JP4953096B2 - 凝集装置を有するスクリュープレス - Google Patents

Description

この発明は、下水、集落排水、し尿処理、工場廃水等の排水処理設備から発生する汚泥に、ポリマーを添加して圧搾脱水するスクリュープレスに関し、特に、スクリュープレスの前段に大きい凝集混和槽を設置することなく、スクリュープレスに凝集装置を配設したスクリュープレスの改良に関する。

下水汚泥等を脱水するスクリュープレスは、ポリマーで凝集処理したものを脱水する必要がある。従来は、下水汚泥等を凝集させる混和槽を設置しており、例えば、脱水に適した凝集フロックを造粒させて供給するスクリュープレスは、特許文献１に開示してある。また、スクリュー羽根を巻き掛けた回転軸を横型円筒状の本体内部に配設し、本体内部に溢流壁を立設して、汚泥供給管の開口部近傍を汚泥の調室部とし、調室部の回転軸に攪拌羽根を設けた汚泥処理装置も、例えば、特許文献２に開示してある。
特許第３６７９３５９号公報（段落番号００１３、図１） 特公平０６−１５１１６号公報（請求項１、図１）

従来の下水汚泥等をポリマーで凝集処理する混和槽は比較的大きいため、スクリュープレスの原液供給口側に大きな凝集混和槽の設置と監視のためのスペースが必要となる。大型の脱水機になると、凝集混和槽も所定の滞留時間を維持するために大きな槽になり、中心部と周辺部では攪拌機の周速度が異なるため、凝集フロックの生成状態にバラツキが生じていた。また、横型円筒状の本体内部に汚泥の調室部を設けた汚泥処理装置は、凝集混和槽の設置スペース、及び監視スペースが不要となるものであるが、調室部だけでの凝集フロックの造粒は、攪拌羽根の回転速度が遅いため、生成状態にバラツキを生じる。調室部をスクリュープレスに設置して圧搾脱水すると、凝集フロックがスクリーンから目抜けする恐れがある。

この発明は、ラインミキサーの技術を応用してスクリュープレスに直接配設して、良好な凝集フロックを生成させる凝集装置を有するスクリュープレスを提供する。

この発明に係る凝集装置を有するスクリュープレスは、外筒スクリーンとスクリュー軸でろ過室を形成し、ろ過室に供給した調質汚泥をスクリュー軸に巻き掛けたスクリュー羽根で移送しながら濃縮脱水し、排出口から脱水ケーキを取出すスクリュープレスにおいて、外筒スクリーンの始端部に接続した外筒ケーシングにスクリュー軸を延設し、外筒ケーシングの周壁にラインミキサーの一端を連結させ、他端の端壁部に攪拌羽根を配設し、ラインミキサーの汚泥流出口側の内周面に複数のバッフル板を止着すると共に、ラインミキサーの攪拌羽根近傍の周壁に原液汚泥の給泥管と凝集剤の薬注管を連結したものである。

この発明の凝集装置は、直径の小さい管内で攪拌するので攪拌ムラがなく、凝集フロックのバラツキがなくなり、均一なフロックの形成が可能となる。フロック形成後、直ちにスクリュープレスに供給して脱水を行なうため、フロックの破壊がなく水切り性が高くなり脱水性が向上する。また、攪拌混合された旋回流をバッフル板に衝突させて乱流化し、フロック化を促進させると共に、旋回流を直線流に整流させる。なお、薬注管はラインミキサーに直結する代わりに、給泥管に連結しても良いものである。

この発明は上記のように構成してあり、攪拌羽根とバッフル板を有するラインミキサーをスクリュープレスの入口部に直結することにより、凝集装置の直径が小さくなり、均一なフロックの形成が可能となる。造粒汚泥を直ちにスクリュープレスに供給するので脱水性が向上する。スクリュープレスの原液供給側に大きい凝集混和槽を設置する必要がなく、凝集装置の設置スペースと、監視スペースが不要となる。

