JP4976234B2 - 光フィルタ及びそれを用いた照明器具 - Google Patents

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Description

本発明は、光フィルタ及びそれを用いた照明器具に関する。
従来から、樹脂製の照明カバーを用いて、照射光に含まれる虫を誘引し易い波長成分の光をカットして、虫が近寄り難くした照明器具が知られている(例えば、特許文献1)。この種の照明器具に用いられる照明カバーは、透光性合成樹脂に含まれる紫外線吸収剤、染料又は顔料等の含有量を適宜に調整して、波長が約300nmから約395nmまでの光を略100%カットし、波長が約405nmの光の透過率が約50%以下となり、波長が約450nm以上の光の平均透過率が約50%以上となるように構成される。
また、無機材料を用いた光フィルタが知られている(例えば、特許文献2参照)。この光フィルタは、ハロゲン化物を含有する分散ガラス上に銅アルコキシド溶液を塗布して加熱し、分散ガラスの表面近傍にハロゲン化銅微粒子を偏在させることによって作成され、上記のハロゲン化銅微粒子が紫外線を吸収することにより、紫外線の透過を遮断する。
特開2004−247156号公報 特開2003−313050号公報
しかしながら、特許文献1に示される樹脂製照明カバーは、一般に耐熱性が低いので、例えば、投光器のように、光源等から高熱を放射する照明器具に用いるには適していない。また、特許文献2に示される光フィルタは、分散ガラスの表面近傍にハロゲン化銅の微粒子を偏在させているので、ガラス中に不可避的に含まれる微量成分によってハロゲン化銅が酸化され、紫外線吸収能が低下することがある。また、このハロゲン化銅の酸化は、光フィルタの製造工程における加熱によって生じるだけでなく、光フィルタの使用時に光源からの熱によって更に促進される。そのため、この種の光フィルタも、投光器のような照明器具に用いられると、紫外線吸収能が経時的に劣化する虞がある。
また、ハロゲン化銅は、熱によって紫外線吸収能が劣化する他、水分による劣化を生じることもあり、防湿性及び防滴性が低下することがあった。このようなハロゲン化銅の劣化を抑制する方法として、透明樹脂から成る保護膜を形成する方法がある。しかし、一般の可溶性透明樹脂や熱硬化性透明樹脂は、高温条件下では、樹脂そのものが酸化して着色等を生じることがあるので、上述の樹脂製カバーと同様、高熱を放射する照明器具には適用できない。また、樹脂そのものが吸湿性及び吸水性を有するので、結果としてハロゲン化銅の劣化が生じ、製品の機能維持という機能を十分に果たすものではない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、投光器のような高熱を放射する照明器具に用いられても、紫外線吸収能の経時的な劣化を防ぐことができる光フィルタ、及びそれを用いることにより、持続的に虫の誘引を抑制することができる照明器具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、波長が300nmから395nmまでの光の透過率が2%以下であり、波長が405nmの光の透過率が50%以下である光フィルタであって、前記光フィルタは、ガラス基層と、このガラス基層上に設けられ、紫外線吸収能を有するハロゲン化銅層と、前記ハロゲン化銅層に隣接して設けられる金属層と、が積層されて成り、前記金属層は、銅よりもイオン化ポテンシャルの大きい金属から成り、膜厚が20〜50nmであるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光フィルタにおいて、前記ハロゲン化銅層における銅成分の割合は、前記ガラス基層における銅成分の割合よりも大きくなるように構成されているものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光フィルタにおいて、前記ガラス基層とハロゲン化銅層との間に、前記ガラス基層からのナトリウム成分の溶出を防止するための溶出防止層を更に備えるものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光フィルタにおいて、前記ハロゲン化銅層は、前記ガラス基層と接していて、前記金属層は、前記ハロゲン化銅層の端面を被覆して前記ガラス基層と接触するように形成されているものである。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光フィルタにおいて、前記金属層を被覆する樹脂層を更に備え、該樹脂層は、シリコーン系樹脂層又はポリイミド系樹脂層のうち、少なくともいずれか一方を含むものである。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の光フィルタにおいて、表面に形成される層は、Ti、Al、Si、Ge、Zr、Ce、Znのうち少なくとも1種の元素を含む酸化物、窒化物又は酸窒化物から成るものである。
