JP4968619B2 - 硬質炭素被膜 - Google Patents

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Description

本発明は、低摩擦特性に優れた硬質炭素被膜に係わり、更に詳細には、特にエンジンオイル、トラスミッションオイル等の潤滑剤中で使用するのに適した低摩擦な硬質炭素被膜に関する。
硬質炭素被膜は、アモルファス状の炭素あるいは水素化炭素から成る膜であって、a−C:H(アモルファスカーボン又は水素化アモルファスカーボン)、i−C(アイカーボン)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン又はディーエルシー)などとも呼ばれている。
このような硬質炭素被膜を形成するには、炭化水素ガスをプラズマ分解して成膜するプラズマCVD法、あるいは炭素や炭化水素イオンを用いるイオンビーム蒸着法などの気相合成法が用いられる。この硬質炭素被膜は高硬度で表面が平滑であり耐摩耗性に優れ、更にはその固体潤滑性から摩擦係数が低く、優れた摺動特性を有している。
例えば、通常の平滑な鋼材表面の無潤滑下での摩擦係数が0.5〜1.0であるのに対して、硬質炭素被膜においては、無潤滑下での摩擦係数が0.1程度である。
硬質炭素被膜は、上記のような優れた特性を活かし、ドリルの刃を始めとする切削工具や研削工具等の加工工具や、塑性加工用金型、バルブコックやキャプスタンローラのような無潤滑下での摺動部品等に応用されている。
一方、潤滑油中で摺動する内燃機関などの機械部品においても、エネルギー消費や環境問題の面から、できるだけ機械的損失を低減したいという要望があり、摩擦損失の大きい摺動条件の厳しい部位への硬質炭素被膜の適用が検討されており、摺動部材に硬質炭素被膜を設けると共に、その組成や表面状態を制御し、無潤滑状態だけでなく潤滑油が十分に存在する条件下でも摩擦係数を下げる試みがいくつかなされている。
例えば、このような硬質炭素被膜にIVa、Va、VIa族元素及びSiのうちの1種以上を添加する方法が示されており、この方法によりこれら元素を加えない場合に比べ摩擦係数が低減している(特許文献1参照)。
また、このような硬質炭素被膜にAgのクラスターを設ける方法も示されている(特許文献2参照)。
この他、このような硬質炭素被膜に適宜の金属元素を加えた上、更に膜中の酸素の含有量を制御することで低い摩擦係数を得ている(特許文献3参照)。
特開2003−247060号公報 特開2004−099963号公報 特開2004−115826号公報
更に、別の面の技術課題として、このような摺動部材を用いる場合に、相手材の摩耗を抑制したいという要求も当然ながら存在し、この要求も対する解決策としては、摺動部材の表面層を相対的に軟らかい含水素炭素膜で構成し、摩擦低減のために当該含水素炭素膜にV、Cr、Zr、Nb、Ta、Mo、W、Pd、Pt、Ti、Al、Pb、Siのいずれかの元素を加える方法がある(例えば、特許文献4参照)。
特開2003−027214号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、測定方法の違いの影響はあるもののモータリング試験での摩擦係数である0.06から、もう一段の摩擦係数低減が望まれている。また、特許文献2に記載の方法においても、摩擦係数を往復動試験によって測定しているので、直接の比較はできないが、摩擦係数は最小で0.04であり、同様にもう一段の摩擦係数低減が望まれる。また、当該硬質炭素被膜の上に、大きさや数を制御してAgクラスターを設ける必要があることから、プロセス制御の点で煩雑な面がある。
更に、上記特許文献3では、金属元素の含有量と、酸素の含有量の双方を制御する必要があることから、より簡便なプロセスが望まれている。また、この場合、潤滑油中にモリブデンジチオカーバメイト(MoDTC)のような極圧添加剤が必要なため、効果を発揮できる潤滑油の種類が限られるという問題があった。
また、相手材の摩耗抑制対策として、上記特許文献4に記載の方法においては、含水素炭素膜の潤滑油中での摩擦係数は、水素を実質的に含まない炭素膜の摩擦係数に比べて全般に高く(例えば、特開2000−297373号公報参照)、含水素炭素膜であることに起因して生じる不利を特定の金属元素を添加することによって抑えたとしても、摩擦係数の低減効果が限定的となる懸念が残る。
更に、本発明者らは、硬質炭素被膜の摩擦係数低減効果をより大きく引き出すには、膜内の金属凝集体の生成を抑えることが有用であることを見出した。即ち、本発明者らが種々の実験を繰り返したところ、摩擦係数に影響を及ぼし始める凝集体のサイズは、直径5nm超であることが分かった。