この発明の実施例を図面に基づき詳述すると、先ず、図１は凝集装置を有するスクリュープレスの縦断面図であって、前後のフロントフレーム１及びリヤーフレーム２に支架されたスクリュープレス３は、周部にスクリーンを張設した外筒スクリーン４と、その内部にスクリュー羽根５を巻き掛けたスクリュー軸６を配設してある。スクリュー軸６は汚泥の供給側からケーキの排出側に向って拡大させてあり、外筒スクリーン４とスクリュー軸６の間に形成するろ過室７は、凝集汚泥が濃縮・脱水されるに従って容積を減少させてある。外筒スクリーン４の始端部に外筒ケーシング８が接続してあり、スクリュー軸６を外筒ケーシング８に延設してある。外筒ケーシング８の側端部に設けた軸受９にスクリュー軸６を軸支してある。

この発明の実施例では、円筒状の外筒スクリーン４が前半部の濃縮ゾーンＡの外筒スクリーン４ａと後半部のろ過・脱水ゾーンＢの外筒スクリーン４ｂに分割してあり、濃縮ゾーンＡの外筒スクリーン４ａとろ過・脱水ゾーンＢの外筒スクリーン４ｂの間に中間軸受１０を介装し、ろ過・脱水ゾーンＢの外筒スクリーン４ｂの下部を外筒支持ローラー１１で支架してある。

図２はスクリュープレスの原液供給側の要部拡大図であって、濃縮ゾーンＡの外筒スクリーン４ａの供給側に連結したフランジ１２がフロントフレーム１に設けた回転板軸受１３に軸支してある。このフランジ１２にスプロケット１４が嵌着してあり、フロントフレーム１に載置した正逆転可能な濃縮外筒駆動機１５に連動連結してある。

図３はスクリュープレスの脱水ケーキ排出側の要部拡大図であって、ろ過・脱水ゾーンＢの外筒スクリーン４ｂの排出側に連結した回転板１６がリヤーフレーム２に配設した回転板軸受１７に軸支してあり、回転板１６に嵌着したスプロケット１８がリヤーフレーム２に載置した脱水機外筒駆動機１９に連動連結してある。濃縮ゾーンＡの外筒スクリーン４ａとろ過・脱水ゾーンＢの外筒スクリーン４ｂを差速回転可能としてある。外筒スクリーン４ｂに内設したスクリュー軸６の後端部にスクリュ−駆動軸２０が連結してあり、スクリュー駆動軸２０はリヤーフレーム２の架台２ａに設けた軸受２１に軸支してある。このスクリュー駆動軸２０にスプロケット２２が嵌着してあり、スクリュー駆動機（図示せず）に連動連結してある。ろ過室７の後端側にプレッサー移動軸２３に支架された背圧調整用のプレッサー２４が配設してあり、プレッサー２４はリヤーフレーム２に支架した移動用シリンダー２５に連結してあり、ろ過室７のケーキの排出口２６の排出面積を調節可能としてある。

濃縮ゾーンＡの外筒スクリーン４ａとろ過・脱水ゾーンＢの外筒スクリーン４ｂを差速回転させながらスクリュー軸６を回転させて、ろ過室７に供給された調質汚泥を、スクリュー羽根５で供給側からケーキの排出側に向って移送させ、外筒スクリーン４ａ、４ｂからろ液を分離してろ過室７の下方に配設したろ液トラフ２７に排出する。調質汚泥は濃縮脱水されながらケーキ状となり、プレッサー２４で背圧を受けながらケーキの排出口２６からケーキ出口２８に排出する。

図４はラインミキサーを接続したスクリュープレスの原液供給側の拡大図であって、外筒スクリーン４の始端部に接続した外筒ケーシング８の周壁に円筒状のラインミキサー２９が連結してある。ラインミキサー２９の周壁に原液汚泥の給泥管３０と凝集剤の薬注管３１が連結してある。

図５はラインミキサーの拡大図であって、ラインミキサー２９の端壁部２９ａに設けた軸受３２に攪拌羽根３３が軸支してあり、端壁外周部の架台３４に支架した攪拌駆動機３５に直結してある。給泥管３０に連結したラインミキサー２９の汚泥流入口３６は、攪拌羽根３３の先端部近傍に開口してあり、薬注管３７は給泥管３０に連結してある。ラインミキサー２９の汚泥流出側の内周壁に複数のバッフル板３８・・・を放射状に止着して、ラインミキサー２９の他端部に汚泥流出口３９を開口してある。