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光フィルタを備えた照明器具である。
請求項1の発明によれば、紫外線吸収能を有するハロゲン化銅層が、ガラス基層上に積層された構造となっていて、ガラス基層内にハロゲン化銅が偏在しないので、ガラス基層中に存在する微量成分によってハロゲン化銅が酸化され難く、高温条件下でも紫外線吸収能の劣化が少ない。また、ハロゲン化銅層は、化学的に安定な金属層によって保護されるので、空気中の酸素や水分によって酸化され難く、隣接する金属層自体によって酸化されることもなく、紫外線吸収能の経時的な劣化が少ない。そのため、投光器のような高熱を放射する照明器具にも適用することができ、照明光に含まれる紫外線を低減して、持続的に虫の誘引を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、ガラス基層とハロゲン化銅層とが接触していても、ハロゲン化銅層からガラス基層に侵入する銅成分の割合が低く抑えられるので、光フィルタが高温条件下で使用されたときにも、経時的な紫外線吸収能の劣化を防ぐことができる。
請求項3の発明によれば、溶出防止層によって、ガラス基層中に不可避的に含まれるナトリウム成分等とハロゲン化銅層との接触が避けられるので、ハロゲン化銅層が着色する、いわゆるソーラリゼーションが抑制され、光フィルタの透過特性を維持することができる。
請求項4の発明によれば、金属層によって、ハロゲン化銅層の端面からの酸素や水分の侵入を防ぐことができるので、ハロゲン化銅層の酸化が抑制され、紫外線吸収能の劣化を効果的に防ぐことができる。
請求項5の発明によれば、金属層が樹脂層によって保護されることにより、金属層の物理的な劣化を防止することができるので、ハロゲン化銅層の酸化が抑制され、紫外線吸収能の劣化を更に効果的に防ぐことができる。
請求項6の発明によれば、光フィルタの表面に形成された、Al等の金属元素を含む酸化物、窒化物又は酸窒化物から成る層によって、酸素や水分といったガス分子がハロゲン化銅層に侵入することを更に効果的に抑制できるので、紫外線吸収能を長期間にわたって維持することができる。
請求項7の発明によれば、高温状態に置かれても紫外線吸収能が経時的に劣化し難い光フィルタを備えているので、持続的に虫の誘引を抑制できる照明器具が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る光フィルタ及びそれを備えた照明器具について、図1及び図2(a)乃至(d)を参照して説明する。本実施形態の光フィルタ1は、ガラス基層10と、このガラス基層上に設けられる紫外線吸収能を有するハロゲン化銅層11と、ハロゲン化銅層11に隣接して設けられる金属層12と、が積層されて成り、金属層12は、銅よりもイオン化ポテンシャルの大きい金属から成る。
図1は、光フィルタ1の光透過特性を示す透過スペクトルであり、縦軸に波長を、横軸に透過率を示す。図示のように、光フィルタ1は、波長が300nmから395nmまでの光の透過率が2%以下であり、波長が405nmの光の透過率が略50%以下となるように構成されている。上記のように各波長の光のカット率及び透過率が調整された光フィルタ1は、光フィルタ1を透過した光に含まれる紫外領域の波長成分を低減して、虫の誘引を抑制すると共に、青色波長成分の制限に伴う光色の黄味がかりを抑制して、自然な照明光を実現することができる。
ガラス基層10には、例えば、石英ガラスが用いられ、好ましくはナトリウム成分が略ゼロである透光性材料が用いられる。ハロゲン化銅層11には、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅を真空蒸着又はスパッタ蒸着等の公知の気相製膜法により製膜された薄膜が用いられる。また、金属層12には、銅よりもイオン化ポテンシャルの大きい金属、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)を、真空蒸着又はスパッタ蒸着等の公知の気相製膜法により製膜された金属薄膜が用いられる。
光フィルタ1は、紫外線吸収能を有するハロゲン化銅層11が、ガラス基層10上に積層された構造となっているので、ガラス基層10内にハロゲン化銅が偏在することはない。そのため、ガラス基層10中に存在する微量成分によってハロゲン化銅が酸化することが抑制され、高温条件下でも紫外線吸収能の劣化が少ない。