本発明は、このような従来技術の有する課題及び新たな知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、摩擦係数の一層の低減を図るとともに、簡便なプロセスで製造することができる硬質炭素被膜を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、硬質炭素被膜の種類や成膜方法、更には硬質炭素被膜に、添加成分として金属元素などのドーピングを施す方法などについて鋭意検討を重ねた結果、コバルト(Co)やニッケル(Ni)のドーピングが低摩擦特性に有効であることを見出した。併せて、これら特性を最大限に引き出すための被膜の微細構造について特に綿密な検討を行うことにより、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の硬質炭素被膜は、表面側より第1層、第2層がなす積層構造を含んで成る硬質炭素被膜であって、
上記第1層は、非晶質炭素を主成分とし、コバルト及び/又はニッケルを合計で1.4原子%〜39原子%含有し、
第1層中に存在するコバルト凝集体及びニッケル凝集体は、該第1層を透過型電子顕微鏡で観察した際の顕微鏡像上で、等価円直径が5nmを超える該凝集体の占める領域が面積比で15%以下であり、
上記第2層は、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化チタン、窒化クロム及び窒化チタンクロムから成る群より選ばれた少なくとも1種のもので構成された下地層を少なくとも1層含み、
最表面に硬質の粒子及び/又は粒状突起を有し、表面粗さRyが0.1μm〜0.6μmであることを特徴とする。
また、本発明の硬質炭素被膜の好適形態は、上記顕微鏡像上で、等価円直径が5nmを超える凝集体の占める領域の面積比をX%とし、該被膜中のコバルト及びニッケルの合計含有量をY原子%としたときに、次式
X<4Y
で表される関係を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、膜中にコバルトやニッケルを添加し、その添加量の範囲(両方を添加した場合にはその合計量)をまず最適化した。加えて被膜の構造、より詳しくは添加した金属に起因する凝集体の存在形態を規定し、更には材料の表面にドロップレットが残って相手研磨効果を有するようにしたから、摩擦係数を大幅に低減し得る硬質炭素被膜を提供できる。
以下、本発明の硬質炭素被膜について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の硬質炭素被膜は、表面側より第1層、第2層がなす積層構造を含んで成る。
ここで、上記第1層は、非晶質炭素を主成分とし、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)のいずれか一方又は双方を合計で1.4原子%〜39原子%含有する。
また、第1層中に存在するCo凝集体、Ni凝集体の双方は、該第1層を透過型電子顕微鏡で観察した際の顕微鏡像上で、等価円直径が5nmを超える該凝集体の占める領域領域を、面積比で15%以下とする。
一方、上記第2層は、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化チタン、窒化クロム又は窒化チタンクロム、及びこれらの任意の組合せに係るもので構成され、第1層と基材の間に配設される下地層の少なくとも1層を構成する。
更に、本発明の硬質端度被膜は、該被膜表面には、硬質の粒子、硬質の粒状突起のいずれか一方又は双方が存在するようにし、表面粗さRyを0.1μm〜0.6μmとする。
このような構成により、本発明では、CoとNiの添加量の範囲(両方を添加した場合にはその合計量)を最適化し、添加した金属に起因する凝集体の存在形態を規定し、更には材料の表面にドロップレットが残って相手研磨効果を有するようにしたことで、摩擦係数が大幅に低減される。
ここで、本発明の硬質炭素被膜が、低い摩擦係数を示す理由については、現時点では、以下のように推察できる。
即ち、第1層中にコバルトやニッケルを添加したことによって、硬質炭素被膜の表面は潤滑剤中の基剤(基油)成分やこれに含まれる添加剤成分を吸着する能力が向上し、表面にこれら基油や添加剤から成る薄い膜が形成される。
これによって、面圧が高い条件又は摺動速度が遅い条件、いわゆる境界潤滑条件においても、形成された膜が相手材との直接接蝕を防ぐという機構によって低い摩擦係数が発現するものと考えられる。
