JP4975800B2 - 熱可塑性特性を有するポリマー複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
(a)示差走査熱量測定DSCで測定した場合に80℃以下のガラス転移温度Tgを有する少なくとも1種の懸濁ポリマーの1種以上のポリマー水性分散物を懸濁重合によって提供し;
(b)約10ミクロンシーブ粒子サイズ〜約11,100ミクロンシーブ粒子サイズの粒子サイズを有する1種以上の架橋ゴムの粒子と、懸濁ポリマーのポリマー水性分散物とを混合して、水性分散物中の水性分散物混合物を形成し;
(c)水性分散物混合物の水分含有量を低減させ;および
(d)物品を形成する;
ことを含む。
好ましくは、懸濁ポリマーはアクリル系ポリマーもしくはスチレン−アクリル系ポリマーである。
さらに別の実施形態においては、混合物の水分含有量を低減することは混合物の固形分を単離することを含む。
別の実施形態においては、懸濁ポリマーは、カルボン酸官能基、リン含有酸(phosphorus acid)官能基、ヒドロキシ官能基、アミン官能基、アセトアセトキシ官能基、シリル官能基、エポキシ官能基、シアノ官能基、イソシアナート官能基およびこれらの組み合わせから選択される官能基を有する1種以上の官能性モノマーの重合単位を有するコポリマーを含む。
(a)示差走査熱量測定DSCで測定した場合に80℃以下のガラス転移温度Tgを有する少なくとも1種の懸濁ポリマーの1種以上のポリマー水性分散物を懸濁重合によって提供し;
(b)懸濁ポリマーのポリマー水性分散物を乾燥させて、10%未満の水分含有量の懸濁ポリマーを生じさせ;
(c)約10ミクロンシーブ粒子サイズ〜約11,100ミクロンシーブ粒子サイズの粒子サイズを有する1種以上の架橋ゴムの粒子と、10%未満の水分含有量の懸濁ポリマーとを混合し;および
(d)物品を形成する;
ことを含む複合体物質を製造する方法が提供される。
本明細書において使用される場合、用語「懸濁ポリマー」は懸濁重合プロセスによって製造されたポリマーを意味する。懸濁ポリマーの粒子サイズは1ミクロン〜10,000ミクロンであることができ、ポリマー粒子は多くの場合「ビーズ」と称される。
本明細書において使用される場合、用語「ラテックスポリマー」とは、水中でのポリマーマイクロ粒子(1ミクロン未満の粒子サイズ)の分散物をいう。
本明細書において使用される場合、用語「エマルションポリマー」は、水中または実質的に水性の溶液中で、乳化重合プロセスにより製造されたポリマーを意味する。
本明細書において使用される場合、用語「粉砕」とは、引き裂き、剪断、摩耗または摩滅によって達成される固体粒子状物質の粒子サイズの低減をもたらすあらゆるプロセスをいう。
本明細書において使用される場合、用語「固体状態剪断粉砕(solid state shear pulverization)」または「S3P」とは、固体粒子に激しい剪断応力を与える、固体状態での物質の非溶融粉砕をいい、これは周囲温度のもしくは冷却した物質を用いて行われうる。
本明細書において使用される場合、用語「形成」とは、形作られた物品を生じさせるように熱可塑性物質を取り扱う操作をいう。
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、語句「コポリマー」は、独立して、コポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマーおよびこれらのあらゆる混合物もしくは組み合わせを含む。
本明細書において使用される場合、語句「アルキル」は、1以上の炭素原子を有するあらゆる脂肪族アルキル基を意味し、アルキル基にはn−アルキル基、s−アルキル基、i−アルキル基、t−アルキル基、または5、6もしくは7員環構造を1以上含む環式脂肪族が挙げられる。
用語「不飽和カルボン酸モノマー」または「カルボン酸モノマー」には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、α,β−メチレングルタル酸、フマル酸モノアルキル、マレイン系モノマー;これらの無水物およびこれらの混合物が挙げられる。マレイン系モノマーには、例えば、マレイン酸、2−メチルマレイン酸、マレイン酸モノアルキルおよび無水マレイン酸、およびこれらの置換体が挙げられる。
