以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る光源装置を示す斜視図であり、図2は、図1に示す光ファイバを示す斜視図であり、図3は、図1に示す光方向制御器を示す斜視図であり、図4は、図1に示す基幹ファイバを示す断面図であり、図5(a)及び(b)は、図2に示す光ファイバにおける切込位置の決定方法を示す斜視図であり、(a)は光ファイバ全体を示し、(b)は微小部分を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る光源装置1においては、複数本の光ファイバ2からなるファイバ列3が設けられている。ファイバ列3においては、複数本の光ファイバ2が相互に平行に1列に配列されており、各光ファイバ2が延びる方向と光ファイバ2の配列方向とは相互に直交している。また、光ファイバ2間の部分は例えば透明な接着剤(図示せず)により埋められており、この接着剤により光ファイバ2同士が接着されている。これにより、ファイバ列3は全体として板状の形状をなしている。光ファイバ2の一方の端部側には、光ファイバ2の配列方向に延びる光方向制御器4が設けられている。
そして、光方向制御器4の下方には、光ファイバ2の配列方向に延びる基幹ファイバ5が設けられており、光方向制御器4の上方には、光ファイバ2の配列方向に延びる基幹ファイバ6が設けられている。基幹ファイバ5及び6は光ファイバである。一方、ファイバ列3の他方の端部側には、光ファイバ2の配列方向に延びる基幹ファイバ7が設けられている。基幹ファイバ7も光ファイバである。基幹ファイバ5乃至7の一端部には、夫々光源8乃至10が、例えば、レンズ(図示せず)を介して光学的に結合されている。光源8乃至10は例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)であり、各光源が赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の全ての色の光を発光できるようになっている。
図2に示すように、光ファイバ2においては、コア11と、コア11の周囲を覆うクラッド12が設けられており、クラッド12の上面には、光ファイバ2の長手方向に沿って複数の切込13が形成されている。コア11は透明材料により形成されており、クラッド12は、コア11を形成する材料よりも屈折率が低い透明材料により形成されている。切込13はクラッド12を貫通してコア11に到達しており、コア11を導通する光の一部が切込13から光ファイバ12の外部に漏出するようになっている。各切込13から出射される光は、相互に略平行な方向に出射するようになっている。これは、光の入射側から見て、各切込13の形状を相互に等しくすることによって達成される。本実施形態においては、切込13から漏洩した光は、上方に向けて出射されるようになっている。
切込13の配置密度は、光ファイバ2の長手方向に沿って連続的に変化しており、光ファイバ2内を導通する光の進行方向100の上流側(入射側)ほど疎であり、下流側ほど密になっている。即ち、光ファイバ2に形成された切込13の配列間隔は、光ファイバ2に入射される光の入射側ほど大きくなっている。これは、光進行方向100の下流側にいくほど、光ファイバ2内を導通する光量が低減し、従って、下流側に形成された切込13ほど、1個の切込13から出射される光量が少なくなるため、下流側ほど切込13の配置密度を高くすることで、光ファイバ2から出射される光量を光ファイバ2の長手方向で均一とし、ファイバ列3から均一な面状に光を出射させるためである。なお、光ファイバ2における切込13の配置密度の決定方法については後述する。
図3及び図4に示すように、光方向制御器4は、光ファイバ2の配列方向に延びる部材であり、例えば、樹脂材料が射出成型されて形成されたものである。光方向制御器4の表面には、局所的に金属膜が蒸着されており、これにより、3種類のミラー14乃至16が形成されている。ミラー14乃至16は、光方向制御器4におけるファイバ列3に対向する面に、光方向制御器4の長手方向に沿ってこの順に繰返し配列されており、1つのミラーが1本の光ファイバ12に対応するようになっている。ミラー14乃至16は、その配置角度が相互に異なっている。ミラー14の表面に垂直な方向(以下、ミラー14の法線方向という)は、光ファイバ2の長手方向及び下方向の双方に対して45°の角度をなす方向となっている。また、ミラー15の法線方向は、光ファイバ2の長手方向及び上方向の双方に対して45°の角度をなす方向である。更に、ミラー16の法線方向は、光ファイバ2の長手方向と一致している。
図4に示すように、基幹ファイバ5においては、光ファイバ2と同様に、コア11及びコア11の周囲を覆うクラッド12が設けられている。また、基幹ファイバ5のクラッド12の上面には、基幹ファイバ5の長手方向に沿って一定間隔で切込17が形成されている。切込17は、光方向制御器4のミラー14に対応するように形成されており、光方向制御器4の直下域から外れる領域、例えば、光源8の近傍の領域には形成されていない。また、基幹ファイバ5の光進行方向下流側にいくほど、切込17の底部においてコア11が露出する面積が大きくなっている。
同様に、基幹ファイバ6においても、コア11及びクラッド12が設けられており、切込17が形成されている。基幹ファイバ6の切込17は基幹ファイバ6の下面に形成されており、光方向制御器4のミラー15に対応する位置に配置されている。そして、基幹ファイバ6の光進行方向下流側にいくほど、切込17の底部においてコア11が露出する面積が大きくなっている。また、基幹ファイバ7においても、コア及びクラッドが設けられており、クラッドにおけるファイバ列3側の面に切込が形成されている。基幹ファイバ7の切込は、ファイバ列3を構成する光ファイバ2のうち、その一端が光方向制御器4のミラー16に対応する光ファイバ2の他端に対向するように形成されている。そして、光進行方向下流側にいくほど、切込の底部においてコアが露出する面積が大きくなっている。なお、基幹ファイバ5乃至7の長手方向において、切込17の底部においてコア11が露出する面積を変化させる替わりに、切込17がコアに浸入する浸入量を変化させてもよい。
そして、光ファイバ2と光方向制御器4との間、及び光方向制御器4と基幹ファイバ5乃至7との間には樹脂(図示せず)が充填されており、この樹脂内に自己形成光導波路が形成されている。
以下、図5(a)及び(b)を参照して、光ファイバ2における切込13の配置の決定方法について説明する。なお、以下、切込13を一般的に光出射部という。これは、以下に説明する決定方法は、本実施形態のように、光ファイバに切込を設けてこの切込から光を漏出させる場合だけでなく、後述する他の実施形態のように、光ファイバに突起を設けてこの突起から光を漏出させる場合等にも適用できるからである。
先ず、考察に使用するパラメータを定義する。図5(a)に示すように、ある光ファイバの一端に入射する光の強度をI0とする。そして、この光ファイバにおける光出射に寄与する部分をその長手方向に沿ってn個(nは2以上の整数)の微小領域20に分割する。また、図5(b)に示すように、k番目(kは1乃至nの整数)の微小領域20において、1つ上流側の微小領域からこの微小領域20に入射する入射光の強度をIk−1とし、この微小領域20から1つ下流側の微小領域へ出射する出射光の強度をLkとし、入射した光が微小領域20内を伝播する間に生じる減衰光の強度、即ち、微小領域20内における吸収による減衰光の強度及び光出射部以外の部分からの漏光による減衰光の強度の合計をAkとし、光出射部から所望の方向、即ち、ミラー14及び15並びに光ファイバ2に向かう方向に漏洩する漏光の強度をLkとし、光出射部から前述の所望の方向以外の方向に漏洩する漏光の強度、即ち、光出射部が存在することによる伝播光の光路の乱れ等により所望でない方向に漏出する漏光の強度をBkとする。
このとき、光ファイバ2における単位長さ当たりの光の損失量、即ち、減衰係数は一定であると考えられる。そこで、この減衰係数をαとする。そうすると、下記数式1が成立し、微小領域における光の損失Akは、どの微小領域でも同じになる。
また、光出射部から所望の方向以外の方向に漏洩する光の強度Bkは、光出射部から所望の方向に出射する光の強度Lkに応じて一定の割合で生じると考えられるため、この割合をγとすると、下記数式2が成立する。
光出射部から所望の方向へ出射する光量Lkは、入射光量に対して光出射部の効率で決まる係数を掛けた量となる。本実施形態においては、光出射部の効率は光ファイバの長さ方向で変化させているので、前記係数を微小領域毎に定義し、k番目の微小領域における係数をβkとする。すると、下記数式3が成立する。
入射光Ik−1、減衰光Ak、出射光Ik、所望の方向への漏光Lk、及び所望の方向以外の方向への漏光Bkは、エネルギー保存の法則から、下記数式4を満たす必要がある。
ファイバ列3の面内で略均一に光を出射させるためには、光ファイバの全長にわたって所望の方向への漏光Lkを均一とする必要がある。このため、下記数式5が成立することが好ましい。
上記数式5に上記数式3を代入すると、下記数式6が成立する。また、上記数式1乃至4から、下記数式7が導かれる。
上記数式7に上記数式6を代入すると、下記数式8が成立する。
上記数式8からわかるように、k番目の微小領域から(k+1)番目の微小領域に出射する出射光Ikを決定する因子のうち、漏光に関する因子は、該当する微小領域の係数βk及びこの微小領域に入射する入射光Ik−1ではなく、1番目の微小領域の係数β1及びこの微小領域への入射光I0により表記可能である。上記数式8において、入射光Ik−1に対して更に数式8を代入していくと、kが1以上である場合には、下記数式9が成立する。
光出射部は、上記数式9を満たすように設計することで、長手方向において均一に光を出射する光ファイバを得ることができる。このような光ファイバを1列に配列することにより、面内で均一に光を出射するファイバ列を得ることができる。実際には、減衰係数α、光出射部において所望の方向以外の方向に漏洩する漏光の割合γ、1番目の微小領域における所望の方向への漏光の係数β1、及び微小領域の分割数nが決定されると、光ファイバ全長に渡る特性を設計することができる。
なお、微小領域内における光の減衰が無視できるとすると、即ち、α=0とすると、上記数式9は下記数式10のように簡略化できる。
更に、光出射部の存在に起因する所望の方向以外の方向に漏洩する漏光が無視できるとすると、即ち、γ=0とすると、上記数式10は下記数式11のように簡略化できる。
そして、上記数式9乃至11のいずれかを使用して、光ファイバの特性を設計することができる。例えば、上記数式11を使用すれば、微小領域への分割数n及び最初の(1番目の)微小領域における係数β1が決定されると、光ファイバの全長にわたる特性を設計することができる。又は、上記数式11を使用し、微小領域への分割数n及び最後の(n番目の)微小領域から出射する出射光Inが決定されると、全長にわたる特性を設計することができる。
例えば、最も上流側、即ち入射側から1番目の微小領域への入射光強度I0を100とし、光出射部の密度を1とするとき、光ファイバの長手方向中央部に位置するk番目の微小領域の入射光強度Ikが67.3であるとすると、この微小領域における光出射部の密度は約1.486となる。また、光ファイバの最も下流側、即ち入射側からn番目の微小領域の入射光強度Inが34であるとすると、この微小領域における光出射部の密度は約2.94となる。各微小領域における漏光量は(入射光強度×光出射部の密度)に比例するため、各微小領域における光出射部の密度を上述の如く設定することにより、入射側から1番目の微小領域、k番目の微小領域、n番目の微小領域における漏光量は相互に略等しくなる。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る光源装置の動作について説明する。図6は、光方向制御器及びその周辺の光ファイバの動作を示す正面図である。図1に示すように、光源8乃至10が夫々光を出射する。図4に示すように、光源8から出射された光は、例えば、レンズ(図示せず)を介して基幹ファイバ5に入射し、基幹ファイバ5のコア11内を導通しつつ、各切込17から漏洩する。このとき、基幹ファイバ5の光進行方向下流側にいくほど、基幹ファイバ5内を導通する光量は低下するが、切込17の底部においてコア11が露出する面積が大きくなっているため、結果的には全ての切込17において略同量の光が漏洩する。このように、基幹ファイバ5は、光源8から出射した光を単純導波させるだけでなく、多数の切込17に分岐させる光分配器としての機能も持っている。
そして、図3及び図6に示すように、基幹ファイバ5の切込17から出射した光は、夫々自己形成光導波路を導通して上方に向かい、光方向制御器4のミラー14に入射する。ミラー14の法線方向は光ファイバ2に向かう方向及び下方、即ち基幹ファイバ5の切込17に向かう方向の双方に対して45°の角度をなしているため、基幹ファイバ5の切込17からミラー14に入射した光は、ミラー14で反射され、自己形成光導波路を導通して対応する光ファイバ2に入射する。
図2に示すように、光ファイバ2に入射した光は、光ファイバ2のコア11内を導通しつつ、各切込13から漏洩する。光ファイバ2内を導通する光が、切込13が設けられている領域を通過する毎に、一部の光は切込13から漏出し、残部が引き続き光ファイバ2内を導通する。このため、光ファイバ2内を導通する光量は、切込13が設けられている領域を通過する度に、即ち、光進行方向の下流側にいくほど低下し、下流側に設けられている切込13ほど、この切込13から漏出する光量が低下する。しかし、光ファイバ2の下流側にいくほど切込13の配置密度が高くなっているため、単位長さの光ファイバ2から漏出する光量は、光ファイバ2の長手方向で略均一である。
また、光源9から出射された光は、基幹ファイバ6のコア11内を導通し、切込17から漏洩する。このとき、基幹ファイバ5と同様に、基幹ファイバ6もその下流側ほど切込17の底部においてコア11が露出する面積が大きくなっているため、全ての切込17において略同量の光が漏出する。即ち、基幹ファイバ6は、光源9から出射した光を、複数の切込17に対して分岐する。そして、基幹ファイバ6の切込17から出射した光は、夫々自己形成光導波路を導通して下方に向かい、光方向制御器4のミラー15に入射する。ミラー15の法線方向は光ファイバ2に向かう方向及び上方、即ち基幹ファイバ6の切込17に向かう方向の双方に対して45°の角度をなしているため、基幹ファイバ6の切込17からミラー15に入射した光は、ミラー15で反射され、自己形成光導波路を導通して対応する光ファイバ2に入射する。このとき、光源9から出射した光が入射する光ファイバ2は、光源8から出射した光が入射する光ファイバ2とは異なる光ファイバである。光ファイバ2に入射した光は、光ファイバ2のコア11内を導通しつつ、切込13から漏洩する。このとき、単位長さの光ファイバ2から漏出する光量は、光ファイバ2の長手方向で略均一となる。
更に、光源10から出射された光は、基幹ファイバ7のコア11内を導通し、切込17から漏洩する。このとき、基幹ファイバ5及び6と同様に、基幹ファイバ7においても、全ての切込17において略同量の光が漏洩する。そして、基幹ファイバ7の切込17から漏出した光は、夫々自己形成光導波路を導通して対応する光ファイバ2に入射する。このとき、光源10から出射した光が入射する光ファイバ2は、光源8及び9から出射した光が入射する光ファイバ2とは異なる光ファイバである。光ファイバ2に入射した光は、光ファイバ2のコア11内を導通しつつ、各切込13から漏洩する。このとき、単位長さの光ファイバ2から漏出する光量は、光ファイバ2の長手方向で略均一となる。光ファイバ2を導通して光ファイバ2の端部に達した光は、この端部から出射して自己形成光導波路を介して光方向制御器4のミラー16に入射し、ミラー16において反射され、再び自己形成光導波路を介して同じ光ファイバ2内に入射し、光ファイバ2内を導通しつつ、切込13から出射する。