なお、本発明の硬質炭素被膜は、潤滑剤を用いない条件、即ち、いわゆるドライ条件でも用いることができるが、上記説明のように、潤滑剤の基剤(基油)や添加剤との吸着が摩擦係数低下の本質であることから、潤滑剤中で用いることでその効果がより一層発揮される。従って、潤滑剤中で用いることが望ましい。
また、この場合の低摩擦化機構であるが、詳細に言えば、添加したコバルト又はニッケルが直接低摩擦化に寄与しているのでなく、周囲の炭素原子にコバルトやニッケルが量子力学的な作用を及ぼし、これにより炭素原子の添加剤吸着能が向上していると推測される。よって、添加したコバルトやニッケル原子と、被膜の主要相である炭素原子とが隣接する機会をなるべく多くすることが望ましい。
換言すれば、コバルトやニッケルは極力小さいクラスター、究極的には単一の原子の状態で、母相中に均一に分散していることが望ましい。逆に言えば、添加したコバルトやニッケルが凝集体の状態で存在すると、周囲の炭素原子と接触する機会が減るので、添加効果が小さくなる。
また、コバルトやニッケルが凝集体の状態で存在する場合、その周囲の炭素が本来のアモルファスでなくグラファイトとなっている箇所が多く見られるため、この観点からも凝集体の生成は抑制することが望ましい。低摩擦を目的とした硬質炭素被膜においては、グラファイト成分が多くなることは一般に好ましくないとされている。
なお、コバルトやニッケルは、硬質炭素被漠の表面から深部までの全てに均等に含有させる必要は必ずしもなく、少なくとも摺動する表面及び摩耗による減りしろに相当する部分まで含有させることで十分である。また、初期なじみなどを目的として、コバルトやニッケルを特に含まない犠牲層を設けるような変形も可能である。
ここで、該第1層中のコバルトやニッケルの添加量については、上述のように、合計で1.4原子%以上39原子%以下とする。
合計で1.4原子%未満では上記の吸着効果が十分に発揮されない。吸着の効果を十分に得るためには、できれば3原子%以上、より好ましくは6原子%のコバルトやニッケルを添加するとよい。
一方、コバルトやニッケルの添加量が合計で39原子%を超えた場合には、推測ではあるが、炭素原子のネットワーク構造がコバルトやニッケル原子が存在することによって乱されるために、硬質炭素被膜が本来有する低摩擦性能や硬さが損なわれると、推測できる。このため、添加量は39原子%以下、好ましくは20原子%以下、より好ましくは16原子%以下に留めるのがよい。
また、本発明の硬質炭素被膜において、該第1層中には、Co凝集体、Ni凝集体が存在する。かかる凝集体は、大きなものから小さなものまで寸法に分布を有するが、その中でも摩擦係数に影響を及ぼす凝集体、即ち生成を抑制すべき凝集体は、等価円直径で5nmを超える凝集体である。
このため、等価円直径で5nmを超える凝集体の生成が抑制されていればよい。即ち、被膜断面又は摺動層断面を透過型電子顕微鏡で観察した際の該顕微鏡像上で、等価円直径が5nmを超える該凝集体の占める領域が面積比で15%以下になるようにする。好ましくは6面積%以下であることがよい。なお、等価円直径で5nmを超える凝集体は、もちろん少なければ少ないほどよい。
更に、該第1層中へのコバルトやニッケルの添加量がもともと少ない場合は、上記凝集体の存在量を面積比率で15%以下に抑制すると、母相中に均一に分散すべきコバルト原子やニッケル原子がより大きな割合で減少してしまい摩擦低減効果が小さくなることがある。
そこで、凝集体の存在比は、添加したコバルト及びニッケルの合計量に対しても、一定以下の割合に抑制することが好ましい。
即ち、上記顕微鏡像上で、等価円直径が5nmを超える凝集体の占める領域の面積比をX%とし、該被膜中又は摺動層中のコバルト、ニッケルの合計含有量をY原子%としたときに、次式
X<4Y
で表される関係を満たすように凝集体の存在比を調整することが好ましい。
一方、本発明の硬質炭素被膜において、第2層には、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化チタン、窒化クロム又は窒化チタンクロム、及びこれらを任意に組合わせて成る下地層を含める。
これにより、後述するように、摺動する際の相手材を研磨して平滑にする効果を発揮する。
本発明の硬質炭素被膜では、被膜中の水素原子の量を減らすことが望ましく、その具体的範囲としては、6原子%以下、より望ましくは1原子%以下とすることができる。
このような水素含有量の低い硬質炭素被膜は、例えば、スパッタリング法やイオンプレーティング法など、水素や水素含有化合物を実質的に使用しないPVD法(物理気相堆積法)によって成膜することができる。かかるスパッタリング法においては、雰囲気ガスに炭化水素ガスを加えることもできるが、本発明では炭化水素ガスを加えないことが望ましい。