用語「不飽和スルホン酸モノマー」には、例えば、2−(メチル)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびパラ−スチレンスルホン酸が挙げられる。
本明細書において使用される場合、「重量%」、「重量.%」または「重量パーセント」は、重量パーセントを意味する。本明細書において使用される場合、語句「ポリマー複合体固形分の全重量を基準にして」とは、ポリマー複合体(例えば、懸濁コポリマーおよび粉砕タイヤゴム)中の全ての非−水成分の合計重量に対する所定の成分の重量をいう。
同じ成分もしくは特性に関する全ての範囲の端点は、その端点を含み、独立して組み合わせ可能である。
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、用語「シーブ粒子サイズ」とは、所定の粒子サイズのふるいを通過したサンプルから得られた物質の粒子サイズをいう。例えば、203ミクロンサイズのふるい(60メッシュ)を通過するようにミルされた粉砕タイヤゴムは、203ミクロンサイズのシーブ粒子サイズを有する、もしくは単に203ミクロンシーブ粒子サイズを有すると称される。
本明細書において記載されるポリマー水性分散物の粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、Malvern Mastersizer2000商標粒子サイズ分析器(Malvern Instruments Ltd.,Malvern、Worcestershire、英国)を用いて測定された。この装置は光散乱技術を使用し、得られる粒子サイズは重量平均粒子サイズである。
水性懸濁ポリマー分散物は架橋ゴムの粒子とブレンドされて、水性分散物中の混合物を形成する。
さらに、本発明者は固体状態ミリング技術がスラリーの湿式ミリングにおいて好適であり得ることを見いだした。ある実施形態においては、水性懸濁ポリマー分散物は架橋ゴムの粒子と混合されて、水性分散物中の混合物を形成し、この混合物は固体状態剪断粉砕(S3P)にかけられる。
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
LMA:メタクリル酸ラウリル
MHEC:メチルヒドロキシエチルセルロース(Culminal登録商標MHEC8000)1
界面活性剤A:分子あたり1〜40のエチレンオキシド基を有するエトキシ化C8−C18アルキルエーテルサルフェート(水中30%活性)
SLS:ラウリル硫酸ナトリウム
APS:過硫酸アンモニウム
t−BHP:tert−ブチルヒドロペルオキシド
IAA:イソアスコルビン酸
LPO:ジラウロイルペルオキシド
BPO:ジベンゾイルペルオキシド(水中75%活性)
EDTA:エチレンジアミン四酢酸キレート剤
1.登録商標(Hercules Inc.,Aqualon Division、ウィルミントン、デラウエア州、米国から入手可能)
パドルスターラ、熱電対、窒素入口および還流凝縮器を備えた5リットル四つ首丸底フラスコ中で懸濁重合によりポリマー水性分散物が製造された。それぞれの場合において、懸濁重合からのケトル内容物は100メッシュスクリーン上で水ですすがれ、水中分散物として貯蔵された。
1600gの蒸留水、4.9gのMHECおよび0.77g亜硝酸ナトリウムをケトルに添加した。この混合物を80℃に加熱し、1時間80℃で保持した。次いで、これを室温まで冷却した。一方で、350gのBA、350gのMMA、5.25gのLPOおよび7gのBPOを混合することにより有機相溶液が製造された。ケトル内容物が室温に到達したら、攪拌を停止し、有機相をケトルに注いだ。次いで、攪拌を再開させた。混合物を室温で1/2時間攪拌し、攪拌を停止させた時点で分散物は安定性について(目視で)チェックされた。次いで攪拌が再開された。ケトル内容物の温度を1時間かけて70℃に上昇させ、次いで3時間70℃に保持した。次いで、ケトル内容物の温度を80℃に上昇させ、80℃で1時間保持し、次いで室温まで下げた。
概して、ケトル内容物は100メッシュスクリーン上で水ですすがれ、水中分散物として貯蔵された。SP1の場合には、バッチの一部分だけが100メッシュスクリーン上で水ですすがれ、水中分散物として貯蔵された。ポリマー/ゴム複合体の特性に対する懸濁ポリマー処理条件の影響を評価するために、バッチの残部は以下の実施例7において記載されるように処理された。
