレス耐性の作物植物を作製するための選択肢である。そのようなアプローチは、原核生物系及び真核生物系において限定的な成功をおさめている。さらに重要なことは、その操作の重要なステップが、ストレス耐性の酵素蛋白質をコードすること自体であることを回避可能な点である。
選択されたオスモライト(osmolytos)の過剰生産を伴う代謝工学は、植物や他の有機体においてストレス耐性表現型を付与するための1つの選択肢であるが、その作用のためにストレス耐性の遺伝子/酵素を使用した系は1つもなかった。それ故、トランスジェニック系における標的遺伝子/酵素の機能的な発現は、予測不能のままであった。
この発明の目的は、塩耐性L−ミオ−イノシトール−1−ホスフェートシンターゼ遺伝子を作製することである。
この発明の他の目的は、イノシトール生産のための塩耐性遺伝子を得る方法を提供することである。
この発明のさらなる目的は、モデル作物植物において塩耐性L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼを遺伝子移入して、その機能的発現によって光合成の機能が減退することなく塩の存在下で生育する能力をもたらすことである。
本発明は、ポルテレシアコアルクタタ(Porteresia coarctata)由来の塩耐性L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼを提供する。
また本発明により、塩耐性ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ遺伝子を得る方法であって、
(i)ポルテレシアコアルクタタ(PINO1)の葉から前記L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ遺伝子の全長cDNAを、逆転写とそれに続くポリメラーゼ連鎖反応によって単離すること、
(ii)前記単離されたL−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ遺伝子を配列決定すること、
(iii)発現プラスミド構築物を得るために適当な細菌発現ベクターにPINO1の前記単離された全長cDNAをクローニングすること
を含む方法が提供される。
形質転換による細菌宿主株E.coli BL21(DE3)への発現プラスミド構築物の導入、及びIPTGによるPINO1遺伝子産物の発現の誘導。
前記発現されたPINO1遺伝子産物の封入体としての単離、8M尿素、0.5M NaCl、20mM Tris−HCl、pH7.5、10mM βメルカプトエタノール(ME)及び2mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)を含む緩衝液中での活性酵素蛋白質の可溶化と単離、並びに均一にするための完全な精製。
図1は、BLAST2 SEQUENCES RESULTSである。 2(A)は、細菌による発現RINO1及びPINO1の蛋白質のSDS−PAGE解析であり、レーン1と2は誘導と非誘導のRINO1であり、レーン3と4は誘導と非誘導のPINO1であり、レーン5と6は誘導と非誘導のコントロールである。図2(B)は図2(A)の対応ウエスタンブロット。 3(A)は、尿素可溶化の後の誘導された系におけるペレット及び上清分画内の蛋白質のSDS−PAGEであり、レーン1と2は誘導RINO1のペレットと上清であり、レーン3と4は誘導PINO1のペレットと上清である。図3(B)は図3(A)の対応ウエスタンブロット。 4:精製された天然(A)及び組換え(B)酵素についての増大するNaCl濃度の存在下でのイノシトールシンターゼ活性。 5:増大するNaCl濃度における精製されたRINO1(A)及びPINO1(B)蛋白質のトリプトファン蛍光解析であり、トレーシング1、2、3及び4は、この系における0、100mM、200mM及び400mM NaClに対応する。 6:400mM NaClの非存在及び存在下でのRINO1及びPINO1蛋白質のSuperose−12でのゲル濾過パターン。(A)NaCl無しのRINO1、(B)NaCl有りのRINO1、(C)NaCl無しのPINO1、(D)NaCl有りのPINO1。差込部は、示唆された分画のSDS−PAGEと免疫ドットブロットを示す。 7:RINO1及びPINO1蛋白質の円偏光二色性スペクトル
ポルテレシアコアルクタタ(PINO1)由来のL−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ遺伝子のクローニングと配列決定、並びに該遺伝子とオリザサチバ(Oryzasativa)(RINO1)由来のものとの比較
