JP4979854B2 - 歯科用重合性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合性を有する半固体状の歯科用組成物に関する。さらに詳しくは本発明は、水性のペースト状物に調製するのが容易であり、この水性のペースト状物を硬化させたゲル(硬化ゲル)で治療の対象となっていない歯あるいは歯肉を保護するために使用される歯科用組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、歯科の治療の際には、治療する部分の周囲に保護材を塗布し、治療する部分と治療を要しない部分とに区画し、治療に使用する薬剤などが治療を要しない部分に影響を及ぼさないようにマスキングした後、歯科治療が行われることが多い。このような治療を要しない部分のマスキング方法として、ラバーダムを設置する方法、ワセリンなどを塗布する方法などが採用されている。
【0003】
しかしながら、ラバーダムは、薄いゴムの膜を用いて治療部分を治療を要しない部分から隔離するため、患者の口腔内に設置する操作が非常に煩雑な上、複雑な形状の場合には使用することができず、また、小さな領域を隔離するには非常に不便であるなどの問題がある。
また、ワセリンなどは塗布した後にも付着性、流動性を有することから、治療部分がワセリンなどで汚染される可能性が高く、また、治療器具などが接触すると塑性変形して不必要な部分などにまで広がったり、治療器具に付着して治療器具を汚染することがあり、また保護能力が低く、さらに、治療後にワセリンを除去しようとしても、完全に除去するのは難しく、このワセリンなどを完全に除去するためには例えばアルコールなどを用いた拭取り操作が必要であり、ワセリンには、保護性が充分ではない上に除去も困難であるなど種々の問題がある。
【0004】
ところで、歯科の分野で使用されるベースト状の組成物として、特開昭62-5号公報には、高分散性の二酸化珪素とこれを分散する分散媒とからなる歯科用レジンの表面被覆剤が開示されている。この公報には、歯科用レジン修復材料であるコンポジットレジンやレジンセメントを用いる際、これらの歯科用レジン修復材料に含有されるアクリル系モノマーが空気と接触して重合性が低下することにより表面に重合阻害層が形成されるのを防止するために、歯科用レジン修復材料を塗設あるいは充填した後、この表面を上記ペースト状の組成物で被覆することが開示されている。この公報には、歯科用レジン修復材料が反応硬化する際に、このペースト状の組成物は歯科用レジン修復材料とは反応することはなく、かつ歯科用レジン修復材料が空気と接触しないように表面を被覆するためのペースト状の組成物が記載されている。従って、このペースト状の組成物は、高分散性の二酸化珪素を、グリセリンあるいはエチレングリコールなどの水溶性溶媒に分散させたものであり、このペースト状の組成物は反応性を有していない。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、歯科の分野において、治療を要しない部分に塗布してこの部分を治療の際に保護するための新規な歯科用重合性組成物を提供することを目的としている。
さらに詳しくは本発明は、塗布した後に硬化してこの塗布部分を保護すると共に、治療終了後には容易に除去することができる歯科用重合性組成物を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明の歯科用重合性組成物は、(A)水混和性多官能重合性単量体、(B)水、(C)ラジカル重合開始剤、および、(D)粘度調整剤を含有することを特徴としている。
【0007】
本発明の歯科用重合性組成物は、水性ペースト状であり、たとえば遮光性のシリンジなどに充填したこの水性ペースト状物を、治療を要しない部分に塗布して硬化させることにより、この治療を要しない部分を被覆して保護することができる。
このように使用される歯科用のマスキング材は、歯肉などに対して為害性がないこと、必要とされる部分に簡単に塗設可能であると共に、塗布した組成物が不必要な部分に広がることがないような流動性は有していないこと、塗布後容易な操作で硬化するような重合性を有していること、固化物である硬化ゲルが容易に変形することがなく、かつベタ付きがないこと、固化物であるマスキング材が容易に切削およびトリミングが可能であること、固化であるしたマスキング材が容易に除去できること、治療に使用する薬剤などに暫時耐える程度の耐薬品性を有していることなどの特性が必要になる。
【0008】
本発明の歯科用重合性組成物は、上記のような構成を採用することにより、治療を要しない部分に容易に塗設することができ、この塗設物はペースト状であり塗設した部分から流出しない程度の粘度を有している。さらに、このペーストは狭い間隙にも侵入することができると共に、ペースト状であるので余剰の塗布物は容易に除去することができる。しかも、この塗設物にたとえば可視光、紫外線などを照射することにより、この塗設物は容易に硬化させることができ、こうして得られた硬化ゲルは流動性を有しておらず、この硬化ゲルで被塗布部である歯肉、歯などを保護することがきる。さらに、こうして一旦硬化した塗布物は、歯の治療時などには有効にマスキング材として機能する程度の強度および接合力は有しているが、他方この接合力は、この硬化ゲルを除去する場合には、歯、歯肉などに損傷を与えることなく除去可能な程度の接合力であり、従って、治療後は、歯、歯肉などに損傷を与えることなく容易に除去することができる。
【0009】
【発明の具体的な説明】
