以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としての画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。画像形成装置1は、電子写真方式を用いて、記録媒体PMに画像(カラー画像)を形成する画像形成装置である。画像形成装置1は、本実施形態では、記録媒体PMにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を重畳して転写し、記録媒体PMを所定の温度で加熱すると共に加圧してトナー像を記録媒体PMに定着させるカラーレーザプリンタとして具現化される。
画像形成装置1は、図1に示すように、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mと、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部10Bkとを有する。また、画像形成装置1は、給紙部20と、定着部30と、搬送部40と、センサ70と、図2に示す制御部50とを有する。
4つの画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkは、中間転写ベルト17の搬送方向(移動方向)に沿って、一定の間隔で一列に配置される。画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkは、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」とする)11a、11b、11c及び11dを有する。また、感光ドラム11a、11b、11c及び11dの周囲には、1次帯電器12a、12b、12c及び12dと、現像部13a、13b、13c及び13dとが配置されている。同様に、感光ドラム11a、11b、11c及び11dの周囲には、転写ローラ14a、14b、14c及び14dと、クリーナ部15a、15b、15c及び15dとが配置されている。更に、1次帯電器12a、12b、12c及び12dと現像部13a、13b、13c及び13dとの間の下方には、レーザスキャナ部16が配置されている。
感光ドラム11a乃至11dは、例えば、負帯電のOPC感光体で構成され、アルミニウム製のドラム基体上に光導電層を有する。感光ドラム11a乃至11dは、図示しない駆動部によって、所定のプロセススピードに時計回りに回転駆動される。
1次帯電器12a乃至12dは、図示しない帯電バイアス電源から印加される帯電バイアスによって、感光ドラム11a乃至11dの表面を負極性又は正極性の所定の電位に均一に帯電する。
レーザスキャナ部16は、画像読取装置やコンピュータ等から与えられる画像信号の時系列電気デジタル画素信号に対応して発光するレーザ発光部と、ポリゴンミラーと、レンズと、反射ミラーとを含む。レーザスキャナ部16は、感光ドラム11a乃至11dにレーザ光を照射し(即ち、感光ドラム11a乃至11dを露光し)、1次帯電器12a乃至12dによって帯電された感光ドラム11a乃至11dの表面に画像情報に対応した各色の静電潜像を形成する。
現像部13a乃至13dは、イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー及びブラックトナーを各々収納し、感光ドラム11a乃至11d上に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させ、静電潜像をトナー像として現像(可視像化)する。
転写ローラ14a乃至14dは、中間転写ベルト17を介して感光ドラム11a乃至11dに当接可能に配置される。転写ローラ14a乃至14dは、1次転写部位PTPa乃至PTPdにおいて、感光ドラム11a乃至11d上のトナー像の各々を中間転写ベルト17に転写して重ね合わせる。
クリーナ部15a乃至15dは、クリーニングブレード等で構成され、感光ドラム11a乃至11dに残留したトナーを掻き落とし、感光ドラム11a乃至11dの表面を清掃する。
中間転写ベルト17は、感光ドラム11a乃至11dの上面側に配置され、2次転写対向ローラ18aとテンションローラ19との間に張架される。また、中間転写ベルト17は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等のような誘電体樹脂によって構成される。
2次転写対向ローラ18aは、2次転写部位STPにおいて、中間転写ベルト17を介して2次転写ローラ18bと当接可能に配置される。
中間転写ベルト17に転写されたトナー像は、2次転写部位STPにおいて、2次転写対向ローラ18a及び2次転写ローラ18bによって記録媒体PMに転写される。