具体的には、成膜をPVD法により行い、炭素源にもグラファイトなど炭化水素を含まないものを用い、雰囲気に炭化水素系ガスを加えなかった場合は通常、膜内の水素含有量は1原子%以下に抑えられる。
更に、本発明の硬質炭素被膜は、被膜中にCoやNiなどの金属を添加して成るが、その場合に生じる金属凝集体は極力減らすことが望ましい。
ここで、成膜原理としてスパッタリング法とアークイオンプレーティング法を比較した場合、金属凝集体のできにくさ(抑制のしやすさ)という点では、スパッタリング法が一般に優位である。
ただし、スパッタリング法でも条件によっては凝集体が発生するので、プロセス条件の適切な設定が重要であることは言うまでもない。
一方、アークイオンプレーティング法には別の点で優位性がある。即ち、アークイオンプレーティング法においては、成膜中に、原料となる蒸発源から該原料物質がクラスター状態又は溶融状態で基板に飛来し、そのまま膜中に残ることがある。これらは一般に硬質の粒子や突起となり、「ドロップレット」、「マクロパーティクル」などと呼ばれる。このドロップレットが過度に存在すると表面が粗くなって摩擦係数が上がるが、適度の密度で存在する場合には、相手部材を研磨して平滑にしつつ、ドロップレット自身は順次脱落するために、最終的な摩擦係数はドロップレットがない場合に比べて低くなる。
このため、本発明においては、「膜中の金属凝集体生成を抑制しつつ」「研磨効果は極力引き出す」という観点から、下地層となる第2層をアークイオンプレーティング法で形成することが好ましい。
このときは、摩擦係数の更なる低減を図るためには、相手材を研磨して平滑にする効果を補うことができる。なお、スパッタリング法で下地層を形成するときは表面にドロップレットが生成しにくい。
具体的には、特に限定されないが、簡便な方法として、第2層として下地側の少なくとも1層をアークイオンプレーティング法で成膜し、その上側に第1層としてスパッタリング法によって、金属を含有する層を形成することができる。
もちろん第2層と第1層の間に中間層を挿入したり、第1層の表面側に犠牲層を設けたりする変形も可能である。
上述のように、本発明の硬質炭素被膜では、表面にドロップレットを残し、相手材の研磨効果の向上を図る観点から、被膜表面に硬質の粒子、硬質の粒状突起のいずれか一方又は双方を形成し、表面粗さRyが0.1μm〜0.6μmとなるようにする。
Ryが0.1μm未満では研磨効果が過小となり、0.6μm超過では膜の剥離が生じる。成膜直後の段階でRyが0.6μm超過であれば、後加工として表面に適宜のラッピングを施して粗大なドロップレットを除去し、0.6μm以下に収めればよい。
なお、第2層をアークイオンプレーティング法で成膜し、その上に第1層をスパッタリング法で成膜する場合、第1層の膜厚設定には注意が必要である。即ち、第2層で生じているドロップレットを全て埋めてしまうほど第1層を厚くすると、上記所望の効果が得られない。このため、予備実験を行って第2層まで成膜した試験片を作り、その表面粗さを測定した上で、第1層の厚さを決めればよい。
典型的な値として、第2層の膜厚を0.2〜1.0μm程度、第1層を0.2〜0.6μm程度とすることができる。
以上説明した本発明の硬質炭素被膜は、潤滑剤中で使用した場合にその効果が特に大きく得られる。
上記潤滑剤としては、具体的には、自動車用のエンジン油などを用いることができる。特に、添加剤を含有するものを用いることができる。より詳しくは、該添加剤が、その分子内に水酸基を有していることが好ましい。上記添加剤としては、脂肪酸のモノグリセリドなどが挙げられるが、これに限定されないことは当然である。
このときは、上述のように、分子内の水酸基が、該硬質炭素被膜の表面に吸着し、相手材との直接接触を緩和する作用を発揮し得ると推察できる。
言い換えれば、添加剤分子の硬質炭素被膜表面への吸着の良否は、分子が有する官能基によって左右されるが、好ましい官能基として水酸基を挙げることができる。添加剤の一分子内に有する官能基の数が多いほど、硬質炭素被膜に強固に吸着することができるため、摩擦係数低減の上で有利になる。
但し、水酸基の数が多すぎる場合は基油成分と分離することもあるので、部品の使用状況(主に温度)に応じて適宜添加剤を選択するのがよい。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
