JP4946071B2 - 環状ケトン化合物の連続製造装置および連続製造方法。 - Google Patents

環状ケトン化合物の連続製造装置および連続製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、工業的生産規模で、ジカルボン酸化合物を脱炭酸および環化することにより、環状ケトン化合物を連続的に製造するための環状ケトン化合物の連続製造装置、並びにこの装置を用いる環状ケトン化合物の連続製造方法に関する。
シクロペンタノンなどの環状ケトン化合物は、香料や医薬、農薬などの製造原料として広く用いられている。
従来、環状ケトン化合物の製造方法としては、触媒の存在下、ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行う方法が知られている。例えば、非特許文献1には、触媒の存在下に、アジピン酸を脱炭酸および環化することによってシクロペンタノンを製造する方法において、触媒として、水酸化バリウム(Ba(OH)・8HO)、酸化第二鉄(Fe)、炭酸バリウム(BaCO)、二酸化マンガン(MnO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、フッ化カリウム(KF)、無水酢酸((CHCO)O)などを使用できることが記載されている。
また、特許文献1には、活性マグネシアを触媒として用いて、アジピン酸を脱炭酸および環化することにより、シクロペンタノンを製造する方法が開示されている。
しかしながら、これらの文献に記載された製造方法は、反応器としてガラス製のフラスコを用いた、実験室レベルでのバッチ反応によるものであり、該文献には環状ケトン化合物を連続的に製造する技術は開示されていない。
一方、環状ケトン化合物を連続的に製造する方法として、特許文献2,3には、溶媒中、特定の触媒の存在下に、ジカルボン酸化合物を脱炭酸、環化することにより環状ケトン化合物を製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2,3においては、1000mLのガラス製の丸底フラスコを用いて環状ケトン化合物を実験室レベルで連続的に製造する例が記載されているのみであって、環状ケトン化合物を工業的生産規模で連続的に製造する技術は開示されていない。
ところで、非特許文献2には、多数の金属材料がアジピン酸そのものに対し100℃程度で耐腐食性を発揮し得ることを示すデータが示されている。チタンについてはアジピン酸と水との混合物に対し210℃程度で耐腐食性を発揮し得ることを示すデータが示されている。しかしながら、これらのデータは溶融状態にあるアジピン酸に対する金属材料の耐腐食性を示すものではなく、溶融状態にあるアジピン酸そのものに対する金属材料の耐腐食性については全く教示されていない。
Org.Synthesis.Coll.Vol.1,192−194頁 High Temperature Corrosion,Edited by Robert A. Rapp,National Assoc. of Crrosion Engineers,"METALS SECTION CRROSION DATA SURVEY" 6−7頁 US2612524 特開平7−25809号公報 特開平7−33703号公報
上述のように、特許文献2,3には、実験室レベルでガラス製のフラスコを使用して環状ケトン化合物を連続的に製造した旨が記載されている。しかしながら、仮に連続的に製造し得たとしても、ガラス製の反応槽を工業的生産規模で使用することは実際上不可能である。そこで、本発明者は反応槽を金属材料で形成することを考案し、一般に耐腐食性として知られる金属材料について検討を行った。その結果、溶融状態のジカルボン酸化合物からの環状ケトン化合物の生成反応に対しては概して耐腐食性を発揮し得ないことが判明し、工業的生産規模でジカルボン酸化合物から環状ケトン化合物を連続的に製造することは非常に困難であることが明らかとなった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、工業的生産規模で、ジカルボン酸化合物を脱炭酸および環化することにより環状ケトン化合物を連続的に製造するための連続製造装置、並びにこの装置を用いる環状ケトン化合物の連続製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、反応槽内で、触媒の存在下、アジピン酸の脱炭酸反応および環化反応を行うことにより、シクロペンタノンを連続的に製造する連続製造装置および連続製造方法について鋭意研究した。
その結果、ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行う反応槽と、該反応槽にジカルボン酸化合物を間欠的または連続的に供給する原料供給部とを備える環状ケトン化合物の連続製造装置において、反応槽として、該槽の内壁部表面の反応混合物が接触する部分が、溶融したアジピン酸からシクロペンタノンを生成させるための反応液に270℃で30時間浸漬した間の腐食速度が150mdd以下である金属材料からなるものを使用すると、反応槽内壁の腐食が進行せず、長時間に亘り連続的に環状ケトン化合物を安定して製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(3)の環状ケトン化合物の連続製造装置が提供される。