また、光フィルタ1は、銅よりもイオン化ポテンシャルの大きい金属から成る金属層12が、ハロゲン化銅層11に隣接して、これを保護している。ハロゲン化銅は、ハロゲン化物イオン及び銅イオンがイオン結合した化合物であり、一般にハロゲン化物イオンは容易に遊離する性質を有する。そのため、例えば、ハロゲン化銅の周囲に、銅よりもイオン化ポテンシャルの小さい、すなわち、イオン化傾向の大きい金属が存在すると、ハロゲン化物イオンは、銅イオンよりもイオン化傾向の大きい金属イオンと結合して安定化する。一方、ハロゲン化物イオンと電離して銅イオンは、その電荷を補填すべく、酸素イオンと結合して酸化銅となる。その結果、ハロゲン化銅の酸化が進み、紫外線吸収能が低下する。
これに対して、本実施形態の光フィルタ1では、ハロゲン化銅層11に隣接して設けられる金属層12が、銅よりもイオン化ポテンシャルの大きい金属から成る。イオン化ポテンシャルの大きい金属は、イオン化するために要するエネルギーが大きく、化学的に安定である。そのため、ハロゲン化銅層11は、化学的に安定な金属層12によって保護され、空気中の酸素や水分によって酸化され難く、また、隣接する金属層12によっても酸化され難い。この構成により、光フィルタ1は、投光器のような高熱を放射する照明器具に用いられても、金属層12によってハロゲン化銅層11の酸化が抑制され、経時的な紫外線吸収能の劣化を防ぐことができる。
好ましくは、光フィルタ1は、ハロゲン化銅層11における銅成分の割合が、ガラス基層10における銅成分の割合よりも大きくなるように構成される。この構成によれば、ガラス基層10とハロゲン化銅層11とが接触していても、ハロゲン化銅層11からガラス基層10に侵入する銅成分の割合が低く抑えられるので、紫外線吸収能の経時的な劣化を防ぐことができる。
更に好ましくは、光フィルタ1は、図2(a)に示されるように、金属層12がハロゲン化銅層11の端面を被覆してガラス基層10と接触するように形成される。この構成によれば、金属層12により、ハロゲン化銅層11の端面からの酸素や水分の侵入が抑制されるので、ハロゲン化銅層11の酸化が更に効果的に抑制されると共に、紫外線吸収能の劣化を防ぐことができる。
また、光フィルタ1は、図2(b)に示されるように、ガラス基層10とハロゲン化銅層11との間に、ガラス基層10からのナトリウム成分の溶出を防止するための溶出防止層13を備えることが望ましい。この溶出防止層13によって、ガラス基層10中に不可避的に含まれるナトリウム成分等とハロゲン化銅層11との接触が避けられるので、ハロゲン化銅層11が着色する、いわゆるソーラリゼーションが抑制され、光フィルタ1の透過特性を維持することができる。
更に好ましくは、光フィルタ1は、図2(c)に示されるように、シリコーン系樹脂層又はポリイミド系樹脂層のうち、少なくとも一方を含む樹脂層14を更に備え、この樹脂層14は、金属層12を被覆するように形成される。上述のように、金属層12は化学的には安定であるが、一般に物理的な耐久性が高いとは言えない。この金属層12に傷が入る等、物理的な劣化が生じると、金属層12はハロゲン化銅層11の酸化を十分に抑制することができない。しかし、上述のように、金属層12が樹脂層14によって保護されることにより、金属層12の物理的な劣化を低減することができるので、ハロゲン化銅層11の酸化も抑制され、紫外線吸収能の劣化を更に効果的に防ぐことができる。
樹脂層14には、好ましくは、ポリシルセスキオキサン樹脂又は脂環式ポリイミドが用いられる。ポリシルセスキオキサン樹脂は、Si−O結合が2次元的又は3次元的に結合した梯子型構造又は籠型構造を有しているので、通常の直鎖状シリコーンよりも、その化学構造を保持できる耐熱温度が高い。また、脂環式ポリイミドは、化学構造中にベンゼン環のような芳香環を含まないので、可視域に光吸収帯がない無色透明の樹脂であり、イミド構造に由来する通常のポリイミドと同等の耐熱性を有する。そのため、これらの樹脂は、高温条件下でも透明性を維持することができ、光フィルタに用いられる保護膜として適している。
また、光フィルタ1の最表面には、図2(d)に示されるように、Ti、Al、Si、Ge、Zr、Ce、Znのうち少なくとも1種の元素を含む酸化物、窒化物又は酸窒化物から成る保護層15が形成される。この保護層15が形成されることにより、ハロゲン化銅層11に酸素や水分といったガス分子が侵入することを更に効果的に抑制することができ、光フィルタ1は、紫外線吸収能をより長期間維持することができる。なお、この保護層15は、金属層12と樹脂層14との間にも設けられることにより、より効果的にハロゲン化銅層11の酸化を抑制することができる。