コーティングには、アークイオンプレーティング法(AIP法)の蒸発源と、マグネトロンスパッタリング(MS)ターゲットの双方を備えてなる、複合型と呼ばれる真空成膜装置を用いた。
基材として浸炭鋼(日本工業規格 SCM415)から成る直径30mm、厚さ3mmの円板を準備し、その表面をRa0.020μmに超仕上げ加工した。
この基材を真空成膜装置に収め、まずAIP法で第2層を形成した。AIP蒸発源はチタンから成り、雰囲気としてアルゴンと窒素の混合ガスを流すことで窒化チタン薄膜を合成した。AIP法の第2層の厚さの狙い値は0.4μmとした。先んじて行った予備実験ではAIP層成膜終了後の表面粗さはRy 0.66μmであったので、第1層の厚さは0.4μmに設定した。
第2層の成膜に引き続き、その上に第1層の成膜を行った。第1層の成膜はマグネトロンスパッタリング法によった。スパッタリングのターゲットには、グラファイトからなる半径80mmの円板を用い、この炭素ターゲット上に、金属コバルトの板を置くことによって炭素のスパッタリングと同時に、硬質炭素被膜中に一定量のコバルトが含まれるようにした。このとき、コバルトの板を半径80mm、頂角5°の扇形形状とし、コバルト板がターゲット全体の1/72を占めるようにした。また、スパッタリングの雰囲気ガスにはアルゴンを用いた。成膜時、基板にかけるバイアス電圧は40ボルト、プラズマ励起のための励振電力は200Wに設定した。
(1)第1層の成膜時間
第1層のプロセス時間については、予備実験で求めた成膜レートから計算した。予備実験ではコバルト板なしに、炭素ターゲットのみで上記と同条件で成膜した。予備実験の結果、成膜レートは毎時0.31μmと求められた。このレートから成膜時間を逆算した。(0.4÷0.31=1時間17分)
成膜終了後に測定した表面粗さは、Ry 0.40μmであった。
(2)硬質炭素被膜の元素分析
得られた硬質炭素被膜について膜中の元素の分析を行った。
コバルトについては、X線光電子分光法(XPS)を用い、アルゴンガスで表面からエッチングしながら深さプロファイルを測定した。試料表面から5nm、10nm、15nmの3点でコバルト濃度を測定し、それらの平均をもって膜中の平均含有量とした。
測定の結果、コバルト含有量は9原子%であった。
(3)凝集体の存在量
得られた硬質炭素被膜の第1層(非晶質炭素層)について、凝集体の評価を行った。
凝集体の観察は透過型電子顕微鏡によった。凝集体の寸法が十分に大きい場合は走査型電子顕微鏡での観察も可能であるが、5nm程度となると透過型電子顕微鏡を用いることとなる。本分析においては高分解能透過型電子顕微鏡を、加速電圧300kVで用いた。
透過型電子顕微鏡像において、添加した金属元素(ここではコバルト又はニッケル)は密度が大きいため黒く映る。これに対し母相である炭素アモルファスは密度が小さいため白く映る。このため、透過型電子顕微鏡像において、両者を識別することは一般に容易である。図1に透過型電子顕微鏡で観察される硬質炭素被膜の画像を模式的に示す。同図に示すように、母相1(主にアモルファス炭素からなるが、均質に分布した添加金属をも含む)と、凝集体2とは明確に識別できる。
透過型電子顕微鏡はその原理からして、試料内の金属凝集体が透過像として映る。従って、透過型電子顕微鏡像で金属凝集体が占めている面積比は一般に、被膜中の金属凝集体の体積比とは一致しない。本発明の本質は金属凝集体の体積比を一定以下に抑制することであるが、それを定量することは一般に困難である。そこで本分析では、透過型電子顕微鏡像上において、金属凝集体が映ることでなる黒色部分の面積比をもって、凝集体の存在量を定量することとした。
この場合当然ながら、試料が厚くなればなるほど透過して観察される金属凝集体の量は多くなるから、試料の厚みは一定にして定量しなくてはならない。本分析では、図2に示すように、収束イオンビーム法(FIB法)により、硬質炭素被膜3の表面と垂直に(成長方向と平行に)観察用試験片4を厚さ100nmで切り出し、常にこの厚さ100nmの試料において金属凝集体の観察を行った。倍率は200万倍に設定した。
また、観察の視野が小さいと統計的な変動の影響を受けるので、本分析では250nm×250nmの範囲を撮影した上で分析した。
ここで、金属に限らず凝集体は、その表面エネルギーを最小にしようとする。表面エネルギーが等方的であれば凝集体は球となり、その投影像あるいは透過像は円となる。しかし実際には凝集体は球から外れた形状をしており、透過像は完全な円とはならない。この場合に凝集体の大きさをどう評価するかという問題があるが、本分析ではいわゆる等価円直径の考え方を用いる。