このように、光源8乃至10から出射した光は、夫々基幹ファイバ5乃至7を介して光方向制御器4に照射され、その方向が光方向制御器4によって3次元的に制御されることにより、相互に異なる光ファイバ2に入射する。各光ファイバ2に入射した光は、その長手方向において均一に切込13から漏出する。これにより、ファイバ列3全体から、均一な面状に光を出射することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態においては、ファイバ列3の一端部側に、光ファイバ2の配列方向に沿って延び、光ファイバ2に対応する位置にミラー14乃至16が形成された光方向制御器4が設けられており、この光方向制御器4の下方には光源8及に接続された基幹ファイバ5が配設され、光方向制御器4の上方には光源9に接続された基幹ファイバ6が配設されており、ミラー14及び15が夫々基幹ファイバ5及び6から出射した光が夫々光ファイバ2の一端部に入射するように傾斜していると共に、光源10が接続された基幹ファイバ7が光ファイバ2の他端部に接続されているため、簡略な構成により、光源8乃至10を光ファイバ2に光学的に接続することができる。
また、光源装置1の厚さは、最も厚い部分でも基幹ファイバ5、光方向制御器4、基幹ファイバ6の合計の厚さとなる。このとき、基幹ファイバ5及び6の厚さは光ファイバ2の直径と同程度であり、例えば数百ミクロン程度である。また、光方向制御器4の厚さも、ファイバ列3の厚さと同程度であり、従って、光ファイバ2の直径と同程度である。このため、光源装置1全体の厚さは、例えば1ミリメートル弱となり、極めて薄く形成することができる。更に、この光源装置1を液晶表示装置のバックライトとして使用する場合は、基幹ファイバ6を液晶パネルの側方に配置することにより、バックライトを設けることによる厚さの増加を、光ファイバ2本分に抑えることができる。これにより、極めて薄いバックライトを実現することができる。
更に、光方向制御器4を設けることにより、光源8乃至10を光ファイバ2に接続するために大掛かりな取り回し部を設ける必要がなく、光源装置1を軽くコンパクトに構成することができる。
更にまた、基幹ファイバ5乃至7において、光進行方向の下流側にいくほど、切込17の底部においてコア11が露出する面積が大きくなっているため、全ての切込17から略同量の光を漏出させることができる。これにより、全ての光ファイバ2に略同量の光を入射することができる。そして、各光ファイバ2においては、光進行方向の下流側にいくほど、切込13の配置密度が高くなっているため、光ファイバ2の長手方向において、単位長さ当たりの光ファイバ2から漏出させる光量を略均一にすることができる。この結果、ファイバ列3から均一な面状に光を出射させることができる。
更にまた、本実施形態においては、光源からの導光に光ファイバを使用しているため、光の損失が少なく、光利用効率が極めて高い光源装置を実現することができる。
更にまた、本実施形態に係る光源装置1においては、基幹ファイバ5及び6と光方向制御器4との間、光方向制御器4と光ファイバ2との間、基幹ファイバ7と光ファイバ2との間が、自己形成光導波路により光学的に接続されているため、これらの構成要素間における光の損失を抑制することができる。この結果、光の利用効率が高い光源装置を実現することができる。
なお、本実施形態においては、光ファイバ2の切込13から出射する光が相互に平行である例を示したが、切込13から出射する光は、照明する対象物に必要な角度で入射する範囲内であれば、平行でなくても構わない。即ち、照明すべき対象物を効率よく照明し、視認性を高める等の効果が得られるのであれば、各々の光ファイバ2の切込13から出射される光が互いにある角度をなしていてもよい。また、照明すべき対象物が複数の方向に存在する場合、例えば、ファイバ列3の上方及び下方の双方を照明する必要がある場合等には、出射光の角度を目的に応じて自由に設定することができる。
また、本実施形態においては、光方向制御器4のミラー14乃至16が、光ファイバ2の配列周期と同じ周期で配列され、各ミラーが光ファイバ2に1対1で対応している例を示したが、本発明はこれに限定されず、設計又は作製上の都合によって、ミラー対光ファイバの比率を1対2又は3対2等の比率としてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、本実施形態における光方向制御器を示す斜視図である。本実施形態に係る光源装置は、前述の第1の実施形態と比較して、光方向制御器の形状が異なっている。図7に示すように、本実施形態における光方向制御器21には、光ファイバ2(図1参照)に対向する面に3種類のミラー22乃至24が形成されている。ミラー22は基幹ファイバ5(図1参照)の切込から漏出した光を光ファイバ2に向けて反射するものであり、前述の第1の実施形態におけるミラー14(図3参照)に相当する。しかし、ミラー22の法線方向は、ミラー14のように下方向から光ファイバ2側に45°傾斜した方向ではなく、下方向から光ファイバ2側に例えば30°傾斜した方向となっている。
また、ミラー23は基幹ファイバ6(図1参照)の切込から漏出した光を光ファイバ2に向けて反射するものであり、前述の第1の実施形態におけるミラー15(図3参照)に相当するが、ミラー23の法線方向は、ミラー15のように上方向から光ファイバ2側に45°傾斜した方向ではなく、上方向から光ファイバ2側に例えば30°傾斜した方向となっている。更に、ミラー24は、前述の第1の実施形態におけるミラー16と同様に、その法線方向は光ファイバ2に向かう方向となっている。
そして、基幹ファイバ5及び6が配置されている位置は、夫々ミラー22の直下域及びミラー23の直上域ではなく、ミラー22の直下域及びミラー23の直上域よりも、ファイバ列3(図1参照)から遠ざかる方向にずれた領域である。これにより、ファイバ列3から面状に出射した光が、基幹ファイバ6に遮られることがなくなる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
前述の第1の実施形態においては、光方向制御器4の傾斜したミラー、例えばミラー15の法線方向が、光ファイバに向かう方向に対して45°傾斜した方向である例を示したが、本実施形態に示すように、この傾斜角度は45°に限定されるものではなく、設計又は作製上の都合によって、自由に設定することが可能である。例えば、基幹ファイバ5乃至7の直径が光ファイバ2の直径と異なる場合等には、基幹ファイバ5乃至7が切込13からの光の出射の妨げになることなく、光源装置を可及的に小型化するために、ミラーの法線方向を調整することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図8(a)は本実施形態における光方向制御器を示す斜視図であり、(b)はその側面断面図であり、(c)はその正面図である。図8(a)乃至(c)に示すように、本実施形態に係る光源装置は、前述の第1の実施形態に係る光源装置と比較して、光方向制御器の形状及び基幹ファイバの配置が異なっている。即ち、本実施形態においては、光方向制御器25における光ファイバ2(図1参照)に対向する面には、3種類のミラー26乃至28がこの順に繰返し形成されている。ミラー26の法線方向は、上方向から光ファイバ2側に30°傾斜した方向であり、ミラー27の法線方向は、上方向から光ファイバ2側に45°傾斜した方向であり、ミラー28の法線方向は、光ファイバ2に向かう方向である。なお、図8(a)乃至(c)においては、便宜上、ミラー26乃至28は1つずつしか示されていないが、ミラー26乃至28は光方向制御器25の長手方向に沿って繰返し配列されている。
また、基幹ファイバ5及び6はいずれも光方向制御器25の上方に配置されており、基幹ファイバ5は基幹ファイバ6よりもファイバ列3から遠い位置に配置されている。そして、基幹ファイバ5においては、最下面よりもやや光ファイバ2側の位置に切込17が形成されており、基幹ファイバ6においては、最下面に切込17が形成されている。これにより、基幹ファイバ5の切込17から漏出した光が、光方向制御器25のミラー26により反射されて光ファイバ2に入射し、基幹ファイバ6の切込17から漏出した光が、光方向制御器25のミラー27により反射されて光ファイバ2に入射するようになっている。
本実施形態においては、基幹ファイバ5及び6の双方を光方向制御器25の上方に配置することができるため、光方向制御器25の下方に基幹ファイバを設ける必要がなく、光源装置をより一層薄くすることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図9(a)は本実施形態における光方向制御器を示す斜視図であり、(b)はその側面断面図であり、(c)はその正面図である。図9(a)乃至(c)に示すように、本実施形態に係る光源装置は、前述の第1の実施形態に係る光源装置と比較して、光方向制御器の形状及び基幹ファイバの数が異なっている。即ち、本実施形態における光方向制御器30においては、光ファイバ2(図1参照)に対向する面に、4種類のミラー31乃至34が形成されている。ミラー31乃至33の法線方向は、上方向及び光ファイバ2に向かう方向の双方に対して45°傾斜している。また、ミラー34の法線方向は、光ファイバ2に向かう方向となっている。そして、ミラー31乃至34は、ファイバ列3からの距離が相互に異なっている。即ち、ミラー31がファイバ列3から最も遠い位置にあり、ミラー32が次いで遠い位置にあり、ミラー33が3番目に遠い位置にあり、ミラー34は最も近い位置にある。なお、図9(a)乃至(c)においては、便宜上、ミラー31乃至34は1つずつしか示されていないが、ミラー31乃至34は光方向制御器30の長手方向に沿って繰返し配列されている。
また、この光源装置においては、基幹ファイバ5乃至7の他に、基幹ファイバ35が設けられており、光方向制御器30の上方に、基幹ファイバ5、6、35がファイバ列3に近づく方向に沿ってこの順に配列されている。そして、基幹ファイバ5の切込17はミラー31に対向する位置に配置されており、基幹ファイバ6の切込17はミラー32に対向する位置に配置されており、基幹ファイバ35の切込17はミラー33に対向する位置に配置されている。これにより、基幹ファイバ5、6、35の各切込17から漏出した光は、夫々ミラー31、32、33によって反射され、相互に異なる光ファイバ2に入射するようになっている。なお、基幹ファイバ7は、前述の第1の実施形態と同様に、光ファイバ2の他端側に接続されており、基幹ファイバ7から漏出し、光ファイバ2を導通した光は、ミラー34によって反射され、再び光ファイバ2に入射するようになっている。
本実施形態によれば、ファイバ列3の一端部側に3本の基幹ファイバを接続することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図10(a)は本実施形態における光方向制御器を示す斜視図であり、(b)はその側面断面図である。図10(a)及び(b)に示すように、本実施形態においては、前述の第4の実施形態と比較して、ミラー31乃至33の傾斜角度が異なっている。即ち、本実施形態においては、光方向制御器36のミラー31乃至33の法線方向が、上方向からファイバ列3(図1参照)側に60°傾斜している。また、これに伴い、基幹ファイバ5、6、35の配設位置が、前述の第4の実施形態よりもファイバ列3側にずれている。本実施形態によれば、光方向制御器36の各角部の角度を60°以上とすることができる。これにより、光方向制御器36に角度が60°未満の鋭角部分を形成する必要がなくなり、光方向制御器36の成形が容易になる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第4の実施形態と同様である。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図11は本実施形態に係る光源装置を示す斜視図であり、図12は本実施形態における光方向制御器を示す模式的側面図であり、図13はその正面図である。図11に示すように、本実施形態に係る光源装置38においては、ファイバ列3の一端部側に光方向制御器39が設けられており、他端部側に光方向制御器40が設けられている。また、光方向制御器39の上方には、ファイバ列3から遠い側から順に基幹ファイバ41乃至43が相互に平行に配列されており、光方向制御器39の下方には、ファイバ列3から遠い側から順に基幹ファイバ44乃至46が相互に平行に配列されている。更に、光方向制御器40の上方には、ファイバ列3から遠い側から順に基幹ファイバ47乃至49が相互に平行に配列されており、光方向制御器40の下方には、ファイバ列3から遠い側から順に基幹ファイバ50乃至52が相互に平行に配列されている。前述の第1の実施形態と同様に、基幹ファイバ41乃至52には、夫々等間隔で切込17が形成されており、基幹ファイバ41乃至52の端部には、夫々光源(図示せず)が接続されている。
図12に示すように、光方向制御器39におけるファイバ列3に対向する側の面には、12種類のミラー53a乃至53lがこの順に繰返し形成されている。ミラー53a乃至53l(以下、総称してミラー53ともいう)は、その法線方向がファイバ列3に向かう方向に対して45°傾斜しているミラーと、その法線方向がファイバ列3に向かう方向と一致しているミラーとが交互に配列されている。具体的には、ミラー53a、53c、53e、53g、53i、53kは、その法線方向がファイバ列3に向かう方向に対して45°傾斜したミラーであり、ミラー53b、53d、53f、53h、53j、53lは、その法線方向がファイバ列3に向かう方向と一致しているミラーである。また、45°傾斜したミラーの中でも、上方向側に傾斜したミラーと下方向側に傾斜したミラーとが交互に配列されている。具体的には、ミラー53a、53e、53iは、その法線方向がファイバ列3に向かう方向から上方向側に45°傾斜したミラーであり、ミラー53c、53g、53kは、その法線方向がファイバ列3に向かう方向から下方向側に45°傾斜したミラーである。
上方向側に45°傾斜したミラー53a、53e、53iは相互にずれた位置に形成されており、ミラー53aが最もファイバ列3から遠く、ミラー53iが最もファイバ列3に近い。また、下方向側に45°傾斜したミラー53c、53g、53kも相互にずれた位置に形成されており、ミラー53cが最もファイバ列3から遠く、ミラー53kが最もファイバ列3に近い。更に、傾斜していないミラー53b、53d、53f、53h、53j、53lは、ファイバ列3から相互に等しい距離に配置されている。具体的には、光方向制御器39における最もファイバ列3に近い面に形成されている。
そして、基幹ファイバ41の切込17はミラー53aに対応する位置に形成されており、基幹ファイバ42の切込17はミラー53eに対応する位置に形成されており、基幹ファイバ43の切込17はミラー53iに対応する位置に形成されている。また、基幹ファイバ44の切込17はミラー53cに対応する位置に形成されており、基幹ファイバ45の切込17はミラー53gに対応する位置に形成されており、基幹ファイバ46の切込17はミラー53kに対応する位置に形成されている。ミラー53a乃至53lは夫々ファイバ列3の第1乃至第12の光ファイバの一端に対向している。なお、第1乃至第12の光ファイバは、ファイバ列3においてこの順に繰返し配列された光ファイバである。
同様に、光方向制御器40においても、12種類のミラーが繰返し形成されており、夫々、ファイバ列3の第1乃至第12の光ファイバの他端に対向している。このとき、光ファイバの一端が45°傾斜したミラーに対向していれば、他端は傾斜していないミラーに対向するようになっており、一端が傾斜していないミラーに対向していれば、他端は45°傾斜したミラーに対向するようになっている。そして、基幹ファイバ41乃至46と光方向制御器39との間、光方向制御器39とファイバ列3との間、基幹ファイバ47乃至52と光方向制御器40との間、及び光方向制御器40とファイバ列3との間には、樹脂が充填されており、自己形成光導波路が形成されている。