次に本発明の歯科用重合性組成物について具体的に説明する。
本発明で使用される(A)水混和性多官能重合性単量体とは、5重量%以上の水溶液が均一になる多官能性単量体であり、好ましくは20重量%以上の水溶液が均一になるものである。
【0010】
このような(A)水混和性多官能重合性単量体の例としては、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリコサエチレンジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸およびその中和物などの親水性ポリマーに(メタ)アクリル基を複数導入した単量体を挙げることができる。
【0011】
上記の(A)水混和性多官能重合性単量体は、重合することによりポリマーネットワークを形成し、後述の(B)水を包含してゲル状になる。たとえ水溶性であっても単官能重合性単量体のみでは、上記のようなポリマーネットワークは形成されないためゲル状にはならず簡単に流動するため、本発明の用途には不適である。本発明では、これらの(A)水混和性多官能重合性単量体のうち、エチレングリコールから誘導される繰り返し単位を平均して5個以上、好ましくは5〜30個、特に好ましくは9〜30個有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを使用する。
【0012】
本発明の歯科用重合性組成物は、上記のように(A)水混和性多官能重合性単量体を含有するものであるが、ペーストの堅さを調整するなどの目的で上記の(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体を含有していてもよい。これらの重合性単量体は、(A)水混和性多官能重合性単量体と(B)水の混合物に溶解して均一な組成物を形成できるものであれば特に限定されない。このような重合性単量体には、単官能重合性単量体と多官能重合性単量体とがある。
【0013】
ここで単官能重合性単量体の例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、1,2-または1,3-ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートなどの(ポリ)エチレンモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;
パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;
γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリ(トリメチルメトキシ)シランなどの(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物;
テトラフルフリル(メタ)アクリレートなどの複素環を有する(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、マレイン酸およびその酸無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその酸無水物、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートおよび2-メチル-2-(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸などの酸性基を有する(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0014】
多官能重合性単量体の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルカンポリオール(メタ)アクリレート;
下記式(1)で表される脂環族または芳香族(メタ)アクリレート、
【0015】
【化1】
Figure 0004979854
【0016】
(ただし、上記式(1)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0または正の数を表し、R2
【0017】
【化2】
Figure 0004979854
【0018】
のいずれかの基を表す);
下記式(2)で表される脂肪族、脂環族または芳香族エポキシジ(メタ)アクリレート、
【0019】
【化3】
Figure 0004979854
【0020】
(ただし、上記式(2)において、R3は水素原子またはメチル基を表し、nは0または正の数を表し、R4は−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−、
【0021】
【化4】
Figure 0004979854
【0022】
のいずれかの基を表す);
さらに、下記式(3)で表される分子内にウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0023】
【化5】
Figure 0004979854
【0024】
ただし、上記式(3)において、R5は水素原子またはメチル基を表し、R6は−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−、
【0025】
【化6】
Figure 0004979854
【0026】
のいずれかの基を表す。
本発明の歯科用重合性組成物において、上記のような単官能重合性単量体あるいは多官能重合性単量体は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は200重量部以下、好ましくは50重量部以下の量で使用される。