(1)ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行って環状ケトン化合物を生成させるための反応槽と、ジカルボン酸化合物を該反応槽に間欠的または連続的に供給する原料供給部とを備え、該反応槽の内壁部表面の反応混合物が接触する部分が、溶融したアジピン酸からシクロペンタノンを生成させるための反応液に270℃で30時間浸漬した間の腐食速度が150mdd以下である金属材料からなる、環状ケトン化合物の連続製造装置。
(2)前記原料供給部がジカルボン酸化合物を加熱溶融させる溶融手段をさらに備えるものである(1)に記載の連続製造装置。
(3)反応槽から留出する、環状ケトン化合物を含む混合物から、未反応ジカルボン酸化合物を該反応槽に還流回収するための充填塔をさらに備える(1)または(2)に記載の連続製造装置。
本発明の第2によれば、下記(4)〜(7)の環状ケトン化合物の連続製造方法が提供される。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の連続製造装置を用いるジカルボン酸化合物を原料とする環状ケトン化合物の連続製造方法であって、反応槽において、アルカリ土類金属含有化合物、鉄含有化合物およびマンガン含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる触媒の存在下に、ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行い、該反応槽から環状ケトン化合物を間欠的または連続的に取り出しながら、該反応槽内における前記触媒の存在量が、ジカルボン酸化合物100重量部に対して6〜20重量部に維持されるように、ジカルボン酸化合物を該反応槽に間欠的または連続的に供給する工程を有する環状ケトン化合物の連続製造方法。
(5)(3)に記載の連続製造装置を用いるジカルボン酸化合物を原料とする環状ケトン化合物の連続製造方法であって、充填塔の頭頂部の留出温度を120℃以下に制御する環状ケトン化合物の連続製造方法。
(6)ジカルボン酸化合物を溶融状態で反応槽に供給する(4)または(5)に記載の連続製造方法。
(7)ジカルボン酸化合物が、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、2,2−ジメチルアジピン酸、3,3−ジメチルアジピン酸、2,5−ジメチルアジピン酸、および2,2,5−トリメチルアジピン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種である(4)〜(6)のいずれかに記載の連続製造方法。
本発明の、環状ケトン化合物の連続製造装置および連続製造方法によれば、工業的生産規模で、環状ケトン化合物を連続的に、かつ工業的に有利に製造することができる。
以下、本発明を、1)環状ケトン化合物の連続製造装置、および2)環状ケトン化合物の連続製造方法に項分けして詳細に説明する。
1)環状ケトン化合物の連続製造装置
本発明の環状ケトン化合物の連続製造装置は、ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行って環状ケトン化合物を生成させるための反応槽と、ジカルボン酸化合物を該反応槽に間欠的または連続的に供給する原料供給部とを備え、該反応槽の内壁部表面の反応混合物が接触する部分が、溶融したアジピン酸(以下、「溶融アジピン酸」という)からシクロペンタノンを生成させるための反応液に270℃で30時間浸漬した間の腐食速度が150mdd以下である金属材料からなることを特徴とする。
本発明の連続製造装置において、反応槽は、内壁部表面の反応混合物が接触する部分が、溶融アジピン酸からシクロペンタノンを生成させるための反応液に270℃で30時間浸漬した間の腐食速度が150mdd以下、好ましくは50mdd以下、より好ましくは20mdd以下である金属材料(以下、「耐腐食性材料」ということがある。)からなる。このような反応槽を有する、本発明の連続製造装置によれば、長時間に亘り環状ケトン化合物を連続的に安定して製造することができる。
ここで、溶融アジピン酸からシクロペンタノンを生成させるための反応液に270℃で30時間浸漬した間の腐食速度(mdd=mg/dm/day)は、金属材料からなる試験片(縦50mm×横30mm×厚さ2mm)を、溶融アジピン酸からシクロペンタノンを生成させるための反応液中に270℃で30時間浸漬させた後、試験片を反応液から取り出し、洗浄・乾燥して秤量し、浸漬前後の重量変化から腐食度(重量変化÷試験片の表面積÷浸漬時間)を算出し、腐食速度(mdd=mg/dm/day)に換算して求めることができる。
アジピン酸はジカルボン酸の中でも比較的酸性が強く、溶融状態にあって、しかもシクロペンタノンが生成する際に生ずる水の影響により強い腐食性を示すものと考えられる。従って、上記の条件において腐食速度が150mdd以下の金属材料は、ジカルボン酸化合物からの環状ケトン化合物の生成反応に対し、耐腐食性に優れた金属材料であるといえる。本発明の連続製造装置においては、一般に耐腐食性が知られる金属材料の中でも特定の金属材料からなる内壁部表面を有する反応槽を使用するので、ジカルボン酸化合物、特に溶融状態にあるジカルボン酸化合物からの環状ケトン化合物の生成反応に対して反応槽の腐食が抑制され、長時間に渡って連続的に工業規模で環状ケトン化合物を製造することができる。
耐腐食性材料の具体例としては、チタン、チタン合金(パラジウム−チタン合金、ニッケル−ルテニウム−チタン合金、ニッケル−モリブデン−チタン合金など)、ニッケル−モリブデン−クロム合金(ハステロイB、ハステロイB−2、ハステロイC、ハステロイC−276、ハステロイC−4、ハステロイC−22、ハステロイG、ハステロイG−3、ハステロイXなど(以上ヘインズ社の商標))、フェライト系ステンレススチール(SHOMAC30−2など(昭和電工社の商標))などが挙げられる。
後述するように、ジカルボン酸化合物からの環状ケトン化合物の生成反応において腐食された金属材料の試験片の表面電子顕微鏡による解析から、FeやNi、又はCuが減少していることが明らかになったことから、使用する耐腐食性材料としては、Fe、Ni及びCuからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素の含有量が低いもの、特にFe又はCuの含有量が低いものが好適であり、例えば、Feの含有量が4重量%以下である金属材料が好適である。
本発明の連続製造装置の反応槽は、少なくとも、内壁部表面の反応混合物が接触する部分が、耐腐食性材料からなるものであればよい。
このような反応槽としては、例えば、(i)全体が耐腐食性材料からなる反応槽、(ii)反応混合物が接触する内壁部表面部分を含む反応槽の構成部分の全体が耐腐食性材料からなり、他の部分は耐腐食性材料以外の材料からなる反応槽、(iii)全体が耐腐食性材料以外の材料からなり、少なくとも内壁部の反応混合物が接触する部分の表面が、耐腐食性材料で被覆されてなる反応槽、などが挙げられる。
本発明の連続製造装置の反応槽は、後述のジカルボン酸化合物として具体的に列挙する化合物を原料として反応を行うのに特に好適である。
本発明の連続製造装置は、原料であるジカルボン酸化合物を反応槽に間欠的または連続的に供給する原料供給部をさらに備える。ここで、「間欠的に供給する」とは、原料であるジカルボン酸化合物の所定量を一定時間毎に区切って反応槽に供給することをいい、「連続的に供給する」とは、原料であるジカルボン酸化合物の一定量を連続的に反応槽に供給することをいう(以下にて同じ。)。本発明の原料供給部は、そのようにしてジカルボン酸化合物を反応槽に供給可能な装置からなるものであれば、特に限定されるものではない。
本発明の連続製造装置においては、操作性および生産性を向上させる観点から、前記原料供給部が、ジカルボン酸化合物を加熱溶融させる溶融手段をさらに有し、該供給部が、溶融されたジカルボン酸化合物を反応槽に間欠的または連続的に供給するものであるのが好ましい。ジカルボン酸化合物を溶融状態で反応槽に供給する方法を採用することにより、ジカルボン酸化合物の反応槽への供給量を容易に調節することができ、原料供給部と反応槽とを連結する配管の詰まりを防止することができる。
溶融手段としては、特に限定されず、公知の溶融装置、例えば、汎用的な200℃まで加熱できるジャケット付きSUS316タンク(反応釜)設備を代用することができる。
反応槽内においては、通常、触媒の存在下、ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応が行われる。これらの反応においては、一分子のジカルボン酸化合物から、一分子の環状ケトン化合物、一分子の二酸化炭素、および一分子の水が生成する。なお、用いる触媒およびジカルボン酸化合物については、後述する本発明の連続製造方法の項で詳述する。
反応槽内で生成した環状ケトン化合物は、水および未反応のジカルボン酸化合物を含む混合物として反応槽から間欠的または連続的に留出させ、留出物を、例えば、公知の冷却管を介して環状ケトン化合物の回収部(例えば、SUS304、SUS316製タンク等の回収容器)で捕集することにより取り出すことができる。
本発明の連続製造装置は、環状ケトン化合物を効率的に捕集する観点から、反応槽に冷却管を介して接続された環状ケトン化合物の回収部を備えるものが好ましい。
本発明の連続製造装置としては、反応槽から留出する、環状ケトン化合物を含む混合物から、未反応ジカルボン酸化合物を反応槽に還流回収するための充填塔をさらに備えたものが好ましい。充填塔を設けることにより、環状ケトン化合物の混合物中における未反応ジカルボン酸化合物の含有量を低減でき、かつ、未反応ジカルボン酸化合物を回収して再び反応に供することができるため、環状ケトン化合物の生産性を高めることができる。
充填塔は、前述した機能を効果的に発揮させるため、環状ケトン化合物の回収部と冷却管を介して接続され得るように反応槽に設けるのが好適である。
充填塔とは、中空の塔内に何らかの充填物を入れ、その表面で気液接触を行わせる型の精留塔をいう。塔の上部ほど揮発性の高い成分に富み、下部ほど揮発性の低い成分に富むことになり、分離性能が向上する。
充填物は特に限定されず、規則充填物であっても不規則充填物であってもよい。充填物の具体例としては、例えば、ラシヒリング(Raschig ring;直径と長さが等しい中空の円筒形の充填物)、レッシングリング(Lessing ring;ラシヒリングの中に仕切り板を一枚入れて半円形に分割した形の充填物、金網をS字型に曲げてこの形状にしたものはディクソンパッキン(Dixon packing)という)、ポールリング(Pall ring;ラシヒリングの中にS字型あるいは十字型の仕切り板を入れ、その部分の側面を開けた形の充填物)、サドル(馬の鞍の形をした充填物、なお金網で作られているものは特にマクマホンパッキン(Mcmahon packing)という)、スルザーパッキン(Sulzer packing;いくつもの波型に折り曲げた金属板を何枚も束ねたものを蒸留塔の内径に合わせて整形したもの)などが挙げられる。
充填塔としては、内部及び/又は外部に冷却手段(例えば、冷却水供給管)を有し、容易に冷却可能なものが好適である。
目的とする環状ケトン化合物は、捕集された環状ケトン化合物の混合物から、後述するような任意の方法に従って単離することにより良好な品質で得られる。
本発明の連続製造装置は、工業的生産規模で、環状ケトン化合物を連続的に製造する装置であるが、一定時間運転した後においては、安定した操業を行う観点から、反応槽内を定期的にクリーニングするのが好ましい。反応槽内のクリーニングの方法は、反応槽内の残留物を除去することができる方法であれば、特に制限されない。
例えば、本発明の連続製造装置が、触媒として炭酸バリウムを使用し、アジピン酸からシクロペンタノンを製造する装置である場合には、反応槽に60〜100℃の温水を所定量添加して、反応槽内の残留物を洗浄するのが好ましい。温水の使用量はなるべく少ない方が作業効率などの観点から好ましいが、あまりに少ないと洗浄が不十分となるおそれがある。温水の使用量は、反応槽内の残留物1gに対して、通常5〜15mL、好ましくは6〜8mLである。また、洗浄液を濾過し、濾液を冷却することにより、未反応のアジピン酸およびアジピン酸バリウムを回収することができる。回収したアジピン酸およびアジピン酸バリウムは、環状ケトン化合物を製造する反応に供することができる。
本発明の連続製造装置の一例(概念図)を、図1、2に示す。図1、2中、1は原料供給部、2は反応槽、3は混合物取り出し部、4は環状ケトン化合物精製部、5は充填塔である。
図1に示す連続製造装置においては、原料供給部1から原料であるジカルボン酸化合物が反応槽2に送られ、反応槽2内で、触媒の存在下、ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応が行われる。次いで、反応生成物である環状ケトン化合物を含む混合物を反応槽2から留出させて、例えば、公知の冷却管と回収容器とからなる混合物取り出し部3で該混合物を捕集し、環状ケトン化合物精製部4において、捕集した環状ケトン化合物を含む混合物から目的物である環状ケトン化合物を単離する操作が行われる。
図2に示す連続製造装置は、図1に示す連続製造装置に、更に充填塔を設置した連続製造装置の一例(概念図)である。図2に示す連続製造装置においては、充填塔5は反応槽2と混合物取り出し部3の間であって、反応槽2の上部に設置されている。
2)環状ケトン化合物の連続製造方法
本発明の環状ケトン化合物の連続製造方法は、図1または2に示すごとき本発明の連続製造装置を用いる、ジカルボン酸化合物を原料とする環状ケトン化合物の連続製造方法であって、反応槽において、所定の触媒の存在下にジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行い、該反応槽から環状ケトン化合物を間欠的または連続的に取り出しながら、該反応槽内における触媒の存在量が、ジカルボン酸化合物100重量部に対して6〜20重量部に維持されるように、ジカルボン酸化合物を該反応槽に間欠的または連続的に供給することを特徴とする。
ジカルボン酸化合物の連続的な化学反応によって環状ケトン化合物を安価かつ安定的に製造するには、ジカルボン酸化合物と触媒との最適な量比を、長時間維持しておく必要がある。生じた環状ケトン化合物は反応槽から間欠的または連続的に取り出され、ジカルボン酸化合物の量は、化学反応の進行によって、徐々に少なくなっていく。そこで、本発明の連続製造方法においては、反応槽内における触媒の存在量が、ジカルボン酸化合物100重量部に対して6〜20重量部、好ましくは8〜11重量部に維持されるように、ジカルボン酸化合物を該反応槽に間欠的または連続的に供給する。触媒の存在量を、ジカルボン酸化合物100重量部に対して6〜20重量部に維持することによって、収率よく目的とする環状ケトン化合物を連続的に製造することができる。
なお、環状ケトン化合物を反応槽から間欠的または連続的に取り出す方法としては特に限定されるものではない。通常、反応槽から留出してくる環状ケトン化合物を、図1または2に示すような混合物取り出し部3により捕集して取り出せばよい。
本発明の製造方法は、ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行うことにより、目的とする環状ケトン化合物を得るものである。
用いるジカルボン酸化合物としては、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、2,2−ジメチルアジピン酸、3,3−ジメチルアジピン酸、2,5−ジメチルアジピン酸、2,2,5−トリメチルアジピン酸などが挙げられる。これらの中でも、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、又は3−メチルアジピン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。これらのジカルボン酸化合物は、それぞれ単独で、もしくは2種以上を混合して用いることができる。
用いる触媒は、アルカリ土類金属含有化合物、鉄含有化合物、およびマンガン含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である。かかる触媒を用いることにより、収率よく目的とする環状ケトン化合物を得ることができる。
アルカリ土類金属含有化合物としては、アルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、ホウ酸塩、ハロゲン化物などが挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。
鉄含有化合物としては、鉄の、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などが挙げられる。鉄の酸化状態は、特に限定されず、2価であっても3価であってもよい。
マンガン含有化合物としては、マンガンの、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などが挙げられる。マンガンの酸化状態は、特に限定されず、2価であっても、4価であってもよい。
また、アルカリ土類金属含有化合物、鉄含有化合物、およびマンガン含有化合物は、無水物であっても、水和物であってもよい。
本発明においては、これらの中でも、アルカリ土類金属含有化合物が好ましく、アルカリ土類金属炭酸塩がより好ましく、炭酸バリウムが特に好ましい。
本発明の連続製造方法は、本発明の連続製造装置を使用するものであるから、ジカルボン酸化合物を溶融状態で反応槽に供給することが好ましい。ここで、「溶融状態」とは、ジカルボン酸化合物自体が溶解して流動性を帯びた状態にあることをいう。なお、ジカルボン酸化合物は粉状物として反応槽に供給してもよい。
本発明の連続製造方法において環状ケトン化合物の生成反応は公知の任意の溶媒の存在下及び非存在下のいずれにより実施してもよいが、溶媒が多く存在する場合、触媒が析出して反応効率が低下する傾向にあるため、溶媒の非存在下に反応を行うのが好ましい。
反応槽における反応の反応温度は、通常250〜300℃、好ましくは265〜275℃である。
また、本発明の連続製造方法においては、図2に示すごとき充填塔を有する本発明の連続製造装置を用いて、充填塔の頭頂部の留出温度を、120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは105℃以下に制御して環状ケトン化合物を製造することができる。頭頂部の留出温度の下限としては98℃程度である。充填塔の頭頂部の留出温度をこのような温度以下に制御することにより、反応槽から留出した環状ケトン化合物の混合物における未反応のジカルボン酸化合物の含有量を、8重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下に低減することができる。
このように、充填塔頭頂部の留出温度を適宜調整することにより、反応槽からの留出物に同伴する未反応のジカルボン酸化合物量を低減することができるが、それに伴って、回収された留出物の油層と水層とが容易に2層分離するようになる。留出物が2層分離すると環状ケトン化合物の精製をより容易に行うことができる。また、同伴未反応ジカルボン酸化合物量が低減されると、ジカルボン酸化合物の反応転化率が向上して反応収率が増大し、さらに、留出物の精製工程における同伴未反応ジカルボン酸化合物の中和処理の負担が低減されることから、総じて環状ケトン化合物の生産効率が向上することになる。
なお、本態様においても、反応槽において、所定の触媒の存在下にジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行い、該反応槽から環状ケトン化合物を間欠的または連続的に取り出しながら、該反応槽における触媒の存在量が、ジカルボン酸化合物100重量部に対して6〜20重量部、好ましくは8〜11重量部に維持されるように、ジカルボン酸化合物を該反応槽に間欠的または連続的に供給して環状ケトン化合物を製造するのが好ましい。