中間転写ベルト17の外側、且つ、テンションローラ19の近傍には、中間転写ベルト17の表面に残留したトナーを除去して回収するベルトクリーニング部が配置される。
給紙部20は、画像形成部10Y、10M、10C及び10Bk(即ち、2次転写部位STP)に対して記録媒体PMを供給する機能を有する。給紙部20は、記録媒体PMを収納するカセット21と、記録媒体PMを手差しするための手差しトレイ22と、カセット21又は手差しトレイ22から記録媒体PMを一枚ずつ送り出すためのピックアップローラとを有する。また、給紙部20は、ピックアップローラから送り出された記録媒体PMをレジストローラ24まで搬送するための給紙ローラ及び給紙ガイド23を有する。レジストローラ24は、画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkによる画像形成のタイミングにあわせて記録媒体PMを2次転写部位STPに送り出す。
定着部30は、トナー像が転写された記録媒体PMを加熱及び加圧して、トナー像を記録媒体PMに定着させる。定着部30は、本実施形態では、セラミックヒータ基板などの熱源を内部に備えた定着フィルム31と、定着フィルム31と共同して記録媒体PMを加圧する加圧ローラ32とを有する。なお、加圧ローラ32が熱源を備えていてもよい。
搬送部40は、給紙部20から供給される記録媒体PMを搬送する機能を有する。搬送部40は、例えば、定着部30(即ち、定着フィルム31と加圧ローラ32との間のニップ部NP)に記録媒体PMを導くためのガイド41と、定着部30を通過した記録媒体PMを画像形成装置1の外部に排紙するための外排紙ローラ42とを有する。
制御部50は、画像形成装置1の動作を制御する。制御部50は、図2に示すように、CPU51と、読み取り専用メモリ(ROM)52と、ランダムアクセスメモリ(RAM)53と、I/Oインターフェース54と、画像処理部55と、バスドライバ・アドレスデコーダ回路56とを有する。なお、バスドライバ・アドレスデコーダ回路56は、CPU51とROM52、RAM53、I/Oインターフェース54、画像処理部55とを接続する。ここで、図2は、制御部50の構成を示す概略ブロック図である。
CPU51は、画像形成装置1の全体を制御する機能を有し、画像形成装置1の制御プログラム(制御手順)を格納したROM52から制御プログラムを順次読み出して実行する。RAM53は、CPU51の作業用記憶領域等として使用される。
I/Oインターフェース54は、ユーザからの指示を受け付けたり、画像形成装置1の状態等を液晶やLEDを用いて表示したりする操作パネル541に接続されている。また、I/Oインターフェース54は、レーザスキャナ部16を構成する光学系、給紙部20、搬送部40などを駆動するモータ類542、クラッチ類543及びソレノイド類544に接続されている。また、I/Oインターフェース54は、搬送される記録媒体PMを検知するための検知センサ類545や現像部13a乃至13dに収納されているトナーの量を検知するトナーセンサ546に接続されている。更に、I/Oインターフェース54は、画像形成装置1を構成する各部材のホームポジションやドアの開閉状態等を検知するためのスイッチ類547や高圧出力系548に接続する。なお、高圧出力系548は、CPU51に制御され、1次帯電器12a乃至12d、現像部13a乃至13d、転写ローラ14a乃至14d及び2次転写ローラ18bに高電圧を出力(印加)する。
画像処理部55には、画像形成装置1に接続されたコンピュータCPから画像信号(画像データ)が入力される。画像処理部55は、コンピュータCPからの画像信号に基づいて、レーザスキャナ部16(具体的には、レーザスキャナ部16におけるレーザ光の発光)を制御する。レーザスキャナ部16から射出されるレーザ光が感光ドラム11a乃至11dを照射(露光)する際には、非画像領域において、レーザ光の発光状態がレーザ光検知センサ549によって検知され、I/Oインターフェース54に入力される。
また、画像処理部55は、本実施形態では、レーザ光によって形成される走査線の主走査方向及び副走査方向のズレを補正する処理を実行する。具体的には、画像処理部55は、走査線の主走査方向及び副走査方向のズレに基づいて、画像信号を変更する(即ち、後述するように、レーザ光の照射する位置(タイミング)を変更する)。これにより、各色のトナー像を正確に(即ち、ずれることなく)重ね合わせることが可能となる。また、画像処理部55は、レーザスキャナ部16からのレーザ光によって形成される走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理も実行する。具体的には、画像処理部55は、走査線の湾曲に基づいて、画像信号を変更する(即ち、後述するように、レーザ光を照射する位置(タイミング)を変更する)。また、画像処理部55は、画像に対して中間調処理を施す機能も有する。但し、画像処理部55は、画像の主走査方向及び副走査方向の書き出し位置を調整するためのキャリブレーションパターンを形成する場合には、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正しないように制御される。