本発明の歯科用重合性組成物において(B)水は、(A)水混和性多官能重合性単量体の濃度を調整する溶媒として、また本発明の組成物が重合して形成される水含有硬化ゲルの物性を制御するための添加剤として作用する。水は溶媒としてもっとも安全性が高く、口腔内での使用に最も適している。ただし、本発明においては、この(B)水がその他の溶媒として、エチルアルコールあるいはアセトンなどの比較的安全性の高い溶媒を含有していてもよいが、歯肉などへの刺激などを考慮すると、これら他の溶媒の使用量は、水の30重量%以下の量とすることが好ましい。
【0027】
本発明で溶媒として使用される(B)水は通常の有機溶媒と比較すると比熱が大きいため、溶媒として使用することにより(A)水混和性多官能重合性単量体が重合するときの発熱を押さえることができる。本発明の歯科用重合性組成物において、(B)水は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は5〜500重量部、好ましくは10〜200重量部の範囲内の量で使用される。(B)水の量を上記範囲内で調整することにより、本発明の歯科用重合性組成物の粘度を、例えばシリンジから押しだし可能であり、かつ塗布面から容易に垂れ流れることがない程度に調整することができる。さらに、本発明の歯科用重合性組成物が硬化して形成される硬化ゲル中に充分な水が含有されるので、この硬化ゲルが硬質にならず、切削加工、トリミングなどを容易に行うことができる。
【0028】
本発明では、(B)水として、脱イオン水、蒸留水等が好ましく使用可能である。
本発明で用いられる(C)ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、α-ジケトン化合物、ホスフィンオキサイド、有機アミン化合物、有機スルホン酸、有機スルフィン酸、無機硫黄化合物、有機燐化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。本発明において重合開始剤としては、口腔内で使用することから、常温化学重合タイプ、光重合タイプおよびこれらを複合したデュアル重合タイプなど反応開始形態を有する開始剤を使用することが好ましい。常温化学重合タイプあるいはデュアル重合タイプの開始剤を使用する場合には、保存中に組成物が重合しないように、通常は、組成物を2種類に分けて保存し、使用直前に混合して使用する。
【0029】
本発明において、(C)ラジカル重合開始剤として常温化学重合タイプの開始剤を使用する場合、過酸化物(C1)を使用することができる。ここで使用される過酸化物の例としては、
ジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPC)、p,p'-ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジメチルベンゾイルペルオキシドおよびp,p'-ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物、ならびに、
過硫酸アンモニウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。これらの過酸化物(C1)は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の量で使用される。
【0030】
また、(C)ラジカル重合開始剤として使用される光重合タイプの重合開始剤は、紫外光線あるいは可視光線を照射することにより光重合することができる重合開始剤である。このような光重合タイプの重合開始剤(C2)の例としては、
4,4-ジクロロベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、9,10-アントラキノン、ジアセチル、d、l-カンファーキノン(CQ)、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどを挙げることができる。これらの光重合タイプの重合開始剤(C2)は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部の量で使用される。
【0031】
常温化学重合タイプの重合開始剤である過酸化物(C1)あるいは光重合タイプの重合開始剤(C2)を使用してラジカル重合を行う場合には、還元性化合物を併用することができる。ここで使用される還元性化合物の例としては、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメタノール-p-トルイジン、N,N-ジメチル-p-tert-ブチルアニリン、N,N-ジメツルアニリジン、N,N-ジメチル-p-クロルアニリン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N-ジエチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N-ジメチルアミノベンツアルデヒドなどの芳香族アミン類;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルグリシン、N-トリルグリシン、N,N-(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニルグリシンなどを挙げることができる。これらのアミン化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0032】