以下に、本実施形態に係る光フィルタ1の実施例1乃至5について、比較例1乃至3と対比して説明する。
<実施例1>
ガラス基層としての石英ガラス(東ソークオーツ製合成石英:ESグレード、25×25mm、厚み1mm)、臭化銅(ナカライテスク製)を加えたタンタル製の抵抗加熱用ボート(ボートA)を、及び金チップ(田中貴金属製)を担持したタングステン製の抵抗加熱用バスケット(バスケットA)を真空蒸着装置内にセットして、5×10−5Torrまで真空排気した。その後、ボートAを加熱して臭化銅を蒸発させ、ガラス基層の石英ガラス上に臭化銅層(膜厚約1μm、以下CuBr層(ハロゲン化銅層))を形成した。次に、バスケットAを加熱して金を蒸発させて、臭化銅層上に金層(膜厚20〜50nm、以下Au層(金属層))を形成した。
次に、一度真空状態を解除して、真空蒸着装置からボートA及びバスケットAを取り出し、代わりにアルミニウムチップ(ニラコ製)を担持したタングステン製抵抗加熱用バスケット(バスケットB)を真空蒸着装置内にセットして、再び5×10−5Torrまで真空排気した。その後、バスケットBを加熱して、上記Au層上にアルミニウム層(以下、Al層)を形成した。CuBr層、Au層、Al層が形成された石英ガラスは、電気炉にセットされ、200℃で5分間熱処理して、Al層を酸化アルミ層(膜厚20−40nm、以下、AlOx層)とした。
次に、ポリシルセスキオキサン樹脂(以下、PSQ)を含むトルエン溶液を、上記のAlOx層上に回転塗布(回転数:2000rpm)により塗布した。塗布後、オーブン中180℃で10分間熱処理して、PSQ層を形成した。その後、再び蒸着装置内にセットして再度Al層を形成し、先述と同様に、電気炉中200℃で5分間熱処理して、最表面にAlOx層を製膜することにより、実施例1の光フィルタが作成された。この実施例1の光フィルタの分光透過特性を図1に示した。
<実施例2>
金層(Au層)の代わりに銀層(以下、Ag層)を用いた以外は実施例1と同様の製法により、実施例2の光フィルタが作成された。
<実施例3>
石英ガラスの代わりに、ソーダガラスの一方の表面にSiO膜をつけたガラスを基板として用いた以外は実施例1と同様の製法により、実施例3の光フィルタが作成された。
<実施例4>
ポリシルセスキオキサン樹脂(PSQ)の代わりに脂環式ポリイミド(丸善石油化学製:PI−101、以下、PI)を用いた以外は実施例1と同様の製法により、実施例4の光フィルタが作成された。
<実施例5>
最表面にAlOx層を製膜しなかった以外は実施例1と同様の製法により、実施例5の光フィルタが作成された。
上述のようにして作成された実施例1乃至5の光フィルタは、耐熱試験、耐湿試験及び耐UV試験に供し、試験前後における各光フィルタの光線透過率を測定し、それらの測定値から、夫々の光線透過率保持率を算出した。それらの結果を表1に示す。上記の耐熱試験は、実施例1乃至5及び比較例1,3の光フィルタを150℃のオーブン中に200時間保持した。耐湿試験は、上記各光フィルタを、60℃、80%RHのオーブンに24時間保持した。また、耐UV試験は、上記各光フィルタに対して、1kWの高圧水銀灯によるUV光を150時間照射した。
Figure 0004976234
金属層12に金(Au)を用いた光フィルタ(実施例1,3乃至5)と、銀(Ag)を用いた光フィルタ(実施例2)は、いずれも試験後においても高い透過率保持率を示した。また、樹脂層14にポリシルセスキオキサン樹脂(PSQ)を用いた光フィルタ(実施例1乃至3,5)及び脂環式ポリイミド(PI)を用いた光フィルタ(実施例4)も高い透過率保持率を示した。なお、最表面層にAlOx層が形成されていない実施例5の光フィルタは、他の実施例の光フィルタと比べると、耐湿試験後の透過率保持率が低くなった。
また、上記各実施例の光フィルタと対比される比較例1乃至3の光フィルタは以下のようにして作成された。まず、比較例1の光フィルタは、石英ガラスの代わりに、ソーダガラスを基板として用いた以外は実施例1と同様の製法により作成された。比較例2の光フィルタは、金層(Au層)が製膜されていない以外は実施例1と同様の製法により作成された。比較例3の光フィルタは、PSQの代わりにアクリル樹脂溶液を用いた以外は実施例1と同様の製法により作成された。そして、比較例1,3の光フィルタについて、実施例1乃至5の光フィルタと同様に、耐熱試験、耐湿試験及び耐UV試験に供し、試験前後における各光フィルタの光線透過率を測定し、それらの測定値から、夫々の光線透過率保持率を算出した。それらの結果を表2に示す。
Figure 0004976234