L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ遺伝子の全長cDNAが、ポルテレシアコアルクタタ(PINO1)及びオリザサチバ(RINO1)の葉のポリA(RNA)から、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって得られている。全RNAを、オリザ及びポルテレシアの成熟した葉からOstremらの方法(Plant Physiol.84、1270〜1275頁、1987年)にしたがって単離した。該全RNAからポリA−RNAを、polyAtract mRNA単離キット(Promega)によって製造元の指示にしたがって単離した。20〜30ngのポリA−RNAを、製造元のプロトコルにしたがってSuperscript II RNA分解酵素H−逆転写酵素(Life Technologists、Gibco BRL)を用いた第1のcDNA合成に使用した。このように合成したcDNAを、イノシトールシンターゼ遺伝子のPCR増幅のための鋳型として使用した。オリザ(RINO1)とポルテレシア(PINO1)のイノシトールシンターゼの全長cDNAのクローニングのために、センス(5’〜3’)及びアンチセンス(3’〜5’)オリゴヌクレオチドプライマーを、公表されたRINO1配列(GenBankアクセッション番号AB012107)に基づいて設計し、PCR増幅を以下の通り行った:94−1分[94−1.5分、55、1.5分、72、2分]×32回、72、10分。製造元の指示にしたがって、該増幅産物が予想どおりのサイズ(約1.5kb)であるか否かを調べ、ゲルからバンドを溶出させ、QIAquick PCR精製キット(Qiagen)で精製し、pGEM T−Easyベクター(Promega)に、4℃で一晩にわたり連結させた。連結混合物を、高性能JM109競合細胞(Promega)の形質転換のために使用し、形質転換体を、一晩増殖させたアンピシリン/IPTG/X−galプレート上での青/白選択に基づいて選択した。プラスミドのミニプレップ(Minipreps)を形質転換体から単離し、該DNAをEcoR1で切断し、切断したDNAをアガロースゲル電気泳動で解析して、約1.5kbと予想される挿入断片の有無を調べた。挿入断片サイズを確認した後、プラスミドDNAを形質転換体から単離し、Qiaquick精製キット(Qiagen)で精製した。クローンは、オリザサチバからのイノシトールシンターゼの遺伝子をRINO1として、ポルテレシアコアルクタタからのものをPINO1として特定した。
各クローンのヌクレオチド配列を自動DNA配列決定法で決定した。配列決定方法は、以下の指定プライマーによるクローンの配列決定サイクルを数回行うものである:
1.第1回目は、5’末端にTプロモーターのプライマーを用い、3’末端にSPプロモーターのプライマーを用いた。
2.第2回目は、RT−PCR増幅に使用されたとき遺伝子の5’末端と3’末端に設計されたプライマーを用いた。
3.第3回目の配列決定では、開始部位から約250塩基対下流と終止部位の250ヌクレオチド上流の位置に設計されたプライマーを用いた。
各セットの配列決定データをまとめ、比較して、ポルテレシアコアルクタタからのL−ミオイノシトール−1−ホスフェート(PINO1)及びオリザサチバからのL−ミオイノシトール−1−ホスフェート(RINO1、Genbank寄託番号AB012107)の完全な配列を明らかにした。PINO1の完全な配列を下記に示す。
PINO1配列:
Figure 0004982516
この配列は、GenBankに提出されており(寄託番号AF412340)、2003年6月23日まで秘密に保たれる。
PINO1のアミノ酸配列とRINO1のアミノ酸配列との比較
Figure 0004982516
解析によって、PINO1遺伝子のヌクレオチド配列はかなり非同一性であり、RINO1とPINO1は、アミノ酸配列において中間部(PINO1のアミノ酸173からアミノ酸320のあいだ)の約110個の領域について異なっている遺伝子産物を生じ、遺伝子の他の部分は完全な同一性を有するということが明らかにされた。非同一性部分は、欠失/付加を含み、RINO1で報告されているアミノ酸510個に代えアミノ酸512個を持つ蛋白質をもたらすPINO1の場合には、さらに2個のアミノ酸を伴う保存的置換を含んでいる。
細菌発現ベクターにおけるRINO1とPINO1の発現:
RINO1とPINO1のcDNAを細菌発現ベクターpET 20B(+)の適切なクローニング部位にサブクローニングした。得られたプラスミドを宿主株E.coli BL−21(DE3)に導入した。該細菌を、LB培地で0.5吸光度単位のA600まで増殖させ、30℃で6時間のあいだ0.5mM IPTGで誘導した。該細菌を、遠心分離で収集し、20mM Tris−HCl、pH7.5、各10mMのNHClとME、2mM PMSFを含む緩衝液中で超音波処理によって溶解した。溶解抽出物を遠心分離し、可溶性及び膜の分画の両方からの蛋白質を、Laemmli(Nature、227、680〜685頁、1970年)にしたがった10%SDS−PAGEとそれに続く免疫検出用ウエスタンブロットによって解析した。分離した蛋白質をPVDF膜上にブロットし、そのブロットを、エントアメーバの精製した組換えL−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ(Lohiaら、Mol.Biochem.Parasitol.