また、還元性化合物としては、上記のほかに、例えばベンゼンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、クロルベンゼンスルホン酸、ナフタリンベンゼンスルホン酸などの芳香族スルホン酸またはその塩類を挙げることができる。これらの化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0033】
また、還元剤として無機還元剤を使用することもできる。このような無機還元剤としては硫黄を含有する還元性無機化合物が好ましく使用できる。このような硫黄を含有する還元性無機化合物としては、水または水系溶媒などの媒体中でラジカル重合性単量体を重合する際にレドックス重合開始剤として使用される還元性無機化合物が好ましく、このような化合物の例としては、亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1-亜-2-チオン酸、1,2-チオン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩類を挙げることができる。
【0034】
これらの還元性無機化合物の中でも、亜硫酸塩が好ましく用いられ、特に亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムが好ましい、これらの還元性無機化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
これらの還元性化合物は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の量で使用される。
【0035】
本発明において、(D)粘度調整剤としては、充填材(D1)、水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2)などが使用される。
ここで(D)粘度調整剤として使用される充填材(D1)には無機質フィラー、有機質フィラーおよび有機質複合フィラーがある。
本発明において、無機質フィラーの例としては、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス(バリウムガラスを含む)、チタニア(酸化チタン)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウムを挙げることができる。このような無機質フィラーは、(A)水混和性多官能重合性単量体あるいは(B)水への分散性をコントロールするためにシランカップリング剤などのカップリング剤で表面処理されていてもよい。
【0036】
本発明において、有機質フィラーとしては、重合体の粉砕もしくは分散重合によって得られる粉末重合体のフィラー、さらには架橋剤を含む重合性単量体を重合させた後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。このような有機質フィラーを形成するために使用される重合体としては、前述の重合性単量体の単独重合体あるいは共重合体を好ましく使用することができる。例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、ポリ(トリメチロールプロパントリメタクリレート)などを挙げることができる。さらに、上記以外の重合体として、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、およびこれらの共重合体などを挙げることができる。
【0037】
有機質複合フィラーとしては、無機質フィラーと重合性単量体とを混合して重合した後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。具体的には、例えば、無機質フィラーのうち、微粉末シリカまたは酸化ジルコニウムなどをトリメチロールプロパントリメタクリレートを主成分とする重合性単量体で重合被覆し、得られた重合体を粉砕したフィラーなどを挙げることができる。
【0038】
上記充填材(D1)の粒子径が小さいほど少量の添加で粘度の調整が可能になるが、そのほかに歯科用重合性組成物(歯科用マスキング組成物)の塗布感や塗布時の伸びなどの調整も可能であり、通常は5mμ〜50μm、好ましくは5mμ〜5μmの範囲内にある平均粒子径の充填材(D1)が使用される。さらに、本発明では0.005μm〜0.05μm(すなわち5mμ〜50mμ)の平均粒子径を有する充填材(D1)が特に好ましい。
上記の充填材(D1)は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は1〜500重量部、好ましくは5〜500重量部、特に好ましくは5〜100重量部の範囲内の量で使用される。
【0039】
本発明において、粘度調整剤(D)として使用される水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2)は、水に1重量%以上溶解し、歯科用重合性組成物の粘度を調整できるものであれば特に制限はないが、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、中和されたポリカルボン酸塩などの水に溶解してもほぼ中性であるポリマーが好ましく使用される。このような水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2)の重量平均分子量は、大きいほど少量の添加で粘度調整が可能であるが、その他に歯科用重合性組成物の塗布感や塗布時の延びなどの調整も可能であり、通常は数百〜数十万、好ましくは5000〜10万程度の重量平均分子量を有する(共)重合体が使用される。