等価円直径は、単一連結で周囲が閉じた、面積Sの2次元図形に対し、同じ面積Sを有する円の直径として定義される。即ち、Sを円周率πで除し、その商の平方根をとり、更に2を掛ければ等価円直径となる。そして、この等価円直径が5nmを超える凝集体の抑制が重要であることは、既に述べたとおりである。
また、本分析では透過型電子顕微鏡で観察しているので、2以上の凝集体が重なって観察されることがある。ほぼ球形の粒子が2以上、ずれた位置で重なっている場合、透過像は、図3のような亜鈴形状5となる。この場合は2箇所のくびれの部分を直線6で2つの領域に分割し(図中のS1、S2)、それぞれの領域に対し等価円直径を定義する。重なりがある分、等価円直径は実際の凝集体の直径より小さく算出されるが、その影響も織り込んだ上で「等価円直径で5nm」を基準とする。
上記の方法で凝集体の存在量を調べた結果、14%であった。
(4)摩擦特性の評価
当該試料について、ボールオンディスク法による摩擦特性の評価を行った。試験に際して、潤滑剤として自動車用エンジン油5W−30SLを用いた。
試料をこのエンジン油中で回転させ、軸受鋼(日本工業規格 SUJ2)から成る直径6mmのボールを押し当て、このボールを保持しているアームにかかるトルクを測定することにより摩擦係数を計算した。摺動痕の直径は10mm、油温は80℃とした。また、上記ボールにかけた垂直荷重は7Nである。
なお、ボールは固定しており、摺動によって転がることのないようにした。摺動速度は毎秒3cmとした。
摩擦係数の算出については、摺動開始直後のなじみ効果を考慮して、試験開始から5分経過した時点の測定値をもって、その材料の摩擦係数とみなした。
本例の硬質炭素被膜の摩擦係数は、0.018であった。
これらの結果をまとめて表1に示す。
(実施例2)
スパッタリングのターゲットにおいて、頂角を2.5°に変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.36μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は6原子%、凝集体量は5面積%であった。摩擦係数は0.013であった。これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
スパッタリングのターゲットにおいて、頂角を2.5°に変更し、基板バイアス電圧を80Vに変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.43μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は4原子%、凝集体量は8面積%であった。摩擦係数は0.022であった。これらの結果を表1に示す。
(実施例4)
第2層の膜厚を0.6μmと厚くした以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.55μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は9原子%、凝集体量は11面積%であった。摩擦係数は0.016であった。これらの結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。但し、摩擦特性は、以下に示す別の潤滑剤中で評価した。
摩擦試験の潤滑剤には、ポリアルファオレフィン(PAO)に、グリセリンモノオレイト(GMO)を1体積%、外掛けで添加し、十分に攪拌してから使用した。この測定での摩擦係数は0.012であった。これらの結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。但し、摩擦特性は、以下に示す別の潤滑剤中で評価した。
摩擦試験の潤滑剤には、エンジン油5W−30SLに、GMOを1体積%、外掛けで添加し、十分に攪拌してから使用した。この測定での摩擦係数は0.014であった。これらの結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。但し、摩擦特性は、以下に示す別の潤滑剤中で評価した。
摩擦試験の潤滑剤には、PAOに、グリセリンジオレイト(GDO)を1体積%、外掛けで添加し、十分に攪拌してから使用した。この測定での摩擦係数は0.015であった。これらの結果を表1に示す。
(実施例8)
スパッタリングのターゲットにおいて、頂角を7.5°に変更し、基板バイアス電圧を30Vに変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.41μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は15原子%、凝集体量は13面積%であった。摩擦係数は0.019であった。これらの結果を表1に示す。