攪拌羽根３３の回転数は１分間に２００〜５００ｒｐｍとしてあり、原液と凝集剤を攪拌羽根３３の先端近傍に圧入し、攪拌羽根３３で汚泥と凝集剤を高速攪拌して攪拌混合し、バッフル板３８・・・で攪拌混合された旋回流をバッフル板３８に衝突させて乱流化し、フロック化を促進させると共に、直線流に整流化させながらフロックを造粒させる。攪拌ムラがなくなり、凝集フロックのバラツキがなく均一なフロックの形成が可能となる。

調整汚泥を汚泥流出口３９から外筒ケーシング８に流入させて外筒スクリーン４の始端部に供給する。フロック形成後、直ちに脱水が行われるため、フロックの破壊がなく水切れ性が高くなり、脱水性が向上する。なお、ラインミキサー２９の内周壁に止着した複数のバッフル板３８・・・は、ラインミキサー２９の軸芯近傍まで延設しても良いもので、水流の整流化が可能となる。図４に示すように、薬注管３１はラインミキサー２９の周壁に連結せずに、薬注管３７を給泥管３０に接続し、給泥管３６から原液と凝集剤の混合液を攪拌羽根３３の先端近傍に圧入しても良いものである。

この発明に係る凝集装置を有するスクリュープレスは、外筒スクリーンに接続した外筒ケーシングにラインミキサーを連結し、ラインミキサーの周壁に汚泥流入口と端壁部に攪拌羽根を配設し、汚泥流出側の内周壁に複数のバッフル板を放射状に配設したもので、凝集装置が小さくなり、高速で攪拌混合された旋回流をバッフル板に衝突させて乱流化し、フロック化を促進させると共に、直線流に整流化させるので、凝集フロックのバラツキがなく均一なフロックの形成が可能となる。フロック形成後、直ちに脱水が行われるため、フロックの破壊がなく脱水性が向上する。従って、凝集装置の設置スペースと、監視スペースが不要となる凝集装置を有するスクリュープレスとなり、スペースに制約条件のある下水、集落排水、し尿処理、工場廃水等の排水処理設備に適するスクリュープレスとなる。

この発明に係る凝集装置を有するスクリュープレスの縦断面図である。 同じく、スクリュープレスの原液供給側の要部拡大図である。 同じく、スクリュープレスの脱水ケーキ排出側の要部拡大図である。 同じく、ラインミキサーを接続したスクリュープレスの原液供給側の拡大図である。 同じく、ラインミキサーの拡大図である。

符号の説明

３ スクリュープレス
４ 外筒スクリーン
５ スクリュー羽根
６ スクリュー軸
７ ろ過室
８ 外筒ケーシング
２６ 排出口
２９ ラインミキサー
２９ａ 端壁部
３０ 給泥管
３１、３７ 薬注管
３３ 攪拌羽根
３６ 汚泥流入口
３８ バッフル板
３９ 汚泥流出口

Claims (2)

1. 外筒スクリーン（４）とスクリュー軸（６）でろ過室（７）を形成し、ろ過室（７）に供給した調質汚泥をスクリュー軸（６）に巻き掛けたスクリュー羽根（５）で移送しながら濃縮脱水し、排出口（２６）から脱水ケーキを取出すスクリュープレスにおいて、外筒スクリーン（４）の始端部に接続した外筒ケーシング（８）にスクリュー軸（６）を延設し、外筒ケーシング（８）の周壁にラインミキサー（２９）の一端を連結させ、他端の端壁部（２９ａ）に攪拌羽根（３３）を配設し、ラインミキサー（２９）の汚泥流出口（３９）側の内周面に複数のバッフル板（３８・・・）を止着すると共に、ラインミキサー（２９）の攪拌羽根（３３）近傍の周壁に原液汚泥の給泥管（３０）と凝集剤の薬注管（３１）を連結したことを特徴とする凝集装置を有するスクリュープレス。
2. 上記ラインミキサー（２９）に連結する薬注管（３７）を、給泥管（３０）に連結したことを特徴とする請求項１に記載の凝集装置を有するスクリュープレス。