これにより、基幹ファイバ41の切込17から出射した光が、光方向制御器39のミラー53aによって反射されて、第1の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ47の切込から出射した光が、光方向制御器40の第2のミラーによって反射されて、第2の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ44の切込から出射した光が、光方向制御器39のミラー53cによって反射されて、第3の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ50の切込から出射した光が、光方向制御器40の第4のミラーによって反射されて、第4の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ42の切込から出射した光が、光方向制御器39のミラー53eによって反射されて、第5の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ48の切込から出射した光が、光方向制御器40の第6のミラーによって反射されて、第6の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ45の切込から出射した光が、光方向制御器39のミラー53gによって反射されて、第7の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ51の切込から出射した光が、光方向制御器40の第8のミラーによって反射されて、第8の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ43の切込から出射した光が、光方向制御器39のミラー53iによって反射されて、第9の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ49の切込から出射した光が、光方向制御器40の第10のミラーによって反射されて、第10の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ46の切込から出射した光が、光方向制御器39のミラー53kによって反射されて、第11の光ファイバに入射するようになっており、基幹ファイバ52の切込から出射した光が、光方向制御器40の第12のミラーによって反射されて、第12の光ファイバに入射するようになっている。このようにして、基幹ファイバ41乃至52から第1乃至第12の光ファイバ内に入射された光は、光ファイバ内を入射しつつ切込から光を漏出する。そして、光ファイバの他端に到達した光は、出射側の光方向制御器に傾斜された傾斜していないミラーによって反射され、再び光ファイバ内に入射する。
このように、本実施形態によれば、12本の基幹ファイバをファイバ列3に光学的に接続することができ、12種類の光をファイバ列3に導入することができる。また、このような12本の基幹ファイバが接続されたブロックを複数個集積させることにより、より大規模な光源装置を構成することができる。例えば、上述のブロックを40個配列することにより、480本の光ファイバからなるアレイ状の光源装置を構成することができる。この光源装置を表示装置のバックライトとして使用する場合、表示パネルの走査線が480本であれば、光源装置の光ファイバと表示パネルの走査線とを1:1で対応させればよく、表示パネルの走査線が1360本であれば、光源装置の光ファイバと表示パネルの走査線とを1:3で対応させればよい。この場合も、光源装置の厚さは、光ファイバ3本分の厚さである。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、ファイバ列3と基幹ファイバとの間の光学的な距離を、表示位置によって変化させてもよい。例えば、基幹ファイバにおける光源から遠い部分では、基幹ファイバとファイバ列の端部との間の光路長を短くし、光源に近い部分では、基幹ファイバとファイバ列の端部との間の光路長と長くする。これにより、光源からの距離の差により生じる輝度の差を相殺することができる。このような構成は、例えば、光源からの距離に応じて、光方向制御器とファイバ列との間の距離を変化させることによって実現できる。即ち、光方向制御器とファイバ列との間の距離を、光源から遠ざかる程大きくする。この場合、光方向制御器が延びる方向と、この光方向制御器に対向するファイバ列の端縁が延びる方向とは、相互に平行ではなく、一定の角度をなす。又は、光源からの距離に応じて、基幹ファイバと光方向制御器との間の距離を変化させてもよい。即ち、基幹ファイバと光方向制御器との間の距離を、光源から遠ざかる程大きくする。この場合、基幹ファイバにおける光源に近い部分は、表示面から浮き上がるように配置される。
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図14は、本実施形態における光ファイバを示す斜視図である。本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、ファイバ列3を形成する光ファイバの構成が異なっている。図14に示すように、本実施形態の光ファイバ55は、コア11及びコア11を覆うクラッド12からなり、光が両端部から入射するようになっている。そして、クラッド12にはコア11に到達する切込13が複数個形成されている。切込13の形成密度は、光ファイバ55の長手方向中央部が最も高く、両端部に近づくほど低くなっている。これにより、光ファイバ55の両端部から光が入射されたときに、光ファイバ55の長手方向で均一に光を漏出させることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図15は、本実施形態における光ファイバを示す斜視図である。本実施形態は、前述の第7の実施形態と比較して、光ファイバの構成が異なっている。図15に示すように、本実施形態の光ファイバ56においては、切込13は光ファイバ56の長手方向に等間隔で形成されている。そして、切込13の幅は、光ファイバ56の長手方向中央部ほど大きく、両端部に近づくほど小さくなっている。これにより、切込13の底部においてコア11が露出する面積は、光ファイバ56の長手方向中央部ほど大きく、両端部に近づくほど小さくなる。
この結果、各切込13における漏光割合、即ち、光が光ファイバにおける切込が形成されている領域を通過したときに、光ファイバをそのまま伝播していく光量と漏洩する光量との割合を、光ファイバの長手方向において変化させることができる。この結果、前述の第1の実施形態のように、光ファイバの長手方向において切込の形成密度を変化させる場合と同様な効果を得ることができる。即ち、光ファイバ56の両端部から光が入射されたときに、光ファイバ56の長手方向で均一に光を漏出させることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第7の実施形態と同様である。
なお、本実施形態においては、光ファイバの長手方向において切込13の幅を異ならせる替わりに、切込13の深さ、即ち、コア11への浸入量を変化させてもよい。また、本実施形態を、前述の第1の実施形態と併用してもよい。即ち、光ファイバの長手方向において、切込の形成密度を変化させると共に、切込の幅又は深さを変化させてもよい。
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。本実施形態においては、切込13内がクラッド12よりも屈折率が高い材料で満たされている。これにより、コアと同様に、切込13内とクラッドとの境界面で光を反射させ、切込内に光を閉じ込めることができる。これにより、切込13内からクラッド12内へ光が伝播しにくくなり、コア11から切込13内に進出した光の大部分を、所望の方向へ出射させることができる。この結果、光の利用効率が高くなる。
なお、このとき、切込内に充填された材料の屈折率とコアの屈折率との関係は特に規定されず、共にクラッドの屈折率よりも高ければよい。即ち、どちらか一方が高くてもよく、同じ値でもよい。同じ値にする場合には、例えば、コアを形成する材料と同じ材料により切込内を充填することもできる。
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。図16は、本実施形態における光ファイバを示す斜視図である。本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、ファイバ列3を形成する光ファイバの構成が異なっている。図16に示すように、本実施形態の光ファイバ57は、コア11及びコア11を覆うクラッド12からなり、コア11の上面には突起58が形成されている。即ち、光ファイバ57を1列に配列させて平面状のファイバ列を構成した場合には、突起58はファイバ列の光出射面側に配置される。突起58は透明材料により形成されており、光の入射側から遠ざかるにつれて密に配置されている。即ち、突起58の配置密度は、光ファイバ57の長手方向において、光の進行方向100の上流側で低く、下流側に向かうにつれて高くなっている。
本実施形態においては、光ファイバ57に入射された光は、コア11内を進行方向100に沿って伝播しつつ、その一部が突起58を介して光ファイバ57の外部に漏出される。このとき、光の進行方向100の下流側にいくほど、光ファイバ57内を導通する光量は低下するが、下流側ほど突起58の配置密度が高いためこの光量の低下が補われ、結果的には、光ファイバ57の長手方向に沿って均一に光が出射される。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第11の実施形態について説明する。図17は、本実施形態における光ファイバを示す斜視図である。図17に示すように、本実施形態においては、光ファイバ59にその両端部から光が入射するようになっており、光ファイバ59における突起58の配置密度は、長手方向中央部で高く、両端部に向かうほど低くなっている。これにより、光ファイバ59の両端部から光が入射されたときに、光ファイバ59の長手方向において均一に光を出射することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第10の実施形態と同様である。
次に、本発明の第12の実施形態について説明する。図18は、本実施形態における光ファイバを示す斜視図である。図18に示すように、本実施形態においては、光ファイバ60にその両端部から光が入射するようになっている。光ファイバ60における突起58の配置密度は、長手方向において均一である。即ち、突起58は光ファイバ60の長手方向に沿って等間隔で配置されている。但し、光ファイバ60の長手方向における突起58の長さは、光ファイバ60の長手方向中央部で長く、両端部に向かうほど短くなっている。これにより、光ファイバ60の長手方向中央部に近いほど、コア11と突起58との界面の面積が大きく、コア11内を伝播する光のうち、突起58内に入射する割合が大きくなり、長手方向両端部に近いほど、前記界面の面積が小さく、突起58内に入射する光の割合が小さくなる。この結果、光ファイバ60の両端部から光が入射されたときに、光ファイバ60の長手方向において均一に光を出射することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第11の実施形態と同様である。
なお、本実施形態において、光ファイバの長手方向に沿って突起とコアとの界面の面積を変化させる替わりに、突起の形状を変化させることにより、コアから突起に入射する光の割合を変化させてもよい。例えば、突起がコアから離れるにつれて広がるような形状とすれば、前記割合が高くなる。また、突起の高さを高くして、クラッドの外周面まで到達するようにすれば、突起とクラッドとの間の界面がなくなるため、突起がクラッドの外周面まで到達しておらず、突起とクラッドとの界面が存在する場合と比較して、前記割合が高くなる。これは、コアから突起内に入射した光が、突起とクラッドとの界面において反射されることがなくなるからである。
また、前述の第10乃至12の実施形態は、任意に組み合わせてもよい。即ち、光ファイバの長手方向に沿って、突起の配置密度及び突起の長さ又は形状の双方を変化させてもよい。
次に、本発明の第13の実施形態について説明する。本実施形態においては、突起58がクラッド12よりも屈折率が高い材料により形成されている。これにより、突起58とクラッドとの境界面で光を反射させ、突起58内に光を閉じ込めることができる。この結果、突起58からクラッド12へ光が伝播しにくくなり、コア11から突起58に進出した光の大部分を、所望の方向へ出射させることができる。この結果、光の利用効率が高くなる。
なお、このとき、突起の屈折率とコアの屈折率との関係は特に規定されず、共にクラッドの屈折率よりも高ければよい。即ち、どちらか一方が高くてもよく、同じ値でもよい。同じ値にする場合には、例えば、コアを形成する材料と同じ材料により突起を形成することもできる。
次に、本発明の第14の実施形態について説明する。図19(a)は本実施形態における光ファイバを示す斜視図であり、(b)はファイバ列を示す斜視図である。本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、光ファイバの形状が異なっている。即ち、図19(a)に示すように、本実施形態における光ファイバ61は、その長手方向に直交する断面において、全体の形状が矩形であり、コアの形状も矩形である。また、光ファイバ61の上面には切込13が形成されている。切込13の配置密度は、光の進行方向100の上流側ほど小さく、下流側ほど大きくなっている。また、図19(b)に示すように、複数本の光ファイバ61を相互に平行に1列に配列することにより、ファイバ列62が形成されている。ファイバ列62の形状は板状である。なお、本実施形態においては、各光ファイバ61に入射する光の方向は、相互に同じ方向である。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
本実施形態によれば、前述の第1の実施形態の効果に加えて、光ファイバ61の長手方向直交断面の形状を矩形とすることにより、ファイバ列の作製工程において以下に示すような効果が得られる。
(1)光ファイバの断面形状が円又は楕円である場合と比較して、複数本の光ファイバをアレイ状に配置することが容易である。また、このときに、切込又は突起等の光出射部を同じ方向を向くように揃えることが容易である。
(2)複数本の光ファイバをアレイ状に並べた後で切込を形成する場合には、光ファイバが回転することがなく、切込の形成が容易である。
(3)複数本の光ファイバを密着させて配列することができるため、光ファイバ間の空間を接着剤等の別の媒体により埋める必要がない。
次に、本発明の第15の実施形態について説明する。図20は本実施形態に係る光源装置を示す斜視図である。図20に示すように、本実施形態に係る光源装置63においては、前述の第1の実施形態におけるファイバ列3(図1参照)の替わりに、導光板64が設けられている。導光板64においては、クラッド材からなる1枚の板状の導光体65の内部に、導光体65よりも屈折率が高い材料からなるコア66が複数本設けられている。コア66は相互に平行に1列に配列されている。また、導光体65におけるコア66の直上域には、複数の切込13が形成されている。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
本実施形態によれば、前述の第14の実施形態における効果(1)及び(2)を得ることができる。また、ファイバ列の替わりに、一体的に形成された導光板64が設けられているため、その製造過程においてコア66間の位置がずれることがなく、取り扱いが容易である。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第16の実施形態について説明する。本実施形態においては、前述の第1の実施形態におけるファイバ列3(図1参照)の替わりに、複数の光ファイバ素線が1列に配列されたテープ形光ファイバ心線(図示せず)が設けられている。このようなテープ形光ファイバ心線として、例えば、JIS C 6838規格により規定されている石英光ファイバ素線を用いたテープ形光ファイバ心線、及びプラスチック光ファイバ素線を用いたテープ形光ファイバ心線がある。また、ファイバ列3の替わりに、JIS C 6839規格により規定されているテープ形光ファイバコードを用いてもよい。