、98、67〜79頁、1999年)又はオリザの葉由来の精製した細胞基質性L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼに対して産生されたウサギの抗L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ抗体(1:500)で探った。結合抗体をケミルミネッセンス(Amersham Life Sciencesからのキット)によって検出した。このような実験の結果は、RINO1とPINO1の両方が主に膜分画で発現された(図2、AとB、レーン1と3)ことを示している。
発現RINO1及びPINO1蛋白質の可溶化:
発現RINO1及びPINO1蛋白質を、室温で30分間保った可溶化緩衝液(8M尿素、0.5M NaCl、20mM Tris−HCl、pH7.5、10mM ME、2mM PMSF)中において、ペレット分画から可溶化した。可溶化サンプルを15000rpmで30分間遠心分離した。上清を取り、同じ緩衝液中で尿素濃度を8Mから2Mへ段階的に希釈して連続的に透析した。可溶化サンプルをSDS−PAGEとウエスタンブロットでRINO1及びPINO1蛋白質について調べた(図3、AとB、レーン2と4)。可溶化後、SDS−PAGE解析によって、発現蛋白質が可溶化分画(図3A)にあることが明らかにされ、これを、ウエスタンブロット解析(図3B)で再度確認した。
可溶化RINO1及びPINO1蛋白質の精製:
透析されたサンプル内の蛋白質を、当研究所(RayChaudhuryら、Plant Physiol.、115、727〜736頁、1997年)から以前に記述された手順でDEAE Sephacel及びBiogel A0.5によって精製した。可溶化透析サンプルを取り、DEAE Sephacelカラム(ベッドボリューム20ml)に載せた。カラムへの蛋白質の吸収を2時間行った後、流出物を回収し、20mM Tris−HCl、pH7.5、各10mMのNHCLとME、2mM PMSF、20%グリセロールを含む緩衝液Aで洗浄した。洗浄は、非結合蛋白質の溶出のために上記ベッドボリュームの約3倍の体積の緩衝液を使い、分画のA280が0に近づくまで行った。結合蛋白質を、緩衝液A中でNHCl濃度の0.01から0.25Mまでの直線的勾配液60mlで溶出させた。複数の1mlの分画を0.4ml/分の速度で回収した。イノシトールシンターゼ活性を有する分画を集め、濃縮し、緩衝液Aを2L交換して4℃で6時間透析した。透析濃縮した集められたDEAE分画をBiogel A0.5カラムに載せ、ベッドボリュームの3倍の緩衝液Aで予備平衡化した。蛋白質を緩衝液Aを用いて0.1ml/分の流速で複数の0.5mlの分画に溶出させた。イノシトールシンターゼ活性を含む分画を集め、20mM Tris−Cl(pH7.5)10mM MEの2Lの1回交換で透析した。
発現RINO1及びPINO1蛋白質の生化学的特性決定
精製された細菌性発現RINO1及びPINO1蛋白質の生化学的特性を決定した(表1)。基質(グルコース6ホスフェート)及びコファクター(NAD)のKm及びVmax値の推定値を、Line−Weaver Burk解析法を使い、Biogel 0.5Aで精製した組み換えシンターゼを用いて得た。オリザ(RINO1)とポルテレシア(PINO1)の組換えシンターゼのグルコース6ホスフェートに対するKm値の間には違いがある。ポルテレシア(PINO1)の組換えシンターゼのグルコース6ホスフェートに対するKm値がより低いことは、オリザ組換えシンターゼ(RINO1)に比べて、基質特異性がより高いことを示している。どちらの場合も最適酵素活性は37℃のときであったが、ポルテレシア組換えシンターゼ(PINO1)の最適pHは8.0であり、オリザ組換えシンターゼ(RINO1)では7.5であった。
塩感受性に関して、RINO1及びPINO1蛋白質は大きく異なっている。精製された天然の酵素(図4、A)の場合のように、発現組換えRINO1及びPINO1蛋白質は、塩感受性/耐性特性(図4、B)に関して同様の特徴を示す。天然及び組換えRINO1蛋白質はどちらもインビトロでNaClに対して感受性であるが、PINO1の蛋白質は、インビトロ条件下でNaCl濃度500mMまでは塩に対して耐性であることが判明しており、これは、両者の発現遺伝子産物が、天然酵素蛋白質と同様の塩感受性及び塩耐性特性を保持していることの証拠を提示している。
Figure 0004982516
本発明を添付図面と実施例を参照して以下に詳細に説明するが、該図面と実施例は、発明の単なる例示であり、発明の範囲をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではない。
RINO1とPINO1の構造的研究:蛍光、円偏光二色性及びゲル濾過研究
塩分ストレスに対するRINO1とPINO1の異なる挙動の構造的な基礎を理解するために、我々は、蛍光、円偏光二色性(CD)及びゲル濾過実験を行った。