ここで、走査線の主走査方向及び副走査方向のズレを補正する処理及び走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理について説明する。まず、レーザスキャナ部16からのレーザ光によって形成される走査線の湾曲に起因する画像の歪みについて説明する。レーザスキャナ部16は、画像形成装置1に搭載する前に、レーザスキャナ部16を構成する光学系及び走査系単位で各種調整(例えば、走査線の湾曲の調整)がなされる。レーザ光によって形成される走査線は、感光ドラム上で一直線になるように設計及び調整される。しかし、実際には、光学系及び走査系を構成する部材のバラツキや取り付けのバラツキなどの各種バラツキによって、感光ドラム上の走査線は湾曲してしまう。
図3及び図4は、レーザスキャナ部16からのレーザ光によって感光ドラム11上に形成される走査線SLを説明するための図である。なお、図3及び図4において、感光ドラム11は、感光ドラム11a乃至11dを総称するものとする。また、レーザスキャナ部16は、レンズやミラーなどの種々の光学部材を含むが、図3及び図4では、レーザ光を発光するレーザ素子161及びレーザ素子161からのレーザ光を偏向して走査するポリゴンミラー162のみを示している。
図3及び図4を参照するに、レーザ素子161で発光されたレーザ光は、ポリゴンミラー162によって偏向及び走査され、感光ドラム11上に走査線SLを形成する。走査線SLは、理想的には、図3に示すように、感光ドラム11上で一直線となるが、実際には、図4に示すように、感光ドラム11上で湾曲してしまう。
図3に示すような理想的な(即ち、一直線の)走査線SLで画像(本実施形態では、文字「A」)を形成した場合の例を図5に示す。また、図4に示すような湾曲した走査線SLで画像を形成した場合の例を図6に示す。図5及び図6を参照するに、湾曲した走査線で画像を形成すると、一直線の走査線で形成した画像(図5)は、歪んだ画像(図6)になってしまう。
そこで、走査線が感光ドラム上で一直線となるようにレーザスキャナ部16は調整されて画像形成装置1に搭載される。なお、画像の主走査方向及び副走査方向主走査方向の書き出し位置又はタイミング(即ち、レーザ光の照射位置)はレーザスキャナ部16を画像形成装置1に搭載する前に想定していたものと異なってしまうため、レーザスキャナ部16の再調整が必要となる。また、画像形成装置1を長時間動作させ続けると、レーザスキャナ部16を構成するミラー、レンズ及び筐体などが温度上昇によって微少変形し、主走査方向又は副走査方向の書き出し位置がズレてしまうことがある。
図7は、中間転写ベルト17において、レーザ光が形成する走査線SLa乃至SLdを示す図である。図7において、縦方向は、走査線の走査方向であり、横方向は、中間転写ベルト17の駆動方向である。また、図7において、実線の矢印で示す走査線ISLa乃至ISLdの各々は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの画像(トナー像)を形成する理想的な走査線である。
図7を参照するに、実際には、点線の矢印で示す走査線SLa乃至SLdのように、理想的な走査線ISLa乃至ISLdと正確に一致することは少ない。このような場合、図8に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4つのトナー像が正確に重なり合わないため、画像品質が劣化してしまう。ここで、図8は、図7に示す走査線SLa乃至SLdによって中間転写ベルト17上に形成されるトナー像(画像)の一例を示す図である。
このような画像品質の劣化を防止するために、制御部50は、画像(走査線)の主走査方向及び副走査方向のズレを検出し、かかるズレを補正する処理を実行する。例えば、画像の主走査方向及び副走査方向のズレを検出する(即ち、画像の主走査方向及び副走査方向の書き出し位置を調整する)ためのキャリブレーションパターンを中間転写ベルト17上に形成し、かかるキャリブレーションパターンを読み取る。
図9は、中間転写ベルト17上に形成されるキャリブレーションパターンCPの一例を示す図である。図9において、縦方向は、副走査方向であり、横方向は、主走査方向である。パターンCP1、CP2、CP3及びCP4は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの画像の副走査方向の書き出し位置を調整するためのパターンである。パターンCP5、CP6、CP7及びCP8は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの画像の主走査方向の書き出し位置を調整するためのパターンである。
検出ライン70aは、画像形成装置1(具体的には、中間転写ベルト17の近傍)に配置されたセンサ70によるパターンCP1乃至CP8(中間転写ベルト17上)の読み取り位置を示す。図10は、キャリブレーションパターンCPを読み取る(検出する)センサ70の構成を示す概略断面図である。センサ70は、図10に示すように、中間転写ベルト17に光を照射する照射部71と、中間転写ベルト17で反射された光を受光する受光部72とを有する。なお、図10(a)は、照射部71からの光がキャリブレーションパターンCPに照射されている場合を示し、図10(b)は、照射部71からの光が中間転写ベルト17に照射されている場合を示している。
図10(a)及び図10(b)を参照するに、照射部71から照射される光は、中間転写ベルト17では反射されるがキャリブレーションパターンCP(トナー像)では吸収されてしまう。従って、受光部72が光を受光しない場合には、中間転写ベルト17上にキャリブレーションパターンCPが存在することを示し、受光部72が光を受光する場合には、中間転写ベルト17上にキャリブレーションパターンCPが存在しないことを示す。このように、受光部72において、中間転写ベルト17から反射する光をモニタリングすることによってキャリブレーションパターンCPを検出することができる。本実施形態では、センサ70は、キャリブレーションパターンCPの検出時には、「0」のレベルを出力し、キャリブレーションパターンCPの未検出時には、「+」のレベルを出力する。従って、センサ70が図9に示すキャリブレーションパターンCPを読み取ると、検出結果DR(図9参照)が得られる。
以下、センサ70による検出結果に基づいて、走査線の主走査方向及び副走査方向のズレを補正する処理について説明する。
最初に、走査線の副走査方向のズレを補正する処理を説明する。まず、副走査方向の書き出し位置を調整するためのパターンCP1乃至CP4に対応するセンサ70からの出力(検出結果)において、図11(b)に示すように、隣り合うパターンCP1乃至CP4に対応するパルスの中心間距離を求める。具体的には、センサ70からの出力(パターンCP1乃至CP4の検出結果)を2値化(本実施形態では、「0」と「+」)し、パターンCP1乃至CP4の変化に比べて十分に速度の速いクロックを用いてカウントする。例えば、パターンCP1(イエロー)に対応するパルスとパターンCP2(マゼンタ)に対応するパルスとの中心間距離をD’MYとする。同様に、パターンCP2(マゼンタ)に対応するパルスとパターンCP3(シアン)に対応するパルスとの中心間距離をD’CMとし、パターンCP3(シアン)に対応するパルスとパターンCP4(ブラック)に対応するパルスとの中心間距離をD’KCとする。中間転写ベルト17上に形成されるトナー像(画像)がズレないようにするためには、中心間距離D’MY、D’CM及びD’KCが、図11(a)に示す所定の中心間距離DMY、DCM及びDKCとなるように補正する。例えば、D=DMY=DCM=DKCとし、イエローを基準とすると、マゼンタについては、DMY−Dだけ副走査方向のレーザ光の照射する位置(タイミング)を早める。同様にして、シアンについては、DMY+DCM−2Dだけ、ブラックについては、DMY+DCM+DKC−3Dだけ、副走査方向のレーザ光の照射する位置(タイミング)を早める。これにより、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの副走査方向の間隔が所望の距離になり、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4つのトナー像を正確に重ね合わせることができる。ここで、図11は、走査線の副走査方向のズレを補正する処理を説明するための図である。
次に、走査線の主走査方向のズレを補正する処理を説明する。主走査方向の書き出し位置を調整するためのパターンCP5乃至CP8を2次元センサを用いて読み取ると、副走査方向のズレに加えて主走査方向のズレを検出することができる。但し、パターンCP5乃至CP8の形状が予め分かっている場合には、副走査方向のズレを主走査方向のズレに変換することができる。例えば、図9に示すように、「<」形状のパターンCP5乃至CP8の全てが直線的に変化する場合、隣り合うパルスの中心間距離(センサ70の出力)と基準位置からの主走査方向のズレには相関が生じる。具体的には、図12に示すように、基準位置SPからセンサ70の検出ライン70aまでの主走査方向の距離は、キャリブレーションパターンCPにおける隣り合うパルスの中心間距離DのA倍に等しい。パターンCP5(イエロー)、パターンCP6(マゼンタ)、パターンCP7(シアン)及びパターンCP8(ブラック)の各々における隣り合うパルスの中心間距離をDY、DM、DC、DKとする。所望の距離をDとすると、イエローについてはDY−D、マゼンタについてはDM−D、シアンについてはDC−D、ブラックについてはDK−Dだけ主走査方向のレーザ光の照射する位置(タイミング)を調整する。具体的には、レーザ光の走査方向がα方向である場合は、イエローについてはDY−D、マゼンタについてはDM−D、シアンについてはDC−D、ブラックについてははDK−Dだけ主走査方向のレレーザ光の照射する位置(タイミング)を早める。一方、レーザ光の走査方向がβ方向である場合は、イエローについてはDY−D、マゼンタについてはDM−D、シアンについてはDC−D、ブラックについてははDK−Dだけ主走査方向のレーザ光の照射する位置(タイミング)を遅らせる。これにより、各色の主走査方向の書き出し位置を一致させることができ、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4つのトナー像を正確に重ね合わせることができる。なお、図13に示すように、基準位置SPからセンサ70の検出ライン70aまでの主走査方向の距離が変わった場合でも、隣り合うパルスの中心間距離(センサ70の出力)と基準位置からの主走査方向のズレには相関がある。例えば、図13では、基準位置SPからセンサ70の検出ライン70aまでの主走査方向の距離は、キャリブレーションパターンCPにおける隣り合うパルスの中心間距離DDのA倍に等しい。ここで、図12及び図13は、走査線の主走査方向のズレを補正する処理を説明するための図である。
このように、中間転写ベルト17上に形成したキャリブレーションパターンCPをセンサ70で検出して理想値からのズレを求め、レーザ光の照射する位置(タイミング)を前後させる。これにより、各色のトナー像を正確に(即ち、ずれることなく)重ね合わせることができる。
以下、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理について説明する。走査線の湾曲は、上述したように、レーザスキャナ部16を構成する光学系や走査系に調整機構を設け、かかる調整機構を介してレーザスキャナ部16を調整することで補正する(即ち、走査線を感光ドラム11a乃至11d上で一直線にする)ことができる。但し、レーザスキャナ部16に調整機構を設けると画像形成装置1のコストの増加を招いてしまう。また、走査線を感光ドラム11a乃至11d上で一直線にするための調整は、非常に煩雑で長時間を要してしまう。そこで、本実施形態では、レーザスキャナ部16に調整機構を設けることなく、走査線は湾曲させたまま、レーザ光を照射する位置(タイミング)を変更する(即ち、画像信号を変更する)ことで、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する。
図14は、走査線は湾曲させたまま、レーザ光を照射する位置(タイミング)を変更することで形成される画像(本実施形態では、文字「A」)を示す図である。図14を参照するに、本実施形態では、主走査方向を一点鎖線OLで示すように細かい領域に分割して、かかる領域にレーザ光を照射する位置(タイミング)を変更することによって、理想的な走査線で形成した場合の画像(図5)に近づけている。従って、図15(a)に示すように、走査線の湾曲に起因して傾斜した直線を補正する(一直線に見せる)ために各部に不連続な箇所が発生してしまっている。このような不連続な箇所を補正するために、本実施形態では、図15(b)に示すように、周りの画像(画素)に対して中間調処理を施している。ここで、図15は、図14に示す画像の部分拡大図である。
ここで、画像(走査線)の主走査方向及び副走査方向のズレを検出するためのキャリブレーションパターンCPを形成する場合を考える。例えば、副走査方向のズレを検出するためのパターンCP1を形成する場合、走査線が湾曲していなければ、図16(a)に示すパターンCP1が形成される。但し、走査線が湾曲していると、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理が施され、図16(b)に示すパターンCP1’が形成され、更に、不連続な箇所を補正する中間調処理が施され、図16(c)に示すパターンCP1’’が形成される。同様に、主走査方向のズレを検出するためのパターンCP5を形成する場合、走査線が湾曲していなければ、図17(a)に示すパターンCP5が形成される。但し、走査線が湾曲していると、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理が施され、図17(b)に示すパターンCP5’が形成され、更に、不連続な箇所を補正する中間調処理が施され、図17(c)に示すパターンCP5’’が形成される。ここで、図16は、走査線が湾曲していない場合及び走査線が湾曲している場合に形成されるキャリブレーションパターンCP(副走査方向のズレを検出するためのパターン)を示す図である。図17は、走査線が湾曲していない場合及び走査線が湾曲している場合に形成されるキャリブレーションパターンCP(主走査方向のズレを検出するためのパターン)を示す図である。
図17(a)に示すパターンCP5をセンサ70で読み取った場合のセンサ70からの出力結果を図18に示す。一方、図17(c)に示すパターンCP5’’をセンサ70で読み取った場合のセンサ70からの出力結果を図19に示す。図19を参照するに、センサ70が検出ライン70aを読み取った場合、センサ70にパターンCP5’’が到達しても中間調が存在するため、センサ70からの出力結果は、図18に示す出力結果と比較して、変化が緩やかになる。図20(a)は、図17(a)に示すパターンCP5をセンサ70で読み取った場合のセンサ70からの出力結果の要部拡大図である。図20(b)は、図17(c)に示すパターンCP5’’をセンサ70で読み取った場合のセンサ70からの出力結果の要部拡大図である。
また、センサ70が検出ライン70a’を読み取った(即ち、走査線と中間転写ベルト17の搬送方向とが直交していない)場合(図19参照)、パターンCP5’’の両端部に中間調が存在するため、幅方向の検出精度が低下してしまう。具体的には、中間調が存在しないパターンCP5をセンサ70で読み取った場合、センサ70からの出力結果は、図21(a)のようになり、隣り合うパルスの中心間距離はDIと検出される。但し、中間調が存在するパターンCP5’’を図19に示す検出ライン70aで読み取った場合、センサ70からの出力結果は、図21(b)のようになり、隣り合うパルスの中心間距離はDSと検出される。中心間距離DIと中心間距離DSは同じでなければならないにもかかわらず、パターンCP5’’には中間調が存在するため、検出される中心間距離DIと中心間距離DSとは異なってしまう。更に、中間調が存在するパターンCP5’’を図19に示す検出ライン70a’で読み取った場合、センサ70からの出力結果は、図21(c)のようになり、隣り合うパルスの中心間距離はDS’と検出される。このように、検出される中心間距離DS’は、中心間距離DIと異なり、中心間距離DSと比べても変わってしまう。ここで、図21(a)は、図17(a)に示すパターンCP5をセンサ70で読み取った場合のセンサ70からの出力結果の要部拡大図である。図21(b)及び図22(b)は、図17(c)に示すパターンCP5’’をセンサ70で読み取った場合のセンサ70からの出力結果の要部拡大図である。
なお、これまでは、主走査方向のズレを検出するためのパターンについて説明したが、副走査方向のズレを検出するためのパターンについても同様なことが言える。
以上から、センサ70は、キャリブレーションパターンの副走査方向の長さを検出していることが分かる。また、湾曲した走査線でキャリブレーションパターン(画像)を形成した場合であっても、かかるキャリブレーションパターン(画像)の副走査方向の長さは変わらない。このことから、本発明者は、湾曲した走査線で形成されたキャリブレーションパターンをセンサ70が読み取ったとしても、センサ70からの出力結果には影響しないことを見出した。換言すれば、理想的な(一直線の)走査線で形成したキャリブレーションパターンを読み取った場合のセンサ70からの出力結果と湾曲した走査線で形成したキャリブレーションパターンを読み取った場合のセンサ70からの出力結果とは同じである。
図22(a)は、理想的な(一直線の)走査線で形成したパターンCP1及びかかるパターンCP1を読み取った場合のセンサ70からの出力結果を示す図である。図22(a)を参照するに、隣り合うパルスの中心間距離はAである。一方、図22(b)は、湾曲した走査線で形成したパターンCP1’’’及びかかるパターンCP1’’’を読み取った場合のセンサ70からの出力結果を示す図である。図22(b)を参照するに、隣り合うパルスの中心間距離はAAである。なお、パターンCP1’’’には、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理や中間調処理は施されていない。中間転写ベルト17の搬送速度とレーザ光の照射時間は、走査線の湾曲に無関係であることから、A=AAが成立する。