有機相溶液が525gのBA、175gのMMA、5.25gのLPOおよび7gのBPOを混合することにより製造されたことを除いて、製造法はSP1のと同じである。
400gの蒸留水、2.09gのMHECおよび0.165gの亜硝酸ナトリウムをケトルに添加した。この混合物を80℃に加熱し、80℃で1時間保持した。次いでこれを室温に冷却した。一方、49.5gのBA、52.2gのMMA、48gのLMA、0.75gのLPOおよび1gのBPOを混合することにより、有機相溶液を製造した。残りの方法はSP1と同じである。
パドルスターラ、熱電対、窒素入口および還流凝縮器を備えた5リットル四つ首丸底フラスコ中で乳化重合によりポリマー水性分散物が製造された。
500gの蒸留水および25gの界面活性剤Aをフラスコに添加した。内容物を窒素下85℃で加熱した。次いで、20gの蒸留水中の5.3gの重炭酸ナトリウムの溶液を添加し、20gの蒸留水中の5.3gのAPSの溶液であった。
フラスコ内容物が85℃の安定な温度を達成してから、120gの蒸留水中の1gのAPSの開始剤溶液を1g/分の割合でケトルに供給した。開始剤供給が始まったのと同じ時点で、9.5g/分で20分間のモノマーエマルション(ME)供給(500gの蒸留水、12.5gの界面活性剤A、750gのBA、735gのMMAおよび15gのMAAから製造された)が開始された。20分後、ME供給が19g/分に増大され、一方で、開始剤供給は1g/分のままであった。ケトル温度は85℃に維持された。約90分で、温度が85±3℃に維持されうるように充分にゆっくりと、100gの蒸留水を重合系に添加した。
開始剤供給およびME供給が完了した後、ケトル温度を85℃で20分間維持し、次いで75℃に下げた。蒸留水中の0.15%硫酸鉄の溶液5gをケトルに添加し、蒸留水中の1%EDTAの溶液1.6gであった。温度が75℃に安定化したときに、20gの蒸留水中の0.8gのt−BHPと、20gの蒸留水中の0.42gのIAAとのコフィードが1g/分でケトルに添加された。これらの供給がが完了したとき、温度を65℃に下げた。温度が65℃に安定したとき、20gの蒸留水中の0.8gのt−BHPと、20gの蒸留水中の0.42gのIAAとのコフィードが1g/分でケトルに添加された。これらの供給が完了したとき、温度を室温に下げた。ケトル温度が40℃未満に低下したら、水中14.5%のアンモニア16gが添加されて、pHを増加させた。4.64gのRocima商標BT25(ロームアンドハースカンパニー、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、米国)が5gの蒸留水中に溶解されて、ケトルに添加され、ケトルの内容物はろ過されて、凝塊を除いた。得られた分散物、EP1Aは50.9%の固形分と9.17のpHを有していた。
MEが500gの蒸留水、12.5gの界面活性剤A、750gのBAおよび750gのMMAから製造されたことを除いて、製造法はEP1Aのと同じであった。得られた分散物、EP1Bは50.4%の固形分と9.78のpHを有していた。
MEが500gの蒸留水、12.5gの界面活性剤A、1100gのBA、350gのMMAおよび15gのMAAから製造されたことを除いて、製造法はEP1Aのと同じであった。得られた分散物、EP2は50.8%の固形分と9.26のpHを有していた。
EP3が界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムを使用したことを除いて、製造法は、米国特許第5,521,266号の実施例4に類似していた。
比較例2のエマルションポリマーはコロイド的に安定であり、後述のように、ラテックスの凝集によってゴムとのスラリー混合物を形成するために製造される。1000gのエマルションポリマー1(EP1A、50.9%固形分)は、2ガロンの容器内で3500gの水で希釈された。FeCl3の40%溶液37.6gをこの分散物に攪拌しつつ添加し、ラテックスの凝集を開始させた。攪拌を15分間続け、凝集したポリマー分散物を一晩平衡化させた。凝集したポリマー固体の粒子サイズは光学顕微鏡により、約10〜200ミクロンであると推定された。さらに、凝集した分散物の粒子サイズおよび粒子サイズ分布はMalvern Mastersizer2000商標粒子サイズ分析器を用いて測定された。結果は、80%超が2−200ミクロンであり、〜25ミクロンにピークを有する、1ミクロンから1,000ミクロンまでの幅広の粒子分布を示した。