オリザサチバ(RINO1)及びポルテレシアコアルクタタ(PINO1)由来のイノシトールシンターゼの組換え調製物のトリプトファン蛍光スペクトルを、図4のパネルA及びBにそれぞれ示す。添加塩の非存在下で、RINO1は、最大発光波長においてPINO1よりもかなり高い蛍光強度を示す。両方の場合において最大発光は336nm近くにとどまる。RINO1の蛍光強度は、添加塩の存在下でかなり失われ、一方PINO1ではむしろ強くなっている。600mMを超える塩濃度において、RINO1及びPINO1両者の蛍光強度は同等になることも興味深い。
塩濃度が増大するとともにRINO1の蛍光強度が漸進的に減少することは、構造的な変化を示唆している。しかしながら、RINO1の最大発光は、増大する塩濃度の関数として不変であり、これは、トリプトファン環境が変化しないことを意味する。トリプトファン残基は、通常、球状構造の内部に埋まっている。したがって、塩誘導変化はトリプトファン微小環境を乱さない。おそらく、他の蛋白質セグメントがトリプトファンのより近くへと移動され、エネルギー移動を容易にし、よって蛍光強度を減少させる。PINO1の構造は、塩の添加に対して安定である。塩は静電気的な相互作用を遮るので、RINO1とPINO1の外表面における荷電残基の曝露にはかなりの差がある。
二次レベルにおける溶液中のRINO1及びPINO1蛋白質の構造を、遠UV円偏光二色性(CD)分光法によって探った。RINO1及びPINO1蛋白質のCDスペクトルは、形状においてほとんど同じであり、特性バンドを示す(図5)。該スペクトルを、インターネット上のK2Dサーバから入手可能なK2Dプログラムにしたがった非線形曲線適合解析によって3パラメータ二次構造解析(へリックス、シート及びランダム)にかけた。該解析によって、RINO1及びPINO1の両者は、とても良く似た二次構造要素を有しており、約25%がαへリックス、約25%がβシート、50%がランダム及び他の構造であることが明らかになった。明白に、これら2つの蛋白質の違いは、これらの二次構造要素が詰め込まれる様子が違うために生じている。
塩の添加によるRINO1の構造的な変化の性質のさらなる洞察を得るために、我々は、RINO1及びPINO1蛋白質のゲルパーミエーションクロマトグラフィーを添加塩の存在及び非存在下の両方で行った。そのクロマトグラムを図6(A、B、C及びD)に示す。RINO1蛋白質は、塩の非存在下では単一のピークとして溶出する一方、400mM NaClを添加すると、そのオリジナルピークがかなり小さくなると同時に高分子量分画が現れることがわかり、NaClの添加によるRINO1蛋白質のオリゴマー形成を示唆している。対照的に、PINO1蛋白質は、NaClの存在及び非存在下の両方において、天然の三量体会合対応する同一の所で溶出する。活性データは、該蛋白質の三量体形は酵素的に活性であり、オリゴマー形(四量体のサイズ)は不活性であることを示している。オリゴマー形成は主に球の内部ではなく蛋白質表面に影響を与えるので、RINO1蛋白質の塩感受性は、塩耐性のPINO1蛋白質と比べたときの上記表面に広く存在するイオン環境における違い及び表面近くの疎水性における違いを含むある提案された機構によって説明できるかもしれない。
塩生育中にPINO1遺伝子で形質転換されたタバコ草の表現型
PINO1の植物系への移入がその植物の塩存在下での生育を助けるかどうかを決定するために、アグロバクテリウム介在手順を用いてPINO1遺伝子で形質転換したタバコ草を産生した。このために、標準的手順に従って、PINO1遺伝子を植物発現ベクターpCAMBIA1301にクローニングし、アグロバクテリウム株LBA4404に動員した。再生培地で前培養したタバコ葉のディスクを、PINO1−pCAMBIA構築物を含むアグロバクテリウム培地の懸濁液に1時間漬け、セフォタキシムとハイグロマイシンを追加した再生培地に戻した。苗条及び根が成長した後、再生した小植物体を、さらなる生育のために0、100、200及び400mMのNaClを含む培養器に移した。pCAMBIAベクターのみで形質転換したコントロール小植物体も類似の方法で塩環境で生育した。増大するNaCl量の存在下で生育したこれらの植物(コントロール及びPINO1形質転換体)の比較は、コントロール植物は200mM NaClの存在下で葉緑素の損失を見せるが、PINO1形質転換植物は、表示された塩濃度ではそのような葉緑素の損失を見せず、400mM塩では、どちらのタイプの植物も生育できなかった(図7)ことを示している。このことは、PINO1形質転換植物は、形質転換されていない植物の生育に対して通常は阻害的である濃度のNaClの存在下で、光合成の仕組みを維持することができることを示唆している可能性がある。
上記の実験は、PINO1遺伝子配列が、塩ストレスに耐性のトランスジェニック作物植物の作製のための有用な道具になるかもしれないことを強く示唆する。