【0040】
上記のような水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2) は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は1〜500重量部、好ましくは5〜500重量部、特に好ましくは5〜100重量部の範囲内の量で使用される。
本発明の歯科用重合性組成物は、上述した(A)〜(D)成分を含有するものであるが、さらに他の成分を配合することができる。本発明の歯科用重合性組成物に配合することができる他の成分の例としては、重合禁止剤(重合抑制剤と呼ぶこともある)、顔料、染料、防黴剤、抗菌剤、溶剤(例、アセトン、アルコールなど)の成分を配合することができる。特に顔料あるいは染料を配合して本発明の歯科用重合性組成物を着色することにより、歯科用重合性組成物を塗布した部分と塗布していない部分とを区別することが可能になることから、本発明の歯科用重合性組成物を歯牙および歯肉とは異なる色調に着色することが好ましい。
【0041】
本発明の歯科用重合性組成物は、上記(A)水混和性多官能重合性単量体、(B)水、(C)ラジカル重合開始剤、(D)粘度調整剤、さらに必要により還元性化合物および他の成分を任意の順序で混合することにより製造することができる。ただし、(C)ラジカル重合開始剤として、常温化学重合タイプの開始剤またはデュアル重合タイプの開始剤を使用する場合には、保存中に組成物が重合しないように、通常は、組成物を2種類に分けて保存し、使用直前に混合して使用する。また、光重合タイプの開始剤を使用する場合には、混合中あるいは保存中に重合反応が進行しないように遮光することが望ましい。
【0042】
このようにして得られた本発明の歯科用重合性組成物は、粘着性の比較的粘度の高いペースト状であり、JIS T 6602-1993の4.3に規定する方法で測定した稠度は、通常は5〜100mm、好ましくは10〜50mmである本発明の歯科用重合性組成物を上記のような稠度を有するペースト状にすることにより、歯肉あるいは歯牙にある程度の厚さで塗布することが可能であり、また、このペーストは歯牙の隙間など細かい部分にまで侵入することが可能になる。さらに、このペーストをシリンジのような容器に充填して押し出すことも可能である。
【0043】
本発明の歯科用重合性組成物は、歯牙などの治療の際に、治療を要する部分を残して歯牙あるいは歯肉の上に塗布した後、硬化させて治療を要しない歯牙あるいは歯肉のマスキング剤として使用する。例えば本発明の歯科用重合性組成物が、ラジカル重合開始剤(C)として光重合開始剤を含有する光重合性組成物である場合、この光重合性組成物を遮光性のシリンジなどに充填して使用することが好ましい。すなわち、この光重合性組成物を保護しようとする歯牙あるいは歯肉表面に押し出して必要によりへらなどで一様に塗布する。この段階では、本発明の歯科用重合性組成物は、柔らかいポマードのようなペースト状であり、塗布厚、塗布部分などを自由に変えることができる。しかしながら、このペーストはある程度の粘度を有しているので、塗布面から垂れたりあるいは周囲に広がるようなことはない。次いで、この組成物に可視光線照射装置などを用いて所定の光線を照射することにより硬化反応が進行し、一旦硬化反応が始めると本発明の歯科用重合性組成物は急速に反応が進行してポリマーのネットワークが形成されてゲル状になる。こうして形成された硬化ゲルは、多量の水を含有しており、塑性変形しない程度に硬質であるが、充分に歯牙あるいは歯肉を保護することができる。また、この硬化ゲルは、耐薬品性も優れており、歯科治療に使用される薬品によって浸食されることもない。また、硬化ゲルは表面がべたつかないので、歯科用の器材と接触して器材に付着してこれらを汚染することもない。しかしながら、この硬化ゲルは充分な水を含有することから、比較的柔らかく、例えばナイフなどを用いて切削あるいはトリミングすることが可能である。
【0044】
こうして本発明の歯科用重合性組成物を硬化させて硬化ゲルにより歯牙あるいは歯肉を保護しながら所定の治療を施す。
治療終了後、硬化ゲルは歯科用のインスツルメントを用いて容易に除去することができる。
このようにして本発明の歯科用重合性組成物を使用することにより、治療を必要としない部分の歯牙あるいは歯肉を硬化ゲルにより安全にマスキングして治療することができる。
【0045】
なお、上記説明は、ラジカル重合開始剤として光重合開始剤を用いた場合を例にして説明したが、他のラジカル重合開始剤を使用した場合にも、同様に使用することができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明の歯科用重合性組成物は、硬化する前は柔らかなペースト状であり、歯牙の細部にまで侵入してマスキングが必要な歯牙あるいは歯肉の表面に塗布することができる。こうして塗布した後、この歯科用重合性組成物を硬化させて硬化ゲルにすることにより、マスキングされた歯牙あるいは歯肉を治療中安全に保護することができる。治療終了後、この硬化ゲルは容易に除去することができる。
【0047】
従って、本発明の歯科用重合性組成物を用いることにより、歯科治療を安全に行うことができる。
【0048】