コロイド的に安定なポリマー分散物、例えば、比較例2のエマルションポリマーは、ポリマー/ゴムスラリー混合物を製造するために、追加の処理工程を必要とする。これは粒子サイズが非常に小さく固体を単離するために効果的にろ過できず、かつラテックスポリマー粒子の大部分はミリング工程においてゴムと相互作用できないからである。エマルションポリマーについては、固体の単離およびミリング工程における効果的なポリマー/ゴム相互作用の双方は、比較例2(a)に記載されるようにラテックスポリマーを凝集させることにより達成されうることが見いだされた。一方、懸濁ポリマーは合成されたままで(実施例1)使用されうる。実施例7でさらに論じられるように、懸濁ポリマーの追加の処理も行われうる。
凝集したラテックスもしくは懸濁ポリマービーズの分散物を粉砕タイヤゴムと単にブレンドすることによりポリマー/ゴムスラリーは最低限の処理で製造されることができ、またはそのスラリー混合物は、例えば、実施例4および/または実施例5に記載されるようにさらに処理されうる。単純なブレンドの場合には、ポリマー分散物(500gのポリマー固形分、凝集したラテックスとして、または懸濁ポリマービーズとして)は、固体対固体で(solid on solid)、等しい重量の(または所望のポリマー/ゴム比率に応じた)粉砕タイヤゴム(203ミクロンシーブ粒子サイズ;すなわち、60メッシュ;Lv Huan Rubber Powder Limited Company,Zhejiang,中国)とブレンドされたが、なお、粉砕タイヤゴムはポリマー分散物に対して攪拌しつつ、10分間にわたって徐々に添加された。
エマルションポリマー/ゴム複合体は、懸濁ポリマー/ゴム複合体と下記の実施例6において比較される。
実施例3からのスラリーは、場合によっては、湿潤条件下で、例えば、ディスクミル法(米国特許第6,394,372号に記載されるような)またはパンミル法(プラスチック、ゴムおよび複合体加工および用途(Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications)1996年、第25巻、第3号、152〜158;ポリマーエンジニアリングアンドサイエンス、1997、第37巻、第6号、1091〜1101に記載されるような)を用いて、固体状態剪断粉砕にかけられうる。それぞれの場合において、ポリマー/ゴムスラリーは10%全固形分に希釈され、ディスクミルまたはパンミルの取り込み口に供給される。ミリングは周囲条件下で行われる。パンミルの場合には、移動パンを60rpmで回転させつつスラリーは粉砕されたスラリーの排出物をミルに再導入することにより5回粉砕される。パンの間の隙間は流体駆動装置によって制御され、ポリマー/ゴム混合物の効果的な粉砕を達成する。ディスクミルはより速い速度で回転し、一回だけしかミルの通過を必要としない。
ミリング後、またはミリングなしの場合でさえ、ポリマー/ゴムスラリー混合物は典型的には、10ミクロンフィルターバッグを用いてろ過され、固体混合物はさらに絞られてフリーの水を低減させた。固体複合体生成物を単離する処理工程は変化することができ、いくつかの方法が以下(実施例7)に記載され、比較される。好ましい手順においては、得られる湿潤固体(〜50−60%水分含有量)は真空オーブン中70℃(〜75cmHg)で2日間乾燥させられた。乾燥した混合物固体(5%未満の水分含有量)は、場合によっては、2−ロールミルにおいて190℃で5分間処理された後、圧縮成形された。圧縮成形は、厚み0.102、0.127または0.203cm(厚み40、50または80mil)で、25.4cm×25.4cm(10インチ×10インチ)のフレームを取り付けたスチールプラーク(steel plaques)間で、190℃で全部で5分間;3分間は低圧(10−15トン)および2分間は高圧(75トン)で達成された。追加の冷却も加圧下(75トン)、室温で5分間、循環水を備え付けた冷却加圧器において行われた。他に示されない限りは(例えば、実施例8において)、以下の実施例において製造されたサンプルの全ては2−ロールミルで処理され、次いで圧縮成形された。