発明を詳細に且つその具体的な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱又は離れることなく多様な変更や改変をなすことが可能であることは、当業者には明らかであろう。このように、ここに収容した開示事項は、明白な同等物及び置き換えもその範囲内に含む。
上に挙げた説明的実施例及び比較データを特に参照して発明を詳細に説明してきたが、以下に付加した特許請求の範囲によってより具体的に定義する。

Claims (7)

  1. 下記に示すヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む、ベクター。
    Figure 0004982516
  2. 記に示すアミノ酸配列又は下記に示すヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む、耐性L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ(PINO1)をコードするポリヌクレオチドを含む、ベクター。
    Figure 0004982516
  3. 前記単離された塩耐性L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ(PINO1)は、インビトロ条件下でNaCl濃度500mMまでは塩に対して耐性である、請求項に記載のベクター。
  4. 細菌発現ベクターである、請求項1から3の何れか1項に記載のベクター。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載のベクターを含む、形質転換植物。
  6. 200mM NaClの存在下で生育することができる、請求項に記載の形質転換植物。
  7. 請求項1から4の何れか一項に記載のベクターで植物材料を形質転換することを含む、塩耐性L−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼを有する植物を製造する方法。
JP2009045388A 2002-12-12 2009-02-27 塩耐性l−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法 Expired - Fee Related JP4982516B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
IN1250/DEL/2002 2002-12-12
IN1250DE2002 2002-12-12

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006500383A Division JP4290727B2 (ja) 2002-12-12 2003-03-21 塩耐性l−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009148289A JP2009148289A (ja) 2009-07-09
JP4982516B2 true JP4982516B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=32500465

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006500383A Expired - Fee Related JP4290727B2 (ja) 2002-12-12 2003-03-21 塩耐性l−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法
JP2009045388A Expired - Fee Related JP4982516B2 (ja) 2002-12-12 2009-02-27 塩耐性l−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006500383A Expired - Fee Related JP4290727B2 (ja) 2002-12-12 2003-03-21 塩耐性l−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20060148059A1 (ja)
EP (1) EP1576161A1 (ja)
JP (2) JP4290727B2 (ja)
WO (1) WO2004053132A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180004025A (ko) * 2016-06-30 2018-01-10 씨제이제일제당 (주) 고농도 마이오-이노시톨의 효소적 제조방법
CN107858341B (zh) * 2017-12-07 2020-12-15 鲁东大学 胡杨PeMIPS1基因及其应用