【実施例】
次に実施例を示してさらに本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0049】
【実施例1】
ノナエチレングリコールジメタクリレート100重量部、蒸留水45重量部、カンファーキノン0.3重量部、ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル0.3重量部、表面をシランカップリング剤で疎水化処理した平均粒径7mμのアモルファスシリカ20重量部を混合して均一な透明組成物を得た。この透明組成物の稠度は31mmであった。
【0050】
この組成物について、絞り出し性、塗布性、組成物の垂れ、光硬化性、硬化ゲルのベタ付き、硬化ゲルの塑性変形の有無、硬化ゲルの切削およびトリミングのしやすさ、硬化ゲルの除去しやすさについて、以下に記載する方法で特性を評価した。結果を表1に示す。
絞り出し性の評価方法
組成物を19ゲージの注射針を取り付けたロック付き使い捨て遮光注射器(内容量5ml)に入れ、容易に絞り出せるどうかを調べた。
塗布性の評価方法
抜去した牛の前歯を研磨して、エナメル質部分に5mm×5mmの平滑面を得た上で、#1200の耐水研磨紙で仕上げ研磨した。その研磨面に対して、前述の注射器から組成物を絞り出し、塗布性(塗り易さ、伸び)を調べた。
組成物の垂れの評価方法
厚さ1mm、幅25mm、長さ75mmのガラス板に前述の注射器から組成物約0.02gを、直径約2mmの大きさに絞り出した、そのガラス板を垂直に立て30秒間放置した後の組成物の垂れを測定した。
光硬化性の評価方法
直径6mmの穴があいた厚さ3mmのテフロン(R)製板の穴に組成物を充填し、両側からセロファンを載せた上で厚さ1mmのガラス板を両側から圧接し、余分な組成物をはみ出させた。次いで、可視光照射器((株)モリタ製作所製、キャンデラックスLV-5型)を用いて可視光線を10秒間照射した。ガラス板とセロファンを取り外した後、未硬化物を取り除いて硬化物(硬化ゲル)の厚さを測定した。
硬化ゲルのベタ付きおよび塑性変形の有無の評価方法
コンポジット錬成充填インスツルメント(ヒューフレッド社製、AB1型)のナイフ部分を硬化したゲルの表面に接触させ、離したときの硬化ゲル表面のベタ付きを調べた。また、同じインスツルメントのナイフ部を硬化したゲルの表面に押し付け、ゲルの塑性変形の有無を調べた。硬化ゲルは、垂れの評価方法に使用したガラス板上の組成物に前記可視光照射器を用いて可視光線を10秒間照射して硬化させたものを使用した。
硬化ゲルの切削およびトリミングのしやすさの評価方法
コンポジット錬成充填インスツルメント(ヒューフレッド社製、AB1型)のナイフ部分を用いて、硬化ゲルの切削性およびトリミングの容易さを調べた。
【0051】
硬化ゲルは、垂れの評価方法に使用したガラス板上の組成物に前記可視光照射装置を用いて可視光線を10秒間照射して硬化させたものを使用した。
硬化ゲルの除去しやすさの評価方法
抜去された牛の前歯を研磨してエナメル質部分に5mm×5mmの平滑面を得た。この面を#1200の耐水研磨紙で仕上げ研磨した。その研磨面に対して、前述の注射器から組成物を絞り出しつつ厚さ約1mmで2mm×2mm程度の広さに塗り広げた。その組成物に前述の可視光線照射器を用いて可視光線を10秒間照射した後、前述のコンポジット錬成充填インスツルメントを用いて牛前歯からの組成物の除去の容易さを調べた。
【0052】
【実施例2】
テトラデカエチレングリコールジメタクリレート100重量部、蒸留水40重量部、カンファーキノン0.3重量部、ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル0.3重量部、表面をシランカップリング剤で疎水化処理した平均粒径7mμのアモルファスシリカ20重量部を混合して均一な透明組成物を得た。この透明組成物の稠度は30mmであった。
【0053】
この組成物について、実施例1と同様にして、絞り出し性、塗布性、組成物の垂れ、光硬化性、硬化ゲルのベタ付き、硬化ゲルの塑性変形の有無、硬化ゲルの切削およびトリミングのしやすさ、硬化ゲルの除去しやすさについて、以下に記載する方法で特性を評価した。結果を表1に示す。
【0054】
【実施例3】
トリコサエチレングリコールジメタクリレート100重量部、蒸留水30重量部、カンファーキノン0.3重量部、ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル0.3重量部、表面をシランカップリング剤で疎水化処理した平均粒径7mμのアモルファスシリカ20重量部を混合して均一な透明組成物を得た。この透明組成物の稠度は、27mmであった。
【0055】
この組成物について、実施例1と同様にして、絞り出し性、塗布性、組成物の垂れ、光硬化性、硬化ゲルのベタ付き、硬化ゲルの塑性変形の有無、硬化ゲルの切削およびトリミングのしやすさ、硬化ゲルの除去しやすさについて、以下に記載する方法で特性を評価した。結果を表1に示す。
【0056】
【比較例1】
白色ワセリン(和光純薬工業(株)製)を用いて、実施例1と同様の諸性能を調べた。結果を表1に記載する。
【0057】
【表1】
Figure 0004979854
【0058】
*1) 大部分を取り除いた後、アルコール等で繰返し拭取ることが必要である。
上記の結果から、実施例1〜3の組成物は、10秒程度の短時間の可視光線の照射でゲル化し、硬化後のこの硬化ゲルは、比較例1の白色ワセリンと比較して歯科用のマスキング材として優れた性能を示す。

Claims (9)