(実施例9)
スパッタリングのターゲットにおいて、頂角を7.5°に変更し、プラズマ励振電力を100Wとした以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.35μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は16原子%、凝集体量は14面積%であった。摩擦係数は0.021であった。これらの結果を表1に示す。
(実施例10)
第2層の成膜においてコバルトに代えてニッケルを非晶質炭素層中に加えた以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.38μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、ニッケル量は8原子%、凝集体量は14面積%であった。摩擦係数は0.016であった。これらの結果を表1に示す。
Figure 0004968619
(実施例11)
第2層を炭窒化チタンとした。成膜原理はAIPで同じであるが、成膜時の雰囲気としてアルゴン、窒素、メタンの混合ガスを用いることで炭窒化チタン層が形成されるようにした。これ以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.41μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は9原子%、凝集体量は11面積%であった。摩擦係数は0.018であった。これらの結果を表2に示す。
(実施例12)
第2層を炭化チタンとした。成膜原理はAIPで同じであるが、成膜時の雰囲気としてアルゴン、窒素、メタンの混合ガスを用いることで炭化チタン層が形成されるようにした。また、第2層の成膜においてコバルトに代えてニッケルを非晶質炭素層中に加えた。これら以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.44μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、ニッケル量は11原子%、凝集体量は14面積%であった。摩擦係数は0.020であった。これらの結果を表2に示す。
(実施例13)
第2層を窒化クロムとした。実施例1で用いた蒸発源をクロムに交換し、雰囲気ガスにはアルゴンと窒素の混合物を用いた。これら以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.37μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は8原子%、凝集体量は12面積%であった。摩擦係数は0.019であった。これらの結果を表2に示す。
(実施例14)
第2層を窒化チタンクロムとした。実施例1で用いた蒸発源をチタン及びクロムの複合蒸発源に交換し、雰囲気ガスにはアルゴンと窒素の混合物を用いた。これら以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.34μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は10原子%、凝集体量は13面積%であった。摩擦係数は0.017であった。これらの結果を表2に示す。
(比較例1)
マグネトロンスパッタリングのみで成膜した例である。実施例1と同様の基材表面に硬質炭素被膜をコーティングした。
スパッタリングのターゲットには、半径80mmの円板状炭素ターゲットの上に、半径80mm、頂角5°の扇形状の金属コバルトの板を置いた。基板バイアス電圧は40Vとし、プラズマ励振電力は200Wとした。膜厚の狙い値は0.8μmとした。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.094μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は8原子%、凝集体量は12面積%であったが、摩擦係数は0.043で高くなった。これらの結果を表2に示す。ドロップレットがないことによる研磨効果不足の影響と推測された。
(比較例2)