本実施形態においては、このようなテープ形光ファイバ心線又はテープ形光ファイバコードを用いることにより、複数本のコアを略平行にアレイ状に配設する工数を設けることなく、前述の各実施形態と同様な機能を持つ光源装置を容易に作製することができる。
次に、本発明の第17の実施形態について説明する。図21(a)は本実施形態における反射型LEDを示す断面図であり、(b)はその斜視図であり、図22は、横軸に光軸からの傾斜角度をとり、縦軸に相対輝度をとって、反射型LEDの特性を示すグラフ図である。本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、光源として、反射型LEDが設けられている点が異なっている。図21(a)及び(b)に示すように、この反射型LED70においては、筐体71の一面に、半球状の凹部72が形成されており、この凹部72の内面は反射鏡になっている。また、凹部72の辺縁における相互に対向する部分から1対のリード73a及び73bが延出しており、リード73aの先端には発光素子74が取り付けられている。発光素子74は前記反射鏡の焦点に位置しており、反射鏡に向けて光を放射するようになっている。更に、発光素子74は金線75によりリード73bに接続されている。
通常のLEDは、砲弾型又はそれに類似した形状である。この砲弾型LEDにおいては、発光素子から放射された光のうち、直接又は反射鏡によって前方の樹脂レンズに到達した光のみが光制御された光として外部に放射され、利用される。このため、発光素子から放射された光のうち、(1/3)程度しか利用できない。これに対して、反射型LED70においては、発光素子74から放射された光のうち大部分を後方の反射鏡で受け、光制御された光として外部に放射することができる。これにより、反射型LED70は、発光素子74の放射光のほぼ全てを利用できるため、光の利用効率が高い。また、図22に示すように、反射型LED70から出射される光は、輝度がピーク頂点の輝度の半分になる角度、即ち、半値角が±7°程度である。このように、反射型LED70から出射される光は広がりが少なく、指向性が極めて高い。このため、反射型LEDから出射された光を効率よく基幹ファイバ5乃至7のコアに導入することができる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
本実施形態においては、光源として反射型LEDを使用しているため、光の利用効率がより高い光源装置を実現することができる。なお、光源として砲弾型LED等を使用する場合においても、集光レンズを設けることにより、光源から出射された光を効率よく基幹ファイバのコアに導入することができる。
以下、本発明に係る表示装置の実施形態について説明する。先ず、本発明の第18の実施形態について説明する。図23は、本実施形態に係る表示装置を示すブロック図であり、図24(a)はその斜視図であり、(b)はその一画素分の部分を示す斜視図であり、図25は、本実施形態に係る表示装置が搭載された電子機器を示す斜視図である。図23及び図24(a)に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置101においては、バックライトとして上述の第1の実施形態に係る光源装置1が設けられており、この光源装置1の光出射面側に透過型の液晶パネル102が配置されている。
また、液晶表示装置101には、外部から映像データが同期信号と共に入力され、この映像データに基づいて、光源装置1のLEDを駆動するLED制御信号を生成すると共に、赤・青・緑の各色毎のデジタルの画像データ及び駆動パルスを生成するコントローラIC(Integrated Circuit:集積回路)103が設けられている。LED制御信号は、光源装置1の光源8乃至10に入力され、光源8乃至10の発光を制御するものである。また、駆動パルスは液晶パネル102に入力され、液晶パネル102の走査を行うものである。更に、液晶表示装置101には、コントローラIC103から出力されたデジタルの画像データをアナログの画像信号に変換して液晶パネル102に対して出力するDAC(Digital to Analog Converter:デジタル・アナログ変換器)104が設けられている。コントローラIC103には、映像データから各色毎の画像データを生成するコントローラ105、駆動パルスを生成するパルスジェネレータ106、及び1フレーム分の画像データを記憶する高速フレームメモリ107が設けられている。
図24(a)に示すように、液晶パネル102は、光源装置1のファイバ列3の光出射面側に配置されている。液晶パネル102には、複数個の画素110がマトリクス状に配列されており、各画素110には透過領域が形成されている。また、ファイバ列3と液晶パネル102との間には、透明樹脂層111が設けられており、この透明樹脂層111には、液晶パネル102の各画素110の透過領域に対応するように、複数個の自己形成光導波路112がマトリクス状に形成されている。図24(b)に示すように、自己形成光導波路112の形状は、四角錐台形の側面が外側に膨らんだ形状であり、液晶パネル102側が相対的に小さな上面となっており、ファイバ列3側が相対的に大きな下面となっている。
図25に示すように、この液晶表示装置101は、例えば携帯電話113に搭載されている。この携帯電話113においては、表示部を構成する液晶表示装置101が薄く軽量であるため、携帯電話113全体の厚さを薄くし、且つ軽量化することができる。また、液晶表示装置101においては、光接続部分の構成が簡略であり、コストが低いため、携帯電話113全体のコストを低減させる効果もある。更に、液晶表示装置101においては、所望でない方向への漏光が少なく、光の利用効率が高いため、消費電力も低い。このような本実施形態の効果、即ち、薄型化、軽量化、低コスト化及び低消費電力化は、携帯端末では特に有効である。
なお、液晶表示装置101が搭載される電子機器は携帯電話に限定されず、テレビジョン受像機、デスクトップ型パーソナルコンピュータのモニタ、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistance:個人用情報端末)、デジタルカメラ、デジタルビデオ等であってもよい。
また、本実施形態においては、液晶表示装置101にバックライトとして前述の第1の実施形態に係る光源装置1を搭載する例を示したが、本発明はこれに限定されず、液晶表示装置は、前述の第2乃至17の実施形態のうち、いずれかの実施形態に係る光源装置を搭載してもよい。
以下、上述の如く構成された本実施形態に係る液晶表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。図26は、本実施形態に係る液晶表示装置の動作を示す平面図であり、図27(a)及び(b)は、横軸に時間をとり、縦軸に画素行をとって、液晶表示装置における液晶パネル及び光源装置の動作を示すタイミング図であり、(a)は本実施形態の液晶表示装置の動作を示し、(b)は従来の液晶表示装置の動作を示す。
図23に示すように、液晶表示装置101の外部から、映像データ及び同期信号がコントローラIC103のコントローラ105に入力される。コントローラ105は、この映像データ及び同期信号に基づいて、光源装置1の光源8乃至10を駆動するためのLED制御信号を生成して、光源8乃至10に対して出力する、また、コントローラ105は、映像データ及び同期信号に基づいて、赤・青・緑の各色毎の画像データをデジタル信号として生成し、これをDAC104に対して出力する。DAC104はこの画像データをデジタル・アナログ変換してアナログの画像信号を生成し、これを液晶パネル102に対して出力する。更に、コントローラ105はパルスジェネレータ106に情報を送り、パルスジェネレータ106がこの情報に基づいて駆動パルスを生成し、液晶パネル102に対して出力する。
これにより、LED制御信号に基づいて、光源装置1の光源8乃至10が点灯する。また、駆動パルスにより液晶パネル102の走査線が走査されると共に、液晶パネル102のデータ線(図示せず)に画像信号が書き込まれる。これにより、各画素の液晶分子が所定の配向状態となり、光源装置1から出射された光が液晶パネル102を透過することによって画像が付加され、液晶表示装置101の前方に向けて画像を表示する。
このとき、コントローラ105は、光源8乃至10を、タイミングを相互にずらして発光させる。例えば、ある期間には、光源8のみを点灯させて、光源9及び10を消灯させる。これにより、光源装置1のファイバ列3においては、光源8に接続された光ファイバ2のみが発光する。即ち、光ファイバ2が3本に1本の割合で発光する。このとき、コントローラ105は、光源8に接続された光ファイバ2に対応する画素行の液晶分子の配向を、所定の配向に制御する。そして、次の期間においては、光源9のみを点灯させて光源8及び10を消灯させる。これにより、光源9に接続された光ファイバ2のみが発光する。このとき、コントローラ105は、光源9に接続された光ファイバ2に対応する画素行について、液晶分子の配向を制御する。同様に、更に次の期間には、光源10のみを点灯させ、光源10に対応した画素行の配向を制御する。
このように、光源8乃至10を、タイミングをずらして点灯させることにより、以下の効果を得ることができる。図26に示すように、光源装置1のファイバ列3において、光源8乃至10に光学的に接続されている光ファイバを夫々光ファイバ2a乃至2cとすると、光源8のみが点灯しているタイミングにおいては、光ファイバ2aのみが発光し、光ファイバ2b及び2cは発光していない。そして、点灯する光源を順次切り替えることにより、液晶表示装置の各画素を、一時的に暗い状態にすることができる。この駆動方法は、黒書込、黒リセット又はシャッタ方式と呼ばれている。これにより、ホールド型の表示装置である液晶表示装置を、インパルス型の表示装置に近づけ、動画品質を改善することができる。
この動画品質の改善効果について、詳細に説明する。液晶表示装置は、光源光を液晶表示パネルのシャッタ機能によってオン・オフすることにより表示を実現するシャッタ方式の表示装置であり、「ホールド型」とよばれている。一方、CRT(Cathode-Ray Tube:陰極線管)は、蛍光体の残像により表示を実現する表示装置であり、蛍光体を短時間のみ高い輝度で発光させ、その後蛍光体の残光時間に応じて急激に輝度が低下する「インパルス型」である。画面上に移動する文字を表示すると、CRTの場合は、観察者は、移動する文字を目で追いかけることによって、高い輝度で光った時の文字だけを見ることができる。一方、液晶表示装置の場合は、移動する文字を目で追いかけると、直前の走査で書きこまれた画面がそのまま表示されている(ホールドされている)ため、視点に位置する画素だけでなく、視点が直前に通過した画素においても文字が見えてしまう。このため、観察者から見ると、文字は視点の移動方向の下流側に尾を引いたように見えてしまい、鮮明に認識できない。この対策として、本実施形態においては、各画素を暗くする時間をシャッタ的に挿入し、画像をホールドしている時間を短くしている。これにより、動画品質を改善することができる。
そして、本実施形態においては、このようなシャッタ方式の駆動方法を採用して、動画品質を向上させる際に、更に以下に示すような効果を得ることができる。液晶パネルの液晶分子は、電圧が印加されてから所定の配向状態に安定するまでに、一定の応答時間を必要とする。図27(b)に示すように、バックライトとして一括点灯型バックライトを使用している従来の液晶表示装置においては、液晶パネルへのデータの書き込みは線順次に行うが、光源装置の点灯/消灯は、画面全体で一括して行う。従って、最後に走査する走査線(図27(b)に示すN行目の走査線)の走査が終わった後、この最後に走査した走査線に対応する画素の液晶分子が応答するのを待ってから、光源装置を点灯させている。このため、他の走査線(図27(b)に示す1乃至(N−1)行目の走査線)に対応する画素においては、必要以上の待ち時間が生じてしまう。この結果、光源装置の点灯時間が短くなり、その分強力な発光が要求される。また、液晶表示パネルの走査に割り当てられる時間も短くなるため、高速な走査が要求される。
これに対して、本実施形態においては、図27(a)に示すように、バックライトとして走査型バックライトを使用するため、光源装置を画素行毎に発光させることができる。このため、走査し、液晶分子の応答が完了した画素行から順に発光させ、発光期間終了後直ちに次の走査を行うことができる。これにより、無駄な待ち時間がなくなり、光源装置の点灯時間を長く設定でき、その分、光源装置の発光強度を低く抑えることができる。また、走査線を走査する時間を長くとれるため、走査速度を低速にすることができる。このため、液晶表示装置の駆動回路にかかる負荷が軽減される。本実施形態においては、図27(a)に示すNの値は3である。そして、3行の画素行からなるブロックが複数個配列されて、液晶表示パネル102が構成されている。
なお、前記Nの値は、光源装置に設けられている光源の数によって決定される。例えば、光源装置として、前述の第6の実施形態に係る光源装置38(図11参照)を使用すれば、Nの値は12となり、12本の光ファイバ毎に1つのブロックが形成される。このとき、1本の光ファイバに1行の画素行を対応させれば、1つのブロックに12行の画素行が含まれることになり、1本の光ファイバにM本の画素行を対応させれば、1つのブロックに(12×M)行の画素行が含まれることになる。従って、Mの値を画面全体の画素行数の(1/12)とすれば、画面全体を1つのブロックで構成することもできる。
更に、図27(a)に示すように、本実施形態において、コントローラ105は、光源8乃至10に、赤色光の発光、緑色光の発光及び青色光の発光を、時間的に分離して行わせると共に、入力された映像データを色毎の画像データに分割して、液晶パネル102に、光源8乃至10の動作に同期して、各色に対応する画像を表示させる。即ち、本実施形態においては、各色の画像を順次表示するカラーフィールドシーケンシャル(色時分割)表示を行う。これにより、カラーフィルタ方式の液晶表示装置のように画素内を3つに分割する必要がなく、高解像度又は高開口率の液晶表示装置を実現することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態に係る液晶表示装置においては、バックライトとして前述の各実施形態に係る光源装置を使用しているため、光源装置の構成が簡略で、厚さが薄く、質量が小さい。このため、液晶表示装置全体についても、構成の簡略化、薄型化及び軽量化を図ることができる。
また、本実施形態においては、光源装置の点灯/消灯を画素行毎に制御することができるため、シャッタ方式及びカラーフィールドシーケンシャル方式の駆動方法を適用した場合に、無駄な応答待ち時間を削減することができる。これにより、光源装置の点灯時間を長く設定できるため、光源装置の発光強度を低く抑えることができ、光源のコストを低減することができる。また、走査時間を長く設定できるため、走査速度を低速にすることができ、駆動回路のコストを低減することができる。また、駆動時間に余裕が生じるため、時間の配分の自由度が高くなり、設計が容易である。
この設計の容易性に基づく性能面での改善例を以下に示す。この例は、アモルファスシリコンからなる能動層を備えた薄膜トランジスタを画素スイッチとして用いるカラーフィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置を作製する場合である。逆スタガ構造のアモルファスTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)において、ゲート配線電極としてシート抵抗が2Ω/□のクロミウム電極を用い、ソース配線電極としてシート抵抗が0.06Ω/□のアルミニウム電極を用いる。1色当たりのサブフレーム周波数を360Hzとし、画素及び蓄積容量への書込時間における書込率を80%とし、1サブフレーム中のゲート配線の走査時間を1.1ミリ秒未満とする。また、画素容量に対する蓄積容量の比率を65%とする。
この条件下において、図27(b)に示すように、一括点灯バックライトを使用する場合には、実用的に作製できるカラーフィールドシーケンシャル型液晶表示装置は、対角が10インチの場合で、画素数仕様はXGA(1024×768画素で、走査線が768本)であり、開口率は66%である。ゲート配線電極として、ソース配線電極と同様の低抵抗な材料を使用すると、作製可能な実用的な表示装置は、対角が30インチの場合で、画素数仕様はWXGA(1280×768画素で、走査線が768本)であり、開口率は68%である。
一方、図27(a)に示すように、走査型バックライトを使用する場合には、1サブフレームのゲート配線の走査時間を最大2.78ミリ秒にすることができる。この走査時間を例えば2.5ミリ秒とすると、実用的に作製できるカラーフィールドシーケンシャル型液晶表示装置は、対角が13インチの場合で、画素数仕様はXGA(1024×768画素で、走査線が768本)であり、開口率は67%である。また、ゲート配線電極として、ソース配線電極と同様の低抵抗な材料を使用すれば、作製可能な実用的な表示装置は、モニタ用途では対角が32インチで画素数仕様がWSXGA(又は、SXGA+、1400×1024画素で、走査線が1024本)であり、開口率は66%である。また、テレビ用途では、対角が36インチで、画素数仕様がWXGA(1280×768画素で、走査線が768本)であり、開口率は70%である。
このように、本実施形態によれば、画面サイズを従来の2割以上大きくし、且つ、走査線を増やすことが可能である。これは、前述の如く、光源装置と液晶表示パネルとを相互に同期して走査するためである。
なお、本実施形態に係る表示装置においては、走査線毎に光源装置の発光を独立して制御することができるため、表示領域内における一部の領域の輝度を他の領域よりも低くしたり、色調を変えたりすることが可能である。これにより、画像表示の一部を光源装置によって行うことができる。例えば、一部の領域が暗く、他の一部の領域が明るい画像を表示する際に、暗い領域の発光強度を明るい領域の発光強度よりも低くすれば、暗い領域において、階調数を減らすことなく、画像を表示することができる。これにより、暗い領域が黒く潰れることを防止できる。また、画像において特に強調したい領域を、他の領域よりも明るくすることもできる。
次に、本発明の第19の実施形態について説明する。図28は、本実施形態に係る液晶表示装置を示す光学モデル図であり、図29は、図28に示す両面プリズムシートを示す断面図である。本実施形態に係る液晶表示装置は、スキャンバックライト方式による立体表示装置である。図28に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置121においては、バックライトとして、光源装置122が設けられている。また、光源装置122と液晶表示パネル102との間には、両面プリズムシート123が設けられている。
光源装置122においては、ファイバ列3の両側に光方向制御器124及び125が設けられており、光方向制御器124には3本の基幹ファイバ126乃至128が光学的に接続されており、光方向制御器125には他の3本の基幹ファイバ129乃至131が光学的に接続されている。また、ファイバ列3においては、連続して配置された3本の光ファイバが1つのブロックを構成しており、各ブロックに属する第1の光ファイバの一端は基幹ファイバ126に接続されており、他端は基幹ファイバ129に接続されており、第2の光ファイバの一端は基幹ファイバ127に接続されており、他端は基幹ファイバ130に接続されており、第3の光ファイバの一端は基幹ファイバ128に接続されており、他端は基幹ファイバ131に接続されている。これらの光ファイバの形状は、例えば図14に示す光ファイバ55と同じである。
また、図29に示すように、両面プリズムシート123は透明材料からなる板状部材である。両面プリズムシート123のファイバ列3側の面には、光ファイバ2の配列方向(図1参照)に延びる複数のプリズムからなるプリズム列132が形成されている。各プリズムの長手方向に直交する断面の形状は三角形である。また、両面プリズムシート123の液晶表示パネル102側の面には、レンチキュラーレンズ133が形成されている。プリズム列132を構成する各プリズムとレンチキュラーレンズ133を構成する各シリンドリカルレンズとは1対1で対応しており、シリンドリカルレンズはプリズムが延びる方向に延びており、液晶表示パネル102の表面に垂直な方向から見て、シリンドリカルレンズの頂線はプリズムの稜線と重なっている。液晶表示パネル102においては、相互に平行に且つ離隔して配置された2枚の透明基板134及び135が設けられており、透明基板134と透明基板135との間には液晶層136が設けられている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第18の実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る液晶表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る液晶表示装置の駆動方法について説明する。本実施形態においては、光方向制御器124及び125からファイバ列3に交互に光を入射させる。そして、光方向制御器124から光を入射させるときには、液晶表示パネル102に左眼用の画像を表示させ、光方向制御器125から光を入射させるときには、液晶表示パネル102に右眼用の画像を表示させる。
光方向制御器124からファイバ列3の光ファイバに入射した光は、光ファイバの切込から出射するが、このときの出射方向は、上方向、即ち、両面プリズムシート123に向かう方向から光方向制御器124から遠ざかる側に傾斜した方向である。この光は、両面プリズムシート123のプリズム列132に入射し、全反射条件を満たす光のみが両面プリズムシート123内を通過して、両面プリズムシート123から出射する。このとき、この出射光は、レンチキュラーレンズ133の作用により、上方向から光方向制御器124から遠ざかる側に大きく傾斜して出射する。この光は、液晶表示パネル102の液晶層136を透過することにより左眼用の画像が付加され、観察者の左眼に向かって進行する。
また、光方向制御器125からファイバ列3の光ファイバに入射した光は、光ファイバの切込から出射するが、このときの出射方向は、上方向から光方向制御器125から遠ざかる側に傾斜した方向である。この光は、両面プリズムシート123のプリズム列132に入射し、全反射条件を満たす光のみが両面プリズムシート123内を通過して、両面プリズムシート123から出射する。このとき、この出射光は、レンチキュラーレンズ133の作用により、上方向から光方向制御器125から遠ざかる側に大きく傾斜して出射する。この光は、液晶表示パネル102の液晶層136を透過することにより右眼用の画像が付加され、観察者の右眼に向かって進行する。これにより、観察者は立体画像を認識することができる。
なお、両面プリズムシート123の厚さを0.4mmとし、透明基板134及び135の厚さを夫々0.5mmとすると、両面プリズムシート123から出射する光の進行方向と液晶表示パネルに垂直な方向上とのなす角度θ1は、20°となる。
そして、左眼用画像を表示する際にも、右眼用画像を表示する際にも、前述の第18の実施形態と同様な方法により、各ブロックに属する3本の光ファイバを時分割で順次発光させると共に、液晶表示パネル102に各色の画像を時分割で表示して、カラーフィールドシーケンシャル(色時分割)表示を行う。本実施形態においては、カラーフィールドシーケンシャル表示とフィールドシーケンシャル立体表示とを同時に行うため、画像を切り替える周波数は、360Hz以上とすることが好ましい。
次に、比較のために、従来のレンチキュラーレンズを使用した立体表示装置について説明する。図30は、従来の液晶表示装置を示す断面図である。図30に示すように、この従来の液晶表示装置141においては、面状に光を出射する光源装置142、液晶表示パネル143及びレンチキュラーレンズ144がこの順に設けられており、液晶表示パネル143においては、2枚の透明基板145及び146が、相互に平行に且つ離隔して設けられており、両透明基板間には、液晶層147が配置されている。また、液晶表示パネル143の各画素148には、右眼用サブ画素149及び左眼用サブ画素150が対になって設けられている。そして、レンチキュラーレンズ144の各シリンドリカルレンズが、各画素列に対応している。
この従来の液晶表示装置141においては、右眼用サブ画素149に右眼用の画像を表示させると共に、左眼用サブ画素150に左眼用の画像を表示させる。そして、光源装置142から光を出射させる。これにより、光源装置142から出射した光の一部は、右眼用サブ画素149を透過し、この右眼用サブ画素149が属する画素列に対応するシリンドリカルレンズによって屈折し、観察者の右眼に向かう。また、光源装置142から出射した光の他の一部は、左眼用サブ画素150を透過し、この左眼用サブ画素150が属する画素列に対応するシリンドリカルレンズによって屈折し、観察者の左眼に向かう。これにより、観察者に立体画像を認識させる。なお、透明基板145及び146の厚さを夫々0.5mmとすると、レンチキュラーレンズ144から出射する光の進行方向と液晶表示パネルに垂直な方向上とのなす角度θ2は、12°となる。
この従来の液晶表示装置においては、立体画像を表示するために、各画素を右眼用及び左眼用の2つのサブ画素に分割する必要がある。また、カラーの立体画像を表示するためには、右眼用サブ画素及び左眼用サブ画素を更に夫々RGBの3つのサブ画素に分割する必要がある。この結果、1つの画素を6つのサブ画素に分割することになってしまい、開口率が低下する。また、液晶表示パネルにおいては、各サブ画素毎に信号配線を敷設する必要があるため、信号配線の数が増大してしまい、信号配線の引き回し量が増大すると共に、各信号配線を細くせざるを得なくなり、信号配線における遅延量が増大する。更に、各画素の位置を各シリンドリカルレンズの位置に対応させる必要があるため、組立てが困難である。
これに対して、本実施形態によれば、時分割で立体表示及びカラー表示を行っているため、各画素を6つのサブ画素に分割する必要がない。このため液晶表示装置の解像度又は開口率を高くすることができる。即ち、空間的に画素を分割する場合に比べて、6倍の面積効率が得られ、極めて臨場感が高い立体表示を行うことができる。また、従来の液晶表示装置141と比較すると、信号配線の数が6分の1であるため、信号配線の引き回し量が低減すると共に、各信号配線を太くすることが可能になり、信号配線における遅延量が減少する。更に、信号配線の引き回し量が減少するため、表示パネルにおける額縁部分を小さくすることができる。更にまた、画素の位置とシリンドリカルレンズの位置をの間に特別な制約がなく、光学的又は主観的な不具合が生じない範囲で、自由な設計が可能である。更にまた、2次元表示と3次元表示とを切り替えた場合でも、画素数は変化しない。
次に、本発明に係る光源装置の製造方法の実施形態について説明する。先ず、本発明の第20の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第1の実施形態に係る光源装置の製造方法の実施形態である。
先ず、図1に示す光ファイバ2及び基幹ファイバ5乃至7を作製する。光ファイバ2及び基幹ファイバ5乃至7の作製方法は共通である。先ず、プラスチック製光ファイバ(POF)又は石英製光ファイバを用意し、この光ファイバに切込を形成する。切込の形成方法には種々の方法があるが、例えば、下記(1)乃至(5)のような方法で形成可能である。
(1)切削機により直接、切削加工する。(2)光ファイバを1列に配列させて、その上にマスクを重ねる。このマスクには、切込を形成する予定の領域にスリットが形成されている。そして、マスクの上から研磨剤を使って光ファイバを研磨する。(3)光ファイバを1列に配列させて、その上にフォトレジスト又はドライフィルムレジスト等の感光性レジストを成膜し、この感光性レジストを、切込を形成する予定の領域に開口部が形成されるようにパターニングした後、これをマスクとしてエッチングする。(4)金型を作製し、加圧又は射出等の手法で成型する。(5)レーザ加工により切込を形成する。
図2に示すように、光ファイバの全長にわたって同じ形状の切込を形成する場合は、(1)の切削法において、切削機の刃の角度を一定の角度に設定して切削するか、(3)のエッチング法が好適である。特に複雑な形状の切込を形成する場合は、(4)の金型を用いた加圧成型法、及び(5)のレーザ加工法が好適である。また、加工精度が若干低くても低コストで形成したい場合は、(2)のマスク研磨法が有利である。本実施形態においては、(1)の切削法を実施する。このようにして、光ファイバ2及び基幹ファイバ5乃至7を作製する。
次に、図1に示すように、切込が形成された光ファイバ2を一列に配列させて、これらの光ファイバ2間を透明材料により埋め込み、光ファイバ2同士を接着する。この透明材料には、光ファイバ2のクラッド12と同程度の屈折率を持つものを使用し、例えば、後の工程において良好な加工性を得るために、樹脂材料を使用する。このようにして、ファイバ列3を作製する。
一方、ファイバ列3とは別に、光方向制御器4を作製する。光方向制御器4の材料には、種々の材料が使用可能であるが、本実施形態においては、加工が容易であり且つ軽量である樹脂材料を使用する。金型を準備し、射出成形により、図3に示すような形状の樹脂成型体を成型する。そして、この樹脂成型体の表面の一部に反射膜を成膜することにより、ミラー14乃至16を形成する。これにより、光方向制御器4を作製する。
次に、ファイバ列3、光方向制御器4及び基幹ファイバ5乃至7を、図1に示すように配置する。その後、各構成要素間に、光硬化樹脂を充填する。そして、自己形成光導波路技術を応用して、各構成要素間を光学的に接続する。以下、自己形成光導波路技術の原理を説明する。図31(a)乃至(e)は、この自己形成光導波路技術の原理を示す断面図であり、図32は、この自己形成光導波路技術により、ミラーを介在させた光路を形成する方法を示す断面図である。
先ず、図31(a)に示すように、未硬化の光硬化樹脂201内に、光ファイバ202の一端部202aを設置する。次に、図31(b)に示すように、光ファイバ202の他端部(図示せず)から光ファイバ202内に光を導入し、一端部202aからビーム203を出射させる。このビーム203は、その光軸上で最も強度が強く、強度分布が軸対称の広がりを持ったガウス型ビームとなる。すると、図31(c)に示すように、光硬化樹脂201における最も強い光が照射される部分、即ち、ビーム203の光軸の近傍に相当する部分が、光重合反応により硬化する。光硬化樹脂201が硬化すると、その屈折率が上昇する。これにより、テーパー部204が形成される。
そして、図31(d)に示すように、光硬化樹脂201の硬化が進むにつれて、硬化部分と未硬化部分との間の屈折率の差によって、ビーム203は徐々に光軸上に閉じ込められる。光が完全に閉じ込められると、周囲よりも屈折率が高い直線部205が形成される。このとき、未硬化の光硬化樹脂201に含まれる反応開始剤は、硬化部分、即ち、直線部205に偏在していく。このため、光硬化樹脂201において、直線部205とそれ以外の部分とは組成が異なってくる。