JP7171222B2 (ja) * 2018-04-27 2022-11-15 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 異種ガムの混入を判定する方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11187879A (ja) * 1997-12-26 1999-07-13 Japan Tobacco Inc Nicotiana属植物由来の新規INPS遺伝子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009148289A (ja) 2009-07-09
WO2004053132A1 (en) 2004-06-24
JP2006515519A (ja) 2006-06-01
WO2004053132A8 (en) 2004-12-23
US20060148059A1 (en) 2006-07-06
EP1576161A1 (en) 2005-09-21
JP4290727B2 (ja) 2009-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100186121A1 (en) Transgenic Plants with Enhanced Growth Characteristics
AU2016202733B2 (en) Transgenic plants with enhanced growth characteristics
US11913008B2 (en) Vector comprising sorghum terminator and method of use
Yamchi et al. Proline accumulation in transgenic tobacco as a result of expression of Arabidopsis Δ 1-pyrroline-5-carboxylate synthetase (P5CS) during osmotic stress
JP4982516B2 (ja) 塩耐性l−ミオイノシトール−1−ホスフェートシンターゼ及びそれを得る方法
US20170051301A1 (en) Transgenic plants with enhanced growth characteristics
US8802931B2 (en) Salt resistant transgenic plants
WO2020002152A2 (en) Thermostable rubisco activase and uses thereof
CN104080913B (zh) 经修饰的向日葵转录因子能够提高产量
WO2006013807A1 (ja) 熱又は水分ストレス耐性向上活性を有するアラビノガラクタンタンパク質
JP2003511049A (ja) プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ遺伝子を利用した作物の収量またはバイオマスの増大方法
Blanco et al. Molecular cloning, characterization and regulation of two different NADH‐glutamate synthase cDNAs in bean nodules
JP5871222B2 (ja) 植物に耐塩性を付与するabcトランスポーター遺伝子
KR101666680B1 (ko) PNGase A를 생산하는 형질전환 벼 캘러스 및 이의 용도
KR101613366B1 (ko) 단자엽 식물의 전신 발현 유도용 프로모터 및 이의 용도
KR101171044B1 (ko) 톡소플라빈 라이에이즈 유전자 선발 마커를 이용한 형질전환 방법 및 상기 방법에 의해 제조된 수박공대 형질전환체
WO2006084342A2 (en) Isolated nucleic acid molecules encoding plant transcription factors in the knox family
JPWO2005001088A1 (ja) 植物培養細胞で糖欠乏により働くプロモーターの有用タンパク質の分泌生産への適用

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110916

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111216

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120327

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120423

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150427

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees