JP4953301B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
このような仕上げに用いる材料として、化粧シートが使用されるケースがある。この化粧シートは、各種着色材と合成樹脂等の結合剤とを含む組成物をシート状に成形した建材であり、着色材の種類や比率、表面の凹凸形状等を調整することによって種々の美観性が表出できるものである。
このような問題に対し、例えば、特許文献1に示される防汚処理剤をシート表面に塗付することにより、汚染物質の付着を防止することが可能である。
しかし、化粧シートに対し特許文献1の如き汚染防止剤を適用すると、化粧シートの色相が黒っぽく変化する現象、所謂濡れ色が発生する場合がある。さらには、被膜の一部が虹色を呈する干渉むらが生じる場合もある。
このように、特許文献1の如き汚染防止剤では、当初の化粧シートの色相・質感が損なわれやすいという問題がある。
1.(1)有機質樹脂と(2)被膜形成時にシリカ凝集体を形成する平均一次粒子径1〜200nmのシリカゾルを含み、固形分重量比率で(1)有機質樹脂:(2)シリカゾルが100:50〜100:500である汚染防止剤を、使用量が固形分で0.1g/m2〜50g/m2となるように型枠の内面に塗付する第一の工程、
合成樹脂、着色粉粒体を含むベース塗料を、使用量が固形分で100g/m2以上となるように、第一の工程で得られた塗付面の上に塗付する第二の工程、
汚染防止剤及びベース塗料が硬化した後、脱型する第三の工程、
により得られることを特徴とする化粧シートの製造方法。
2.前記シリカゾルが、pH5.0以上8.5未満の水分散性シリカゾルであることを特徴とする1.に記載の化粧シートの製造方法。
(1)有機質樹脂(以下、「(1)成分」ともいう。)と(2)被膜形成時にシリカ凝集体を形成する平均一次粒子径1〜200nmのシリカゾル(以下、「(2)成分」ともいう。)を含み、固形分重量比率で(1)有機質樹脂:(2)シリカゾルが100:50〜100:500である汚染防止剤を、使用量が固形分で0.1g/m2〜50g/m2となるように型枠の内面に塗付する第一の工程、
合成樹脂、着色粉粒体を含むベース塗料を、使用量が固形分で100g/m2以上となるように、第一の工程で得られた塗付面の上に塗付する第二の工程、
汚染防止剤及びベース塗料が硬化した後、脱型する第三の工程、
により得られることを特徴とするものである。
例えば、シリコンゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。本発明で使用する型枠は、凹凸模様を有するものが好ましい。
このような凹凸模様を有する型枠は、最終的に化粧シートの凹凸模様を形成させるものである。凹凸の程度としては、特に限定されないが、その高さが0.5〜30mm程度(好ましくは、1〜20mm程度)であることが好ましい。またその間隔は、0.5〜30mm程度(好ましくは、1〜20mm程度)であることが好ましい。
例えば、シリコンゴムを用いた場合、凹凸模様を有する化粧建材を使用して、該化粧建材の表面にシリコンゴムを流し込み、シリコンゴムが硬化した後、該化粧建材の表面からシリコンゴムを剥離することにより、凹凸模様を有する型枠を簡便に作製することができる。
このような(2)成分は、シラノール基等の極性基の作用により耐汚染性を発揮し、さらに凝集体の形成により底艶、濡れ色、干渉ムラ等の発生を抑制し、最終的に得られる化粧シート表面の質感を保持する役割を担う成分である。
Acid Orange7(OrangeII)、Methyl Red等の酸性染料、
クリスタルバイオレット、ビスマルクブラウンG、Basic Blue 9(Methylene Blue)等の塩基性染料
アリザリン、Mordant Red 11等の媒染染料、
エリオクロムブラックT、Mordant Black 3等の酸性媒染染料、
コンゴーレット、Direct Red 2等の直接染料、
Disperse Red 73、Disperse Orange 3、Disperse Red 17、Disperse Violet 1等の分散染料、
サルファーブラックB等の硫化染料、
Vat Red 1、Vat Blue 1(Indigo)等の建染め染料、
アニリンブラック等の酸化染料、
Reactive Red 24等の反応染料、
食用青色1号(Brilliant Blue;ブリリアントブルーFCF)、食用青色2号(Indigo Carmine;インジゴーカーミン)、食用赤色2号(Amaramth:アマランス)、食用赤色3号(Erythrosine;エリスロシン)、食用赤色40号(アルラレッドAC)、食用赤色102号(New Coccine;ニューコクシン)、食用赤色104号(Phloxine;フロキシン)、食用赤色105号(Rose Bengal;ローズベンガル)、食用赤色106号(Acid Red アシドレッド)、食用緑色3号(Fast GreenFCF;ファーストグリーンFCF)、食用黄色4号(Tartrazine;タートラジン)、食用黄色5号(Sunset Yellow FCF;サンセット イエローFCF)等の食用染料、
ベニバナ黄系色素、ウコン黄系色素、パブリカ橙系色素、コチニール系赤色素、クチナシ系青系色素、クチナシ系緑系色素、β-カロチン系色素、アナトー橙系色素、紅小麹赤系色素、ラック赤系色素、ブドウ果皮赤系色素、ビートレッド赤系色素、シソ赤系色素、ベリー類赤系色素、クロロフィル緑系色素、カカオ褐色系色素、コーリャン褐色系色素等の天然染料
ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、クマリン誘導体、ピラゾリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ビスベンゾオキサゾリル誘導体、ビススチリルビフェニール誘導体等の蛍光染料、
アゾイック染料、
等が挙げられる。
汚染防止剤塗膜が透明性を示すためには、着色材の固形分重量比率が、(1)成分:着色材で100:0.01〜100:30、好ましくは100:0.05〜100:25、より好ましくは100:0.1〜100:20程度であればよい。このような範囲であることにより、汚染防止剤塗膜は透明性を有し、優れた美観性を得ることができるとともに、優れた耐汚染性能を維持することができる。
また、汚染防止剤は、使用量が固形分で0.1g/m2〜50g/m2(好ましくは0.2g/m2〜30g/m2、さらに好ましくは0.5g/m2〜20g/m2)となるように塗付すればよい。使用量が50g/m2より多いと、化粧シート表面の質感が損われやすくなる。
本発明では、特に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が好適に用いられる。
また、汚染防止剤が硬化する前に塗付すれば、ベース塗料に含まれる着色粉粒体が、汚染防止剤中に徐々に浸透していき、ある程度着色粉粒体が浸透した時点で硬化するため、製造された化粧シートは、着色粉粒体の浸透度合いにより、深みのある優れた美観性を有するものとなる。さらに、汚染防止剤に着色材が含まれている場合は、ベース塗料中に着色材が徐々に浸透していくため、さらに深みのある優れた美観性を有するものとなる。
通常汚染防止剤を塗付してから0分後〜180分後(好ましくは0.5分後〜120分後)程度が好ましい。
このようなベース塗料を塗付する方法としては、特に限定されず、通常行う方法を用いることができる。例えば、圧送式スプレーガン等を用いて塗付することもできるし、フローコーター等を用いて塗付することもできるし、刷毛、ローラー、スプレー、こて等の塗装器具を用いて塗付することもできる。
また、着色粉粒体等を汚染防止剤の上に散布した後に、ベース塗料を塗付することもできる。
このような型枠を用いた製造方法では、汚染防止剤が最表面となる化粧シートが得られる。本発明の製造方法によれば、湿式工法等に比べて、塗料の垂れや塗装ムラ、ピンホール等の問題が起こりにくく、また、熟練した技術を要しなくても、優れた美観性を簡便に得ることができる。また、型枠の凹凸模様は、凹凸による意匠感を表出するものであるが、汚染防止剤の艶消し効果等にも作用し、よりいっそう深みのある美観性を得ることができる。
また、本発明の化粧シートのベース塗膜側には、補強、平滑化等を目的として、補強層を設けることもできる。
(汚染防止剤A)
アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50重量%)、水溶性ウレタン樹脂(固形分35重量%)、水分散性シリカゾル(pH7.6、固形分20重量%、平均1次粒子径27nm)を固形分重量比率92:8:125で混合し、これに水を加えて固形分2重量%、pH7.2の汚染防止剤Aを作製した。この汚染防止剤Aを黒色紙上に塗付量(固形分)が3g/m2でスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥させ、その塗膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカゾルの凝集体が確認された。
アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50重量%)、水溶性エポキシ樹脂(固形分100重量%)、水分散性シリカゾル(pH7.6、固形分20重量%、平均1次粒子径27nm)を固形分重量比率92:8:125で混合し、これに水を加えて固形分2重量%、pH7.2の汚染防止剤Bを作製した。この汚染防止剤Bを黒色紙上に塗付量(固形分)が3g/m2でスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥させ、その塗膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカゾルの凝集体が確認された。
アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50重量%)、水分散性シリカゾル(pH7.6、固形分20重量%、平均1次粒子径27nm)を固形分重量比率100:125で混合し、これに水を加え、さらに0.1N酢酸水溶液を用いて固形分2重量%、pH6.0の汚染防止剤Cを作製した。この汚染防止剤Cを黒色紙上に塗付量(固形分)が3g/m2でスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥させ、その塗膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカゾルの凝集体が確認された。
アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50重量%)、水分散性シリカゾル(pH7.6、固形分20重量%、平均1次粒子径27nm)を固形分重量比率100:125で混合し、これに水を加えて固形分2重量%、pH7.2の汚染防止剤Dを作製した。この汚染防止剤Dを黒色紙上に塗付量(固形分)が3g/m2でスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥させ、その塗膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、凝集体の存在は認められなかった。
アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50重量%)、水溶性ウレタン樹脂(固形分35重量%)、水分散性シリカゾル(pH7.6、固形分20重量%、平均1次粒子径27nm)、顔料分散液(酸化チタン:カーボンブラック=5:1(重量比))を固形分重量比率92:8:125:0.4で混合し、これに水を加えて固形分2重量%、pH7.2の汚染防止剤Eを作製した。この汚染防止剤Eを黒色紙上に塗付量(固形分)が3g/m2でスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥させ、その塗膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカゾルの凝集体が確認された。
(ベース塗料A)
アクリルスチレン樹脂エマルション(固形分50重量%)100重量部、酸化チタン3.6重量部、カーボンブラック0.3重量部、フタルシアニンブルー0.6重量部、炭酸カルシウム10重量部、寒水石20重量部、水酸化アルミニウム30重量部、水3重量部、添加剤3重量部を混合し、粘度10Pa・s、着色粉粒体容積濃度30%、固形分70%のベース塗料Aを作製した。