次に、図31(e)に示すように、加熱等の手段により、光硬化樹脂201の直線部205以外の部分を硬化させて、硬化後樹脂206とする。このとき、直線部205と硬化後樹脂206とはその組成が相互に異なるため、屈折率も相互に異なる。これにより、直線部205がその屈折率が相対的に高いコアとなり、硬化後樹脂206がその屈折率が相対的に低いクラッドとなる光導波路が形成される。
このように、光ファイバから出射する光を光硬化樹脂内に導入することにより、所望の領域内を光が伝播する光導波路を自己整合的に形成することができる。このため、このような光導波路は自己形成光導波路と呼ばれる。また、光導波路間を光学的に接続するために、電極間を電気的に接続するハンダになぞらえて、光ハンダと呼ばれることもある。
なお、前述の図31(e)に示す工程において、加熱により光硬化樹脂201の直線部205以外の部分を硬化させる替わりに、光硬化樹脂201における直線部205以外の部分を除去し、この除去部分により屈折率が低い他の樹脂を満たし、この樹脂を硬化させてクラッドを形成してもよい。また、後述するように、光硬化樹脂として2液混合型の光硬化樹脂を使用してもよい。
また、この自己形成光導波路の技術を、ミラーを含む光学系に応用することで、光の進行方向を制御することも可能である。即ち、図32に示すように、光ファイバ202を配置し、この光ファイバ202から出射されるビーム203の進路上に、ミラー207を配置する。ミラー207の反射面は、ビーム203の光軸に対して例えば45°の角度をなすようにする。そして、光ファイバ202及びミラー207からなる光学系の周囲を、未硬化の光硬化樹脂201により覆う。
この状態で、光ファイバ202からビーム203を出射させる。これにより、ビーム203は、未硬化の光硬化樹脂201内をミラー207に向かって直進し、ミラー207の反射面により反射されて、その進行方向を90°変化させて光硬化樹脂201内を直進する。ビーム203は、その光軸上が最も強度が強く、強度分布が軸対称の拡がりを持ったガウス型ビームである。ビーム203の光軸近傍において光硬化樹脂201の硬化が始まると、テーパー部204が形成されて光が閉じ込められ、やがて直線部205が形成される。この直線部205は、ミラー207の反射面で垂直に折れる。この屈曲部では、エバネッセント光及び屈曲部前後の漏光が重なることによる光硬化部が発生し、径が若干広がる。しかし、この拡がりは微小なため、入射された光は、形成された自己形成光導波路に沿って、例えば垂直に方向を変える。そして、前述の如く、未硬化の光硬化樹脂201における直線部205以外の部分を、直線部205よりも屈折率が低い硬化後樹脂とすることにより、自己形成光導波路を作製する。
本実施形態においては、上述の自己形成光導波路の技術を、図1に示す光ファイバ2と光方向制御器4との間の機械的及び光学的接続、光方向制御器4と基幹ファイバ5との間の機械的及び光学的接続、並びに光方向制御器4と基幹ファイバ6との間の機械的及び光学的接続に適用する。図33は、本実施形態に係る光源装置の製造方法を示す斜視図であり、図34は、本実施形態に係る光源装置の製造方法を示す部分断面図である。
先ず、図33に示すように、ファイバ列3、光方向制御器4、基幹ファイバ5及び6を所定の位置関係になるように配置する。そして、周囲の雰囲気を乾燥窒素により満たす。これは、次の2点の理由による。第1に、光硬化樹脂の硬化時に酸素が存在すると、特に光ラジカル重合系樹脂に関して、しばしば硬化を抑制するためである。第2に、光硬化樹脂の硬化時に水分が存在すると、特に光カチオン重合系樹脂に関して、硬化に影響を及ぼすためである。従って、雰囲気中から水分及び酸素をできる限り排除するために、乾燥窒素を使用する。
次に、ファイバ列3の光ファイバ2における光方向制御器4側の端部、光方向制御器4並びに基幹ファイバ5及び6の表面に、2液混合型の光硬化性樹脂混合液209(図34参照)を塗布する。これにより、光ファイバ2と光方向制御器4との間、光方向制御器4と基幹ファイバ5との間、及び光方向制御器4と基幹ファイバ6との間に、光硬化性樹脂混合液209を充填する。このとき、基幹ファイバ5及び6に形成された切込17内にも、光硬化性樹脂混合液209を充填する。光硬化性樹脂混合液209の粘性は、液が所望の領域以外の領域に多量に流出しない程度に高く、且つ、各構成要素(光ファイバ2、光方向制御器4並びに基幹ファイバ5及び6)の形状に追従する程度に低いことが望ましい。但し、液の塗布量を正確に制御することによって、この粘性の許容範囲を広げることができる。
光硬化性樹脂混合液209は2種類の樹脂により構成する。即ち、光ラジカル重合系の樹脂Aと、光カチオン重合系の樹脂Bである。混合比率は、例えば、体積率で、樹脂A:樹脂B=7:3とする。このように重合過程が異なる2種類の樹脂を混合させることにより、共重合が生じなくなる。樹脂Aに添加され、光照射によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤には、例えば、芳香族カルボニル化合物を使用し、例えば、波長が500nm程度の青色光の領域に光感度を持つ材料を使用する。一方、樹脂Bに添加され、光照射によりルイス酸を発生する光カチオン重合開始剤には、例えば、芳香族ジアゾニウム塩を使用し、例えば、波長が500nm程度の青色光の領域にほとんど光感度を持たない材料を使用する。
次に、ファイバ列3の上方、即ち、切込13が形成されている側に、ファイバ列3における光方向制御器4側の端部を除く部分に対向するように、面平行光源210を配置する。面平行光源210は、略平行な青色光を一定の領域において面状に出射するものである。そして、面平行光源210から見て光方向制御器4側に、光遮蔽板211を配置し、面平行光源210から出射した漏光及び拡散光が光硬化性樹脂混合液209を直接照射しないようにする。これにより、光硬化性樹脂混合液209の予期しない硬化を抑制する。
この状態で、面平行光源210から青色光を出射させる。出射された青色光は、光ファイバ2の切込13から光ファイバ2のコア11に入射し、このコア11内を伝播して、光ファイバ2の光方向制御器4側の端部から出射する。切込13は、本来は光ファイバ2のコア11を伝播する光に対して光出射部として作用するものであるが、光路は可逆であるため、光ファイバ2の外部から照射される光に対しては、光ファイバ2の内部へ光を導入する光入射部として作用する。そして、光ファイバ2から出射した青色光は、光方向制御器4に向かって光硬化性樹脂混合液209内を伝播する。
図34に示すように、光方向制御器4のミラー14に対向して配置されている光ファイバ2から出射した光のビーム212は、光硬化性樹脂混合液209内を伝播してミラー14に到達し、ミラー14により反射されて再び光硬化性樹脂混合液209内を伝播し、基幹ファイバ5の切込17に到達する。そして、切込17から基幹ファイバ5の内部に導入される。これにより、光ファイバ2とミラー14との間を略直線的に接続する自己形成光導波路213が形成されると共に、ミラー14と基幹ファイバ5との間を略直線的に接続する自己形成光導波路214が形成される。この結果、光ファイバ2と基幹ファイバ5との間に、ミラー14が介在した光導波路が形成される。同様に、光方向制御器4のミラー15に対向する位置に配置された光ファイバ2と基幹ファイバ6との間には、ミラー15が介在した光導波路が形成される。また、基幹ファイバ5及び6に形成された切込17の内部も光硬化性樹脂混合液209により満たされているため、切込17の内部にも自己形成光導波路が形成される。
このとき、樹脂Aは光ラジカル重合系の樹脂であり、光ラジカル重合開始剤(増感剤)として、青色光の領域に光感度を持つ芳香族カルボニル化合物を使用しているため、光硬化性樹脂混合液209内においてビーム212の光軸近傍部分が硬化する際には、樹脂Aのみが選択重合により硬化し、樹脂Bは光導波路外に排除される。これにより、光導波路においては樹脂Aの濃度が相対的に高くなり、光導波路外の未硬化部分においては、樹脂Aの濃度が相対的に低くなる。
そして、光ファイバ2と基幹ファイバ5及び6とを接続する自己形成光導波路を形成した後、光硬化性樹脂混合液209全体に対して紫外光を照射する。これにより、光硬化性樹脂混合液209における未硬化部分が硬化する。この紫外線照射工程では、樹脂A及び樹脂Bが共に硬化する。この結果、青色光により硬化した自己形成光導波路と、紫外線により硬化したその周囲の部分とは、樹脂の組成が相互に異なり、このため屈折率が相互に異なる。前述の例えば7:3という混合比率は、この紫外線照射工程で作製された硬化樹脂の屈折率が、青色光によって形成された自己形成光導波路の屈折率に対して、全反射条件を満たす程度に低くなるように決定されたものである。
なお、前述の図32においては、自己形成光導波路は、ミラー207に到達するまでにテーパ−部204から直縁部205に移行しているが、本実施形態においては、図34に示すように、光ファイバ2と光方向制御器4との間の距離が小さいため、ビーム212がミラー14に到達する位置では、自己形成光導波路はまだテーパ−部のままであり、基幹ファイバ5及び6に入射する直前の位置で直線的な形状となる。
次に、図1に示すように、ファイバ列3の光ファイバ2における光方向制御器4の反対側の端部と基幹ファイバ7とを機械的及び光学的に接続する。また、基幹ファイバ5乃至7の端部に、夫々光源8乃至10を光学的に接続する。これにより、前述の第1の実施形態に係る光源装置1が製造される。
以下、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、各構成要素間、即ち、光ファイバ、光方向制御器、基幹ファイバの相互間の光学的な接続に自己形成光導波路技術を応用することにより、各構成要素間を精度良く確実に光接続することができる。このため、各構成要素間の接続に伴う光のロスが少なく、光利用効率が極めて高い光源装置を製造することができる。
また、本実施形態においては、2種類の樹脂を混合した光硬化性樹脂混合液を使用し、青色光によって光自己形成光導波路を形成した後、周囲の未硬化の光硬化樹脂を紫外線により硬化させているため、コアの形成、クラッドの形成、及び構成要素同士を接着することによるパッケージングを、一連の工程として簡便に実現できる。従って、光源装置の製造コストを低減することができる。
更に、本実施形態においては、各構成要素間が自己形成的に光接続されるために、互いの位置合わせの精度がそれほど高くなくてもよい。その理由は、図34に示すように、基幹ファイバ5の切込17と自己形成光導波路214とは一体化し、且つ、自己形成光導波路214の直径が切込17の幅よりも大きくなるため、自己形成光導波路214の光軸と切込17の中心とが多少ずれても、基幹ファイバ5内を伝播した光が切込17を介して自己形成光導波路214内に導入される際には、光が外部に漏洩することがなく、自己形成光導波路214内に確実に導入できるためである。従って、本実施形態においては、光源装置の組立に際して各構成要素間の位置合わせが容易であり、製造コストを低減できる。
更にまた、本実施形態においては、自己形成光導波路の作製に用いる光の強度、光ファイバ及び基幹ファイバのコアの直径、並びに光硬化樹脂の光感度及び硬化特性にもよるが、通常、1分間弱、例えば30秒間程度の光照射で、自己形成光導波路を形成できる。また、未硬化の樹脂を紫外光で硬化する処理も2分間程度で達成される。このように、自己形成光導波路の作製は、必要とされる処理時間が短いため、スループットが極めて高く、結果として、製造コストを低減できる。
なお、本実施形態においては、青色光領域における感度が相互に異なる2種類の光重合開始剤を用いたが、この感度が異なる波長領域は特に青色でなくてもよく、使用時に扱いやすい波長領域であれば問題ない。また、光重合開始剤に関しても、種々のものが使用できる。例えば、光ラジカル重合開始剤には、分子開裂型、水素引き抜き型、エキサイプレックス形成型等の各種の反応を利用する材料が使用できる。また、重合開始剤と共に用いられるモノマ及び線状ポリマ又は不飽和オリゴマーにも、種々の材料が使用できる。一方、光カチオン重合開始剤としても、例示した芳香族ジアゾニウム塩だけでなく、芳香族ヨードニウム塩又は芳香族スルホニウム塩等が使用できる。また、本実施形態においては、光ラジカル重合系及び光カチオン重合系という重合過程が相互に異なる2種類の樹脂を用いて共重合を防いでいるが、これ以外の重合過程として、例えば、二重結合へのチオール基の付加反応のような光付加反応系も使用できる。この反応系は、酸素の影響が少なく、空気存在下でも硬化しやすいという利点がある。これらの重合過程が異なる複数の樹脂を用いることで、共重合を防ぐことが可能であり、また、自己形成光導波路の形成後に、その周囲のクラッドも容易に形成することができる。
次に、本発明の第21の実施形態について説明する。図35は、本実施形態に係る光源装置の製造方法を示す斜視図であり、図36は、本実施形態に係る光源装置の製造方法を示す部分断面図である。図35に示すように、本実施形態は、前述の第20の実施形態と比較して、面平行光源210及び光遮蔽板211(図33参照)を使用せずに、基幹ファイバ5及び6の端部に夫々光源216を接続する点が異なっている。光源216は、例えば、波長が488nmの青色レーザを出射するLEDである。
これにより、本実施形態においては、自己形成光導波路を作製するための光の進行方向が、前述の第20の実施形態と比較して逆になる。即ち、前述の第20の実施形態においては、面平行光源210から出射した青色光は、光ファイバ2→光方向制御器4→基幹ファイバ5又は6の経路で進行するが、本実施形態においては、光源216から出射した青色光は、基幹ファイバ5又は6→光方向制御器4→光ファイバ2の経路で進行する。この結果、図36に示すように、基幹ファイバ5と光ファイバ2との間に形成される光導波路は、基幹ファイバ5側が細く、光ファイバ2に近づくにつれて太くなる。そして、青色光により自己形成光導波路217を形成した後、光硬化性樹脂混合液209全体に紫外線を照射して未硬化部分を硬化させる。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第20の実施形態と同様である。
本実施形態によれば、前述の第20の実施形態とは異なり、面状光源として用いるときと同じ方向に光を伝播させることにより自己形成光導波路を形成しているため、面平行光源210及び光遮蔽板211(図33参照)を用意する必要がない。従って、本実施形態においては、光硬化樹脂用の光源216及び光硬化性樹脂混合液209全体を硬化させるための紫外光源以外に専用の装置を用意する必要がない。このため、光源装置の製造コストをより一層低減することができる。
なお、本実施形態においては、光ファイバ2と基幹ファイバ7(図1参照)との間にも光硬化性樹脂混合液209を充填し、基幹ファイバ7の端部にも光源216を接続することにより、光ファイバ2と基幹ファイバ7との間にも自己形成光導波路を形成してもよい。これにより、基幹ファイバ5乃至7が全て自己形成光導波路によりファイバ列3に接続されるため、光源装置1の光の利用効率をより一層高めることができると共に、光源装置1の製造をより一層容易にし、その製造コストを低減することができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第20の実施形態と同様である。
次に、本発明の第22の実施形態について説明する。図37は、本実施形態に係る光源装置の製造方法を示す斜視図であり、図38は、本実施形態に係る光源装置の製造方法を示す部分断面図である。図37に示すように、本実施形態は、前述の第20の実施形態と第21の実施形態とを組み合わせた実施形態である。即ち、本実施形態においては、図37に示すように、面平行光源210から青色光を出射させて、この青色光を光ファイバ2→光方向制御器4→基幹ファイバ5又は6の経路で伝播させると共に、基幹ファイバ5及び6に光源216を接続して、この光源216から出射した青色光を、基幹ファイバ5又は6→光方向制御器4→光ファイバ2の経路で伝播させる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第20の実施形態と同様である。