次いで、反応槽から留出した環状ケトン化合物の混合物から、目的とする環状ケトン化合物を単離する。環状ケトン化合物の混合物から環状ケトン化合物を単離する方法としては、環状ケトン化合物の混合物から目的とする環状ケトン化合物を単離することができる方法であれば、特に制限されない。例えば、環状ケトン化合物の混合物に塩基性飽和食塩水を添加して分液した後、有機層を分取し、得られた有機層を蒸留する方法や、環状ケトン化合物の混合物に飽和食塩水を添加して分液した後、有機層を分取し、得られた有機層に塩基を直接添加したのち蒸留する方法などが挙げられる。これらの方法によれば、環状ケトン化合物の混合物から、水および未反応のジカルボン酸化合物を効率よく除去することができ、高純度な環状ケトン化合物を効率よく得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下において特段の事情がない限り、「%」は重量基準である。
1.シクロペンタノンの定量
以下においては、ガスクロマトグラフィー分析装置を用いて定量分析した。
(分析条件)
装置 :ヒューレットパッカード社製 HP−6890
カラム :HP−1
カラム温度 :40℃→昇温13.5℃/分→240℃
FID検出温度:250℃
INJ温度 :200℃
(サンプル調製)
一定量の留出物(シクロペンタノン、水、未反応アジピン酸、不純物の混合物)を正確に秤量した。留出物1gに対してメタノール5mL以上を加えることで完全な均一溶液とした。デカンを内部標準に用い、ガスクロマトグラフ分析に供した。
2.アジピン酸の定量
以下においては、高速液体クロマトグラフィー分析装置を用いて定量分析した。
(分析条件)
装置 :アジレント(Agilent)社製 1100
カラム :コスモシール 5C18 4.6mmΦ×250mm(ナカライ社製)
カラム温度 :30℃
UV測定 :220nm
移動層 :0.05M HPO:0.05M KHPO:メタノール
(35:35:30)(vol/vol/vol)
流量 :1mL/分
(サンプル調製)
ガスクロマトグラフ分析と同様にメタノールで留出物を均一溶液とした後、内部標準物質にマロン酸を用い、高速液体クロマトグラフ分析に供した。
(参考例1) 各種金属材料の腐食速度(mdd)の測定試験
工業的製造を考慮した場合、反応槽の金属材料の選定において実際の反応条件で選定することが必要である。そこで、後述の実施例1の装置および条件で30時間の反応を行い、その際、耐腐食性が高いといわれている金属材料の試験片(縦50mm×横30mm×厚さ2mm)を反応液中に浸漬させ、金属材料の腐食試験を実施した。試験片は反応残留物を水溶液に溶解してろ過する際、不溶物と一緒に回収した。回収した試験片をアセトン及び純水中で超音波洗浄(各120秒)することで表面の不純物を洗浄した。充分乾燥後、正確に重量を測定し、腐食試験に供する前の重量からの減少量を求め、腐食速度(mdd)に換算した。
各種金属材料の腐食速度及び耐腐食性を第1表に示す。なお、耐腐食性は、耐腐食性が良好である場合を○、不良である場合を×とした。
Figure 0004946071
腐食速度が150mdd以下の場合、特に問題となるような腐食は認められなかった。アジピン酸はジカルボン酸の中でも比較的酸性が強く、溶融状態にあって、しかもシクロペンタノンが生成する際に生ずる水の影響により強い腐食性を示すものと考えられる。このことから、本試験において腐食速度が150mdd以下の金属材料は、ジカルボン酸化合物からの環状ケトン化合物の生成反応に対し、耐腐食性に優れた金属材料であるといえる。
すなわち、ジカルボン酸化合物を原料とする環状ケトン化合物の工業的連続生産に耐える反応槽の金属材料としては、チタン、ハステロイ、SHOMAC30−2等が優れており、一般に耐腐食性材料として知られるSUS304、SUS316等のステンレス系材料やインコロイ系(Ni−Cr−Fe−Cu−Mo合金)材料は不適当であると認められた。
なお、試験後のSUS316の表面電子顕微鏡(日本電子データム社製、JXA−8100)の解析から、FeやNiは減少している一方、Crはほとんど減少していないことが判明した。
(実施例1)
5つ口5Lセパラブルチタン張り反応槽(SUS316製反応槽の内壁表面をチタンコートしたもの)に、温度コントロール装置連動加熱装置(アジピン酸の加熱溶融装置)および窒素ガスライン付き滴下ロート;温度制御センサー;攪拌装置;ならびに充填塔(還流装置)を設置した。充填塔の先には冷却器とシクロペンタノン受器を設け、留出したシクロペンタノン、水、および同伴未反応アジピン酸の回収装置とした。回収装置は窒素ラインに接続し、酸素の影響を受けないようにした。