ポリマー/ゴム複合体物品を製造する別の手順においては、乾燥した混合物固体が、2−ロールミリング工程を経ることなく、直接に押出によっても処理されうる。乾燥したポリマー/ゴム複合体は、40rpmで回転する2つの先細の1.9cm(3/4インチ)直径のスクリューを用いた、Haake逆方向回転円錐ツインスクリューを用いて押し出されうる。この主要ユニットは3つの加熱領域(185−190−195℃)、並びに、温度制御のための様々な熱電対および冷却ホースを含む。この物質は5cm(2インチ)幅で、0.102cm(40ミル)のギャップサイズのリップダイを通して押し出されうる。
実施例5(a)からの複合体サンプルは成形されたプラークからドッグボーン状に切り出され、約0.35cm(0.14インチ)の幅および0.102cm(40ミル)の厚みが得られた。機械的試験はTinius Olsen H50KS引張試験器(Tinius Olsen Inc.,ホーシャム、ペンシルベニア州)で、ゴムのためのタイプ5セッティングを用いて、ASTM D−628プロトコールに従って行われた。クロスヘッド速度は0.76cm/分(0.3インチ/分)であって、0.76cm(0.3インチ)のゲージ長さが使用された。この試験は23℃の制御された温度および50%の制御された相対湿度で行われた。この試験から、サンプルの破断点伸び、最大応力(引張強さ)および引裂抵抗が決定された。以下の表2は、それぞれ、実施例1および比較例2の懸濁ポリマーおよびエマルションポリマーを用いて製造された50/50 ポリマー/ゴム複合体の機械的特性を比較する。有用な水準の安定性のために、エマルションポリマーは、多くの場合、追加のコロイド安定剤または少量のアニオン性モノマー(例えば、塩基性pHでの酸モノマー)のいずれかを必要とする。この理由のために、エマルションポリマー組成物における1%酸モノマーの存在は、酸モノマーを使用しない不充分な安定性のエマルションポリマーよりも、組成物のより現実的な代表となる安定性の水準を提供するように働く。
6(b)低温柔軟性および水吸収試験
熱可塑性複合体の柔軟性は多くの最終用途、例えば、複合体が、屋根の尖ったところの上で柔軟であることを必要とするシートの形態であり得る、シングル屋根板で重要である。ポリマー/ゴム複合体は、低温柔軟性について、ゴムタイプの物質のクラッキングに対する抵抗性を測定するマンドレル曲げ試験(ASTM試験D552)に従って試験された。ポリマー/ゴム膜(0.102cm厚、すなわち、40mil)が、特定の直径(1.3cm、すなわち1/2インチ)の円筒形マンドレル上で、特定の低い温度(−25℃および−45℃)で1秒間曲げられ、クラッキングを評価した。クラッキングが観察されなかった場合には、より小さな直径(0.3cm、すなわち1/8インチ)のマンドレルを用いてこの手順が繰り返される。この試験は、所定のマンドレル直径および所定の温度でクラッキングが起こるかどうかに従った、「合格」(P)/「不合格」(F)基準で評価される(以下の表3;「P1/2」は、示された試験温度で1/2インチ直径のマンドレル上で曲げた後で膜にクラックが生じなかったことを意味する)。
ポリマー物質または複合体の屋根用用途のような多くの産業用途は、水の吸収を最低限にすること、例えば、7日間にわたって水中に沈めた場合に5%未満の水吸収、または20日間にわたって10%未満を必要とするか、または用途が決定づけうる。圧縮成形後の最終固体複合体物質の水感受性は成形された複合体のかけらを水中に沈め、次いで表面の水を乾燥させた後で、時間の経過による水の吸収を測定することにより決定された。水吸収は、複合体の重量に対する吸収水の重量として計算された(以下の表3)。
さらに、懸濁ポリマーは優れた溶融加工特性の複合体を提供し;特に、懸濁ポリマーからのポリマー/ゴム複合体は、類似のエマルションポリマーからの複合体と比較してより良好な融合1およびバンディング(banding)2、バンクロール形成3、溶融強度4、クロスカット(cross−cut)5およびフォールド(fold)5を有していたことが認められた。