比較例1の光フィルタは、表2に示されるように、ガラス基層10にソーダガラスを用い、このソーダガラスとCuBr層(ハロゲン化銅層11)が接しているため、ハロゲン化銅層11に対してソーダガラスに含まれるナトリウム成分によるソーラリゼーションが生じ、耐熱試験及び耐UV試験後の透過率保持率が低くなった。これに対して、実施例1,2,4,5の光フィルタは、表1に示されるように、ガラス基層10として、ナトリウム成分をほとんど含まない石英ガラスを用いたので、ソーラリゼーションを生じることなく、耐熱試験及び耐UV試験後の透過率保持率は高かった。また、実施例3の光フィルタは、ガラス基層10として、ナトリウム成分を含むソーダガラスを用いているが、SiO膜から成る溶出防止層13を設けたことにより、各試験後においても他の実施例と同等の高い透過率保持率を示した。なお、比較例2の光フィルタは、AlOx層の製膜直後に暗黒緑色に変色し、実質的には光フィルタとして適用できなかったため、上述の試験には用いなかった。
比較例3の光フィルタは、表2に示されるように、樹脂層14に耐熱性が低いアクリル樹脂を用いたので、耐熱試験後の透過率保持率が低くなった。これに対して、実施例1乃至5の光フィルタは、表1に示されるように、樹脂層14に耐熱性に優れたポリシルセスキオキサン樹脂又は脂環式ポリイミドを用いたので、耐熱試験後の透過率保持率は高かった。
また、上述の実施形態で示した光フィルタ1を備えた照明器具は、高温状態に置かれても紫外線吸収能が経時的に劣化することがなく、持続的に虫の誘引を抑制できる。このように、持続的に虫の誘引が抑制される照明器具は、光フィルタ1に虫が付着して汚れることも少ないので、汚れによる光利用効率の低下も抑えることができるだけでなく、メンテナンスにかかる作業負担も低減され、ユーザにとって使い勝手がよい。
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。本発明の光フィルタは、本発明の光フィルタは、投光器のような、光源から強い熱が放射されるような照明器具に適用されることを想定しているので、耐熱性及び耐UV性に優れているが、上述した実施例からも明らかなように、耐湿性にも優れた特性を有している。そのため、例えば、太陽光や風雨に曝される屋外用照明器具に適用されてもよい。
本発明の一実施形態に係る光フィルタの光透過特性を示す図。 (a)乃至(d)は同光フィルタの側断面図。
符号の説明
1 光フィルタ
10 ガラス基層
11 金属層
12 ハロゲン化銅層
13 溶出防止層
14 樹脂層
15 最表面に形成される層

Claims (7)

  1. 波長が300nmから395nmまでの光の透過率が2%以下であり、波長が405nmの光の透過率が50%以下である光フィルタであって、
    前記光フィルタは、ガラス基層と、このガラス基層上に設けられ、紫外線吸収能を有するハロゲン化銅層と、前記ハロゲン化銅層に隣接して設けられる金属層と、が積層されて成り、
    前記金属層は、銅よりもイオン化ポテンシャルの大きい金属から成り、膜厚が20〜50nmであることを特徴とする光フィルタ。
  2. 前記ハロゲン化銅層における銅成分の割合は、前記ガラス基層における銅成分の割合よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光フィルタ。
  3. 前記ガラス基層とハロゲン化銅層との間に、前記ガラス基層からのナトリウム成分の溶出を防止するための溶出防止層を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光フィルタ。
  4. 前記ハロゲン化銅層は、前記ガラス基層と接していて、
    前記金属層は、前記ハロゲン化銅層の端面を被覆して前記ガラス基層と接触するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光フィルタ。
  5. 前記金属層を被覆する樹脂層を更に備え、
    該樹脂層は、シリコーン系樹脂層又はポリイミド系樹脂層のうち、少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光フィルタ。
  6. 最表面に形成される層は、Ti、Al、Si、Ge、Zr、Ce、Znのうち少なくとも1種の元素を含む酸化物、窒化物又は酸窒化物から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の光フィルタ。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光フィルタを備えた照明器具。
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