反応槽内にアジピン酸2kgと炭酸バリウム200gを入れ、外部バス温度を180℃に設定して加熱し、アジピン酸を溶融した。アジピン酸の溶融に伴い炭酸ガスが発生し、炭酸バリウムとアジピン酸とが反応してアジピン酸バリウムが生じた。アジピン酸が完全に溶融した後(内部温度165℃)、加熱攪拌を開始した。内部温度が255℃を超えた辺りから炭酸ガスの発生を伴いながら、シクロペンタノンの生成が開始された。内部温度が270℃程度となるように加熱すると共に、充填塔頭頂部の留出温度が105℃程度となるように冷却しながら、反応液面が出来るだけ一定になるように溶融アジピン酸を溶融装置付き滴下ロートにより適宜追加した(これにより、仕込み時におけるアジピン酸と炭酸バリウムとの量比を一定に維持した)。
充填塔冷却効果と同伴未反応アジピン酸留出量の関係を把握する目的でサンプリングを行った。シクロペンタノンの生成が開始されてから26時間後に溶融アジピン酸の添加を中止し、さらに4時間、同条件で反応を行った(その間の内部温度は270℃)。
反応終了時、反応槽内部の残留アジピン酸量は仕込み当初の約1/5まで釜を炊きあげていた。この反応で合計7kgのアジピン酸を熱分解環化反応に付し、4631.8gの留出物を回収した。留出物(油層と水層の2層に分離)に、炭酸ナトリウム60gと塩化ナトリウム50gとを水500gに均一溶解した水溶液(塩基性飽和食塩水)を加えて充分攪拌した後(同伴未反応アジピン酸の中和)、静置して再度2層分離させ、油層3760gを回収した。この油層をガスクロマトグラフ分析および高速液体クロマトグラフ分析に付し、成分分析したところ、シクロペンタノン99.1%、アジピン酸は0.01%、0.01%以下の高沸点不純物、残りは水であった。シクロペンタノンは3722.9gに相当し、仕込み量に対する収率は92.3%だった。
一方、加熱攪拌をやめて操業停止後、反応残留物に対し、内部温度が120℃まで冷却された段階で水3000mLを加えた(水は温水化した)。再度加熱還流して残留アジピン酸およびアジピン酸バリウムを溶解させた後、水溶液温度70℃まで冷却した段階で、水溶液全量をろ過して不溶物(黒色炭化物)を回収した。黒色炭化物は145gであり、生成収率は約0.2%と低い値であった。ろ過した水溶液は15℃まで冷却した。冷却水溶液からアジピン酸およびアジピン酸バリウムの白色混合結晶430gを回収した。この混合結晶は次回の反応原料として再利用できる。特にアジピン酸バリウムは本反応の触媒を完全に維持しており、また、溶融アジピン酸に溶融する際に炭酸ガスの発生が無く、反応仕込み段階での反応槽内部のアジピン酸による管系の閉塞が起きないことから安全性が高く、非常に有用である。反応槽内部のチタン表面には微量の黒色炭化物が残留したが、通常のブラッシングで簡単に除去でき容易に反応槽を洗浄することができた。
(実施例2〜4)
充填塔頭頂部の留出温度を、それぞれ110℃程度(実施例2)、120℃程度(実施例3)、および135℃程度(実施例4)とした以外は、実施例1と同様にして連続反応によりシクロペンタノンを製造した。135℃程度とした場合(実施例4)、充填塔の冷却操作は行わなかった。反応槽からの留出物中に含まれる同伴未反応アジピン酸量(留出物中の含有量%で示す)と充填塔頭頂部の留出温度との関係、留出物の状態を第2表に示す。なお、実施例1の場合についても併せて示す。
Figure 0004946071
第2表より、充填塔頭頂部の留出温度を、充填塔を適宜冷却して調整することにより、同伴未反応アジピン酸量を低減することが可能であり、それに伴って、回収された留出物の油層と水層とが容易に2層分離するようになることが分かる。
留出物が2層分離するとシクロペンタノンの精製をより容易に行うことができる。本実験結果によれば、120℃程度以下に充填塔頭頂部の留出温度を調整することで同伴未反応アジピン酸量を効果的に低減することができ、シクロペンタノンの精製をより容易に実施可能であることが判明した。特に105℃程度に調整するのが好適であり、その場合、回収された留出物の油層と水層とが一層容易に2層分離することが分かる。
また、同伴未反応アジピン酸量が低減されると、アジピン酸の反応転化率が向上して反応収率が増大し、さらに、留出物の精製工程における同伴未反応アジピン酸の中和処理の負担が低減されることから、総じてシクロペンタノンの生産効率が向上することになる。なお、充填塔頭頂部の留出温度を98℃以下に調整すると同伴未反応アジピン酸量は0.3%程度まで低下するが、シクロペンタノンの留出速度が低下し、工業的には生産効率の低下を招くものと思われた。一方、後述の比較例1の条件で同様の実験を実施した場合にも実施例2〜4と同様の結果が得られたことから、反応槽の内壁部表面を構成する金属材料は同伴未反応アジピン酸量の低減効果に影響しないものと思われた。
(実施例5)
触媒として、炭酸バリウムの代わりに酸化第二鉄を用いた以外は、実施例1と同様にしてシクロペンタノンを製造した。鉄系触媒は反応活性が高く、同一反応温度条件ではアジピン酸の転化速度が早く、アジピン酸7kgの転化時間は26時間であり、約4時間短縮された。一方、タール状不純物の生成量が多く、反応終了後、反応槽を温水洗浄した際、黒色タール成分が反応槽内部に残留した。この成分はアルカリ水溶液にも溶解しなかった。有機溶剤(トルエン)で洗浄後、2N塩酸水溶液で鉄由来成分を溶解、次いで水洗浄し、アルカリ洗浄することで完全洗浄できた。工業的には洗浄工程で多くの工程を必要とするが、反応速度は高く、反応時間の短縮では効果が期待できる。