2.バンディング:物質はロールの周りの粘性リボンに融合し、これはミルに固着することなく容易に取り除かれうる。このリボンは容易に除去されかつ操作されるのに充分な機械的一体性を有する。
3.バンクロール形成:円筒状物質が2つのロールの間の2−ロールミルの上部に形成する。ロールが回転するにつれてこの物質は回転する。バンクロール形成は重要である、というのは、異なる成分がミルを通る前に完全に混合するのを可能にするという観点、並びにミルを通るリボンの厚みが均一であることを確実にするという観点の双方において、バンクロール形成は生成物に均一性を付与するからである。
4.溶融強度:2−ロールミルを出るシートにおける引張によって溶融強度が定性的に測定されうるような、溶融物の引張特性。より高い溶融強度を有するサンプルは伸びて、次いで跳ね返る。非常に低い要求強度を有するサンプルは単純に流れる。
5.クロスカットおよびフォールド:2−ロールミルを出るシートが切断されることができ、折りたたまれることができ、このミルを通って再び供給されうる。
50/50懸濁ポリマー/ゴムスラリー混合物のサンプル(実施例3より)が使用され、懸濁ポリマー(SP1)を処理する4つの異なる方法でポリマー複合体を製造した。この方法は以下からなる:
i)対照:洗浄されたSP1:懸濁ポリマーを製造する手順はSP1について上述したのと同じである。100メッシュスクリーン上でそのバッチの一部分が水ですすがれ、水中分散物として貯蔵された。すすがれた懸濁ポリマーおよびGTRが所望のポリマー/ゴム比率(固形分重量比率)で混合され、フィルターバッグ内で絞られた。すすぎおよび絞りのサイクルはフィルターバッグ内で3回行われた。湿潤ケーキが真空オーブン中(60℃、〜75cmHg)で一晩乾燥させられた。これは対照の(洗浄された)手順である。
バッチの残部(洗浄されていない)は次の通り処理された:
ii)洗浄されていないSP1:この部分は重合の最後にケトルから取り出され、洗浄することなく貯蔵された。懸濁ポリマーおよびGTRは所望のポリマー/ゴム比率(固形分重量比率)で混合され、何ら追加のすすぎをすることなく、一度フィルターバッグ内で絞られた。湿潤ケーキが真空オーブン中(60℃、〜75cmHg)で一晩乾燥させられた。
iii)混合前に洗浄され乾燥されたSP1:この部分は100メッシュスクリーン上で水で洗浄された。ポリマー粒子は、次いで周囲条件下で乾燥させられて、砂状の粉体を生じさせた。乾燥した懸濁ポリマーおよびGTRは所望のポリマー/ゴム比率で混合された。混合物はさらに真空オーブン中(60℃、〜75cmHg)で一晩乾燥させられた。
iv)セルロースで処理されたSP1:SP1バッチの一部分(水ですすいだ後)がセルロース(ポリマー固形分の重量基準で1.5%)と3時間混合された。これは次いで100メッシュスクリーン上で水ですすがれ、水中分散物として貯蔵された。すすがれた懸濁ポリマーおよびGTRは所望のポリマー/ゴム比率(固形分重量比率)で混合され、フィルターバッグ内で絞られた。すすぎおよび絞りのサイクルはフィルターバッグ内で3回行われた。湿潤ケーキが真空オーブン中(60℃、〜75cmHg)で一晩乾燥させられた。
ポリマー/ゴム複合体はそのほかの点では同じに製造された。それぞれのサンプルは2−ロールミルで処理され、次いで実施例5(a)に記載されたように圧縮成形された。4つの異なる方法で形成されたポリマー複合体について機械的特性が試験された(以下、表4)。
さらに、この4つの異なる方法で得られたポリマー/ゴム複合体について、7日後および28日後の水吸収特性は互いにほとんど同じであった。所定の複合体組成物について、懸濁ポリマーの処理方法の詳細が、複合体の特性に対する有意な影響を有するとは認められず、このシステムは製造の容易性の観点で非常に堅調であることを示す。