  1. (A)5重量%以上の水溶液が均一になる多官能性単量体である水混和性多官能重合性単量体、
    (B)水、
    (C)ラジカル重合開始剤、ならびに、
    (D)下記充填材(D1)、および、水に1重量%以上溶解するものである、水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2)からなる群より選択される少なくとも1種の粘度調整剤
    を含有し、
    硬化して歯科用の非処理表面を保護する歯科用マスキング材を形成するものであることを特徴とする歯科用重合性組成物:
    充填材(D1);
    (i)シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機質フィラー、
    (ii)重合体の粉砕もしくは重合性単量体の分散重合によって得られる粉末重合体のフィラーまたは架橋剤を含む重合性単量体を重合させた後粉砕して得られるフィラーであり、
    前記重合体が、ポリ酢酸ビニル;ポリスチレン;酢酸ビニル/スチレン共重合体;または前記(A)水混和性多官能重合性単量体の単独重合体及び/または該(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体の重合体であり、
    前記重合に用いられる重合性単量体が前記(A)水混和性多官能重合性単量体および/または該(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体である有機質フィラー、
    ならびに
    (iii)前記無機質フィラーと、前記(A)水混和性多官能重合性単量体および/または該(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体とを、混合して重合した後、粉砕して得られるフィラーである有機質複合フィラー
    からなる群より選択される少なくとも1種、
    但し、前記(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体は、単官能重合性単量体および/または多官能重合性単量体であり、
    前記単官能重合性単量体は、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレンモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル、(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物、複素環を有する(メタ)アクリレートおよび酸性基を有する(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記多官能重合性単量体は、アルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルカンポリオール(メタ)アクリレート、下記式(1)で表される脂環族もしくは芳香族(メタ)アクリレート、下記式(2)で表される脂肪族、脂環族もしくは芳香族エポキシジ(メタ)アクリレートおよび下記式(3)で表される分子内にウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、
    Figure 0004979854
    (ただし、上記式(1)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0または正の数を表し、R2
    Figure 0004979854
    のいずれかの基を表す)、
    Figure 0004979854
    (ただし、上記式(2)において、R3は水素原子またはメチル基を表し、nは0または正の数を表し、R4は−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−、
    Figure 0004979854
    のいずれかの基を表す)、
    Figure 0004979854
    (ただし、上記式(3)において、R5は水素原子またはメチル基を表し、R6は−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−、
    Figure 0004979854
    のいずれかの基を表す)。
  2. (A)5重量%以上の水溶液が均一になる多官能性単量体である水混和性多官能重合性単量体、
    (B)水、
    (C)ラジカル重合開始剤、ならびに、
    (D)下記充填材(D1)、および、水に1重量%以上溶解するものである、水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2)からなる群より選択される少なくとも1種の粘度調整剤
    を含有し、かつ、
    前記(A)水混和性多官能性単量体以外の重合性単量体を、前記(A)水混和性多官能性単量体100重量部に対して200重量部以下の量で含有し、
    前記(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体が、単官能重合性単量体および/または多官能重合性単量体であり、