非晶質炭素から成る第1層中の凝集体が多い例である。基板バイアス電圧を80Vとし、プラズマ励振電力を600Wとした以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.051μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は10原子%、凝集体量は35面積%であったが、摩擦係数は0.054で高くなった。これらの結果を表2に示す。
(比較例3)
被膜表面が粗い例である。下地となる第2層の膜厚が1.0μm、第1層の膜厚が0.2μmになるよう成膜時間を調節した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の硬質炭素被膜を得た。
プロセスが完了後に試料の表面粗さを測定したところ、Ry 0.71μmであった。
また、実施例1と同様の方法で膜の分析を行った結果、コバルト量は10原子%、凝集体量は14面積%であったが、摩擦係数は0.048で高くなった。これらの結果を表2に示す。
Figure 0004968619
表1及び表2から明らかなように、コバルトやニッケルを添加した上で、凝集体の量を一定水準以下に抑制し、更に表面のドロップレット量を適切な範囲にした実施例1〜14は、いずれも低い摩擦係数を示した。
また、その中でも凝集体の量を、膜中の金属含有量に対し一定以下に抑えたりした場合には、特に低い摩擦係数が得られた。
更に、潤滑剤としては自動車用エンジン油のほか、分子中に水酸基を有する化合物を添加剤として添加した実施例5〜7では、低い摩擦係数が得られ、また分子内に有する水酸基の数が多いほどその効果は大きくなった。
本発明において特に好ましい実施例としては、エンジン油中において摩擦係数の低い実施例2が挙げられる。実施例5は摩擦係数は低いが、潤滑剤が特殊であるため汎用性という点では実施例2の方が有効である。
これに対して、非晶質炭素層にコバルトを含みながらも、表面のドロップレットの少ない比較例1や、非晶質炭素層内に凝集体の多い比較例2や、下地層でドロップレットが多く発生し且つ表面層の薄い比較例3では、摩擦係数が高くなった。
本発明の硬質炭素被膜は、特に自動車用のエンジンオイルやトラスミッションオイル等の潤滑剤中における摺動部材に好適に用いることができる。
透過型電子顕微鏡で観察される硬質炭素被膜の典型的構造を示す模式図である。 凝集体の観察を行うための試料を、FIB法で切り出す状況を示す模式図である。 凝集体が亜鈴形状で観察された場合、凝集体の寸法を定量する方法を示す図である。
符号の説明
1 母相(主にアモルファス炭素からなるが、均質に分布した添加金属をも含む)
2 凝集体
3 硬質炭素被膜
4 観察用試験片
5 分割前の亜鈴形状の輪郭線
6 分割線

Claims (6)

  1. 最表面の第1層とその下層の第2層がなす積層構造を含んで成る硬質炭素被膜であって、
    上記第1層は、非晶質炭素を主成分とし、コバルト及び/又はニッケルを合計で1.4原子%〜39原子%含有し、
    第1層中に存在するコバルト凝集体及びニッケル凝集体は、該第1層を透過型電子顕微鏡で観察した際の顕微鏡像上で、等価円直径が5nmを超える該凝集体の占める領域が面積比で合計15%以下であり、
    上記第2層は、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化チタン、窒化クロム及び窒化チタンクロムから成る群より選ばれた少なくとも1種のもので構成された下地層を少なくとも1層含み、
    表面に硬質の粒子及び/又は粒状突起を有し、表面粗さRyが0.1μm〜0.6μmであることを特徴とする硬質炭素被膜。
  2. 上記第1層の顕微鏡像上で、等価円直径が5nmを超える凝集体の占める領域の面積比をX%とし、該被膜中のコバルト及び/又はニッケルの合計含有量をY原子%としたときに、次式
    X<4Y
    で表される関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の硬質炭素被膜。
  3. 上記第2層は、アークイオンプレーティング法で成膜されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬質炭素被膜。
  4. 潤滑剤中で使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の硬質炭素被膜。
  5. 上記潤滑剤は添加剤を含有して成り、該添加剤は分子内に水酸基を有することを特徴とする請求項4に記載の硬質炭素被膜。
  6. 上記潤滑剤が自動車用エンジン油であることを特徴とする請求項4又は5に記載の硬質炭素被膜。
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