複合体物質は、アクリル系ポリマー;スチレン−アクリル系ポリマー;ビニル−アクリル系ポリマー、酢酸ビニルポリマー、酢酸ビニル−アクリル系ポリマー、エチレン−酢酸ビニルポリマー、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルポリマー、およびスチレン系ゴム、例えば、イソプレン、ブタジエン、例えば、スチレン−ブタジエンポリマー、およびスチレン−ブタジエン−アクリロニトリルポリマーをはじめとする様々な他の懸濁ポリマーを用いて製造されうる。それぞれの懸濁ポリマーについて、ポリマー/ゴムスラリー混合物は実施例3に記載された方法に従って製造される。これらのポリマー/ゴムスラリーは実施例4および5に記載された方法によってさらに処理され、複合体物質を製造する。
ポリマー/ゴムスラリー混合物は、懸濁ポリマー製造施設由来の廃棄物質を用いて、実施例3の方法によって製造されうる。この廃棄物質は、類似の固形分量で添加されるGTR(例えば、203ミクロンシーブ粒子サイズ;すなわち60メッシュ)とブレンドし、次いでミリングし、上述のようにポリマー/ゴム混合物を処理することにより、ポリマー/ゴムスラリーを製造するために使用されうる。廃棄懸濁ポリマーおよびGTRに由来し、圧縮成形後の、得られた複合体シートは実施例6におけるのと類似の一体性を有するものと期待される。
Claims (12)
- (a)示差走査熱量測定DSCで測定した場合に80℃以下のガラス転移温度Tgを有する少なくとも1種の懸濁ポリマーの1種以上のポリマー水性分散物を懸濁重合によって提供し;
(b)10ミクロンシーブ粒子サイズ〜11,100ミクロンシーブ粒子サイズの粒子サイズを有する1種以上の架橋ゴムの粒子と、懸濁ポリマーのポリマー水性分散物とを混合して、水性分散物中の水性分散物混合物を形成し;
(c)水性分散物混合物の水分含有量を低減させ;
(d)物品を形成する;
ことを含む複合体物質を製造する方法。 - 水性分散物混合物の水分含有量を低減させる前または後で、水性分散物混合物を固体状態剪断粉砕にかけることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 物品を形成することにおいて、混合物を混練すること、混合物を2−ロールミルすること、混合物を圧縮成形すること、および混合物を押し出すことから選択される1種以上の処理工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 架橋ゴムの粒子サイズが35ミクロンシーブ粒子サイズ(400メッシュ)以上、または2,500ミクロンシーブ粒子サイズ(8メッシュ)以下である、請求項1に記載の方法。
- 架橋ゴムの粒子サイズが43ミクロンシーブ粒子サイズ(325メッシュ)以上、または11,100ミクロンシーブ粒子サイズ(2メッシュ)以下である、請求項2に記載の方法。
- 架橋ゴムが少なくとも部分的に再利用ゴムから得られる、請求項4に記載の方法。
- 架橋ゴムが少なくとも部分的に再利用タイヤから得られる、請求項4に記載の方法。
- 混合物の水分含有量を低減することが、混合物の固形分を単離することを含む、請求項1または2に記載の方法。
- 固体状態剪断粉砕がパンミリングまたはディスクミリングを含む請求項2に記載の方法。
- 懸濁ポリマーが、カルボン酸官能基、リン含有酸官能基、ヒドロキシ官能基、アミン官能基、アセトアセトキシ官能基、シリル官能基、エポキシ官能基、シアノ官能基、イソシアナート官能基およびこれらの組み合わせから選択される官能基を有する1種以上の官能性モノマーの重合単位を有するコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
- 混合物を混練すること、混合物を2−ロールミルすること、混合物を圧縮成形すること、または混合物を押し出すことから選択される1種以上の処理工程中に、複合体物質がさらに架橋される、請求項3に記載の方法。
- (a)示差走査熱量測定DSCで測定した場合に80℃以下のガラス転移温度Tgを有する少なくとも1種の懸濁ポリマーの1種以上のポリマー水性分散物を懸濁重合によって提供し;
(b)懸濁ポリマーのポリマー水性分散物を乾燥させて、10%未満の水分含有量の懸濁ポリマーを生じさせ;
(c)10ミクロンシーブ粒子サイズ〜11,100ミクロンシーブ粒子サイズの粒子サイズを有する1種以上の架橋ゴムの粒子と、10%未満の水分含有量の懸濁ポリマーとを混合し;
(d)物品を形成する;
ことを含む複合体物質を製造する方法。
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