(実施例6)
触媒として、炭酸バリウムの代わりに二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にしてシクロペンタノンを製造した。アジピン酸7kgの転化時間は31時間であり、二酸化マンガンの反応速度は炭酸バリウムとほぼ同等であった。また、酸化第二鉄の場合と同様にタール分の除去が必要であった。
(比較例1)
実施例1のチタン張り反応槽の代わりに5LのSUS316反応槽を用い、実施例1と同一条件で反応を行った。反応自体は同一の挙動で進行し、反応収率92.2%の結果を得た。反応残渣を温水洗浄で抜き出した結果、反応槽内部SUS表面全面に黒色炭化物の付着が見られた。SUS表面をアルカリ水溶液とアセトンで洗浄して不純物を洗浄した結果、SUS表面が腐食を受け、微細な凹凸により金属光沢が低下していた。
(比較例2)
触媒にフッ化カリウム(KF)を用いた以外は、実施例1と同様にして連続反応によりシクロペンタノンを製造した。反応活性が低く、30時間反応時のアジピン酸消費量は3kgであり、収率も低かった。
(比較例3)
触媒不存在下、反応槽の内部温度を300℃として反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして連続反応によりシクロペンタノンを製造した。実質的に反応は進行せず、溶融アジピン酸は徐々に黒色化し、分解不純物が生成するに至った。Ber.Vol.45,1605(1912)に無触媒でのアジピン酸からのシクロペンタノンの生成が報告されているが、再現性を確認することは出来なかった。
実施例1、5、6および比較例1〜3の実験結果を第3表にまとめて示す。
Figure 0004946071
本発明の連続製造装置の概念図である。 本発明の連続製造装置の概念図である。
符号の説明
1…原料供給部、2…反応槽、3…混合物取り出し部、4…環状ケトン化合物精製部、5…充填塔

Claims (7)

  1. ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行って環状ケトン化合物を生成させるための反応槽と、
    ジカルボン酸化合物を該反応槽に間欠的または連続的に供給する原料供給部とを備え、
    該反応槽の内壁部表面の反応混合物が接触する部分が、溶融したアジピン酸からシクロペンタノンを生成させるための、アルカリ土類金属含有化合物、鉄含有化合物及びマンガン含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる触媒と溶融アジピン酸のみを含有する反応液に270℃で30時間浸漬した間の腐食速度が150mdd以下である、チタン、チタン合金、ニッケル−モリブデン−クロム合金、又はフェライト系ステンレススチールからなることを特徴とする、環状ケトン化合物の連続製造装置。

  2. 前記原料供給部がジカルボン酸化合物を加熱溶融させる溶融手段をさらに備えるものである請求項1に記載の連続製造装置。
  3. 反応槽から留出する、環状ケトン化合物を含む混合物から、未反応ジカルボン酸化合物を該反応槽に還流回収するための充填塔をさらに備える請求項1または2に記載の連続製造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の連続製造装置を用いるジカルボン酸化合物を原料とする環状ケトン化合物の連続製造方法であって、
    反応槽において、アルカリ土類金属含有化合物、鉄含有化合物およびマンガン含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる触媒の存在下に、ジカルボン酸化合物の脱炭酸反応および環化反応を行い、該反応槽から環状ケトン化合物を間欠的または連続的に取り出しながら、該反応槽内における前記触媒の存在量が、ジカルボン酸化合物100重量部に対して6〜20重量部に維持されるように、ジカルボン酸化合物を該反応槽に間欠的または連続的に供給する工程を有する環状ケトン化合物の連続製造方法。
  5. 請求項3に記載の連続製造装置を用いるジカルボン酸化合物を原料とする環状ケトン化合物の連続製造方法であって、充填塔の頭頂部の留出温度を120℃以下に制御する環状ケトン化合物の連続製造方法。
  6. ジカルボン酸化合物を溶融状態で反応槽に供給する請求項4または5に記載の連続製造方法。
  7. ジカルボン酸化合物が、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、2,2−ジメチルアジピン酸、3,3−ジメチルアジピン酸、2,5−ジメチルアジピン酸、および2,2,5−トリメチルアジピン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項4〜6のいずれかに記載の連続製造方法。


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