上述の如く、本実施形態においては、光ファイバ2、光方向制御器4、基幹ファイバ5又は6からなる光経路の両側から青色光を入射する。これにより、図38に示すように、光硬化性樹脂混合液209中に形成される自己形成光導波路218においては、その両端部、即ち、光ファイバ2及び基幹ファイバ5又は6に接する部分の直径は、夫々光ファイバ2の直径及び基幹ファイバ5又は6の直径と略等しくなり、その中央部に向かうにつれて、その直径は連続的に大きくなる。この結果、自己形成光導波路218により、光ファイバ2と基幹ファイバ5及び6との間の全領域を、滑らかに接続することが可能である。これにより、自己形成光導波路218及びその両端の接続部分における光の損失が小さくなり、光の利用効率がより一層向上する。
前述の第21の実施形態においては、図36に示すように、自己形成光導波路217と光ファイバ2との接続部分において、自己形成光導波路217の直径が光ファイバ2の直径よりも大きくなるため、若干の光の損失が生じる。これに対して、本実施形態によれば、この接続部分における光の損失が殆ど生じない。但し、本実施形態においては、光源216の他に、面平行光源210及び光遮蔽板211を用意する必要があるため、前述の第21の実施形態と比較して、製造コストが高くなる。このため、光源装置を製造する方法として前述の第21の実施形態を採用するか本実施形態を採用するかは、光源装置に要求される性能及びコストを勘案して決定すればよい。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第20の実施形態と同様である。
次に、本発明の第23の実施形態について説明する。前述の如く、光硬化性樹脂混合液中に酸素が存在すると、光ラジカル重合系の樹脂Aの硬化が阻害される。本実施形態においては、この特性を利用して、次のような製造方法を実施する。先ず、本実施形態において実施する自己形成光導波路の作製方法、即ち、酸素による樹脂の硬化阻害を利用した自己形成光導波路の作製方法の原理を説明する。図39(a)乃至(c)は、酸素による樹脂の硬化阻害を利用した自己形成光導波路の作製方法の原理をその工程順に示す断面図である。
先ず、図39(a)に示すように、光ファイバ202の表面に所定量の酸素を吸着させた後、光ファイバ202の周囲の雰囲気を乾燥窒素とし、光ファイバ202の周囲に、未硬化の光硬化樹脂201を配置する。光硬化樹脂201としては、前述の光硬化性樹脂混合液209と同様に、2液混合型の樹脂液を使用する。そして、光ファイバ202の一端部202aからビーム203を出射させる。
これにより、図39(b)に示すように、光硬化樹脂201におけるビーム203の光軸近傍の部分が硬化し始めるが、このとき、光ファイバ202に吸着していた酸素が、光ファイバ202の近傍において、光硬化樹脂201の硬化を阻害する。この結果、光硬化樹脂201におけるビーム203に照射される部分であって光ファイバ202に接する部分に、酸素阻害による未硬化部分220が発生し、径の細りが発生する。即ち、テーパー部204の形状が、光ファイバ202に接する部分がくびれた形状となる。
そして、図39(c)に示すように、この酸素阻害による未硬化部分220は、光硬化樹脂201の硬化が進みテーパー部204の先に直線部205が形成された後も残留する。これにより、光ファイバ202に接する部分の直径が、光ファイバ202のコアの直径よりも細い自己形成光導波路208が作製される。
次に、上述の酸素阻害を利用した自己形成光導波路の作製方法を、本実施形態に適用する場合について説明する。図40(a)は前述の第22の実施形態において作製される自己形成光導波路を示す断面図であり、(b)は本実施形態において作製される自己形成光導波路を示す断面図である。先ず、図37に示すように、ファイバ列3、光方向制御器4、基幹ファイバ5及び6を所定の位置に配置する。そして、ファイバ列3、光方向制御器4、基幹ファイバ5及び6の表面に所定量の酸素を吸着させた後、周囲の雰囲気を乾燥窒素とする。その後、各構成要素間に光硬化性樹脂混合液209を充填する。
次に、面平行光源210に青色光を出射させ、この青色光を、切込13を介して光ファイバ2内に導入すると共に、光源216に青色光を出射させ、この青色光を基幹ファイバ5及び6内に導入する。これにより、前述の第22の実施形態と同様に、光硬化性樹脂混合液209内に、光ファイバ2と基幹ファイバ5とを相互に光接続する自己形成光導波路221(図40(b)参照)及び光ファイバ2と基幹ファイバ5とを相互に光接続する自己形成光導波路を形成する。その後、光硬化性樹脂混合液209全体に紫外線を照射することにより、光硬化性樹脂混合液209の未硬化部分を硬化させる。
次に、本実施形態の動作について、前述の第22の実施形態と比較して説明する。図40(a)に示すように、前述の第22の実施形態においては、光ファイバ2と基幹ファイバ5との間に形成される自己形成光導波路219の直径は、光ファイバ2と接する部分では光ファイバ2のコア11の直径と略等しく、この光ファイバ2と接する部分から光方向制御器4に向かうにつれて連続的に大きくなる。一方、基幹ファイバ5に接する部分では切込17の幅と略等しく、この基幹ファイバ5に接する部分から光方向制御器4に向かうにつれて連続的に大きくなる。
これに対して、図40(b)に示すように、本第23の実施形態においては、光ファイバ2と基幹ファイバ5との間に形成される自己形成光導波路221の両端部に、酸素阻害による未硬化部分222が形成される。このため、自己形成光導波路221の直径は、光ファイバ2と接する部分では光ファイバ2のコア11の直径よりも小さく、光ファイバ2から離れると急激に大きくなり、光方向制御器4に向かうにつれて連続的に大きくなる。一方、基幹ファイバ5に接する部分では切込17の幅よりも小さく、切込17から離れると急激に大きくなり、光方向制御器4に向かうにつれて連続的に大きくなる。
次に、本実施形態の効果について説明する。前述の第22の実施形態において、自己形成光導波路218の光ファイバ2に接する側の端部の直径及び光軸が、光ファイバ2のコア11の直径及び光軸と一致していれば問題はない。しかしながら実際には、自己形成光導波路218は、その両側から青色光を入射させることによって形成されるため、基幹ファイバの切込17から出射された青色光により、自己形成光導波路218の端部の直径は光ファイバ2のコア11の直径よりも若干大きくなり、その光軸は光ファイバ2のコア11の光軸に対して若干ずれることがある。この場合、自己形成光導波路218を導波してきた光の一部が、光ファイバ2のコア11に入射できなくなり、光の利用効率が低下する。この問題を解決するためには、基幹ファイバ5及び6の光軸と光ファイバ2のコア11の光軸との間にずれが生じないように十分な位置調整を行えばよいが、そのような位置調整は極めて困難であり、大幅なコストアップを招いてしまう。
これに対して、本実施形態によれば、自己形成光導波路211における光ファイバ2に接する側の端部の直径は、光ファイバ2のコア11の直径よりも小さいため、この端部の直径が多少大きくなったり、この端部の光軸が多少ずれたりしても、この端部が光ファイバ2のコア11から外れることがない。このため、光の利用効率が低下することがない。また、基幹ファイバと光ファイバとの間の位置合わせに高い精度が要求されないため、光源装置の製造コストを大きく低減することができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第22の実施形態と同様である。
次に、本発明の第24の実施形態について説明する。図41(a)は本実施形態における光方向制御器のミラー部分を示す斜視図であり、(b)はその断面図である。図41(a)及び(b)に示すように、本実施形態においては、光方向制御器4のミラー14及び15(図3参照)として、凹面のミラー225を使用する。これにより、基幹ファイバ5及び6の切込17から出射した光が、ミラー225によって集光されるため、この光を光ファイバ2のコアに効率的に導入することができる。また、光ファイバ2から出射した光も、ミラー225によって集光されるため、基幹ファイバ5又は6に効率的に導入することができる。これにより、酸素阻害を利用しなくても、両端部が細い自己形成光導波路を形成でき、光の利用効率が向上する。
凹面のミラー225は、前述の第20の実施形態と同様に、射出成形法によって作製できる。また、例えば、比較的やわらかい素材を外部から圧迫することで凹面を形成することも可能である。この手法としては、例えば、シリコン基板を45度に切削し、その切削面を圧迫する方法がある。
なお、前述の第20乃至24の実施形態において、光硬化性樹脂混合液に混入する樹脂に、光硬化性だけでなく嫌気硬化性を付与してもよい。例えば、紫外光及び嫌気状態で硬化するUV嫌気接着剤と呼ばれる材料と同様の材料が使用できる。但し、この材料にも、硬化後の屈折率が所望の値になることと、硬化後のコア部分が使用する波長領域で十分に透明であることが要求される。嫌気硬化性を付与することにより、光源装置内の各構成要素の構成が極めて複雑であるため、硬化用の光が十分に行き渡らないような条件下でも、光が当たらない部分は通常、各構成要素又は樹脂材料自体によって酸素が遮断されているため嫌気状態となり、嫌気硬化性によって硬化する。この嫌気硬化の硬化速度を紫外線硬化の硬化速度よりも遅くしておくことで、自己形成光導波路を作製する段階では嫌気硬化による効果がほとんど生じず、クラッド部分を光硬化する段階以降に十分に硬化するようにできる。例えば、嫌気硬化性の速度を30分間以上としても、光源装置の製造におけるスループットとしては問題ない。このように、嫌気硬化性を付与した樹脂に対しては、対象となる部分の酸素が遮断されている条件であれば、他の要素、例えば熱及び光を、硬化時に必要としない。そのため、窒素雰囲気中に放置するだけでよい。また、特に、嫌気硬化したい領域が樹脂材料自身によって外気から遮断されている場合は、窒素雰囲気中に入れる必要も無く、特別な設備的な工夫なしに反応が進むという利点がある。
次に、本発明に係る表示装置の製造方法の実施形態、即ち、本発明の第25の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第18の実施形態に係る表示装置の製造方法である。先ず、前述の第20乃至24のいずれかの実施形態により、前述の第1の実施形態に係る光源装置1を作製する。そして、光源装置1の上面に光硬化性樹脂混合液209を塗布し、その上に液晶パネル102を重ねる。液晶パネル102においては、複数の画素110がマトリクス状に配列されており、各画素110には透明領域が設けられている。
この状態で、液晶パネル102の上方から、例えば青色光を照射する。これにより、この青色光が液晶パネル102の各画素110の透過領域を通過して、光硬化性樹脂混合液209における透過領域の直下に位置する部分に照射される。これにより、光硬化性樹脂混合液209内に、側面が膨らんだ四角錐台形状の自己形成光導波路112が形成される。その後、例えば加熱することにより、光硬化性樹脂混合液209全体を硬化させる。この結果、光硬化性樹脂混合液209における自己形成光導波路112以外の未硬化部分が硬化して、透明樹脂層111となる。このとき、透明樹脂層111の屈折率は、自己形成光導波路112の屈折率よりも低くなる。
このように、本実施形態においては、光源装置1と液晶パネル102との間に、液晶パネル102の各画素110の透過領域に対応するように、複数の自己形成光導波路112を形成することにより、光源装置1から出射した光が液晶パネル102の透過領域以外の領域へ漏洩することを防止できる。これにより、光源装置1から液晶パネル102に効率良く光が伝達される液晶表示装置101を製造することができる。
なお、本実施形態において、液晶パネル102の上方から光を照射するときに、光源8乃至10を点灯してもよい。これにより、光硬化性樹脂混合液209からなる層に、上方、即ち液晶パネル102側から光が照射されると共に、下方、即ち光源装置1側からも光が照射され、上下両方向から自己形成光導波路が形成される。この結果、光源装置1の切込13(図1参照)と液晶パネル102の透過領域との間の目合わせが不十分な場合においても、漏光を抑制することができる。
次に、本発明の第26の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明に係る表示装置及びその製造方法のより具体的な実施形態である。図42(a)乃至(d)及び図43(a)乃至(d)は、本実施形態に係る液晶表示装置の液晶パネルの作製方法をその工程順に示す断面図である。
以下、液晶パネル102の作製方法について説明する。先ず、TFTアレイ基板の作製方法について説明する。図42(a)に示すように、ガラス基板301上に、酸化シリコン膜302を成膜し、その上にアモルファスシリコン膜303を成長させる。次に、このアモルファスシリコン膜303にエキシマレーザを照射してアニールし、ポリシリコン膜304(図42(b)参照)とする。次に、図42(b)に示すように、このポリシリコン膜304上に膜厚が10nmの酸化シリコン膜305を成長させる。そして、酸化シリコン膜305及びポリシリコン膜304をパターニングして選択的に除去する。
次に、図42(c)に示すように、フォトレジスト膜306を塗布した後、パターニングし、ポリシリコン膜304のうち、n型領域となる予定の領域を露出させる。そして、このパターニングされたフォトレジスト膜306をマスクとして、リン(P)イオンをポリシリコン膜304に選択的にドーピングする。これにより、ポリシリコン膜304中に、nチャネルトランジスタのソース・ドレイン領域304nが形成される。その後、フォトレジスト膜306を除去する。
次に、図42(d)に示すように、膜厚が90nmの酸化シリコン膜を成長させて、酸化シリコン膜305と共にゲート絶縁膜307を形成する。そして、このゲート絶縁膜307にコンタクトホールを形成する。次に、ゲート絶縁膜307上にアモルファスシリコン膜308及びタングステンシリサイド(WSi)膜309をこの順に成膜する。その後、タングステンシリサイド膜309及びアモルファスシリコン膜308をパターニングしてゲート電極310を形成する。このとき、ガラス基板301の表面に垂直な方向から見て、ゲート電極310の外縁は、図42(c)に示す工程においてフォトレジスト膜306により覆われた領域の外縁の内側になるようにして、ゲート電極310形成後、ゲート電極310をマスクとして再度リンイオンを注入してもよい。これにより、ソース・ドレイン領域304nとその間に位置するチャネル領域との間に、LDD(Lightly Doped Drain:低不純物濃度ドレイン)領域を形成することができる。
次に、図43(a)に示すように、フォトレジスト膜311を塗布した後、パターニングし、ポリシリコン膜304のうち、p型領域となる予定の領域を露出させる。そして、このパターニングされたフォトレジスト膜311をマスクとして、ボロン(B)イオンをポリシリコン膜304に選択的にドーピングする。これにより、ポリシリコン膜304中に、pチャネルトランジスタのソース・ドレイン領域304pを形成する。その後、フォトレジスト膜311を除去する。
次に、図43(b)に示すように、酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を連続的に成長させて、層間絶縁膜312を形成する。そして、この層間絶縁膜312に、ゲート絶縁膜307に形成したコンタクトホールと連通するように、コンタクト用の穴313を形成する。次に、図43(c)に示すように、アルミニウム膜及びチタン膜をスパッタリング法により成膜して導電膜314を形成する。そして、この導電膜314をパターニングする。これにより、ソース電極、ドレイン電極、このドレイン電極に接続されるデータ配線、ゲート電極等を形成する。