    前記単官能重合性単量体が、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレンモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル、(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物、複素環を有する(メタ)アクリレートおよび酸性基を有する(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記多官能重合性単量体が、アルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルカンポリオール(メタ)アクリレート、下記式(1)で表される脂環族もしくは芳香族(メタ)アクリレート、下記式(2)で表される脂肪族、脂環族もしくは芳香族エポキシジ(メタ)アクリレートおよび下記式(3)で表される分子内にウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である
    ことを特徴とする歯科用重合性組成物:
    Figure 0004979854
    (ただし、上記式(1)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0または正の数を表し、R2
    Figure 0004979854
    のいずれかの基を表す)、
    Figure 0004979854
    (ただし、上記式(2)において、R3は水素原子またはメチル基を表し、nは0または正の数を表し、R4は−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−、
    Figure 0004979854
    のいずれかの基を表す)、
    Figure 0004979854
    (ただし、上記式(3)において、R5は水素原子またはメチル基を表し、R6は−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)6−、
    Figure 0004979854
    のいずれかの基を表す)、
    充填材(D1);
    (i)シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよびリン酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機質フィラー、
    (ii)重合体の粉砕もしくは重合性単量体の分散重合によって得られる粉末重合体のフィラーまたは架橋剤を含む重合性単量体を重合させた後粉砕して得られるフィラーであり、
    前記重合体が、ポリ酢酸ビニル;ポリスチレン;酢酸ビニル/スチレン共重合体;または前記(A)水混和性多官能重合性単量体の単独重合体及び/または前記(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体の重合体であり、
    前記重合に用いられる重合性単量体が前記(A)水混和性多官能重合性単量体および/または前記(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体である有機質フィラー、
    ならびに
    (iii)前記無機質フィラーと、前記(A)水混和性多官能重合性単量体および/または前記(A)水混和性多官能重合性単量体以外の重合性単量体とを、混合して重合した後、粉砕して得られるフィラーである有機質複合フィラー
    からなる群より選択される少なくとも1種。
  3. 上記(C)ラジカル重合開始剤が、光重合開始剤であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の歯科用重合性組成物。
  4. 上記(A)水混和性多官能重合性単量体が、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートであり、かつ該ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが、エチレングリコールから誘導される繰り返し単位を平均して5〜30個有することを特徴とする請求項第1項または第2項記載の歯科用重合性組成物。
  5. 上記(D)粘度調整剤が、平均粒径0.005〜0.05μmのシリカおよび/または水溶性ポリマーであることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の歯科用重合性組成物。
  6. 上記歯科用重合性組成物が、(A)水混和性多官能重合性単量体と、該(A)水混和性多官能重合性単量体;100重量部に対して、5〜500重量部の(B)水と、0.01〜5重量部の(C)ラジカル重合開始剤と、5〜500重量部の(D)粘度調整剤とを含有することを特徴とする請求項第1項または第2項記載の歯科用重合性組成物。
  7. 上記歯科用重合性組成物は、JIS T 6602-1993の4.3で測定した稠度が5〜100mmの範囲内にあるペースト状物であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の歯科用重合性組成物。
  8. 上記歯科用重合性組成物が、硬化して歯科用の非処理表面を保護する歯科用マスキング材を形成するものであることを特徴とする請求項第2項記載の歯科用重合性組成物。
  9. 上記歯科用重合性組成物が、遮光性容器に収容されていることを特徴とする請求項第1項、第2項または第8項記載の歯科用重合性組成物。
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