なお、粘度は、BH型粘度計(回転数:20rpm)を用いて、温度23℃で測定した値である。
アクリルスチレン樹脂エマルション(固形分50重量%)100重量部、着色珪砂500重量部、炭酸カルシウム10重量部、水200重量部、添加剤3重量部を混合し、粘度10Pa・s、着色粉粒体容積濃度81%、固形分70%のベース塗料Bを作製した。
砂岩調模様を有する型枠に、温度23℃の条件下で、汚染防止剤Aを固形分で5g/m2塗付し、1分後、ベース塗料Aを固形分で1500g/m2塗付し、24時間後、脱型して、砂岩調模様の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、凹凸感のある奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を有する美観性をかもし出していた。
次にこの化粧シートを大阪府茨木市にて南向き45度の角度で屋外曝露し、3ヶ月後の外観を確認した。その結果、化粧シート表面は、奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を維持していた。
ベース塗料Aの替わりにベース塗料Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、砂岩調模様の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、凹凸感のある奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を有する美観性をかもし出していた。
次にこの化粧シートを大阪府茨木市にて南向き45度の角度で屋外曝露し、3ヶ月後の外観を確認した。その結果、化粧シート表面は、奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を維持していた。
汚染防止剤Aの替わりに汚染防止剤Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、砂岩調模様の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、凹凸感のある奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を有する美観性をかもし出していた。
次にこの化粧シートを大阪府茨木市にて南向き45度の角度で屋外曝露し、3ヶ月後の外観を確認した。その結果、化粧シート表面は、奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を維持していた。
汚染防止剤Aの替わりに汚染防止剤Cを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、砂岩調模様の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、凹凸感のある奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を有する美観性をかもし出していた。
次にこの化粧シートを大阪府茨木市にて南向き45度の角度で屋外曝露し、3ヶ月後の外観を確認した。その結果、化粧シート表面は、奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を維持していた。
汚染防止剤Aの替わりに汚染防止剤Dを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、砂岩調模様の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、凹凸感のある砂岩調模様を有していたが、化粧シート表面の奥深い色調・艶や、落ちついた質感が得られなかった。
砂岩調模様を有する型枠に、温度23℃の条件下で、ベース塗料Aを固形分で1500g/m2塗付し、24時間後、脱型して、砂岩調模様の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、凹凸感のある砂岩調模様の美観性をかもし出していた。
次にこの化粧シートを大阪府茨木市にて南向き45度の角度で屋外曝露し、3ヶ月後の外観を確認した。その結果、化粧シート表面は、汚れが目立っていた。
汚染防止剤Aの替わりに汚染防止剤Eを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、砂岩調模様の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、凹凸感があり、汚染防止剤Eの色調とあいまって、奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を有する美観性をかもし出していた。
次にこの化粧シートを大阪府茨木市にて南向き45度の角度で屋外曝露し、3ヶ月後の外観を確認した。その結果、化粧シート表面は、奥深い色調・艶を有し、落ちついた質感を維持していた。
Claims (2)
- (1)有機質樹脂と(2)被膜形成時にシリカ凝集体を形成する平均一次粒子径1〜200nmのシリカゾルを含み、固形分重量比率で(1)有機質樹脂:(2)シリカゾルが100:50〜100:500である汚染防止剤を、使用量が固形分で0.1g/m2〜50g/m2となるように、型枠の内面に塗付する第一の工程、
合成樹脂、着色粉粒体を含むベース塗料を、使用量が固形分で100g/m2以上となるように、第一の工程で得られた塗付面の上に塗付する第二の工程、
汚染防止剤及びベース塗料が硬化した後、脱型する第三の工程、
により得られることを特徴とする化粧シートの製造方法。 - 前記シリカゾルが、pH5.0以上8.5未満の水分散性シリカゾルであることを特徴とする請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
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