次に、図43(d)に示すように、窒化シリコン膜を成膜して、平坦化膜315を形成する。そして、この平坦化膜315に、画素スイッチ用TFTのソース電極に到達するようにコンタクト用の穴316を形成する。次に、平坦化膜315上にITO(indium tin oxide)膜を成膜し、パターニングして、画素電極317を形成する。画素電極317は、穴316を介して画素スイッチ用TFTのソース電極に接続された透明電極である。そして、全面に配向膜(図示せず)を印刷してラビング処理を施す。
これにより、プレーナ構造のTFT、即ち、走査回路のnチャネルトランジスタ321、走査回路のpチャネルトランジスタ322、画素スイッチ用nチャネルトランジスタ323及び保持容量324を備えたTFTアレイ基板325が作製される。このTFTアレイ基板325には、走査電極駆動回路、信号電極駆動回路、並びに同期回路の一部と共通電極電位制御回路の一部(いずれも図示せず)が形成されている。
なお、本実施形態においては、図42(a)に示す工程において、アモルファスシリコン膜303にエキシマレーザを照射してアニールしてポリシリコン膜304としたが、ポリシリコン膜を成長させた後、レーザ照射によりポリシリコンの粒径を改善してもよい。また、レーザとしては、エキシマレーザ以外にも連続発振(CW)レーザを用いてもよい。更に、レーザ照射でなく、触媒を用いた高速アニールによりアモルファスシリコン膜をポリシリコン化することも可能である。更にまた、誘導加熱等の熱処理によってもポリシリコン化が可能である。更にまた、アモルファスシリコン膜をポリシリコン化する工程を省くことで、アモルファスシリコンTFTアレイを形成することができる。更にまた、本実施形態においては、ゲート電極をタングステンシリサイドにより形成したが、他の導電材料、例えば、クロム等により形成してもよい。
次に、対向基板(図示せず)の作製方法について説明する。先ず、ガラス基板上の全面にITO膜を成膜してパターニングして、対向電極を形成する。次に、クロム層を成膜してパターニングして、遮光膜を形成する。なお、遮光膜は、対向電極よりも前に形成してもよい。次に、高さが例えば3.5μmの柱を形成する。この柱は、セルギャップを保つためのスペーサとして機能すると共に、液晶パネルの耐衝撃性を担保するものである。なお、柱の高さは液晶パネルの設計により適宜選択することができる。次に、全面に配向膜を印刷し、ラビング処理を施す。このとき、ラビング方向は、後の工程において対向基板をTFTアレイ基板に張り合わせたときに、TFTアレイ基板の配向膜のラビング方向と直交するような方向とする。これにより、対向基板が作製される。
その後、対向基板の画素領域の外部に紫外線硬化性のシール材を塗布する。そして、前述のTFTアレイ基板325と対向基板とを、両基板の配向膜が相互に対向し、そのラビング方向が相互に直交するように、シール材を介して張り合わせる。そして、シール材に紫外線を照射して硬化させることにより、TFTアレイ基板と対向基板とを相互に接着する。次に、両基板間にネマチック液晶を注入して液晶層を形成する。この液晶層は、その配向方向が両基板間で90°ねじれたTNモードとなる。これにより、液晶パネル102を作製することができる。
なお、本実施形態においては、遮光膜をクロムにより形成したが、本発明はこれに限定されず、遮光膜の材料としては、クロム以外であっても光を遮蔽できる材料であれば使用できることは言うまでもなく、例えば、WSi(タングステンシリサイド)、アルミニウム、銀合金等が使用できる。また、本実施形態においては、遮光膜を対向基板側に設けたが、TFTアレイ基板側に設けてもよい。TFTアレイ基板上に遮光用のクロムのパターニング層を形成する場合、3種類の構造がある。第1の構造は、ガラス基板上に遮光用のクロムのパターニング層を形成したものである。遮光用のパターニング層を形成した後は、上述の工程と同様に製造することができる。第2の構造は、上述の構造と同様にTFTアレイ基板を製造後、最後に遮光用のクロムのパターニング層を設けたものである。第3の構造は、上述の構造を作製する途中で、遮光用のクロムのパターニング層を設けたものである。遮光用のクロムによるパターニング層をTFTアレイ基板側に形成した場合は、対向基板に遮光用のクロムによるパターニング層を形成しなくてもよい。この場合、対向基板は、ITO膜を全面に形成後、パターニングすることにより作製できる。
このようにして作製した液晶パネル102に、バックライトとして例えば前述の第1の実施形態に係る光源装置を取り付ける。この光源装置は、例えば前述の第20の実施形態において説明したように、LEDによる光源、光方向制御器、複数本の光ファイバからなるファイバ列によって構成する。光ファイバシートとしては、例えば、JIS C 6839規格により規定されるテープ形光ファイバコードを用いる。このコードに、切削で長さ方向の密度を変えながら切込を入れて、ファイバ列を作製する。
次に、光方向制御器の作製方法について説明する。先ず、射出成形によって土台を作製する。以下、この光方向制御器の土台を射出成形する場合の具体的な方法を説明する。図44は、本実施形態における光方向制御器の土台を成形する射出成形機を示す断面図である。
図44に示すように、この射出成形機331においては、先端に円錐形のノズル332が設けられた円筒形のシリンダー333が設けられており、シリンダー333の周囲には、シリンダー333を加熱するヒーター334が設けられている。また、シリンダー333の上部には、シリンダー333内に射出材料340を供給する漏斗状のホッパー335が取り付けられている。そして、シリンダー333内には、ノズル332の反対側の端部からスクリュー336が挿入されるようになっている。スクリュー336の後端部には、このスクリュー336を回転させる油圧モーター337が連結されており、油圧モーター337の後方には、スクリュー336を油圧モーター337ごとノズル332に向けて押圧する油圧シリンダー338が設けられている。そして、シリンダー333のノズル332には金型339が連結されており、ノズル332から射出された射出材料340が金型339内に注入されるようになっている。
本実施形態においては、射出材料340として、塗装可能なプラスチックを使用する。例えば、デュポン社製のアセタール樹脂であるDerlin 100P NC010(商品名)を用いる。樹脂材の溶融温度は215℃とする。
シリンダー333内の温度は、例えば、後方部を230℃、中央部を225乃至220℃、前方部、即ちノズル332側の部分を215℃とし、ノズル332の温度は190℃とする。また、金型339の温度は90℃に維持する。そして、射出成形時には、シリンダー333内において射出材料を溶融状態に保ち、フィラーの摩擦を抑えるために、スクリュー336を1秒間当たり10センチメートル以下の速度で前方向に動かしつつ、1分間当たり150回転以下の回転速度で回転させる。また、シリンダー333内の圧力は100MPaに保持する。このようにして、射出材料340を、シリンダー333のノズル332から金型339内に射出する。
次に、金型339から成型品を取り出して、この成型品を、温度が80℃、湿度が0.1%以下である環境に3時間放置して乾燥させる。これにより、光方向制御器の土台が作製される。なお、射出材料はプラスチックに限定されることなく、種々の材料が使用可能である。また、成形条件は使用する材料に依存すると共に成形形状にも依存する。即ち、光方向制御器の土台全体を一体的に成型するか、例えばミラー毎に成形する等、複数個の部品に分割して成型するかによって大きく異なる。金型の設計の都合、成型の精度等に応じて、一括成形にするか、分割成形にするか、また、分割成形にする場合は分割数をいくつにするかを自由に選ぶことができる。
次に、射出成形された光方向制御器の土台の表面に、反射率が高い塗装材料を吹き付け塗装してミラーを形成し、光方向制御器を作製する。なお、ミラーの形成方法は、吹き付け塗装に限定されず、例えば、蒸着等の手法によって、より反射率が高い金属材料等の被膜を形成してもよい。
また、本実施形態においては、基幹ファイバに接続する光源として反射型LEDを使用する。反射型LEDとしては、例えば、田淵電機株式会社製のTOLATR001A(赤色)、TOLATG001A(緑色)、TOLATB001A(青色)を用いる(各々、商品名)。この反射型LEDは、縦が6mm、横が6mm、高さが3mm程度の箱型のパッケージに入れられており、極めてコンパクトであると共に、箱型であるため設置及び取り扱いが容易である。また、光出射面と反対側の面、又は側面に電極を接続することができるため、基板等に実装する場合においても柔軟性が高く、高密度に実装できる。前述の如く、反射型LEDは、発光した光の略全てを所望の方向に出射することができるため、光利用効率が高い。特に、前記製品は、箱型パッケージであるため、従来の砲弾型LEDにみられるような実装上の問題、即ち、高温のリフロー炉を通したときに、エポキシ樹脂と金属リードの間に剥離が生じ、水分侵入による劣化が発生する等の問題が発生しない。
反射型LEDと基幹ファイバとの間の接続は、自己形成光導波路によって行う。図45は、本実施形態に係る光源装置の光源近傍を示す図である。図45に示すように、1本の基幹ファイバ5の端部側に、レンズ351を設け、レンズ351から見て基幹ファイバ5の反対側に、3色の反射型LED352を配置する。これにより、3色の反射型LED352から出射した光が、レンズ351によって集光され、基幹ファイバ5のコアに入射するようにする。そして、基幹ファイバ5、レンズ351、3個の反射型LED352の相互間に光硬化性樹脂混合液(図示せず)を満たし、中央に位置する反射型LED352及び基幹ファイバ5から出射される光により、自己形成光導波路(図示せず)を作製する。なお、中央に位置する反射型LED以外の反射型LEDにより自己形成光導波路を作製してもよいが、この場合は、レンズ351を基幹ファイバ5の中心軸に対して偏心させることにより、より効率的に光をコアに入射させることが可能になる。
本実施形態における上記以外の表示装置の製造方法は、前述の第25の実施形態と同様であり、特に、光源装置の製造方法は、上述の第20の実施形態と同様である。また、本実施形態における上記以外の表示装置の構成及び動作は前述の第18の実施形態と同様であり、特に、光源装置の構成及び動作は前述の第1の実施形態と同様である。このような構成により、良好なカラーフィールドシーケンシャル表示装置を得ることができる。
なお、複数の色が1パッケージに入っているLEDチップ、例えば、3in1と呼ばれる3色のLEDが1パッケージに入っているチップを用いると、レンズ等の集光素子を介在させることなく、このチップを自己形成光導波路により光ファイバに接続することができる。本実施形態においては、光源から光ファイバまでの光路における光の損失が少ないため、表示部のサイズがあまり大きくない場合には、光利用効率があまり高くない3in1チップを用いても、良好なカラーフィールドシーケンシャル表示装置を得ることができる。
次に、第26の実施形態の変形例について説明する。図46は、本変形例に係る光源装置の光源近傍を示す図である。前述の第26の実施形態においては、図45に示すように、1本の基幹ファイバに3個の反射型LEDを接続した。しかしながら、液晶パネルのサイズが大きい等の理由により、液晶表示装置に画像を表示させる際により大きな光量が必要な場合には、1本の基幹ファイバにより4個以上の反射型LEDを接続する必要がある。
そこで、本変形例においては、図46に示すように、1つの基幹ファイバ(図示せず)に1つのレンズ351を接続し、このレンズ351に9個の反射型LEDを接続する。9個の反射型LEDのうち3個は青色LED353Bであり、他の3個は緑色LED353Gであり、残りの3個は赤色LED353Rである。そして、1個の青色LED353Bをレンズ351の光軸上に配置し、他の8個の反射型LEDをレンズ351の光軸に関して8回対称となる位置に配置する。即ち、レンズ351の光軸上に配置した青色LED353Bの両側に、他の2個の青色LED353Bを配置する。また、3個の緑色LED353Gを、各緑色LED353Gからレンズ351の光軸に下ろした垂線が、互いに90°、135°、135°の角度で交差するように配置する。3個の赤色LED353Rについても同様である。そして、9個の反射型LEDから出射した光がいずれもレンズ351により集光されて基幹ファイバに入射するようにする。
これにより、各色のLEDから出射した光は、各色が選択されて点灯される時に、いくつかの角度からの入射が同時に行われる。このため、基幹ファイバの中心軸に対して傾斜した方向から光が基幹ファイバに入射されることによる影響が、基幹ファイバ及び光ファイバを伝播していく過程で平均化され、光ファイバの切込から出射する漏光がアンバランスになることを抑制できる。一方、基幹ファイバと反射型LEDとの間に自己形成光導波路を作製する際には、レンズ351の光軸上に配置された青色LED353Bを点灯させる。このように、複数個のLEDを配置する方法は無数にあり、設計に応じて、構造を決定すればよい。
次に、本発明の第27の実施形態について説明する。図47は、本実施形態に係る光源装置を示す斜視図であり、図48は、その側面図である。図47及び図48に示すように、本実施形態に係る光源装置161においては、ファイバ列3の一端部に屈曲部162が設けられており、この屈曲部162においては、ファイバ列3を構成する光ファイバ2が屈曲されている。そして、光ファイバ2の屈曲部162側の端部が、3本の基幹ファイバ5乃至7のいずれかの基幹ファイバの切込17に、自己形成光導波路を介して光学的に続されている。即ち、ファイバ列3を構成する光ファイバ2のうち、第1の光ファイバ2の一端部は下方に屈曲されて、基幹ファイバ5の切込17に接続されている。また、この第1の光ファイバ2の隣に位置する第2の光ファイバ2の一端部は上方に屈曲されて、基幹ファイバ6の切込17に接続されている。更に、この第2の光ファイバ2の更に隣に位置する第3の光ファイバ2の一端部は屈曲されずに、基幹ファイバ7の切込17に接続されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本実施形態の動作及び効果について説明する。図49(a)及び(b)は、本実施形態の動作を示す斜視図である。なお、図を簡略化するために、図49(a)においては、基幹ファイバ5及び6並びに光源8乃至10は図示を省略されている。また、図49(b)においては、基幹ファイバ5乃至7及び光源8乃至10は図示を省略されている。本実施形態に係る光源装置161は、光源及び光ファイバのみによって構成されているため、光源装置161自体を丸めることができる。例えば、図49(a)に示すように、光源装置161を、ファイバ列3の光ファイバが延びる方向に丸めることができる。この場合、基幹ファイバは丸められたファイバ列3に巻き込まれる。なお、光ファイバ2において、コア11と比較してクラッド12をより軟らかくすれば、ファイバ列3をより容易に曲げることができる。また、図49(b)に示すように、光源装置161を、基幹ファイバが延びる方向に丸めることもできる。これにより、未使用時には、光源装置を巻物のように丸めて保管することができ、保管スペースを低減することができる。また、フレキシブル性を持つ表示パネルと組み合わせれば、フレキシブルな表示装置を構成することもできる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第28の実施形態について説明する。図50は、本実施形態に係る光源装置を示す斜視図であり、図51は、その側面図である。図50及び図51に示すように、本実施形態に係る光源装置164においては、前述の第27の実施形態に係る光源装置161と比較して、ファイバ列3の屈曲部162側の端部には基幹ファイバ5及び6のみが接続されており、基幹ファイバ7はファイバ列3の他方の端部に接続されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第27の実施形態と同様である。
本実施形態においては、基幹ファイバをファイバ列3の両端部に分けて配置することにより、光源装置全体の厚さを低減することができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第27の実施形態と同様である。