なお、副走査方向のズレを検出するためのパターンCP5についても同様なことが言える。図23(a)は、理想的な(一直線の)走査線で形成したパターンCP5及びかかるパターンCP5を読み取った場合のセンサ70からの出力結果を示す図である。図23(a)を参照するに、隣り合うパルスの中心間距離はBである。一方、図23(b)は、湾曲した走査線で形成したパターンCP5’’’及びかかるパターンCP5’’’を読み取った場合のセンサ70からの出力結果を示す図である。図23(b)を参照するに、隣り合うパルスの中心間距離はBBである。なお、パターンCP5’’’には、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理や中間調処理は施されていない。中間転写ベルト17の搬送速度とレーザ光の照射時間は、走査線の湾曲に無関係であることから、B=BBが成立する。
従って、キャリブレーションパターンを形成する場合には、レーザ光が形成する走査線の湾曲を補正しない方がセンサ70の検出精度が向上し、トナー像を正確に重ね合わせることが可能となる。制御部50は、本実施形態では、画像の主走査方向及び副走査方向の書き出し位置を調整するためのキャリブレーションパターンを形成する場合には、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正しないように画像処理部55を制御する。これにより、センサ70がキャリブレーションパターンを高精度に検出することができるため、トナー像を正確に重ね合わせることが可能となる。従って、画像形成装置1は、高品位な画像を形成することができる。
以下、図24を参照して、画像形成装置1の動作(即ち、画像形成装置1の制御方法)について説明する。ここで、図24は、本発明の一側面としての画像形成装置1の制御方法を説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS1002において、制御部50は、中間転写ベルト17にキャリブレーションパターンCPを形成するかを判断する。具体的には、制御部50は、記録媒体PMに画像を形成するか、或いは、中間転写ベルト17にキャリブレーションパターンCPを形成するかを判断する。
記録媒体PMに画像を形成すると判断した場合には、制御部50は、ステップS1004において、画像処理部55が走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理を実行するように制御する。次いで、ステップS1006において、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理を実行しながら記録媒体PMに画像を形成する。
一方、中間転写ベルト17にキャリブレーションパターンCPを形成すると判断した場合には、制御部50は、ステップS1008において、画像処理部55が走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理を実行しないように制御する。次いで、ステップS1010において、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正する処理を実行せずに中間転写ベルト17にキャリブレーションパターンCPを形成する。
ステップS1012では、センサ70がステップS1010で形成したキャリブレーションパターンCPを検出する(読み取る)。ステップS1014では、制御部50(画像処理部55)は、センサ70によるキャリブレーションパターンCPの検出結果(センサ70からの出力結果)に基づいて、記録媒体PMに画像を形成する際の主走査方向及び副走査方向の書き出し位置を調整する。なお、ステップS1014における調整は、上述したように、レーザ光を照射する位置(タイミング)を変更することで行われる。ステップS1014における調整が完了すると、ステップS1002に戻る。
このように、キャリブレーションパターンCPを形成する場合には、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正しないようにすることで、キャリブレーションパターンCPを高精度に検出することができる。その結果、記録媒体PMに画像を形成する際の主走査方向及び副走査方向の書き出し位置を高精度に調整することが可能となる。一方、記録媒体PMに画像を形成する場合には、走査線の湾曲に起因する画像の歪みを補正することで、理想的な(一直線の)走査線で形成した場合の画像に近づけることができる。従って、画像形成装置1は、高品位な画像を形成することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。